JPWO2017047665A1 - 隅肉溶接方法及び隅肉溶接継手 - Google Patents

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Abstract

溶接変形を増加させずに、引っ張りの負荷をかけたときに、溶接金属で破断しない、引張強度に優れた重ね隅肉溶接継手を得る溶接方法であって、引張強度780MPa以上である第1の鋼板と第2の鋼板の少なくとも溶接予定箇所を重ね合わせ、第1の鋼板の端部と第2の鋼板の表面との間を隅肉溶接する方法において、第1の鋼板の表面のうち、第2の鋼板と重ね合わせる面と反対側の表面上に補強部を設け、補強材の一方の端部と第1の鋼板の表面との間を隅肉溶接するとともに、補強部の端部と、上記第1の鋼板の端部と上記第2の鋼板の表面との間を溶接金属が覆うように隅肉溶接することを特徴とする。

Description

本発明は、高強度鋼板の重ね隅肉溶接方法及び重ね隅肉溶接継手に関し、特に、自動車の構造部品として用いられ、片側からのみ溶接可能な部品の重ね隅肉溶接方法及びそれにより得られた重ね隅肉溶接継手に関する。
自動車の分野では、環境保全のため、車体の軽量化による燃費の向上とともに、衝突安全性の向上が求められている。そのため、高強度鋼板を使用して薄肉化するとともに、車体構造を最適化して、車体の軽量化と衝突安全性の向上を図るために、これまで種々の取組みがなされている。
一方、自動車等の部品の溶接では、スポット溶接が主に行われているが、足廻りやシャーシ等の強度や剛性を必要とする部位では直線的な溶接が必要となり、隅肉溶接が行われている。そして、このような部位の溶接継手においては、十分な疲労強度及び静的な引張強度を具備することが要求されている。
通常、被溶接部材に用いられる母材の疲労強度は、母材強度に比例して増加するが、溶接継手の疲労強度は、必ずしも母材強度が増加しても、増加しないことが知られている。このことが、高強度鋼板の使用による車体の軽量化を阻害している一因である。
そのため、高強度鋼板に隅肉溶接を実施して得られた溶接継手においては、疲労強度を向上させることが主に検討されており、引張強度を向上させることは、多くの検討がなされていない。
特許文献1には、溶接金属の硬さ、成分、及び、隅肉溶接ビードの寸法を適正にし、隅肉溶接により得られる溶接継手の引張強度を向上させる技術が開示されている。
特許文献2には、T字溶接継手において、溶接ビードを重ねて溶接金属の肉厚を増加させ、継手強度を向上させる技術が開示されている。
特許文献3には、疲労強度を向上させる技術の一つとして、重ね隅肉溶接継手において、溶接ビードとは別に補剛用ビードを形成する技術が開示されている。
特開2005−103622号公報 特開2013−139047号公報 特許第5522317号公報
高強度鋼板を重ね合わせ、隅肉溶接を実施して得られた試験片に対して、引張試験を行った後の状態の一例を図1に示す。
図1は、引張強度1180MPa級、板厚1.6mmの鋼板1a、1bを重ね合わせ、鋼板1aの端部と鋼板1bの表面の間に隅肉溶接を行い、得られた試験片に対して引張試験を実施した後の状態の板厚方向断面における撮像である。なお、鋼板1a側を上側、鋼板1b側を下側ということがある。
図1に示す試験片は、鋼板(母材)1a、1bで破壊せず、28kNの負荷をかけたとき、溶接ビード(隅肉溶接部)2のルート部からき裂が引っ張り方向と略垂直の方向に進展して、溶接金属で破断している。
図2に、ビッカース硬さ分布を示す。図2は、図1に示す表面に溶接ビード2が形成された鋼板(母材)1bの表面から板厚方向に0.2mm深さの位置(点線で示す位置)において、鋼板(母材)1bの表面と平行方向にビッカース硬さを測定したものである。図2において、A領域が母材部及び溶接熱影響部(HAZ部)のビッカース硬さであり、B領域が溶接金属のビッカース硬さである。このように、溶接金属のビッカース硬さが母材のビッカース硬さと同等となっている。
このように、引張強度が780MPa以上の鋼板(母材)を少なくとも上側鋼板に用いて作製された試験片は、上側鋼板の延性が高くなく、また、溶接金属のビッカース硬さと母材のビッカース硬さが同等となるため、母材で破断せず、応力が集中するルート部からき裂が進展して溶接金属で破断する。
一方、隅肉溶接により得られた溶接継手において、過度な引っ張りの負荷をかけられたときに、溶接金属で破断せず、安定して母材で破壊するものであれば、再現性よく溶接継手の設計強度が得られるため、自動車等の安全性、信頼性の向上に貢献できる。
特許文献1に開示の技術は、引張強度を向上させるために、溶接金属の硬さをその成分組成により調整するものであるが、溶接金属のビッカース硬さHVを500超にすると、溶接金属の遅れ割れが発生することがある。また、成分組成の調整は、柔軟に溶接ワイヤを選択することができないことがある。
また、本発明者らは、特許文献2を参考に、重ね隅肉溶接継手の引張強度を向上させるために、溶接金属の肉厚を増加させることを検討した。しかし、溶接金属が肉厚になるように溶接するには、入熱量を増加させる必要があり、その結果、溶接変形が増加することがあった。
また、特許文献3に開示された補剛用ビードでは部分的な補強にとどまり、また、補剛用ビードの本数を増やすと入熱量が増え、溶接変形が増加することがある。
一方、重ね隅肉溶接継手においては、被溶接部材の両側を隅肉溶接することで、引張強度を向上させることができる。しかしながら、被溶接部材の構造上、被溶接部材の片側からしか溶接できず、被溶接部材の両側に隅肉溶接を実施することができない場合がある。
本発明では、このような実情に鑑み、溶接変形を増加させずに、引っ張りの負荷をかけたときに、溶接金属で破断しない、引張強度に優れた重ね隅肉溶接継手を得る溶接方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決する手段について鋭意検討した。本発明者らは、隅肉溶接継手において上側の鋼板となる引張強度780MPa以上の第1の鋼板(以下「高強度鋼板」ともいう)と、下側の鋼板となる第2の鋼板とを重ね合わせて、第1の鋼板の端部と第2の鋼板の表面との間を隅肉溶接する際に、第1の鋼板の、第2の鋼板との重ね合わせ面と反対側の表面に補強部を設け、ルート部に集中する応力を分散させることを着想した。
そして、溶接金属が、補強部の端部、第1の鋼板の端部、第2の鋼板の表面との間を覆うように隅肉溶接したところ、溶接継手の溶接変形を増加させずに、引張強さが向上することを知見した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下の通りである。
(1)第1の鋼板と第2の鋼板の溶接予定箇所を重ね合わせ隅肉溶接する方法であって、上記第1の鋼板の引張強度が780MPa以上であり、上記方法は、上記第1の鋼板の表面であって、上記第1の鋼板と第2の鋼板とを重ね合わせる際に第2の鋼板と接する面と反対側の面に接合された補強部を形成する工程、上記補強部の端部と、上記第1の鋼板の端部と上記第2の鋼板の表面との間を溶接金属が覆うように隅肉溶接する工程を含むことを特徴とする隅肉溶接方法。
(2)前記隅肉溶接により形成された隅肉溶接部ののど厚をD(mm)、上記隅肉溶接部の平均硬さをH(HV)、前記第1の鋼板の板厚をD(mm)、第1の鋼板の隅肉溶接部のHAZ軟化部の硬さ及び第1の鋼板の母材の硬さのうち小さい硬さをH(HV)としたとき、(D×H)/(D×H)が1.50以上であることを特徴とする前記(1)の隅肉溶接方法。
(3)前記補強部は補強材であることを特徴とする前記(1)又は(2)の隅肉溶接方法。
(4)前記補強材の端部は、前記第1の鋼板の表面であって、第1の鋼板と第2の鋼板とを重ね合わせる際に接触する面と反対側の面に隅肉溶接することを特徴とする前記(3)の隅肉溶接方法。
(5)前記補強材は、前記第1の鋼板の表面であって、第1の鋼板と第2の鋼板とを重ね合わせる際に接触する面と反対側の面に、上記補強材と第1の鋼板との重ね合わせ面で接合することを特徴とする前記(3)の隅肉溶接方法。
(6)前記補強部は、前記第1の鋼板の第2の鋼板と重ね合わせる面と反対側の表面に形成された溶接ビードであることを特徴とする前記(1)又は(2)の隅肉溶接方法。
(7)前記補強部は、前記第1の鋼板を加工して形成されたことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の隅肉溶接方法。
(8)第1の鋼板と第2の鋼板が隅肉溶接された溶接継手であって、上記第1の鋼板引張強度が780MPa以上であり、上記第1の鋼板の表面であって、上記第1の鋼板と第2の鋼板とを重ね合わせる際に第2の鋼板と接する面と反対側の面に接合された補強部を備え、上記第1の鋼板の端部、上記第2の鋼板の表面、及び上記補強材の端部との間に隅肉溶接部を有することを特徴とする隅肉溶接継手。
(9)前記隅肉溶接部ののど厚をD(mm)、隅肉溶接部の平均硬さをH(HV)、前記第1の鋼板の板厚をD(mm)、第1の鋼板の隅肉溶接部のHAZ軟化部の硬さ、及び第1の鋼板の母材の硬さのうち小さい硬さをH(HV)としたとき、(D×H)/(D×H)が1.50以上であることを特徴とする前記(8)の隅肉溶接継手。
(10)前記補強部は補強材であることを特徴とする前記(8)又は(9)の隅肉溶接継手。
(11)前記補強材の端部は、前記第1の鋼板の表面であって、上記第1の鋼板と第2の鋼板とを重ね合わせる際に第2の鋼板と接する面と反対側の面に隅肉溶接されたことを特徴とする前記(10)の隅肉溶接継手。
(12)前記補強材は、前記第1の鋼板の表面であって、上記第1の鋼板と第2の鋼板とを重ね合わせる際に第2の鋼板と接する面と反対側の面に、上記補強材と第1の鋼板との重ね合わせ面で接合された補強材であることを特徴とする前記(10)の隅肉溶接継手。
(13)前記補強部は、前記第1の鋼板の第2の鋼板と重ね合わせる面と反対側の表面に形成された溶接ビードであることを特徴とする前記(8)又は(9)の隅肉溶接継手。
(14)前記補強部は、前記第1の鋼板を加工して形成されたことを特徴とする前記(8)又は(9)の隅肉溶接継手。
本発明によれば、高強度鋼板の表面上に補強部を設けて隅肉溶接したので、溶接継手の溶接変形を増加させずに、ルート部への応力集中が回避でき、引張強さを向上させることができる。
隅肉溶接を実施して得られた試験片の引張試験後の状態を示す撮像である。 ビッカース硬さ分布を示す図である。 上側鋼板の上側表面に補強材を設け、隅肉溶接する一例を示す図である。(a)は上側鋼板の上側表面に補強材を設けた状態を示し、(b)は上側鋼板、下側鋼板、及び、補強材に隅肉溶接した状態を示す。 上側鋼板の上側表面に補強材を設け、上側鋼板、下側鋼板、及び、補強材を隅肉溶接した溶接継手の一例を示す平面図である。 上側鋼板の上側表面に湾曲した補強材を設け、上側鋼板、下側鋼板、及び、補強材を隅肉溶接した溶接継手の一例を示す平面図である。 上側鋼板の上側表面に補強材を設け、上側鋼板、下側鋼板、及び、補強材を不連続に隅肉溶接した溶接継手の一例を示す平面図である。 上側鋼板の上側表面に補強材を設け、隅肉溶接する一例を示す図である。(a)は上側鋼板の上側表面に補強材を設けて接合した状態を示し、(b)は上側鋼板、下側鋼板、及び、補強材に隅肉溶接した状態を示す。 上側鋼板の上側表面に補強材を設け、上側鋼板、下側鋼板、及び、補強材を隅肉溶接した溶接継手の一例を示す平面図である。 上側鋼板の上側表面に湾曲した補強材を設け、上側鋼板、下側鋼板、及び、補強材を隅肉溶接した溶接継手の一例を示す平面図である。 上側鋼板の上側表面に補強材を設け、上側鋼板、下側鋼板、及び、補強材を不連続に隅肉溶接した溶接継手の一例を示す平面図である。 上側鋼板の上側表面に補強ビードを形成し、隅肉溶接する一例を示す図である。(a)は上側鋼板の上側表面に補強ビードを形成した状態を示し、(b)は上側鋼板、下側鋼板、及び、補強ビードに隅肉溶接した状態を示す。 上側鋼板の上側表面に補強ビードを形成し、上側鋼板、下側鋼板、及び、補強ビードを隅肉溶接した溶接継手の一例の平面図である。 上側鋼板の上側表面に湾曲した補強ビードを形成し、上側鋼板、下側鋼板、及び、補強ビードを隅肉溶接した溶接継手の一例の平面図である。 上側鋼板の上側表面に補強ビードを形成し、上側鋼板、下側鋼板、及び、補強ビードを不連続に隅肉溶接した溶接継手の一例の平面図である。 隅肉溶接部ののど厚を説明する図であり、(a)は溶接ビードが凸型の場合、(b)は溶接ビードが凹型の場合、(c)は上側鋼板と下側鋼板の間に隙間がある場合の図である。 上側鋼板と下側鋼板を多重盛り溶接した比較例を示す図である。
本発明の隅肉溶接方法(以下「本発明の溶接法」という)は、
(i)第2の鋼板と重ね合わせる面と反対側の面に補強部が設けられた高強度鋼板である第1の鋼板と第2の鋼板を重ね合わせ、
(ii)補強材の端部と、第1の鋼板の端部と、第2の鋼板の表面との間を溶接金属が覆うように隅肉溶接する方法である。
これにより、溶接継手の溶接変形を増加させずに、ルート部への応力集中が回避できるため、引張強さを向上させることができる。なお、以下、第1の鋼板を上側鋼板、第2の鋼板を下側鋼板ともいい、第1の鋼板側を上側、第2の鋼板側を下側という。
次に、本発明の溶接法に至った検討の経緯について説明するとともに、本発明の溶接法の基本構成について説明する。
重ね隅肉溶接継手においては、溶接変形を増加させずに、引張強さを向上させることが望まれていた。溶接金属の肉厚を増加させて継手強度を向上させる技術は、従来より知られているが、溶接金属が肉厚になるように溶接するには、入熱量を増加させる必要があり、溶接変形が増加することがあった。
本発明者らは、溶接金属の肉厚増加は、ルート部に集中する応力を分散させ、引張強さを向上させていると考え、ルート部に集中する応力を分散させるとともに、溶接変形を抑制するための手段について検討した。その結果、上側鋼板の上側表面に補強部を設けて隅肉溶接することに着想した。
まず、補強部を設けて隅肉溶接する方法の一例について、図面を用いて説明する。
図3に、上側鋼板の上側表面に補強材の端部が隅肉溶接された補強部を設け、補強部の端部と、上側鋼板の端部と下側鋼板の表面を溶接金属が覆うように隅肉溶接する一例を示す。図3(a)は、上側鋼板の上側表面に補強部を設けた状態を示し、図3(b)は、上側鋼板、下側鋼板、及び、補強部に隅肉溶接した状態を示す。
補強部は、図3(a)に示すように、上側鋼板10aの上側に補強材30を設け、図3(b)に示すように、上側鋼板10aの表面と補強材30の一方の端部の間に隅肉溶接を行い、隅肉溶接部40を形成し、補強材30を上側鋼板10aに固定することにより設ける。次に、補強材30の他方の端部と、上側鋼板10aの端部と、下側鋼板10bの表面との間に隅肉溶接を行い、隅肉溶接部20を形成し、隅肉溶接継手を得る。なお、隅肉溶接部20とは、溶接ビードがあるところを示す。
次に、補強部を設けて隅肉溶接を実施し、試験片を作製し、引張試験を行った結果について説明する。
まず、図1に示す試験片と同じ引張強度1180MPa級、板厚1.6mmの鋼板を2枚準備した。そして、図3に示すように、上側鋼板の上側に補強材を設け、補強材の端部と上側鋼板の表面の間に、高強度鋼板用ワイヤを用いて、アーク溶接を行い固定した。次に、この固定した上側鋼板と補強材を下側鋼板と重ね合わせ、補強材の端部と、上側鋼板の端部と、下側鋼板の表面との間に、上記と同様に高強度鋼板用ワイヤを用いて、アーク溶接を行い接合した。
作製された試験片に対して、図3(b)の矢印で示す方向に引っ張り負荷をかけ、引張速度10mm/minで引張試験を行った。その結果、試験片は、溶接金属で破断せず、47kNの負荷をかけたとき、他方の鋼板(母材)の溶接熱影響部(HAZ部)で破断した。
前述のように、補強材を用いない場合(図1)、試験片は、28kNの負荷をかけたとき、溶接金属で破断しており、補強材を用いることで、ルート部への応力集中が回避でき、引張強さが向上することを見出した。
本発明は、以上のような検討過程を経て上記(1)及び(2)に記載の発明に至ったものであり、そのような本発明の溶接法及び本発明の隅肉溶接継手(以下、「本発明の継手」という)について、さらに、必要な要件や好ましい要件について、順次説明する。
まず、補強材を上側鋼板に隅肉溶した補強部に関して、補強材の形状、寸法、配置、隅肉溶接部との関係、成分組成について説明する。
(補強材の形状及び寸法)
上側鋼板の上側表面に設ける補強材の好ましい形状について図3を用いて説明する。
補強材の形状は、特に限定されるものでなく、図3では、断面形状が、長方形状となっているが、台形状等いかなる形状も採用することができる。また、上側から平面視したときの補強材の形状は、特に限定されるものでなく、矩形状、半円状等いかなる形状も採用することができる。
上側鋼板10aとの重ね合わせ面と接する引っ張り方向における補強材30の幅Wは、隅肉溶接により形成される溶接ビードのルート部の応力を効率よく分散させるため、上側鋼板10aの板厚tb以上が好ましい。補強材30の幅Wは、隅肉溶接継手の軽量化のため、引っ張り方向における上側鋼板10aと下側鋼板10bの最大重ね代X以下が好ましい。また、補強材30の幅Wは、隅肉溶接部の長さ方向において一定である必要はない。
下側鋼板10bと溶接する側の端部の補強材30の厚さtaは、引張強さ向上のため、上側鋼板10aの板厚tbの半分(tb×0.5)以上が好ましい。補強材30の厚さtaは、隅肉溶接継手の軽量化のため、上側鋼板10aの板厚tbの2倍(tb×2.0)以下が好ましい。また、補強材30の厚さtaは、溶接ビードの長さ方向において一定である必要はない。
(補強材の配置)
下側鋼板10bと溶接する側の補強材30の端部の位置は、上側鋼板10aの端部の位置と揃っていることが好ましい。ただし、この上側鋼板10aの端部の位置を基準に、補強材30の端部が引っ張り方向に±2mmの範囲に位置していれば、十分な引張強さの溶接継手を得ることができる。
(補強材と隅肉溶接部との関係)
図3(b)に示す、下側鋼板10bの表面からの隅肉溶接部20の高さtcは、引張強さ向上のため、上側鋼板10aの板厚tb超とする。隅肉溶接部20の高さtcは、上側鋼板10aの板厚tbと補強材の板厚taの和(ta+tb)と同等とすることが好ましい。隅肉溶接部20の高さtcは、溶接変形抑制のため、上側鋼板10aの板厚tbと補強材taの和の2倍[(ta+tb)×2.0]以下が好ましい。また、隅肉溶接部20の高さtcは、隅肉溶接部20の長さ方向において一定である必要はない。
上側鋼板10aの表面からの隅肉溶接部40の高さtdは、特に限定されるものでなく、上側鋼板10aと補強材30が接合される高さであればよく、補強材30の厚さtaと同等とすることが好ましい。
図4に、上側鋼板の上側表面に補強材を設け、上側鋼板、下側鋼板、及び、補強材を隅肉溶接した溶接継手の一例の平面図を示す。図4は、上側から溶接継手を平面視したときの図である。上側鋼板10aの溶接する側の端部に沿った補強材30の長さLaは、引張強さ向上のため、溶接方向における隅肉溶接部20の全長Lbの半分(Lb×0.5)以上が好ましい。補強材30の長さLaは、隅肉溶接継手の軽量化のため、隅肉溶接部20の全長Lbの2倍(Lb×2.0)以下が好ましい。
図4では、補強材30、上側鋼板10a、及び、下側鋼板10bを接合する隅肉溶接部20の長さLc(補強材の隅肉溶接部の長さLc)と、補強材30の長さLaとが、一致するように示しているが、両者の長さが一致しなくてもよい。隅肉溶接部20の長さLcは、引張強さ向上のため、隅肉溶接部20の全長Lbの半分(Lb×0.5)以上とすることが好ましい。また、隅肉溶接部20の長さLcは、隅肉溶接部20の全長Lbと一致することが更に好ましい。
また、溶接方向における隅肉溶接部40の全長Ld(補強材の隅肉溶接部の全長Ld)は、特に限定されるものでなく、上側鋼板10aと補強材30が接合されていればよく、補強材30の長さLaと同等とすることが好ましい。
図5に、上側鋼板の上側表面に湾曲した補強材を設け、上側鋼板、下側鋼板、及び、補強材を隅肉溶接した溶接継手の一例の平面図を示す。図5は、上側から溶接継手を平面視したときの図である。図5に示すように、上側から上側鋼板10aの溶接する側の端部を平面視したとき、該端部が曲線となっている場合、上側鋼板10aの溶接する側の端部に沿って湾曲等する補強材30を設けることが好ましい。また、補強材30の長さLaと隅肉溶接部20の全長Lbの関係、隅肉溶接部の長さLcと隅肉溶接部の全長Lbとの関係、隅肉溶接部40の全長Ldについては、図4を用いて説明したものと同様とすることができる。
図6に、上側鋼板の上側表面に補強材を設け、上側鋼板、下側鋼板、及び、補強材を不連続に隅肉溶接した溶接継手の一例の平面図を示す。図6に示すように、隅肉溶接部20は不連続であってもよい。そして、補強材30と、上側鋼板10aと、下側鋼板10bとの間の隅肉溶接部20の長さ(Lc1+Lc2)は、引張強さ向上のため、隅肉溶接部20の全長(Lb1+Lb2)の半分[(Lb1+Lb2)×0.5]以上とすることが好ましい。また、隅肉溶接部の長さ(Lc1+Lc2)は、隅肉溶接部20の全長(Lb1+Lb2)と一致することが更に好ましい。なお、不連続となっている隅肉溶接部20の数は、特に限定されるものでない。
(補強材の成分組成等)
補強材の成分組成は、特に限定されるものでなく、種々の成分組成の鋼板等を採用することができる。また、鋼板以外の金属部材を採用することもできる。また、補強材は、表面にめっき等の表面処理皮膜を形成したものとしてもよい。
(補強部の他の実施形態1)
つぎに、補強材を上側鋼板に重ね合わせ面で接合した補強部に関して説明する。
(補強材の形状及び寸法)
上側鋼板の上側表面に設ける補強材の好ましい形状について図7を用いて説明する。
補強材の形状は、特に限定されるものでなく、図7では、断面形状が、長方形状となっているが、台形状等いかなる形状も採用することができる。また、上側から平面視したときの補強材の形状は、特に限定されるものでなく、矩形状、半円状等いかなる形状も採用することができる。
上側鋼板10aとの重ね合わせ面と接する引っ張り方向における補強材130の幅Wは、隅肉溶接により形成される溶接ビードのルート部の応力を効率よく分散させるため、上側鋼板10aの板厚tb以上が好ましい。補強材130の幅Wは、隅肉溶接継手の軽量化のため、引っ張り方向における上側鋼板10aと下側鋼板10bの最大重ね代X以下が好ましい。また、補強材130の幅Wは、隅肉溶接部の長さ方向において一定である必要はない。
図7(a)において、補強材130の(右側)厚さtaは、引張強さ向上のため、上側鋼板10aの板厚tbの半分(tb×0.5)以上が好ましい。補強材130の厚さtaは、隅肉溶接継手の軽量化のため、上側鋼板10aの板厚tbの2倍(tb×2.0)以下が好ましい。また、補強材130の厚さtaは、溶接ビードの長さ方向において一定である必要はない。
(補強材の配置)
図7(b)において、補強材130の(右側)端部の位置は、上側鋼板10aの(右側)端部の位置と揃っていることが好ましい。ただし、この上側鋼板10aの端部の位置を基準に、補強材130の端部が引っ張り方向に±2mmの範囲に位置していれば、十分な引張強さの溶接継手を得ることができる。
(補強材と隅肉溶接部及び接合部との関係)
図7(b)に示す、下側鋼板10bの表面からの隅肉溶接部120の高さtcは、引張強さ向上のため、上側鋼板10aの板厚tb超とする。隅肉溶接部120の高さtcは、上側鋼板10aの板厚tbと補強材の板厚taの和(ta+tb)と同等とすることが好ましい。隅肉溶接部120の高さtcは、溶接変形抑制のため、上側鋼板10aの板厚tbと補強材taの和の2倍[(ta+tb)×2.0]以下が好ましい。また、隅肉溶接部120の高さtcは、隅肉溶接部120の長さ方向において一定である必要はない。
補強材130と上側鋼板10aとの重ね合わせ面に形成される接合部140は、両者が接合されるように形成されていればよく、補強材130の幅W方向の位置及び幅等、特に限定されるものでない。補強材130の幅W方向における溶接部140の幅Waは、補強材130の未溶融幅Wb(補強材の幅Wのうち隅肉溶接で溶融された部位を除く部位の幅)の0.1倍以上の幅とすることが好ましい。また、補強材130の幅W方向における隅肉溶接部側の溶接部140の端部位置は、隅肉溶接部側の補強材130の端部から、補強材130の未溶融幅Wbの0.1倍以上離れた重ね合わせ面に位置するようにすることが好ましい。
図8に、上側鋼板の上側表面に補強材を設け、上側鋼板、下側鋼板、及び、補強材を隅肉溶接した溶接継手の一例の平面図を示す。図8は、上側から溶接継手を平面視したときの図であり、更に、補強材の上側表面に接合部を投影している。上側鋼板10aの溶接する側の端部に沿った補強材130の長さLaは、引張強さ向上のため、溶接方向における隅肉溶接部120の全長Lbの半分(Lb×0.5)以上が好ましい。補強材130の長さLaは、隅肉溶接継手の軽量化のため、隅肉溶接部120の全長Lbの2倍(Lb×2.0)以下が好ましい。
図8では、補強材130、上側鋼板10a、及び、下側鋼板10bを接合する隅肉溶接部120の長さLc(補強材の隅肉溶接部の長さLc)と、補強材130の長さLaとが、一致するように示しているが、両者の長さが一致しなくてもよい。隅肉溶接部120の長さLcは、引張強さ向上のため、隅肉溶接部120の全長Lbの半分(Lb×0.5)以上とすることが好ましい。また、隅肉溶接部120の長さLcは、隅肉溶接部120の全長Lbと一致することが更に好ましい。
また、溶接方向における接合部140の全長Ldは、特に限定されるものでなく、上側鋼板10aと補強材130が接合されていればよく、補強材130の長さLaと同等とすることが好ましい。
図9に、上側鋼板の上側表面に湾曲した補強材を設け、上側鋼板、下側鋼板、及び、補強材を隅肉溶接した溶接継手の一例の平面図を示す。図9は、上側から溶接継手を平面視したときの図であり、更に、補強材の上側表面に接合部を投影している。図9に示すように、上側から上側鋼板10aの溶接する側の端部を平面視したとき、該端部が曲線となっている場合、上側鋼板10aの溶接する側の端部に沿って湾曲等する補強材130を設けることが好ましい。また、補強材130の長さLaと隅肉溶接部120の全長Lbの関係、隅肉溶接部の長さLcと隅肉溶接部の全長Lbとの関係、接合部140の全長Ldについては、図8を用いて説明したものと同様とすることができる。
図10に、上側鋼板の上側表面に補強材を設け、上側鋼板、下側鋼板、及び、補強材を不連続に隅肉溶接した溶接継手の一例の平面図を示す。図10に示すように、隅肉溶接部120は不連続であってもよい。そして、補強材130と、上側鋼板10aと、下側鋼板10bとの間の隅肉溶接部120の長さ(Lc1+Lc2)は、引張強さ向上のため、隅肉溶接部120の全長(Lb1+Lb2)の半分[(Lb1+Lb2)×0.5]以上とすることが好ましい。また、隅肉溶接部の長さ(Lc1+Lc2)は、隅肉溶接部120の全長(Lb1+Lb2)と一致することが更に好ましい。なお、不連続となっている隅肉溶接部120の数は、特に限定されるものでない。
また、図10は、更に、補強材の上側表面に接合部を投影しており、接合部140は不連続であってもよい。そして、接合部140の長さ(Ld1+Ld2)は、特に限定されるものでなく、上側鋼板10aと補強材130が接合されていればよく、補強材130の長さLaの0.1倍以上とすることが好ましい。接合部140の幅(Wa1+Wa2)は、特に限定されるものでなく、上側鋼板10aと補強材130が接合されていればよく、補強材130の未溶融幅Wbの0.1倍以上とすることが好ましい。なお、不連続となっている接合部140の数は、特に限定されるものでない。
(補強材の成分組成等)
補強材の成分組成は、特に限定されるものでなく、種々の成分組成の鋼板等を採用することができる。また、鋼板以外の金属部材を採用することもできる。また、補強材は、表面にめっき等の表面処理皮膜を形成したものとしてもよい。
(補強部の他の実施形態2)
つぎに、上側鋼板の表面に、隅肉溶接部とは別に形成された溶接ビード(補強ビード)を補強部とする実施形態に関して説明する。
(補強ビードの形状及び寸法)
上側鋼板の上側表面に設ける補強ビードの好ましい形状について図11を用いて説明する。
補強ビードの形状は、特に限定されるものでなく、図11に示すような、従前の断面形状が山形状とすることができる。また、上側から平面視したときの補強ビードの形状は、特に限定されるものでなく、直線状、曲線状等いかなる形状も採用することができる。
引っ張り方向における補強ビード230の最大幅W’は、隅肉溶接ビードのルート部の応力を効率よく分散させるため、上側鋼板10aの板厚tb以上が好ましい。補強ビード230の最大幅W’は、隅肉溶接継手の軽量化のため、引っ張り方向における上側鋼板10aと下側鋼板10bの最大重ね代X以下が好ましい。また、補強ビード230の最大幅Wは、隅肉溶接部の長さ方向において一定である必要はない。
補強ビード230の幅を広げるのに、並列ビードやウィービングビードを採用することができる。また、補強ビードはアーク熱源だけでなく、レーザ熱源を活用したレーザ肉盛等いかなる熱源も採用できる。溶加材には棒状、ワイヤ、粉体等を採用することができる。
補強ビード230の最大高さta’は、引張強さ向上のため、上側鋼板10aの板厚tbの半分(tb×0.5)以上が好ましい。補強ビード230の最大高さtaは、隅肉溶接継手の軽量化のため、上側鋼板10aの板厚tbの2倍(tb×2.0)以下が好ましい。また、補強ビード230の最大高さta’は、溶接ビードの長さ方向において一定である必要はない。
(補強ビードの配置)
下側鋼板10bと隅肉溶接する側の補強ビード230の止端部240の位置は、上側鋼板10aの端部の位置と揃っていることが好ましい。ただし、この上側鋼板10aの端部から、補強ビード230の止端部が2mmの範囲に位置していれば、十分な引張強さの溶接継手を得ることができる。
(補強ビードと隅肉溶接部との関係)
図11(b)に示す、下側鋼板10bの表面からの隅肉溶接部220の高さtcは、引張強さ向上のため、上側鋼板10aの板厚tb超とする。隅肉溶接部220の高さtcは、上側鋼板10aの板厚tbの1.2倍(tb×1.2)以上が好ましく、上側鋼板10aの板厚tbと補強ビードの最大高さta’の和(ta’+tb)と同等とすることがさらに好ましい。隅肉溶接部220の高さtcは、溶接変形抑制のため、上側鋼板10aの板厚tbと補強ビードtaの和の2倍[(ta’+tb)×2.0]以下が好ましい。また、隅肉溶接部220の高さtcは、隅肉溶接部220の長さ方向において一定である必要はない。
また、補強ビード230と接する側の隅肉溶接部220の止端部250は、補強ビード230の表面のうち、補強ビード230の最大高さtaを示す位置から、補強ビード230の止端部240までの表面に形成されることが好ましい。
図12に、上側鋼板の上側表面に補強ビードを形成し、上側鋼板、下側鋼板、及び、補強ビードを隅肉溶接した溶接継手の一例の平面図を示す。図12は、上側から溶接継手を平面視したときの図である。上側鋼板10aの溶接する側の端部に沿った補強ビード230の長さLaは、引張強さ向上のため、溶接方向における隅肉溶接部220の全長Lbの半分(Lb×0.5)以上が好ましい。補強ビード230の長さLaは、隅肉溶接継手の軽量化のため、隅肉溶接部220の全長Lbの2倍(Lb×2.0)以下が好ましい。
図12では、補強ビード230、上側鋼板10a、及び、下側鋼板10bを接合する隅肉溶接部220の長さLc(補強ビードの隅肉溶接部の長さLc)と、補強ビード230の長さLaとが、一致するように示しているが、両者の長さが一致しなくてもよい。隅肉溶接部220の長さLcは、引張強さ向上のため、隅肉溶接部220の全長Lbの半分(Lb×0.5)以上とすることが好ましい。また、隅肉溶接部220の長さLcは、隅肉溶接部220の全長Lbと一致することが更に好ましい。
図13に、上側鋼板の上側表面に湾曲した補強ビードを形成し、上側鋼板、下側鋼板、及び、補強ビードを隅肉溶接した溶接継手の一例の平面図を示す。図13は、上側から溶接継手を平面視したときの図である。図13に示すように、上側から上側鋼板10aの溶接する側の端部を平面視したとき、該端部が曲線となっている場合、上側鋼板10aの溶接する側の端部に沿って湾曲等する補強ビード230を形成することが好ましい。また、補強ビード230の長さLaと隅肉溶接部220の全長Lbの関係、隅肉溶接部の長さLcと隅肉溶接部の全長Lbとの関係については、図12を用いて説明したものと同様とすることができる。
図14に、上側鋼板の上側表面に補強ビードを形成し、上側鋼板、下側鋼板、及び、補強ビードを不連続に隅肉溶接した溶接継手の一例の平面図を示す。図14に示すように、隅肉溶接部220は不連続であってもよい。そして、補強ビード30と、上側鋼板10aと、下側鋼板10bとの間の隅肉溶接部220の長さ(Lc1+Lc2)は、引張強さ向上のため、隅肉溶接部220の全長(Lb1+Lb2)の半分[(Lb1+Lb2)×0.5]以上とすることが好ましい。また、隅肉溶接部の長さ(Lc1+Lc2)は、隅肉溶接部220の全長(Lb1+Lb2)と一致することが更に好ましい。なお、不連続となっている隅肉溶接部220の数は、特に限定されるものでない。
(補強ビードの成分組成等)
補強ビードの成分組成は、特に限定されるものでなく、種々の成分組成の溶接金属とすることができる。ただし、溶接の作業効率上、隅肉溶接部の形成で使用する溶接ワイヤと同じ溶接ワイヤを用いて補強ビードを形成することが好ましく、溶接金属の成分組成を隅肉溶接部の成分組成と同等することが好ましい。
なお、補強ビードを本発明の補強部として用いた例と、外観上似た形態として、溶接を複数回行う、いわゆる多重盛りがある。これは、本発明に当てはめると、上側鋼板と下側鋼板を重ね隅肉溶接した後に、その上に補強ビードを形成する形態である。
しかしながら、このような多重盛りでは、上側鋼板と下側鋼板の重ね隅肉溶接は、補強部の端部を溶接金属が覆うように行われないので、本発明の実施形態とは異なる。また、この実施形態では、補強ビードを重ね隅肉溶接部の上に形成した際に、重ね隅肉溶接部のマルテンサイト組織が部分的に焼き戻され軟化領域が生じるので、重ね隅肉溶接部の溶接金属は破断しやすくなる。すなわち、本発明の効果は得られない。
補強部の他の実施形態として、上で説明した実施形態の他、補強部は鋼板を加工することにより設けてもよい。たとえば、鋼板表面の端部が凸状となるようにプレス成形し、凸状となった端部を補強部として用いることもできる。
次に、本発明の溶接法及び本発明の継手で用いる鋼板について説明する。
本発明の溶接法及び本発明の継手では、上側鋼板に引張強度が780MPa以上の鋼板(高強度鋼板)を用いる。上側鋼板に高強度鋼板を用いて隅肉溶接した溶接継手において、過度の引っ張り負荷をかけたとき、母材で破壊せず、溶接金属で破断することがあり、溶接継手の引張強さの向上が必要なためである。下側鋼板は、成分組成等、特に限定されるものでなく、上側鋼板と同様の高強度鋼板を用いることができる。
上側鋼板及び下側鋼板の板厚は、特に限定されるものでなく、0.5〜3.0mmとすることができる。また、上側鋼板及び下側鋼板の全体の板厚も、特に限定されるものでなく、1.0〜6.0mmとすることができる。また、上側鋼板及び下側鋼板は、両面又は片面にめっき等の表面処理皮膜を形成した鋼板としてもよい。めっき起因でブローホール欠陥が生じる場合は、板間に隙間をあけて溶接してもよい。
鋼板は、少なくとも一部に板状部を有し、当該板状部が互いに積み重ね合わされる部分を有するものであればよく、全体が板でなくともよい。また、鋼板は、別々の鋼板から構成されるものに限定されず、1枚の鋼板を管状等の所定の形状に成形したものを重ね合わせたものでもよい。
次に、本発明の溶接法の流れについて説明する。
まず、本発明の溶接法では、前述したような上側鋼板及び下側鋼板を準備する。例えば、板厚1.6mmの引張強度1180MPaの非めっき鋼板を2枚準備する。次に、補強材、上側鋼板、下側鋼板の間を隅肉溶接して形成する隅肉溶接部に応じた形状及び寸法の補強材を準備する。例えば、板厚方向の断面形状及び上側から平面視したときの形状が、長方形状であり、幅Wが20mm、厚さtaが1.6mmの補強材を準備する。
補強材が隅肉溶接された補強部を形成する場合、上側鋼板に補強材を重ね合わせ、上側鋼板の表面と補強材の一方の端部との間を隅肉溶接する。例えば、隅肉溶接部の高さtdを補強材と同じ高さである1.6mmとなるように隅肉溶接する。次に、補強材の他方の端部と、上側鋼板の端部と、下側鋼板の表面との間を上述の補強材と隅肉溶接部との関係となるように隅肉溶接する。例えば、隅肉溶接部の高さtcが上側鋼板の板厚tbと補強材の板厚taを足した3.2mmで、隅肉溶接部の長さLcが、補強材の長さLaと隅肉溶接部の全長Lbと一致するように、隅肉溶接をする。
なお、補強材の他方の端部と、上側鋼板の端部と、下側鋼板の表面との間を上述の補強材と隅肉溶接部との関係となるように隅肉溶接し、その後、上側鋼板の表面と補強材の一方の端部との間を隅肉溶接してもよい。
補強材が重ね合わせ面で接合された補強部を形成する場合、上側鋼板に補強材を重ね合わせ、上側鋼板と補強材との重ね合わせ面を接合する。接合は、特に限定されるものでなく、スポット溶接やシーム溶接のような抵抗溶接で行ってもよいし、抵抗溶接以外例えばレーザ溶接で行っても、接着剤を重ね合わせ面に充填させて接着して行ってもよい。各接合方法の条件は、常法に従えばよく、特に限定されるものではない。
例えば、このスポット溶接で接合する場合は、上側鋼板に補強材を重ね合わせ、両側から2枚の金属板を挟み込むように、銅合金等からなるドームラジアス型の先端直径6〜8mmの電極を、加圧力1.5〜6.0kNで押し付けつつ、5〜50サイクル(電源周波数50Hz)、4〜15kAで、通電して、溶融金属を形成し、冷却して凝固させ、直径5mm程度の溶接部を形成する。この場合、溶接部の幅及び長さは、同等となる。
次に、補強材の端部と下側鋼板の表面との間を上側鋼板の端部を含めて、上述の補強材と隅肉溶接部との関係となるように隅肉溶接する。例えば、隅肉溶接部の高さtcが上側鋼板の板厚tbと補強材の板厚taを足した3.2mmで、隅肉溶接部の長さLcが、補強材の長さLaと隅肉溶接部の全長Lbと一致するように、隅肉溶接をする。
補強ビードに依る補強部を形成する場合、補強ビードは、隅肉溶接部の形成に先立って形成する必要がある。これにより、図11(b)に示すように、隅肉溶接部220の一方の止端部250が補強ビード230の表面上に位置するようになる。
次に、補強ビードの表面と、上側鋼板の端部と、下側鋼板の表面との間を上述の補強ビードと隅肉溶接部との関係となるように隅肉溶接する。例えば、隅肉溶接部の高さtcが上側鋼板の板厚tbと補強ビードの厚さtaを足した3.2mmで、隅肉溶接部の長さLcが、補強ビードの長さLaと隅肉溶接部の全長Lbと一致するように、隅肉溶接をする。
隅肉溶接におけるアーク溶接の条件は、常法に従えばよく、特に限定されるものでない。例えば、シールドガスとしては、100%COガスの他、Arガスと3〜20%COガスとの混合ガスなどを用いることができ、溶接電流及び電圧としては、アンダーカットが出ない値を設定すればよい。
使用する溶接ワイヤは、特に限定されるものでなく、高強度鋼板用ワイヤを用いることができるが、溶接金属のビッカース硬さHVが500未満となる組成を有するものを採用すると、遅れ破壊が抑制でき、好ましい。
本発明の重ね隅肉溶接継手の引張強度が向上するのは、隅肉溶接部のルート部から隅肉溶接部の表面までの距離、すなわちのど厚が長くなることにより、ルート部に集中する応力が分散するためとかんがえられる。
のど厚Dは図15(a)、(b)に示すように、ルート部から隅肉溶接表面への最短距離として定義する。(a)は、隅肉溶接部の溶接ビードが凸型に形成された場合、(b)は溶接ビードが凹型に形成された場合の例を示す。
図15(c)に示すように、上板と下板の間に隙間がある場合は、上板側のルート部から隅肉溶接表面への最短距離、下板側のルート部から隅肉溶接表面への最短距離の短い方をのど厚とする。
本発明者らの検討によれば、隅肉溶接部ののど厚をD(mm)、隅肉溶接部の平均硬さをH(HV)、上側鋼板の板厚をD(mm)、上側鋼板の隅肉溶接部のHAZ軟化部の硬さ及び上側鋼板の母材の硬さのうち小さい硬さをH(HV)としたとき、(D×H)/(D×H)が1.20以上、好ましくは1.50となると、より引張強度が向上することがわかった。硬さは、ここで、ビッカース硬さである。
また、下側鋼板の溶融幅をL(mm)としたとき、(L×H)/(D×H)≧1.70を満たすと、引張強度の向上により好ましい。
隅肉溶接部の平均硬さは、図2にBで示した領域の溶接金属のビッカース硬さを平均した値とする。溶接金属内部であれば、測定位置や測定数は任意に決定してよい。
溶接継手の引張強度をより効果的に向上させるためには、上記の関係を満たすように、適宜溶接条件を調整すればよい。
[実施例1]
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
表1に示す長さ100mm、幅25mmの鋼板を準備した。また、図3(a)及び図4に示すような直方体形状の補強材を、引張強度1180MPaの鋼板を加工して作製した。表2に補強材の寸法を示す。図3(a)において、補強材の右側端は上側鋼板10aの右側端と揃えた。
表3に示す鋼板の組合せで、鋼板の長手方向の端部を重ね代X20mmで重ね合わせ、更に一部を除き補強材を重ね合わせ、表3に示す溶接ワイヤを用いて隅肉溶接して試験片を作製した。表3には、隅肉溶接部の高さ及び長さを示す。表3中の式1は、溶接部ののど厚をD(mm)、溶接部の平均硬さをH(HV)、上側鋼板の板厚をD(mm)、上側鋼板の溶接部のHAZ軟化部の硬さ及び上側鋼板の母材の硬さのうち小さい硬さをH(HV)としたときの(D×H)/(D×H)の値を示す(以下、[実施例2]、[実施例3]、[比較例]において同じ)。
また、表4に、隅肉溶接の溶接条件を示す。
そして、作製した試験片の両端部分を把持して、引張試験を行った。引張試験は、引張速度10mm/minで実施した。表5に、引張強度と破断箇所を示す。
試験No.1〜5、及び7〜9は、補強材を用いて隅肉溶接を行ったので、引張強度が高く、破断箇所が熱影響部となった。
試験No.6は、補強材を用いずに隅肉溶接を行ったが、母材強度が低いため、破断箇所は母材であった。
試験No.10は、補強材を用いずに隅肉溶接を行ったので、引張強度が低く、破断箇所が溶接金属となった。
試験No.11は、補強材が上側鋼板に接合されていない状態で隅肉溶接を行ったため、補強材の効果が得られず、引張強度が低く、破断箇所が溶接金属となった。
[実施例2]
表6に示す長さ100mm、幅25mmの鋼板を準備した。また、図3(a)及び図4に示すような直方体形状の補強材を、引張強度1180MPaの鋼板を加工して作製した。表7に補強材の寸法を示す。図3(a)において、補強材の右側端は上側鋼板10aの右側端と揃えた。
表8に示す補強材と上側鋼板の組合せで、一部を除き重ね合わせ、補強材の略中心に1箇所スポット溶接を行い接合した。ナゲット径(接合部の長さ及び幅)は、6mmとなるように行った。
その後、表8に示す組合せとなるように、上側鋼板と補強材を接合した物に下側鋼板を重ね合わせ、隅肉溶接して試験片を作製した。その際、上側鋼板と下側鋼板の長手方向の端部を重ね代X20mmで重ね合わせた。表8には、隅肉溶接部の高さ及び長さ、補強材右側の溶接部長さ、補強材の未溶融幅、接合部の長さ及び幅を示す。また、表9に、隅肉溶接の溶接条件を示す。
そして、作製した試験片の両端部分を把持して、引張試験を行った。引張試験は、引張速度10mm/minで実施した。表10に、引張強度と破断箇所を示す。
補強材を用いて隅肉溶接を行った結果、実施例1と同様に、引張強度が高く、破断箇所が熱影響部となった。
[実施例3]
表11に示す長さ100mm、幅25mmの鋼板を準備した。
図11(a)及び図12に示すような形状の補強ビードを、上側鋼板の上側表面に形成した。また、補強ビードの止端部40は、図11(a)に示すように、上側鋼板10aの端部と揃えた。表12に、補強ビードの高さ、幅及び長さを示す。
その後、表13に示す組合せとなるように、上側鋼板に補強ビードを形成した物に下側鋼板を重ね合わせ、隅肉溶接して試験片を作製した。その際、上側鋼板と下側鋼板の長手方向の端部を重ね代X20mmで重ね合わせた。表13に、隅肉溶接部の高さ及び長さを示す。また、表14に、補強ビード及び隅肉溶接の溶接条件を示す。
そして、作製した試験片の両端部分を把持して、引張試験を行った。引張試験は、引張速度10mm/minで実施した。表15に、引張強度と破断箇所を示す。
補強ビードを形成して隅肉溶接を行った結果、実施例1、実施例2と同様に、引張強度が高く、破断箇所が熱影響部となった。
[比較例]
表16に示す長さ100mm、幅25mmの鋼板を準備した。
図16に示すように、上側鋼板と下側鋼板を隅肉溶接して本溶接部を形成し、さらに、隅肉溶接で形成された溶接ビードの上に補強ビードを形成する多重盛り溶接を行い、試験片を作成した。上側鋼板と下側鋼板の長手方向の端部の重ね代Xは20mmとした。表17に溶接部の高さ及び長さを示す。また、表18に、補強ビード及び隅肉溶接の溶接条件を示す。
そして、作製した試験片の両端部分を把持して、引張試験を行った。引張試験は、引張速度10mm/minで実施した。表19に、引張強度と破断箇所を示す。
多重盛りによる隅肉溶接を行った結果、引張強度向上の効果は得られず、破断箇所は溶接金属となった。これは、多重盛りによっては、図16に示すとおり、のど厚Dは大きくならず、また、補強ビードを形成する際に本溶接部が部分的に焼き戻されるため、本溶接部に軟化領域が生じたためと考えられる。
本発明によれば、高強度鋼板の表面上に補強部を設けて隅肉溶接したので、溶接継手の溶接変形を増加させずに、ルート部への応力集中が回避でき、引張強さを向上させることができる。よって、本発明は、産業上の利用可能性が高いものである。
1a、1b 鋼板(母材)
2 溶接ビード(隅肉溶接部)
10a 上側鋼板
10b 下側鋼板
20 溶接ビード(隅肉溶接部)
30 補強材
40 溶接ビード(隅肉溶接部)
120 溶接ビード(隅肉溶接部)
130 補強材
140 溶接ビード(隅肉溶接部)
220 隅肉溶接ビード(隅肉溶接部)
230 補強ビード
240 補強ビードの止端部
250 隅肉溶接ビードの止端部
310 本溶接部(隅肉溶接部)
320 補強ビード
ta 補強部の厚さ
ta’ 補強ビードの最大高
tb 上側鋼板の板厚
tc 隅肉溶接部の高さ
td 隅肉溶接部の高さ
La 補強部の長さ
Lb、Lb1、Lb2 隅肉溶接部の全長
Lc、Lc1、Lc2 補強部の隅肉溶接部の長さ
Ld、Ld1、Ld2 溶接部の長さ
W 補強部の幅
W’ 補強ビードの最大幅
Wa、Wa1、Wa2 接合部の幅
Wb 補強部の未溶融幅
X 最大重ね代
のど厚

Claims (14)

  1. 第1の鋼板と第2の鋼板の溶接予定箇所を重ね合わせ隅肉溶接する方法であって、
    上記第1の鋼板の引張強度が780MPa以上であり、
    上記方法は、
    上記第1の鋼板の表面であって、上記第1の鋼板と第2の鋼板とを重ね合わせる際に第2の鋼板と接する面と反対側の面に接合された補強部を形成する工程、
    上記補強部の端部と、上記第1の鋼板の端部と上記第2の鋼板の表面との間を溶接金属が覆うように隅肉溶接する工程
    を含むことを特徴とする隅肉溶接方法。
  2. 前記隅肉溶接により形成された隅肉溶接部ののど厚をD(mm)、上記隅肉溶接部の平均硬さをH(HV)、前記第1の鋼板の板厚をD(mm)、第1の鋼板の隅肉溶接部のHAZ軟化部の硬さ及び第1の鋼板の母材の硬さのうち小さい硬さをH(HV)としたとき、(D×H)/(D×H)が1.50以上であることを特徴とする請求項1に記載の隅肉溶接方法。
  3. 前記補強部は補強材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の隅肉溶接方法。
  4. 前記補強材の端部は、前記第1の鋼板の表面であって、第1の鋼板と第2の鋼板とを重ね合わせる際に接触する面と反対側の面に隅肉溶接することを特徴とする請求項3に記載の隅肉溶接方法。
  5. 前記補強材は、前記第1の鋼板の表面であって、第1の鋼板と第2の鋼板とを重ね合わせる際に接触する面と反対側の面に、上記補強材と第1の鋼板との重ね合わせ面で接合することを特徴とする請求項3に記載の隅肉溶接方法。
  6. 前記補強部は、前記第1の鋼板の第2の鋼板と重ね合わせる面と反対側の表面に形成された溶接ビードであることを特徴とする請求項1又は2に記載の隅肉溶接方法。
  7. 前記補強部は、前記第1の鋼板を加工して形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の隅肉溶接方法。
  8. 第1の鋼板と第2の鋼板が隅肉溶接された溶接継手であって、
    上記第1の鋼板引張強度が780MPa以上であり、
    上記第1の鋼板の表面であって、上記第1の鋼板と第2の鋼板とを重ね合わせる際に第2の鋼板と接する面と反対側の面に接合された補強部を備え、
    上記第1の鋼板の端部、上記第2の鋼板の表面、及び上記補強材の端部との間に隅肉溶接部を有する
    ことを特徴とする隅肉溶接継手。
  9. 前記隅肉溶接部ののど厚をD(mm)、隅肉溶接部の平均硬さをH(HV)、前記第1の鋼板の板厚をD(mm)、第1の鋼板の隅肉溶接部のHAZ軟化部の硬さ及び第1の鋼板の母材の硬さのうち小さい硬さをH(HV)としたとき、(D×H)/(D×H)が1.50以上であることを特徴とする請求項に記載の隅肉溶接継手。
  10. 前記補強部は補強材であることを特徴とする請求項8又は9に記載の隅肉溶接継手。
  11. 前記補強材の端部は、前記第1の鋼板の表面であって、上記第1の鋼板と第2の鋼板とを重ね合わせる際に第2の鋼板と接する面と反対側の面に隅肉溶接されたことを特徴とする請求項10に記載の隅肉溶接継手。
  12. 前記補強材は、前記第1の鋼板の表面であって、上記第1の鋼板と第2の鋼板とを重ね合わせる際に第2の鋼板と接する面と反対側の面に、上記補強材と第1の鋼板との重ね合わせ面で接合された補強材であることを特徴とする請求項10に記載の隅肉溶接継手。
  13. 前記補強部は、前記第1の鋼板の第2の鋼板と重ね合わせる面と反対側の表面に形成された溶接ビードであることを特徴とする請求項8又は9に記載の隅肉溶接継手。
  14. 前記補強部は、前記第1の鋼板を加工して形成されたことを特徴とする請求項8又は9に記載の隅肉溶接継手。
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