「第1実施形態」 本発明に係る第1実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。なお、以下においては、説明の便宜上、図面における上側を「上」とし、図面における下側を「下」として説明する。
第1実施形態の緩衝器1は、図1に示すように、いわゆる複筒型の油圧緩衝器であり、作動流体としての油液が封入されるシリンダ2を有している。シリンダ2は、円筒状の内筒3と、この内筒3よりも大径で内筒3を覆うように外周側で同心状に設けられる有底円筒状の外筒4と、外筒4の上部開口側を覆うカバー5とを有しており、内筒3と外筒4との間にリザーバ室6が形成されている。
外筒4は、円筒状の胴部材11と、胴部材11の下部側に嵌合固定されて胴部材11の下部を閉塞する底部材12とからなっている。底部材12には、胴部材11とは反対の外側に取付アイ13が固定されている。
カバー5は、筒状部15と筒状部15の上端側から径方向内方に延出する内フランジ部16とを有している。カバー5は、胴部材11の上端開口部を内フランジ部16で覆い胴部材11の外周面を筒状部15で覆うように胴部材11に被せられており、この状態で、筒状部15の一部が径方向内方に加締められて胴部材11に固定されている。
シリンダ2の内筒3内には、ピストン18が摺動可能に嵌装されている。このピストン18は、内筒3内に上室19と下室20とを画成している。内筒3内の上室19および下室20内には作動流体としての油液が封入され、内筒3と外筒4との間のリザーバ室6内には作動流体としての油液とガスとが封入されている。
シリンダ2内には、ピストンロッド21の一端側が挿入されており、ピストン18は、この一端側に連結されている。つまり、ピストンロッド21は、その一端側がシリンダ2内でピストン18に固定されている。ピストン18およびピストンロッド21は一体に移動する。ピストンロッド21がシリンダ2からの突出量を増やす伸び行程において、ピストン18は上室19側へ移動することになり、ピストンロッド21がシリンダ2からの突出量を減らす縮み行程において、ピストン18は下室20側へ移動することになる。上室19はピストン18のピストンロッド21側にあるロッド側室であり、下室20はピストン18の底部材12側つまりボトム側にあるボトム側室である。
内筒3および外筒4の上端開口側には、ロッドガイド22が嵌合されており、外筒4にはロッドガイド22よりもシリンダ2の外部側である上側にシール部材23が装着されている。ロッドガイド22とシール部材23との間には摩擦部材24が設けられている。ロッドガイド22、シール部材23および摩擦部材24は、いずれも環状をなしており、ピストンロッド21は、これらロッドガイド22、摩擦部材24およびシール部材23のそれぞれの内側に摺動可能に挿通されてシリンダ2の外部に延出されている。つまり、一端側がシリンダ2内でピストン18に固定されているピストンロッド21は、その他端側が、シリンダ2の外にロッドガイド22およびシール部材23を介して突出している。
ここで、ロッドガイド22は、ピストンロッド21を、その径方向移動を規制しつつ軸方向移動可能に支持して、このピストンロッド21の移動を案内する。シール部材23は、その外周部で外筒4に密着し、その内周部で、軸方向に移動するピストンロッド21の外周部に摺接して、内筒3内の油液と、外筒4内のリザーバ室6の高圧ガスおよび油液とが外部に漏洩するのを防止する。摩擦部材24は、その内周部でピストンロッド21の外周部に摺接して、ピストンロッド21に摩擦抵抗を発生させる。なお、摩擦部材24は、シールを目的とするものではない。
ロッドガイド22は、その外周部が、下部よりも上部が大径となる段差状をなしており、小径の下部において内筒3の上端の内周部に嵌合し大径の上部において外筒4の上部の内周部に嵌合する。外筒4の底部材12上には、下室20とリザーバ室6とを画成するボトムバルブ25が設置されており、このボトムバルブ25に内筒3の下端の内周部が嵌合されている。外筒4の上端部は、図示せぬ一部が径方向内方に加締められており、この加締め部分とロッドガイド22とがシール部材23を挟持している。
ピストンロッド21は、主軸部27と、これより小径の取付軸部28とを有している。取付軸部28はシリンダ2内に配置されてピストン18等が取り付けられている。主軸部27の取付軸部28側の端部は、軸直交方向に沿って延在する軸段部29となっている。取付軸部28の外周部には、軸方向の中間位置に軸方向に延在する通路溝30が形成されており、軸方向の主軸部27とは反対側の先端位置にオネジ31が形成されている。通路溝30は、ピストンロッド21の中心軸線に直交する面での断面の形状が長方形、正方形、D字状のいずれかをなすように形成されている。
ピストンロッド21には、主軸部27のピストン18とロッドガイド22との間の部分に、いずれも円環状のストッパ部材32および緩衝体33が設けられている。ストッパ部材32は、内周側にピストンロッド21を挿通させており、加締められて主軸部27の径方向内方に凹む固定溝34に固定されている。緩衝体33も、内側にピストンロッド21を挿通させており、ストッパ部材32とロッドガイド22との間に配置されている。
緩衝器1は、例えばピストンロッド21のシリンダ2からの突出部分が上部に配置されて車体により支持され、シリンダ2側の取付アイ13が下部に配置されて車輪側に連結される。これとは逆に、シリンダ2側が車体により支持され、ピストンロッド21が車輪側に連結されるようにしても良い。車輪が走行に伴って振動すると該振動に伴ってシリンダ2とピストンロッド21との位置が相対的に変化するが、上記変化はピストン18およびピストンロッド21の少なくともいずれか一方に形成された流路の流体抵抗により抑制される。以下で詳述するごとくピストン18およびピストンロッド21の少なくともいずれか一方に形成された流路の流体抵抗は振動の速度や振幅により異なるように作られており、振動を抑制することにより、乗り心地が改善される。上記シリンダ2とピストンロッド21との間には、車輪が発生する振動の他に、車両の走行に伴って車体に発生する慣性力や遠心力も作用する。例えばハンドル操作により走行方向が変化することにより車体に遠心力が発生し、この遠心力に基づく力が上記シリンダ2とピストンロッド21との間に作用する。以下で説明するとおり、緩衝器1は車両の走行に伴って車体に発生する力に基づく振動に対して良好な特性を有しており、車両走行における高い安定性が得られる。
図2に示すように、ピストン18は、ピストンロッド21に支持される金属製のピストン本体35と、ピストン本体35の外周面に一体に装着されて内筒3内を摺動する円環状の合成樹脂製の摺動部材36とによって構成されている。
ピストン本体35には、上室19と下室20とを連通させ、ピストン18の上室19側への移動、つまり伸び行程において上室19から下室20に向けて油液が流れ出す通路を内側に形成する複数(図2では断面とした関係上一カ所のみ図示)の通路穴38と、ピストン18の下室20側への移動、つまり縮み行程において下室20から上室19に向けて油液が流れ出す通路を内側に形成する複数(図2では断面とした関係上一カ所のみ図示)の通路穴39とが設けられている。つまり、複数の通路穴38内の通路と複数の通路穴39内の通路とが、ピストン18の移動により上室19と下室20との間を作動流体である油液が流れるように連通する。通路穴38は、円周方向において、それぞれ間に一カ所の通路穴39を挟んで等ピッチで形成されており、ピストン18の軸方向一側(図2の上側)が径方向外側に軸方向他側(図2の下側)が径方向内側に開口している。
図3に示すように、これら半数の通路穴38に対して、ピストン18の移動により減衰力を発生する減衰力発生機構41が設けられている。減衰力発生機構41は、ピストン18の軸方向の一端側である下室20側に配置されて、ピストンロッド21に取り付けられている。通路穴38は、ピストンロッド21およびピストン18が伸び側(図3の上側)に移動するときに油液が通過する伸び側の通路を内側に形成しており、これらに対して設けられた減衰力発生機構41は、伸び側の通路穴38内の通路の油液の流動を抑制して減衰力を発生させる伸び側の減衰力発生機構となっている。ピストンロッド21の取付軸部28には、減衰力発生機構41のピストン18とは反対側に隣接して、伸び行程でピストン18の往復動の周波数(以下、ピストン周波数と称す)に感応して減衰力を可変とする減衰力可変機構43が取り付けられている。
また、図2に示すように、残りの半数を構成する通路穴39は、円周方向において、それぞれ間に一カ所の通路穴38を挟んで等ピッチで形成されており、ピストン18の軸線方向他側(図2の下側)が径方向外側に軸線方向一側(図2の上側)が径方向内側に開口している。
そして、これら残り半数の通路穴39に、減衰力を発生する減衰力発生機構42が設けられている。減衰力発生機構42は、ピストン18の軸方向の他端側である軸線方向の上室19側に配置されて、ピストンロッド21に取り付けられている。通路穴39は、ピストンロッド21およびピストン18が縮み側(図2の下側)に移動するときに油液が通過する縮み側の通路を内側に形成しており、これらに対して設けられた減衰力発生機構42は、縮み側の通路穴39内の通路の油液の流動を抑制して減衰力を発生させる縮み側の減衰力発生機構となっている。
ピストン本体35は、略円板形状をなしており、その径方向の中央には、軸方向に貫通して、ピストンロッド21の取付軸部28を嵌合させるための嵌合穴45が形成されている。ピストン本体35の軸方向の下室20側の端部は、その嵌合穴45と通路穴38との間の部分が減衰力発生機構41の内周側を支持しており、ピストン本体35の軸方向の上室19側の端部は、その嵌合穴45と通路穴39との間の部分が減衰力発生機構42の内周側を支持している。
ピストン本体35の軸方向の下室20側の端部には、通路穴38の下室20側の開口よりも径方向外側に、減衰力発生機構41の一部である環状のバルブシート部47が形成されている。また、ピストン本体35の軸方向の上室19側の端部には、通路穴39の上室19側の開口よりも径方向外側に、減衰力発生機構42の一部である環状のバルブシート部49が形成されている。ピストン本体35の嵌合穴45は、ピストンロッド21の取付軸部28を嵌合させる軸方向のバルブシート部49側の小径穴部301と、これよりも軸方向のバルブシート部47側の大径穴部302とを有している。ピストン本体35の大径穴部302は、ピストンロッド21に面してシート部材55側に形成されている。
ピストン本体35において、バルブシート部47の嵌合穴45とは反対側は、バルブシート部47よりも軸線方向高さが低い段差状をなしており、この段差状の部分に縮み側の通路穴39の下室20側の開口が配置されている。また、同様に、ピストン本体35において、バルブシート部49の嵌合穴45とは反対側は、バルブシート部49よりも軸線方向高さが低い段差状をなしており、この段差状の部分に伸び側の通路穴38の上室19側の開口が配置されている。
図3に示すように、伸び側の減衰力発生機構41は、圧力制御型のバルブ機構であり、軸方向のピストン18側から順に、一枚のディスク51と、一枚のメインバルブ52と、一枚のディスク53と、一枚のディスク54と、一つのシート部材55と、一枚のディスク56と、一枚のディスク57と、一枚のディスク58と、一枚のディスク59と、一枚のディスク60と、一枚のディスク61と、一枚のディスク62とを有している。ディスク51,53,54,56〜62およびシート部材55は、金属製である。ディスク51,53,54,56〜62は、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合可能な一定厚さの有孔円形平板状をなしている。メインバルブ52およびシート部材55は、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合可能な円環状をなしている。
シート部材55は、軸直交方向に沿う有孔円板状の底部71と、底部71の内周側に形成された軸方向に沿う円筒状の内側円筒状部72と、底部71の外周側に形成された軸方向に沿う円筒状の外側円筒状部73とを有している。底部71は、内側円筒状部72および外側円筒状部73に対し軸方向の一側にずれており、底部71には、軸方向に貫通する貫通穴74が形成されている。内側円筒状部72の内側には、軸方向の底部71側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合させる小径穴部75が形成されており、軸方向の底部71とは反対側に小径穴部75より大径の大径穴部76が形成されている。
シート部材55の内側円筒状部72の軸方向の底部71側の端部は、ディスク56の内周側を支持しており、内側円筒状部72の軸方向の底部71とは反対側の端部は、ディスク54の内周側を支持している。シート部材55の外側円筒状部73の軸方向の底部71側の端部は、環状のバルブシート部79となっている。貫通穴74を含むシート部材55の内側は、メインバルブ52にピストン18の方向に圧力を加えるパイロット室80となっている。
ディスク51は、バルブシート部47の内径よりも小径の外径となっている。メインバルブ52は、金属製のディスク85と、ディスク85に固着されるゴム製のシール部材86とからなっている。ディスク85は、内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合可能な一定厚さの有孔円形平板状をなしており、その外径がバルブシート部47の外径よりも若干大径となっている。シール部材86は、ディスク85のピストン18とは反対の外周側に固着されており、円環状をなしている。
ディスク51には、ピストン本体35の通路穴38よりも径方向外側に軸方向に貫通する貫通穴87が形成されている。ディスク85は、ピストン18のバルブシート部47に着座可能である。メインバルブ52は、ピストン18に設けられた通路穴38内の通路とシート部材55に設けられたパイロット室80との間に設けられており、ピストン18の伸び側への摺動によって生じる油液の流れを抑制して減衰力を発生させる。このメインバルブ52はディスクバルブとなっている。
シール部材86は、シート部材55の外側円筒状部73の内周面に全周にわたり接触して、メインバルブ52と外側円筒状部73との隙間をシールする。よって、メインバルブ52とシート部材55との間の上記したパイロット室80は、メインバルブ52に、ピストン18の方向、つまりバルブシート部47にディスク85を着座させる閉弁方向に内圧を作用させる。ディスク51の貫通穴87、ピストン18の大径穴部302、ピストンロッド21の通路溝30、ディスク54の切欠91が、パイロット室80にシリンダ2内の上室19から通路穴38内の通路を介して油液を導入する通路となっている。メインバルブ52は、パイロット室80を有するパイロットタイプの減衰バルブであり、ディスク85がピストン18のバルブシート部47から離座して開くと、通路穴38内の通路からの油液をピストン18とシート部材55の外側円筒状部73との間で径方向に広がる通路88を介して下室20に流す。つまり、伸び側の減衰力発生機構41は、ディスク51の貫通穴87、ピストン18の大径穴部302、ピストンロッド21の通路溝30、ディスク54の切欠91内の通路を介して油液の流れの一部をパイロット室80に導入してパイロット室80の圧力によってメインバルブ52の開弁を制御する。
ディスク53は、その外径が、内側円筒状部72の外径よりも小径で大径穴部76の内径よりも大径となっている。ディスク54は、ディスク51と同材質且つ同形状の共通部品であり、内周側に切欠91が形成されている。切欠91は、内側円筒状部72のディスク54への接触部分を径方向に横断しており、切欠91内の通路を介してシート部材55の大径穴部76内の通路とパイロット室80とが常時連通している。
ディスク56は、シート部材55のバルブシート部79の内径よりも小径の外径となっている。ディスク57は、その外径がバルブシート部79の外径よりも若干大径となっており、バルブシート部79に着座可能となっている。ディスク57には、外周側に切欠93が形成されており、切欠93は、バルブシート部79を径方向に横断している。
ディスク58、ディスク59およびディスク60は、ディスク57の外径と同径の外径となっている。ディスク61は、ディスク60の外径よりも小径の外径となっている。ディスク62は、ディスク61の外径よりも大径且つディスク60の外径よりも小径の外径となっている。
ディスク57〜60が、バルブシート部79に離着座可能であって、バルブシート部79から離座することで、パイロット室80と下室20とを連通させるとともにこれらの間の油液の流れを抑制するディスクバルブ99を構成している。パイロット室80は、メインバルブ52とシート部材55とディスクバルブ99とで囲まれて形成されており、ディスク57の切欠93は、ディスク57がバルブシート部79に当接状態にあってもパイロット室80を下室20に連通させる固定オリフィス100を構成している。ディスク62は、ディスクバルブ99の開方向への変形時にディスク60に当接してディスクバルブ99の変形を抑制する。
ピストン18に設けられた伸び側の通路穴38内の通路と、開時のメインバルブ52とバルブシート部47との隙間と、ピストン18と外側円筒状部73との間で径方向に広がる通路88と、ディスク51に設けられた貫通穴87、ピストン18の大径穴部302、シート部材55の大径穴部76およびディスク54の切欠91と、パイロット室80と、固定オリフィス100と、開時のディスクバルブ99とバルブシート部79との隙間とが、伸び行程でのピストン18の移動により上室19から下室20に向けて油液が流れ出す伸び側の第1通路101を構成している。伸び側の減衰力発生機構41は、この伸び側の第1通路101に設けられて減衰力を発生させる。
図2に示すように、縮み側の減衰力発生機構42は、軸方向のピストン18側から順に、一枚のディスク111と、一枚のディスク112と、複数枚のディスク113と、複数枚のディスク114と、一枚のディスク115と、一枚のディスク116と、一枚の環状部材117とを有している。ディスク111〜116および環状部材117は、金属製であり、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合可能な一定厚さの有孔円形平板状をなしている。
ディスク111は、ピストン18のバルブシート部49の内径よりも小径の外径となっている。ディスク112は、その外径がピストン18のバルブシート部49の外径よりも若干大径となっており、バルブシート部49に着座可能となっている。ディスク112には、外周側に切欠121が形成されており、切欠121はバルブシート部49を径方向に横断している。
複数枚のディスク113は、同材質且つ同形状の共通部品であり、ディスク112の外径と同径の外径となっている。複数枚のディスク114は、同材質且つ同形状の共通部品であり、ディスク113の外径よりも小径の外径となっている。ディスク115は、ディスク114の外径よりも小径の外径となっている。ディスク116は、ディスク114の外径よりも大径且つディスク113の外径よりも小径の外径となっている。環状部材117は、ディスク116の外径よりも小径の外径となっており、ディスク111〜116よりも厚く高剛性となっている。この環状部材117は、ピストンロッド21の軸段部29に当接している。
ディスク112〜114が、バルブシート部49に離着座可能であり、バルブシート部49から離座することで通路穴39内の通路を上室19に開放可能であって、上室19と下室20との間の油液の流れを抑制するディスクバルブ122を構成している。ディスク112の切欠121は、ディスク112がバルブシート部49に当接状態にあっても上室19と下室20とを連通させる固定オリフィス123を構成している。環状部材117はディスクバルブ122の開方向への規定以上の変形を規制する。
ピストン18に設けられた縮み側の通路穴39内の通路と、固定オリフィス123と、開時のディスクバルブ122とバルブシート部49との隙間とが、縮み行程でのピストン18の移動により下室20から上室19に向けて油液が流れ出す縮み側の第1通路102を構成している。縮み側の減衰力発生機構42は、この縮み側の第1通路102に設けられて減衰力を発生させる。
本実施形態では、図3に示す伸び側のディスクバルブ99、縮み側のディスクバルブ122をいずれも内周クランプのディスクバルブの例を示したが、これに限らず、減衰力を発生する機構であればよく、例えば、ディスクバルブをコイルバネで付勢するリフトタイプのバルブとしてもよく、また、ポペット弁であってもよい。
減衰力可変機構43は、軸方向の減衰力発生機構41側から順に、一つの有底筒状のハウジング131と、一枚のディスク132と、一枚のディスク133および一枚の区画ディスク134(ディスク)と、複数枚のディスク135と、区画ディスク134に対向する環状の対向部材139とを有している。ハウジング131、ディスク132,133,135および対向部材139は、金属製である。ディスク132,133,135は、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合可能な一定厚さの有孔円形平板状をなしており、ハウジング131および対向部材139は、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合可能な円環状をなしている。
対向部材139は環状であって、ハウジング131に嵌合されて筒状のケース部材140をハウジング131とで構成するものである。ハウジング131は、軸直交方向に沿う有孔円板状の底部141と、底部141の内周側に形成された軸方向に沿う円筒状の内側円筒状部142と、底部141の内側円筒状部142よりも外周側に形成された軸方向に沿う円筒状の突出部143とを有している。内側円筒状部142は、底部141から軸方向両側に突出しており、突出部143は、底部141から軸方向片側のみに突出している。内側円筒状部142の内側には、軸方向における突出部143の突出方向とは反対側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合させる小径穴部145が形成されており、軸方向の突出部143側に小径穴部145より大径の大径穴部146が形成されている。また、底部141の突出部143よりも外周側には、円筒状の筒状部166が形成されている。
ハウジング131の内側円筒状部142は、その軸方向の小径穴部145側の一端部でディスク62の内周側を支持しており、その軸方向の大径穴部146側の他端部でディスク132の内周側を支持している。ハウジング131の突出部143は、区画ディスク134に向けて突出しており、区画ディスク134に当接して、区画ディスク134のそれ以上の底部141側への移動を規制する。突出部143は、その突出先端側の端部で、区画ディスク134の外周側を支持している。また、突出部143には、周方向に部分的に切欠き303が形成され、ハウジング131における突出部143の径方向内側と径方向外側とが常時連通している。
ディスク132は、内側円筒状部142のこれに接触する部分よりも大径且つ突出部143の内径よりも小径の外径となっている。ディスク132には、内周側に切欠151が形成されている。切欠151は、内側円筒状部142のディスク132への接触部分を径方向に横断している。ディスク133は、ディスク132の外径よりも小径の外径となっている。
区画ディスク134は、金属製のディスク155と、ディスク155の外周側に固着されるゴム製のシール部材156とからなっており、弾性変形可能となっている。ディスク155は、内側のディスク133とは隙間をもって配置可能な一定厚さの有孔円形平板状をなしており、ディスク133よりも厚さが薄くなっている。ディスク155は、その外径がハウジング131の突出部143の外径よりも大径となっている。
シール部材156は、ディスク155の外周側に円環状をなして固着されている。シール部材156は、ディスク155から軸方向の対向部材139とは反対側に突出する円環状のシール部158と、ディスク155から軸方向の対向部材139側に突出する円環状の弾性部159とを有している。また、ディスク155と、ハウジング131との間には、環状の隙間が設けられ、シール部材156は、その隙間を介してディスク155の両面にシール部158と弾性部159とを固着している。このような構成としたことにより、ディスク155へのシール部材156の固着を容易にしている。シール部158は、ディスク155側の端部の内径が最小内径となっており、この内径が突出部143の外径よりも若干大径となっている。これにより、区画ディスク134は、そのディスク155がハウジング131の突出部143に当接可能となっている。弾性部159にはそのディスク155とは反対側に開口し径方向に貫通する径方向溝161が形成されている。この径方向溝161により、下室20の圧力が後述する可変室171よりも高圧になると、区画ディスク134のディスク155が突出部143に当接する。なお、突出部143に切欠303が設けられているため、ディスク155のシール部158が設けられる側と、弾性部159が設けられる側の受圧面積とは同じ程度となる。
ディスク135は、その外径が区画ディスク134のディスク155の内径よりも大径となっている。これにより、区画ディスク134は、内周側が、ディスク132とディスク135との間にディスク133の軸方向長の範囲で移動可能に支持されている。言い換えれば、区画ディスク134は、ディスク132,133,135等と一体に移動する、ハウジング131および対向部材139を含むケース部材140に対して移動可能に設けられている。また、区画ディスク134には、非支持側である外周側に、区画ディスク134の外周とケース部材140のハウジング131の内周との間をシールする環状のシール部158が設けられており、シール部158を含むシール部材156がケース部材140に接触してケース部材140に対し芯出しされる。言い換えれば、区画ディスク134の内周側は、両面側からクランプされずに片面側のみディスク135に支持される単純支持構造となっている。シール部158は、区画ディスク134における軸方向の突出部143側に設けられており、この突出部143と軸方向にラップしている。
対向部材139は、区画ディスク134の底部141とは反対側に区画ディスク134と対向して設けられている。対向部材139は、内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合可能な有孔円板状であり、ハウジング131の筒状部166内に嵌合される。区画ディスク134のシール部158が設けられる面とは反対側に弾性部159が設けられている。よって、弾性部159は、区画ディスク134のシール部158が設けられる面とは反対側と対向部材139との間に設けられている。対向部材139には、径方向の中間部に軸方向に貫通する貫通穴167が形成されている。貫通穴167は、対向部材139におけるディスク135よりも径方向外側に形成されており、ディスク155が撓むことで対向部材139に接触するシール部材156よりも径方向内側に形成されている。
区画ディスク134のシール部158は、ハウジング131の筒状部166の内周面に全周にわたり接触して、区画ディスク134と筒状部166との隙間をシールする。つまり、区画ディスク134はパッキンバルブである。シール部158は、区画ディスク134がケース部材140内で許容される範囲で変形しても、区画ディスク134と筒状部166との隙間を常時シールする。区画ディスク134は、そのシール部158が筒状部166に全周にわたり接触することで上記のようにケース部材140に対し芯出しされる。区画ディスク134は、ケース部材140内を、ハウジング131内の底部141側にある容量可変な可変室171(ハウジング内室)と、対向部材139側の容量可変な可変室172とに区画する。言い換えれば、区画ディスク134は、ハウジング131の底部141との間に可変室171を形成している。可変室171はディスク132の切欠151内の通路を介してハウジング131の大径穴部146内の通路に連通し、可変室172は対向部材139の貫通穴167内の通路を介して下室20に連通する。
ピストンロッド21には、取付軸部28をそれぞれの内側に挿通させた状態で、環状部材117、ディスク116、ディスク115、複数枚のディスク114、複数枚のディスク113、ディスク112、ディスク111、ピストン18、ディスク51、メインバルブ52、ディスク53、ディスク54、シート部材55、ディスク56、ディスク57、ディスク58、ディスク59、ディスク60、ディスク61、ディスク62、ハウジング131、ディスク132、ディスク133が、この順に、軸段部29に重ねられている。シート部材55は、メインバルブ52のシール部材86を外側円筒状部73に嵌合させている。
また、ディスク133を内側に挿通させた状態で、区画ディスク134がハウジング131の突出部143に重ねられている。さらに、取付軸部28をそれぞれの内側に挿通させた状態で、複数枚のディスク135、対向部材139が、この順に、ディスク133に重ねられている。その際に、対向部材139は、ハウジング131の筒状部166に嵌合されている。加えて、環状部材117と同材質且つ同形状の共通部品である環状部材175が取付軸部28を内側に挿通させて対向部材139に重ねられている。
このように部品が配置された状態で、環状部材175よりも突出する取付軸部28のオネジ31にナット176が螺合されている。この状態で、環状部材117、ディスク116、ディスク115、複数枚のディスク114、複数枚のディスク113、ディスク112,111、ピストン18、ディスク51、メインバルブ52、ディスク53,54、シート部材55、ディスク56〜62、ハウジング131、ディスク132,133、複数枚のディスク135、対向部材139および環状部材175は、それぞれ内周側または全部がピストンロッド21の軸段部29とナット176とに挟持されて軸方向にクランプされている。その際に、区画ディスク134は、内周側が軸方向にクランプされることはない。ナット176は、汎用の六角ナットである。なお、本実施の形態ではナット176を汎用の六角ナットとしたが、六角以外の面があってもよいし、専用品を用いても良い。さらに、ナット176で締結するのではなく、ハウジング131や環状部材175をピストンロッド21にかしめて固定してもよい。
つまり、縮み側の減衰力発生機構42と、ピストン18と、伸び側の減衰力発生機構41と、伸び側の減衰力可変機構43とが、それぞれの内周側にピストンロッド21が挿通された状態で、ピストンロッド21にナット176により締結されている。言い換えれば、ピストン18と、減衰力可変機構43を構成するハウジング131、ディスク132,133、複数枚のディスク135および対向部材139とが、内周側にピストンロッド21が挿通された状態で、ピストンロッド21にナット176により締結される。ピストンロッド21は、ハウジング131および対向部材139の内周側に挿通されて、ハウジング131および対向部材139の内周側を締結するピン部材となっている。ハウジング131および対向部材139を含むケース部材140と、ディスク132,133と、複数枚のディスク135とが、ピストン18に設けられている。
このようにピストンロッド21に取り付けられた状態で、ディスク51の貫通穴87の通路と、ピストン18の大径穴部302内の通路と、ピストンロッド21の通路溝30内の通路と、伸び側の減衰力発生機構41のシート部材55の大径穴部76内の通路と、減衰力可変機構43のハウジング131の大径穴部146内の通路とが連通することになる。これにより、パイロット室80が、ディスク54の切欠91内の通路と、シート部材55の大径穴部76内の通路と、ピストンロッド21の通路溝30内の通路と、ハウジング131の大径穴部146内の通路と、ディスク132の切欠151内の通路とを介して減衰力可変機構43の可変室171に常時連通することになる。また、減衰力可変機構43の可変室172は、対向部材139の貫通穴167を介して下室20に常時連通することになる。切欠91内の通路と、大径穴部76内の通路と、通路溝30内の通路と、大径穴部146内の通路と、ディスク132の切欠151内の通路と、可変室171,172と、貫通穴167内の通路とが、上記した伸び側の第1通路101から分岐し分岐後に第1通路101と並列に設けられる伸び側の第2通路181を構成している。よって、ケース部材140には、その内部に、第2通路181の少なくとも一部である2つの可変室171,172が区画ディスク134により画成されて設けられている。
区画ディスク134は、内周側がディスク132とディスク135との間で移動し外周側が突出部143と対向部材139との間で移動する範囲で変形可能となっている。ここで、区画ディスク134のディスク155の外周側を軸方向一側から支持する突出部143とディスク155の内周側を軸方向他側から支持するディスク135との間の軸方向の最短距離は、ディスク155の軸方向の厚さよりも小さくなっている。よって、可変室171,172が同圧のとき、ディスク155は、若干変形した状態で突出部143とディスク135とに自身の弾性力で全周にわたって圧接している。区画ディスク134は、その内周側が全周にわたってディスク135に接触する状態では、第2通路181の可変室171,172間の油液の流通を遮断する。区画ディスク134は、可変室171,172の圧力状態にかかわらず、その全周を常にディスク135に接触させるように設定されており、よって、第2通路181の可変室171,172間の流通を常時遮断している。なお、伸び行程では遮断するが、縮み行程では流れるチェック弁としてしてもよい。
図1に示すように、外筒4の底部材12と内筒3との間には、上記したボトムバルブ25が設けられている。このボトムバルブ25は、下室20とリザーバ室6とを仕切るボトムバルブ部材191と、このボトムバルブ部材191の下側つまりリザーバ室6側に設けられる複数枚のディスク192と、ボトムバルブ部材191の上側つまり下室20側に設けられる一枚のディスク193と、ボトムバルブ部材191に複数枚のディスク192およびディスク193を取り付けるピン部材194とを有している。
ボトムバルブ部材191は、径方向の中央にピン部材194が挿通される円環状をなしている。ボトムバルブ部材191には、下室20とリザーバ室6との間で油液を流通させる複数の通路穴195と、これら通路穴195の径方向の外側にて、下室20とリザーバ室6との間で油液を流通させる複数の通路穴196とが形成されている。リザーバ室6側の複数枚のディスク192は、下室20から通路穴195を介するリザーバ室6への油液の流れを許容する一方でリザーバ室6から下室20への通路穴195を介する油液の流れを抑制する。ディスク193は、リザーバ室6から通路穴196を介する下室20への油液の流れを許容する一方で下室20からリザーバ室6への通路穴196を介する油液の流れを抑制する。
複数枚のディスク192は、ボトムバルブ部材191とによって、緩衝器1の縮み行程において開弁して下室20からリザーバ室6に油液を流すとともに減衰力を発生する縮み側の減衰力発生機構197を構成している。ディスク193は、ボトムバルブ部材191とによって、緩衝器1の伸び行程において開弁してリザーバ室6から下室20内に油液を流すサクションバルブ198を構成している。なお、サクションバルブ198は、主としてピストンロッド21のシリンダ2からの伸び出しにより生じる液の不足分を補うようにリザーバ室6から下室20に実質的に減衰力を発生させることなく液を流す機能を果たす。
ピストンロッド21が伸び側に移動する伸び行程で、伸び側の減衰力発生機構41のみが作用する場合には、ピストン18の移動速度(以下、ピストン速度と称す)が遅い時、上室19からの油液は、図3に示す第1通路101を構成する、通路穴38内の通路、ディスク51の貫通穴87内の通路、ピストン18の大径穴部302内の通路、ピストンロッド21の通路溝30内の通路、伸び側の減衰力発生機構41のシート部材55の大径穴部76内の通路、ディスク54の切欠91内の通路、パイロット室80およびディスクバルブ99の固定オリフィス100を介して下室20に流れ、オリフィス特性(減衰力がピストン速度の2乗にほぼ比例する)の減衰力が発生する。このため、ピストン速度に対する減衰力の特性は、図4の実線X11の左側の低速域に示すようにピストン速度の上昇に対して比較的減衰力の上昇率が高くなる。また、ピストン速度が速くなると、上室19からの油液は、第1通路101を構成する、通路穴38内の通路、貫通穴87内の通路、ピストン18の大径穴部302内の通路、ピストンロッド21の通路溝30内の通路、伸び側の減衰力発生機構41のシート部材55の大径穴部76内の通路、ディスク54の切欠91内の通路、およびパイロット室80から、ディスクバルブ99を開きながら、ディスクバルブ99とバルブシート部79との間を通って、下室20に流れることになり、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の減衰力が発生する。このとき、メインバルブ52は閉じている。このため、ピストン速度に対する減衰力の特性は、図4の実線X11の左右方向中間の中速域から高速域に示すようにピストン速度の上昇に対して減衰力の上昇率はやや下がることになる。
本実施の形態では、ピストン速度が中速域から高速域での減衰力を高めるため、ピストン速度が高速域でもメインバルブ52が開かない例を示したが、メインバルブ52の板厚やパイロット室80の圧力などを調整することにより、メインバルブ52を開弁させるようにしてもよい。その場合。メインバルブ52に作用する力(油圧)の関係は、通路穴38内の通路から加わる開方向の力がパイロット室80から加わる閉方向の力よりも大きくなる。よって、ピストン速度の増加に伴いメインバルブ52がピストン18のバルブシート部47から離れて開くことになり、第1通路101を構成する、通路穴38内の通路、貫通穴87内の通路およびパイロット室80からディスクバルブ99とバルブシート部79との間を通る下室20への流れに加え、同じく第1通路101を構成するピストン18とシート部材55の外側円筒状部73との間の通路88を介して下室20に油液を流すため、減衰力の上昇を抑えることになる。このようにすると、ピストン速度に対する減衰力の特性は、図4の実線X11の右側の高速域の減衰力の上昇率を下げることができる。ここで、ピストン速度が遅いときとは、例えばピストン速度が0〜0.1m/s程度、ピストン速度中速域とは、0.1〜0.6m/s程度、ピストン速度高速域とは、0.6m/sよりも大きい速度域とする。
ピストンロッド21が縮み側に移動する縮み行程では、ピストン速度が遅い時、下室20からの油液は、図2に示す縮み側の第1通路102を構成する通路穴39内の通路とディスクバルブ122の固定オリフィス123を介して上室19に流れオリフィス特性(減衰力がピストン速度の2乗にほぼ比例する)の減衰力が発生することになる。このため、ピストン速度に対する減衰力の特性は、図4の実線X12の左側の低速域に示すようにピストン速度の上昇に対して比較的減衰力の上昇率が高くなる。また、ピストン速度が速くなると、下室20から縮み側の第1通路102を構成する通路穴39内の通路に導入された油液が、基本的にディスクバルブ122を開きながらディスクバルブ122とバルブシート部49との間を通って上室19に流れることになり、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の減衰力が発生する。このため、ピストン速度に対する減衰力の特性は、図4の実線X12の左右方向中間から右側の中高速域に示すようにピストン速度の上昇に対して減衰力の上昇率はやや下がることになる。
以上が、減衰力発生機構41,42のみが作用する場合であるが、第1実施形態では、減衰力可変機構43が、ピストン速度が同じ場合でも、ピストン周波数に応じて減衰力を可変とする。
つまり、ピストン周波数が高いときの伸び行程では、上室19の圧力が高くなって、図3に示す通路穴38内の通路と、ディスク51の貫通穴87内の通路と、ピストン18の大径穴部302内の通路と、ピストンロッド21の通路溝30内の通路と、第2通路181の可変室171よりもパイロット室80側の部分とを介して、減衰力可変機構43の可変室171に上室19から油液を導入させる。これに応じて、第2通路181の下室20側の部分である減衰力可変機構43の可変室172から、対向部材139の貫通穴167内の通路を介して下室20に油液を排出させる。これらに応じて、それまで突出部143とディスク135とに当接していた区画ディスク134が、弾性部159を対向部材139に近づけるように変形する。
このように区画ディスク134が変形することにより、可変室171に上室19から油液を導入することになり、上室19から第1通路101を通過して下室20に流れる油液の流量が減ることになる。これにより、パイロット室80の圧力が上がらず、メインバルブ52が開くので、図4に破線X13で示すように伸び側の減衰力がソフトになる。ここで、区画ディスク134の内周側は、ディスク132から離間してディスク135に片面側からのみ支持されているため、内周側がディスク132に近づくように変形し易く、よって、外周側の弾性部159が対向部材139に近づくように容易に変形する。
他方で、ピストン周波数が低いときの伸び行程では、区画ディスク134の変形の周波数も追従して低くなるため、伸び行程の初期に、上室19から可変室171に油液が流れるものの、その後は区画ディスク134が対向部材139に当接して停止し、上室19から可変室171に油液が流れなくなる。これにより、上室19から通路穴38内の通路を含む第1通路101に導入され減衰力発生機構41を通過して下室20に流れる油液の流量が減らない状態となり、図4に実線X11で示すように伸び側の減衰力がハードになる。
縮み行程では、下室20の圧力が高くなるが、減衰力可変機構43の区画ディスク134が、ハウジング131の突出部143に当接して可変室172の拡大を抑制しているため、下室20から対向部材139の貫通穴167内の通路を介して可変室172に導入される油液の量は抑制されることになる。その結果、下室20から通路穴39内の通路に導入され減衰力発生機構42を通過して上室19に流れる油液の流量が減らない状態となり、図4に実線X12で示すように減衰力がハードになる。また、区画ディスク134の内周側がディスク135から離れるため差圧が発生しないので、区画ディスク134が撓むこともない。
上記した特許文献1に記載のものは、異音の発生を抑制するために、ボトムバルブにロッド加速度低減機構を設けている。このように所定の特性を得るための機構を緩衝器内に設ける場合、緩衝器の特に軸方向長が長くなってしまう。周波数感応や、インパクトショック対策機構など、体積補償する室を形成するものも同様であり、軸方向長の短縮が望まれている。
第1実施形態の減衰力可変機構43は、ハウジング131との間をシールする環状のシール部158が設けられた環状の弾性変形可能な区画ディスク134でハウジング131内に可変室171を画成するものであるため、軸方向長を短縮可能であり、緩衝器1の全体の基本長を短く小型化することが可能となる。
しかも、区画ディスク134の、その外周とハウジング131の内周との間をシールするシール部158が、ハウジング131の底部141から区画ディスク134に向けて突出する、区画ディスク134の移動を規制する突出部143側に設けられているため、軸方向長をさらに短縮可能であり、緩衝器1の全体の基本長をさらに短く小型化することが可能となる。
ハウジング131を含む減衰力可変機構43が、ピストン18に、このピストン18と一体的に移動するように設けられているため、ピストン18およびピストンロッド21を含んで一体的に組み立てられた組立体の軸方向長を短縮することが可能となる。
区画ディスク134のシール部158が設けられる面とは反対側と、対向部材139との間に弾性部159が設けられているため、区画ディスク134の対向部材139への当接に起因して発生する音を抑制することができる。また、弾性部159が弾性変形することで区画ディスク134の変形が円滑となり周波数可変特性が滑らかになる。
また、減衰力可変機構43の軸方向長を短縮可能であるため、ピストン18および減衰力可変機構43のハウジング131のそれぞれの内周側を、ピストンロッド21が挿通された状態で汎用のナット176でピストンロッド21に締結することができる。よって、ピストン18および減衰力可変機構43をピストンロッド21に締結することが容易にでき、組み立て性が飛躍的に向上する。
また、区画ディスク134は、内周側が、両面側からクランプされずに片面側のみ支持されているため、変形が容易となり、可変室171,172の容積を容易に変更することができる。よって、減衰力可変機構43の応答性を向上させることができる。
また、伸び側の減衰力発生機構41は、ピストン18の摺動によって生じる油液の流れを抑制して減衰力を発生させるメインバルブ52と、メインバルブ52に閉弁方向に圧力を作用させるパイロット室80と、を備えており、油液の流れの一部をパイロット室80に導入してパイロット室80の圧力によってメインバルブ52の開弁を制御する圧力制御型であるため、減衰力可変機構43の容積の可変幅が小さくても、上室19から下室20への油液の流れが低流量であるピストン18の低速域から、高流量となるピストン18の高速域まで、図4に実線X11および破線X13で示すように減衰力を可変にできる。よって、例えば、ピストン速度が高速で高周波数のインパクトショックをソフトな乗り心地に改善できる。
また、第2通路181のピストンロッド21に形成される部分を、ピストンロッド21の取付軸部28の外周部に形成された通路溝30で形成するため、加工が容易となる。
また、伸び行程において機能する減衰力可変機構43が設けられており、縮み行程において機能する減衰力可変機構が設けられていないため、コスト増を抑制しつつ、例えば伸び行程でピストン周波数に感応して減衰力を可変とすることにより効果的な路面状態等に対して、乗り心地の向上が図れる。また、縮み行程においてピストン周波数に感応して減衰力を可変とする減衰力可変機構を有する緩衝器では姿勢制御が難しく、伸び行程においてピストン周波数に感応して減衰力を可変とする減衰力可変機構43を有する緩衝器で効果的に姿勢制御が可能な車両に用いて好適となる。
「第2実施形態」 次に、第2実施形態を主に図5〜図7に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図5に示すように、第2実施形態においては、ボトムバルブ25とは一部異なるボトムバルブ25Aに、減衰力可変機構43Aが設けられている。ボトムバルブ25Aは、いずれも第1実施形態と同様の、ボトムバルブ部材191と、複数枚のディスク192と、一枚のディスク193とを有しており、ピン部材194とは一部異なるピン部材194Aを有している。複数枚のディスク192は、ボトムバルブ部材191とで減衰力発生機構197を構成し、一枚のディスク193はボトムバルブ部材191とでサクションバルブ198を構成している。
ボトムバルブ25Aは、複数枚のディスク192のボトムバルブ部材191とは反対側に配置される、ディスク192の外径よりも外径が小径のスペーサ211と、スペーサ211のディスク192とは反対側に配置される、外径がスペーサ211の外径よりも大径かつディスク192の外径よりも若干小径の規制ディスク212とを有している。また、ボトムバルブ25Aは、ディスク193のボトムバルブ部材191とは反対側に配置される、外径がディスク193の外径よりも小径のスペーサ214と、スペーサ214のディスク193とは反対側に配置されるバネ部材215と、バネ部材215のスペーサ214とは反対側に配置される、外径がスペーサ211の外径よりも大径かつディスク193の外径よりも若干小径の規制ディスク216と、規制ディスク216のバネ部材215とは反対側に配置される、外径が規制ディスク216の外径よりも小径のスペーサ217とを有している。
サクションバルブ198を構成するディスク193は、ボトムバルブ部材191に当接して通路穴196を閉塞し、ボトムバルブ部材191から離間して通路穴196を開放する。バネ部材215は、径方向外方に延出し径方向外側ほどディスク193に近づくように傾斜する複数のバネ部218を有しており、この複数のバネ部218がディスク193をボトムバルブ部材191に若干の付勢力で押し付けている。サクションバルブ198には、ボトムバルブ部材191の通路穴195を常時下室20に連通させる貫通穴221が形成されている。
減衰力発生機構197を構成する複数枚のディスク192は、ボトムバルブ部材191に当接して通路穴195を閉塞し、ボトムバルブ部材191から離間して通路穴195を開放する。
ピン部材194Aは、取付軸部225と、取付軸部225の軸方向一端側から径方向外方に延出するフランジ部226とを有している。取付軸部225の軸方向のフランジ部226とは反対側の外周部にはオネジ227が形成されている。取付軸部225には、その径方向の中央に、軸方向のフランジ部226側の一端部から他端側の途中位置まで延在する通路穴231と、通路穴231に交差して取付軸部225を径方向に貫通する通路穴232とが形成されている。
減衰力可変機構43Aは、軸方向のボトムバルブ25A側から順に、一つの有底筒状のハウジング131Aと、一枚の通路形成部材241と、一枚のディスク242と、複数枚のディスク243および一枚の区画ディスク134A(ディスク)と、区画ディスク134Aに対向する対向部材139Aとを有している。ハウジング131A、通路形成部材241、ディスク242,243および対向部材139Aは、金属製である。ディスク242,243は、いずれも内側にピン部材194Aの取付軸部225を嵌合可能な一定厚さの有孔円形平板状をなしており、通路形成部材241、ハウジング131Aおよび対向部材139Aは、いずれも内側にピン部材194Aの取付軸部225を嵌合可能な円環状をなしている。
対向部材139Aは、有孔円板状の基部251と、基部251の外周部から軸方向一側に突出する円環状の突出部252とを有している。突出部252には、周方向に部分的に複数の切欠き253が形成されており、これら切欠き253は突出部252を径方向に貫通している。
ハウジング131Aは、軸直交方向に沿う有孔円板状の底部141Aと、底部141Aの外周縁部から軸方向に延出する円筒状の筒状部166Aとを有している。
通路形成部材241は、ハウジング131Aの底部141Aに載置されている。通路形成部材241には、その底部141A側に、径方向に貫通する複数の径方向溝246が形成されている。ディスク242は、外径が通路形成部材241の外径よりも小径となっている。複数枚のディスク243は、外径がディスク242の外径よりも小径となっている。
区画ディスク134Aは、金属製のディスク155Aと、ディスク155Aの外周側に固着されるゴム製のシール部材156Aとからなっており、弾性変形可能となっている。ディスク155Aは、内側に配置された複数枚のディスク243とに対し隙間をもって配置可能な一定厚さの有孔円形平板状をなしており、複数枚のディスク243の合計の厚さよりも厚さが薄くなっている。ディスク155Aは、外径が対向部材139Aの突出部252の外径よりも大径かつハウジング131Aの筒状部166Aの内径よりも小径となっている。
対向部材139Aの突出部252は、区画ディスク134Aのディスク155Aに向けて突出しており、ディスク155Aに当接して、ディスク155Aのそれ以上の対向部材139A側への移動を規制する。突出部252は、その突出先端側の端部で、区画ディスク134Aの外周側を支持している。また、突出部252は、切欠き253によってその径方向内側と径方向外側とが常時連通している。
シール部材156Aは、ディスク155Aの外周側に円環状をなして固着されている。シール部材156Aは、ディスク155Aから軸方向の対向部材139A側に突出する円環状のシール部158Aと、ディスク155Aから軸方向の対向部材139Aとは反対側に突出する円環状の弾性部159Aとを有している。シール部158Aは、ディスク155A側の端部の内径が最小内径となっており、この内径が突出部252の外径よりも大径となっている。これにより、区画ディスク134Aは、そのディスク155Aが対向部材139Aの突出部252に当接可能となっている。弾性部159Aにはディスク155Aとは反対側に開口し径方向に貫通する径方向溝161Aが形成されている。
ディスク242は、その外径が、区画ディスク134Aのディスク155Aの内径よりも大径となっている。これにより、区画ディスク134Aは、内周側が、ディスク242と対向部材139Aとの間に、複数枚のディスク243の全体の軸方向長の範囲で移動可能に支持されている。言い換えれば、区画ディスク134Aは、通路形成部材241、ディスク242,243と一体に移動する、ハウジング131Aおよび対向部材139Aに対して移動可能に設けられている。また、区画ディスク134Aには、非支持側である外周側に、区画ディスク134Aの外周とハウジング131Aの内周との間をシールする環状のシール部158Aが設けられており、シール部158Aを含むシール部材156Aがハウジング131Aに接触してハウジング131Aに対し芯出しされる。言い換えれば、区画ディスク134Aの内周側は、両面側からクランプされずに片面側のみディスク242に支持される単純支持構造となっている。シール部158Aは、区画ディスク134Aにおける軸方向の突出部252側に設けられており、この突出部252と軸方向にラップしている。
対向部材139Aは、区画ディスク134Aの底部141Aとは反対側に区画ディスク134Aと対向して設けられている。対向部材139Aは、内側にピン部材194Aの取付軸部225を嵌合可能な有孔円板状である。区画ディスク134Aのシール部158Aが設けられる面とは反対側の面に弾性部159Aが設けられており、よって、区画ディスク134Aのシール部158Aが設けられる面とは反対側の面と、ハウジング131Aの底部141Aとの間に、弾性部159Aが設けられている。
区画ディスク134Aのシール部158Aは、ハウジング131Aの筒状部166Aの内周面に全周にわたり接触して、区画ディスク134Aと筒状部166Aとの隙間をシールする。シール部158Aは、区画ディスク134Aがハウジング131Aに対して許容される範囲で変形しても、区画ディスク134Aと筒状部166Aとの隙間を常時シールする。区画ディスク134Aは、そのシール部158Aが筒状部166Aに全周にわたり接触することで上記のようにハウジング131Aに対し芯出しされる。区画ディスク134Aは、ハウジング131Aとによって、ハウジング131A内の底部141A側に容量可変な可変室171A(ハウジング内室)を画成する。区画ディスク134Aの可変室171Aとは反対側の面は下室20に臨んでいる。区画ディスク134Aは、ハウジング131Aの底部141Aとの間に可変室171Aを形成している。可変室171Aは、通路形成部材241の径方向溝246内の通路、ピン部材194Aの通路穴232内の通路および通路穴231内の通路を介してリザーバ室6に常時連通する。
ピン部材194Aには、取付軸部225をそれぞれの内側に挿通させた状態で、規制ディスク212、スペーサ211、複数枚のディスク192、ボトムバルブ部材191、ディスク193、スペーサ214、バネ部材215、規制ディスク216、スペーサ217、ハウジング131A、通路形成部材241、ディスク242、複数枚のディスク243、対向部材139Aが、この順に、フランジ部226に重ねられている。このとき、区画ディスク134Aは、ハウジング131Aの内側に嵌合されてディスク242と対向部材139Aとの間に配置されている。この状態で、ピン部材194Aの通路穴232が、通路形成部材241の複数の径方向溝246に連通する。
このように部品が配置された状態で、ピン部材194Aの対向部材139Aよりも突出する取付軸部225のオネジ227にナット176Aが螺合される。この状態で、規制ディスク212、スペーサ211、複数枚のディスク192、ボトムバルブ部材191、ディスク193、スペーサ214、バネ部材215、規制ディスク216、スペーサ217、ハウジング131A、通路形成部材241、ディスク242、複数枚のディスク243および対向部材139Aは、それぞれ内周側または全部がピン部材194Aのフランジ部226とナット176Aとに挟持されて軸方向にクランプされている。その際に、区画ディスク134Aは、内周側が軸方向にクランプされることはない。ナット176Aは、汎用の六角ナットである。ピン部材194Aは、ハウジング131Aおよび対向部材139Aの内周側に挿通されて、ハウジング131Aおよび対向部材139Aの内周側を締結する。なお、本実施の形態ではナット176Aを汎用の六角ナットとしたが、六角以外の面があってもよいし、専用品を用いても良い。さらに、ナット176で締結するのではなく、ピン部材194Aの対向部材139Aよりも突出する取付軸部225をかしめて固定してもよい。
以上により、第2実施形態では、ハウジング131Aと通路形成部材241とディスク242,243と対向部材139Aと区画ディスク134Aとからなる減衰力可変機構43Aが、ボトムバルブ25Aに設けられている。
区画ディスク134Aは、内周側がディスク242と対向部材139Aの基部251との間で移動し外周側が突出部252とハウジング131Aの底部141Aとの間で移動する範囲で変形可能となっている。ここで、区画ディスク134Aのディスク155Aの外周側を軸方向一側から支持する突出部252とディスク155Aの内周側を軸方向他側から支持するディスク242との間の軸方向の最短距離は、ディスク155Aの軸方向の厚さよりも小さくなっている。よって、可変室171Aと下室20とが同圧のとき、ディスク155Aは、若干変形した状態で突出部252とディスク242とに自身の弾性力で全周にわたって圧接している。区画ディスク134Aは、その内周側が全周にわたってディスク242に接触する状態では、可変室171Aと下室20との間の油液の流通を遮断する。また、区画ディスク134Aは、その内周側がディスク242から離間する状態では、可変室171Aと下室20との間の油液の流通を許容する。
よって、区画ディスク134Aの内周側とディスク242とは、可変室171Aから下室20への油液の流れを許容する一方、下室20から可変室171Aへの油液の流れを規制するチェック弁255を構成している。チェック弁255は、その弁体である区画ディスク134Aの全体が軸方向に移動可能なフリーバルブである。
伸び行程で、下室20の圧力がリザーバ室6の圧力(大気圧)より低くなると、区画ディスク134Aにこの圧力が加わる。すると、区画ディスク134Aのディスク155Aの内周側がディスク242から離間し、チェック弁255が開く。その結果、リザーバ室6の油液が、通路穴231内の通路と、通路穴232内の通路と、径方向溝246内の通路と、可変室171Aと、開いたチェック弁255のディスク155Aおよびディスク242間の通路と、対向部材139Aの基部251およびディスク155A間の通路と、切欠き253内の通路とを通って下室20に流れる(図6(a)に示す破線矢印参照)。
図5に示すように、径方向溝246内の通路と通路穴232内の通路と通路穴231内の通路とを介して、可変室171Aとリザーバ室6とが連通していることから、インパクトショック等の高周波の縮み行程で、下室20の圧力がリザーバ室6の圧力より高くなると、区画ディスク134Aが可変室171Aの油液をリザーバ室6に流しながら(図6(b)に示す破線矢印参照)、底部141A側に変形して可変室171Aの容積を減らす。すると、その分、下室20の容積が増える。これにより、図7に破線X21で示すように、実線X12で示す第1実施例と比較して減衰力がソフトになる。
第2実施形態によれば、ボトムバルブ25Aにハウジング131Aを含む減衰力可変機構43Aが一体的に設けられているため、先行技術文献に示す構造と比して軸方向長を短縮することが可能となる。
区画ディスク134Aのシール部158Aが設けられる面とは反対側と、ハウジング131Aの底部141Aとの間に弾性部159Aが設けられているため、区画ディスク134Aのハウジング131Aの底部141Aへの接触に起因して発生する音を抑制することができる。また、弾性部159Aが弾性変形することで区画ディスク134Aの変形が円滑となり周波数可変特性が滑らかになる。
「第3実施形態」 次に、第3実施形態を主に図8に基づいて第2実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第2実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第3実施形態においては、ピン部材194Aとは一部異なるピン部材194Bを有する点でボトムバルブ25とは異なるボトムバルブ25Bを備えている。このボトムバルブ25Bに、減衰力可変機構43Aが第2実施形態に対し反転した状態で取り付けられている。ピン部材194Bには、取付軸部225に、通路穴231よりも深さが深い通路穴231Bが形成されており、通路穴232よりもフランジ部226からの距離が長い位置に通路穴232Bが通路穴231Bと交差して形成されている。
ピン部材194Bに、取付軸部225をそれぞれの内側に挿通させた状態で、規制ディスク212、スペーサ211、複数枚のディスク192、ボトムバルブ部材191、ディスク193、スペーサ214、バネ部材215、規制ディスク216、スペーサ217、対向部材139A、複数枚のディスク243、ディスク242、通路形成部材241、ハウジング131Aおよびワシャ261が、この順に、フランジ部226に重ねられている。このとき、区画ディスク134Aは、ハウジング131Aの内側に嵌合されてディスク242と対向部材139Aとの間に配置されている。この状態で、通路穴232Bが、通路形成部材241の複数の径方向溝246に連通する。
このように部品が配置された状態で、ピン部材194Bのワシャ261よりも突出する取付軸部225のオネジ227にナット176Aが螺合されている。この状態で、規制ディスク212、スペーサ211、複数枚のディスク192、ボトムバルブ部材191、ディスク193、スペーサ214、バネ部材215、規制ディスク216、スペーサ217、対向部材139A、複数枚のディスク243、ディスク242、通路形成部材241、ハウジング131Aおよびワシャ261は、それぞれ内周側または全部がピン部材194Bのフランジ部226とナット176Aとに挟持されて軸方向にクランプされている。その際に、区画ディスク134Aは、内周側が軸方向にクランプされることはない。ピン部材194Bも、第2実施形態と同様、ハウジング131Aおよび対向部材139Aの内周側に挿通されて、ハウジング131Aおよび対向部材139Aの内周側を締結している。通路穴231B内の通路、通路穴232B内の通路および径方向溝246内の通路が、リザーバ室6を可変室171Aに常時連通する。
第3実施形態も、第2実施形態と同様に作動する。
「第4実施形態」 次に、第4実施形態を主に図9に基づいて第2実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第2実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第4実施形態においては、ピン部材194Aとは一部異なるピン部材194Cを有する点がボトムバルブ25Aとは異なるボトムバルブ25Cを備えている。ピン部材194Cは、ピン部材194Aよりも軸方向に長い取付軸部225Cを有している。
また、第4実施形態においては、減衰力可変機構43Aとは一部異なる減衰力可変機構43Cを有している。減衰力可変機構43Cは、第2実施形態と同様の底部141Aの外周縁部から軸方向に筒状部166Aよりも長く延出する円筒状の筒状部166Cが設けられたハウジング131Cを有している。また、減衰力可変機構43Cは、いずれも第2実施形態と同様の、通路形成部材241、ディスク242、複数枚のディスク243および区画ディスク134Aを有しており、対向部材139Aとは一部異なる対向部材139Cを有している。
対向部材139Cは、有孔円板状の基部251Cと、基部251Cの外周部から軸方向一側に突出する第2実施形態と同様の円環状の突出部252と、基部251Cの外周部から軸方向他側に突出する円環状の突出部252Cとを有している。突出部252には、第2実施形態と同様の複数の切欠き253が形成されており、突出部252Cにも、周方向に部分的に複数の切欠き253Cが形成されている。これら切欠き253Cは突出部252Cを径方向に貫通している。基部251Cには、突出部252,252Cよりも径方向内側に、軸方向に貫通する貫通穴271が複数形成されている。基部251Cの径方向における貫通穴271よりも内側には、基部251Cから突出部252Cと同側に突出するボス部272が設けられている。
減衰力可変機構43Cは、複数枚のディスク242Cと、蓋部材275と、区画ディスク134Aと同様の区画ディスク134Cとを有している。蓋部材275は、有孔円板状の基部276と、基部276の内周部から軸方向一側に突出する円環状のボス部277とを有しており、基部276には、軸方向に貫通する貫通穴278が複数形成されている。蓋部材275は、ボス部277が基部276よりも底部141A側に突出する状態で筒状部166Cに嵌合されてハウジング131Cに一体化される。
対向部材139Cの突出部252は、区画ディスク134Aのディスク155Aに向けて突出し、このディスク155Aに当接して、このディスク155Aのそれ以上の対向部材139C側への移動を規制する。
対向部材139Cの突出部252Cは、区画ディスク134Cのディスク155Aに向けて突出しており、このディスク155Aに当接して、このディスク155Aのそれ以上の対向部材139C側への移動を規制する。突出部252Cは、その突出先端側の端部で、区画ディスク134Cの外周側を支持している。また、突出部252Cは、切欠き253Cによってその径方向内側と径方向外側とが常時連通している。
区画ディスク134Cのシール部材156Aのシール部158Aは、ディスク155A側の端部の内径が最小内径となっており、この内径が突出部252Cの外径よりも若干大径となっている。これにより、区画ディスク134Cは、そのディスク155Aが対向部材139Cの突出部252Cに当接可能となっている。
ディスク242Cは、その外径が、区画ディスク134Cのディスク155Aの内径よりも大径となっている。これにより、区画ディスク134Cは、内周側が、ディスク242Cと対向部材139Cの基部251Cとの間に、ボス部272の軸方向長の範囲で移動可能に支持されている。言い換えれば、区画ディスク134Cは、通路形成部材241、ディスク242,242C,243および対向部材139Cと一体に移動する、ハウジング131Cおよび蓋部材275に対して移動可能に設けられている。また、区画ディスク134Cには、非支持側である外周側に、区画ディスク134Cの外周とハウジング131Cの内周との間をシールする環状のシール部158Aが設けられており、シール部158Aを含むシール部材156Aがハウジング131Cに接触してハウジング131Cに対し芯出しされる。言い換えれば、区画ディスク134Cの内周側は、両面側からクランプされずに片面側のみディスク242Cに支持される単純支持構造となっている。区画ディスク134Cのシール部158Aは、区画ディスク134Cにおける軸方向の突出部252C側に設けられており、この突出部252Cと軸方向にラップしている。
区画ディスク134Aのシール部158Aは、ハウジング131Cの筒状部166Cの内周面に全周にわたり接触して、区画ディスク134Aと筒状部166Cとの隙間をシールする。区画ディスク134Cのシール部158Aも、ハウジング131Cの筒状部166Cの内周面に全周にわたり接触して、区画ディスク134Cと筒状部166Cとの隙間をシールする。区画ディスク134Aは、ハウジング131Cとによって、ハウジング131Cの底部141A側に容量可変な可変室171C(ハウジング内室)を画成する。可変室171Cは、通路形成部材241の径方向溝246内の通路、ピン部材194Cの通路穴232内の通路および通路穴231内の通路を介してリザーバ室6に常時連通する。
区画ディスク134A,134Cは、ハウジング131Cとによって、容量可変な可変室281を相互間に画成する。区画ディスク134Cと蓋部材275とは、ハウジング131Cとによって、容量可変な可変室282を相互間に画成する。この可変室282は、貫通穴278を介して下室20に常時連通している。
ピン部材194Cには、取付軸部225Cをそれぞれの内側に挿通させた状態で、規制ディスク212、スペーサ211、複数枚のディスク192、ボトムバルブ部材191、ディスク193、スペーサ214、バネ部材215、規制ディスク216、スペーサ217、ハウジング131C、通路形成部材241、ディスク242、複数枚のディスク243、対向部材139C、複数枚のディスク242C、蓋部材275が、この順に、フランジ部226に重ねられている。このとき、区画ディスク134Aは、ハウジング131Cの内側に嵌合されてディスク242と対向部材139Cとの間に配置され、区画ディスク134Cは、ハウジング131Cの内側に嵌合されて対向部材139Cとディスク242Cとの間に配置される。この状態で、通路穴232が、通路形成部材241の複数の径方向溝246に連通する。蓋部材275は、ハウジング131Cの筒状部166Cに嵌合されている。
このように部品が配置された状態で、ピン部材194Cの蓋部材275よりも突出する取付軸部225Cのオネジ227にナット176Aが螺合されている。この状態で、規制ディスク212、スペーサ211、複数枚のディスク192、ボトムバルブ部材191、ディスク193、スペーサ214、バネ部材215、規制ディスク216、スペーサ217、ハウジング131C、通路形成部材241、ディスク242、複数枚のディスク243、対向部材139C、複数枚のディスク242Cおよび蓋部材275は、それぞれ内周側または全部がピン部材194Cのフランジ部226とナット176Aとに挟持されて軸方向にクランプされている。その際に、区画ディスク134A,134Cは、いずれも内周側が軸方向にクランプされることはない。ピン部材194Cは、ハウジング131Cおよび対向部材139Cの内周側に挿通されて、ハウジング131Cおよび対向部材139Cの内周側を締結する。
以上により、第4実施形態では、ハウジング131Cと、対向部材139Cと、蓋部材275と、通路形成部材241と、ディスク242,242C,243と、対向部材139Cと、区画ディスク134A,134Cとからなる減衰力可変機構43Cが、ボトムバルブ25Cに設けられている。
区画ディスク134Aは、内周側がディスク242と対向部材139Cとの間で移動し外周側が突出部252とハウジング131Cの底部141Aとの間で移動する範囲で変形可能となっている。ここで、区画ディスク134Aのディスク155Aの外周側を軸方向一側から支持する突出部252と、区画ディスク134Aのディスク155Aの内周側を軸方向他側から支持するディスク242との間の軸方向の最短距離は、区画ディスク134Aのディスク155Aの軸方向の厚さよりも小さくなっている。よって、可変室171Cと可変室281とが同圧のとき、区画ディスク134Aのディスク155Aは、若干変形した状態で突出部252とディスク242とに自身の弾性力で全周にわたって圧接している。
区画ディスク134Aは、その内周側が全周にわたってディスク242に接触する状態では、可変室171Cと可変室281との間の油液の流通を遮断する。また、区画ディスク134Aは、その内周側がディスク242から離間する状態では、可変室171Cと可変室281との間の油液の流通を許容する。よって、区画ディスク134Aの内周側とディスク242とは、可変室171Cから可変室281への油液の流れを許容する一方、可変室281から可変室171Cへの油液の流れを規制するチェック弁255を構成している。
区画ディスク134Cは、内周側がディスク242Cと対向部材139Cの基部251Cとの間で移動し外周側が突出部252Cと蓋部材275の基部276との間で移動する範囲で変形可能となっている。ここで、区画ディスク134Cのディスク155Aの外周側を軸方向一側から支持する突出部252Cと、区画ディスク134Cのディスク155Aの内周側を軸方向他側から支持するディスク242Cとの間の軸方向の最短距離は、区画ディスク134Cのディスク155Aの軸方向の厚さよりも小さくなっている。よって、可変室281と可変室282とが同圧のとき、区画ディスク134Cのディスク155Aは、若干変形した状態で突出部252Cとディスク242Cとに自身の弾性力で全周にわたって圧接している。
区画ディスク134Cは、その内周側が全周にわたってディスク242Cに接触する状態では、可変室281と可変室282との間の油液の流通を遮断する。また、区画ディスク134Cは、その内周側がディスク242Cから離間する状態では、可変室281と可変室282との間の油液の流通を許容する。よって、区画ディスク134Cの内周側とディスク242Cとは、可変室281から可変室282を介した下室20への油液の流れを規制する一方、下室20から可変室282を介した可変室281への油液の流れを許容するチェック弁255Cを構成している。
可変室171Cの圧力よりも可変室281の圧力が低くなると、チェック弁255を構成する区画ディスク134Aのディスク155Aの内周側がディスク242から離間して、通路穴231内の通路、通路穴232内の通路、径方向溝246内の通路、可変室171C、開状態のチェック弁255のディスク155Aとディスク242との間の通路、対向部材139Cと区画ディスク134Aのディスク155Aとの間の通路、切欠き253内の通路とを通って、リザーバ室6の油液が可変室281に流れる。伸び行程で、下室20の圧力が低下すると、蓋部材275の貫通穴278を介して下室20に連通する可変室282の圧力も低下し、区画ディスク134Cにこの圧力が作用する。すると、区画ディスク134Cが、上記の流れでリザーバ室6の油液を可変室281に流しながら蓋部材275側に変形して、可変室282の油液を下室20に流す。これにより、減衰力がソフトになる。
縮み行程では、下室20の圧力が上昇し、蓋部材275の貫通穴278を介して下室20に連通する可変室282の圧力も上昇する。可変室281の圧力よりも可変室282の圧力が高くなると、チェック弁255Cを構成するディスク155Aの内周側がディスク242Cから離間して、可変室282の油液が可変室281に流れ、可変室281の圧力が上昇する。可変室171Cがリザーバ室6に連通していることから区画ディスク134Aは可変室281の圧力上方で可変室171Cの油液をリザーバ室6に流しながら底部141A側に変形して、可変室282の容積を拡大させる。これにより、可変室171Cの容積が減り、その分、下室20側に連通する可変室281の容積が増える。これにより、減衰力がソフトになる。
第1実施形態において、区画ディスク134の外周側をピストンロッド21に一体のハウジング131に支持し、非支持側である区画ディスク134の内周側にピストンロッド21側との隙間をシールする環状のシール部材を設けるようにしても良い。同様に、第2,第3実施形態において、区画ディスク134Aの外周側をピン部材194A,194Bに一体のハウジング131Aに支持し、非支持側である区画ディスク134Aの内周側にピン部材194A,194B側との隙間をシールする環状のシール部材を設けるようにしても良い。同様に、第4実施形態において、区画ディスク134A,134Cの外周側をピン部材194Cに一体のハウジング131Cに支持し、非支持側である区画ディスク134A,134Cの内周側にピン部材194C側との隙間をシールする環状のシール部材を設けるようにしても良い。
上記実施形態は、複筒式の油圧緩衝器に本発明を用いた例を示したが、これに限らず、外筒をなくしシリンダ2内の下室20の上室19とは反対側に摺動可能な区画体でガス室を形成するモノチューブ式の油圧緩衝器に用いてもよく、あらゆる緩衝器に用いることができる。また、シリンダ2の外部にシリンダ2内と連通する油通路を設け、この油通路に減衰力発生機構を設ける場合にも適用可能である。
なお、上記実施形態は、ディスクのシール部が設けられる面とは反対側と、対向部材またはハウジングの底部との間に、弾性部を設ける構成とし、ディスクと一体に設ける例を示したが、これに限らず例えば対向部材に弾性部を貼り付けて設けても良い。また、弾性部を設けなくてもよい。
以上に述べた実施形態は、作動流体が封入されたシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に挿嵌され前記シリンダ内にロッド側室とボトム側室とを画成しているピストンと、一端側が前記シリンダ内で前記ピストンに固定され他端側が前記シリンダ外にロッドガイドを介して突出したピストンロッドと、前記ピストンの移動により減衰力を発生する減衰力発生機構と、有底筒状のハウジングと、前記ハウジングに対して移動可能に設けられ、該ハウジングの底部との間にハウジング内室を形成しているディスクと、前記ディスクの前記底部とは反対側に前記ディスクと対向して設けられた対向部材と、を備えており、前記ハウジングおよび前記対向部材の内周側は、ピン部材が挿通されて締結され、前記ハウジングの底部または前記対向部材には、前記ディスクに向けて突出し、該ディスクの移動を規制する突出部が形成され、前記ディスクには、該ディスクの外周と前記ハウジングの内周との間をシールするシール部が前記突出部側に設けられている。ディスクの、その外周とハウジングの内周との間をシールするシール部が、ハウジングの底部からディスクに向けて突出する、ディスクの移動を規制する突出部側に設けられているため、軸方向長を短縮可能であり、小型化することが可能となる。
また、前記ハウジングが前記ピストンに設けられている。このため、ピストンおよびピストンロッドと一体に移動する部品全体の軸方向長を短縮することが可能となる。
また、前記シリンダは内筒と該内筒の外周側の外筒とを有しており、前記内筒と前記外筒の間にボトムバルブを備え、該ボトムバルブに前記ハウジングが設けられている。このため、ピストンおよびピストンロッドと一体に移動する部品全体の軸方向長をさらに短縮することが可能となる。
また、前記ディスクの前記シール部が設けられる面とは反対側と、前記対向部材または前記ハウジングの底部との間に、弾性部が設けられている。このため、ディスクの対向部材またはハウジングの底部への接触に起因して発生する音を抑制することができる。
また、前記ピン部材は前記ピストンロッドの一端側とした。
また、前記ディスクと、前記ハウジングとの間には、環状の隙間が設けられ、前記シール部は、前記隙間を介して、前記ディスクの両面に固着されて設けられている。
緩衝器の第1の態様としては、作動流体が封入されたシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に挿嵌され前記シリンダ内にロッド側室とボトム側室とを画成しているピストンと、一端側が前記シリンダ内で前記ピストンに固定され他端側が前記シリンダ外にロッドガイドを介して突出したピストンロッドと、前記ピストンの移動により減衰力を発生する減衰力発生機構と、有底筒状のハウジングと、前記ハウジングに対して移動可能に設けられ、該ハウジングの底部との間にハウジング内室を形成しているディスクと、前記ディスクの前記底部とは反対側に前記ディスクと対向して設けられた対向部材と、を備えており、前記ハウジングおよび前記対向部材の内周側は、ピン部材が挿通されて締結され、前記ハウジングの底部または前記対向部材には、前記ディスクに向けて突出し、該ディスクの移動を規制する突出部が形成され、前記ディスクには、該ディスクの外周と前記ハウジングの内周との間をシールするシール部が前記突出部側に設けられている。
緩衝器の第2の態様としては、前記第1の態様において、前記ハウジングが前記ピストンに設けられている。
緩衝器の第3の態様としては、前記第1または第2の態様において、前記シリンダは内筒と該内筒の外周側の外筒とを有しており、前記内筒と前記外筒の間にボトムバルブを備え、該ボトムバルブに前記ハウジングが設けられている。
緩衝器の第4の態様としては、前記第1乃至第3の何れかの態様において、前記ディスクの前記シール部が設けられる面とは反対側と、前記対向部材または前記ハウジングの底部との間に、弾性部が設けられている。
緩衝器の第5の態様としては、前記第1の態様において、前記ピン部材は前記ピストンロッドの一端側とした。
緩衝器の第6の態様としては、前記第1乃至第5の態様において、前記ディスクと、前記ハウジングとの間には、環状の隙間が設けられ、前記シール部は、前記隙間を介して、前記ディスクの両面に固着されて設けられている。
以上、本発明の幾つかの実施形態のみを説明したが、本発明の新規の教示や利点から実質的に外れることなく例示の実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者には容易に理解できるであろう。従って、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含むことを意図する。上記実施形態を任意に組み合わせても良い。
また、上述した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明には、その均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
本願は、2015年9月14日付出願の日本国特許出願第2015−181065号に基づく優先権を主張する。2015年9月14日付出願の日本国特許出願第2015−181065号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書を含む全開示内容は、参照により本願に全体として組み込まれる。
特開2011−247371号公報の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書を含む全開示内容は、参照により本願に全体として組み込まれる。