JPWO2017098962A1 - インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また、1つのインクジェットヘッドで複数色のインクを印刷可能なインクジェットヘッドが知られている(例えば、特許文献1)。これにより、インクジェット記録装置に必要となるインクジェットヘッドの数を減らすことができるため、実装する際の手間を低減させるとともに、インクジェット記録装置の小型化が可能となる。
インクを射出する複数のノズルと、前記複数のノズルにそれぞれ連通する複数の圧力室と、前記複数の圧力室の内部に圧力変化を生じさせることにより、前記ノズルからインクを射出させる圧力発生手段と、を有するヘッドチップと、
前記複数の圧力室に供給するインクを貯留するインク室と、を備え、
前記インク室は、分離部材によって、複数の部屋に分離されており、
前記分離部材の少なくとも一部が、金属又はセラミックによって形成されていることを特徴とする。
前記ヘッドチップは、前記インク室から当該ヘッドチップ内の各々の圧力室にインクを供給するための複数のインク供給孔が設けられたインク供給孔形成面を有し、
前記分離部材は、前記インク室を分離する分離壁と、前記インク供給孔形成面に接合し当該分離壁を保持する分離壁保持部とを有する構成であることを特徴とする。
前記分離壁保持部が、金属又はセラミックによって形成されていることを特徴とする。
前記インク室内のインクを加熱可能なインクの加熱機構を備えることを特徴とする。
前記インクの加熱機構は、前記インク室の前記複数の部屋のインクを個別に加熱可能であることを特徴とする。
前記インク室の前記複数の部屋の各々に、インクを供給する複数のインク導入部を備え、
前記複数のインク導入部のうち一のインク導入部は、対応する部屋のノズル配列方向の一端部に設けられ、当該一のインク導入部が設けられた部屋の隣の部屋に設けられた他の一のインク導入部は、前記隣の部屋のノズル配列方向の他端部に設けられていることを特徴とする。
前記インク室の前記複数の部屋の各々からインクを排出する複数のインク排出部を備えることを特徴とする。
前記インク室内に、ヘッドチップ側の第1領域とヘッドチップ側と反対側の第2領域とに前記インク室内を仕切るように配設された、当該インク室内の異物を除去するためのフィルターを備え、
前記複数のインク排出部のうち、前記インク室の前記複数の部屋の各々に対応する一のインク排出部が、当該一のインク排出部が設けられた前記インク室の部屋に設けられた前記インク導入部と、ノズル配列方向の他端部に設けられており、
当該一のインク排出部は、前記第1領域に連通し前記第1領域のインクを排出可能なインク排出路を有することを特徴とする。
前記分離壁保持部は、前記分離壁と接合する面が、前記インク供給孔形成面と接合する面よりも面積が大きいことを特徴とする。
前記分離壁保持部は、前記インク供給孔形成面と接合する面から、前記分離壁と接合する面へ、階段状に広がるように形成されていることを特徴とする。
前記インク供給孔形成面において、前記インク供給孔の列間隔がそれぞれ等間隔となるように配列されていることを特徴とする。
請求項1〜11のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドと、
前記インク室にインクの供給及び排出を行うメンテナンス手段と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置である。
なお、以下の説明では、ラインヘッドを用いた記録媒体の搬送のみで描画を行う1パス描画方式での実施形態を例にして説明するが、適宜の描画方式に適用可能であり、例えば、スキャン方式やドラム方式を用いた描画方式を採用しても良い。
インクジェット記録装置100は、プラテン101、搬送ローラー102、ラインヘッド103,104等を備える(図1)。
プラテン101は、上面に記録媒体Kを支持しており、搬送ローラー102が駆動されると、記録媒体Kを搬送方向(X方向)に搬送する。
ラインヘッド103,104は、記録媒体Kの搬送方向の上流側から下流側にかけて、搬送方向に直交する幅方向に並列して設けられている。そして、ラインヘッド103,104の内部には、インクジェットヘッド1が少なくとも一つ設けられており、例えば、シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),黒(K)のインクを記録媒体Kに向けて射出する。
インクジェットヘッド1の構成について説明する。
なお、以下の説明において、複数のノズル11が設けられた平面をX−Y平面とし、当該平面に沿う方向であって、互いに直交する方向をそれぞれX方向、Y方向とする。また、X−Y平面に直交する方向をZ方向とする。また、X方向の矢印の先端側をX方向の下流側、当該先端側とは逆方向側をX方向の上流側とする。
金属としては、一般に高熱伝導率であるので種類は特に問わないが、例えば、42アロイ、ニッケル、コバール、インバー、ステンレス、銅、アルミダイカスト、アルミニウム等を用いることができる。また、これらの中でも、低線膨張であるという観点から、42アロイ、ニッケル、コバール、インバーであることが好ましく、42アロイであることが特に好ましい。
セラミックとしては、高熱伝導率であれば特に限られないが、低線膨張であり、耐インク性にも優れるという観点から、例えば、窒化アルミ、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素等を用いることが好ましい。
また、第1インク排出部302a(302b)及び第2インク排出部303a(303b)は、それらが設けられたインク室3の部屋に設けられたインク導入部301a(301b)と、ノズル配列方向(Y方向)の他端部に設けられている。
第2インク排出部303a,303bは、第1領域Aに連通するインク排出路304a,304bを有しており、後述するメンテナンス機構によって、フィルターFの下に存在するインクを気泡等とともに排出することができる。
図5に示した通り、インク室3内では、インク導入部301a(301b)が設けられた一端部から、第1インク排出部302a(302b)設けられた他端部の方向に向かってインクが流れている。そして、インク導入部301aとインク導入部301bは、それぞれ他端側に設けられているため、隣接するインク室3の部屋のインクとは、逆方向にインクが流れるようになっている。
また、ヒーター80a,80bは、図2A等に示すように、インク室3の各部屋に1つずつ設けられている。また、ヒーター80aは、入力リード線82a及び出力リード線83aを有し、ヒーター80bは、入力リード線82b及び出力リード線83bを有しているため、ヒーターの駆動装置(図示省略)から、それぞれの部屋に個別に電気の供給が可能な構成となっている。このように、本実施形態のインクジェットヘッド1は、ヒーター80a,80bによって、インク室3の複数の部屋のインクを個別に加熱可能な構成とすることが好ましい。これにより、個々のインク室3のインク温度を別々に制御することができ、例えば、インク室3の片方の部屋に冷たいインクが流れてきた際に、その片方の部屋に対応するヒーター80a(80b)によって、その片方の部屋を個別に温度調整できる。
また、ヒーター80a,80bの外側には、それぞれ伝熱板81a,81bが設けられている。伝熱板81a,81bは、インク室3の外周に設けられたヒーター80a,80bを保護するとともに、伝熱板81a,81bが温まることによって、インク室3に熱を伝える役割も有している。また、インク室3の部屋単位で温度制御できるようにする観点から、伝熱板81a,81bは、ヒーター80a,80bに対応してインク室3の部屋の各々に設けられることが好ましい。
また、保持部90は、インク供給孔形成面600上に設けられたスペーサー部91と、当該スペーサー部91の上面に設けられた支持部92と、を有している(図8)。これにより、スペーサー部91をヘッドチップ2の上面に高精度に位置合わせして設けた後に、当該スペーサー部91の上面に支持部92を設け、当該支持部92を目印として、インク室3の外周壁3aと分離壁3bを設けることができる。このような構成とすることで、簡易な構成で高精度にインク室3を分離することができる。
スペーサー部91は、分離壁支持部92bに接合する第1スペーサー部91bと、インク供給孔601とインク室3とを連通する連通孔602を有する第2スペーサー部91cと、外周壁支持部92aに接合する第3スペーサー部91aと、を有している。
ここで、外周壁支持部92aと第3スペーサー部91aを合わせて外周壁保持部90aともいい、分離壁支持部92bと第1スペーサー部91bを合わせて分離壁保持部90bともいう。
また、保持部90全体を金属又はセラミックとすることで、インク供給孔601付近の温度をより均一化しやすくできる。さらには、フィルターFや、ヘッドチップ2も熱伝導性の高い材料で作製することが、インク室3の部屋と部屋の間のインク温度、特にインク供給孔601付近のインク温度をより均一化する観点から、好ましい。
また、分離壁保持部90bの形状としては、製造効率の観点から、インク供給孔形成面600と接合する面から、分離壁3bに接合する面に向かうにつれ、階段状に広がるように形成されていることが好ましい。
また、分離壁保持部90bの形状としては、インク供給孔形成面600と接合する面から、分離壁3bと接合する面に向かうにつれ、分離壁保持部90bのXY平面の断面積が徐々に大きくなる形態としても良い。
また、第1スペーサー部91b及び分離壁支持部92bの形状としては、製造効率の観点から、インク供給孔形成面600側の面から、分離壁3b側の面に向かうにつれ、階段状に広がるように形成されていることが好ましく、XY平面の断面積が徐々に大きくなる形態としても良い。
また、第2スペーサー部91cは、分離壁保持部90bと同様に、金属又はセラミックによって形成することが好ましい。第2スペーサー部91cは、インク供給孔601の近くに部材を有しているので、インク供給孔601付近の温度をより均一化しやすくできる。
また、スペーサー部91は、少なくとも第1スペーサー部91b及び第3スペーサー部91aが一体成形されていることが好ましく、第1スペーサー部91b、第2スペーサー部91c及び第3スペーサー部91aが一体成形されていることがより好ましい。また、第1スペーサー部91b及び第3スペーサー部91aのZ方向の高さが同一であることが好ましい。このような構成とすることで、インク供給孔形成面600上に高精度に接合することができ、さらには、スペーサー部91上に支持部92をより高精度に接合することができる。
分離壁支持部92bは、第1スペーサー部91b上に接合され、インク室3の分離壁3bを支持している。
本発明のスペーサー部91を有した位置合わせの方法を用いれば、±5μm程度の誤差レベルでの位置合わせが可能であり、10μm程度の狭ピッチのインク供給孔601を有するインク供給孔形成面600に対しても、高精度に位置合わせ可能である。
インク射出部7,8は、図9及び図10に示す通り、2つの形態を有しており、インク射出部7は、配線基板50に貫通電極55を備え、インク射出部8は、配線基板50に貫通電極55を備えない形態である。
なお、以下の説明では、まずインク射出部7について詳細に説明し、インク射出部8については、インク射出部7との相違点のみを後述する。
また、インク射出部7のZ方向における位置関係を説明する都合上、図11には、後述の圧力室311やインレット512等を実線で示して説明する。
圧力室層31は、シリコン製の基板であり、接着用基板20の上面に積層され、接合されている。圧力室層31には、ノズル11から射出されるインクに射出圧力を付与する圧力室311が、当該圧力室層31をZ方向に貫通するように形成されている。圧力室311は、貫通孔201及びノズル11の上方に設けられ、これら貫通孔201及びノズル11と連通している。また、圧力室層31には、圧力室311と連通する連通部312が、当該圧力室層31をZ方向に貫通しつつ水平方向に延在するように形成されている(図11参照)。
振動板32は、圧力室311の開口を覆うように圧力室層31の上面に積層され、接合されている。すなわち、振動板32は、圧力室311の上壁部を構成している。振動板32の表面には、酸化膜が形成されている。また、振動板32には、連通部312と連通してZ方向に貫通する貫通孔321が形成されている。
圧電素子42は、圧力室311と略同一の平面視形状に形成され、振動板32を挟んで圧力室311と対向する位置に設けられている(図11参照)。圧電素子42は、振動板32を変形させるためのPZT(lead zirconium titanate)からなるアクチュエーターで
ある。また、圧電素子42には、上面及び下面に2つの電極421,422が設けられており、このうち下面側の電極422が振動板32に接続されている。
また、スペーサー基板40には、振動板32の貫通孔321と連通してZ方向に貫通する貫通孔401が、空間41とは独立して形成されている。
インターポーザ51には、Z方向に貫通するスルーホール511が形成されており、このスルーホール511には、貫通電極55が挿通されている。貫通電極55の下端には、水平方向に延在する銅製の第三配線56の一端が接続されており、この第三配線56の他端には、圧電素子42上面の電極421に設けられたスタッドバンプ423が、空間41内に露出した半田561を介して接続されている。貫通電極55の上端には、第一配線57が接続されており、第一配線57は水平方向に延在し、接続部材4に接続されている(図3参照)。また、第三配線56は、インターポーザ51下面の2層の絶縁層52,53によって挟まれて保護されている。
なお、第三配線56は銅製であるとしたが、導体であれば素材は適宜変更可能であり、例えば、アルミニウムを使用することとしても良い。
また、インターポーザ51には、スペーサー基板40の貫通孔401と連通してZ方向に貫通するインレット512が形成されている。なお、絶縁層52〜54のうち、インレット512近傍を被覆する各部分は、インレット512よりも大きい開口径となるように形成されている。
また、接着層60には、インレット512と連通してZ方向に貫通するインク供給孔601が形成されている。
インターポーザ51の下面には、第三配線56が水平方向に延在しており、インターポーザ51下面の2層の絶縁層52,53によって挟まれて保護されている。第三配線56の一端には、圧電素子42上面の電極421に設けられたスタッドバンプ423が、空間41内に露出した半田561を介して接続されている。また、第三配線56の他端には、第二配線58が接続されており、第二配線58は水平方向に延在し、接続部材4に接続されている(図3参照)。
ノズル11は、図12に示すように、ノズル基板10上に平行四辺形状の4つのノズル形成エリアN1〜N4を形成し、各ノズル形成エリア内に平行四辺形の各辺の方向に沿ってマトリクス状に並んで配置されている。なお、以下の説明では、平行四辺形のうちY方向に平行な方向を第1方向D1とし、X方向からY方向に対して幾分傾斜した方向を第2方向D2として説明する。
インクジェットヘッド1におけるノズル形成エリアN1〜N4の配置は、図13に示す通り、X方向の下流側からN1、N3、N2、N4となるように配置されている。
また、各ノズル形成エリアN1〜N4は、それぞれのノズル形成エリアから近い方の配線基板50の端部に配線されており、具体的には、N1とN3はX方向の下流側、N2とN4はX方向の上流側に配線されて接続部材4に接続され、最終的に駆動部5に接続される。
なお、説明の都合上、図13では、ノズル形成エリアN2、N3において、上部の一箇所のみ貫通している図を示しているが、実際には、各ノズル11に対応して、それぞれ一つずつ貫通電極55を備え、各ノズル11に対応して一つずつ配線基板50を貫通して配線されている。
インクジェット記録装置100の機能的構成について、図14を用いて説明する。
図14に示すように、インクジェット記録装置100は、当該装置を構成する各部を制御する制御部200を備えている。
ROM200cには、各種処理プログラムが記憶されており、CPU200aは、ROM200cに記憶されている各種プログラムを読み出してRAM200bに展開し、展開したプログラムに従ってインクジェット記録装置100の各部の動作を制御する。
また、制御部200によって、駆動部5が駆動されると、接続部材4を介して、ヘッドチップ2の圧電素子42に電気が供給され、圧電素子42が変位して圧力室311を加圧することによって、ノズル11からインクの射出が行われる。
また、制御部200によって、ヒーターの駆動装置(図示略)が駆動されると、ヒーター80a,80bに電気が供給され、インク室3の温度の制御が行われる。
以下、制御部200によるインクの供給及び排出機構について、詳細に説明する。
制御部200は、例えば、メンテナンス手段としての供給用ポンプ211、排出用ポンプ212、第1〜第3連通弁221〜223等の駆動を制御して、インクジェットヘッド1のメンテナンス、インク室3へのインクの供給、インク室3からのインクの排出等を制御する。
なお、インク室3内の部屋の各々に対して、供給用ポンプ211、排出用ポンプ212、第1〜第3連通弁221〜223が別々に設けられているが、以下の説明では、インク導入部301a、第1インク排出部302a、及び第2インク排出部303aが設けられているインク室3の部屋に対するインクの供給及び排出について、代表例に挙げて説明する。
第1連通弁221は、例えば、供給用インク流路の供給用ポンプ211とインク導入部301aとの間に設けられている。また、第1連通弁221は、制御部200からの制御信号に応じてバルブを変位させて供給用インク流路を遮断する状態と連通する状態とに切り換える。
なお、第1連通弁221は、例えば、空気の圧力を調整してバルブを変位させるエアオペレートバルブ、電磁的にバルブを変位させる電磁弁等が適用可能であるが、これらに限定されるものではない。
なお、インク室3への送液量の調整は、供給用ポンプ211の回転数の制御に代えて、例えば、第1連通弁221のバルブを開放状態と閉止状態とする時間の比率(デューティー)を変更することにより行っても良いし、これらの制御を組み合わせて行っても良い。
第2連通弁222は、制御部200からの制御信号に応じてバルブを変位させて第1排出用インク流路を遮断する状態と連通する状態とに切り換える。そして、第2連通弁222により第1排出用インク流路を連通させた状態で、インク室3のインクの導入側の第2領域B内のインクが異物や気泡等とともに第1インク排出部302aを介して第1排出用インク流路を通って排出される。
なお、第2連通弁222の構成は、上記した以外の点で第1連通弁221と略同様であり、その詳細な説明は省略する。
なお、排出用ポンプ212の構成は、上記した以外の点で供給用ポンプ211と略同様であり、その詳細な説明は省略する。
第3連通弁223は、例えば、第2排出用インク流路の第2インク排出部303aと排出用ポンプ212との間に設けられている。また、第3連通弁223は、制御部200からの制御信号に応じてバルブを変位させて第2排出用インク流路を遮断する状態と連通する状態とに切り換える。
なお、第3連通弁223の構成は、上記した以外の点で第1連通弁221及び第2連通弁222と略同様であり、その詳細な説明は省略する。
また、上記したインク室3へインクを供給する機構や、インク室3からインクを排出する機構は、一例であってこれに限られるものではなく、適宜任意に変更可能である。
次に、インクジェット記録装置100のメンテナンス方法について、図4を参照して説明する。なお、メンテナンスは、インク室3内の部屋の各々に対して別々に行われるが、以下の説明では、インク導入部301a、第1インク排出部302a、及び第2インク排出部303aが設けられているインク室3の部屋に対するメンテナンス方法を代表例にして説明する。
また、加圧メンテナンスや減圧メンテナンスは、第1連通弁221により供給用インク流路を連通させ、第2連通弁222により第1排出用インク流路を遮断し、第3連通弁223により第2排出用インク流路を連通させた状態で行われる。
制御部200によって、供給用ポンプ211が駆動することで、インクタンク内のインクが供給用インク流路を通り、インク導入部301aを介してインク室3内に供給される。インク室3内がインクの供給により加圧されることで、インク室3のノズル11側の第1領域Aでは、主として、ノズル11に対し相対的に開口面積の大きい第2インク排出部303aのインク排出路304aの開口へとインクの流れが生じる。これにより、インク室3のノズル11側の第1領域Aに存するインクは、第2インク排出部303aを介して第2排出用インク流路に排出される。
このとき、インク室3のノズル11側の第1領域Aに存する気泡は、その浮力によりフィルターFの下面側(ノズル11と反対側)に存する状態となっている。そして、インク室3内が加圧されることで生じるノズル11側の第1領域A内のインクの流れによって、気泡は第2インク排出部303a側が相対的に高くされているフィルターFの下面に沿うようにインク排出路304aに移動して、インクとともに第2インク排出部303aを介して第2排出用インク流路に排出される。
制御部200によって、排出用ポンプ212が駆動することで、インク室3内のインクが第2インク排出部303aを介して第2排出用インク流路を通って排出される。インク室3内がインクの排出により減圧されることで、インク室3のノズル11側の第1領域Aでは、主として、ノズル11に対し相対的に開口面積の大きい第2インク排出部303a側へとインクの流れが生じる。
このとき、インク室3のノズル11側の第1領域Aに存する気泡は、その浮力によりフィルターFの下面側(ノズル11と反対側)に存する状態となっている。そして、インク室3内が減圧されることで生じるノズル11側の第1領域A内のインクの流れによって、気泡は第2インク排出部303a側が相対的に高くされているフィルターFの下面に沿うようにインク排出路304aに移動して、インクとともに第2インク排出部303aを介して第2排出用インク流路に排出される。
以上、説明した通り、本発明のインクジェットヘッド1は、インクを射出する複数のノズル11と、複数のノズル11にそれぞれ連通する複数の圧力室311と、複数の圧力室311の内部に圧力変化を生じさせることにより、ノズル11からインクを射出させる圧力発生手段としての圧電素子42と、を有するヘッドチップ2と、複数の圧力室311に供給するインクを貯留するインク室3と、を備える。また、インク室3は、分離部材6によって、複数の部屋に分離されており、分離部材6の少なくとも一部が、金属又はセラミックによって形成されている。これにより、分離部材6の少なくとも一部が高熱伝導率となるため、分離されたインク室3の部屋間で熱が伝わりやすくなり、インク室内のインク温度を均一化しやすくできる。
本発明の今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した詳細な説明に限定されるものではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
また、分離されたインク室3内の各部屋には、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及び黒(K)のインクが、それぞれ1色ずつ充填されているとしたが、同色のインクが充填されていてもよい。
また、スペーサー部91は、インク供給孔601を避けるように構成されており、かつ外周壁支持部92aに接合する第3スペーサー部91aと、分離壁支持部92bに接合する第1スペーサー部91bを有する構成となっていれば、適宜変更可能である。
また、ノズル11の配置に関しても適宜変更可能であり、例えば、第1方向D1と第2方向D2とが直交するように配置しても良い。
2 ヘッドチップ
3 インク室
3a 外周壁
3b 分離壁
6 分離部材
11 ノズル
42 圧電素子
80a,80b ヒーター(インクの加熱機構)
90 保持部
90a 外周壁保持部
90b 分離壁保持部
100 インクジェット記録装置
211 供給用ポンプ(メンテナンス手段)
212 排出用ポンプ(メンテナンス手段)
221 第1連通弁(メンテナンス手段)
222 第2連通弁(メンテナンス手段)
223 第3連通弁(メンテナンス手段)
301a,301b インク導入部
302a,302b 第1インク排出部
303a,303b 第2インク排出部
304a,304b インク排出路
311 圧力室
600 インク供給孔形成面
601 インク供給孔
602 連通孔
D1 第1方向(ノズル配列方向)
F フィルター
A 第1領域
B 第2領域
Claims (12)
- インクを射出する複数のノズルと、前記複数のノズルにそれぞれ連通する複数の圧力室と、前記複数の圧力室の内部に圧力変化を生じさせることにより、前記ノズルからインクを射出させる圧力発生手段と、を有するヘッドチップと、
前記複数の圧力室に供給するインクを貯留するインク室と、を備え、
前記インク室は、分離部材によって、複数の部屋に分離されており、
前記分離部材の少なくとも一部が、金属又はセラミックによって形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 前記ヘッドチップは、前記インク室から当該ヘッドチップ内の各々の圧力室にインクを供給するための複数のインク供給孔が設けられたインク供給孔形成面を有し、
前記分離部材は、前記インク室を分離する分離壁と、前記インク供給孔形成面に接合し当該分離壁を保持する分離壁保持部とを有する構成であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。 - 前記分離壁保持部が、金属又はセラミックによって形成されていることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド。
- 前記インク室内のインクを加熱可能なインクの加熱機構を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
- 前記インクの加熱機構は、前記インク室の前記複数の部屋のインクを個別に加熱可能であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットヘッド。
- 前記インク室の前記複数の部屋の各々に、インクを供給する複数のインク導入部を備え、
前記複数のインク導入部のうち一のインク導入部は、対応する部屋のノズル配列方向の一端部に設けられ、当該一のインク導入部が設けられた部屋の隣の部屋に設けられた他の一のインク導入部は、前記隣の部屋のノズル配列方向の他端部に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。 - 前記インク室の前記複数の部屋の各々からインクを排出する複数のインク排出部を備えることを特徴とする請求項6に記載のインクジェットヘッド。
- 前記インク室内に、ヘッドチップ側の第1領域とヘッドチップ側と反対側の第2領域とに前記インク室内を仕切るように配設された、当該インク室内の異物を除去するためのフィルターを備え、
前記複数のインク排出部のうち、前記インク室の前記複数の部屋の各々に対応する一のインク排出部が、当該一のインク排出部が設けられた前記インク室の部屋に設けられた前記インク導入部と、ノズル配列方向の他端部に設けられており、
当該一のインク排出部は、前記第1領域に連通し前記第1領域のインクを排出可能なインク排出路を有することを特徴とする請求項7に記載のインクジェットヘッド。 - 前記分離壁保持部は、前記分離壁と接合する面が、前記インク供給孔形成面と接合する面よりも面積が大きいことを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド。
- 前記分離壁保持部は、前記インク供給孔形成面と接合する面から、前記分離壁と接合する面へ、階段状に広がるように形成されていることを特徴とする請求項9に記載のインクジェットヘッド。
- 前記インク供給孔形成面において、前記インク供給孔の列間隔がそれぞれ等間隔となるように配列されていることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドと、
前記インク室にインクの供給及び排出を行うメンテナンス手段と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
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