特許文献1の灯具装置では、シェードを利用してカットオフラインを生成している。このため、特許文献1の灯具装置には、光の利用効率が低下するという課題がある。つまり、光源から発せられた光の一部は、シェードで遮光されて投射光として利用されない。
本発明は、シェードを用いないことで、光の利用効率の低下を抑えることができる。
また、一般的には、光学系を小型化すれば、リフレクタ、遮光板または投射レンズに要求される配置精度は高くなる。そのため、リフレクタ、遮光板または投射レンズ等の部品を組み合わせて前照灯装置を作る場合には、前照灯装置の製造性は低下する。
本発明は、配光パターンを形成するための各要素を一体としているため、製造性を向上することができる。
また、前照灯装置には、通常、ロービームとハイビームとが備えられている。そして、ロービームとハイビームとでは配光パターンが異なる。つまり、前照灯装置は、2種類の前照灯モジュールを備えている。
特開2006−236588号公報には、リフレクタユニットの上部にすれ違いビームランプLBLが搭載され、下部に走行ビームランプHBLと搭載された車両用灯具が記載されている。ここで、すれ違いビームはロービームであり、走行ビームはハイビームである。
しかしながら、ロービームとハイビームとで別々の前照灯モジュールを用いると、各々の前照灯モジュールの点灯状態によって前照灯装置の発光領域が異なる。つまり、ロービームのみを点灯させると、1つの前照灯モジュールが点灯している。しかしハイビームも点灯させると、2つの前照灯モジュールが点灯する。通常、ハイビームを点灯させる場合には、ロービームとハイビームとを点灯させる。つまり、ロービームのみを点灯させると、発光領域が1つで、ハイビームも点灯させると、発光領域が2つになる。
これは、前照灯装置の点灯状態によって、車両の意匠性が異なることを意味する。前照灯装置を点灯した際の車両の意匠性を高めるためには、ロービームのみを点灯した状態と、ロービーム及びハイビームを同時に点灯した状態との両方で、発光領域が変化しないことが好ましい。
後述する、実施の形態2に係る前照灯モジュール110,120は、前照灯装置を点灯させた際の意匠性を高めることができる。実施の形態2に係る前照灯モジュール110,120は、前照灯装置を点灯した状態での意匠性を変更せずに配光パターンを変更することができる。
ここで、「カットオフライン」とは、前照灯装置の光を壁またはスクリーンに照射した場合にできる光の明暗の区切り線のことで、配光パターンの上側の区切り線のことである。つまり、「カットオフライン」は、配光パターンの輪郭部にできる明るい部分と暗い部分との境界線の部分である。つまり、配光パターンの上側の光の明るい部分及び暗い部分の境界線のことである。配光パターンの上側の光の明るい領域(配光パターンの内側)と暗い領域(配光パターンの外側)との境界線のことである。つまり、カットオフラインの上側(配光パターンの外側)が暗く、カットオフラインの下側(配光パターンの内側)が明るい。
カットオフラインは、すれ違い用の前照灯装置の照射方向を調節する際に用いられる用語である。すれ違い用の前照灯装置は、ロービームとも呼ばれる。
「ロービーム」とは、下向きのビームで、対向車とのすれ違いの際などに使用される。通常、ロービームでは、前方40m程度を照らす。また、「上下方向」とは、地面(路面)に対して垂直の方向である。つまり、「上下方向」は、車両の上下方向である。
上述のような明瞭なカットオフラインを実現するためには、カットオフラインに大きな色収差又はぼやけ等が生じてはならない。「カットオフラインにぼやけが生じる」とは、カットオフラインが不鮮明になることである。つまり、カットオフラインは明瞭でなくなる。
また、配光パターンでは配光ムラを抑えることが望ましい。配光ムラは、前照灯が路面を照明した際に、暗い線又は明るい線として現れる。そして、配光ムラは、ドライバーに距離感を見誤らせてしまう恐れがある。このため、前照灯装置では配光ムラを抑えた配光であることが望ましい。
「前照灯装置」とは、輸送機械などに搭載されて、操縦者の視認性及び外部からの被視認性を向上させるために使われる照明装置である。車両用の前照灯装置は、ヘッドランプ又はヘッドライトとも呼ばれる。
また、近年において、二酸化炭素(CO2)の排出と燃料の消費とを抑えるといった環境への負荷を軽減する観点から、例えば、車両の省エネルギー化が望まれている。これに伴い、車両用の前照灯装置においても小型化、軽量化及び省電力化が求められている。そこで、車両用の前照灯装置の光源として、従来のハロゲンバルブ(ランプ光源)に比べて発光効率の高い半導体光源の採用が望まれている。
「半導体光源」とは、例えば、発光ダイオード(LED(Light Emitting Diode))又はレーザーダイオード(LD(Laser Diode))などである。
従来のランプ光源(管球光源)は、半導体光源に比べて指向性の低い光源である。ランプ光源としては、白熱電球、ハロゲンランプ又は蛍光ランプ等が挙げられる。このため、ランプ光源はリフレクタ(例えば、反射鏡)を用いて放射した光に指向性を持たせている。一方、半導体光源は、少なくとも一つの発光面を備えており、光は発光面側に放射される。
このように、半導体光源はランプ光源と発光特性が異なる。このため、反射鏡を用いた従来の光学系ではなく、半導体光源に適した光学系を用いることが望ましい。
なお、上述の半導体光源は、固体光源の一種である。固体光源としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)又は平面上に塗布された蛍光体に励起光を照射して、発光させる光源等が挙げられる。これらの固体光源にも、半導体光源と同様の光学系を用いることが望ましい。
このように、管球光源は含まず、指向性を持つ光源を「固体光源」とよぶ。
「指向性」とは、光などが空間中に出力されるときに、その強度が方向によって異なる性質である。ここで「指向性を有する」とは、上述のように、発光面側に光が進行して、発光面の裏面側には光が進行しないことをいう。つまり、光源から出射される光の発散角は180度以下となる。
以下の実施の形態で示す光源は、指向性を持つ光源(固体光源)として説明している。上述のように、主な例としては、発光ダイオード又はレーザーダイオード等の半導体光源である。また、光源は、有機エレクトロルミネッセンス光源又は平面上に塗布された蛍光体に励起光を照射して発光させる光源等も含む。
実施の形態で固体光源を例として採用しているのは、管球光源を用いた場合には、省エネルギー化の要望又は装置の小型化の要望に応え難いからである。しかし、省エネルギー化の要望が特にない場合には、光源は管球光源であってもよい。
つまり、本発明の光源として、例えば、白熱電球、ハロゲンランプ又は蛍光ランプ等の管球光源を用いてもよい。また、本発明の光源として、例えば、発光ダイオード(以下、LED(Light Emitting Diode)とよぶ。)又はレーザーダイオード(以下、LD(Laser Diode)とよぶ。)等の半導体光源を用いてもよい。つまり、本発明の光源は、特に限定されることなく、いかなる光源を用いてもよい。
ただし、二酸化炭素(CO2)の排出とエネルギーの消費を抑えるといった環境への負荷を軽減する観点から、前照灯装置の光源としては、半導体光源の採用が望ましい。半導体光源は、従来のハロゲンバルブ(ランプ光源)に比べて発光効率の高い。
また、小型化、軽量化の観点からも、半導体光源の採用が望ましい。半導体光源は、従来のハロゲンバルブ(ランプ光源)に比べて指向性があり、光学系を小型化、軽量化できる。
したがって、本発明の以下の説明では、光源は半導体光源の1つであるLEDであるとして説明する。
また、発光ダイオードは、一般的に、発光面の形状が正方形形状、矩形形状又は円形形状である。このため、凸レンズによって光源像を形成すると、発光面の形状の境界線がそのまま投影レンズで投影されて、配光パターンを形成する際に、配光ムラが生じる。
「配光」とは、光源の空間に対する光度分布をいう。つまり、光源から出る光の空間的分布である。配光は、光源からどの方向に、どれぐらいの強さの光が発せられているかを示している。
また、「配光パターン」とは、光源から放射される光の方向に起因する光束の形状及び光の強度分布(光度分布)を示している。「配光パターン」を以下に示す照射面9上での照度パターンの意味としても使用する。つまり、照射面9上での光の照射される形状及び照度分布を示している。また、「配光分布」とは、光源から放射される光の方向に対する光の強度分布(光度分布)である。「配光分布」を以下に示す照射面9上での照度分布の意味としても使用する。
なお、配光パターンを照度分布として説明している場合には、最も明るい領域を「高照度領域」と呼んでいる。一方、配光パターンを光度分布と捉えると、配光パターンの最も明るい領域は「高光度領域」となる。
また、「光度」とは、発光体の放つ光の強さの程度を示すもので、ある方向の微小な立体角内を通る光束を、その微小立体角で割ったものである。つまり、「光度」とは、光源からどのくらい強い光が出ているかを表す物理量である。
また、「照度」とは、平面状の物体に照射された光の明るさを表す物理量のことである。単位面積あたりに照射された光束に等しい。
また、照射面9は、車両の前方の所定の位置に設定される仮想の面である。照射面9は、例えば、後述するX−Y平面に平行な面である。車両の前方の所定の位置は、前照灯装置の光度又は照度を計測する位置で、道路交通規則等で規定されている。例えば、欧州では、UNECE(United Nations Economic Commission for Europe)が定める自動車用の前照灯装置の光度の計測位置は光源から25mの位置である。日本では、日本工業標準調査会(JIS)が定める光度の計測位置は光源から10mの位置である。
本発明は、例えば、車両用の前照灯装置のロービーム及びハイビームなどに適用される。また、本発明は、例えば、自動二輪車用の前照灯装置のロービーム及びハイビームなどに適用される。また、本発明は、例えば、三輪又は四輪等のその他の車両用の前照灯装置についても適用される。つまり、本発明は、例えば、自動三輪車用の前照灯装置のロービーム又は四輪の自動車用の前照灯装置のロービームにも適用が可能である。
しかし、以下の説明では、自動二輪車用の前照灯装置のロービームの配光パターンを形成する場合を例として説明する。自動二輪車用の前照灯装置のロービームの配光パターンは、カットオフラインが車両の左右方向(X軸方向)に水平な直線である。また、カットオフラインの下側(配光パターンの内側)の領域が最も明るい。
また、四輪の車両は、例えば、通常の四輪の自動車等である。また、三輪の車両は、例えば、ジャイロと呼ばれる自動三輪車である。「ジャイロと呼ばれる自動三輪車」とは、前輪が一輪で、後輪が一軸二輪の三輪でできたスクーターである。この自動三輪車は、例えば、日本では原動機付自転車に該当する。この自動三輪車は、例えば、車体中央付近に回転軸を持ち、前輪及び運転席を含む車体のほとんどを左右方向に傾けることができる。この機構によって、自動二輪車と同様に、この自動三輪車は、例えば、旋回の際に内側へ重心を移動することができる。
以下、車両用の前照灯装置を例として、図面を参照しながら本発明の実施の形態の例を説明する。なお、以下の実施の形態の説明においては、説明を容易にするためにXYZ座標を用いて説明する。
車両の左右方向をX軸方向とする。車両前方に対して左側を+X軸方向とし、車両前方に対して右側を−X軸方向とする。ここで、「前方」とは、車両の進行方向をいう。つまり、「前方」とは、前照灯装置が光を照射する方向である。
車両の上下方向をY軸方向とする。上側を+Y軸方向とし、下側を−Y軸方向とする。「上側」とは空の方向であり、「下側」とは地面(路面等)の方向である。
車両の進行方向をZ軸方向とする。進行方向を+Z軸方向とし、反対の方向を−Z軸方向とする。+Z軸方向を「前方」とよび、−Z軸方向を「後方」とよぶ。つまり、+Z軸方向は前照灯装置が光を照射する方向である。
上述のように、以下の実施の形態では、Z−X平面は、路面に平行な面とした。これは、通常考える場合には、路面は「水平面」であるからである。このため、Z−X平面は、「水平面」として考えている。「水平面」とは、重力の方向に直角な平面である。
しかし、路面は、車両の走行方向に対しては傾くことがある。つまり、登り坂又は下り坂などである。これらの場合には、「水平面」は、路面に平行な面として考える。つまり、「水平面」は、重力の方向に対して垂直な平面ではない。
一方、一般的な路面が車両の走行方向に対して左右方向に傾いていることは稀である。「左右方向」とは、走路の幅方向である。これらの場合には、「水平面」は、重力方向に対して直角な面として考える。例えば、路面が左右方向に傾き、車両が路面の左右方向に対して垂直であったとしても、車両が「水平面」に対して左右方向に傾いた状態と同等として考える。
なお、以下の説明を簡単にするために、「水平面」は、重力方向に垂直な平面として説明する。つまり、Z−X平面は、重力方向に垂直な平面として説明する。
実施の形態1.
図1(A)及び図1(B)は、実施の形態1に係る前照灯モジュール100の構成を示す構成図である。図1(A)は、車両前方に対して右側(−X軸方向)から見た図である。図1(B)は、上側(+Y軸方向)から見た図である。
図1(A)及び図1(B)に示すように、実施の形態1に係る前照灯モジュール100は、光源1及び導光投射光学素子3を備える。実施の形態1に係る前照灯モジュール100は、集光光学素子2を備えることができる。なお、前照灯モジュール100は、集光光学素子2を光源1に取り付けて一体とした場合を含む。
光源1及び集光光学素子2は、光軸C1,C2を−Y軸方向に角度aだけ傾けて配置される。「光軸を−Y軸方向に傾ける」とは、−X軸方向から見て、X軸を回転軸として、Z軸に平行な光軸を時計回りに回転させることである。図1(A)では、光源1及び集光光学素子2の光軸C1,C2は、−X軸方向から見て、X軸を回転軸として、Z軸に対して角度aだけ時計回りに回転している。
光源1及び集光光学素子2について説明を容易にするために、新たな座標系としてX1Y1Z1座標を用いる。X1Y1Z1座標は、XYZ座標を−X軸方向から見て、X軸を回転軸として時計回りに角度aだけ回転した座標である。
なお、実施の形態1では、光源1の光軸C1は、Z1軸に平行である。また、集光光学素子2の光軸C2は、Z1軸に平行である。また、集光光学素子2の光軸C2は、光源1の光軸C1と一致している。
<光源1>
光源1は、発光面11を備える。光源1は、発光面11から前方を照明するための光を出射する。ここでは、前方は車両の前方である。光源1は、発光面11から光を出射する。
光源1は、集光光学素子2の−Z1軸側に位置している。光源1は、導光投射光学素子3の−Z軸側(後方)に位置している。そして、光源1は、導光投射光学素子3の+Y軸側(上側)に位置している。
図1では、光源1は、+Z1軸方向に光を出射している。光源1は、その種類を特に限定していないが、上述の説明の通り以下の説明では、光源1がLEDであるとして説明する。
光源1の光軸C1は、発光面11の中心から、発光面11に対して垂直に伸びている。
<集光光学素子2>
集光光学素子2は、光源1の+Z1軸側に位置している。また、集光光学素子2は、導光投射光学素子3の−Z1軸側に位置している。集光光学素子2は、導光投射光学素子3の−Z軸側(後方)に位置している。そして、集光光学素子2は、導光投射光学素子3の+Y軸側(上側)に位置している。
集光光学素子2は、光源1から発せられた光を入射する。集光光学素子2は、前方(+Z1軸方向)の任意の位置に光を集光させる。集光光学素子2は、光を集光させる。集光光学素子2は、集光機能を有する光学素子である。以下の実施の形態では、一例として、集光光学素子2は、レンズである。このレンズは、屈折と反射とを用いて光を集光する。なお、後述の集光光学素子5も同様である。
なお、後述する導光投射光学素子3の入射面31に集光機能を持たせる場合には、集光光学素子2を省くことができる。また、前照灯モジュール100が集光光学素子3を備えていない場合には、導光投射光学素子3は、光源1から出射された光を入射する。光源1から出射された光は、入射面31から入射する。
図1では、集光光学素子2が正のパワー(屈折力)を有する光学素子として示している。
また、実施の形態1で示す集光光学素子2は、例えば、内部が屈折材で満たされている。
図1では、集光光学素子2は、1つの光学素子で構成されているが、複数の光学素子を用いることもできる。しかし、複数の光学素子を用いる場合には、各光学素子の位置決め精度を確保するなど、製造性を低下させることになる。
光源1及び集光光学素子2は、導光投射光学素子3の上側(+Y軸方向側)に配置されている。また、光源1及び集光光学素子2は、導光投射光学素子3の後方(−Z軸方向側)に配置されている。
光源1及び集光光学素子2は、反射面32に対して、反射面32の光を反射する側に位置している。つまり、光源1及び集光光学素子2は、反射面32に対して、反射面32の表面側に位置している。
「反射面の表面」は、光を反射する面である。また、「反射面の裏面」は、表面に対して裏面側の面で、例えば、光を反射しない面である。
光源1及び集光レンズ2は、反射面32の法線方向であって、反射面32に対して、反射面32の表面側に位置している。集光光学素子2は、反射面32に対向する方向に配置されている。反射面32は、導光投射光学素子3に設けられた面である。
集光光学素子2の光軸C2は、例えば、入射面211と出射面231との2面の曲率中心を結ぶ直線である。
図1では、光源1の光軸C1は、集光光学素子2の光軸C2と一致している。そして、光源1及び集光光学素子2の光軸C1,C2は、反射面32上に交点を有している。入射面31で光が屈折される場合には、集光光学素子2から出射された中心光線が、反射面32上に到達する。つまり、集光光学素子2の光軸C2又は中心光線は、反射面32上に交点を有している。
集光光学素子2から出射される際の中心光線は、集光光学素子2の光軸C2上の光線である。
集光光学素子2は、例えば、入射面211,212、反射面22及び出射面231,232を備える。
集光光学素子2は、光源1の直後に配置される。ここで、「後」とは、光源1から出射された光の進行方向側のことである。ここでは、「直後」なので、発光面11から出射された光は、すぐに集光光学素子2に入射する。
発光ダイオードは、ランバート配光の光を出射する。「ランバート配光」とは、発光面の輝度が見る方向によらず一定となる配光である。つまり、発光ダイオードの配光の指向性は広い。このため、光源1と集光光学素子2との距離を短くすることで、より多くの光を集光光学素子2に入射させることができる。
集光光学素子2は、例えば、透明樹脂、硝子又はシリコーン材で製作されている。集光光学素子2の材料は、透過性を有すれば材質は問わず、透明な樹脂等でも構わない。「透過性」とは、透明である性質のことである。しかし、光利用効率の観点から、集光光学素子2の材料は、透過性の高い材料が適している。また、集光光学素子2が、光源1の直後に配置されることから、集光光学素子2の材料は、耐熱性に優れた材料が好ましい。
入射面211は、集光光学素子2の中心部分に形成された入射面である。「集光レンズ2の中心部分」とは、集光光学素子2の光軸C2が入射面211上に交点を有していることである。
また、入射面211は、例えば、正のパワーを有する。入射面211は、例えば、凸面形状である。入射面211の凸面形状は、−Z1軸方向に凸の形状をしている。パワーは、「屈折力」ともよばれる。入射面211は、例えば、光軸C2を回転軸とする回転対称の形状をしている。
入射面212は、例えば、楕円の長軸又は短軸を回転軸として回転させた回転体の表面形状の一部をしている。楕円の長軸又は短軸を回転軸として回転させた回転体を「回転楕円体」という。この回転楕円体の回転軸は、光軸C2と一致している。入射面212は、回転楕円体の回転軸方向の両端を切断した表面形状をしている。つまり、入射面212は、筒形状をしている。
なお、後述するように、入射面212は、必ずしも回転対称である必要はない。例えば、入射面212は、楕円体の形状であってもよい。つまり、入射面212は、楕円面形状である。楕円面は、3つの座標平面に平行な平面による切口が常に楕円である二次曲面である。
入射面212の筒形状の一端(+Z1軸方向側の端)は、入射面211の外周に接続されている。入射面212の筒形状は、入射面211に対して光源1側(−Z1軸方向)に形成されている。つまり、入射面212の筒形状は、入射面211に対して光源1側に形成されている。
反射面22は、X1−Y1平面上の断面形状が、例えば、光軸C2を中心とした円形状をした筒形状をしている。反射面22の筒形状は、−Z1軸方向側の端のX1−Y1平面上の円形状の直径が、+Z1軸方向側の端のX1−Y1平面上の円形状の直径よりも小さい。つまり、反射面22は、−Z1軸方向から+Z1軸方向に向けて直径が大きくなっている。
例えば、反射面22は、円錐台の側面の形状をしている。中心軸を含む面上での円錐台の側面の形状は直線形状をしている。しかし、光軸C2を含む面上での反射面22の形状は曲線形状であっても構わない。「光軸C2を含む面」とは、面上に光軸C2の線を描けることである。
反射面22の筒形状の一端(−Z1軸方向側の端)は、入射面212の筒形状の他端(−Z1軸方向側の端)に接続している。つまり、反射面22は、入射面212の外周側に位置している。
出射面231は、入射面211の+Z軸方向側に位置している。出射面231は、例えば、正のパワーを有する。出射面231は、例えば、凸面形状である。出射面231の凸面形状は、+Z軸方向に凸の形状をしている。集光光学素子2の光軸C2は、出射面231上に交点を有している。出射面231は、例えば、光軸C2を回転軸とする回転対称の形状をしている。
また、出射面231は、トロイダル面であってもよい。また、同様に入射面211もトロイダル面であってもよい。トロイダル面は、シリンドリカル面を含む。
出射面232は、出射面231の外周側に位置している。出射面232は、例えば、X1−Y1平面に平行な平面形状をしている。出射面232の内周及び外周は、円形状をしている。
出射面232の内周は、出射面231の外周に接続している。出射面232の外周は、反射面22の筒形状の他端(+Z1軸方向側の端)に接続している。
発光面11から出射された光のうち、出射角度の小さい光線は、入射面211に入射する。出射角度の小さい光線は、例えば、発散角が60度以内である。出射角度の小さい光線は、入射面211から入射して、出射面231から出射される。
出射面231から出射された出射角度の小さい光線は、集光光学素子2の前方(+Z1軸方向)の任意の位置に集光される。出射面231から出射された光線は、集光される。光源1から出射される際の出射角度の小さい光線は、入射面211及び出射面231における屈折によって集光される。つまり、光源1から出射される際の出射角度の小さい光線の集光には、光の屈折が用いられる。
発光面11から出射された光のうち、出射角度の大きい光線は、入射面212に入射する。出射角度の大きい光線は、例えば、発散角が60度よりも大きい。入射面212から入射した光線は、反射面22で反射される。反射面22で反射された光線は、+Z1軸方向に進行する。反射面22で反射された光線は、出射面232から出射される。
出射面232から出射された出射角度の大きい光線は、集光光学素子2の前方(+Z1軸方向)の任意の位置に集光される。出射面232から出射された光線は、集光される。光源1から出射される際の出射角度の大きい光線は、反射面22における反射によって集光される。つまり、光源1から出射される際の出射角度の大きい光線の集光には、光の反射が用いられる。
以下の各実施の形態で説明する集光光学素子2は、一例として、以下の機能を有する光学素子として説明する。つまり、集光光学素子2は、光源1から出射された出射角度の小さい光線を屈折によって集光する。また、集光光学素子2は、光源1から出射された出射角度の大きい光線を反射によって集光する。
例えば、出射面231から出射された光の集光位置では、光源1のパターン(発光面11の形状)と相似形状の像が形成される。このため、光源1の発光面11の形状が出射面33のよって投影されることで、配光ムラを生じることがある。
このような場合には、上述のように、出射面231から出射された光の集光位置と、出射面232から出射された光の集光位置とを異ならせることで、出射面231から出射された光による配光ムラを緩和させることが可能となる。
出射面232から出射された光線の集光位置と、出射面231から出射された光線の集光位置とは、一致する必要はない。例えば、出射面231から出射された光の集光位置よりも、出射面232から出射された光の集光位置の方が、集光光学素子2に近い位置でも良い。
また、集光光学素子2から出射された光の集光位置PHと、共役面PCの位置とを異ならせることで、出射面231から出射された光による配光ムラを緩和させることが可能となる。
また、例えば、LEDの発光面11は、通常、矩形形状または円形形状をしている。そして、上述のように、配光パターンは、上下方向が狭い横長の形状をしている。また、車両用のハイビームは、円形形状の配光パターンであっても構わない。そのため、光源1の発光面11の形状を利用して、配光パターンを形成することができる。
例えば、集光光学素子2によって、発光面11の形状を基にした中間像を形成し、この中間像を投影することができる。図1では、発光面11の像は、集光位置PHに形成される。集光位置PHに形成される発光面11の像は、発光面11の中心から+Y1軸方向側の像が反射面32によって折り返されて、発光面11の中心から−Y1軸方向側の像と重ね合わされている。このように、発光面11の像は、発光面11の形状を基に変形などがなされた像を含む。
また、このようにして形成された発光面11の像の位置と、共役面PCの位置とを異ならせることで、出射面231から出射された光による配光ムラを緩和させることが可能となる。
また、実施の形態1においては、集光光学素子2の入射面211,212、反射面22及び出射面231,232の各々は、すべて光軸C2中心の回転対称な形状としている。しかし、光源1から出射された光を集光できれば、回転対称な形状に限らない。
例えば、反射面22のX1−Y1平面上の断面形状を楕円形状にすることで、集光位置における集光スポットも楕円形状にすることができる。そして、前照灯モジュール100は、幅の広い配光パターンを生成しやすくなる。
また、光源1の発光面11の形状が矩形形状の場合にも、例えば、反射面22のX1−Y1平面上の断面形状を楕円形状する方が、集光光学素子2を小型にできる。
また、集光光学素子2は全体として正のパワーを有していればよい。入射面211,212、反射面22及び出射面231,232の各々は、それぞれ任意のパワーを有することができる。
また、集光光学素子2と入射面31とを合わせて光を集光させる場合には、集光光学素子2と入射面31との全体で正のパワーを有していればよい。
なお、上述のように、光源1に管球光源を採用した場合には、集光光学素子としてリフレクタなどを用いることができる。リフレクタは、例えば、反射鏡などである。
また、集光光学素子2の形状の説明で、一例として、入射面211,212、反射面22または出射面231,232が隣接する面と接続していると説明した。しかし、必ずしも面どうしが接続している必要はない。例えば、「入射面212の筒形状の一端(+Z1軸方向側の端)は、入射面211の外周に接続されている。」は、「入射面212の筒形状の一端(+Z1軸方向側の端)は、入射面211の外周側に位置している。」と言いかえることができる。各面の位置関係で、入射した光が導光投射光学素子3に導かれればよい。
<導光投射光学素子3>
導光投射光学素子3は、集光光学素子2の+Z1軸方向に位置している。導光投射光学素子3は、集光光学素子2の+Z軸側に位置している。そして、導光投射光学素子3は、集光光学素子2の−Y軸側に位置している。
導光投射光学素子3は、集光光学素子2から出射された光を入射する。導光投射光学素子3は、前方(+Z軸方向)に光を出射する。
また、前照灯モジュール100が集光光学素子2を備えていない場合には、導光投射光学素子3は、光源1から出射された光を入射する。導光投射光学素子3は、前方(+Z軸方向)に光を出射する。
導光投射光学素子3は、光学素子の一例である。なお、導光投射光学素子3は、反射面32によって光を導光する機能を有する。また、導光投射光学素子3は、出射面33によって光を投射する機能を有する。このため、光学素子3を説明する際には、理解を容易にするために、導光投射光学素子3として説明する。
なお、「投射する」とは、光を放つことである。また、「投影する」とは、像を映し出すことである。そのため、導光投射光学素子3が後述する配光パターンを投影している場合には、導光投射光学素子3は、導光投影光学素子とも言える。また、後述の投射光学素子350は、配光パターンを投影しているので、投影光学素子とも言える。
また、図1では、出射面33は、配光パターンを投影する投射光学部である。出射面33は、配光パターンを投影する投影光学部とも言える。なお、後述するように、投射光学素子350を備える場合には、投射光学素子350が配光パターンを投影する投射光学部(投影光学部)となる。また、出射面33と投射光学素子350とによって配光パターンを投影する場合には、出射面33と投射光学素子350とが配光パターンを投影する投射光学部(投影光学部)となる。
図2は、導光投射光学素子3の斜視図である。導光投射光学素子3は、反射面32、側面395a,395b及び出射面33を備える。導光投射光学素子3は、入射面31を備えることができる。導光投射光学素子3は、入射面34を備えることができる。なお、図2において、側面395a,395bの引出線は、側面395a,395bの+Y軸側の辺から引き出している。
導光投射光学素子3は、例えば、透明樹脂、硝子又はシリコーン材等で製作されている。
また、実施の形態1で示す導光投射光学素子3は、例えば、内部が屈折材で満たされている。
入射面31は、導光投射光学素子3の−Z軸方向側の端部に設けられている。入射面31は、導光投射光学素子3の+Y軸方向側の部分に設けられている。
図1(A)、図1(B)及び図2では、導光投射光学素子3の入射面31は曲面形状をしている。入射面31の曲面形状は、例えば、水平方向(X軸方向)及び垂直方向(Y軸方向)がともに正のパワーを有する凸面形状である。
水平方向(X軸方向)において、入射面31は正のパワーを有する。水平方向(X軸方向)において、入射面31は凸面形状である。垂直方向(Y軸方向)において、入射面31は正のパワーを有する。垂直方向(Y軸方向)において、入射面31は凸面形状である。
なお、上述のように、集光光学素子2と入射面31とを合わせて光を集光させる場合には、入射面31の曲面形状を凹面形状とすることができる。
また、入射面31のY軸方向の曲率と入射面31のX軸方向の曲率とを異なる値とすることで、入射面31のY−Z平面上での焦点位置と入射面31のZ−X平面上での焦点位置とを異なる位置とすることができる。
また、入射面31のY軸方向を正のパワーとして、入射面31のX軸方向のパワーを負の値とすることができる。
曲面形状の入射面31に入射した光は、その発散角が変化する。入射面31は、光の発散角を変化させることで、配光パターンを成形することができる。つまり、入射面31は、配光パターンの形状を成形する機能を有する。つまり、入射面31は、配光パターン形状成形部として機能する。
また、例えば、入射面31に集光機能を持たせることで、集光光学素子2を省くことも考えられる。つまり、入射面31は、集光部として機能する。
入射面31は、配光パターン形状成形部の一例として考えられる。また、入射面31は、集光部の一例として考えられる。
しかし、入射面31は曲面形状に限らず、例えば、平面形状でも構わない。
本実施の形態1では、まず、導光投射光学素子3の入射面31の形状が正のパワーを有する凸面形状の場合について説明する。
反射面32は、入射面31の−Y軸方向側の端部に設けられている。つまり、反射面32は、入射面31の−Y軸方向側に配置されている。そして、反射面32は、入射面31の+Z軸方向側に配置されている。実施の形態1では、反射面32の−Z軸方向側の端部は、入射面31の−Y軸方向側の端部に接続している。しかし、反射面32の−Z軸方向側の端部は、必ずしも、入射面31の−Y軸方向側の端部に接続される必要はない。
反射面32は、反射面32に到達した光を反射する。つまり、反射面32は、光を反射する機能を有する。つまり、反射面32は、光反射部として機能する。反射面32は、光反射部の一例として考えられる。
反射面32は、+Y軸方向に面した面である。つまり、反射面32の表面は、+Y軸方向に面した面である。反射面32の表面は、光を反射する面である。反射面32の裏面は、−Y軸方向に面した面である。実施の形態1では、例えば、反射面32の裏面は光を反射しない。
反射面32は、Z−X平面に対して、X軸に平行な軸を中心として、−X軸方向から見て時計回りに回転した面である。図1では、反射面32は、Z−X平面に対して、角度bだけ回転した面となっている。
しかし、反射面32は、Z−X平面に平行な面であっても構わない。
また、図1では、反射面32は平面で示されている。しかし、反射面32は、平面である必要はない。反射面32は、曲面形状でも構わない。
つまり、反射面32は、Y軸方向にのみ曲率を有する曲面であってもよい。反射面32は、Z軸方向にのみ曲率を有する曲面であってもよい。また、反射面32は、X軸方向にのみ曲率を有する曲面であってもよい。また、反射面32は、X軸方向およびY軸方向の双方に曲率を有する曲面であってもよい。反射面32は、X軸方向およびZ軸方向の双方に曲率を有する曲面であってもよい。
図1において、反射面32は平面で示されている。このため、光軸C3に平行で、反射面32に垂直な平面は、Y−Z平面である。つまり、光軸C3を含み、反射面32に垂直な平面は、Y−Z平面に平行である。そして、この平面(Y−Z平面)に垂直で光軸C3に平行な平面は、Z−X平面である。つまり、光軸C3を含み、この平面(Y−Z平面)に垂直な平面は、Z−X平面に平行である。
例えば、反射面32がY−Z平面上でのみ曲率を有するシリンドリカル面である場合には、X軸に垂直な平面であるY−Z平面が、光軸C3に平行で、反射面32に垂直な平面となる。
「Y−Z平面上でのみ曲率を有する」ということは、Z軸方向で曲率を有することである。または、「Y−Z平面上でのみ曲率を有する」ということは、Y軸方向で曲率を有することである。
また、例えば、反射面32がX−Y平面上でのみ曲率を有するシリンドリカル面である場合には、反射面32を、その曲面を近似した平面として考える。つまり、光軸C3に平行で反射面32に垂直な平面は、光軸C3に平行で反射面32の曲面を近似した平面に垂直な平面である。曲面の近似には、例えば、最小二乗法などを用いることができる。
「X−Y平面上でのみ曲率を有する」ということは、X軸方向で曲率を有することである。
また、反射面32がトロイダル面である場合も反射面32を、その曲面を近似した平面として考える。トロイダル面は、樽の表面またはドーナツの表面のように、直交する2つの軸方向の曲率が異なる面のことである。トロイダル面は、シリンドリカル面を含む。
「Y−Z平面上で曲率を有する」ということは、例えば、反射面32をY−Z平面に平行な面で切断してその形状を見ることである。また、「Y−Z平面上で曲率を有する」ということは、例えば、Y−Z平面を投影面として、反射面32の形状を見ることである。「X−Y平面上でのみ曲率を有する」ということも同様である。
曲面形状の反射面32に垂直な平面を考える場合においては、反射面32を、その曲面を近似した平面として考えることができる。つまり、光軸C3に平行で反射面32に垂直な平面は、例えば、光軸C3に平行で反射面32の曲面を近似した平面に垂直な平面である。曲面の近似には、例えば、最小二乗法などを用いることができる。
反射面32は、ミラー蒸着をすることでミラー面としても良い。しかし、反射面32は、ミラー蒸着をせずに全反射面として機能させることが望ましい。なぜなら、全反射面はミラー面よりも反射率が高く、光利用効率の向上に寄与するからである。また、ミラー蒸着の工程をなくすことで、導光投射光学素子3の製造工程を簡素化することができる。そして、導光投射光学素子3の製造コストの低減に寄与する。特に、実施の形態1に示す構成では、反射面32への光線の入射角が浅いため、ミラー蒸着をしなくても反射面32を全反射面とすることができる特徴がある。「入射角が浅い」とは、入射角が大きいということである。「入射角」は、光線が入射するとき、入射方向と境界面の法線とがなす角度である。
入射面34は、例えば、X−Y平面に平行な面をしている。しかし、入射面34を曲面形状とすることができる。入射面34を曲面形状とすることで、入射する光の配光を変更することができる。また、入射面34は、例えば、X−Y平面に対して傾斜した面であってもよい。
入射面34は、反射面32の−Y軸方向側に配置されている。つまり、入射面34は、反射面32の裏面側に配置されている。図1では、入射面34の+Y軸方向側の端部は、反射面32の+Z軸方向側の端部に接続している。しかし、入射面34の+Y軸方向側の端部は、必ずしも、反射面32の+Z軸方向側の端部に接続される必要はない。
入射面34は、図1では、照射面9と光学的に共役の位置にある。「光学的に共役」とは、1つの点から発した光が他の1つの点に結像する関係のことをいう。つまり、入射面34上及びその延長上にある共役面PC上の光の形状が、照射面9に投影される。図1では、入射面34からは光は入射していない。このため、入射面31から入射した光の共役面PC上の形状が、照射面9に投影される。
なお、共役面PC上の光の像(配光パターン)は、導光投射光学素子3内の共役面PC上の一部に形成される。つまり、導光投射光学素子3内の共役面PC上の範囲内で、配光パターンを前照灯モジュール100に適した形状に形づくることができる。特に、後述するように、複数の前照灯モジュールを用いて1つの配光パターンを形づくる場合には、各前照灯モジュールの役割に応じた配光パターンを形づくることになる。
例えば、光源1とは別の光源(図1に示せず)を、光源1の−Y軸方向側に配置する。別の光源から出射された光は、入射面34から導光投射光学素子3内に入射する。入射面34に入射した光は、入射面34で屈折される。入射面34に入射した光は、出射面33から出射される。
別の光源4を備えた構成を、図14に示す。
光源4及び集光光学素子5は、光軸C4,C5を+Y軸方向に角度eだけ傾けて配置される。「光軸を+Y軸方向に傾ける」とは、−X軸方向から見て、X軸を回転軸として、光軸を反時計回りに回転させることである。
光源4と集光光学素子5について説明を容易にするために新たな座標系としてX2Y2Z2座標を用いる。X2Y2Z2座標は、XYZ座標を−X軸方向から見て、X軸を回転軸として反時計回りに角度eだけ回転した座標である。
<光源4>
光源4は、発光面41を備える。光源4は、発光面41から車両の前方を照明するための光を出射する。光源4は、発光面41から光を出射する。
光源4は、集光光学素子5の−Z2軸側に位置している。光源4は、導光投射光学素子3の−Z軸側(後方)に位置している。そして、光源4は、導光投射光学素子3の−Y軸側(下側)に位置している。
図14では、光源4は、+Z2軸方向に光を出射している。光源4は、その種類を特に限定していないが、上述の説明の通り以下の説明では、光源4がLEDであるとして説明する。
<集光光学素子5>
集光光学素子5は、光源4の+Z2軸側に位置している。また、集光光学素子5は、導光投射光学素子3の−Z2軸側に位置している。集光光学素子5は、導光投射光学素子3の−Z軸側(後方)に位置している。そして、集光光学素子5は、導光投射光学素子3の−Y軸側(下側)に位置している。
集光光学素子5は、光源4から発せられた光を入射する。集光光学素子5は、前方(+Z2軸方向)に光を集光させる。図14では、集光光学素子5が正のパワーを有する集光光学素子5として示している。
なお、例えば、導光投射光学素子3の入射面34に集光機能を持たせる場合などでは、集光光学素子5を省くことができる。また、前照灯モジュール100が集光光学素子5を備えていない場合には、導光投射光学素子3は、光源4から出射された光を入射する。光源4から出射された光は、入射面34から入射する。
また、集光光学素子5は、例えば、内部が屈折材で満たされている。
図14では、集光光学素子5は、1つの集光光学素子5で構成されているが、複数の光学部品を用いることもできる。しかし、複数の光学素子を用いる場合には、各光学素子の位置決め精度を確保するなど、製造性を低下させることになる。
集光光学素子5は、例えば、入射面511,512、反射面52及び出射面531,532を備える。
図14では、集光光学素子5の光軸C5は、Z2軸に平行である。また、集光光学素子5の光軸C5は、光源4の光軸C4と一致している。つまり、光源4の光軸C4は、Z2軸に平行である。
集光光学素子5の詳細な構成及び機能は集光光学素子2と同様である。そのため、集光光学素子2の説明で、集光光学素子5の説明を代用する。ただし、集光光学素子5の焦点距離等の光学性能は、集光光学素子2に対して異なる値を取りえる。
集光光学素子5の入射面511は、集光光学素子2の入射面211に対応している。集光光学素子5の入射面512は、集光光学素子2の入射面212に対応している。集光光学素子5の出射面531は、集光光学素子2の出射面231に対応している。集光光学素子5の出射面532は、集光光学素子2の出射面232に対応している。集光光学素子5の反射面52は、集光光学素子2の反射面22に対応している。
光源4及び集光光学素子5は、導光投射光学素子3の下側(−Y軸方向側)に配置されている。また、光源4及び集光光学素子5は、導光投射光学素子3の後方(−Z軸方向側)に配置されている。つまり、図14に示すように、集光光学素子5は、集光光学素子2の下側(−Y軸方向側)に配置されている。また、前照灯モジュール100では、光源4は、光源1の下側(−Y軸方向側)に配置されている。
図14に示すように、集光光学素子5によって集光された光は、導光投射光学素子3の入射面34に到達する。入射面34は、屈折面である。また、図14では、入射面34は、平面形状で示している。入射面34から入射した光は、入射面34で屈折される。入射面34に入射した光は、出射面33から出射される。
なお、図14に示す導光投射光学素子3は、例えば、内部が屈折材で満たされている。
入射面34は照射面9と共役の関係にある。つまり、入射面34は、照射面9と光学的に共役の位置にある。従って、入射面34上に集光光学素子5によって形成された配光パターンの像は、導光投射光学素子3によって車両の前方の照射面9に拡大して投影される。入射面34上に集光光学素子5によって形成された配光パターンは、導光投射光学素子3によって車両の前方の照射面9に拡大して投影される。
入射面34は稜線部321よりも下側(−Y軸方向側)に配置されている。このため、入射面34上に形成された配光パターンの像は、照射面9上ではカットオフライン91よりも上側(+Y軸方向側)に投影される。入射面34上に形成された配光パターンは、照射面9上ではカットオフライン91よりも上側(+Y軸方向側)に投影される。したがって、光源4及び集光光学素子5は、ハイビームで照明される領域を照明することができる。
また、図14に示すように集光光学素子5から出射される光の集光位置を調整することで、ハイビームの配光を変更することができる。また、集光光学素子5と導光投射光学素子3との幾何学関係を調整することで、ハイビームの配光を変更することができる。
「幾何学関係の調整」とは、例えば、光軸C3方向(Z軸方向)において、集光光学素子5と導光投射光学素子3との位置関係を調整することである。光軸C3方向において集光光学素子5と導光投射光学素子3との位置関係が異なれば、集光光学素子5によって集光された入射面34上の集光スポットのサイズが変わる。つまり、集光光学素子5によって集光された光の入射面34上の光束径が変わる。そして、それに応じて、照射面9上の配光は変化する。
上述の例では、入射面34を共役面PC上に配置した。しかし、入射面34を共役面PCより−Z軸方向側に配置することができる。つまり、共役面PCは入射面34の+Z軸側に存在する。共役面PCは導光投射光学素子3の内部に存在する。
このような構成の場合には、共役面PCの稜線部321より下側(−Y軸方向側)に形成される配光パターンの像を、入射面34の形状で制御することができる。配光パターンを入射面34の形状で制御することができる。
例えば、入射面34は正のパワーを有する曲面形状である。そして、集光光学素子5から出射された光は稜線部321に集光する。このような場合には、カットオフライン91の上側(+Y軸側)の領域が最も明るく照明される配光パターンとなる。
この様に、入射面34の面の形状を変化させることで、容易にハイビームの配光パターンを制御することができる。
なお、このような配光パターンの制御は、集光光学素子5によって行うことができる。しかし、集光光学素子5を備えない場合でも、入射面34の面の形状を変化させることで、配光パターンの制御を行うことができる。また、集光光学素子5と入射面34とを合わせた全体のパワーで、配光パターンの制御を行うことができる。
以上のように、図14に示す前照灯モジュール100は、ロービームの配光パターンとハイビームの配光パターンとの両方を同一の前照灯モジュールで容易に形成することができる。つまり、ハイビーム用の前照灯モジュールとロービーム用の前照灯モジュールとをそれぞれ別々に用意する必要がない。このため、従来の前照灯装置に比べて小型の前照灯装置を実現することができる。
また、ロービームのみを点灯した状態と、ロービーム及びハイビームを同時に点灯した状態との両方で、発光領域を変化させないことができる。そして、前照灯装置を点灯させた際の意匠性を高めることができる。
稜線部321は反射面32の−Y軸方向側の辺である。稜線部321は反射面32の+Z軸方向側の辺である。また、稜線部321は、入射面34の+Y軸方向側の辺である。そして、稜線部321は、照射面9と光学的に共役の位置にある。
「稜線」とは、一般的には、面と面との境界線のことである。しかし、ここでは、「稜線」は面の端部を含む。実施の形態1では、稜線部321は、反射面32と入射面34とを接続する部分である。つまり、反射面32と入射面34との接続する部分が稜線部321である。
しかし、例えば、導光投射光学素子3の内部が空洞となっていて、入射面34が開口部となっている場合には、稜線部321は反射面32の端部となる。つまり、稜線部321は、面と面との境界線を含む。また、稜線部321は、面の端部を含む。なお、上述のように実施の形態1では、導光投射光学素子3は、内部が屈折材で満たされている。
また、稜線部321は、配光パターンのカットオフライン91の形状となる。なぜなら、稜線部321は照射面9と光学的に共役の位置にあるからである。このため、照射面9上の配光パターンは、稜線部321を含む共役面PC上の配光パターンと相似形になる。従って、稜線部321は、カットオフライン91の形状にすることが好ましい。
「稜線」は直線に限らず曲線等も含まれる。例えば、稜線は「立ち上がりライン」の形状とすることもできる。
これによって、歩行者の識別及び標識の識別のために、歩道側(左側)の照射を立ち上げる「立ち上がりライン」を容易に形成することができる。なお、車両が道路の左側を走行する場合で説明している。
実施の形態1では、一例として、稜線部321は、直線形状である。実施の形態1では、稜線部321は、X軸に平行な直線形状をしている。
また、実施の形態1では、稜線部321は入射面34の+Y軸方向側の辺である。稜線部321も入射面34上にあるため、照射面9と光学的に共役の位置にある。
また、実施の形態1では、稜線部321は、導光投射光学素子3の光軸C3と交差している。稜線部321は、出射面33の光軸C3と直角に交差している。
なお、稜線部321は、必ずしも出射面33の光軸C3と交差する必要は無い。稜線部321は、光軸C3とねじれの位置にあってもよい。
出射面33は、導光投射光学素子3の+Z軸方向側の端部に設けられている。後述するように、出射面33は、主に、反射面32で反射された光を出射する。出射面33は、反射面32で反射された光を出射する。
出射面33は、導光投射光学素子3の+Z軸方向側の端部に設けられている。出射面33は、正のパワーを有する曲面形状をしている。出射面33は、+Z軸方向に突出した凸面形状をしている。出射面33は、正のパワーを有する。
光軸C3は、出射面33の面頂点を通る法線である。図1の場合では、光軸C3は、出射面33の面頂点を通るZ軸に平行な軸となる。つまり、出射面33の面頂点がX―Y平面でX軸方向又はY軸方向に平行移動する場合には、光軸C3も同様にX軸方向又はY軸方向に平行移動する。また、出射面33が、X−Y平面に対して傾斜する場合には、出射面33の面頂点の法線もX−Y平面に対して傾斜するため光軸C3もX−Y平面に対して傾斜する。
例えば、出射面33がY軸方向にのみ曲率を有する場合には、光軸C3のX軸方向においては、側面395aと側面395bとの中心とする。
図1では、出射面33は、シリンドリカルレンズの機能を有している。つまり、出射面33は、Y軸方向にのみ曲率を有し、X軸方向に曲率を有していない。出射面33は、水平方向に対応する方向にパワーを持っていない。なお、出射面33は、トロイダル面であってもよい。上述のように、出射面33は、配光パターンを投影する投射光学部の一例である。
側面395は、導光投射光学素子3の+X軸側の面と−X軸側の面とである。側面395aは、+X軸側の面である。側面395bは、−X軸側の面である。側面395a,395をまとめて説明する場合には、側面395と示す。
側面395a,395bは、反射面32と出射面33との間で、Y−Z平面を挟むように配置されている。この場合には、例えば、Y−Z平面は出射面33の光軸C3を含んでいる。
側面395a,395bは、例えば、光軸C3を含み反射面32に垂直な平面に平行である。また、例えば、側面395a,395bは、光軸C3を含み反射面32に垂直な平面に対して対称に配置されている。
側面395a,395bは、反射面32と出射面33との間に配置されている。側面395a,395bは、車両の水平方向に対応する方向から、導光投射光学素子3内を導光されている光を挟むように配置されている。
「車両の水平方向に対応する方向」とは、例えば、「車両の水平方向に対応する方向」が配光パターンの1つの方向とすると、導光投射光学素子3内で形成された配光パターンの1つの方向が、車両から外に投射された際に、配光パターンの水平方向に対応しているということである。また、同様に、「車両の垂直方向に対応する方向」とは、例えば、「車両の垂直方向に対応する方向」が配光パターンの1つの方向とすると、導光投射光学素子3内で形成された配光パターンの1つの方向が、車両から外に投射された際に、配光パターンの垂直方向に対応しているということである。これは、配光パターンに代えて、光束であっても同様である。
入射面31から入射した光線は、側面395a,395bで反射されて出射面33に到達する。つまり、反射面32で反射された光線は、側面395aまたは側面395bで反射されて出射面33に到達する。
つまり、側面395a,395bは、光を反射する反射面である。また、側面395a,395bは、光を導光する。
側面395a,395bでの光の反射は、上述のように全反射であることが望ましい。しかし、側面395a,395bに反射コーティングなどを施してもよい。また、側面395a,395bに反射板などを配置してもよい。
<光線の挙動>
図1に示すように、集光光学素子2によって集光された光は、入射面31から導光投射光学素子3内に入射する。なお、上述のように、集光光学素子2を備えない場合には、光源1から発せられた光が入射面31から導光投射光学素子3内に入射する。
入射面31は、屈折面である。入射面31に入射した光は、入射面31で屈折される。入射面31は、例えば、−Z軸方向に突出した凸面形状である。入射面31は、例えば、正のパワーを有している。
ここで、実施の形態1では、入射面31のX軸方向の曲率は、路面に対して水平方向の「配光の幅」に寄与する。また、入射面31のY軸方向の曲率は、路面に対して垂直方向の「配光の高さ」に寄与する。つまり、実施の形態1では、入射面31のX軸方向は、車両の水平方向に対応する方向である。入射面31のX軸方向は、車両から投影された配光パターンの水平方向に対応している。また、入射面31のY軸方向は、車両の垂直方向に対応する方向である。入射面31のY軸方向は、車両から投影された配光パターンの垂直方向に対応している。
<Z−X平面上の光線の挙動>
Z−X平面で見ると、入射面31は、凸面形状である。つまり、入射面31は、水平方向(X軸方向)について正のパワーを有している。このため、入射面31に入射した光は、導光投射光学素子3の入射面31で更に集光されて伝播する。「伝播」とは、導光投射光学素子3の中を光が進行するという意味である。
ここで、「Z−X平面で見る」とは、Y軸方向から見るという意味である。つまり、Z−X平面に投影して見るということである。ここで、Z−X平面は投影面である。
Z−X平面で見ると、導光部品3内を伝播する光は、図1(B)に示すように、集光光学素子2及び導光投射光学素子3の入射面31によって、導光部品3の内部にある任意の集光位置PHに集光される。図1(B)において、集光位置PHは、破線で示されている。また、なお、集光位置PHは、X−Y平面上において単位面積あたりの光の密度が高いことを意味する。
Z−X平面で見ると、導光部品3内を伝播する光は、集光光学素子2及び導光投射光学素子3の入射面31によって、集光位置PHに集光される。図1(B)では、集光位置PHは、導光部品3の内部にある。なお、集光光学素子2を備えない場合には、導光部品3内を伝播する光は、導光投射光学素子3の入射面31によって、集光位置PHに集光される。
図1(B)において、集光位置PHで集光された光は集光位置PHを起点に発散する。集光位置PHから発散した光は、例えば、側面395aおよび側面395bで反射を繰り返して出射面33に到達する。集光位置PHから発散した光は、例えば、側面395aおよび側面395bで反射されて出射面33に到達する。
図1では、出射面33は、例えば、シリンドリカルレンズである。つまり、出射面33はX軸方向に曲率を有していない。したがって、Z−X平面上で見ると、光線は出射面33で集光されない。また、光線は出射面33で発散されない。
つまり、集光光学素子2および入射面31で制御された光の発散角は、出射面33で変化しない。Z−X平面上における発散角は、照射面9上における「配光の幅」に相当する。つまり、入射面31のX軸方向の曲率を変化させることで、配光の幅を変化させることができる。
車両の水平方向(X軸方向)に対応する方向においては、導光投射光学素子3から出射される光の発散角は、導光部3bでの反射によって決められる。例えば、側面395aと側面395bとが平行な場合には、出射される光の発散角は、集光光学素子2と入射面31とによって変更される。そして、出射される光の発散角は、導光部3bでの反射によって維持される。また、図9および図10で後述するように、Z−X平面上で見て側面395aと側面395bとが平行な場合には、出射される光の発散角は、導光部3bでの反射によって変更される。
なお、出射面33にX軸方向の曲率を持たせることもできる。この場合には、Z−X平面上での出射面33の焦点距離は、Y−Z平面上での出射面33の焦点距離よりも長い。つまり、Z−X平面上での出射面33の曲率は、Y−Z平面上での出射面33の曲率よりも小さい。Z−X平面上での出射面33のパワーは、Y−Z平面上での出射面33のパワーよりも小さい。
また、Y−Z平面上での出射面33の焦点位置は、入射面31から入射した光が反射面32で反射する位置よりも出射面33側にある。これによって、後述するように、反射面32で反射して共役面PC上に到達した光と、入射面31から直接共役面PC上に到達した光とを共役面PC上で重畳することができる。この光の重畳によって、配光パターン上での高照度領域を形成できる。
つまり、車両の垂直方向(Y軸方向)に対応する方向における出射面33の焦点位置は、光源1から出射された光によって配光パターンが形成される位置よりも出射面33側に位置する。ここで、出射面33は、投射光学部の一例である。
また、Z−X平面上での出射面33の焦点位置は、側面395a,395bで反射を繰り返した光が反射を終了する位置よりも反射面32側にある。これによって、Z−X平面上での出射面33の焦点位置は、照射面9と共役の関係とならない。
つまり、車両の水平方向(X軸方向)に対応する方向における出射面33の焦点位置は、導光部3bで導光される光の反射が終わる位置よりも配光パターンの形成される位置側に位置する。または、車両の水平方向(X軸方向)に対応する方向における出射面33のパワーは負の値である。
実施の形態1に示す導光投射光学素子3において、入射面31から反射面32までの部分は、反射部3aである。反射部3aでは、配光パターンが形成される。そのため、反射部3aは、配光パターン形成部である。
そして、反射面32よりも+Z軸方向の部分は、導光部3bである。水平方向(X軸方向)において、この導光部3bは、光源1から出射された光を反射によって導光する。水平方向(X軸方向)において、導光部3bで導光された光は、導光部3bでの反射によって決められた発散角で出射される。
そのため、Z−X平面上での出射面33の焦点位置における配光パターンは照射面9上に投影されない。そして、出射面33から出射される光の発散角によって、照射面9上でのX軸方向の配光パターンを決めることができる。
なお、Z−X平面上での出射面33の焦点が−Z軸方向の無限大の位置にある場合に、出射面33はシリンドリカル面となる。
<Y−Z平面上の光線の挙動>
一方、入射面31から入射した光をY−Z平面で見れば、入射面31で屈折された光は導光投射光学素子3内を進行して、反射面32に導かれる。入射面31から入射した光は、反射面32に到達する。ここでは、Y−Z平面は投影面である。
導光投射光学素子3に入射して反射面32に到達する光は、導光投射光学素子3に入射して、反射面32に直接到達している。「直接到達する」とは、他の面などで反射されることなく、到達するという意味である。導光投射光学素子3に入射して反射面32に到達する光は、他の面などで反射されることなく、反射面32に到達する。つまり、反射面32に到達する光は、導光投射光学素子3内で最初の反射をする。
また、反射面32で反射された光は、直接、出射面33から出射されている。つまり、反射面32で反射された光は、他の面などで反射されることなく、出射面33に到達する。つまり、反射面32で最初の反射をした光は、この一度の反射で出射面33に到達する。
図1では、集光光学素子2の出射面231,232の内、集光光学素子2の光軸C2より+Y1軸方向側から出射された光は、反射面32に導かれている。また、集光光学素子2の出射面231,232の内、集光光学素子2の光軸C2より−Y1軸方向側から出射された光は、反射面32で反射されることなく出射面33から出射されている。
つまり、導光投射光学素子3に入射した光のうち、一部の光が反射面32に到達する。反射面32に到達した光は、反射面32で反射されて、出射面33から出射される。
なお、光源1及び集光光学素子2の傾斜角度aの設定によって、集光光学素子2から出射される全ての光を反射面32で反射させることができる。また、反射面32の傾斜角度bの設定によって、集光光学素子2から出射される全ての光を反射面32で反射させることができる。
また、光源1及び集光光学素子2の傾斜角度aの設定によって、導光投射光学素子3の光軸C3方向(Z軸方向)の長さを短くすることができる。そして、光学系の奥行き(Z軸方向の長さ)を短くできる。ここで「光学系」とは、実施の形態1では、集光光学素子2及び導光投射光学素子3を構成要素に持つ光学系である。なお、上述のように、集光光学素子2は省くことができる。
また、光源1及び集光光学素子2の傾斜角度aの設定によって、集光光学素子2から出射された光を、反射面32に導くことが容易になる。このため、効率的に共役面PC上で稜線部321の内側(+Y軸方向側)の領域に光を集めやすくなる。
つまり、集光光学素子2から出射された光を、反射面32の共役面PC側に集めることで、稜線部321の+Y軸方向の領域から出射される光の出射量を多くすることができる。これは、反射面32で反射されて共役面PCに到達する光と反射面32で反射さずに共役面PCに到達する光とが重畳されるからである。この場合には、集光光学素子2から出射される中心光線と反射面32との交点は、反射面32の共役面PC側に位置している。
従って、照射面9に投影される配光パターンのカットオフライン91の下側の領域(領域92)を明るくすることが容易になる。また、導光投射光学素子3の光軸C3方向(Z軸方向)の長さが短くなることで、導光投射光学素子3の光の内部吸収が少なくなり光利用効率が向上する。
「内部吸収」とは、導光部品(本実施の形態1では導光投射光学素子3)を光が透過する際の、表面反射の損失を除く、材料内部での光損失のことである。内部吸収は導光部品の長さが長いほど増加する。
一般的な導光素子では、光は導光素子の側面で反射を繰り返して導光素子の内部を進行する。これによって、光の強度分布は均一化される。実施の形態1では、垂直方向(Y軸方向)について、導光投射光学素子3に入射した光は、反射面32で1回反射されて、出射面33から出射されている。この点で、実施の形態1の導光投射光学素子3の使用方法は、従来の導光素子の使用方法と相違する。
また、一般的に導光素子を用いて光を投射する場合には、投射レンズの焦点位置と導光素子の出射面とを一致させる。実施の形態1では、出射面33(投射レンズ)の焦点位置が側面395a,395bで反射を繰り返した光が反射を終了する位置(導光素子の出射面)よりも反射面32側にある。出射面33(投射レンズ)の焦点位置が側面395a,395bで反射を繰り返した光が反射を終了する位置(導光素子の出射面)よりも反射部3a側にある。この点で、実施の形態1の導光投射光学素子3の使用方法は、従来の導光素子の使用方法と相違する。なお、出射面33は投射レンズに相当する。また、光が反射を終了する位置は、導光素子の出射面に相当する。つまり、実施の形態1に示す前照灯モジュール100では、導光素子の内部に投射レンズの焦点が位置していることになる。
道路交通規則等に定められる配光パターンは、例えば、カットオフライン91の下側(−Y軸方向側)の領域(領域92)が最大照度となっている。上述のように、導光投射光学素子3の稜線部321は、垂直方向(Y軸方向)について、照射面9と共役の関係にある。このため、カットオフライン91の下側(−Y軸方向側)の領域を最大の照度とするには、導光投射光学素子3の稜線部321の上側(+Y軸方向側)の領域の光度を最も高くすれば良い。
なお、必ずしも、稜線部321と出射面33の光軸C3とは交わる必要はない。つまり、稜線部321は光軸C3に対してY軸方向にずれていてもよい。この場合には、例えば、稜線部321を含むZ−X平面に平行な平面上に光軸C3を投影する。この投影された光軸C3に平行な直線と稜線部321との交点を含むX−Y平面に平行な面(共役面PC)が、照射面9と共役の関係にあるとしてもよい。
カットオフライン91の下側(−Y軸方向側)の領域が最大照度となるような配光パターンを生成するには、図1(A)に示すように、Y−Z平面上で見て、導光投射光学素子3の入射面31から入射した光の一部を反射面32によって反射させることが有効である。
なぜなら、入射面31から入射した光のうち、反射面32で反射せずに稜線部321の+Y軸方向側に到達した光と、反射面32上で反射されて稜線部321の+Y軸方向側に到達した光とが、共役面PC上で重畳されるからである。
つまり、垂直方向(Y軸方向)において、照射面9上の高照度領域に対応する共役面PC上の領域で、反射面32で反射されずに共役面PCに到達した光と、反射面32上で反射されて共役面PCに到達した光とを重畳する。このような構成によって、稜線部321の上側(+Y軸方向側)の領域の光度を、共役面PC上の光度の中で最も高くすることができる。
前照灯モジュール100は、反射面32で反射されずに共役面PCに到達して出射面33から出射される光と、反射面32で反射されて共役面PCに到達した光とを、共役面PC上で重畳することで、光度の高い領域を形成している。共役面PC上での光度の高い領域の位置の変更は、反射面32上での光の反射位置を変更することで可能である。
反射面32上での光の反射位置を共役面PCに近づけることで、共役面PC上の稜線部321の近くを光度の高い領域とすることができる。つまり、照射面9上でのカットオフライン91の下側を照度の高い領域とすることができる。
また、この重畳された光の量は、水平方向の配光の幅を調整する場合と同様に、入射面31の垂直方向(Y軸方向)の曲率を変化させることで調整することができる。「重畳された光の量」とは、反射面32で反射されずに稜線部321の+Y軸方向側(共役面PC上)に到達した光と、反射面32上で反射されて稜線部321の+Y軸方向側(共役面PC上)に到達した光とで重畳された光の量である。光の重畳は、共役面PC上で行われる。
この様に、入射面31の曲率を調整することで、配光を調整することができる。つまり、入射面31の曲率を調整することで、所望の配光を得ることができる。
また、集光光学素子2と導光投射光学素子3との幾何学関係を調整することで、配光を調整することができる。つまり、集光光学素子2と導光投射光学素子3との幾何学関係を調整することで、所望の配光を得ることができる。
ここで「所望の配光」とは、例えば、道路交通規則等によって定められる所定の配光等のことである。または、後述するように、複数の前照灯モジュールを用いて、1つの配光パターンを形成する場合には、「所望の配光」とは、各前照灯モジュールに要求される配光のことである。
「幾何学関係」とは、例えば、集光光学素子2及び導光投射光学素子3の光軸C3方向の位置関係である。
集光光学素子2から導光投射光学素子3までの距離が短くなると、反射面32で反射する光の量が少なくなり、配光の垂直方向(Y軸方向)の寸法が短くなる。つまり、配光パターンの高さが低くなる。
反対に、集光光学素子2から導光投射光学素子3までの距離が長くなると、反射面32で反射する光の量が増えて、配光の垂直方向(Y軸方向)の寸法が長くなる。つまり、配光パターンの高さが高くなる。
また、重畳された光の位置は、反射面32で反射される光の位置を調整することで変化させることができる。
「重畳された光の位置」とは、反射面32で反射されずに稜線部321の+Y軸方向側(共役面PC上)に到達した光と、反射面32上で反射されて稜線部321の+Y軸方向側(共役面PC上)に到達した光とが共役面PC上で重畳される位置である。つまり、共役面PC上での高光度領域の範囲である。高光度領域は、照射面9上の高照度領域に対応する共役面PC上の領域である。
また、反射面32で反射される光の集光位置を調整することで、共役面PC上での高光度領域の高さを調整することができる。つまり、集光位置が共役面PCに近いと、高光度領域の高さ方向の寸法は短くなる。反対に、集光位置が共役面PCから遠いと、高光度領域の高さ方向の寸法は長くなる。
上述では、高照度領域は、カットオフライン91の下側(−Y軸方向側)の領域と説明している。これは、照射面9上の配光パターンの高照度領域の位置である。
後述するように、例えば、複数の前照灯モジュールを用いて、照射面9上に1つの配光パターンを形成す場合がある。このような場合には、各前照灯モジュールの共役面PC上での高光度領域は、稜線部321の+Y軸方向側の領域とは限らない。共役面PC上で、各前照灯モジュールの配光パターンに適した位置に、高光度領域を形成する。
上述のように、導光投射光学素子3の入射面31の水平方向の曲率を調整することで配光パターンの幅または高照度領域の幅を制御することができる。つまり、水平方向の集光位置PHを調整することで、配光パターンの幅または高照度領域の幅を制御することができる。導光投射光学素子3の入射面31において、配光パターンの水平方向に対応する方向の曲率を調整することで、配光パターンの幅または高照度領域の幅を制御することができる。
導光投射光学素子3の入射面31の垂直方向の曲率を調整することで配光パターンの高さまたは高照度領域の高さを制御することができる。つまり、垂直方向の集光位置PHを調整することで、配光パターンの高さまたは高照度領域の高さを制御することができる。導光投射光学素子3の入射面31において、配光パターンの垂直方向に対応する方向の曲率を調整することで、配光パターンの高さまたは高照度領域の高さを制御することができる。
このように、水平方向の集光位置と垂直方向の集光位置とは、必ずしも一致している必要はない。水平方向の集光位置と垂直方向の集光位置とを独立して設定することで、配光パターンの形状又は高照度領域の形状を制御することができる。この場合には、例えば、入射面31はトロイダル面となる。
垂直方向の集光位置PHは、光線をY−Z平面上に投影した場合の集光位置である。つまり、図1(A)に示す集光位置である。水平方向の集光位置PHは、光線をZ−X平面上に投影した場合の集光位置である。つまり、図1(B)に示す集光位置である。
共役面PC上に形成された配光パターンの像は、出射面33によって車両の前方の照射面9に拡大して投影される。共役面PC上に形成された配光パターンは、出射面33によって投影される。
図1では、出射面33はY軸方向にのみ正のパワーを有するシリンドリカルレンズである。つまり、出射面33はY軸方向にのみで凸面形状をしている。出射面33のY軸方向の焦点位置は、例えば、光軸C3上の稜線部321の位置(Z軸方向の位置)に一致している。つまり、出射面33のY軸方向の焦点位置は、稜線部321と光軸C3との交点上にある。
または、出射面33のY軸方向の焦点のZ軸方向(光軸C3方向)の位置は、稜線部321のZ軸方向の位置に一致している。つまり、出射面33のY軸方向の焦点位置における光軸C3に垂直な平面上に、稜線部321は位置している。
従来の前照灯装置では、遮光板と投射レンズとを用いるために、部品間の位置ばらつきによるカットオフラインの変形又は配光のばらつき等の変化が発生した。
しかし、導光投射光学素子3は、1つの部品の形状精度で、光軸C3方向における、出射面33の焦点位置と、稜線部321の位置とを一致させることができる。ここで、例えば、出射面33はシリンドリカル面なので、焦点位置はY軸方向の曲面による焦点位置である。
これによって、前照灯モジュール100は、カットオフライン91の変形又は配光のばらつき等の変化を抑えることができる。なぜならば、一般に2つの部品間の位置精度よりも1つの部品の形状精度の方が容易に向上できるからである。
図3(A)及び図3(B)は、実施の形態1に係る前照灯モジュール100の導光投射光学素子3の反射面32の形状を説明する図である。図3(A)及び図3(B)は、導光投射光学素子3の入射面31から共役面PCまでの部分を抜き出して表わしている。つまり、図3(A)及び図3(B)は、反射部3aを示している。
図3(A)は、比較のために、反射面32がZ−X平面に対して傾斜していない場合を示している。つまり、図3(A)に示す反射面32は、Z−X平面に平行である。図3(B)は、導光投射光学素子3の反射面32の形状を表している。
図3(B)に示す導光投射光学素子3の反射面32は、Z−X平面に対して平行な面ではない。例えば、図3(B)に示すように、反射面32は、Z−X平面に対してX軸を回転軸とした傾斜した平面である。
導光投射光学素子3の反射面32は、−X軸方向から見て、X軸を回転軸として、時計回りに回転した面である。図3(B)では、反射面32は、Z−X平面に対して角度fだけ回転した面となっている。つまり、反射面32の入射面31側の端部は、共役面PC側の端部よりも+Y軸方向に位置する。なお、図3の角度fは、図1では角度bで示している。
図3(A)に示す導光投射光学素子3の反射面32は、Z−X平面に平行な平面である。入射面31から入射した光は、反射面32で反射されて、共役面PCに到達する。
光の反射面32への入射角は、入射角S1である。そして、光の反射面32での反射角は、反射角S2である。反射の法則から、反射角S2は、入射角S1に等しい。反射面32の垂線m1は、図3(A)中に一点鎖線で示されている。
なお、垂線は、直線または平面と垂直に交わる直線のことである。
光は共役面PCに対して入射角S3で入射する。光は共役面PCから出射角Sout1で出射される。出射角Sout1は、入射角S3に等しい。共役面PCの垂線m2は、図3(A)中に一点鎖線で示されている。共役面PCの垂線m2は、光軸C3に平行である。
光は入射面31で大きく屈折されるため、共役面PCから出射される光の出射角Sout1は大きくなる。出射角Sout1が大きくなると、それに伴って、出射面33の口径は大型化する。なぜなら、出射角Sout1の大きな光は、出射面33上で光軸C3から離れた位置に到達するからである。
一方、図3(B)に示す導光投射光学素子3の反射面32は、X−Z平面に対して傾斜している。反射面32の傾斜方向は、−X軸方向から見て、X−Z平面に対して時計回りに回転する方向である。
つまり、反射面32は、光の進行方向(+Z軸方向)に対して、導光投射光学素子3内の光路が広がる方向に傾斜している。反射面32は、光の進行方向(+Z軸方向)に向けて、導光投射光学素子3内の光路が広がるように傾斜している。ここで、光の進行方向は、導光投射光学素子3内の光の進行方向である。そのため、実施の形態1では、光の進行方向は、導光投射光学素子3の光軸C3に平行な方向である。つまり、実施の形態1では、光の進行方向は、+Z軸方向である。
反射面32は、出射面33の光軸C3の方向において、出射面33側を向くように傾斜している。「出射面33側を向く」とは、出射面33側(+Z軸方向側)から見て、反射面32が見えるということである。
入射面31から入射した光は、反射面32で反射されて、共役面PCに到達する。
光の反射面32への入射角は、入射角S4である。そして、光の反射面32での反射角は、反射角S5である。反射の法則から、反射角S5は、入射角S4に等しい。反射面32の垂線m3は、図3(B)中に一点鎖線で示されている。
光は共役面PCに対して入射角S6で入射する。光は共役面PCから出射角Sout2で出射される。出射角Sout2は、入射角S6に等しい。共役面PCの垂線m4は、図3(B)中に一点鎖線で示されている。共役面PCの垂線m4は、光軸C3に平行である。
反射面32の傾斜によって、入射角S4は入射角S1より大きい。また、反射角S5は反射角S2より大きい。そのため、入射角S6は入射角S3より小さくなる。つまり、共役面PCから出射される際の光軸C3に対する光の傾斜角度を比較すると、出射角Sout2は出射角Sout1より小さくなる。
反射面32を、光の進行方向(+Z軸方向)に向けて、導光投射光学素子3内の光路が広がるように傾斜させることで、出射面33の口径を小さくすることができる。
反射面32を、出射面33の光軸C3の方向において、出射面33側を向くように傾斜させることで、出射面33の口径を小さくすることができる。
なお、出射角Sout2を出射角Sout1より小さくするために、反射面32を曲面形状とすることも可能である。つまり、反射面32は、光の進行方向(+Z軸方向)に向けて光路が広がるような曲面で形成されている。
反射面32は、出射面33の光軸C3の方向において、出射面33側を向くような曲面で形成されている。
反射面32の傾斜は、反射面32で反射した光が共役面PCから出射されるときの出射角Soutを小さくするように作用する。したがって、反射面32の傾斜によって、出射面33の口径を小さくすることができる。そして、前照灯モジュール100を小型化できる。特に、前照灯モジュール100の高さ方向(Y軸方向)の薄型化に貢献する。
なお、上述のように、反射面32を傾斜させる方が前照灯モジュール100を小型化できるが、必ずしも、反射面32を傾斜させる必要はない。反射面32がZ−X平面に平行であってもよい。
<配光パターン>
自動二輪車用の前照灯装置のロービームの配光パターンでは、カットオフライン91は水平な直線形状をしている。つまり、カットオフライン91は、車両の左右方向(X軸方向)に延びる直線形状をしている。
また、自動二輪車用の前照灯装置のロービームの配光パターンは、カットオフライン91の下側の領域が最も明るい。つまり、カットオフライン91の下側の領域は、高照度領域である。
導光投射光学素子3の共役面PCと照射面9とは、垂直方向(Y軸方向)において、光学的に共役の関係にある。稜線部321は、共役面PC上の光が透過する領域の中で最も下端(−Y軸方向側)に位置する。このため、稜線部321は、照射面9におけるカットオフライン91に対応する。カットオフライン91は、照射面9上において、配光パターンの最も上端(+Y軸方向側)に位置する。
実施の形態1に係る前照灯モジュール100は、垂直方向(Y軸方向)において、共役面PC上に形成された配光パターンを照射面9上に直接投影する。従って、カットオフライン91の下側の領域が最も明るくなる配光パターンを実現するには、共役面PC上で稜線部321の+Y軸方向側の領域の光度が最も高い光度分布となる。
図4及び図5は、実施の形態1に係る前照灯モジュール100の照度分布をコンター表示で示した図である。図4は、図2に示す導光投射光学素子3を用いた場合の照度分布である。図5は、図6に示す導光投射光学素子30を用いた場合の照度分布である。
図6は、実施の形態1に係る前照灯モジュール100の導光投射光学素子30の斜視図である。図6に示す導光投射光学素子30の入射面31は、水平方向(X軸方向)が負のパワーである。つまり、入射面31は、水平方向(X軸方向)が凹面形状をしている。また、入射面31は、垂直方向(Y軸方向)が正のパワーである。つまり、入射面31は、垂直方向(Y軸方向)が凸面形状をしている。
ここで、入射面31の水平方向は、車両の水平方向に対応している。入射面31の水平方向は、車両から投影された配光パターンの水平方向に対応している。また、入射面31の垂直方向は、車両の垂直方向に対応している。入射面31の垂直方向は、車両から投影された配光パターンの垂直方向に対応している。
図4及び図5に示す照度分布は、25m前方(+Z軸方向)の照射面9に投影された照度分布である。また、この照度分布は、シミュレーションにより求めたものである。
「コンター表示」とは、等高線図で表示することである。「等高線図」とは、同じ値の点を線で結んで表した図である。
図4及び図5から分かるように、配光パターンのカットオフライン91は明瞭な直線である。つまり、カットオフライン91の下側では、等高線の幅が狭い。そして、配光分布は、カットオフライン91から短い距離で、最高照度の領域(高照度領域)93となっている。また、配光パターンの高さ方向の長さに比べて、幅方向の長さが広いことが分かる。
図4及び図5では、高照度領域93の中心は配光パターンの中心よりも+Y軸方向側に位置している。図4及び図5では、高照度領域93は配光パターンの中心よりも+Y軸方向側に納まっている。配光パターンの中心は、配光パターンの幅方向の中心で、配光パターンの高さ方向の中心である。図4及び図5では、カットオフライン91の下側の領域92は、配光パターンの中心とカットオフライン91との間に位置している。
図4及び図5では、配光パターンのカットオフライン91の下側(−Y軸方向側)の領域92が最も明るいことがわかる。配光パターンのカットオフライン91の下側(−Y軸方向側)の領域92が最も明るく照明されている。つまり、配光パターンのカットオフライン91の下側の領域92に、配光パターンの中の最も明るい領域93が含まれている。
図6に示す導光投射光学素子30の入射面31の水平方向は、負のパワーを有している。このため、図4に示す配光パターンの場合と比べて、図5に示す配光パターンにおいて最高照度の領域(高照度領域)93の幅(X軸方向)が広くなっている。
このように、導光投射光学素子3の入射面31の曲面形状を変化させることで、多くの種類の配光パターンを容易に形成することができる。特に、明瞭なカットオフライン91を維持したまま、カットオフライン91の下側の領域を最も明るくすることができる。
以上に示したように、前照灯モジュール100は、従来の前照灯装置のように、カットオフライン91を生成するために、光利用効率の低下を招く遮光板を用いる必要がない。また、前照灯モジュール100は、配光パターンに高照度領域を設けるために、複雑な光学系の構成を必要としない。つまり、前照灯モジュール100は、小型で簡易な構成で光利用効率を向上した前照灯装置を実現することができる。
<比較例>
以下において、実施の形態1に係る前照灯モジュール100の効果を検証するための比較例について説明する。
本比較例では、導光投射光学素子300の出射面330の焦点位置が共役面PCに一致している。また、出射面330は、凸面形状の球面である。つまり、出射面330のX軸方向の焦点も、Y軸方向の焦点も共役面PC上にある。また、反射面32で反射した反射光は、導光投射光学素子300の側面で反射されずに出射面330に到達する。
図7は、比較例の導光投射光学素子300の斜視図である。
上述のように、導光投射光学素子3の出射面33は、Y軸方向にのみ正のパワーを有する凸面形状のシリンドリカル面とした。また、出射面33のY軸方向の焦点位置は、稜線部321のZ軸方向の位置に一致している。ここで、「Y軸方向の焦点位置」とは、Y−Z平面上に示された光線の焦点の光軸C3方向の位置である。
つまり、例えは、図2では、出射面33のY軸方向の焦点位置は、稜線部321と光軸C3との交点上にある。つまり、Y軸方向についてのみ、共役面PC上に形成された配光パターンは照射面9に結像される。
一方、X軸方向に関しては、導光投射光学素子3の出射面33はパワーを有していない。このため、共役面PC上に形成された配光パターンは照射面9に結像されない。従って、X軸方向の配光の広がりは、集光光学素子2または導光投射レンズ3の入射面31によって制御される。
図8は、比較例の導光投射光学素子300を用いた場合の照射面9上での照度分布をコンター表示で示した図である。
図8では、図4および図5に比べて、配光パターンの幅(X軸方向)が非常に狭くなっている。
これは、出射面330のX軸方向の焦点位置も共役面PC上であるため、出射面330が共役面PC上に形成された配光パターンを照射面9上に結像するからである。また、反射面32で反射された反射光が、導光投射光学素子300の側面で反射されずに出射面330に到達するため、出射面330が共役面PC上に形成された配光パターンを照射面9上に結像するからである。
導光投射光学素子300で、図4および図5に示された配光パターンと同様の配光パターンを形成するためには、導光投射光学素子300の共役面PC上に、幅の広い配光パターンの像を形成する必要がある。図7に示す比較例の出射面330で、図4および図5のような幅広い配光を実現するためには、共役面PC上に幅広い配光分布を形成しなければならない。
そのために、導光投射光学素子300のX軸方向に幅を増やさなければならない。導光投射光学素子300の幅方向(X軸方向)の寸法を大きくする必要がある。つまり、導光投射光学素子300は大型化する。
図7の比較例のように、出射面330を焦点位置が共役面PC上となるような球面レンズの場合には、図4および図5のような幅広い配光を実現することは困難である。
図2に示す導光投射光学素子3と図7に示す導光投射光学素子300とで、具体的な数値を用いて比較する。
図4の配光パターンを実現するために、例えば、図2に示す導光投射光学素子3のX軸方向の幅は17mmである。一方、図7に示す導光投射光学素子300のX軸方向の幅は30mmである。
つまり、図2に示す出射面33を採用することで、導光投射光学素子のX軸方向の幅を30%以上小さくすることができる。なお、それぞれの導光投射光学素子3,300の出射面33,330の焦点距離は、共に30mmで設計している。
上記は一例であるが、図7に示すような出射面330を球面レンズ形状として共役面PC上に焦点位置を一致させた場合には、図4および図5に示すようなX軸方向に幅広い配光を形成するために、さらに導光投射光学素子を大型化しなければならないことが分かる。
つまり、出射面33をX軸方向にパワーを有さないシリンドリカル形状とすることで、導光投射光学素子3は小型化できる。また、幅広い配光パターンを容易に得ることができる。
また、反射面32で反射した反射光が、導光投射光学素子3の側面395a,395bで反射させることで、導光投射光学素子3は小型化できる。また、幅広い配光パターンを容易に得ることができる。
以上のように、実施の形態1に示した前照灯モジュール100は、幅広い配光パターンを容易に得ることができる。
これは、垂直方向(Y軸方向)では、導光投射光学素子3内の共役面PC上で形成された配光パターンの像を出射面33で照射面9上に投影するが、水平方向(X軸方向)では、導光投射光学素子3で形成された共役面PC上の配光パターンの像を出射面33で照射面9上に投影しないことで実現できる。
つまり、前照灯モジュール100は、垂直方向(Y軸方向)では、導光投射光学素子3内の共役面PC上に配光パターンの像を形成して照射面9上に投影するが、水平方向(X軸方向)では、導光投射光学素子3内に配光パターンの像を形成しない。「導光投射光学素子3内に配光パターンの像を形成しない」とは、共役面PC上で、導光投射光学素子3の内に加えて、導光投射光学素子3の外にも配光パターンの像を形成することと等価であるということである。
なお、配光パターンとして、例えば、上述のように、発光面11の中間像を形成している場合には、「配光パターンの像」を照射面9上に投影する。しかし、中間像を形成していない場合には、「配光パターン」を照射面9上に投影する。つまり、「配光パターンの像」を「配光パターン」に読み替えることができる。
その方法として次の2点が考えられる。
第1の方法として、出射面33の水平方向(X軸方向)の焦点位置を、側面395a,395bで反射を繰り返した光が反射を終了する位置(導光素子の出射面)よりも反射面32側に設定することができる。水平方向(X軸方向)において、出射面33の焦点位置を過ぎた後で、光線が反射するため、導光投射光学素子3内に配光パターンの像は形成されない。
第2の方法として、出射面33の水平方向(X軸方向)の焦点位置を、導光投射光学素子3の入射面31よりも光源1側に設定することができる。水平方向(X軸方向)において、出射面33の焦点位置に、光線による像が形成されていない。つまり、導光投射光学素子3内に出射面33が照射面9に投影する配光パターンの像が形成されない。最も典型的な例は、出射面33を上述のようにシリンドリカル面とすることである。また、出射面33を凹面形状とすることもできる。
つまり、配光の幅(X軸方向)を広げるには、出射面33のX軸方向のパワーを小さくすることが望ましい。これは、出射面33の焦点距離を長くして、出射面33が照射面9に投影する配光パターンの像を導光投射光学素子3内に形成しないようにするためである。配光の幅を調整するために、出射面33のX軸方向を凸面形状または凹面形状とすることができる。しかし、配光の幅を広げるためには、X軸方向のパワーがY軸方向のパワーよりも小さいことが望ましい。
また、配光パターンの像を導光投射光学素子3内に形成しないために、図1(B)で示したように、出射面33の焦点位置を過ぎた後で、光線を側面395a,395bで反射させることも有効である。
ただし、第2の方法の場合には、水平方向で均一性を増した配光分布を形成することは難しい。一方、第1の方法の場合には、例えば、側面395a,395bで光の反射を繰り返すことで、水平方向(X軸方向)において配光分布の均一性を増すことができる。このため、図4または図5に示すように、カットオフラインの下側の領域92で、明るい領域を幅広く形成することができる。
実施の形態1の導光投射光学素子3は、垂直方向では、光の重畳によって配光分布を制御して、高照度領域93を形成することができる。一方、導光投射光学素子3は、水平方向では、光の反射を繰り返すことで、均一性を増した配光分布を形成することができる。
垂直方向で、光の重畳によって配光分布を制御するためには、導光投射光学素子3に入射した光線が反射面32で反射される必要がある。このため、出射面33のY軸方向の焦点位置は、光軸C3の方向において、導光投射光学素子3に入射した光線が反射面32で反射される位置よりも出射面33側に位置する必要がある。なお、導光投射光学素子3に入射する光は光束である。このため、「光線が反射面32で反射される位置」は、反射面32上で光線の反射が開始される位置となる。「光線が反射面32で反射される位置」は、反射面32上で光線が反射を開始する位置となる。
そのため、実施の形態1では、反射面32の出射面33側の端部(稜線部321)と、出射面33のY軸方向の焦点位置とを一致させている。反射部3aの出射面33側の端部と出射面33のY軸方向の焦点位置とを一致させている。
なお、実施の形態1の前照灯モジュール100では、部品の一体化により製造性を向上させている。このために、導光投射光学素子3の出射面33に投射機能を持たせている。つまり、出射面33にパワーを持たせている。しかし、出射面33にパワーを持たせずに、投射レンズ等の投射光学素子を採用しても良い。
図15は、例えば、出射面33を平面として、別途、投射レンズなどの投射光学素子350を設けた場合の前照灯モジュール100aの構成を示した構成図である。
前照灯モジュール100aの導光投射光学素子35は、図1に示す導光投射光学素子3の出射面33を、例えば、平面として、導光投射光学素子3の出射面33の投射機能を、投射光学素子350に持たせている。
投射光学素子350は、例えば、出射面33の+Z軸側に配置されている。つまり、出射面33から出射された光は、投射光学素子350に入射する。
投射光学素子350は、導光投射光学素子3の出射面33の投射機能の全部または一部を持たせたものである。つまり、図15に示す前照灯モジュール100aは、投射光学素子350と出射面33とで、図1に示す導光投射光学素子3の出射面33の機能を実現している。そのため、その機能などの説明は、実施の形態1における出射面33の説明で代用する。
なお、図15に示す前照灯モジュール100aにおいて、出射面33に屈折力を持たせ、投射光学素子350と合わせて図1に示す導光投射光学素子3の出射面33の機能を実現することができる。
また、光軸C3は、投射機能を有する部分の光軸である。このため、出射面33が平面である場合には、投射光学素子350の光軸となる。また、出射面33と投射光学素子350とで投射機能を有する場合には、出射面33と投射光学素子350とを合成した合成レンズの光軸となる。投射機能を有する部分を投射光学部とよぶ。
「合成レンズ」とは、複数のレンズを組み合わせた性能を、1つのレンズで表わしたレンズのことである。
<変形例>
また、配光の幅の制御に、側面395a,395bを用いることもできる。つまり、前照灯モジュール100から出射される光の発散角を側面395a,395bを用いて変更することができる。図2に示す導光投射光学素子3の側面395a,395bは、互いに平行な面である。しかし、これに限らない。
図9は、変形例の導光投射光学素子301の斜視図である。また、図10は、変形例の導光投射光学素子302の斜視図である。
例えば、図9に示すように、出射面33のX軸方向の幅が、稜線321の幅よりも広がるように、側面395a,395bが傾斜していてもよい。つまり、側面395a,395bは、光の進行方向に光路が広がるように傾斜している。図9では、側面395a,395bの光軸C3に対する傾斜角度は、角度dである。
図9の場合には、導光投射光学素子301に入射した光のX軸方向の発散角は狭くなる。つまり、照射面9上での配光パターンの幅(X軸方向)は狭くなる。
また、例えば、図10に示すように、出射面33のX軸方向の幅が、稜線321の幅よりも狭くなるように、側面395a,395bが傾斜していてもよい。つまり、側面395a,395bは、光の進行方向に光路が狭くなるように傾斜している。図10では、側面395a,395bの光軸C3に対する傾斜角度は、角度dである。
図10の場合には、導光投射光学素子302に入射した光のX軸方向の発散角は広くなる。つまり、照射面9上での配光パターンの幅(X軸方向)は広くなる。
また、後述するように、車両の中には、複数の前照灯モジュールを並べて、各モジュールの配光パターンを足し合わせて配光パターンを形成する場合がある。つまり、複数の前照灯モジュールを並べて、各モジュールの配光パターンを足し合わせて配光パターンを形成する場合がある。この様な場合でも、実施の形態1に係る前照灯モジュール100は、容易に適用できる。
前照灯モジュール100は、導光投射光学素子3の入射面31の曲面形状を調整することで、配光パターンの幅及び高さを変化させることができる。そして、配光分布も変化させることができる。
また、前照灯モジュール100は、集光光学素子2と導光投射光学素子3との光学的な位置関係又は導光投射光学素子3の入射面31の形状を調整することで、配光パターンの幅及び高さを変化させることができる。そして、配光分布も変化させることができる。
また、反射面32を用いることで、配光分布の変化も容易にできる。例えば、反射面32の傾斜角度bを変化させることで、高照度領域の位置を変化させることができる。
また、側面395a,395bを反射面として用いることで、配光パターンの幅を変化させることができる。そして、配光分布も変化させることができる。側面395a,395bの傾斜角度dを変えることで、配光パターンの幅を変化させることができる。
また、側面395a,395bを反射面として用いることで、配光分布の調整も容易にできる。例えば、側面395a,395bの傾斜角度dを変えることで、高照度領域の位置を変更することができる。
また、出射面33の水平方向(X軸方向)のパワーを調整することで、配光分布の調整を容易にできる。例えば、出射面33のX軸方向の形状を凹面形状または凸面形状とすることで、配光パターンの幅を変更できる。ただし、出射面33のX軸方向のパワーは、Y軸方向のパワーよりも小さいことが望ましい。このようにすることで、導光投射光学素子の幅を小さくして、幅広い配光パターンを得ることができる。
また、前照灯モジュール100は、導光投射光学素子3の稜線部321の形状で、カットオフライン91の形状を水平形状に規定することができる。つまり、導光投射光学素子3の形状により配光パターンを形成できる。「水平形状」とは、水平方向(X軸方向)に伸びる直線の形状のことである。
このため、複数の前照灯モジュール間で、特に、集光光学素子2の形状等を変更する必要がない。つまり、集光光学素子2を共通部品とできる。このため、部品の種類を削減でき、組立性を改善して、製造コストを低減することができる。
また、この様な配光パターンの幅及び高さを任意に調整する機能と、配光分布を任意に調整する機能とは、前照灯モジュール100の全体で発揮できれば良い。前照灯モジュール100の光学部品は、集光光学素子2及び導光投射光学素子3を備える。つまり、これらの機能を、前照灯モジュール100を構成する集光光学素子2又は導光投射光学素子3のいずれかの光学面に分散することも可能である。
例えば、導光投射光学素子3の反射面32を曲面形状にしてパワーを持たせ、配光を形成することも可能である。
しかし、反射面32については、必ずしも全ての光が反射面32に到達する必要は無い。このため、反射面32に形状を持たせた場合には、配光パターンの成形に寄与できる光の量は限られる。つまり、反射面32で反射することで、配光パターンに反射面32の形状の作用を与えられる光の量は限られる。したがって、全ての光に対して光学的に作用を与えて、容易に配光パターンを変化させるためには、入射面31にパワーを持たせて配光を形成させることが好ましい。
以上より、実施の形態1で説明した前照灯モジュール100,100aは、次のように説明できる。
前照灯モジュール100,100aは、光を発する光源1と、光源1の発した光を反射する反射面32と、反射面32で反射された反射光を導光する1対の面395a,395bと、1対の面395a,395bで導光された反射光を投射する投射部33,350とを備える。
投射部33,350の光軸C3を含み反射面32に垂直な平面を第1の平面(Y−Z平面)とし、光軸C3に平行で第1の平面に垂直な平面を第2の平面(Z−X平面)とする。
1対の面395a,395bは、反射面32と前記投射部33,350との間で前記第1の平面(Y−Z平面)を挟むように配置される。
反射光は、第1の平面(Y−Z平面)上に反射光を投影すると、反射面32における一度の反射で投射部(33,350)に到達し、第2の平面(Z−X平面)上に反射光を投影すると、面395a,395bで反射されて投射部33,350に到達する。
つまり、面395a,395bは、反射光を反射する反射面である。また、面395a,395bは、反射光を導光する。
また、光軸C3方向において、第1の平面(Y−Z平面)上に投影した投射部33,350の第1の焦点は、光源1の発した光が反射部3a(反射面32)で反射する位置よりも投射部33,350側に位置する。
また、光軸C3方向において、第2の平面(Z−X平面)上に投影した投射部33,350の第2の焦点は、反射光の面395a,395bでの反射が終わる位置よりも反射面32側に位置する。
または、第2の平面(Z−X平面)上において、投射部33,350は負の屈折力を有する。
図1では、導光投射光学素子3は、反射面32、面395a,395b及び投射部33(投射光学部)を備える。図15では、導光投射光学素子35は、反射面32および面395a,395bを備える。そして、図15では、投射部(投射光学部)は、投射光学素子350を含む。
実施の形態2.
図11は、本発明の実施の形態2に係る前照灯モジュール110の構成を示す構成図である。図12は、本発明の実施の形態2に係る前照灯モジュール120の構成を示す構成図である。図1と同じ構成要素については同一の符号を付しその説明を省略する。図1と同じ構成要素は、光源1および集光光学素子2である。
図11および図12に示すように、実施の形態2に係る前照灯モジュール110,120は、光源1,4及び導光投射光学素子303を備える。また、前照灯モジュール110,120は、集光光学素子2又は集光光学素子5を備えることができる。
つまり、実施の形態2に係る前照灯モジュール110,120は、実施の形態1に係る前照灯モジュール100に対して、導光投射光学素子303、及び光源4を備える点で相違する。また、実施の形態2に係る前照灯モジュール110,120は、実施の形態1に係る前照灯モジュール100に対して、集光光学素子5を備える点で相違する。
なお、前照灯モジュール110,120は、集光光学素子2を光源1に取り付けて一体とした場合を含む。また、前照灯モジュール110,120は、集光光学素子5を光源4に取り付けて一体とした場合を含む。
また、実施の形態2に係る前照灯モジュール110,120は、ハイビームの機能とロービームの機能とを備えている点で実施の形態1に係る前照灯モジュール100と相違する。
なお、実施の形態1で説明したように、例えば、光源1とは別の光源を備えて、入射面34から光を入射させることで、前照灯モジュール100にハイビームの機能を持たせることができる。
また、前照灯モジュール110,120は、出射面33上でのロービームの出射領域からハイビームを出射させている。つまり、前照灯モジュール110,120の走行時の発光領域とすれ違い時の発光領域とが同一である。このため、前照灯装置10を点灯させた際の意匠性を高めることができる。
前照灯装置には、通常、ロービームとハイビームとが備えられている。つまり、2種類の前照灯モジュールを備えている。道路運送車両法等では、ロービームの正式名称は「すれ違い用前照灯」で、ハイビームの正式名称は「走行用前照灯」である。例えば、その照射距離は、ロービームは前方40m先を照らす。また、ハイビームは前方100m先を照らす。
道路交通規則の1つとして、車両用のハイビームの配光パターンは、上下方向が狭い横長の形状をしている。そして、ドライバーの視認性を向上させるために、車両用のハイビームは、車両の前方で、すれ違い用の前照灯よりも遠い位置の路面を照明する。
したがって、車両用のハイビームは、すれ違い用の前照灯(ロービーム)の配光パターンのカットオフライン91よりも上側(+Y軸方向側)も照明する必要がある。つまり、すれ違い用の前照灯(ロービーム)と走行用の前照灯(ハイビーム)とは、照射面9上で、それぞれ照明する領域が異なる。このため、2種類の前照灯の配光パターンは異なる。
上記の説明の通り、ロービームとハイビームとでは配光パターンが異なる。このため、ハイビームは、ロービームと別の光学系を必要とする。つまり、ロービームとハイビームとでは、別々の前照灯モジュールが必要となる。このため、前照灯装置が大型化する。
また、ロービームとハイビームとで別々の前照灯モジュールを用いると、各々の前照灯モジュールの点灯状態によって前照灯装置の発光領域が異なる。つまり、ロービームのみを点灯させると、1つの前照灯モジュールが点灯しているが、ハイビームも点灯させると、2つの前照灯モジュールが点灯する。つまり、ロービームのみを点灯させると、発光領域が1つで、ハイビームも点灯させると、発光領域が2つになる。
これは、前照灯装置の点灯状態によって、車両の意匠性が異なることを意味する。前照灯装置を点灯した際の車両の意匠性を高めるためには、ロービームのみを点灯した状態と、ロービーム及びハイビームを同時に点灯した状態との両方で、発光領域が変化しないことが好ましい。
実施の形態2に係る前照灯モジュール110,120は、このような課題を解決するものである。
また、複数の前照灯モジュールを用いて、1つの配光パターンを形成する場合でも、実施の形態2に係る前照灯モジュール110,120は、このような課題を解決するものである。例えば、光源1で配光パターンの全体を形成し、光源4で高照度領域を形成する場合には、車両の意匠性を変更することなく、高照度領域の点灯または消灯をすることができる。また、後述するようにADBの機能を持たせることができる。
前照灯モジュール110,120は、小型で簡単な構成で、ロービームの機能とハイビームの機能とを備えた前照灯モジュールを実現する。また、前照灯装置を点灯した状態での意匠性を変更せずに配光パターンを変更することができる。
なお、変形例として説明する前照灯モジュール110a,120aも同様の効果を得ることができる。
図11では、光源4及び集光光学素子5は、側面395b側に配置されている。しかし、光源4及び集光光学素子5は、側面395a側に配置されてもよい。また、図12では、光源4及び集光光学素子5は、側面395a,395bの両側に配置されている。
<光源4>
光源4は、発光面41を備える。光源4は、発光面41から車両の前方を照明するための光を出射する。光源4は、発光面41から光を出射する。
光源4は、集光光学素子5の−Z軸側に位置されている。図11では、光源4は、導光投射光学素子303の側面395bの−X軸側に位置している。図12では1つの光源4は、導光投射光学素子303の側面395aの+X軸側に位置している。他の光源4は、導光投射光学素子303の側面395bの−X軸側に位置している。
図11および図12では、光源4は、+Z軸方向に光を出射している。光源4は、その種類を特に限定していないが、上述の説明の通り以下の説明では、光源4がLEDであるとして説明する。
光源4は、光源1と同様である。このため、光源1の説明で光源4の説明を代用する。ただし、光源4の発光特性などは、光源1と異なってもよい。
<集光光学素子5>
集光光学素子5は、光源4の+Z軸側に位置している。また、図11では、集光光学素子5は、導光投射光学素子303の側面395bの−X軸側に位置している。図12では、1つの集光光学素子5は、導光投射光学素子303の側面395aの+X軸側に位置している。他の集光光学素子5は、導光投射光学素子303の側面395bの−X軸側に位置している。
集光光学素子5は、光源4から発せられた光を入射する。集光光学素子5は、前方(+Z軸方向)に光を集光させる。図11および図12では、集光光学素子5は正のパワーを有している。図11及び図12に示す集光位置PRは、集光光学素子5の集光位置である。
また、実施の形態2で示す集光光学素子5は、例えば、内部が屈折材で満たされている。
図11および図12では、集光光学素子5は、1つの集光光学素子5で構成されているが、複数の光学部品を用いることもできる。しかし、複数の光学素子を用いる場合には、各光学素子の位置決め精度を確保するなど、製造性を低下させることになる。
実施の形態2では、例えば、光源4の光軸C4及び集光光学素子5の光軸C5はZ軸に平行である。図11及び図12では、例えば、光源4の光軸C4は、集光光学素子5の光軸C5と一致している。
また、実施の形態1と同様に、Y−Z平面上で見て、光源1の光軸C1及び集光光学素子2の光軸C2は、導光投射部303aの光軸C3に対して傾斜している。そのため、光源1と集光光学素子2とを説明する際に、X1Y1Z1座標を用いた。一方、Y−Z平面上で見て、光源4の光軸C4及び集光光学素子5の光軸C5は、導光投射部303bの光軸C6に平行である。そのため、光源4及び集光光学素子5の説明では、XYZ座標を用いる。
例えば、出射面33がY軸方向に曲率を有するシリンドリカル面の場合のように、光軸C6のX軸方向の位置を規定し難い場合がある。このような場合には、導光投射部303bの光軸C6は、側面395a,395bと側面395cとの中心とする。側面395a,395bと側面395cとは、導光投射部303bのX軸方向の端部を形成している。側面395a,395bは、導光投射部303aの側面である。
つまり、図12において、+X軸側の導光投射部303bの光軸C6は、側面395aと側面395cとの中心である。また、−X軸側の導光投射部303bの光軸C6は、側面395bと側面395cとの中心である。
また、後述するように、光軸C6のX軸方向の位置を、入射面36のレンズ形状の光軸位置とし、光軸C6のY軸方向の位置を、出射面33のレンズ形状の光軸位置とすることができる。
集光光学素子5は、例えば、集光光学素子2と同様の構成であり、同様の機能を有している。つまり、集光光学素子5は、例えば、入射面511,512、反射面52及び出射面531,532を備えている。そのため、実施の形態1での集光光学素子2の説明で、集光光学素子5の説明を代用する。ただし、集光光学素子5の焦点距離等の光学性能は、集光光学素子2に対して異なる値を取りえる。
<導光投射光学素子303>
導光投射光学素子303は、導光投射部303a及び導光投射部303bを備えている。
導光投射部303aは、導光投射光学素子3と同様の構成をしている。つまり、導光投射部303aは、反射面32を備えている。また、導光投射部303aは、入射面34を備えることができる。そのため、実施の形態1での導光投射光学素子3の説明で、導光投射部303aの説明を代用する。
実施の形態2に示す導光投射部303aにおいて、入射面31から反射面32までの部分は、反射部303a1である。反射部303a1では、配光パターンが形成される。そのため、反射部303a1は、配光パターン形成部である。
そして、導光投射部303aにおいて、反射面32よりも+Z軸方向の部分は、導光部303a2である。この導光部303a2は、光源1から出射された光を反射によって導光する。水平方向(X軸方向)において、導光部303a2で導光された光は、導光部303a2での反射によって決められた発散角で出射される。
導光投射部303bは、柱形状の導光部である。なお、後述するように、導光投射部303bの1つの側面は、導光投射部303aと繋がっている。また、導光投射部303bは、導光投射部303aのような反射面32を備えていない。また、実施の形態2では、導光投射部303bは、導光投射部303aのような入射面34を備えていない。
図11では、導光投射部303bは、導光投射部303aの−X軸方向側に配置されている。図12では、導光投射部303bは、導光投射部303aの−X軸方向側および+X軸方向側の両側に配置されている。
導光投射光学素子303は、一対の側面395a,395bによって形成された導光投射部303aに沿って配置された導光投射部303bを備えている。導光投射部303bは、導光投射部303aに沿って配置されている。導光投射部303aと導光投射部303bとは、並べて配置されている。導光投射部303aと導光投射部303bとは、導光投射部303aの導光方向に対して垂直な方向に並べて配置されている。
導光投射部303bは、例えば、導光投射部303aに対して平行に配置されている。例えば、光源1から出射された光が導光投射部303aで導光される方向は、光源2から出射された光が導光投射部303bで導光される方向と同じ方向である。
導光投射部303bのZ軸方向の長さは、導光投射部303aのZ軸方向の長さよりも短い。
また、導光投射部303bの出射面は、導光投射部303aの出射面と同一の面に形成されている。つまり、導光投射光学素子303の出射面33は、導光投射部303aと導光投射部303bとの出射面である。
導光投射光学素子303の出射面33は、導光投射部303aの出射面33aと導光投射部303bの出射面33bとを含んでいる。導光投射部303aの出射面33aは、出射面33の1つの領域である。また、導光投射部303bの出射面33bは、出射面33の1つの領域である。出射面33aと出射面33bとは、1つの面(出射面33)上の領域として形成されている。
また、出射面33は、例えば、Y軸方向にのみ正のパワーを有するシリンドリカル形状である。つまり、出射面33は、Y軸方向にのみ曲率を有する凸面形状である。また、出射面33は、トロイダル面であってもよい。
実施の形態1の場合と同様に、例えば、導光投射部303aにおいて、出射面33のY軸方向の焦点位置は、稜線部321に一致している。また、導光投射部303bにおいて、出射面33のY軸方向の焦点位置は、集光位置PRに一致している。つまり、Y軸方向において、集光位置PRは、照射面9と共役の関係にある。
「Y軸方向の焦点位置」とは、Y−Z平面上で光線を見た場合の焦点位置のことである。同様に、「X軸方向の焦点位置」とは、Z−X平面上で光線を見た場合の焦点位置のことである。
導光投射部303bの入射面36は、屈折面である。導光投射部303bの入射面36は、例えば、正のパワーを有する。図11及び図12では、入射面36は、−Z軸方向に突出した凸形状をしている。
図11及び図12では、例えば、入射面36はX軸方向にのみ正のパワーを有するシリンドリカル面である。つまり、入射面36はX軸方向にのみ曲率を有する凸面形状である。
入射面36はX軸方向について正のパワーを有している。例えば、入射面36の焦点位置は集光位置PRと一致している。Z軸方向において、入射面36の焦点位置は集光位置PRと一致している。Z軸方向は、導光投射部303bで光が導光される方向である。つまり、X軸方向において、集光位置PRは、照射面9と共役の関係にある。
側面395cは、導光投射部303bの側面である。導光投射部303bの側面395cと対向する側は、導光投射部303aと繋がっている。つまり、光源1から出射された光線は、導光投射部303bの側面395cと対向する側から導光投射部303b内に入射する。
図11及び図12では、光源1から出射された光線の一部は、導光投射部303aに入射して、側面303a又は側面303bで反射された後に導光投射部303bに入射している。そして、光源1から出射されて導光投射部303bに入射した光は、出射面33bから出射される。
なお、実施の形態2で示す導光投射光学素子303は、例えば、内部が屈折材で満たされている。
<光線の挙動>
光源4、集光光学素子5および導光投射部303bにおける光線の挙動は、前照灯モジュール110と前照灯モジュール120とで同様である。このため、図12を用いた説明を省き、図11を用いて説明する。
また、反射部393a1の光線の挙動は、実施の形態1の反射部3aと同様である。そのため、実施の形態1の反射部3aの説明で代用する。また、導光投射部303aの導光部303a2での光の導光も導光部3bと同様である。そのため、実施の形態1の導光部3bの説明で代用する。
図11に示すように、光源4から出射された光は、集光光学素子5によって集光される。集光光学素子5によって集光された光は、集光位置PRに集光する。
集光位置PRを通過した光は、入射面36から導光投射部303bに入射する。入射面36に到達した光は、入射面36で屈折される。上述のように、入射面36がX軸方向にのみ正のパワーを有するシリンドリカル面である場合には、入射面36に到達した光は、X軸方向のみで屈折される。
図11では、上述のように、入射面36の焦点位置が集光位置PRと一致している。このため、Z−X平面上で見て、例えば、入射面36から入射した光線は平行光となっている。
一方、入射面36はY軸方向にパワーを有さない。そして、Y−Z平面上で見て、入射面36から入射した光線は、例えば、導光投射部303bの+Y軸方向側の側面または−Y軸方向側の側面で反射されずに、出射面33の方向(+Z軸方向)に進行する。つまり、Y−Z平面上で見て、入射面36から入射した光線は、直接出射面33に到達する。
Y軸方向において、集光位置PRから導光投射部303bに入射する光の発散角は、導光投射部303bのY軸方向の両側面で反射されない角度である。
入射面36から入射した光は、出射面33から出射される。入射面36から入射した光は、出射面33bから出射される。
光線の光路は、光が伝播する媒質によって変化する。空気中の光路をLとした場合に、屈折率n(n>1)の媒質中の光路はn×Lとなる。つまり、空気中の焦点距離が距離Lのとき、屈折率nの媒質中では、焦点距離として、n×Lの長さが必要であることを意味する。つまり、導光投射光学素子303の内部での光路は、空気中の光路よりも長い。
この性質を利用すれば、上述のように、屈折材で満たされた部分(導光投射部303a)では、出射面33(出射面33a)のY軸方向の焦点位置を、稜線部321に一致させることができる。また、同時に、出射面33(出射面33b)のY軸方向の焦点位置を、空気中(n=1)の集光位置PRに合わせることができる。
上述のように、実施の形態2では、出射面33はシリンドリカル面である。そして、出射面33aは、出射面33bと同じ曲率を有している。つまり、出射面33aは、出射面33bと同じパワーを有している。
なぜなら、導光投射部303bのZ軸方向の長さは、導光投射部303aのZ軸方向の長さよりも短いからである。そして、集光位置PRから入射面36までは、空気中(n=1)である。
出射面33から稜線部321までの距離は、出射面33から集光位置PRまでの距離よりも長い。
上述のように、集光位置PRは、照射面9と共役の関係にある。つまり、集光位置PRは、照射面9と光学的に共役の位置にある。従って、集光位置PR上に集光光学素子5によって形成された配光パターンの像は、導光投射光学素子303によって車両の前方の照射面9に拡大して投影される。
X軸方向においては、集光位置PRに形成された配光パターンは、入射面36によって照射面9に投影される。Y軸方向においては、集光位置PRに形成された配光パターンは、出射面33(出射面33b)によって照射面9に投影される。つまり、導光投射部353bは、配光パターンを投影している。実施の形態2では、この配光パターンは、集光位置PRの位置に形成されている。
したがって、光源4及び集光光学素子5は、集光位置PR上に配光パターンを形成することで、配光パターンを照射面9に投影することができる。つまり、前照灯モジュール110,120は、ハイビームで照明される領域を照明することができる。
また、集光光学素子5から出射される光の集光位置を調整することで、ハイビームの配光を変更することができる。また、集光光学素子5と導光投射光学素子303との幾何学関係を調整することで、ハイビームの配光を変更することができる。
「幾何学関係の調整」とは、例えば、集光光学素子5と導光投射光学素子303との光軸C6方向(Z軸方向)の位置関係を調整することである。集光光学素子5と導光投射光学素子303との光軸C6方向の位置関係が異なれば、集光光学素子5によって集光された集光位置PR上の集光スポットのサイズが変わる。つまり、集光光学素子5によって集光された光の集光位置PR上の光束径が変わる。そして、それに応じて、照射面9上の配光は変化する。
また、図11および図12からわかるように、光源1から出射された光線は、出射面33の全域から出射される。つまり、光源1から出射された光線は、出射面33aと出射面33bから出射される。光源1から出射された光線は、ロービームの光線である。また、光源4から出射された光線(ハイビームの光線)も出射面33から出射される。光源4から出射された光線(ハイビームの光線)は、出射面33bから出射される。光源4から出射された光線は、ハイビームの光線である。
つまり、出射面33における、光源1から出射された光線の出射領域と、光源4から出射された光線の出射領域とが重なっている。このため、ロービームのみを点灯させた場合の出射面33上の発光領域は、ロービームとハイビームとの両方を点灯させた場合の出射面33上の発光領域と同じである。
つまり、実施の形態2に係る前照灯モジュール110,120は、前照灯装置を点灯させた際の意匠性を高めることができる。
以上のように、実施の形態2に係る前照灯モジュール110,120は、ロービームの配光パターンとハイビームの配光パターンとを同一の前照灯モジュールで容易に形成することができる。つまり、ハイビーム用の前照灯モジュールとロービーム用の前照灯モジュールとをそれぞれ別々に用意する必要がない。このため、従来の前照灯装置に比べて小型の前照灯装置を実現できる。
また、図12に示す前照灯モジュール120のように、光源4と集光光学素子5とを複数配置する構成とすることで、複数の前照灯モジュール110を備えることなく、光量を増すことができる。つまり、前照灯装置10の全体の大きさを小型化できる。
そして、実施の形態2に係る前照灯モジュール110,120は、実施の形態1と同様に、幅の広い配光パターンを形成することができる。
なお、図11に示す前照灯モジュール110及び図12に示す前照灯モジュール120では、出射面33に屈折力を持たせている。そして、前照灯モジュール110,120は、導光投射光学素子303に投射機能を持たせている。これは、部品の一体化により製造性を向上させるためである。
このため、例えば、出射面33を平面として、別途、投射レンズなどの投射光学素子を設けることができる。
図16および図17は、例えば、出射面33を平面として、別途、投射レンズなどの投射光学素子350を設けた場合の前照灯モジュール110a,120aの構成を示した構成図である。前照灯モジュール110a,120aは、前照灯モジュール110,120の変形例である。
前照灯モジュール110aの導光投射光学素子353は、図11に示す導光投射光学素子303の出射面33を、例えば、平面として、導光投射光学素子303の出射面33の投射機能を、投射光学素子350に持たせている。また、前照灯モジュール120aの導光投射光学素子353は、図12に示す導光投射光学素子303の出射面33を、例えば、平面として、導光投射光学素子303の出射面33の投射機能を、投射光学素子350に持たせている。
投射光学素子350は、例えば、出射面33の+Z軸側に配置されている。つまり、出射面33から出射された光は、投射光学素子350に入射する。
投射光学素子350は、導光投射光学素子303の出射面33の投射機能の全部または一部を持たせたものである。つまり、図16又は図17に示す前照灯モジュール110a,120aは、投射光学素子350と出射面33とで、導光投射光学素子303の出射面33の機能を実現している。そのため、その機能などの説明は、実施の形態2における出射面33の説明で代用する。
なお、図16又は図17に示す前照灯モジュール110a,120aにおいて、出射面33に屈折力を持たせ、投射光学素子350と合わせて図11又は図12に示す導光投射光学素子303の出射面33の機能を実現することができる。
また、光軸C3は、投射機能を有する部分の光軸である。このため、出射面33が平面である場合には、投射光学素子350の光軸となる。また、出射面33と投射光学素子350とで投射機能を有する場合には、出射面33と投射光学素子350とを合成した合成レンズの光軸となる。投射機能を有する部分を投射光学部とよぶ。
また、前照灯モジュール120の場合には、光源4を個別に点灯させる制御又は消灯させる制御をすることで、車両の前方を照明する領域を選択できる。これによって、前照灯モジュール120にADB(Adaptive Driving Beam)の機能を持たせることができる。
「ADB」とは、対向車などが車両の前方に出現した際に、車載カメラ等で前方の車両の位置を検知して、その領域のみを照射せず、他の領域はハイビームで照射する前照灯である。ADBは、対向車又は先行車に眩しさを与えず、道路の両側にいる歩行者を認識しやすくする。ADBを使用すると、対向車からは普通のロービームと同じようにみえるため、眩しくない。
また、光源4はハイビーム用の光源として説明してきたがハイビーム用に限るものではない。例えば、ロービーム用の光源として使用することができる。つまり、複数の配光パターンを足し合わせてロービームの配光を形成する場合には、前照灯モジュール110,120は、複数のロービーム用の光源1,4を備えることができる。そのため、異なる配光パターンを形成するために、複数の前照灯モジュールを備える必要がない。このため、従来の前照灯装置に比べて小型の前照灯装置を実現することができる。
例えば、光源4を用いて、図4に示す最も明るい領域93をさらに明るくすることができる。
出射面33a(第1の出射面)から出射された光(第1の光)を入射するとともに、出射面33b(第2の出射面)から出射された光(第2の光)を入射して配光パターンを投影する投射光学素子350を備える。投射光学素子350は、配光パターンを投影する投射光学部である。
出射面33a(第1の出射面)から出射された光(第1の光)を入射するとともに、出射面33b(第2の出射面)から出射された光(第2の光)を入射して出射面33aおよび出射面33bとともに配光パターンを投影する投射光学素子350を備える。出射面33a、出射面33bおよび投射光学素子350は、配光パターンを投影する投射光学部である。
実施の形態3.
図13は、複数の前照灯モジュール100を搭載した前照灯装置10の構成図である。
上述の実施の形態では、前照灯モジュール100,110,120,100a,110a,120aの実施の形態を説明した。図13では、一例として、前照灯モジュール100を搭載した例を示している。
例えば、図13に示された3つの前照灯モジュール100の全部又は一部を、前照灯モジュール110,120に置きかえることができる。
前照灯装置10は、筐体97を備える。また、前照灯装置10は、カバー96を備えることができる。
筐体97は、前照灯モジュール100を保持している。
筐体97は、車体の内部に配置されている。
筐体97の内部には、前照灯モジュール100が収められている。図13では、例として、3個の前照灯モジュール100が収められている。なお、前照灯モジュール100の個数は、3個に限定されない。前照灯モジュール100の個数は、1個でも良く、3個以上でも良い。
前照灯モジュール100は、例えば、筐体97の内部に、X軸方向に並べて配置されている。なお、前照灯モジュール100の並べ方は、X軸方向に並べる方法に限らない。デザイン又は機能等を考慮して、前照灯モジュール100をY軸方向又はZ軸方向にずらして配置しても良い。
また、図13では、筐体97の内部に前照灯モジュール100を収めている。しかし、筐体97は、箱形状である必要はない。筐体97は、フレーム等で構成されており、そのフレームに前照灯モジュール100が固定される構成を採用しても良い。なぜなら、四輪の自動車等の場合には、筐体97は車体の内部に配置されているからである。このフレーム等は、車体を構成する部品であってもよい。この場合には、筐体97は車体を構成する一部の筐体部となる。
自動二輪車の場合には、筐体97は、ハンドルの近くに配置されている。四輪の自動車の場合には、筐体97は、車体の内部に配置されている。
カバー96は、前照灯モジュール100から出射された光を透過する。そして、カバー96を透過した光は、車両の前方に出射される。カバー96は透明な材料で作製されている。
カバー96は、車体の表面部分に配置されて、車体の外部に表れている。
カバー96は、筐体97の+Z軸方向に配置されている。
前照灯モジュール100から出射された光は、カバー96を透過して、車両の前方に出射される。図13では、カバー96から出射された光は、隣り合う前照灯モジュール100から出射された光と重なり合って、1つの配光パターンを形成している。
カバー96は、前照灯モジュール100を風雨又は塵埃等から守るために設けられている。しかし、導光投射光学素子3の出射面33が前照灯モジュール100の内部の部品を風雨又は塵埃等から守る構造の場合には、特にカバー96を設ける必要はない。
以上のように説明したように、複数の前照灯モジュール100,110,120,100a,110a,120aを備える場合には、前照灯装置10は、前照灯モジュール100,110,120,100a,110a,120aの集合体である。また、1個の前照灯モジュール100,110,120を備える場合には、前照灯装置10は、前照灯モジュール100,110,120,100a,110a,120aと等しくなる。つまり、前照灯モジュール100,110,120,100a,110a,120aが前照灯装置10である。
なお、上述の各実施の形態においては、「平行」または「垂直」などの部品間の位置関係もしくは部品の形状を示す用語を用いている場合がある。これらは、製造上の公差や組立て上のばらつきなどを考慮した範囲を含むことを表している。このため、請求の範囲に部品間の位置関係もしくは部品の形状を示す記載をした場合には、製造上の公差又は組立て上のばらつき等を考慮した範囲を含むことを示している。
また、以上のように本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限るものではない。
以上の各実施の形態を基にして、以下に発明の内容を付記(1)及び付記(2)として記載する。付記(1)と付記(2)とは、各々独立して符号を付している。そのため、例えば、付記(1)と付記(2)との両方に、「付記1」が存在する。
また、付記(1)の特徴と付記(2)の特徴とを組み合わせることができる。
<付記(1)>
<付記1>
第1の光を発する第1の光源と、
前記第1の光を反射する第1の反射面、前記第1の反射面で反射された反射光を出射する第1の出射面及び1対の側面を含む光学素子と
を備え、
前記第1の出射面は、前記反射光を投射する屈折力を有し、
前記第1の出射面の光軸を含み前記第1の反射面に垂直な平面を第1の平面とし、前記光軸に平行で前記第1の平面に垂直な平面を第2の平面とすると、
前記1対の側面は、前記第1の反射面と前記第1の出射面との間で、前記第1の平面を挟むように配置され、
前記反射光は、前記第1の平面上に前記反射光を投影すると、前記第1の反射面における一度の反射で前記第1の出射面に到達し、前記第2の平面上に前記反射光を投影すると、前記側面で反射されて前記第1の出射面に到達する前照灯モジュール。
<付記2>
前記光軸方向において、前記第1の平面上に投影した前記第1の出射面の第1の焦点は、前記第1の光が前記第1の反射面で反射される位置よりも前記第1の出射面側に位置し、前記第2の平面上に投影した前記第1の出射面の第2の焦点は、前記反射光の前記側面での反射が終わる位置よりも前記第1の反射面側に位置する、または、前記第2の平面上において、前記第1の出射面は負の屈折力を有する付記1に記載の前照灯モジュール。
<付記3>
前記第1の平面上に投影した前記第1の出射面の曲率を前記第1の曲率とし、記第2の平面上に投影した前記第1の出射面の曲率を前記第2の曲率とすると、
前記第2の曲率は、前記第1の曲率よりも小さい付記2に記載の前照灯モジュール。
<付記4>
前記第1の出射面は、前記第1の曲率を有するシリンドリカル面である付記3に記載の前照灯モジュール。
<付記5>
第1の光を発する第1の光源と、
前記第1の光を反射する第1の反射面、前記第1の反射面で反射された反射光を出射する第1の出射面及び1対の側面を含む光学素子と、
前記光学素子から出射された反射光を投射する投射光学素子と
を備え、
前記投射光学素子の光軸を含み前記第1の反射面に垂直な平面を第1の平面とし、前記光軸に平行で前記第1の平面に垂直な平面を第2の平面とすると、
前記1対の側面は、前記第1の反射面と前記第1の出射面との間で、前記第1の平面を挟むように配置され、
前記反射光は、前記第1の平面上に前記反射光を投影すると、前記第1の反射面における一度の反射で前記投射光学素子に到達し、前記第2の平面上に前記反射光を投影すると、前記側面で反射されて前記第1の出射面に到達する前照灯モジュール。
<付記6>
前記光軸方向において、前記第1の平面上に投影した前記投射光学素子の第1の焦点は、前記第1の光が前記第1の反射面で反射する位置よりも前記第1の出射面側に位置し、前記第2の平面上に投影した前記投射光学素子の第2の焦点は、前記第1の出射面よりも前記第1の反射面側に位置する、または、前記第2の平面上において、前記投射光学素子は負の屈折力を有する付記5に記載の前照灯モジュール。
<付記7>
前記第1の平面上における前記投射光学素子の屈折力を前記第1の屈折力とし、記第2の平面上における前記投射光学素子の屈折力を前記第2の屈折力とすると、
前記第2の屈折力は、前記第1の屈折力よりも小さい付記6に記載の前照灯モジュール。
<付記8>
前記投射光学素子は、前記第1の屈折力を有するシリンドリカル面である付記7に記載の前照灯モジュール。
<付記9>
前記第1の反射面は、前記光軸の方向において、前記第1の出射面側を向くように傾斜している付記1から8のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記10>
前記光学素子は、前記一対の側面によって形成された第1の導光部に沿って配置された第2の導光部を備え、
前記第2の導光部の出射面は、前記第1の出射面と同一である付記1から9のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記11>
前記第2の導光部の前記第1の出射面側は、前記第1の導光部と繋がっており、前記第1の導光部で導光された前記第1の光が前記第2の導光部に入射する付記10に記載の前照灯モジュール。
<付記12>
前記第2の導光部は、第2の入射面を備え、
前記第1の平面上に投影した前記第2の入射面の第3の曲率は、前記第2の平面上に投影した前記第2の入射面の第4の曲率よりも小さい付記10または11に記載の前照灯モジュール。
<付記13>
前記第2の導光部の入射面は、前記第4の曲率を有するシリンドリカル面である付記12に記載の前照灯モジュール。
<付記14>
第2の光を発する第2の光源を備え、
前記第2の光は、第2の導光部に入射する付記10から13のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記15>
付記1から14のいずれか1つに記載の前照灯モジュールを備えた前照灯装置。
<付記(2)>
<付記1>
配光パターンを形成して、当該配光パターンを投影する車両用の前照灯モジュールであって、
第1の光を発する第1の光源と、
前記第1の光を反射する反射面および前記反射面で反射された前記第1の光を導光する第1の導光部を含む光学素子と
を備え、
前記車両の垂直方向に対応する方向においては、前記反射面で反射された前記第1の光と前記反射面で反射されなかった前記第1の光とが重畳されて形成される高光度領域を含む前記配光パターンが投影され、
前記車両の水平方向に対応する方向においては、前記第1の導光部で反射された前記第1の光が出射される前照灯モジュール。
<付記2>
前記反射面は、前記光学素子内の光路が広がる方向に傾斜している付記1に記載の前照灯モジュール。
<付記3>
前記第1の導光部と並べて配置された第2の導光部を備えた付記1または2に記載の前照灯モジュール。
<付記4>
第2の光を発する第2の光源を備え、
前記第2の導光部は、前記第2の光を導光する付記3に記載の前照灯モジュール。
<付記5>
配光パターンを形成して、当該配光パターンを投影する車両用の前照灯モジュールであって、
第1の光を発する第1の光源と、
第2の光を発する第2の光源と、
前記第1の光を導光する第1の導光部、前記第2の光を導光する第2の導光部を含む光学素子と
を備え、
前記第1の導光部と前記第2の導光部とは、並べて配置される前照灯モジュール。
<付記6>
前記車両の垂直方向に対応する方向においては、前記第1の導光部に入射する前記第1の光によって形成された前記配光パターンが投影され、
前記車両の水平方向に対応する方向においては、前記第1の導光部で反射された前記第1の光が出射される付記5に記載の前照灯モジュール。
<付記7>
前記第2の導光部に入射する前記第2の光によって形成された前記配光パターンが投影される付記4から5のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記8>
前記第1の導光部は、前記水平方向に対応する方向に一対の側面を備える付記4から7のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記9>
前記第1の光は、前記一対の側面で反射されることで導光される付記8に記載の前照灯モジュール。
<付記10>
前記水平方向に対応する方向においては、前記光学素子から出射される前記第1の光の発散角は、前記第1の導光部での反射によって決められる付記4から9のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記11>
前記第2の導光部は、第2の出射面を含む付記4から10のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記12>
前記第2の出射面は、前記第2の光を出射する付記11に記載の前照灯モジュール。
<付記13>
前記第2の導光部の前記第2の出射面側は、前記第1の導光部と繋がっており、前記第1の導光部で導光された前記第1の光が前記第2の導光部に入射する付記11または12に記載の前照灯モジュール。
<付記14>
前記第2の導光部に入射した前記第1の光は、前記第2の出射面から出射される付記11から13のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記15>
前記第1の導光部は、前記第1の光が出射される第1の出射面を含む付記4から10のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記16>
前記第2の導光部は、第2の出射面を含む付記15に記載の前照灯モジュール。
<付記17>
前記第2の出射面は、前記第1の出射面と同一の面に形成される付記16に記載の前照灯モジュール。
<付記18>
前記第2の光は、前記第2の出射面から出射される付記16または17に記載の前照灯モジュール。
<付記19>
前記第2の導光部の前記第2の出射面側は、前記第1の導光部と繋がっており、前記第1の導光部で導光された前記第1の光が前記第2の導光部に入射する付記16から18のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記20>
前記第2の導光部に入射した前記第1の光は、前記第2の出射面から出射される付記16から19のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記21>
前記第1の出射面は、正のパワーを有する付記15から20のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記22>
前記第1の出射面は、前記配光パターンを投影する投射光学部である付記15から21のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記23>
前記第1の出射面から出射された前記第1の光を入射して前記配光パターンを投影する投射光学素子を備え、
前記投射光学素子は、前記配光パターンを投影する投射光学部である付記15から20のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記24>
前記第1の出射面とともに、前記配光パターンを投影する投射光学素子を備え、
前記第1の出射面と前記投射光学素子とは、前記配光パターンを投影する投射光学部である付記15から20のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記25>
前記光学素子から出射された前記第1の光と前記光学素子から出射された前記第2の光とを入射して前記配光パターンを投影する投射光学素子を備え、
前記投射光学素子は、前記配光パターンを投影する投射光学部である付記16から20のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記26>
前記光学素子から出射された前記第1の光と前記光学素子から出射された前記第2の光とを入射して前記第1の出射面および前記第2の出射面とともに前記配光パターンを投影する投射光学素子を備え、
前記第1の出射面、前記第2の出射面および前記投射光学素子は、前記配光パターンを投影する投射光学部である付記16から20のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記27>
前記第1の導光部における前記投射光学部の光軸方向において、前記垂直方向に対応する方向における前記投射光学部の第1の焦点は、前記第1の光によって前記配光パターンが形成される位置よりも前記投射光学部側に位置し、前記水平方向に対応する方向における前記投射光学部の第2の焦点は、第1の導光部での前記第1の光の反射が終わる位置よりも前記第1の光の前記配光パターンの形成される位置側に位置するか、または、前記水平方向に対応する方向における前記投射光学部のパワーは負の値である付記22から26のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記28>
前記垂直方向に対応する方向における前記投射光学部のパワーは、前記水平方向に対応する方向における前記投射光学部のパワーよりも大きい付記22から27のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記29>
前記投射光学部は、前記水平方向に対応する方向にパワーを持たない付記22から28のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記30>
前記第2の導光部は、第2の入射面を備える付記4から29のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記31>
前記第2の光は、前記第2の入射面から前記第2の導光部に入射する付記30に記載の前照灯モジュール。
<付記32>
前記垂直方向に対応する方向の前記第2の入射面の曲率は、前記水平方向に対応する方向の前記第2の入射面の曲率よりも大きい付記30または31に記載の前照灯モジュール。
<付記33>
前記垂直方向に対応する方向の前記第2の入射面のパワーは、前記水平方向に対応する方向の前記第2の入射面のパワーよりも大きい付記30から32のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記34>
前記第2の入射面は、シリンドリカル面である付記30から33のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記35>
前記光学素子は、前記第1の光源から発せられた前記第1の光を反射する反射面を備える付記5から34のいずれか1つに記載の前照灯モジュール。
<付記36>
前記反射面は、前記反射面で反射された前記第1の光と前記反射面で反射されなかった前記第1の光とが重畳されて形成される高光度領域を含む前記配光パターンを形成する付記35に記載の前照灯モジュール。
<付記37>
付記1から36のいずれか1つに記載の前照灯モジュールを備えた前照灯装置。