JP2008239763A - 油圧作動油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐スラッジ性に優れ、銅材料等の金属材料の変色や腐食を抑制でき、スラッジによる摺動抵抗上昇を抑制しうる油圧作動油組成物を提供する。
【解決手段】鉱油系基油、合成系基油及び油脂の中から選ばれる少なくとも1種の潤滑油基油に、(A)一般式(a)又は(b)で表されるリン含有酸の金属塩を、組成物全量基準で、金属量(Z)として0.001〜0.5質量%、及び(B)アミン系酸化防止剤を0.001〜5質量%含有する油圧作動油組成物とする。
Figure 2008239763

【選択図】なし

Description

本発明は、油圧作動油組成物に関し、詳しくはスラッジ防止性及び銅の腐食防止性に優れ、スラッジによる摺動抵抗上昇を抑制しうる油圧作動油組成物に関するものである。
油圧回路内には、ポンプ、制御弁、油圧シリンダーなどに、金属−金属や金属−ゴム(樹脂)などの摺動部分が存在する。このような油圧回路に用いられる油圧作動油は、耐摩耗性や耐焼き付き性などの摩擦特性が良好であることが求められる。さらに、近年の省エネルギー指向の観点から、摺動部における抵抗を軽減することによる、損失エネルギーの低減や油温上昇の抑制など、油圧作動油の高性能化が求められるようになってきた。従来、摩擦特性の向上のために、ジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)が添加されていたが、厳しい条件下で使用される際にスラッジ化しやすく、このスラッジが摺動面に入り込んで摺動抵抗を上げる要因にもなっている。
油圧作動油としては、油圧回路のメンテナンスコスト削減のために長期にわたり使用可能であるとともに、良好な摩擦特性を有し、その優れた効果が長期間持続できることが必要とされている。また、油圧作動油は、銅材料の変色や腐食を抑制できることも必要とされており、さらには、添加剤の配合量を極力抑えながら上記性能を十分発揮できるような、経済性及び性能の両立も求められている。
スラッジ防止性に優れる油圧作動油としては、例えばトリクレジルホスフェートや酸性リン酸エステルのアミン塩等のリン化合物を含有し、ジチオリン酸亜鉛を実質的に含有しない非亜鉛系の油圧作動油等が提案されている(特許文献1〜12参照。)。しかしながら、これらにおいては銅材料の変色や腐食の抑制については検討されておらず、耐スラッジ性と銅材料の変色や腐食の抑制を両立できる油圧作動油が見出されていないのが現状である。
特開2005−307197号公報 特開2005−060527号公報 特開2005−060526号公報 特開2003−171684号公報 特開2002−129181号公報 特開2002−129180号公報 特開2001−348590号公報 特開2000−303086号公報 特開2000−219889号公報 特開平11−323365号公報 特開平09−111277号公報 特開平05−311187号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、耐スラッジ性に優れ、銅材料等の金属材料の変色や腐食を抑制でき、スラッジによる摺動抵抗上昇を抑制しうる油圧作動油組成物を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のリン化合物と特定の酸化防止剤を特定量含有する油圧作動油組成物が上記課題を改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、鉱油系基油、合成系基油及び油脂の中から選ばれる少なくとも1種の潤滑油基油に、(A)一般式(a)又は(b)で表されるリン含有酸の金属塩を、組成物全量基準で、金属量(Z)として0.001〜0.5質量%、及び(B)アミン系酸化防止剤を0.001〜5質量%含有することを特徴とする油圧作動油組成物を提供して前記課題を解決するものである。
Figure 2008239763

[式中、Rは炭素数1〜30の炭化水素含有基を示し、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素含有基を示し、pは0又は1を示す。]
Figure 2008239763

[式中、Rは炭素数1〜30の炭化水素含有基を示し、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素含有基を示し、qは0又は1を示す。]
この発明において、(A)リン含有酸の金属塩における金属量(Z)とリン量(P)との質量比(Z/P)は、1〜3であることが好ましく、1.2〜1.8であることがより好ましい。
また、この発明において、(B)アミン系酸化防止剤の含有量は、窒素量として1〜100質量ppmであることが好ましい。
また、この発明において、油圧作動油組成物は、(C)金属スルホネート、金属フェネート及び金属サリシレートから選ばれる少なくとも1種の有機金属化合物を含有し、組成物中における該有機金属化合物起因の金属量(M)と、(A)成分起因のリン含有量(P)との質量比(M/P)が1以下であることが好ましい。
また、この発明において、(C)成分の含有量は、組成物全量基準で、1質量ppm以上50質量ppm未満であることが好ましい。
本発明の油圧作動油組成物は、スラッジ防止性及び銅の腐食防止性に優れ、スラッジによる摺動抵抗上昇を抑制しうる油圧作動油組成物であり、アミン酸化防止剤や有機金属化合物の配合量を極力抑えながら、上記性能を高度に発揮できるため、経済性と性能を両立しうるものである。
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
以下、本発明の油圧作動油組成物について詳述する。
本発明の油圧作動油組成物に用いられる潤滑油基油としては、鉱油系基油、合成系基油及び油脂の中から選ばれるものであれば、特に制限なく使用することができる。
鉱油系基油としては、具体的には、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製等の処理を1つ以上行って精製したもの、あるいはワックス異性化鉱油、フィッシャートロプシュプロセス等により製造されるGTLWAX(ガストゥリキッドワックス)を異性化する手法で製造される潤滑油基油等が例示できる。
鉱油系基油の全芳香族分は、特に制限はないが、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である。全芳香族分は0質量%でもよいが、添加剤やスラッジの溶解性の点で1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。基油の全芳香族分が40質量%を超える場合は、酸化安定性が劣るため好ましくない。
なお、上記全芳香族分とは、ASTM D2549に準拠して測定した芳香族留分(aromatic fraction)含有量を意味する。通常この芳香族留分には、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンの他、アントラセン、フェナントレン、これらのアルキル化物、ベンゼン環が四環以上縮合した化合物、及びピリジン類、キノリン類、フェノール類、ナフトール類等のヘテロ芳香族を有する化合物等が含まれる。
また、鉱油系基油中の硫黄分は、特に制限はないが、1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましく、0.2質量%以下であることが好ましい。鉱油系基油の硫黄分を低減することで酸化防止性やスラッジ防止性により優れた組成物を得ることができる。
また、合成油としては、例えば、ポリα−オレフィン(エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、1−ドデセンオリゴマー及びこれらの水素化物等)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、モノエステル(ブチルステアレート、オクチルラウレート)、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセパケート等)、ポリエステル(トリメリット酸エステル等)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポリオキシアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、リン酸エステル(トリクレジルホスフェート等)、含フッ素化合物(パーフルオロポリエーテル、フッ素化ポリオレフィン等)、シリコーン油等が例示できる。
また、油脂としては、例えば、牛脂、豚脂、ひまわり油、大豆油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、あるいはこれらの水素添加物等が挙げられる。
本発明においては、上記した基油のうちの1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせてもよい。
本発明で用いられる基油の動粘度は、特に限定されないが、40℃における動粘度が5〜500mm2/sであることが好ましく、7〜300mm2/sであることがより好ましく、10〜200mm2/sであることがさらに好ましい。基油の動粘度が前記範囲内であると、摩擦特性、冷却性(熱除去性)等の特性をさらに高められ、かつ攪拌抵抗による摩擦ロスが低減される傾向にある。
また、本発明で用いられる基油の粘度指数も任意であるが、高温における油膜維持等の点から、好ましくは80〜500、より好ましくは100〜300である。
さらに、当該基油の流動点も任意であるが、冬期におけるポンプ始動性等の点から、好ましくは−5℃以下、より好ましくは−15℃以下である。
本発明の油圧作動油組成物は、(A)成分として、一般式(a)又は(b)で表されるリン含有酸の金属塩を含有する。(A)成分としては、一般式(a)又は(b)で表されるリン含有酸と、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属塩化物等の金属塩基との金属塩を例示することができる。
Figure 2008239763

[式中、Rは炭素数1〜30の炭化水素基を示し、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素含有基を示し、pは0又は1を示す。]
Figure 2008239763

[式中、Rは炭素数1〜30の炭化水素基を示し、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素含有基を示し、qは0又は1を示す。]
上記一般式(a)、(b)中、R〜Rで表される炭素数1〜30の炭化水素含有基としては、具体的には、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキル置換シクロアルキル基、アリール基、アルキル置換アリール基、及びアリールアルキル基等の炭化水素基を特に好ましい例として挙げることができる。なお、該炭化水素含有基としては、該炭化水素基を有するのであれば、硫黄、窒素、酸素から選ばれる1種又は2種以上を分子中に有するものであってもよい。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等のアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよく、1級アルキル基でも、2級アルキル基でも、3級アルキル基であってもよい。)を挙げることができる。
上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7のシクロアルキル基を挙げることができる。また上記アルキルシクロアルキル基としては、例えば、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、メチルエチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基等の炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基(アルキル基のシクロアルキル基への置換位置も任意である。)を挙げることができる。
上記アルケニル基としては、例えば、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基等のアルケニル基(これらアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよく、また二重結合の位置も任意である。)を挙げることができる。
上記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を挙げることができる。また上記アルキルアリール基としては、例えば、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等の炭素数7〜18のアルキルアリール基(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよく、またアリール基への置換位置も任意である。)を挙げることができる。
上記アリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基等の炭素数7〜12のアリールアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい。)を挙げることができる。
上記R〜Rで表される炭素数1〜30の炭化水素基は、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数6〜24のアリール基であることが好ましく、さらに好ましくは炭素数3〜18、さらに好ましくは炭素数4〜12のアルキル基、特に好ましくは炭素数6〜10のアルキル基である。
一般式(a)で表されるリン含有酸としては、例えば、上記炭素数1〜30の炭化水素含有基を1つ有する亜リン酸モノエステル、(ヒドロカルビル)亜ホスホン酸;上記炭素数1〜30の炭化水素含有基を2つ有する亜リン酸ジエステル、(ヒドロカルビル)亜ホスホン酸モノエステル;上記炭素数1〜30の炭化水素含有基を3つ有する亜リン酸トリエステル、(ヒドロカルビル)亜ホスホン酸ジエステル;及びこれらの混合物などが挙げられる。
一般式(b)で表されるリン含有酸としては、例えば、上記炭素数1〜30の炭化水素含有基を1つ有するリン酸モノエステル、(ヒドロカルビル)ホスホン酸;上記炭素数1〜30の炭化水素含有基を2つ有するリン酸ジエステル、(ヒドロカルビル)ホスホン酸モノエステル;上記炭素数1〜30の炭化水素含有基を3つ有するリン酸トリエステル、(ヒドロカルビル)ホスホン酸ジエステル;及びこれらの混合物などが挙げられる。なお、一般式(a)及び(b)の例示における「ヒドロカルビル」は、上記炭素数1〜30の炭化水素含有置換基を意味する。
また、一般式(a)又は(b)で表されるリン含有酸の金属塩は、一般式(a)又は(b)で表されるリン含有酸に、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属塩化物等の金属塩基を作用させて、残存する酸性水素の一部又は全部を中和することにより得ることができる。
上記金属塩基における金属としては、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、銅、鉄、鉛、ニッケル、銀、モリブデン、マンガン等の重金属等が挙げられる。これらの中ではカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、モリブデン及び亜鉛が好ましく、亜鉛が特に好ましい。
なお、上記リン化合物の金属塩は、金属の価数あるいはリン化合物のOH基の数に応じてその構造が異なり、したがって、リン化合物の金属塩の構造については何ら限定されない。例えば、酸化亜鉛1molとリン酸ジエステル(OH基が1つの化合物)2molを反応させた場合、下記式(c)で表わされる構造の化合物が主成分として得られると考えられるが、ポリマー化した分子も存在していると考えられる。
Figure 2008239763

[式中、Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素含有基を示す。]
また、例えば、酸化亜鉛1molとリン酸モノエステル(OH基が2つの化合物)1molとを反応させた場合、下記式(d)で表わされる構造の化合物が主成分として得られると考えられるが、ポリマー化した分子も存在していると考えられる。
Figure 2008239763

[式中、Rは水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素含有基を示す。]
本発明において、上記リン含有酸の金属塩は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に使用されるリン含有酸の金属塩としては、より好ましい具体例としては、炭素数3〜18のアルキル基又はアリール基を2個有する亜リン酸ジエステルの亜鉛塩、炭素数3〜18のアルキル基又はアリール基を1個有するリン酸のモノエステルの亜鉛塩、炭素数3〜18のアルキル基又はアリール基を2個有するリン酸のジエステルの亜鉛塩、炭素数1〜18のアルキル基又はアリール基を1個有する(ヒドロカルビル)亜ホスホン酸の亜鉛塩、炭素数1〜18のアルキル基又はアリール基を2個有する(ヒドロカルビル)亜ホスホン酸モノエステルの亜鉛塩、炭素数1〜18のアルキル基又はアリール基を1個有する(ヒドロカルビル)ホスホン酸の亜鉛塩、炭素数1〜18のアルキル基又はアリール基を2個有する(ヒドロカルビル)ホスホン酸モノエステルの亜鉛塩が挙げられ、炭素数3〜18のアルキル基、好ましくは炭素数4〜12のアルキル基を有するリン酸モノエステル及び/又はリン酸ジエステルの亜鉛塩がより好ましく、炭素数3〜18のアルキル基、好ましくは炭素数4〜12のアルキル基を有するリン酸ジエステルの亜鉛塩が特に好ましい。
本発明の(A)成分の最も好ましいものとしては、本発明の効果に加え、潤滑油基油に対する溶解性と耐摩耗性とのバランスに優れる点で、炭素数4〜12、好ましくは炭素数6〜10のアルキル基を有するリン酸モノエステル及び/又はリン酸ジエステルの金属塩がよく、その金属量(M)とリン量(P)との質量比(M/P)が、好ましくは1〜3であるが、リン酸モノエステル及びリン酸ジエステル混合物の金属塩がさらによく、その該M/P値が好ましくは1.1〜2.5、さらに好ましくは1.2〜1.8であることが望ましい。
本発明の油圧作動油組成物において、上記(A)成分の含有量は、組成物全量を基準として、金属元素換算で、0.001〜0.5質量%であるが、好ましくは0.01〜0.15質量%、より好ましくは0.02〜0.08質量%、特に好ましくは0.03〜0.05質量%である。上記(A)成分の金属元素換算での含有量が0.005質量%未満の場合は、油圧回路の耐久性が不十分となる傾向にあり、0.5質量%を超えても添加量に見合うだけの効果が得られず、また、溶解性が不十分となることがある。
本発明の油圧作動油組成物は、(B)成分として、アミン系酸化防止剤を含有する。アミン系酸化防止剤としては、潤滑油の酸化防止剤として用いられる任意の芳香族アミン系化合物が使用可能であり、特に限定されるものではないが、例えば、下記一般式(e)で表されるフェニル−α−ナフチルアミン類又は下記一般式(f)で表されるp,p'−ジアルキルジフェニルアミンの中から選ばれる1種又は2種以上の芳香族アミンが好ましいものとして挙げられる。
Figure 2008239763

[式(e)中、Rは水素原子又は炭素数1〜16のアルキル基を示す。]
Figure 2008239763

[式(f)中、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜16のアルキル基を示す。]
上記式(e)中、Rは水素原子又は炭素数1〜16のアルキル基を表す。Rがアルキル基である場合、Rの炭素数が16を超える場合には分子中に占める官能基の割合が小さくなり、耐スラッジ性が弱くなる恐れがある。なお、当該アルキル基は直鎖状又は分枝状のいずれであってもよい。
で示されるアルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシ基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい。)が挙げられる。
一般式(e)で表されるフェニル−α−ナフチルアミン類の中でも、Rがアルキル基である場合は、基油に対するそれ自身の酸化生成物の溶解性に優れる点から、炭素数8〜16の分枝アルキル基が好ましく、さらに炭素数3又は4のオレフィンのオリゴマーから誘導される炭素数8〜16の分枝アルキル基がより好ましい。ここでいう炭素数3又は4のオレフィンとしては、具体的にはプロピレン、1−ブテン、2−ブテン及びイソブチレンが挙げられるが、基油に対するそれ自身の酸化生成物の溶解性に優れる点から、プロピレン又はイソブチレンが好ましい。さらに、Rがアルキル基である場合は、基油に対するそれ自身の酸化生成物の溶解性により優れる点から、イソブチレンの2量体から誘導される分枝オクチル基、プロピレンの3量体から誘導される分枝ノニル基、イソブチレンの3量体から誘導される分枝ドデシル基、プロピレンの4量体から誘導される分枝ドデシル基又はプロピレンの5量体から誘導される分枝ペンタデシル基がさらにより好ましく、イソブチレンの2量体から誘導される分枝オクチル基、イソブチレンの3量体から誘導される分枝ドデシル基又はプロピレンの4量体から誘導される分枝ドデシル基が最も好ましい。
上記した通り、Rは水素原子又はアルキル基のいずれであってもよいが、酸化防止性の点からは水素原子であることが好ましい。また、式(e)で表される化合物自身の酸化による酸化生成物の溶解性の点からはアルキル基であることが好ましい。
式(e)で表されるフェニル−α−ナフチルアミン類のうちRがアルキル基である化合物としては、市販のものを用いてもよい。またフェニル−α−ナフチルアミンと炭素数1〜16のハロゲン化アルキル化合物、炭素数2〜16のオレフィン、又は炭素数2〜16のオレフィンオリゴマーとフェニル−α−ナフチルアミンをフリーデル・クラフツ触媒を用いて反応させることにより、容易に合成することができる。この際のフリーデル・クラフツ触媒としては、具体的には例えば、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化鉄などの金属ハロゲン化物;硫酸、リン酸、五酸化リン、フッ化ホウ素、酸性白土、活性白土などの酸性触媒などを用いることができる。
一方、式(f)で表されるp,p'−ジアルキルジフェニルアミンにおいて、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜16のアルキル基を示す。なお、R及びRの一方又は双方が水素原子の場合、式(f)で表される化合物自身の酸化によりスラッジが発生して沈降する恐れがある。また、R及びRで示されるアルキル基の炭素数が16を超える場合には、分子中に占める官能基の割合が小さくなり、耐スラッジ性が低下する恐れがある。
及びRとしては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシ基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい。)が挙げられる。これらの中でもR及びRとしては、基油に対するそれ自身の酸化生成物の溶解性に優れる点から、炭素数3〜16の分枝アルキル基が好ましく、さらに炭素数3又は4のオレフィン、又はそのオリゴマーから誘導される炭素数3〜16の分枝アルキル基がより好ましい。
ここでいう炭素数3又は4のオレフィンとしては、具体的にはプロピレン、1−ブテン、2−ブテン及びイソブチレン等が挙げられるが、それ自身の酸化生成物の潤滑油基油に対する溶解性に優れる点から、プロピレン又はイソブチレンが好ましい。
さらに、R及びRとしては、式(f)で表される化合物自身の酸化による酸化生成物の潤滑油基油に対する溶解性により優れる点から、プロピレンから誘導されるイソプロピル基、イソブチレンから誘導されるtert−ブチル基、プロピレンの2量体から誘導される分枝ヘキシル基、イソブチレンの2量体から誘導される分枝オクチル基、プロピレンの3量体から誘導される分枝ノニル基、イソブチレンの3量体から誘導される分枝ドデシル基、プロピレンの4量体から誘導される分枝ドデシル基又はプロピレンの5量体から誘導される分枝ペンタデシル基がさらにより好ましく、イソブチレンから誘導されるtert−ブチル基、プロピレンの2量体から誘導される分枝ヘキシル基、イソブチレンの2量体から誘導される分枝オクチル基、プロピレンの3量体から誘導される分枝ノニル基、イソブチレンの3量体から誘導される分枝ドデシル基又はプロピレンの4量体から誘導される分枝ドデシル基が最も好ましい。
式(f)で表されるp,p'−ジアルキルジフェニルアミンとしては、市販のものを用いてもよい。例えば、ブチル基及びオクチル基を有するp,p'−ジアルキルジフェニルアミンを好ましい例として挙げることができる。また、式(e)で表されるフェニル−α−ナフチルアミンと同様に、ジフェニルアミンと炭素数1〜16のハロゲン化アルキル化合物、炭素数2〜16のオレフィン、又は炭素数2〜16のオレフィン又はこれらのオリゴマーとジフェニルアミンをフリーデル・クラフツ触媒を用いて反応させることにより、容易に合成することができる。この際のフリーデル・クラフツ触媒としては、具体的には例えば、フェニル−α−ナフチルアミン合成の際に列挙したような金属ハロゲン化物や酸性触媒等が用いられる。
本発明の油圧作動油組成物における(B)成分の含有量の上限値は、組成物全量基準で、5質量%以下であるが、好ましくは2質量%、より好ましくは0.1質量%であり、下限値は、組成物全量基準で、0.001質量%、好ましくは0.01質量%、より好ましくは0.02質量%である。なお、(B)成分の配合量が多い場合、(A)成分の溶解性をより高めることができるため好ましいが、多すぎると油圧作動油として使用した場合にスラッジの原因となりやすいだけでなく、経済性の点からも、(B)成分を最小限の配合とすることが最も好ましい。これにより、スラッジ防止性や銅腐食防止性に優れながら経済性にも優れた組成物を得ることができる。このような場合の(B)成分の配合量は、組成物全量基準で、(B)成分に起因する窒素量として、好ましくは1〜100質量ppmであり、より好ましくは5〜50質量ppmであり、特に好ましくは10〜30質量ppmである。
本発明の油圧作動油組成物は、上記(A)成分及び(B)成分に加え、(C)成分として、金属スルホネート、金属フェネート、金属サリシレートから選ばれる少なくとも1種の有機金属化合物をさらに含有することが好ましい。(C)成分を含有することで、スラッジ防止性や銅腐食防止性に優れ、さらには防錆性にも優れた組成物を得ることができ、鋼材、アルミニウム材等の腐食も小さくすることができる。
ここでいう金属としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が好ましい例として挙げられ、アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等、アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム、バリウム等が挙げられ、これらの中ではアルカリ土類金属であることが好ましく、カルシウム又はマグネシウムであることが特に好ましい。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属スルホネートとしては、分子量300〜1500、好ましくは400〜700のアルキル芳香族化合物をスルホン化することによって得られるアルキル芳香族スルホン酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩及び/又はカルシウム塩であり、カルシウム塩が好ましく用いられる。
上記アルカリ金属又はアルキル芳香族スルホン酸としては、具体的にはいわゆる石油スルホン酸や合成スルホン酸等が挙げられる。
上記石油スルホン酸としては、一般に鉱油の潤滑油留分のアルキル芳香族化合物をスルホン化したものやホワイトオイル製造時に副生する、いわゆるマホガニー酸等が用いられる。
また合成スルホン酸としては、例えば洗剤の原料となるアルキルベンゼン製造プラントから副生したり、炭素数2〜12のオレフィン(エチレン、プロピレン等)のオリゴマーをベンゼンにアルキル化したりすることにより得られる、直鎖状や分枝状のアルキル基を有するアルキルベンゼンをスルホン化したもの、あるいはジノニルナフタレン等のアルキルナフタレンをスルホン化したもの等が用いられる。
これらアルキル芳香族化合物をスルホン化する際のスルホン化剤としては特に制限はないが、通常発煙硫酸や無水硫酸が用いられる。
本発明のアルカリ金属又はアルカリ土類金属スルホネートとしては、上記の石油スルホン酸あるいは合成スルホン酸を、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物等の金属塩基と反応させたり、又はナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩としたり、さらにはアルカリ金属塩をアルカリ土類金属塩と置換させること等によって得ることができる。
また、本発明のアルカリ金属又はアルカリ土類金属スルホネートとしては、上記のような中性の金属スルホネートだけでなく、上記中性アルカリ土類金属スルホネートと過剰のアルカリ土類金属塩やアルカリ土類金属塩基(水酸化物や酸化物)を水の存在下で加熱することにより得られる塩基性アルカリ土類金属スルホネートや、炭酸ガス及び/又はホウ酸もしくはホウ酸塩の存在下で上記中性アルカリ土類金属スルホネートをアルカリ土類金属の塩基と反応させることにより得られる炭酸塩過塩基性アルカリ土類金属スルホネート、ホウ酸塩過塩基性アルカリ土類金属スルホネートも含まれる。これら中性アルカリ土類金属スルホネート、塩基性アルカリ土類金属スルホネート、過塩基性アルカリ土類金属スルホネート及びこれらの混合物等を好ましく用いることができる。
本発明においては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属スルホネートの塩基価は任意であり、通常0〜500mgKOH/gであるが、少量でも石鹸基含有量を多くでき、スラッジ分散性や銅等の金属表面を保護可能であることから、塩基価が0〜350mgKOH/g、好ましくは0〜50mgKOH/gのものを用いるのが望ましい。なおここでいう塩基価は、JIS K2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」の7.に準拠して測定される過塩素酸法による塩基価を意味している。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属フェネートとしては、具体的には、炭素数4〜40、好ましくは炭素数6〜18の直鎖状又は分枝状のアルキル基を少なくとも1個有するアルキルフェノールと硫黄を反応させて得られるアルキルフェノールサルファイド又はこのアルキルフェノールとホルムアルデヒドを反応させて得られるアルキルフェノールのマンニッヒ反応生成物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩及び/又はカルシウム塩等が好ましく用いられる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属フェネートとしては、エチレンオリゴマーから誘導される炭素数6〜40、好ましくは炭素数10〜18のアルキル基を少なくとも1個有するアルキルフェノールと硫黄を反応させて得られるアルキルフェノールサルファイド又はこのアルキルフェノールとホルムアルデヒドを反応させて得られるアルキルフェノールのマンニッヒ反応生成物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩及び/又はカルシウム塩等が好ましく用いられる。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属フェネートには、上記のようにして得られたアルカリ金属又はアルカリ土類金フェネート(中性塩)に、さらに過剰のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩やアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基(アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物や酸化物)を水の存在下で加熱することにより得られる塩基性塩や、炭酸ガス又はホウ酸もしくはホウ酸塩の存在下で上記中性塩をアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物等の塩基と反応させることにより得られる過塩基性塩も含まれる。
なお、これらの反応は、通常、溶媒(ヘキサン等の脂肪族炭化水素溶剤、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、軽質潤滑油基油等)中で行われ、その金属含有量が1.0〜20質量%、好ましくは2.0〜16質量%のものを用いるのが望ましい。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属フェネートの塩基価は、通常0〜500mgKOH/gであるが、少量でも石鹸基含有量を多くでき、スラッジ分散性や銅等の金属表面を保護可能であることから、塩基価が0〜350mgKOH/g、好ましくは0〜50mgKOH/gのものを用いるのが望ましい。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレートとしては、その構造に特に制限はないが、炭素数1〜40のアルキル基を1〜2個有するサリチル酸の金属塩、好ましくはアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩及び/又はカルシウム塩が好ましく用いられる。また、アルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレートとしては、エチレンオリゴマーから誘導される炭素数6〜40のアルキル基を有するアルキルサリチル酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を用いることが好ましい。
好ましく用いられるアルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレートは、上記のようにして得られたアルカリ金属又はアルカリ土類金サリシレート(中性塩)に、さらに過剰のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩やアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基(アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物や酸化物)を水の存在下で加熱することにより得られる塩基性塩や、炭酸ガス又はホウ酸もしくはホウ酸塩の存在下で上記中性塩をアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物等の塩基と反応させることにより得られる過塩基性塩も含まれる。
なお、これらの反応は、通常、溶媒(ヘキサン等の脂肪族炭化水素溶剤、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、軽質潤滑油基油等)中で行われ、その金属含有量が1.0〜20質量%、好ましくは2.0〜16質量%のものを用いるのが望ましい。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレートの塩基価は、通常0〜500mgKOH/gであるが、少量でも石鹸基含有量を多くし、スラッジ分散性や銅等の金属表面を保護する観点から、塩基価が0〜350mgKOH/g、好ましくは20〜100mgKOH/gのものを用いるのが望ましい。なお、ここでいう塩基価とは、JIS K2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験法」の7.に準拠して測定される過塩素酸法による塩基価を意味する。
本発明において、(C)成分の中では、スラッジ分散性や銅等の金属表面の保護効果が最も高いことから、金属スルホネートが特に好ましい。
(C)成分の含有量は特に制限はなく、組成物全量基準で、通常0.001〜10質量%である。
なお、(C)成分の配合量が多い場合、油圧作動油として使用した場合にスラッジの原因となりやすいだけでなく、経済性にも劣ることになるため、(C)成分を最小限の配合とすることが最も好ましい。これにより、スラッジ防止性や銅腐食防止性に優れながら経済性にも優れた組成物を得ることができる。このような観点から、(C)成分の含有量は、(C)成分起因の金属量(M)と(A)成分起因のリン量(P)の質量比(M/P)として、好ましくは1以下であり、より好ましくは0.5以下であり、さらに好ましくは0.1以下、さらに好ましくは0.05以下であり、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.01以上である。
また、このような場合の(C)成分の配合量は、組成物全量基準で、(C)成分に起因する金属換算量として、好ましくは1質量ppm以上、より好ましくは5質量ppm以上であり、好ましくは50質量ppm未満、より好ましくは30質量ppm以下、特に好ましくは20質量ppm以下である。
本発明の油圧作動油組成物は、上記構成により、優れたスラッジ防止性や銅等の金属腐食の防止効果に優れるものであるが、その性能をさらに向上させる目的で、必要に応じて、さらに(A)成分以外の摩耗防止剤、硫黄系極圧剤、(B)成分以外の酸化防止剤、防錆剤、金属不活性化剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、分散剤、消泡剤、抗乳化剤、油性剤等に代表される各種添加剤を単独で、又は数種類組み合わせて含有させてもよい。
(A)成分以外の摩耗防止剤としては、例えば、(亜)リン酸エステル系化合物が挙げられ、具体的には、リン酸モノエステル類、リン酸ジエステル類、リン酸トリエステル類、亜リン酸モノエステル類、亜リン酸ジエステル類、亜リン酸トリエステル類、チオリン酸エステル類、ジチオリン酸エステル類、トリチオリン酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類、ジチオ亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸エステル類及びこれらのアミン塩、β−ジチオホスホリル化プロピオン酸等のジチオリン酸エステル類の誘導体等を挙げることができ、ここに挙げた化合物は、通常炭素数2〜30、好ましくは炭素数3〜20の炭化水素基を含有する。これらを含有させる場合の含有量は、組成物全量基準で、通常0.005〜5質量%である。
硫黄系極圧剤としては、ジスルフィド類、ポリスルフィド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類、硫化エステル、硫化鉱油、ジチオカーバメート、ジチオカルバミン酸亜鉛等の硫黄含有化合物等が挙げられる。
また、その他の摩耗防止剤としては、ホウ酸エステル、無灰系摩耗防止剤、金属系摩耗防止剤等公知のものを使用することができる。
本発明の油圧作動油組成物において、これら硫黄系極圧剤やその他の摩耗防止剤を含有させる場合の含有量は、組成物全量基準で、通常0.01〜5質量%である。
(B)成分以外の酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤や金属系酸化防止剤等を挙げることができる。例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)等のビスフェノール系酸化防止剤、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等のモノフェノール系酸化防止剤、オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のエステル結合含有フェノール系酸化防止剤を好ましい例として挙げることができる。これらは1種でも2種以上を混合して使用してもよい。
防錆剤としては石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、モノアミン、ポリアミン、アルカノールアミン等のアミン化合物、炭素数6〜30の脂肪酸やその酸塩化物をアンモニアや炭素数1〜8の炭化水素基又は水酸基含有炭化水素基のみを分子中に含有するアミン化合物等の含窒素化合物を反応させて得られるアミド化合物、カルボン酸アミン塩、スルホン酸アミン塩、コハク酸、炭素数8〜30のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸、該コハク酸の部分エステル化合物、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン等の多価アルコールの部分エステル化合物、脂肪酸金属塩、ラノリン脂肪酸金属塩、酸化ワックス金属塩等の金属石鹸類、酸化ワックス等が挙げられる。これら防錆剤の含有量は、組成物全量基準で、通常0.01〜2質量%である。
金属不活性化剤としては、具体的には、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、イミダゾール系化合物等が例示できる。本発明においては、これらの金属不活性化剤の中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を、任意の量で含有させることができるが、通常、その含有量は、油圧作動油組成物全量基準で0.001〜1質量%であるのが望ましい。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、及びβ−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
粘度指数向上剤としては、具体的には、各種メタクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上のモノマーの共重合体もしくはその水添物、エチレン−α−オレフィン共重合体(α−オレフィンとしてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等が例示できる。)もしくはその水素化物、ポリイソブチレンもしくはその水添物、スチレン−ジエン共重合体の水素化物及びポリアルキルスチレン等の、いわゆる非分散型粘度指数向上剤等が例示できる。本発明においては、これらの粘度指数向上剤の中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を、任意の量で含有させることができるが、通常、その含有量は、油圧作動油組成物全量基準で0.01〜10質量%であるのが望ましい。
流動点降下剤としては、具体的には、各種アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上のモノマーの共重合体もしくはその水添物等が例示できる。本発明においては、これらの流動点降下剤の中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を、任意の量で含有させることができるが、通常、その含有量は、油圧作動油組成物全量基準で0.01〜5質量%であるのが望ましい。
分散剤としては、コハク酸イミド系無灰分散剤、ポリアミン系無灰分散剤、ベンジルアミン系無灰分散剤、コハク酸エステル系無灰分散剤等を挙げることができ、ホウ素化合物、リン化合物、硫黄化合物あるいはホウ素を含有しないコハク酸イミドの項で後述する含酸素有機化合物で変性されたものも含まれる。これらは数平均分子量が通常700〜3500の炭化水素基を少なくとも1つ有するものを例示することができるが、通常、その含有量は、油圧作動油組成物全量基準で0.01〜5質量%であるのが望ましい。
油性剤としては、具体的には脂肪酸、エステル、アルコール、多価アルコールエステル(完全エステル、部分エステル)等が挙げられる。通常、その含有量は、油圧作動油組成物全量基準で0.01〜0.5質量%であるのが望ましい。
摩擦調整剤としては、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、脂肪族アミン、脂肪族アミン塩、脂肪族アミド等、炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル基を有する摩擦調整剤が使用でき、より低摩擦の組成物を得ることができるが、通常、その含有量は、油圧作動油組成物全量基準で0.001〜5質量%であるのが望ましい。
消泡剤としては、具体的には、ジメチルシリコーン、フルオロシリコーン等のシリコーン類が例示できる。本発明においては、これらの消泡剤の中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を、任意の量で含有させることができるが、通常、その含有量は、油圧作動油組成物全量基準で0.001〜0.05質量%であるのが望ましい。
着色剤としては、通常用いられる任意の化合物が使用可能であり、また任意の量を配合することができるが、通常その配合量は、組成物全量基準で0.001〜1.0質量%である。
本発明の油圧作動油組成物は、基油に上記した(A)成分及び(B)成分、並びに必要に応じて(C)成分及びその他の添加剤を含有するものであるが、ジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)を実質的に含有しないことが必要である。ZnDTPを含有する油圧作動油組成物を高せん断条件下で使用すると、耐スラッジ性が低下するだけでなく、摩擦特性の向上効果も不十分となる。
上記構成を有する本発明の油圧作動油組成物は、耐スラッジ性に優れ、銅材料等の金属材料の変色や腐食を抑制でき、スラッジによる摺動抵抗上昇を抑制しうる油圧作動油組成物であり、射出成型機、工作機械、建設機械、製鉄設備等の油圧作動油及びその他の油圧機器、例えば産業用ロボット、油圧エレベーター等の油圧作動油として有用である。
以下、本発明の内容を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
表1の組成となるように、本発明の油圧作動油組成物(実施例1)及び比較用の油圧作動油組成物(比較例1)を調製した。基油の割合は基油全量基準、各添加剤の添加量は組成物全量基準である。これらの組成物について、以下に示す熱安定度試験を行い、試験後のスラッジ量及び銅の変色度を評価した。評価結果も併せて表1に示す。
(熱安定度試験)
JIS K 2540 に規定する「潤滑油熱安定度試験方法」に準じ、容量50mlのビーカーに試料油を45g採取し、その中に銅及び鉄触媒を入れ、140℃の空気恒温層に144時間放置後、試料油中のスラッジ量を測定した。生成スラッジ量は、試験後の試料油をn−ヘキサンで希釈し、0.8μmのメンブランフィルターにてろ過し、捕集物重量を測定することにより求めた。なお、銅及び鉄触媒はタービン油酸化安定度試験(JIS K 2514.5)に使用する触媒を8巻(長さ約3.5cm)に切断したものを利用した。なお、表1中「銅片の変色度」は、JIS K 2513 石油製品銅板腐食試験の規定に準じて評価を行った。
Figure 2008239763
表1に示されるように、本発明の(A)成分を含有する油圧作動油は、(A)成分の代わりにジチオリン酸亜鉛を含有する比較例の油圧作動油と比べ、熱安定度試験後のスラッジ量が著しく少なく、スラッジ防止性に優れており、また、銅片の変色・腐食も極めて少ないことがわかる。なお、実施例1の組成物は、鉄、鋼材に対する耐腐食性、防錆性にも優れていることも確認されている。
以上、現時点において、最も実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う油圧作動油組成物もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。

Claims (6)

  1. 鉱油系基油、合成系基油及び油脂の中から選ばれる少なくとも1種の潤滑油基油に、(A)一般式(a)又は(b)で表されるリン含有酸の金属塩を、組成物全量基準で、金属量(Z)として0.001〜0.5質量%、及び
    (B)アミン系酸化防止剤を0.001〜5質量%
    含有することを特徴とする油圧作動油組成物。
    Figure 2008239763
    [式中、Rは炭素数1〜30の炭化水素含有基を示し、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素含有基を示し、pは0又は1を示す。]
    Figure 2008239763
    [式中、Rは炭素数1〜30の炭化水素含有基を示し、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素含有基を示し、qは0又は1を示す。]
  2. 前記(A)リン含有酸の金属塩における金属量(Z)とリン量(P)との質量比(Z/P)が、1〜3であることを特徴とする請求項1に記載の油圧作動油組成物。
  3. 前記(A)リン含有酸の金属塩における金属量(Z)とリン量(P)との質量比(Z/P)が、1.2〜1.8であることを特徴とする請求項2に記載の油圧作動油組成物。
  4. 前記(B)アミン系酸化防止剤の含有量が、窒素量として1〜100質量ppmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の油圧作動油組成物。
  5. (C)金属スルホネート、金属フェネート及び金属サリシレートから選ばれる少なくとも1種の有機金属化合物を含有し、組成物中における該有機金属化合物起因の金属量(M)と、(A)成分起因のリン含有量(P)との質量比(M/P)が1以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の油圧作動油組成物。
  6. 前記(C)成分の含有量が、組成物全量基準で、1質量ppm以上50質量ppm未満であることを特徴とする請求項5に記載の油圧作動油組成物。
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