JPWO2017026471A1 - 動脈スティフネス改善用組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、血管機能不全に伴う心血管疾患、特に、加齢により罹患率の高まる心血管疾患を、副作用の少ない状態で、未然に、若しくは、心血管疾患の初期状態などで、血管機能不全を予防し、血管のしなやかさを維持できる、新規な動脈スティフネス改善剤及び動脈スティフネス改善用組成物の提供を目的とする。本発明によれば、カカオポリフェノールを有効成分として含んでなる動脈スティフネス改善剤及び動脈スティフネス改善用組成物が提供される。本発明によればまた、カカオポリフェノールを動脈スティフネス改善に有効な摂取量で対象に摂取させることを含んでなる、動脈スティフネス改善方法が提供される。

Description

関連出願の参照
本願は、先行する日本国出願である特願2015−158435(出願日:2015年8月10日)の優先権の利益を享受するものであり、その開示内容全体は引用することにより本明細書の一部とされる。
本発明は、動脈スティフネス改善用組成物に関し、詳細には、カカオポリフェノールを有効成分として含んでなる、動脈スティフネス改善用組成物に関する。
血液を有する生物において、血液とは、生命活動において必要とされる酸素及び栄養素などを運搬し、体内の老廃物を排出する、重要な役割を担っている。また、血液を有する生物において、血液は、血管を通して体内をめぐり、循環している。すなわち、血管は、血液を有する生物において、必要不可欠な器官であり、加齢及び/又は特定の疾患により、血管の機能が低下すれば、生命活動がおびやかされることになる。
血管の機能の低下の代表的な例として、心血管疾患がある。心血管疾患の主原因である動脈硬化の病変には、プラークと血管機能不全の2つの側面が知られている。近年、画像診断の進歩により、プラークについての正確な評価が可能となった。また、血管機能不全について評価する血管機能検査には、血管内皮機能検査、脈波伝播速度(PMV)、心臓足首血管指数(CAVI)、中心血圧、増大指数(AI)、足関節上腕血圧比(ABI)などがある(非特許文献1)。
ところで、カカオに由来する成分(化合物)は、「血液」に関する生理活性を有することが知られている。例えば、所定のカカオプロシアニジンと、ステロール及び/又はスタノールベースのコレステロール低下剤とを含む非チョコレート食品を用いた、粥状動脈硬化症などの心血管疾患を治療及び予防することによる血管の健康状態を改善する方法(特許文献1)が知られている。また、カカオ豆加工物を用いた、血流障害のみならず、皮膚に存在する温度を感じる神経の機能低下を含む自律神経系の失調などによってもたらされ得る冷え性を改善する方法(特許文献2)が知られている。
特許文献1においては、所定のカカオポリフェノールとコレステロール低下剤の併用を必須としており、粥状動脈硬化という、血液中のコレステロールの血管への付着などにより発症する、進行した動脈硬化症を対象とした改善が記載されているだけである。これは、前記の心血管疾患のうち、プラークに直接的に該当するものの治療及び/又は改善を示唆するものである。
特許文献2においては、カカオ豆加工物による血流の改善と、それ伴う冷え性の改善が記載されている。これは、血液の流動性について記載されているだけであり、前記の心血管疾患のうち、プラーク及び血管機能不全に直接的に該当するものではない。
特表2003−530410号公報 特開2004−018512号公報
循環器病の診断と治療に関するガイドライン2013:113−145,2013
このように、カカオに由来する成分(化合物)には、これまで、血液に関する生理活性があることが知られているが、血管機能不全を改善する効果については報告がなされていない。一方、血管機能不全による、血管機能の低下は、特に閉経後の女性においてよくみられる現象であり、血管が急激にしなやかさを失い、それに伴う動脈硬化などの心血管疾患の危険性が高まる。
このような心血管疾患への対処方法として、罹患後にコレステロール低下剤を服用し、血中のコレステロール含量を低減させる、発症後の処置がなされてきたが、発症前の事前の予防などの処置ができず、また、コレステロール低下剤という薬剤の投与に伴う副作用などの懸念もある。そこで、血管機能不全に伴う心血管疾患、特に、加齢により罹患率の高まる心血管疾患を、副作用の少ない状態で、未然に、若しくは、心血管疾患の初期状態などで、血管機能不全を予防し、血管のしなやかさを維持できる、動脈スティフネス改善剤及び動脈スティフネス改善用組成物が求められている。
すなわち、本発明は、新規な動脈スティフネス改善剤及び動脈スティフネス改善用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、カカオポリフェノールを高濃度で含有するココアが、ヒト大腿動脈−足首脈波伝播速度(faPWV)とヒト血漿中のエンドセリン−1濃度を有意に低減させることにより、下肢動脈スティフネスを改善することを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
前記の下肢動脈スティフネスの改善は、閉経後の女性を対象に実証したものである。閉経後の女性は、一般的に、身体機能の大きな変化に伴い、血管のしなやかさが失われ、それによる動脈硬化などの心血管疾患の危険性が高まることが知られている。一方、本発明で見出された、カカオポリフェノールを含む動脈スティフネス改善剤及び動脈スティフネス改善組成物を摂取させることにより、特に閉経後の女性などの、血管のしなやかさが失われ始めるヒト及び動物に対し、かかる血管のしなやかさの低下を予防及び/又は改善し、すなわち、それは、血管機能不全を予防及び/又は改善し、これによる動脈硬化などの心血管疾患を予防及び/又は改善できる。
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]カカオポリフェノールを有効成分として含んでなる、動脈スティフネス改善用組成物及び動脈スティフネス改善剤。
[2]動脈スティフネス改善に有効な1日分又は2日分の摂取量のカカオポリフェノールを含んでなる、前記[1]に記載の組成物及び用剤。
[3]カカオポリフェノールを200〜1400mg含んでなる、前記[1]又は[2]に記載の組成物及び用剤。
[4]カカオポリフェノールを1日あたりの摂取量として200〜700mg摂取させる、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物及び用剤。
[5]テオブロミンをさらに含んでなる、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物及び用剤。
[6]動脈スティフネス改善に有効な1日分又は2日分の摂取量のテオブロミンを含んでなる、前記[5]に記載の組成物及び用剤。
[7]テオブロミンを100〜700mg含んでなる、前記[5]又は[6]に記載の組成物及び用剤。
[8]テオブロミンを1日あたりの摂取量として100〜350mg摂取させる、前記[5]〜[7]のいずれかに記載の組成物及び用剤。
[9]1日分又は2日分の有効摂取量ごとに包装されてなる、前記[1]〜[8]のいずれかに記載の組成物及び用剤。
[10]カカオポリフェノールを6週間以上摂取させる、前記[1]〜[9]のいずれかに記載の組成物及び用剤。
[11]カカオポリフェノールを有効成分として含んでなる、動脈スティフネスの改善がその治療、予防又は改善に有効である疾患及び症状の治療、予防又は改善用組成物、並びに該疾患及び症状の治療、予防又は改善剤。
[12]カカオポリフェノールを動脈スティフネス改善に有効な摂取量で対象に摂取させることを含んでなる、動脈スティフネス改善方法。
[13]有効量のカカオポリフェノールをそれを必要とする対象に投与することを含んでなる、動脈スティフネスの改善がその治療、予防又は改善に有効である疾患及び症状の治療、予防又は改善方法。
[14]動脈スティフネス改善用組成物又は動脈スティフネス改善剤を製造するための、カカオポリフェノールの使用。
[15]動脈スティフネスの改善がその治療、予防又は改善に有効である疾患及び症状の治療、予防又は改善用組成物、又は該疾患及び症状の治療、予防又は改善剤を製造するための、カカオポリフェノールの使用。
本発明の動脈スティフネス改善剤及び動脈スティフネス改善用組成物は、長年食品の原料として用いられてきたカカオに含まれるポリフェノールを利用するものであることから、長期間にわたって服用しても副作用が少なく、安全性が高い点において有利である。
本発明において「カカオポリフェノール」は、カカオに含まれるポリフェノール、すなわち、カカオ由来ポリフェノールを意味する。従って、典型的には、カカオの植物体又はその加工品から抽出(粗抽出を含む)或いは精製(粗精製を含む)したカカオのポリフェノールを、本発明の有効成分として使用することができるが、化学合成法によって調製したポリフェノールを一部又は全部をカカオポリフェノールとして使用してもよい。ここで、カカオポリフェノールとしては、例えば、カテキン、エピカテキン、クロバミド等の単量体や、カテキン等が重合してなるテオブロミン、プロシアニジン、タンニン等のオリゴマー(二量体以上)が挙げられる。
本発明において、カカオポリフェノールの原料となりうるカカオの植物体又はその加工品としては、カカオ樹皮、カカオ葉、カカオ豆、カカオシェル、カカオマス、脱脂カカオマス、ココアパウダー等、植物体の各種部位又はカカオ豆加工品を挙げることができる。カカオマスは、カカオ豆を磨砕したものであり、脱脂カカオマスは、カカオマスから油脂を除去することにより得ることができる。油脂の除去方法は特に制限されず、圧搾などの公知の方法に従って行うことができる。脱脂カカオマスを粉砕すればココアパウダーとなる。また、カカオの植物体又はその加工品を原料として抽出を行う場合は、抽出効率の観点から、磨砕、粉砕等の微粒化処理が施されているカカオマスやココアパウダーを用いるのが好ましい。なお、カカオの植物体には、意図してないしは意図せずに、カカオの植物体以外の物も含めることができる。また、カカオの植物体又はその加工品を原料として抽出を行う際にも、意図してないしは意図せずに、カカオの植物体以外の物も含めることができる。さらに、カカオマス又はココアパウダーにも、意図してないしは意図せずに、カカオの植物体以外の物も含めることができる。
カカオの植物体又はその加工品を原料とする抽出方法は公知であり、例えば、特開2009−183229号公報や特開2011−93807号公報の記載に従ってカカオポリフェノール含有組成物を調製することができる。抽出溶媒は、特に限定されるものではないが、水又はエタノール等のアルコールを用いることが好ましい。また、カカオの植物体又はその加工品を原料とする精製方法は、合成吸着剤、イオン交換樹脂、限外ろ過、活性白土処理等の公知の方法を使用することができ、特に限定されるものではない。
本発明において、カカオポリフェノールは、カカオポリフェノールの総質量に対し1〜4量体のポリフェノールを8質量%以上含むことができ、好ましくは、8〜50質量%、より好ましくは8〜30質量%、さらに好ましくは8〜20質量%、さらに好ましくは8〜15質量%、さらに好ましくは8〜12質量%、特に好ましくは10〜12質量%含むことができる。
本発明においてポリフェノール含量は、プルシアンブルー法により測定することができる。例えば、Martin L. Price and Larry G. Butler, J. Agric Food Chem., Vol. 25, No.6, 1268-1273,1977に記載の方法に従い、市販のエピカテキンを標準物質として算出することができる。
カカオポリフェノールを効率よく摂取させる(投与する)ためには、カカオポリフェノールが濃縮された組成物を本発明に用いることが好ましく、この場合には、公知の方法(例えば、特開2009−183229号公報に記載の方法)に従って得られたカカオポリフェノール濃縮組成物を本発明に使用することができる。
カカオポリフェノールは、カカオの植物体を原料にして調製することができるため、本発明の動脈スティフネス改善剤及び動脈スティフネス改善用組成物には、カカオポリフェノール以外のカカオ豆由来の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、テオブロミン、カフェイン、アミノ酸類、ペプチド、脂肪酸等が挙げられる。また、本発明の動脈スティフネス改善剤及び動脈スティフネス改善用組成物には、カカオ豆に由来しない成分を含んでいてもよい。好ましくは、後記実施例に示すテオブロミンを含む形態である。
後記実施例に示されるように、カカオポリフェノールは動脈スティフネスの改善作用を有する。従って、カカオポリフェノールは動脈スティフネスの改善剤として使用することができるとともに、動脈スティフネスの改善方法に使用することができる。また、カカオポリフェノールは動脈スティフネスの改善用組成物としても使用することができる。
ここで、「動脈スティフネスの改善」とは、血管のしなやかさが改善されることを意味し、動脈スティフネスの改善の程度は、例えば、下肢動脈スティフネスの指標としての大腿動脈−足首脈波伝搬速度(faPWV)及び/又は血漿エンドセリン−1濃度を指標にして評価することができる(実施例1参照)。具体的には、カカオポリフェノールの摂取又は投与後の大腿動脈−足首脈波伝搬速度(faPWV)が、摂取又は投与前の大腿動脈−足首脈波伝搬速度(faPWV)を下回る場合に、動脈スティフネスが改善したと判定することができる。また、カカオポリフェノールの摂取又は投与後の血漿エンドセリン−1濃度が、摂取又は投与前の血漿エンドセリン−1濃度を下回る場合に、動脈スティフネスが改善したと判定することができる。
本発明の動脈スティフネスの改善は、前記の下肢動脈スティフネスの指標としての大腿動脈−足首脈波伝搬速度(faPWV)及び/又は血漿エンドセリン−1濃度以外の公知の方法においても、判断することができる。例えば、非特許文献1に記載された、血管機能不全を評価する血管機能検査である、血管内皮機能検査、脈波伝播速度(PMV)、心臓足首血管指数(CAVI)、中心血圧、増大指数(AI)、足関節上腕血圧比(ABI)などを指標に、動脈スティフネスの改善を判断することもできる。
本発明の動脈スティフネスの改善方法は、有効量のカカオポリフェノールをヒト又は非ヒト動物に摂取させるか、或いは投与することにより実施することができる。
なお、本発明におけるカカオポリフェノールの使用は、ヒト及び非ヒト動物における使用であってもよく、治療的使用と非治療的使用のいずれもが意図される。ここで、「非治療的」とはヒトを手術、治療又は診断する行為(すなわち、ヒトに対する医療行為)を含まないことを意味し、具体的には、医師又は医師の指示を受けた者がヒトに対して手術、治療又は診断を行う方法を含まないことを意味する。
本発明では動脈スティフネスの改善がその治療、予防又は改善に有効である疾患及び症状の治療、予防又は改善にカカオポリフェノールを使用することができる。従って、本発明によればカカオポリフェノールを有効成分として含んでなる、動脈スティフネスの改善がその治療、予防又は改善に有効である疾患及び症状の治療、予防又は改善用組成物、並びに該疾患及び症状の治療、予防又は改善剤(本明細書中、これらと本発明の動脈スティフネス改善剤及び動脈スティフネス改善用組成物を「本発明の組成物及び用剤」ということがある)が提供される。
動脈スティフネスの改善が、治療、予防又は改善に有効である疾患及び症状としては、例えば、心血管疾患が挙げられる。心血管疾患としては、例えば、高血圧、糖尿病、メタボリック症候群、脂質異常症、腎疾患、冠動脈疾患、心不全、大動脈疾患、抹消動脈疾患、動脈硬化などが挙げられる。従って、カカオポリフェノールは、心血管疾患の治療、予防及び改善用医薬組成物並びに心血管疾患の治療剤、予防剤及び改善剤として使用できるとともに、心血管疾患の治療方法、予防方法及び改善方法に使用することができる。
後記実施例に示す通り、カカオポリフェノールによる動脈スティフネス改善効果は、閉経後の女性において、実証することができた。閉経前の女性は、女性ホルモンなどの分泌により、同年齢の男性と比較して、動脈硬化などの心血管疾患にかかる危険性は低いといわれているが、閉経後の女性は、一般的に、身体機能の大きな変化に伴い、血管のしなやかさが失われ、それによる動脈硬化などの心血管疾患の危険性が高まることが知られている。一方、本発明で見出された、カカオポリフェノールを含む動脈スティフネス改善剤及び動脈スティフネス改善組成物を摂取させる(投与する)ことにより、特に閉経後の女性などの、血管のしなやかさが失われ始めるヒト及び動物に対し、かかる血管のしなやかさの低下を予防及び/又は改善し、すなわち、それは、血管機能不全を予防及び/又は改善し、これによる動脈硬化などの心血管疾患を予防及び/又は改善できる。また、これまでは、このような心血管疾患への対処方法として、罹患後にコレステロール低下剤を服用し、血中のコレステロール含量を低減させるという、発症後の対応を目的とする処置がなされてきたが、発症前の事前の予防などの処置ができず、また、コレステロール低下剤という薬剤の投与に伴う副作用などの懸念もあった。一方、カカオポリフェノールを継続的に摂取することで、動脈スティフネスが改善されることにより、これらの疾患を副作用なく、治療、予防又は改善させることができる。すなわち、本発明の組成物及び用剤は、血管機能不全に伴う心血管疾患、特に、加齢により罹患率の高まる心血管疾患を、副作用の少ない状態で、未然に、若しくは、心血管疾患の初期状態などで、予防し、血管のしなやかさを維持できる点で有利である。
すなわち、本発明の組成物及び用剤を、特に、閉経前後の女性、例えば、閉経直後の女性、閉経後1年以内の女性、閉経後2年以内の女性、閉経後3年以内の女性、閉経後4年以内の女性、閉経後5年以内の女性に摂取(投与)させることが好ましい。
さらに、心血管疾患は前記の閉経後の女性に限らず、老若男女どの年齢層でも起こり得る疾患であり、特に加齢に伴い、本発明の組成物及び用剤は、その効果を発揮する。年齢的な側面から、本発明の組成物及び用剤は、ヒトの場合、好ましくは20〜100歳、より好ましくは30〜95歳、さらに好ましくは40〜90歳、さらに好ましくは45〜85歳、特に好ましくは50〜80歳のヒトに対して摂取(投与)させることができる。
本発明の組成物及び用剤は、医薬品、医薬部外品、飲食品、飼料などの形態で提供することができ、後記の記載に従い、実施することができる。また、本発明の動脈スティフネス改善方法、並びに本発明の治療方法、予防方法及び改善方法は本発明の組成物及び用剤に関する後記の記載に従い、実施することができる。
本発明の有効成分であるカカオポリフェノールは、ヒト及び非ヒト動物に経口投与することができる。経口剤としては、顆粒剤、散剤、錠剤(糖衣錠を含む)、丸剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤が挙げられる。これらの製剤は、当分野で通常行われている手法により、薬学上許容される担体を用いて製剤化することができる。薬学上許容される担体としては、賦形剤、結合剤、希釈剤、添加剤、香料、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等が挙げられる。
本発明の有効成分であるカカオポリフェノールは、ヒト及び非ヒト動物に経管投与、経鼻管投与、点滴、座薬等の経口投与以外の体内への投与も本発明の組成物及び用剤の形状に応じて可能である。例えば、ココア飲料のような、カカオポリフェノールを含む粘性を有する液状の組成物、あるいは、チョコレートのような、カカオポリフェノールを含む半固形状の組成物とすることで、咀嚼や嚥下の機能が低下し、経口摂取ないしは経口投与ができないヒト及び非ヒト動物に対しても投与することができる。本発明の組成物及び用剤を経口摂取以外で摂取させるか、或いは投与することにより、咀嚼や嚥下の機能が加齢などにより低下したとしても、これらのヒト及び非ヒト動物の心血管疾患、例えば、高血圧、糖尿病、メタボリック症候群、脂質異常症、腎疾患、冠動脈疾患、心不全、大動脈疾患、抹消動脈疾患、動脈硬化などの治療、予防及び改善が期待できる。
本発明の有効成分であるカカオポリフェノールは、ヒト及び非ヒト動物に経口摂取させることができる。カカオポリフェノールを経口摂取させる場合にはカカオ来ポリフェノールは単離、精製又は粗精製された形態のものであっても、カカオポリフェノールを含む食品あるいは食品の原料の形態であってもよい。また、カカオポリフェノールは、ヒト及び非ヒト動物に経口摂取させるにあたり、常温の状態、温かい状態、冷たい状態等から任意に選択することができる。例えば、ココア飲料のような、カカオポリフェノールを含む粘性を有する液状の組成物、あるいは、チョコレートのような、カカオポリフェノールを含む半固形状の組成物とすることで、咀嚼や嚥下の機能が低下し、経口摂取ないしは経口投与ができないヒト及び非ヒト動物に対しても摂取させることができる。
本発明の有効成分であるカカオポリフェノールを食品として提供する場合には、カカオポリフェノールをそのまま食品に含有させることができ、該食品はカカオポリフェノールを有効量含有した食品である。ここで、カカオポリフェノールを「有効量含有した」とは、個々の食品において通常喫食される量を摂取した場合に後述するような範囲でカカオポリフェノールが摂取されるような含有量をいう。また「食品」とは、健康食品、機能性食品、保健機能食品(例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)、特別用途食品(例えば、幼児用食品、妊産婦用食品、病者用食品)を含む意味で用いられる。「食品」の形態は特に限定されるものではなく、例えば、飲料の形態であっても、半液体やゲル状の形態であっても、固形状の形態であってもよい。例えば、ココア飲料のような、カカオポリフェノールを含む粘性を有する液状の組成物、あるいは、チョコレートのような、カカオポリフェノールを含む半固形状の組成物とすることで、咀嚼や嚥下の機能が低下し、経口摂取ないしは経口投与ができないヒト及び非ヒト動物に対しても摂取させることができる。
カカオポリフェノールは、動脈スティフネスを改善させる効果を有するため、日常摂取する食品や、サプリメントとして摂取する食品に含有させて提供することができる。本発明で提供される食品としては、その形態や形状に特に制限はないが、好ましくは、カカオ豆を主原料とする食品が挙げられ、より好ましくは、油脂加工組成物であり、より一層好ましくはチョコレート及びココアである。例えば、ココア飲料のような、カカオポリフェノールを含む粘性を有する液状の組成物、或いは、チョコレートのような、カカオポリフェノールを含む半固形状の組成物とすることで、咀嚼や嚥下の機能が低下し、経口摂取ないしは経口投与ができないヒト及び非ヒト動物に対しても摂取させることができる。
前記の通り、カカオポリフェノールを効率よく摂取させるためには濃縮されたカカオポリフェノール組成物を本発明に使用することができる。従って、カカオ豆を主原料とする食品及びサプリメントは、例えば、カカオポリフェノールを高濃度で含むものであることが好ましく、より好ましくはカカオポリフェノールを高濃度で含む油脂加工組成物であり、より一層好ましくはカカオポリフェノールを高濃度で含むチョコレート及びココアである。
ここで、食品及びサプリメント中のカカオポリフェノールの含有量はカカオポリフェノールの摂取が可能である限り特に限定されるものではないが、カカオポリフェノールの効率的な摂取の観点から、油脂加工組成物中の含有量は組成物の固形分当たり、例えば、1〜10質量%とすることができ、好ましくは1.2〜8質量%、より好ましくは1.4〜7質量%、より一層好ましくは1.6〜6質量%、さらに好ましくは1.8〜5質量%、特に好ましくは2〜4.5質量%である。
本発明で提供される食品としては、チョコレートやココアのようにカカオ豆を主原料とする食品はもちろんのこと、カカオポリフェノールを含有させることができる食品であれば特に限定されない。例えば、パン類、ビスケット類、麺類、クラッカー、栄養補給バー等の澱粉系食品;キャンディー類、ガム類、グミ、スナック等の各種菓子類;牛乳、加工乳、アイスクリーム類、発酵乳(ヨーグルト等)、乳飲料、チーズ類、バター類、クリーム類等の乳及び乳製品;プリン、ゼリー、ババロア、ムース等のデザート類;非アルコール飲料、アルコール飲料等の飲料類;ハム、ソーセージ等の畜肉加工品;カマボコ、竹輪、魚肉ソーセージ等の魚肉加工品;ジャム、ピューレ等の果実加工品;ルウ、ソース等の調味料類等が挙げられる。カカオポリフェノールは各食品の特性、目的に応じ、適当な製造工程の段階で適宜配合することができる。
本発明の医薬品及び食品は、食品として古くから重用されていたカカオ豆に含まれるポリフェノールを利用することから、それを必要とする哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等)に対し安全に用いることができる。カカオポリフェノールの投与量又は摂取量は、受容者の性別、年齢及び体重、症状、投与時間、剤形、投与経路並びに組み合わせる薬剤等に依存して決定できる。
例えば、カカオポリフェノールを医薬として経口投与する場合、成人1日当たり、好ましくは、200〜700mg、より好ましくは250〜650mg、さらに好ましくは300〜600mg、さらに好ましくは350〜550mg、特に好ましくは400〜500mgの範囲となるように、投与することができる。1日に医薬として投与する、カカオポリフェノールの成分としては、1〜4量体のポリフェノール(カテキン、エピカテキン、プロシアニジンB2、プロシアニジンC1、シンナムタンニンA2)が、好ましくは20〜60mg、より好ましくは25〜55mg、さらに好ましくは30〜50mg、さらに好ましくは35〜45mg、特に好ましくは37〜43mgの範囲となるように、投与することができる。
また、カカオポリフェノールを食品として摂取させる場合には、成人1日当たり、好ましくは200〜700mg、より好ましくは250〜650mg、さらに好ましくは300〜600mg、さらに好ましくは350〜550mg、特に好ましくは400〜500mgの範囲となるように、カカオポリフェノールを摂取させることができる。1日に食品として摂取させる、カカオポリフェノールの成分としては、1〜4量体のポリフェノール(カテキン、エピカテキン、プロシアニジンB2、プロシアニジンC1、シンナムタンニンA2)が好ましくは、20〜60mg、好ましくは25〜55mg、より好ましくは30〜50mg、さらに好ましくは35〜45mg、特に好ましくは37〜43mgの範囲となるように、摂取させることができる。
例えば、前記のカテキンの摂取(投与)量は、好ましくは5〜30mg、より好ましくは7〜25mg、さらに好ましくは8〜20mg、さらに好ましくは9〜18mg、特に好ましくは10〜15mgである。
例えば、前記のエピカテキンの摂取(投与)量は、好ましくは5〜30mg、より好ましくは7〜25mg、さらに好ましくは8〜20mg、さらに好ましくは9〜18mg、特に好ましくは10〜15mgである。
例えば、前記のプロシアニジンB2の摂取(投与)量は、好ましく2〜20mg、より好ましくは3〜15mg、さらに好ましくは4〜12mg、さらに好ましくは5〜10mg、特に好ましくは6〜8mgである。
例えば、前記のプロシアニジンB5の摂取(投与)量は、好ましく0.4〜5mg、より好ましくは0.5〜4mg、さらに好ましくは0.6〜3mg、さらに好ましくは0.7〜2mg、特に好ましくは0.8〜1.5mgである。
例えば、前記のプロシアニジンC1の摂取(投与)量は、好ましく1〜10mg、より好ましくは1.5〜8mg、さらに好ましくは1.8〜6mg、さらに好ましくは2〜5mg、特に好ましくは2.5〜4mgである。
例えば、前記のシンナムタンニンA2の摂取(投与)量は、好ましく0.5〜5mg、より好ましくは1〜4mg、さらに好ましくは1.2〜3mg、さらに好ましくは1.5〜2.5mg、特に好ましくは1.7〜2.3mgである。
また、本発明の組成物及び用剤並びに本発明の医薬品及び食品には、カカオポリフェノールの他に、さらにテオブロミンも添加することができる。テオブロミンの投与量又は摂取量は、受容者の性別、年齢及び体重、症状、投与時間、剤形、投与経路並びに組み合わせる薬剤等に依存して決定できる。例えば、テオブロミンを医薬として経口投与する場合、成人1日当たり、好ましくは100〜350mg、より好ましくは125〜325mg、さらに好ましくは150〜300mg、さらに好ましくは175〜275mg、特に好ましくは200〜250mgの範囲となるように、添加することができる。また、さらにテオブロミンを食品として摂取させる場合には、成人1日当たり、好ましくは100〜350mg、より好ましくは125〜325mg、さらに好ましくは150〜300mg、さらに好ましくは175〜275mg、特に好ましくは200〜250mの範囲となるように、テオブロミンを摂取させることができる。
本発明の組成物及び用剤は、他の経口摂取できる組成物や用剤と併用することに、制限はない。例えば、高血圧、糖尿病、メタボリック症候群、脂質異常症、腎疾患、冠動脈疾患、心不全、大動脈疾患、抹消動脈疾患、動脈硬化などの心血管疾患の予防、治療及び改善が期待できる素材や組成物と併用することで、動脈スティフネスの改善の効果をさらに高めることができる。
本発明の組成物及び用剤(特に、本発明の動脈スティフネス改善剤及び動脈スティフネス改善用組成物)は、動脈スティフネス改善に有効な1日分又は2日分の摂取量のカカオポリフェノールを含んでなる組成物で提供することができる。この場合、本発明の組成物及び用剤(特に、動脈スティフネス改善用組成物及び動脈スティフネス改善剤)は、1日分又は2日分の有効摂取量を摂取できるように包装されていてもよく、1日分又は2日分の有効摂取量が摂取できる限り、包装形態は一包装であっても、複数包装であってもよい。包装形態で提供する場合、1日分又は2日分の有効摂取量が摂取できるように摂取量に関する記載が包装になされているか、又は当該記載がなされた文書を一緒に提供することが望ましい。また、1日分又は2日分の有効摂取量を複数包装で提供する場合には、摂取の便宜上、1日分又は2日分の有効摂取量の複数包装をセットで提供することもできる。
このとき、1日分の摂取量のカカオポリフェノールを含んでなる組成物は1日に1回摂取することが好ましく、2日分の摂取量のカカオポリフェノールを含んでなる組成物は2日に1回摂取することが好ましい。
本発明の組成物及び用剤(特に、本発明の動脈スティフネス改善剤及び動脈スティフネス改善用組成物)を提供するための包装形態は一定量を規定する形態であれば特に限定されず、例えば、包装紙、袋、ソフトバック、紙容器、缶、ボトル、カプセルなどの収容可能な容器などが挙げられる。
本発明の組成物及び用剤(特に、本発明の動脈スティフネス改善剤及び動脈スティフネス改善用組成物)はその効果をよりよく発揮させるために、投与及び摂取期間は、好ましくは6週間以上の継続的に投与又は摂取であり、より好ましくは6〜18週間の継続的に投与又は摂取であり、特に好ましくは9〜15週間の継続的に投与又は摂取でありである。ここで、「継続的に」とは毎日投与又は2日に1回の投与を続けることを意味する。本発明の組成物及び用剤(特に、本発明の動脈スティフネス改善剤及び動脈スティフネス改善用組成物)を包装形態で提供する場合には、継続的摂取のために一定期間(例えば、1週間)の有効摂取量をセットで提供してもよい。
本発明によればまた、以下の発明が提供される。
[101]カカオポリフェノールを含んでなる、動脈スティフネス改善用組成物及び動脈スティフネス改善剤。
[102]カカオポリフェノールを200〜1400mg含んでなる、前記[101]に記載の動脈スティフネス改善用組成物及び動脈スティフネス改善剤。
[103]更にテオブロミンを100〜700mg含んでなる、前記[101]又は[102]に記載の動脈スティフネス改善用組成物及び動脈スティフネス改善剤。
[104]カカオポリフェノールを1日あたりの摂取量として200〜700mg摂取させる、前記[101]に記載の動脈スティフネス改善用組成物及び動脈スティフネス改善剤。
[105]さらにテオブロミンを1日あたりの100〜350mg摂取させる、前記[104]に記載の動脈スティフネス改善用組成物及び動脈スティフネス改善剤。
[106]動脈スティフネス改善に有効な1日分又は2日分の摂取量のカカオポリフェノールを含んでなる、前記[101]〜[105]のいずれかに記載の動脈スティフネス改善用組成物及び動脈スティフネス改善剤。
[107]1日分又は2日分の有効摂取量ごとに包装されてなる、前記[106]に記載の動脈スティフネス改善用組成物及び動脈スティフネス改善剤。
[108]カカオポリフェノールを6週間以上摂取させることを特徴とする、前記[101]〜[105]のいずれかに記載の動脈スティフネス改善用組成物及び動脈スティフネス改善剤。
[109]カカオポリフェノールを動脈スティフネス改善に有効な1日分の摂取量で6週間以上摂取させることを含んでなる、動脈スティフネス改善方法(ただし、ヒトに対する医療行為を除く)。
[110]カカオポリフェノールを1日あたりの摂取量として200〜700mg摂取させる、前記[109]に記載の動脈スティフネス改善方法。
[111]更にテオブロミンを1日あたりの100〜350mg摂取させる、前記[109]又は[110]に記載の動脈スティフネス改善方法。
以下の例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
例1:カカオポリフェノールの毎日摂取による動脈スティフネス改善効果の検討
カカオポリフェノールが動脈スティフネス改善に与える影響を検証するために以下の試験を行った。
47〜80歳の閉経後の女性13名を被験者とし、市販のカカオポリフェノール高含有油脂加工組成物(「テオブロココア」株式会社 明治)を毎日17gずつ12週間継続して摂取させた。上記油脂加工組成物は1日当たりカカオポリフェノールを440mg(総ポリフェノール量)、テオブロミン220mg含んでいた。
また、前記油脂加工組成物における、1日に摂取する1〜4量体のポリフェノールの含量は40mgであった。主な成分の内訳として、カテキン(単量体)が12.3mg、エピカテキン(単量体)が14.6mg、プロシアニジンB2(2量体)が6.8mg、プロシアニジンB5(2量体)が1.1mg、プロシアニジンC1(3量体)が3.1mg、シンナムタンニンA2(4量体)が2.1mgであった。なお、各成分については、HPLCを用いて測定した。カラムは、Deverosil−ODS−HG5(4.6mm×250mm、φ5μ、野村化学株式会社製)を使用した。溶離液は、A液とB液で構成され、A液は0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、B液は0.1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル溶液を使用した。カラムへ通す溶離液の流速は0.8ml/分、グラジェントの条件は、溶離液全体に占めるB液の割合を、開始時点で10%、開始5分後で10%、開始35分後で25%、開始40分後で100%、開始45分後で100%とした。サンプルインジェクション量は10μLであり、エピカテキンを標準品として、各成分をエピカテキン当量で定量した。また、ポリフェノール含量は、プルシアンブルー法により測定した。具体的には、Martin L. Price and Larry G. Butler, J. Agric Food Chem., Vol. 25, No.6, 1268-1273,1977に記載の方法に従い、市販のエピカテキンを標準物質としてポリフェノール含量を算出した。
摂取開始日を1日目とし、摂取開始日前日(0日目)及び摂取最終日(12週間後)に大腿動脈−足首脈波伝搬速度(faPWV)と血漿エンドセリン−1濃度を測定した。
得られた結果について、0日目の大腿動脈−足首脈波伝搬速度(faPWV)は、1124.3±119.0(cm/sec)であったのに対し、12週間後の大腿動脈−足首脈波伝搬速度(faPWV)は、1016.7±114.8(cm/sec)であり、ウィルコクソンの符号順位検定を行い、危険率(p値)が0.032%であり、5%未満であった場合に差が有意であると判定した。
得られた結果について、0日目の血漿エンドセリン−1濃度は、1.8±0.3(pg/ml)であったのに対し、12週間後の血漿エンドセリン−1濃度は、1.4±0.2(pg/ml)であり、ウィルコクソンの符号順位検定を行い、危険率(p値)が0.004%であり、5%未満であった場合に差が有意であると判定した。
例2:カカオポリフェノールの毎日摂取による動脈スティフネス改善効果の検討
カカオポリフェノールが動脈スティフネス改善に与える影響を検証するために以下の試験を行った。
47〜80歳の閉経後の女性13名を被験者とし、市販のカカオポリフェノール高含有油脂加工組成物(「テオブロココア」株式会社 明治)を2日に1回の頻度で、34gずつ12週間継続して摂取させた。上記油脂加工組成物は1回当たりカカオポリフェノールを880mg(総ポリフェノール量)、テオブロミン440mg含んでいた。
また、前記組成物における、1回に摂取する1〜4量体のポリフェノールの含量は80mgであった。主な成分の内訳として、カテキン(単量体)が24.6mg、エピカテキン(単量体)が29.2mg、プロシアニジンB2(2量体)が13.6mg、プロシアニジンB5(2量体)が2.2mg、プロシアニジンC1(3量体)が6.2mg、シンナムタンニンA2(4量体)が4.2mgであった。なお、各成分については、例1と同様に、HPLCを用いて測定した。
同様に、2日に1回摂取した被験者群についても摂取開始日を1日目とし、摂取開始日前日(0日目)及び摂取最終日(12週間後)に大腿動脈−足首脈波伝搬速度(faPWV)と血漿エンドセリン−1濃度を測定した。
得られた結果について、0日目の大腿動脈−足首脈波伝搬速度(faPWV)は、1135.5±128.4(cm/sec)であったのに対し、12週間後の大腿動脈−足首脈波伝搬速度(faPWV)は、1029.5±113.5(cm/sec)であり、ウィルコクソンの符号順位検定を行い、危険率(p値)が0.034%であり、5%未満であった場合に差が有意であると判定した。
得られた結果について、0日目の血漿エンドセリン−1濃度は、2.0±0.6(pg/ml)であったのに対し、12週間後の血漿エンドセリン−1濃度は、1.6±0.2(pg/ml)であり、ウィルコクソンの符号順位検定を行い、危険率(p値)が0.004%であり、5%未満であった場合に差が有意であると判定した。
以上の結果から、カカオポリフェノールにより動脈スティフネスを改善することが確認され、カカオポリフェノールの摂取は動脈スティフネス改善効果による心血管疾患の病状の改善効果を有することが示された。


Claims (12)

  1. カカオポリフェノールを有効成分として含んでなる、動脈スティフネス改善用組成物。
  2. 動脈スティフネス改善に有効な1日分又は2日分の摂取量のカカオポリフェノールを含んでなる、請求項1に記載の組成物。
  3. カカオポリフェノールを200〜1400mg含んでなる、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. カカオポリフェノールを1日あたりの摂取量として200〜700mg摂取させる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. テオブロミンをさらに含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 動脈スティフネス改善に有効な1日分又は2日分の摂取量のテオブロミンを含んでなる、請求項5に記載の組成物。
  7. テオブロミンを100〜700mg含んでなる、請求項5又は6に記載の組成物。
  8. テオブロミンを1日あたりの摂取量として100〜350mg摂取させる、請求項5〜7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 1日分又は2日分の有効摂取量ごとに包装されてなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. カカオポリフェノールを6週間以上摂取させる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
  11. カカオポリフェノールを動脈スティフネス改善に有効な摂取量で対象に摂取させることを含んでなる、動脈スティフネス改善方法。
  12. 動脈スティフネス改善用組成物又は動脈スティフネス改善剤を製造するための、カカオポリフェノールの使用。



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