JP4717413B2 - 脂質代謝改善用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、脂質代謝改善効果を有する組成物及び飲食品、並びに抽出物に関する。
脂肪は本来、三大栄養素の一つとして、身体に必要不可欠なものである。然しながら昨今の栄養事情から、現在ではその摂取が不足することよりも過剰であることによる悪影響が問題となっている。特に糖尿病を始めとする生活習慣病と呼ばれる疾患の多くは、この脂肪摂取過多による「肥満」が関与しているといわれている。厚生労働省の平成13年度の国民栄養調査によれば、現在30歳以上の男性の3人に一人、また50歳以上の女性の4人に一人が、BMI(Body Mass Index:身長あたりの体重指数)25以上の肥満であるといわれている。
このような状況下では抗肥満の研究が実に盛んであり、またバリエーションに富んでいる。例えば、油脂そのものが吸収されにくい油脂代替物として、製品名「エコナ」に代表されるジアシルグリセロール(特許文献1)などが開発されている。また食事時に摂取する油脂類を物理的に吸着することにより体内に取り込まれないようにするものとして、例えば脱脂カカオマス(特許文献2)やキトサン(特許文献3)等が挙げられる。さらには、消化管のリパーゼの働きを阻害することにより、やはり脂肪の吸収を阻止するリパーゼ阻害物質(特許文献4)等が挙げられる。これらは、食事と一緒に摂取することが前提であり、その時に摂取する脂肪の吸収を阻害することが第一の目的である。
一方、既に体内に蓄積されている脂肪を減少させるために、脂肪の代謝経路を活性化し、余剰な脂肪を燃焼させるのに有効な物質として、カフェインがよく知られているが、カフェインは副作用として肝臓障害を起こすことが知られている。またカプサイシンや茶葉カテキン(特許文献5)なども知られているが、いずれも味覚に辛味や苦味があり、摂取において制限がある。
更に調べれば、果実ポリフェノールを有効成分とする生体内脂質代謝制御剤(特許文献6)やハス植物のエキス等から成る熱産生交感神経活性化剤(特許文献7)などが提案されているが、いずれも実用化には至っていない。
一方、マタタビ科に属する植物については、マタタビの抗炎症効果(非特許文献1)や、キウイの血栓抑制効果(特許文献8)、マタタビエキスを含有する清涼飲料物(特許文献9)、キウイ果実エキス溶液又はその濃縮エキス(特許文献10)等が知られている。
また、下記非特許文献2には、キウィの果皮を除いた果肉をホモジナイズした後、遠心分離して得られる上澄み(100%果汁)に、水酸化ナトリウムを加えてpHを調製した果汁が、血中のトリグリセリド(中性脂肪)を低減させる効果を有することが記載されている。
しかしながら、これらの植物の果皮抽出物による脂質代謝の改善効果は知られていない。
特開2001−064671号公報 特開平06−321796号公報 特開2004−065191号公報 特開2001−097880号公報 特開2002−326932号公報 特開平10−330278号公報 特開2004−115440号公報 特開2003−171294号公報 特開平02−174659号公報 特開平02−202808号公報 Anti-inflammation activity of Actinidia polygama、Kim YK, Kang HJ, Lee KT, Choi JG, Chung SH.、Arch. Pharm. Res.Vol.26(No.12) p1061-1066, 2003年 Platelets,(August 2004), 第15巻、5号、p287−292、特に287頁15行、288頁左欄11〜18行
本発明は、体内における脂肪の蓄積、特に過剰な脂肪の蓄積を減少させるのに有効な組成物および飲食品を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、キウイフルーツの果皮の抽出物からなる脂質代謝改善用組成物を提供する。
前記抽出物は、水系溶媒で抽出した抽出物であることをましい態様としている。
本発明によれば、体内における脂肪の蓄積、特に過剰な脂肪の蓄積を減少させる効果を有する抽出物、組成物および飲食品、ならびに抽出物が得られるという効果を有する。
また、従来産業廃棄物として廃棄されていたマタタビ科の植物(例えばキウイフルーツ)の果皮(果実から剥皮した果皮)を有効利用でき、ゴミの削減にもつながるという産業上の有用性も得られる。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で変更することができる。
<抽出物>
本発明では、マタタビ科に属する植物の果皮の抽出物が用いられる。
マタタビ科に属する植物としては、マタタビ、キウイフルーツ、サルナシ、シナサルナシ、ナシカズラ等が例示される。中でもキウイフルーツ(以下、単にキウイということもある。)が好ましい。
抽出物を得るために用いる果皮としては、植物の果実(果皮+果肉)から、果皮質量が果実全体の質量の25%以下、特に20%以下となるように、果肉を取り除いた果皮であることが好ましい。
果皮部分を抽出処理して得られる抽出物(「果皮の抽出物」)は、果肉の抽出物に比べて、糖度(Brix)が少ないという利点を有する。
本発明において「果皮の抽出物」の糖度は、果皮部分にその質量と同量の水を添加して抽出した抽出液として測定した場合に、7.5%以下であることが好ましい。「果皮の抽出物」の糖度の下限値は特に制限されないが、一般的には2%程度である。「果皮の抽出物」の糖度のより好ましい範囲は3〜7%程度である。
ここで、一般に糖度の目安として用いられる糖度計は、サンプル(水溶液)中に含まれる可溶性固形物(糖を始めとして、塩類、蛋白質、酸など水に溶ける物質すべて)の光の屈折率または旋光性を測定したものであって、本発明においても、市販の糖度計(Brix計:例えば、ATAGO社製、Refractometer RX-5000)を使用して、「果皮の抽出物」の糖度を測定することができる。
また、本発明における「果皮の抽出物」は、褐色〜淡褐色のほぼ清澄な液体であって、この液体のpHは2〜5の酸性を呈する。
さらに、本発明における「果皮の抽出物」に含まれる蛋白質濃度は、ウシ血清アルブミン(BSA)を標準品として、ブラッドフォード(Bradford)法やローリー(Lowry)法等の一般的に用いられるタンパク定量法により測定することが可能であって、本発明においては20〜500μg/mlが好ましく、50〜300μg/mlであることが特に好ましい。
本発明における「果皮の抽出物」は、後述の試験例に記載の方法で組成分析を行って得られる結果において、脂肪が0.1%以下、灰分が0.1〜0.3%程度、水分が92〜98%程度、炭水化物が1〜7%程度であることが好ましい。
抽出物を調製する際の抽出処理方法は、特に制限されないが、抽出溶媒としては、水系溶媒又は有機溶媒のいずれも使用することができる。抽出処理に用いる水系溶媒としては、水、熱水等が例示され、有機溶媒としては、エタノール等のアルコールを例示することができる。尚、抽出方法における簡便性や抽出効率、入手が容易である等の点で、水又は熱水等の水系溶媒を使用することが好ましい。尚、抽出処理に使用する水系溶媒の温度は20〜60℃であることが好ましい。
抽出処理方法は、公知の手法を適宜用いることができるが、例えば以下の手順で行うことができる。
まず、抽出処理に供される原料としての植物の果皮と抽出溶媒とを混合し、均質化する。これにより果皮に含まれる成分を抽出溶媒に溶解させる。原料として用いる果皮の状態は特に制限されず、例えば果皮を適宜の大きさに切ったものを使用することができる。
次いで、遠心分離等の分離手段により固液分離を行い、上清画分を抽出液として得る。
さらに、用いた植物の果実全体又は果肉に消化酵素が含有されている場合は、消化酵素を失活させる処理(加熱処理または酸処理)を施すことが好ましい。特にキウィに含まれる消化酵素(例えば、アクチニジン等)にはアレルゲン性を有するものがあることが知られており[ジャーナル・オブ・クリニカル・イムノロジー(Journal of Clinical Immunology)、第101巻、第4号、1998年、p.531−537]、このアレルゲンを低減させることによって、アレルゲン性が低減された抽出物が得られる。これにより、本発明にかかる飲食品および脂質代謝改善用組成物のアレルゲン性を低減させることができる。
前記酵素の失活処理は、具体的には、抽出液を酵素が失活する程度、又は酵素が熱変性する程度に加熱する処理を行うことが好ましい。例えば、キウイにはアクチニジンという消化酵素が含まれており、水系溶媒を用いて抽出した抽出液には、この酵素が含まれるので、該抽出液に100℃以上で20〜30分程度の加熱処理を施して酵素を失活させることが好ましい。また、オートクレーブ処理(121℃で20〜30分加圧加熱処理)にて加熱することも可能である。
こうして得られる抽出液を、本発明における抽出物として用いることができる。また得られた抽出液に対して、抽出成分に化学的変化を与えない範囲で適宜の加工を施したものを本発明における抽出物として用いることもできる。例えば、抽出液を凍結乾燥した粉末等の固形物も本発明における抽出物として用いることができる。保存安定性の点では、固形物の方が好ましい。
<脂質代謝改善用組成物>
本発明の脂質代謝改善用組成物は、上記植物の果皮の抽出物を含有する。該抽出物を、薬学的に許容され得る賦形剤その他任意の添加剤を用い、公知の方法によって製剤化したものも本発明の脂質代謝改善用組成物に含まれる。
本発明の脂質代謝改善用組成物の投与形態は、経口投与又は経腸投与等の非経口投与等の各種形態に適用することが可能である。
本発明の脂質代謝改善用組成物における前記抽出物の含有量は特に制限されないが、1日当たりに投与される組成物に含まれる前記抽出物中の固形分の量が1mg/kg体重以上であることが好ましく、10mg/kg体重以上がより好ましい。1日当たりに投与される該固形分の量が少なすぎると、本発明の効果が十分に得られない。
一方、前記抽出物は安全性が高く、投与量の上限はないが、例えば1日当たりに投与される組成物に含まれる前記抽出物中の固形分の量が10g/kg体重以下、より好ましくは1g/kg体重以下程度に設定される。
経口投与に適用される脂質代謝改善用組成物(以下、経口用組成物と記載することがある。)の例としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等が挙げられる。また、固体状に限らず、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、エリキシル剤等の各種液剤とすることもできる。
非経口投与に適用される脂質代謝改善用組成物としては、注射剤、坐剤等が挙げられる。
経口用組成物の場合、例えばデンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等の賦形剤を用いて常法に従って製造することができる。また前記賦形剤の他に、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、矯臭剤、着色剤、香料等を含有させることができる。
具体的には、結合剤として、デンプン、デキストリン、アラビアゴム、ゼラチン、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等が例示される。
崩壊剤としては、デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース等が例示される。
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート80等が例示される。
滑沢剤としては、タルク、ロウ類、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ポリエチレングリコール等が例示される。
流動性促進剤としては、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等が例示される。
<飲食品>
本発明の飲食品は、各種飲食品を製造する際に、上記抽出物を含有させることによって製造することができる。
本発明の飲食品における上記抽出物の含有量は特に制限されず、飲食品の風味を損なわない範囲で設定することが好ましい。飲食品の種類にもよるが、例えば、飲食品中における前記抽出物中の固形分の濃度が0.1〜15質量%程度、より好ましくは0.5〜10質量%程度に設定される。
また1日当たりに摂取される飲食品に含まれる前記抽出物中の固形分の量は特に制限されないが、その好ましい範囲は、上記した1日当たりに投与される脂質代謝改善用組成物に含まれる前記抽出物中の固形分の量の好ましい範囲と同様である。
本発明の飲食品の具体例としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸菌飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調製用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;加工乳、発酵乳等の乳製品;惣菜、パン類;経腸栄養食品、特定保健用食品、健康補助食品等の機能性食品等が挙げられる。
機能性食品の形態としては、タブレット状又は液状のサプリメントであることが、摂取量を簡便かつ正確に把握し易いという点で好ましい。
中でも、脂質の含有量が少ない飲食品が好ましく、脂質を含まない飲食品がより好ましい。また、体内において脂質として蓄積され得る蛋白質や糖質の含有量も少ない方が好ましい。例えば、茶類等の糖質を含まない清涼飲料や、成分を調整した機能性食品等が好ましい。
本発明の飲食品における用途としては、脂質代謝改善の効果を利用するような種々の用途をとることが可能である。例えば、血中中性脂肪や体脂肪が気になり始めた方に適した飲食品、食後の血中中性脂肪が上昇しにくく、体に脂肪がつきにくい飲食品、血中中性脂肪上昇や肥満に伴う糖尿病、動脈硬化、心筋梗塞、高脂血症、脂肪肝、高血圧症等の生活習慣病の危険要因の低減・除去に役立つ飲食品等の用途を例示することができる。
尚、本発明の飲食品において、「脂質代謝改善」とは、食事による脂肪の体内蓄積に起因して導かれる種々の健康への害を改善又は予防する事を意味しており、他の作用効果としては、脂肪肝の形成を抑制する効果、内臓脂肪蓄積を抑制する効果、皮下脂肪蓄積を抑制する効果、体重増加を抑制する効果、既に体内に蓄積された脂肪を減少させる効果、及び体重を減少させる効果等の少なくとも1つが得られる。
また前記作用効果は、「体脂肪抑制」、「体脂肪蓄積抑制」、「内臓脂肪蓄積抑制」、「皮下脂肪蓄積抑制」、「脂肪肝形成抑制」、「体脂肪上昇改善」、「内臓脂肪上昇改善」、「皮下脂肪上昇改善」、「体脂肪上昇予防」、「内臓脂肪蓄積予防」、「皮下脂肪蓄積予防」、「脂肪肝形成予防」、「抗肥満」等も、前記「脂質代謝改善」等と同様の意味として、本発明において例示することができる。
後述の試験例に示されるように、これらの効果は、摂取する食事が脂肪過多の場合のみに作用し、通常の食事をとっている限りはこのような作用は顕れない。すなわち、過剰に摂取された脂質に対してのみ代謝が改善される。したがって、副作用が非常に少ないと言える。
また、本発明の飲食品は、体脂肪蓄積や肥満により引き起こされる疾患等の治療又は予防に有用である。さらに、本発明の飲食品は、体脂肪蓄積や肥満に起因する種々の疾病・合併症等の治療又は予防、並びにこれら疾病・合併症等のリスクを低減することが可能である。
かかる体脂肪蓄積、肥満に起因する種々の疾病・合併症としては、糖尿病、動脈硬化、心筋梗塞、高脂血症、脂肪肝、高血圧症等を例示することができる。
本発明の飲食品は、脂質代謝を改善するためとの用途が表示された飲食品、例えば「脂質代謝改善用と表示された、脂質代謝改善組成物を含有する飲食品」、あるいは「脂質代謝改善用と表示された、植物抽出物を含有する飲食品」、等として販売することが好ましい。尚、本発明の化合物又は組成物は、脂質代謝改善作用を有することから、脂質代謝改善の表示には、血中中性脂肪上昇や肥満を抑制する意味も有すると考えられる。したがって、本発明の飲食品は、「体脂肪抑制用」、「体脂肪蓄積抑制用」、「内臓脂肪蓄積抑制用」、「皮下脂肪蓄積抑制用」、「脂肪肝形成抑制用」、「体脂肪上昇改善用」、「内臓脂肪上昇改善用」、「皮下脂肪上昇改善用」、「体脂肪上昇予防用」、「内臓脂肪蓄積予防用」、「皮下脂肪蓄積予防用」、「脂肪肝形成予防用」、「抗肥満用」等と表示することができる。すなわち、前記脂質代謝改善用の表示とは、このような「体脂肪抑制用」、「脂肪肝形成抑制用」、「抗肥満用」等の表示であってもよい。
なお、以上のような表示を行うために使用する文言は、「脂質代謝改善用」、又は「体脂肪抑制用」、「体脂肪蓄積抑制用」、「脂肪肝形成抑制用」、「抗肥満用」等という文言のみに限られるわけではなく、それ以外の文言であっても、脂質代謝を改善、脂肪肝の形成を抑制する効果、内臓脂肪蓄積を抑制する効果、皮下脂肪蓄積を抑制する効果、体重増加を抑制する効果、既に体内に蓄積された脂肪を減少させる効果、及び体重を減少させる効果を表す文言であれば、本発明の範囲に包含されることはいうまでもない。そのような文言としては、例えば、需要者に対して、脂質代謝を改善、体脂肪の蓄積を抑制、又は脂肪肝の形成を抑制、肥満を抑制する効果を認識させるような種々の用途に基づく表示も可能である。例えば、「体脂肪が気になり始めた方に適した」、「肥満を抑制して、糖尿病等の生活習慣病の危険要因(リスク)の低減・除去に役立つ」等の表示を例示することができる。
前記「表示」とは、需要者に対して上記用途を知らしめるための全ての行為を意味し、上記用途を想起・類推させうるような表示であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、すべて本発明の「表示」に該当する。しかしながら、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により表示することが好ましい。具体的には、本発明の飲食品に係る商品又は商品の包装に上記用途を記載する行為、商品又は商品の包装に上記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為、等が例示できる。
一方、表示としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示)であることが好ましく、特に包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等への表示が好ましい。
また、例えば、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、栄養機能食品、医薬用部外品等としての表示を例示することができ、その他厚生労働省によって認可される表示、例えば、特定保健用食品、これに類似する制度にて認可される表示を例示できる。後者の例としては、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク低減表示等を例示することができ、詳細にいえば、健康増進法施行規則(平成15年4月30日日本国厚生労働省令第86号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)、及びこれに類する表示が、典型的な例として列挙することが可能である。
従来、マタタビ科に属する植物は、漢方薬の原料として、その利尿、強壮、抗リウマチ、健胃効果が知られているが、脂質代謝改善効果は知られていなかった。特に果皮の成分の効果について、これまで着目されておらず、まして脂質代謝改善効果は知られていない。
してみると、本発明にかかるマタタビ科に属する植物の果皮の抽出物が脂肪代謝改善効果を有することは、従来技術からは予測できない、驚くべき知見である。
また本発明にかかる植物の果皮の抽出物は、植物由来のものであり、安全性が高い。
また、植物の実のジュース、ジャム、シロップ漬けなどを製造する際の加工工程で廃棄される果皮を有効に利用できるという利点も有する。また、果皮は果肉に比べて、体内において脂質として蓄積され得る成分(例えば糖質など)の含有量が少ない点でも好ましい。
キウイの果皮は、日本ではあまり食されないが、ニュージーランドやオーストラリアではリンゴと同じ感覚で皮ごと食されることも知られており、長い食経験から安全性が非常に高いことが明らかである。
また、キウイ果皮の抽出物は、無味(ただし、果肉に由来する若干の酸味と甘味は残る)であるため、経口投与または摂取し易く、飲食品へも添加し易い。
以下、本発明の実施例および試験例を示す。以下において、「%」は特に断りの無い限り「質量%」を表す。
[実施例1] 抽出物(抽出液)の調製例1
<果肉抽出液>
(1)福岡県産グリーンキウイ14個(質量の合計1341)を購入し、皮を除去した果肉部位をざくぎりにした。
(2)ざくぎりにした果肉部位の質量(1096g)と同質量の水(1096ml)を加え、何回かに分けてミキサー(ナショナル社製 MX-X43-P型)にて粉砕した。
(3)遠心機(日立社製70P-72型)にて超遠心を行い(30,000rpm×30分)、上清を採取した。
(4)得られた上清について、100℃の湯浴中で20分間加熱し、消化酵素であるアクチニジンを失活させ、果肉抽出液を得た。
<果皮抽出液1>
(1)福岡県産グリーンキウイ12個(質量の合計1146g)の皮(206.4g)に同質量の水(206.4ml)を加え、ミキサー(ナショナル社製 MX-X43-P型)にて粉砕した。
(2)遠心機(日立社製70P-72型)にて超遠心を行い(30,000rpm×30分)、上清を採取した。
(3)得られた上清について、100℃の湯浴中で20分間加熱し、消化酵素であるアクチニジンを失活させ、果皮抽出液1を得た。
<果皮抽出液2>
(1)ニュージーランド産グリーンキウイ40個(質量の合計2894g)の皮(492g)に質量が2倍強の水(1,200ml)を加え、ミキサー(ナショナル社製 MX-X43-P型)にて粉砕した。
(2)遠心機(日立社製70P-72型)にて超遠心を行い(30,000rpm×30分)、上清を採取した。
(3)得られた上清について、100℃の湯浴中で20分間加熱し、消化酵素であるアクチニジンを失活させ、果皮抽出液2を得た。
[実施例2] 抽出物(凍結乾燥粉末)の調製例2
<凍結乾燥粉末1>
実施例1で得られた果皮抽出液1について、その100mlを凍結乾燥機(EYELA社製 FDU-830)にて凍結乾燥し、6.7gの凍結乾燥粉末1を得た。
<凍結乾燥粉末2>
実施例1で得られた果皮抽出液2について、その200mlを凍結乾燥機(EYELA社製 FDU-830)にて凍結乾燥し、5.8gの凍結乾燥粉末2を得た。
参考例3]飲食品(等張飲料)の調製例1
<等張飲料1>
細胞外液と等張となるように調節した生理食塩液に、実施例1で作製した果皮抽出液1を6.7質量%の割合で混合し、等張飲料1を作製した。
<等張飲料2>
細胞外液と等張となるように調節した生理食塩液に、実施例1で作製した果皮抽出液2を11.4質量%の割合で混合し、等張飲料2を作製した。
参考例4]飲食品(茶飲料)の調製例1
<ウーロン茶>
市販のウーロン茶(森永乳業社製:製品名 やすらぎ茶房 烏龍茶)に2質量%の割合になるように上記凍結乾燥粉末1を加えて混合し、ウーロン茶飲料を作製した。
<緑茶>
市販の緑茶(森永乳業社製:製品名 やすらぎ茶房 緑茶)に2質量%の割合になるように上記凍結乾燥粉末2を加えて混合し、緑茶飲料を作製した。

<試験例>
[試験例1]
前記実施例1で製造した果皮抽出液2について組成分析(脂質、蛋白質、灰分、水分、炭水化物)、ならびに糖度およびpHの測定を行った。
(1)試験方法
果皮抽出液2の組成分析、ならびに糖度およびpHの測定は、それぞれ以下の方法でおこなった。
(a)脂肪:レーゼーゴッドリーフ法(例えば、化学大辞典9、縮刷版第34刷、共立出版株式会社、1993年、第888頁に記載の方法。)
(b)蛋白質:ブラッドフォード法(バイオラッド社製、Bradford試薬、商品番号#500-0006。標準品としてピアス社製蛋白定量用標準BSA(ウシ血清アルブミン)、商品番号#23209を使用。)
(c)灰分:灰分試験法(例えば、化学大辞典7、初版第1刷、共立出版株式会社、昭和36年、第30頁に記載の方法。)
(d)水分:乾燥法(例えば、化学大辞典5、初版第1刷、共立出版株式会社、昭和36年、第76頁に記載の方法。)
(e)炭水化物:[=100%−脂肪(%)−灰分(%)−水分(%)]により算出。
(f)糖度:Brix糖度計(ATAGO社製、Refractometer RX-5000を使用。)
(g)pH:ガラス電極式水素イオン濃度計(堀場製作所社製、F14型ガラス電極式水素イオン濃度計を使用。)
(2)試験結果
本試験の結果、果皮抽出液2の各測定値は以下のとおりであった。
(a)脂肪:0.1%未満
(b)蛋白質:0.018%(180μg/ml)
(c)灰分:0.15%
(d)水分:96.2%
(e)炭水化物:3.53%
(f)糖度:4.68%
(g)pH:3.67
[試験例2]果肉抽出物および果皮抽出物による効果の確認
キウイフルーツの果肉及び果皮の両者各々の抽出物について動物に投与し、その変化を観察した。
(1)試料の調製:
対照:生理食塩液
サンプルA:実施例1で調製した果肉抽出液
サンプルB:実施例1で調製した果皮抽出物1を生理食塩液にて5倍希釈したもの
(2)試験動物:ddYマウス/オス/7週齢を、日本エスエルシーより購入
(3)餌:普通食 船橋農場社製、製品名;F-2、自由摂取
(4)試験方法:3週間の予備飼育の後、体重がほぼ同等となるように、一群6匹として三群に分け、それぞれの群に対して、対照、サンプルA及びサンプルBを一匹当たり1ml/日ずつ、ゾンデにより20日間経口投与した。20日後に体重を測定した後、屠殺し、内臓脂肪の質量を測定した。
(5)試験結果:試料の投与前の体重を1としたときの、投与開始から20日後の体重の比率を体重増加率として測定した。また投与開始から20日後における、内臓脂肪質量が体重に占める割合(内臓脂肪質量/体重、単位;質量%)を内臓脂肪割合として測定した。測定結果を下記表1に示す。
表1に示されるように、体重増加率はサンプルA、B群とも、対照群と比較してほとんど差はなかった。内臓脂肪割合は、サンプルB群が対照群に比べて低値を示した。このことから、サンプルB(果皮抽出物)は、対照に比して内臓脂肪を減らす効果が期待できることがわかる。
一方、サンプルA群は、内臓脂肪割合が増加した。
Figure 0004717413
[試験例3]安全性試験
キウイフルーツの果皮抽出物の安全性について、正常マウスを用いて検討した。
(1)試料の調製
対照:生理食塩液
サンプル:実施例1で調製した果皮抽出物1を生理食塩液にて5倍希釈したもの
(2)試験動物:ICRマウス/メス/4週齢を、日本エスエルシーより購入
(3)餌:普通食 日本クレア社製、製品名;CE-2
(4)試験方法:1週間の予備飼育の後、体重がほぼ同等となるように、一群6匹として二群に分け、それぞれの群に対して、対照及びサンプルを一匹当り1ml/日ずつ、ゾンデにより52日間経口投与した。餌は普通食を自由摂取としたが、毎回給餌時に摂餌量を確認した。52日後に体重を測定した後、屠殺し、内臓脂肪及び肝臓の質量を測定した。
(5)試験結果:いずれの群においても52日間の投与による死亡例はなく、摂餌量はほぼ同等であった。
上記試験例1と同様にして体重増加率および内臓脂肪割合を測定した。その結果を下記表2に示す。また肝臓質量の測定結果を下記表2に示す。
表2に示されるように、体重増加率及び内臓脂肪割合は対照群に比してサンプル群のほうが若干低かったがほとんど差は認められなかった。また肝臓質量の差はほとんど無かった。
このことから、果皮抽出物の安全性が確認された。また対照群とサンプル群とで、体重増加率及び内臓脂肪割合に差がほとんど無かったのは、餌が普通食であったためと考えられる。
Figure 0004717413
[試験例4]効能確認試験−1
果皮抽出物が、高脂肪食摂取時の正常オスマウスに与える影響を調べた。
(1)試料の調製
対照:水道水
サンプル:実施例1で調製した果皮抽出物1を水道水で30倍に希釈したもの
(2)試験動物:ICRマウス/オス/4週齢を、日本エスエルシーより購入
(3)餌:
普通食:日本クレア社製、製品名;CE-2
高脂肪食:上記CE-2と牛脂を6:4(質量比)となるように混合して調製した。
(4)試験方法:普通食による1週間の予備飼育の後、体重がほぼ同等となるように、1群6匹として三群に分け、このうち二群には以降高脂肪食を自由摂取させた。残りの一群には引き続き普通食を自由摂取させた。食欲抑制効果を確認する為、餌の交換時には毎回給餌量と回収した餌の量を測定した。高脂肪食群のうち一群にはサンプルを自由摂取させ、高脂肪食群の残りの一群と普通食の群には水道水を自由摂取させた。51日後に体重を測定した後、屠殺し、内臓脂肪及び肝臓の質量を測定した。
(5)試験結果:普通食と水道水を摂取させた群(普通食×対照)、高脂肪食と水道水を摂取させた群(高脂肪食×対照)、および高脂肪食と果皮抽出物の希釈液を摂取させた群(高脂肪食×サンプル)の各群について、試料の投与開始から51日後の体重測定の結果を図1に示す。
また内臓脂肪質量の測定結果を図2に示し、肝臓質量の測定結果を図3に示す。
なお、有意差の検定には、t検定を用い、p<0.05であるときに有意差有りと判定した(以下、同様)。
図1に示されるように、(高脂肪食×対照)群は、(普通食×対照)群と比較して有意に体重が増加した。一方、(高脂肪食×サンプル)群は、(高脂肪食×対照)群と比べて体重増加量はやや低減したが、両者の差はそれほど大きくは無かった。
内臓脂肪質量については、図2に示されるように、(高脂肪食×対照)群は、(普通食×対照)群と比較して有意に内臓脂肪質量が増加した。一方、(高脂肪食×サンプル)群は、(高脂肪食×対照)群と比べて、有意に内臓脂肪質量が減少した。
このとき、図3に示されるように、いずれの群においても肝臓の質量にはほとんど差が無かった。
また、いずれの群においても特に摂餌量に変化は無かった。
これらのことから、果皮抽出物は、正常オスマウスにおいて高脂肪食摂取時に内臓脂肪質量を減らす作用があることが判明し、またその効果は食欲抑制効果によるものではないことが判明した。
[試験例5]効能確認試験−2
果皮抽出物が、高脂肪食摂取時の正常メスマウスに与える影響を調べた。
(1)試料の調製:
対照:果皮抽出物を含まない等張飲料
サンプル:実施例3で調製した等張飲料1(果皮抽出液1を6.7質量%含有。)
(2)試験動物:ICRマウス/メス/4週齢を、日本エスエルシーより購入した。
(3)餌:
普通食:日本クレア社製、製品名;CE-2
高脂肪食:上記CE-2と牛脂を6:4(質量比)となるように混合して調製した。
(4)試験方法:普通食による1週間の予備飼育の後、体重がほぼ同等となるように、一群6匹として三群に分け、このうち二群には以降高脂肪食を自由摂取させた。残りの一群には引き続き普通食を自由摂取させた。試験例3と同様にして、毎回餌の交換時に摂餌量を測定した。高脂肪食群のうち一群にはサンプルを、高脂肪食群の残りの一群と普通食の群には対照を、それぞれ1ml/日ずつゾンデで経口投与した。
(5)試験結果:試験例3と同様にして体重を測定した。その結果を図4に示す。また内臓脂肪質量の測定結果を図5に示し、肝臓質量の測定結果を図6に示す。
図4に示されるように、対照を与えた群のうち、高脂肪食と対照を摂取させた群(高脂肪食×対照)は、普通食と対照を摂取させた群(普通食×対照)と比較して有意に体重が増加した。これに対して、高脂肪食とサンプルを摂取させた群(高脂肪食×サンプル)は、(高脂肪食×対照)群に比べて体重の増加量が有意に小さかった。このことから、高脂肪食群とサンプルを同時に摂取することにより体重の増加が抑制され、ほぼ(普通食×対照)群と同等のレベルまで下がることが認められた。
また内臓脂肪質量については、図5に示されるように、(高脂肪食×対照)群は、(普通食×対照)群と比較して有意に内臓脂肪質量が増加した。一方、(高脂肪食×サンプル)群は、(高脂肪食×対照)群と比べて、有意に内臓脂肪質量が減少した。
さらに、マウスを解剖して、下腹部皮下脂肪について肉眼で観察したところ、(普通食×対照)群の脂肪層の厚みに比して、(高脂肪食×対照)群は明らかに厚かったが、(高脂肪食×サンプル)群では(普通食×対照)群と比較して、ほとんど変化は確認されなかった。従って、内臓脂肪と同様に皮下脂肪についても、その蓄積を抑制することが明らかとなった。
このとき、図6に示されるように、いずれの群においても肝臓の質量にはほとんど差が無かった。
また、いずれの群においても特に摂餌量に変化は無かった。
これらのことから、果皮抽出物は、正常メスマウスにおいて高脂肪食摂取時に内臓脂肪質量を減らし、更に体重の増加を抑制する作用があることが判明し、またその効果は食欲抑制効果によるものではないことが判明した。
[試験例6]効能確認試験−3
果皮抽出物が、高脂肪食摂取時の卵巣摘出メスマウスに与える影響を調べた。
(1)試料の調製
対照:果皮抽出物を含まない等張飲料
サンプル:実施例3で調製した等張飲料1(果皮抽出液1を6.7質量%含有。)
(2)試験動物:ICRマウス/メスを、卵巣摘出手術後観察期間を経て4週齢にて、日本エスエルシーより購入した。
(3)餌:
普通食:日本クレア社製、製品名;CE-2
高脂肪食:上記CE-2と牛脂を6:4(質量比)となるように混合して調製した。
(4)試験方法:普通食による1週間の予備飼育の後、体重がほぼ同等となるように、一群6匹として三群に分け、このうち二群には以降高脂肪食を自由摂取させた。また残りの一群には引き続き普通食を自由摂取させた。試験例3、4と同様にして、毎回餌の交換時に摂餌量を測定した。高脂肪食群のうち一群にはサンプルを、また高脂肪食群の残り一群と普通食の群には対照を、それぞれ1ml/日ずつゾンデで経口投与した。
(5)試験結果:試験例3と同様にして体重を測定した。その結果を図7に示す。また内臓脂肪質量の測定結果を図8に示し、肝臓質量の測定結果を図9に示す。
図7に示されるように、対照を与えた群のうち、高脂肪食と対照を摂取させた群(高脂肪食×対照)は、普通食と対照を摂取させた群(普通食×対照)と比較して有意に体重が増加した。一方、高脂肪食とサンプルを摂取させた群(高脂肪食×サンプル)は、(高脂肪食×対照)群に比べて体重の増加が若干抑制されたものの、サンプル摂取による効果はそれほど大きくなかった。
また内臓脂肪質量については、図8に示されるように、(高脂肪食×対照)群は、(普通食×対照)群と比較して有意に内臓脂肪質量が増加した。(高脂肪食×サンプル)群は、(高脂肪食×対照)群と同程度に内臓脂肪質量が増加した。然しながら、対照を与えた群のうち、(高脂肪食×対照)群で肝臓の白色肥大化が著しく、いわゆる脂肪肝になっていた。これに対して、サンプルを投与した(高脂肪食×サンプル)群では、このような白色肥大化は抑制されていた。
肝臓の質量については、図9に示されるように、(高脂肪食×対照)群は、(普通食×対照)群と比較して有意に重かったが、(高脂肪食×サンプル)群では(高脂肪食×対照)群に比べて肝臓質量の増加が有意に抑制された。
さらにいずれの群においてもこれまでと同様摂餌量については変化が無かった。
従って、果皮抽出物は、卵巣摘出メスマウスにおいて高脂肪食摂取時に発生する肝臓の白色肥大化を抑制し、かつ肝臓質量の増加を抑制する作用のあることが判明した。またその効果は食欲抑制効果によるものではないことが判明した。
[試験例7]効能確認試験−4
高脂肪食の摂取を先行し、体重が増加した正常メスマウスに果皮抽出物を投与したときの効果を調べた。
(1)試料の調製
対照:果皮抽出物を含まない等張飲料
サンプル:実施例3で作製した等張飲料2(果皮抽出液2を11.4質量%含有。)
(2)動物:ICRマウス/メス/4週齢を、日本エスエルシーより購入した。
(3)餌:
普通食:リサーチダイエット社製、製品名;D12450B
高脂肪食:リサーチダイエット社製、製品名;D12492
(4)試験方法:普通食による1週間の予備飼育の後、一群12匹として二群に分けて餌を切り替えた。すなわち、二群のうちの一群には引き続き普通食を与え、残りの群には高脂肪食を自由摂取させた。餌を切り替えてから2週間飼育した後、各群を更に一群6匹として合計四群に分け、このうち高脂肪食を与えてきた二群には以降も引き続き高脂肪食を与え、普通食を与えてきた二群には引き続き普通食を自由摂取させた。また普通食群及び高脂肪食群のうち一群ずつにはサンプルを、また残りの一群ずつには、対照を1ml/日ずつゾンデで経口投与した。投与は2週間行い、その間、毎日定刻に体重を測定した。投与開始から2週間後に体重を測定した後、屠殺し、内臓脂肪の質量を測定した。
(5)試験結果:餌を切り替えてから2週間後、高脂肪食群は、普通食群と比較して有為に体重が増加したことを確認した。
図10は、対照とサンプルのゾンデによる投与開始後の体重変化を示すグラフである。体重の値は、各群の平均値である。普通食を与えた群のうち、対照を投与した群(普通食×対照)とサンプルを投与した群(普通食×サンプル)の二群間で体重変化にそれほど差は見られなかった。一方、高脂肪食を与えた群では投与開始1週間の期間後から、サンプル投与群(高脂肪食×サンプル)で対照群(高脂肪食×対照)と比較して明らかに体重の低下がみられた。
図11は内臓脂肪質量の測定結果である。内臓脂肪質量については、普通食を与えた2群と比較して高脂肪食を与えた2群は有意に増加した。高脂肪食を与えた2群を比べると、サンプルを投与した(高脂肪食×サンプル)群の方が明らかに内臓脂肪質量が低かった。一方、普通食を与えた2群においては、対照群とサンプル群とで、それほど内臓脂肪質量に差は無かった。
本試験例の結果から、本発明に係る果皮抽出物は、高脂肪食との同時摂取の場合のみならず、投与開始前の過剰な脂肪の摂取により既に蓄積された脂肪についても、これを減らす効果があり、かつ過剰な脂肪が摂取されていない場合は生体にそれほど強い影響を及ぼさないことが確認された。ここで(普通食×サンプル)群において特に内臓脂肪の顕著な減少を認めず、また(高脂肪食×サンプル)群においても投与開始後直ちに体重が減少するのではなく、一定の期間を置いて体重が減少したことから、果皮抽出物による内臓脂肪を始めとする体内の脂肪減少効果は、食事を摂取する際の脂質の吸収阻害ではなく、生体内での脂質の代謝が促進されることによるものであることがわかる。
[試験例8]風味試験−1
果皮抽出物を加えた飲料の風味試験(烏龍茶)
(1)試験試料:
対照:森永乳業社製、製品名;やすらぎ茶房 烏龍茶
サンプル:実施例4で調製したウーロン茶飲料(実施例2で調製した果皮抽出物の凍結乾燥粉末1を2質量%含有)。
(2)試験方法:
対照とサンプルの各々を飲んだときの風味を比較した。
(3)試験結果:
サンプルは対照と比較して、キウイ臭が微かにしたが、気になるほどではなかった。また、やや酸味を増して感じたが、気になるほどではなかった。その他の渋みやえぐみなどは、全く同等であった。
[試験例9]風味試験−2
果皮抽出物を加えた飲料の風味試験(緑茶)
(1)試験試料:
対照:森永乳業社製、製品名;やすらぎ茶房 緑茶
サンプル:実施例4で調製した緑茶飲料(実施例2で調製した果皮抽出物の凍結乾燥粉末2を2質量%含有)。
(2)試験方法:
対照とサンプルの各々を飲んだときの風味を比較した。
(3)試験結果:
サンプルは対照と比較して、キウイ臭が微かにしたが、気になるほどではなかった。また、やや酸味を増して感じたが、気になるほどではなかった。その他の渋みやえぐみなどは、全く同等であった。
試験例の結果を示すグラフである。 試験例の結果を示すグラフである。 試験例の結果を示すグラフである。 試験例の結果を示すグラフである。 試験例の結果を示すグラフである。 試験例の結果を示すグラフである。 試験例の結果を示すグラフである。 試験例の結果を示すグラフである。 試験例の結果を示すグラフである。 試験例の結果を示すグラフである。 試験例の結果を示すグラフである。

Claims (2)

  1. キウイフルーツの果皮の抽出物からなる脂質代謝改善用組成物。
  2. 前記抽出物が、水系溶媒で抽出した抽出物であることを特徴とする請求項1に記載の脂質代謝改善用組成物。
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