JPWO2017150335A1 - レンズ用型の製造方法およびレンズ用型 - Google Patents

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Abstract

少なくとも1つの反転された光学曲面(22)を表面に有するレンズ用型の製造方法は、(a)複数の反転された光学曲面(22)を表面に有するアルミニウム基材(10A)を用意する工程または、型基材(10B)であって、基材(12)と、基材に支持され、複数の反転された光学曲面(22)を表面に有するアルミニウム層(16)とを有する型基材(10B)を用意する工程と、(b)アルミニウム基材またはアルミニウム層の表面を陽極酸化することによって、複数の微細な凹部(18p)を有するポーラスアルミナ層(18)を形成する工程と、(c)工程(b)の後に、ポーラスアルミナ層をエッチング液に接触させることによって、ポーラスアルミナ層の複数の微細な凹部を拡大させる工程とを包含する。

Description

本発明は、レンズ用型の製造方法およびレンズ用型に関する。
テレビや携帯電話などに用いられる表示装置やカメラレンズなどの光学素子には、通常、表面反射を低減して光の透過量を高めるために反射防止技術が施されている。例えば、空気とガラスとの界面を光が入射する場合のように屈折率が異なる媒体の界面を光が通過する場合、フレネル反射などによって光の透過量が低減し、視認性が低下するからである。さらに、例えばカメラレンズの表面における光の反射は、レンズの内部反射によって像が二重になる現象(ゴースト)や、後方の光が映り込む現象(フレア)の原因にもなり得る。
表面反射を低減するための反射防止技術として、例えば、レンズの表面に、レンズと屈折率の異なる材料から形成された、数十nm〜数百nm程度の厚さを有する層(反射防止膜)を形成する方法が従来からよく用いられている。反射防止膜は、単層構造でもよいし、複数の層が積層された構造を有していてもよい。
近年、反射防止技術として、凹凸の周期が可視光(λ=380nm〜780nm)の波長以下に制御されたミクロな凹凸パターンを基板表面に形成する方法が注目されている(特許文献1から3を参照)。この方法は、いわゆるモスアイ(Moth−eye、蛾の目)構造の原理を利用したものであり、基板に入射した光に対する屈折率を凹凸の深さ方向に沿って入射媒体の屈折率から基板の屈折率まで連続的に変化させることによって反射を防止したい波長域の反射を抑えている。
モスアイ構造は、広い波長域にわたって入射角依存性の小さい反射防止作用を発揮できるほか、多くの材料に適用でき、凹凸パターンを表面に直接形成できるという利点を有している。その結果、低コストで高性能の反射防止表面を提供できる。
例えば、特許文献4は、反射防止機能を発現する複数の凸部(例えばモスアイ構造)を光学曲面に有する光学素子(例えばレンズ)およびそのような光学素子を製造するための型を開示している。特許文献4の型は、以下のようにして製造されると記載されている。まず、光学素子の光学曲面に対応する曲面(以下、「反転された光学曲面」という。)を有する金型を用意し、反転された光学曲面を覆うアルミニウム層を形成する。その後、アルミニウム層を陽極酸化する工程と、陽極酸化によって形成されたポーラスアルミナ層の細孔を拡大するエッチング工程とを交互に繰り返すことで、光学素子を製造するための型を得ることができる。
特表2001−517319号公報 特表2003−531962号公報 国際公開第2006/059686号 特開2005−316393号公報 国際公開第2011/105206号 国際公開第2010/128662号 国際公開第2012/029570号 国際公開第2011/111669号 国際公開第2011/125486号 国際公開第2013/183576号
本発明者が検討したところ、特許文献4の型の製造方法によると、型の製造ばらつきが生じるという問題が生じるおそれがある。特に、ポーラスアルミナ層が有する細孔(微細な凹部)に製造ばらつきが生じるおそれがある。ポーラスアルミナ層が有する細孔(微細な凹部)に製造ばらつきが生じると、型を用いて製造される光学素子の反射防止機能に製造ばらつきが生じ得る。本発明者の検討によると、型の製造ばらつきが生じるという問題は、例えば、陽極酸化の条件が型によって異なることに起因すると考えられる。詳細は、後述する。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その主な目的は、レンズ用型の製造ばらつきを抑制することができるレンズ用型の製造方法およびそのような方法で製造されたレンズ用型を提供することにある。
本発明の実施形態によるレンズ用型の製造方法は、少なくとも1つの反転された光学曲面を表面に有するレンズ用型の製造方法であって、(a)複数の反転された光学曲面を表面に有するアルミニウム基材を用意する工程または、型基材であって、基材と、前記基材に支持され、複数の反転された光学曲面を表面に有するアルミニウム層とを有する型基材を用意する工程と、(b)前記アルミニウム基材または前記アルミニウム層の表面を陽極酸化することによって、複数の微細な凹部を有するポーラスアルミナ層を形成する工程と、(c)前記工程(b)の後に、前記ポーラスアルミナ層をエッチング液に接触させることによって、前記ポーラスアルミナ層の前記複数の微細な凹部を拡大させる工程とを包含する。
ある実施形態において、前記レンズ用型の製造方法は、前記工程(c)の後に、前記アルミニウム基材または前記型基材から、前記複数の反転された光学曲面の内の少なくとも1つの反転された光学曲面を含む部分を切り出す工程(d)をさらに包含する。
ある実施形態において、前記アルミニウム基材または前記アルミニウム層の法線方向から見たとき、前記複数の反転された光学曲面の2次元的な大きさは、1mm以上である。
ある実施形態において、前記工程(a)において、前記複数の反転された光学曲面は周期的に形成されている。
ある実施形態において、前記複数の反転された光学曲面の隣接間距離は、1mm以上である。
ある実施形態において、前記工程(b)は、前記アルミニウム基材または前記アルミニウム層の表面を電解液に接触させた状態で、前記アルミニウム基材または前記アルミニウム層の表面と電気的に接続された陽極と、前記電解液内に設けられた陰極との間に電圧を印加することによって、微細な凹部を有するポーラスアルミナ層を形成する工程であって、前記電圧を目標値に上昇させる工程と、前記電圧を前記目標値に上昇させる前に、前記電圧を前記目標値よりも低い第1ピーク値に上昇させ、その後、前記第1ピーク値よりも低い値に低下させる工程とを包含する。
ある実施形態において、前記電圧を前記第1ピーク値よりも低い値に低下させる工程において、前記電圧を実質的にゼロに低下させる。
ある実施形態において、前記工程(c)の後に、前記ポーラスアルミナ層の表面を離型処理する工程(e)をさらに包含する。
ある実施形態において、前記工程(a)は、前記アルミニウム基材を用意する工程であり、前記工程(b)の前に、前記アルミニウム基材の表面に形成された前記複数の反転された光学曲面に機械加工または電解加工を施す工程(b1)をさらに包含する。
ある実施形態において、前記工程(a)は、前記アルミニウム基材を用意する工程であり、前記工程(b)の前に、比抵抗値が1MΩ・cm以下の水または水溶液中において、前記アルミニウム基材の表面を陰極として、前記表面と対向電極との間に通電処理を行う工程(b2)をさらに包含する。
ある実施形態において、前記工程(a)は、前記型基材を用意する工程であり、前記基材を用意する工程(a1)と、前記基材の表面に複数の曲面部を形成する工程(a2)と、前記工程(a2)において形成された前記複数の曲面部の上にアルミニウムを堆積することによって、前記複数の反転された光学曲面を表面に有する前記アルミニウム層を形成する工程(a3)とを包含する。
ある実施形態において、前記工程(a3)の前に、前記基材の表面に形成された前記複数の曲面部に機械加工または電解加工を施す工程(a4)をさらに包含する。
ある実施形態において、前記基材は、アルミニウム基材であり、前記型基材は、前記基材と前記アルミニウム層との間に形成された無機材料層をさらに有する。
ある実施形態において、前記基材は、Al−Mg−Si系のアルミニウム合金で形成され、機械的な鏡面加工が施されたアルミニウム基材である。
本発明の実施形態によるレンズ用型は、少なくとも1つの反転された光学曲面を表面に有するレンズ用型であって、アルミニウム基材と、前記アルミニウム基材の表面に形成されたポーラスアルミナ層とを有し、前記ポーラスアルミナ層は、前記少なくとも1つの反転された光学曲面を表面に有し、前記少なくとも1つの反転された光学曲面のそれぞれは、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが10nm以上500nm未満の複数の微細な凹部を有する。
本発明の他の実施形態によるレンズ用型は、少なくとも1つの反転された光学曲面を表面に有するレンズ用型であって、基材と、前記基材に支持されたアルミニウム層と、前記アルミニウム層の表面に形成されたポーラスアルミナ層とを有し、前記ポーラスアルミナ層は、前記少なくとも1つの反転された光学曲面を表面に有し、前記少なくとも1つの反転された光学曲面のそれぞれは、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが10nm以上500nm未満の複数の微細な凹部を有する。
ある実施形態において、前記ポーラスアルミナ層の表面は、平面部をさらに有し、前記少なくとも1つの反転された光学曲面は、前記平面部を介して互いに隣接する2つの反転された光学曲面を含む。
ある実施形態において、前記基材と前記アルミニウム層との間に形成された無機材料層をさらに有し、前記平面部は、前記無機材料層の一部を含む。
ある実施形態において、前記平面部は、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが10nm以上500nm未満の複数の微細な凹部を有する。
本発明の実施形態によると、型の製造ばらつきの発生を抑制することができるレンズ用型の製造方法およびそのような方法で製造されたレンズ用型が提供される。
(a)は、実施形態1のレンズ用型100Aを模式的に示す斜視図であり、(b)は、レンズ用型100Aの模式的な断面図であり、(c)は、実施形態1のレンズ用型100Bの模式的な断面図である。 (a)〜(d)は、レンズ用型100Aの製造方法を説明するための模式的な断面図である。 (a)〜(e)は、レンズ用型100Aの製造方法を説明するための模式的な断面図である。 (a)〜(c)は、レンズ用型100Aの製造方法を説明するための模式的な斜視図であり、(d)は、モスアイ用型50Aを切断する方法を説明するための模式的な断面図である。 ポーラスアルミナ層18を形成する工程における電圧の変化を示すグラフである。 ポーラスアルミナ層18を形成する工程における電圧の変化を示すグラフである。 (a)は、円筒状または円柱状のモスアイ用型50Aの陽極酸化を行う陽極酸化槽の模式図であり、(b)は、(a)の陽極酸化槽の電解液に浸漬されたアルミニウム基材10Aの模式的な断面図である。 (a)および(b)は、レンズ用型100Aを用いて、レンズの光学曲面を作製する方法を説明するための模式的な断面図である。 (a)〜(e)は、レンズ用型100Bの製造方法を説明するための模式的な断面図である。 (a)〜(e)は、レンズ用型100Bの製造方法を説明するための模式的な断面図である。 (a)〜(c)は、実施形態2のレンズ用型の製造方法を説明するための模式的な斜視図である。 実施形態3のレンズ用型100Cを模式的に示す斜視図である。
以下で、図面を参照して、本発明の実施形態によるレンズ用型およびレンズ用型の製造方法を説明する。なお、本発明は以下で例示する実施形態に限られない。以下の図面において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、その説明を省略することがある。
本出願人は、モスアイ構造を有する反射防止表面(または反射防止膜)の製造方法として、アルミニウムを陽極酸化することによって得られる陽極酸化ポーラスアルミナ層を用いる方法を開発してきた(特許文献2、3および5から10)。陽極酸化ポーラスアルミナ膜を利用することによって、モスアイ構造を表面に形成するための型(以下、「モスアイ用型」ということがある。)を容易に製造することができる。モスアイ構造を形成することができるモスアイ用型の表面の構造を「反転されたモスアイ構造」ということにする。特に、特許文献2、3および5から10に記載されているように、アルミニウムの陽極酸化膜の表面をそのまま型として利用すると、製造コストを低減する効果が大きい。参考のために、特許文献1から3および5から10の開示内容の全てを本明細書に援用する。
(実施形態1)
図1(a)〜(c)を参照して、本発明の実施形態1によるレンズ用型100Aおよび100Bの構造を説明する。図1(a)は、レンズ用型100Aを模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、レンズ用型100Aの模式的な断面図であり、図1(c)は、レンズ用型100Bの模式的な断面図である。
本発明の実施形態によるレンズ用型100Aおよび100Bは、反転された光学曲面22を表面に有する。反転された光学曲面22は、レンズの光学曲面に対応する曲面である。例えば、図1に示すように凹面を構成する反転された光学曲面22は、レンズの凸面を形成することができる。レンズの光学曲面は、球面に限られず、非球面であってもよい。反転された光学曲面22を、球面または非球面の任意の形状にすることで、所望の光学曲面を形成することができる。
図1(b)に示すように、レンズ用型100Aは、アルミニウム基材10Aと、アルミニウム基材10Aの表面に形成されたポーラスアルミナ層18とを有する。ポーラスアルミナ層18は、反転された光学曲面22を表面に有する。反転された光学曲面22は、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが10nm以上500nm未満の複数の微細な凹部18pを有する。
ここで、凹部の「2次元的な大きさ」とは、表面の法線方向から見たときの凹部の面積円相当径を指す。例えば、凹部が円錐形の場合には、凹部の2次元的な大きさは、円錐の底面の直径に相当する。凸部の「2次元的な大きさ」も同様である。また、後述する図3(e)または図10(e)に例示するように、微細な凹部18pが密に配列されており、隣接する微細な凹部18p間に間隙が存在しない(例えば、円錐の底面が部分的に重なる)場合には、互いに隣接する2つの微細な凹部18pの平均隣接間距離は、微細な凹部18pの2次元的な大きさとほぼ等しい。微細な凹部18pの典型的な隣接間距離は20nm超1000nm以下である。微細な凹部18pの典型的な深さは、50nm以上500nm未満である。
「反転された光学曲面」の「2次元的な大きさ」も同様に、表面の法線方向から見たときの「反転された光学曲面」の面積円相当径を指す。光学曲面を形成することができるレンズ用型の表面の構造を「反転された光学曲面」ということにする。光学曲面の「2次元的な大きさ」も同様である。
図1(c)に示すように、レンズ用型100Bは、基材12と、基材12に支持されたアルミニウム層16rとを有する構成において、レンズ用型100Aがアルミニウム基材10Aを有する構成と異なる。レンズ用型100Bは、アルミニウム層16rの表面に形成されたポーラスアルミナ層18を有し、ポーラスアルミナ層18は、反転された光学曲面22を表面に有する。反転された光学曲面22は、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが10nm以上500nm未満の複数の微細な凹部18pを有する。以下、レンズ用型100Bの説明において、レンズ用型100Aと共通の特徴については説明を省略することがある。図1(c)に示すように、レンズ用型100Bは、基材12とアルミニウム層16rとの間に形成された無機材料層14をさらに有してもよい。
図2〜図4を参照して、レンズ用型100Aを製造する方法を説明する。図2(a)〜(d)および図3(a)〜(e)は、レンズ用型100Aの製造方法を説明するための模式的な断面図である。図3(a)〜(e)は、反転されたモスアイ構造を形成するプロセスを説明するための図であり、図3(a)〜(e)においては見やすさのために反転された光学曲面22の図示を省略している。図4(a)〜(c)は、レンズ用型100Aの製造方法を説明するための模式的な斜視図であり、図4(d)は、モスアイ用型50Aを切断する方法を説明するための模式的な断面図である。
まず、図2(a)、図3(a)および図4(a)に示すように、アルミニウム基材10Aを用意する。
アルミニウム基材10Aは、例えば図4(a)に示すように円柱状または円筒状である。アルミニウム基材10Aの直径は例えば300mmであり、長軸方向の長さは例えば1000mm〜1600mmである。
アルミニウム基材10Aの表面は、機械加工または電解加工が施されていてもよい。機械加工は、例えば、機械的な鏡面加工(例えばバイト切削)である。電解加工は、例えば電解研磨である。
本出願人による特許文献5に開示されているように、円柱状または円筒状のモスアイ用型を用いると、ロール・ツー・ロール方式により反射防止膜を効率良く製造することができる。表面に機械加工が施されたアルミニウム基材は、ロール状(円柱状または円筒状)のモスアイ用型を作製する工程において用いられることがある。本発明の実施形態によるレンズ用型の製造においても、そのようなアルミニウム基材を用いてもよい。
次に、図2(b)および図4(b)に示すように、アルミニウム基材10Aの表面に、複数の反転された光学曲面22を形成する。
アルミニウム基材10Aの表面は、複数の反転された光学曲面22と、平面部21とを含む。アルミニウム基材10Aの表面(外周面)の内、反転された光学曲面22を構成しない部分は、平面部21を構成する。複数の反転された光学曲面22は、平面部21を介して互いに隣接する2つの反転された光学曲面22を含む。
複数の反転された光学曲面22の2次元的な大きさは、例えば1mm以上50mm以下である。複数の反転された光学曲面22は、例えば周期的に形成される。複数の反転された光学曲面22の隣接間距離は、例えば1mm以上50mm以下である。後述するように、複数の反転された光学曲面22のそれぞれにおいて、ポーラスアルミナ層18の微細な凹部18pが均一に形成されるためには、複数の反転された光学曲面22が周期的に形成されていることが好ましい。
複数の反転された光学曲面22は、種々の公知のアルミニウムの加工方法を用いて形成することができる。例えば切削加工やドリル加工を用いてアルミニウム基材10Aの表面を加工することによって、反転された光学曲面22を形成してもよい。あるいは、反転された光学曲面22を形成するための型を用いてプレス加工を施してもよい。反転された光学曲面22の形成方法は、上記の例に限られず、レンズ用型100Aを用いて形成されるレンズ(光学曲面)について所望される2次元的な大きさや深さ、加工精度等によって適宜加工方法を選べばよい。
アルミニウム基材10Aの表面に、複数の反転された光学曲面22を形成した後、アルミニウム基材10Aの表面、特に複数の反転された光学曲面22に、上述の機械加工または電解加工を施してもよい。電解加工は、アルミニウム基材の表面の内、機械加工が施しにくい部分の処理を行うことができるという利点を有することがある。また、電解加工を施したアルミニウム基材の表面には、後述する加工変質層が形成されないという利点もある。携帯電話やスマートフォン用のカメラレンズやコンタクトレンズ等の比較的小さいレンズを形成するためのレンズ用型100Aにおいては、反転された光学曲面22の深さは大きくても数mm程度であるので、反転された光学曲面22に均一に電解研磨を施すことができる。なお、反転された光学曲面22の2次元的な大きさや深さによっては、反転された光学曲面22に均一に電解研磨を施すことができないという問題が生じる場合がある。この場合には、反転された光学曲面22に対向する電極を別途電解液中に設ければよい。
アルミニウム基材の表面に機械加工を施すと、アルミニウム基材の表面に加工変質層が形成される。本出願人による特許文献6に開示されているように、表面に加工変質層が形成されたアルミニウム基材は、陽極酸化すると微細な凹部が均一に形成されないという問題が生じることがある。特許文献6に記載されているように、アルミニウム基材の陽極酸化を行う前に、アルミニウム基材の表面、すなわち加工変質層の表面に、陰極電解によって微細な凹凸構造を形成することで、この問題の発生を抑制することができる。
陰極電解は、電解液としての水溶液中において、アルミニウム基材の表面を陰極として、アルミニウム基材の表面と対向電極との間に通電処理を行うことを言う。水溶液としては、陽極酸化に用いる電解液を用いることもできるし、水溶液に代えて比抵抗値が1MΩ・cm以下の水を用いることもできる。例えば、電解液として0.1mol/Lの蓚酸水溶液を用い、4A/dm3の電流を30秒間流した後、アルミニウム基材を電解液から引き上げるという操作を1セットとして、3セット行うことで、陰極電解を行う。アルミニウム基材を電解液から引き上げることによって、陰極電解を複数回に分けて行うと、陰極であるアルミニウム基材の表面に発生する気泡が反応を阻害し、陰極電解が進行しない部分が発生するのを抑制することができる。
陰極電解の後、アルミニウム基材の表面に形成された水酸化アルミニウムの皮膜を取り除くために、例えば燐酸水溶液(30℃、1mol/L)中に10分間浸漬することが好ましい。
加工変質層に起因して、ポーラスアルミナ層に微細な凹部が均一に形成されないという問題は、加工変質層の形成を伴う機械加工が施されたアルミニウム基材を用いる場合に共通の問題である。鏡面加工の内、切削加工と、研削加工などの機械研磨(Mechanical Polishing:MP)と、化学研磨と機械研磨とを併用する化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)は、加工変質層の形成を伴う。本明細書において、「機械的な鏡面加工」は、MPおよびCMPを包含する。
上述したように、電解加工によって加工変質層は形成されないので、電解加工が施されたアルミニウム基材においては、加工変質層に起因して、ポーラスアルミナ層に微細な凹部が均一に形成されないという問題は生じない。
反転された光学曲面22を形成した後、陽極酸化とエッチングとを交互に繰り返し、反転されたモスアイ構造を形成することによって、図2(c)および図3(e)に示すモスアイ用型50Aが得られる。反転されたモスアイ構造を形成するプロセスについて、図3(b)〜(e)を参照して説明する。
図3(b)に示すように、アルミニウム基材10Aの表面10Asを陽極酸化することによって、複数の微細な凹部(細孔)18pを有するポーラスアルミナ層18を形成する。ポーラスアルミナ層18は、微細な凹部18pを有するポーラス層と、バリア層(微細な凹部18pの底部)とを有している。隣接する微細な凹部18pの間隔(中心間距離)は、バリア層の厚さのほぼ2倍に相当し、陽極酸化時の電圧にほぼ比例することが知られている。この関係は、図3(e)に示す最終的なポーラスアルミナ層18についても成立する。
ポーラスアルミナ層18は、例えば、酸性の電解液中で表面10Asを陽極酸化することによって形成される。ポーラスアルミナ層18を形成する工程で用いられる電解液は、例えば、蓚酸、酒石酸、燐酸、硫酸、クロム酸、クエン酸およびリンゴ酸からなる群から選択される酸を含む水溶液である。例えば、アルミニウム基材10Aの表面10Asを、蓚酸水溶液(濃度0.1mol/L)を用いて、印加電圧60Vで120秒間陽極酸化を行うことにより、ポーラスアルミナ層18を形成する。
次に、図3(c)に示すように、ポーラスアルミナ層18をアルミナのエッチャントに接触させることによって所定の量だけエッチングすることにより微細な凹部18pの開口部を拡大する。エッチング液の種類・濃度、およびエッチング時間を調整することによって、エッチング量(すなわち、微細な凹部18pの大きさおよび深さ)を制御することができる。エッチング液としては、例えば10mass%の燐酸や、蟻酸、酢酸、クエン酸などの有機酸や硫酸の水溶液やクロム酸燐酸混合水溶液を用いることができる。例えば、燐酸水溶液(5mass%)およびクロム酸水溶液(3mass%)の混合水溶液を用いて15分間エッチングを行う。
次に、図3(d)に示すように、再び、アルミニウム基材10Aを部分的に陽極酸化することにより、微細な凹部18pを深さ方向に成長させるとともにポーラスアルミナ層18を厚くする。ここで微細な凹部18pの成長は、既に形成されている微細な凹部18pの底部から始まるので、微細な凹部18pの側面は階段状になる。
さらにこの後、必要に応じて、ポーラスアルミナ層18をアルミナのエッチャントに接触させることによってさらにエッチングすることにより微細な凹部18pの孔径をさらに拡大する。エッチング液としては、ここでも上述したエッチング液を用いることが好ましく、現実的には、同じエッチング浴を用いればよい。
このように、上述した陽極酸化工程およびエッチング工程を交互に複数回(例えば5回:陽極酸化を5回とエッチングを4回)繰り返すことによって、図3(e)に示すように、反転されたモスアイ構造を有するポーラスアルミナ層18を有するモスアイ用型50Aが得られる。陽極酸化工程で終わることによって、微細な凹部18pの底部を点にできる。すなわち、先端が尖った凸部を形成することができる型が得られる。
図3(e)に示すポーラスアルミナ層18(厚さtp)は、ポーラス層(厚さは微細な凹部18pの深さDdに相当)とバリア層(厚さtb)とを有する。
ポーラスアルミナ層18が有する微細な凹部18pは、例えば円錐形であり、階段状の側面を有してもよい。微細な凹部18pの二次元的な大きさ(表面の法線方向から見たときの凹部の面積円相当径)Dpは10nm超500nm未満で、深さDdは10nm以上1000nm(1μm)未満程度であることが好ましい。また、微細な凹部18pの底部は尖っている(最底部は点になっている)ことが好ましい。微細な凹部18pは密に充填されている場合、ポーラスアルミナ層18の法線方向から見たときの微細な凹部18pの形状を円と仮定すると、隣接する円は互いに重なり合い、隣接する微細な凹部18pの間に鞍部が形成される。なお、略円錐形の微細な凹部18pが鞍部を形成するように隣接しているときは、微細な凹部18pの二次元的な大きさDpは隣接間距離Dintと等しい。ポーラスアルミナ層18の厚さtpは、例えば、約1μm以下である。
微細な凹部18pで構成される反転されたモスアイ構造は、複数の反転された光学曲面22に重畳されて形成される。したがって、図2(c)に模式的に示すように、反転された光学曲面22内に形成された微細な凹部18pと、平面部21に形成された微細な凹部18pとが存在する。
次に、図2(d)に示すように、アルミニウム基材10Aから、複数の反転された光学曲面22の内の少なくとも1つの反転された光学曲面22を含む部分を切り出す。例えば、図2(d)の破線に沿って、モスアイ用型50Aを分断する。ここでは、1つの反転された光学曲面22を含む部分を切り出すことによって、レンズ用型100Aを得る。図2(d)に示すように、1つのモスアイ用型50Aから複数のレンズ用型100Aを得ることができる。
円筒状または円柱状のアルミニウム基材10Aの切断の方法は、任意であってよい。その一例を、図4(c)および(d)を参照して説明する。まず図4(c)の破線に沿って、断面がアルミニウム基材10Aの長軸方向に直交するようにモスアイ用型50Aを切断することによって複数の部分に分ける。その後、それぞれの部分(底面が円)について、図4(d)に示すように、円の中心を通る直線に沿って分割する。所望のレンズ用型の大きさによって、中心角θの大きさを設定すればよい。なお、中心角θの大きさによっては、得られたレンズ用型100Aの平面部21の曲率が、無視できないほど大きくなることがある。この場合、平面部21の曲率を小さくするように平坦化処理を行うことが好ましい。例えば、平面部21の曲率がレンズ用型100Aの使用上問題ない程度に小さくなるまで、例えばレンズ用型100Aの平面部21の表面に機械研磨を施すことによって、平面部21の表面を削ればよい。
モスアイ用型50Aを切断する工程の前に、モスアイ用型50Aの表面に離型処理を施す工程を行うことが好ましい。離型処理工程については、例えば本出願人による特許文献8に開示されている。離型処理工程は、例えば、離型性を有するフッ素系化合物と溶剤とを含む離型剤を用意する工程と、モスアイ用型50Aの表面に、フッ素系化合物を溶解することができる溶剤を付与する工程と、その後、モスアイ用型50Aの表面に離型剤をスプレーコート法によって付与する工程とを包含する。
以上の工程により、レンズ用型100Aを製造することができる。
本発明の実施形態によるレンズ用型の製造方法によって製造されたレンズ用型100Aは、図1(b)に示すように、平面部21を有し、平面部21は、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが10nm以上500nm未満の複数の微細な凹部18pを有する。
本発明の実施形態によるレンズ用型100Aの製造方法によると、1つのモスアイ用型50Aから複数のレンズ用型100Aを得ることができるので、レンズ用型の製造ばらつきを抑制することができる。すなわち、モスアイ用型50Aの表面は、基本的に同じ条件で陽極酸化されるので、そのモスアイ用型50Aを切り出すことによって得られるレンズ用型100Aは、製造ばらつきが抑制される。
本発明の実施形態によるレンズ用型の製造工程は、陽極酸化されるアルミニウム基材または型基材が、表面に反転された光学曲面を有する点において、これまで本出願人が開発してきたモスアイ用型の製造工程と異なる。従って、従来のモスアイ用型の製造方法においては、ポーラスアルミナ層に微細な凹部が十分に均一に形成されていた条件であっても、反転された光学曲面を有するアルミニウム基材または型基材に適用した場合に、ポーラスアルミナ層に形成される微細な凹部の均一性が十分に担保されない可能性がある。例えば、陽極酸化される表面に対する電解液の供給のされ方や、陽極酸化によって発生した熱の拡散の仕方等が場所によって異なる可能性がある。これにより、ポーラスアルミナ層18の微細な凹部18pが均一に形成されない可能性がある。
しかしながら、たとえ、モスアイ用型50Aのポーラスアルミナ層18内に、微細な凹部18pが均一に形成されていない箇所が生じたとしても、レンズ用型100Aを切り出す工程において、そのような箇所(例えばモスアイ用型50Aの長軸方向における両端部分)を避けて切り出せばよい。これにより、レンズ用型の製造ばらつきを抑制することができるという効果を得ることができる。あるいは、後述するように、モスアイ用型50Aのポーラスアルミナ層18内の微細な凹部18pが均一に形成されるように、本出願人による特許文献7に開示されているポーラスアルミナ層の形成方法を用いてもよい。これらを併用してももちろんよい。
なお、反転された光学曲面の2次元的な大きさは、反転されたアンチグレア構造よりも大きいので、反転された光学曲面はアンチグレア(防眩)機能を有しない。特許文献1および2に記載されているように、アンチグレア機能を発揮する凹凸構造(「アンチグレア構造」ということがある。)を構成する凸部または凹部の2次元的な大きさは200nm以上100μm未満である。モスアイ構造よりも大きな凹凸構造(マクロ構造)を設けることによって、反射防止膜(反射防止表面)にアンチグレア(防眩)機能を付与することができる。アンチグレア構造を形成することができる型の表面の構造を「反転されたアンチグレア構造」ということがある。
ここで、特許文献4のレンズ用型の製造方法について説明する。
特許文献4のレンズ用型は、以下のようにして製造されると記載されている。まず、反転された光学曲面(特許文献4では「自由曲面」と記載されている。)を有する金型を用意し、反転された光学曲面を覆うアルミニウム層を形成する。その後、アルミニウム層を陽極酸化する工程と、陽極酸化によって形成されたポーラスアルミナ層の細孔を拡大するエッチング工程とを交互に繰り返すことで、レンズを製造するための型を得る。陽極酸化工程およびエッチング工程を行う際には、反転された光学曲面だけを露出させるようにして、金型全体をマスキングテープで覆う。マスキングテープで覆われた部分は、絶縁防水状態である。
特許文献4のレンズ用型の製造方法においては、それぞれの型について陽極酸化を行うので、型によって陽極酸化の条件が異なる可能性があり、型の製造ばらつきが生じるおそれがある。特に、陽極酸化の条件が異なることにより、ポーラスアルミナ層が有する微細な凹部に製造ばらつきが生じるおそれがある。
また、本発明者の検討によると、マスキングテープで型の表面を覆うと、型が有する反転された光学曲面において、微細な凹部が不均一に形成される可能性がある。すなわち、型が有する反転された光学曲面において、微細な凹部(細孔)の直径および/または深さにむらが生じる可能性がある。このような型を用いて製造されたレンズを介して得られる像には、色むらが生じる可能性がある。本発明者は、アルミニウム基材または型基材の表面を陽極酸化することによりポーラスアルミナ層を形成する場合、アルミニウム基材または型基材の表面に凹部が存在すると、初期の段階においてまず、表面の凹部に電界が集中することにより、凹部から優先的に微細な凹部(細孔)の成長が進行するという知見を得ている(例えば国際公開第2011/052652号)。従って、特許文献4の型の製造方法においては、ポーラスアルミナ層の内、マスキングテープの端に電界が集中し、マスキングテープの近傍では他の部分よりも微細な凹部が深くなると考えられる。これにより、反転された光学曲面に形成された微細な凹部の直径や深さにむらが生じ得る。
本発明の実施形態によるレンズ用型の製造方法によると、上述したように、1つのモスアイ用型から複数のレンズ用型を得ることができるので、レンズ用型の製造ばらつきを抑制することができる。モスアイ用型の表面がなるべく均一な条件で陽極酸化されることがさらに好ましい。例えば、複数の反転された光学曲面がアルミニウム基材の表面に周期的に形成されていることが好ましい。
また、本発明の実施形態によるレンズ用型の製造方法によると、レンズ用型100Aの反転された光学曲面22に形成された微細な凹部18pの不均一性が抑制され得る。すなわち、レンズ用型100Aの反転された光学曲面22に形成された微細な凹部18pの直径および/または深さのむらが抑制され得る。例えば、モスアイ用型50Aを製造する工程において、アルミニウム基材10Aの表面の一部を絶縁性部材(例えばマスキングテープ)で覆う場合、モスアイ用型50Aのポーラスアルミナ層18において、絶縁性部材の近傍で他の部分よりも深い微細な凹部が形成されても、レンズ用型100Aを切り出す工程において、そのような箇所を避けて切り出せばよい。モスアイ用型50Aを製造する工程において、アルミニウム基材10Aの表面の一部を絶縁性部材で覆う場合、反転された光学曲面22は、アルミニウム基材10Aの表面の内、絶縁性部材の端から例えば10mm以上離れて形成しておくことが好ましい。絶縁性部材の端における電界集中に起因した微細な凹部の不均一性は、絶縁性部材の端から数mm以内の範囲において生じると考えられるからである。
なお、モスアイ用型50Aを製造する工程において、アルミニウム基材10Aの表面を陽極酸化に用いた電極と接触させた状態で、エッチング液に接触させると、電極に含まれる不純物(例えば標準電極電位がアルミニウムよりも高い金属)に起因してエッチング液を介した電池効果が生じることがある。すなわち、エッチング工程において、エッチング液中でアルミニウム基材10Aと電極との間で局所電池が形成される結果、孔食または隙間腐食等の不均一な腐食(例えばガルバニック腐食)が起こることがある。不均一な腐食の発生を抑制するためには、アルミニウム基材10Aの表面と電極とが接触している部分が、エッチング液に接触しないようにすればよい。例えば、アルミニウム基材10Aの表面と電極とが接触している部分を絶縁性部材(例えばマスキングテープ)で覆うことによって保護すればよい。アルミニウム基材10Aの表面の内、絶縁性部材によって覆われることになる部分には、反転された光学曲面22を形成しないようにしてもよい。
本発明の実施形態によるレンズ用型の製造工程において、特許文献7に開示されているように、ポーラスアルミナ層18が有する微細な凹部18pが均一に形成されるように陽極酸化工程を行うことが好ましい。特許文献7の陽極酸化方法を用いることによって、レンズ用型100Aの反転された光学曲面22に形成された微細な凹部18pの不均一性(微細な凹部18pの直径および/または深さのむら)がより効果的に抑制され得る。
特許文献7に開示されている、ポーラスアルミナ層18を形成する工程における電圧について、図5および図6を参照して説明する。図5および図6は、それぞれ、ポーラスアルミナ層18を形成する工程における電圧の変化の一例を示すグラフである。
ポーラスアルミナ層18を形成する工程は、アルミニウム基材10Aの表面を電解液に接触させた状態で、アルミニウム基材10Aの表面と電気的に接続された陽極と、電解液内に設けられた陰極との間に電圧を印加することによって、微細な凹部18pを有するポーラスアルミナ層18を形成する工程である。図5に示すように、ポーラスアルミナ層18を形成する工程は、電圧を目標値に上昇させる工程と、電圧を目標値に上昇させる前に、電圧を目標値よりも低い第1ピーク値に上昇させ、その後、第1ピーク値よりも低い値に低下させる工程とを含むことが好ましい。電圧を第1ピーク値よりも低い値に低下させる工程において、例えば電圧を実質的にゼロに低下させる。
あるいは、図6に示すように、ポーラスアルミナ層18を形成する工程は、電圧を第1ピーク値よりも低い値に低下させる工程の後であって、電圧を目標値に上昇させる工程の前に、電圧を、第1ピーク値よりも高く目標値以下の第2ピーク値に上昇させ、その後、第2ピーク値よりも低い値に低下させる工程をさらに含んでもよい。第2ピーク値に上昇させる工程において、例えば第2ピーク値は目標値とほぼ等しい。
図5を参照して、ポーラスアルミナ層18を形成する工程における電圧の変化を詳細に説明する。上述したように、ポーラスアルミナ層18は、微細な凹部18pを有するポーラス層と、バリア層(微細な凹部18pの底部)とを有している。
まず、陽極と陰極との間の電圧をピーク値に上昇させ、その後、電圧を、ピーク値からピーク値よりも低い値に低下させる。例えば、電源を落とすことにより、電圧をピーク値からゼロに低下させる。このとき、バリア層はピーク値に対応する厚さを有している。
その後、電圧をピーク値よりも高い目標値に上昇させ、電圧を目標値に所定の時間維持する。その後、例えば、電源を落とすことにより、電圧を目標値からゼロに低下させる。これにより、バリア層は目標値に対応する厚さになる。なお、このバリア層は、目標値の電圧の印加を開始する前よりも厚い。また、ポーラスアルミナ層18に設けられた微細な凹部18pのピッチまたは平均隣接間距離は目標値に対応する。
ここでは、電圧をピーク値または目標値まで上昇させる時間変化率(傾き)は一定である。電圧をピーク値および目標値に上昇させる際の電圧の時間変化率はそれぞれ0.57V/sよりも大きく20V/sよりも小さいことが好ましい。
陽極酸化工程において単位時間あたりに発生する熱量(すなわち、電力)が大きい場合、アルミニウム基材10Aの異なる領域における温度の差が比較的大きくなり、その結果、形成される微細な凹部18pが均一に形成されないことがある。
図5の陽極酸化方法では、電圧を目標値に上昇させる前に目標値よりも低いピーク値に上昇させており、これにより、瞬間的に発生する熱量を効率的に抑制できる。電圧をピーク値まで上昇させることによって形成されたバリア層は絶縁性の高いアルミナを有しており、その後でさらに陽極酸化を進めるためには、ピーク値以上の電圧を印加する必要があり、ピーク値未満の電圧を印加しても電流がほとんど流れず、陽極酸化は進行しない。このため、目標値まで電圧を上昇させる際に、ゼロからピーク値まで電圧を変化させても電流がそれほど流れず、電圧がピーク値に達してから目標値まで上昇する際の電流は、電圧をピーク値まで上昇させることなく目標値まで直接上昇させた場合と比べて抑制される。このように、電圧の上昇を段階的に行うことにより、電流量を抑制して単位時間当たりの発生熱量(すなわち、電力)を抑制することができ、その結果、微細な凹部18pの不均一性を抑制することができる。
また、本実施形態において、電圧を目標値よりも低いピーク値まで上昇させた際の電流は、電圧を目標値まで上昇させた際の電流よりも低く、ジュール熱の発生量が比較的少ない。その後、電圧をピーク値に上昇させた後にピーク値よりも低くすることにより、電流が少なくとも一時的に流れなくなり、ジュール熱の発生が停止する。このため、電圧をピーク値に上昇させた際に発生した熱が拡散し、電圧をピーク値に上昇させる際に発生した熱の影響を抑制することができる。このように、本実施形態の陽極酸化層の形成方法によれば、アルミニウム基材10Aの異なる領域における温度差を抑制することができ、その結果、微細な凹部18pの不均一性を抑制することができる。
なお、上述した説明では、電圧をピーク値に上昇させた後に電圧をピーク値からゼロに低下させたが、本発明はこれに限定されない。電圧をゼロに低下させなくてもピーク値よりも低くすることにより、電流が少なくとも一時的に流れなくなり、これにより、電圧をピーク値に上昇させる際に発生した熱の影響を抑制することができる。ただし、電圧がピーク値よりも低くても、アルミニウム基材10Aの温度差に起因して電流が流れることがある。このため、電圧をゼロに低下させることにより、温度差に起因する電流を効果的に抑制することができる。
なお、図5では、電圧を目標値に上昇させる前に電圧の上昇および低下を1回行ったが、本発明はこれに限定されない。図6に示すように、電圧を目標値に上昇させる前に電圧の上昇および低下を2回以上行ってもよい。以下、図6を参照して、ポーラスアルミナ層18を形成する工程における電圧の変化を説明する。
まず、陽極と陰極との間の電圧を第1ピーク値に上昇させ、その後、電圧を、第1ピーク値から第1ピーク値よりも低い値に低下させる。例えば、電源を落とすことにより、電圧を第1ピーク値からゼロに低下させる。このとき、バリア層は、第1ピーク値に対応する厚さを有している。
その後、陽極と陰極との間の電圧を第1ピーク値よりも高い第2ピーク値に上昇させ、その後、電圧を、第2ピーク値から第2ピーク値よりも低い値に低下させる。例えば、電源を落とすことにより、電圧を第2ピーク値からゼロに低下させる。このとき、バリア層は、第2ピーク値に対応する厚さを有している。なお、このときのバリア層は、第2ピーク値への電圧の上昇を開始する前よりも厚い。
その後、電圧を第2ピーク値以上の目標値に上昇させ、目標値で所定の時間維持する。その後、例えば、電源を落とすことにより、電圧を目標値からゼロに低下させる。このとき、バリア層は目標値に対する厚さを有している。また、微細な凹部18pのピッチまたは平均隣接間距離は所定の長さとなる。
ここでは、電圧をピーク値または目標値まで上昇させる時間変化率(傾き)は一定である。電圧を第1ピーク値、第2ピーク値および目標値に上昇させる際の電圧の時間変化率は0.57V/sよりも大きく20V/sよりも小さいことが好ましい。なお、第2ピーク値が目標値と等しい場合、電圧を第2ピーク値に上昇させた際に形成される微細な凹部18pのピッチまたは隣接間距離が、後に、目標値の電圧で形成されるピッチまたは平均隣接間距離とほぼ等しいため、所定のピッチまたは隣接間距離で所定の深さの微細な凹部18pを効率的に形成することができる。
本実施形態では、電圧を目標値に上昇させる前に目標値よりも低い第1ピーク値(必要に応じて第2ピーク値)に上昇させることにより、瞬間的に発生する熱量を効率的に抑制することができる。
具体的には、電圧を第1ピーク値まで上昇させることによって形成されたバリア層は絶縁性の高いアルミナを有しており、その後でさらに陽極酸化を進めるためには第1ピーク値以上の電圧を印加する必要があり、第1ピーク値未満の電圧を印加しても電流はほとんど流れない。このため、次に、第1ピーク値よりも高い第2ピーク値まで電圧を上昇する際に、ゼロから第1ピーク値まで電圧を変化させても電流がそれほど流れず、電圧が第1ピーク値に達してから第2ピーク値まで上昇する際の電流は、第1ピーク値までの電圧の上昇を行うことなく電圧を直接第2ピーク値に上昇させた場合と比べて抑制される。このように、電圧のピーク値を段階的に上昇させることにより、電流量を抑制して単位時間当たりの発生熱量(すなわち、電力)を抑制することができ、その結果、微細な凹部18pの不均一性を抑制することができる。
同様に、電圧を第2ピーク値まで上昇させることによって形成されたバリア層は絶縁性の高いアルミナを有しており、その後でさらに陽極酸化を進めるためには第2ピーク値以上の電圧を印加する必要があり、第2ピーク値未満の電圧を印加しても電流はほとんど流れない。このため、目標値まで電圧を上昇する際に、ゼロから第2ピーク値まで電圧を変化させても電流がそれほど流れず、電圧が第2ピーク値に達した後の電流は、電圧を第2ピーク値まで上昇させることなく目標値に上昇させた場合と比べて抑制される。このように、電圧のピーク値を段階的に上昇させることにより、電流量を抑制して単位時間当たりの発生熱量(すなわち、電力)を抑制することができ、その結果、微細な凹部18pの不均一性を抑制することができる。
また、本実施形態において、電圧を目標値よりも低いピーク値まで上昇させた際の電流は、電圧を目標値まで上昇させた際の電流よりも低く、ジュール熱の発生量が比較的少ない。その後、電圧をピーク値に上昇させた後に電圧をピーク値よりも低くすることにより、電流が少なくとも一時的に流れなくなり、陽極酸化層の形成が停止され、熱の発生が停止する。このため、電圧を第1ピーク値または第2ピーク値に上昇させた際に発生した熱が拡散し、電圧を第1ピーク値または第2ピーク値に上昇させる際に発生した熱の影響を抑制することができる。以上のように本実施形態の陽極酸化層の形成方法によれば、複数のパルスを印加し、各パルスのピーク値を前のパルスのピーク値以上とすることにより、微細な凹部18pの不均一性を抑制することができる。
なお、上述した説明では、電圧を第1ピーク値または第2ピーク値に上昇させた後にゼロに低下させたが、本発明はこれに限定されない。電圧をゼロに低下させなくても第1ピーク値または第2ピーク値よりも低くすることにより、電流が少なくとも一時的に流れなくなり、これにより、電圧を第1ピーク値または第2ピーク値に上昇させる際に発生した熱の影響を抑制することができる。ただし、電圧が第1ピーク値または第2ピーク値よりも低くても、アルミニウム基材10Aの温度差に起因して電流が流れることがある。このため、電圧をゼロに低下させることにより、温度差に起因する電流を効果的に抑制することができる。
また、図6では、電圧を目標値に上昇させる前に電圧の上昇および低下を2回行ったが、電圧を目標値に上昇させる前に電圧の上昇および低下を3回以上行ってもよい。
以下、図7を参照して陽極酸化槽40を説明する。図7(a)に円筒状または円柱状のアルミニウム基材10Aが電解液E0に浸漬された陽極酸化槽40の模式図を示し、図7(b)に陽極酸化槽40の電解液E0に浸漬されたアルミニウム基材10Aの模式的な断面図を示す。陽極酸化槽40には電解液E0が溜められおり、電解液E0は4000L(リットル)である。アルミニウム基材10Aは、その母線が陽極酸化槽40内の電解液E0の界面と平行になるように浸漬されている。
陽極E1は、アルミニウム基材10Aの表面と電気的に接続される。陰極E2は、陽極酸化槽40内の電解液E0に浸漬している。陰極E2は複数の線状部E2aと、複数の線状部E2aの両端と接触する接続部E2bとを有している。線状部E2aは、円筒状または円柱状のアルミニウム基材10Aとの最短距離がほぼ一定となるように同心円状に配置されており、線状部E2aとアルミニウム基材10Aとの間の最短距離はほぼ5cmである。なお、アルミニウム基材10Aと接続部E2bとの最短距離は、アルミニウム基材10Aと線状部E2aとの最短距離よりも長い。
ここでは、線状部E2aは12本設けられており、線状部E2aおよび接続部E2bのそれぞれは布で覆われている。このようなマスキングにより、陰極E2において発生する水素の泡に起因する電解液E0の流れのムラを抑制できる。これにより、微細な凹部18pがポーラスアルミナ層18内で均一に形成される。
レンズ用型100Aを用いたレンズの光学曲面の作製方法について、図8を参照して説明する。図8(a)および(b)は、レンズ用型100Aを用いて、レンズの光学曲面を作製する方法を説明するための模式的な断面図である。
熱硬化性樹脂32をレンズ用型100Aの反転された光学曲面22に付与した状態で、熱硬化性樹脂32を硬化させる。熱硬化性樹脂32を硬化させる工程においては、加熱処理に加えて、レンズ用型100Aを介して熱硬化性樹脂32に圧力を加えてもよい。例えば、図示するように、レンズ用型を2つ用意し(レンズ用型100A(1)および100A(2))、レンズ用型100A(1)の反転された光学曲面22に熱硬化性樹脂32を付与した状態で、レンズ用型100A(2)の反転された光学曲面22を熱硬化性樹脂32に押し付け、熱硬化性樹脂32に加熱処理を行うことで熱硬化性樹脂32を硬化させる。レンズ用型100A(1)および100A(2)の反転された光学曲面22の形状は、同じであってもよいし、互いに異なるものであってもよい。所望のレンズ(光学曲面)によって適宜調節すればよい。レンズ用型には、例えば空気を逃がすための溝(エアベント)が設けられていることが好ましい。
図9および図10を参照して、レンズ用型100Aの改変例であるレンズ用型100Bの製造方法について、説明する。図9(a)〜(e)および図10(a)〜(e)は、レンズ用型100Bの製造方法を説明するための模式的な断面図である。図10(a)〜(e)は、反転されたモスアイ構造を形成するプロセスを説明するための図であり、図10(a)〜(e)においては見やすさのために反転された光学曲面22の図示を省略している。
まず、図10(a)に示すように、型基材10Bを用意する。
型基材10Bは、基材12と、基材12の表面に形成された無機材料層14と、無機材料層14の上に形成されたアルミニウム層16とを有する。基材12は、例えばアルミニウム基材である。基材12は、例えば円筒状または円柱状である。
本明細書において、型基材とは、型の製造工程において、陽極酸化およびエッチングされる対象をいう。また、アルミニウム基材とは、自己支持が可能なバルク状のアルミニウムをいう。
以下で説明するように、アルミニウム基材12の表面に無機材料層14を形成し、無機材料層14の上にアルミニウム層16を形成することによって、型基材10Bを作製してもよい。
まず、図9(a)に示すように、基材12を用意する。
ここではアルミニウム基材12の例を説明する。アルミニウム基材12の表面には、機械加工が施されていてもよい。機械加工は、例えば機械的な鏡面加工である。
機械的な鏡面加工としては、バイト切削が好ましい。アルミニウム基材12の表面に、例えば砥粒が残っていると、砥粒が存在する部分において、アルミニウム層16とアルミニウム基材12との間で導通しやすくなる。砥粒以外にも、凹凸が存在するところでは、アルミニウム層16とアルミニウム基材12との間で局所的に導通しやすくなる。アルミニウム層16とアルミニウム基材12との間で局所的に導通すると、アルミニウム基材12内の不純物とアルミニウム層16との間で局所的に電池反応が起こる可能性がある。
アルミニウム基材12としては、例えばAl−Mg−Si系のアルミニウム合金(例えば、JIS A6063)で形成されたアルミニウム基材12を用いることができる。
円筒状のアルミニウム基材12は、典型的には、熱間押出し法によって形成される。熱間押出し法には、マンドレル法とポートホール法があるが、マンドレル法で形成されたアルミニウム基材12を用いることが好ましい。ポートホール法で形成された円筒状のアルミニウム基材12には外周面に継ぎ目(ウェルドライン)が形成され、継ぎ目がモスアイ用型50Bおよびレンズ用型100Bに反映される。したがって、モスアイ用型50Bおよびレンズ用型100Bに求められる精度によっては、マンドレル法で形成されたアルミニウム基材12を用いることが好ましい。
なお、ポートホール法で形成されたアルミニウム基材12に対して、冷間引抜き加工を施すことにより、継ぎ目の問題を解消することができる。もちろん、マンドレル法で形成されたアルミニウム基材12に対しても、冷間引抜き加工を施してもよい。
次に、図9(b)に示すように、基材12の表面に複数の反転された光学曲面22を形成する。
複数の反転された光学曲面22の形成方法は、上述したアルミニウム基材10Aと同様の方法を用いてもよい。ただし、この後、基材12の表面に無機材料層14および/またはアルミニウム層16を形成するので、アルミニウム層16の表面に形成される反転された光学曲面22の2次元的な大きさは、基材12の表面に形成された反転された光学曲面22の2次元的な大きさよりも、無機材料層14および/またはアルミニウム層16の厚さだけ小さくなり得る。従って、基材12の表面に形成する反転された光学曲面22の2次元的な大きさは、例えば、所望の値に、無機材料層14およびアルミニウム層16の厚さを加えた値に設定することが好ましい。基材12の表面に形成された複数の反転された光学曲面を「複数の曲面部」ということがある。
アルミニウム基材12の表面に、複数の反転された光学曲面22を形成した後、アルミニウム基材12の表面、特に複数の反転された光学曲面22に、上述の機械加工または電解加工を施してもよい。
次に、図9(c)に示すように、アルミニウム基材12の表面に無機材料層14を形成し、無機材料層14の上にアルミニウム層16を形成することによって、型基材10Bを作製する。
アルミニウム層16の表面には、アルミニウム基材12の表面に形成された反転された光学曲面22を反映した構造が形成されている。ここでは、アルミニウム層16に形成された構造も反転された光学曲面という。簡単のために、アルミニウム基材12の表面に形成された反転された光学曲面22およびアルミニウム層16の表面に形成された反転された光学曲面22を同じ参照符号で表す。アルミニウム層16の表面に形成された反転された光学曲面22は、アルミニウム基材12の表面に形成された反転された光学曲面22と実質的に同じ構造を有している。
無機材料層14の材料としては、例えば酸化タンタル(Ta25)または二酸化シリコン(SiO2)を用いることができる。無機材料層14は、例えばスパッタ法により形成することができる。無機材料層14として、酸化タンタル層を用いる場合、酸化タンタル層の厚さは、例えば、200nmである。
無機材料層14によって、基材12とアルミニウム層16とが直接接することを防ぐことができる。基材12が導電性を有する場合、基材12とアルミニウム層16とが直接接すると、後述するポーラスアルミナ層18を形成するプロセスのエッチング工程において、エッチング液中で基材12とアルミニウム層16との間で局所電池が形成される結果、孔食または隙間腐食等の不均一な腐食が起こり得る。無機材料層14を形成すると、上記不均一な腐食の発生を抑制することができる。
無機材料層14の厚さは、100nm以上500nm未満であることが好ましい。無機材料層14の厚さが100nm未満であると、アルミニウム層16に欠陥(主にボイド、すなわち結晶粒間の間隙)が生じることがある。また、無機材料層14の厚さが500nm以上であると、アルミニウム基材12の表面状態によって、アルミニウム基材12とアルミニウム層16との間が絶縁されやすくなる。アルミニウム基材12側からアルミニウム層16に電流を供給することによってアルミニウム層16の陽極酸化を行うためには、アルミニウム基材12とアルミニウム層16との間に電流が流れる必要がある。円筒状のアルミニウム基材12の内面から電流を供給する構成を採用すると、アルミニウム層16に電極を設ける必要がないので、アルミニウム層16を全面にわたって陽極酸化できるとともに、陽極酸化の進行に伴って電流が供給され難くなるという問題も起こらず、アルミニウム層16を全面にわたって均一に陽極酸化することができる。
また、厚い無機材料層14を形成するためには、一般的には成膜時間を長くする必要がある。成膜時間が長くなると、アルミニウム基材12の表面温度が不必要に上昇し、その結果、アルミニウム層16の膜質が悪化し、欠陥(主にボイド)が生じることがある。無機材料層14の厚さが500nm未満であれば、このような不具合の発生を抑制することもできる。
アルミニウム層16は、例えば、特許文献9に記載されているように、純度が99.99mass%以上のアルミニウムで形成された層(以下、「高純度アルミニウム膜」ということがある。)である。アルミニウム層16は、例えば、真空蒸着法またはスパッタ法を用いて形成される。アルミニウム層16の厚さは、約500nm以上約1500nm以下の範囲にあることが好ましく、例えば、約1μmである。
また、アルミニウム層16として、高純度アルミニウム膜に代えて、特許文献10に記載されている、アルミニウム合金膜を用いてもよい。特許文献10に記載のアルミニウム合金膜は、アルミニウムと、アルミニウム以外の金属元素と、窒素とを含む。本明細書において、「アルミニウム層」は、高純度アルミニウム膜だけでなく、特許文献10に記載のアルミニウム合金膜を含むものとする。
上記アルミニウム合金膜を用いると、反射率が80%以上の鏡面を得ることができる。アルミニウム合金膜を構成する結晶粒の、アルミニウム合金膜の法線方向から見たときの平均粒径は、例えば、100nm以下であり、アルミニウム合金膜の最大表面粗さRmaxは60nm以下である。アルミニウム合金膜に含まれる窒素の含有率は、例えば、0.5mass%以上5.7mass%以下である。アルミニウム合金膜に含まれるアルミニウム以外の金属元素の標準電極電位とアルミニウムの標準電極電位との差の絶対値は0.64V以下であり、アルミニウム合金膜中の金属元素の含有率は、1.0mass%以上1.9mass%以下であることが好ましい。金属元素は、例えば、TiまたはNdである。但し、金属元素はこれに限られず、金属元素の標準電極電位とアルミニウムの標準電極電位との差の絶対値が0.64V以下である他の金属元素(例えば、Mn、Mg、Zr、VおよびPb)であってもよい。さらに、金属元素は、Mo、NbまたはHfであってもよい。アルミニウム合金膜は、これらの金属元素を2種類以上含んでもよい。アルミニウム合金膜は、例えば、DCマグネトロンスパッタ法で形成される。アルミニウム合金膜の厚さも約500nm以上約1500nm以下の範囲にあることが好ましく、例えば、約1μmである。
反転された光学曲面22を形成した後、陽極酸化とエッチングとを交互に繰り返し、反転されたモスアイ構造を形成することによって、図9(d)および図10(e)に示すモスアイ用型50Bが得られる。反転されたモスアイ構造を形成するプロセスについて、図10(b)〜(e)を参照して説明する。基本的に、図3(b)〜(e)を参照して説明した陽極酸化工程とエッチング工程とを組み合わせることによって製造することができる。
図9(b)に示すように、アルミニウム層16の表面16sを陽極酸化することによって、複数の微細な凹部(細孔)18pを有するポーラスアルミナ層18を形成する。例えば、アルミニウム基材10Aの表面10Asを、蓚酸水溶液(濃度0.3mass%、液温10℃)を用いて、印加電圧80Vで55秒間陽極酸化を行うことにより、ポーラスアルミナ層18を形成する。
次に、図9(c)に示すように、ポーラスアルミナ層18をアルミナのエッチャントに接触させることによって所定の量だけエッチングすることにより微細な凹部18pの開口部を拡大する。例えば、燐酸水溶液(10mass%、30℃)を用いて20分間エッチングを行う。
次に、図9(d)に示すように、再び、アルミニウム層16を部分的に陽極酸化することにより、微細な凹部18pを深さ方向に成長させるとともにポーラスアルミナ層18を厚くする。その後、図3(e)を参照して説明したのと同様に、エッチング工程および陽極酸化工程を交互に複数回くり返す。例えば、陽極酸化工程とエッチング工程とを交互に5回(陽極酸化を5回とエッチングを4回)繰り返すことによって、図9(e)に示すように、微細な凹部18pを有するポーラスアルミナ層18を有するモスアイ用型50Bが得られる。
ポーラスアルミナ層18の下には、アルミニウム層16のうち、陽極酸化されなかったアルミニウム残存層16rが存在している。必要に応じて、アルミニウム残存層16rが存在しないように、アルミニウム層16を実質的に完全に陽極酸化してもよい。例えば、無機材料層14が薄い場合には、アルミニウム基材12側から容易に電流を供給することができる。
その後、図4(c)および(d)を参照して説明した方法と同様の方法で、型基材10Bから、複数の反転された光学曲面22の内の少なくとも1つの反転された光学曲面22を含む部分を切り出すことによって、レンズ用型100Bを得る。
以上の工程によって、レンズ用型100Bが得られる。
レンズ用型100Bおよびレンズ用型100Bの製造方法によっても、レンズ用型100Aおよびその製造方法と同様の効果を得ることができる。
本発明の実施形態によるレンズ用型の製造方法によって製造されたレンズ用型100Bは、図1(c)に示すように、平面部21を有し、平面部21は、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが10nm以上500nm未満の複数の微細な凹部18pを有する。また、平面部21は、無機材料層14の一部を含み得る。
(実施形態2)
図11を参照して、本発明の実施形態2によるレンズ用型の製造方法を説明する。図11(a)〜(c)は、実施形態2によるレンズ用型の製造方法を説明するための模式的な斜視図である。
図11(a)〜(c)に示すように、実施形態2によるレンズ用型の製造方法は、平板状のアルミニウム基材10Apを用いる点において、レンズ用型100Aの製造方法と異なる。レンズ用型100Aの製造方法では、上述したように円柱状または円筒状のアルミニウム基材10Aを用いる。
まず、図11(a)に示すように、平板状のアルミニウム基材10Apを用意する。
次に、図11(b)に示すように、アルミニウム基材10Apの表面に、複数の反転された光学曲面22を形成する。
その後、図3(a)〜(e)を参照して説明した方法と同様の方法で、陽極酸化工程およびエッチング工程を交互に繰り返し、図11(c)に示すように、平板状のモスアイ用型50Apを得る。
次に、図11(c)に示すように、アルミニウム基材10Apから、複数の反転された光学曲面22の内の少なくとも1つの反転された光学曲面22を含む部分を切り出すことによって、レンズ用型を得る。得られたレンズ用型は、図1(a)および(b)に示すレンズ用型100Aと同様の構造を有する。例えば、図11(c)の破線のように格子状に、平板状のモスアイ用型50Apを分断する。平板状のモスアイ用型50Apを分断する場合には、上述した平坦化処理を省略することができる。
本実施形態によるレンズ用型の製造方法によると、1つのモスアイ用型50Apから複数のレンズ用型100Aを得ることができるので、レンズ用型の製造ばらつきを抑制することができる。すなわち、モスアイ用型50Apの表面は、均一な条件で陽極酸化されるので、そのモスアイ用型50Apを切り出すことによって得られるレンズ用型100Aは、製造ばらつきが抑制される。
本実施形態は、レンズ用型100Aの製造方法に対する改変として説明したが、本発明の実施形態はこれに限られない。実施形態2のレンズ用型の製造方法は、平板状の基材と、基材に支持されたアルミニウム層とを有する型基材を用いてももちろんよい。この製造方法によると、図1(c)に示すレンズ用型100Bと同様の構造を有するレンズ用型が得られる。
(実施形態3)
図12を参照して、本発明の実施形態3によるレンズ用型100Cおよびレンズ用型100Cの製造方法を説明する。図12は、レンズ用型100Cの構造およびレンズ用型100Cの製造方法を説明するための模式的な斜視図である。以下では、実施形態1と異なる点を中心に説明を行う。
図12に示すように、レンズ用型100Cは、複数の反転された光学曲面22を表面に有する点において、レンズ用型100Aと異なる。
レンズ用型100Cの製造方法は、実施形態1で図2(d)、図4(c)および(d)を参照して説明した工程、すなわち、アルミニウム基材から、複数の反転された光学曲面22の内の少なくとも1つの反転された光学曲面22を含む部分を切り出す工程において、複数の反転された光学曲面22を含む部分を切り出せばよい。
レンズ用型100Cの製造方法によると、1つのモスアイ用型から複数のレンズ用型を得ることができるので、レンズ用型の製造ばらつきを抑制することができる。すなわち、モスアイ用型の表面は、均一な条件で陽極酸化されるので、そのモスアイ用型を切り出すことによって得られるレンズ用型は、製造ばらつきが抑制される。
レンズ用型100Cを用いると、一度に複数のレンズを作製することができるので、レンズを効率よく作製することが可能である。
レンズ用型100Aを複数組み合わせることによって、複数の反転された光学曲面22を表面に有するレンズ用型100Cを作製してもよい。この場合、反転された光学曲面22内に微細な凹部が均一に形成されているレンズ用型100Aを選別して組み合わせることができるので、レンズ用型の製造ばらつきをより効果的に抑制できる可能性がある。
本実施形態は、レンズ用型100Aに対する改変として説明したが、本発明の実施形態はこれに限られない。複数の反転された光学曲面22を表面に有する点を除いて、レンズ用型100Bと同じ構造を有していてももちろんよい。
本発明によるレンズ用型は、反射防止機能を有するレンズの光学曲面の作製に好適に用いられる。
10A、10Ap アルミニウム基材
10B 型基材
12 基材
14 無機材料層
16 アルミニウム層
18 ポーラスアルミナ層
18p 微細な凹部
21 平面部
22 反転された光学曲面
50A、50B、50Ap モスアイ用型
100A、100B、100C レンズ用型

Claims (19)

  1. 少なくとも1つの反転された光学曲面を表面に有するレンズ用型の製造方法であって、
    (a)複数の反転された光学曲面を表面に有するアルミニウム基材を用意する工程または、型基材であって、基材と、前記基材に支持され、複数の反転された光学曲面を表面に有するアルミニウム層とを有する型基材を用意する工程と、
    (b)前記アルミニウム基材または前記アルミニウム層の表面を陽極酸化することによって、複数の微細な凹部を有するポーラスアルミナ層を形成する工程と、
    (c)前記工程(b)の後に、前記ポーラスアルミナ層をエッチング液に接触させることによって、前記ポーラスアルミナ層の前記複数の微細な凹部を拡大させる工程と
    を包含する、レンズ用型の製造方法。
  2. 前記工程(c)の後に、前記アルミニウム基材または前記型基材から、前記複数の反転された光学曲面の内の少なくとも1つの反転された光学曲面を含む部分を切り出す工程(d)をさらに包含する、請求項1に記載のレンズ用型の製造方法。
  3. 前記アルミニウム基材または前記アルミニウム層の法線方向から見たとき、前記複数の反転された光学曲面の2次元的な大きさは、1mm以上である、請求項1または2に記載のレンズ用型の製造方法。
  4. 前記工程(a)において、前記複数の反転された光学曲面は周期的に形成されている、請求項1から3のいずれかに記載のレンズ用型の製造方法。
  5. 前記複数の反転された光学曲面の隣接間距離は、1mm以上である、請求項1から4のいずれかに記載のレンズ用型の製造方法。
  6. 前記工程(b)は、前記アルミニウム基材または前記アルミニウム層の表面を電解液に接触させた状態で、前記アルミニウム基材または前記アルミニウム層の表面と電気的に接続された陽極と、前記電解液内に設けられた陰極との間に電圧を印加することによって、微細な凹部を有するポーラスアルミナ層を形成する工程であって、
    前記電圧を目標値に上昇させる工程と、
    前記電圧を前記目標値に上昇させる前に、前記電圧を前記目標値よりも低い第1ピーク値に上昇させ、その後、前記第1ピーク値よりも低い値に低下させる工程と
    を包含する、請求項1から5のいずれかに記載のレンズ用型の製造方法。
  7. 前記電圧を前記第1ピーク値よりも低い値に低下させる工程において、前記電圧を実質的にゼロに低下させる、請求項6に記載のレンズ用型の製造方法。
  8. 前記工程(c)の後に、前記ポーラスアルミナ層の表面を離型処理する工程(e)をさらに包含する、請求項1から7のいずれかに記載のレンズ用型の製造方法。
  9. 前記工程(a)は、前記アルミニウム基材を用意する工程であり、
    前記工程(b)の前に、前記アルミニウム基材の表面に形成された前記複数の反転された光学曲面に機械加工または電解加工を施す工程(b1)をさらに包含する、請求項1から8のいずれかに記載のレンズ用型の製造方法。
  10. 前記工程(a)は、前記アルミニウム基材を用意する工程であり、
    前記工程(b)の前に、比抵抗値が1MΩ・cm以下の水または水溶液中において、前記アルミニウム基材の表面を陰極として、前記表面と対向電極との間に通電処理を行う工程(b2)をさらに包含する、請求項1から9のいずれかに記載のレンズ用型の製造方法。
  11. 前記工程(a)は、前記型基材を用意する工程であり、
    前記基材を用意する工程(a1)と、
    前記基材の表面に複数の曲面部を形成する工程(a2)と、
    前記工程(a2)において形成された前記複数の曲面部の上にアルミニウムを堆積することによって、前記複数の反転された光学曲面を表面に有する前記アルミニウム層を形成する工程(a3)と
    を包含する、請求項1から8のいずれかに記載のレンズ用型の製造方法。
  12. 前記工程(a3)の前に、前記基材の表面に形成された前記複数の曲面部に機械加工または電解加工を施す工程(a4)をさらに包含する、請求項11に記載のレンズ用型の製造方法。
  13. 前記基材は、アルミニウム基材であり、前記型基材は、前記基材と前記アルミニウム層との間に形成された無機材料層をさらに有する、請求項11または12に記載のレンズ用型の製造方法。
  14. 前記基材は、Al−Mg−Si系のアルミニウム合金で形成され、機械的な鏡面加工が施されたアルミニウム基材である、請求項11から13のいずれかに記載のレンズ用型の製造方法。
  15. 少なくとも1つの反転された光学曲面を表面に有するレンズ用型であって、
    アルミニウム基材と、前記アルミニウム基材の表面に形成されたポーラスアルミナ層とを有し、
    前記ポーラスアルミナ層は、前記少なくとも1つの反転された光学曲面を表面に有し、
    前記少なくとも1つの反転された光学曲面のそれぞれは、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが10nm以上500nm未満の複数の微細な凹部を有する、レンズ用型。
  16. 少なくとも1つの反転された光学曲面を表面に有するレンズ用型であって、
    基材と、前記基材に支持されたアルミニウム層と、前記アルミニウム層の表面に形成されたポーラスアルミナ層とを有し、
    前記ポーラスアルミナ層は、前記少なくとも1つの反転された光学曲面を表面に有し、
    前記少なくとも1つの反転された光学曲面のそれぞれは、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが10nm以上500nm未満の複数の微細な凹部を有する、レンズ用型。
  17. 前記ポーラスアルミナ層の表面は、平面部をさらに有し、
    前記少なくとも1つの反転された光学曲面は、前記平面部を介して互いに隣接する2つの反転された光学曲面を含む、請求項15または16に記載のレンズ用型。
  18. 前記基材と前記アルミニウム層との間に形成された無機材料層をさらに有し、前記平面部は、前記無機材料層の一部を含む、請求項16に従属する請求項17に記載のレンズ用型。
  19. 前記平面部は、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが10nm以上500nm未満の複数の微細な凹部を有する、請求項17または18に記載のレンズ用型。
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