JPWO2017188139A1 - ゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

特定のガラス転移点や分子量分布を有する、溶液重合スチレンブタジエンゴムと乳化重合スチレンブタジエンゴムに加え、さらにガラス転移点が低いポリマーを、特定の範囲内で併用して配合することを特徴とする、ウェットグリップ性とドライグリップ性が向上し、さらに低温脆化性も両立させて改善したトレッド用に好適なゴム組成物が提供される。

Description

本発明は、ウェットグリップ性とドライグリップ性を向上させ、一方で転がり抵抗を低減しながら、さらに低温脆化性の改善を両立させたトレッド用に好適なゴム組成物に関する。
タイヤの性能として、乾燥路面、湿潤路面、氷雪路面といった様々な状態の路面において、安全性や走行安定性が求められる。特に路面に接するトレッド部においては持続性のある、ウェットグリップ性とドライグリップ性を向上させる必要がある。また、氷雪路面を走行するか否かに関わらず、寒冷期にはトレッド部も含め、タイヤ全体が低温に曝されるので、低温脆化性を改善することも求められている。
ウェットグリップ性を高めるには、スチレンブタジエンゴム:SBRを用いることが多い。特に溶液重合スチレンブタジエンゴム:S−SBRは分子量、主鎖構造や末端基、及び、そのような化学構造に由来する諸物性の制御が容易であるといった点から有用である。例えば、特定のガラス転移点:Tgを有するS−SBRが用いられる。中には、特許文献1のように、2種の溶液重合スチレンブタジエンゴムを配合するといった場合も知られている。
一方で、SBRだけを用いたのでは、概して、低温脆化性の面からは好ましくない。また、当然ながら、SBRことにS−SBRを多用するとコスト増にもつながる。
特開2013−213183号公報
ウェットグリップ性とドライグリップ性を向上させ、さらに転がり抵抗を低減しながら、低温脆化性の改善をバランスよく両立させたトレッド用に好適なゴム組成物が望まれている。
特定のTgや分子量分布を有する、溶液重合SBRと乳化重合SBRに加え、さらにTgが低いポリマーを併用することを特徴とする、トレッド用に好適なゴム組成物を提供する。
すなわち、本発明は次の(1)〜(8)に存する。
(1) 示差走査熱量測定法によって測定したガラス転移温度:Tgがいずれも−25℃以上である、乳化重合スチレンブタジエンゴム:E−SBR、溶液重合スチレンブタジエンゴム:S−SBRと、さらに、前記、乳化重合スチレンブタジエンゴムと溶液重合スチレンブタジエンゴムよりもTgが低いポリマー:Pを含むジエン系ゴム組成物であって、前記E−SBRとS−SBRの重量部の和とさらにTgが低いポリマー:Pの重量部の比:(E−SBR+S−SBR)/Pが7/3〜9/1を満たし、前記E−SBRとS−SBRのうち、いずれかTgが高い方のポリマーの分子量分布:Mw/Mnが2.5以下を満たすことを特徴とするゴム組成物。
(2) 前記ジエン系ゴム100重量部に対し、軟化点が100℃以上のC系、C系、C系、ロジン変性の石油樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂、テルペン系樹脂、及びアルキルフェノール系樹脂からなる群から選択される、少なくとも1つの熱可塑性樹脂を、1〜30重量部配合したことを特徴とする(1)に記載のゴム組成物。
(3) 乳化重合スチレンブタジエンゴム及び溶液重合スチレンブタジエンゴムのいずれかTgが高い方が、変性されていることを特徴とする(1)又は(2)に記載のゴム組成物。
(4) 弾性率向上剤を0.5〜6重量部とシリカを配合したことを特徴とする(1)〜(3)の何れか1つに記載のゴム組成物。
(5) 前記、乳化重合スチレンブタジエンゴムと溶液重合スチレンブタジエンゴムよりもTgが低いポリマー:Pが天然ゴム:NR及び/又はブタジエンゴム:BRから選択されることを特徴とする(1)〜(4)の何れか1つに記載のゴム組成物。
(6) ブタジエンゴム:BRが0〜10重量部含まれることを特徴とする(1)〜(5)の何れか1つに記載のゴム組成物。
(7) 弾性率向上剤がマレイン酸・ポリエチレングリコール重縮合物である(4)に記載のゴム組成物。
(8) (1)〜(7)の何れか1つに記載のゴム組成物をトレッド部に用いた空気入りタイヤ。
(1)により、ウェットグリップ、ドライグリップを向上させながら転がり抵抗を低減し、かつ低温脆化性の改善を両立したトレッド用に好適なゴム組成物が得られる。
(2)により、さらにウェットグリップ及びドライグリップを向上させたトレッド用に好適なゴム組成物が得られる。
(3)により、さらに転がり抵抗を小さくし、燃費性能が改善されたトレッド用に好適なゴム組成物が得られる。
(4)、(7)により、貯蔵弾性率:E’を増大させ、ドライハンドリングの改善に寄与することができる。
(5)により、低温脆化性の改善に適したポリマー種を用いた、ゴム組成物が得られる。
(6)により、ブタジエンゴム:BRを用いる場合の配合量が示される。
(8)により、ウェットグリップ、ドライグリップを向上させながら転がり抵抗を低減し、かつ低温脆化性の改善を両立し、燃費性能にも優れたトレッド部を有する空気入りタイヤが得られる。
本発明のゴム組成物は、示差走査熱量測定法によって測定したガラス転移温度:Tgがいずれも−25℃以上である、乳化重合スチレンブタジエンゴム:E−SBR、溶液重合スチレンブタジエンゴム:S−SBRと、さらに、前記、乳化重合スチレンブタジエンゴムと溶液重合スチレンブタジエンゴムよりもTgが低いポリマー:Pを含むジエン系ゴム組成物であって、乳化重合スチレンブタジエンゴムと溶液重合スチレンブタジエンゴムの重量部の和とPの重量部の比:(E−SBR+S−SBR)/Pが7/3〜9/1を満たし、乳化重合スチレンブタジエンゴム及び溶液重合スチレンブタジエンゴムのいずれかTgが高い方のポリマーの分子量分布:Mw/Mnが2.5以下を満たすことを特徴とする。
本発明で用いる、スチレンブタジエンゴムは、最も汎用されるジエン系合成ゴムの1つであり、重合方法が異なる乳化重合スチレンブタジエンゴムと、溶液重合スチレンブタジエンゴムを併用して用いることを特徴とする。
乳化重合スチレンブタジエンゴム:E−SBRは、水中にスチレン及び1,3−ブタジエンの2種のモノマーを乳化分散して、ラジカル開始剤により重合される。界面活性剤を用いて、乳化させることが通常行われる。重合温度により5〜10℃で重合されるコールドタイプと、40〜50℃で重合されるホットタイプに分類される。耐老化性、耐熱性、耐摩擦性がNRよりもすぐれ、加工性、物性、コストの総合バランスがすぐれる合成ゴムである。
E−SBRにおいては、各モノマー由来の部分が、ブロックでもランダムに配置されていても構わない。その含有量は、スチレンのモノマー分率において20.0〜55.0%のものを用いることができ、35.0〜55.0%のものが好ましい。
溶液重合スチレンブタジエンゴム:S−SBRは、有機溶媒中モノマーをアニオン重合開始剤によってリビングアニオン重合することによって得られる。ブロック共重合、ランダム共重合といった制御や、開始剤と停止剤により、末端基修飾が容易に行える。本発明においては、末端基修飾に関わらず用いることができるが、末端基修飾を行ったものを、好適に用いることができる。動的特性、低温特性が良好で、屈曲き裂に強いといった性質がある。
S−SBRにおいては、各モノマー由来の部分が、ブロックでもランダムに配置されていても構わない。その含有量は、スチレンのモノマー分率において20.0〜55.0%のものを用いることができ、35.0〜55.0%のものが好ましい。
さらに、低温脆化性を改善するために、本願においては、主成分のスチレンブタジエンンゴムに、前記、両スチレンブタジエンゴムよりもTgが低いポリマー:Pを配合しており、その配合比は、E−SBRとS−SBRに合計に対し、(E−SBR+S−SBR)/Pが7/3〜9/1の範囲で用いることができる。低Tgポリマー:Pが10重量%以上で低温脆化性が改善される。30重量%以下で、ウェット性能、ドライ性能が適切な範囲に保たれる。
具体的な配合量としては、両SBR、低Tgポリマー:Pを含む全ゴム成分を100重量部とする時、E−SBRを10〜60重量部、S−SBRを10〜60重量部、Pを10〜30重量部用いることができ、E−SBRを20〜50重量部、S−SBRを20〜60重量部の範囲で用いるのが好ましく、E−SBRを20〜40重量部、S−SBRを30〜60重量部の範囲で用いるのが特に好ましい。
本発明に用いられる、E−SBR、S−SBRとも、示差走査熱量測定法によって測定したガラス転移温度:Tgがいずれも−25℃以上であることを特徴とする。両SBRについてはTgが−25℃以上であれば、ウェット性能、ドライ性能が良好に保たれる。S−SBRはTgが−20℃以上がより好ましい。
本発明においては、E−SBRとS−SBRの何れか、Tgが高い方を高TgSBRと称することがあり、同様にTgの低い方を、低TgSBRと称することもある。高TgSBRがE−SBRの場合であってもよいし、S−SBRの場合であってもよい。なお、低TgSBRであっても、前記記載の低Tgポリマー:PよりはTgが高い。
高TgSBRにおいては、分子量分布:Mw/Mnは2.5以下であることを特徴とする。なお、分子量分布は、通常のポリスチレン標準換算のサイズ排除クロマトグラフィーで測定した値であるが、フィールドフローフラクショネーション:FFFや、さらに多角度光散乱:MALSとの組み合わせや、超遠心法を用いて測定してもよい。
上記、高TgSBRのMw/Mnは2.2以下が好ましく、1.8以下が特に好ましい。Mw/Mnを前記範囲とすることで、ゴム組成物のtanδ曲線が最適になるよう設計することができ、ウェット性能と低転がり抵抗性の優れた両立が可能となる。
また、後述する好ましい実施態様の1つとして、シリカとの親和性を高めるように変性させたものを用いてもよい。この場合、シリカ親和変性を行う対象となるのは、高TgSBRである。すなわち、Tgが高い方のポリマーと、グリップ性を増大させる充填材である、シリカとの結合を強化するものである。
本発明のゴム組成物には、好ましい実施態様の1つとして、ウェットグリップ性を改良する目的で熱可塑性樹脂を用いてもよい。使用できる樹脂としては、分子量が数百から数千の熱可塑性樹脂で、天然ゴムや合成ゴムに配合することによって粘着性を付与する樹脂が挙げられ、種々の天然樹脂及び合成樹脂を使用することができる。
具体的には、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂などの天然樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂、石炭系樹脂、キシレン系樹脂といった樹脂について、重量平均分子量が好ましくは、500〜5000、より好ましくは700〜4000の合成樹脂が使用できる。
ロジン系樹脂としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、変性ロジンのグリセリン、ペンタエリスリトールエステルといった樹脂が挙げられ、テルペン系樹脂としては、α−ピネン系、β−ピネン系、ジペンテン系等のテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂といった樹脂が挙げられる。
これらの天然樹脂の中でも、配合されたゴム組成物の耐摩耗性とグリップ特性の観点から、重合ロジン、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂が好ましい。
石油系樹脂は、例えば石油化学工業のナフサの熱分解により、エチレン、プロピレンなどの石油化学基礎原料とともに副生するオレフィンやジオレフィン等の不飽和炭化水素を含む分解油留分を混合物のままフリーデルクラフツ型触媒により重合して得られる。
該石油系樹脂としては、ナフサの熱分解によって得られるC留分を重合又は共重合して得られる脂肪族系石油樹脂、ナフサの熱分解によって得られるC留分を重合又は共重合して得られる芳香族系石油樹脂、前記C留分とC留分を共重合して得られる共重合系石油樹脂、水素添加系、ジシクロペンタジエン系のような脂環式化合物系石油樹脂、スチレン、置換スチレン、スチレンと他のモノマーとの共重合体であるスチレン系樹脂といった石油系樹脂が挙げられる。
ナフサの熱分解によって得られるC留分には、通常1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチル−1−ブテンのようなオレフィン系炭化水素、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,2−ブタジエンのようなジオレフィン系炭化水素が含まれる。
また、C留分を重合又は共重合して得られる芳香族系石油樹脂とは、ビニルトルエン、インデンを主要なモノマーとする炭素数9の芳香族を重合した樹脂であり、ナフサの熱分解によって得られるC留分の具体例としては、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、γ−メチルスチレンといったスチレン同族体やインデン、クマロン等のインデン同族体が挙げられる。
商品名としては、三井化学製ペトロジン、ミクニ化学製ペトライト、JX日鉱日石エネルギー製ネオポリマー、東ソー製ペトコール、ペトロタックといったものが挙げられる。
さらに、前記C留分からなる石油樹脂を変性した変性石油樹脂が、グリップ性及び工場作業性の両立を可能にする樹脂として、本発明では使用できる。
変性石油樹脂としては、不飽和脂環式化合物で変性したC系石油樹脂、水酸基を有する化合物で変性したC系石油樹脂、不飽和カルボン酸化合物で変性したC系石油樹脂が挙げられる。
好ましい不飽和脂環式化合物としては、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエンなど、また、アルキルシクロペンタジエンのディールス・アルダー反応生成物として、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン/メチルシクロペンタジエン共二量化物、トリシクロペンタジエン等が挙げられ、ジシクロペンタジエンが特に好ましい。
ジシクロペンタジエン変性C系石油樹脂は、ジシクロペンタジエン及びC留分両者の存在下、熱重合といった方法で得ることができる。
ジシクロペンタジエン変性C系石油樹脂としては、例えばJX日鉱日石エネルギー製ネオポリマー130Sが挙げられる。
本発明では、ナフサの熱分解によって得られるC留分とC留分の共重合樹脂、又はC留分を重合した芳香族系石油樹脂、例えば日石ネオポリマー等を好適に使用することができる。
具体的には、SCHILL&SEILACHER社製StruktolシリーズのTS30、TS30−DL、TS35、TS35−DL、東ソー株式会社製のペトロタックといった製品が挙げられる。
前記フェノール系樹脂としては、アルキルフェノールホルムアルデヒド系樹脂及びそのロジン変性体、アルキルフェノールアセチレン系樹脂、変性アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂といった樹脂が挙げられ、具体的にはノボラック型アルキルフェノール樹脂である日立化成工業社製の商品名ヒタノール1502、p−t−ブチルフェノールアセチレン樹脂であるBASF社製の商品名コレシンが挙げられる。
熱可塑性樹脂はASTM E28−58−Tに基づく測定による軟化点が100℃以上のものを用いることができ、さらには100〜150℃の範囲であることが好ましい。
上記樹脂は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよく、ゴム成分100重量部に対し、1〜30重量部、好ましくは3〜10重量部配合する。
本発明のゴム組成物には、好ましい実施態様の1つとして、高TgSBRが変性されたものを用いてもよい。
高TgSBRにおいて、その一部又は全部について変性されていると好ましい。例えば高TgSBRがS−SBRである場合には、有機リチウムやリチウムアミドといった開始剤を用いて、溶液中のリビングアニオン重合で1,3−ブタジエンとスチレンを共重合した活性末端に、変性剤を反応させて末端変性SBRが得られる。
変性剤としては下記、一般式(I)で表されるヒドロカルビオキシシラン化合物及びその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を挙げることができる。
Figure 2017188139
式中、A=Aの時、Aとしては、エポキシ、チオエポキシ、イソシアネート、チオイソシアネート、ケトン、チオケトン、アルデヒド、チオアルデヒド、イミン、アミド、イソシアヌル酸トリヒドロカルビルエステル、カルボン酸エステル、チオカルボン酸エステル、カルボン酸の金属塩、チオカルボン酸の金属塩、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物及び炭酸ジヒドロカルビルエステルから選ばれる少なくとも1種の官能基を有する一価の基、Rは単結合又は二価の不活性炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、nは0〜2の整数であり、Rが複数ある場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、ORが複数ある場合、複数のORは同一でも異なっていてもよく、また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。
一般式(I)において、Aにおける官能基の中で、イミンはケチミン、アルジミン、アミジンを包含し、カルボン酸エステルは、アクリレートやメタクリレート等の不飽和カルボン酸エステルを包含する。又、カルボン酸又はチオカルボン酸の金属塩の金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Znといった金属を挙げることができる。
のうちの二価の不活性炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルカンジイル基を好ましく挙げることができる。このアルカンジイル基は直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよいが、特に直鎖状のものが好適である。この直鎖状のアルカンジイル基の例としては、メタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基、オクタンジイル基、デカンジイル基、ドデカンジイル基といった基が挙げられる。
及びRとしては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアリールアルキル基といった基を挙げることができる。アルキル基及びアルケニル基は直鎖状、分枝状、環状いずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、2−メチル−1−プロピル基、2−メチル−2−プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、プロペニル基、アリル基、へキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基といった基が挙げられる。また、アリール基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、その例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基といった基が挙げられる。さらに、アリールアルキル基は、低級アルキル基上に芳香環の置換基を有していてもよく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基といった基があげられる。
nは0〜2の整数であるが0が好ましく、また、この分子中には活性プロトン及びオニウム塩を有しないものとする。
一般式(I)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えばエポキシ基又はチオエポキシ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)メチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン及びこれらの化合物におけるエポキシ基をチオエポキシ基に置き換えたものを好ましく挙げることができるが、これらの中で、特に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが好適である。
イミン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−エチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(シクロヘキシリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン及びこれらのトリエトキシシリル化合物に対応するトリメトキシシリル化合物、メチルジエトキシシリル化合物、エチルジエトキシシリル化合物、メチルジメトキシシリル化合物、エチルジメトキシシリル化合物といった化合物を好ましく挙げることができるが、これらの中で特に、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン及びN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンが好適である。
さらに、その他のヒドロカルビルオキシ化合物として、以下のものを挙げることができる。すなわち、イミン又はアミジン基含有化合物としては、1−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール、1−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール、3−〔10−(トリエトキシシリル)デシル〕−4−オキサゾリン等が挙げることができるが、これらの中で、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン、1−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール及び1−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾールを好ましく挙げることができる。また、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−イソプロポキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾールといった化合物が挙げられ、なかでも、好ましいのはN−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾールである。
カルボン酸エステル基含有化合物としては、3−メタクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリイソプロポキシシランといった化合物が挙げられ、なかでも、好ましいのは3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシランである。
さらに、イソシアネート基含有化合物としては、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリイソプロポキシシランといった化合物が挙げられ、これらのうち、好ましいのは3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランである。
また、カルボン酸無水物含有化合物としては、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−メチルジエトキシシリルプロピルコハク酸無水物といった化合物が挙げられ、このうち、好ましいのは3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物である。
一般式(I)においてA=Aであり、Aが環状二級アミノ基、非環状二級アミノ基、シリル置換アミノ基、ピリジル基、スルフィド基及びポリスルフィド基であるヒドロカルビルオキシシラン化合物及び/又はその部分縮合物を上記の変性剤と併用して1つ以上を用いることができる。該併用型の変性剤は、重合活性末端との直接反応は実質的に起こらず、反応系に未反応として残存するため、活性末端に導入されたヒドロカルビルオキシシラン化合物残基との縮合に消費される。
一般式(I)においてA=Aであるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えば、非環状二級アミノ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン、3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−ジエチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリエトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリメトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−ジブチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシランといった化合物が挙げられ、これらの中でも、3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン及び3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シランが好ましい。
また、環状二級アミノ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリメトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリエトキシ)シラン、2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリエトキシ)シラン、2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリメトキシ)シラン、3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリメトキシ)シラン、3−(1−ヘプタメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ドデカメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)エチルシランを挙げることができる。なかでも3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シランが好適である。
さらに、その他のヒドロカルビルオキシシラン化合物として、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、4−エチルピリジンといった化合物を挙げることができる。
また、一般式(I)においてA=Aであり、Aがアルコール、チオール、一級アミン及びそのオニウム塩、環状二級アミン及びそのオニウム塩、非環状二級アミン及びそのオニウム塩、環状三級アミンのオニウム塩、非環状三級アミンのオニウム塩、アリール又はアリールアルキルSn結合を有する基、スルフォニル、スルフィニル及びニトリルから選ばれる少なくとも一種の官能基を有する一価の基で表される化合物及び/又は部分縮合物が使用できる。
である、一級アミンはアニリンのような芳香族アミンを包含し、また非環状二級アミンはN−一置換アニリンのようなN−一置換芳香族アミンを包含する。さらに、非環状三級アミンのオニウム塩は、N,N−二置換アニリン等のN,N−二置換芳香族アミンのオニウム塩を包含する。また、環状二級アミンや環状三級アミンの場合は、環の一部としてエーテル及び/又はチオエーテルを含むことができる。
A=Aである、ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、3−(N−メチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−メチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、オクタデシルジメチル(3−トリメチルシリルプロピル)アンモニウムクロリド、オクタデシルジメチル(3−トリエチルシリルプロピル)アンモニウムクロリド、シアノメチルトリメトキシシラン、シアノメチルトリエトキシシラン、スルホニルメチルトリメトキシシラン、スルホニルメチルトリエトキシシラン、スルフィニルメチルトリメトキシシラン、スルフィニルメチルトリエトキシシランといった化合物を挙げることができる。
その他、一般式(I)には該当しないが、テトラエトキシシラン、四塩化スズといった変性剤も用いることができ、さらに、ヘキサメチレンイミン−nBuLiにより、in situで調製された、リチウムヘキサメチレインイミドを開始剤として用いてアニオン重合し、末端停止時に四塩化スズを用いることで、ポリマーの両末端にそれぞれ、ヘキサメチレンイミノ基とトリクロロスタンニル基を導入できる。同様にして、アミノ基やイミノ基を一方の末端に、さらにもう一方の末端に、シリル基やスズ含有基を導入するような変性を行ってもよい。
上記のように、高TgSBRの末端を変性すると、シリカの分散性向上に有利である。一方で、本発明においては、高TgSBRの末端未変性であっても、シリカは比較的多く配合することを特徴とする。ゴム成分100質量部に対して、補強性充填材であるカーボンブラックとシリカを50〜250質量部、好ましくは50〜150質量部配合しているが、特にシリカを60質量%以上、好ましくは80質量%以上配合することで、主としてウェット性能向上に寄与する。
本発明のゴム組成物には、好ましい実施態様の1つとして弾性率向上剤を配合してもよい。そのような弾性率向上剤としてはマレイン酸・ポリエチレングリコール重縮合物があげられる。
マレイン酸・ポリエチレングリコール重縮合物をシリカと共に配合すると、温度領域に関わらず、全般的に貯蔵弾性率:E’が増大し、ドライハンドリング性が向上する効果がある。
マレイン酸・ポリエチレングリコール重縮合物に対し、シリカがあらかじめ配合されているものを、弾性率向上剤として配合すると簡便である。配合比については、概ね市販品として入手可能なものに限りがあるので、シリカについては別添で調節することになる。
ゴム成分の主成分である、両SBRよりもTgが低い、低Tgポリマー:Pは、低温脆化性を改善するために配合するが、本発明の実施態様として、天然ゴム:NR及びブタジエンゴム:BRから選択される、少なくとも1つを用いるのが好適である。いずれもジエン骨格を有するモノマーの、主として1,4−重合体といえるものであり、単独で低温脆化性への耐性が優れたポリマーである。本発明のゴム組成物の成分として配合された場合に、主成分たる両SBRを補って、低温脆化性の改善に寄与する。NRはもちろん、イソプレン単位が1,4−シス結合した構造がほぼ100%のポリマーであるので、BRの場合も1,4−シス結合量が90%以上であることが好ましい。
低Tgポリマーとして、ブタジエンゴムを用いる場合に、全ゴム成分を100重量部として0〜10重量部の範囲で用いるが、特に配合しなくても、すなわち0重量部であっても構わない。コストやその他の性質とのバランスといった点から、天然ゴムの方が優先される。
本発明のゴム組成物は、上記、ゴム成分に加え、ゴム工業で通常使用されている種々の成分を含むことができる。例えば、種々の成分として、カーボンブラックやシリカのような補強性充填剤;及び/又は炭酸カルシウム及び炭酸カルシウムといった無機充填剤;加硫促進剤;老化防止剤;酸化亜鉛;ステアリン酸;軟化剤;及びオゾン劣化防止剤といった添加剤を挙げることができる。なお、加硫促進剤として、M:2−メルカプトベンゾチアゾール、DM:ジベンゾチアゾリルジスルフィド及びCZ:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドといったチアゾール系加硫促進剤;TT:テトラメチルチウラムスルフィドといったチウラム系加硫促進剤;並びにDPG:ジフェニルグアニジンといったグアニジン系の加硫促進剤を挙げることができる。
さらに、硫黄をゴム成分100重量部に対して0.5〜10重量部の範囲で配合することができ、0.5〜3.0重量部の範囲が好ましく、1.0〜2.0重量部の範囲がより好ましい。
本発明のゴム組成物は、上記各成分を、例えば、バンバリーミキサー、ニーダーといった機器により混練して、製造することができ、成型・加硫を経て、タイヤのトレッド部として好適に使用できる。
次に、実施例、比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに制約されるものではない。
[タイヤの製造]
表1に示した配合に従い、実施例と比較例のゴム組成物を配合して混練し、トレッドゴムに用いて195/65R15の乗用車用空気入りラジアルタイヤである供試タイヤを製造した。
[ガラス転移点:Tgの測定]
JIS K7121−2012に基づき、TAインスツルメント社製、示差走査熱量計を用いて測定した。
[耐低温脆化性の評価]
JIS K7216の低温衝撃脆化試験法に準じて、ゴム試験片を作成し低温衝撃脆化試験を実施した。いずれも、実施例2を100とする指数で示した。数値が大きいほど、耐低温脆化性が優れている。
[ウェット性能の評価]
上記のようにして得られた供試タイヤを試験車に装着し、湿潤路面での実車試験にて、操縦安定性をドライバーが官能評価し、実施例2を100とする指数で示した。数値が大きいほど、ウェット性能が優れている。
[ドライμの評価]
上記のようにして得られた供試タイヤを試験車に装着し、乾燥路面での実車試験にて、グリップ力をドライバーが官能評価し、実施例2を100とする指数で示した。数値が大きいほど、ドライμが優れている。
[ドライハンドリングの評価]
上記のようにして得られた供試タイヤを試験車に装着し、乾燥路面での実車試験にて、操縦安定性をドライバーが官能評価し、実施例2を100とする指数で示した。数値が大きいほど、ドライハンドリングが優れている。
[転がり抵抗の評価]
表1に示した配合に従い、実施例と比較例のゴム組成物を配合して混練し、各ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られた加硫ゴムに対して、上島製作所(株)製スペクトロメーターを用いて、初期歪2%、動歪1%、周波数52Hzの条件下で、0℃、30℃及び60℃における損失正接:tanδを測定した。いずれも、サンプルのtanδの逆数を用い、実施例2を100とする指数で示した。数値が大きいほど、転がり抵抗の評価が優れている。
Figure 2017188139
表1において、phrはゴム重量部数を表し、ゴム成分全量を100phrとする。
*1:ゴム種、NR=天然ゴム、SIR20
*2:N234,ISAF、旭カーボン株式会社製、商品名「#78」
*3:東ソー・シリカ工業株式会社製、商品名「ニプシルAQ」、BET表面積=205m/g
*4:株式会社ジャパンエナジー製、商品名「プロセスX−140」
*5:C系樹脂:JX日鉱日石エネルギー株式会社製、商品名「日石ネオポリマー(登録商標)140」
*6:マレイン酸・ポリエチレングリコール重縮合物/シリカ 60/40
低Tgポリマーを配合していない比較例1に比べ、実施例1〜7はいずれも、耐低温脆化性に優れる。一方、低Tgポリマーとして天然ゴムを限度以上に配合した、比較例5で耐低温脆化性は向上するが、一方で、ウェット性能、ドライ性能とも悪化している。低Tgポリマーとして天然ゴムを適切に配合した実施例1〜7は、いずれも、耐低温脆化性とウェット性能、ドライ性能のバランスが取れている。このバランスは、SBRのTgが本願発明の条件を満たさない比較例2や3でも両立していない。また、高TgSBRの分子量分布が大きい比較例4では、転がり抵抗が悪化している。実施例でみると、低Tgポリマーとして天然ゴムを実施例1〜3にかけて増量していくと、耐低温脆化性が向上していくのに対し、ウェット性能、ドライ性能は緩やかに低下するが、SBRのTgの条件を満たしていると、急激な悪化はなく、バランスをとって推移している。また、その際に、転がり抵抗も両立している。さらに、高TgSBRの分子量分布が小さい、実施例4では、全体的に向上が見られる。熱可塑性樹脂を配合していない実施例5や、弾性率向上剤であるマレイン酸・ポリエチレングリコール重縮合物を配合していない、実施例6においても、さらにはどちらも配合していない実施例7も、各種性能のバランスはとれている。
本発明を利用すれば、耐低温脆化性とともに、ウェット性能、ドライ性能を両立し、発熱性や耐久性にも向上し、全天候型路上性能に優れたトレッド用に好適なゴム組成物及びタイヤが得られる。

Claims (8)

  1. 示差走査熱量測定法によって測定したガラス転移温度:Tgがいずれも−25℃以上である、
    乳化重合スチレンブタジエンゴム:E−SBR、
    溶液重合スチレンブタジエンゴム:S−SBRと、さらに、前記、乳化重合スチレンブタジエンゴムと溶液重合スチレンブタジエンゴムよりもTgが低いポリマー:Pを含むジエン系ゴム組成物であって、
    前記E−SBRとS−SBRの重量部の和とさらにTgが低いポリマー:Pの重量部の比:(E−SBR+S−SBR)/Pが7/3〜9/1を満たし、
    前記E−SBRとS−SBRのうち、いずれかTgが高い方のポリマーの分子量分布:Mw/Mnが2.5以下を満たすことを特徴とするゴム組成物。
  2. 前記ジエン系ゴム100重量部に対し、軟化点が100℃以上の
    系、C系、C系、ロジン変性の石油樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂、テルペン系樹脂、及びアルキルフェノール系樹脂からなる群から選択される、少なくとも1つの熱可塑性樹脂を、1〜30重量部配合したことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 乳化重合スチレンブタジエンゴム及び溶液重合スチレンブタジエンゴムのいずれかTgが高い方が、変性されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 弾性率向上剤を0.5〜6重量部とシリカを配合したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のゴム組成物。
  5. 前記、乳化重合スチレンブタジエンゴムと溶液重合スチレンブタジエンゴムよりもTgが低いポリマー:Pが天然ゴム:NR及び/又はブタジエンゴム:BRから選択されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のゴム組成物。
  6. ブタジエンゴム:BRが0〜10重量部含まれることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のゴム組成物。
  7. 弾性率向上剤がマレイン酸・ポリエチレングリコール重縮合物である請求項4に記載のゴム組成物。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載のゴム組成物をトレッド部に用いた空気入りタイヤ。
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