JP2023047696A - 潤滑油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化安定性に優れる潤滑油組成物を提供すること。【解決手段】潤滑油基油と、潤滑油組成物全量を基準として、窒素元素換算で、10~400質量ppmの2,2,6,6-テトラアルキル-4-ピペリジル基を有するヒンダードアミン化合物と、リン元素換算で、30~500質量ppmの下記一般式(1)で表される有機リン含有スルフィド化合物とを含有する、潤滑油組成物。TIFF2023047696000013.tif20149[式(1)中、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立に、炭素原子数2~18のアルキル基を示し、nは、1~4を示す。]【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑油組成物に関する。
従来、油圧機器、内燃機関、自動変速機等には、その作用を円滑にするために潤滑油又はグリースが用いられる。建設機械、射出成型機、プレス機等の油圧機器においては、高速化、高圧化、及び小型化に伴い、油圧機器の機械要素が過酷な条件下で運転されている。そのため、これらの油圧機器に使用される潤滑油(特に油圧作動油)には、高圧、高速、高荷重、及び高温下で使用しても長時間にわたって充分に機械寿命を保証できる優れた潤滑性能が求められている。
油圧機器を長期に安定的に使用するためには、酸化に対する安定性(酸化安定性)が重要となる。さらに、近年では環境負荷低減の観点から、油圧作動油には廃油量の削減を目的とした長寿命化が重要となる。
油圧作動油としての潤滑油組成物は、一般的に、潤滑油基油と、上記のような要求性能に応じて選択される添加剤とを含有している。例えば、特許文献1~3には、様々な添加剤を含有する潤滑油組成物が開示されている。
特開平3-045695号公報 特開2009-197135号公報 特表2012-516384号公報
しかしながら、従来の潤滑油組成物は、酸化安定性が充分でなく、未だ改善の余地がある。
そこで、本発明は、酸化安定性に優れる潤滑油組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明者らは、所定の構造を有する有機リン含有スルフィド化合物と所定の基を有するヒンダードアミン化合物とを組み合わせることによって、酸化安定性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の一側面は、潤滑油組成物に関する。当該潤滑油組成物は、潤滑油基油と、潤滑油組成物全量を基準として、窒素元素換算で、10~400質量ppmの2,2,6,6-テトラアルキル-4-ピペリジル基を有するヒンダードアミン化合物と、リン元素換算で、30~500質量ppmの下記一般式(1)で表される有機リン含有スルフィド化合物とを含有する。このような成分を含有する潤滑油組成物は、酸化安定性に優れる傾向にある。
Figure 2023047696000001

[式(1)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数2~18の炭化水素基を示し、nは、1~4を示す。]
本明細書において、特に断らない限り、構成元素として窒素元素を含む成分における窒素元素の含有量は、JIS K 2609に準拠して化学発光法により測定された値を意味する。また、特に断らない限り、構成元素としてリン元素を含む成分におけるリン元素の含有量は、JIS K 0116に準拠して誘導結合プラズマ発光分光分析法(強度比法(内標準法))により測定された値を意味する。
潤滑油組成物全量を基準としたときの、構成元素として窒素元素を含む成分の窒素元素換算での含有量は、上記の窒素元素の含有量と当該成分の仕込み量とから算出することができ、潤滑油組成物に対して、上記化学発光法を適用することによっても求めることができる。また、潤滑油組成物全量を基準としたときの、構成元素としてリン元素を含む成分のリン元素換算での含有量は、上記のリン元素の含有量と当該成分の仕込み量とから算出することができるし、潤滑油組成物に対して、上記誘導結合プラズマ発光分光分析法を適用することによっても求めることができる。
潤滑油組成物の硫酸灰分量は、潤滑油組成物全量を基準として、好ましくは1000質量ppm(0.1質量%)以下である。
本明細書において、潤滑油組成物の硫酸灰分量は、JIS K 2272:1998に準拠して測定された硫酸灰分の値を意味する。
潤滑油組成物は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物をさらに含有していてもよい。潤滑油組成物がジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物をさらに含有することによって、酸化安定性により優れる傾向にある。
潤滑油組成物は、例えば、油圧作動油であり得る。本発明の他の一側面は、組成物の油圧作動油としての使用(応用)に関する。本発明の他の一側面は、組成物の製造のための使用(応用)に関する。組成物は、潤滑油基油と、潤滑油組成物全量を基準として、窒素元素換算で、10~400質量ppmの2,2,6,6-テトラアルキル-4-ピペリジル基を有するヒンダードアミン化合物と、リン元素換算で、30~500質量ppmの一般式(1)で表される有機リン含有スルフィド化合物とを含有する。
本発明によれば、酸化安定性に優れる潤滑油組成物が提供される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書中、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書中、以下で例示する材料は、特に断らない限り、条件に該当する範囲で、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。潤滑油組成物中の各成分の含有量は、潤滑油組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、潤滑油組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
[潤滑油組成物]
潤滑油組成物は、潤滑油基油と、2,2,6,6-テトラアルキル-4-ピペリジル基を有するヒンダードアミン化合物(以下、単に「ヒンダードアミン化合物」という場合がある。)と、一般式(1)で表される有機リン含有スルフィド化合物(以下、単に「有機リン含有スルフィド化合物」という場合がある。)とを含有する。
<潤滑油基油>
潤滑油基油としては、例えば、鉱油系基油、合成系基油、又はこれらの混合基油を用いることができる。より具体的には、潤滑油基油は、API基油分類のグループI基油(以下、「APIグループI基油」という場合がある。)、グループII基油(以下、「APIグループII基油」という場合がある。)、グループIII基油(以下、「APIグループIII基油」という場合がある。)、グループIV基油(以下、「APIグループIV基油」という場合がある。)、若しくはグループV基油(以下、「APIグループV基油」という場合がある。)、又はこれらの混合基油を用いることができる。APIグループI基油は、硫黄分が0.03質量%超及び/又は飽和分が90質量%未満であって、かつ粘度指数が80以上120未満の鉱油系基油である。APIグループII基油は、硫黄分が0.03質量%以下、飽和分が90質量%以上、かつ粘度指数が80以上120未満の鉱油系基油である。APIグループIII基油は、硫黄分が0.03質量%以下、飽和分が90質量%以上、かつ粘度指数が120以上の鉱油系基油である。APIグループIV基油は、ポリα-オレフィン(PAO)基油である。APIグループV基油は、APIグループI基油、APIグループII基油、APIグループIII基油、及びAPIグループIV基油以外の基油であり、その好ましい例としては、エステル系基油が挙げられる。
なお、本明細書において、粘度指数は、JIS K 2283:2000に準拠して測定された粘度指数を意味する。また、本明細書において、潤滑油基油中の硫黄分の含有量は、JIS K 2541-6:2013に準拠して測定された値を意味する。また、本明細書において、潤滑油基油中の飽和分の含有量及び芳香族分の含有量は、ASTM D 2007-93に準拠して測定された値を意味する。
鉱油系基油としては、例えば、原油を常圧蒸留又は減圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の1種若しくは2種以上の精製手段を適宜組み合わせて適用することによって得られる、パラフィン系基油、ナフテン系基油等が挙げられる。APIグループII基油及びグループIII基油は、通常、水素化分解プロセスを経て製造される。また、鉱油系基油としては、例えば、ワックス異性化基油;GTL WAX(ガストゥリキッド ワックス)を異性化する手法で製造される基油等も挙げられる。
APIグループIV基油としては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体、ポリブテン、1-オクテンオリゴマー、1-デセンオリゴマー、及びこれらの水素化物等が挙げられる。
APIグループV基油としては、例えば、モノエステル(例えば、ブチルステアレート、オクチルラウレート、2-エチルヘキシルオレート等)、ジエステル(例えばジトリデシルグルタレート、ビス(2-エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ビス(2-エチルヘキシル)セバケート等)、ポリエステル(例えば、トリメリット酸エステル等)、ポリオールエステル(例えば、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール-2-エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)などが挙げられる。
潤滑油基油(全基油)は、1種の基油からなるものであってよく、2種以上の基油を含む混合基油であってもよい。2種以上の基油を含む混合基油は、同一のAPI分類の基油を混合してなる基油であってよく、異なるAPI分類の基油を混合してなる基油であってもよい。潤滑油基油(全基油)は、APIグループI基油、APIグループII基油、若しくはAPIグループIII基油、又はこれらの混合基油を好ましく用いることができる。潤滑油基油(全基油)は、より酸化安定性を高める観点から、好ましくは、APIグループII基油又はAPIグループIII基油、より好ましくはAPIグループIII基油である。
潤滑油基油(全基油)の100℃における動粘度は、耐摩耗性および耐疲労性を高める観点から、好ましくは2.0mm/s以上、より好ましくは4.0mm/s以上であり、ポンピングの抵抗を低減して省エネルギー性を高める観点から、好ましくは17.0mm/s以下、より好ましくは12.5mm/s以下である。潤滑油基油(全基油)の100℃における動粘度は、一実施形態において、2.0~17.0mm/s又は4.0~12.5mm/sであり得る。
潤滑油基油(全基油)の40℃における動粘度は、耐摩耗性および耐疲労性を高める観点から、好ましくは10mm/s以上、より好ましくは20mm/s以上であり、ポンピングの抵抗を低減して省エネルギー性を高める観点から、好ましくは150mm/s以下、より好ましくは100mm/s以下である。潤滑油基油(全基油)の40℃における動粘度は、一実施形態において、10~150mm/s又は20~100mm/sであり得る。
なお、本明細書において、100℃又は40℃における動粘度は、JIS K 2283:2000に準拠して測定された100℃又は40℃での動粘度を意味する。
潤滑油基油(全基油)の粘度指数は、低温流動性及び省エネルギー性の観点から、好ましくは80以上、より好ましくは90以上である。潤滑油基油(全基油)の粘度指数は、一実施形態において、100以上、110以上、又は120以上であってもよい。潤滑油基油(全基油)の粘度指数の上限は、特に制限されないが、通常、150以下であり、例えば、145以下であり得る。
潤滑油基油(全基油)中の硫黄分の含有量は、酸化安定性をより高める観点から、基油全量基準を基準として、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。潤滑油基油(全基油)中の硫黄分の含有量は、一実施形態において、0.03質量%(300質量ppm)以下であり得る。潤滑油基油として、APIグループII基油、APIグループIII基油、APIグループIV基油、若しくはAPIグループV基油、又はこれらの混合基油を用いる場合には、潤滑油基油(全基油)中の硫黄分の含有量は、例えば、100質量ppm以下、50質量ppm以下、又は10質量ppm以下であり得る。
潤滑油基油(全基油)の流動点は、潤滑油組成物全体の低温流動性の観点から、好ましくは-10℃以下、より好ましくは-12.5℃以下、さらに好ましくは-15℃以下、特に好ましくは-17.5℃以下、最も好ましくは-20.0℃以下である。なお、本明細書において、流動点は、JIS K 2269:1987に準拠して測定された流動点を意味する。
潤滑油基油(全基油)は、潤滑油組成物の主成分であり、下記の添加剤の含有量の残部を構成する。潤滑油基油(全基油)の含有量は、潤滑油組成物全量を基準として、例えば、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上であってよい。
<ヒンダードアミン化合物>
ヒンダードアミン化合物は、母体骨格としてのアミンにおいて、アミンの隣接位の少なくとも一方に立体障害性(ヒンダード)置換基(例えば、炭化水素基)を有するアミン化合物である。ヒンダードアミン化合物は、HALS(Hindered Amine Light Stabilizers)と称される化合物を好ましく用いることができる。ヒンダードアミン化合物は、好ましくは、下記一般式(2A)で表される化合物又は下記一般式(2B)で表される化合物であり、より好ましくは下記一般式(2A)で表される化合物である。ヒンダードアミン化合物は、例えば、酸化防止剤として作用し得る。
Figure 2023047696000002

[式(2A)中、R11、R12、R13、及びR14は、それぞれ独立に、炭素原子数1~4のアルキル基を示し、Xは、1価の有機基を示す。]
11、R12、R13、及びR14は、直鎖状のアルキル基であってもよく、分岐状のアルキル基であってもよい。R11、R12、R13、及びR14は、好ましくは同一のアルキル基である。R11、R12、R13、及びR14は、好ましくはメチル基である。すなわち、ヒンダードアミン化合物は、一実施形態において、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル基を有する化合物であり得る。
としての1価の有機基としては、例えば、アシロキシ基(R15COO-)、アルコキシ基(R15O-)、アルキルアミノ基(R15NH-)、アシルアミノ基(R15CONH-)等が挙げられる。R15は、炭素原子数1~25のアルキル基を示す。R15は、直鎖状のアルキル基であってもよく、分岐状のアルキル基であってもよい。アルキル基の炭素原子数は、1~25であり、2以上、5以上、8以上、又は10以上であってもよく、22以下、20以下、18以下、又は16以下であってもよい。
一般式(2A)で表される化合物は、一実施形態において、下記一般式(3)で表される化合物であり得る。
Figure 2023047696000003

[式(3)中、R11、R12、R13、R14、及びR15は、上記と同義である。]
一般式(3)で表される化合物は、例えば、下記一般式(3a)で表されるアルコールと下記一般式(3b)で表されるカルボン酸とを反応させることによって得ることができる。
Figure 2023047696000004
Figure 2023047696000005

[式(2B)中、R11、R12、R13、及びR14は、上記と同義である。Xは、2価の有機基を示す。]
としての2価の有機基としては、例えば、ヒドロカルビレンビス(カルボニルオキシ)基(-OOC-R16-COO-)、ヒドロカルビレンジアミノ基(-HN-R16-NH-)、ヒドロカルビレンビス(カルボニルアミノ)基(-HNCO-R16-CONH-)等が挙げられる。R16は、炭素原子数1~30のヒドロカルビレン基を示し、ヒドロカルビレン基はアルキレン基であってよい。ヒドロカルビレン基の炭素原子数は、1~24又は1~20であってよい。
ヒンダードアミン化合物の含有量は、酸化安定性を高める観点から、潤滑油組成物全量を基準として、窒素元素換算で、10~400質量ppmである。ヒンダードアミン化合物の含有量は、潤滑油組成物全量を基準として、窒素元素換算で、好ましくは20質量ppm以上、より好ましくは30質量ppm以上、さらに好ましくは40質量ppm以上であり、好ましくは300質量ppm以下、より好ましくは250質量ppm以下、さらに好ましくは200質量ppm以下である。ヒンダードアミン化合物の含有量は、一実施形態において、潤滑油組成物全量を基準として、窒素元素換算で、好ましくは20~300質量ppm、より好ましくは30~250質量ppm、さらに好ましくは40~200質量ppmである。
<有機リン含有スルフィド化合物>
有機リン含有スルフィド化合物は、下記一般式(1)で表される化合物であり、ジアルキルホスホノチオイルスルフィド化合物である。有機リン含有スルフィド化合物は、例えば、酸化防止剤、摩耗防止剤等として作用し得る。
Figure 2023047696000006

[式(1)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数2~18のアルキル基を示し、nは、1~4を示す。]
、R、R、及びRは、直鎖状のアルキル基であってもよく、分岐状のアルキル基であってもよい。アルキル基の炭素原子数は、2~18であり、溶解性の観点から、好ましくは3以上、より好ましくは4以上であり、低温流動性の観点から、好ましくは15以下、より好ましくは12以下である。
nは、1~4であり、好ましくは2である。有機リン含有スルフィド化合物は、nが1~4のいずれかの化合物を単独で使用してもよく、nが1である化合物、nが2である化合物、nが3である化合物、及びnが4である化合物からなる群より選ばれる少なくとも2種を含む混合物として使用してもよい。混合物においては、nが2である化合物が主成分であり得る。
一般式(1)で表される化合物は、例えば、下記一般式(1A)で表される化合物であり得る。一般式(1A)で表される化合物は、例えば、下記一般式(1a)で表される化合物(ジアルキルジチオリン酸化合物)を過酸化水素、ヨウ素等の酸化剤と反応させることによって得ることができる。
Figure 2023047696000007

[式(1A)中、R、R、及びnは、上記と同義である。]
Figure 2023047696000008

[式(1a)中、R及びRは、上記と同義である。]
一般式(1a)で表される化合物は、例えば、R及びRに対応するアルキル基を有するアルコールと五硫化二リン(P)との反応によって合成することができる。
一般式(1a)で表される化合物と酸化剤との反応は、一般式(1a)で表される化合物の有機溶媒溶液に対して、酸化剤を添加することにより行うことができる。有機溶媒は、一般式(1a)で表される化合物を溶解可能であれば特に制限されず、一般的に使用される有機溶媒を使用することができる。有機溶媒は、1種の有機溶媒を単独で用いてもよく、2種以上の有機溶媒を組み合わせて用いることができる。
一般式(1a)で表される化合物と酸化剤とを反応させる場合、一般式(1a)で表される化合物と酸化剤とのモル比は、例えば、約2:1とすることができる。酸化剤は、一般式(1a)で表される化合物に対して小過剰量用いてもよく、一般式(1a)で表される化合物と酸化剤とのモル比は、例えば、1.5~1.9:1であってもよい。反応温度は、例えば、25~80℃であってよい。反応時間は、例えば、1~4時間であってよい。反応雰囲気は、特に制限されず、大気雰囲気であってよい。
有機リン含有スルフィド化合物を単独で使用する場合(有機リン含有スルフィド化合物以外のリン化合物を用いない場合)、有機リン含有スルフィド化合物の含有量は、ヒンダードアミン化合物との組み合わせによって酸化安定性を高める観点から、潤滑油組成物全量を基準として、リン元素換算で、30~500質量ppmである。有機リン含有スルフィド化合物の含有量は、潤滑油組成物全量を基準として、リン元素換算で、好ましくは50質量ppm以上、より好ましくは70質量ppm以上、さらに好ましくは100質量ppm以上であり、好ましくは400質量ppm以下、より好ましくは300質量ppm以下、さらに好ましくは250質量ppm以下である。有機リン含有スルフィド化合物の含有量は、一実施形態において、潤滑油組成物全量を基準として、リン元素換算で、好ましくは50~400質量ppm、より好ましくは70~300質量ppm、さらに好ましくは100~250質量ppmである。
<ジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物>
潤滑油組成物は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物(以下、「ZnDTP」という場合がある。)をさらに含有していてもよい。潤滑油組成物がZnDTPをさらに含有することによって、酸化安定性をより一層高めることができる。ZnDTPとしては、例えば、下記一般式(4)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2023047696000009

[式(4)中、R21、R22、R23、及びR24は、それぞれ独立に、炭素原子数1~24のアルキル基を示す。]
21、R22、R23、及びR24は、直鎖状のアルキル基であってもよく、分岐状のアルキル基であってもよい。R21、R22、R23、及びR24は、好ましくは同一のアルキル基である。アルキル基の炭素原子数は、1~24であり、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、好ましくは12以下、より好ましくは8以下である。
ZnDTPの製造方法は、特に限定されるものではない。ZnDTPは、例えば、R21、R22、R23、及びR24に対応するアルキル基を有するアルコールを五硫化二リンと反応させてジチオリン酸を合成し、これを酸化亜鉛で中和することによって得ることができる。
有機リン含有スルフィド化合物及びZnDTPを組み合わせて使用する場合、有機リン含有スルフィド化合物及びZnDTPの合計の含有量は、酸化安定性をより一層高める観点から、潤滑油組成物全量を基準として、リン元素換算で、好ましくは30~500質量ppmである。有機リン含有スルフィド化合物及びZnDTPの合計の含有量は、潤滑油組成物全量を基準として、リン元素換算で、より好ましくは50質量ppm以上、さらに好ましくは70質量ppm以上、特に好ましくは100質量ppm以上であり、より好ましくは400質量ppm以下、さらに好ましくは300質量ppm以下、特に好ましくは250質量ppm以下である。有機リン含有スルフィド化合物及びZnDTPの合計の含有量は、一実施形態において、潤滑油組成物全量を基準として、リン元素換算で、より好ましくは50~400質量ppm、さらに好ましくは70~300質量ppm、特に好ましくは100~250質量ppmである。
有機リン含有スルフィド化合物の含有量に対するZnDTPの含有量の比(リン元素換算)(ZnDTPのリン元素換算での含有量/有機リン含有スルフィド化合物のリン元素換算での含有量)は、好ましくは0.1~6.0であり、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.25以上、特に好ましくは0.3以上であり、より好ましくは5.0以下、さらに好ましくは4.5以下、特に好ましくは4.0以下である。有機リン含有スルフィド化合物の含有量に対するZnDTPの含有量の比(リン元素換算)は、一実施形態において、より好ましくは0.2~5.0、さらに好ましくは0.25~4.5、特に好ましくは0.3~4.0である。
<その他の添加剤>
潤滑油組成物は、その他の添加剤をさらに含有していてもよい。その他の添加剤としては、例えば、金属不活性化剤、腐食防止剤、摩耗防止剤又は極圧剤(ただし、有機リン含有スルフィド化合物及びZnDTPを除く。)、摩擦調整剤、酸化防止剤(ただし、ヒンダードアミン化合物、有機リン含有スルフィド化合物、及びZnDTPを除く。)、金属系清浄剤、粘度指数調整剤(流動点降下剤)、防錆剤、消泡剤、抗乳化剤、着色剤等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、1,3,4-チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4-チアジアゾリル-2,5-ビスジアルキルジチオカーバメート、2-(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、β-(o-カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等の公知の金属不活性化剤を例示することができる。潤滑油組成物が金属不活性化剤を含有する場合、その含有量は、例えば、潤滑油組成物全量を基準として、0.005~1質量%であり得る。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、トリルトリアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物等の公知の腐食防止剤を例示することができる。潤滑油組成物が腐食防止剤を含有する場合、その含有量は、例えば、潤滑油組成物全量を基準として、0.005~5質量%であり得る。
摩耗防止剤又は極圧剤としては、例えば、亜リン酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類、ジチオ亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、チオリン酸エステル類、ジチオリン酸エステル類(有機リン含有スルフィド化合物及びZnDTPを除く。)、トリチオリン酸エステル類、これらのアミン塩、これらの金属塩(ZnDTPを除く。)、これらの誘導体(有機リン含有スルフィド化合物及びZnDTPを除く。)、チアジアゾール化合物、硫化油脂、硫化脂肪酸、硫化エステル、硫化オレフィン、ジヒドロカルビル(ポリ)サルファイド、アルキルチオカルバモイル化合物、チオカーバメート化合物、チオテルペン化合物、ジアルキルチオジプロピオネート化合物、硫化鉱油、亜鉛ジチオカーバメート等の公知のリン系、硫黄系、若しくはリン-硫黄系の公知の摩耗防止剤又は極圧剤を例示することができる。潤滑油組成物は、有機リン含有スルフィド化合物及びZnDTP以外の摩耗防止剤又は極圧剤を含有していてもよく、含有していなくてもよい。有機リン含有スルフィド化合物、ZnDTP、及びこれら以外の摩耗防止剤又は極圧剤の合計の含有量は、潤滑油組成物全量を基準として、リン元素換算で、30~500質量ppmであり得る。
摩擦調整剤としては、例えば、エステル系、アミン系、アミド系、グリコール系等の無灰系摩擦調整剤、モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)、モリブデンジチオホスフェート(MoDTP)等の金属系摩擦調整剤などの公知の摩擦調整剤を例示することができる。潤滑油組成物が摩擦調整剤を含有する場合、その含有量は、例えば、潤滑油組成物全量を基準として、0.015~5質量%であり得る。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系(ヒンダードフェノール系)化合物、アミン系化合物等の無灰酸化防止剤、銅系化合物、モリブデン系化合物等の金属系酸化防止剤などの公知の酸化防止剤を例示することができる。なお、ヒンダードフェノール系化合物は、母体骨格としてのフェノールにおいて、水酸基の隣接位の少なくとも一方の炭素原子上に立体障害性(ヒンダード)置換基(例えば、t-ブチル基等)を有するフェノール化合物である。フェノール系(ヒンダードフェノール系)化合物としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチルクレゾール、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)等が挙げられる。アミン系化合物としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン、アルキルフェニル-α-ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。潤滑油組成物は、ヒンダードアミン化合物、有機リン含有スルフィド化合物、及びZnDTP以外の酸化防止剤を含有していてもよく、含有していなくてもよい。潤滑油組成物がヒンダードアミン化合物、有機リン含有スルフィド化合物、及びZnDTP以外の酸化防止剤を含有する場合、その含有量は、例えば、潤滑油組成物全量を基準として、0.01~3質量%であり得る。
金属系清浄剤としては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のスルホネート、フェネート、サリシレート等の中性塩、中性塩をアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物等を水の存在下で加熱することによって得られる塩基性塩、中性塩を炭酸ガス又はホウ酸若しくはホウ酸塩の存在下でアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物等の塩基と反応させることにより得られる過塩基性塩が挙げられる。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられる。潤滑油組成物が金属系清浄剤を含有する場合、その含有量は、例えば、潤滑油組成物全量を基準として、金属元素(アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素)換算で、0.01~0.50質量%であり得る。
粘度指数調整剤(流動点降下剤)としては、例えば、非分散型若しくは分散型ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート-オレフィン共重合体、非分散型若しくは分散型エチレン-α-オレフィン共重合体又はその水素化物、ポリイソブチレン又はその水素化物、スチレン-ジエン水素化共重合体、スチレン-無水マレイン酸エステル共重合体、、ポリアルキルスチレン等の公知の粘度指数調整剤(流動点降下剤)を例示することができる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味する。その他の類似表現についても同様である。潤滑油組成物が粘度指数調整剤(流動点降下剤)を含有する場合、その含有量は、例えば、潤滑油組成物全量を基準として、0.005~2質量%であり得る。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等の公知の防錆剤を例示することができる。潤滑油組成物が防錆剤を含有する場合、その含有量は、例えば、潤滑油組成物全量を基準として、0.005~5質量%であり得る。
消泡剤としては、例えば、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロアルキルエーテル等の公知の消泡剤を例示することができる。潤滑油組成物が消泡剤を含有する場合、その含有量は、例えば、潤滑油組成物全量を基準として、0.0005~0.02質量%であり得る。
抗乳化剤としては、例えば、ポリアルキレングリコール非イオン系界面活性剤等の公知の抗乳化剤を例示することができる。潤滑油組成物が抗乳化剤を含有する場合、その含有量は、例えば、潤滑油組成物全量を基準として、0.001~5質量%であり得る。
着色剤としては、例えば、アゾ化合物等の公知の着色剤を例示することができる。
<潤滑油組成物>
潤滑油組成物の40℃における動粘度は、耐摩耗性を高める観点から、好ましくは10mm/s以上、より好ましくは20mm/s以上、さらに好ましくは30mm/s以上であり、省エネルギー性を高める観点から、好ましくは150mm/s以下、より好ましくは100mm/s以下、さらに好ましくは50mm/s以下である。潤滑油組成物の40℃における動粘度は、一実施形態において、10~150mm/s、20~100mm/s、又は30~50mm/sであり得る。
潤滑油組成物の100℃における動粘度は、耐摩耗性を高める観点から、好ましくは2.0mm/s以上、より好ましくは4.0mm/s以上、さらに好ましくは5.0mm/s以上であり、省エネルギー性を高める観点から、好ましくは17.0mm/s以下、より好ましくは12.5mm/s以下、さらに好ましくは8.0mm/s以下である。潤滑油組成物の100℃における動粘度は、一実施形態において、2.0~17.0mm/s、4.0~12.5mm/s、又は5.0~8.0mm/sであり得る。
潤滑油組成物の粘度指数は、省エネルギー性を高める観点から、好ましくは80以上、より好ましくは100以上である。潤滑油組成物の粘度指数の上限は、特に制限されないが、通常300以下である。
潤滑油組成物は、例えば、油圧作動油であり得る。油圧作動油の使用環境における酸化のメカニズムは、エンジン油又は変速機油の使用環境における酸化のメカニズムとは異なっている。エンジン油の温度は、最も高温になるピストン及びシリンダでも170~180℃程度であり、エンジン油の酸化劣化は、燃焼に伴ってペルオキシドラジカルが生成することによるものであることが知られている。これに対して、油圧作動油は、一般にベーンポンプ、ピストンポンプ等の油圧ポンプによって加圧されて油圧装置(例えば、油圧シリンダ等)に供給される。内燃機関又は変速機にオイルを供給するギヤポンプの吐出圧力は最大でも1.5MPa程度であるが、油圧装置において用いられる油圧ポンプの吐出圧力は、ベーンポンプの場合で例えば5MPa以上、最大で20MPa程度に及ぶことがあり、より高圧の用途に用いられるピストンポンプの場合では、例えば、10MPa以上、最大で35MPa程度にも及ぶこともある。このような高圧に加圧される油圧作動油は、バルクの温度が比較的低温であっても酸化劣化が進行し易い傾向にある。本実施形態の潤滑油組成物は、このような高圧、例えば、5MPa以上、15MPa以上、又は35MPa以上の高い吐出圧力でポンピングされる条件下においても、高い酸化安定性を示し、このような高圧の条件下においても潤滑油組成物の長寿命化を図ることが可能になる。油圧ポンプの吐出圧力の上限値は、特に制限されないが、例えば、50MPa以下又は40MPa以下であり得る。
潤滑油組成物の硫酸灰分量は、使用過程における不溶分生成を抑制する観点から、潤滑油組成物全量を基準として、好ましくは1000質量ppm以下であり、より好ましくは800質量ppm以下、さらに好ましくは600質量ppm以下、特に好ましくは500質量ppm以下である。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1~11及び比較例1~8)
[潤滑油組成物の調製]
以下に示す潤滑油基油及び添加剤を用いて、表1及び表2に示す組成を有する実施例1~11及び比較例1~8の潤滑油組成物を調製した。表中、各成分の含有量は、いずれも潤滑油組成物全量を基準(100質量%)としたものである。表中、質量ppm(N)は、ヒンダードアミン化合物の潤滑油組成物全量を基準としたときの窒素元素換算での含有量を意味し、質量ppm(P)は、有機リン含有スルフィド化合物及びZnDTPの潤滑油組成物全量を基準としたときのリン元素換算での含有量を意味する。
表中、油中N濃度は、潤滑油組成物全量を基準としたときの潤滑油組成物中の窒素元素の含有量を意味し、構成元素として窒素元素を含む成分における窒素元素の含有量と仕込み量とから算出することができる。油中N濃度は、主に、ヒンダードアミン化合物及び腐食防止剤に由来する。
表中、油中P濃度は、潤滑油組成物全量を基準としたときの潤滑油組成物中のリン元素の含有量を意味し、構成元素としてリン元素を含む成分におけるリン元素の含有量と仕込み量とから算出することができる。油中P濃度は、主に、有機リン含有スルフィド化合物、ZnDTP、及びリン-硫黄系摩耗防止剤に由来する。
<(A)成分:潤滑油基油>
・A-1:APIグループI基油(動粘度(40℃):46.87mm/s、動粘度(100℃):6.90mm/s、粘度指数:104、硫黄分:0.15質量%、芳香族分:26.8質量%)
・A-2:APIグループII基油(動粘度(40℃):45.99mm/s、動粘度(100℃):6.93mm/s、粘度指数:100、硫黄分:10質量ppm未満、芳香族分:0.0質量%)
・A-3:APIグループIII基油(動粘度(40℃):46.07mm/s、動粘度(100℃):7.54mm/s、粘度指数:120、硫黄分:10質量ppm未満、芳香族分:0.0質量%)
<(B)成分:ヒンダードアミン化合物>
・B-1:上記一般式(3)において、R11、R12、R13、及びR14がメチル基であり、R15が炭素原子数11の直鎖状のアルキル基(ドデカン酸からカルボン酸基を除いた基)である化合物(分子量:339、窒素元素含有量:4.1質量%)
<(b)成分:フェノール系化合物(無灰酸化防止剤)>
・b-1:2,6-ジ-tert-ブチルクレゾール
<(C1)成分:有機リン含有スルフィド化合物>
C1-1~C1-3をそれぞれ以下の手順で合成した。
・C1-1:上記一般式(1)において、R、R、R、及びRが2-エチルヘキシル基であり、nが1~4である化合物(リン元素含有量:8.8質量%)
五硫化リン(P)0.1mol(38.2g)及び2-エチルヘキシルアルコール(C17OH)0.4mol(52.0g)をフラスコに採取し、70℃で15時間撹拌した。撹拌終了後、反応生成物である、0.2mol(70.8g)のジ-2-エチルヘキシルジチオリン酸を得た。続いて、ジ-2-エチルヘキシルジチオリン酸0.1mol(35.4g)をビーカーに採取し、ヘキサン150mLに溶解させた。この溶液に過酸化水素水(30%)を7g添加し、室温(25℃)で2時間撹拌した。撹拌終了後、分液ロートでヘキサン層及び水層を分離し、ヘキサン層を150mLの水で2度洗浄した。ヘキサンをエバポレータで留去して目的物を得た。目的物を31PNMRで分析したところ、主成分は題記の化合物であった。
・C1-2:上記一般式(1)において、R、R、R、及びRがn-ブチル基であり、nが1~4である化合物(リン元素含有量:12.9質量%)
五硫化リン(P)0.1mol(38.2g)及びn-ブチルアルコール(COH)0.4mol(29.6g)をフラスコに採取し、70℃で15時間撹拌した。撹拌終了後、反応生成物である、0.2mol(48.0g)のジ-n-ブチルジチオリン酸を得た。続いて、ジ-n-ブチルジチオリン酸0.1mol(24.0g)をビーカーに採取し、ヘキサン150mLに溶解させた。この溶液に過酸化水素水(30%)を7g添加し、室温(25℃)で2時間撹拌した。撹拌終了後、分液ロートでヘキサン層及び水層を分離し、ヘキサン層を150mLの水で2度洗浄した。ヘキサンをエバポレータで留去して目的物を得た。目的物を31PNMRで分析したところ、主成分は題記の化合物であった。
・C1-3:上記一般式(1)において、R、R、R、及びRがn-ドデシル基であり、nが1~4である化合物(リン元素含有量:6.7質量%)
五硫化リン(P)0.1mol(38.2g)及びn-ドデシルアルコール(C1225OH)0.4mol(74.4g)をフラスコに採取し、70℃で15時間撹拌した。撹拌終了後、反応生成物である、0.2mol(93.0g)のジ-n-ドデシルジチオリン酸を得た。続いて、ジ-n-ドデシルジチオリン酸0.1mol(46.0g)をビーカーに採取し、ヘキサン150mLに溶解させた。この溶液に過酸化水素水(30%)を7g添加し、室温(25℃)で2時間撹拌した。撹拌終了後、分液ロートでヘキサン層及び水層を分離し、ヘキサン層を150mLの水で2度洗浄した。ヘキサンをエバポレータで留去して目的物を得た。目的物を31PNMRで分析したところ、主成分は題記の化合物であった。
<(C2)成分:ZnDTP>
・C2-1:上記一般式(4)において、R21、R22、R23、及びR24が2-エチルヘキシル基である化合物(リン元素含有量:8.0質量%)
<(c)成分:リン-硫黄系摩耗防止剤>
・c-1:トリ-n-オクチルジチオホスフェート(リン元素含有量:6.7質量%)
・c-2:トリフェニルチオホスフェート(リン元素含有量:9.0質量%)
<(D)成分:腐食防止剤>
D-1:トリルトリアゾール誘導体(窒素元素含有量:14.5質量%)
[潤滑油組成物の評価]
<硫酸灰分量の測定>
JIS K 2272:1998に準拠して、実施例1~11及び比較例1~8の潤滑油組成物の硫酸灰分量を測定した。結果を表1及び表2に示す。
<RPVOT試験>
JIS K 2514-3:2013における「回転圧力容器式酸化安定度試験法」に準拠して、実施例1~11及び比較例1~8の潤滑油組成物について、RPVOT試験を行った。結果を表1及び表2に示す。
Figure 2023047696000010
Figure 2023047696000011
表1及び表2に示すとおり、ヒンダードアミン化合物と有機リン含有スルフィド化合物との組み合わせである実施例1~3、5~8の潤滑油組成物は、RPVOT試験の結果に優れていた。また、ZnDTPをさらに含有する実施例4、9~11は、同条件の潤滑油組成物において、RPVOT試験の結果により優れていた。
一方で、ヒンダードアミン化合物のみを含有し、有機リン含有スルフィド化合物を含有しない比較例1、7は、RPVOT試験の結果が劣っていた。また、有機リン含有スルフィド化合物のみを含有し、ヒンダードアミン化合物を含有しない比較例2、8も、RPVOT試験の結果が劣っていた。
一般的な酸化防止剤として用いられるフェノール系化合物のみを含有した比較例3も、RPVOT試験の結果が劣っていた。これにさらにヒンダードアミン化合物を含有した比較例4は、よりRPVOT試験の結果が劣っていた(拮抗作用)。
ヒンダードアミン化合物と、有機リン含有スルフィド化合物の代わりにリン-硫黄系摩耗防止剤を含有する比較例5、6も、RPVOT試験の結果が劣っていた。
以上より、所定の構造を有する有機リン含有スルフィド化合物と所定の基を有するヒンダードアミン化合物とを組み合わせることによって、酸化安定性が向上することが判明した。これらの結果から、本発明の潤滑油組成物が酸化安定性に優れることが確認された。

Claims (3)

  1. 潤滑油基油と、
    潤滑油組成物全量を基準として、
    窒素元素換算で、10~400質量ppmの2,2,6,6-テトラアルキル-4-ピペリジル基を有するヒンダードアミン化合物と、
    リン元素換算で、30~500質量ppmの下記一般式(1)で表される有機リン含有スルフィド化合物と、
    を含有する、潤滑油組成物。
    Figure 2023047696000012

    [式(1)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数2~18のアルキル基を示し、nは、1~4を示す。]
  2. 前記潤滑油組成物の硫酸灰分量が、潤滑油組成物全量を基準として、1000質量ppm以下である、請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. ジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物をさらに含有する、請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
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