JP2019180399A - 食後の血糖値上昇抑制用組成物 - Google Patents

食後の血糖値上昇抑制用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】食後の血糖値の上昇を抑制する新規な組成物の提供。【解決手段】本発明によれば、カカオポリフェノールおよび脂質を有効成分として含んでなる、食後の血糖値上昇抑制用組成物が提供される。前記脂質は、カカオ由来の脂質とすることができる。本発明によればまた、カカオマスおよびココアバターを有効成分として含んでなる、食後の血糖値上昇抑制用組成物が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、食後の血糖値上昇抑制用組成物に関する。
「血糖値」とは、血液中に含まれる糖(グルコース)の濃度であり、血糖値が一定値よりも高い状態が続く場合には糖尿病と診断される。糖尿病は三大成人病の一つであり、しかも、糖尿病網膜症等の合併症を引き起こすことがあることから、血糖値は健康状態を診断する指標として重要視されている。
ところで、食後の血糖値の上昇は健常人でも見られる現象であるが、食後の急激な血糖値の上昇は血管にダメージを与え、動脈硬化を引き起こし、ひいては脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まるといわれている。特に近年では、空腹時の血糖値に異常はないが、食後の短時間においてのみ血糖値が急上昇する現象(血糖値スパイク)が認められる者の存在が明らかとなり、上記のような疾患リスクがより高まっているとして、注目を集めている。
これまでに、糖の吸収をおだやかにし、食後の血糖値の上昇をおだやかにする機能性食品素材として、難消化性デキストリンをはじめとする食物繊維が知られている(例えば、特許文献1)。
特開平6−166622号公報
本発明は、食後の血糖値の上昇を抑制する新規な組成物および用剤を提供することを目的とする。
本発明者らは今般、高カカオチョコレートの単回投与のみならず、その構成成分であるカカオマスとココアバターの混合物の単回投与や、カカオポリフェノールの単回投与により、糖負荷による血糖値の上昇が有意に抑制されることを見出した。本発明者らはまた、高カカオチョコレートの経口投与のタイミングが糖負荷による血糖値の上昇抑制に影響を与えないこと、また、カカオマスとココアバターの組み合わせが食後の血糖値の上昇抑制に有効であることを見出した。本発明者らはさらに、全被験者のみならず境界型糖尿病の被験者において、高カカオチョコレートの単回投与により糖負荷による血糖値の上昇が有意に抑制されることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]カカオポリフェノールおよび脂質を有効成分として含んでなる、食後の血糖値上昇抑制用組成物および食後の血糖値上昇抑制剤。
[2]脂質が、カカオ由来の脂質である、上記[1]に記載の組成物および用剤。
[3]カカオ由来の脂質が、カカオマスの脂質を含む、上記[2]に記載の組成物および用剤。
[4]カカオマスおよびココアバターを有効成分として含んでなる、食後の血糖値上昇抑制用組成物および食後の血糖値上昇抑制剤。
[5]油脂加工食品である、上記[4]に記載の組成物および用剤。
[6]チョコレートである、上記[4]または[5]に記載の組成物および用剤。
[7]食後の血糖値上昇に起因する疾患および状態の発症および/または進展のリスク低減に用いるための、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の組成物および用剤。
[8]単回摂取または投与用の包装形態である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物および用剤。
[9]カカオポリフェノールと脂質とを対象に摂取させるか、あるいは、投与する工程を含んでなる、食後の血糖値上昇抑制方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
[10]カカオポリフェノールと脂質とを食前に摂取させるか、あるいは、投与する、上記[9]に記載の方法。
[11]脂質が、カカオ由来の脂質である、上記[9]または[10]に記載の方法。
上記[1]と上記[4]の組成物および用剤を、本明細書において「本発明の組成物および用剤」ということがある。
本発明の組成物および用剤の有効成分は、長年食品の原料として使用されてきたカカオポリフェノールと脂質である。従って、本発明の組成物および用剤は、食後の血糖値上昇抑制効果を奏するとともに、長期間にわたって継続的に摂取しても副作用の懸念がなく、安全性が高い点において有利である。
図1は、高カカオチョコレートおよびカカオマスとココアバターの混合物が糖負荷による血糖値の経時変化に与える影響を示した図である。*はコントロール群に対する有意差を示す(p<0.05)。 図2は、カカオポリフェノールが糖負荷による血糖値の経時変化に与える影響を示した図である。*はコントロール群に対する有意差を示す(p<0.05)。 図3は、高カカオチョコレートの経口投与のタイミングが糖負荷による血糖値の経時変化に与える影響を示した図である。 図4は、高カカオチョコレートを構成する成分が糖負荷による血糖値の経時変化に与える影響を示した図である。*はコントロール群に対する有意差を示す(p<0.05)。
発明の具体的説明
本発明の組成物および用剤の有効成分である「カカオポリフェノール」は、カカオに含まれるポリフェノールを意味する。従って、典型的には、カカオの植物体またはその加工品から抽出(粗抽出を含む)あるいは精製(粗精製を含む)したカカオのポリフェノールを、本発明の有効成分として使用することができるが、化学合成法によって調製したポリフェノールをカカオポリフェノールの一部または全部として使用してもよい。ここで、カカオポリフェノールとしては、例えば、カテキン等の単量体や、カテキン等が重合してなるプロシアニジン、タンニン等のオリゴマー(二量体以上)が挙げられる。本発明においてはまた、カカオポリフェノールを含有する加工品(例えば、カカオマス、脱脂カカオマス、ココアパウダー、カカオ豆粉砕品等のカカオ豆加工品)をカカオポリフェノールとして本発明の組成物および用剤に配合することができる。本発明の組成物および用剤においては、上記の様々な形態のカカオポリフェノールを単独あるいは組み合わせて使用することができる。
本発明において、カカオポリフェノールの原料や、カカオポリフェノールを含有する加工品となりうるカカオの植物体またはその加工品としては、カカオ樹皮、カカオ葉、カカオ豆、カカオシェル、カカオマス、脱脂カカオマス、ココアパウダー等、植物体の各種部位またはカカオ豆加工品を挙げることができる。カカオマスは、カカオ豆を磨砕したものであり、脱脂カカオマスは、カカオマスから油脂を除去することにより得ることができる。油脂の除去方法は特に制限されず、圧搾等の公知の方法に従って行うことができる。脱脂カカオマスを粉砕すればココアパウダーとなる。また、カカオの植物体またはその加工品を原料としてカカオポリフェノールの抽出を行う場合は、抽出効率の観点から、磨砕、粉砕等の微粒化処理が施されているカカオマスやココアパウダーを用いるのが好ましい。なお、本発明においては、カカオの植物体には、意図してないしは意図せずに、カカオの植物体以外の物も含めることができる。また、カカオの植物体またはその加工品を原料として抽出を行う際にも、意図してないしは意図せずに、カカオの植物体以外の物も含めることができる。さらに、カカオマスまたはココアパウダーにも、意図してないしは意図せずに、カカオの植物体以外の物も含めることができる。
カカオの植物体またはその加工品を原料とするカカオポリフェノールの抽出方法は公知であり、例えば、特開2009−183229号公報や特開2011−93807号公報の記載に従ってカカオポリフェノール含有組成物を調製することができる。抽出溶媒は、特に限定されるものではないが、水またはエタノール等のアルコールを用いることが好ましい。また、カカオの植物体またはその加工品を原料とするカカオポリフェノールの精製方法は、合成吸着剤、イオン交換樹脂、限外ろ過、活性白土処理等の公知の方法を使用することができ、特に限定されるものではない。
本発明において総ポリフェノール量は、プルシアンブルー法により測定することができる。例えば、Martin L. Price and Larry G. Butler, J. Agric Food Chem., Vol. 25, No.6, 1268-1273,1977に記載の方法に従い、市販のエピカテキンを標準物質として算出することができる。また、カカオポリフェノールの各成分の含量は市販のエピカテキンを標準物質として用いて、高速液体クロマトグラフィ法(HPLC法)により測定することができる。
カカオポリフェノールを効率よく投与ないし摂取させるためには、カカオポリフェノールを高濃度で含む組成物を本発明に用いることが好ましく、この場合には、公知の方法(例えば、特開2009−183229号公報に記載の方法)に従って得られたカカオポリフェノール濃縮組成物を本発明に使用することができる。例えば、カカオポリフェノール抽出物を本発明の組成物および用剤に使用する場合、総ポリフェノール量が40%以上含まれているものを用いることができ、好ましくは総ポリフェノール量が69.8%以上のものである。
本発明の組成物および用剤の有効成分である脂質は、カカオ由来の脂質を用いることができる。ここで、カカオ由来の脂質としては、カカオの植物体またはその加工品から抽出(粗抽出を含む)あるいは精製(粗精製を含む)したカカオ由来の脂質が挙げられ、典型的には、カカオマスやカカオ豆から脱脂して得られた脂質(すなわち、ココアバター)が挙げられる。本発明において、脂質の原料となりうるカカオの植物体またはその加工品としては、典型的には、カカオ豆およびカカオマスが挙げられる。
本発明において脂質の含有量は、例えば、平成29年9月1日付消食表第407号「「食品表示基準について」の一部改正について」の「別添栄養成分等の分析方法等」の2 脂質、(4)酸分解法の記載に従って測定することができる。
本発明の組成物および用剤は、カカオポリフェノールおよび脂質のみで使用することができ、あるいは、他の成分と混合して使用することもできる。本発明の組成物をチョコレート等の油脂加工食品の形態で提供する場合には、油脂加工食品の製造に使用されている成分(例えば、糖質、甘味料、乳原料、乳化剤、香料、着色料等)を他の成分として配合することができる。本発明においては、本発明の用剤をカカオポリフェノールおよび脂質からなるものとし、本発明の組成物をカカオポリフェノールおよび脂質と他の成分とを含んでなるものとすることができる。
本発明の組成物および用剤におけるカカオポリフェノールの配合量は、その目的、用途、形態、剤型、症状、体重等に応じて任意に定めることができ、本発明はこれに限定されないがその含量としては、総ポリフェノール含量として、固形分当たり、0.1〜99質量%の含量で配合することができ、好ましくは0.5〜70質量%の含量で配合することができ、より好ましくは0.8〜60質量%の含量で配合することができ、さらに好ましくは1〜50質量%の含量で配合することができ、特に好ましくは2〜5質量%の含量で配合することができる。本発明の組成物および用剤における脂質の配合量は、その目的、用途、形態、剤型、症状、体重等に応じて任意に定めることができ、本発明はこれに限定されないが、その含量としては、全体量に対して、1〜99.9質量%の含量で配合することができ、好ましくは10〜80質量%の含量で配合することができ、より好ましくは25〜70質量%の含量で配合することができ、さらに好ましくは30〜60質量%の含量で配合することができる。
本発明の組成物および用剤の好ましい形態では、カカオポリフェノールをカカオマスとして配合し、脂質をココアバターとして配合してもよい。すなわち、本発明によれば、カカオマスおよびココアバターを有効成分として含んでなる、食後の血糖値上昇抑制用組成物および食後の血糖値上昇抑制剤が提供され、好ましくは、油脂加工食品(特に、チョコレート)の形態で提供することができる。
上記の場合、本発明の組成物および用剤におけるカカオマスの配合量は、全体量に対して、1〜99質量%の含量で配合することができ、好ましくは15〜98質量%の含量で配合することができ、さらに好ましくは60〜97質量%の含量で配合することができる。また、本発明の組成物および用剤におけるココアバターの配合量は、全体量に対して、0.5〜20質量%の含量で配合することができ、さらに好ましくは2〜5質量%の含量で配合することができる。本発明の組成物および用剤に含まれるカカオマスとココアバターの質量比(カカオマス:ココアバター)は、例えば、1〜99:1とすることができ、好ましくは15〜98:1であり、さらに好ましくは30〜20:1である。
本発明の組成物および用剤に配合できるカカオマスは、カカオポリフェノールおよび脂質を含有する限り、特に限定されるものではないが、総ポリフェノール量が1%以上(好ましくは1.5%以上、より好ましくは2%以上)のものとすることができ、また、脂質の含有量が40%以上(好ましくは50%以上)のものとすることができる。
後記実施例に示される通り、カカオポリフェノールおよび脂質の組み合わせと、該組み合わせを含む組成物は、食後の血糖値上昇を抑制した。従って、本発明によれば、カカオポリフェノール(あるいはカカオポリフェノールを含む食品素材)および脂質(あるいは脂質を含む食品素材)を、食後の血糖値上昇抑制に用いることができる。ここで、「食後の血糖値上昇」とは、食後30分から120分後の血糖値(mg/dL)が、食前の血糖値を上回ることをいう。また本発明において「食後の血糖値上昇」は、血糖値スパイク等の食後の高血糖を含む意味で用いられるものとする。また、「食後の血糖値上昇抑制」は、前述の食後の血糖値上昇を緩やかにすることをいい、コントロール群に対して急激な上昇を緩やかにした場合に、食後の血糖値上昇を抑制したと判定することができる。
後記実施例に示される通り、カカオポリフェノールおよび脂質の組み合わせを含む食品組成物は、全被験者と、境界型糖尿病の被験者において食後の血糖値上昇を抑制した。従って、本発明の組成物および用剤は、健常者および境界型糖尿病の者(「軽度耐糖能異常」の者、「糖尿病予備軍」の者および「正常型にも糖尿病型にも属さない境界型」の者を含む)を摂取対象または投与対象とすることができる。境界型糖尿病に該当するかは、後記例6に記載された選別基準に従って判断することができる。
食後の血糖値上昇(特に血糖値スパイク)は、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞等の疾患および状態の原因となりうることが示されている(山岸昌一ら, 血管医学 9, 292-297 (2008)、岡田洋右, Life Style Medicine 8,14-20 (2014))。従って、本発明の別の面によれば、カカオポリフェノール(あるいはカカオポリフェノールを含む食品素材)および脂質(あるいは脂質を含む食品素材)を、食後の血糖値上昇に起因する疾患および状態(例えば、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、皮膚や血管の糖化)の発症および/または進展のリスク低減に用いることができる。すなわち、本発明の組成物および用剤は、食後の血糖値上昇に起因する疾患の発症および/または進展のリスク低減に用いることができる。
本発明の組成物および用剤は、医薬品(例えば、医薬組成物)、医薬部外品、飲食品(例えば、食品組成物)、飼料等の形態で提供することができ、後記の記載に従い、実施することができる。
本発明の有効成分であるカカオポリフェノールおよび脂質は、ヒトおよび非ヒト動物に経口投与することができる。経口剤としては、顆粒剤、散剤、錠剤(糖衣錠を含む)、丸剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤が挙げられる。これらの製剤は、当分野で通常行われている手法により、薬学上許容される担体を用いて製剤化することができる。薬学上許容される担体としては、賦形剤、結合剤、希釈剤、添加剤、香料、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等が挙げられる。
本発明の有効成分であるカカオポリフェノールおよび脂質は、本発明の組成物および用剤の形状に応じて、経口投与以外の投与経路(例えば、経管投与、経鼻管投与、経腸等)でヒトおよび非ヒト動物に投与することができる。例えば、本発明の組成物および用剤を、カカオポリフェノールおよび脂質を含む粘性を有する液状の組成物、あるいは、カカオポリフェノールおよび脂質を含む半固形状の組成物とすることで、咀嚼や嚥下の機能が低下し、経口摂取ないしは経口投与ができないヒトおよび非ヒト動物に対しても投与することができる。本発明の組成物および用剤を経口以外の経路で摂取させるか、或いは投与することにより、咀嚼や嚥下の機能が加齢等により低下したとしても、これらのヒトおよび非ヒト動物に対する治療、予防および改善効果が期待できる。
本発明の有効成分であるカカオポリフェノールおよび脂質は、ヒトおよび非ヒト動物に経口摂取させることができる。カカオポリフェノールおよび脂質を経口摂取させる場合には、これらは単離、精製または粗精製された形態のものであっても、これらを含む食品あるいは食品の原料の形態であってもよい。また、カカオポリフェノールおよび脂質は、ヒトおよび非ヒト動物に経口摂取させるにあたり、常温の状態、温かい状態、冷たい状態等から任意に選択することができる。例えば、チョコレートのような、カカオポリフェノールと脂質を含む半固形状の組成物とすることで、咀嚼や嚥下の機能が低下し、経口摂取ないしは経口投与ができないヒトおよび非ヒト動物に対しても摂取させることができる。
本発明の有効成分であるカカオポリフェノールおよび脂質を食品として提供する場合には、カカオポリフェノールおよび脂質をそのまま食品に含有させることができ、該食品はカカオポリフェノールおよび脂質を有効量含有した食品である。ここで、カカオポリフェノールおよび脂質を「有効量含有した」とは、個々の食品において通常喫食される量を摂取した場合に後述するような範囲でカカオポリフェノールおよび脂質が摂取されるような含有量をいう。また「食品」とは、健康食品、機能性食品、保健機能食品(例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)、特別用途食品(例えば、幼児用食品、妊産婦用食品、病者用食品)を含む意味で用いられる。
「食品」の形態は特に限定されるものではなく、例えば、飲料の形態であっても、半液体やゲル状の形態であっても、固形状の形態であってもよい。例えば、チョコレートのような、カカオポリフェノールと脂質を含む半固形状の組成物とすることで、咀嚼や嚥下の機能が低下し、経口摂取ないしは経口投与ができないヒトおよび非ヒト動物に対しても摂取させることができる。
本発明の有効成分であるカカオポリフェノールおよび脂質は、食後の血糖値上昇抑制効果を有するため、日常摂取する食品や、サプリメントとして摂取する食品に含有させて提供することができる。本発明で提供される食品としては、その形態や形状に特に制限はないが、好ましくは、カカオ豆を主原料とする食品が挙げられ、より好ましくは、油脂加工組成物であり、より一層好ましくはチョコレート等の油脂加工食品である。例えば、チョコレートのような、カカオポリフェノールおよび脂質を含む半固形状の組成物とすることで、咀嚼や嚥下の機能が低下し、経口摂取ないしは経口投与ができないヒトおよび非ヒト動物に対しても摂取させることができる。
前記の通り、カカオポリフェノールを効率よく摂取させるためにはカカオポリフェノールを高濃度で含む組成物を本発明に使用することができる。従って、カカオ豆を主原料とする食品およびサプリメントは、例えば、カカオポリフェノールを高濃度で含むものであることが好ましく、より好ましくはカカオポリフェノールを高濃度で含む油脂加工組成物であり、より一層好ましくはカカオポリフェノールを高濃度で含むチョコレートである。カカオポリフェノールを高濃度で含む油脂加工組成物(特に、チョコレート)は、カカオポリフェノール含有量が高いカカオ由来原料(例えば、カカオマス、脱脂カカオマス、ココアパウダー、カカオ豆粉砕品)および/またはカカオポリフェノール抽出物を原料として使用することにより製造することができる。本発明においては、カカオポリフェノールを高濃度で含有する、いわゆる高カカオチョコレートを本発明の組成物および用剤として用いることができ、この場合の高カカオチョコレートは、例えば、総ポリフェノール量が0.5%以上(好ましくは2%以上)であり、かつ、カカオ分が55%以上(好ましくは70%以上)であるものである。
ここで、食品およびサプリメント中のカカオポリフェノールの含有量はカカオポリフェノールの摂取が可能である限り特に限定されるものではないが、カカオポリフェノールの効率的な摂取の観点から、チョコレート等の油脂加工組成物中の含有量は組成物の固形分当たり、例えば、総ポリフェノール量として0.1〜99質量%とすることができ、好ましくは0.5〜70質量%とすることができ、より好ましくは0.8〜60質量%、さらに好ましくは1〜50質量%とすることができ、特に好ましくは2〜5質量%の含量で配合することができる。また、食品およびサプリメント中の脂質(特にカカオ由来の脂質)の含有量は、脂質の摂取が可能である限り特に限定されるものではないが、脂質の効率的な摂取の観点から、チョコレート等の油脂加工組成物中の含有量は組成物の固形分当たり、例えば、1〜99.9質量%とすることができ、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは25〜70質量%、さらに好ましくは30〜60質量%である。
本発明で提供される食品としては、チョコレートのようにカカオ豆を主原料とする食品等の油脂加工食品が挙げられる。ここで、油脂加工食品は、カカオマス、ココアパウダー、ココアバター、油脂等を使用して加工した油脂性菓子を含む意味で用いられる。本発明でいう油脂性菓子とは、日本国公正取引委員会認定のルールであるチョコレート類の表示に関する公正競争規約でいうチョコレート、準チョコレート、チョコレート製品に限定されるものでなく、前記ルールに該当しないテンパータイプ、ノンテンパータイプのファットクリームや、カカオ代用脂を使用したチョコレート等、あらゆる種類の油脂性菓子を含む意味で用いられる。本発明において、油脂性菓子の調製は、カカオポリフェノール(あるいはカカオポリフェノールを含む食品素材)および脂質(あるいは脂質を含む食品素材)を配合すること以外は、常法に従って行うことができる。例えば、油脂性菓子の原料を混合した後、ロールミルによるレファイニング(微細化)工程、コンチング工程、必要に応じてテンパリング工程、成型工程、エージング工程等を経て本発明の油脂性菓子を製造することができる。
本発明で提供される食品は、有効成分であるカカオポリフェノール(あるいはカカオポリフェノールを含む食品素材)および脂質(あるいは脂質を含む食品素材)を含有させることができる食品であれば、油脂加工食品に特に限定されない。例えば、パン類、ビスケット類、麺類、クラッカー、栄養補給バー等の澱粉系食品;キャンディー類、ガム類、グミ、スナック等の各種菓子類;牛乳、加工乳、アイスクリーム類、発酵乳(ヨーグルト等)、乳飲料、チーズ類、バター類、クリーム類等の乳および乳製品;プリン、ゼリー、ババロア、ムース等のデザート類;非アルコール飲料、アルコール飲料等の飲料類;ハム、ソーセージ等の畜肉加工品;カマボコ、竹輪、魚肉ソーセージ等の魚肉加工品;ジャム、ピューレ等の果実加工品;ルウ、ソース等の調味料類等が挙げられる。カカオポリフェノールおよび脂質は、各食品の特性、目的に応じ、適当な製造工程の段階で適宜配合することができる。
本発明の医薬品および食品は、食品として古くから重用されていたカカオ豆に含まれるポリフェノールと脂質を利用することから、それを必要とする哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等)に対し安全に用いることができる。カカオポリフェノールと脂質の投与量または摂取量は、受容者の性別、年齢および体重、症状、投与時間、剤形、投与経路並びに組み合わせる薬剤等に依存して決定できる。
例えば、カカオポリフェノールおよび脂質(特にカカオ由来の脂質)を医薬として経口投与する場合、成人1日当たり、カカオポリフェノールを10〜2000mg(好ましくは25〜1800mg、より好ましくは100〜1500mg、さらに好ましくは125〜1100mg、特に好ましくは500〜1000mg)の範囲となるようにし、脂質を0.5〜30g(好ましくは1〜25g、より好ましくは2〜20g、さらに好ましくは8〜12g)の範囲となるようにして、投与することができる。また、カカオポリフェノールおよび脂質はカカオマスおよびココアバターの形態で経口投与してもよく、この場合、成人一日当たり、カカオマス5〜30g(好ましくは10〜25g)の範囲となるようにし、ココアバターを0〜12g(好ましくは0.1〜10g)の範囲となるようにして投与することができる。カカオポリフェノールと脂質は組み合わせの形態(例えば、混合物)あるいは別々の形態で同時投与しても、別々の形態で逐次投与してもよい。逐次投与するときはどちらを先に投与してもよい。カカオポリフェノールと脂質を組み合わせて投与する場合には、チョコレート等の油脂加工食品を経口投与してもよく、カカオ分70%以上で、かつ、総ポリフェノール量2%以上の高カカオチョコレートを経口投与する場合には、成人1日当たり4〜40g(好ましくは20〜30g)を投与することができる。
また、例えば、カカオポリフェノールおよび脂質(特にカカオ由来の脂質)を食品として経口摂取させる場合、成人1日当たり、カカオポリフェノールを10〜2000mg(好ましくは25〜1800mg、より好ましくは100〜1500mg、さらに好ましくは125〜1100mg、特に好ましくは500〜1000mg)の範囲となるようにし、脂質を0.5〜30g(好ましくは1〜25g、より好ましくは2〜20g、さらに好ましくは8〜12g)の範囲となるようにして、摂取させることができる。また、カカオポリフェノールおよび脂質はカカオマスおよびココアバターの形態で経口摂取させてもよく、この場合、成人一日当たり、カカオマス5〜30g(好ましくは10〜25g)の範囲となるようにし、ココアバターを0〜12g(好ましくは0.1〜10g)の範囲となるようにして摂取させることができる。カカオポリフェノールと脂質は組み合わせの形態(例えば、混合物)あるいは別々の形態で同時に摂取させても、別々の形態で逐次的に摂取させてもよい。逐次摂取させるときはどちらを先に摂取させてもよい。カカオポリフェノールと脂質を組み合わせて摂取させる場合には、チョコレート等の油脂加工食品を経口摂取させてもよく、カカオ分70%以上で、かつ、総ポリフェノール量2%以上の高カカオチョコレートを経口摂取させる場合には、成人1日当たり4〜40g(好ましくは20〜30g)を摂取させることができる。
本発明においては、カカオポリフェノールおよび脂質は、食後の血糖値上昇抑制を効果的に発揮するために、食前または食事と同時に摂取させるか、あるいは、投与することが好ましく、食事の0〜6時間前の投与または摂取がより好ましく、15分前〜4時間前がさらに好ましい。
本発明の組成物および用剤は、他の経口摂取できる組成物や用剤と併用することに、制限はない。例えば、食後の血糖値上昇の抑制や、食後の血糖値上昇に起因する疾患の発症および/または進展のリスク低減が期待できる素材や組成物と併用することで、食後の血糖値上昇の抑制効果や、食後の血糖値上昇に起因する疾患の発症および/または進展のリスク低減効果をさらに高めることができる。
本発明の組成物および用剤は、食後の血糖値上昇の抑制に有効な1日分または2日分の摂取量のカカオポリフェノールおよび脂質を含んでなる組成物で提供することができる。この場合、本発明の組成物および用剤は、1日分または2日分の有効摂取量を摂取できるように包装されていてもよく、1日分または2日分の有効摂取量が摂取できる限り、包装形態は一包装であっても、複数包装であってもよい。包装形態で提供する場合、1日分または2日分の有効摂取量が摂取できるように摂取量に関する記載が包装になされているか、または当該記載がなされた文書を一緒に提供することが望ましい。また、1日分または2日分の有効摂取量を複数包装で提供する場合には、摂取の便宜上、1日分または2日分の有効摂取量の複数包装をセットで提供することもできる。
本発明の組成物および用剤を提供するための包装形態は一定量を規定する形態であれば特に限定されず、例えば、包装紙、袋、ソフトバック、紙容器、缶、ボトル、カプセル等の収容可能な容器等が挙げられる。
本発明の組成物および用剤はその効果をよりよく発揮させるために、投与および摂取期間は、好ましくは6週間以上の継続的な投与または摂取であり、より好ましくは6〜18週間の継続的な投与または摂取であり、特に好ましくは9〜15週間の継続的な投与または摂取である。ここで、「継続的に」とは、毎日投与あるいは2日に1回の投与を続けることを意味する。本発明の組成物および用剤を包装形態で提供する場合には、継続的摂取のために一定期間(例えば、1週間)の有効摂取量をセットで提供してもよい。
本発明の食品には、食後の血糖値上昇抑制作用を有する旨の表示が付されてもよい。この場合、消費者に理解しやすい表示とするため、本発明の食品には、例えば、以下の一部又は全部の表示が付されてもよい。
・食後の血糖値の上昇をおだやかにする
・食後の血糖値の急激な上昇をおだやかにする
・食後の血糖値の上昇を緩やかにする
・食後の血糖値の急激な上昇を緩やかにする
・食後血糖のピーク値を抑える
・血糖値や食後血糖値が気になる方に
・糖の吸収をおだやかにする
本発明の別の面によれば、有効量のカカオポリフェノールおよび脂質を、それを必要としている対象に摂取させるか、あるいは投与することを含んでなる、食後の血糖値上昇抑制方法が提供される。摂取または投与対象は、ヒトを含む哺乳動物であり、好ましくはヒトである。本発明の方法は、本発明の組成物および用剤に関する記載に従って実施することができる。
本発明のさらにまた別の面によれば、食後の血糖値上昇抑制用組成物の製造のための、食後の血糖値上昇抑制剤の製造のための、カカオポリフェノールおよび脂質の使用が提供される。本発明によればまた、食後の血糖値上昇抑制のための、食後の血糖値上昇抑制剤としての、カカオポリフェノールおよび脂質の使用が提供される。本発明の使用は、本発明の組成物および用剤に関する記載に従って実施することができる。
本発明のさらにまた別の面によれば、食後の血糖値上昇抑制に用いるためのカカオポリフェノールおよび脂質が提供される。上記のカカオポリフェノールおよび脂質は、本発明の組成物および用剤に関する記載に従って実施することができる。
本発明の使用および本発明の方法は、ヒトおよび非ヒト動物への使用のうち、治療的使用と非治療的使用のいずれもが意図される。ここで、「非治療的」とはヒトを手術、治療または診断する行為(すなわち、ヒトに対する医療行為)を含まないことを意味し、具体的には、医師または医師の指示を受けた者がヒトに対して手術、治療または診断を行う方法を含まないことを意味する。
以下の例に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、本明細書において「固形分」とは、水分を除いた成分を意味する。
例1:高カカオチョコレートおよびカカオマスとココアバターの混合物が糖負荷による血糖値の経時変化に与える影響
本例では、高カカオチョコレートおよびカカオマスとココアバターの混合物の単回投与が糖負荷による血糖値の経時変化に与える影響について調べた。
8〜9週齢の雄性SDラット(250〜280g)(日本エスエルシー社より入手)15匹を16時間絶食させ、体重および空腹時血糖値が等しくなるように群分けし、それぞれの群に下記の試験溶液を経口投与した。試験溶液は、各区サンプルを15mL/kg・体重となるよう水に溶かして投与した。
・コントロール群(n=5):水(15mL/kg・体重)
・高カカオチョコレート群(n=5):高カカオチョコレート(「チョコレート効果 CACAO72%」株式会社 明治製、以下同様)の水溶液(8.27固形分g/kg・体重、総ポリフェノール量として210mg/kg・体重、脂質として3.36g/kg・体重。)
・混合物群A(n=5):カカオマスとココアバターの混合物の水溶液(カカオマス5.30固形分g/kg・体重+ココアバター0.23固形分g/kg・体重を合計で5.53固形分g/kg・体重、総ポリフェノール量として154mg/kg・体重、脂質として3.15g/kg・体重。)
試験溶液の摂取15分後にグルコース溶液(1固形分g/kg・体重)経口投与による糖負荷試験を行った。グルコース溶液は、グルコースを5mL/kg・体重となるよう水に溶かして投与した。試験溶液投与前(−15分)、糖負荷前(0分)、糖負荷後15、30、60、90、120分に経時的な尾静脈採血により血液を採取し、速やかに血糖値測定機器(グルコカードダイアメーターGT−1641、アークレイ社製)により血糖値を測定した。
各群の血糖値の経時変化は図1に示される通りであった。高カカオチョコレート群および混合物群Aは、コントロール群と比較して、糖負荷によって誘導された血糖上昇が糖負荷後30分、60分後に有意に抑制された。
例2:カカオポリフェノールが糖負荷による血糖値の経時変化に与える影響
本例では、カカオポリフェノール抽出物の単回投与が糖負荷による血糖値の経時変化に与える影響について調べた。
混合物群Aを、カカオポリフェノール群とした以外は、例1と同様に試験を行った(但し、血糖値の測定は血糖値測定機器(アキュチェックアビバ、アークレイ社製)を用いて行った)。カカオポリフェノール群(n=8)には、Natsume et al., Biosci Biotechnol Biochem., 64, 2581-2587(2000)に記載された手順で調製した発酵カカオ豆抽出物であるCLPr(カカオポリフェノール含有量698mg/g)の水溶液(0.25固形分g/kg・体重、総ポリフェノール量として175mg/kg・体重、脂質として0g/kg・体重)を投与した。
各群の血糖値の経時変化は図2に示される通りであった。カカオポリフェノール群は、コントロール群と比較して、糖負荷によって誘導された血糖上昇が糖負荷後15分、30分後に有意に抑制され、高カカオチョコレート群は、コントロール群と比較して、血糖上昇が糖負荷後30分、60分後に有意に抑制された。
例3:高カカオチョコレートの経口投与のタイミングが糖負荷による血糖値の経時変化に与える影響
本例では、高カカオチョコレートの経口投与のタイミングが糖負荷による血糖値の経時変化に与える影響について調べた。
高カカオチョコレート群において、試験溶液投与のタイミングを変更したこと以外は、例2と同様に試験を行った。具体的には、高カカオポリフェノール群において、試験溶液の投与時間をグルコース溶液の経口投与前、60分(n=3)、30分(n=4)、15分(n=5)とした。
各投与タイミングの血糖値の経時変化は図3に示される通りであった。試験溶液の投与時間を、グルコース溶液の経口投与の60分前(60分前投与群)、30分前(30分前投与群)、15分前(15分前投与群)としたいずれの群においても、糖負荷によって誘導された血糖上昇が抑制された。
例4:高カカオチョコレートを構成する成分が糖負荷による血糖値の経時変化に与える影響
本例では、高カカオチョコレートを構成する各種成分が糖負荷による血糖値の経時変化に与える影響について調べた。
下記の試験溶液を投与したこと以外は、例2と同様に試験を行った。各処理区の投与量は、カカオポリフェノール量および脂質を同程度に揃えるように設定した。
・コントロール群(n=8):水(15mL/kg・体重)
・高カカオチョコレート群(n=9):高カカオチョコレートの水溶液(8.27固形分g/kg・体重、総ポリフェノール量として210.1mg/kg・体重、脂質として3.40g/kg・体重)
・混合物群B(n=9):カカオマスとココアバターと乳化剤の混合物の水溶液(カカオマス5.30固形分g/kg・体重、ココアバター0.23固形分g/kg・体重、乳化剤0.06固形分g/kg・体重、計5.59固形分g/kg・体重、総ポリフェノール量として154mg/kg・体重、脂質として3.15g/kg・体重)
・混合物群C(n=8):脱脂カカオマスと乳化剤の混合物の水溶液(脱脂カカオマス2.44固形分g/kg・体重、乳化剤0.06固形分g/kg・体重、計2.50固形分g/kg・体重、総ポリフェノール量として154mg/kg・体重、脂質として0.06g/kg・体重)
・混合物群D(n=7):ココアバターと乳化剤の混合物の水溶液(ココアバター3.09固形分g/kg・体重、乳化剤0.06固形分g/kg・体重、計3.15固形分g/kg・体重、総ポリフェノール量として0mg/kg・体重、脂質として3.15g/kg・体重)
・乳化剤群(n=8):乳化剤の水溶液(0.06固形分g/kg・体重、総ポリフェノール量として0mg/kg・体重、脂質として0.06g/kg・体重)
上記のカカオマスおよびココアバターは常法によりカカオ豆から得た。脱脂カカオマスは、カカオマス100gにn−ヘキサン500mLを加えて振とう後、遠心分離し、n−ヘキサン層を除去する操作を3回繰り返した後、乾固してカカオマスの脱脂を行うことによって調製した。乳化剤はレシチンCL(Jオイルミルズ社製)を用いた。乳化剤の含有量は、平成29年9月1日付消食表第407号「「食品表示基準について」の一部改正について」の「別添栄養成分等の分析方法等」の2 脂質、(4)酸分解法の記載に従って、脂質として測定した。
各群の血糖値の経時変化は図4に示される通りであった。混合物群Cと乳化剤群では、糖負荷によって誘導された血糖上昇の抑制効果が認められなかった。一方で、混合物群Bは、コントロール群と比較して、糖負荷によって誘導された血糖上昇が糖負荷後30分後に有意に抑制され、混合物群Dも、コントロール群と比較して、血糖上昇が糖負荷後30分後に有意に抑制された。
例5:高カカオチョコレートが糖負荷による血糖値の経時変化に与える影響
本例では、ヒトにおける高カカオチョコレートの単回投与が糖負荷による血糖値の経時変化に与える影響について調べた。
被験者の除外基準に該当しない、20歳以上60歳以下の成人男女51名を、年齢、性別が均等になるように2群に分け、2期クロスオーバー比較試験を実施した。試験中の中止者と、試験中に除外者に該当することが判明した者を除く48名を有効性解析対象者とした。被験者の除外基準は、スクリーニング2回目にHbA1cが6.5%以上の者、空腹時グルコースが126mg/dl以上の者、カカオ製品を日常的に多量(高カカオチョコレート70g以上/週、ミルクチョコレート140g以上/週)に摂取している者、当試験結果に影響する可能性がある医薬品(血糖降下薬など)を日常において服用している者、または試験期間中に服用する予定のある者、および試験責任者および試験分担医師が被験者として不適当と判断した者、とした。なお、本例および例6における臨床試験はヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則および人を対象とする医学系研究に関する倫理指針に従って行った。
各群の被験食品は、以下の通りとした。
・コントロール群(n=48)は、水(150mL)とした。
・高カカオチョコレート群(n=48)は、高カカオチョコレート(25g)および水(150mL)とした。具体的には、高カカオチョコレート(「チョコレート効果 CACAO72%」株式会社 明治製、以下同様)25gを摂取させて、次いで、口の中のべたつきをなくすために水150mLを摂取させた。各群において、被験食品を5分以内に全て摂取させた。
被験食品の摂取開始から15分後に、経口糖忍容力試験用糖質液(トレーラン(商標名)G液50g、エイワイファーマ社製)1瓶(150mL)を摂取させて、糖負荷試験を行った。次いで、口の中のべたつきをなくすために水50mLを摂取させた。各群において、糖質液および水を5分以内に全て摂取させた。被験食品摂取前、糖負荷前(0分)および糖負荷後30、60、120、180分に経時的に上腕部より静脈血を採取し、血糖値を測定した。測定した0分の血糖値に対して、糖負荷後30、60、120、180分の血糖値変化量を算出し、ΔAUC(糖負荷前(0分)と各測定時間(30、60、120、180分)の血糖値の変化量のAUC)を算出した。
結果は表1および表2に示される通りであった。
Figure 2019180399
Figure 2019180399
高カカオチョコレート群では、コントロール群と比較して、糖負荷によって誘導された血糖上昇が糖負荷後120分後に有意に抑制された。また、高カカオチョコレート群では、コントロール群と比較して、糖負荷前(0分)に対する血糖値のΔAUCは0〜180分において有意に抑制された。
例6:境界型糖尿病の被験者における高カカオチョコレートが糖負荷による血糖値の経時変化に与える影響
本例では、境界型糖尿病の被験者に対する高カカオチョコレートの単回投与が糖負荷による血糖値の経時変化に与える影響について調べた。
被験者として、耐糖能が低下した境界型糖尿病(「軽度耐糖能異常」、「糖尿病予備軍」あるいは「正常型にも糖尿病型にも属さない境界型」とも呼ばれる)を選別した。選別にあたっては、下記の(A)正常型基準と(B)糖尿病型基準のいずれにも該当しない者を境界型糖尿病の者とした。なお、糖負荷試験は、例5に記載の方法に従って行った。
(A)正常型基準
(ア)空腹時血糖値が100mg/dL以下
(イ)糖負荷後60分の血糖値が140mg/dL以下
(ウ)糖負荷後120分の血糖値が100mg/dL以下
(B)糖尿病型基準
(エ)糖負荷後60分の血糖値が160mg/dL以上
(オ)糖負荷後120分の血糖値が130mg/dL以上
上記の(A)正常型基準と(B)糖尿病型基準の両方を満たさない境界型糖尿病の28名を被験者としたこと以外は、例5と同様に試験を行い、層別解析を行った。被験食品(高カカオチョコレート)摂取時および非摂取時の被験者について、被験食品摂取前、糖負荷前(0分)および糖負荷後30、60、120、180分の血糖値の平均値を算出した。
結果は表3に示される通りであった。
Figure 2019180399
境界型糖尿病の被験者を対象として解析した結果、高カカオチョコレート摂取時では、非摂取時と比較して、糖負荷によって誘導された血糖上昇が糖負荷後120分において有意に抑制された。

Claims (11)

  1. カカオポリフェノールおよび脂質を有効成分として含んでなる、食後の血糖値上昇抑制用組成物。
  2. 脂質が、カカオ由来の脂質である、請求項1に記載の組成物。
  3. カカオ由来の脂質が、カカオマスの脂質を含む、請求項2に記載の組成物。
  4. カカオマスおよびココアバターを有効成分として含んでなる、食後の血糖値上昇抑制用組成物。
  5. 油脂加工食品である、請求項4に記載の組成物。
  6. チョコレートである、請求項4または5に記載の組成物。
  7. 食後の血糖値上昇に起因する疾患および状態の発症および/または進展のリスク低減に用いるための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 単回摂取または投与用の包装形態である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. カカオポリフェノールと脂質とを対象に摂取させるか、あるいは、投与する工程を含んでなる、食後の血糖値上昇抑制方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
  10. カカオポリフェノールと脂質とを食前に摂取させるか、あるいは、投与する、請求項9に記載の方法。
  11. 脂質が、カカオ由来の脂質である、請求項9または10に記載の方法。
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