JPWO2017158938A1 - 熱交換システムおよび熱交換システムのスケール抑制方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特に、硬度成分、硫酸塩、ケイ酸成分、金属イオンなどを含む結晶状の生成物であるスケール成分を含む水を給湯器に供給すると、スケールが熱交換器、給湯タンクまたは配管内に付着し、熱交換率が低下したり、流路が閉塞したりしてしまうという問題点があった。
また、制御部は、脈動発生手段を加熱用熱交換器による加熱中に動作させ脈流を発生させるとともに、加熱循環経路内の流量が予め設定した所定値以上となるように循環手段を制御する。
以下、本発明の実施の形態1に係る熱交換システムについて説明する。
この熱交換システムは、ヒートポンプによって加熱または冷却された1次側の液体の熱により、水などの2次側の液体を加熱または冷却するものである。また、この熱交換システムでは、2次側液体を加熱または冷却する際に、熱交換器における2次側液体との接触面に発生するスケールの付着を抑制する。
なお、以下では、ヒートポンプによって加熱された被加熱液体の熱により、シャワー等に利用される水などの被加熱液体を加熱して温水を生成する熱交換システムを例にとって説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る熱交換システム1の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、熱交換システム1は、第1の循環回路としての1次側循環回路10、第2の循環回路としての2次側循環回路20、および1次側循環回路10と2次側循環回路20との間に設けられた熱交換器2で構成されている。この熱交換システム1は、熱交換器2により、1次側循環回路10を循環する第1の液体としての1次側被加熱液体と、2次側循環回路20を循環する第2の液体としての2次側被加熱液体との間で熱交換を行う。そして、熱交換システム1は、1次側被加熱液体の熱によって2次側被加熱液体を加熱する。
1次側循環回路10において、ヒートポンプ11、ヒータ12、膨張容器16、流路切替装置13、熱交換器2、および第1のポンプ14は、配管17によって環状に接続されている。また、ラジエータ15は、流路切替装置13と第1のポンプ14との間に設けられた、配管17とは異なる配管18によって接続されている。配管17および配管18は、流路切替装置13によって分岐し、熱交換器2と第1のポンプ14との間で合流するようにして接続されている。
ヒータ12は、ヒートポンプ11から供給された1次側被加熱液体をさらに加熱するために設けられている。ヒータ12は、ヒートポンプ11から供給された1次側被加熱液体を加熱し、流路切替装置13に供給する。
ラジエータ15は、例えば熱交換器であり、配管18を流れる1次側被加熱液体と空調対象空間である室内の空気との間で熱交換を行い、1次側被加熱液体の熱によって室内の空気を加熱する。
膨張容器16は、ヒータ12から流出する1次側被加熱液体を一時的に貯留するために設けられている。
また、圧力印加部30は、タンク21と、第2のポンプ22および熱交換器2の間とに、配管24および配管25によって形成される流路とは異なる、配管36および配管37によって形成されるバイパス回路としての流路に設けられている。
圧力印加部30は、第3のポンプ31、圧力保持部32、開閉機構部33、および開閉制御部34で構成されている。
図2に示すように、圧力保持部32は、中空のシリンダー状に形成されたシリンダー構造部32aに、電磁弁32bおよび電磁弁32c、水量センサ32d、圧力センサ32e、加圧力部32fが設けられている。これら電磁弁32b〜加圧力部32fは、信号線35を介して開閉制御部34に接続されている。
圧力保持部32は、配管36を介してシリンダー構造部32aに流入した2次側被加熱液体に対して予め設定された圧力を印加する。そして、圧力保持部32は、圧力が印加された2次側被加熱液体を、配管37を介して後述する開閉機構部33に対して流出させる。
電磁弁32cは、例えば圧力保持部32の上部に設けられている。電磁弁32cは、弁の開閉状態を示す情報を、信号線35を介して開閉制御部34に供給するとともに、信号線35を介して開閉制御部34から供給される制御信号に基づき、弁の開閉状態が制御される。
これら電磁弁32bおよび電磁弁32cは、通常時には「開」状態とされており、後述する水量センサ32dの検出結果に基づき、開閉制御部34によって弁の開閉状態が制御される。そして、シリンダー構造部32a内が2次側被加熱液体によって満たされたことを水量センサ32dが検出すると、電磁弁32bおよび電磁弁32cは、開閉制御部34の制御に基づき「閉」状態となるように制御される。
圧力センサ32eは、シリンダー構造部32a内に蓄積された2次側被加熱液体の圧力を検出し、得られた検出結果を、信号線35を介して開閉制御部34に供給する。
そして、シリンダー構造部32a内の2次側被加熱液体の圧力が予め設定された圧力に達したことを圧力センサ32eが検出すると、シリンダー構造部32aは、開閉制御部34の制御に基づき、2次側被加熱液体に対して圧力を印加した状態を保持する。これにより、シリンダー構造部32a内の2次側被加熱液体は、現在の圧力を保持した状態となる。
なお、通常時において、開閉機構部33は、圧力印加部30と2次側循環回路20におけるタンク21側とが圧力的に絶縁された状態を保持するようにされている。
図3に示すように、開閉機構部33は、電磁弁33aおよび電磁弁33bを有している。
電磁弁33aには、金属シャッター33cが設けられている。金属シャッター33cは、開閉制御部34の制御に基づき動作し、電磁弁33aの開閉状態を決定する。金属シャッター33cは、例えば、中央部近傍に貫通孔が設けられており、この貫通孔を配管37と一致させることにより、電磁弁33aが「開」状態となる。
電磁弁33bには、金属シャッター33dが設けられている。金属シャッター33dは、開閉制御部34の制御に基づき動作し、電磁弁33bの開閉状態を決定する。金属シャッター33dは、例えば、中央部近傍に貫通孔が設けられており、この貫通孔を配管24と一致させることにより、電磁弁33bが「開」状態となる。
開閉機構部33では、例えば、金属シャッター33cが移動して電磁弁33aが「開」状態となると同時に、金属シャッター33dが移動して電磁弁33bが「閉」状態となる。
なお、電磁弁33aおよび電磁弁33bをこのような構造とするのは、開閉制御部34による制御に対する応答を速くするためである。
開閉制御部34は、図2に示す圧力保持部32の水量センサ32dの検出結果を受信し、この結果が示す情報に基づき、電磁弁32bおよび電磁弁32cの開閉を制御するための制御信号を、信号線35を介して圧力保持部32に供給する。
また、開閉制御部34は、図2の圧力センサ32eの検出結果を圧力保持部32から受信し、この結果が示す情報に基づき、加圧力部32fの動作を制御するための制御信号を、信号線35を介して圧力保持部32に供給する。
さらに、開閉制御部34は、予め設定されたタイミングで、図3に示す開閉機構部33の電磁弁33aおよび電磁弁33bの開閉を制御するための制御信号を、信号線38を介して開閉機構部33に供給する。
1次側被加熱液体は、第1のポンプ14によってヒートポンプ11に供給され、加熱される。加熱された1次側被加熱液体は、ヒータ12によって再度加熱された後、流路切替装置13に流入する。
開閉機構部33に流入した2次側被加熱液体は、開閉制御部34の制御に基づき開閉動作を行う電磁弁33aが「開」状態となった際に、開閉機構部33から流出し、熱交換器2に流入する。
図4を参照して、タンク21から2次側被加熱液体が圧力印加部30に供給され、圧力印加部30に保持された2次側被加熱液体が熱交換器2に流入するまでの動作について説明する。
圧力保持部32では、開閉制御部34の制御に基づき、圧力保持部32内の2次側被加熱液体に対して設定圧力が加圧力部32fによって印加される(ステップS6)。そして、圧力保持部32内の2次側被加熱液体に対する加圧が保持される(ステップS7)。
また、開閉制御部34から開閉機構部33の電磁弁33aに対して制御信号が発信される(ステップS10)。開閉機構部33では、当該制御信号に基づき、金属シャッター33cがスライドし、電磁弁33aが「開」状態とされる(ステップS11)。
これにより、圧力保持部32内の2次側被加熱液体が圧力保持部32から流出し、熱交換器2に流入する(ステップS12)。
また、開閉制御部34から開閉機構部33の電磁弁33bに対して制御信号が発信される(ステップS15)。開閉機構部33では、当該制御信号に基づき、金属シャッター33dがスライドし、電磁弁33bが「開」状態とされる(ステップS16)。
次に、熱交換器2に対して発生するスケールの抑制について説明する。
図5は、従来のポンプにおけるモータの回転数を増加させた場合のせん断応力の時間変化の一例を示すグラフである。
本実施の形態1では、スケールの成長を抑制するように、予め設定された圧力を付与した2次側被加熱液体を予め設定されたタイミングで熱交換器2に流入させることにより、熱交換器2における2次側被加熱液体との接触面に析出したスケールを除去可能なせん断応力を与えるようにする。
図6は、図1の熱交換器2の接触面に付着する気泡と析出するスケールとの関係について説明するための概略図である。
図7は、図1の熱交換器2の接触面に析出したスケールの一例を示す概略図である。
図8は、図1の熱交換器2から気泡40が離脱する際の気泡離脱径とせん断応力との関係の一例を示すグラフである。
図8に示すように、2次側被加熱液体に印加されるせん断応力が大きくなるにしたがって、熱交換器2における2次側被加熱液体との接触面から離脱する気泡40の径が小さくなることがわかる。例えば、2次側被加熱液体に対して50[Pa]のせん断応力を印加した場合には、100[μm]程度の径の気泡40を熱交換器2の接触面から離脱させることができる。
図9に示すように、本実施の形態1では、2次側被加熱液体に対してパルス状のせん断応力(以下、「せん断応力パルス」とここでは定義する)を印加する。この場合、印加されたせん断応力は、図5に示す場合と比較して立ち上がりが急峻となり、熱交換器2に付着した気泡40およびスケール核に対して短時間で目標となるせん断応力を印加することができる。そのため、図5に示す場合と比較して、スケール核を効率的に除去できるとともに、スケールの成長を抑制することができる。
図10に示すように、印加するせん断応力パルスの回数が増加するにしたがって、熱交換器2における2次側被加熱液体との接触面に付着した気泡40の平均径が増加する。例えば、せん断応力パルスを3回印加した場合、気泡40の平均径は、1000[μm]以上となっている。これは、せん断応力パルスを複数回印加することにより、複数の気泡40が集合して大きな1つの気泡40が形成されるためである。
次に、熱交換器2に付着するスケールの抑制効果について検証する。
ここでは、せん断応力パルスの印加タイミングを変化させた場合、せん断応力パルスのせん断応力を変化させた場合、せん断応力パルスの印加時間であるパルス幅を変化させた場合、ならびに、せん断応力パルスのせん断応力およびパルス幅を変化させた場合のそれぞれにおけるスケール抑制効果について検証する。
まず、第1の検証として、せん断応力パルスの印加タイミングを変化させた場合の熱交換器2に対するスケールの付着量について説明する。
この例では、通常状態の流量でのせん断応力である1[Pa]の2次側被加熱液体に対して、予め設定された大きさのせん断応力を有する第1のせん断応力パルスと、第1のせん断応力パルスよりもせん断応力が小さい第2のせん断応力パルスとを組み合わせたせん断応力パルスサイクルを、以下の条件で印加する。そして、熱交換システム1を100時間運転したときに、せん断応力パルスサイクルを印加する周期を変化させた場合の、熱交換器2に対するスケール付着量を計測した。
(a)第1のせん断応力パルス
せん断応力 :50[Pa]
印加時間(パルス幅):0.5[秒]
パルス休止時間 :0.5[秒]
印加回数 :3回
(b)第2のせん断応力パルス
せん断応力 :3.3[Pa]
印加時間(パルス幅):0.5[秒]
パルス休止時間 :0.5[秒]
印加回数 :1回
図11に示すように、3分周期でせん断応力パルスサイクルを印加した場合には、熱交換器2に対するスケール付着量がせん断応力パルスを印加しない場合の50%となった。また、5分周期でせん断応力パルスサイクルを印加した場合には、熱交換器2に対するスケール付着量がせん断応力パルスを印加しない場合の61%となった。さらに、7分周期でせん断応力パルスサイクルを印加した場合には、熱交換器2に対するスケール付着量がせん断応力パルスを印加しない場合の65%となった。なお、従来の脈動運転では、熱交換器2に対するスケール付着量がせん断応力パルスを印加しない場合の73%となった。
すなわち、せん断応力パルスサイクルを印加する周期が短いほど、熱交換器2に対するスケール付着量が少なくなり、スケール抑制効果が高くなる。
次に、第2の検証として、せん断応力パルスのせん断応力を変化させた場合の熱交換器2に対するスケールの付着量について説明する。
この例では、通常状態の流量でのせん断応力である1[Pa]の2次側被加熱液体に対して、せん断応力パルスサイクルを以下の条件で印加する。そして、熱交換システム1を100時間運転したときに、せん断応力パルスサイクルを5分毎に1回印加する周期で印加した場合の、熱交換器2に対するスケール付着量を計測した。
(a)第1のせん断応力パルス
せん断応力 :0[Pa]〜70[Pa]
印加時間(パルス幅):0.5[秒]
パルス休止時間 :0.5[秒]
印加回数 :3回
(b)第2のせん断応力パルス
せん断応力 :3.3[Pa]
印加時間(パルス幅):0.5[秒]
パルス休止時間 :0.5[秒]
印加回数 :1回
図12に示すように、第1のせん断応力パルスの大きさが5[Pa]以上の場合には、せん断応力パルスを印加しない場合と比較して、熱交換器2に対するスケール付着量が抑制された。一方、第1のせん断応力パルスの大きさが50[Pa]以上の場合には、スケール付着量が変化せず、スケール抑制効果が飽和する傾向となった。
次に、第3の検証として、せん断応力パルスのパルス幅を変化させた場合の熱交換器2に対するスケールの付着量について説明する。
この例では、通常状態の流量でのせん断応力である1[Pa]の2次側被加熱液体に対して、せん断応力パルスサイクルを以下の条件で印加する。そして、熱交換システム1を100時間運転したときに、せん断応力パルスサイクルを5分毎に1回印加する周期で印加した場合の、熱交換器2に対するスケール付着量を計測した。
(a)第1のせん断応力パルス
せん断応力 :30[Pa]
印加時間(パルス幅):0[秒]〜5.0[秒]
パルス休止時間 :0.5[秒]
印加回数 :1回
(b)第2のせん断応力パルス
せん断応力 :3.3[Pa]
印加時間(パルス幅):0.5[秒]
パルス休止時間 :0.5[秒]
印加回数 :1回
図13に示すように、第1のせん断応力パルスのパルス幅が0[秒]〜5.0[秒]のすべての範囲において、せん断応力パルスを印加しない場合と比較して、熱交換器2に対するスケール付着量が抑制された。
特に、第1のせん断応力パルスのパルス幅が0.1[秒]〜1.0[秒]の範囲では、スケール付着量がせん断応力パルスを印加しない場合の70%以下となり、スケール抑制効果がより高い傾向となった。
また、このようにせん断応力パルスのパルス幅を設定した場合には、上述したようなポンプの制御によってスケールを抑制する際に必要とされる時間は、2秒程度であるのに対して、短い時間でスケールを抑制することができる。
次に、第4の検証として、せん断応力パルスのせん断応力およびパルス幅を変化させた場合の熱交換器2に対するスケールの付着量について説明する。この第4の検証は、上述した第2の検証および第3の検証を組み合わせたものである。
この例では、通常状態の流量でのせん断応力である1[Pa]の2次側被加熱液体に対して、せん断応力パルスサイクルを以下の条件で印加する。そして、熱交換システム1を100時間運転したときに、せん断応力パルスサイクルを5分毎に1回印加する周期で印加した場合の、熱交換器2に対するスケール付着量を計測した。
第1および第2のせん断応力パルスの大きさの比率 :「3:1」〜「30:1」
第1および第2のせん断応力パルスのパルス幅 :0.1[秒]〜2.0[秒]
第1および第2のせん断応力パルスのパルス休止時間:0.5[秒]
(a)第1のせん断応力パルスの印加回数 :3回
(b)第2のせん断応力パルスの印加回数 :1回
また、第1のせん断応力パルスの大きさと第2のせん断応力パルスの大きさとの比率が「10:1」以上であり、かつ、せん断応力パルスのパルス幅が1.5[秒]以内である場合には、スケール抑制効果が20%以上となった。
さらに、第1のせん断応力パルスの大きさと第2のせん断応力パルスの大きさとの比率が「20:1」以上であり、かつ、せん断応力パルスのパルス幅が2.0[秒]以内である場合には、スケール抑制効果が20%以上となった。
このように、加圧された2次側被加熱液体を熱交換器2に対して供給することにより、より効率的かつ確実にスケールの発生および成長を抑制することができる。
さらに、せん断応力パルスサイクルは、第1のせん断応力パルスと、第1のせん断応力パルスよりも圧力の大きさが小さい第2のせん断応力パルスとによって形成され、第1のせん断応力パルスおよび第2のせん断応力パルスの順序で組み合わせられる。
これにより、熱交換器2の接触面に付着した気泡40を第1のせん断応力パルスによって移動および集合させて大きな気泡が形成された後、第2のせん断応力パルスによって大きな気泡を除去することができる。そのため、熱交換器2における2次側被加熱液体との接触面に付着した気泡40およびスケール核を効率的に除去することができる。
次に、本発明の実施の形態2に係る熱交換システムについて説明する。
本実施の形態2に係る熱交換システムは、第2の圧力印加部を備える点で、上述した実施の形態1と相違する。本実施の形態2において、2次側被加熱液体は、タンク21と熱交換器2との間を複数回循環することによって沸き上げられる(以下、「複数回沸き上げ方式」と適宜称する)。
図15は、本実施の形態2に係る熱交換システム1の構成の一例を示すブロック図である。なお、以下の説明において、上述した実施の形態1と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図15に示すように、熱交換システム1は、1次側循環回路10、2次側循環回路20および熱交換器2で構成されている。2次側循環回路20には、実施の形態1と同様の構成に加えて、第2の圧力印加部50が設けられている。
図16に示すように、第2の開閉機構部53は、電磁弁53aおよび電磁弁53bを有している。
電磁弁53aには、金属シャッター53cが設けられている。金属シャッター53cは、開閉制御部34の制御に基づき動作し、電磁弁53aの開閉状態を決定する。金属シャッター53cは、例えば、中央部近傍に貫通孔が設けられており、この貫通孔を配管57と一致させることにより、電磁弁53aが「開」状態となる。
電磁弁53bには、金属シャッター53dが設けられている。金属シャッター53dは、開閉制御部34の制御に基づき動作し、電磁弁53bの開閉状態を決定する。金属シャッター53dは、例えば、中央部近傍に貫通孔が設けられており、この貫通孔を配管25と一致させることにより、電磁弁53bが「開」状態となる。
第2の開閉機構部53では、例えば、金属シャッター53cが移動して電磁弁53aが「開」状態となると同時に、金属シャッター53dが移動して電磁弁53bが「閉」状態となる。
例えば、開閉制御部34は、第2の圧力保持部52の動作を制御するための制御信号を、信号線55を介して第2の圧力保持部52に供給する。また、開閉制御部34は、予め設定されたタイミングで、図16に示す第2の開閉機構部53の電磁弁53aおよび電磁弁53bの開閉を制御するための制御信号を、信号線58を介して第2の開閉機構部53に供給する。
本実施の形態2に係る熱交換システム1における、1次側循環回路10を流れる1次側被加熱液体の流れ、および2次側循環回路20を流れる2次側被加熱液体の流れについては、実施の形態1と同様である。また、圧力印加部30の動作についても、実施の形態1と同様である。
第2の開閉機構部53に流入した2次側被加熱液体は、開閉制御部34の制御に基づき開閉動作を行う電磁弁53aが「開」状態となった際に、第2の開閉機構部53から流出し、熱交換器2に流入する。
この場合、第1および第2のせん断応力パルスのみを印加した場合よりも、熱交換器2における2次側被加熱液体との接触面に付着した気泡40およびスケール核が、より効率的に除去される。
次に、熱交換器2に付着するスケールの抑制効果について検証する。
本実施の形態2では、実施の形態1における第1のせん断応力パルスおよび第2のせん断応力パルスに加えて、熱交換器2に対する応力の印加方向が第1および第2のせん断応力パルスとは逆方向となる第3のせん断応力パルスからなるせん断応力パルスサイクルを、熱交換器2に対して印加する。
この例では、通常状態の流量でのせん断応力である1[Pa]の2次側被加熱液体に対して、予め設定された大きさのせん断応力を有する第1のせん断応力パルスと、第1のせん断応力パルスよりもせん断応力が小さい第2のせん断応力パルスと、第1のせん断応力パルスと同じ大きさで応力の印加方向が熱交換器2に対して逆方向となる第3のせん断応力パルスとを組み合わせたせん断応力パルスサイクルを、以下の条件で印加する。そして、熱交換システム1を100時間運転したときに、せん断応力パルスサイクルを印加する周期を変化させた場合の、熱交換器2に対するスケール付着量を計測した。なお、せん断応力パルスは、第1のせん断応力パルス、第3のせん断応力パルス、第2のせん断応力パルスの順序で印加する。
せん断応力 :50[Pa]
印加時間(パルス幅):0.5[秒]
パルス休止時間 :0.5[秒]
印加回数 :3回
(b)第3のせん断応力パルス
せん断応力 :50[Pa]
印加時間(パルス幅):0.5[秒]
パルス休止時間 :0.5[秒]
印加回数 :3回
(c)第2のせん断応力パルス
せん断応力 :3.3[Pa]
印加時間(パルス幅):0.5[秒]
パルス休止時間 :0.5[秒]
印加回数 :1回
図17に示すように、第1、第2のせん断応力パルスの順序でせん断応力パルスサイクルを印加した比較例2では、熱交換器2に対するスケール付着量がせん断応力パルスを印加しない比較例1の50%となった。また、第1、第3、第2のせん断応力パルスの順序でせん断応力パルスサイクルを印加した実施例1では、熱交換器2に対するスケール付着量が比較例1の35%となった。
次に、本発明の実施の形態3に係る熱交換システムについて説明する。
本実施の形態3に係る熱交換システムは、2次側循環回路20に設けられたスケールトラップ23を取り除いた点で、実施の形態2と相違する。本実施の形態3において、2次側被加熱液体は、タンク21と熱交換器2との間を1回循環することによって沸き上げられる(以下、「1回沸き上げ方式」と適宜称する)。
図18は、本発明の実施の形態3に係る熱交換システム1の構成の一例を示すブロック図である。なお、以下の説明において、上述した実施の形態1および2と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図18に示すように、熱交換システム1は、1次側循環回路10、2次側循環回路20および熱交換器2で構成されている。ただし、図15に示す実施の形態2に係る熱交換システム1と比較して、スケールトラップ23が取り除かれている。
次に、熱交換器2に付着するスケールの抑制効果について検証する。
本実施の形態3では、実施の形態2と同様に、第1〜第3のせん断応力パルスからなるせん断応力パルスサイクルを、熱交換器2に対して印加する。
この例では、通常状態の流量でのせん断応力である1[Pa]の2次側被加熱液体に対して、予め設定された大きさのせん断応力を有する第1のせん断応力パルスと、第1のせん断応力パルスよりもせん断応力が小さい第2のせん断応力パルスと、第1のせん断応力パルスと同じ大きさで応力の印加方向が熱交換器2に対して逆方向となる第3のせん断応力パルスとを組み合わせたせん断応力パルスサイクルを、以下の条件で印加する。なお、せん断応力パルスは、第1のせん断応力パルス、第3のせん断応力パルス、第2のせん断応力パルスの順序で印加する。
せん断応力 :50[Pa]
印加時間(パルス幅):0.5[秒]
パルス休止時間 :0.5[秒]
印加回数 :3回
(b)第3のせん断応力パルス
せん断応力 :50[Pa]
印加時間(パルス幅):0.5[秒]
パルス休止時間 :0.5[秒]
印加回数 :3回
(c)第2のせん断応力パルス
せん断応力 :3.3[Pa]
印加時間(パルス幅):0.5[秒]
パルス休止時間 :0.5[秒]
印加回数 :1回
ここでは、スケールトラップ23を取り除いた状態で、かつ1回沸き上げ方式で、第1、第3、第2のせん断応力パルスの順序でせん断応力パルスを印加するせん断応力パルスサイクルの場合の例を「実施例2」として示している。また、実施の形態2と同様に、複数回沸き上げ方式で、第1、第3、第2のせん断応力パルスの順序でせん断応力パルスを印加するせん断応力パルスサイクルの場合の例を上述した「実施例1」として示している。さらに、本実施の形態3のように1回沸き上げ方式であるものの、せん断応力パルスを印加しない場合の例を「比較例3」として示している。
Claims (10)
- 第1の液体が循環する環状の第1の循環回路と、
第2の液体が循環する環状の第2の循環回路と、
前記第1の液体と前記第2の液体との間で熱交換を行う熱交換器と、
前記第2の液体の一部を加圧して保持する圧力保持部と、
前記熱交換器の前記第2の液体の流入側に設けられ、前記熱交換器に流入する前記第2の液体を、前記第2の循環回路と前記圧力保持部との間で切り替える開閉機構部と、
前記圧力保持部に保持された前記第2の液体に対する加圧量、および前記開閉機構部の切り替えを制御する制御部と
を備える
熱交換システム。 - 前記開閉機構部と前記第2の循環回路との間にバイパス回路が設けられ、
前記バイパス回路に前記圧力保持部が設けられている
請求項1に記載の熱交換システム。 - 前記第2の循環回路に前記第2の液体を蓄えるタンクが設けられ、
前記開閉機構部と前記タンクとの間に前記バイパス回路が設けられている
請求項2に記載の熱交換システム。 - 前記制御部は、
圧力の大きさが異なる複数のせん断応力パルスを組み合わせたせん断応力パルスサイクルを印加した第2の液体を前記熱交換器に対して供給するように、前記圧力保持部および前記開閉機構部を制御する
請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱交換システム。 - 前記せん断応力パルスサイクルは、
第1のせん断応力パルスと、該第1のせん断応力パルスよりも圧力の大きさが小さい第2のせん断応力パルスとによって形成され、
前記第1のせん断応力パルスおよび前記第2のせん断応力パルスの順序で組み合わせられる
請求項4に記載の熱交換システム。 - 前記開閉機構部は、
前記圧力保持部から前記第2の循環回路に合流する流路に設けられた第1の弁と、
前記第2の循環回路における前記流路との合流地点の上流側に設けられた第2の弁と
を有し、
前記制御部の制御に基づき、前記第2の弁を閉じるとともに前記第1の弁を開き、
前記圧力保持部で加圧された前記第2の流体を前記第1のせん断応力パルスまたは前記第2のせん断応力パルスとして前記熱交換器に対して流入させ、
前記制御部の制御に基づき、前記第1の弁を閉じるとともに前記第2の弁を開く
請求項5に記載の熱交換システム。 - 前記第2の液体の位置を加圧して保持する第2の圧力保持部と、
前記熱交換器の前記第2の流体の流出側に設けられ、前記第2の圧力保持部に保持された前記第2の液体を、前記熱交換器に流入させるようにして、前記熱交換器の流出側に対する前記第2の液体の流入出を切り替える第2の開閉機構部と
をさらに備え、
前記制御部は、
前記熱交換器に対して供給する方向が異なる複数のせん断応力パルスを組み合わせたせん断応力パルスサイクルを印加した第2の液体を前記熱交換器に対して供給するように、前記圧力保持部および前記開閉機構部、ならびに前記第2の圧力保持部および前記第2の開閉機構部を制御する
請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱交換システム。 - 前記せん断応力パルスサイクルは、
第1のせん断応力パルスと、該第1のせん断応力パルスよりも圧力の大きさが小さい第2のせん断応力パルスと、前記第1のせん断応力パルスと同等の圧力で、印加方向が逆方向となる第3のせん断応力パルスとによって形成され、
前記第1のせん断応力パルス、前記第3のせん断応力パルス、および前記第2のせん断応力パルスの順序で組み合わせられる
請求項7に記載の熱交換システム。 - 前記開閉機構部は、
前記圧力保持部から前記第2の循環回路に合流する第1の流路に設けられた第1の弁と、
前記第2の循環回路における前記第1の流路との合流地点の上流側に設けられた第2の弁と
を有し、
前記第2の開閉機構部は、
前記第2の圧力保持部から前記第2の循環回路に合流する第2の流路に設けられた第3の弁と、
前記第2の循環回路における前記第2の流路との合流地点の下流側に設けられた第4の弁と
を有し、
前記開閉機構部は、
前記制御部の制御に基づき、前記第2の弁を閉じるとともに前記第1の弁を開き、
前記圧力保持部で加圧された前記第2の流体を前記第1のせん断応力パルスまたは前記第2のせん断応力パルスとして前記熱交換器に対して流入させ、
前記制御部の制御に基づき、前記第1の弁を閉じるとともに前記第2の弁を開き、
前記第2の開閉機構部は、
前記制御部の制御に基づき、前記第4の弁を閉じるとともに前記第3の弁を開き、
前記第2の圧力保持部で加圧された前記第2の流体を前記第3のせん断応力パルスとして前記熱交換器に対して流入させ、
前記制御部の制御に基づき、前記第3の弁を閉じるとともに前記第4の弁を開く
請求項8に記載の熱交換システム。 - 第1の液体が循環する環状の第1の循環回路と、第2の液体が循環する環状の第2の循環回路と、前記第1の液体と前記第2の液体との間で熱交換を行う熱交換器とを備えた熱交換システムにおいて、前記熱交換器における前記第2の液体との接触面に析出するスケールを抑制するスケール抑制方法であって、
前記第2の液体の一部を加圧して保持するステップと、
前記熱交換器に流入する前記第2の液体を、前記第2の循環回路と前記圧力保持部との間で切り替えるステップと
を有する
ことを特徴とするスケール抑制方法。
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