JPWO2017126487A1 - 潤滑剤組成物及び潤滑剤組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、上記課題は、以下の構成の本発明によって解決される。
[2] 炭素数が20以上のエステル化合物1分子中に含まれるエステル結合の数が1〜3である[1]に記載の潤滑剤組成物。
[3] 炭素数が20以上のエステル化合物1分子中に含まれるカルボキシル基の数が1〜3である[1]又は[2]に記載の潤滑剤組成物。
[4] 炭素数が20以上のエステル化合物1分子中に含まれるエステル結合の数が1であり、炭素数が20以上のエステル化合物1分子中に含まれるカルボキシル基の数が1である[1]〜[3]のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
[5] 炭素数が20以上のエステル化合物がオキシアルキレン構造を有する[1]〜[4]のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
[6] 炭素数が20以上のエステル化合物が下記一般式Axで表される[1]に記載の潤滑剤組成物;
[7] 一般式AxにおけるYの炭素数は8以上である[6]に記載の潤滑剤組成物。
[8] 一般式AxにおけるYは炭素数8以上の置換基を有するコハク酸の残基または炭素数16以上の不飽和脂肪酸の多量体の残基である[6]又は[7]に記載の潤滑剤組成物。
[9] 一般式AxにおけるYの炭素数は34以上である[6]〜[8]のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
[10] 一般式AxにおけるRbの炭素数は8以上である[6]〜[9]のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
[11] 炭素数が20以上のエステル化合物が下記一般式Ayで表される[1]に記載の潤滑剤組成物;
[12] 多価カルボン酸の完全エステル化合物であって、炭素数が20以上の完全エステル化合物をさらに含有する[1]〜[11]のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
[13] 亜鉛、モリブデン、硫黄及びリンから選ばれる少なくとも1種を構成元素として含む化合物をさらに含有する[1]〜[12]のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
[14] 多価カルボン酸のカルボキシル基の一部を、モノオールによってエステル化する工程を含む潤滑剤組成物の製造方法であって、1分子中に、エステル結合とカルボキシル基とを少なくとも1つずつ含む炭素数が20以上のエステル化合物を含有する潤滑剤組成物の製造方法。
[15] エステル化する工程は、多価カルボン酸全分子中の全カルボキシル基のうち40〜95%のカルボキシル基をモノオールによってエステル化する工程である[14]に記載の潤滑剤組成物の製造方法。
本発明の潤滑剤組成物は、1分子中に、エステル結合とカルボキシル基とを少なくとも1つずつ含む炭素数が20以上のエステル化合物を含有する。本発明の潤滑剤組成物に含まれる炭素数が20以上のエステル化合物1分子は、エステル結合を少なくとも1つ含んでいればよいが、エステル化合物1分子中に含まれるエステル結合の数は1〜3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。また、本発明の潤滑剤組成物に含まれる炭素数が20以上のエステル化合物1分子は、カルボキシル基を少なくとも1つ含んでいればよいが、エステル化合物1分子中に含まれるカルボキシル基の数は1〜3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。中でも、本発明の潤滑剤組成物に含まれる炭素数が20以上のエステル化合物1分子は、エステル結合を1つ含み、かつカルボキシル基を1つ含む構造を有することがより好ましい。また、本発明の潤滑剤組成物に含まれるエステル化合物の炭素数は20以上であり、24以上であることが好ましく、28以上であることがより好ましく、36以上であることがさらに好ましい。
上述したような炭素数が20以上のエステル化合物は、オキシアルキレン構造を有することが好ましい。オキシアルキレン構造は、アルキレン鎖中に酸素原子が導入された構造を言う。オキシアルキレン構造中のアルキレン鎖は直鎖でも、分岐でも、環状でもよい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基を含むことが好ましく、オキシエチレン基を含むことがより好ましい。また、エステル化合物はオキシアルキレン基を2以上繰り返して含むポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造はポリオキシエチレン基又はポリオキシプロピレン基を含むことが好ましく、ポリオキシエチレン基を含むことがより好ましい。
一般式Axで表される炭素数が20以上のエステル化合物は、後述するような2価以上の多価カルボン酸のカルボキシル基の一部が、モノオールによってエステル化された多価カルボン酸の部分エステル化合物であることが好ましい。この場合、一般式Ax中のYは、2価以上の多価カルボン酸の残基を表す。ここで、多価カルボン酸の残基とは、多価カルボン酸からカルボキシル基を除いた部分を構成する基のことをいう。Yは、炭素数8以上の置換基を有するコハク酸の残基または炭素数16以上の不飽和脂肪酸の多量体の残基であることが好ましく、特に、Yはダイマー酸残基、トリマー酸残基又はエルカ酸ダイマー残基であることが好ましい。
Rbが表すアルキル基は直鎖であっても分岐であってもよいが、分岐であることが高温及び/又は高圧といった過酷条件での潤滑性の観点からも好ましく、また、基油への添加剤として用いる際、溶解性の観点からも好ましい。なお、Rbはアルキル分岐鎖以外の置換基を有さないものであることが好ましい。
分岐アルキル基としては、分岐鎖として炭素数1〜12のアルキル基を1つ有するアルキル基が好ましく、分岐鎖として炭素数1〜10のアルキル基を1つ有するアルキル基がより好ましい。中でも、分岐鎖として炭素数1〜12のアルキル基を2位に1つ有する炭素数3〜20のアルキル基(総炭素数4〜32)が好ましく、分岐鎖として炭素数1〜10のアルキル基を2位に1つ有する炭素数4〜14のアルキル基(総炭素数5〜24)が好ましい。
一般式Axにおいて、m及びnが1である場合には、Yは置換基を有してもよいアルキレン基であることが好ましい。アルキレン基の炭素数は、8以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、22以上であることがさらに好ましく、34以上であることが特に好ましい。この場合、Yで表されるアルキレン基は、直鎖であっても分岐であってもよいが、分岐であることが好ましい。また、Yで表されるアルキレン基は、アルキル分岐鎖以外の置換基を有していてもよいが、アルキル分岐鎖以外の置換基を有さない分岐アルキレン基であることが特に好ましい。
Rcが表すアルキル基は直鎖であっても分岐であってもよいが、分岐であることが高温及び/又は高圧といった過酷条件での潤滑性の観点からも好ましく、また、基油への添加剤として用いる際は、溶解性の観点からも好ましい。
分岐アルキル基としては、分岐鎖として炭素数1〜12のアルキル基を1つ有するアルキル基が好ましく、分岐鎖として炭素数1〜10のアルキル基を1つ有するアルキル基がより好ましい。中でも、分岐鎖として炭素数1〜12のアルキル基を2位に1つ有する炭素数3〜20のアルキル基(総炭素数4〜32)が好ましく、分岐鎖として炭素数1〜10のアルキル基を2位に1つ有する炭素数4〜14のアルキル基(総炭素数5〜24)がより好ましい。
本発明の潤滑剤組成物に含まれるエステル化合物は、2価以上の多価カルボン酸のカルボキシル基の一部が、モノオールによってエステル化された多価カルボン酸の部分エステル化合物であって、炭素数20以上の部分エステル化合物であることが好ましい。本発明で用いられる2価以上の多価カルボン酸の炭素数は10以上であることが好ましく、12以上であることがより好ましく、16以上であることがさらに好ましく、24以上であることがよりさらに好ましく、32以上であることが特に好ましく、36以上であることが最も好ましい。また、本発明で用いられる2価以上の多価カルボン酸は、2価カルボン酸又は3価カルボン酸であることが好ましく、2価カルボン酸であることが特に好ましい。
炭素数8以上の置換基を有するコハク酸としては、オクテニルコハク酸、デセニルコハク酸、テトラプロペニルコハク酸(ドデセニルコハク酸)、オクタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸などを例示することができる。
炭素数16以上の不飽和脂肪酸の多量体としてはダイマー酸(炭素数18の不飽和カルボン酸の二量体)、及びダイマー酸の水添体、トリマー酸(炭素数18の不飽和カルボン酸の三量体)、炭素数22の不飽和カルボン酸の二量体(例えばエルカ酸ダイマー)等を挙げることができる。すなわち、本発明で用いられる2価以上の多価カルボン酸の炭素数は36以上であることが特に好ましい。中でも、ダイマー酸、及びダイマー酸の水添体、トリマー酸、炭素数22の不飽和カルボン酸の二量体を用いることが基油への溶解性の観点から好ましい。ここでダイマー酸とは、不飽和脂肪酸(通常は、炭素数18)が重合またはDiels−Alder反応等によって二量化して生じる脂肪族または脂環族ジカルボン酸(大部分の2量体の他、3量体、モノマー等を数モル%含有するものが多い)をいい、そのうち、主成分が3量体のものをトリマー酸と定義する。
ダイマー酸またはトリマー酸の具体例としては、築野食品工業株式会社製、ツノダイム(登録商標)205、216、228、395がダイマー酸の例として挙げられ、ツノダイム345などはトリマー酸の例として挙げられる。ダイマー酸またはトリマー酸としては、他にコグニス社、ユニケマ社、クローダ社の製品を用いてもよい。炭素数22の不飽和カルボン酸の二量体の例としてはクローダ社製プリポール1004などが挙げられる。
モノオールの炭素数は、1以上であればよく、4以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、6以上であることがさらに好ましく、8以上であることが特に好ましい。また、モノオールの炭素数は70以下であることが好ましく、48以下であることがより好ましく、32以下であることがさらに好ましく、24以下であることが特に好ましい。モノオールとしては脂肪族モノオールが好ましく、分岐アルキル鎖を有しているものが更に好ましく、炭素数1〜12の分岐アルキル鎖を有していることが特に好ましい。
分岐アルキル基としては、分岐鎖として炭素数1〜12のアルキル基を1つ有するアルキル基が好ましく、分岐鎖として炭素数1〜10のアルキル基を1つ有するアルキル基がより好ましい。中でも、分岐鎖として炭素数1〜12のアルキル基を2位に1つ有する炭素数3〜20のアルキル基(総炭素数4〜32)が好ましく、分岐鎖として炭素数1〜10のアルキル基を2位に1つ有する炭素数4〜14のアルキル基(総炭素数5〜24)がより好ましい。
本発明の潤滑剤組成物は、上述したような2価以上の多価カルボン酸のカルボキシル基の一部が、モノオールによってエステル化された多価カルボン酸の部分エステル化合物に加えて、多価カルボン酸の完全エステル化合物であって、炭素数が20以上の完全エステル化合物をさらに含有してもよい。ここで、多価カルボン酸の完全エステル化合物とは、2価以上の多価カルボン酸1分子中のカルボキシル基の全てがモノオールによってエステル化されたエステル化合物である。なお、本発明の潤滑剤組成物は、多価カルボン酸1分子中のカルボキシル基の全てがエステル化されていない2価以上の多価カルボン酸を含んでいてもよい。すなわち、本発明の潤滑剤組成物は、多価カルボン酸の部分エステル化合物と多価カルボン酸完全エステル化合物の混合物を含んでいてもよく、多価カルボン酸の部分エステル化合物と多価カルボン酸完全エステル化合物と多価カルボン酸の混合物を含んでいてもよい。
例えば、エステル化反応混合物に多価カルボン酸と、部分エステル化合物と、完全エステル化合物が含まれる場合は、下式(Cx)で表される構造を有する多価カルボン酸もしくは部分エステル化合物と、下記式(Cy)で表される構造を有する部分エステル化合物もしくは完全エステル化合物が少なくとも含まれる。このような場合、エステル化反応混合物全分子中のエステル結合の数の割合は1H−NMRの積分値(Hb/Ha)×100により算出することができる。なお、下記式(Cx)及び(Cy)中、Rxは多価カルボン酸もしくは部分エステル化合物から1つの(COOHCH2−)基を除いた残りの基である。下記式(Cy)中、Ryはモノオールから(−CH2OH)基を除いた残りの基である。Ha、Hbはそれぞれ独立に水素原子を表す。
本発明は、上述した炭素数が20以上のエステル化合物を少なくとも含有する潤滑剤組成物に関するものである。本発明の潤滑剤組成物には、上述した炭素数が20以上のエステル化合物の他に、さらに各種添加剤及び/又は媒体を添加することができる。
媒体(基油とも呼ぶ)としては、鉱油、油脂化合物、ポリオレフィン油(例えばポリアルファオレフィン)、シリコーン油、エーテル油(例えばパーフルオロポリエーテル油、ジフェニルエーテル誘導体)、エステル油(例えば芳香族エステル油、1価脂肪酸エステル、2価脂肪酸ジエステル、ポリオールエステル潤滑油)、から選択される1種又は2種以上を挙げることができる。中でも、媒体は、鉱油、ポリオレフィン油、エステル油から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
エステル化合物及び媒体以外の他の成分として好ましい化合物、すなわち本発明の潤滑剤組成物への好ましい添加剤は、亜鉛、モリブデン、硫黄及びリンから選ばれる少なくとも1種を構成元素として含む化合物である。このような化合物は、摩擦調整剤、摩耗防止剤、酸化防止剤などの機能を有する。亜鉛、モリブデン、硫黄及びリンのうち少なくとも1種を構成元素として含む化合物とは、化合物中に亜鉛、モリブデン、硫黄およびリンをいかなる状態で含んでもよい化合物を意味する。具体的には亜鉛、モリブデン、硫黄およびリンが、単体(酸化数0)、イオン、錯体などとして含まれる化合物を挙げることができる。このような化合物としては、有機モリブデン化合物、無機モリブデン化合物、有機亜鉛化合物、(亜)リン酸誘導体、有機硫黄化合物などが挙げられる。その中でも有機モリブデン化合物及び有機亜鉛化合物が好ましい。
その他の硫黄を含有する有機モリブデン化合物としては、硫化モリブデン、硫化モリブデン酸等の硫黄含有モリブデン化合物とアルケニルコハク酸イミドとの錯体等を挙げることができる。
また、有機亜鉛化合物を用いる場合、潤滑剤組成物全質量に対して、有機亜鉛化合物は、亜鉛含量として50〜10000mg/L含まれていることが好ましく、100〜5000mg/L含まれていることがより好ましく、200〜1500mg/L含まれていることがさらに好ましい。
潤滑剤組成物中の有機モリブデン化合物や有機亜鉛化合物などの有機金属化合物の含有量を上記範囲内とすることにより、潤滑剤組成物の安定性を高めることができ、高温および/または高圧といった過酷条件での潤滑特性を改善でき、さらに摩耗抑制能を発揮することができる。
このような添加剤を添加することにより、摩耗抑制等の機能を発揮し得る潤滑剤組成物を得ることができる。本発明において用いることができる添加剤については、特開2011−89106号公報の段落0098〜0165の記載を参照することができる。
本発明の潤滑剤組成物は、40℃での動粘度が500mm2/s以下であることが好ましく、200mm2/s以下であることがより好ましく、100mm2/s以下であることがさらに好ましく、50mm2/s以下であることが特に好ましく、5〜50mm2/sであることが最も好ましい。粘性は、使用環境により適正な粘性が求められるため、それに合わせることが必要である。本明細書中、潤滑剤組成物の40℃での動粘度は具体的には、ウベローデ粘度計を用い、40.0℃の恒温水槽中で測定した値を採用する。
本発明は、多価カルボン酸のカルボキシル基の一部を、モノオールによってエステル化する工程を含む潤滑剤組成物の製造方法であって、1分子中に、エステル結合とカルボキシル基とを少なくとも1つずつ含む炭素数が20以上のエステル化合物を含有する潤滑剤組成物の製造方法に関するものでもある。エステル化する工程においては、エステル化反応混合物が製造されることが好ましい。
エステル化する工程は、上述した2価以上の多価カルボン酸とモノオールを脱水縮合させる工程を含む。本発明では、このような脱水縮合反応は、多価カルボン酸の全てのカルボキシル基で起こるのではなく、一部のカルボキシル基で起こるように反応条件を調整する。例えば、エステル化する工程では、多価カルボン酸とモノオールをカルボキシル基/水酸基のmol比で1/0.5〜1/0.95の比率で仕込み、エステル化反応させることが好ましい。また、多価カルボン酸とモノオールをカルボキシル基/水酸基のmol比で1/1〜1/10で仕込み、部分エステル化合物が生成するようにエステル化反応条件を調整してもよい。反応後にモノオールが残存する場合は、減圧留去などの方法により、モノオールを除去することが好ましい。
本発明の潤滑剤組成物は、例えば、2つの摺動面間に供給され、摩擦を低減するために用いることができる。本発明の潤滑剤組成物は、摺動面に皮膜を形成し得る。摺動面の材質としては、具体的には、機械構造用炭素鋼、ニッケルクロム鋼材・ニッケルクロムモリブデン鋼材・クロム鋼材・クロムモリブデン鋼材・アルミニウムクロムモリブデン鋼材などの構造機械用合金鋼、ステンレス鋼、マルチエージング鋼などが挙げられる。
なお、摺動面の材質については、特開2011−89106号公報の段落0168〜0175の記載を参照することができる。
また本発明の潤滑剤組成物は、各種グリース用潤滑油、磁気記録媒体用潤滑剤、マイクロマシン用潤滑剤や人工骨用潤滑剤等に利用することができる。また、潤滑剤組成物の元素組成を炭水化物とすることができるため、例えば、乳化、分散化、可溶化剤として用いることができる。ケーキミックス、サラダドレッシング、ショートニングオイル、チョコレート等に広く利用されている、ポリオキシエチレンエーテルを含むソルビタン脂肪酸エステルといった食用油を基油とすることで、全く人体に無害の高性能潤滑油を得ることができる。このような潤滑油は、食品製造ラインの製造機器や医療機器部材に用いることができる。
さらに、本発明の潤滑剤組成物を水系に乳化して分散したり、極性溶媒中や樹脂媒体中に分散したりすることで、切削油や圧延油として用いることができる。
また、衣料などの繊維製品に予め練り込んだり、塗布したりすることにより、繊維製品に付着した汚れの離脱を促進して繊維製品の汚れを防止する防汚剤としても用いることができる。
オクテニル無水コハク酸(新日本理化社製、リカシッドOSA)に1当量の2−エチルヘキサノールを30分かけて滴下し、室温で1時間反応させた後、50℃で更に3時間反応させた。反応は無溶媒で行った。生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、部分エステル化合物Aa−1を得た。なお、上記条件反応条件においても純度の高い部分エステル化合物が得られるが、カラムクロマトグラフィーにより精製することにより、部分エステル化合物のみを精製することが可能となる。
2−エチルヘキサノールの替わりに2−(2ーエチルヘキシルオキシ)エタノールを用いた以外はエステル化合物Aa−1と同じ手法を用いて部分エステル化合物Aa−2を得た。
オクテニル無水コハク酸の替わりにドデセニル無水コハク酸(新日本理化社製、リカシッドDDSA)を用いた以外はエステル化合物Aa−1と同じ手法を用いて部分エステル化合物Aa−4を得た。
オクテニル無水コハク酸の替わりにドデセニル無水コハク酸(新日本理化社製、リカシッドDDSA)、2−エチルヘキサノールの替わりに2−((2ーエチルヘキシル)オキシエトキシ)エタノールを用いた以外はエステル化合物Aa−1と同じ手法を用いて部分エステル化合物Aa−6を得た。
ダイマー酸(築野食品社製、ツノダイム395)のカルボン酸量に対し、0.5当量の2ーエチルヘキサノールを混合し、窒素気流下220℃で5時間反応させた。生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、部分エステル化合物Ab−1を得た。
2−エチルヘキサノールの替わりに2−(2ーエチルヘキシルオキシ)エタノールを用いた以外はエステル化合物Ab−1と同じ手法を用いて部分エステル化合物Ab−2を得た。
2−エチルヘキサノールの替わりに2−((2ーエチルヘキシル)オキシエトキシ)エタノールを用いた以外はエステル化合物Ab−1と同じ手法を用いて部分エステル化合物Ab−3を得た。
2−エチルヘキサノールの替わりにポリエチレングリコールモノイソステアリルエーテル(平均オキシエチレン基数6)を用いた以外はエステル化合物Ab−1と同じ手法を用いて部分エステル化合物Ab−11を得た。
ダイマー酸の替わりにセバシン酸を用いた以外はエステル化合物Ab−2と同じ手法を用いて部分エステル化合物Ac−1を得た。
ダイマー酸の替わりにエルカ酸ダイマー(クローダ社製、プリポール1004)を用いた以外はエステル化合物Ab−3と同じ手法を用いて部分エステル化合物Ad−3を得た。
(エステル化合物X1) オクテニルコハク酸ビス(2ーエチルヘキシル)
(エステル化合物X2) オクテニルコハク酸ビス(2ー(エチルヘキシルオキシ)エチル)
(エステル化合物X3) ダイマー酸ビス(2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エチル)
(エステル化合物X4) セバシン酸ビス(2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エチル)
(エステル化合物X5) セバシン酸モノ(2−エチルヘキシル) 炭素数18
表1に示す添加量となるように基油にエステル化合物を添加し、実施例1〜15及び比較例1〜6の潤滑剤組成物を得た。得られた潤滑剤組成物を以下の方法にて評価した。
(摩擦係数)
各実施例および比較例の潤滑剤組成物について、振動型摩擦摩耗試験機(Optimol Instruments Prueftechnik GmbH社製、SRV 4)を用いて摩擦係数を測定した。摩擦係数の測定では、温度40℃において、振動数50Hz、荷重150N、振幅2mmで測定する条件(条件1)および温度80℃において、振動数50Hz、荷重300N、振幅2mmで測定する条件(条件2)のそれぞれの条件で1時間摩擦摩耗試験を行い、30分経過時点おける摩擦係数を測定した。摩擦摩耗試験の上部試験片には10mmSUJ−2ボール、下部試験片24mmSUJ−2ディスクを用いた。観測した摩擦係数を以下の基準にしたがって評価した。その結果を下記表1に示した。
比較例1の条件2の摩擦係数を100%として他の評価結果を規格化し、以下のように評価した。値が小さいほど摩擦係数が小さく、良好な潤滑特性であることを表す。a,b,cは摩擦係数が大きく低下しており、改良効果が大きいと判断した。なお、条件1及び2の試験では、c以上の評価を合格評価とした。
a:60%未満
b:60%以上70%未満
c:70%以上90%未満
d:90%以上100%未満
e:100%以上(基準)
ダイマー酸(築野食品社製、ツノダイム395)のカルボン酸量に対し、0.5当量の2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エタノールを混合し、窒素気流下220℃で5時間反応させた。減圧留去により残存する2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エタノールを除き、エステル化合物Ab−2を含有する混合物Ab−2m1を得た。NMR(Nuclear Magnetic Resonance)で確認したところ、Ab−2m1はカルボン酸のうち平均で43%がエステル化されていた。また、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又はガスクロマトグラフィーにて、部分エステル化合物が含有されていることを確認した。
ダイマー酸(築野食品社製、ツノダイム395)のカルボン酸量に対し、0.6当量の2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エタノールを混合し、窒素気流下220℃で5時間反応させた。減圧留去により残存する2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エタノールを除き、エステル化合物Ab−2を含有する混合物Ab−2m2を得た。NMRで確認したところ、Ab−2m2はカルボン酸のうち平均で52%がエステル化されていた。
ダイマー酸(築野食品社製、ツノダイム395)のカルボン酸量に対し、0.75当量の2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エタノールを混合し、窒素気流下220℃で5時間反応させた。減圧留去により残存する2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エタノールを除き、エステル化合物Ab−2を含有する混合物Ab−2m3を得た。NMRで確認したところ、Ab−2m3はカルボン酸のうち平均で65%がエステル化されていた。
ダイマー酸(築野食品社製、ツノダイム395)のカルボン酸量に対し、0.85当量の2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エタノールを混合し、窒素気流下220℃で5時間反応させた。減圧留去により残存する2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エタノールを除き、エステル化合物Ab−2を含有する混合物Ab−2m4を得た。NMRで確認したところ、Ab−2m4はカルボン酸のうち平均で75%がエステル化されていた。
ダイマー酸(築野食品社製、ツノダイム395)のカルボン酸量に対し、0.95当量の2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エタノールを混合し、窒素気流下220℃で5時間反応させた。減圧留去により残存する2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エタノールを除き、エステル化合物Ab−2を含有する混合物Ab−2m5を得た。NMRで確認したところ、Ab−2m5はカルボン酸のうち平均で92%がエステル化されていた。
エステル化合物のほかにカルボン酸の全てがエステル化された完全エステル化合物を含有する混合物を表2に示す添加量となるように基油に混合し、潤滑剤組成物を調製した。これを実施例1と同じ手法を用いて摩擦係数を評価した。
基油としてJX日鉱日石社製スーパーオイルN46にジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)をMo濃度800mg/L、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)をZn濃度800mg/L添加した基油を用いて潤滑剤組成物を調製した。これを実施例1と同じ手法を用いて摩擦係数を評価した。
下表に示すエステル化合物とグリース1(Mobil SHC Grease 460WT)を混合し、グリース組成物を得た。比較例41の条件2の摩擦係数を100%として他の評価結果を規格化した以外は実施例1と同じ手法を用い摩擦係数を評価した。
る。また、潤滑剤組成物の元素組成を炭水化物とすることができるため、例えば、乳化、分散化、可溶化剤として用いることができる。ケーキミックス、サラダドレッシング、ショートニングオイル、チョコレート等に広く利用されている、ポリオキシエチレンエーテルを含むソルビタン脂肪酸エステルといった食用油を基油とすることで、全く人体に無害の高性能潤滑油を得ることができる。このような潤滑油は、食品製造ラインの製造機器や医療機器部材に用いることができる。
さらに、本発明の潤滑剤組成物を水系に乳化して分散したり、極性溶媒中や樹脂媒体中に分散したりすることで、切削油や圧延油として用いることができる。
[0097]
また、本発明の潤滑剤組成物は離型剤としても、種々の用途に利用できる。例えば、ポリカーボネート樹脂、難燃性ポリカーボネート樹脂、電子写真装置や静電記録装置などで使用される画像形成用トナーの主成分である結晶性ポリエステル樹脂、各種成形用熱可塑性樹脂組成物及び半導体封し用エポキシ樹脂組成物などの離型剤として用いられる。
また、衣料などの繊維製品に予め練り込んだり、塗布したりすることにより、繊維製品に付着した汚れの離脱を促進して繊維製品の汚れを防止する防汚剤としても用いることができる。
実施例
[0098]
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、以下において、実施例13及び14はそれぞれ、参考例13及び14と読み替えるものとする。
[0099]
(エステル化合物Aa−1の合成)
オクテニル無水コハク酸(新日本理化社製、リカシッドOSA)に1当量の2−エチルヘキサノールを30分かけて滴下し、室温で1時間反応させた後、50℃で更に3時間反応させた。反応は無溶媒で行った。生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、部分エステル化合物Aa−1を得た。
Claims (15)
- 1分子中に、エステル結合とカルボキシル基とを少なくとも1つずつ含む炭素数が20以上のエステル化合物を含有する潤滑剤組成物。
- 前記炭素数が20以上のエステル化合物1分子中に含まれるエステル結合の数が1〜3である請求項1に記載の潤滑剤組成物。
- 前記炭素数が20以上のエステル化合物1分子中に含まれるカルボキシル基の数が1〜3である請求項1又は2に記載の潤滑剤組成物。
- 前記炭素数が20以上のエステル化合物1分子中に含まれるエステル結合の数が1であり、前記炭素数が20以上のエステル化合物1分子中に含まれるカルボキシル基の数が1である請求項1〜3のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
- 前記炭素数が20以上のエステル化合物がオキシアルキレン構造を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
- 前記一般式AxにおけるYの炭素数は8以上である請求項6に記載の潤滑剤組成物。
- 前記一般式AxにおけるYは炭素数8以上の置換基を有するコハク酸の残基または炭素数16以上の不飽和脂肪酸の多量体の残基である請求項6又は7に記載の潤滑剤組成物。
- 前記一般式AxにおけるYの炭素数は34以上である請求項6〜8のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
- 前記一般式AxにおけるRbの炭素数は8以上である請求項6〜9のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
- 多価カルボン酸の完全エステル化合物であって、炭素数が20以上の完全エステル化合物をさらに含有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
- 亜鉛、モリブデン、硫黄及びリンから選ばれる少なくとも1種を構成元素として含む化合物をさらに含有する請求項1〜12のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
- 多価カルボン酸のカルボキシル基の一部を、モノオールによってエステル化する工程を含む潤滑剤組成物の製造方法であって、1分子中に、エステル結合とカルボキシル基とを少なくとも1つずつ含む炭素数が20以上のエステル化合物を含有する潤滑剤組成物の製造方法。
- 前記エステル化する工程は、多価カルボン酸全分子中の全カルボキシル基のうち40〜95%のカルボキシル基をモノオールによってエステル化する工程である請求項14に記載の潤滑剤組成物の製造方法。
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