JP2013244722A - 液体吐出ヘッドおよびそれを用いた記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】液体吐出ヘッド内に温度のばらつきの生じ難い液体吐出ヘッドおよびそれを用いた記録装置を提供する。また、高温環境で使用可能な液体吐出ヘッドおよびそれを用いた記録装置を提供する。
【解決手段】複数の吐出孔8、複数の吐出孔8が開口している吐出孔面4−1、複数の加圧室10、共通流路5、温度調整用の流体が流れる温調流路15を備えている平板状の流路部材4と、複数の加圧室10の中の液体をそれぞれ加圧する複数の加圧部30とを備えている液体吐出ヘッドであって、共通流路5より温調流路15の方が吐出孔面4−1の近くに配置されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、液滴を吐出させる液体吐出ヘッドおよびそれを用いた記録装置に関するものである。
近年、インクジェットプリンタやインクジェットプロッタなどの、インクジェット記録方式を利用した印刷装置が、一般消費者向けのプリンタだけでなく、例えば電子回路の形成や液晶ディスプレイ用のカラーフィルタの製造、有機ELディスプレイの製造といった工業用途にも広く利用されている。
このようなインクジェット方式の印刷装置には、液体を吐出させるための液体吐出ヘッドが印刷ヘッドとして搭載されている。この種の印刷ヘッドには、インクが充填されたインク流路内に加圧手段としてのヒータを備え、ヒータによりインクを加熱、沸騰させ、インク流路内に発生する気泡によってインクを加圧し、インク吐出孔より、液滴として吐出させるサーマルヘッド方式と、インクが充填されるインク流路の一部の壁を変位素子によって屈曲変位させ、機械的にインク流路内のインクを加圧し、インク吐出孔より液滴として吐出させる圧電方式が一般的に知られている。
また、このような液体吐出ヘッドには、記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に液体吐出ヘッドを移動させつつ記録を行なうシリアル式、および記録媒体より主走査方向に長い液体吐出ヘッドを固定した状態で、副走査方向に搬送されてくる記録媒体に記録を行なうライン式がある。ライン式は、シリアル式のように液体吐出ヘッドを移動させる必要がないので、高速記録が可能であるという利点を有する。
液体吐出ヘッドとしては、マニホールド(共通流路)およびマニホールドから複数の加圧室をそれぞれ介して繋がる吐出孔を有した流路部材と、前記加圧室をそれぞれ覆うように設けられた複数の変位素子を有するアクチュエータユニットとを積層して構成したものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。この液体吐出ヘッドでは、複数の吐出孔にそれぞれ繋がった加圧室がマトリックス状に配置され、それを覆うように設けられたアクチュエータユニットの変位素子を変位させることで、各吐出孔からインクを吐出させ、主走査方向に600dpiの解像度で印刷が可能とされている。
特開2003−305852号公報
しかしながら、特許文献1に記載の液体吐出ヘッドでは、液体吐出ヘッド内に温度差が生じることで液体吐出ヘッド内で吐出特性のばらつきが大きくなることがあった。温度が変わることで、使用する液体の粘度や、吐出させる加圧部の特性などが変わるためである。安定した温度で使用するために、液体吐出ヘッドにヒータを付けることも行なわれているが、温度差を充分小さくできない場合がある。
また、液体吐出ヘッドの使用可能温度以上の環境で使用される場合、例えば60℃を越えるような環境で使用される場合、液体吐吐出ヘッドを冷却する必要があるが、適切な手段がなかった。
したがって、本発明の目的は、液体吐出ヘッド内に温度のばらつきの生じ難い液体吐出ヘッドおよびそれを用いた記録装置を提供することにある。また、本発明の目的は、高温環境で使用可能な液体吐出ヘッドおよびそれを用いた記録装置を提供することにある。
本発明の液体吐出ヘッドは、複数の吐出孔、該複数の吐出孔が開口している吐出孔面、前記複数の吐出孔とそれぞれ繋がっている複数の加圧室、該複数の加圧室と繋がっている共通流路、温度調整用の流体が流れる温調流路を備えている平板状の流路部材と、該流路部材と接合されており、前記複数の加圧室の中の液体をそれぞれ加圧する複数の加圧部と
を備えている液体吐出ヘッドであって、前記共通流路より前記温調流路の方が前記吐出孔面の近くに配置されていることを特徴とする。
また、本発明の記録装置は、前記液体吐出ヘッドと、前記温調流路に温度を調節した流体を供給する温調部と、液体吐出ヘッド記録媒体を前記液体吐出ヘッドに対して搬送する搬送部と、前記複数の加圧部を制御する制御部とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、熱伝導部により、長手方向の熱伝導性がよくなり、液体吐出ヘッド内の温度ばらつきを低減でき、ひいては液体吐出ヘッド内の吐出特性のばらつきを小さくできる。
本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッドを含む記録装置であるカラーインクジェットプリンタの概略構成図である。 図1の液体吐出ヘッドを構成する流路部材および圧電アクチュエータの平面図である。 図2の一点鎖線に囲まれた領域の拡大図であり、説明のため一部の流路を省略した図である。 図2の一点鎖線に囲まれた領域の拡大図であり、説明のため一部の流路を省略した図である。 図3のV−V線に沿った縦断面図である。 本発明の他の液体吐出ヘッドに用いられる流路部材の模式的な平面図である。 本発明の他の液体吐出ヘッドに用いられる流路部材の模式的な縦断面図である。 本発明の他の液体吐出ヘッドの部分縦断面図である。
図1は、本発明の一実施形態による液体吐出ヘッドを含む記録装置であるカラーインクジェットプリンタの概略構成図である。このカラーインクジェットプリンタ1(以下、プリンタ1とする)は、液体吐出ヘッド2を有している。液体吐出ヘッド2は、プリンタ1に固定されている。液体吐出ヘッド2は、図1の手前から奥へ向かう方向に細長い長尺形状を有している。この長い方向を長手方向と呼ぶことがある。
プリンタ1には、印刷用紙Pの搬送経路に沿って、給紙ユニット114、搬送ユニット120および紙受け部116が順に設けられている。また、プリンタ1には、液体吐出ヘッド2や給紙ユニット114などのプリンタ1の各部における動作を制御するための制御部100が設けられている。
給紙ユニット114は、複数枚の印刷用紙Pを収容することができる用紙収容ケース115と、給紙ローラ145とを有している。給紙ローラ145は、用紙収容ケース115に積層して収容された印刷用紙Pのうち、最も上にある印刷用紙Pを1枚ずつ送り出すことができる。
給紙ユニット114と搬送ユニット120との間には、印刷用紙Pの搬送経路に沿って、二対の送りローラ118aおよび118b、ならびに、119aおよび119bが配置されている。給紙ユニット114から送り出された印刷用紙Pは、これらの送りローラによってガイドされて、さらに搬送ユニット120へと送り出される。
搬送ユニット120は、エンドレスの搬送ベルト111と2つのベルトローラ106および107を有している。搬送ベルト111は、ベルトローラ106および107に巻き掛けられている。搬送ベルト111は、2つのベルトローラに巻き掛けられたとき所定の張力で張られるような長さに調整されている。これによって、搬送ベルト111は、2つのベルトローラの共通接線をそれぞれ含む互いに平行な2つの平面に沿って、弛むことなく張られている。これら2つの平面のうち、液体吐出ヘッド2に近い方の平面が、印刷用紙Pを搬送する搬送面127である。
ベルトローラ106には、図1に示されるように、搬送モータ174が接続されている。搬送モータ174は、ベルトローラ106を矢印Aの方向に回転させることができる。また、ベルトローラ107は、搬送ベルト111に連動して回転することができる。したがって、搬送モータ174を駆動してベルトローラ106を回転させることにより、搬送ベルト111は、矢印Aの方向に沿って移動する。
ベルトローラ107の近傍には、ニップローラ138とニップ受けローラ139とが、搬送ベルト111を挟むように配置されている。ニップローラ138は、図示しないバネによって下方に付勢されている。ニップローラ138の下方のニップ受けローラ139は、下方に付勢されたニップローラ138を、搬送ベルト111を介して受け止めている。2つのニップローラは回転可能に設置されており、搬送ベルト111に連動して回転する。
給紙ユニット114から搬送ユニット120へと送り出された印刷用紙Pは、ニップローラ138と搬送ベルト111との間に挟み込まれる。これによって、印刷用紙Pは、搬送ベルト111の搬送面127に押し付けられ、搬送面127上に固着する。そして、印刷用紙Pは、搬送ベルト111の回転に従って、液体吐出ヘッド2が設置されている方向へと搬送される。なお、搬送ベルト111の外周面113に粘着性のシリコンゴムによる処理を施してもよい。これにより、印刷用紙Pを搬送面127に確実に固着させることができる。
液体吐出ヘッド2は、下端にヘッド本体2aを有している。ヘッド本体2aの下面は、液体を吐出する多数の吐出孔が設けられている吐出孔面4−1となっている。
1つの液体吐出ヘッド2に設けられた吐出孔からは、4色の液滴(インク)が吐出されるようになっている。液体吐出ヘッド2の各色を吐出する吐出孔は、一方方向(印刷用紙Pと平行で印刷用紙Pの搬送方向に直交する方向であり、液体吐出ヘッド2の長手方向)に等間隔で配置されているため、各色を一方方向に隙間なく印刷することができる。液体吐出ヘッド2から吐出される液体の色は、例えば、それぞれ、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)である。液体吐出ヘッド2は、ヘッド本体2aの下面の吐出孔面4−1と搬送ベルト111の搬送面127との間にわずかな隙間をおいて配置されている。
搬送ベルト111によって搬送された印刷用紙Pは、液体吐出ヘッド2と搬送ベルト111との間の隙間を通過する。その際に、液体吐出ヘッド2を構成するヘッド本体2aから印刷用紙Pの上面に向けて液滴が吐出される。これによって、印刷用紙Pの上面には、制御部100によって記憶された画像データに基づくカラー画像が形成される。
搬送ユニット120と紙受け部116との間には、剥離プレート140と二対の送りローラ121aおよび121bならびに122aおよび122bとが配置されている。カラー画像が印刷された印刷用紙Pは、搬送ベルト111によって剥離プレート140へと搬送される。このとき、印刷用紙Pは、剥離プレート140の右端によって、搬送面127から剥離される。そして、印刷用紙Pは、送りローラ121a〜122bによって、紙受け部116に送り出される。このように、印刷済みの印刷用紙Pが順次紙受け部116に送られ、紙受け部116に重ねられる。
なお、印刷用紙Pの搬送方向について最も上流側にある液体吐出ヘッド2とニップローラ138との間には、紙面センサ133が設置されている。紙面センサ133は、発光素子および受光素子によって構成され、搬送経路上の印刷用紙Pの先端位置を検出することができる。紙面センサ133による検出結果は制御部100に送られる。制御部100は、紙面センサ133から送られた検出結果により、印刷用紙Pの搬送と画像の印刷とが同期するように、液体吐出ヘッド2や搬送モータ174等を制御することができる。
次に、本発明の液体吐出ヘッド2について説明する。
図2は、ヘッド本体2aの平面図である。図3は、図2の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図であり、説明のため一部の流路を省略した図である。図4は、図2の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図であり、説明のため図3とは異なる一部の流路を省略した図である。なお、図3および図4において、図面を分かりやすくするために、圧電アクチュエータ基板21の下方にあって破線で描くべきマニホールド(共通流路)5、吐出孔8、加圧室10などを実線で描いている。図4は図のV−V線に沿った縦断面図である。
液体吐出ヘッド2は、ヘッド本体2a以外に、図示しないリザーバと金属製の筐体とを含んでいる。また。ヘッド本体2aは、流路部材4と、変位素子(加圧部)30が作り込まれている圧電アクチュエータ基板21とを含んでいる。
リザーバには、液体吐出ヘッド2の外部から供給される吐出する液体をヘッド本体2aに送るリザーバ流路と、後述の温度調整用の流体をヘッド本体2aに送る温調用リザーバ流路が設けられている。また、リザーバには、リザーバ流路には、変形することでリザーバ流路の体積を変えることができるダンパが備えられており、ヘッド本体2aに供給する液体の量が急激に変わった際などに、液体が安定して供給できるようになっている。さらに、リザーバにはフィルタが設けられており、液体に含まれているおそれのある異物などが、リザーバ流路を通って、ヘッド本体2aに行き難いようにしている。
ヘッド本体2aを構成する平板状の流路部材4は、共通流路であるマニホールド5と、マニホールド5と繋がっている複数の加圧室10と、複数の加圧室10とそれぞれ繋がっている複数の吐出孔8とを備え、加圧室10は流路部材4の上面に開口しており、流路部材4の上面が加圧室面4−2となっている。また、流路部材4の上面にはマニホールド5と繋がる開口5aを有し、この開口5aより液体が供給されるようになっている。
マニホールド5の両端から流路部材4へ液体を供給することにより、液体の供給不足が起り難くできる。また、マニホールド5の一端から供給する場合と比較して、マニホール
ド5を液体が流れる際に生じる圧力損失の差を約半分にできるため、液体吐出特性のばらつきを少なくできる。さらに、圧力損失の差を少なくするために、マニホールド5の中央付近で供給したり、マニホールド5の途中の数か所から供給することも考えられるが、そのような構造では液体吐出ヘッド2の幅が大きくなり、吐出孔8の配置の幅方向への広がりも大きくなってしまう。そうなると、液体吐出ヘッド2をプリンタ1に取り付ける角度のずれが印刷結果に与える影響が大きくなるので好ましくない。複数の液体吐出ヘッド2を用いて印刷する場合においても、複数の液体吐出ヘッド2の全体の吐出孔8が配置されている面積が広がるので、複数の液体吐出ヘッド2の相対的な位置の精度が印刷結果に与える影響が大きくなるので好ましくない。そのため、液体吐出ヘッド2の幅を小さくしつつ、圧力損失の差を少なくするためには、マニホールド5の両端から供給するのが好ましい。
また、流路部材4の上面には、変位素子30を含む圧電アクチュエータ基板21が接合されており、各変位素子30が加圧室10上に位置するように設けられている。また、圧電アクチュエータ基板21には、各変位素子30に信号を供給するためのFPC(Flexible Printed Circuit)などの信号伝達部が接続されている。
また、流路部材4は、上述の吐出液体が通る流路以外に、ヘッド本体2aの温度を調整するための、液体や気体などの流体が流れる温調流路15を備えている。温調流路15の両端は、加圧室面4−2に開口している(温調流路の)開口15aとなっている。外部で温度を調整された温度調整用の流体は、リザーバを通って一方の開口15aから供給され、温調流路15を通って、他方の開口15aからリザーバに戻り、外部に出ていく。外部においては、温度調整用の流体は、冷却機構および加熱機構のうち少なくとも一方を備える温調部により温度を調整されて、ヘッド本体2aに供給されることにより、ヘッド本体2aの温度を所定の範囲内にする。温度調整用の流体は、液体吐出ヘッド2と温調部とを循環するようにすれば、流体の持つ熱容量によりヘッド本体2aを恒温化できるし、温調部が調節する際に流体に加える温度の変化量が小さくてよくなるので、エネルギーの利用効率を高くできる。
ヘッド本体2aの温度を一定に保つ方法としては、ヒータを用いて、熱伝導でヘッド本体2aを温める方法が知られているが、冷却することはできないし、熱伝導を利用しているため、ヘッド本体2a内の温度分布を小さくすることが難しい。温調流路15は、吐出する液体が流れる流路と繋がっていてもよいが、分離して独立させておけば、吐出する液体とは別に温度や流量を調整できるため好ましい。また、温調流路15と吐出する液体が流れる流路とが繋がっていると、温調流路15の流路特性が吐出に影響を与えるので、温調流路15に設計に制限が加わるおそれがあるが、独立して設ければそのような制約がなくなる。例えば、ヘッド本体2aの中で吐出特性がばらつかないようにするためには、吐出する液体が流れる流路がヘッド本体2aの長手方向において変化しないようするのが望ましいが、温調流路15をこれと独立して設ければ、長手方向において温調流路15の構造を変えることができる。
変位素子30駆動する駆動信号は、制御部100から信号ケーブル(不図示)を介して液体吐出ヘッド2に送られ、信号伝達部に実装されたドライバICで処理され、圧電アクチュエータ基板21の変位素子30に供給される。変位素子30は、流路部材4の内部の液体を加圧することにより、液滴が吐出される。ドライバICは、金属製の筐体に押し当てられており、ドライバICで発生した熱は主に筐体に伝わり、さらに筐体全体に速く広がり、外部に放熱されていく。
ヘッド本体2aは、平板状の流路部材4と、流路部材4上に、変位素子30を含む圧電アクチュエータ基板21を1つ有している。圧電アクチュエータ基板21の平面形状は長
方形状であり、その長方形の長辺が流路部材4の長手方向に沿うように流路部材4の上面に配置されている。
流路部材4の内部には4つのマニホールド5が形成されている。マニホールド5は流路部材4の長手方向に沿って延びる細長い形状を有しており、その両端において、流路部材4の上面にマニホールド5の開口5aが形成されている。本実施例においては、マニホールド5は独立して4本設けられており、それぞれ開口5aにおいて分岐流路52に繋がっている。
また、流路部材4の内部には5つ温調流路15が形成されている。温調流路15は、流路部材4の長手方向に沿って延びる細長い形状を有しており、その両端において、流路部材4の上面に温調流路15の開口15aが形成されている。また、温調流路15は、マニホールド5に沿って設けられている。本実施例においては、温調流路15は独立して5本設けられており、マニホールド5の間、およびマニホールド5とヘッド本体5a長手方向に沿った外壁との間に設けられている。これにより、各マニホールド5aは、温調流路15の間に配置されるので、その中を流れる液体を温度を一定に保ち易い。また、長手方向に沿った外壁とマニホールド5との間に温調流路15が配置されているので、マニホールド5が外部からの熱の影響を受け難くできる。
流路部材4は、複数の加圧室10が2次元的に広がって形成されている。加圧室10は、角部にアールが施されたほぼ菱形の平面形状を有する中空の領域である。加圧室10は流路部材4の上面である加圧室面4−2に開口している。
加圧室10は1つのマニホールド5と個別供給流路14を介して繋がっている。1つのマニホールド5に沿うようにして、このマニホールド5に繋がっている加圧室10の列である加圧室列11が、マニホールド5の両側に2列ずつ、合計4列設けられている。したがって、全体では16列の加圧室列11が設けられている。各加圧室列11における加圧室10の長手方向の間隔は同じであり、37.5dpiの間隔となっている。なお、各加圧室列11の端の加圧室10は、ダミーとなっており、加圧室10のみが設けられている。すなわち、ダミーの加圧室10は、マニホールド5とは繋がっていなく、それから繋がる吐出孔8や他の加圧室10にある吐出孔8と加圧室10を繋ぐ流路も設けられていない。このダミーにより、端から1つ内側の加圧室10の周囲の構造(剛性)が他の加圧室10の構造(剛性)と近くなることで、液体吐出特性の差を少なくできる。
各加圧室列11の加圧室10は、隣接する圧室列11の間に角部が位置するように千鳥状に配置されている。1つのマニホールド5に繋がっている加圧室10により加圧室群が構成されており、加圧室群は4つある。各加圧室群内における加圧室10の相対的な配置は同じになっており、各加圧室群は長手方向にわずかにずれて配置されている。これらの加圧室10は、流路部材4の上面における圧電アクチュエータ基板21に対向する領域に、加圧室群間などの少し間隔が広くなって部分はあるものの、ほぼ全面にわたって配列されている。つまり、これらの加圧室10によって形成された加圧室群9は圧電アクチュエータ基板21とほぼ同一の大きさおよび形状の領域を占有している。また、各加圧室10の開口は、流路部材4の上面に圧電アクチュエータ基板21が接合されることで閉塞されている。
加圧室10の個別供給流路14が繋がっている角部と対向する角部からは、流路部材4の下面の吐出面4−1に開口している吐出孔8に繋がるディセンダ(部分流路)が伸びている。ディセンダは、平面視において、加圧室の対角線を延長する方向に伸びている。つまり、長手方向の吐出孔8の配置と加圧室10配置は同じになっている。各加圧室列11において、加圧室10は37.5dpiの間隔で並んでおり、1つのマニホールド5に繋
がっている加圧室10は全体として、長手方向に150dpiの間隔になっている。さらに、4つのマニホールド5に繋がっている加圧室10は、長手方向に600dpiに相当する間隔でずれて配置されているため、液体加圧室10は全体で長手方向に600dpiの間隔で形成されている。前述のように、吐出孔8の長手方向の配置は液体加圧室10と同じになっているので、吐出孔8の長手方向の間隔も600dpiになっている。
これは別の言い方をすると、流路部材4の長手方向に平行な仮想直線に対して直交するように吐出孔8を投影すると、図4に示した仮想直線のRの範囲に、各マニホールド5に繋がっている4つの吐出孔8、つまり全部で16個の吐出孔8が、600dpiの等間隔となっているということである。これにより、全てのマニホールド5に同じ色のインクを供給することで、全体として長手方向に600dpiの解像度で画像が形成可能となる。また、1つのマニホールド5に繋がっている4つの吐出孔8は、仮想直線のRの範囲で150dpiの等間隔になっている。これにより、各マニホールド5に異なる色のインクを供給することで、全体として長手方向に150dpiの解像度で4色の画像が形成可能となる。この場合、さらに4つの液体吐出ヘッド2を用いて、それぞれ液体吐出ヘッド2において各色のインクを異なる位置のマニホールド5に供給するようにして、600dpiの解像度で4色の画像が形成してもよい。またさらに、2つの液体吐出ヘッド2を用いて、それぞれ液体吐出ヘッド2において2色のインクを異なる位置のマニホールド5に供給するようにして、300dpiの解像度で4色の画像が形成してもよい。このようにすることで、記録媒体P上において、主走査方向に並んだ同じ色のインクでは、吐出されたもとが、異なる液体吐出ヘッド2の、しかも液体吐出ヘッド2の中のマニホールド5の位置が異なるものになるので、液体吐出ヘッド2毎に生じる液体吐出特性のばらつきや、各液体吐出ヘッド2内におけるマニホールド5の位置により生じたばらつきを反映した同傾向の吐出ばらつきが並んで生じ難いので、きれいな画像が得られる。
圧電アクチュエータ基板21の上面における各加圧室10に対向する位置には個別電極25がそれぞれ形成されている。個別電極25は、加圧室10より一回り小さく、加圧室10とほぼ相似な形状を有している個別電極本体25aと、個別電極本体25aから引き出されている引出電極25bとを含んでおり、個別電極25は、加圧室10と同じように、個別電極列および個別電極群を構成している。また、圧電アクチュエータ基板21の上面には、共通電極24と電気的に接続されている共通電極用表面電極28が形成されている。共通電極用表面電極28は、圧電アクチュエータ基板21の短手方向の中央部に、長手方向に沿うように2列形成され、また、長手方向の端近くで短手方向に沿って1列形成されている。図示した、共通電極用表面電極28は直線上に断続的に形成されたものであるが、直線上に連続的に形成してもよい。圧電アクチュエータ基板21には、2枚の信号伝達部が、圧電アクチュエータ基板21の2つの長辺側から、それぞれ中央に向かうように配置され、接合される。共通電極用表面電極28は、信号伝達部の端部(先端および圧電アクチュエータ基板21の長手方向の端)において接続され、共通電極用表面電極28およびその上に形成される共通電極用接続電極が、引出電極25bおよびその上に形成される接続電極26よりも面積が大きいため、信号伝達部が端からはがれ難くできる。
また、吐出孔8は、流路部材4の下面側に配置されたマニホールド5と対向する領域を避けた位置に配置されている。さらに、吐出孔8は、流路部材4の下面側における圧電アクチュエータ基板21と対向する領域内に配置されている。これらの吐出孔8は、1つの群として圧電アクチュエータ基板21とほぼ同一の大きさおよび形状の領域を占有しており、対応する圧電アクチュエータ基板21の変位素子30を変位させることにより吐出孔8から液滴が吐出できる。
ヘッド本体2aに含まれる流路部材4は、複数のプレートが積層された積層構造を有している。これらのプレートは、流路部材4の上面から順に、キャビティプレート4a、ベ
ースプレート4b、アパーチャ(しぼり)プレート4c、サプライプレート4d、マニホールドプレート4e〜g、カバープレート4hおよびノズルプレート4iである。これらのプレートには多数の孔が形成されている。各プレートの厚さは10〜300μm程度であることにより、形成する孔の形成精度を高くできる。各プレートは、これらの孔が互いに連通して個別流路12およびマニホールド5を構成するように、位置合わせして積層されている。ヘッド本体2aは、加圧室10は流路部材4の上面に、マニホールド5は内部の下面側に、吐出孔8は下面にと、個別流路12を構成する各部分が異なる位置に互いに近接して配設され、加圧室10を介してマニホールド5と吐出孔8とが繋がる構成を有している。
各プレートに形成された孔について説明する。これらの孔には、吐出する液体が流れる流路となるもの、温度調整用の流体が流れる流路となるものがあり、まず吐出する液体が流れる流路となるものについて説明する。第1に、キャビティプレート4aに形成された加圧室10である。第2に、加圧室10の一端からマニホールド5へと繋がる個別供給流路14を構成する連通孔である。この連通孔は、ベースプレート4b(詳細には加圧室10の入り口)からサプライプレート4c(詳細にはマニホールド5の出口)までの各プレートに形成されている。なお、この個別供給流路14には、アパーチャプレート4cに形成されている、流路の断面積が小さくなっている部位であるしぼり6が含まれている。
第3に、加圧室10の他端から吐出孔8へと連通する流路を構成する連通孔であり、この連通孔は、以下の記載においてディセンダ(部分流路)と呼称される。ディセンダは、ベースプレート4b(詳細には加圧室10の出口)からノズルプレート4i(詳細には吐出孔8)までの各プレートに形成されている。第4に、マニホールド5を構成する連通孔である。この連通孔は、マニホールドプレート4e〜gに形成されている。
第1〜4の連通孔が相互に繋がり、マニホールド5からの液体の流入口(マニホールド5の出口)から吐出孔8に至る個別流路12を構成している。マニホールド5に供給された液体は、以下の経路で吐出孔8から吐出される。まず、マニホールド5から上方向に向かって、個別供給流路14に入りを通り、しぼり6の一端部に至る。次に、しぼり6の延在方向に沿って水平に進み、しぼり6の他端部に至る。そこから上方に向かって、加圧室10の一端部に至る。さらに、加圧室10の延在方向に沿って水平に進み、加圧室10の他端部に至る。そこから少しずつ水平方向に移動しながら、主に下方に向かい、下面に開口した吐出孔8へと進む。
次に、温度調整用の流体の流れる温調流路15となる孔を説明する。マニホールドプレート4e〜gおよびカバープレート4hには、積層した際にマニホールド5に沿うように、孔が開いている。キャビティプレート4a、ベースプレート4b、アパーチャプレート4cおよびサプライプレート4dには、前述の孔と繋がって、前述の孔から上方に向かって吐出孔面4−2に開口している温調流路15の開口15aまで繋がる流路となる孔が開口している。温調流路15は、マニホールド5よりも、吐出孔面4−1に近い位置に配置されているため、マニホールド5と吐出孔面4−1との間のカバープレート4hおよびノズルプレート4iが、温調流路15からの熱伝導により恒温化されるので、外部の影響を受け難くできる。これは、各プレートが接着剤により接着積層されている場合、各プレート間の層間の熱伝導が接着剤の層により阻害され、各プレートの平面方向の熱伝導を利用した方が恒温化できるので、接着積層されている場合により有効である。
また、温調流路15とマニホールド5とのディセンダが配置されているので、温調流路15からの熱伝導が、中に流路部材4よりの熱伝導性の低い液体が入っているマニホールド5があることにより伝わり難くなったり、マニホールド5と温調流路15との温度の差により、温調流路15から伝わってくる温度が大きく変わらないうちに、ディセンダに伝
わることによりディセンダの中の液体の温度を、より温調流路15の温度に近づけることができる。ディセンダの中の液体は、マニホールド5の中の液体や加圧室10の中の液体と比較して体積が小さいため、周囲の影響を受けやすく、また、吐出される直前の液体であるため、吐出特性のへの影響が大きいので、上述の構造によりディセンダ部分が、より恒温化するようにするのが好ましい。さらに、マニホールド5より下に位置するプレートが金属であることにより、この効果はより顕著になる。
圧電アクチュエータ基板21は、2枚の圧電セラミック層21a、21bからなる積層構造を有している。これらの圧電セラミック層21a、21bはそれぞれ20μm程度の厚さを有している。圧電アクチュエータ基板21の圧電セラミック層21aの下面から圧電セラミック層21bの上面までの厚さは40μm程度である。圧電セラミック層21a、21bのいずれの層も複数の加圧室10を跨ぐように延在している。これらの圧電セラミック層21a、21bは、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなる。
圧電アクチュエータ基板21は、Ag−Pd系などの金属材料からなる共通電極24およびとAu系などの金属材料からなる個別電極25を有している。個別電極25は上述のように圧電アクチュエータ基板21の上面における加圧室10と対向する位置に配置されている個別電極本体25aそこから引き出された引出電極25bとを含んでいる。引出電極25bの一端の、加圧室10と対向する領域外に引き出され部分には接続電極26が形成されている。接続電極26は例えばガラスフリットを含む銀−パラジウムからなり、厚さが15μm程度で凸状に形成されている。また、接続電極26は、信号伝達部に設けられた電極と電気的に接合されている。詳細は後述するが、個別電極25には、制御部100から信号伝達部を通じて駆動信号が供給される。駆動信号は、印刷媒体Pの搬送速度と同期して一定の周期で供給される。流路部材4に、接続電極26が形成された圧電アクチュエータ基板21を積層して接合する際に、ダミー接続電極27も形成しておけば、接合する圧力は接続電極26およびダミー接続電極27を介して伝わるので、加わる圧力の分布を均一化し、接合されない部分や接合の弱い部分を生じにくくできる。ダミー接続電極27は、信号伝達部と接続しなくてもよいが、接続すれば、圧電アクチュエータ基板21と信号伝達部との接続強度を高くすることができる。
共通電極24は、圧電セラミック層21aと圧電セラミック層21bとの間の領域に面方向のほぼ全面にわたって形成されている。すなわち、共通電極24は、圧電アクチュエータ基板21に対向する領域内の全ての加圧室10を覆うように延在している。共通電極24の厚さは2μm程度である。共通電極24は、圧電セラミック層21b上に個別電極25からなる電極群を避ける位置に形成されている共通電極用表面電極28に、圧電セラミック層21bに形成されたビアホールを介して繋がっていて、接地され、グランド電位に保持されている。共通電極用表面電極28は、多数の個別電極25と同様に、信号伝達部上の別の電極と接続されている。
なお、後述のように、個別電極25に選択的に所定の駆動信号が供給されることにより、この個別電極25に対応する加圧室10内の液体に圧力が加えられる。これによって、個別流路12を通じて、対応する液体吐出口8から液滴が吐出される。すなわち、圧電アクチュエータ基板21における各加圧室10に対向する部分は、各加圧室10および液体吐出口8に対応する個別の変位素子30に相当する。つまり、2枚の圧電セラミック層からなる積層体中には、図5に示されているような構造を単位構造とする圧電アクチュエータである変位素子30が加圧室10毎に、加圧室10の直上に位置する振動板21a、共通電極24、圧電セラミック層21b、個別電極25により作り込まれており、圧電アクチュエータ基板21には加圧部である変位素子30が複数含まれている。なお、本実施形態において1回の吐出動作によって液体吐出口8から吐出される液体の量は5〜7pl(
ピコリットル)程度である。
多数の個別電極25は、個別に電位を制御することができるように、それぞれが信号伝達部および配線を介して、個別に制御部100に電気的に接続されている。個別電極25を共通電極24と異なる電位にして圧電セラミック層21bに対してその分極方向に電界を印加したとき、この電界が印加された部分が、圧電効果により歪む活性部として働く。この構成において、電界と分極とが同方向となるように、制御部100により個別電極25を共通電極24に対して正または負の所定電位にすると、圧電セラミック層21bの電極に挟まれた部分(活性部)が、面方向に収縮する。一方、非活性層の圧電セラミック層21aは電界の影響を受けないため、自発的には縮むことがなく活性部の変形を規制しようとする。この結果、圧電セラミック層21bと圧電セラミック層21aとの間で分極方向への歪みに差が生じて、圧電セラミック層21bは加圧室10側へ凸となるように変形(ユニモルフ変形)する。
本実施の形態における実際の駆動手順は、あらかじめ個別電極25を共通電極24より高い電位(以下高電位と称す)にしておき、吐出要求がある毎に個別電極25を共通電極24と一旦同じ電位(以下低電位と称す)とし、その後所定のタイミングで再び高電位とする。これにより、個別電極25が低電位になるタイミングで、圧電セラミック層21a、bが元の形状に戻り、加圧室10の容積が初期状態(両電極の電位が異なる状態)と比較して増加する。このとき、加圧室10内に負圧が与えられ、液体がマニホールド5側から加圧室10内に吸い込まれる。その後再び個別電極25を高電位にしたタイミングで、圧電セラミック層21a、bが加圧室10側へ凸となるように変形し、加圧室10の容積減少により加圧室10内の圧力が正圧となり液体への圧力が上昇し、液滴が吐出される。つまり、液滴を吐出させるため、高電位を基準とするパルスを含む駆動信号を個別電極25に供給することになる。このパルス幅は、圧力波がしぼり6から吐出孔8まで伝播する時間長さであるAL(Acoustic Length)が理想的である。これによると、加圧室10内
部が負圧状態から正圧状態に反転するときに両者の圧力が合わさり、より強い圧力で液滴を吐出させることができる。
また、階調印刷においては、吐出孔8から連続して吐出される液滴の数、つまり液滴吐出回数で調整される液滴量(体積)で階調表現が行なわれる。このため、指定された階調表現に対応する回数の液滴吐出を、指定されたドット領域に対応する吐出孔8から連続して行なう。一般に、液体吐出を連続して行なう場合は、液滴を吐出させるために供給するパルスとパルスとの間隔をALとすることが好ましい。これにより、先に吐出された液滴を吐出させるときに発生した圧力の残余圧力波と、後に吐出させる液滴を吐出させるときに発生する圧力の圧力波との周期が一致し、これらが重畳して液滴を吐出するための圧力を増幅させることができる。なお、この場合後から吐出される液滴の速度が速くなると考えられるが、その方が複数の液滴の着弾点が近くなり、好ましい。
続いて、本発明の他の液体吐出ヘッドの実施形態を図6を用いて説明する。図6は、本発明の他の液体吐出ヘッドに用いられる流路部材204の模式的な平面図である。図6では、流路部材204では、1つのマニホールド5に沿って、その両側に温調流路215が向けられている。図6では、加圧室などの細部の構造は省略してあるが、基本的な構造は図1〜5で示したものと同じである。
温調流路215は、流路部材204の加圧室面に開口している開口215aの一方から、温度調整用の流体を供給され、温度調整用の流体は他方へ抜けていく。温調流路215の平面形状は、図の左の開口215a付近では、直線状であり、流路部材204の中央部で蛇行し始め、図の右の開口215aに近づくにつれて、蛇行を繰り返す間隔の長さが短くなっている。温調流路215の高さは一定であり、温調流路215の幅は液体の流れる
方向に直交する方向で一定である。すなわち、図6の温調流路215の幅W1とW2とは同じである。このような構造であるため、マニホールド5の長さ方向における単位長さ当たりの、温調流路215の体積は、図の左から右に向かって、温調流路215が蛇行している分大きくなっている。
外部環境の温度と、吐出特性を満足させるようにヘッド本体2aを保とうとする温度に差が大きい場合、例えば、高温の炉の付近で使用されるため60℃以上の環境にさらされるヘッド本体2aを40℃程度に保とうとする場合などでは、温調流路215を流れるうちに温度調整用の流体の温度が上がってしまい、後ろの方の温調流路215で、冷却の効果が小さくなり、ヘッド本体2aの温度が上がってしまうことがある。
図6の構造では、図の左から温度調整用の流体を供給することにより、図の左側と比較して、右側では、体積が大きくなっているので、その分温度調整用の流体の流速が低くなり、温度調整用の流体の温度が上がっても冷却できるようになる。
例えば、60℃に環境におかれた液体吐出ヘッド2に、温度調整用の流体として30℃の水を毎分2.5cc供給する場合、直線状の温調流路では、加圧室面の温度が、供給側で37℃、排出側で43℃となり、温度差が大きくなる。図6に示した温調流路215では、供給側で39℃、排出側で41℃となり、温度差を小さくできる。
温調流路215の単位長さあたりの体積を変えるには、直線状で幅を変えてもよい。
また、図6では、複数ある温調流路215が、同じ側(右側)で体積が大きくなっている。温調流路215の体積が大きくなる側を左右交互に配置すると、ヘッド本体2aの長さ方向の温度分布としては、より小さくできる。しかし、そうするとヘッド本体2aの幅方向の温度差が大きくなり、幅方向に並んでいる吐出孔8から吐出される液体は、記録媒体P上で近接して着弾することになるので、吐出特性に差があると印刷結果に与える影響が大きくなる。そのため、図6に示すように、同じ側で体積が大きくなるようにするのがよい。さらに、複数の液体吐出ヘッド2を長辺方向に並べて、液体吐出ヘッド2の長さ(正確には吐出孔8が配置されている長さ)よりの広い範囲に印刷する場合、記録媒体P上で印刷する領域が隣接している液体吐出ヘッド2では、温調流路215の体積が大きくなっている方が交互になるように配置するとともに、温度調整用の流体の供給する側も交互にすれば、記録媒体P上で、ヘッド本体2aの温度が近くなっている領域から吐出された液滴が着弾する領域が近接するので、印刷結果が良好になる。
なお、ヘッド本体2aを冷却する場合について説明したが、加熱する場合も同様である。
続いて、本発明の他の液体吐出ヘッドの実施形態を図7を用いて説明する。図7は、本発明の他の液体吐出ヘッドに用いられる流路部材304の模式的な縦断面図であり、温調流路315を含む断面の縦断面図である。温調流路315以外の構造については、基本的に図1〜5で示したものと同じである。
温調流路315は、図1〜5の実施形態で説明したの同様に、流路部材304の長手方向に沿って設けられており、マニホールド5に沿って設けられている。温調流路315は、流路部材304の加圧室面304−2に開口している開口315aの一方から、温度調整用の流体を供給され、温度調整用の流体は他方へ抜けていく。温調流路315は、長手方向の中央部から一端側と他端側と、一方が吐出孔面304−1に近い位置に配置されている。
図6で説明した場合と同様に、後ろの方の温調流路315で、流れている温度調整用の流体の温度が変わり、温度調整の効果が小さくなる場合であっても、温調流路315が吐出孔面304−1に近いため、温調効果が高くなり、ヘッド本体2a内の温度差を小さくできる。
図6では流路部材304の長手方向の中央部で、温調流路315の深さ方向の位置が変わっているが、この位置は、吐出孔8のある範囲でずらしてもよい。また、深さを多段階に分けてもよいし、流路部材304に一部を切削加工などで作ることで、連続的に変えてもよい。さらに、図5で説明した、マニホールド5の長さ方向における単位長さあたりの体積を変える設計と併用してもよい。
続いて、本発明の他の液体吐出ヘッドの実施形態を図8を用いて説明する。図8は、本発明の他の液体吐出ヘッドに用いられるヘッド本体402aの縦断面図である。流路部材404以外の構造は、基本的に図1〜5で示したものと同じである。
流路部材404aは、プレート404a〜jを積層して構成されている。プレート404a〜gについては、プレート4a〜gと同様であるが、ノズルプレート404jとプレート404hの間のプレート404iに温調流路415が設けられている。温調流路415の一部は、マニホールド5と吐出孔面4−1との間に位置し、流路部材404を平面視した際に、マニホールド5と重なるように配置されている。これにより、吐出孔面4−1の温度がマニホールド5に伝わり難くなるとともに、マニホールド5と重なっている部分の温調流路415の熱がより直接的にマニホールド5に伝わるので、マニホールド5の中の液体をより恒温化できる。
プレート404iは加圧室10と吐出孔8とを繋ぐ流路であるディセンダの州では上下のプレートと接合されている。この接合部は、ディセンダ毎に設けてもよいし、長手方向に並んでいるディセンダに供するように、長手方向に長く設けてもよい。
温調流路415は、平面視した際に、マニホールド5全体を覆うようにすれば、上述の効果がより高くなり、より恒温化できる。なお、マニホールド5全体を覆うようにする場合、プレート間の接合を強くするため、局所的な接合部を設けてもよい。
なお、本実施例では、加圧部として圧電変形を用いた変位素子30を示したが、これに限られるものでなく、加圧室10中の液体を加圧できるものなら他のものでよく、例えば、加圧室10中の液体を加熱して沸騰させて圧力を生じさせるものや、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を用いたものでもよい。
以上のような液体吐出ヘッド2は、例えば、以下のようにして作製する。ロールコータ法、スリットコーター法などの一般的なテープ成形法により、圧電性セラミック粉末と有機組成物からなるテープの成形を行ない、焼成後に圧電セラミック層21a、21bとなる複数のグリーンシートを作製する。グリーンシートの一部には、その表面に共通電極24となる電極ペーストを印刷法等により形成する。また、必要に応じてグリーンシートの一部にビアホールを形成し、その内部にビア導体を充填する。
ついで、各グリーンシートを積層して積層体を作製し、加圧密着を行なう。加圧密着後の積層体を高濃度酸素雰囲気下で焼成し、その後有機金ペーストを用いて焼成体表面に個別電極25を印刷して、焼成した後、Agペーストを用いて接続電極26を印刷し、焼成することにより、圧電アクチュエータ基板21を作製する。
次に、圧延法等により得られプレートプレート4a〜iを、接着層を介して積層して、
流路部材4を作製する。プレート4a〜iに、マニホールド5、個別供給流路14、加圧室10、ディセンダおよび温調流路15などとなる孔を、エッチングにより所定の形状に加工する。
これらプレート4a〜iは、Fe―Cr系、Fe−Ni系、WC−TiC系の群から選ばれる少なくとも1種の金属によって形成されていることが望ましく、特に液体としてインクを使用する場合にはインクに対する耐食性の優れた材質からなることが望ましため、Fe−Cr系がより好ましい。
圧電アクチュエータ基板21と流路部材4とは、例えば接着層を介して積層接着することができる。接着層としては、周知のものを使用することができるが、圧電アクチュエータ基板21や流路部材4への影響をおよぼさないために、熱硬化温度が100〜150℃のエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂の群から選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹脂系の接着剤を用いるのがよい。このような接着層を用いて熱硬化温度にまで加熱することによって、圧電アクチュエータ基板21と流路部材4とを加熱接合することができる。
1・・・プリンタ
2・・・液体吐出ヘッド
2a・・・ヘッド本体
4、204、304、404・・・流路部材
4a〜i、404a〜j・・・(流路部材の)プレート
4−1、304−1・・・吐出孔面
4−2、304−2・・・加圧室面
5・・・マニホールド(共通流路)
5a・・・開口
6・・・しぼり
8・・・吐出孔
9・・・吐出孔列
10・・・加圧室
11・・・加圧室列
12・・・個別流路
14・・・個別供給流路
15、215、315・・・温調流路
15a、215a、315a・・・温調流路の開口
21・・・圧電アクチュエータ基板
21a・・・圧電セラミック層(振動板)
21b・・・圧電セラミック層
24・・・共通電極
25・・・個別電極
25a・・・個別電極本体
25b・・・引出電極
26・・・接続電極
27・・・ダミー接続電極
28・・・共通電極用表面電極
30・・・変位素子(加圧部)

Claims (7)

  1. 複数の吐出孔、該複数の吐出孔が開口している吐出孔面、前記複数の吐出孔とそれぞれ繋がっている複数の加圧室、該複数の加圧室と繋がっている共通流路、温度調整用の流体が流れる温調流路を備えている平板状の流路部材と、
    該流路部材と接合されており、前記複数の加圧室の中の液体をそれぞれ加圧する複数の加圧部と
    を備えている液体吐出ヘッドであって、
    前記共通流路より前記温調流路の方が前記吐出孔面の近くに配置されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記共通流路は一方方向に長く、前記複数の吐出孔は前記共通流路に沿って設けられており、
    前記温調流路は、前記共通流路に沿って設けられているとともに、前記共通流路の前記一方方向の一端部に沿っている部分の前記温調流路より、前記共通流路の前記一方方向の他端部に沿っている部分の前記温調流路の方が、前記共通流路の前記一方方向に沿った単位長さ当たりの前記温調流路の体積が大きいことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記流路部材を平面視した場合、
    前記共通流路の前記一方方向の前記他端部に近い側の前記温調流路が、前記共通流路の前記一方方向に沿った単位長さ当たりの前記温調流路の体積が大きくなるように、蛇行していることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記共通流路は一方方向に長く、前記複数の吐出孔は前記共通流路に沿って設けられており、
    前記温調流路は、前記共通流路に沿って設けられているとともに、前記共通流路の前記一方方向の一端部に沿っている部分の前記温調流路より、前記共通流路の前記一方方向の他端部に沿っている部分の前記温調流路の方が前記吐出孔面の近くに配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記流路部材を平面視した場合、
    前記温調流路は、前記前記共通流路より前記吐出孔面に近い側で、前記共通流路と重なるように配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記流路部材は、前記複数の吐出孔と前記複数の加圧室とをそれぞれ繋いでいる流路である複数の部分流路を備えており、
    前記流路部材を平面視した場合、
    前記温調流路と前記共通流路の間に前記部分流路が配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の液体吐出ヘッドと、前記温調流路に温度を調節した流体を供給する温調部と、液体吐出ヘッド記録媒体を前記液体吐出ヘッドに対して搬送する搬送部と、前記複数の加圧部を制御する制御部とを備えていることを特徴とする記録装置。
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