JP2004250942A - 帯電防止建材及びその施工構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】摩擦等により発生した静電気を表面に蓄積させることなく、速やかに下地材へ逃がすことができ、静電気による埃の吸着や、人の肌との間での放電による不快感、電気機器等への障害等を防止することができ、しかも優れた意匠をも併せ持つ帯電防止建材を提供する。
【解決手段】導電性が付与された合成樹脂製の基材1の表面に、少なくとも表面部分に帯電防止処理が施された合成樹脂製の表装材2が貼着されてなり、少なくとも施工状態において、前記基材1と前記表装材2の表面との間での導通がとられることを特徴とする帯電防止建材である。
【選択図】図1
【解決手段】導電性が付与された合成樹脂製の基材1の表面に、少なくとも表面部分に帯電防止処理が施された合成樹脂製の表装材2が貼着されてなり、少なくとも施工状態において、前記基材1と前記表装材2の表面との間での導通がとられることを特徴とする帯電防止建材である。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の建築物における床面、内壁面、外壁面、天井面等に用いる内外装用の合成樹脂製の建材であって、静電気による埃の吸着や、人や電気製品に対する不快な放電を防止することのできる帯電防止建材と、その施工方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
住宅等の建築物における床材や内壁材、外壁材、天井材等としては、かつては単板や合板等の木材を用いたものが主流であった。しかし近年になって、木材はリサイクル利用が難しく、その濫用は自然破壊につながり易いことが問題視される様になっていることと共に、文化水準が向上するにつれて、木材では加工が困難な複雑な形状や意匠が求められる様になっていることから、木材よりも加工やリサイクル利用が容易な、合成樹脂製の建材が広くもちいられる様になっており、その建材全体に占める割合は益々増加の傾向にある。
【0003】
上記合成樹脂製の建材に用いられる合成樹脂としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体(ABS)、ポリオレフィン(PO)等が代表的なものである。これらの合成樹脂は、木材と比較して、例えば鋸挽きや錐による穴開け等の加工性が劣ることから、木材を細かく粉砕した木粉等を充填して、木材と同等の加工性を持たせたり、外観が単調で意匠性に劣ることから、木目模様を印刷した合成樹脂フィルムで被覆したりすることによって、従来の木製の建材と同等の使い勝手を付与する工夫もなされている(特許文献1)。
【0004】
ところで、木材等と比較して合成樹脂は一般に、電気絶縁抵抗が極めて高く、摩擦などにより発生した静電気がいつまでも蓄積し、空気中の埃や汚れの吸着を招く欠点がある。また、特に冬場などの湿度の低い季節には、これに触れる人の皮膚との間での放電現象による電撃などの不快感をもたらしたり、室内で使用されているパーソナルコンピュータ等の電子機器に誤作動やデータ破壊などの致命的な静電気障害をもたらしたりする場合があること等の問題も指摘されている。その中でも特に室内の床面に関しては、人や物の移動に伴い摩擦が発生し易く、その上、人が常時直接接触している部材であるため、そこに使用する合成樹脂製建材(床材)の帯電防止対策は急務となっている。
【0005】
こうした問題の対策として、導電性糸を含む織物などの導電性部材を裏面に設けたプラスチック製床材(特許文献2)や、プラスチックタイル等の非導電性床仕上げ材を金属等の導電性パネル材の上に施工した帯電防止構造(特許文献3)などの提案がある。しかしこれらは、導電性材料を全く使用しない場合と比較すれば、確かに効果が認められるかも知れないが、床面と導電性材料との間が合成樹脂製床材によって絶縁されているので、合成樹脂製床材の表面に蓄積した静電気を完全に除去することは困難である。
【0006】
合成樹脂製床材の本体を構成する合成樹脂に、界面活性剤等からなる帯電防止剤を配合したものに関する提案もある(特許文献4、5)。しかし、界面活性剤等の帯電防止剤は一般に、その界面活性効果によって表面に空気中の水分(湿気)を吸着し、こうして出来た吸着水の層を通じて静電気を面内方向に逃がすものであって、床材の表面に蓄積した静電気を床材の内部を経て下地材に逃がすものではないので、その帯電防止効果には自ずと限界がある。
【0007】
そこで、合成樹脂中に例えばカーボンブラック粉末や黒鉛質炭素繊維等の導電性粉末を混練することにより、床材全体に導電性を持たせた合成樹脂製床材の提案もある(特許文献6)。しかし、導電性粉末は一般に黒色又は金属色等の有色であるので、一般住宅等における使用は意匠的に望ましくない。特許文献6に記載のものは、表層部分を導電性粉末を含む部分と含まない部分とのモザイク状にすることにより、結晶質石材に近似した外観を持たせているが、こうした手法にしても、表現可能な意匠は極めて限られる。しかも、床材の表面に存在する導電性粉末が摩耗により飛散し、粉塵汚染や絶縁障害等の原因ともなり得るという問題もある。
【0008】
こうした意匠面や摩耗の問題に配慮して、導電性粉末を配合した合成樹脂製の基材の表面を、木目模様を印刷した合成樹脂フィルム等の表装材で被覆することも考えられる。しかしこれでは、基材に導電性が付与されていても、その表面が電気絶縁体で被覆されるために、表面に蓄積した静電気を基材に逃がすことが出来ず、帯電防止性が著しく低下してしまうという問題がある。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−120347号公報
【特許文献2】
特開平6−66014号公報
【特許文献3】
特開平10−72934号公報
【特許文献4】
特表平11−512470号公報
【特許文献5】
特開2001−146833号公報
【特許文献6】
実願平4−3053号(実開平5−61342号)のCD−ROM
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記のような問題点に鑑み、摩擦等により発生した静電気を表面に蓄積させることなく、速やかに下地材へ逃がすことができ、静電気による埃の吸着や、人の肌との間での放電による不快感、電気機器等への障害等を防止することができ、しかも優れた意匠をも併せ持つ帯電防止建材を提供する目的でなされたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、建築物の内外装に用いられる合成樹脂製の建材であって、導電性が付与された合成樹脂製の基材の表面に、少なくとも表面部分に帯電防止処理が施された合成樹脂製の表装材が貼着されてなり、少なくとも施工状態において、前記基材と前記表装材の表面との間での導通がとられることを特徴とする帯電防止建材である。
【0012】
また本発明は、前記基材が、導電性粉末を混練した合成樹脂からなることを特徴とする帯電防止建材である。
【0013】
また本発明は、前記表装材が、帯電防止剤を含む透明保護樹脂層を表面に有することを特徴とする帯電防止建材である。
【0014】
また本発明は、前記基材の少なくとも一対の相対する側面に嵌合構造部分を有し、施工状態での該嵌合構造部分において、前記基材と前記表装材の表面との間での導通がとられることを特徴とする帯電防止建材である。
【0015】
また本発明は、上記のいずれかの帯電防止建材を用いた施工方法であって、該帯電防止建材を下地材に対し、導電性の固定用部材を用いて固定することにより、下地材と帯電防止建材との間での導通がとられることを特徴とする帯電防止建材の施工構造である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の帯電防止建材は、図1に示す様に、基材1の表面に表装材2が貼着されて構成されたものであり、そのうち基材1は、導電性粉末を混練するなどして、全体に導電性が付与された合成樹脂からなるものであり、一方の表装材2は、合成樹脂からなるものであって、その表面に帯電防止剤を含む透明保護樹脂層21を形成するなどして、少なくとも表面部分に帯電防止処理が施されてなるものである。
【0017】
基材1を構成する合成樹脂の種類は、本発明において特に限定されるものではなく、熱硬化性樹脂であってもよいが、成形性や加工性、リサイクル適性等を考慮すると、熱可塑性樹脂を用いることが望ましい。具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン、ABS等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂などを挙げることができる。これらの中でも、安価で汎用性に富み、リサイクル利用が容易なオレフィン系樹脂が最も望ましい。
【0018】
基材1を構成する合成樹脂に導電性を付与する方法としては、導電性粉末を混練する方法や、導電性高分子を単独で若しくは通常の電気絶縁性合成樹脂と混合して用いる方法、或いは両者の併用等が考えられる。後者の導電性高分子としては、例えばポリアセチレン等の様に分子全体に亘るπ電子系を有する高分子や、側鎖に4級アンモニウム塩基及びカルボキシル基を導入した高分子などが知られているが、現在のところ、建材のような構造材料としてはあまり一般的ではない。従って一般的には、通常の電気絶縁性合成樹脂に導電性粉末を混練する方法が採用される。
【0019】
上記導電性粉末としては、例えばカーボンブラック、炭素繊維の細断片、金属フレーク(金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉、ニッケル粉、真鍮粉等)、導電性金属酸化物粉末(酸化錫粉末、酸化亜鉛粉末、酸化インジウム粉末、酸化アンチモン粉末、アンチモンドープ酸化錫粉末、燐ドープ酸化錫粉末、錫ドープ酸化インジウム粉末、アルミニウムドープ酸化亜鉛粉末、インジウムドープ酸化亜鉛粉末等)、導電性ウィスカー(グラファイトウィスカー、炭化珪素ウィスカー、炭化チタンウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、酸化錫ウィスカー、酸化錫被覆酸化チタンウィスカー、炭化チタン被覆酸化チタンウィスカー、カーボン被覆チタン酸カリウムウイスカー、銅被覆チタン酸カリウムウイスカー、ニツケル被覆チタン酸カリウムウイスカー等)等を、それぞれ単独で又は任意に混合して使用することができる。
【0020】
基材1には、必要に応じて、例えば着色剤、充填剤、滑剤等の添加剤を適宜添加してもよい。特に充填剤の配合は、基材1の表面硬度や剛性を高め、熱膨張係数を低減するために有効である。この充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、タルク、クレー、ガラスビーズ、ガラス繊維等の無機系充填剤や、木粉、紙粉、竹粉、籾殻粉等の有機系充填剤などを任意に用いることができる。中でも特に、木粉を少なくとも配合すると、木材と近似した外観や、鋸挽きや錐による穴開け、釘打ち、木ネジ止め、木材用接着剤による接着性等の加工性が得られるので、最も望ましい。
【0021】
表装材2を構成する合成樹脂についても、基材1の場合と同様であり、本発明において特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂、特にオレフィン系樹脂を用いることが望ましい。基材1と表装材2とを同系の熱可塑性樹脂から構成すれば、施工時に発生する端材や、建築物の解体時や改装(リフォーム)時に発生する廃材などの処理にあたり、基材1と表装材2とを分離する必要なく、そのまま粉砕して基材1の成形用材料として再利用することができる利点がある。
【0022】
表装材2を基材1上に積層する方法は、本発明において特に制限されるものではなく、一般的なドライラミネート法又はウェットラミネート法、熱ラミネート法や、異形押出成形法又は射出成形法等による基材1の成形と同時に表装材2を積層する成形同時ラミネート法などから、各材質等に応じて任意に選定すればよい。基材1の成形後に表装材2を積層する場合には、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を用いたホットメルトラミネート法などが、生産性及び接着特性に優れ好適である。なお、必要に応じて、積層に用いる接着剤中に帯電防止剤を添加して帯電防止処理を施しても良い。
【0023】
表装材2は、その全体に帯電防止剤の添加等により帯電防止処理が施されていても勿論構わないが、表装材2の裏面側の部分に施された帯電防止処理は、表装材2の表面における帯電防止効果への寄与が少ないので、表装材2の少なくとも表面部分に帯電防止処理を施せば、十分な効果が得られる場合が多い。例えば、表装材2は一般に、熱可塑性樹脂からなる基体層21上に透明保護樹脂層22が設けられた構成とされる場合が多いので、この様な場合には、基体層21には帯電防止処理を施さずに、透明保護樹脂層22のみに帯電防止処理を施してもよい。
【0024】
但し、透明保護樹脂層22は通例、数μm乃至数十μm程度の薄層であるので、この層だけに帯電防止処理を施したのであっては、十分な帯電防止効果が得られなかったり、経時により透明保護樹脂層22が摩耗し、又は透明保護樹脂層22中の帯電防止剤がブリードにより失われて、帯電防止効果が永続しなかったりする場合もある。
【0025】
この様な場合には、基体層21にも帯電防止剤を添加する等して帯電防止処理を施しておくとよい。その際、基体層21の全体に帯電防止処理を施す必要は必ずしもなく、例えば、基体層21が複数層からなる場合には、その表面側の一部の層のみに帯電防止処理を施しておくことによって、帯電防止剤等の消費量を節約しつつ、十分な帯電防止効果を得ることができる。
【0026】
図2に示したのはその例であり、この表装材2における基体層21は、裏面側から順に、透明又は着色の熱可塑性樹脂からなる基材シート211と、絵柄層212と、透明な熱可塑性樹脂からなる表面シート213との3層によって構成され、該表面シート213上に透明保護樹脂層22が形成されている。そして、透明保護樹脂層22に帯電防止剤が添加されて帯電防止処理が施されると共に、基体層21中の表面シート213にも帯電防止剤が添加されて帯電防止処理が施されているものである。
【0027】
なお、透明保護樹脂層22が十分に薄層であり、これに特に帯電防止処理を施さなくても実質的に導電性の妨げとならない場合には、基体層21の少なくとも表面部分、例えば表面シート213、に帯電防止処理を施すことにより、透明保護樹脂層22の帯電防止処理を省略しても、本発明の目的を達成することが可能な場合もある。或いは、帯電防止剤の添加による透明保護樹脂層22の表面物性低下の影響を抑えるために、透明保護樹脂層22を、帯電防止処理が施された下層と、帯電防止処理を省略した上層との2層から構成するといった応用も可能である。これらの構成も、表面の近傍に存在する帯電防止処理が施された層による帯電防止効果が実質的に表面に及んでいるという意味で、本発明でいう表装材2の表面部分に帯電防止処理が施されたことの範疇に属するものである。
【0028】
この表装材2の帯電防止処理に用いる帯電防止剤としては、意匠性の観点から、合成樹脂中に混練しても透明性を妨げないものを用いることが望ましい。この様な帯電防止剤としては、導電性金属酸化物粉末(酸化錫粉末、酸化亜鉛粉末、酸化インジウム粉末、酸化アンチモン粉末、アンチモンドープ酸化錫粉末、燐ドープ酸化錫粉末、錫ドープ酸化インジウム粉末、アルミニウムドープ酸化亜鉛粉末、インジウムドープ酸化亜鉛粉末等)や、界面活性剤型帯電防止剤(カチオン系、アニオン系、両イオン系、ノニオン系等)などが代表的なものである。
【0029】
導電性金属酸化物粉末は、非水溶性固体であるので、耐久性が高い長所があるが、合成樹脂とは屈折率がかなり異なる固体粒子であるので、帯電防止効果の向上のためにあまり大量に添加すると、透明度を低下させる短所がある。これに対し、界面活性剤型帯電防止剤は低分子有機化合物であり、合成樹脂中に分子状で分散するため、透明度の点では有利であるが、表面にブリードした界面活性剤型帯電防止剤が空気中の湿気を吸着して形成した薄い水膜が電気を流す原理によるものであるため、本質的に表面にブリードし易く、こうしてブリードしたものは水洗や拭き取り等により失われ易いので、帯電防止効果の永続性の面ではやや難点がある。
【0030】
透明度に優れた界面活性剤型帯電防止剤を使用しつつ、帯電防止効果の持続性を高めるには、図2に示した様に、帯電防止剤を透明保護樹脂層22のみならず、基体シート21の表面側の部分、すなわち表面シート213にも添加しておくとよい。こうすれば、透明保護樹脂層22中に添加されていた帯電防止剤がブリードにより失われても、表面シート213中の帯電防止剤が透明保護樹脂層22中へ拡散してゆくことにより補われるからである。
【0031】
この効果を有効に発現させる為には、帯電防止剤を継続的に透明保護樹脂層22へと拡散させる必要から、表面シート213としてはガラス転移温度の低い疎水性の樹脂を用いることが望ましく、この観点からは、ガラス転移温度が室温以下であり、しかも極性基を含まず疎水性の強い、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂を用いることが有利である。さらに、樹脂の結晶化度が低い方が帯電防止剤が拡散し易く有利であり、従って、帯電防止剤を添加した樹脂を未延伸フィルムの形で基材シート211と貼り合わせるか、若しくは溶融状態で基材シート211上に直接押出ラミネートすることが望ましい。
【0032】
上記の様に、帯電防止剤を定常的に表面にブリードさせて帯電防止効果を持続する機構によると、表装材2の内部に帯電防止剤が残っている内は良いが、いずれ枯渇すれば帯電防止効果は当然失われるので、半永久的とまでは言えない。そこで、半永久的な帯電防止効果を実現するために、表面からの溶出等により失われることのない、高分子型帯電防止剤を使用することもできる。
【0033】
この高分子型帯電防止剤は、帯電防止効果を発現する官能基が側鎖に導入された高分子化合物からなるものであり、例えば、第4級アンモニウム塩基及びカルボキシル基を側鎖に有する共重合体や、エチレングリコール共重合体、極性官能基含有アルキレンオキシドポリマーの金属錯体など、各種のものが知られている。
【0034】
それらの中でも最も代表的な、第4級アンモニウム塩基及びカルボキシル基を側鎖に有する共重合体としては、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの4級化物(対イオンとしてのハライド、サルフェート等のアニオンを含む)などの分子中に第4級アンモニウム塩基を有する単量体と、例えば(メタ)アクリル酸、フタル酸等の分子中にカルボキシル基を有する単量体と、必要に応じてその他の、例えば(メタ)アクリル酸エステルやビニルエステル、スチレン等の、共重合可能な単量体とを共重合させて得られるものである。
【0035】
これはそのまま高分子型帯電防止剤として各種の合成樹脂に添加されて用いられるほか、例えばグリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤を用いて、例えば2−メチルイミダゾール、ポリアミン等のエポキシ基開環反応触媒の存在下でエポキシ架橋させる反応を利用した、反応硬化型樹脂としても用いられる。
【0036】
さらに、一般の反応硬化型樹脂の帯電防止処理にあたっては、該反応硬化型樹脂の硬化反応時に分子鎖中に取り込まれる反応型帯電防止剤を添加しておくことによって、樹脂の反応硬化と同時に、帯電防止効果を発現する官能基を側鎖に導入することも可能である。
【0037】
この種のものとしては、(メタ)アクリレート系電離放射線硬化型樹脂組成物に、例えば2−メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等の反応型帯電防止剤(界面活性剤)を添加して硬化させたものや、ポリオールとイソシアネートとの配合物からなる2液硬化型ウレタン系樹脂組成物に、帯電防止性能を有し、かつ2つ以上の官能基を有するイソシアネート化合物と反応する反応基を有する界面活性剤を添加して硬化させたものなどを挙げることができる。
【0038】
透明保護樹脂層22や表面シート23に対する帯電防止剤の添加量は、帯電防止剤の種類や所望される帯電防止効果の程度などに応じて適宜設計すべきもので、本発明において特に限定されるものではないが、一般的には、表面抵抗値が1.0×106〜1.0×1013Ω/□程度になるように調整され、通常の界面活性剤型帯電防止剤などでは通例、0.01〜30重量%程度、さらに望ましくは0.5〜10重量%程度の範囲で設計される。
【0039】
本発明における帯電防止処理としては、上述した様に樹脂に帯電防止剤を添加する方法のほか、界面活性剤などからなる帯電防止剤が添加されたワックスなどを表面に塗布する方法や、表面の化学処理により帯電防止性の官能基を導入する方法などを採用することもできる。但し、前者は効果の持続性に難点があり、後者は生産性や経済性、得られる帯電防止効果の程度などに難点がある。
【0040】
本発明の帯電防止建材により十分な帯電防止効果を発現するためには、表装材2の全体に帯電防止処理が施されている場合を除けば、表装材2の表面に発生した静電気を、基材1を通じて下地材等に容易に逃がすことができる様に、表装材2の表面(図1や図2に示される如く、帯電防止処理が施された透明保護樹脂層22を有するものにおいては、透明保護樹脂層22)と基材1との間の導通を確保する必要がある。
【0041】
その為には、例えば図3に示す様に、表装材2の一部に折り返し部23を設けて、裏側に折り返された箇所の表装材2の表面を基材1と接触させる方法や、或いは、図4に示す様に、表装材2の表面から基材1に向けて、金属製ビス等の導電性の材質からなる留具4を打ち込む方法などを採用してもよい。
【0042】
しかし、この種の建材は一般に、側面に設けられた雄雌実又は相欠き接ぎ等の嵌合構造部分3を介して、多数を相互に連結して施工されるものであるので、施工前の個々の帯電防止建材においては表装材2と基材1との導通がとられていなくても、施工された状態において導通がとられる構造とされていれば、本発明の目的は十分に達成することができる。
【0043】
図5に示したのがその一例であり、表装材2の表面と基材1との導通がとられていない、図1に示した帯電防止建材を、嵌合構造部分3を介して相互に連結した際に、連結された双方の帯電防止建材の表面の透明保護樹脂層22同士が、側面部分で相互に接触することにより導通がとられるとともに、図5の紙面に向かって右側の帯電防止建材の透明保護樹脂層22と左側の帯電防止建材の基材1とが、基材と表装材との導通部61において相互に接触することにより導通がとられ、さらに、左右の帯電防止建材の基材1同士が、基材同士の導通部62において相互に接触することにより導通がとられる。この様にして、連結された帯電防止建材の表装材2の表面及び基材1の全てに導通がとられた状態、すなわち、施工面全面が電気的に接続されて帯電防止性が付与された状態となる。
【0044】
そして、この様に相互に連結された本発明の帯電防止建材は、その裏面の基材1面を下地材5に接触させて施工されることにより、基材1と下地材5との間の導通がとられ、その結果、帯電防止建材の表面である透明保護樹脂層22から下地材5に至る導通経路が形成される。この下地材5は一般に、地面との間で接地がとられているものである。
【0045】
なお、下地材5は、金属製のパネルやスタッド材等は勿論のこと、導電性金属である鉄筋を内蔵したコンクリートパネルや、大気中の水分の吸着により導電性を示す木材等であれば、一般的には、そのままの状態でも静電気を逃がすには十分な導電性を有しているので問題はないが、下地材5の導電性が不十分である場合には、その表面に導電性シートや導電性塗料、金網等の導電体を設置した上で本発明の帯電防止建材を施工すると共に、該導電体の接地をとることにより、十分な帯電防止効果を発現することができる。
【0046】
本発明の帯電防止建材が床材である場合、音鳴りの防止や不陸の吸収、歩行感を向上させるためのクッション性の付与などの目的で、その下地材5との接地面に、例えば不織布等の繊維質シートや発泡合成樹脂シート等のクッション材7が設けられる場合が多い。
【0047】
この場合、例えば導電性繊維混抄不織布や導電性ゴム等の様に、導電性を有するクッション材7を使用する場合は特に問題はないが、通常の合成繊維不織布や発泡ポリエチレンシート等の様に、電気絶縁性のクッション材7を使用する場合には、基材1の任意の箇所において接地をとるか、若しくは、図6に示す様に、金属製のステープルや釘、ボルト等の導電性の固定用部材8を用いて、帯電防止建材を下地材5上に固定することにより、基材1と下地材5との導通をとるとよい。
【0048】
特に、本発明の帯電防止建材の側面の嵌合構造部分において、施工後に表面に露出しない部分における表装材2の表面から、基材1を貫通して下地材5に達する様に、導電性の固定用部材8を打ち込んで固定すると、この固定用部材8を介して、帯電防止処理が施された表装材2の表面(透明保護樹脂層)と下地材5との間に直接導通がとられることにより、帯電防止建材の表面に発生した電荷を効率良く下地材5に逃がし、極めて良好な帯電防止効果を得ることができる。
【0049】
【実施例】
実施例1
ホモポリプロピレン樹脂90重量部、マレイン酸変性ポリプロピレン10重量部に、木質系充填剤(木粉)40重量部、カーボンブラックを主体とする帯電防止剤10重量部を添加し、2軸押出混練機によって混合、ペレット化して、導電性木質樹脂組成物を作製した。この導電性木質樹脂組成物を使用して、異形押出成形法にて、断面が10mm×150mmであり、側面に図1に示す様な嵌合構造部分を持った床材形状に成形し、導電性が付与された木質樹脂組成物からなる基材を得た。
【0050】
一方、着色ポリプロピレン系樹脂フィルムの表面に、グラビア印刷法により木目の意匠を施し、その上に、第4級アンモニウム塩基含有共重合体を主成分とする高分子型帯電防止剤を10重量%添加した透明なポリプロピレン系樹脂層を10μm厚と、未添加の透明なポリプロピレン系樹脂を60μm厚とを、共押出しラミネートし、さらに、アンチモンドープ酸化錫粉末を7重量%添加したアクリルウレタン系樹脂を、乾燥後の厚み5μmに塗工して透明保護樹脂層を形成して、表装材を得た。
【0051】
上記基材の表面に、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を介して、上記表装材を、図1に示す形にラッピング法により貼着して、本発明の帯電防止建材を得た。
【0052】
実施例2
上記実施例1において、基材作製用の導電性木質樹脂組成物の配合を、ホモポリプロピレン樹脂90重量部、マレイン酸変性ポリプロピレン10重量部、木質系充填剤(木粉)30重量部、エチレングリコール共重合体を主体とする帯電防止添加剤5重量部に変更し、その他は上記実施例1と同様にして、本発明の帯電防止建材を得た。
【0053】
実施例3
上記実施例1において、表装材の透明保護樹脂層をシリコーン変性アクリルウレタン系樹脂(東洋インキ製造株式会社製 フルシェード)に変更し、その他は上記実施例1と同様にして、本発明の帯電防止建材を得た。
【0054】
比較例1
上記実施例1において、基材にも表装材にも帯電防止剤を全く添加せず、その他は上記実施例1と同様にして建材を得た。
【0055】
比較例2
上記実施例1において、表装材への停電防止剤の添加を省略し、その他は上記実施例1と同様にして建材を得た。
【0056】
参照例1
厚さ10mmの合板の表面に、厚さ0.3mmの天然木突板を貼着し、側面に実加工を施し、表面に紫外線硬化型樹脂による塗装を施して建材を得た。
【0057】
評価
上記実施例1〜3の帯電防止建材と、比較例1〜2及び参照例1の建材について、表面抵抗率(JIS K 6911(熱硬化性プラスチックの一般試験方法)による、単位[Ω/□])、耐酸性、耐アルカリ性、耐シンナー性、2類浸漬試験(以上、JAS特殊合板規格による)及び意匠感(目視官能評価)を実施したところ、結果は下表の通りであった。
【0058】
【0059】
なお、表面抵抗率の評価の目安は一般に、109Ω/□以下は帯電しない、1010〜1012Ω/□は帯電するがすぐ減衰、1012〜1013Ω/□は帯電する、1013Ω/□は正電荷が蓄積する、とされている。上記の結果から、実施例1及び実施例2の帯電防止建材は帯電しない水準にあり、実施例3の帯電防止建材及び参照例1の建材は帯電するがすぐ減衰する水準にあり、比較例1及び比較例2の建材は正電荷が蓄積する水準にあることがわかる。
【0060】
施工試験
上記の各種建材について、基材の裏面にクッション材として厚さ1mmの発泡ポリエチレンシートを積層した後、床下地である鉄筋コンクリートスラブ面に、図6に示す様に金属製ステープルを用いて固定しつつ施工したところ、比較例1及び比較例2は表面の帯電により室内空気中の塵埃を吸着して汚れが目立ったのに対し、その他は特に目立った汚れは認められなかった。
【0061】
【発明の効果】
以上詳細に説明したとおり、本発明の帯電防止建材は、表装材の表面部分にカーボンブラックや金属粉等の有色導電性粉末を添加する必要がないため、所望の任意の色彩の高精彩の意匠の付与が可能であり、しかも、帯電防止処理が施された表装材の表面が、導電性が付与された基材を通じて、下地材との間で導通がとられていることにより、摩擦等により表装材の表面で発生した静電気を、基材を通じて速やかに下地材へ逃がすことができ、表面に静電気が蓄積することがないため、静電気による埃の吸着や、人肌への不快な放電、電気製品に対する静電気障害などを、効果的に防止することができるという、実用上の優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の帯電防止建材の一例を示す模式断面図。
【図2】本発明の帯電防止建材における表装材の一例を示す模式断面図。
【図3】本発明の帯電防止建材の一例を示す部分模式断面図。
【図4】本発明の帯電防止建材の一例を示す部分模式断面図。
【図5】本発明の帯電防止建材の施工構造の一例を示す模式断面図。
【図6】本発明の帯電防止建材の施工構造の一例を示す模式断面図。
【符号の説明】
1 基材
2 表装材
21 基体層
211 基材シート
212 絵柄層
213 表面シート
22 透明保護樹脂層
23 折り返し部
3,3′ 嵌合構造部分
4 留具
5 下地材
61 基材と表装材との導通部
62 基材同士の導通部
7 クッション材
8 固定用部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の建築物における床面、内壁面、外壁面、天井面等に用いる内外装用の合成樹脂製の建材であって、静電気による埃の吸着や、人や電気製品に対する不快な放電を防止することのできる帯電防止建材と、その施工方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
住宅等の建築物における床材や内壁材、外壁材、天井材等としては、かつては単板や合板等の木材を用いたものが主流であった。しかし近年になって、木材はリサイクル利用が難しく、その濫用は自然破壊につながり易いことが問題視される様になっていることと共に、文化水準が向上するにつれて、木材では加工が困難な複雑な形状や意匠が求められる様になっていることから、木材よりも加工やリサイクル利用が容易な、合成樹脂製の建材が広くもちいられる様になっており、その建材全体に占める割合は益々増加の傾向にある。
【0003】
上記合成樹脂製の建材に用いられる合成樹脂としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体(ABS)、ポリオレフィン(PO)等が代表的なものである。これらの合成樹脂は、木材と比較して、例えば鋸挽きや錐による穴開け等の加工性が劣ることから、木材を細かく粉砕した木粉等を充填して、木材と同等の加工性を持たせたり、外観が単調で意匠性に劣ることから、木目模様を印刷した合成樹脂フィルムで被覆したりすることによって、従来の木製の建材と同等の使い勝手を付与する工夫もなされている(特許文献1)。
【0004】
ところで、木材等と比較して合成樹脂は一般に、電気絶縁抵抗が極めて高く、摩擦などにより発生した静電気がいつまでも蓄積し、空気中の埃や汚れの吸着を招く欠点がある。また、特に冬場などの湿度の低い季節には、これに触れる人の皮膚との間での放電現象による電撃などの不快感をもたらしたり、室内で使用されているパーソナルコンピュータ等の電子機器に誤作動やデータ破壊などの致命的な静電気障害をもたらしたりする場合があること等の問題も指摘されている。その中でも特に室内の床面に関しては、人や物の移動に伴い摩擦が発生し易く、その上、人が常時直接接触している部材であるため、そこに使用する合成樹脂製建材(床材)の帯電防止対策は急務となっている。
【0005】
こうした問題の対策として、導電性糸を含む織物などの導電性部材を裏面に設けたプラスチック製床材(特許文献2)や、プラスチックタイル等の非導電性床仕上げ材を金属等の導電性パネル材の上に施工した帯電防止構造(特許文献3)などの提案がある。しかしこれらは、導電性材料を全く使用しない場合と比較すれば、確かに効果が認められるかも知れないが、床面と導電性材料との間が合成樹脂製床材によって絶縁されているので、合成樹脂製床材の表面に蓄積した静電気を完全に除去することは困難である。
【0006】
合成樹脂製床材の本体を構成する合成樹脂に、界面活性剤等からなる帯電防止剤を配合したものに関する提案もある(特許文献4、5)。しかし、界面活性剤等の帯電防止剤は一般に、その界面活性効果によって表面に空気中の水分(湿気)を吸着し、こうして出来た吸着水の層を通じて静電気を面内方向に逃がすものであって、床材の表面に蓄積した静電気を床材の内部を経て下地材に逃がすものではないので、その帯電防止効果には自ずと限界がある。
【0007】
そこで、合成樹脂中に例えばカーボンブラック粉末や黒鉛質炭素繊維等の導電性粉末を混練することにより、床材全体に導電性を持たせた合成樹脂製床材の提案もある(特許文献6)。しかし、導電性粉末は一般に黒色又は金属色等の有色であるので、一般住宅等における使用は意匠的に望ましくない。特許文献6に記載のものは、表層部分を導電性粉末を含む部分と含まない部分とのモザイク状にすることにより、結晶質石材に近似した外観を持たせているが、こうした手法にしても、表現可能な意匠は極めて限られる。しかも、床材の表面に存在する導電性粉末が摩耗により飛散し、粉塵汚染や絶縁障害等の原因ともなり得るという問題もある。
【0008】
こうした意匠面や摩耗の問題に配慮して、導電性粉末を配合した合成樹脂製の基材の表面を、木目模様を印刷した合成樹脂フィルム等の表装材で被覆することも考えられる。しかしこれでは、基材に導電性が付与されていても、その表面が電気絶縁体で被覆されるために、表面に蓄積した静電気を基材に逃がすことが出来ず、帯電防止性が著しく低下してしまうという問題がある。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−120347号公報
【特許文献2】
特開平6−66014号公報
【特許文献3】
特開平10−72934号公報
【特許文献4】
特表平11−512470号公報
【特許文献5】
特開2001−146833号公報
【特許文献6】
実願平4−3053号(実開平5−61342号)のCD−ROM
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記のような問題点に鑑み、摩擦等により発生した静電気を表面に蓄積させることなく、速やかに下地材へ逃がすことができ、静電気による埃の吸着や、人の肌との間での放電による不快感、電気機器等への障害等を防止することができ、しかも優れた意匠をも併せ持つ帯電防止建材を提供する目的でなされたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、建築物の内外装に用いられる合成樹脂製の建材であって、導電性が付与された合成樹脂製の基材の表面に、少なくとも表面部分に帯電防止処理が施された合成樹脂製の表装材が貼着されてなり、少なくとも施工状態において、前記基材と前記表装材の表面との間での導通がとられることを特徴とする帯電防止建材である。
【0012】
また本発明は、前記基材が、導電性粉末を混練した合成樹脂からなることを特徴とする帯電防止建材である。
【0013】
また本発明は、前記表装材が、帯電防止剤を含む透明保護樹脂層を表面に有することを特徴とする帯電防止建材である。
【0014】
また本発明は、前記基材の少なくとも一対の相対する側面に嵌合構造部分を有し、施工状態での該嵌合構造部分において、前記基材と前記表装材の表面との間での導通がとられることを特徴とする帯電防止建材である。
【0015】
また本発明は、上記のいずれかの帯電防止建材を用いた施工方法であって、該帯電防止建材を下地材に対し、導電性の固定用部材を用いて固定することにより、下地材と帯電防止建材との間での導通がとられることを特徴とする帯電防止建材の施工構造である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の帯電防止建材は、図1に示す様に、基材1の表面に表装材2が貼着されて構成されたものであり、そのうち基材1は、導電性粉末を混練するなどして、全体に導電性が付与された合成樹脂からなるものであり、一方の表装材2は、合成樹脂からなるものであって、その表面に帯電防止剤を含む透明保護樹脂層21を形成するなどして、少なくとも表面部分に帯電防止処理が施されてなるものである。
【0017】
基材1を構成する合成樹脂の種類は、本発明において特に限定されるものではなく、熱硬化性樹脂であってもよいが、成形性や加工性、リサイクル適性等を考慮すると、熱可塑性樹脂を用いることが望ましい。具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン、ABS等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂などを挙げることができる。これらの中でも、安価で汎用性に富み、リサイクル利用が容易なオレフィン系樹脂が最も望ましい。
【0018】
基材1を構成する合成樹脂に導電性を付与する方法としては、導電性粉末を混練する方法や、導電性高分子を単独で若しくは通常の電気絶縁性合成樹脂と混合して用いる方法、或いは両者の併用等が考えられる。後者の導電性高分子としては、例えばポリアセチレン等の様に分子全体に亘るπ電子系を有する高分子や、側鎖に4級アンモニウム塩基及びカルボキシル基を導入した高分子などが知られているが、現在のところ、建材のような構造材料としてはあまり一般的ではない。従って一般的には、通常の電気絶縁性合成樹脂に導電性粉末を混練する方法が採用される。
【0019】
上記導電性粉末としては、例えばカーボンブラック、炭素繊維の細断片、金属フレーク(金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉、ニッケル粉、真鍮粉等)、導電性金属酸化物粉末(酸化錫粉末、酸化亜鉛粉末、酸化インジウム粉末、酸化アンチモン粉末、アンチモンドープ酸化錫粉末、燐ドープ酸化錫粉末、錫ドープ酸化インジウム粉末、アルミニウムドープ酸化亜鉛粉末、インジウムドープ酸化亜鉛粉末等)、導電性ウィスカー(グラファイトウィスカー、炭化珪素ウィスカー、炭化チタンウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、酸化錫ウィスカー、酸化錫被覆酸化チタンウィスカー、炭化チタン被覆酸化チタンウィスカー、カーボン被覆チタン酸カリウムウイスカー、銅被覆チタン酸カリウムウイスカー、ニツケル被覆チタン酸カリウムウイスカー等)等を、それぞれ単独で又は任意に混合して使用することができる。
【0020】
基材1には、必要に応じて、例えば着色剤、充填剤、滑剤等の添加剤を適宜添加してもよい。特に充填剤の配合は、基材1の表面硬度や剛性を高め、熱膨張係数を低減するために有効である。この充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、タルク、クレー、ガラスビーズ、ガラス繊維等の無機系充填剤や、木粉、紙粉、竹粉、籾殻粉等の有機系充填剤などを任意に用いることができる。中でも特に、木粉を少なくとも配合すると、木材と近似した外観や、鋸挽きや錐による穴開け、釘打ち、木ネジ止め、木材用接着剤による接着性等の加工性が得られるので、最も望ましい。
【0021】
表装材2を構成する合成樹脂についても、基材1の場合と同様であり、本発明において特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂、特にオレフィン系樹脂を用いることが望ましい。基材1と表装材2とを同系の熱可塑性樹脂から構成すれば、施工時に発生する端材や、建築物の解体時や改装(リフォーム)時に発生する廃材などの処理にあたり、基材1と表装材2とを分離する必要なく、そのまま粉砕して基材1の成形用材料として再利用することができる利点がある。
【0022】
表装材2を基材1上に積層する方法は、本発明において特に制限されるものではなく、一般的なドライラミネート法又はウェットラミネート法、熱ラミネート法や、異形押出成形法又は射出成形法等による基材1の成形と同時に表装材2を積層する成形同時ラミネート法などから、各材質等に応じて任意に選定すればよい。基材1の成形後に表装材2を積層する場合には、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を用いたホットメルトラミネート法などが、生産性及び接着特性に優れ好適である。なお、必要に応じて、積層に用いる接着剤中に帯電防止剤を添加して帯電防止処理を施しても良い。
【0023】
表装材2は、その全体に帯電防止剤の添加等により帯電防止処理が施されていても勿論構わないが、表装材2の裏面側の部分に施された帯電防止処理は、表装材2の表面における帯電防止効果への寄与が少ないので、表装材2の少なくとも表面部分に帯電防止処理を施せば、十分な効果が得られる場合が多い。例えば、表装材2は一般に、熱可塑性樹脂からなる基体層21上に透明保護樹脂層22が設けられた構成とされる場合が多いので、この様な場合には、基体層21には帯電防止処理を施さずに、透明保護樹脂層22のみに帯電防止処理を施してもよい。
【0024】
但し、透明保護樹脂層22は通例、数μm乃至数十μm程度の薄層であるので、この層だけに帯電防止処理を施したのであっては、十分な帯電防止効果が得られなかったり、経時により透明保護樹脂層22が摩耗し、又は透明保護樹脂層22中の帯電防止剤がブリードにより失われて、帯電防止効果が永続しなかったりする場合もある。
【0025】
この様な場合には、基体層21にも帯電防止剤を添加する等して帯電防止処理を施しておくとよい。その際、基体層21の全体に帯電防止処理を施す必要は必ずしもなく、例えば、基体層21が複数層からなる場合には、その表面側の一部の層のみに帯電防止処理を施しておくことによって、帯電防止剤等の消費量を節約しつつ、十分な帯電防止効果を得ることができる。
【0026】
図2に示したのはその例であり、この表装材2における基体層21は、裏面側から順に、透明又は着色の熱可塑性樹脂からなる基材シート211と、絵柄層212と、透明な熱可塑性樹脂からなる表面シート213との3層によって構成され、該表面シート213上に透明保護樹脂層22が形成されている。そして、透明保護樹脂層22に帯電防止剤が添加されて帯電防止処理が施されると共に、基体層21中の表面シート213にも帯電防止剤が添加されて帯電防止処理が施されているものである。
【0027】
なお、透明保護樹脂層22が十分に薄層であり、これに特に帯電防止処理を施さなくても実質的に導電性の妨げとならない場合には、基体層21の少なくとも表面部分、例えば表面シート213、に帯電防止処理を施すことにより、透明保護樹脂層22の帯電防止処理を省略しても、本発明の目的を達成することが可能な場合もある。或いは、帯電防止剤の添加による透明保護樹脂層22の表面物性低下の影響を抑えるために、透明保護樹脂層22を、帯電防止処理が施された下層と、帯電防止処理を省略した上層との2層から構成するといった応用も可能である。これらの構成も、表面の近傍に存在する帯電防止処理が施された層による帯電防止効果が実質的に表面に及んでいるという意味で、本発明でいう表装材2の表面部分に帯電防止処理が施されたことの範疇に属するものである。
【0028】
この表装材2の帯電防止処理に用いる帯電防止剤としては、意匠性の観点から、合成樹脂中に混練しても透明性を妨げないものを用いることが望ましい。この様な帯電防止剤としては、導電性金属酸化物粉末(酸化錫粉末、酸化亜鉛粉末、酸化インジウム粉末、酸化アンチモン粉末、アンチモンドープ酸化錫粉末、燐ドープ酸化錫粉末、錫ドープ酸化インジウム粉末、アルミニウムドープ酸化亜鉛粉末、インジウムドープ酸化亜鉛粉末等)や、界面活性剤型帯電防止剤(カチオン系、アニオン系、両イオン系、ノニオン系等)などが代表的なものである。
【0029】
導電性金属酸化物粉末は、非水溶性固体であるので、耐久性が高い長所があるが、合成樹脂とは屈折率がかなり異なる固体粒子であるので、帯電防止効果の向上のためにあまり大量に添加すると、透明度を低下させる短所がある。これに対し、界面活性剤型帯電防止剤は低分子有機化合物であり、合成樹脂中に分子状で分散するため、透明度の点では有利であるが、表面にブリードした界面活性剤型帯電防止剤が空気中の湿気を吸着して形成した薄い水膜が電気を流す原理によるものであるため、本質的に表面にブリードし易く、こうしてブリードしたものは水洗や拭き取り等により失われ易いので、帯電防止効果の永続性の面ではやや難点がある。
【0030】
透明度に優れた界面活性剤型帯電防止剤を使用しつつ、帯電防止効果の持続性を高めるには、図2に示した様に、帯電防止剤を透明保護樹脂層22のみならず、基体シート21の表面側の部分、すなわち表面シート213にも添加しておくとよい。こうすれば、透明保護樹脂層22中に添加されていた帯電防止剤がブリードにより失われても、表面シート213中の帯電防止剤が透明保護樹脂層22中へ拡散してゆくことにより補われるからである。
【0031】
この効果を有効に発現させる為には、帯電防止剤を継続的に透明保護樹脂層22へと拡散させる必要から、表面シート213としてはガラス転移温度の低い疎水性の樹脂を用いることが望ましく、この観点からは、ガラス転移温度が室温以下であり、しかも極性基を含まず疎水性の強い、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂を用いることが有利である。さらに、樹脂の結晶化度が低い方が帯電防止剤が拡散し易く有利であり、従って、帯電防止剤を添加した樹脂を未延伸フィルムの形で基材シート211と貼り合わせるか、若しくは溶融状態で基材シート211上に直接押出ラミネートすることが望ましい。
【0032】
上記の様に、帯電防止剤を定常的に表面にブリードさせて帯電防止効果を持続する機構によると、表装材2の内部に帯電防止剤が残っている内は良いが、いずれ枯渇すれば帯電防止効果は当然失われるので、半永久的とまでは言えない。そこで、半永久的な帯電防止効果を実現するために、表面からの溶出等により失われることのない、高分子型帯電防止剤を使用することもできる。
【0033】
この高分子型帯電防止剤は、帯電防止効果を発現する官能基が側鎖に導入された高分子化合物からなるものであり、例えば、第4級アンモニウム塩基及びカルボキシル基を側鎖に有する共重合体や、エチレングリコール共重合体、極性官能基含有アルキレンオキシドポリマーの金属錯体など、各種のものが知られている。
【0034】
それらの中でも最も代表的な、第4級アンモニウム塩基及びカルボキシル基を側鎖に有する共重合体としては、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの4級化物(対イオンとしてのハライド、サルフェート等のアニオンを含む)などの分子中に第4級アンモニウム塩基を有する単量体と、例えば(メタ)アクリル酸、フタル酸等の分子中にカルボキシル基を有する単量体と、必要に応じてその他の、例えば(メタ)アクリル酸エステルやビニルエステル、スチレン等の、共重合可能な単量体とを共重合させて得られるものである。
【0035】
これはそのまま高分子型帯電防止剤として各種の合成樹脂に添加されて用いられるほか、例えばグリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤を用いて、例えば2−メチルイミダゾール、ポリアミン等のエポキシ基開環反応触媒の存在下でエポキシ架橋させる反応を利用した、反応硬化型樹脂としても用いられる。
【0036】
さらに、一般の反応硬化型樹脂の帯電防止処理にあたっては、該反応硬化型樹脂の硬化反応時に分子鎖中に取り込まれる反応型帯電防止剤を添加しておくことによって、樹脂の反応硬化と同時に、帯電防止効果を発現する官能基を側鎖に導入することも可能である。
【0037】
この種のものとしては、(メタ)アクリレート系電離放射線硬化型樹脂組成物に、例えば2−メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等の反応型帯電防止剤(界面活性剤)を添加して硬化させたものや、ポリオールとイソシアネートとの配合物からなる2液硬化型ウレタン系樹脂組成物に、帯電防止性能を有し、かつ2つ以上の官能基を有するイソシアネート化合物と反応する反応基を有する界面活性剤を添加して硬化させたものなどを挙げることができる。
【0038】
透明保護樹脂層22や表面シート23に対する帯電防止剤の添加量は、帯電防止剤の種類や所望される帯電防止効果の程度などに応じて適宜設計すべきもので、本発明において特に限定されるものではないが、一般的には、表面抵抗値が1.0×106〜1.0×1013Ω/□程度になるように調整され、通常の界面活性剤型帯電防止剤などでは通例、0.01〜30重量%程度、さらに望ましくは0.5〜10重量%程度の範囲で設計される。
【0039】
本発明における帯電防止処理としては、上述した様に樹脂に帯電防止剤を添加する方法のほか、界面活性剤などからなる帯電防止剤が添加されたワックスなどを表面に塗布する方法や、表面の化学処理により帯電防止性の官能基を導入する方法などを採用することもできる。但し、前者は効果の持続性に難点があり、後者は生産性や経済性、得られる帯電防止効果の程度などに難点がある。
【0040】
本発明の帯電防止建材により十分な帯電防止効果を発現するためには、表装材2の全体に帯電防止処理が施されている場合を除けば、表装材2の表面に発生した静電気を、基材1を通じて下地材等に容易に逃がすことができる様に、表装材2の表面(図1や図2に示される如く、帯電防止処理が施された透明保護樹脂層22を有するものにおいては、透明保護樹脂層22)と基材1との間の導通を確保する必要がある。
【0041】
その為には、例えば図3に示す様に、表装材2の一部に折り返し部23を設けて、裏側に折り返された箇所の表装材2の表面を基材1と接触させる方法や、或いは、図4に示す様に、表装材2の表面から基材1に向けて、金属製ビス等の導電性の材質からなる留具4を打ち込む方法などを採用してもよい。
【0042】
しかし、この種の建材は一般に、側面に設けられた雄雌実又は相欠き接ぎ等の嵌合構造部分3を介して、多数を相互に連結して施工されるものであるので、施工前の個々の帯電防止建材においては表装材2と基材1との導通がとられていなくても、施工された状態において導通がとられる構造とされていれば、本発明の目的は十分に達成することができる。
【0043】
図5に示したのがその一例であり、表装材2の表面と基材1との導通がとられていない、図1に示した帯電防止建材を、嵌合構造部分3を介して相互に連結した際に、連結された双方の帯電防止建材の表面の透明保護樹脂層22同士が、側面部分で相互に接触することにより導通がとられるとともに、図5の紙面に向かって右側の帯電防止建材の透明保護樹脂層22と左側の帯電防止建材の基材1とが、基材と表装材との導通部61において相互に接触することにより導通がとられ、さらに、左右の帯電防止建材の基材1同士が、基材同士の導通部62において相互に接触することにより導通がとられる。この様にして、連結された帯電防止建材の表装材2の表面及び基材1の全てに導通がとられた状態、すなわち、施工面全面が電気的に接続されて帯電防止性が付与された状態となる。
【0044】
そして、この様に相互に連結された本発明の帯電防止建材は、その裏面の基材1面を下地材5に接触させて施工されることにより、基材1と下地材5との間の導通がとられ、その結果、帯電防止建材の表面である透明保護樹脂層22から下地材5に至る導通経路が形成される。この下地材5は一般に、地面との間で接地がとられているものである。
【0045】
なお、下地材5は、金属製のパネルやスタッド材等は勿論のこと、導電性金属である鉄筋を内蔵したコンクリートパネルや、大気中の水分の吸着により導電性を示す木材等であれば、一般的には、そのままの状態でも静電気を逃がすには十分な導電性を有しているので問題はないが、下地材5の導電性が不十分である場合には、その表面に導電性シートや導電性塗料、金網等の導電体を設置した上で本発明の帯電防止建材を施工すると共に、該導電体の接地をとることにより、十分な帯電防止効果を発現することができる。
【0046】
本発明の帯電防止建材が床材である場合、音鳴りの防止や不陸の吸収、歩行感を向上させるためのクッション性の付与などの目的で、その下地材5との接地面に、例えば不織布等の繊維質シートや発泡合成樹脂シート等のクッション材7が設けられる場合が多い。
【0047】
この場合、例えば導電性繊維混抄不織布や導電性ゴム等の様に、導電性を有するクッション材7を使用する場合は特に問題はないが、通常の合成繊維不織布や発泡ポリエチレンシート等の様に、電気絶縁性のクッション材7を使用する場合には、基材1の任意の箇所において接地をとるか、若しくは、図6に示す様に、金属製のステープルや釘、ボルト等の導電性の固定用部材8を用いて、帯電防止建材を下地材5上に固定することにより、基材1と下地材5との導通をとるとよい。
【0048】
特に、本発明の帯電防止建材の側面の嵌合構造部分において、施工後に表面に露出しない部分における表装材2の表面から、基材1を貫通して下地材5に達する様に、導電性の固定用部材8を打ち込んで固定すると、この固定用部材8を介して、帯電防止処理が施された表装材2の表面(透明保護樹脂層)と下地材5との間に直接導通がとられることにより、帯電防止建材の表面に発生した電荷を効率良く下地材5に逃がし、極めて良好な帯電防止効果を得ることができる。
【0049】
【実施例】
実施例1
ホモポリプロピレン樹脂90重量部、マレイン酸変性ポリプロピレン10重量部に、木質系充填剤(木粉)40重量部、カーボンブラックを主体とする帯電防止剤10重量部を添加し、2軸押出混練機によって混合、ペレット化して、導電性木質樹脂組成物を作製した。この導電性木質樹脂組成物を使用して、異形押出成形法にて、断面が10mm×150mmであり、側面に図1に示す様な嵌合構造部分を持った床材形状に成形し、導電性が付与された木質樹脂組成物からなる基材を得た。
【0050】
一方、着色ポリプロピレン系樹脂フィルムの表面に、グラビア印刷法により木目の意匠を施し、その上に、第4級アンモニウム塩基含有共重合体を主成分とする高分子型帯電防止剤を10重量%添加した透明なポリプロピレン系樹脂層を10μm厚と、未添加の透明なポリプロピレン系樹脂を60μm厚とを、共押出しラミネートし、さらに、アンチモンドープ酸化錫粉末を7重量%添加したアクリルウレタン系樹脂を、乾燥後の厚み5μmに塗工して透明保護樹脂層を形成して、表装材を得た。
【0051】
上記基材の表面に、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を介して、上記表装材を、図1に示す形にラッピング法により貼着して、本発明の帯電防止建材を得た。
【0052】
実施例2
上記実施例1において、基材作製用の導電性木質樹脂組成物の配合を、ホモポリプロピレン樹脂90重量部、マレイン酸変性ポリプロピレン10重量部、木質系充填剤(木粉)30重量部、エチレングリコール共重合体を主体とする帯電防止添加剤5重量部に変更し、その他は上記実施例1と同様にして、本発明の帯電防止建材を得た。
【0053】
実施例3
上記実施例1において、表装材の透明保護樹脂層をシリコーン変性アクリルウレタン系樹脂(東洋インキ製造株式会社製 フルシェード)に変更し、その他は上記実施例1と同様にして、本発明の帯電防止建材を得た。
【0054】
比較例1
上記実施例1において、基材にも表装材にも帯電防止剤を全く添加せず、その他は上記実施例1と同様にして建材を得た。
【0055】
比較例2
上記実施例1において、表装材への停電防止剤の添加を省略し、その他は上記実施例1と同様にして建材を得た。
【0056】
参照例1
厚さ10mmの合板の表面に、厚さ0.3mmの天然木突板を貼着し、側面に実加工を施し、表面に紫外線硬化型樹脂による塗装を施して建材を得た。
【0057】
評価
上記実施例1〜3の帯電防止建材と、比較例1〜2及び参照例1の建材について、表面抵抗率(JIS K 6911(熱硬化性プラスチックの一般試験方法)による、単位[Ω/□])、耐酸性、耐アルカリ性、耐シンナー性、2類浸漬試験(以上、JAS特殊合板規格による)及び意匠感(目視官能評価)を実施したところ、結果は下表の通りであった。
【0058】
【0059】
なお、表面抵抗率の評価の目安は一般に、109Ω/□以下は帯電しない、1010〜1012Ω/□は帯電するがすぐ減衰、1012〜1013Ω/□は帯電する、1013Ω/□は正電荷が蓄積する、とされている。上記の結果から、実施例1及び実施例2の帯電防止建材は帯電しない水準にあり、実施例3の帯電防止建材及び参照例1の建材は帯電するがすぐ減衰する水準にあり、比較例1及び比較例2の建材は正電荷が蓄積する水準にあることがわかる。
【0060】
施工試験
上記の各種建材について、基材の裏面にクッション材として厚さ1mmの発泡ポリエチレンシートを積層した後、床下地である鉄筋コンクリートスラブ面に、図6に示す様に金属製ステープルを用いて固定しつつ施工したところ、比較例1及び比較例2は表面の帯電により室内空気中の塵埃を吸着して汚れが目立ったのに対し、その他は特に目立った汚れは認められなかった。
【0061】
【発明の効果】
以上詳細に説明したとおり、本発明の帯電防止建材は、表装材の表面部分にカーボンブラックや金属粉等の有色導電性粉末を添加する必要がないため、所望の任意の色彩の高精彩の意匠の付与が可能であり、しかも、帯電防止処理が施された表装材の表面が、導電性が付与された基材を通じて、下地材との間で導通がとられていることにより、摩擦等により表装材の表面で発生した静電気を、基材を通じて速やかに下地材へ逃がすことができ、表面に静電気が蓄積することがないため、静電気による埃の吸着や、人肌への不快な放電、電気製品に対する静電気障害などを、効果的に防止することができるという、実用上の優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の帯電防止建材の一例を示す模式断面図。
【図2】本発明の帯電防止建材における表装材の一例を示す模式断面図。
【図3】本発明の帯電防止建材の一例を示す部分模式断面図。
【図4】本発明の帯電防止建材の一例を示す部分模式断面図。
【図5】本発明の帯電防止建材の施工構造の一例を示す模式断面図。
【図6】本発明の帯電防止建材の施工構造の一例を示す模式断面図。
【符号の説明】
1 基材
2 表装材
21 基体層
211 基材シート
212 絵柄層
213 表面シート
22 透明保護樹脂層
23 折り返し部
3,3′ 嵌合構造部分
4 留具
5 下地材
61 基材と表装材との導通部
62 基材同士の導通部
7 クッション材
8 固定用部材
Claims (5)
- 建築物の内外装に用いられる合成樹脂製の建材であって、導電性が付与された合成樹脂製の基材の表面に、少なくとも表面部分に帯電防止処理が施された合成樹脂製の表装材が貼着されてなり、少なくとも施工状態において、前記基材と前記表装材の表面との間での導通がとられることを特徴とする帯電防止建材。
- 前記基材が、導電性粉末を混練した合成樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止建材。
- 前記表装材が、帯電防止剤を含む透明保護樹脂層を表面に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の帯電防止建材。
- 前記基材の少なくとも一対の相対する側面に嵌合構造部分を有し、施工状態での該嵌合構造部分において、前記基材と前記表装材の表面との間での導通がとられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の帯電防止建材。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の帯電防止建材を用いた施工方法であって、該帯電防止建材を下地材に対し、導電性の固定用部材を用いて固定することにより、下地材と帯電防止建材との間での導通がとられることを特徴とする帯電防止建材の施工構造。
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