JPWO2017018485A1 - ノズルプレート、およびそれを用いた液体吐出ヘッド、ならびに記録装置 - Google Patents

ノズルプレート、およびそれを用いた液体吐出ヘッド、ならびに記録装置 Download PDF

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Abstract

本開示のノズルプレート32は第1面31aと、第1面31aの反対側の面である第2面31bと、第1面31aから第2面32bまで貫通している、ノズル8となる複数の貫通孔8とを有しており、記貫通孔8は、少なくとも液体が吐出される側である第1面31a側において、第1面31aへ向かって断面積が大きくなっている逆テーパー部8bを備えており、第1面31aは、第1領域と、該第1領域と重ならない第2領域を有しており、前記第1領域には、貫通孔8である第1貫通孔が配置されており、前記第2領域には、貫通孔8である第2貫通孔が配置されており、第1面31a側から見た場合の逆テーパー部8bの幅をTとするとき、前記第1貫通孔の逆テーパー部8bの幅Tが、前記第2貫通孔の逆テーパー部8bの幅Tより大きく、前記第1領域における厚さが、前記第2領域における厚さより薄いことを特徴とする。【選択図】 図6

Description

本開示は、ノズルプレート、およびそれを用いた液体吐出ヘッド、ならびに記録装置に関するものである。
光に対して反応する樹脂に対して露光を行ない、所望のノズルの形状に対応した母型を作製し、母型の周囲に金属めっき層を形成し、金属めっき層を剥離して、液体吐出ヘッドに用いるノズルプレートを作製する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2006−175678号公報
本開示のノズルプレートは、第1面と、該第1面の反対側の面である第2面と、前記第1面から前記第2面まで貫通している、ノズルとなる複数の貫通孔とを有しており、前記貫通孔は、少なくとも液体が吐出される側である前記第1面側において、該第1面へ向かって断面積が大きくなっている逆テーパー部を備えており、前記第1面は、第1領域と、該第1領域と重ならない第2領域を有しており、前記第1領域には、前記貫通孔である第1貫通孔が配置されており、前記第2領域には、前記貫通孔である第2貫通孔が配置されており、前記第1面側から見た場合の前記逆テーパー部の幅をTとするとき、前記第1貫通孔の前記逆テーパー部の幅Tが、前記第2貫通孔の前記逆テーパー部の幅Tより大きく、前記第1領域における厚さが、前記第2領域における厚さより薄いことを特徴とする。
また、本開示の液体吐出ヘッドは、前記ノズルプレートと、前記複数の貫通孔にそれぞれ繋がっている複数の加圧室と、該複数の加圧室にそれぞれ圧力を加える複数の加圧部とを備えていることを特徴とする。
また、本開示の記録装置は、前記液体吐出ヘッドと、記録媒体を前記液体吐出ヘッドに対して搬送する搬送部と、前記液体吐出ヘッドを制御する制御部とを備えていることを特徴とする。
(a)は、本開示の一実施形態に係る液体吐出ヘッドを含む記録装置の側面図であり、(b)は平面図である。 図1の液体吐出ヘッドを構成するヘッド本体の平面図である。 図2の一点鎖線に囲まれた領域の拡大図であり、説明のため一部の流路を省略した平面図である。 図2の一点鎖線に囲まれた領域の拡大図であり、説明のため一部の流路を省略した平面図である。 (a)は、図3のV−V線に沿った縦断面図であり、(b)は、(a)のノズル8の拡大縦断面図である。 (a)は、ヘッド本体の平面図であり、(b)は、ノズルを吐出孔側から見た拡大平面図である。 (a)〜(e)は、本開示の一実施形態に係るノズルプレートを製造する1つの製造方法における工程の概略断面図であり、(f)〜(j)は、本開示の一実施形態に係るノズルプレートを製造する他の製造方法における工程の概略断面図である。
図1(a)は、本開示の一実施形態に係る液体吐出ヘッド2を含む記録装置であるカラーインクジェットプリンタ1(以下で単にプリンタと言うことがある)の概略の側面図であり、図1(b)は、概略の平面図である。プリンタ1は、記録媒体である印刷用紙Pをガイドローラ82Aから搬送ローラ82Bへと搬送することにより、印刷用紙Pを液体吐出ヘッド2に対して相対的に移動させる。制御部88は、画像や文字のデータに基づいて、液体吐出ヘッド2を制御して、印刷用紙Pに向けて液体を吐出させ、印刷用紙Pに液滴を着弾させて、印刷用紙Pに印刷などの記録を行なう。
本実施形態では、液体吐出ヘッド2はプリンタ1に対して固定されており、プリンタ1はいわゆるラインプリンタとなっている。本開示の記録装置の他の実施形態としては、液体吐出ヘッド2を、印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向、例えば、ほぼ直交する方向に往復させるなどして移動させる動作と、印刷用紙Pの搬送を交互に行なう、いわゆるシリアルプリンタが挙げられる。
プリンタ1には、印刷用紙Pとほぼ平行となるように平板状のヘッド搭載フレーム70(以下で単にフレームと言うことがある)が固定されている。フレーム70には図示しない20個の孔が設けられており、20個の液体吐出ヘッド2がそれぞれの孔の部分に搭載されていて、液体吐出ヘッド2の、液体を吐出する部位が印刷用紙Pに面するようになっている。液体吐出ヘッド2と印刷用紙Pとの間の距離は、例えば0.5〜20mm程度とされる。5つの液体吐出ヘッド2は、1つのヘッド群72を構成しており、プリンタ1は、4つのヘッド群72を有している。
液体吐出ヘッド2は、図1(a)の手前から奥へ向かう方向、図1(b)の上下方向に細長い長尺形状を有している。この長い方向を長手方向と呼ぶことがある。1つのヘッド群72内において、3つの液体吐出ヘッド2は、印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向、例えば、ほぼ直交する方向に沿って並んでおり、他の2つの液体吐出ヘッド2は搬送方向に沿ってずれた位置で、3つの液体吐出ヘッド2の間にそれぞれ一つずつ並んでいる。液体吐出ヘッド2は、各液体吐出ヘッド2で印刷可能な範囲が、印刷用紙Pの幅方向に(印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向に)繋がるように、あるいは端が重複するように配置されており、印刷用紙Pの幅方向に隙間のない印刷が可能になっている。
4つのヘッド群72は、記録用紙Pの搬送方向に沿って配置されている。各液体吐出ヘッド2には、図示しない液体タンクから液体、例えば、インクが供給される。1つのヘッド群72に属する液体吐出ヘッド2には、同じ色のインクが供給されるようになっており、4つのヘッド群72で4色のインクが印刷できる。各ヘッド群72から吐出されるインクの色は、例えば、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)である。このようなインクを、制御部88で制御して印刷すれば、カラー画像が印刷できる。
プリンタ1に搭載されている液体吐出ヘッド2の個数は、単色で、1つの液体吐出ヘッド2で印刷可能な範囲を印刷するのなら1つでもよい。ヘッド群72に含まれる液体吐出ヘッド2の個数や、ヘッド群72の個数は、印刷する対象や印刷条件により適宜変更できる。例えば、さらに多色の印刷をするためにヘッド群72の個数を増やしてもよい。また、同色で印刷するヘッド群72を複数配置して、搬送方向に交互に印刷すれば、同じ性能の液体吐出ヘッド2を使用しても搬送速度を速くできる。これにより、時間当たりの印刷面積を大きくすることができる。また、同色で印刷するヘッド群72を複数準備して、搬送方向と交差する方向にずらして配置して、印刷用紙Pの幅方向の解像度を高くしてもよい。
さらに、色の付いたインクを印刷する以外に、印刷用紙Pの表面処理をするために、コーティング剤などの液体を印刷してもよい。
プリンタ1は、記録媒体である印刷用紙Pに印刷を行なう。印刷用紙Pは、給紙ローラ80Aに巻き取られた状態になっており、2つのガイドローラ82Aの間を通った後、フレーム70に搭載されている液体吐出ヘッド2の下側を通り、その後2つの搬送ローラ82Bの間を通り、最終的に回収ローラ80Bに回収される。印刷する際には、搬送ローラ82Bを回転させることで印刷用紙Pは、一定速度で搬送され、液体吐出ヘッド2によって印刷される。回収ローラ80Bは、搬送ローラ82Bから送り出された印刷用紙Pを巻き取る。搬送速度は、例えば、75m/分とされる。各ローラは、制御部88によって制御されてもよいし、人によって手動で操作されてもよい。
記録媒体は、印刷用紙P以外に、ロール状の布などでもよい。また、プリンタ1は、印刷用紙Pを直接搬送する代わりに、搬送ベルトを直接搬送して、記録媒体を搬送ベルトに置いて搬送してもよい。そのようにすれば、枚葉紙や裁断された布、木材、タイルなどを記録媒体にできる。さらに、液体吐出ヘッド2から導電性の粒子を含む液体を吐出するようにして、電子機器の配線パターンなどを印刷してもよい。またさらに、液体吐出ヘッド2から反応容器などに向けて所定量の液体の化学薬剤や化学薬剤を含んだ液体を吐出させて、反応させるなどして、化学薬品を作製してもよい。
また、プリンタ1に、位置センサ、速度センサ、温度センサなどを取り付けて、制御部88が、各センサからの情報から分かるプリンタ1各部の状態に応じて、プリンタ1の各部を制御してもよい。例えば、液体吐出ヘッド2の温度や液体タンクの液体の温度、液体タンクの液体が液体吐出ヘッド2に加えている圧力などが、吐出される液体の吐出量や吐出速度などの吐出特性に影響を与えている場合などに、それらの情報に応じて、液体を吐出させる駆動信号を変えるようにしてもよい。
次に、本開示の一実施形態に係る液体吐出ヘッド2について説明する。図2は、図1に示された液体吐出ヘッド2の要部であるヘッド本体13を示す平面図である。図3は、図2の一点鎖線で囲まれた領域の拡大平面図であり、ヘッド本体13の一部を示す図である。図4は、図3と同じ位置の拡大平面図である。図3および図4では、図を分かりやすくするため、一部の流路を省略して描いている。また、図3および図4では、図面を分かりやすくするために、圧電アクチュエータ基板21の下方にあって破線で描くべき加圧室10、しぼり12およびノズル8などを実線で描いている。図5(a)は図3のV−V線に沿った縦断面図であり、図5(b)は、ノズル8の拡大縦断面図である。図6(a)は、ヘッド本体13の平面図であり、図6(b)は、図6(a)のBの位置にあるノズル8を吐出孔8d側から見た拡大平面図である。
ヘッド本体13は、平板状の流路部材4と、流路部材4上に、圧電アクチュエータ基板21とを有している。流路部材4は、ノズル8を有するノズルプレート31と、プレート22〜30が積層された流路部材本体とが積層されて成っている。圧電アクチュエータ基板21は台形形状を有しており、その台形の1対の平行対向辺が流路部材4の長手方向に平行になるように流路部材4の上面に配置されている。また、流路部材4の長手方向に平行な2本の仮想直線のそれぞれに沿って2つずつ、つまり合計4つの圧電アクチュエータ基板21が、全体として千鳥状に流路部材4上に配列されている。流路部材4上で隣接し合う圧電アクチュエータ基板21の斜辺同士は、流路部材4の短手方向について部分的にオーバーラップしている。このオーバーラップしている部分の圧電アクチェータ基板21を駆動することにより印刷される領域では、2つの圧電アクチュエータ基板21により吐出された液滴が混在して着弾することになる。
流路部材4の内部には液体流路の一部であるマニホールド5が形成されている。マニホールド5は流路部材4の長手方向に沿って延び細長い形状を有しており、流路部材4の上面にはマニホールド5の開口5bが形成されている。開口5bは、10個あり、流路部材4の長手方向に平行な2本の直線上に5個ずつ配置されている。開口5bは、4つの圧電アクチュエータ基板21が配置された領域を避ける位置に形成されている。マニホールド5には開口5bを通じて図示されていない液体タンクから液体が供給されるようになっている。
流路部材4内に形成されたマニホールド5は、複数本に分岐している(分岐した部分のマニホールド5を副マニホールド5aということがある)。開口5bに繋がるマニホールド5は、圧電アクチュエータ基板21の斜辺に沿うように延在しており、流路部材4の長手方向と交差して配置されている。2つの圧電アクチュエータ基板21に挟まれた領域では、1つのマニホールド5が、隣接する圧電アクチュエータ基板21に共有されており、副マニホールド5aがマニホールド5の両側から分岐している。これらの副マニホールド5aは、流路部材4の内部の各圧電アクチュエータ基板21に対向する領域に互いに隣接してヘッド本体13の長手方向に延在している。
流路部材4は、複数の加圧室10がマトリクス状(すなわち、2次元的かつ規則的)に形成されている4つの加圧室群9を有している。加圧室10は、角部にアールが施されたほぼ菱形の平面形状を有する中空の領域である。加圧室10は流路部材4の上面に開口するように形成されている。これらの加圧室10は、流路部材4の上面における圧電アクチュエータ基板21に対向する領域のほぼ全面にわたって配列されている。したがって、これらの加圧室10によって形成された各加圧室群9は圧電アクチュエータ基板21とほぼ同一の大きさおよび形状の領域を占有している。また、各加圧室10の開口は、流路部材4の上面に圧電アクチュエータ基板21が接着されることで閉塞されている。
本実施形態では、図3に示されているように、マニホールド5は、流路部材4の短手方向に互いに平行に並んだ4列のE1〜E4の副マニホールド5aに分岐し、各副マニホールド5aに繋がった加圧室10は、等間隔に流路部材4の長手方向に並ぶ加圧室10の列を構成し、その列は、短手方向に互いに平行に4列配列されている。副マニホールド5aに繋がった加圧室10の並ぶ列は副マニホールド5aの両側に2列ずつ配列されている。
全体では、マニホールド5から繋がる加圧室10は、等間隔に流路部材4の長手方向に並ぶ加圧室10の列を構成し、その列は、短手方向に互いに平行に16列配列されている。各加圧室列に含まれる加圧室10の数は、アクチュエータである変位素子50の外形形状に対応して、その長辺側から短辺側に向かって次第に少なくなるように配置されている。
ノズル8は、ヘッド本体13の解像度方向である長手方向において、約42μm(600dpiならば25.4mm/150=42μm間隔である)の間隔で略等間隔に配置されている。これによって、ヘッド本体13は、長手方向に600dpiの解像度で画像形成が可能となっている。台形形状の圧電アクチュエータ基板21がオーバーラップしている部分では、2つの圧電アクチュエータ基板21の下方にあるノズル8が、互いに補完し合うように配置されていることにより、ノズル8は、ヘッド本体13の長手方向に600dpiに相当する間隔で配置されている。
また、各副マニホールド5aには平均すれば150dpiに相当する間隔で個別流路32が接続されている。これは、600dpi分のノズル8を4つ列の副マニホールド5aに分けて繋ぐ設計をする際に、各副マニホールド5aに繋がる個別流路32が等しい間隔で繋がるとは限らないため、マニホールド5aの延在方向、すなわち主走査方向に平均170μm(150dpiならば25.4mm/150=169μm間隔である)以下の間隔で個別流路32が形成されているということである。
圧電アクチュエータ基板21の上面における各加圧室10に対向する位置には後述する個別電極35がそれぞれ形成されている。個別電極35は加圧室10より一回り小さく、加圧室10とほぼ相似な形状を有しており、圧電アクチュエータ基板21の上面における加圧室10と対向する領域内に収まるように配置されている。
流路部材4の下面である吐出孔面31aには、ノズル8の下側の開口である吐出孔8dが多数開口している。ノズル8は、流路部材4の下面側に配置された副マニホールド5aと対向する領域を避けた位置に配置されている。また、ノズル8は、流路部材4の下面側における圧電アクチュエータ基板21と対向する領域内に配置されている。吐出孔8の集まりである吐出孔群は圧電アクチュエータ基板21とほぼ同一の大きさおよび形状の領域を占有しており、対応する圧電アクチュエータ基板21の変位素子50を変位させることにより吐出孔8dから液滴が吐出できる。そして、それぞれの吐出孔群内のノズル8は、流路部材4の長手方向に平行な複数の直線に沿って等間隔に配列されている。
ヘッド本体13に含まれる流路部材4は、複数のプレートが積層された積層構造を有している。これらのプレートは、流路部材4の上面から順に、キャビティプレート22、ベースプレート23、アパーチャ(しぼり)プレート24、サプライプレート25、26、マニホールドプレート27、28、29、カバープレート30およびノズルプレート31である。これらのプレートには多数の孔が形成されている。各プレートは、これらの孔が互いに連通して個別流路32および副マニホールド5aを構成するように、位置合わせして積層されている。ヘッド本体13は、図5に示されているように、加圧室10は流路部材4の上面に、副マニホールド5aは内部の下面側に、吐出孔8dは下面にと、個別流路32を構成する各部分が異なる位置に互いに近接して配設され、加圧室10を介して副マニホールド5aと吐出孔8dとが繋がる構成を有している。
各プレートに形成された孔について説明する。これらの孔には、次のようなものがある。第1に、キャビティプレート22に形成された加圧室10である。第2に、加圧室10の一端から副マニホールド5aへと繋がる流路を構成する連通孔である。この連通孔は、ベースプレート23(詳細には加圧室10の入り口)からサプライプレート25(詳細には副マニホールド5aの出口)までの各プレートに形成されている。なお、この連通孔には、アパーチャプレート24に形成されたしぼり12と、サプライプレート25、26に形成された個別供給流路6とが含まれている。
第3に、加圧室10の他端から吐出孔8dへと連通する流路を構成する連通孔であり、この連通孔は、以下の記載においてディセンダ(部分流路)と呼称される。ディセンダは、ベースプレート23(詳細には加圧室10の出口)からノズルプレート31(詳細には吐出孔8d)までの各プレートに形成されている。ディセンダの吐出孔8d側は特に断面積が小さい、ノズルプレート31に形成されたノズル8となっている。ノズル8の形状の詳細については後述する。
第4に、副マニホールド5aを構成する連通孔である。この連通孔は、マニホールドプレート27〜30に形成されている。
このような連通孔が相互に繋がり、副マニホールド5aからの液体の流入口(副マニホールド5aの出口)から吐出孔8dに至る個別流路32を構成している。副マニホールド5aに供給された液体は、以下の経路で吐出孔8dから吐出される。まず、副マニホールド5aから上方向に向かって、個別供給流路6を通り、しぼり12の一端部に至る。次に、しぼり12の延在方向に沿って水平に進み、しぼり12の他端部に至る。そこから上方に向かって、加圧室10の一端部に至る。さらに、加圧室10の延在方向に沿って水平に進み、加圧室10の他端部に至る。そこから少しずつ水平方向に移動しながら、主に下方に向かい、下面に開口した吐出孔8dへと進む。
圧電アクチュエータ基板21は、図5に示されるように、2枚の圧電セラミック層21a、21bからなる積層構造を有している。これらの圧電セラミック層21a、21bはそれぞれ20μm程度の厚さを有している。圧電アクチュエータ基板21の変位する部分である変位素子50の厚さは40μm程度であり、100μm以下であることにより、変位量を大きくすることができる。圧電セラミック層21a、21bのいずれの層も複数の加圧室10を跨ぐように延在している(図3参照)。これらの圧電セラミック層21a、21bは、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなる。
圧電アクチュエータ基板21は、Ag−Pd系などの金属材料からなる共通電極34、Au系などの金属材料からなる個別電極35を有している。個別電極35は上述のように圧電アクチュエータ基板21の上面における加圧室10と対向する位置に配置されている。個別電極35の一端は、加圧室10と対向している個別電極本体35aと、加圧室10と対向している領域外に引き出されて引出電極35bからなっている。
圧電セラミック層21a、bおよび共通電極34は、それぞれ略同じ形状であることにより、これらを同時焼成により作製する場合に、反りを小さくできる。100μm以下の圧電アクチュエータ基板21は焼成過程で反りが生じやすく、その量も大きくなる。また、反りが生じていると、流路部材4に積層した際に、その反りを変形させて接合することになり、その際の変形が変位素子50の特性変動に影響し、ひいては液体吐出特性のばらつきにつながるため、反りは、圧電アクチュエータ基板21の厚さと同程度以下に小さいことが望ましい。そして、内部電極のある場所とない場所の焼成収縮挙動の差による反りを少なくするために内部電極である共通電極34は内部にパターンのないベタで形成される。なお、ここで略同じ形状であるとは、外周の寸法の差がその部分の幅の1%以内であることを言う。圧電セラミック層21a、bの外周は、基本的に焼成前に重ねられた状態で切断して形成されるので、加工精度の範囲内で同じ位置になる。共通電極34も、ベタ印刷した後に、圧電セラミック層21a、bと同時に切断することで形成されると反りが生じ難いが、圧電セラミック層21a、bと相似形状で少し小さいパターンで印刷することにより、圧電アクチュエータ21の側面に共通電極34が露出しなくなるため、電気的信頼性が高くなる。
詳細は後述するが、個別電極35には、制御部88から外部配線であるFPC(Flexible Printed Circuit)を通じて駆動信号(駆動電圧)が供給される。駆動信号は、印刷用紙Pの搬送速度と同期して一定の周期で供給される。共通電極34は、圧電セラミック層21aと圧電セラミック層21bとの間の領域に面方向のほぼ全面にわたって形成されている。すなわち、共通電極34は、圧電アクチュエータ基板21に対向する領域内のすべての加圧室10を覆うように延在している。共通電極34の厚さは2μm程度である。共通電極34は図示しない領域において接地され、グランド電位に保持されている。本実施形態では、圧電セラミック層21b上において、個別電極35からなる電極群を避ける位置に個別電極35とは異なる表面電極(不図示)が形成されている。表面電極は、圧電セラミック層21bの内部に形成されたスルーホールを介して共通電極34と電気的に接続されているとともに、多数の個別電極35と同様に外部配線と接続されている。
なお、後述のように、個別電極35に選択的に所定の駆動信号が供給されることにより、この個別電極35に対応する加圧室10内の液体に圧力が加えられる。これによって、個別流路32を通じて、対応する吐出孔8から液滴が吐出される。すなわち、圧電アクチュエータ基板21における各加圧室10に対向する部分は、各加圧室10および吐出孔8に対応する個別の変位素子50(アクチュエータ)に相当する。つまり、2枚の圧電セラミック層からなる積層体中には、図5に示されているような構造を単位構造とする変位素子50が加圧室10毎に、加圧室10の直上に位置する振動板21a、共通電極34、圧電セラミック層21b、個別電極35により構成されており、圧電アクチュエータ基板21には変位素子50が複数含まれている。なお、本実施形態において1回の吐出動作によって吐出孔8から吐出される液体の量は5〜7pL(ピコリットル)程度である。
圧電アクチュエータ基板21を平面視したとき、個別電極本体35aは加圧室10と重なるように配置されており、加圧室10の中央に位置している部位の、個別電極35と共通電極34とに挟まれている圧電セラミック層21bは、圧電アクチュエータ基板21の積層方向に分極されている。分極の向きは上下どちらに向かっていてもよく、その方向に対応し駆動信号を与えることで駆動できる。
図5に示されるように、共通電極34と個別電極35とは、最上層の圧電セラミック層21bのみを挟むように配置されている。圧電セラミック層21bにおける個別電極35と共通電極34とに挟まれた領域は活性部と呼称され、その部分の圧電セラミックスには厚み方向に分極が施されている。本実施形態の圧電アクチュエータ基板21においては、最上層の圧電セラミック層21bのみが活性部を含んでおり、圧電セラミック21aは活性部を含んでおらず、振動板として働く。この圧電アクチュエータ基板21はいわゆるユニモルフタイプの構成を有している。
本実施の形態における実際の駆動手順は、あらかじめ個別電極35を共通電極34より高い電位(以下高電位と称す)にしておき、吐出要求がある毎に個別電極35を共通電極34と一旦同じ電位(以下低電位と称す)とし、その後所定のタイミングで再び高電位とする。これにより、個別電極35が低電位になるタイミングで、圧電セラミック層21a、bが元の形状に戻り、加圧室10の容積が初期状態(両電極の電位が異なる状態)と比較して増加する。このとき、加圧室10内に負圧が与えられ、液体がマニホールド5側から加圧室10内に吸い込まれる。その後再び個別電極35を高電位にしたタイミングで、圧電セラミック層21a、bが加圧室10側へ凸となるように変形し、加圧室10の容積減少により加圧室10内の圧力が正圧となり液体への圧力が上昇し、液滴が吐出される。つまり、液滴を吐出させるため、高電位を基準とするパルスを含む駆動信号を個別電極35に供給することになる。このパルス幅は、加圧室10内において圧力波がマニホールド5から吐出孔8dまで伝播する時間長さであるAL(Acoustic Length)が理想的である。これによると、加圧室10内部が負圧状態から正圧状態に反転するときに両者の圧力が合わさり、より強い圧力で液滴を吐出させることができる。
上述したように、ノズル8は、ノズルプレート31に形成されている貫通孔である。またノズル8は、図2に示された、4つの台形状の加圧室群9と同様の領域に配置されている。ヘッド本体13に配置されているノズル8は、台形状の形が組み合わされたノズル配置領域7内に配置されている(図6(a)参照)。ノズル配置領域7は、台形を組み合わせたことによる凹凸があるが、全体としては、概略、ヘッド本体13の長手方向に長い矩形状の領域である。
ノズル配置領域7の中央部7aとは、ノズル配置領域7を長手方向に5等分した際において、中央に位置する全体の1/5の長さの領域のことである。また、ノズル配置領域7の端部7bとは、ノズル配置領域7を長手方向に5等分した際において、端に位置する全体の1/5の長さの2つ領域のことである。左側に位置する端部7bを第1端部7ba、右側に位置する端部を第2端部7bbと言うことがある。 なお、この実施形態では、ノズル配置領域7の長手方向に関する中央部7aおよび端部7bについて説明しているが、他の方向における中央部および端部が、この説明と同様な状態になるようにしてもよい。
ノズルプレート31の厚さ、すなわちノズル8の長さは、例えば、20〜100μmである。ノズル8の流体抵抗を低くするためには、ノズルプレート31の厚さは、できるだけ薄い方が望ましいが、薄すぎると製造上の取扱いが困難になるため、両立できる厚さで最適値に設定する。ノズル8の断面の形状は、円形状であるのが好ましいが、楕円形状、三角形状、四角形状などの回転対称な形状であってもよい。ノズル8の断面積のもっとも小さい部分の形状は、例えば、直径10〜60μmの円形状である。この断面積のもっとも小さい部分の孔径は吐出量を設定する制御因子であり、所望の吐出量に応じて設定する。
ノズル8の一方の開口は、流路部材4の外側に開口しており、液体が吐出される側の開口である吐出孔8dである。また。ノズル8の他方の開口は、流路部材4の内側に向けて開口しており、液体が供給される側の開口である内部開口8cである。
これは、ノズルプレート31単体で見ると次のようになっているということである。ノズルプレート31の一つの面が、液体が飛び出して行く側の面である吐出孔面31aとなる第1面31aであり、第1面31aの反対側の面が第2面31bである。ノズル8となる貫通孔は、第1面31aから第2面31bまで貫通している。貫通孔の第1面(吐出孔面)31a側の開口が、吐出孔8dであり、貫通孔の第2面31b側の開口が、内部開口8cである。
ノズル8は、吐出孔8d側において、吐出孔8dに向かって開口の断面積が大きくなっている逆テーパー部8bを含んでいる。逆テーパー部8bは、吐出孔8d側、すなわち吐出孔面31a側から見ると、ノズルプレート31を貫通している円形状の部分の周囲に円環状の領域として見える。吐出孔8d側から見た場合における、この円環状の領域の幅を、逆テーパー部8bの幅T(単に幅Tと言うこともある)とする。 図6(b)を用いて、幅Tを説明する。図6(b)は、ノズル8を吐出孔8d側から見た平面図であり、逆テーパー部8bは円環状に見えている。L1は、液体吐出ヘッド2の長手方向に沿った仮想直線である。L1に沿っている、逆テーパー部8bの対向している部位の幅は、T1a[μm]とT1b[μm]である。L2は、印刷時に液体吐出ヘッド2と記録媒体とが相対的に搬送される方向である。L2に沿っている、逆テーパー部8bの対向している部位の幅は、T2a[μm]とT2b[μm]である。
幅Tについて、図5(b)を用いて、別の説明をする。最近接点Aは、ノズル8のもっとも狭くなっている部分である。最近接点Aにおける直径Dの外側から、吐出孔8dの開口の端、すなわち、ノズル8と吐出孔面31aとの境界までの、吐出孔面31aに沿った長さが幅Tである。図5(b)では、対向する2カ所の幅Tを、T2a[μm]およびT2b[μm]として示した。
1つのノズル8の逆テーパー部8bの幅Tとは、そのノズル8の各部の逆テーパー部8bの幅Tの平均であり、例えば、T1a、T1b、T2aおよびT2bの平均値を算出することで測定できる。1つのノズル8において、逆テーパー部8bの幅の場所によるばらつきが小さければ、1カ所測定してその値をそのノズル8の幅Tとしてもよい。また、吐出孔8d側から見たときの逆テーパー部8bの面積を、吐出孔8dの外周の長さで割って、ノズル8の幅Tを算出してもよい。
幅Tが大きくなると、液体が吐出孔面31aから盛り上がり、吐出孔面31aから離れて飛翔する際に、液体をノズル8内に引き戻そうとする力が大きくなる。すなわち、幅Tが大きくなると、液体の飛翔速度が低下する。また、幅Tが大きくなると、一部の液体が飛翔せずにノズル8内に引き戻されることになるので、吐出される液体の量が少なくなる。これらの作用は、液体の表面張力によると考えられる。
また、ノズル8の長さが長くなると、ノズル8の流体抵抗が大きくなるため、液体の飛翔速度が低下する。ノズル8の長さは、ノズルプレート31の厚さであるから、ノズルプレート31の厚さの厚い部分にあるノズル8から吐出される液体の飛翔速度は低くなる。
幅Tおよびノズルプレート31の厚さは、ノズルプレート31内で一定であることが望ましい。しかし、後述するように、いずれも製造工程における条件により、ノズルプレート31内で傾向をもった分布になることがある。そこで、ノズルプレート31内での分布をコントロールして、互いの影響が相殺させることで、飛翔速度のばらつきを少なくすることが考えられる。
ノズルプレート31の第1面である吐出孔面31aに、第1領域と、第1領域と重ならない第2領域とを設ける。上述の実施形態では、例えば、中央部7aを第1領域、端部7b第2領域とすることができる。逆に、中央部7aを第2領域、端部7b第1領域とすることもできる。さらに、中央部7aおよび端部7bと異なる領域を、第1領域あるいは第2領域とすこともできる。
第1領域に配置されているノズル(貫通孔)8を第1ノズル(第1貫通孔)とし、第2領域に配置されているノズル(貫通孔)8を第2ノズル(第2貫通孔)とする。第1ノズルの幅Tが、第2ノズルの幅Tより大きくなるようにし、第1領域におけるノズルプレート31の厚さが、第2領域におけるノズルプレート31の厚さより薄くなるようにする。このようにすることで、幅Tの影響とノズルプレート31の厚さの影響とが相殺されて、第1領域の第1ノズルから吐出される液滴の飛翔速度と、第2領域の第2ノズルから吐出される液滴の飛翔速度との差を小さくできる。
それぞれの領域に含まれるノズル8の数は1つ以上であればよい。それぞれの領域の広さや、配置についての制約はない。第1領域内のすべてのノズル8の幅Tが、第2領域内のすべてのノズル8の幅Tより大きい必要はなく、第1領域内のノズル8の幅Tの平均が、第2領域内のノズル8の平均幅Tより大きければよい。それぞれの領域における平均は、ノズル8の個数が5個以下であれば全て測定し、5個より多ければ、領域の中央に近いノズル8と、その中央を基準に、その中央から90度ずつ異なる4方向において最も離れた4個のノズル8とを測定し平均を算出すればよい。なお、そのような条件に該当するノズル8が4個存在しなく、3個あるいは2個しか存在しない場合は、該当する3個あるいは2個を測定すればよい。ノズルプレート31の厚さは、幅Tを測定したノズル8を含むように測定すればよい。
相殺させることで飛翔速度の差を低減させるとしても、幅Tやノズルプレート31の厚さの変化する範囲は、ノズルプレート31内で小さい方が望ましい。幅Tやノズルプレート31の厚さは、製造条件と関係して、ノズルプレート31内で傾向を持って変化する場合がある。そのような場合、その傾向を制御して、変化する範囲を小さくする。具体的には、ノズルプレート31の所定方向において、第2領域、第1領域、第2領域の順に並ぶようにするか、第1領域、第2領域、第1領域の順に並ぶようにする。第2領域、第1領域、第2領域の順に並んでいた場合、幅Tに関しては、幅Tが狭い領域、幅Tが広い領域、幅Tが狭い領域と並ぶことになり、厚さに関しては、薄い領域、厚い領域、薄い領域と並ぶことになる。製造条件をこのような傾向が生じるようにすることで、幅Tおよびノズルプレート31の厚さの変化する範囲を小さくすることができる。
幅Tおよびノズルプレート31の厚さの変化は、ノズル配置領域7の広がりの大きい方向において大きくなる。すなわち、ノズル配置領域7が、一方方向に長い場合、長手方向において変化が大きくなる。そこで、長手方向に第2領域、第1領域、第2領域の順に並ぶか、第1領域、第2領域、第1領域の順に並ぶのが望ましい。さらに、ノズルプレート31全域の飛翔速度の差が小さくなるように、ノズルプレート31の中央部7aが第1領域で、両側の端部7bが第2領域となるか、中央部7aが第2領域で、両側の端部7bが第1領域となるようにするのが好ましい。
続いて、ノズルプレート31の中央部7aが第1領域であり、両側の端部が第2領域である場合について、さらに説明する。逆の場合も、幅Tおよびノズルプレート31と、飛翔速度との関係は、以下の説明と同様になる。
ノズルプレート31の中央部7aが第1領域で、両側の端部7bが第2領域ということは、幅Tが、中央部7aで広く、両側の端部7bで狭いということである。後述のノズルプレート31の製造方法では、幅Tは、この様な傾向になる場合があり、ノズルプレート31の厚さを中央部7aで薄くし、両端部で厚くすることで、幅Tの傾向の影響が相殺されるようにすることができる。
例えば、第2領域であるノズルプレート31の両側の端部で、ノズルプレート31の厚さが40μmであり、幅Tが1μmであり、飛翔速度が7m/sであったとする。第1領域であるノズルプレート31の中央部7aで、幅Tが2.6μmであれば、その影響で、飛翔速度は0.7m/s程度低下する。そして、ノズルプレート31の中央部7aの厚さを35μmにすれば、その影響で、飛翔速度は0.7m/s程度上昇する。したがって、それらの影響は相殺しあって、中央部7aでの飛翔速度も約7m/sにすることができる。
飛翔速度のばらつきを小さくするには、第1端部7baにおける幅Tである幅TE1と、第2端部7bbにおける幅Tである幅TE2との差が小さい方が望ましい。飛翔速度への影響度合いは、差の値でそのものではなく、TE1およびTE2に対する差の割合であると考えられる。そこで(TE1とTE2との差の絶対値)/(TE1とTE2との平均値)を評価した場合、その値が1/5以下、更に1/10、特に1/20であるのが好ましい。なお、第1端部7baの幅TE1、第2端部7bbの幅TE2は、第1領域や第2領域の幅Tと同様に測定すればよい。
上述の場合において、両側の端部の平均が1μmであるのに対して、第1端部7baの幅TE1が0.6μm、第2端部7bbの幅TE2が1.4μmであれば、(TE2−TE1)/〔(TE1+TE2)/2〕=0.2、すなわち1/5となる。つまり、幅TE1と幅TE2の差異は、これ以下にするのが好ましい。
飛翔速度のばらつきを小さくするには、第1端部7baにおけるノズルプレート31の厚さDE1と、第2端部7bbにおける厚さDE2との差が小さい方が望ましい。飛翔速度への影響度合いは、差の値でそのものではなく、DE1およびDE2に対する差の割合であると考えられる。そこで(DE1とDE2との差の絶対値)/(DE1とDE2との平均値)を評価した場合、その値が1/20以下、更に1/40、特に1/80であるのが好ましい。ここで、この数値が、幅Tに対する数値よりも小さくなっているのは、ノズルプレート31の厚さの方が、幅Tよりも、飛翔速度に対する影響が大きいからである。なお、第1端部7baの厚さDE1、第2端部7bbの厚さDE2は、第1領域や第2領域の厚さと同様に測定すればよい。
上述の場合において、両端部の平均が40μmであるのに対して、第1端部7baの厚さDE1が43.5μm、第2端部7bbの幅DE2が36.5μmであれば、(DE2−DE1)/〔(DE1+DE2)/2〕=約0.043となる。つまり、幅DE1と幅DE2の差異は、この程度以下にするのが好ましい。
幅Tの影響と、ノズルプレート31の厚さの影響は、第1端部7baと第2端部7bbとでも相殺するようになっているのが好ましい。すなわち、第1端部7baの幅TE1より第2端部7bbの幅TE2が大きい場合、第1端部7baのノズルプレート31の厚さDE1は、第2端部7bbのノズルプレート31の厚さDE2より薄いのが好ましい。逆に、第1端部7baの幅TE1より第2端部7bbの幅TE2が小さい場合、第1端部7baのノズルプレート31の厚さDE1は、第2端部7bbのノズルプレート31の厚さDE2より厚いのが好ましい。
逆テーパー部8bの幅Tは、4μm以下であるのが好ましい。逆テーパー部8bの長さ、別の表現をすれば逆テーパー部8bの深さは、10μm以下、さらに5μm以下であるのが好ましい。逆テーパー部8bの長さが長いほど吐出時のメニスカス位置がばらつきやすくなり、吐出方向がばらつきやすくなるため、逆テーパー部8bの長さは短い方が好ましい。
ノズル8は、内部開口8c側において、内部開口8cに向かって開口の断面積が大きくなっているテーパー部8aを含んでいる。テーパー部8aの内部開口8cは、ノズルプレート31に直交する方向に対して角度θで傾いている。θは10〜30度であるのが好ましい。テーパー部8aの傾きは、内部開口8c側において、テーパー部8aの長さの半分以上にわたってほぼ一定である。傾きがほぼ一定の部位から吐出孔8d側に向かうと、傾きは徐々に緩やかになり、断面積がもっとも小さい部分で逆テーパー部8bに繋がる。テーパー部8aと逆テーパー部8bとの境界に急激に角度の変わる角部はなく、テーパー部8aから逆テーパー部8bにかけては、滑らかに角度が変わっている。
ここで、ノズル8の中心軸からある方向に位置するノズル8の内面の形状について考える。内部開口8c側では中心軸からの距離が長く、内部開口8cから吐出孔8dに向かうと中央からの距離は短くなっていき、ある場所で距離がもっとも短くなる。この場所は、テーパー部8aと逆テーパー部8bの境界であり、最近接点Aと呼ぶ。ノズル8は、理想的には中心軸に対する回転体の形状を有していて、中心軸から見た角度毎に最近接点Aの深さ、すなわち、吐出孔8dからの距離が変わらないのが好ましい。しかし、実際は製造上ある程度のばらつきが生じる。最近接点Aが急激に角度の変わる角部であり、中心軸からの角度毎に、最近接点Aの深さ方向の位置にばらつきが大きい場合、吐出方向のばらつきも大きくなってしまう。そのため、テーパー部8aから逆テーパー部8bにかけては、角部がなく、滑らかに角度が変わっていることが好ましい。
また、ノズル8の内面の表面粗さは、テーパー部8aよりも逆テーパー部8bの方が小さくなっている。これにより、逆テーパー部8b側の凹凸の影響で吐出方向が、ばらつくことが抑制できる。逆テーパー部8bの表面粗さが大きいと、テールが逆テーパー部8bから離れるのが遅くなることで逆テーパー部8bの幅の差の影響が大きくなる、あるいは、最後にテールが離れる位置が表面粗さの影響でばらつくなどの影響があり、そのようなことが起き難くなるからであると考えられる。ノズル8の内面の表面粗さは、ノズル8を縦方向に切断したもので測定できる。テーパー部8aの表面粗さは、例えばRmax0.13〜0.25μm、逆テーパー部8bの表面粗さは、例えばRmax0.10〜0.15μmにする。逆テーパー部8bの表面粗さは、テーパー部8aの表面粗さより0.02μm以上小さければ、吐出方向のばらつきがより抑制できるので好ましい。
続いて、このようなノズル8を備えたノズルプレート31を製造する2つの製造方法について説明する。最初に、感光した部分が硬化するネガ型のフォトレジストを用いた製造方法を説明し、続いて、感光した部分が溶解するポジ型のフォトレジストを用いた製造方法を説明する。
図7(a)〜(e)は、ネガ型のフォトレジストを用いたノズルプレート31の製造方法の各工程における縦断面図である。まず、ステンレスなどの金属からなる電鋳基板102を準備する。電鋳基板102の、後述の工程でめっきによりノズルプレート31を形成する側の面は、Rmax100nm以下に研磨するのが好ましい。図7(a)のように、電鋳基板102の、研磨された面の側に、ネガ型のフォトレジスト膜104を形成する。フォトレジスト膜104は、液体のフォトレジストをスピンコーティング等の手法で塗布したり、ドライフィルム型レジストを加熱圧着することで形成する。
所望の寸法および配置でノズル8が形成できるようにマスクパターンが形成されたフォトマスク106を準備する。図7(b)のように、フォトマスク106を通して、フォトレジスト膜104を露光する。光源は、高圧水銀灯のg線(波長436nm)、高圧水銀灯のi線(波長365nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)などを用いればよい。
フォトマスク106は、ノズル8となる部分のみで光を透過するようになっており、その開口部に位置しているフォトレジスト膜104は、光が当たり、硬化する(以下で硬化した部分を硬化部と言うことがある)。フォトマスク106を通過した光は、光の回折現象により開口部より外側へ広がる。開口部の境界付近では、この外に広がっていった回折光の分、光が弱くなり、フォトレジスト膜104の感光量が低下する。基本的にフォトマスク106からの距離が大きくなるほど、この影響は大きくなる。つまり、フォトマスク106から離れるにしたがって、硬化部の範囲は徐々に狭まっていく。これにより、硬化部は、テーパー部8aを形成する形状になる。
しかし、電鋳基板102の直上部のフォトレジスト膜104は、電鋳基板102とフォトレジスト膜104との界面で反射した光によっても露光される。そのため、この界面付近では、硬化部の寸法は大きくなる。反射光はフォトレジスト膜104内で拡散し減衰するので、界面からに遠ざかるにつれて硬化部の大きさは徐々に小さくなっていく。
反射光の影響が出るのは、電鋳基板102とフォトレジスト膜104の界面から1〜10μm程度の範囲である。このようにして、硬化部は、界面付近では、逆テーパー部8bを形成する形状になる。界面からさらに離れたところでは、反射光の影響が少なくなり、上述の解説光の影響が大きくなるので、硬化部は、界面から離れるにしたがって大きくなるテーパー部8aを形成する形状になる。そして、これにより、逆テーパー部8bからテーパー部8aにかけて徐々に角度を変える形状となる硬化部が形成できる。ポジ型の製造方法の方が、逆テーパー部8bからテーパー部8aにかけての角度が滑らかに徐々に変わって繋がるようになるため、ノズルプレート31は、ネガ型よりもポジ型のフォトレジスト膜104で作製するのが好ましい。
ここで、フォトレジスト膜104が形成された側の面が上述のように研磨されているため、電鋳基板102で反射された光が、ノズル8の吐出孔8dとなる側でほぼ均一に反射される。これにより、ノズル8の逆テーパー部8bとなるフォトレジスト膜104の硬化部分の形状は、位置によるばらつきが小さくなる。研磨が不十分で、凹凸が有ったり、反射率が低い部分があると、ノズル8内の位置によって、反射した光に強弱の差が大きくなる。反射光が弱い部分があると、その部分で硬化が進まないため、逆テーパー部8bが小さくなり、逆テーパー部8aの幅も小さくなる。逆に、反射光が強い部分があると、その部分で硬化が進むため、逆テーパー部8aが大きくなり、逆テーパー部8aの幅も大きくなる。そのような部分があると、ノズル幅の内面の対向する部分の逆テーパー部8aの幅の差が大きくなり、その差が1.5μm以上になると、吐出方向に精度の低下が生じてしまう。
続いて、現像液により、未硬化のフォトレジスト膜104を取り除く。これによりノズル8の形状の元となる、フォトレジスト膜104の硬化部が、図7(c)のように、パターンニングされて残る。
上述の説明では、硬化している部分と未硬化の部分とが明確に異なるかのように説明しているが、実際には、硬化している部分と未硬化の部分との間の状態は、連続的に変わっている。硬化の程度が低い部分に対して、強く現像を行なえばフォトレジスト膜104が残らず、弱い現像を行なえばフォトレジスト膜104が残る。すなわち、露光による硬化の程度が同じであっても、現像の強弱によって、残る硬化部の形状には差が生じる。逆テーパー部8bとなる部分のフォトレジスト膜104は、上述のように、直接的に硬化される部分ではないため、現像の影響が出やすい。
現像は、例えば次のように行う。電鋳基板102を100rpmで回転させながら、現像液を供給する。そして、フォトレジスト膜104が現像膜に浸かった状態で、50秒間保持する静止現像の後、現像液を排出する。このような工程を数回繰り返す。ノズルプレート31となる領域は一方方向に長い矩形状の領域である。電鋳基板102を回転させながら現像液を供給する際に、現像液の流れる速度が、長い矩形状の領域の中で差が生じる。現像液の流れる速度が速いと、現像が強くなり、フォトレジスト膜104は残り難くなり、結果として、逆テーパー部8bは小さくなる。
一般的に言えば、ノズルプレート31となる矩形状の領域内で、現像の強弱の差は少ない方が望ましい。ただし、上述したように、この場合は、ノズルプレート31の厚さの影響と相殺するように、逆テーパー部8bの形状に、所望の差がつくようにする。なお、逆に、条件を調整しても残ってしまう現像の強弱の差を、ノズルプレート31の厚さを調整することで相殺してもよい。現像の調整は、例えば、次のように行なう。
ノズルプレート31となる矩形状の領域における両側の端部7b同士のにおける現像の差を少なくするには、矩形状の領域を回転に対して対称な位置に配置すればよい。そのようにすれば、現像の強弱は、ノズルプレート31となる矩形状の領域において、長手方向にほぼ対称になる。 より具体的には、回転の中心を通る仮想直線と、ノズルプレート31となる矩形状の領域の長手方向に沿った仮想直線とが、ノズルプレート31となる矩形状の領域の中央付近で、ほぼ直交するように、ノズルプレート31となる矩形状の領域を配置するのが好ましい。このようにすると、第1端部7baと第2端部7bbとで、現像液を供給する際の現像液の流れの速度をほぼ同じででき、現像の強さもほぼ同じにできる。なお、このようにすると、中央部7aでは、第1端部7baおよび第2端部7bbと比べて、現像液の速度が遅くなるので、現像は弱くなり、逆テーパー部8bは大きくなりやすい。
両側の端部7bと中央部7aとの現像の強弱の差を小さくするには、回転の影響を相対的に小さくすればよい。例えば、回転速度を遅くしたり、静止現像の時間を長くして、回転時の現像の影響を相対的に小さくすればよい。逆に、両側の端部7bと中央部7aとの現像の強弱の差を大きくするには、回転速度を速くしたり、静止現像の時間を短くすればよい。
なお、中央部7aの逆テーパー部8bを小さくするには、上述のような現像を行なった後、ノズルプレート31となる領域を区分けして、中央部7aのみに追加の現像を行なうようにすればよい。
上述のように、ノズルプレート31となる矩形状の領域の配置を対称にしても、第1端部7baと第2端部7bbとの間に、現像の強弱にわずかに差が生じることがある。これは、回転方向や、現像液の供給位置、現像液の供給量などが影響していると考えられる。この影響が大きい場合は、次のように調整して幅TE1と幅TE2との差を小さくする。
同じ条件で加工すれば、現像の強弱の傾向は、ほぼ同じになるので、その傾向を打ち消すようにする。例えば、第1端部7baが第2端部7bbよりも現像が強くなるであれば、ノズルプレート31となる矩形状の領域の配置を、回転に対して対称な位置から少しずらして、回転の中心から第2端部7bbまでの距離が、回転の中心から第1端部7baまで距離よりも少し長くなるようにすればよい。そうすれば第2端部7bbを通る現像液の速度が速くなり、現像の強さを強くできる。
現像液での現像の後、必要に応じて、超純水などですすいで、不要部分が残り難いようにする。
ノズルプレート31は、以上のようにして準備した、パターニングされたフォトレジスト膜104が形成された電鋳基板102に対してめっき膜31を形成することで作製する。電鋳基板102を、Ni、Cu、Cr、Ag、W、Pt、Pd、Rdなどを含んだめっき液に浸けて、電気を流すことで、図7(d)のように、フォトレジスト膜104が配置された電鋳基板102の面に、めっき膜31が形成される。めっき膜31は、例えば、Niを主成分としたものである。めっき膜31の形成は、フォトレジスト膜104の高さに達する前に時間管理などにより停止され、所定の厚さのノズルプレート31となる。
めっき膜31を形成する際、めっき液の中に、イオンの移動を制限する遮蔽板を配置することで、めっき膜31の厚さの分布を調整することができる。めっき液は、ノズルプレート31となるめっき膜31より大きいめっき槽に入れられている。つまり、イオンの流れる経路は、めっき膜31が形成される領域よりも広がっている。このような条件では、めっき膜31の中央部7aと比較して、めっきの膜31の外周部は、成長が速くなる。その結果、ノズルプレート31の外周部は、中央部7aと比較して厚みが厚くなる。遮蔽板を適宜配置することで、この傾向を弱めることができる。逆に、めっき膜31の外周部への遮蔽板の配置を多くし、イオンの流れる経路を中央部7aと比較して狭くすれば、ノズルプレート31の外周部の厚みを、中央部7aと比較して薄くできる。遮蔽板の配置をノズルプレート31に対して対称に配置しても、ノズルプレート31の厚さが非対称になることがある。これは、めっき槽中のノズルプレート31の位置などの影響であると考えられる。第1端部7baと第2端部7bbとの厚さの差が大きい場合、その差を考慮して遮蔽板を配置することで、第1端部7baと第2端部7bb2との厚さの差を小さくできる。
続いて、ノズル8内部のフォトレジスト膜104を、有機溶剤などを用いて除去する。さらに、ノズルプレート31を電鋳基板102から剥離する。
剥離したノズルプレート31は、図7(e)のように、図の上側にテーパー部8a、および図の下側に逆テーパー部8bを有するノズル8が形成されている。必要に応じて、ノズルプレート31の吐出孔8d側の表面に、フッ素樹脂やカーボンなどで撥水(撥インク)膜などを形成してもよい。
なお、露光を行なう前にあらかじめ加熱して硬化反応を促進するようにしてもよい。加熱工程はオーブンやホットプレート等を使用すれば容易に制御できる。また、この加熱工程により、フォトレジスト膜104において、電鋳基板102側の硬化反応がより促進されるので、現像後のフォトレジスト膜104の側面の表面粗さは、電鋳基板102から遠い側より、電鋳基板102に近い側の方が小さくなる。現像後のフォトレジスト膜104の側面の表面粗さは、ノズル8に転写されてノズル8の内面の表面粗さになる。そのため、以上のように作製すると、逆テーパー部8bの表面粗さをテーパー部8aの表面粗さより小さくできる。吐出特性への影響の大きい逆テーパー部8bの表面粗さが小さくなることにより、吐出特性のばらつきが低減できる。
図7(f)〜(j)は、ポジ型のフォトレジストを用いたノズルプレート31の製造方法の各工程における縦断面図である。
図7(f)では、電鋳基板202の一方の面に、ポジ型のフォトレジスト膜204が形成されている。電鋳基板202は上述のネガ型で用いたものとほぼ同じものを用いればよいが、フォトレジスト膜204側の面の研磨は、必ずしも必要ではない。この製造工程では、電鋳基板202とフォトレジスト膜204との界面側がノズル8の内部開口8c側となるので、電鋳基板202とフォトレジスト膜204との界面での反射光の影響で内部開口8c側の形成精度がばらついても、吐出孔8d側の形状がばらつく場合と比較して、吐出特性に与える影響が低いからである。しかし、研磨を行なうことにより、内部開口8c側の形成精度を高くでき、吐出特性のばらつきを低減できるので、研磨は行った方がよい。ポジ型のフォトレジスト膜204は、ネガ型のフォトレジスト膜104と同様の手法で形成することができる。
図7(g)では、フォトマスク206はノズル8となる部分のみ遮光するようになっており、その他の透過する部分に位置しているフォトレジスト膜204は溶解除去される。先のネガ型のフォトレジストを用いたノズルプレート31の製造工程と同様に、フォトマスク206を通過した光は、光の回折現象により遮光部より内側へ広がる。遮光部の境界付近では、内側に広がっていった回折光の分、光が弱くなり、フォトレジスト膜204の感光量が低下する。基本的にフォトマスク206からの距離が大きくなるほど、この影響は大きくなる。つまり、フォトマスク106から離れるにしたがって、溶解除去される範囲は徐々に狭まっていく。これにより図7(h)のようにテーパー部8aとなる形状が形成される。
図7(i)では、ネガ型のフォトレジストを用いた製造工程と同様にめっき膜31を形成している。ネガ型の製造方法では説明を省略したが、フォトレジスト膜204近傍では、周囲よりめっき膜31の形成速度が遅くなる。このため、同じ時間だけめっき膜31を形成しても、フォトレジスト膜204近傍では、めっき膜31は薄くなり、フォトレジスト膜204に向かってめっき膜31の厚さが徐々に薄くなっている湾曲部cが形成される。
ネガ型の工程では、図7(i)におけるめっき膜31の上の面が、吐出孔面31aとなる。つまり、逆テーパー部8bは、湾曲部31cを元にして形成される。湾曲部31cは、吐出孔面31bに向かって断面積が大きくなる逆テーパー形状をしている。しかし、めっき膜31の工程条件の管理だけでは、湾曲部31cにおける幅Tが所望の寸法の範囲になるような、高い精度で湾曲部31cを形成するのは困難である。
そこで、フォトレジスト膜204の残渣を取り除き、ノズルプレート31を電鋳基板202から剥離した後、ノズルプレート31を湾曲部31c側、すなわち吐出孔8d側から研磨する。この研磨はラッピング、バフ研磨、化学研磨、電解研磨等の様々な手法で行なえる。ノズルプレート31の場所によって研磨量を調整することによって、湾曲部31cにおける幅Tを調整することができる。研磨した後に残った湾曲部31cは、逆テーパー部31bとなる。
このように加工したノズルプレート31は、図7(j)のように、図の下側にテーパー部8a、および図の上側に逆テーパー部8bを有するノズル8が形成されている。そして、ノズルプレート31の場所によって研磨量を調整することによって、ノズルプレート31の中で逆テーパー部8bの幅Tの大きさを異ならせることができる。
なお、湾曲部31cは、ポジ型・ネガ型の両方の製造工程で生じる。ネガ型の工程では、湾曲部31cが吐出孔8d側に位置するため、湾曲部31cの形状のばらつきが、吐出に与える影響が大きい。そのため、上述のように研磨を行なうことで、逆テーパー部31bの幅Tを調整する。ポジ型では、湾曲部31cは、内部開口8c側に位置しており、ネガ型と比較して吐出に与える影響は小さいので、ばらついた湾曲部31cの形状をそのままにしてもよい。また、ネガ型と同様に研磨して形状を整えてもよいし、研磨により湾曲部31cを取り除いてしまってもよい。
1・・・プリンタ
2・・・液体吐出ヘッド
4・・・流路部材
5・・・マニホールド
5a・・・副マニホールド
5b・・・マニホールドの開口
6・・・個別供給流路
7・・・ノズル配置領域
7a・・・(ノズル配置領域の)中央部
7b・・・(ノズル配置領域の)端部
7ba・・・(ノズル配置領域の)第1端部
7bb・・・(ノズル配置領域の)第2端部
8・・・ノズル、貫通孔
8a・・・テーパー部
8b・・・逆テーパー部
8c・・・内部開口
8d・・・吐出孔
9・・・加圧室群
10・・・加圧室
11a、b、c、d・・・加圧室列
12・・・しぼり
13・・・ヘッド本体
15a、b、c、d・・・吐出孔列
21・・・圧電アクチュエータ基板
21a・・・圧電セラミック層(セラミック振動板)
21b・・・圧電セラミック層
22〜30・・・プレート
31・・・プレート(ノズルプレート)、めっき膜
31a・・・吐出孔面、第1面
31b・・・第2面
31c・・・湾曲部
32・・・個別流路
34・・・共通電極
35・・・個別電極
35a・・・個別電極本体
35b・・・引出電極
36・・・接続電極
50・・・変位素子
70・・・ヘッド搭載フレーム
72・・・ヘッド群
80A・・・給紙ローラ
80B・・・回収ローラ
82A・・・ガイドローラ
82B・・・搬送ローラ
88・・・制御部
102、202・・・電鋳基板
104、204・・・フォトレジスト膜
106、206・・・フォトマスク
A・・・最近接点
P・・・印刷用紙
T、T1a、T1b、T2a、T2b・・・逆テーパー部の幅

Claims (7)

  1. 第1面と、該第1面の反対側の面である第2面と、前記第1面から前記第2面まで貫通している、ノズルとなる複数の貫通孔とを有しており、 前記貫通孔は、少なくとも液体が吐出される側である前記第1面側において、該第1面へ向かって断面積が大きくなっている逆テーパー部を備えており、
    前記第1面は、第1領域と、該第1領域と重ならない第2領域を有しており、
    前記第1領域には、前記貫通孔である第1貫通孔が配置されており、前記第2領域には、前記貫通孔である第2貫通孔が配置されており、
    前記第1面側から見た場合の前記逆テーパー部の幅をTとするとき、前記第1貫通孔の前記逆テーパー部の幅Tが、前記第2貫通孔の前記逆テーパー部の幅Tより大きく、
    前記第1領域における厚さが、前記第2領域における厚さより薄いことを特徴とするノズルプレート。
  2. 前記第1面の所定方向における中央部が前記第1領域であり、前記所定方向における両側の端部が前記第2領域であることを特徴とする請求項1に記載のノズルプレート。
  3. 前記第1面の所定方向における中央部が前記第2領域であり、前記所定方向における両側の端部が前記第1領域であることを特徴とする請求項1に記載のノズルプレート。
  4. 前記所定方向における両側の端部のうちの一つを第1端部、他の一つを第2端部とし、前記第1端部における前記逆テーパー部の幅TをTE1とし、前記第2端部における前記逆テーパー部の幅TをTE2とするとき、
    TE1とTE2との差の絶対値は、TE1とTE2との平均値の1/5以下であることを特徴とする、請求項2または3に記載のノズルプレート。
  5. 前記所定方向における両側の端部のうちの一つを第1端部、他の一つを第2端部とし、前記第1端部における厚さをDE1とし、前記第2端部における厚さをDE2とするとき、
    DE1とDE2との差の絶対値は、DE1とDE2との平均値の1/20以下であることを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載のノズルプレート。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のノズルプレートと、前記複数の貫通孔にそれぞれ繋がっている複数の加圧室と、該複数の加圧室にそれぞれ圧力を加える複数の加圧部とを備えていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  7. 請求項6に記載の液体吐出ヘッドと、記録媒体を前記液体吐出ヘッドに対して搬送する搬送部と、前記液体吐出ヘッドを制御する制御部とを備えていることを特徴とする記録装置。
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