JP6438367B2 - タイヤ - Google Patents
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Description
これまでに、タイヤのグリップ性や耐摩耗性を、ゴム組成物の配合によって制御することが試みられてきた。
例えば、グリップ性を高めるためにハイスチレンのスチレンブタジエンゴム(SBR)を用いたり、湿潤路面において高いグリップ性を保持させるためにシリカを用いることが提案されている。また、特定の置換アミノ基等を有する多官能性共役ジエン系重合体に、充填剤として高級カーボンブラックを配合し、多環芳香族化合物の含量を低減させたゴム組成にすることにより、耐摩耗性とヒステリシスロスを制御することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明のタイヤによれば、トレッドのグリップ性及び耐摩耗性を高く両立させることができる。
本発明のタイヤは、前記ゴム成分中の前記変性共役ジエン系重合体が15〜30質量%であることが好ましい。
「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会) のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA(The Tire and Rim Association, Inc.)のYEAR BOOK等に記載されている、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指す。また、「規定内圧」とは、上記のJATMA YEAR BOOK等に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力に対応する空気圧をいい、「最大負荷能力」とは、上記規格でタイヤに負荷されることが許容される最大の質量をいう。
本明細書において、「共役ジエン系重合体」とは、共役ジエン化合物の単独重合体、又は共役ジエン化合物と非共役オレフィン化合物との共重合体を意味する。
本明細書において、「軟化点」とは、硬化物を再び加熱して、弾性率が急激に低下する温度を意味し、JIS K 2207に記載される軟化点試験方法(6.4 軟化点試験方法(環球法))を用いて測定された軟化点を意味する。
本発明のタイヤは、トレッド表面のタイヤ幅方向の中心位置A、及び前記タイヤ幅方向に前記トレッド表面のペリフェリに沿って、前記中心位置Aから、ペリフェリ長さ1/4だけ離隔した位置Bのそれぞれの位置から、タイヤ回転軸Pに対して垂線を引いた際の各垂線の長さをそれぞれLA、LBとし、前記位置Aとタイヤの回転中心とを結ぶ垂線に対して前記位置Bから垂線を引いた際の直交点の位置を位置Cとし、前記位置Bと前記位置Cとの間の長さをXとするときに、(LA−LB)/Xが、0.277〜0.350である。
本発明のタイヤは、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対して、シリカを含む充填剤40〜140質量部、及び軟化点が145℃以下の低軟化点樹脂5〜40質量部を含むゴム組成物を用いて得られたトレッドを有する。
本発明のタイヤによれば、トレッドのグリップ性及び耐摩耗性を高く両立させることができる。
前記タイヤとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、二輪車用のフロントタイヤ、二輪車用のリアタイヤ、四輪車用のフロントタイヤ、四輪車用のリアタイヤ、などが挙げられる。
これらの中でも、二輪車用のフロントタイヤが、本発明のタイヤの構造を適用しやすい点で、好ましい。
前記二輪車としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、競技用二輪車、一般公道用二輪車、オンロード用二輪車、オフロード用二輪車、などが挙げられる。
以下に、図面を参照しながら本発明の一実施形態に係るタイヤについて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤを、適用リムに組み付けて、規定内圧を充填した無負荷の状態で示す、タイヤ幅方向断面図である。
図示例のタイヤ1は、一対のビード部4、該ビード部4に連なる一対のサイドウォール部3、両サイドウォール部3にトロイダル状に跨るトレッド部2およびカーカス6を備えている。タイヤ1は、リム5に組み付けられて、規定の内圧が充填されている。
図1に、タイヤの回転中心7、タイヤ幅方向に平行で前記タイヤの回転中心7を通る線であるタイヤ回転軸P、トレッド表面のタイヤ幅方向の中心位置A、タイヤ幅方向にトレッド表面のペリフェリに沿って、中心位置Aからペリフェリ長さ1/4Wだけ離隔した位置である位置B、中心位置Aとタイヤの回転中心7とを結ぶ垂線に対して位置Bから垂線を引いた際の直交点の位置である位置Cを示す。
このとき、本発明のタイヤ形状は、(LA−LB)/Xで算出される数値によって、形状を規定することができる。
本発明のタイヤは、(LA−LB)/Xが、0.277〜0.350のタイヤ形状のタイヤである。
前記(LA−LB)/Xとしては、0.277〜0.350の範囲内である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.300〜0.350が好ましく、0.325〜0.350がより好ましい。
前記(LA−LB)/Xが、0.277以上であるとハンドリング性が向上し、0.350以下であると路面に対するトレッド接地面積が増え、トレッドゴムのグリップ性が高く発現される。前記(LA−LB)/Xが、前記好ましい範囲内又は前記より好ましい範囲内であると、ハンドリング性とトレッドゴムのグリップ性とのバランスをより最適に保つことができる点で有利である。
本明細書において、「ペリフェリ長さ」とは、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷の状態で、タイヤ幅方向における一方のトレッド端から他方のトレッド端までをトレッド表面に沿って測定した長さを意味し、「ペリフェリ長さ1/4」とは、ペリフェリ長さの1/4の長さを意味する。
そこで、タイヤ幅方向にペリフェリ長さ1/4離隔した位置の位置情報から算出される(LA−LB)/Xを規定するとともにゴム組成の配合を規定した、本発明のタイヤを発明するに至った。
<ゴム成分>
上記ゴム成分は、少なくとも変性共役ジエン系重合体を含み、さらに、必要に応じて、その他のゴムを含む。
上記変性共役ジエン系重合体は、変性官能基を有する共役ジエン系重合体である。
上記変性共役ジエン系重合体の上記ゴム成分における割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜40質量%が好ましく、15〜30質量%がより好ましい。
前記変性共役ジエン系重合体の前記ゴム成分における割合が、10質量%以上であると耐摩耗性を確保でき、40質量%以下であると湿潤路面でのグリップ性及び乾燥路面でのグリップ性の低下が抑制される。前記変性共役ジエン系重合体の前記ゴム成分における割合が、前記より好ましい範囲内であると、グリップ性と耐摩耗性とのバランスに優れる点で有利である。
本明細書において、共役ジエン系重合体とは、共役ジエン化合物の単独重合体、又は共役ジエン化合物と非共役オレフィン化合物との共重合体を意味する。
上記共役ジエン化合物の単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等の非環状モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニルモノマー;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記非共役オレフィン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記変性官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、窒素原子を含む変性官能基、ケイ素原子を含む変性官能基、酸素原子を含む変性官能基、スズ原子を含む変性官能基、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、窒素原子を含む変性官能基、ケイ素原子を含む変性官能基および酸素原子を含む変性官能基が、共役ジエン系重合体とカーボンブラック及び/又はシリカとの相互作用を強めるため、良好な耐摩耗性、高補強性、及び高弾性を付与することができる点で好ましい。
前記変性官能基の導入方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、官能基含有重合開始剤を用いる方法、官能基含有モノマーをその他化合物と共重合させる方法、共役ジエン系重合体の重合末端に変性剤を反応させる方法、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記窒素原子を含む変性官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(I)で表される置換アミノ基、下記一般式(II)で表される環状アミノ基、などが挙げられる。
上記ケイ素原子を含む変性官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(III)で表されるカップリング剤を用いて形成される、ケイ素−炭素結合を有する変性官能基、などが挙げられる。
上記共役ジエン系重合体とケイ素とを、ケイ素−炭素結合を介して化学的に結合させることにより、ゴム組成物と充填剤との親和性を高め、ゴム組成物に良好な耐摩耗性及び高補強性を付与できる点で好ましい。
一般的に、ケイ素は、単にゴム組成物中に混合された場合、その重合体との親和性の低さに起因して、ゴム組成物の補強性等は低いが、共役ジエン系重合体とケイ素とを、ケイ素−炭素結合を介して化学的に結合させることにより、ゴム組成物と充填剤との親和性を高め、ゴム組成物に良好な耐摩耗性及び高補強性を付与することができる。
これらの中でも、ヒドロカルビルオキシシラン化合物は、シリカに対して高い親和性を有する観点から好ましい。
前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(IV)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物を挙げることができる。
般式(VI)又は(VII)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることがより好ましい。
式(X)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることも好ましい。
また、一般式(IV)〜(XI)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、アルコキシシラン化合物であることが好ましい。
前記リチウムアミド化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド、などが挙げられる。例えば、リチウムヘキサメチレンイミドのアミド部分となる変性剤はヘキサメチレンイミンであり、リチウムピロリジドのアミド部分となる変性剤はピロリジンであり、リチウムピぺリジドのアミド部分となる変性剤はピぺリジンである。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記酸素原子を含む変性官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブドキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;メトキシフェニル基、エトキシフェニル基等のアルコキシアリール基;エポキシ基、テトラヒドロフラニル基等のアルキレンオキシド基;トリメチルシリロキシ基、トリエチルシリロキシ基、t−ブチルジメチルシリロキシ基等のトリアルキルシリロキシ基;などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記充填剤は、少なくともシリカを含み、必要に応じて、カーボンブラックその他の成分を含む。
前記充填剤のゴム成分100質量部に対する含量は、40〜140質量部である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60〜120質量部が好ましく、80〜100質量部がより好ましい。
前記充填剤のゴム成分100質量部に対する含量が、40質量部以上であるとグリップ性を向上させることができ、140質量部以下であると乾燥路面におけるグリップ性、及び耐摩耗性を向上させることができる。前記充填剤のゴム成分に対する含量が、前記好ましい範囲内又は前記より好ましい範囲内であると、路面に対するゴムの食い込み性とロスとのバランスがとれたグリップ性能を得ることができる点で有利である。
上記シリカとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、微紛末状の湿式シリカや乾式シリカが好ましく、特に湿式シリカが耐摩耗性の向上及び湿潤路面でのグリップ性の向上に関して顕著な効果がある点で有利である。
前記シリカの窒素吸着比表面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80〜300m2/gが好ましい。
前記シリカの窒素吸着比表面積が、80m2/g以上であると十分な補強性を得ることができ、300m2/g以下であると作業性の低下を抑制することができる点で好ましい。なお、窒素吸着比表面積(N2SA)とは、JIS K 6430に記載される窒素吸着法による比表面積を指す。
本明細書において、シリカ比率とは、シリカの充填剤に対する割合を意味する。
前記シリカ比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20〜95質量%が好ましく、20質量%以上50質量%未満がより好ましく、35質量%以上50質量%未満が特に好ましい。
前記シリカ比率が、20質量%以上であると耐摩耗性を向上させることができ、95質量%以下であると耐摩耗性の向上が抑制されない点で好ましい。前記シリカ比率が、前記より好ましい範囲内又は前記特に好ましい範囲内であると、湿潤路面でのグリップ性と乾燥路面でのグリップ性とをバランスよく両立させることができる点で有利である。
上記カーボンブラックとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ASTM(American Society for Testing and Materials)による分類で、HAF、ISAF、SAF、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ISAF及びSAFが、補強性を向上させることができる点で好ましい。
前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70m2/g以上が好ましい。
前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が、70m2/g以上であると、耐摩耗性を良好に向上させることができる点で有利である。なお、窒素吸着比表面積(N2SA)とは、JIS K 6217−2に記載される窒素吸着比表面積を意味する。
本明細書においてカーボンブラック比率は、カーボンブラックの充填剤に対する割合を意味する。
前記カーボンブラック比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜80質量%が好ましく、50〜65質量%がより好ましい。
前記カーボンブラック比率が、50質量%以上であると乾燥路面でのグリップ性を向上させることができ、80質量%以下であると湿潤路面でのグリップ性の低下を抑制できる点で好ましい。前記カーボンブラック比率が、前記より好ましい範囲内であると、湿潤路面でのグリップ性と乾燥路面でのグリップ性とをバランスよく両立させることができる点で有利である。
上記軟化点樹脂としては、軟化点が145℃以下である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然樹脂、合成樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記低軟化点樹脂のゴム成分100質量部に対する含量としては、5〜40質量部である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20〜30質量部が好ましく、24〜30質量部がより好ましい。
前記低軟化点樹脂のゴム成分100質量部に対する含量が、5質量部以上であると乾燥路面におけるグリップ性と湿潤路面におけるグリップ性とを向上させることができ、40質量部以下であるとグリップ性の向上が抑制されない点で好ましい。前記低軟化点樹脂のゴム成分100質量部に対する含量が、前記好ましい範囲内又は前記より好ましい範囲内であると、グリップ性及び耐摩耗性を高次元で両立させることができる点で有利である。
上記合成樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、石油樹脂、フェノール系樹脂、石炭系樹脂、キシレン系樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、石油樹脂が耐摩耗性及びグリップ性を向上させやすい点で好ましい。
上記石油樹脂は、例えば、石油精製工程中のナフサの熱分解において、エチレン、プロピレン、ブチレン等の石油化学基礎製品と共に得られる、オレフィン、ジオレフィン等の不飽和炭化水素を含む留分を、フリーデル・クラフツ反応の触媒を用いて重合することによって、得ることができる。
前記石油樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナフサの熱分解によって得られるC5留分を単独重合及び/又は共重合することによって得られる脂肪族系石油樹脂;ナフサの熱分解によって得られるC9留分を単独重合及び/又は共重合することによって得られる芳香族系石油樹脂;C5留分とC9留分とを共重合して得られる共重合系石油樹脂;水素添加系石油樹脂;ジシクロペンタジエン系石油樹脂等の脂環式化合物系石油樹脂;スチレン、置換スチレン、スチレンと他のモノマーとの共重合体等のスチレン系樹脂;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、共重合系石油樹脂が好ましく、特に、ナフサの熱分解によって得られるC5留分とC9留分とを共重合して得られる共重合系石油樹脂が、耐摩耗性及びグリップ性を向上させやすい点で好ましい。
上記C5留分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチル−1−ブテン等のオレフィン系炭化水素、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,2−ブタジエン等のジオレフィン系炭化水素、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記C9留分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、γ−メチルスチレン等のスチレン異性体;インデン、1−ベンゾフラン(クマロン)等のインデン類縁体;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記フェノール系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド系樹脂及びそのロジン変性物、アルキルフェノール・アセチレン系樹脂、変性アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記石炭系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クマロンインデン樹脂、などが挙げられる。
上記キシレン系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、キシレンホルムアルデヒド樹脂など、が挙げられる。
上記天然樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ロジン系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、グリセリン又はペンタエリスリトールエステル等の変性ロジン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記テルペン系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、α−ピネン系、β−ピネン系、ジペンテン系等のテルペン樹脂;芳香族変性テルペン樹脂;テルペンフェノール樹脂;水素添加テルペン樹脂;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記低軟化点樹脂の軟化点としては、145℃以下である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、45〜120℃が好ましい。
軟化点が145℃以下の低軟化点樹脂を含むと、比較的低温においてゴム組成物が軟化し粘着性を帯び、ゴム組成物の乾燥路面におけるグリップ性、及び湿潤路面におけるグリップ性を向上させることができる。前記軟化点樹脂の軟化点が、前記好ましい範囲内であると、より低温域においてグリップ性が発揮される点で有利である。
本発明のタイヤに用いる上記ゴム組成物には、上記変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分、上記充填剤、上記低軟化点樹脂の他に、ゴム業界で通常使用される配合剤、例えば、オイル、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、シランカップリング剤、老化防止剤、軟化剤等を、本発明の目的を害しない限り、適宜配合することができる。これらの配合剤としては、市販品を用いることができる。
本発明のタイヤに用いられ得るオイルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アロマティックオイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、エステル系オイル、溶液状共役ジエンゴム、溶液状水素添加共役ジエンゴム、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ナフテン系オイルが、耐摩耗性及びグリップ性を向上させやすい点で好ましい。
オイルがゴム組成物に含まれているとゴム組成物の流動性をコントロールできるため、加硫前のゴム組成物の粘度を低下させて流動性を高めることにより、極めて良好にゴム組成物の押出を行うことができる点で好ましい。
前記オイルのゴム成分100質量部に対する含量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50質量部以下が好ましく、20〜50質量部がより好ましく、30〜50質量部が特に好ましい。
前記オイルのゴム成分100質量部に対する含量が、50質量部以下であるとグリップ性と耐摩耗性とを両立させることができる点で好ましい。前記オイルのゴム成分100質量部に対する含量が、前記より好ましい範囲内又は前記特に好ましい範囲内であると、未加硫ゴムのムーニー粘度が良好に保たれ、乾燥グリップ性が優れる点で有利である。
上記加硫剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等の有機過酸化物;硫黄、モルホリンジスルフィド等の硫黄系加硫剤;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記加硫促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBBS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBSI(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンイミド)等のスルフェンアミド系の加硫促進剤;DPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤;テトラオクチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジアルキルジチオリン酸亜鉛等の加硫促進剤;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記加硫促進助剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、亜鉛華(ZnO)、ステアリン酸、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ブタジエンゴムとして、品名:UBEPOL BR150L(宇部興産社製)を用いた。
シクロヘキサン283g、1,3−ブタジエン50g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.0057mmol、及びヘキサメチレンイミン0.513mmolのシクロヘキサン溶液を調製した。そして、乾燥させ、窒素置換した容量900mLの耐圧ガラス容器に、これらの溶液を加えて、反応混合物を調製した後、撹拌しながらn−ブチルリチウム(n−BuLi)0.57mmolをこの混合物に加えて、重合反応を開始させた。50℃で4.5時間撹拌を続けたところ、重合転化率は約100%となった。そして、5%の2,6−ジ−t−ブチルパラクレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液0.5mlを加えて、重合反応を停止させた。その後、常法に従った回収及び乾燥により、変性共役ジエン系重合体であるBR2(末端にアミノ基を有する重合体)を得た。
窒素置換された5Lオートクレーブに、窒素下、シクロヘキサン1.4kg、1,3−ブタジエン250g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン(0.0285mmol)シクロヘキサン溶液として注入し、これに2.85mmolのn−ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、攪拌装置を備えた50℃温水浴中で4.5時間重合を行なった。1,3−ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。この重合体溶液を、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1.3gを含むメタノール溶液に抜き取り重合を停止させた後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、ポリブタジエンを得た。得られた重合体溶液を、重合触媒を失活させることなく、温度50℃に保ち、一級アミノ基が保護されたN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1129mg(3.364mmol)を加えて、変性反応を15分間行った。最後に反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒及び保護された一級アミノ基の脱保護を行い、110℃に調温された熟ロールによりゴムを乾燥し、変性共役ジエン系重合体であるBR3(末端にアミノ基及びケイ素を有する重合体)を得た。
(1)触媒の調整
乾燥・窒素置換された、ゴム栓付き容積約100mlのガラス瓶に、以下の順番に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(15.2重量%)7.11g、ネオジムネオデカノエートのシクロヘキサン溶液(0.56M)0.59ml、メチルアルミノキサンMAO(東ソーアクゾ製PMAO)のトルエン溶液(アルミニウム濃度として3.23M)10.32ml、水素化ジイソブチルアルミ(関東化学製)のヘキサン溶液(0.90M)7.77mlを投入し、室温で2分間熟成した後、塩素化ジエチルアルミ(関東化学製)のヘキサン溶液(0.95M)1.45mlを加えて、室温で時折撹拌しながら15分間熟成した。こうして得られた触媒溶液中のネオジムの濃度は、0.011M(モル/リットル)であった。
(2)中間重合体の製造
乾燥・窒素置換された、ゴム栓付き容積約900mlのガラス瓶に、乾燥精製された1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液及び乾燥シクロヘキサンを各々装入し、1,3−ブタジエン12.5質量%のシクロヘキサン溶液が400g投入された状態とした。次に、(1)において調整した触媒溶液2.28ml(ネオジム換算0.025mmol)を投入し、50℃温水浴中で1.0時間重合を行い、中間重合体を製造した。得られた重合体のミクロ構造は、シス−1,4−結合95.5%、トランス−1,4−結合含有量3.9%、ビニル結合含有量0.6%であつた。これらのミクロ構造は、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)によって求めた。
(3)第1次変性処理
第1次変性剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPMOS)のヘキサン溶液(1.0M)として、GPMOSがネオジムに対して23.5モル当量になるよう前記(2)で得た重合液に投入し、50℃で60分間処理することにより、第1次の変性を行った。
(4)第2次変性以降の処理
続いて、縮合促進剤として、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ(BEHAS)のシクロヘキサン溶液(1.01M)を1.76ml(70.5eq/Nd相当)と、イオン交換水32μl(70.5eq/Nd相当)を投入し、50℃温水浴中で1.0時間処理した。その後、重合系に老化防止剤2,2−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)のイソプロパノール5%溶液2mlを加えて反応の停止を行い、更に微量のNS−5を含むイソプロパノール中で再沈殿を行い、ドラム乾燥することにより変性BRを得た。得られたBRのムーニー粘度ML1+4(100℃)を、(有)東洋精機製作所製のRLM−01型テスターを用いて100℃で測定したところ、93であった。変性後のミクロ構造も中間重合体のミクロ構造と同様であった。
スチレンブタジエンゴム(SBR)として、旭化成ケミカルズ(株)社製 品名:TUFDENE 3835(ポリマー100質量部に対してオイル37.5質量部を含む)を用いた。
低軟化点樹脂の軟化点は、JIS K−2207 6.4 軟化点試験方法(環球法)に準拠した方法により測定した。
表1〜4に示す配合割合のゴム組成物を調製し、該ゴム組成物をタイヤのトレッドの作製に用いて、表5に示すサイズのタイヤを作製した。得られたタイヤを、リム幅3.50インチのリムにリム組みして、内圧250kPaの条件下で空気入れしたタイヤをフロントタイヤとした。
サイズ180/55ZR17のタイヤをリム幅5.50インチのリムにリム組みして、内圧290kPaの条件下で空気入れしたタイヤをリアタイヤとした。
(1)乾燥路面でのグリップ性試験
乾燥路のコース上において、テストライダーが、様々な走行を行い、走行中のタイヤのグリップ性についてフィーリング評価を行った。評価結果を表1〜4に示す。
表1〜3の実施例1〜4、8〜22、参考例5〜7、及び比較例1〜6では、実施例1の評価結果を10点満点で6.0として、相対評価となる指数を算出した。
表4の比較例7〜9については、比較例7の評価結果を10点満点で6.0として、相対評価となる指数を算出した。
表4の実施例23〜25については、実施例23の評価結果を10点満点で6.0として、相対評価となる指数を算出した。
表4の実施例26〜28については、実施例26の評価結果を10点満点で6.0として、相対評価となる指数を算出した。
表4の比較例10〜12については、比較例10の評価結果を10点満点で6.0として、相対評価となる指数を算出した。
指数が大きいほどタイヤの乾燥路面でのグリップ性が大きいことを示す。
(2)湿潤路面でのグリップ性試験
湿潤路のコース上において、テストライダーが、様々な走行を行い、走行中のタイヤのグリップ性についてフィーリング評価を行った。評価結果を表1〜4に示す。
表1〜3の実施例1〜4、8〜22、参考例5〜7、及び比較例1〜6では、実施例1の評価結果を10点満点で6.0として、相対評価となる指数を算出した。
表4の比較例7〜9については、比較例7の評価結果を10点満点で6.0として、相対評価となる指数を算出した。
表4の実施例23〜25については、実施例23の評価結果を10点満点で6.0として、相対評価となる指数を算出した。
表4の実施例26〜28については、実施例26の評価結果を10点満点で6.0として、相対評価となる指数を算出した。
表4の比較例10〜12については、比較例10の評価結果を10点満点で6.0として、相対評価となる指数を算出した。
指数が大きいほどタイヤの湿潤路面でのグリップ性が大きいことを示す。
(3)耐摩耗性試験
舗装路面のテストコースにおいて、テストライダーが車両を80km/時で3500km走行させた。そして、走行後の残溝の量を計測し、該残溝の量からタイヤの耐摩耗性を評価した。評価結果を表1〜4に示す。
表1〜3の実施例1〜4、8〜22、参考例5〜7、及び比較例1〜6では、実施例1の評価結果を100とした相対評価となる指数を算出した。
表4の比較例7〜9については、比較例7の評価結果を100とした相対評価となる指数を算出した。
表4の実施例23〜25については、実施例23の評価結果を100とした相対評価となる指数を算出した。
表4の実施例26〜28については、実施例26の評価結果を100とした相対評価となる指数を算出した。
表4の比較例10〜12については、比較例10の評価結果を100とした相対評価となる指数を算出した。
指数が大きいほど耐摩耗性が高いことを示す。
(4)評価基準
表1〜3の実施例1〜4、8〜22、参考例5〜7、及び比較例1〜6については、「乾燥路面でのグリップ性の数値と湿潤路面でのグリップ性の数値との合計が8以上であり、且つ、耐摩耗性が80以上である」との条件を満たすか否かで評価する。かかる条件を満たすと、好適と評価できる。
一方、表4の比較例7〜9については、比較例7の結果を基準として、乾燥路面でのグリップ性、湿潤路面でのグリップ性および耐摩耗性の各性能について優劣を評価する。
一方、表4の実施例23〜25については、実施例23の結果を基準として、乾燥路面でのグリップ性、湿潤路面でのグリップ性および耐摩耗性の各性能について優劣を評価する。
一方、表4の実施例26〜28については、実施例26の結果を基準として、乾燥路面でのグリップ性、湿潤路面でのグリップ性および耐摩耗性の各性能について優劣を評価する。
一方、表4の比較例10〜12については、比較例10の結果を基準として、乾燥路面でのグリップ性、湿潤路面でのグリップ性および耐摩耗性の各性能について優劣を評価する。
*2(SBR1):旭化成ケミカルズ社製、型番・品名:TUFDENE 3835(TUFDENE 3835は、ポリマー100質量部に対してオイルを37.5質量部含む。表1〜4では、ポリマーの質量部を記載している)
*3(シリカ):東ソー・シリカ社製、型番・品名:ニップシール AQ
*4(カーボンブラック):旭カーボン社製、型番・品名:ASAHI#105
*5(シランカップリング剤):信越化学工業社製、型番・品名:ABC−856
*6(樹脂1):アイレックス社製、型番・品名:ハイロジンS
*7(樹脂2):JX日鉱日石エネルギー社製、型番・品名:日石エネポリマー140
*8(樹脂3):BASF社製、型番・品名:KORESIN
*9(樹脂4):JX日鉱日石エネルギー社製、型番・品名:日石ネオポリマー 170S
*10(オイル):JX日鉱日石エネルギー社製、型番・品名:A/O MIX
これにポリマー中の油展分を合わせた重量部を表中に記載
*11(酸化亜鉛):ハクスイテック社製、型番・品名:酸化亜鉛2種
*12(老化防止剤 6C):住友化学社製、型番・品名:アンチゲン 6C
*13(加硫促進剤(DPG)):住友化学社製、型番・品名:ソクシノール D
*14(加硫促進剤(CZ)):大内新興化学工業社製、型番・品名:ノクセラーCZ−G
比較例2、3と、実施例1、8、9とを比較することにより、シリカを含む充填剤を40〜140質量部含むことが、本発明の効果を得るために必要であることが示された。
比較例4と、実施例1、16、17とを比較することにより、軟化点が145℃以下の低軟化点樹脂を用いることが、本発明の効果を得るために必要であることが示された。
比較例5、6と、実施例1、18、19とを比較することにより、軟化点が145℃以下の低軟化点樹脂の含量が、ゴム成分100質量部に対して5〜40質量部であることが、本発明の効果を得るために必要であることが示された。
比較例7〜12と実施例1、23〜28とを比較することにより、(LA−LB)/Xが、0.277〜0.350であることが、本発明の効果を得るために必要であることが示された。
実施例1、4及び参考例5〜7で比較することにより、変性共役ジエン系重合体が多いと、耐摩耗性が向上することが示された。
実施例10〜15で比較することにより、充填剤中のシリカ比率が20〜95質量%であると、グリップ性と耐摩耗性とが両立することが示された。
実施例1、20〜22で比較することにより、オイルがゴム成分100質量部に対して50質量部以下で含まれると、グリップ性が優れることが示された。
比較例7〜12及び実施例23〜28では、3種類の配合(配合A、配合B、配合C)の何れかで、4種類の形状((LA−LB)/Xの値が0.258、0.290、0.347、0.371のタイヤ形状)のタイヤを作製して、タイヤ性能を評価した。(LA−LB)/Xの値が0.277〜0.350の範囲外のタイヤ(比較例7〜9及び比較例10〜12)では、配合B及び配合Cのタイヤで、乾燥路面でのグリップ性は向上したが耐摩耗性が大きく低下した。一方、(LA−LB)/Xの値が0.277〜0.350の範囲内のタイヤ(実施例23〜25及び実施例26〜28)では、乾燥路面でのグリップ性と耐摩耗性とが両立した。したがって、(LA−LB)/Xが、0.277〜0.350であることが、本発明の効果を得るために必要であることが示された。なお、(LA−LB)/Xが0.300〜0.350の範囲内である実施例(実施例27、28)では、(LA−LB)/Xが0.300〜0.350の範囲外である実施例(実施例24、25)よりも、トレッドのグリップ性と耐摩耗性とがより高く両立した。
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 リム
6 カーカス
7 タイヤの回転中心
8 トレッド
Claims (6)
- トレッド表面のタイヤ幅方向の中心位置A、及び前記タイヤ幅方向に前記トレッド表面のペリフェリに沿って、前記中心位置Aから、ペリフェリ長さ1/4だけ離隔した位置Bのそれぞれの位置から、タイヤ回転軸Pに対して垂線を引いた際の各垂線の長さをそれぞれLA、LBとし、
前記位置Aとタイヤの回転中心とを結ぶ垂線に対して前記位置Bから垂線を引いた際の直交点の位置を位置Cとし、前記位置Bと前記位置Cとの間の長さをXとするときに、
(LA−LB)/Xが、0.277〜0.350であり、
変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対して、シリカを含む充填剤40〜140質量部、及び軟化点が145℃以下の低軟化点樹脂5〜40質量部を含み、前記ゴム成分中の前記変性共役ジエン系重合体が10〜40質量%であり、前記充填剤中のシリカ比率が20質量%以上50質量%未満である、ゴム組成物を用いて得られたトレッドを有することを特徴とする、タイヤ。 - 前記ゴム成分中の前記変性共役ジエン系重合体が15〜30質量%である、請求項1に記載のタイヤ。
- 前記(LA−LB)/Xが、0.300〜0.350である、請求項1又は2に記載のタイヤ。
- 前記充填剤が、カーボンブラックを含み、前記充填剤中のカーボンブラック比率が、50〜80質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記変性共役ジエン系重合体の変性官能基が、窒素原子、ケイ素原子及び酸素原子からなる群から選択される少なくとも1種の原子を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記タイヤが、二輪車用タイヤである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤ。
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