JPWO2017126487A1 - 潤滑剤組成物及び潤滑剤組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、様々な温度、荷重において低摩擦化を達成し得る潤滑剤組成物を提供することを課題とする。本発明は、1分子中に、エステル結合とカルボキシル基とを少なくとも1つずつ含む炭素数が20以上のエステル化合物を含有する潤滑剤組成物及び潤滑剤組成物の製造方法に関する。本発明の潤滑剤組成物は、2価以上の多価カルボン酸と、モノオールのエステル化反応混合物を含み、エステル化反応混合物においては、2価以上の多価カルボン酸全分子中の全カルボキシル基のうち40〜95%のカルボキシル基がモノオールによってエステル化されていることが好ましい。

Description

本発明は潤滑剤組成物に関する。より詳しくは、本発明は、特定のエステル化合物を含有する潤滑剤組成物であって、低摩擦性を発揮し得る潤滑剤組成物に関する。
潤滑剤組成物は、一般にベースオイルと種々の添加剤を含む。ベースオイルとしては、原油から得られる鉱物油、化学合成されるエステル系油、フッ素油、ポリαオレフィン系油などがある。これらの中でも、エステル系油は、低流動点、高粘度指数、高引火点、良好な潤滑特性、生分解性などから、ジェット機、自動車エンジン油、グリースなどに好適に用いられる。
エステル系油はベースオイルあるいは添加剤として用いられることが知られている。例えば脂肪族モノカルボン酸と一価アルコールとの反応から得られる炭素数が20未満のモノエステル;脂肪族二塩基酸と一価アルコールとの反応から得られるジエステル;多価アルコールと脂肪族カルボン酸との反応から得られるポリオールエステル;及びポリオール、多塩基酸、脂肪族モノカルボン酸との反応から得られる複合エステル;等、様々なエステル類が開示されている(特許文献1〜9)。
特開2002−097482号公報 特開2005−154726号公報 特開2005−232434号公報 特開2005−213377号公報 特開2005−232470号公報 特表2001−501989号公報 特表2001−500549号公報 特表2001−507334号公報 特表2002−530476号公報
近年、産業分野の多様化や高度化に伴い、潤滑剤組成物には高い潤滑性能が求められるようになってきている。また、潤滑剤組成物は様々な温度、荷重領域において良好な摩擦特性を発揮することが求められている。
本発明が解決しようとする課題は、様々な温度、荷重において低摩擦化を達成し得る潤滑剤組成物を提供することである。
本発明者は、上記の課題を解決すべく、種々検討した結果、特定の構造及び炭素数を有するエステル化合物を含有させることにより、様々な温度、荷重領域において良好な摩擦特性を発揮し得る潤滑剤組成物が得られることを見出した。
すなわち、上記課題は、以下の構成の本発明によって解決される。
[1] 1分子中に、エステル結合とカルボキシル基とを少なくとも1つずつ含む炭素数が20以上のエステル化合物を含有する潤滑剤組成物。
[2] 炭素数が20以上のエステル化合物1分子中に含まれるエステル結合の数が1〜3である[1]に記載の潤滑剤組成物。
[3] 炭素数が20以上のエステル化合物1分子中に含まれるカルボキシル基の数が1〜3である[1]又は[2]に記載の潤滑剤組成物。
[4] 炭素数が20以上のエステル化合物1分子中に含まれるエステル結合の数が1であり、炭素数が20以上のエステル化合物1分子中に含まれるカルボキシル基の数が1である[1]〜[3]のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
[5] 炭素数が20以上のエステル化合物がオキシアルキレン構造を有する[1]〜[4]のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
[6] 炭素数が20以上のエステル化合物が下記一般式Axで表される[1]に記載の潤滑剤組成物;
Figure 2017126487
一般式Ax中、Yはm+n価の連結基を表し、Yの炭素数+m+nが10以上であり、mは1以上の整数であり、nは1以上の整数であり、Rbは1価の置換基を表す。
[7] 一般式AxにおけるYの炭素数は8以上である[6]に記載の潤滑剤組成物。
[8] 一般式AxにおけるYは炭素数8以上の置換基を有するコハク酸の残基または炭素数16以上の不飽和脂肪酸の多量体の残基である[6]又は[7]に記載の潤滑剤組成物。
[9] 一般式AxにおけるYの炭素数は34以上である[6]〜[8]のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
[10] 一般式AxにおけるRbの炭素数は8以上である[6]〜[9]のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
[11] 炭素数が20以上のエステル化合物が下記一般式Ayで表される[1]に記載の潤滑剤組成物;
Figure 2017126487
一般式Ay中、Yはm+n価の連結基を表し、Yの炭素数+m+nが10以上であり、Lはアルキレン基であり、mは1以上の整数であり、nは1以上の整数であり、pは1以上の整数であり、Rcは1価の置換基を表す。
[12] 多価カルボン酸の完全エステル化合物であって、炭素数が20以上の完全エステル化合物をさらに含有する[1]〜[11]のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
[13] 亜鉛、モリブデン、硫黄及びリンから選ばれる少なくとも1種を構成元素として含む化合物をさらに含有する[1]〜[12]のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
[14] 多価カルボン酸のカルボキシル基の一部を、モノオールによってエステル化する工程を含む潤滑剤組成物の製造方法であって、1分子中に、エステル結合とカルボキシル基とを少なくとも1つずつ含む炭素数が20以上のエステル化合物を含有する潤滑剤組成物の製造方法。
[15] エステル化する工程は、多価カルボン酸全分子中の全カルボキシル基のうち40〜95%のカルボキシル基をモノオールによってエステル化する工程である[14]に記載の潤滑剤組成物の製造方法。
本発明の潤滑剤組成物は、様々な温度、荷重領域において良好な摩擦特性を発揮し得る。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
(潤滑剤組成物)
本発明の潤滑剤組成物は、1分子中に、エステル結合とカルボキシル基とを少なくとも1つずつ含む炭素数が20以上のエステル化合物を含有する。本発明の潤滑剤組成物に含まれる炭素数が20以上のエステル化合物1分子は、エステル結合を少なくとも1つ含んでいればよいが、エステル化合物1分子中に含まれるエステル結合の数は1〜3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。また、本発明の潤滑剤組成物に含まれる炭素数が20以上のエステル化合物1分子は、カルボキシル基を少なくとも1つ含んでいればよいが、エステル化合物1分子中に含まれるカルボキシル基の数は1〜3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。中でも、本発明の潤滑剤組成物に含まれる炭素数が20以上のエステル化合物1分子は、エステル結合を1つ含み、かつカルボキシル基を1つ含む構造を有することがより好ましい。また、本発明の潤滑剤組成物に含まれるエステル化合物の炭素数は20以上であり、24以上であることが好ましく、28以上であることがより好ましく、36以上であることがさらに好ましい。
本発明の潤滑剤組成物は、上記のような構成であるため、様々な温度、荷重において良好な摩擦特性を発揮することができる。このため、本発明の潤滑剤組成物は、高温および/または高圧といった過酷条件下においても好ましく使用される。
(エステル化合物)
上述したような炭素数が20以上のエステル化合物は、オキシアルキレン構造を有することが好ましい。オキシアルキレン構造は、アルキレン鎖中に酸素原子が導入された構造を言う。オキシアルキレン構造中のアルキレン鎖は直鎖でも、分岐でも、環状でもよい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基を含むことが好ましく、オキシエチレン基を含むことがより好ましい。また、エステル化合物はオキシアルキレン基を2以上繰り返して含むポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造はポリオキシエチレン基又はポリオキシプロピレン基を含むことが好ましく、ポリオキシエチレン基を含むことがより好ましい。
炭素数が20以上のエステル化合物は下記一般式Axで表される化合物であることが好ましい。
Figure 2017126487
ここで、一般式Ax中、Yはm+n価の連結基を表し、Yの炭素数+m+nが10以上であり、mは1以上の整数であり、nは1以上の整数であり、Rbは1価の置換基を表す。一般式Ax中のY、m、n及びRbはエステル化合物の総炭素数が20以上となるように選択される。
一般式Ax中、Yは、m+n価の連結基を表す。Yは置換基を有してもよいアルキレン基又は置換基を有してもよいアルケニレン基であることが好ましい。Yの炭素数は、8以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、14以上であることがさらに好ましく、20以上であることがよりさらに好ましく、30以上であることがよりさらに好ましく、34以上であることが特に好ましい。なお、Yは置換基を有していてもよく、ここでいうYの炭素数は置換基の炭素数を含めた数をいう。
一般式Axで表される炭素数が20以上のエステル化合物は、後述するような2価以上の多価カルボン酸のカルボキシル基の一部が、モノオールによってエステル化された多価カルボン酸の部分エステル化合物であることが好ましい。この場合、一般式Ax中のYは、2価以上の多価カルボン酸の残基を表す。ここで、多価カルボン酸の残基とは、多価カルボン酸からカルボキシル基を除いた部分を構成する基のことをいう。Yは、炭素数8以上の置換基を有するコハク酸の残基または炭素数16以上の不飽和脂肪酸の多量体の残基であることが好ましく、特に、Yはダイマー酸残基、トリマー酸残基又はエルカ酸ダイマー残基であることが好ましい。
一般式Ax中、Rbで表されている置換基としては、例えば、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基等を挙げることができる。具体的には、炭素数1〜70のアルキル基(例えば、メチル、エチル、以後いずれも直鎖状もしくは分枝鎖状の、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、又はテトラコシル);炭素原子数2〜35のアルケニル基(例えば、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル);炭素原子数3〜10のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル);炭素原子数6〜32の芳香族環基(例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントリル、アントラセニル)、複素環基(窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む複素環の残基であるのが好ましく、例えば、ピリジル、ピリミジル、トリアジニル、チエニル、フリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアジアリル、オキサジアゾリル、キノリル、イソキノリル);又はそれらの組み合わせからなる基を表す。これらの置換基は、可能な場合はさらに1以上の置換基を有してもよく、置換基の例には、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、エ−テル基、アルキルカルボニル基、シアノ基、チオエ−テル基、スルホキシド基、スルホニル基、アミド基などが挙げられる。
bで表されている置換基は、アルキル基又は、オキシアルキレン構造を有する置換基であることが好ましい。中でも、Rbで表されている置換基は、置換基を有してもよいアルキル基であることが好ましい。Rbの炭素数は、1以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましく、6以上であることがよりさらに好ましく、8以上であることが特に好ましい。また、Rbの炭素数は、70以下であることが好ましく、48以下であることがより好ましく、32以下であることがさらに好ましく、24以下であることが特に好ましい。
bが表すアルキル基は直鎖であっても分岐であってもよいが、分岐であることが高温及び/又は高圧といった過酷条件での潤滑性の観点からも好ましく、また、基油への添加剤として用いる際、溶解性の観点からも好ましい。なお、Rbはアルキル分岐鎖以外の置換基を有さないものであることが好ましい。
分岐アルキル基としては、分岐鎖として炭素数1〜12のアルキル基を1つ有するアルキル基が好ましく、分岐鎖として炭素数1〜10のアルキル基を1つ有するアルキル基がより好ましい。中でも、分岐鎖として炭素数1〜12のアルキル基を2位に1つ有する炭素数3〜20のアルキル基(総炭素数4〜32)が好ましく、分岐鎖として炭素数1〜10のアルキル基を2位に1つ有する炭素数4〜14のアルキル基(総炭素数5〜24)が好ましい。
さらに、Rbで表されている置換基は、オキシアルキレン構造を有することが好ましい。また、Rbで表されている置換基は、オキシアルキレン構造にアルキル基が直結した構造を有することが好ましい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基を含むことがより好ましく、オキシアルキレン基を2以上繰り返して含むポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造はポリオキシエチレン基又はポリオキシプロピレン基を含むことが好ましい。なお、Rbがオキシアルキレン構造を有する場合、上述したRbの炭素数はオキシアルキレン構造に含まれる炭素数も含む数である。
一般式Ax中、mは1以上の整数であり、nは1以上の整数である。m及びnはそれぞれ独立に、1〜3の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。
一般式Ax中、Yの炭素数+m+nは10以上である。Yの炭素数+m+nは10以上であればよいが、Yの炭素数、m及びnは、一般式Axで表されるエステル化合物の炭素数は20以上となるように選択される。Yの炭素数+m+nは12以上であることが好ましく、24以上であることがよりこのましく、36以上であることがさらに好ましい。
一般式Axにおいて、m及びnが1である場合には、Yは置換基を有してもよいアルキレン基であることが好ましい。アルキレン基の炭素数は、8以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、22以上であることがさらに好ましく、34以上であることが特に好ましい。この場合、Yで表されるアルキレン基は、直鎖であっても分岐であってもよいが、分岐であることが好ましい。また、Yで表されるアルキレン基は、アルキル分岐鎖以外の置換基を有していてもよいが、アルキル分岐鎖以外の置換基を有さない分岐アルキレン基であることが特に好ましい。
炭素数が20以上のエステル化合物は下記一般式Ayで表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2017126487
ここで、一般式Ay中、Yはm+n価の連結基を表し、Yの炭素数+m+nが10以上であり、Lはアルキレン基であり、mは1以上の整数であり、nは1以上の整数であり、pは1以上の整数であり、Rcは1価の置換基を表す。
一般式AyにおけるYは、一般式AxにおけるYと同義であり、好ましい範囲も同様である。すなわち、一般式AyにおけるYの炭素数は、8以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、14以上であることがさらに好ましく、20以上であることがよりさらに好ましく、30以上であることがよりさらに好ましく、34以上であることが特に好ましい。なお、Yは置換基を有していてもよく、ここでいうYの炭素数は置換基の炭素数を含めた数をいう。また、一般式AyにおけるYは、炭素数8以上の置換基を有するコハク酸の残基または炭素数16以上の不飽和脂肪酸の多量体の残基であることが好ましく、特に、ダイマー酸残基、トリマー酸残基又はエルカ酸ダイマー残基であることが好ましい。
一般式Ayにおけるm及びnの好ましい範囲は、一般式Axにおけるm及びnの好ましい範囲と同様である。
一般式AyにおけるLは、アルキレン基である。Lで表されるアルキレン基の炭素数は、2〜4であることが好ましく、2又は3であることがより好ましく、2であることがさらに好ましい。また、一般式Ayにおけるpは、1〜20の整数であることがより好ましく、1〜10の整数であることがさらに好ましく、1〜8の整数であることがよりさらに好ましく、1〜4の整数であることが特に好ましい。
一般式AyにおけるRcとしては、一般式Ax中のRbで表されている置換基を挙げることができる。Rcは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基であることが好ましく、置換基を有してもよいアルキル基であることがより好ましい。中でも、Rcは、置換基を有してもよいアルキル基であることが好ましく、その炭素数は、1以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましく、6以上であることがよりさらに好ましく、8以上であることが特に好ましい。また、置換基を有してもよいアルキル基の炭素数は、32以下であることが好ましく、24以下であることがより好ましい。
cが表すアルキル基は直鎖であっても分岐であってもよいが、分岐であることが高温及び/又は高圧といった過酷条件での潤滑性の観点からも好ましく、また、基油への添加剤として用いる際は、溶解性の観点からも好ましい。
分岐アルキル基としては、分岐鎖として炭素数1〜12のアルキル基を1つ有するアルキル基が好ましく、分岐鎖として炭素数1〜10のアルキル基を1つ有するアルキル基がより好ましい。中でも、分岐鎖として炭素数1〜12のアルキル基を2位に1つ有する炭素数3〜20のアルキル基(総炭素数4〜32)が好ましく、分岐鎖として炭素数1〜10のアルキル基を2位に1つ有する炭素数4〜14のアルキル基(総炭素数5〜24)がより好ましい。
cがさらに有し得る置換基の例としては、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、エ−テル基、アルキルカルボニル基、シアノ基、チオエ−テル基、スルホキシド基、スルホニル基、アミド基などが挙げられるが、Rcはアルキル分岐鎖以外の置換基を有さないものであることが好ましい。
本発明の潤滑剤組成物に含まれるエステル化合物の好ましい具体例を以下に示すが、本発明で用いられるエステル化合物はこれに限定されるものではない。
Figure 2017126487
上記エステル化合物Aa−1〜Aa−11のように、置換基R101を有する場合、R101は、カルボキシル基のα位又はβ位に置換していればよい。なお、エステル化合物Aa−1〜Aa−11は、カルボキシル基のα位にR101が置換したエステル化合物と、β位にR101が置換したエステル化合物の混合物であってもよい。
上述したようなエステル化合物は、2価以上の多価カルボン酸のカルボキシル基の一部が、モノオールによってエステル化された多価カルボン酸の部分エステル化合物であって、炭素数が20以上のエステル化合物であることが好ましい。具体的には、多価カルボン酸が2価カルボン酸である場合、2つのカルボキシル基のうち1つのカルボキシル基のみがモノオールによってエステル化された部分エステル化合物であることが好ましい。また、多価カルボン酸が3価カルボン酸である場合は、3つのカルボキシル基のうち1つもしくは2つのカルボキシル基がモノオールによってエステル化された部分エステル化合物であることが好ましい。
<多価カルボン酸>
本発明の潤滑剤組成物に含まれるエステル化合物は、2価以上の多価カルボン酸のカルボキシル基の一部が、モノオールによってエステル化された多価カルボン酸の部分エステル化合物であって、炭素数20以上の部分エステル化合物であることが好ましい。本発明で用いられる2価以上の多価カルボン酸の炭素数は10以上であることが好ましく、12以上であることがより好ましく、16以上であることがさらに好ましく、24以上であることがよりさらに好ましく、32以上であることが特に好ましく、36以上であることが最も好ましい。また、本発明で用いられる2価以上の多価カルボン酸は、2価カルボン酸又は3価カルボン酸であることが好ましく、2価カルボン酸であることが特に好ましい。
2価以上の多価カルボン酸としては、例えば、炭素数10以上のカルボン酸誘導体や、不飽和脂肪酸の多量体等を挙げることができる。炭素数10以上のカルボン酸誘導体としては、炭素数6以上の置換基を有するコハク酸誘導体、炭素数5以上の置換基を有するグルタル酸誘導体、炭素数6以上の置換基を有するアジピン酸誘導体等を挙げることができる。なお、カルボン酸誘導体としては、酸無水物や酸ハロゲン化物などが挙げられ、無水物をより好ましい例として挙げることができる。
中でも、炭素数10以上の2価以上の多価カルボン酸としては、炭素数8以上の置換基を有するコハク酸誘導体及び炭素数16以上の不飽和脂肪酸の多量体から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
炭素数8以上の置換基を有するコハク酸としては、オクテニルコハク酸、デセニルコハク酸、テトラプロペニルコハク酸(ドデセニルコハク酸)、オクタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸などを例示することができる。
炭素数16以上の不飽和脂肪酸の多量体としてはダイマー酸(炭素数18の不飽和カルボン酸の二量体)、及びダイマー酸の水添体、トリマー酸(炭素数18の不飽和カルボン酸の三量体)、炭素数22の不飽和カルボン酸の二量体(例えばエルカ酸ダイマー)等を挙げることができる。すなわち、本発明で用いられる2価以上の多価カルボン酸の炭素数は36以上であることが特に好ましい。中でも、ダイマー酸、及びダイマー酸の水添体、トリマー酸、炭素数22の不飽和カルボン酸の二量体を用いることが基油への溶解性の観点から好ましい。ここでダイマー酸とは、不飽和脂肪酸(通常は、炭素数18)が重合またはDiels−Alder反応等によって二量化して生じる脂肪族または脂環族ジカルボン酸(大部分の2量体の他、3量体、モノマー等を数モル%含有するものが多い)をいい、そのうち、主成分が3量体のものをトリマー酸と定義する。
ダイマー酸またはトリマー酸の具体例としては、築野食品工業株式会社製、ツノダイム(登録商標)205、216、228、395がダイマー酸の例として挙げられ、ツノダイム345などはトリマー酸の例として挙げられる。ダイマー酸またはトリマー酸としては、他にコグニス社、ユニケマ社、クローダ社の製品を用いてもよい。炭素数22の不飽和カルボン酸の二量体の例としてはクローダ社製プリポール1004などが挙げられる。
<モノオール>
モノオールの炭素数は、1以上であればよく、4以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、6以上であることがさらに好ましく、8以上であることが特に好ましい。また、モノオールの炭素数は70以下であることが好ましく、48以下であることがより好ましく、32以下であることがさらに好ましく、24以下であることが特に好ましい。モノオールとしては脂肪族モノオールが好ましく、分岐アルキル鎖を有しているものが更に好ましく、炭素数1〜12の分岐アルキル鎖を有していることが特に好ましい。
本発明に適するモノオールとしては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、プロパノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、2−ヘキシルオクタノール、2−オクチルデカノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ヘキサデカノール、2−ヘプチルウンデカノール、エイコサデカノール、フィトステロール、イソステアリルアルコール、ステアリルアルコール、セトール、ベヘノール等が挙げられる。また、本発明で用いるモノオールはさらにオキシアルキレン構造を有していることが好ましい。オキシアルキレン構造を有するモノオールとしては、上述したモノオールのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
本発明で用いるモノオールがオキシアルキレン構造を有するものである場合、モノオールは、下記一般式(3)で表されるものであることがより好ましい。
Figure 2017126487
ここで、一般式(3)中、Raは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基であり、Xa1及びXa2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。また、na1は2〜4の整数を表し、na2は1〜20の整数を表す。なお、複数個のXa1は同じであっても異なっていてもよく、複数個のXa2は同じであっても異なっていてもよい。また、na2が2以上の場合、複数個の−O(CXa1a2na1−は同じであっても異なっていてもよい。
aで表される置換基を有してもよいアルキル基のアルキル基部分の炭素数は、1〜32であることが好ましく、4〜32であることがより好ましく、5〜24であることがさらに好ましい。Raが表すアルキル基は直鎖であっても分岐であってもよいが、分岐であることが高温及び/又は高圧といった過酷条件での潤滑性の観点からも好ましく、また、基油への添加剤として用いる際、溶解性の観点からも好ましい。
aで表される置換基を有してもよいアルケニル基のアルケニル基部分の炭素数は、2〜32であることが好ましく、4〜32であることがより好ましく、5〜24であることがさらに好ましい。Raが表すアルケニル基は直鎖であっても分岐であっても環状であってもよい。
aで表される置換基を有してもよいアリール基またはヘテロアリール基のアリール基部分の炭素数は、6〜32であることが好ましく、6〜24であることがより好ましい。Raが表すアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができ、その中でもフェニル基が特に好ましい。また、Raが表すヘテロアリール基としては、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、ベンズオキサゾリル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、カルバゾリル基、アゼピニル基を例示することができる。ヘテロアリール基に含まれるヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子であることが好ましい。
中でも、一般式(3)において、Raは置換基を有してもよいアルキル基であることがより好ましい。ここで、アルキル基は、分岐を有するアルキル基であることが好ましい。また、Xa1及びXa2はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であることがより好ましい。
分岐アルキル基としては、分岐鎖として炭素数1〜12のアルキル基を1つ有するアルキル基が好ましく、分岐鎖として炭素数1〜10のアルキル基を1つ有するアルキル基がより好ましい。中でも、分岐鎖として炭素数1〜12のアルキル基を2位に1つ有する炭素数3〜20のアルキル基(総炭素数4〜32)が好ましく、分岐鎖として炭素数1〜10のアルキル基を2位に1つ有する炭素数4〜14のアルキル基(総炭素数5〜24)がより好ましい。
一般的(3)において、na1は2〜4の整数であることが好ましく、2又は3であることがより好ましく、2であることがさらに好ましい。また、na2は、1〜20の整数であることがより好ましく、1〜10の整数であることがさらに好ましく、1〜8の整数であることがよりさらに好ましく、1〜4の整数であることが特に好ましい。
aが有し得る置換基の例としては、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、エ−テル基、アルキルカルボニル基、シアノ基、チオエ−テル基、スルホキシド基、スルホニル基、アミド基などが挙げられるが、Raはアルキル分岐鎖以外の置換基を有さないものであることが好ましい。
(エステル化反応混合物)
本発明の潤滑剤組成物は、上述したような2価以上の多価カルボン酸のカルボキシル基の一部が、モノオールによってエステル化された多価カルボン酸の部分エステル化合物に加えて、多価カルボン酸の完全エステル化合物であって、炭素数が20以上の完全エステル化合物をさらに含有してもよい。ここで、多価カルボン酸の完全エステル化合物とは、2価以上の多価カルボン酸1分子中のカルボキシル基の全てがモノオールによってエステル化されたエステル化合物である。なお、本発明の潤滑剤組成物は、多価カルボン酸1分子中のカルボキシル基の全てがエステル化されていない2価以上の多価カルボン酸を含んでいてもよい。すなわち、本発明の潤滑剤組成物は、多価カルボン酸の部分エステル化合物と多価カルボン酸完全エステル化合物の混合物を含んでいてもよく、多価カルボン酸の部分エステル化合物と多価カルボン酸完全エステル化合物と多価カルボン酸の混合物を含んでいてもよい。
多価カルボン酸の部分エステル化合物と、多価カルボン酸完全エステル化合物及び/又は多価カルボン酸の混合物は、単離した部分エステル化合物と、単離した完全エステル化合物及び/又は多価カルボン酸を混合した混合物であってもよいが、2価以上の多価カルボン酸と、モノオールのエステル化反応混合物であってもよい。具体的には、反応性が等しい多価カルボン酸とモノオールを反応させることで、部分エステル化合物の他に多価カルボン酸1分子中のカルボキシル基の全てがモノオールによってエステル化された多価カルボン酸完全エステル化合物、およびエステル化されずに残った原料多価カルボン酸の混合物を得ることができる。例えば、アジピン酸やセバシン酸、ダイマー酸などの2価カルボン酸とモノオールを反応させた場合、カルボキシル基とエステル結合を1つずつ有するモノエステル化合物の他に、原料多価カルボン酸と、多価カルボン酸1分子中のカルボキシル基全てがエステル化された完全エステル化合物が混合したエステル化反応混合物が得られる。本発明においてはこのような混合物をそのまま用いてもよい。本発明の潤滑剤組成物がエステル化反応混合物を含む場合は、エステル化反応混合物全分子中のエステル結合とカルボキシル基の総数に対しエステル結合の数の割合が40〜95%であることが好ましく、55〜85%であることがより好ましく、60〜80%であることがさらに好ましい。すなわち、エステル化反応混合物においては、2価以上の多価カルボン酸全分子中の全カルボキシル基のうち40〜95%のカルボキシル基がモノオールによってエステル化されていることが好ましく、55〜85%のカルボキシル基がモノオールによってエステル化されていることがより好ましく、60〜80%のカルボキシル基がモノオールによってエステル化されていることがさらに好ましい。
エステル化反応混合物中のエステル結合とカルボキシル基の総数に対するエステル結合の数の割合は、1H−NMR(Nuclear Magnetic Resonance)を測定することで算出することができる。
例えば、エステル化反応混合物に多価カルボン酸と、部分エステル化合物と、完全エステル化合物が含まれる場合は、下式(Cx)で表される構造を有する多価カルボン酸もしくは部分エステル化合物と、下記式(Cy)で表される構造を有する部分エステル化合物もしくは完全エステル化合物が少なくとも含まれる。このような場合、エステル化反応混合物全分子中のエステル結合の数の割合は1H−NMRの積分値(Hb/Ha)×100により算出することができる。なお、下記式(Cx)及び(Cy)中、Rxは多価カルボン酸もしくは部分エステル化合物から1つの(COOHCH2−)基を除いた残りの基である。下記式(Cy)中、Ryはモノオールから(−CH2OH)基を除いた残りの基である。Ha、Hbはそれぞれ独立に水素原子を表す。
Figure 2017126487
なお、エステル化反応混合物は多価カルボン酸とモノオールをカルボキシル基/水酸基のmol比で1/0.5〜1/0.95の比率で仕込み、エステル化反応させることで得ることが好ましい。
2価以上の多価カルボン酸は2価以上の多価カルボン酸誘導体であってもよく、多価カルボン酸誘導体として酸無水物を用いる場合、1当量のモノオールと反応させることにより、モノエステル化合物(部分エステル化合物)を得ることができる。例えば、前述のアルケニルコハク酸無水物にモノオールを1当量反応させることにより、アルケニルコハク酸モノエステルを得ることができる。酸無水物を用いた際に得られるモノエステル化合物には、多価カルボン酸完全エステル化合物や多価カルボン酸が混合しておらず、本発明では、このようなモノエステル化合物のみをエステル化反応混合物として用いることもできる。また、多価カルボン酸誘導体として酸無水物を用いた場合であっても、酸無水物に1当量よりも多いモノオールを反応させることで、モノエステル化合物とジエステル化合物の混合物を得ることもできる。
(潤滑剤組成物のエステル化合物以外の成分)
本発明は、上述した炭素数が20以上のエステル化合物を少なくとも含有する潤滑剤組成物に関するものである。本発明の潤滑剤組成物には、上述した炭素数が20以上のエステル化合物の他に、さらに各種添加剤及び/又は媒体を添加することができる。
本発明の潤滑剤組成物は、媒体をさらに含むことが好ましい。具体的には、潤滑剤組成物の全質量に対し、エステル化合物もしくはエステル化反応混合物を0.1〜10質量%と、媒体を60〜99.9質量%含み、潤滑剤組成物の全質量に対し、エステル化合物もしくはエステル化反応混合物及び媒体以外の他の成分を0〜39.9質量%含むことが好ましい。
(媒体)
媒体(基油とも呼ぶ)としては、鉱油、油脂化合物、ポリオレフィン油(例えばポリアルファオレフィン)、シリコーン油、エーテル油(例えばパーフルオロポリエーテル油、ジフェニルエーテル誘導体)、エステル油(例えば芳香族エステル油、1価脂肪酸エステル、2価脂肪酸ジエステル、ポリオールエステル潤滑油)、から選択される1種又は2種以上を挙げることができる。中でも、媒体は、鉱油、ポリオレフィン油、エステル油から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明において、「媒体」とは、一般的に「流動性液体」とよばれる媒体の全てを意味するものである。但し、室温又は使用される温度において、液状であることは必要とせず、液体以外にも固体及びゲル等のいずれの形態の材料も利用することができる。本発明において利用する媒体については特に制限はなく、用途に応じて種々の液体から選択することができる。本発明において用いることができる媒体については、特開2011−89106号公報の段落0067〜0096の記載を参照することができる。媒体の40℃における動粘度は1〜500mm2/sが好ましく、1.5〜200mm2/sがより好ましく、2〜50mm2/sがさらに好ましい。
媒体の粘度指数は90以上であることが好ましく、より好ましくは105以上、更に好ましくは110以上である。また、媒体の粘度指数は160以下であることが好ましい。粘度指数を上記範囲内とすることにより、粘度−温度特性および熱・酸化安定性、揮発防止性が良化し、摩耗防止性が向上する。なお、本発明でいう粘度指数とは、JIS K 2283−1993に準拠して測定された粘度指数を意味する。
(エステル化合物及び媒体以外の他の成分)
エステル化合物及び媒体以外の他の成分として好ましい化合物、すなわち本発明の潤滑剤組成物への好ましい添加剤は、亜鉛、モリブデン、硫黄及びリンから選ばれる少なくとも1種を構成元素として含む化合物である。このような化合物は、摩擦調整剤、摩耗防止剤、酸化防止剤などの機能を有する。亜鉛、モリブデン、硫黄及びリンのうち少なくとも1種を構成元素として含む化合物とは、化合物中に亜鉛、モリブデン、硫黄およびリンをいかなる状態で含んでもよい化合物を意味する。具体的には亜鉛、モリブデン、硫黄およびリンが、単体(酸化数0)、イオン、錯体などとして含まれる化合物を挙げることができる。このような化合物としては、有機モリブデン化合物、無機モリブデン化合物、有機亜鉛化合物、(亜)リン酸誘導体、有機硫黄化合物などが挙げられる。その中でも有機モリブデン化合物及び有機亜鉛化合物が好ましい。
また、亜鉛、モリブデン、硫黄及びリンから選ばれる少なくとも1種を構成元素として含む化合物は、1種のみが本発明の潤滑剤組成物に添加されてもよく、2種以上が本発明の潤滑剤組成物に添加されてもよい。亜鉛、モリブデン、硫黄およびリンから選ばれる少なくとも1種を構成元素として含む化合物を2種以上組み合わせて本発明の潤滑剤組成物に添加する場合は、有機モリブデン化合物、無機モリブデン化合物、有機亜鉛化合物、(亜)リン酸誘導体および有機硫黄化合物のうち2種以上を組み合わせることが好ましく、有機モリブデン化合物及び有機亜鉛化合物を組み合わせることがより好ましい。
以下、有機モリブデン化合物、無機モリブデン化合物、有機亜鉛化合物、(亜)リン酸誘導体、有機硫黄化合物のそれぞれの好ましい態様について説明する。
潤滑剤組成物に添加剤として用いられる有機モリブデン化合物としては、モリブデンジチオホスフェート(MoDTPと言われることもある)等のリンを含有する有機モリブデン化合物を挙げることができる。別の有機モリブデン化合物としては、モリブデンジチオカーバメート(MoDTCと言われることもある)等の硫黄を含有する有機モリブデン化合物を挙げることができる。硫黄を含有する有機モリブデン化合物としては、例えば、硫化オキシモリブデン−N,N−ジ−オクチルジチオカルバメート(C8−Mo(DTC))、硫化オキシモリブデン−N,N−ジ−トリデシルジチオカルバメート(C16−Mo(DTC))などが好ましい。
その他の硫黄を含有する有機モリブデン化合物としては、無機モリブデン化合物と硫黄含有有機化合物との錯体を挙げることができる。無機モリブデン化合物と硫黄含有有機化合物との錯体である有機モリブデン化合物に用いられる無機モリブデン化合物としては、例えば、二酸化モリブデン、三酸化モリブデン等の酸化モリブデン、オルトモリブデン酸、パラモリブデン酸、(ポリ)硫化モリブデン酸等のモリブデン酸、これらモリブデン酸の金属塩、アンモニウム塩等のモリブデン酸塩、二硫化モリブデン、三硫化モリブデン、五硫化モリブデン、ポリ硫化モリブデン等の硫化モリブデン、硫化モリブデン酸、硫化モリブデン酸の金属塩またはアミン塩、塩化モリブデン等のハロゲン化モリブデン等を挙げることができる。また、無機モリブデン化合物と硫黄含有有機化合物との錯体である有機モリブデン化合物に用いられる硫黄含有有機化合物としては、例えば、アルキル(チオ)キサンテート、チアジアゾール、メルカプトチアジアゾール、チオカーボネート、テトラハイドロカルビルチウラムジスルフィド、ビス(ジ(チオ)ハイドロカルビルジチオホスホネート)ジスルフィド、有機(ポリ)サルファイド、硫化エステル等を挙げることができる。
その他の硫黄を含有する有機モリブデン化合物としては、硫化モリブデン、硫化モリブデン酸等の硫黄含有モリブデン化合物とアルケニルコハク酸イミドとの錯体等を挙げることができる。
有機モリブデン化合物としては、構成元素としてリンや硫黄を含まない有機モリブデン化合物を用いることができる。構成元素としてリンや硫黄を含まない有機モリブデン化合物としては、具体的には、モリブデン−アミン錯体、モリブデン−コハク酸イミド錯体、有機酸のモリブデン塩、アルコールのモリブデン塩などが挙げられ、中でも、モリブデン−アミン錯体、有機酸のモリブデン塩およびアルコールのモリブデン塩が好ましい。
潤滑剤組成物に添加剤として用いられる無機モリブデン化合物は、無機モリブデン化合物と硫黄含有有機化合物との錯体である有機モリブデン化合物に用いられる無機モリブデン化合物の例として挙げたものと同様である。
潤滑剤組成物に添加剤として用いられる有機亜鉛化合物としては、下記式で表わされるジンクジチオホスフェート(ZDTP)ジンクジホスフェート(ZDP)が好ましい。
Figure 2017126487
上記式中、Q1、Q2、Q3、Q4は各々同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立にイソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、ミスチル基、パルミチル基、ステアリル基等の炭素数8〜20のアルキル基を表す。
上記式で表わされるジンクジチオホスフェート(ZDTP)としては、具体的にはn−ブチル−n−ペンチルジチオリン酸亜鉛(C4/C5 ZnDTP)、ジ−2−エチルヘキシルジチオリン酸亜鉛(C8 ZnDTP)又はイソプロピル−1−エチルブチルジチオリン酸亜鉛(C3/C6 ZnDTP)であることが好ましい。
本発明の潤滑剤組成物において、有機モリブデン化合物を用いる場合、有機モリブデン化合物は、潤滑剤組成物の全質量に対して、モリブデン含量として10〜1500mg/L含まれていることが好ましく、50〜1000mg/L含まれていることがより好ましく、100〜800mg/L含まれていることがさらに好ましい。
また、有機亜鉛化合物を用いる場合、潤滑剤組成物全質量に対して、有機亜鉛化合物は、亜鉛含量として50〜10000mg/L含まれていることが好ましく、100〜5000mg/L含まれていることがより好ましく、200〜1500mg/L含まれていることがさらに好ましい。
潤滑剤組成物中の有機モリブデン化合物や有機亜鉛化合物などの有機金属化合物の含有量を上記範囲内とすることにより、潤滑剤組成物の安定性を高めることができ、高温および/または高圧といった過酷条件での潤滑特性を改善でき、さらに摩耗抑制能を発揮することができる。
(亜)リン酸誘導体としては、前述のジンクジチオホスフェート(ZDTP)、ジンクジホスフェート(ZDP)の他に亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、リン酸トリクレジルなどの芳香族リン酸エステル、リン酸トリアルキルなどの脂肪族リン酸エステルを好ましい例として例示することができる。中でも、リン酸トリクレジルなどの芳香族リン酸エステル、リン酸トリアルキルなどの脂肪族リン酸エステルなどがより好ましい。
有機硫黄化合物としては、ポリスルフィド類が好ましく、ジアルキルポリスルフィドがより好ましい。
エステル化合物及び媒体以外の他の成分としては、上記化合物の他に、例えば、粘度指数向上剤(好ましくはポリアルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート−極性基を有する(メタ)アクリレート共重合体、ブタジエン、オレフィン又はアルキル化スチレンのポリマー及びコポリマー)、酸化防止剤(好ましくはヒンダードフェノール化合物、硫化アルキルフェノール化合物、芳香族アミン化合物、低硫黄過酸化物分解剤、油溶性銅化合物)、清浄剤(スルフェート、フェネート、カルボキシレート、ホスフェート及びサリシレートのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、(ホウ酸変性)コハク酸イミド、コハク酸エステル)、分散剤(好ましくはフェネート、スルホネート、硫化フェネート、サリシレート、ナフテネート、ステアレート、カルバメート、チオカルバメート、燐誘導体、コハク酸誘導体(例えば長鎖置換アルケニルコハク酸誘導体、コハク酸イミド誘導体、ヒドロカルビル置換コハク酸化合物、コハク酸エステル、コハク酸エステルアミド)、マンニッヒ塩基)、流動点降下剤(好ましくはポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアリールアミド、ハロパラフィンワックスと芳香族化合物の縮合製品、ビニルカルボキシレートポリマーならびにジアルキルフマレート、脂肪酸のビニルエステル及びアリルビニルエーテルのターポリマー)、腐食防止剤(好ましくはチアジアゾール)、シール適合剤(好ましくは有機ホスフェート、芳香族エステル、芳香族炭化水素、エステル(例えば、ブチルベンジルフタレート)及びポリブテニル無水コハク酸)、消泡剤(好ましくはポリジメチルシリコーン)、錆防止剤、摩擦調整剤、摩耗防止剤、及び増ちょう剤から選択される1種又は2種以上を挙げることができる。
このような添加剤を添加することにより、摩耗抑制等の機能を発揮し得る潤滑剤組成物を得ることができる。本発明において用いることができる添加剤については、特開2011−89106号公報の段落0098〜0165の記載を参照することができる。
(潤滑剤組成物の性質)
本発明の潤滑剤組成物は、40℃での動粘度が500mm2/s以下であることが好ましく、200mm2/s以下であることがより好ましく、100mm2/s以下であることがさらに好ましく、50mm2/s以下であることが特に好ましく、5〜50mm2/sであることが最も好ましい。粘性は、使用環境により適正な粘性が求められるため、それに合わせることが必要である。本明細書中、潤滑剤組成物の40℃での動粘度は具体的には、ウベローデ粘度計を用い、40.0℃の恒温水槽中で測定した値を採用する。
本発明の潤滑剤組成物は、グリースと混合してグリース組成物として調製してもよい。このような態様では、グリースの用途に適応した場合の実用性能を確保するため、さらに必要に応じて、増ちょう剤等を本発明の目的を損なわない範囲で適宜添加することができる。増ちょう剤を添加する場合は、グリース組成物の全質量に対して、増ちょう剤を10〜50質量%含有することが好ましい。以下、グリース組成物を調製する際に添加可能な添加剤について説明する。
添加可能な増ちょう剤としては、金属石けん、複合金属石けん等の石けん系増ちょう剤、ベントン、シリカゲル、ウレア系増ちょう剤(ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物等)の非石けん系増ちょう剤などのあらゆる増ちょう剤が使用可能である。これらの中でも、樹脂製部材を損傷させるおそれが小さいことから、石けん系増ちょう剤、ウレア系増ちょう剤が好ましく用いられる。
石けん系増ちょう剤としては、例えば、ナトリウム石けん、カルシウム石けん、アルミニウム石けん、リチウム石けん等が挙げられるが、これらの中でも、耐水性や熱安定性の点から、リチウム石けんが好ましい。リチウム石けんとしては、例えば、リチウムステアレートやリチウム−12−ヒドロキシステアレート等が挙げられる。
また、ウレア系増ちょう剤としては、例えば、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物又はこれらの混合物等が挙げられる。
ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物及びウレタン化合物としては、例えば、ジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、ポリウレア化合物(ジウレア化合物、トリウレア化合物及びテトラウレア化合物は除く)、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物又はこれらの混合物等が挙げられる。好ましくはジウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物又はこれらの混合物が挙げられる。
グリース組成物には、添加剤として固体潤滑剤を含むこともできる。固体潤滑剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、窒化ホウ素、フラーレン、黒鉛、フッ化黒鉛、メラミンシアヌレート、二硫化モリブデン、Mo(モリブデン)−ジチオカーバメート、硫化アンチモン、アルカリ(土類)金属ほう酸塩等が挙げられる。
また、グリース組成物には、添加剤としてワックスを含むこともできる。ワックスとしては、例えば、天然ワックス、鉱油系ないしは合成系の各種ワックスが例示でき、具体的にはモンタンワックス、カルナウバワックス、高級脂肪酸のアミド化合物、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス等が挙げられる。
その他、金属不活性化剤としてベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、チアジアゾールなどが知られていて、これらを添加することができる。
グリース組成物には、増粘剤を添加することができる。増粘剤としては、例えば、ポリメタクリレート、ポリイソブチレン、ポリスチレン等が挙げられる。ポリ(メタ)アクリレートは、寒冷地での冷時異音防止の効果も知られている。
(潤滑剤組成物の製造方法)
本発明は、多価カルボン酸のカルボキシル基の一部を、モノオールによってエステル化する工程を含む潤滑剤組成物の製造方法であって、1分子中に、エステル結合とカルボキシル基とを少なくとも1つずつ含む炭素数が20以上のエステル化合物を含有する潤滑剤組成物の製造方法に関するものでもある。エステル化する工程においては、エステル化反応混合物が製造されることが好ましい。
潤滑剤組成物の製造方法においては、エステル化する工程は、多価カルボン酸全分子中の全カルボキシル基のうち40〜95%のカルボキシル基をモノオールによってエステル化する工程であることが好ましく、55〜85%のカルボキシル基をモノオールによってエステル化する工程であることがより好ましく、60〜80%のカルボキシル基をモノオールによってエステル化する工程であることがさらに好ましい。
なお、潤滑剤組成物の製造方法は、エステル化する工程の後に、1分子中に、エステル結合とカルボキシル基とを少なくとも1つずつ含む炭素数が20以上のエステル化合物のみを単離する工程を含んでもよい。単離する工程においてエステル化反応混合物をカラムクロマトグラフィーにより精製することが好ましい。
(エステル化する工程)
エステル化する工程は、上述した2価以上の多価カルボン酸とモノオールを脱水縮合させる工程を含む。本発明では、このような脱水縮合反応は、多価カルボン酸の全てのカルボキシル基で起こるのではなく、一部のカルボキシル基で起こるように反応条件を調整する。例えば、エステル化する工程では、多価カルボン酸とモノオールをカルボキシル基/水酸基のmol比で1/0.5〜1/0.95の比率で仕込み、エステル化反応させることが好ましい。また、多価カルボン酸とモノオールをカルボキシル基/水酸基のmol比で1/1〜1/10で仕込み、部分エステル化合物が生成するようにエステル化反応条件を調整してもよい。反応後にモノオールが残存する場合は、減圧留去などの方法により、モノオールを除去することが好ましい。
脱水縮合反応は、触媒存在下もしくは無触媒で行うことが好ましい。また、脱水縮合の際は、加熱するか、水と共沸する溶媒を適量存在させることが望ましい。これによりエステル化反応混合物が着色することなく、脱水もスムーズに進行する。この溶媒は沸点100〜200℃の炭化水素系溶媒が好ましく、100〜170℃の炭化水素系溶媒がさらに好ましく、110〜160℃の炭化水素系溶媒が最も好ましい。これらの溶媒として、例えばトルエン、キシレン、メシチレンなどが挙げられる。溶媒の添加量は、多価カルボン酸とモノオールの全量に対し、1〜25質量%が好ましく、2〜20質量%がさらに好ましく、3〜15質量%が特に好ましく、5〜12質量%も好ましい。
触媒を用いることで、反応が加速されるが、触媒除去の後処理が煩雑であり、エステル化反応混合物の着色の原因となることから、用いないことが望ましい。しかし、用いる場合は、通常の触媒で通常の条件と操作が使用される。これに関しては、特表2001−501989号公報、特表2001−500549号公報、特表2001−507334号公報、及び特表2002−509563号公報中の参考文献を参照することができる。
仕込み終了後、液温120〜250℃、好ましくは130〜230℃、さらに好ましくは130〜220℃、特に好ましくは140〜220℃で反応させる。これにより水を含む溶媒が共沸され、ディーンシュタークのごとき冷却部位で冷却され、液体となることで水と溶媒が分離される。この水は除去されればよい。
反応時間は、反応時間は1〜24時間が好ましく、より好ましくは3〜18時間、さらに好ましくは5〜18時間、最も好ましくは6〜15時間である。
(潤滑剤組成物の用途)
本発明の潤滑剤組成物は、例えば、2つの摺動面間に供給され、摩擦を低減するために用いることができる。本発明の潤滑剤組成物は、摺動面に皮膜を形成し得る。摺動面の材質としては、具体的には、機械構造用炭素鋼、ニッケルクロム鋼材・ニッケルクロムモリブデン鋼材・クロム鋼材・クロムモリブデン鋼材・アルミニウムクロムモリブデン鋼材などの構造機械用合金鋼、ステンレス鋼、マルチエージング鋼などが挙げられる。
摺動面の材質としては、鋼鉄以外の各種金属、又は金属以外の無機もしくは有機材料も広く用いられる。金属以外の無機もしくは有機材料としては、各種プラスチック、セラミック、カーボン等、及びその混合体などが挙げられる。より具体的には、鋼鉄以外の金属材料としては、鋳鉄、銅・銅−鉛・アルミニウム合金、その鋳物及びホワイトメタルが挙げられる。
なお、摺動面の材質については、特開2011−89106号公報の段落0168〜0175の記載を参照することができる。
本発明の潤滑剤組成物は、種々の用途に利用できる。例えば、グリース用潤滑油、離型剤、内燃機関用オイル、内燃機関用エンジンオイル、金属加工用(切削用)オイル、軸受け用オイル、燃焼機関用燃料、車両エンジン油、ギヤ油、自動車用作動油、船舶・航空機用潤滑油、マシン油,タービン油、軸受用オイル、油圧作動油、圧縮機・真空ポンプ油、冷凍機油、金属加工用潤滑油剤、磁気記録媒体用潤滑剤、マイクロマシン用潤滑剤、人工骨用潤滑剤、ショックアブソーバ油又は圧延油として用いることができる。さらに、往復動式や回転式の密閉型圧縮機を有するエアコンや冷蔵庫、自動車用エアコンや除湿機、冷凍庫、冷凍冷蔵倉庫、自動販売機、ショーケース、化学プラント等の冷却装置などにも用いられる。
本発明の潤滑剤組成物は、塩素系化合物を含まない金属加工用潤滑油剤として利用することもできる。例えば鉄鋼材料やAl(アルミニウム)合金などの金属材料を熱間圧延したり、切削等の加工を行ったりする際に、またアルミニウムの冷間圧延油、切削油、研削油、引き抜き加工油、プレス加工油等の金属加工油や金属の塑性加工油として本発明の潤滑剤組成物を用いることができる。本発明の潤滑剤組成物は、特に高速、高負荷加工時の摩耗、破損、表面あれの抑止剤として、またブローチ加工,ガンドリル加工のような低速・重切削に適用可能な金属加工油組成物としても有用である。
また本発明の潤滑剤組成物は、各種グリース用潤滑油、磁気記録媒体用潤滑剤、マイクロマシン用潤滑剤や人工骨用潤滑剤等に利用することができる。また、潤滑剤組成物の元素組成を炭水化物とすることができるため、例えば、乳化、分散化、可溶化剤として用いることができる。ケーキミックス、サラダドレッシング、ショートニングオイル、チョコレート等に広く利用されている、ポリオキシエチレンエーテルを含むソルビタン脂肪酸エステルといった食用油を基油とすることで、全く人体に無害の高性能潤滑油を得ることができる。このような潤滑油は、食品製造ラインの製造機器や医療機器部材に用いることができる。
さらに、本発明の潤滑剤組成物を水系に乳化して分散したり、極性溶媒中や樹脂媒体中に分散したりすることで、切削油や圧延油として用いることができる。
また、本発明の潤滑剤組成物は離型剤としても、種々の用途に利用できる。例えば、ポリカーボネート樹脂、難燃性ポリカーボネート樹脂、電子写真装置や静電記録装置などで使用される画像形成用トナーの主成分である結晶性ポリエステル樹脂、各種成形用熱可塑性樹脂組成物及び半導体封し用エポキシ樹脂組成物などの離型剤として用いられる。
また、衣料などの繊維製品に予め練り込んだり、塗布したりすることにより、繊維製品に付着した汚れの離脱を促進して繊維製品の汚れを防止する防汚剤としても用いることができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(エステル化合物Aa−1の合成)
オクテニル無水コハク酸(新日本理化社製、リカシッドOSA)に1当量の2−エチルヘキサノールを30分かけて滴下し、室温で1時間反応させた後、50℃で更に3時間反応させた。反応は無溶媒で行った。生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、部分エステル化合物Aa−1を得た。なお、上記条件反応条件においても純度の高い部分エステル化合物が得られるが、カラムクロマトグラフィーにより精製することにより、部分エステル化合物のみを精製することが可能となる。
(エステル化合物Aa−2の合成)
2−エチルヘキサノールの替わりに2−(2ーエチルヘキシルオキシ)エタノールを用いた以外はエステル化合物Aa−1と同じ手法を用いて部分エステル化合物Aa−2を得た。
(エステル化合物Aa−4の合成)
オクテニル無水コハク酸の替わりにドデセニル無水コハク酸(新日本理化社製、リカシッドDDSA)を用いた以外はエステル化合物Aa−1と同じ手法を用いて部分エステル化合物Aa−4を得た。
(エステル化合物Aa−6の合成)
オクテニル無水コハク酸の替わりにドデセニル無水コハク酸(新日本理化社製、リカシッドDDSA)、2−エチルヘキサノールの替わりに2−((2ーエチルヘキシル)オキシエトキシ)エタノールを用いた以外はエステル化合物Aa−1と同じ手法を用いて部分エステル化合物Aa−6を得た。
(エステル化合物Ab−1の合成)
ダイマー酸(築野食品社製、ツノダイム395)のカルボン酸量に対し、0.5当量の2ーエチルヘキサノールを混合し、窒素気流下220℃で5時間反応させた。生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、部分エステル化合物Ab−1を得た。
(エステル化合物Ab−2の合成)
2−エチルヘキサノールの替わりに2−(2ーエチルヘキシルオキシ)エタノールを用いた以外はエステル化合物Ab−1と同じ手法を用いて部分エステル化合物Ab−2を得た。
(エステル化合物Ab−3の合成)
2−エチルヘキサノールの替わりに2−((2ーエチルヘキシル)オキシエトキシ)エタノールを用いた以外はエステル化合物Ab−1と同じ手法を用いて部分エステル化合物Ab−3を得た。
(エステル化合物Ab−11の合成)
2−エチルヘキサノールの替わりにポリエチレングリコールモノイソステアリルエーテル(平均オキシエチレン基数6)を用いた以外はエステル化合物Ab−1と同じ手法を用いて部分エステル化合物Ab−11を得た。
(エステル化合物Ac−1の合成)
ダイマー酸の替わりにセバシン酸を用いた以外はエステル化合物Ab−2と同じ手法を用いて部分エステル化合物Ac−1を得た。
(エステル化合物Ad−3の合成)
ダイマー酸の替わりにエルカ酸ダイマー(クローダ社製、プリポール1004)を用いた以外はエステル化合物Ab−3と同じ手法を用いて部分エステル化合物Ad−3を得た。
比較化合物としてカルボキシル基を有さないエステル化合物、もしくは炭素数20未満のエステル化合物を用いた。
(エステル化合物X1) オクテニルコハク酸ビス(2ーエチルヘキシル)
(エステル化合物X2) オクテニルコハク酸ビス(2ー(エチルヘキシルオキシ)エチル)
(エステル化合物X3) ダイマー酸ビス(2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エチル)
(エステル化合物X4) セバシン酸ビス(2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エチル)
(エステル化合物X5) セバシン酸モノ(2−エチルヘキシル) 炭素数18
(実施例1〜15及び比較例1〜6)
表1に示す添加量となるように基油にエステル化合物を添加し、実施例1〜15及び比較例1〜6の潤滑剤組成物を得た。得られた潤滑剤組成物を以下の方法にて評価した。
(評価)
(摩擦係数)
各実施例および比較例の潤滑剤組成物について、振動型摩擦摩耗試験機(Optimol Instruments Prueftechnik GmbH社製、SRV 4)を用いて摩擦係数を測定した。摩擦係数の測定では、温度40℃において、振動数50Hz、荷重150N、振幅2mmで測定する条件(条件1)および温度80℃において、振動数50Hz、荷重300N、振幅2mmで測定する条件(条件2)のそれぞれの条件で1時間摩擦摩耗試験を行い、30分経過時点おける摩擦係数を測定した。摩擦摩耗試験の上部試験片には10mmSUJ−2ボール、下部試験片24mmSUJ−2ディスクを用いた。観測した摩擦係数を以下の基準にしたがって評価した。その結果を下記表1に示した。
比較例1の条件2の摩擦係数を100%として他の評価結果を規格化し、以下のように評価した。値が小さいほど摩擦係数が小さく、良好な潤滑特性であることを表す。a,b,cは摩擦係数が大きく低下しており、改良効果が大きいと判断した。なお、条件1及び2の試験では、c以上の評価を合格評価とした。
a:60%未満
b:60%以上70%未満
c:70%以上90%未満
d:90%以上100%未満
e:100%以上(基準)

Figure 2017126487
鉱油:JX日鉱日石社製スーパーオイルN46(40℃動粘度46mm2/s)
PAO(ポリαオレフィン系油): アンデロール社製アンデロールFGC46(40℃動粘度46mm2/s)
表1に示されているように、実施例で得られた潤滑剤組成物においては、条件1及び2のいずれにおいても摩擦係数が小さく、良好な潤滑性能を発揮し得ることがわかる。一方、比較例で得られた潤滑剤組成物においては、摩擦係数が大きく、潤滑特性に劣ることがわかる。
さらに、以下の方法により、エステル化合物のほかにカルボン酸の全てがエステル化された完全エステル化合物を含有する混合物を得た。
(混合物Ab−2m1の作製)
ダイマー酸(築野食品社製、ツノダイム395)のカルボン酸量に対し、0.5当量の2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エタノールを混合し、窒素気流下220℃で5時間反応させた。減圧留去により残存する2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エタノールを除き、エステル化合物Ab−2を含有する混合物Ab−2m1を得た。NMR(Nuclear Magnetic Resonance)で確認したところ、Ab−2m1はカルボン酸のうち平均で43%がエステル化されていた。また、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又はガスクロマトグラフィーにて、部分エステル化合物が含有されていることを確認した。
(混合物Ab−2m2の作製)
ダイマー酸(築野食品社製、ツノダイム395)のカルボン酸量に対し、0.6当量の2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エタノールを混合し、窒素気流下220℃で5時間反応させた。減圧留去により残存する2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エタノールを除き、エステル化合物Ab−2を含有する混合物Ab−2m2を得た。NMRで確認したところ、Ab−2m2はカルボン酸のうち平均で52%がエステル化されていた。
(混合物Ab−2m3の作製)
ダイマー酸(築野食品社製、ツノダイム395)のカルボン酸量に対し、0.75当量の2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エタノールを混合し、窒素気流下220℃で5時間反応させた。減圧留去により残存する2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エタノールを除き、エステル化合物Ab−2を含有する混合物Ab−2m3を得た。NMRで確認したところ、Ab−2m3はカルボン酸のうち平均で65%がエステル化されていた。
(混合物Ab−2m4の作製)
ダイマー酸(築野食品社製、ツノダイム395)のカルボン酸量に対し、0.85当量の2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エタノールを混合し、窒素気流下220℃で5時間反応させた。減圧留去により残存する2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エタノールを除き、エステル化合物Ab−2を含有する混合物Ab−2m4を得た。NMRで確認したところ、Ab−2m4はカルボン酸のうち平均で75%がエステル化されていた。
(混合物Ab−2m5の作製)
ダイマー酸(築野食品社製、ツノダイム395)のカルボン酸量に対し、0.95当量の2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エタノールを混合し、窒素気流下220℃で5時間反応させた。減圧留去により残存する2ー(2−エチルヘキシルオキシ)エタノールを除き、エステル化合物Ab−2を含有する混合物Ab−2m5を得た。NMRで確認したところ、Ab−2m5はカルボン酸のうち平均で92%がエステル化されていた。
(実施例21〜25)
エステル化合物のほかにカルボン酸の全てがエステル化された完全エステル化合物を含有する混合物を表2に示す添加量となるように基油に混合し、潤滑剤組成物を調製した。これを実施例1と同じ手法を用いて摩擦係数を評価した。
Figure 2017126487
表2に示されているように、エステル化合物のほかにカルボン酸の全てがエステル化された完全エステル化合物を含有する混合物を用いた場合であっても、摩擦係数は低減されており、良好な潤滑特性を発揮することがわかった。
(実施例31及び32)
基油としてJX日鉱日石社製スーパーオイルN46にジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)をMo濃度800mg/L、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)をZn濃度800mg/L添加した基油を用いて潤滑剤組成物を調製した。これを実施例1と同じ手法を用いて摩擦係数を評価した。
Figure 2017126487
表3に示されているように、実施例で得られた潤滑剤組成物は既存の添加剤と併用しても良好な潤滑特性を示す。
(実施例41、42及び比較例41)
下表に示すエステル化合物とグリース1(Mobil SHC Grease 460WT)を混合し、グリース組成物を得た。比較例41の条件2の摩擦係数を100%として他の評価結果を規格化した以外は実施例1と同じ手法を用い摩擦係数を評価した。
Figure 2017126487
グリース1:Mobil SHC Grease 460WT
表4に示されているように、実施例で得られたグリース組成物とは良好な摩擦特性を有する。
【0031】
る。また、潤滑剤組成物の元素組成を炭水化物とすることができるため、例えば、乳化、分散化、可溶化剤として用いることができる。ケーキミックス、サラダドレッシング、ショートニングオイル、チョコレート等に広く利用されている、ポリオキシエチレンエーテルを含むソルビタン脂肪酸エステルといった食用油を基油とすることで、全く人体に無害の高性能潤滑油を得ることができる。このような潤滑油は、食品製造ラインの製造機器や医療機器部材に用いることができる。
さらに、本発明の潤滑剤組成物を水系に乳化して分散したり、極性溶媒中や樹脂媒体中に分散したりすることで、切削油や圧延油として用いることができる。
[0097]
また、本発明の潤滑剤組成物は離型剤としても、種々の用途に利用できる。例えば、ポリカーボネート樹脂、難燃性ポリカーボネート樹脂、電子写真装置や静電記録装置などで使用される画像形成用トナーの主成分である結晶性ポリエステル樹脂、各種成形用熱可塑性樹脂組成物及び半導体封し用エポキシ樹脂組成物などの離型剤として用いられる。
また、衣料などの繊維製品に予め練り込んだり、塗布したりすることにより、繊維製品に付着した汚れの離脱を促進して繊維製品の汚れを防止する防汚剤としても用いることができる。
実施例
[0098]
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、以下において、実施例13及び14はそれぞれ、参考例13及び14と読み替えるものとする。
[0099]
(エステル化合物Aa−1の合成)
オクテニル無水コハク酸(新日本理化社製、リカシッドOSA)に1当量の2−エチルヘキサノールを30分かけて滴下し、室温で1時間反応させた後、50℃で更に3時間反応させた。反応は無溶媒で行った。生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、部分エステル化合物Aa−1を得た。

Claims (15)

  1. 1分子中に、エステル結合とカルボキシル基とを少なくとも1つずつ含む炭素数が20以上のエステル化合物を含有する潤滑剤組成物。
  2. 前記炭素数が20以上のエステル化合物1分子中に含まれるエステル結合の数が1〜3である請求項1に記載の潤滑剤組成物。
  3. 前記炭素数が20以上のエステル化合物1分子中に含まれるカルボキシル基の数が1〜3である請求項1又は2に記載の潤滑剤組成物。
  4. 前記炭素数が20以上のエステル化合物1分子中に含まれるエステル結合の数が1であり、前記炭素数が20以上のエステル化合物1分子中に含まれるカルボキシル基の数が1である請求項1〜3のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
  5. 前記炭素数が20以上のエステル化合物がオキシアルキレン構造を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
  6. 前記炭素数が20以上のエステル化合物が下記一般式Axで表される請求項1に記載の潤滑剤組成物;
    Figure 2017126487
    一般式Ax中、Yはm+n価の連結基を表し、Yの炭素数+m+nが10以上であり、mは1以上の整数であり、nは1以上の整数であり、Rbは1価の置換基を表す。
  7. 前記一般式AxにおけるYの炭素数は8以上である請求項6に記載の潤滑剤組成物。
  8. 前記一般式AxにおけるYは炭素数8以上の置換基を有するコハク酸の残基または炭素数16以上の不飽和脂肪酸の多量体の残基である請求項6又は7に記載の潤滑剤組成物。
  9. 前記一般式AxにおけるYの炭素数は34以上である請求項6〜8のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
  10. 前記一般式AxにおけるRbの炭素数は8以上である請求項6〜9のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
  11. 前記炭素数が20以上のエステル化合物が下記一般式Ayで表される請求項1に記載の潤滑剤組成物;
    Figure 2017126487
    一般式Ay中、Yはm+n価の連結基を表し、Yの炭素数+m+nが10以上であり、Lはアルキレン基であり、mは1以上の整数であり、nは1以上の整数であり、pは1以上の整数であり、Rcは1価の置換基を表す。
  12. 多価カルボン酸の完全エステル化合物であって、炭素数が20以上の完全エステル化合物をさらに含有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
  13. 亜鉛、モリブデン、硫黄及びリンから選ばれる少なくとも1種を構成元素として含む化合物をさらに含有する請求項1〜12のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
  14. 多価カルボン酸のカルボキシル基の一部を、モノオールによってエステル化する工程を含む潤滑剤組成物の製造方法であって、1分子中に、エステル結合とカルボキシル基とを少なくとも1つずつ含む炭素数が20以上のエステル化合物を含有する潤滑剤組成物の製造方法。
  15. 前記エステル化する工程は、多価カルボン酸全分子中の全カルボキシル基のうち40〜95%のカルボキシル基をモノオールによってエステル化する工程である請求項14に記載の潤滑剤組成物の製造方法。
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渡辺誠一: "合成潤滑油の最近の動向", ジュンツウネット21, JPN6019006806, June 2004 (2004-06-01), JP, ISSN: 0003985310 *

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