以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本実施形態に係る空気圧縮装置X1,X2の構成部材のうち主要部材のみを簡略化して示したものである。したがって、本実施形態に係る空気圧縮装置X1,X2は、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。
(第1の実施形態)
図1および図2は、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1が搭載された鉄道車両100を示している。空気圧縮装置X1によって生成された圧縮空気は、鉄道車両100に搭載されるブレーキ装置あるいは扉開閉装置等の各種の空圧機器を作動させるために用いられる。なお、空気圧縮装置X1は、鉄道車両100に搭載されていなくともよく、空圧機器が搭載された他の車両等の機器に搭載されてもよい。
鉄道車両100は、床部100aと、当該床部100bの上方に位置する上壁部100bと、床部100aと上壁部100bとを繋ぐように鉛直方向に延びる一対の側壁部100c,100dと、を有している。また、鉄道車両100は、床部100aに取り付けられた車輪と、側壁部100c,100dに取り付けられた扉部と、を有している。鉄道車両100の利用者は、駅のプラットホームから側壁部100cまたは側壁部100dに取り付けられた扉部を通じて鉄道車両100の内部に乗り込む。そして、鉄道車両100は、図2に示すように、枕木102および当該枕木102に直交する方向に延びるレール101によって構成される軌道上を、当該レール101に沿って走行する。なお、枕木102の延びる方向を第1方向A1と称し、第1方向A1に直交し、レール101の延びる方向を第2方向B1と称する。
空気圧縮装置X1は、図1に示すように、鉄道車両100の床部100aに対して下方から取り付けられている。また、空気圧縮装置X1は、図2に示すように、第1方向A1において側壁部100dよりも側壁部100cに近い側に配置されている。
次に、図1および図2に加えて、図3および図4を参照しながら、空気圧縮装置X1について具体的に説明する。図3は、空気圧縮装置X1の概略構成を示す斜視図である。図4は、図3に示した空気圧縮装置X1から後述するパネルユニット11およびフィルタパネル16を取り外した状態の図である。図5は、第2方向B1から空気圧縮装置X1を視た図であって、後述する筐体10の側面を透視した図である。
図3〜図5に示すように、空気圧縮装置X1は、主に、筐体10と、筐体10の内部に収容されたモータユニット17およびコンプレッサユニット19と、筐体10の外部に配置されたコントローラユニット18と、を備えている。空気圧縮装置X1では、コントローラユニット18によって駆動されたモータユニット17に連動してコンプレッサユニット19が駆動される。これにより筐体10の外部からコンプレッサへと流入した空気が圧縮される。
筐体10は、モータユニット17およびコンプレッサユニット19等の空気圧縮装置X1が備える各種部材を収容する。第1の実施形態では、筐体10は、吊り下げ部材200を介して鉄道車両100の床部100aの下側に吊り下げられるように床部100aに固定されている。具体的には、筐体10は、互いに対向する上部10Aおよび下部10Bと、互いに対向する前部10Dおよび後部10Eと、互いに対向する一方の側部および他方の側部と、を有する略六面体形状をなしている。そして、上部10A、下部10B、前部10D、後部10E、一方の側部、および他方の側部に取り囲まれる空間は、空気圧縮装置X1が備える各種部材を収容する収容空間となる。
第1の実施形態では、空気圧縮装置X1は、上部10Aが床部100aに対向するとともに、第1方向A1における側壁部100c側に前部10Dが位置し且つ側壁部100d側(車幅方向の中央側)に後部10Eが位置する姿勢で、鉄道車両100に搭載されている。
筐体10は、図4に示すように、当該筐体10の内部の収容空間を二分割するように上部10Aと下部10Bとの間に設けられた中間部10Cを有している。第1の実施形態では、図4および図5に示すように、筐体10の内部の収容空間のうち、上部10Aと中間部10Cとの間に形成される空間がコンプレッサユニット19を収容する第1収容空間S1となり、中間部10Cと下部10Bとの間に形成された空間がコンプレッサユニット19を収容する第2収容空間S2となる。すなわち、第1の実施形態では、モータユニット17とコンプレッサユニット19とは、鉛直方向C1において互いにずれて配置されている。これにより、空気圧縮装置X1の水平方向における占有面積を小さくすることができる。
なお、第1の実施形態では、筐体10は、略六面体形状をなしているが、これに限らない。筐体10の形状は任意であって、当該筐体10の内部に収容される各種部材の大きさや配置等に応じて適宜変更することができる。
また、中間部10Cはなくともよい。例えば、コンプレッサユニット19を上部10Aに固定するとともにモータユニット17を下部10Bに固定することにより、コンプレッサユニット19とモータユニット17とを鉛直方向C1にずれるように配置してもよい。
モータユニット17は、図4に示すように、筐体10の内部の第1収容空間S1に収容されている。モータユニット17は、第1モータ17Aと、第2モータ17Aと、を有している。第1モータ17Aと第2モータ17Aとは、図6に示すように、互いに並んで配置されている。第1の実施形態では、第1モータ17Aと第2モータ17Aとが並ぶ方向は、第2方向B1と平行な方向となっている。第1モータ17Aと第2モータ17Aとは、互いに同じ構造をなしており、第2方向B1において対称な姿勢で配置されている。以下では、第1モータ17Aについて説明する。
第1モータ17Aは、出力軸171と、モータ本体172と、モータファン173と、駆動プーリ174と、を有している。
出力軸171は、モータ本体172から筐体10の一方の側部側へ突出している。駆動プーリ174は、当該突出した出力軸171に取り付けられている。これにより、モータ本体172と駆動プーリ174とは、出力軸171の軸方向に並んでいる。第1の実施形態では、第1モータ17Aは、モータ本体172と駆動プーリ174とが第2方向B1に並ぶように配置されている。
モータ本体172の外周面には、複数の冷却フィン172aが形成されている。各冷却フィン172aは、出力軸171の軸方向に沿って延びており、モータ本体172の周方向に間隔をあけて配置されている。
モータファン173は、モータ本体172を冷却するための気流を発生させる。モータファン173は、モータ本体172および駆動プーリ174と同軸に取り付けられている。すなわち、モータファン173は、出力軸171に取り付けられている。モータファン173は、モータ本体172を挟んで駆動プーリ174とは反対側に位置している。すなわち、第1の実施形態では、モータファン173は、第2方向B1において駆動プーリ174よりも第2モータ17B側に位置している。
モータファン173は、モータ本体172の駆動に伴う出力軸171の回転に応じて駆動され、筐体10の内部の第2収容空間S2に気流を発生させる。当該気流は、各冷却フィン172aの間を通過することにより、第2収容空間S2を第2方向B1に沿って流れることになる。
コントローラユニット18は、筐体10の外部において当該筐体10の後部10Eに取り付けられている。コントローラユニット18は、箱状部材と、当該箱状部材の内部に収容されておりモータユニット17の駆動を制御するコントローラと、を有している。各モータ17A,17Bのモータ本体172は、コントローラユニット18によって駆動されることになる。なお、コントローラユニット18は、モータユニット17の駆動を制御するコントローラの他にも各種の電子部品が収容されてもよい。
コンプレッサユニット19は、図4に示すように、筐体10の内部の第2収容空間S2に収容されている。具体的には、コンプレッサユニット19は、筐体10の中間部10C上に搭載されている。コンプレッサユニット19は、第1コンプレッサ19Aと、第2コンプレッサ19Bと、を有している。第1コンプレッサ19Aと第2コンプレッサ19Bとは、互いに並んで配置されている。第1コンプレッサ19Aは、第1モータ17Aの上方に配置されており、第2コンプレッサ19Bは、鉛直方向C1において第2モータ17Aの上方に配置されている。このため、第1の実施形態では、第1コンプレッサ19Aと第2コンプレッサ19Bとは、第2方向B1に並んでいる。
第1コンプレッサ19Aと第2コンプレッサ19Bとは、互いに同じ構造をなしている。第1コンプレッサ19Aと第2コンプレッサ19Bとは、第2方向B1において、それぞれの吸入ポートが対向するように、互いに対称な姿勢で互いに間隔をあけて配置されている。以下では、第1コンプレッサ19Aについて説明する。
第1コンプレッサ19Aは、コンプレッサ本体19aと、駆動プーリ19bと、入力軸19cと、を有している。
入力軸19cは、コンプレッサ本体19aから筐体10の一方の側部側に突出している。駆動プーリ19bは、当該突出した入力軸19cに取り付けられている。これにより、コンプレッサ本体19aと駆動プーリ19bとは、入力軸19cの軸方向に並んでいる。第1の実施形態では、第1コンプレッサ19Aは、コンプレッサ本体19aと駆動プーリ19bとが第2方向B1に並ぶように配置されている。第1コンプレッサ19Aの駆動プーリ19bは、鉛直方向C1において第1モータ17Aの駆動プーリ174に重なるように配置されている。
図4に示すように、第1コンプレッサ19Aの駆動プーリ19bおよび第1モータ17Aの駆動プーリ174には、無端のベルトBが巻き付けられている。具体的に、筐体10の中間部10Cには、当該筐体10の側部側において第1収容空間S1と第2収容空間S2とを連通する貫通孔が形成されている。当該連貫通孔は、鉛直方向C1において駆動プーリ19b,174に重なっている。そして、ベルトBは、当該貫通孔を通じて第1収容空間S1から第2収容空間S2に亘って配置され、各収容空間S1,S2において駆動プーリ19b,174のそれぞれに取り付けられている。第1コンプレッサ19Aのコンプレッサ本体19aには、第1モータ17Aのモータ本体172の駆動に伴ってベルトBが駆動プーリ19b,174周りを周回することにより、入力軸19cを介して駆動力が伝達される。これにより、第1コンプレッサ19Aのコンプレッサ本体19aは、圧縮空気を生成することになる。
空気圧縮装置X1は、図5および図7に示すように、筐体10の外部の空気を内部へ流入させるフィルタ部材25と、フィルタ部材25からコンプレッサ本体19aへと空気を案内する案内路20と、コンプレッサ本体19aにおいて生成された圧縮空気を当該コンプレッサ本体19aから流出させる流出配管部21と、流出配管部21を流れる圧縮空気を冷却するためのアフタークーラ22と、をさらに備えている。
案内路20は、筐体10の内部の第1収容空間S1に収容されている。具体的には、案内路20は、図7に示すように、第1コンプレッサ19Aと第2コンプレッサ19Bとの間に配置されており、前部10D側から後部10E側に亘って延びている。第1の実施形態では、案内路20は、第1方向A1に沿って延びている。案内路20は、空気を内部に流入させる流入開口20aと、当該空気を第1,第2コンプレッサ19A,19B内に流入させる第1流出開口20bおよび第2流出開口20cと、を有している。
流入開口20aは、案内路20のうち筐体10の前部10Dに対向する面に形成されている。フィルタ部材25の一端は、トリムシールを介して案内路20の流入開口20aに嵌め込まれている。これにより、筐体10の外部からフィルタ部材25に流入した空気は、流入開口20aを通じて案内路20に流入する。
第1流出開口20bは、案内路20のうち第1コンプレッサ19Aに対向する面に形成されている。第1流出開口20bは、符略の連結配管を通じて第1コンプレッサ19Aにおける吸入ポートに繋がっている。これにより、案内路20に流入した空気は、第1流出開口20bを通じて案内路20から流出し、第1コンプレッサ19Aに流入することになる。
第2流出開口20cは、案内路20のうち第2コンプレッサ19Bに対向する面に形成されている。第2流出開口20cは、符略の連結配管を通じて第2コンプレッサ19Bにおける吸入ポートに繋がっている。これにより、案内路20に流入した空気は、第1流出開口20bを通じて案内路20から流出し、第2コンプレッサ19Bに流入することになる。
流出配管部21は、第1コンプレッサ19Aのコンプレッサ本体19aに繋がる第1流出配管21aと、第2コンプレッサ19Bのコンプレッサ本体19aに繋がる第2流出配管21bと、第1流出配管21aと2流出配管21bとを連結させるマニホールド部21cと、当該マニホールド部21cにおいて合流した圧縮空気が流れる合流配管21dと、を有している。
第1流出配管21aは、図4に示すように、第1コンプレッサ19Aにおける第2コンプレッサ19Bに対向する面に接続され、前部10D側に延びるとともに、当該前部10Dの近傍において上方へと折れ曲がり、上部10Aに向かって延びている。案内路20を通じて第1コンプレッサ19Aにおけるコンプレッサ本体19aの吸入ポートに流入した空気は、当該コンプレッサ本体19aにおいて圧縮され、第1流出配管21aを通じて流出することになる。
第2流出配管21bは、図4に示すように、第2コンプレッサ19Bにおける第1コンプレッサ19Aに対向する面に接続され、前部10D側に延びるとともに、当該前部10Dの近傍において上方へと折れ曲がり、上部10Aに向かって延びている。案内路20を通じて第2コンプレッサ19Bにおけるコンプレッサ本体19aの吸入ポートに流入した空気は、当該コンプレッサ本体19aにおいて圧縮され、第2流出配管21bを通じて流出することになる。
マニホールド部21cは、図4,図5に示すように、筐体10の上部10Aに取り付けられている。具体的には、マニホールド部21cは、筐体10の内部の第1収容空間S1に収容されており、上部10Aのうち、第1コンプレッサ19Aと第2コンプレッサ19Bとの間における前部10D側に取り付けられている。第1,第2流出配管21a,21bは、マニホールド部21cに接続されており、これによりマニホールド部21cにおいて第1流出配管21aを流れる圧縮空気と第2流出配管21bを流れる圧縮空気とが合流する。
合流配管21dは、図5に示すように、マニホールド部21cに接続されており、筐体10の上部10Aに沿って当該筐体10の前部10D側から後部10E側へと延びている。マニホールド部21cにおいて合流した圧縮空気は、合流配管21dへと流入し、筐体10の前部10D側から後部10E側へと流れることになる。
ここで、図5に示すように、筐体10の後部10Eのうち第1収容空間S1を取り囲む部位には、当該第1収容空間S1と筐体10の外部とを連通する流出口10cが形成されている。具体的には、流出口10cは、後部10Eのうち上部10A側の部位に形成されている。そして、筐体10の外部において、後部10Eには、流出口10cを覆うように外部ダクト部40が取り付けられている。合流配管21dは、前部10D側から後部10E側へと延びるとともに、当該後部10Eに形成された流出口10cを通じて筐体10の外部に設けられた外部ダクト部40内へと延びている。
アフタークーラ22は、筐体10の外部において、当該筐体10の後部10Eに取り付けられている。アフタークーラ22は、蛇行配管22aと、当該蛇行配管22aを収容する保護カバー22bと、筐体10の外部の空気を保護カバー22b内へと送出するクーラファン22cと、を有している。
保護カバー22bは、筐体10の外部において、後部10Eに取り付けられた外部ダクト部40の後方および上方に配置されている。蛇行配管22aは、保護カバー22bの内部を第2方向B1に蛇行しながら延びている。後部10Eに取り付けられた外部ダクト部40内に配索された合流配管21dは、蛇行配管22aに繋がっている。合流配管21dを流れた圧縮空気は、当該蛇行配管22aに流入する。クーラファン22cは、外部ダクト部40の下方において後部10Eと保護カバー22bとの間に配置されている。クーラファン22cは、筐体10の外部の空気を吸い込んで保護カバー22b内へと送出する。
空気圧縮装置X1は、図3および図4に示すように、筐体10の前部10Dに形成された冷却用空気流入口10bを開閉可能に設けられたフィルタパネル16をさらに備えている。
冷却用空気流入口10bは、筐体10の内部に空気を流入させることによって、当該筐体10の内部の各種部材を冷却するために形成されている。冷却用空気流入口10bは、筐体10の前部10Dに形成されている。具体的に、筐体10の前部10Dは、図4に示すように中間部10Cが固定される梁部10dを有している。梁部10dは、上部10Aおよび下部10Bに平行に延びている。冷却用空気流入口10bは、梁部10dと下部10Bとの間に形成されており、略矩形状をなしている。これにより、冷却用空気流入口10bは、筐体10の外部と筐体10の内部の第2収容空間S2とを連通している。
フィルタパネル16は、冷却用空気流入口10bを覆うように筐体10の前部10Dに取り付けられている。フィルタパネル16は、図3および図5に示すように、細長い複数の板状部材を互いに間隔をあけて平行に組み付けたルーバ161と、当該ルーバ161の後面に取り付けられたフィルタ部162と、を有している。ルーバ161は、フィルタ部162が冷却用空気流入口10bに嵌め合わされるように、筐体10の前部10Dに取り付けられている。
ルーバ161には、ヒンジ161aと、レバー錠161bと、が取り付けられている。ヒンジ161aは、鉛直方向C1におけるルーバ161の上端部を、筐体10の前部10Dに対して固定している。レバー錠161bは、鉛直方向C1におけるルーバ161の下端部を、筐体10の前部10Dに対して着脱可能に固定している。このため、空気圧縮装置X1では、レバー錠161bを開放し、ヒンジ161aを回動中心としてフィルタパネル16を回動させることにより、冷却用空気流入口10bを開くことが可能である。
ルーバ161を通過した空気は、フィルタ部162において塵が取り除かれる。そして、塵が取り除かれた空気は、冷却用空気流入口10bを通じて筐体10の内部の第2収容空間S2へと流入することになる。
ここで、図4、図5に示すように、中間部10Cの前部10D側には、当該中間部10Cを鉛直方向C1に貫通する貫通孔10eが形成されている。貫通孔10eは、コンプレッサユニット19およびモータユニット17よりも前部10D側に形成されている。第1の実施形態では、貫通孔10eは、第1モータ17Aの前方から第2モータ17Bの前方に亘って延びる矩形状をなしている。貫通孔10eは、第1収容空間S1と第2収容空間S2とを連通している。このため、冷却用空気流入口10bを通じて筐体10の内部の第2収容空間S2へと流入した空気は、モータユニット17に至る前に貫通孔10eを通じて第1収容空間S1へと移動することが可能である。
なお、第1の実施形態では、中間部10Cのうち筐体10の側部側の部位には、ベルトBが通過する貫通孔が形成されているため、第2収容空間S2に流入した空気は、当該貫通孔を通じて第1収容空間S1へと移動することも可能である。
空気圧縮装置X1は、図3および図4に示すように、筐体10の前部10Dに形成された開口10aを開閉可能に設けられたパネルユニット11をさらに備えている。
開口10aは、筐体10の内部に収容されたコンプレッサユニット19等をメンテナンスするために形成されている。開口10aは、筐体10の前部10Dに形成されている。具体的に、開口10aは、梁部10dと上部10Aとの間に形成されており、略矩形状をなしている。これにより、開口10aは、筐体10の外部と筐体10の内部の第1収容空間S1とを連通している。第1の実施形態では、開口10aは、冷却用空気流入口10bの上方に位置している。
パネルユニット11は、開口10aを覆うように筐体10の前部10Dに取り付けられている。パネルユニット11は、図8に示されるように、パネル部材12と、当該パネル部材12の一部に取り付けられた吸音部材13と、パネル部材12に固定されたファン装置ユニット14と、当該ファン装置ユニット14に固定されたアダプタユニット15と、を有している。
パネル部材12は、開口10aを開閉可能に設けられている。パネル部材12は、本体部121と、当該本体部121から筐体10の外側に向けて膨出した膨出部122と、を備えている。
本体部121は、筐体10の前部10Dに沿った平板状をなしている。本体部121は、パネル部材12の全体で開口10aを覆うように筐体10の前部10Dに取り付けられている。これにより、開口10aは、パネル部材12によって閉じられた状態にある。第1の実施形態では、本体部121は、開口10aを開くことが可能なように、前部10Dにボルトで固定されている。このため、空気圧縮装置X1では、パネル部材12の本体部121と筐体10の前部10Dとを固定するボルトを取り外し、パネルユニット11を筐体10から取り外すことにより、開口10aを開くことが可能である。
なお、第1の実施形態では、パネル部材12の本体部121は、ボルトによって前部10Dに固定されているが、これに限らない。パネル部材12の本体部121は、例えば、フィルタパネル16と同様に、ヒンジ部とレバー錠とによって筐体10の前部10Dに固定されてもよい。この場合、パネル部材12は、レバー錠を開放あるいは閉鎖することにより開口10aを開閉することが可能である。
本体部121には、当該本体部121を貫通する圧縮用空気流入口121aが形成されている。圧縮用空気流入口121aは、筐体10の外部の空気を筐体10の内部の案内路20へ流入させるためのものである。圧縮用空気流入口121aは、案内路20の流入開口20aに対向する位置に形成されている。第1の実施形態では、圧縮用空気流入口121aは、第1方向A1において案内路20の流入開口20aと並ぶように配置されている。そして、フィルタ部材25は、圧縮用空気流入口121aに嵌め込まれるように本体部121に対して着脱可能に取り付けられている。この状態で、フィルタ部材25の一端は、案内路20の流入開口20aに嵌め込まれている。
膨出部122は、パネル部材12の背面の一部が当該パネル部材12の表面側に凹むことにより形成されている。すなわち、膨出部122は、パネル部材12において本体部121と一体に構成されている。第1の実施形態では、膨出部122は、第1方向A1における筐体10の外側に向けて凹んでいる。膨出部122は、図3に示すように、対向部122bと、側方部122aと、を有している。
対向部122bは、前部10Dに直交する方向(直交方向)において後述するファン装置ユニット14に対向する部位である。対向部122bは、本体部121よりも前方に位置している。具体的には、対向部122bは、前記直交方向において本体部121を挟んでコンプレッサユニット19の反対側に位置している。
側方部122aは、対向部122bと本体部121とを繋ぐように前記直交方向に延びる部位である。側方部122aは、ファン装置ユニット14における側面14cに対向している。側方部122aは、ファン装置ユニット14の上方において水平方向に延びる第1部位122cと、ファン装置ユニット14の両側方において鉛直方向に延びる第2,第3部位122d,122eと、ファン装置ユニット14の下方において水平方向に延びる第4部位122fと、を含む。側方部122aは、各部位122c〜122fが一繋ぎに繋がることによりファン装置ユニット14を周方向に取り囲む閉ループ状をなしている。なお、第1の実施形態では、第4部位122fの中間部分は、本体部121に形成された圧縮用空気流入口121aを避けるように、第1部位122c側に凹んでいる。
膨出部122は、第1膨出部122Aと、第2膨出部122Bと、を有している。第1膨出部122Aは、前部10Dに直交する直交方向において第1コンプレッサ19Aと重なっている。第2膨出部122Bは、前部10Dに直交する直交方向において第2コンプレッサ19Bと重なっている。第1膨出部122Aと第2膨出部122Bとは、圧縮用空気流入口121aを挟んで並んで位置している。第1の実施形態では、第1膨出部122Aにおける対向部122bおよび側方部122aによって取り囲まれる空間を第1凹空間S3と称し、第2膨出部122Bにおける対向部122bおよび側方部122aによって取り囲まれる空間を第2凹空間S4と称する。なお、第1の実施形態では、第1膨出部122Aと第2膨出部122Bとは、鉛直方向C1における圧縮用空気流入口121aの上方において互いに連結されている。すなわち、第1凹空間S3と第2凹空間S4とは、互いに繋がっている。
なお、第1の実施形態では、第1膨出部122Aと第2膨出部122Bとが互いに連結されているが、これに限らず、第1膨出部122Aと第2膨出部122Bとが互いに独立していてもよい。この場合、第1凹空間S3と第2凹空間S4とは、互いに独立した空間となる。
ファン装置ユニット14は、筐体10の内部の空気をコンプレッサユニット19に向けて送出する。ファン装置ユニット14は、鉛直方向C1において冷却用空気流入口10bとずれて位置している。具体的には、ファン装置ユニット14は、冷却用空気流入口10bの上方に位置している。ファン装置ユニット14は、一部が第1凹空間S3に配置された第1ファン装置14Aと、一部が第2凹空間S4に配置された第2ファン装置14Bと、を有している。第1の実施形態では、第1ファン装置14Aおよび第2ファン装置14Bは、それぞれ前部10Dに直交する直交方向に重なるように配置された2つの軸流ファンによって構成されている。なお、第1ファン装置14Aおよび第2ファン装置14Bのそれぞれを構成する軸流ファンの数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
第1ファン装置14Aと第2ファン装置14Bとは、互いに同じ構造をなしている。以下では、第1ファン装置14Aについて説明する。
第1ファン装置14Aは、冷却用空気流入口10bから筐体10の内部の内部に流入した空気を吸い込む吸込口14aと、吸込口14aの反対側に位置しており空気を送出する送出口14bと、当該第1ファン装置14Aをパネル部材12に取り付けるための取付け部14dと、を有している。第1ファン装置14Aは、筒状の側面14cの内側に羽根車が配置された構成である。そして、吸込口14aは、筒状の側面14cにおける一端側の開口によって形成され、送出口14bは、側面14cにおける他端側の開口によって形成されている。第1の実施形態では、吸込口14aおよび送出口14bは、略円形状をなしている。
第1ファン装置14Aは、図5に示すように、吸込口14aが第1膨出部122Aの対向部122bに対して間隔をあけて対向するとともに、送出口14bが第1コンプレッサ19A側を向く姿勢で配置されている。具体的には、第1ファン装置14Aは、吸込口14aが第1凹空間S3内に位置するように、当該第1凹空間S3から第1収容空間S1に亘って配置されている。より具体的には、第1ファン装置14Aのうち吸込口14aが設けられた側の側面14cの端部は、側方部122aのうち第1コンプレッサ19A側の端部よりも対向部122bに近い側に配置されている。また、第1ファン装置14Aは、当該第1ファン装置14Aを構成する軸流ファンの軸心が筐体10の後部10Eに形成された流出口10cからずれるように配置されている。
第1ファン装置14Aの取付け部14dは、第1ファン装置14Aの側面14cから当該第1ファン装置14Aの径方向に延びている。そして、第1ファン装置14Aの取付け部14dは、ボルトを介してパネル部材12に取り付けられている。これにより、第1ファン装置14Aは、当該第1ファン装置14Aの側面14cの一部が第1膨出部122Aの側方部122aに対して間隔をあけて対向するように、パネル部材12に取り付けられている。なお、第1ファン装置14Aは、その全体が第1凹空間S3内に位置するようにパネル部材12に固定されていてもよい。
なお、第2ファン装置14Bについては、詳細な説明は省略するが、第1ファン装置14Aと同様に、第2ファン装置14Bの側面14cの一部が第2膨出部122Bの側方部122aに対して間隔をあけて対向するように、パネル部材12に固定されている。
アダプタユニット15は、ファン装置ユニット14における送出口14bから送出された空気をコンプレッサユニット19へ導く。アダプタユニット15は、第1ファン装置14Aの送出口14b側に固定された第1アダプタ15Aと、第2ファン装置14Bの送出口14bに固定された第2アダプタ15Bと、を有している。第1アダプタ15Aは、第1ファン装置14Aの送出口14bと第1コンプレッサ19Aとの間に配置されている。第2アダプタ15Bは、第2ファン装置14Bの送出口と第2コンプレッサ19Bとの間に配置されている。第1アダプタ15Aと第2アダプタ15Bとは、互いに同じ構造をなしている。以下では、第1アダプタ15Aについて説明する。
第1アダプタ15Aは、図9に示すように、矩形状をなす板状の部材である。第1アダプタ15Aは、第1ファン装置14Aの送出口14bに対向する一方主面(第1主面)15aと、第1コンプレッサ19Aに対向する他方主面(第2主面)15bと、を有している。一方主面15aには、送出口14bの形状に対応する円形状の一方開口(第1開口)15cが形成されている。他方主面15bには、第1方向A1における第1コンプレッサ19Aの矩形状の外形に対応する矩形状の他方開口(第2開口)15dが形成されている。そして、一方開口15cと他方開口15dとは、互いに連通しており、これにより第1アダプタ15Aを貫通する貫通孔15eが形成されている。すなわち、第1アダプタ15Aの貫通孔15eは、第1ファン装置14A側において前記送出口14bの形状に対応する形状をなすとともに、第1コンプレッサ19A側において当該第1コンプレッサ19Aの外形状に対応する形状をなしている。
なお、アダプタユニット15はなくともよく、ファン装置ユニット14の送出口14bからコンプレッサユニット19のコンプレッサ本体19aへと直接空気が送出されてもよい。
吸音部材13は、第1,第2凹空間S3,S4に配置され、当該第1,第2凹空間S3,S4を通過する空気による空気圧縮装置X1の騒音を低減する。図8及び図10に示すように、吸音部材13は、膨出部122に取り付けられている。具体的には、吸音部材13は、膨出部122の側方部122aの内面および対向部122bの内面に沿って設けられた周縁部13aと、第1凹空間S3と第2凹空間S4とを区画するように圧縮用空気流入口121aの上方の空間に配置された区画部13bと、を有している。周縁部13aおよび区画部13bは、ファン装置ユニット14とは間隔をあけて配置されている。
第1の実施形態では、周縁部13aは、側方部122aの第1部位122c、第2部位122d、第3部位122e、第4部位122f、および対向部122bの全体に亘って設けられている。なお、周縁部13aは、側方部122aおよび対向部122bの一部にのみ設けられてもよい、例えば、周縁部13aは、対向部122bにのみ設けられてもよい。また、周縁部13aは、側方部122aの第1部位122cにのみに設けられていてもよい。
空気圧縮装置X1は、図5に示すように、ファン装置ユニット14の送出口14bからコンプレッサユニット19へと送出された空気を筐体10の後部10Eに形成された流出口10cに向けて屈曲させるようにガイドする流出ガイド部23をさらに備えている。
流出ガイド部23は、筐体10の内部の第1収容空間S1において、コンプレッサユニット19の後方に配置されている。具体的には、流出ガイド部23は、コンプレッサユニット19を挟んでファン装置ユニット14の反対側に位置している。第1の実施形態では、流出ガイド部23は、第1収容空間S1内において後部10Eに取り付けられている。流出ガイド部23は、ファン装置ユニット14を構成する軸流ファンの軸方向においてコンプレッサユニット19に対向する対向部23bと、当該対向部23bの縁からコンプレッサユニット19に向けて延びる側方部23aと、を有している。
対向部23bには、筐体10の外面に形成された流出口10cに連通する連通孔23cが形成されている。この連通孔23cは、ファン装置ユニット14を構成する軸流ファンの軸心から外れたところに位置している。流出配管部21の合流配管21dは、上部10Aに沿って流出ガイド部23内へ延び、連通孔23cおよび流出口10cを通じて筐体10の外部の外部ダクト部40へとさらに延びている。
流出ガイド部23の内面には、吸音部材24が設けられている。本実施形態では、吸音部材24は、側方部23aの全体、および連通孔23cを除く対向部23bの全体に亘って設けられている。
以上説明した第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、図10に示すように筐体10の内部を流れる空気によってコンプレッサユニット19が冷却される。以下では、図10を参照しながら、コンプレッサユニット19のうち第1コンプレッサ19Aを冷却する空気の流れについて説明する。なお、第2コンプレッサ19Bについても、第1コンプレッサ19Aと同様にして冷却されることになる。
空気圧縮装置X1では、冷却用空気流入口10bを通じて筐体10の外部から筐体10の内部の第2収容空間S2へ、水平方向に空気が流入する。第2収容空間S2に流入した空気の一部は、モータユニット17に至る前に、第1ファン装置14Aの吸込口14aの吸込みに応じて、中間部10Cの貫通孔10eを通じて第1収容空間S1へと上昇する。そして、第1収容空間S1へ上昇した空気は、第1ファン装置14Aの側面14cと側方部122aの第4部位122fに設けられた吸音部材13との間に形成された通路F1へと流れ込む。通路F1へ流れ込んだ空気は、対向部122b側へと流れ、当該対向部122bに設けられた吸音部材13において屈曲されつつ吸込口14aへと回り込み、当該吸込口14aに吸い込まれる。
このように、空気圧縮装置X1では、ファン装置ユニット14における吸込口14aは、筐体10の内部の空気を吸込口14aに向けて回り込ませて吸い込むように配置されている。具体的には、膨出部122の対向部122bは、筐体10の内部の空気をファン装置ユニット14における側面14cから吸込口14aに向けて回り込ませるように、当該側面14cに対向して配置されている。すなわち、第1の実施形態に係る膨出部122は、筐体10の内部の空気を吸込口14aに向けて回り込ませる流入ガイド部に相当する。そして、膨出部122の内面が実際に空気の流れをガイドする流入ガイド面となる。
第1ファン装置14Aの送出口14bから第1アダプタ15Aの貫通孔15eを通じて第1コンプレッサ19Aへと送出された空気は、第1ファン装置14Aを構成する軸流ファンの軸心方向に沿って流れ、当該第1コンプレッサ19Aを冷却する。そして、第1コンプレッサ19Aを冷却した後の空気は、第1ファン装置14Aを構成する軸流ファンの軸心方向に沿って第1コンプレッサ19Aの後方へと流れ、流出ガイド部23の対向部23bに設けられた吸音部材24によって屈曲される。そして、当該屈曲された空気は、流出ガイド部23の側方部23aによって鉛直方向C1における移動を規制されつつ、対向部23bの周縁部に形成された連通孔23cへと導かれる。連通孔23cおよび流出口10cを流れる空気は、コンプレッサから吐出されて合流配管21dを流れる圧縮空気を冷却する。
連通孔23cへと導かれた空気は、当該連通孔23cおよび流出口10cを通じて筐体10の後部10Eに取り付けられた外部ダクト部40の内部に流入する。この空気は、当該外部ダクト部40の後方に配置されたアフタークーラ22の保護カバー22b内へ流入する。これにより、保護カバー22b内の蛇行配管22aに対して筐体10の内部から流出した空気が吹き当たり、当該蛇行配管22aを流れる圧縮空気が冷却される。なお、蛇行配管22aには、外部ダクト部40の下方に位置するクーラファン22cによっても冷却されることになる。
以上のとおり、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、冷却用空気流入口10bを通じて筐体10の内部に流入した空気は、ファン装置ユニット14の吸込口14aに向けて回り込むように当該吸込口14aに吸い込まれ、その後、コンプレッサユニット19へと送出される。すなわち、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、ファン装置ユニット14の吸込口14aによる空気の吸込みによって冷却用空気流入口10bから筐体10内へ流入した空気の流れ方向を屈曲させることができる。つまり、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、冷却用空気流入口10bから吸込口14aまでの空気の流動距離を長くすることができるとともに、空気の流れ方向を屈曲させるに際して当該空気が筐体10内の各部材に多く衝突することになる。これにより、当該空気圧縮装置X1の筐体10内において発生する騒音を低減することができる。
さらに、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、ファン装置ユニット14の側面14cに対向するように流入ガイド部としての膨出部122が配置される。このため、筐体10の内部の空気を、ファン装置ユニット14の側面14cと膨出部122との間の通路F1を介して吸込口14aへと導くことができる。これにより、筐体10の内部の空気を吸込口14aへと確実に回り込ませることができる。
さらに、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、ファン装置ユニット14の側面14cと膨出部122の側方部122aとの間を流れる空気が、膨出部122の対向部23bによって屈曲しつつ吸込口14aへ導かれることになる。これにより、ファン装置ユニット14の吸込口14aに吸い込まれる空気の流れ方向を確実に屈曲させることができる。
さらに、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、筐体10の内部のメンテナンスを行うために形成された開口10aを閉じるパネル部材12に、流入ガイド部としての膨出部122が形成されている。このため、筐体10の内部に流入ガイド部を個別に設ける必要がない。
さらに、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、筐体10に形成された開口10aを開くようにパネル部材12を動かした際に、当該パネル部材12に形成された膨出部122および当該パネル部材12に取り付けられたファン装置ユニット14も同時に動くことになる。特に第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、アダプタユニット15は、ファン装置ユニット14に取り付けられているため、パネル部材12を動かした際に当該アダプタユニット15も同時に動くことになる。このため、筐体10の開口10aを開くようにパネル部材12を動かすことにより、当該開口10aを通じて筐体10の内部のコンプレッサユニット19が露出することになる。したがって、当該コンプレッサユニット19を容易にメンテナンスすることができる。
さらに、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、膨出部122に取り付けられた吸音部材13によって、当該膨出部122に沿って流れる空気による騒音をより低減することができる。
さらに、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、吸音部材13は、筐体10の上部10Aとファン装置ユニット14との間に設けられている。このため、鉄道車両100の床部100aに取り付けられた状態で、鉄道車両の内部に乗り込む者に対して床部100aから発生する騒音を効率良く低減することができる。
さらに、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、対向部122bに取り付けられた吸音部材13は、鉄道車両100が側壁部100c側のプラットホームに到着した際に、当該プラットホームとファン装置ユニット14との間に位置することになる。このため、プラットホームに位置する者に対する騒音を効率良く低減することができる。
さらに、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、アダプタユニット15の貫通孔15eにおける一方開口15cは、送出口14bの形状に対応する形状をなしており、当該貫通孔15eにおける他方開口15dは、コンプレッサ本体19aの形状に対応する形状をなしている。このため、吸込口14aが筐体10の内部の空気を当該吸込口14aに向けて回り込ませるように吸込むことによってファン装置ユニット14へ導入される空気に損失が生じたとしても、送出口14bから送出される空気を高効率でコンプレッサユニット19へ供給することができる。これにより、騒音を低減しつつコンプレッサユニット19を十分に冷却することができる。
さらに、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、冷却用空気流入口10bとファン装置ユニット14が鉛直方向C1にずれて配置されている。このため、冷却用空気流入口10bから筐体10の内部に流入した空気の流れ方向は、少なくとも一回は鉛直方向C1へ屈曲することになる。具体的には、冷却用空気流入口10bから筐体10の内部の第2収容空間S2へと流入した空気は、ファン装置ユニット14の吸込口14aの吸込みに応じて、第1収容空間S1に向かって上昇する向きに屈曲する。このため、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、水平方向にのみ繰り返し空気の流れ方向を屈曲させることにより騒音を低減する場合に比して、当該水平方向における筐体10の面積を小さく抑えることができる。すなわち、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、鉄道車両100に搭載された空気圧縮装置X1の設置面積を小さく抑えることができるとともに、騒音を十分に低減することができる。
さらに、空気圧縮装置X1では、モータユニット17がモータ本体172と同軸に取り付けられたモータファン173を有するため、筐体10の内部に換気用のファンを別途設ける必要がなく、筐体10が大型化することを抑止できる。
さらに、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、モータファン173によって発生した気流は、各冷却フィン172aの間を通過することにより、水平方向に流れることになる。すなわち、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、ファン装置ユニット14の吸込口14aの吸込みによって鉛直方向C1の気流が発生するとともに、モータファン173の駆動によって鉛直方向C1に直交する水平方向の気流が発生する。このため、筐体10の内部において空気が籠もることを抑止することができる。
さらに、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、ファン装置ユニット14の吸込口14aから吸い込まれた空気は、当該ファン装置ユニット14の送出口14bから送出されてコンプレッサユニット19を冷却した後、流出ガイド部23によって屈曲され、流出口10cから筐体10の外部へと流出する。すなわち、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、ファン装置ユニット14に吸い込まれる以前の空気の流れ方向のみならず、コンプレッサユニット19を冷却した後の空気の流れ方向も屈曲させることができ、これによって騒音をより低減することができる。
さらに、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1では、流出配管部21の合流配管21dは、流出ガイド部23内を通過し、連通孔23cおよび流出口10cを通じて筐体10の外部へと延びている。このため、合流配管21dを流れる圧縮空気は、アフタークーラ22へと導かれる前に、流出ガイド部23を通じて流出口10cから筐体10の外部へと排出される空気によって冷却されることになる。
なお、第1の実施形態では、パネル部材12は、本体部121と当該本体部121から膨出する膨出部122とを有しているが、これに限らない。例えば、パネル部材12を全体として平板状に形成するとともに、当該パネル部材12の外面は平坦状とする一方で裏面の一部を表面側に凹ませることにより、第1,第2凹空間S3,S4を形成してもよい。この場合、第1,第2凹空間S3,S4を形成するパネル部材12の裏面が吸込口14aへと導かれる空気の流れをガイドする流入ガイド面となり、パネル部材12の全体が流入ガイド部となる。
また、第1の実施形態では、吸込口14aへと導かれる空気の流れをガイドする流入ガイド部としての膨出部122は、パネル部材12に形成されているが、これに限らない。例えば、パネル部材12に流入ガイド部として機能する部位を形成しない場合には、当該パネル部材12から独立した流入ガイド部を筐体10の内部に配置してもよい。
また、第1の実施形態では、ファン装置ユニット14がパネル部材12に取り付けられており、パネルユニット11が全体として開口10aを開閉可能に構成されているが、これに限らない。ファン装置ユニット14は、パネル部材12に取り付けられていなくともよく、例えば筐体10の内部に設けられていてもよい。なお、アダプタユニット15についても同様である。
また、第1の実施形態では、コンプレッサユニット19は、第1コンプレッサ19Aおよび第2コンプレッサ19Bの2つのコンプレッサを有しているが、これに限らない。コンプレッサユニット19が有するコンプレッサの数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。この場合、コンプレッサユニット19が有するコンプレッサの数に応じて、モータユニット17が有するモータの数やファン装置ユニット14が有するファン装置の数も適宜変更されることになる。
また、第1の実施形態では、筐体10が中間部10Cを有しており、当該中間部10Cを挟んで第1収容空間S1と第2収容空間S2とが形成されることにより、モータユニット17とコンプレッサユニット19とが鉛直方向C1にずれて配置されているが、これに限らない。例えば、モータユニット17とコンプレッサユニット19とは、鉛直方向C1に直交する平面方向において互いに並ぶように配置されてもよい。
(第2の実施形態)
以下に示す第2の実施形態では、モータユニット17とコンプレッサユニット19とが平面方向において互いに並ぶように配置された空気圧縮装置X2について説明する。
図11〜図13は、第2の実施形態に係る空気圧縮装置X2を示している。図11は、空気圧縮装置X2を筐体10の前部10D側から視た斜視図である。図12は、空気圧縮装置X2を筐体10の側部側から視た斜視図であって、当該側部と筐体10の上部10Aとを透視した図である。図13は、空気圧縮装置X2の内部を筐体10の上部10A側から視た図であって、ファン装置ユニット14および後述する流入ガイド部26のみ所定の断面を示している。なお、図11〜図13では、空気圧縮装置X2の構成部材のうち、空気圧縮装置X1と同様のものについては、第1の実施形態と同様の参照符号を付している。
図11および図12に示すように、筐体10の前部10Dには、当該筐体10の内部に空気を流入させるための冷却用空気流入口10bが形成されている。この冷却用空気流入口10bは、矩形状をなしており、筐体10の外部と筐体10の内部における中間部10Cの上方の空間である第1収容空間S1とを連通している。そして、フィルタパネル16は、冷却用空気流入口10bを開閉可能なように筐体10の前部10Dに取り付けられている。
空気圧縮装置X2では、図12に示すように、コントローラユニット18およびアフタークーラ22は、第2収容空間S2に収容されている。また、モータユニット17およびコンプレッサユニット19は、第1収容空間S1に収容されている。
モータユニット17は、第1収容空間S1内において並ぶ第1モータ17Aと第2モータ17Aとを有している。第1,第2モータ17A,17Bは、その出力軸が前部10Dと後部10Eとが並ぶ方向に延びる姿勢で、前部10Dよりも後部10Eに近い側に配置されている。
コンプレッサユニット19は、第2収容空間S2において並ぶ第1コンプレッサ19Aと第2コンプレッサ19Bとを有している。第1,第2コンプレッサ19A,19Bは、前部10Dと後部10Eとが並ぶ方向において第1,第2モータ17A,17Bのそれぞれに並ぶように、後部10Eよりも前部10Dに近い側に配置されている。具体的には、第1,第2コンプレッサ19A,19Bは、その出力軸が第1,第2モータ17A,17Bの出力軸と重なる姿勢で配置され、当該第1,第2モータ17A,17Bのそれぞれに連結されている。第1,第2コンプレッサ19A,19Bは、前部10Dと後部10Eとが並ぶ方向においてフィルタパネル16と対向している。
ファン装置ユニット14は、第1コンプレッサ19Aに対向する第1ファン装置14Aと、第2コンプレッサ19Bに対向する第2ファン装置14Bと、を有している。第1ファン装置14A及び第2ファン装置14Bは、第1コンプレッサ19Aと第2コンプレッサ19Bとが並ぶ方向に配置されている。第1ファン装置14Aと第2ファン装置14Bとは、同一の構成であって、第1コンプレッサ19Aと第2コンプレッサ19Bとが並ぶ方向において対称に配置されている。以下では、第1ファン装置14Aについて説明する。
第1ファン装置14Aは、図13に示すように、第1コンプレッサ19Aと筐体10の一方の側部との間に配置されている。具体的には、第1ファン装置14Aは、吸込口14aが筐体10の一方の側面に対して間隔をあけた位置で対向するとともに、送出口14bが第1コンプレッサ19Aに対向する姿勢で配置されている。すなわち、空気圧縮装置X2では、第1ファン装置14A内での空気の流れ方向は、冷却用空気流入口10bから筐体10の内部に流入する空気の流入方向に直交している。第1の実施形態では、第1ファン装置14Aは、第1モータ17Aと第1コンプレッサ19Aとが並ぶ方向において、冷却用空気流入口10bの一部に並んで配置される。
空気圧縮装置X2は、図13に示すように、第1,第2ファン装置14A,14Bから第1,第2コンプレッサ19A,19Bへと送出された後の空気が流入する空間部27と、空間部27の空気が排出される排出部29と、空間部27の空気を排出部29へと送る排出ファン28と、をさらに備えている。
空間部27は、第2方向B1において第1コンプレッサ19Aと第2コンプレッサ19Bとの間に位置している。具体的には、空間部27は、第1コンプレッサ19Aと第2コンプレッサ19Bとの間において、第1コンプレッサ19Aに沿って配置された一方の側壁と第2コンプレッサ19Bに沿って配置された他方の側壁との間に形成される。ファン装置ユニット14からコンプレッサユニット19へと流れる空気は、例えば、前記一方の側壁および他方の側壁に形成された開口を通じて空間部27に流入することになる。
排出部29は、空間部27と並ぶように当該空間部27よりも後部10E側に配置されている。排出ファン28は、空間部27と排出部29との間に配置されている。空間部27に流入した空気は、排出ファン28の吸込みによって、空間部27内を前部10D側から後部10E側へと流れ、排出部29へと導かれることになる。排出部29は、例えば、当該排出部29の下方に配置されたアフタークーラ22へ向けて空気を排出する。
ここで、空気圧縮装置X2では、空気圧縮装置X1における膨出部122に代えて、筐体10の内部に設けられた流入ガイド部26をさらに備えている。
流入ガイド部26は、筐体10の内部の第1収容空間S1に収容されている。流入ガイド部26は、第1流入ガイド部26Aと第2流入ガイド部26Bとを有している。第1流入ガイド部26Aは、冷却用空気流入口10bから筐体10の内部に流入した空気を、第1ファン装置14Aの側面14cから吸込口14aへ向けて回り込ませる。第2流入ガイド部26Bは、冷却用空気流入口10bから筐体10の内部に流入した空気を、第2ファン装置14Bの側面14cから吸込口14aへ向けて回り込ませる。第1流入ガイド部26Aは、第1コンプレッサ19Aと筐体10の一方の側面との間に配置されており、第2流入ガイド部26Bは、第2コンプレッサ19Bと筐体10の他方の側面との間に配置されている。
第1流入ガイド部26Aと第2流入ガイド部26Bとは、同じ構造をなしており、第1コンプレッサ19Aと第2コンプレッサ19Bとが並ぶ方向において対称な姿勢で配置されている。以下では、第1流入ガイド部26Aについて、詳細に説明する。
第1流入ガイド部26Aは、コンプレッサ保持部261と、上方ガイド部262と、側方ガイド部263と、を有している。
第1流入ガイド部26Aのコンプレッサ保持部261は、平板状をなしており、その中央部分にファン開口261aが形成されている。第1流入ガイド部26Aのコンプレッサ保持部261は、第1コンプレッサ19Aと第2コンプレッサ19Bとが並ぶ方向において、第1コンプレッサ19Aに対向するように配置されている。そして、第1流入ガイド部26Aのコンプレッサ保持部261に形成されたファン開口261aは、第1ファン装置14Aの送出口14bに連通している。これにより、第1ファン装置14Aの送出口14bから送出された空気は、ファン開口261aを通じて第1コンプレッサ19Aに導かれる。
第1流入ガイド部26Aの上方ガイド部262は、コンプレッサ保持部261の上端から筐体10の一方の側部に向けて延びている。第1流入ガイド部26Aの上方ガイド部262は、第1ファン装置14Aの上方において当該第1ファン装置14Aの側面14cに対向している。上方ガイド部262は、筐体10の上部10Aとは間隔をあけて配置されるとともに、筐体10の一方の側部とは間隔をあけて配置されている。上方ガイド部262の内面(第1ファン装置14A側の面)には、吸音部材30が取り付けられている。
第1流入ガイド部26Aの側方ガイド部263は、コンプレッサ保持部261の前端(筐体10の前部10D側の端部)から筐体10の一方の側部に向けて延びている。第1流入ガイド部26Aの側方ガイド部263は、第1ファン装置14Aの側方において当該第1ファン装置14Aの側面14cに対向している。側方ガイド部263は、上方ガイド部262と繋がっている。側方ガイド部263は、筐体10の前部10Dとは間隔をあけて配置されるとともに、筐体10の一方の側部とは間隔をあけて配置されている。側方ガイド部263の内面(第1ファン装置14A側の面)には、吸音部材30が取り付けられている。
図13に示すように、第1流入ガイド部26Aの側方ガイド部263は、冷却用空気流入口10bと第1ファン装置14Aとの間に位置している。そして、第1ファン装置14Aの吸込口14aは、当該第1ファン装置14Aと冷却用空気流入口10bとが並ぶ方向において、第1流入ガイド部26Aの側方ガイド部263の幅の範囲内に収まっている。第2の実施形態では、第1コンプレッサ19Aと第2コンプレッサ19Bとが並ぶ方向において、第1流入ガイド部26Aの側方ガイド部263における筐体10の一方の側部側の一端は、冷却用空気流入口10bの外縁よりも当該側部に近い側に位置している。そして、第1ファン装置14Aの吸込口14aは、側方ガイド部263の前記一端よりも第1コンプレッサ19A側に位置している。
空気圧縮装置X2では、冷却用空気流入口10bを通じて筐体10の外部から筐体10の内部の第1収容空間S1へ空気が流入する。第1収容空間S1に流入した空気は、第1,第2ファン装置14A,14Bの吸込口14aからの吸込みに応じて、側方ガイド部263において屈曲される。すなわち、第1収容空間S1に流入した空気は、側方ガイド部263と前部10Dとの間の隙間を通じて筐体10の一方の側部および他方の側部に向けて流れる。そして、筐体10の一方の側部および他方の側部に至った空気は、当該側部において屈曲され、側方ガイド部263を回り込むようにして吸込口14aに吸い込まれる。なお、第2の実施形態では、上方ガイド部262と筐体10の上部10Aとの間にも隙間が形成されているため、筐体10の内部の空気は、当該隙間を通じて上方ガイド部262を回り込むように吸込口14aに空気が吸い込まれることも可能である。
このように、第2の実施形態に係る空気圧縮装置X2では、流入ガイド部26によって筐体10の内部の空気を吸込口14aへ向けて回り込ませることができる。これにより、冷却用空気流入口10bからファン装置ユニット14の吸込口14aに至るまでに空気が流れる距離を長くすることができ、第1の実施形態に係る空気圧縮装置X1と同様に、騒音を低減することができる。
しかも、第2の実施形態に係る空気圧縮装置X2では、第1,第2コンプレッサ19A,19Bを冷却した後に空間部27に流入した空気の流れ方向を、排出ファン28によって屈曲させることができる。このため、騒音をより低減することができる。
以上説明した第1の実施形態および第2の実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記の第1の実施形態および第2の実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
ここで、前記実施形態について概説する。
(1) 上記の空気圧縮装置では、流入口を通じて筐体の内部に流入した空気は、ファン装置ユニットの吸込口に向けて回り込むように当該吸込口に吸い込まれ、コンプレッサユニットへと送出される。すなわち、上記の空気圧縮装置では、ファン装置ユニットの吸込口による空気の吸込みによって、筐体内に導入された空気の流れ方向を屈曲させることができる。つまり、上記の空気圧縮装置では、流入口から吸込口までの空気の流動距離を長くすることができるとともに、空気の流れ方向を屈曲させるに際して当該空気が筐体内の部材に多く衝突することになる。このため、当該空気圧縮装置の筐体内において発生する騒音を低減することができる。
(2) 上記の空気圧縮装置は、前記吸込口に吸い込まれる空気を前記ファン装置ユニットの側面から前記吸込口に向けて回りこませるように、当該側面に対向して配置される流入ガイド部をさらに備えることが好ましい。
上記の空気圧縮装置では、ファン装置ユニットの側面に対向するように流入ガイド部が配置されるため、筐体内の空気をファン装置ユニットの側面と流入ガイド部との間の空間を介して吸込口へと導くことができる。これにより、筐体内の空気を吸込口へと確実に回り込ませることができる。
(3) 前記流入ガイド部は、前記ファン装置ユニットの前記側面に対向する側方部と、前記ファン装置ユニットの前記吸込口に対向する対向部と、を有することが好ましい。
上記の空気圧縮装置では、ファン装置ユニットの側面と側方部との間を流れる空気が対向部によって屈曲しつつ吸込口へ導かれることになる。これにより、ファン装置ユニットの吸込口に吸い込まれる空気の流れ方向を確実に屈曲させることができる。
(4) 上記の空気圧縮装置は、前記筐体に形成されるとともに当該筐体の内部のメンテナンスを行うための開口を開閉可能に設けられたパネル部材をさらに備えていてもよい。この場合、前記流入ガイド部は、前記パネル部材と一体に構成されることが好ましい。
上記の空気圧縮装置では、流入ガイド部がパネル部材と一体に構成されているため、筐体の内部に流入ガイド部を個別に設ける必要がない。
(5) 前記ファン装置ユニットは、前記パネル部材に取り付けられていることが好ましい。
上記の空気圧縮装置では、筐体に形成された開口を開くようにパネル部材を動かした際に、当該パネル部材と一体に構成された流入ガイド部および当該パネル部材に取り付けられたファン装置ユニットも一緒に動くことになる。このため、筐体の開口を開くようにパネル部材を動かすことにより、例えば当該開口を通じて筐体の内部のコンプレッサユニットを容易にメンテナンスすることができる。
(6) 前記流入口と前記ファン装置ユニットとは、鉛直方向においてずれて配置されることが好ましい。
上記の空気圧縮装置では、流入口とファン装置ユニットが鉛直方向にずれて配置されることにより、流入口から筐体内に流入した空気の流れ方向が少なくとも一回は鉛直方向へ屈曲することになる。このため、上記の空気圧縮装置では、水平方向にのみ繰り返し空気の流れ方向を屈曲させることにより騒音を低減する場合に比して、当該水平方向における筐体の面積を小さく抑えることができる。すなわち、上記の空気圧縮装置では、例えば車両に搭載された際における当該空気圧縮装置の設置面積を小さく抑えることができるとともに、騒音を十分に低減することができる。
(7) 上記の空気圧縮装置は、前記流入口から前記筐体の内部に流入した空気を前記吸込口に向けて回りこませる流入ガイド部をさらに備えていてもよい。この場合、前記流入ガイド部は、前記流入口と前記ファン装置ユニットとの間に配置されていることが好ましい。また、前記ファン装置ユニットの前記吸込口は、当該ファン装置ユニットと前記流入口とが並ぶ方向において前記流入ガイド部の幅の範囲内に収まっていることが好ましい。
上記の空気圧縮装置では、流入口とファン装置ユニットとの間に設けられた流入ガイド部の幅の範囲内に吸込口が収まっているため、流入口から筐体の内部に流入した空気が吸込口の吸込みに応じて流入ガイド部を回り込むように流れることになる。すなわち、上記の空気圧縮装置では、流入ガイド部によって筐体の内部に流入した空気を吸込口に向けて回りこませることができ、これにより騒音を低減することができる。
(8) 上記の空気圧縮装置は、前記流入ガイド部に取り付けられた吸音部材をさらに備えることが好ましい。
上記の空気圧縮装置では、流入ガイド部に取り付けられた吸音部材によって、当該流入ガイド部に沿って流れる空気による騒音をより低減することができる。
(9) 前記吸音部材は、少なくとも前記筐体の上部と前記ファン装置ユニットとの間に設けられることが好ましい。
上記の空気圧縮装置では、吸音部材が筐体の上面とファン装置ユニットとの間に設けられている。このため、例えば空気圧縮装置が車両の床下に取り付けられた場合に、当該車両に乗り込む者に対する騒音を効率よく低減することができる。
(10) 上記の空気圧縮装置は、前記ファン装置ユニットの送出口から送出された空気を前記コンプレッサユニットへ導く貫通孔を有するアダプタユニットをさらに備えていてもよい。この場合、前記アダプタユニットの前記貫通孔は、前記ファン装置ユニット側において前記送出口の形状に対応する形状をなすとともに、前記コンプレッサユニット側において当該コンプレッサユニットの外形状に対応する形状をなしていることが好ましい。
上記の空気圧縮装置では、吸込口が筐体内の空気を当該吸込口に向けて回り込ませるように吸込むことによってファン装置ユニットへ導入される空気に損失が生じたとしても、送出口から送出される空気を高効率でコンプレッサユニットへ供給することができる。これにより、騒音を低減しつつコンプレッサユニットを十分に冷却することができる。
(11) 上記の空気圧縮装置は、前記コンプレッサユニットを駆動するためのモータ本体と、前記モータ本体と同軸に取り付けられており当該モータ本体の駆動に応じて気流を発生させるモータファンと、を有するモータユニットをさらに備えることが好ましい。
上記の空気圧縮装置では、モータユニットがモータ本体と同軸に取り付けられたモータファンを有するため、筐体内に換気用のファンを別途設ける必要がなく、筐体が大型化することを抑止できる。
(12) 前記筐体は、当該筐体内の空気を流出させる流出口を有していてもよい。この場合、前記空気圧縮装置は、前記コンプレッサユニットを挟んで前記ファン装置ユニットの反対側に流れる空気の流れ方向を前記流出口に向けて屈曲させるように設けられた流出ガイド部をさらに備えることが好ましい。
上記の空気圧縮装置では、ファン装置ユニットの吸込口から吸い込まれた空気は、当該ファン装置ユニットから送出されてコンプレッサユニットを冷却した後、コンプレッサユニットを挟んでファン装置ユニットの反対側において流出ガイド部によって屈曲され、流出口から筐体の外部へと流出する。すなわち、上記の空気圧縮装置では、ファン装置ユニットの吸込口から吸い込まれる以前の空気の流れ方向のみならず、コンプレッサユニットを冷却した後の空気の流れ方向も屈曲されるため、騒音をより低減することができる。
以上説明したように、前記実施形態によれば、騒音を低減することができる空気圧縮装置が提供される。