JP6865436B2 - 電気化学デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、電気化学デバイスに関する。
従来、セルの積層体にイオン伝導性電解液を流通させる電気化学デバイスとして、アルカリや酸の水溶液を流通させる水電解装置、トルエン等の芳香族化合物と酸の水溶液を流通させる有機ハイドライドの電解合成装置、食塩水を流通させる食塩電解装置、硫酸バナジウム、塩化鉄、塩化クロム等の水溶液を流通させるレドックスフロー電池などが知られている。例えば、水から酸素と水素を生成するアルカリ水電解では、陽極が配置された陽極室、陰極が配置された陰極室、及びこれらの電極室を仕切る隔膜を有する電気化学セルと、各電極に給電する電源とを備える水電解装置が用いられる。この水電解装置において、水酸化カリウム(KOH)水溶液等の電解液が各電極室に供給され、電極間に電圧が印加されると、陰極室で水素が発生し、陽極室で酸素が発生する。
水電解装置では、給電が停止すると電気化学セルに逆電流が発生し、これにより電極が劣化することが知られている。例えば、特許文献1では、逆電流による電極の劣化への対策として、ルテニウム化合物とセリウム化合物の組み合わせに特定の金属化合物を共存させた触媒層を有する陰極が提案されている。
特開2016−148074号公報
近年、火力発電で得られるエネルギーに比べて生成過程での二酸化炭素排出量を抑制することができるエネルギーとして、風力や太陽光等で得られる再生可能エネルギーが注目されている。しかしながら、アルカリ水電解装置等の、イオン伝導性電解液を供給する電気化学デバイスの電源として再生可能エネルギーを使用する場合、再生可能エネルギーの出力変動の大きさや給電の停止回数の多さが障害となる。
これまでのところ、電極の劣化を回避するために出力の安定した電源を電気化学デバイスに用いることが一般的であり、再生可能エネルギーと電気化学デバイスとの組み合わせは十分に検討されてこなかった。本発明者らは、再生可能エネルギーと電気化学デバイスとの組み合わせを実現すべく鋭意検討を重ねた結果、逆電流に起因する電極の劣化を抑制して電気化学デバイスの耐久性をより向上させる技術に想到した。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、イオン伝導性電解液を供給する電気化学デバイスの耐久性を向上させる技術を提供することにある。
本発明のある態様は、電気化学デバイスである。当該電気化学デバイスは、それぞれ陰極室と、陽極室と、陰極室及び陽極室を仕切る隔膜と、陰極室に収容される陰極と、陽極室に収容される陽極とを有し、電気的に直列接続された複数の電気化学セルと、各電気化学セルの陰極室及び陽極室にイオン伝導性電解液を供給し、また陰極室及び陽極室からそれぞれのイオン伝導性電解液を回収するマニホールドと、を備える。複数の電気化学セルにおける隣り合う第1電気化学セルと第2電気化学セルとについて、第1電気化学セルの陽極室からマニホールドを介して第2電気化学セルの陰極室に至るまでの経路におけるイオン伝導抵抗Rと、第1電気化学セルの陽極の電極面積及び第2電気化学セルの陰極の電極面積のうち小さい方の電極面積Sとの積RSが、0.10Ωm以上である。
本発明によれば、イオン伝導性電解液を供給する電気化学デバイスの耐久性を向上させることができる。
実施の形態に係る電気化学デバイスの模式図である。 図2(A)は、第1逆電流経路を示す図である。図2(B)は、第2逆電流経路を示す図である。 図3(A)は、第3逆電流経路を示す図である。図3(B)は、第4逆電流経路を示す図である。 図4(A)は、電圧変動の解析試験に用いた電気回路を示す図である。図4(B)は、電圧の計測結果を示す図である。 図5(A)及び図5(B)は、イオン伝導抵抗R及び電極面積Sの積RSと、電圧上昇率との関係を示す図である。 イオン伝導抵抗R及び電極面積Sの積RSと、マニホールドの長さとの関係を示す図である。 図7(A)及び図7(B)は、給電の停止回数と各停止回の停止時間との関係を示す図である。 図8(A)及び図8(B)は、イオン伝導抵抗R及び電極面積Sの積RSと、電圧の維持時間との関係を示す図である。 変形例に係る電気化学デバイスの模式図である。 第5逆電流経路を示す図である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、同一の部材であっても、各図面間で縮尺等が若干相違する場合もあり得る。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限り、いかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。
図1は、実施の形態に係る電気化学デバイスの模式図である。以下では、アルカリ水電解装置を電気化学デバイスの例に挙げて、本実施の形態を説明する。電気化学デバイス1(1A)は、主な構成として、複数の電気化学セル100と、マニホールド200と、陰極循環タンク2と、陽極循環タンク4と、電源10とを備える。
各電気化学セル100は、陰極室102と、陽極室104と、隔膜106と、陰極108と、陽極110とを有する。なお、本実施の形態では、酸化反応が起こる極を陽極(アノード)、還元反応が起こる極を陰極(カソード)と定義する。各電気化学セル100は、陰極室102と陽極室104の並びが同じになるように向きが揃えられ、隣り合う電気化学セル100の間に通電板112を挟んで積層される。これにより、各電気化学セル100は電気的に直列接続される。本実施の形態の電気化学デバイス1は、一例として2つの電気化学セル100を備える。また、最外側の電気化学セル100の外側にも通電板112が積層される。通電板112は、金属等の導電性材料で構成される。
陰極室102は、陰極108及びイオン伝導性電解液を収容する空間である。陽極室104は、陽極110及びイオン伝導性電解液を収容する空間である。陰極室102及び陽極室104は、隔膜106によって仕切られる。
隔膜106は、セパレータとも呼ばれる。後述のように、陰極室102では水素ガスが生成され、陽極室104では酸素ガスが生成される。このため、隔膜106は、水素ガスと酸素ガスとが混合されないように、ガス遮断性を有する。また、水電解ではイオンが電子を運ぶ媒体である。このため、隔膜106は、高いイオン透過性を有する。隔膜106を構成する材料には、従来公知のものを用いることができる。具体的には、アスベスト、高分子補強アスベスト、PTFE結着チタン酸カリウム、PTFE結着ジルコニア、ポリスルホン結着ポリアンチモン酸/酸化アンチモン、焼結ニッケル、セラミクス/酸化ニッケル被覆ニッケル、ポリスルホン等が例示される。
隔膜106の厚さは、特に限定されないが、好ましくは10〜1000μmである。隔膜106の厚さを10μm以上とすることで、隔膜106のガス遮断性を確保して、水素ガス及び酸素ガスのクロスリークをより確実に抑制することができる。また、隔膜106の厚さを1000μm以下とすることで、隔膜106のイオン伝導抵抗が過大になることを抑制することができる。
陰極108(カソード)は、陰極室102に収容されるとともに、隔膜106の一方の主表面に接するように設けられる。陰極108は、例えばメッシュ状や多孔質状である。陰極108では、水(HO)と電子(e)から水素ガス(H)と水酸化物イオン(OH)とが生成される反応が起こる。陰極108を構成する材料には、従来公知のものを用いることができる。具体的には、鉄、鉄と希土類金属の合金、鉄とニッケルの合金、ニッケル、白金等が例示される。また、陰極108は、ルテニウムと、セリウムと、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム等の希土類金属と、アルミニウムとを含有するものであってもよい。陰極108の厚さは、特に限定されないが、例えば2〜2000μmである。
陽極110(アノード)は、陽極室104に収容されるとともに、隔膜106の他方の主表面、すなわち陰極108が接する側とは反対側の主表面に接するように設けられる。陽極110は、例えばメッシュ状や多孔質状である。陽極110では、水酸化物イオンから酸素ガス(O)と水(HO)と電子(e)とが生成される反応が起こる。陽極110を構成する材料には、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ニッケル、ニッケル系合金、鉄、ニッケル被覆鉄、イオン(Ag,Li,He,Kr等)プレートニッケル、ニッケルコバルト酸化物、酸化コバルト、ランタンドープ酸化コバルト、ランタンストロンチウムコバルト酸化物、亜鉛コバルト酸化物、貴金属酸化物等が例示される。陽極110の厚さは、特に限定されないが、例えば2〜2000μmである。
なお、本実施の形態の電気化学セル100は、隔膜106に陰極108及び陽極110が当接する、いわゆるゼロギャップ構造を有するが、特にこの構造に限定されない。
陰極循環タンク2には、各電気化学セル100の陰極室102から回収されるイオン伝導性電解液が収容される。以下では適宜、イオン伝導性電解液を、単に電解液と称する。電解液には、従来公知のものを用いることができる。具体的には、水酸化カリウム(KOH)水溶液、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液等が例示される。電解質の濃度は、例えば0.1〜10mol/Lである。陰極循環タンク2は、陰極気液分離部としても機能する。各陰極室102から回収される電解液には、陰極108で生成された水素ガスが溶存している。電解液に溶存する水素ガスは、陰極循環タンク2において電解液から分離され、系外に取り出される。
陽極循環タンク4には、各電気化学セル100の陽極室104から回収される電解液が収容される。電解液には、陰極循環タンク2に収容される電解液と同じものを用いることができる。陽極循環タンク4は、陽極気液分離部としても機能する。各陽極室104から回収される電解液には、陽極110で生成された酸素ガスが溶存している。電解液に溶存する酸素ガスは、陽極循環タンク4において電解液から分離され、系外に取り出される。
マニホールド200は、各電気化学セル100の陰極室102及び陽極室104に電解液を供給し、また陰極室102及び陽極室104から電解液を回収する部材である。すなわち、マニホールド200は、電解液を循環させるための配管である。マニホールド200は、陰極循環タンク2及び陽極循環タンク4から各電気化学セル100へ電解液を供給するための往路部202と、各電気化学セル100から陰極循環タンク2及び陽極循環タンク4へ電解液を回収するための復路部204とを有する。
往路部202は、途中に循環装置206を有する。循環装置206の駆動により電解液がマニホールド200内を流れ、陰極循環タンク2及び陽極循環タンク4と各電気化学セル100との間を循環する。循環装置206としては、例えばギアポンプやシリンダーポンプ等の各種ポンプ、あるいは自然流下式装置等を用いることができる。
また、往路部202は、陰極循環タンク2と循環装置206とをつなぐ第1配管208と、陽極循環タンク4と循環装置206とをつなぐ第2配管210とを有する。本実施の形態では、第1配管208と第2配管210とは、合流した後に循環装置206に接続されている。すなわち、第1配管208と第2配管210とは、一部が共通の配管で構成される。なお、第1配管208と第2配管210とは、完全に独立していてもよい。
また、往路部202は、循環装置206と各電気化学セル100の陰極室102との間に配置される第3配管212と、循環装置206と各電気化学セル100の陽極室104との間に配置される第4配管214とを有する。本実施の形態では、第3配管212と第4配管214とは、循環装置206からの一部分が共通の配管で構成されている。なお、第3配管212と第4配管214とは、完全に独立していてもよい。第1配管208と第2配管210とが独立し、且つ第3配管212と第4配管214とが独立している場合には、第1配管208と第3配管212とが循環装置206を介して接続され、第2配管210と第4配管214とが循環装置206を介して接続される。
第3配管212の循環装置206とは反対側の端部には、複数の電気化学セル100に対応して複数の側枝管213が接続される。各側枝管213は、各電気化学セル100における陰極室102の供給口に接続される。したがって、第3配管212及び側枝管213は、各電気化学セル100の陰極室102に電解液を供給するための配管である。
第4配管214の循環装置206とは反対側の端部には、複数の電気化学セル100に対応して複数の側枝管215が接続される。各側枝管215は、各電気化学セル100における陽極室104の供給口に接続される。したがって、第4配管214及び側枝管215は、各電気化学セル100の陽極室104に電解液を供給するための配管である。
復路部204は、各電気化学セル100の陰極室102と陰極循環タンク2との間に配置される第5配管216と、各電気化学セル100の陽極室104と陽極循環タンク4との間に配置される第6配管218とを有する。第5配管216と第6配管218とは、陰極108で生成される水素ガスと陽極110で生成される酸素ガスとが混ざらないように、完全に独立している。
第5配管216の陰極循環タンク2とは反対側の端部には、複数の電気化学セル100に対応して複数の側枝管217が接続される。各側枝管217は、各電気化学セル100における陰極室102の排出口に接続される。したがって、第5配管216及び側枝管217は、各電気化学セル100の陰極室102から電解液と生成ガスを回収するための配管である。
第6配管218の陽極循環タンク4とは反対側の端部には、複数の電気化学セル100に対応して複数の側枝管219が接続される。各側枝管219は、各電気化学セル100における陽極室104の排出口に接続される。したがって、第6配管218及び側枝管219は、各電気化学セル100の陽極室104から電解液と生成ガスを回収するための配管である。
電源10は、複数の電気化学セル100に電力を印加する。電源10の正極出力端子は、電気化学セル100と通電板112の積層体において最外側に配置される2つの通電板112のうち、陽極室104と隣り合う通電板112に接続される。電源10の負極出力端子は、積層体の最外側に配置される2つの通電板112のうち、陰極室102と隣り合う通電板112に接続される。これにより、各電気化学セル100の陰極108と陽極110との間に所定の電力が印加される。電源10は、好ましくは風力発電装置及び/又は太陽光発電装置である。
上述した構成を備える電気化学デバイス1の動作は、以下の通りである。まず、循環装置206が駆動して、陰極循環タンク2及び陽極循環タンク4に貯蔵されている電解液が陰極室102及び陽極室104に供給される。また、電源10から各電気化学セル100に電力が印加される。これにより、各電気化学セル100では以下の反応が起こる。ここでは、一例として陽極に水酸化ニッケルを用いている。反応温度は、例えば40〜120℃である。
<陰極での反応>
(1)2HO+2e→H+2OH
<陽極での反応>
(2)4OH→O+2HO+4e
(3)Ni(OH)+OH→NiOOH+HO+e
(4)NiOOH+OH→NiO+HO+e
すなわち、陰極108では、水の電気分解により水素ガスと水酸化物イオンとが生成される(反応式(1))。生成された水酸化物イオンは、隔膜106を介して陽極110に供給される。陽極110に供給された水酸化物イオンは、陽極110において水と電子の生成に用いられる。具体的には、一部の水酸化物イオン同士の反応により、水と電子が生成される(反応式(2))。また、他の一部の水酸化物イオンは電極と反応し、これにより水と電子が生成される(反応式(3)及び(4))。生成された電子は、通電板112を介して、直列接続された隣の電気化学セル100の陰極108に供給される。陰極108での電極反応と、陽極110での電極反応とが並行して進行する。
陰極108で生成された水素ガスは、主に電解液と混合された状態で陰極循環タンク2に送られる。水素ガスは、陰極循環タンク2において電解液から分離され、系外に取り出されて任意の用途に用いられる。水素ガスが分離された電解液は、再び電気化学セル100に供給される。陽極110で生成された酸素ガスは、主に電解液と混合された状態で陽極循環タンク4に送られる。酸素ガスは、陽極循環タンク4において電解液から分離され、系外に取り出されて任意の用途に用いられる。酸素ガスが分離された電解液は、再び電気化学セル100に供給される。
[逆電流の発生メカニズム]
本発明者らは、給電停止中に電気化学デバイス1で流れる逆電流について鋭意研究を重ねた結果、逆電流の発生メカニズムを解明するに至った。すなわち、電源10からの給電が停止して、各電気化学セル100における水の電解反応が停止すると、図2(A)〜図3(B)に示す経路に沿った逆電流が流れる。図2(A)は、第1逆電流経路を示す図である。図2(B)は、第2逆電流経路を示す図である。図3(A)は、第3逆電流経路を示す図である。図3(B)は、第4逆電流経路を示す図である。以下、逆電流経路について具体的に説明する。
図2(A)には、隣り合う第1電気化学セル100aと第2電気化学セル100bとの間に形成される第1逆電流経路C1が示されている。電源10からの給電が停止すると、第1電気化学セル100aの陽極110aにおいて、以下の反応が起こる。
<第1電気化学セルの陽極での反応>
(a)NiO+HO+e→NiOOH+OH
(b)NiOOH+HO+e→Ni(OH)+OH
(c)O+2HO+4e→4OH
陽極110aで発生した水酸化物イオンは、第1電気化学セル100a内を陽極室104aから隔膜106aを経て陰極室102aに移動する。陰極室102aに移動した水酸化物イオンは、陰極室102aの供給口に接続された第1側枝管213a、第3配管212、及び第2電気化学セル100bの陰極室102bの供給口に接続された第2側枝管213bを経て、第2電気化学セル100bの陰極室102bに移動する。そして、陰極108bにおいて以下の反応が起こる。
<第2電気化学セルの陰極での反応>
(d)H+2OH→2HO+2e
陰極108bで発生した電子は、通電板112を介して第1電気化学セル100aの陽極室104aに移動する。この結果、閉回路ができて逆電流が流れる。第1逆電流経路C1には、第1電気化学セル100aの陽極室104a−隔膜106a−陰極室102a−マニホールド200(往路部202の第1側枝管213a、第3配管212及び第2側枝管213b)−第2電気化学セル100bの陰極室102bの順に水酸化物イオンが流れる、水酸化物イオン経路が含まれる。
図2(B)には、隣り合う第1電気化学セル100aと第2電気化学セル100bとの間に形成される第2逆電流経路C2が示されている。電源10からの給電が停止すると、第1電気化学セル100aの陽極110aにおいて、上記(a)〜(c)の反応が起こる。
陽極110aで発生した水酸化物イオンは、第1電気化学セル100a内を陽極室104aから隔膜106aを経て陰極室102aに移動する。陰極室102aに移動した水酸化物イオンは、陰極室102aの排出口に接続された第1側枝管217a、第5配管216、及び第2電気化学セル100bの陰極室102bの排出口に接続された第2側枝管217bを経て、第2電気化学セル100bの陰極室102bに移動する。そして、陰極108bにおいて上記(d)の反応が起こる。
陰極108bで発生した電子は、通電板112を介して第1電気化学セル100aの陽極室104aに移動する。この結果、閉回路ができて逆電流が流れる。第2逆電流経路C2には、第1電気化学セル100aの陽極室104a−隔膜106a−陰極室102a−マニホールド200(復路部204の第1側枝管217a、第5配管216及び第2側枝管217b)−第2電気化学セル100bの陰極室102bの順に水酸化物イオンが流れる、水酸化物イオン経路が含まれる。
図3(A)には、隣り合う第1電気化学セル100aと第2電気化学セル100bとの間に形成される第3逆電流経路C3が示されている。電源10からの給電が停止すると、第1電気化学セル100aの陽極110aにおいて、上記(a)〜(c)の反応が起こる。
陽極110aで発生した水酸化物イオンは、陽極室104aの供給口に接続された第1側枝管215a、第4配管214、及び第2電気化学セル100bの陽極室104bの供給口に接続された第2側枝管215bを経て、第2電気化学セル100bの陽極室104bに移動する。陽極室104bに移動した水酸化物イオンは、第2電気化学セル100b内を陽極室104bから隔膜106bを経て陰極室102bに移動する。そして、陰極108bにおいて上記(d)の反応が起こる。
陰極108bで発生した電子は、通電板112を介して第1電気化学セル100aの陽極室104aに移動する。この結果、閉回路ができて逆電流が流れる。第3逆電流経路C3には、第1電気化学セル100aの陽極室104a−マニホールド200(往路部202の第1側枝管215a、第4配管214及び第2側枝管215b)−第2電気化学セル100bの陽極室104b−隔膜106b−陰極室102bの順に水酸化物イオンが流れる、水酸化物イオン経路が含まれる。
図3(B)には、隣り合う第1電気化学セル100aと第2電気化学セル100bとの間に形成される第4逆電流経路C4が示されている。電源10からの給電が停止すると、第1電気化学セル100aの陽極110aにおいて、上記(a)〜(c)の反応が起こる。
陽極110aで発生した水酸化物イオンは、陽極室104aの排出口に接続された第1側枝管219a、第6配管218、及び第2電気化学セル100bの陽極室104bの排出口に接続された第2側枝管219bを経て、第2電気化学セル100bの陽極室104bに移動する。陽極室104bに移動した水酸化物イオンは、第2電気化学セル100b内を陽極室104bから隔膜106bを経て陰極室102bに移動する。そして、陰極108bにおいて上記(d)の反応が起こる。
陰極108bで発生した電子は、通電板112を介して第1電気化学セル100aの陽極室104aに移動する。この結果、閉回路ができて逆電流が流れる。第4逆電流経路C4には、第1電気化学セル100aの陽極室104a−マニホールド200(復路部204の第1側枝管219a、第6配管218及び第2側枝管219b)−第2電気化学セル100bの陽極室104b−隔膜106b−陰極室102bの順に水酸化物イオンが流れる、水酸化物イオン経路が含まれる。
逆電流が生じると各電気化学セル100の陰極108及び陽極110との間にかかる電圧が変動する。この結果、容量が小さい電極の電位が容量が大きい電極の電位に徐々に近づいていく。電位がシフトすると、電極の構造変化や溶出といった電極の劣化が起こりやすくなる。
一般に、陰極108には白金等の高価な材料が用いられ、陽極110にはニッケル等の安価な材料が用いられる。また、陰極108の方が陽極110よりも過電圧が小さい。このため、陰極108は陽極110よりも、表面粗さを考慮した時の触媒表面積や電極面積が小さい傾向にある。したがって、陰極108の電位が徐々に貴な電位にシフトすることが多い。また、陰極108が酸化条件(高電位条件)下に置かれることは一般に想定されないため、陽極110に比べて陰極108の耐久性は低いことが多い。このため、陰極108はより劣化しやすい傾向にある。もちろん、陰極108よりも陽極110の方が容量が小さい場合もあり、この場合は陽極110の電位が徐々に卑な電位にシフトして、陽極110に劣化が生じる。一般に、陰極と陽極の容量は異なる。このため、予めどちらの容量が小さいかを把握した上で停止時の電圧低下量を測定することで、陰極の電位上昇量もしくは陽極の電位降下量を予測することができる。
電極の劣化は、電圧の変動に起因して生じる。このため、逆電流による電極の劣化を抑制して電気化学デバイス1の耐久性を向上させるためには、電源10が停止している間の電圧の変動を極力抑えることが望ましい。そこで本発明者らは、まず電圧変動の挙動を調べた。
[電圧変動の解析]
陽極110にNiメッシュを、陰極108にPtメッシュを、隔膜106にZirfon(登録商標)Perl(Agfa社製)を用いて、ゼロギャップの電気化学セル100を作製した。陽極110の電極面積は100cm、陰極108の電極面積は100cmとした。電極面積は、電極の幾何面積である。幾何面積とは、電極の外形により画定される面積を意味する。電極の外形は、例えば陰極室102、陽極室104及び隔膜106の積層方向から見たときの形状である。電極の外形が四角形である場合、幾何面積は縦の長さと横の長さとの積である。電極がメッシュ状であっても、電極面積Sは電極の幾何面積とする。
得られた電気化学セル100を用いて、図4(A)に示す電気回路を作製した。図4(A)は、電圧変動の解析試験に用いた電気回路を示す図である。電気化学セル100の陰極108と陽極110に、電源10、ダイオード12及び抵抗14を直列に接続した。抵抗14は、電気化学セル100に流れる電流を検出するためのシャント抵抗である。また、リレー16と抵抗18とを直列につないだ配線を、電源10と並列に接続した。この配線は、逆電流経路におけるマニホールド200に相当する。抵抗18には、セメント抵抗を用いた。
電気化学セル100の陰極室102及び陽極室104に7mol/LのKOH水溶液を供給し、リレー16を切断した状態で、40Aでの定電流電解を実施した。陰極室102及び陽極室104へのKOH水溶液の供給量は、それぞれ15mL/分とした。また、各電極の温度が80℃となるようにKOH水溶液を加温した。電解開始から10分後に電流を停止した。また、電流停止と同時にリレー16を接続して、逆電流を生じさせた。そして、電気化学セル100の電圧(V)を20分間計測して、逆電流による電圧変動を解析した。図4(A)において、実線矢印は電流の向きを示し、破線矢印は逆電流の向きを示す。電圧の計測は、抵抗18として1,10,100Ωのセメント抵抗を用いた場合のそれぞれについて実施した。また、抵抗18を設けなかった場合(0Ω)と、リレー16を切断した場合(∞Ω)とについても、電圧を計測した。
図4(B)は、電圧の計測結果を示す図である。図4(B)に示すように、抵抗値が大きい程、電圧の変動を長時間抑制できることが分かった。本発明者らは、この結果を受けてさらに考察を重ね、以下の知見を得た。すなわち、逆電流時に起こる陰極108又は陽極110の電位変化は、電極容量密度の低下により生じる。このとき、電位はネルンストの式に則って変化する。よって、電極における電位あるいは電圧の変動速度は、電流密度に依存する。
逆電流の電流密度をi、第1電気化学セル100aの陽極室104aからマニホールド200を介して第2電気化学セル100bの陰極室102bに至るまでの水酸化物イオンの経路におけるイオン伝導抵抗をR、電気化学セルの電圧をV、陽極110aの電極面積及び陰極108bの電極面積のうち小さい方の電極面積をSとすると、オームの法則からV=RSiの式が成り立つ。この式から、電流密度iと、イオン伝導抵抗R及び電極面積Sとは反比例の関係にあることが分かる。したがって、ある電圧Vにおいて、イオン伝導抵抗Rと電極面積Sの積RSが大きくなると、電流密度iが小さくなる。電流密度iが小さくなると、反応物、具体的には水素、酸素、表面酸化物等の減少速度が遅くなり、電極電位の変動速度は遅くなる。よって、イオン伝導抵抗Rと電極面積Sとの積RSを調整することで、逆電流による電極の劣化を抑制することができる。
[イオン伝導抵抗及び電極面積の積と、電圧変化との関係の解析]
本発明者らは、イオン伝導抵抗R及び電極面積Sの積RSと、電気化学セル100における電圧の変化との関係を解析した。まず、複数の電気化学デバイス1を用意した。これらの電気化学デバイス1は、それぞれイオン伝導抵抗Rが異なる。各電気化学デバイス1の電気化学セル100には上述の電圧変動の解析と同じものを用い、その数は3セルとした。この電気化学セル100では、陽極110aと陰極108bの幾何面積はともに100cm=0.01mである。したがって、電極面積Sは、100cmである。
イオン伝導抵抗Rは、隣り合う第1電気化学セル100aと第2電気化学セル100bとにおいて、陽極110aと陰極108bとの間に形成される全ての水酸化物イオン経路のイオン伝導抵抗の合成抵抗である。すなわち、第1逆電流経路C1〜第4逆電流経路C4に含まれる水酸化物イオン経路のイオン伝導抵抗の合成抵抗である。
イオン伝導抵抗Rの計測方法は以下の通りである。すなわち、各電気化学デバイス1における第1電気化学セル100aの陽極室104aと、第2電気化学セル100bの陰極室102bとに白金板を設置する。このとき、白金板が陽極110a及び陰極108bと接触しないようにする。両白金板の間で電流密度が1mA/cmとなるようにして定電流電解を実施する。さらに、±0.1mA/cmの電流を重畳して、電気化学インピーダンス測定を実施する。そして、周波数1kHzにおける実抵抗の値をイオン伝導抵抗Rとする。
イオン伝導抵抗Rは、例えば電気化学セル100間のマニホールド200の長さ、より具体的には、例えば第3配管212〜第6配管218や側枝管213,215,217,219の長さを調節することで、所望の値に定めることができる。マニホールド200の長さは、第1逆電流経路C1については陰極室102aの供給口から陰極室102bの供給口までの長さである。第2逆電流経路C2については、陰極室102aの排出口から陰極室102bの排出口までの長さである。第3逆電流経路C3については、陽極室104aの供給口から陽極室104bの供給口までの長さである。第4逆電流経路C4については、陽極室104aの排出口から陽極室104bの排出口までの長さである。
また、イオン伝導抵抗Rは、電気化学セル100間のマニホールド200の流路断面積(配管内径)を調節することでも、所望の値に定めることができる。より具体的には、例えば第3配管212〜第6配管218や側枝管213,215,217,219の流路断面積を調節することで、イオン伝導抵抗Rを調節することができる。流路断面積の調節には、電磁弁等の流路断面積を変化させる部材をマニホールド200に設け、電磁弁の開度を調節することも含まれる。マニホールド200の流路断面積を小さくすると、イオン伝導抵抗Rは大きくなる。
また、電解液の温度を調節することによっても、イオン伝導抵抗Rを所望の値に定めることができる。電解液の温度を下げると、イオン伝導抵抗Rは大きくなる。なお、マニホールド200の長さ調節、マニホールド200の流路断面積調節、及び電解液の温度調節の2つ以上を組み合わせてもよい。
用意した各電気化学デバイス1について、起動停止試験を実施した。起動停止試験では、水電解1秒間とその後の停止1秒間とを1サイクルとして、これを10000回繰り返した。また、上述の電圧変動の解析と同様に、水電解は40Aでの定電流電解とした。KOH水溶液の供給量は、陰極と陽極のそれぞれで15mL/分とした。起動停止試験の前後で電気化学デバイス1の作動電圧を測定した。そして、試験前の作動電圧に対する停止後の作動電圧の割合、すなわち電圧上昇率(%)を算出した。結果を図5(A)及び図5(B)に示す。
図5(A)及び図5(B)は、イオン伝導抵抗R(Ω)及び電極面積S(m)の積RS(Ωm)と、電圧上昇率との関係を示す図である。図5(B)は、図5(A)の低RS領域を拡大して示す図である。図5(A)及び図5(B)に示すように、積RSを0.10Ωm以上にすると、電圧上昇率は60%以下であった。一方、積RSを0.10Ωm未満にすると、電圧上昇率は115%以上であった。例えば、積RSが0.09Ωmで電圧上昇率は115%であった。したがって、積RSを0.10Ωm以上にすることで、積RSを0.10Ωm未満とした場合に比べて、電圧上昇率を55%以上改善することができる。また、積RSを0.5Ωm以上にすることで電圧上昇率を50%以下に抑制することができる。さらに、積RSを1.0Ωm超にすることで、電圧上昇率を10%未満に抑制することができる。例えば、積RSが1.2Ωmで電圧上昇率は5%であった。
したがって、積RSを0.10Ωm以上にすることで電圧上昇率を改善することができ、積RSを1.0Ωm以上にすることで電圧上昇率をより一層改善することができる。また、積RSが0.10Ωmである場合は、図4(B)において10Ωの場合に相当する。図4(B)に示すように、10Ωでは10分後で約0.2Vの電気化学セル電圧が維持されている。また、積RSが1.0Ωmである場合は、図4(B)において100Ωの場合に相当する。図4(B)に示すように、100Ωでは10分後で約0.9Vの電気化学セル電圧が維持されている。よって、電気化学セル停止中の最低セル電圧を0.2V以上に維持することで、電圧上昇率を改善することができる。また、当該最低セル電圧を0.9V以上に維持することで、さらに大幅な電圧上昇率の改善が可能となる。
電気化学セル電圧の低下は、陰極、陽極もしくは双方の電位変動によるものである。したがって、電位変動幅の縮小により電極触媒の劣化を回避することができる。さらに、電極触媒は、酸化還元電位を通過することにより劣化が進行しやすい。このため、事前に電極触媒の酸化還元電位を特定し、その酸化還元電位を通過しないように電気化学セルにおける積RSを設計することが望ましい。積RSを大きくすることで電圧変化幅を小さくすることができるが、積RSを増加させるためにはマニホールド距離の延長や電磁弁の追加など、コストがかかる。このため、電極触媒の酸化還元電位を特定し、その電位を通過しない最小の積RSで電気化学セルを設計することがより望ましい。電極触媒の酸化還元電位は、サイクリックボルタメトリーなどにより容易に特定することができる。
3つ以上の電気化学セル100が積層される場合、隣接する2つの電気化学セル100の組み合わせの少なくとも1つにおいて積RSが0.10Ωm以上であれば、多少なりとも電気化学デバイス1の耐久性向上効果が得られる。しかしながら、全ての組み合わせにおいて積RSが0.10Ωm以上であることが好ましい。なお、陰極108bの面積と陽極110aの面積とが異なる場合でも、面積の小さい方の電極の面積をSとして積RSを0.10Ωm以上とすることで、電極の劣化を効果的に抑制することができる。
また、イオン伝導抵抗Rの調整方法のうち、一例としてマニホールド200の長さの調節について、以下の方法に基づいて検証した。すなわち、陽極及び陰極の電極面積を3mとしたことを除いて電圧変動の解析に用いたものと同じ電気化学セルを2つ直列接続して、電気化学デバイス1を複数作成した。これらの電気化学デバイス1は、マニホールド200の配管内径を5cmとし、マニホールド200の長さは異ならせた。そして、各電気化学デバイス1におけるイオン伝導抵抗Rを計測した。電解液のイオン伝導度は、25℃で0.55S/cmとした。また、隔膜106の抵抗は無視した。
結果を図6に示す。図6は、イオン伝導抵抗R及び電極面積Sの積RSと、マニホールド200の長さとの関係を示す図である。図6に示すように、マニホールド200の長さが長くなるにつれて、積RSは大きくなっている。電極面積Sと電解液のイオン伝導度とは固定であるため、マニホールド200を長くすると、イオン伝導抵抗Rが大きくなることが分かる。
[風力発電装置及び太陽光発電装置の出力変動の解析]
本発明者らは、風力発電装置(WT)及び太陽光発電装置(PV)の出力変動を解析した。具体的には、給電の停止回数と各停止回の停止時間との関係を調べた。結果を図7(A)及び図7(B)に示す。図7(A)及び図7(B)は、給電の停止回数と各停止回の停止時間との関係を示す図である。停止回数は、1日の総停止回数を1としたときの割合(累積確率)として示した。本解析では、産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所内にあるWT(300kW)とPV(250kW)の1年間のデータを用いた。なお、WT及びPVの停止回数及び停止時間は、他の場所に設置されるWT及びPVでも同様であることを、本発明者らは確認している。
図7(A)に示すように、停止時間が600秒以下の停止回数は、風力発電では0.93であった。すなわち、1日に起こる給電停止のうち、停止時間が600秒以下のものは93%であった。よって、電源10に風力発電装置を用いる場合、電圧を600秒間維持できれば、逆電流による電極の劣化をより一層抑制することができる。ここで、電圧の維持とは、電気化学セルの1セルあたりの電圧を0.2V以上に維持することを意味する。停止時の電気化学セル電圧は高い方がより望ましいが、少なくとも電圧を0.2V以上にすることで、上述したように電圧上昇率を抑制することができる。また、電圧を0.9V以上にすることで、さらに大幅な電圧上昇率の抑制が可能である。
この解析結果を受けて、イオン伝導抵抗R及び電極面積Sの積RSと、電圧の維持時間との関係を解析した。まず、上述の積RSと電圧変化との関係解析と同様に、イオン伝導抵抗Rが異なる複数の電気化学デバイス1を用意した。そして、各電気化学デバイス1について、上述の電圧変動の解析と同様に、定電流電解を実施した。電解開始から10分後に電流を停止し、逆電流を生じさせた。そして、電気化学セル100の電圧を計測し、電気化学セルの電圧が0.2Vになった時間を、その電気化学セル100における電圧の維持時間(秒)とした。
得られた結果を図8(A)及び図8(B)に示す。図8(A)及び図8(B)は、イオン伝導抵抗R及び電極面積Sの積RSと、電圧の維持時間との関係を示す図である。図8(B)は、図8(A)の低RS領域を拡大して示す図である。図8(A)及び図8(B)に示すように、積RSの上昇とともに、維持時間は長くなった。具体的には、y=0.000167xの相関が認められた。上記式中、yは0.2Vを維持するために必要な積RSであり、xは維持時間である。また、積RSが0.10Ωmのとき、電圧の維持時間は600秒であった(図8(B)における右から2つ目のプロット)。したがって、電源10として風力発電装置を用いる場合、積RSは、0.10Ωm以上であることが好ましい。
また、図7(B)に示すように、太陽光発電では、停止時間が0.59時間(2130秒)以下である給電停止が、全体の36%であった。ここで、太陽光発電は太陽光を利用するため、発電は主に日中に行われる。したがって、停止時間が約9時間半から16時間半の間における累積確率の上昇分は、発電が想定されない夜間の停止に相当する。このため、太陽光発電において、発電可能な状態である日中に起こる給電停止のほとんどは、停止時間が2130秒以下であることを意味する。したがって、太陽光発電の場合、電圧の維持時間が2130秒以上であることがより望ましい。電圧の維持時間2130秒に対応する積RSの値は、図8(A)に示すプロットの近似直線(上記式の直線)から、0.36Ωmである。したがって、電源10として太陽光発電装置を用いる場合、積RSは、0.36Ωm以上であることがより好ましい。積RSを0.36Ωm以上にすることで、電気化学セルの1セルあたりの電圧を0.2V以上に維持することができ、電圧上昇率を改善することができる。また、積RSは、3.6Ωm以上であることがさらに好ましい。これは、y=0.00167x(式中、yは0.9Vを維持するために必要な積RSであり、xは維持時間である)の式に基づく。積RSを3.6Ωm以上にすることで、電気化学セルの1セルあたりの電圧を0.9V以上に維持することができ、電圧上昇率をより改善することができる。
なお、太陽光発電では、600秒以下の停止時間が全体の32%であった。これは、上述した日中に起こる給電停止回数(36%)の89%を占める。このため、電源10として太陽光発電装置を用いる場合であっても、積RSを0.10Ωm以上とすることで電極の劣化を効果的に抑制することができる。
なお、積RSの上限は、特に限定されない。例えば、マニホールド200に電磁弁や空間を設けて電解液の移動を完全に遮断した場合には、イオン伝導抵抗Rは無限大の数値となる。この場合、図4(B)に示すように、電圧を長時間安定的に維持することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る電気化学デバイス1は、電気的に直列接続された複数の電気化学セル100と、各電気化学セル100の陰極室102及び陽極室104に電解液を供給し、また陰極室102及び陽極室104から電解液を回収するマニホールド200とを備える。そして、電気化学デバイス1は、隣り合う第1電気化学セル100aと第2電気化学セル100bとについて、第1電気化学セル100aの陽極室104aからマニホールド200を介して第2電気化学セル100bの陰極室102bに至るまでの水酸化物イオンの経路におけるイオン伝導抵抗Rと、第1電気化学セル100aの陽極110aの電極面積及び第2電気化学セル100bの陰極108bの電極面積のうち小さい方の電極面積Sとの積RSが、0.10Ωm以上である。
これにより、電源10からの給電が停止した状態において、電極にかかる電圧の変動を抑制することができる。したがって、電極の電位が劣化を生じさせる電位に到達するまでの時間を、引き延ばすことができる。このため、電極が劣化し始める前に電源10からの給電が再開される状況を増やすことができる。よって、電源10からの給電停止に伴う電極の劣化を抑制することができる。この結果、電気化学デバイス1の耐久性を向上させることができ、電気化学デバイス1のエネルギー変換効率の低下を抑制することができる。また、本実施の形態によれば、電極の劣化を防ぐための付属機器を設けることなく、電極の劣化を抑制することができる。
また、本実施の形態に係る電気化学デバイス1は、電源10として風力発電装置及び/又は太陽光発電装置を備える。上述のように、電気化学デバイス1は高い耐久性を有するため、出力変動が大きい風力発電装置や太陽光発電装置を電源10として用いることができる。すなわち、風力発電装置や太陽光発電装置といった、出力の変動性が高く給電停止の多い不安定電源に由来する再生可能エネルギーを電気化学デバイス1に組み込むことができる。これにより、水素及び酸素の生成過程で排出される二酸化炭素の量を低減することができる。
また、本実施の形態に係る電気化学デバイス1は、風力発電装置を電源10とし、イオン伝導抵抗R及び電極面積Sの積RSが0.10Ωm以上である。これにより、逆電流に起因する電極の劣化を抑制することができ、ひいては電気化学デバイス1の耐久性を向上させることができる。
あるいは、本実施の形態に係る電気化学デバイス1は、太陽光発電装置を電源10とし、イオン伝導抵抗R及び電極面積Sの積RSが0.36Ωm以上である。これにより、逆電流に起因する電極の劣化をより一層抑制することができ、ひいては電気化学デバイス1の耐久性をより向上させることができる。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
(変形例)
本変形例に係る電気化学デバイスは、往路部202の構造が異なる点を除き、実施の形態に係る電気化学デバイス1と共通の構成を有する。以下、本変形例に係る電気化学デバイスについて実施の形態と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。図9は、変形例に係る電気化学デバイスの模式図である。本変形例に係る電気化学デバイス1(1B)において、マニホールド200の往路部202は、循環装置206と各電気化学セル100の陰極室102及び陽極室104との間に配置される第7配管220を有する。第7配管220は、実施の形態における第3配管212と第4配管214とを兼ねる配管である。
第7配管220の循環装置206とは反対側の端部には、複数の側枝管221a,221bが接続される。各側枝管221aは、各電気化学セル100における陰極室102の供給口に接続される。また、各側枝管221bは、各電気化学セル100における陽極室104の供給口に接続される。したがって、第7配管220、側枝管221a及び側枝管221bは、各電気化学セル100の陰極室102及び陽極室104に電解液を供給するための配管である。
実施の形態では、水酸化物イオンの移動経路について、任意の側枝管213からこれに最も近い側枝管213までの経路の方が、任意の側枝管213からこれに最も近い側枝管215までの経路よりも短い。これに対し、本変形例では、任意の側枝管221aからこれに最も近い側枝管221bまでの経路の方が、任意の側枝管221aからこれに最も近い側枝管221aまでの経路よりも短い。このため、本変形例に係る電気化学デバイス1では、第1逆電流経路C1〜第4逆電流経路C4に加えて、第5逆電流経路C5が形成される。
図10は、第5逆電流経路を示す図である。電源10からの給電が停止すると、第1電気化学セル100aの陽極110aにおいて、上記(a)〜(c)の反応が起こる。陽極110aで発生した水酸化物イオンは、陽極室104aの供給口に接続された側枝管221b、第7配管220、及び第2電気化学セル100bの陰極室102bの供給口に接続された側枝管221aを経て、第2電気化学セル100bの陰極室102bに移動する。そして、陰極108bにおいて上記(d)の反応が起こる。
陰極108bで発生した電子は、通電板112を介して第1電気化学セル100aの陽極室104aに移動する。この結果、閉回路ができて逆電流が流れる。第5逆電流経路C5には、第1電気化学セル100aの陽極室104a−マニホールド200(往路部202の側枝管221b、第7配管220及び側枝管221a)−第2電気化学セル100bの陰極室102bの順に水酸化物イオンが流れる、水酸化物イオン経路が含まれる。第5逆電流経路C5は、隔膜106を介さない経路である。
本変形例では、第5逆電流経路C5の形成が優勢ではあるが、第1逆電流経路C1及び第3逆電流経路C3も形成される。また、復路部204の配管構造は実施の形態と同じであるため、第2逆電流経路C2及び第4逆電流経路C4は当然に形成される。本変形例の構成によっても、実施の形態と同様の効果を奏することができる。
実施の形態及び変形例では、アルカリ水電解装置を例に挙げて電気化学デバイスを説明した。しかしながら、電気化学デバイスは、電気化学セルの積層体にイオン伝導性電解液を流通させる構成を備えるものであればよい。例えば、電気化学デバイスは、酸性溶液を用いる水電解装置、有機ハイドライドの電解合成装置、食塩電解装置、レドックスフロー電池等であってもよい。また、実施の形態及び変形例では、酸化反応が起こる極を陽極(アノード)、還元反応が起こる極を陰極(カソード)と定義している。しかしながら、充放電可能な二次電池の場合、充電の場合と放電の場合とで陽極と陰極は反転する。上記定義は、二次電池の充電時に該当する。陽極、陽極室、陰極及び陰極室という表現を二次電池に適用する場合、二次電池の放電時における陽極、陽極室、陰極、陰極室と定義してもよい。また、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
1 電気化学デバイス、 100 電気化学セル、 102 陰極室、 104 陽極室、 106 隔膜、 108 陰極、 110 陽極、 200 マニホールド。

Claims (5)

  1. それぞれ陰極室と、陽極室と、前記陰極室及び前記陽極室を仕切る隔膜と、前記陰極室に収容される陰極と、前記陽極室に収容される陽極とを有し、電気的に直列接続された複数の電気化学セルと、
    各電気化学セルの前記陰極室及び前記陽極室にイオン伝導性電解液を供給し、また前記陰極室及び前記陽極室からそれぞれのイオン伝導性電解液を回収するマニホールドと、を備え、
    前記複数の電気化学セルにおける隣り合う第1電気化学セルと第2電気化学セルとについて、前記第1電気化学セルの陽極室から前記マニホールドを介して前記第2電気化学セルの陰極室に至るまでの経路におけるイオン伝導抵抗Rと、前記第1電気化学セルの前記陽極の電極面積及び前記第2電気化学セルの前記陰極の電極面積のうち小さい方の電極面積Sとの積RSが、1.2Ωm以上であり、
    前記イオン伝導抵抗Rは、隣り合う前記第1電気化学セルと前記第2電気化学セルとにおいて、前記第1電気化学セルの陽極と前記第2電気化学セルの陰極との間に形成される全ての水酸化物イオン経路のイオン伝導抵抗の合成抵抗であり、
    前記イオン伝導抵抗Rは、前記第1電気化学セルの陽極室と、前記第2電気化学セルの陰極室とに白金板を設置し、両白金板の間で電流密度が1mA/cm となるようにして定電流電解を実施し、さらに±0.1mA/cm の電流を重畳して電気化学インピーダンス測定を実施したときの、周波数1kHzにおける実抵抗の値であることを特徴とする電気化学デバイス。
  2. 水電解装置である請求項1に記載の電気化学デバイス。
  3. 前記イオン伝導性電解液は、アルカリ水溶液である請求項1又は2に記載の電気化学デバイス。
  4. 前記複数の電気化学セルに電力を印加する風力発電装置をさらに備える請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気化学デバイス。
  5. 前記複数の電気化学セルに電力を印加する太陽光発電装置をさらに備える請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気化学デバイス。
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