JPWO2017159602A1 - オキシメチレン共重合体の製造方法 - Google Patents

オキシメチレン共重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、酸化による劣化が生じ難く、製品からのホルムアルデヒド発生量、特に高温多湿の環境下で長時間保管した際の製品からのホルムアルデヒド発生量が低減し、成形時のモールドデポジットの発生が少ないオキシメチレン共重合体の製造方法を提供する。具体的に、特定量の酸触媒の存在下、トリオキサン及びコモノマーを含む重合原料を反応させる工程1と、前記工程1で得られる生成物に、下記一般式(1)で表されるヒドロキシルアミン化合物を前記酸触媒に対して1〜20倍モル添加して混合する工程2と、前記工程2で得られる、前記生成物と前記ヒドロキシルアミン化合物の混合物を更に溶融混練する工程3とを含む、オキシメチレン共重合体の製造方法を提供する。(式中、R1及びR2は、特許請求の範囲及び明細書に記載のとおりである。)

Description

本発明は、オキシメチレン共重合体の製造方法に関する。
オキシメチレン共重合体は、機械的、化学的、物理的、及び電気的な特性に優れるため、種々の産業分野で広く使用されている。一般に、オキシメチレン共重合体は、酸性の重合触媒(酸触媒)の存在下、トリオキサンと、アルキレンオキシドや環状ホルマールなどのコモノマーとを、重合させることによって製造される。重合反応により得られる粗オキシメチレン共重合体は、解重合反応を抑制するために、通常は、失活剤を添加して酸触媒を失活させている。
酸触媒の失活方法については、従来から種々の方法が提案されている。例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、水酸化カルシウム等の塩基性中和剤を含む水溶液又は有機溶媒溶液と接触させ、酸触媒を失活させる方法を提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この方法は、粗オキシメチレン共重合体に対して同重量以上の多量の失活剤溶液を用いるため、失活剤溶液と粗オキシメチレン共重合体の分離や、溶媒回収工程が必要となり、触媒失活工程が非常に複雑になってしまい、工業的に有利な方法とは言い難い。
また、粗オキシメチレン共重合体に対して少量の失活剤を添加する方法として、例えば、三級ホスフィン化合物の有機溶媒溶液を失活剤として用いる方法や、特定のヒンダードアミン化合物の有機溶媒溶液を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。しかし、失活剤を添加して酸触媒を失活させたオキシメチレン共重合体であっても、単独では熱安定性に乏しく、共重合体末端からの解重合反応や熱分解反応による主鎖切断によって、容易に分解することが知られている。また、解重合反応や熱分解反応で生じたホルムアルデヒドがさらに酸化されてギ酸が生成し、オキシメチレン共重合体の分解反応が促進されることも知られている。そのため、上述した解重合反応や熱分解反応を抑制する目的で、オキシメチレン共重合体に対して、通常、立体障害性フェノールやヒドロキシルアミンなどの酸化防止剤、アミン置換トリアジン化合物やヒンダードアミンなどの耐熱安定剤等を添加、溶融混練し、オキシメチレン共重合体組成物(ポリアセタール樹脂組成物)として市販されている(例えば、特許文献4、5参照)。
特公平2−035772号公報 特開2000−290334号公報 特開平8−208784号公報 国際公開第2013/094393号公報 特開2010−70222号公報
しかし、上述した方法で得られるオキシメチレン共重合体であっても、酸化による劣化、製品からのホルムアルデヒドの発生、特に高温多湿の環境下で長時間保管した際の製品からのホルムアルデヒド発生量の増加、成形時のモールドデポジット(以下、「MD」ともいう)発生などの課題が残っており、市場ではさらなる改善が求められている。
すなわち、本発明の課題は、酸化による劣化が生じ難く、製品からのホルムアルデヒド発生量、特に高温多湿の環境下で長時間保管した際の製品からのホルムアルデヒド発生量が低減し、成形時のモールドデポジットの発生が少ないオキシメチレン共重合体の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、特定量の酸触媒の存在下、トリオキサン及びコモノマーを含む重合原料を重合させて得られる生成物に、特定のヒドロキシルアミン化合物を前記酸触媒に対して1〜20倍モル添加して、混合し、更に溶融混練することによって、酸化による劣化が生じ難く、製品からのホルムアルデヒド発生量、特に高温多湿の環境下で長時間保管した際の製品からのホルムアルデヒド発生量が低減し、成形時のモールドデポジットの発生が少ないオキシメチレン共重合体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下である。
[1] トリオキサン1モルに対して1.0×10−5モル以上、1.0×10−4モル以下の酸触媒の存在下、トリオキサン及びコモノマーを含む重合原料を重合させる工程1と、前記工程1で得られる生成物に、下記一般式(1):
Figure 2017159602

(式中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20の有機基である)
で表されるヒドロキシルアミン化合物を前記酸触媒に対して1〜20倍モル添加して混合する工程2と、前記工程2で得られる、前記生成物と前記ヒドロキシルアミン化合物の混合物を更に溶融混練する工程3とを含む、オキシメチレン共重合体の製造方法。
[2] 前記ヒドロキシルアミン化合物が、R及びRが、各々独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアリールアルキル基であるヒドロキシルアミン化合物である、[1]に記載のオキシメチレン共重合体の製造方法。
[3] 前記ヒドロキシルアミン化合物がN,N−ジエチルヒドロキシルアミンである、[1]又は[2]に記載のオキシメチレン共重合体の製造方法。
[4] 前記工程2で添加するヒドロキシルアミン化合物の量が、前記酸触媒に対して1〜5倍モルである、[1]〜[3]のいずれかに記載のオキシメチレン共重合体の製造方法。
[5] 前記酸触媒が、三フッ化ホウ素二水和物、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラートからなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[4]のいずれかに記載のオキシメチレン共重合体の製造方法。
[6] 前記コモノマーが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、1,3−ジオキソラン、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、及び1,6−ヘキサンジオールホルマールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[5]のいずれかに記載のオキシメチレン共重合体の製造方法。
[7] 前記オキシメチレン共重合体が、オキシメチレン基と炭素数が2以上のオキシアルキレン基とを含有し、前記オキシメチレン共重合体に含まれる、炭素数が2以上のオキシアルキレン基の含有量が、オキシメチレン基のモル量と前記オキシアルキレン基のモル量の合計100モルに対して0.4モル以上、15モル以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載のオキシメチレン共重合体の製造方法。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法によって得られたオキシメチレン共重合体であって、オキシメチレン共重合体中の前記ヒドロキシルアミン化合物の含有量が5質量ppm以上、2000質量ppm以下である、オキシメチレン共重合体。
[9] 酸触媒の存在下、トリオキサン及びコモノマーを含む重合原料を重合させる工程1と、前記工程1で得られる生成物に、下記一般式(1):
Figure 2017159602

(式中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20の有機基である)
で表されるヒドロキシルアミン化合物を添加して混合する工程2と、前記工程2で得られる前記生成物と前記ヒドロキシルアミン化合物の混合物を更に溶融混練する工程3とを含み、前記ヒドロキシルアミン化合物が前記酸触媒の失活剤として添加され、工程2及び工程3で前記酸触媒の失活が行われる、オキシメチレン共重合体の製造方法。
本発明のオキシメチレン共重合体の製造方法によれば、酸化による劣化が生じ難く、製品からのホルムアルデヒド発生量、特に高温多湿の環境下で長時間保管した際の製品からのホルムアルデヒド発生量が低減し、成形時のモールドデポジットの発生が少ないオキシメチレン共重合体を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明のオキシメチレン共重合体の製造方法は、特定量の酸触媒の存在下、トリオキサン及びコモノマーを含む重合原料を重合させる工程1と;前記工程1で得られる生成物に、後述する一般式(1)で表されるヒドロキシルアミン化合物を前記酸触媒に対して1〜20倍モル添加して混合する工程2と;前記工程2で得られる、前記生成物と前記ヒドロキシルアミン化合物の混合物を更に溶融混練する工程3とを含む。このようにして、オキシメチレン共重合体を製造することにより、酸化による劣化が生じ難く、製品からのホルムアルデヒド発生量、特に高温多湿の環境下で長時間保管した際の製品からのホルムアルデヒド発生量が低減し、成形時のモールドデポジットの発生が少ないオキシメチレン共重合体を得ることができる。なお、以下にその理由を述べるが、それに限定されるものではない。
本発明のオキシメチレン共重合体の製造方法は、工程2において、工程1で得られた生成物に、後述する一般式(1)で表されるヒドロキシルアミン化合物を前記酸触媒に対して1〜20倍モル添加・混合することで、前記ヒドロキシルアミン化合物が、工程1で用いた酸触媒の失活剤として作用すると同時に工程1で得られた生成物の酸化防止剤として作用すると考えられる。これにより、工程1で生成した生成物の解重合が抑えられ、未反応原料由来のホルムアルデヒドやヘミホルマール末端基由来のホルムアルデヒドの酸化によるギ酸の生成及びギ酸が引き起こす分解反応が抑制されると推察される。また、工程3において、工程2で得られた前記生成物と前記ヒドロキシルアミン化合物の混合物を更に溶融混練することで、工程1で用いた酸触媒の失活が更に進み、同時に酸化防止剤としての作用も増すと考えられる。これにより、工程1で生成した生成物の解重合が更に抑えられ、未反応原料由来のホルムアルデヒドやヘミホルマール末端基由来のホルムアルデヒドの酸化によるギ酸の生成及びギ酸が引き起こす分解反応もより抑制されると推察される。
このように、添加・混合及び溶融混錬の両工程において、後述する一般式(1)で表されるヒドロキシルアミン化合物が、工程1で用いた酸触媒の失活剤として作用し、同時に酸化防止剤として作用すると考えられるので、酸化による劣化(以下、「酸化劣化」ともいう)が少なく、製品からのホルムアルデヒド発生量が少ないオキシメチレン共重合体が得られる。また、前記ヒドロキシルアミン化合物は、失活剤、酸化防止剤としての作用のほかにホルムアルデヒド捕捉剤として同時に作用するので、例えば、製品からのホルムアルデヒド発生量、特に高温多湿の環境下で長時間保管した際のホルムアルデヒド発生量が少ないオキシメチレン共重合体が効果的に得られる。さらに、前記ヒドロキシルアミン化合物を用いると、成形時にヒドロキシルアミン化合物自体がMD(モールドデポジット)として析出しにくいため、成形時の金型汚染が少ないオキシメチレン共重合体が得られる。
≪オキシメチレン共重合体≫
まず、本発明のオキシメチレン共重合体の製造方法によって得られる、オキシメチレン共重合体について説明する。本発明のオキシメチレン共重合体は、上述した工程1〜3を実施することによって得られる共重合体であり、通常、オキシメチレン基(−OCH−)と炭素数が2以上のオキシアルキレン基を構成単位として含有する高分子化合物である。炭素数が2以上のオキシアルキレン基は特に限定されず、例えば、オキシエチレン(−OCHCH−)基、オキシプロピレン(−OCH(CH)CH−)基、オキシブチレン(−OCHCHCHCH−)基等が挙げられる。なかでも、オキシエチレン基(−OCHCH−)が、炭素数が2以上のオキシアルキレン基として特に好ましい。
オキシメチレン共重合体に含まれる炭素数が2以上のオキシアルキレン基の含有量は、特に限定されないが、オキシメチレン基のモル量とオキシアルキレン基のモル量の合計100モルに対して、0.4モル以上、15モル以下であることが好ましく、0.4モル以上、10モル以下であることがより好ましく、0.4モル以上、5.0モル以下であることが特に好ましい。
本発明の製造方法で得られるオキシメチレン共重合体は、後述する一般式(1)で表されるヒドロキシルアミン化合物を含む。また、後述するように、本発明の目的を損なわない範囲内で添加された任意成分を、場合により含みうる。したがって、得られるオキシメチレン共重合体は、オキシメチレン共重合体組成物であるが、本発明の「オキシメチレン共重合体」には、オキシメチレン共重合体組成物も含まれるものとする。
オキシメチレン共重合体中のヒドロキシルアミン化合物の含有量は、5質量ppm以上、2000質量ppm以下であることが好ましく、5質量ppm以上、500質量ppm以下であることがさらに好ましく、5質量ppm以上、100質量ppm未満であることが特に好ましい。なお、ここでいうヒドロキシルアミン化合物の含有量は、オキシメチレン共重合体中に含まれる、フリーのヒドロキシルアミン化合物、酸触媒と塩の形で存在するヒドロキシルアミン化合物、ホルムアルデヒドとヒドロキシルアミン化合物とが反応してできる生成物の、合計含有量(ヒドロキシルアミン化合物換算量)である。ヒドロキシルアミン化合物の含有量の測定方法は特に限定されるものではないが、例えば、全窒素計(TN計)で測定できる。
本発明の製造方法で得られるオキシメチレン共重合体は、酸化による劣化(酸化劣化)が少ないという特徴を有する。酸化劣化のしやすさは、例えば、空気雰囲気下で溶融混練した場合のMI値(メルトインデックス)と窒素等の不活性ガス雰囲気下で溶融混練した場合のMI値の差分(ΔMI値)で知ることができる。ここで、ΔMI値=(空気雰囲気下で溶融混練した場合のMI値)−(不活性ガス雰囲気下で溶融混練した場合のMI値)、である。ΔMI値が小さいほど、酸化劣化が少なく、優れる。ΔMI値は、本明細書の実施例で説明する方法で測定できる。実施例に記載の方法で測定したΔMI値は、1.0未満であることが好ましい。
本発明の製造方法で得られるオキシメチレン共重合体は、製品からのホルムアルデヒド発生量、特に高温多湿の環境下で長時間保管した際の製品からのホルムアルデヒド発生量が少ないという特徴がある。製品からのホルムアルデヒド発生量は、例えば、120℃3時間熱風乾燥させた試料を、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーを用いて熱処理をした際のホルムアルデヒド発生量を定量することで評価でき、製造直後のオキシメチレン共重合体のホルムアルデヒド発生量の評価として用いられる。一方、高温多湿の環境下で長時間保管した際のホルムアルデヒド発生量は、例えば、温度80℃、相対湿度95%の条件下で96時間加湿処理した試料を、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーを用いて熱処理をした際のホルムアルデヒド発生量を定量することで評価でき、加湿処理後のオキシメチレン共重合体のホルムアルデヒド発生量の評価として用いられる。本明細書の実施例で説明する方法で定量される、製造直後及び加湿処理後のオキシメチレン共重合体のホルムアルデヒド発生量は、製造直後においては80質量ppm未満が好ましく、加湿処理後においては110質量ppm未満が好ましい。
本発明の製造方法で得られるオキシメチレン共重合体は、成形時のMDが少ないという特徴がある。MDの量は、例えば、射出成形機を用いて4000ショット連続成形した後に、金型を拡大観察することで評価できる。
≪オキシメチレン共重合体の製造方法≫
次に、本発明のオキシメチレン共重合体の製造方法について詳細に説明する。
(工程1)
本発明のオキシメチレン共重合体の製造方法は、特定量の酸触媒の存在下、トリオキサン及びコモノマーを含む重合原料を重合させる工程1を含む。
<トリオキサン>
トリオキサン(1,3,5−トリオキサン)は、ホルムアルデヒドの環状3量体である。本発明のオキシメチレン共重合体の製造に用いることができるトリオキサンは、ホルムアルデヒドの環状3量体であれば特に限定されず、市販品でもよく、従来公知の製造方法により製造されたものでもよい。また、トリオキサンの製造方法も特に限定されるものではない。また、トリオキサンは、重合反応を著しく阻害しない限り、安定剤としてアミン類を含有していてもよい。安定剤としてのアミン類の含有量は、トリオキサン1モルに対して、通常0.00001〜0.003ミリモルであり、好ましくは0.00001〜0.0005ミリモルであり、特に好ましくは0.00001〜0.0003ミリモルである。
前記アミン類は、特に限定されるものではなく、一級アミン、二級アミン、三級アミン、トリエタノールアミンなどのアルコール性水酸基を分子内に有するアミン化合物が挙げられる。ここで、アルコール性水酸基とは、芳香族炭化水素、カルボニル基以外の炭素原子に直接結合した水酸基を意味する。なかでも、トリエタノールアミンが好ましい。
トリオキサンは、工業的に製造する際に不可避的に発生する不純物として、水、ギ酸、メタノール、ホルムアルデヒドを含むことがあるが、これらの不純物を含むトリオキサンも使用できる。その場合、トリオキサン中の水、ギ酸、メタノール、ホルムアルデヒド量は、総量で、トリオキサン中500質量ppm以下であることが好ましく、450質量ppm以下であることがより好ましく、400質量ppm以下であることが特に好ましい。中でも、水の含有量は、200質量ppm以下であることが好ましく、100質量ppm以下がより好ましく、50質量ppm以下が特に好ましい。
<コモノマー>
コモノマーは、オキシメチレン共重合体に、炭素数が2以上のオキシアルキレン基を構成単位として導入することができるものであれば特に限定されないが、例えば、環状エーテル、グリシジルエーテル化合物、環状ホルマールが挙げられる。そのなかで、炭素数が2〜10のコモノマー、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、1,3−ジオキソランなどの環状エーテル;メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル化合物;及びプロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマールなどの環状ホルマールからなる群より選ばれる1種類以上が好ましい。その中でも、エチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマールが好ましく、1,3−ジオキソランが特に好ましい。前記コモノマーは1種類を単独で、又は2種類以上を併用して、使用できる。コモノマーは、オキシメチレン共重合体中の炭素数が2以上のオキシアルキレン基を構成するために使用される。
重合原料におけるコモノマーの含有量は、トリオキサン100質量部に対して、通常1〜50質量部であり、好ましくは1〜30質量部であり、特に好ましくは1〜13質量部である。
<酸触媒>
酸触媒としては特に限定されず、例えば、オキシメチレン共重合体の製造に使用できるカチオン性触媒を用いることができる。このようなカチオン性触媒としては、ルイス酸を用いることが好ましい。ルイス酸としては、例えば、三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五塩化リン、五フッ化リン、五フッ化ヒ素、及び五フッ化アンチモンなどのルイス酸、並びにこれらルイス酸の錯化化合物または塩化化合物挙げられ、中でも三フッ化ホウ素を含む化合物が好ましく、三フッ化ホウ素二水和物やエーテル類との配位錯体である三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラートが特に好ましい。これらの酸触媒は、1種類を単独で、又は2種類以上を併用して使用できる。
酸触媒、特にBF・OEtの使用量は、トリオキサンの使用量1モルに対して、通常1.0×10−5モル以上、1.0×10−4モル以下の範囲であり、1.0×10−5モル以上、7.0×10−5モル以下が好ましく、2.0×10−5モル以上、5.0×10−5モル以下が特に好ましい。酸触媒の使用量を、上述した範囲の上限値以下とすることで、得られるオキシメチレン共重合体中の、熱分解されやすいヘミアセタール末端基(−O−CH−OH)や、加水分解されやすいギ酸エステル末端基(−O−CH=O)等がより少なくなり、さらに酸触媒の失活がより容易で、加熱された際に解重合反応が起こり難くなる。一方、酸触媒の使用量を上述した範囲の下限値以上とすることで、重合反応が十分に進まないことによるトリオキサンのロスを低減出来ると共に、未反応のトリオキサンと生成物(オキシメチレン共重合体)との分離や未反応のトリオキサンの回収に必要なエネルギーを低減出来ることから経済的に有利となる。
<重合反応>
工程1における重合反応の形式は、特に限定されるものではなく、従来公知のオキシメチレン共重合体の製造方法と同様の形式で行うことができる。すなわち、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、又は溶融重合のいずれであってもよいが、塊状重合が特に好ましい。
重合反応に用いられる重合装置は特に限定されないが、例えば、塊状重合の場合、バッチ式ではオキシメチレン共重合体の製造において一般的に用いられる撹拌機付きの反応槽が、連続式ではコニーダー、2軸スクリュー式連続押出混合機、2軸パドルタイプの連続混合機など、これまでに提案されているトリオキサン等の連続重合装置が使用可能であり、また複数の重合機を組み合わせて使用することもできる。
重合反応の温度は特に限定されるものではなく、通常、60〜120℃である。重合反応時の圧力は特に限定されるものではないが、大気圧を100kPaとした場合、絶対圧で99.0〜101.00kPaの範囲が好ましい。重合反応の時間(重合装置内の滞留時間)は特に限定されるものではなく、通常、2〜30分である。
また、工程1における重合反応の際、得られるオキシメチレン共重合体の分子量を調節するために、分子量調節剤を添加してもよい。分子量調節剤の種類は、特に限定されないが、例えば、メチラール、メトキシメチラール、ジメトキシメチラール、トリメトキシメチラール、オキシメチレンジ−n−ブチルエーテルが挙げられる。中でも、メチラールが好ましい。分子量調節剤の添加量は、目標とするオキシメチレン共重合体の分子量に応じて、重合原料中のトリオキサンとコモノマーの全質量に対して、0質量%以上、0.1質量%以下の範囲で調整される。
また、工程1で使用されるトリオキサン、コモノマー、酸触媒、分子量調節剤の、重合装置への供給方法や添加方法は特に限定されないが、これらの一部若しくは全量を予め液相状態を保ちつつ十分に混合し、得られた重合原料の混合液を重合装置に供給して重合反応を行う方法が、重合反応に必要な触媒量の低減が可能であり、結果としてオキシメチレン共重合体のホルムアルデヒドの発生量が低減されるので好ましい。
また、工程1において酸触媒は、有機溶媒で希釈して添加することが、酸触媒を反応系に均一に分散させることができるので好ましい。有機溶媒は、重合反応を著しく阻害しない溶媒であれば特に限定されず、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、及びn−ブチルエーテルなどのエーテル類;ベンゼン、及びトルエンなどの芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、及びシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;並びにジクロロメタン、及び1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類が挙げられる。
工程1で得られる生成物の収率(重合反応における反応率)は、特に限定されないが、好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上であり、これらの収率になるように、酸触媒量や重合反応の時間等を制御することが好ましい。生成物の収率を92%以上とすることにより、未反応原料の回収のためのエネルギー消費を削減することが可能となる。
(工程2)
本発明のオキシメチレン共重合体の製造方法は、上述した工程1で得られる生成物に、下記一般式(1)で表されるヒドロキシルアミン化合物を添加して混合する工程2を含む。
Figure 2017159602

(式中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20の有機基である。)
<重合反応の停止>
工程1で得られる生成物は、重合反応が停止していない状態であり、上記一般式(1)で表されるヒドロキシルアミン化合物を生成物に添加することにより、重合反応が停止する。すなわち、上記一般式(1)で表されるヒドロキシルアミン化合物は、工程1で使用した酸触媒の失活剤としての役割を有する。また、上述したように、酸触媒の失活剤としての作用と同時に、工程1で得られた生成物の酸化防止剤として作用すると考えられる。したがって、工程1で生成した生成物の解重合が抑えられ、未反応原料由来のホルムアルデヒドやヘミホルマール末端基由来のホルムアルデヒドの酸化によるギ酸の生成及びギ酸が引き起こす分解反応が抑制されると推察される。これにより、酸化による劣化が生じ難く、製品からのホルムアルデヒド発生量、特に高温多湿の環境下で長時間保管した際の製品からのホルムアルデヒド発生量が低減し、成形時のモールドデポジットの発生が少ないオキシメチレン共重合体を得ることができると考えられる。
重合反応の停止は、失活剤として公知のトリフェニルホスフィン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等の化合物でも可能である。しかし、これらの化合物を用いた場合、失活剤としての作用は十分であるが、酸化劣化の抑制、耐熱性及び耐湿熱性の改善、MD発生の抑制などの特性が不十分である。また、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(BASF製、登録商標、Tinuvin770)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートの混合物(BASF製、登録商標、Tinuvin765)などのヒンダードアミンのような酸化防止剤として知られる塩基性の化合物を用いた場合、これらのヒンダードアミンは失活剤として作用するが、酸化による劣化、製品からのホルムアルデヒドの発生、特に高温多湿の環境下で長時間保管した際の製品からのホルムアルデヒド発生量の増加、成形時のモールドデポジットの発生を抑制する効果は不十分である。これに対して、上記一般式(1)で表されるヒドロキシルアミン化合物を用いた場合のみ、失活剤としての作用に加えて、酸化による劣化が生じ難く、製品からのホルムアルデヒド発生量、特に高温多湿の環境下で長時間保管した際の製品からのホルムアルデヒド発生量が低減し、成形時のモールドデポジットの発生が少ないといった特徴がある。
<ヒドロキシルアミン化合物>
ヒドロキシルアミン化合物は、上述した一般式(1)で表される化合物であれば、特に限定されない。一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20の有機基である。
ここで炭素数1〜20の有機基は、例えば、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアリールアルキル基であり、またこれらの基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜19のアルコキシ基、炭素数2〜19のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜19のアルコキシカルボニルアルコキシ基及び炭素数2〜19のカルボキシアルコキシ基から選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてもよい。したがって、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアリールアルキル基であるのが好ましい。R及びRが、各々独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、又は炭素数7〜20のアリールアルキル基である(但し、R及びRは、共に、水素原子ではない)のがより好ましい。
上述したなかで、R及びRが、各々独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基又はベンジル基である(但し、R及びRは、共に、水素原子ではない)、上述した一般式(1)で表されるヒドロキシルアミン化合物が更に好ましく、R及びRが、共に、エチル基、オクタデシル基又はベンジル基である、上述した一般式(1)で表されるヒドロキシルアミン化合物が特に好ましい。上述したヒドロキシルアミン化合物は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
このようなヒドロキシルアミン化合物としては、具体的には、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N−イソプロピルヒドロキシルアミン、N,N−ビスオクタデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジベンジルヒドロキシルアミンが好ましく、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ビスオクタデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジベンジルヒドロキシルアミンがより好ましく、なかでも、N,N−ジエチルヒドロキシルアミンが、酸化による劣化が生じ難く、製品からのホルムアルデヒド発生量、特に高温多湿の環境下で長時間保管した際の製品からのホルムアルデヒド発生量が低減し、成形時のモールドデポジットの発生が少ないといった特性に優れ、入手も容易であるので特に好ましい。
また、ヒドロキシルアミン化合物は、固体状又は粉末状の形態、水溶液や有機溶媒の溶液の形態で市販されているが、いずれの形態であっても使用できる。なかでも、有機溶媒の溶液の形態で使用することが好ましい。
ヒドロキシルアミン化合物は、工程1で得られる生成物に添加され、混合される。その際、ヒドロキシルアミン化合物は、そのままの形態(固体状態又は溶液状態)で添加してもよく、有機溶媒で希釈して添加してもよい。有機溶媒で希釈する場合、有機溶媒は、重合反応を著しく阻害しない溶媒であれば特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、及びキシレンのような芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン、及びシクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;メタノール及びエタノールのような炭素数1〜3のアルコール類;クロロホルム、ジクロロメタン、及び1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;並びにアセトン及びメチルエチルケトンのようなケトン類が使用できる。
ヒドロキシルアミン化合物の添加量は、工程1における酸触媒、特にBF・OEtの使用量に対して等モル以上、20倍モル以下であることが好ましい。等モル以下の場合、酸触媒の失活が不十分となり製品からのホルムアルデヒド発生量が増加する。ヒドロキシルアミン化合物の添加量は等モル以上、20倍モル以下の範囲であれば好ましい効果が得られるが添加量が少ないほど経済面で有利となり、10倍モル以下がより好ましく、7倍モル以下であることが更に好ましく、5倍モル以下であることが特に好ましい。
<混合>
ヒドロキシルアミン化合物の添加、混合を行うための装置、添加のタイミングは特に限定されるものではなく、例えば、上述した重合機に直列に接続された、重合機と同様の仕様の混合機を使用し、ヒドロキシルアミン化合物を前記混合機の入口において添加して混合する方法が挙げられる。ヒドロキシルアミン化合物を添加して混合する際の温度は、特に限定されるものではなく、好ましくは0〜160℃、特に好ましくは0〜120℃である。また、圧力は特に限定されるものではないが、大気圧を100kPaとした場合、絶対圧で99.0〜101.0kPaの範囲が好ましい。添加後の混合を行う時間(混合機内の滞留時間)は特に限定されるものではなく、好ましくは、1〜150分、特に好ましくは1〜120分である。
(工程3)
本発明のオキシメチレン共重合体の製造方法は、上述した工程2で得られる、生成物とヒドロキシルアミン化合物の混合物を、更に溶融混練する工程3を含む。工程2で得られる、生成物と上記一般式(1)で表されるヒドロキシルアミン化合物の混合物を溶融混練することにより、工程1で使用した酸触媒の失活が進み、酸触媒は更に失活する。それと同時に、生成物とヒドロキシルアミン化合物とが溶融混練されることにより、ヒドロキシルアミン化合物の酸化防止剤としての作用も増すと考えられる。すなわち、生成物とヒドロキシルアミン化合物の混合物を溶融混練することにより、工程1で生成した生成物の解重合が更に抑えられ、また、未反応原料由来のホルムアルデヒドやヘミホルマール末端基(−O−CH−OH)由来のホルムアルデヒドの酸化によるギ酸の生成及びギ酸が引き起こす分解反応もより抑制されることにより、最終的に得られるオキシメチレン共重合体の熱安定性を向上させることができると推察される。これにより、酸化による劣化が生じ難く、製品からのホルムアルデヒド発生量、特に高温多湿の環境下で長時間保管した際の製品からのホルムアルデヒド発生量が低減し、成形時のモールドデポジットの発生が少ないオキシメチレン共重合体を得ることができると考えられる。
<溶融混練>
溶融混練を行うための装置は、工程1で得られる生成物を溶融して混練できる機能を有していれば特に限定されるものではなく、例えば、上述した重合機に直列に接続された、生成物とヒドロキシルアミン化合物の混合を行う混合機を用いて、溶融混練してもよい。溶融混練を行うための装置は、好ましくは、ベント機能を有することが好ましく、そのような装置としては、例えば、少なくとも1つのベント孔を有する単軸又は多軸の連続押出し混練機、2軸の表面更新型横型混練機などが挙げられる。これらの装置はそれぞれ単独で用いてもよく、2つ以上の装置を組み合わせて用いてもよい。
溶融混練を行う温度は、工程1で得られる生成物の融点以上であれば特に限定されず、170℃以上270℃以下の温度範囲が好ましく、190℃以上250℃以下がより好ましい。溶融混練の温度が270℃以下であれば、溶融混練中に、生成物及び溶融混練して得られるオキシメチレン共重合体の分解劣化が起こりにくい。
溶融混練を行う際の圧力は、特に限定されるものではないが、未反応原料のトリオキサン、トリオキサン由来のホルムアルデヒド成分、ヘミホルマール末端由来のホルムアルデヒドなどを除去するために、減圧下で、脱気処理と共に行うことが好ましい。減圧脱気は、上述したベント孔から行われる。したがって、溶融混練の圧力は、大気圧を100kPaとした場合、絶対圧で10〜100kPaの範囲が好ましく、10〜70kPaの範囲がより好ましく、10〜50kPaの範囲が特に好ましい。
溶融混練を行う時間(溶融混練装置内の滞留時間)は特に限定されるものではなく、好ましくは、1〜60分、特に好ましくは1〜40分である。
(任意成分)
<他の酸化防止剤、耐熱安定剤>
本発明のオキシメチレン共重合体の製造方法においては、本発明の目的を損なわない範囲内で、上記一般式(1)で表されるヒドロキシルアミン化合物以外の酸化防止剤(本明細書では「他の酸化防止剤」という)及び/又は耐熱安定剤を更に添加してもよい。添加のタイミングは、工程2、工程3のいずれであってもよく、この双方で行ってもよい。すなわち、工程2において上記一般式(1)で表されるヒドロキシルアミン化合物と同時に添加してもよく、工程3において添加してもよい。これら、他の酸化防止剤、耐熱安定剤は、1種類のみを添加してもよく、2種類以上を添加してもよい。
本発明のオキシメチレン共重合体の製造方法においては、他の酸化防止剤を添加して、上記一般式(1)で表されるヒドロキシルアミン化合物と併用することが好ましい。添加のタイミングは、工程2、工程3のいずれであってもよく、複数のタイミングで行ってもよいが、なかでも工程3において、他の酸化防止剤を添加することがより好ましい。これは、他の酸化防止剤を併用することにより、酸化劣化がより一層抑制されるからである。
他の酸化防止剤としては、特に限定されず、例えば、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。ヒンダードフェノール化合物は、特に限定されず、例えば2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルジメチルアミン、ジステアリル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2,6,7−トリオキサ−1−ホスファ−ビシクロ[2.2.2]オクト−4−イル−メチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−3,5−ジステアリル−チオトリアジルアミン、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナムアミド)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2'−チオジエチル−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。これらの中で、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が特に好ましい。これらのヒンダードフェノール化合物は、1種類を単独で、又は2種類以上を併用して使用できる。
他の酸化防止剤の添加量は特に限定されるものではないが、オキシメチレン共重合体に100質量部に対して0.01〜3.0質量部であることが好ましく、0.05〜2.0質量部であることがより好ましく、0.1〜1.0質量部であることがさらに好ましい。
本発明のオキシメチレン共重合体の製造方法においては、耐熱安定剤を添加して、上記一般式(1)で表されるヒドロキシルアミン化合物と併用することが好ましい。添加のタイミングは、工程2、工程3のいずれであってもよく、複数のタイミングで行ってもよいが、なかでも工程3において、耐熱安定剤を添加することがより好ましい。これは、耐熱安定剤を併用することにより、オキシメチレン共重合体からのホルムアルデヒドの発生がより一層抑制できるからである。
耐熱安定剤としては、特に限定されないが、例えば、アミノ置換トリアジン化合物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の、水酸化物、無機酸塩、アルコキシド、及び鉱物(例えば、ハイドロタルサイト)からなる群より選ばれる1種類以上の金属含有化合物、が挙げられる。耐熱安定剤は、1種類を単独で、又は2種類以上を併用して用いることができる。
耐熱安定剤の合計添加量は、特に限定されないが、オキシメチレン共重合体100質量部に対して0.01〜3.0質量部であることが好ましく、0.025〜2.0質量部であることがより好ましく、0.05〜1.0質量部であることが特に好ましい。
アミノ置換トリアジン化合物は、特に限定されず、例えば、グアナミン、メラミン、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、N,N’,N”−トリフェニルメラミン、N,N’,N”−トリメチロールメラミン、ベンゾグアナミン、2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ベンジルオキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブトキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−シクロヘキシル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−クロロ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−sym−トリアジン、アンメリン(2,4−ジアミノ−6−ヒドロキシ−sym−トリアジン)、N,N,N’,N’−テトラシアノエチルベンゾグアナミン、又はそれらとホルムアルデヒドとの初期重縮合物(例えば、水溶性メラミン−ホルムアルデヒド樹脂)が挙げられる。これらの中で、メラミン、メチロールメラミン、ベンゾグアナミン、水溶性メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が特に好ましい。これらのアミノ置換トリアジン化合物は、1種類を単独で、又は2種類以上を併用して使用できる。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の、水酸化物、無機酸塩、アルコキシド、及び鉱物(例えば、ハイドロタルサイト)からなる群より選ばれる1種類以上の金属含有化合物は、特に限定されない。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムが挙げられる。無機酸塩としては、炭酸塩、燐酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩などが挙げられる。アルコキシドとしては、メトキシド、エトキシドなどが挙げられる。鉱物としては、下記一般式(2)で表されるハイドロタルサイトを用いることができる。
Figure 2017159602

式(2)中、M2+は特に限定されないが、例えば、Mg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+の2価金属イオンを示す。M3+は特に限定されないが、例えば、Al3+、Fe3+、Cr3+の3価金属イオンを示す。An−は特に限定されないが、例えば、CO 2−、OH、HPO 2−、SO 2−のn価(特に1価又は2価)のアニオンを示す。xは、0<x<0.5であり、mは、0≦m<1である。
上述した他の酸化防止剤及び/又は耐熱安定剤の添加方法は、特に限定されないが、例えば、工程2において上記一般式(1)で表されるヒドロキシルアミン化合物と共に混合機に供給する方法、工程3の溶融混練の直前に、工程2で得られる生成物とヒドロキシルアミン化合物の混合物と、上述した他の酸化防止剤及び/又は耐熱安定剤とを、ミキサーやタンブラー型ブレンダ―などを用いて混合する方法、工程3において溶融混練装置に上述した他の酸化防止剤及び/又は耐熱安定剤を供給する方法、が挙げられる。
<その他の添加してもよい成分>
本発明のオキシメチレン共重合体の製造方法においては、上述した他の酸化防止剤及び/又は耐熱安定剤の他に、本発明の目的を損なわない範囲内で、公知の添加剤及び/又は充填剤を更に添加することが可能である。添加剤としては離型剤、帯電防止剤、耐侯安定剤、蛍光増白剤、核化剤等が挙げられる。
離型剤を添加することにより、オキシメチレン共重合体の離型性を向上させることができる。そのような離型剤は、特に限定されないが、ポリアルキレングリコール、ポリエチレン、シリコーンオイル、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、又は炭素数10以上の長鎖を有する高級脂肪酸アミドが好ましい。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組合せて用いてもよい。
離型剤の添加量は、本発明の目的を損なわない範囲内であれば特に限定されるものではなく、オキシメチレン共重合体100質量部に対して0.01〜3.0質量部であることが好ましく、0.05〜2.5質量部であることがより好ましく、0.05〜2.0質量部であることが特に好ましい。
核化剤を添加することで、成形性の向上や成形サイクルの短縮させることができる。核化剤は、特に限定されないが、窒化ホウ素、含水ケイ酸マグネシウム、3次元架橋ポリアセタールが好ましい。
核化剤の添加量は、本発明の目的を損なわない範囲内であれば特に限定されるものではなく、オキシメチレン共重合体100質量部に対して0.001〜3.0質量部であることが好ましく、0.002〜2.5質量部であることがより好ましく、0.003〜2.0質量部であることが特に好ましい。
蛍光増白剤を添加することで、オキシメチレン共重合体の白度を向上させることができる。蛍光増白剤としては、特に限定されないが、例えば、クマリン系蛍光増白剤、ベンズオキサゾール系蛍光増白剤が挙げられる。このような蛍光増白剤としては、3−(4’−アセチルアミノフェニル)−7−アセチルアミノクマリン、3−(4’−カルボキシフェニル)−4−メチル−7−ジエチルアミノクマリン、2,5−ビス(5’−t−ブチルベンズオキサゾル−2’−イル)チオフェンが好ましい。
蛍光増白剤の添加量は、本発明の目的を損なわない範囲内であれば特に限定されるものではなく、オキシメチレン共重合体中、0.1〜20質量ppmであることが好ましく、0.5〜10質量ppmであることがより好ましく、1.0〜5.0質量ppmであることが特に好ましい。
耐侯安定剤は、特に限定されないが、光安定剤又は紫外線吸収剤が好ましく用いられる。光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく用いられる。ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、例えばビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル及びトリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(ブタンテトラカルボキシレートの4つのエステル部の一部が1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル基で他がトリデシル基である化合物の混合物)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β−テトラメチル−3,9(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウデンカン)−ジエタノールとの縮合物、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの縮合物、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、N,N′,N″,N′″−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネートが挙げられる。上述した耐侯安定剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
耐侯安定剤の添加量は、特に限定されないが、オキシメチレン共重合体100質量部に対して0.01〜3.0質量部であることが好ましく、0.03〜2.0質量部であることがより好ましく、0.05〜1.0質量部であることが特に好ましい。
上述した、その他の添加してもよい成分の添加のタイミングは、本発明の目的を損なわない範囲内であれば、工程2、工程3、工程3の後のいずれであってもよく、複数のタイミングで行ってもよい。工程3の後で、その他の添加してもよい成分を添加する方法としては、工程3を経て得られたオキシメチレン共重合体に、上述したその他の添加してもよい成分を添加し、単軸、多軸の押出機等を用いてさらに溶融混練する方法である。
<オキシメチレン共重合体の用途>
本発明の製造方法で得られるオキシメチレン共重合体は、公知のオキシメチレン共重合体の成形加工法に従って、種々の形態に成形加工することができる。本発明のオキシメチレン共重合体からなる成形体としては、ペレット、丸棒、厚板、シート、チューブ、円筒状や方形状の容器といった形状が挙げられるがこれに限定されるものではない。
本発明のオキシメチレン共重合体及びその成形体は、従来からオキシメチレン共重合体の用途として知られる、機械、電気、自動車、建材その他の各種部品として使用できる。特に本発明の成形体は、酸化劣化が少なく、高温・多湿の環境下においてもホルムアルデヒドの発生量が抑制できるので、高温・多湿環境下で使用される車載部品や建材への用途が好適である。
以下、本発明について実施例、比較例を示して、その実施形態と効果について具体的に説明をするが、本発明はこれらの例によりなんら限定されるものではない。
<原料>
実施例及び比較例で用いた原料(触媒、添加剤、酸化防止剤及び耐熱安定剤)は、以下の通りである。なお、記号は、表2中で用いたものと対応する。
(1)触媒
B−1:三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(BASF製)
(2)添加剤
A−1:N,N−ジエチルヒドロキシルアミン(Arkema製、無水物)
A−2:N,N−ビスオクダデシルヒドロキシルアミン(Aldrich製)
A−3:N,N−ジベンジルヒドロキシルアミン(Aldrich製)
A−4:N−イソプロピルヒドロキシルアミン(ANGUS Chemical Company製)
A−5:トリフェニルホスフィン(Hokko製)
A−6:Tinuvin770(登録商標,BASF製)
A−7:Tinuvin765(登録商標,BASF製)
A−8:トリブチルアミン(Arkema製)
A−9:トリエチルアミン(Arkema製)
A−10:トリエタノールアミン(Dow Chemical製)
A−11:N−メチルジエタノールアミン(Dow Chemical製)
A−12:ジイソプロパノールアミン(Dow Chemical製)
(3)酸化防止剤及び耐熱安定剤
C:Irganox245(登録商標,BASF製):酸化防止剤
D:メラミン(三井化学製):耐熱安定剤
<評価方法>
実施例及び比較例で得られたオキシメチレン共重合体の各物性は次のようにして測定した。
(1)ホルムアルデヒド発生量
実施例及び比較例で得られたオキシメチレン共重合体を10〜30mgの大きさに切断し、120℃で3時間熱風乾燥させた後、22mL容量のバイアル瓶に入れ、サンプル質量を精秤した。その後、密封して、(株)島津製作所製HS−GC(SHIMADZU : Gas Chromatograph (GC−2010)、Perkin Elmer : Headspace sample (Turbomatrix 40))で160℃、2時間加熱処理を行い、発生したガスをカラム内に注入し、ガスクロマトグラフィーで検出されたガス中のホルムアルデヒドのピーク積分面積を算出し、事前に作成した検量線を用いて質量換算し、オキシメチレン共重合体の質量当たりのホルムアルデヒド発生量(ppm)を求めた。このホルムアルデヒドの発生量は、製品からのホルムアルデヒド発生量に相当する。
(2)加湿処理時ホルムアルデヒド発生量
実施例及び比較例で得られたオキシメチレン共重合体を10〜30mgの大きさに切断し、80℃、相対湿度95%(95%RH)の条件下96時間、加湿加熱処理した。以降の操作は上述した(1)と同様の方法でオキシメチレン共重合体の質量当たりのホルムアルデヒド発生量(ppm)を求めた。この加湿処理時ホルムアルデヒド発生量は、高温多湿の環境下で長時間保管した際の製品からのホルムアルデヒド発生量を想定したものである。
(3)ΔMI値
MI値(メルトインデックス)は、ISO1133(190℃、2.16kg加重下)に従って測定した。MI値は、ラボプラストミルを用いて220℃20分間溶融混練した試料について測定し、溶融混練を窒素雰囲気下で行った場合と空気雰囲気下で行った場合の差分(ΔMI値=空気雰囲気下で溶融混練した場合のMI値−窒素雰囲気下で溶融混練した場合のMI値)をΔMI値とした。このΔMI値が小さいほど、酸化による劣化が生じにくく、優れる。
(4)MD(モールドデポジット)評価
射出成型装置:Sumitomo (M18)を用いてポリマーサンプルを4000ショット連続成形させた際の金型への付着物量の様子を、○、△、×の3段階で評価した。
Figure 2017159602
<実施例1>
<<工程1>>
窒素雰囲気下、60℃に保たれた撹拌装置付きの5Lの重合反応器に、トリオキサン(純度:99.96%)3000g及びコモノマーとしての1,3−ジオキソラン(純度:99.99%)126gを注入した後、これに重合触媒(酸触媒)として三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(B−1)をトリオキサン使用量1molに対して0.030mmolとなるように加え15分間反応させた。
<<工程2>>
工程1で重合触媒を加えてから15分後に、添加剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミン(A−1)を重合触媒の使用量に対して2倍モルとなる量を加えた。この時、添加剤は1mol/Lの濃度となるようにベンゼンで事前に希釈して添加した。添加剤を加えた5分後に、反応器を停止させ、工程1の生成物であるオキシメチレン共重合体と、ヒドロキシルアミン化合物との混合物を得た。
<<工程3>>
工程2で得られた混合物45gに、酸化防止剤としてIrganox245、0.135gと、耐熱安定剤としてメラミン0.045gを添加し、222℃で20分間溶融混練してオキシメチレン共重合体を得た。
<実施例2〜5>
添加剤として、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン(A−1)を重合触媒の使用量に対して2倍モルではなくそれぞれ1、4、10、20倍モルとなる量を加えた以外は、実施例1と同様にしてオキシメチレン共重合体を得た。
<実施例6〜8>
添加剤として、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン(A−1)の代わりに、それぞれ、N,N−ビスオクタデシルヒドロキシルアミン(A−2)、N,N−ジベンジルヒドロキシルアミン(A−3)、N−イソプロピルヒドロキシルアミン(A−4)を用いた以外は、実施例1と同様にしてオキシメチレン共重合体を得た。
<実施例9>
BF(OEt)(B−1)をトリオキサン使用量1molに対して0.020mmolとなるように加え、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン(A−1)を重合触媒の使用量に対して5倍モルとなる量を加えた以外は、実施例1と同様にしてオキシメチレン共重合体を得た。
<比較例1〜8>
添加剤として、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン(A−1)の代わりに、それぞれ、トリフェニルホスフィン(A−5)、Tinuvin770(A−6)、Tinuvin765(A−7)、トリブチルアミン(A−8)、トリエチルアミン(A−9)、トリエタノールアミン(A−10)、N−メチルジエタノールアミン(A−11)、ジイソプロパノールアミン(A−12)を用いた以外は、実施例1と同様にしてオキシメチレン共重合体を得た。
実施例及び比較例で得られたオキシメチレン共重合体を上述した方法で評価した結果を表2に示す。
Figure 2017159602
表2から、上述した一般式(1)のヒドロキシルアミン化合物を、トリオキサン及びコモノマーを反応させて得られる生成物に添加して、溶融混練することにより、酸化による劣化が生じ難く、製品からのホルムアルデヒド発生量、特に高温多湿の環境下で長時間保管した際の製品からのホルムアルデヒド発生量が低減し、成形時のモールドデポジットの発生が少ないオキシメチレン共重合体が得られることがわかる。

Claims (9)

  1. トリオキサン1モルに対して1.0×10−5モル以上、1.0×10−4モル以下の酸触媒の存在下、トリオキサン及びコモノマーを含む重合原料を重合させる工程1と、前記工程1で得られる生成物に、下記一般式(1):
    Figure 2017159602

    (式中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20の有機基である)
    で表されるヒドロキシルアミン化合物を前記酸触媒に対して1〜20倍モル添加して混合する工程2と、前記工程2で得られる、前記生成物と前記ヒドロキシルアミン化合物の混合物を更に溶融混練する工程3とを含む、オキシメチレン共重合体の製造方法。
  2. 前記ヒドロキシルアミン化合物が、R及びRが、各々独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアリールアルキル基であるヒドロキシルアミン化合物である、請求項1に記載のオキシメチレン共重合体の製造方法。
  3. 前記ヒドロキシルアミン化合物がN,N−ジエチルヒドロキシルアミンである、請求項1又は2に記載のオキシメチレン共重合体の製造方法。
  4. 前記工程2で添加するヒドロキシルアミン化合物の量が、前記酸触媒に対して1〜5倍モルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のオキシメチレン共重合体の製造方法。
  5. 前記酸触媒が、三フッ化ホウ素二水和物、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラートからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のオキシメチレン共重合体の製造方法。
  6. 前記コモノマーが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、1,3−ジオキソラン、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、及び1,6−ヘキサンジオールホルマールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のオキシメチレン共重合体の製造方法。
  7. 前記オキシメチレン共重合体が、オキシメチレン基と炭素数が2以上のオキシアルキレン基とを含有し、前記オキシメチレン共重合体に含まれる、炭素数が2以上のオキシアルキレン基の含有量が、オキシメチレン基のモル量と前記オキシアルキレン基のモル量の合計100モルに対して0.4モル以上、15モル以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のオキシメチレン共重合体の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法によって得られたオキシメチレン共重合体であって、オキシメチレン共重合体中の前記ヒドロキシルアミン化合物の含有量が5質量ppm以上、2000質量ppm以下である、オキシメチレン共重合体。
  9. 酸触媒の存在下、トリオキサン及びコモノマーを含む重合原料を重合させる工程1と、前記工程1で得られる生成物に、下記一般式(1):
    Figure 2017159602

    (式中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20の有機基である)
    で表されるヒドロキシルアミン化合物を添加して混合する工程2と、前記工程2で得られる前記生成物と前記ヒドロキシルアミン化合物の混合物を更に溶融混練する工程3とを含み、前記ヒドロキシルアミン化合物が前記酸触媒の失活剤として添加され、工程2及び工程3で前記酸触媒の失活が行われる、オキシメチレン共重合体の製造方法。
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