JPWO2017047792A1 - 水電解用陽極、電解セル、並びに水電解用陽極の製造方法 - Google Patents

水電解用陽極、電解セル、並びに水電解用陽極の製造方法 Download PDF

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Abstract

ニッケル多孔基材と、該基材の表面上の少なくとも一部に形成された、式(1)で表される組成を有するペロブスカイト型構造の金属酸化物を含む薄膜を有する水電解用陽極。LnNixCo(1−x)O3・・・(1)(式(1)において、Lnは希土類元素を含む金属元素である。xは0<x≦1)

Description

本発明は、水電解用の陽極、該水電解用陽極を用いた電解セルおよび水電解用の陽極の製造方法に関する。
近年、COによる地球温暖化、化石燃料の埋蔵量の減少などの問題を解決するためのクリーンエネルギーとして、再生可能エネルギーを利用して製造した水素が注目されている。再生可能エネルギーを利用した水素製造においては、従来の化石燃料の改質による水素製造に匹敵する安価なコストが求められている。そのため、再生可能エネルギーを利用した水素製造には、従来の技術では達成できなかった水準の高いエネルギー効率と安価な設備が求められる。
上記の要求に応え得る水素の製造方法として、水の電解分解(水電解)が挙げられる。例えば、風力又は太陽光などの自然エネルギーによる発電を利用した水電解により、水素を製造し、貯蓄あるいは運搬する構想がいくつも提案されている。
水の電気分解では、水に電流を流すことにより陽極において酸素が発生し、陰極において水素が発生する。電解における主なエネルギー損失の要因として、陽極及び陰極の過電圧が挙げられる。この過電圧を低減することで、効率よく水素を製造することが可能になる。特に陽極の過電圧は陰極の過電圧に比べて高く、陽極の過電圧を下げるための研究開発が広く進められている。
水電解において、酸素を発生させる陽極に必要とされる要件として、酸素発生の過電圧が低いことに加えて、酸素が発生する電位環境においても、陽極の基材及び触媒の腐食や電解液への溶解が起きにくいことが求められる。そのため、陽極の材料としては、一般的に白金族などの貴金属やニッケル、ニッケルを主成分とした酸化物などが使用されている。特に材料価格が比較的安価なことから、ニッケル又はニッケルを主成分とした酸化物が好適に用いられている。
しかし、白金族の元素と比較して、ニッケル又はニッケルを主成分としたニッケル酸化物を陽極に用いた場合、酸素発生過電圧が十分低くはない。そのため、ニッケル元素を含む比較的導電性の高い酸化物に着目した検討がなされている。
特許文献1にはペロブスカイト型構造を有する金属酸化物を電極として用いた電解セルが開示されている。また、非特許文献1には、加熱した基材に前駆体溶液を噴霧塗布することにより、ペロブスカイト型構造を有する金属酸化物を用いた水電解用陽極を作成する手法が開示されている。
特開2009−179871
International Journal of Hydrogen Energy, 1995, 20, 203−210
しかしながら、上述した特許文献1に記載されたペロブスカイト型構造の酸化物を含む電極は、十分な耐久性を有しておらず、また、あらかじめ合成した金属酸化物粒子に高分子バインダーを混合し、ステンレスメッシュにプレスして作製されている。そのため、SUS基材を中心に金属酸化物の厚い層を形成しており、電気抵抗が増加し、過電圧が増加するという課題を有していた。更に、残存したバインダー成分が電気抵抗となり、過電圧を上昇させる原因となるという課題も有していた。加えて、金属酸化物が基材から剥離しやすいという課題も有している。
非特許文献1に記載のものは、自然エネルギーのような供給が不安定なエネルギー源を想定した電極ではなく、電解の停止や再開が頻繁に起こり得る長期間の電解への耐久性を実現するために必要な金属酸化物薄膜の形態や製造方法に関しては開示されていなかった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、酸素発生の過電圧(以下、「酸素過電圧」という。)が低く、自然エネルギーのような供給が不安定なエネルギーを利用した電解に対しても高い耐久性を有する水電解用の陽極、及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ニッケル多孔基材表面上に式(1)で表される組成を有するペロブスカイト型構造の金属酸化物を含む薄膜を形成することで、低い酸素過電圧を有し、かつ耐久性に優れ、自然エネルギーのような供給が不安定なエネルギーを利用した電解に対しても利用可能で、しかも安価な水電解用陽極が得られることを見出し、本発明に至った。
LnNiCo(1−x)・・・(1)
(なお、式(1)において、Lnは希土類元素を含む金属元素である。xは0<x≦1)
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]ニッケル多孔基材と、
該基材の表面上の少なくとも一部に形成された、式(1)で表される組成を有するペロブスカイト型構造の金属酸化物を含む薄膜
を有する水電解用陽極。
LnNiCo(1−x)・・・(1)
(式(1)において、Lnは希土類元素を含む金属元素である。xは0<x≦1)
[2]前記式(1)中のLnがLaを含む、[1]に記載の水電解用陽極。
[3]前記式(1)中のxが0.5以上である、[1]または[2]に記載の水電解用陽極。
[4]前記薄膜の厚みが0.2μm以上、10μm以下である、[1]から[3]のいずれかに記載の水電解用陽極。
[5]前記金属酸化物の付着量が2g/m以上、50g/m以下である、[1]から[4]のいずれかに記載の水電解用陽極。
[6]前記金属酸化物の付着量が5g/m以上、30g/m以下である、[5]に記載の水電解用陽極。
[7]前記金属酸化物の結晶子径が5nm以上、100nm以下である、[1]から[6]のいずれかに記載の水電解用陽極。
[8]前記薄膜中に単位格子が三方晶であるペロブスカイト型構造の金属酸化物を含む、[1]から[7]のいずれかに記載の水電解用陽極。
[9]比表面積が0.001m/g以上、1m/g以下である、[1]から[8]のいずれかに記載の水電解用陽極。
[10]インピーダンス測定により求められる被膜抵抗が0.01Ω・cm以上、2Ω・cm以下である、[1]から[9]のいずれかに記載の水電解用陽極。
[11]前記ニッケル多孔基材表面と前記薄膜との間に、さらに、酸化ニッケル層を有する、[1]から[10]のいずれかに記載の水電解用陽極。
[12]前記酸化ニッケル層の厚みが50nm以上、5000nm以下である、[11]に記載の水電解用陽極。
[13]前記ニッケル多孔基材がエクスパンドメタルである、[1]から[12]のいずれかに記載の水電解用陽極。
[14][1]から[13]のいずれかに記載の水電解用陽極を含む複極式電解槽用の電解セル。
[15][1]から[13]のいずれかに記載の水電解用陽極を用いた電解セルに変動電源を入力することを特徴とする水素の製造方法。
[16]ニッケル多孔基材表面に、希土類金属塩およびニッケル塩を含む溶液を塗布することで前駆体層を形成する工程1と、
前駆体層を焼成することでペロブスカイト型構造の金属酸化物を含む薄膜を形成させる工程2
とを含む水電解用陽極の製造方法。
[17]前記希土類金属塩がLa塩を含む、[16]に記載の水電解用陽極の製造方法。
[18]前記希土類金属塩が硝酸塩である、[16]または[17]に記載の水電解用陽極の製造方法。
[19]前記溶液の溶媒が、水もしくは炭素数が2〜5のアルコールの少なくとも1種以上を含む、[16]から[18]のいずれかに記載の水電解用陽極の製造方法。
[20]前記希土類金属塩の濃度が0.02mol/L以上、1mol/L以下であり、ニッケル塩の濃度が0.02mol/L以上、1mol/L以下である、[16]から[19]のいずれかに記載の水電解用陽極の製造方法。
[21]前記工程2における焼成温度が400℃以上、1000℃以下である、[16]から[20]のいずれかに記載の水電解用陽極の製造方法。
[22]前記工程1と前記工程2とを繰り返し行う、[16]から[21]のいずれかに記載の水電解用陽極の製造方法。
本発明によれば、低い酸素過電圧を有し、かつ耐久性に優れた安価な水電解用陽極及びこの水電解用陽極を備えた水電解セルを得られる。
本実施形態の電解セルの一例の概略断面図である。 本実施形態の複極式電解槽の一例の概略断面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
なお、以下の本実施形態は本発明を説明するための例示であり、本発明を限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
まず、水電解陽極について説明する。
本実施形態において、水電解陽極は、ニッケル多孔基材と、その表面上の少なくとも一部に形成されたペロブスカイト型構造の金属酸化物を含む薄膜とを有しているものである。
本実施形態において、薄膜とは、その厚みが基材と比較して薄いものである。本実施形態において金属酸化物を含む薄膜は、基材表面の90%以上を被覆していることが好ましく、全体を完全に被覆していることが最も好ましい。
本実施形態において、基材として、ニッケル多孔基材を用いることが第一の特徴である。
ニッケル多孔基材とは、ニッケルまたはニッケルを主成分とした材料で構成される、多数の孔を有する板状基材である。ニッケルを主成分とした材料としては、例えばモネル、インコネルやハステロイなどのニッケル基合金が挙げられる。具体的な形状としては、エクスパンドメタル、パンチングメタル、平織メッシュ、発泡金属、又はこれらに類似する形状が挙げられる。
孔の大きさに限定はないが、0.1mm以上5.0mm以下程度とすることができる。また、開口率が20%以上であることが好ましい。ここで、開口率とは、面積当たりの開口部の割合である。開口率の上限については特にないが、例えば、80%以下程度としてもよい。
基材の材質は、ニッケルまたはニッケルを主成分とした材料であることが好ましい。ニッケルまたはニッケルを主成分とした材料は、アルカリ水溶液中の酸素発生電位においても溶解されず、貴金属と比較して安価に入手できる金属であるため、耐久性、導電性および経済性の点で好ましい。
ニッケル多孔基材としては、ニッケルまたはニッケルを主成分とした材料からなるエクスパンドメタルが好ましく、その厚みは0.2〜2.0mmであることが好ましく、1.0〜1.5mmであることがより好ましい。
ペロブスカイト型構造の金属酸化物は、一般的にABOで表される組成を有する。
本実施形態において用いるペロブスカイト型構造の金属酸化物では、Aサイトの少なくとも一部に希土類元素を配置している。また、BサイトにはNiを配置しており、その一部はCoに置換されていてもよく、その組成は、以下の式(1)で表される。
LnNiCo(1−x)・・・(1)
式(1)において、Lnは希土類元素(ランタノイドに限らない)を含む金属元素であり、Laを含んでいることが好ましい。Lnは希土類元素のみで構成されていてもよいし、希土類元素を含む複数種類の元素で構成されていてもよい。例えば、Lnが主に希土類元素であり、その一部が、SrやBaといったアルカリ土類金属の元素などに置換されることで、導電性を向上させることが期待できる。
希土類以外の元素の置換割合に限定はなく、例えば、50モル%未満置換されていてもよいし、30モル%未満置換されていてもよいし、10モル%未満置換されていてもよい。
本実施形態においては、ペロブスカイト型構造の金属酸化物として、酸素発生電位で安定な酸化物を形成するNiをBサイトに配置したものを用いることで、高い耐久性を実現することができる。もっとも、Bサイトの一部がCoであっても同様の効果が得られるため、Bサイトの一部をCoとしてもよい。
式(1)において、xの値は0より大きく1以下でなければならず、0.4以上が好ましく、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.6以上である。
本実施形態において、式(1)で表される組成を有する金属酸化物を含む薄膜(以下、「金属酸化物薄膜」ということがある。)は、主として式(1)で表される組成を有する金属酸化物で構成されるが、他の無機化合物や、金属もしくは合金などのその他の成分を含んでもよい。金属酸化物薄膜中の式(1)で表される組成を有する金属酸化物以外の成分(その他の成分)の含有量に限定はないが、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
他の無機化合物としては、例えば酸化ニッケル、酸化ランタンなどの金属酸化物、もしくはそれらの混合物などが挙げられる。
金属酸化物薄膜の厚みは、厚すぎると電気抵抗が増加し過電圧を上昇させる場合があり、逆に薄すぎると長期間の電解や電解の停止により金属酸化物が溶解もしくは脱落することで電極が劣化し、過電圧が上昇する場合がある。
これらの理由から、金属酸化物薄膜の厚みは、0.2μm以上、10μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以上、5μm以下である。
なお、金属酸化物薄膜の厚みは、例えば電子顕微鏡にて電極の断面を観察することにより測定できる。具体的には、電子顕微鏡で、電極の断面を観察し、金属酸化物薄膜の厚みを5点測定した値の平均値を金属酸化物薄膜の厚みとする。
基材上の式(1)で表される組成を有する金属酸化物の付着量は、多すぎると電気抵抗が増加し過電圧を上昇させる場合があるので、50g/m以下が好ましく、より好ましくは30g/m以下である。
一方、式(1)で表される組成を有する金属酸化物の付着量が少なすぎると、長期間の電解や電解の停止により金属酸化物が溶解もしくは脱落することで電極が劣化し、過電圧が上昇する場合があるので、2g/m以上が好ましく、より好ましくは5g/m以上である。
式(1)で表される組成を有する金属酸化物の結晶子径Dが小さいと、粒界によるキャリアの再結合が生じるために、導電性が低下する。このような導電性低下により過電圧が上昇する場合がある。したがって、金属酸化物薄膜中に含まれる式(1)で表される組成を有する金属酸化物の結晶子径Dの平均値は、2nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましい。
一方、結晶子径Dが大きすぎると活性点が減少し、これにより過電圧が上昇する場合があるので、結晶子径Dは50nm以下が好ましく、より好ましくは20nm以下である。
結晶子径D(hkl)はシェラーの式、即ち、D(hkl)=0.9λ/(β1/2・cosθ)より算出することができる。ここで、hklはミラー指数、λは特性X線の波長(nm)、β1/2は(hkl)面の半価幅(ラジアン)、θはX線反射角度である。したがって、金属酸化物薄膜中に含まれる式(1)で表される組成を有する金属酸化物の平均結晶子径Dは、金属酸化物のX線回折ピークの中で最も強い強度が得られたX線回折ピークに相当する(hkl)面の半価幅β1/2を測定することによって求めることができる。
金属酸化物薄膜中に含まれる式(1)で表される組成を有する金属酸化物の結晶構造は、ペロブスカイト型であれば特に限定されない。一般的にペロブスカイト型構造の金属酸化物の単位格子は、立方晶もしくはそれが少し歪んだ正方晶、斜方晶、単斜晶、六方晶の結晶構造をとる。詳細は不明であるが、三方晶の金属酸化物を含む場合、酸素過電圧が低い金属酸化物薄膜が得られるため、式(1)で表される組成を有する金属酸化物は、単位格子として、三方晶の結晶構造を含むことが好ましい。
水電解用陽極の比表面積(基材を含む陽極全体の比表面積)が小さいと、単位面積当たりの反応活性点が少なくなるので、低い過電圧が得られない場合がある。一方、水電解用陽極の比表面積が大き過ぎると触媒層の機械的強度が低下し、耐久性が低下する場合がある。そのため、本実施形態においては、水電解用陽極の比表面積は0.001m/g以上、1m/g以下が好ましく、より好ましくは、0.005m/g以上、0.1m/g以下である。
比表面積は例えばBET法を用いて測定することができる。測定試料を専用セルに入れ、加熱真空排気を行うことにより前処理を行い、細孔表面への吸着物を予め取り除く。その後、−196℃で測定サンプルへのガス吸着の吸脱着等温線を測定する。得られた吸脱着等温線をBET法で解析することにより、測定サンプルの比表面積を求めることができる。
水電解用陽極の被膜抵抗が高すぎると、高いエネルギー効率を得るために電流密度が高い条件で電解する際に過電圧が上昇するため、その被膜抵抗は2Ω・cm以下が好ましく、より好ましくは0.5Ω・cm以下である。一方、被膜抵抗が低過ぎると、金属酸化物薄膜中で電流が流れない箇所が生じ、電解反応に使用されない金属酸化物表面が増加することで、過電圧が上昇する場合があるため、0.01Ω・cm以上が好ましい。
なお、被膜抵抗は例えば電気化学インピーダンス法により測定することができる。
本実施形態においては、基材と前記金属酸化物薄膜との間にさらに酸化ニッケル層を有することで耐久性を向上させることもできる。
前記金属酸化物の結晶構造であるペロブスカイト型構造は立方晶を基本構造としている。基材と前記金属酸化物薄膜との間に、前記金属酸化物薄膜と同じ立方晶の基本構造を有する酸化ニッケルの層を介在させることで、基材と前記金属酸化物薄膜の密着性が向上する。
密着性を向上させるために、酸化ニッケル層の厚みは、50nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましい。一方、酸化ニッケル層が厚すぎると電気抵抗が増加し過電圧を上昇させる場合があるので、酸化ニッケル層の厚みは、3000nm以下が好ましく、5000nm以下がより好ましい。
次に、本実施形態における電解セルについて説明する。
本実施形態において、電解セルは、少なくとも、水電解用陽極と、これと電気的に接続された陰極とを含むことが好ましい。
さらに、本実施形態において、電解セルは、複極式電解槽を構成するセルであることが好ましい。複極式電解槽とは、イオン透過性隔膜(以下、単に「隔膜」と言う。)を介して直列に連結された複数の電解セル(少なくとも一対の電解セル)を含む電解槽をいう。なお、「複数の電解セルが直列に連結される」とは、各電解セルが備える陽極及び負極が所定の方向に沿って交互に並ぶように複数の電解セルが配置されることを意味する。このような直列に並んだ多数の電解セルを有する電解槽は、単に「電解槽」と呼ばれることもある。
図1に、複極式電解槽を構成する部材である、本実施形態の複極式電解槽用電解セル2の一例の概略断面図を示す。電解セル2は、一対の電極として、陽極7と陰極3を有する。
電解セル2内においては、陰極3を取り付けた陰極室枠と、陽極7を取り付けた陽極室枠とが、隔壁9を介して配置されている。つまり、陽極室8と陰極室6とは隔壁9によって区分されている。電解液は、この陽極室8及び陰極室6に供給される。また、電解セル2の上部には、生成する気体と液体を分離する気液分離室10がある。
電解液に限定はなく、水電解に一般に使用されるものを使用することができる。例えば、水酸化カリウム水溶液や水酸化ナトリウム水溶液などが挙げられる。また、電解質濃度は1N以上、12N以下が好ましく、6N以上、10N以下がより好ましい。
また、陰極3を構成する材料は特に限定されないが、貴金属、貴金属酸化物、ニッケル、コバルト、マンガン、モリブデン等からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する物が好適に用いられる。
図2は、複数の電極セルで構成される複極式電解槽の一部(電極セル2及び電極セル2’)の概略断面図である。この複極式電解槽内では、複数の電極セルが、図2のように陽極室と陰極室が隔膜を介して対向するように配置され、直列に連結されている(図2においては電解セル2の陽極室8、隔膜12、及び、電解セル2’の陰極室6’がこの順序で直列に並べられている。)また、各電解セルの陽極室側及び陰極室側にはガスケットが配置されている(図2においては、電極セル2の陽極室側8、電極セル2’の陰極室6’側に、各々、ガスケット11、11’が配置されている)。
電解液は、各電解セルの陽極室及び陰極室(図2においては陽極室8及び陰極室6’)に供給される。そして、隔膜で隔てられた隣り合う電極セルの陽極と陰極が(図2においては電解セル2の陽極7と電解セル2’の陰極3’が)電気的に接続されて、電解が行われる。
隔膜の材料に限定はないが、例えば、ポリスルフォンやポリエーテルスルフォン、ポリフェニルスルフォンなどのスルフォン基含有芳香族ポリマーやPTFEやETFEなどのフッ素系ポリマー等が挙げられる。
次に、本実施形態における水素の製造方法について説明する。
本実施形態においては、前述のような陽極、陰極及び電解液を備えた電解セル(複極式電解槽)に電流を印加して水電解を行うことにより、陰極で水素を製造する。このとき、電源として、例えば変動電源を用いることができる。変動電源とは、系統電力などの安定して出力される電源と異なり、再生可能エネルギー発電所由来の数秒乃至数分単位で出力が変動する電源のことである。再生可能エネルギー発電の方法は特に限定されないが、例えば、太陽光発電や風力発電が挙げられる。
例えば、図2の複極式電解槽を利用した電解の場合、電解液中のカチオン性電解質は、電解セル2の陽極室8から、隔膜12を通過して、隣接する電解セル2’の陰極室6’へ移動し、アニオン性電解質は電解セル2’の陰極室6’から隔膜12を通過して、隣接する電解セル2の陽極室8へ移動する。よって、電解中の電流は、電解セル2、2’が直列に連結された方向に沿って、流れることになる。つまり、電流は、隔膜12を介して、一方の電解セル2の陽極室8から、隣接する電解セル2’の陰極室6’に向かって流れる。電解に伴い、陽極室8内で酸素ガスが生成し、陰極室6’内で水素ガスが生成する。
(水電解用陽極の製造方法)
本実施形態において、水電解用陽極の製造方法は、ニッケル多孔基材表面に、希土類金属塩およびニッケル塩を含む溶液を塗布することで前駆体層を形成する工程1と、前駆体層を焼成することでペロブスカイト型構造の金属酸化物を含む薄膜を形成させる工程2とを備える。
工程1において用いる溶液に含まれる希土類金属塩としては、ランタンなどの希土類元素金属のフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物などのハロゲン化物塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機化合物塩、酢酸塩に代表される有機化合物塩などが例示できる。
これらの中で、塩化物、硝酸塩は原料を工業的に入手できるために好ましく用いられる。さらに、硝酸塩は分解後に残留するアニオン成分による基材の劣化が小さく、保存安定性の良好な陽極を得ることができるため、より好ましい。
溶液の溶媒としては、溶質である希土類金属塩やニッケル塩などを溶解するものであればよい。高濃度の溶液を調製することができれば、塗布量が増加し、生産性を高めることができるため、水もしくは炭素数が2〜5のアルコールの少なくとも1種以上を含むことが好ましい。
溶液の希土類金属塩、ニッケル塩の濃度が薄いと、溶媒の揮発に多くのエネルギーを要する。一方、希土類金属塩、ニッケル塩の濃度が濃いと、ムラが生じる恐れがあり、金属触媒層の厚みが不均一なる場合がある。そのため、工程1において用いる溶液の希土類金属塩の濃度は0.02mol/L以上、1mol/L以下が好ましく、より好ましくは0.05mol/L以上、0.5mol/Lである。
同様に、ニッケル塩の濃度は0.02mol/L以上、1mol/L以下が好ましく、より好ましくは0.05mol/L以上、0.5mol/Lである。
工程1において、基材表面に溶液を塗布する方法としては、公知の様々な手法を用いることが可能である。例えば、基材を溶液に浸漬するディップ法、基材に溶液を刷毛で塗る方法、スポンジ状ロールに含浸させた溶液を基材に塗布するロール法、塗布液と基材とを反対の電荷に帯電させてスプレーなどを用いて噴霧を行う静電塗布法などが挙げられる。特に、生産性の点と触媒層が均一に塗布できる点とからロール法及び静電塗布法が好適に用いられる。
基材には、溶液を塗布するのに先立ち、表面に凹凸を設けるための表面処理を行ってもよい。基材表面に凹凸を設けると、基材と金属酸化物薄膜との密着性が向上する。表面処理の方法は特に限定されず、ブラスト処理や薬液を用いたエッチングなどが例示できる。
工程2において前駆層を焼成する温度は、400℃以上であるとランタノイド金属塩、ニッケル塩の熱分解が良好に進行するため、400℃以上が好ましく、より好ましくは500℃以上である。1000℃より高い温度で焼成すると、基材が軟化して変形する場合があるので、1000℃以下が好ましく、より好ましくは800℃以下である。
工程1と工程2は複数回繰り返すことが好ましい。所望の厚みの金属酸化物薄膜を形成するためには、1回当たりの溶液塗布量や、あるいは溶液中の希土類金属塩、ニッケル塩などの濃度だけでも調整できるが、1回当たりの溶液塗布量や溶液濃度を高くし過ぎると、ムラになる恐れがあり、各層が均一に形成されない場合がある。そのため、工程1と工程2を複数回繰り返すことによって、より均一な金属酸化物薄膜層を所望の厚みで形成することができる。繰り返し回数は、所望の厚みが得られる条件であれば、特に限定されないが、5回以上、20回以下が好ましい。
工程1と工程2とを複数回繰り返した後に、さらに、工程2において前駆層を焼成する温度以上の温度で焼成する工程を含んでもよい。この際の焼成する温度の上限は1000℃以下が好ましく、より好ましくは800℃以下である。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いて具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されない。
実施例、比較例で用いた測定法は以下のとおりである。
(結晶構造)
株式会社リガク製X線回折装置「RINT2000型」を用い、励起電圧40kV、励起電流200mAとし、操作軸は2θ/θとして測定した。
(断面観察および組成解析)
試験陽極を挟みで切断した後、断面を株式会社日立ハイテクノロジーズ社製イオンミリング装置「IM4000」を使用し、アルゴンイオンビームにより加工し、断面観察用のサンプルを得た。得られた断面観察用サンプルを、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製電子顕微鏡「TM3000」にて観察した。
また、BRUKER社製EDSシステム「QUANTAX70」にて元素分析を実施した。
(酸素過電圧、被膜抵抗、電位サイクル試験)
陽極の酸素過電圧は下記の手順で測定した。
試験陽極を2cm×2cmに切り出し、PTFEで被覆したニッケル製の棒にニッケル製のネジで固定した。対極には白金メッシュを使用し、80℃、32wt%水酸化ナトリウム水溶液中で、電流密度0.05A/cmで電解し、酸素過電圧を測定した。酸素過電圧は、液抵抗によるオーム損の影響を排除するために、ルギン管を使用する三電極法によって測定した。ルギン管の先端と陽極との間隔は、常に1mmに固定した。酸素過電圧の測定装置としては、ソーラートロン社製の「1470Eシステム」を用いた。三電極法用の参照極としては、銀−塩化銀(Ag/AgCl)を用いた。三電極法を使用しても排除しきれないオーム損を電流遮断法で測定し、前記オーム損の測定値に基づき酸素過電圧を補正した。オーム損の測定には、北斗電工社製の定電流パルス発生器「HC−2005」を使用した。
続いて、被膜抵抗を測定した。0.05A/cmの電流密度が得られる電位を保持電位とし、振幅10mV、1Hz〜100kHzの周波数域で交流インピーダンス測定を行い、得られたナイキストプロットから被膜抵抗を算出した。
電位サイクル試験は下記の方法にて測定した。
80℃、32wt%水酸化ナトリウム水溶液中で、銀−塩化銀(Ag/AgCl)電極基準で−0.9Vから0.4Vの電位を、掃引速度1V/secで4000回掃引した。その後、上記の酸素過電圧を測定した。
(実施例1)
基材として、対角線の長さが1.5mmと2.5mmの菱形形状の孔を約14個/cmの密度で複数有する、厚み1.2mmのニッケルエクスパンドメタルからなるニッケル多孔基材を用意した。このニッケルエクスパンドメタルにブラスト処理を施した後に、イソプロピルアルコールに浸漬して脱脂処理し、6Nの塩酸中にて室温で酸処理した後、水洗、乾燥した。
次に、硝酸ニッケル六水和物、硝酸ランタン六水和物を、それぞれ0.20mol/L、0.20mol/Lの濃度になるよう秤量、調合した塗布液を調製した。
上記塗布液を入れたバットを用意し、このバットの上部に、一対のEPDM製塗布ロール(下部塗布ロール及び上部塗布ロール)とPVC製ローラーとを、下からこの順に、下部塗布ロールの下側が塗布液に浸漬し、下部塗布ロールと上部塗布ロール、並びに、上部塗布ロールとPVC製ローラーとが常に接するように縦一列に設置して、上記基材に塗布液を塗布した(ロール法)。具体的には、下部塗布ロールに浸み込ませた塗布液が乾燥する前に手早く、2つのEPDM製スポンジロールの間に基材を通過させて、基材のメッシュの交点等に余剰な塗布液が付着しないように塗布を行った。その後、50℃で10分間乾燥させて前駆体層を形成させた後、マッフル炉を用いて500℃で10分間の焼成を行って基材表面に金属酸化物薄膜を形成した。
このロール塗布、乾燥及び焼成のサイクルを6回繰り返した後、さらに800℃で10分間の焼成を行い、金属酸化物薄膜を形成させた。
塗布前後の基材の質量変化を基材面積で除して求めた金属酸化物薄膜の付着量は9.9g/m、被膜抵抗は0.1Ω・cmであった。
また、金属酸化物薄膜の断面を観察した結果、金属酸化物薄膜の厚みは約1μmであった。また、基材表面と金属酸化物薄膜との間にごく薄い酸化ニッケル層が形成されていることを確認した。この酸化ニッケル層は焼成(工程2)において形成されたと考えられる。
また、金属酸化物薄膜について前述の結晶構造解析を行った結果、平均結晶子径が9nmであり、単位格子が三方晶のペロブスカイト型構造の金属酸化物(LaNiO)を主に含むことが確認された。 また、前述の電解試験を行った結果、0.05A/cmでの酸素過電圧は228mVであった。
さらに、前述の電位サイクル試験を行った後に酸素過電圧を測定した結果、電位サイクル試験前と同等の値が得られ、変動電源に対する高い耐性を有することが確認された。
(実施例2〜5)
ロール塗布、乾燥及び焼成のサイクル回数を、6回から、表1に示す回数に変更した以外は実施例1と同様にしてニッケル多孔基材上に金属酸化物薄膜を形成させ水電解用陽極を作成した。その時の金属酸化物薄膜の付着量、および電位サイクル試験前後の酸素過電圧を表1に示す。
(比較例1)
予めブラスト処理を施した厚み1.2mmのニッケルエクスパンドメタルを、塗布液の塗布および焼成を行わない状態で、評価した。
前述の電解試験を行った結果、0.05A/cmでの酸素過電圧は260mVであった。
前述の電位サイクル試験を行った後に酸素過電圧を測定した結果、電位サイクル試験前と比較して過電圧の上昇が確認された。
Figure 2017047792
実施例1〜5のいずれにおいても、低い酸素過電圧を有し、実用上好ましいことが確認された。特に実施例1、3、4においては、電位サイクル試験後においても(電位が繰り返し変動した後でも)低い過電圧を示し、耐久性が優れていることが確認された。
本発明の陽極は、水の電気分解において、低い酸素発生電位を有し、高いエネルギー変換効率を示す。したがって、水電解用陽極として利用できる。とりわけ、風力又は太陽光などの供給が不安定な自然エネルギーによる発電等の変動電源を利用した水電解用の陽極として好適に利用できる。
本願は、2015年9月18日に日本国特許庁に出願された日本特許出願(特願2015−185812)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

Claims (22)

  1. ニッケル多孔基材と、
    該基材の表面上の少なくとも一部に形成された、式(1)で表される組成を有するペロブスカイト型構造の金属酸化物を含む薄膜
    を有する水電解用陽極。
    LnNiCo(1−x)・・・(1)
    (式(1)において、Lnは希土類元素を含む金属元素である。xは0<x≦1)
  2. 前記式(1)中のLnがLaを含む、請求項1に記載の水電解用陽極。
  3. 前記式(1)中のxが0.5以上である、請求項1または2に記載の水電解用陽極。
  4. 前記薄膜の厚みが0.2μm以上、10μm以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の水電解用陽極。
  5. 前記金属酸化物の付着量が2g/m以上、50g/m以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の水電解用陽極。
  6. 前記金属酸化物の付着量が5g/m以上、30g/m以下である、請求項5に記載の水電解用陽極。
  7. 前記金属酸化物の結晶子径が5nm以上、100nm以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の水電解用陽極。
  8. 前記薄膜中に単位格子が三方晶であるペロブスカイト型構造の金属酸化物を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の水電解用陽極。
  9. 比表面積が0.001m/g以上、1m/g以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載の水電解用陽極。
  10. インピーダンス測定により求められる被膜抵抗が0.01Ω・cm以上、2Ω・cm以下である、請求項1から9のいずれか一項に記載の水電解用陽極。
  11. 前記ニッケル多孔基材表面と前記薄膜との間に、さらに、酸化ニッケル層を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の水電解用陽極。
  12. 前記酸化ニッケル層の厚みが50nm以上、5000nm以下である、請求項11に記載の水電解用陽極。
  13. 前記ニッケル多孔基材がエクスパンドメタルである、請求項1から12のいずれか一項に記載の水電解用陽極。
  14. 請求項1から13のいずれか一項に記載の水電解用陽極を含む複極式電解槽用の電解セル。
  15. 請求項1から13のいずれか一項に記載の水電解用陽極を用いた電解セルに変動電源を入力することを特徴とする水素の製造方法。
  16. ニッケル多孔基材表面に、希土類金属塩およびニッケル塩を含む溶液を塗布することで前駆体層を形成する工程1と、
    前駆体層を焼成することでペロブスカイト型構造の金属酸化物を含む薄膜を形成させる工程2
    とを含む水電解用陽極の製造方法。
  17. 前記希土類金属塩がLa塩を含む、請求項16に記載の水電解用陽極の製造方法。
  18. 前記希土類金属塩が硝酸塩である、請求項16または17に記載の水電解用陽極の製造方法。
  19. 前記溶液の溶媒が、水もしくは炭素数が2〜5のアルコールの少なくとも1種以上を含む、請求項16から18のいずれか一項に記載の水電解用陽極の製造方法。
  20. 前記希土類金属塩の濃度が0.02mol/L以上、1mol/L以下であり、ニッケル塩の濃度が0.02mol/L以上、1mol/L以下である、請求項16から19のいずれか一項に記載の水電解用陽極の製造方法。
  21. 前記工程2における焼成温度が400℃以上、1000℃以下である、請求項16から20のいずれか一項に記載の水電解用陽極の製造方法。
  22. 前記工程1と前記工程2とを繰り返し行う、請求項16から21のいずれか一項に記載の水電解用陽極の製造方法。
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