以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本実施形態に係る空気圧縮装置X1の構成部材のうち主要部材のみを簡略化して示したものである。したがって、本実施形態に係る空気圧縮装置X1は、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。
図1および図2は、本実施形態に係る空気圧縮装置X1が搭載された鉄道車両100を示している。空気圧縮装置X1によって生成された圧縮空気は、鉄道車両100に搭載されるブレーキ装置あるいは扉開閉装置等の各種の空圧機器を作動させるために用いられる。なお、空気圧縮装置X1は、鉄道車両100に搭載されていなくともよく、空圧機器が搭載された他の車両等の機器に搭載されてもよい。
鉄道車両100は、床部100aと、当該床部100aの上方に位置する上壁部100bと、床部100aと上壁部100bとを繋ぐように鉛直方向に延びる一対の側壁部100c,100dと、を有している。また、鉄道車両100は、床部100aに取り付けられた車輪と、側壁部100c,100dに取り付けられた扉部と、を有している。鉄道車両100の利用者は、駅のプラットホームから側壁部100cまたは側壁部100dに取り付けられた扉部を通じて鉄道車両100に乗り込む。そして、鉄道車両100は、図2に示すように、枕木102および当該枕木102に直交する方向に延びるレール101によって構成される軌道上を、当該レール101に沿って走行する。
空気圧縮装置X1は、図1に示すように、鉄道車両100の床部100aに取り付けられている。具体的には、空気圧縮装置X1は、吊り下げ部材200を介して床部100aの下側に吊り下げられている。
次に、図1,図2に加えて、図3〜図6を参照しながら、空気圧縮装置X1について具体的に説明する。図3は、空気圧縮装置X1の概略構成を示す斜視図である。図4は、図3に示した空気圧縮装置X1から後述するパネルユニット11および冷却用空気フィルタ部16を取り外した状態の図である。図5は、第2方向B1から空気圧縮装置X1を視た図であって、後述する筐体10の側部を透視した図である。図6は、空気圧縮装置X1の筐体10の内部を上方から視た図であって、後述する第1凹空間S3、第2凹空間S4、および案内路20の内部を透視した図である。
図3〜図6に示すように、空気圧縮装置X1は、主に、筐体10と、筐体10の内部に収容されたモータユニット17およびコンプレッサユニット19と、筐体10の外部に配置されたコントローラユニット18と、を備えている。空気圧縮装置X1では、コントローラユニット18によって駆動されたモータユニット17に連動してコンプレッサユニット19が駆動される。これにより筐体10の外部からコンプレッサへと流入した空気が圧縮される。
筐体10は、モータユニット17およびコンプレッサユニット19等の空気圧縮装置X1が備える各種部材を収容する。筐体10は、互いに対向する上部10Aおよび下部10Bと、互いに対向する前部10Dおよび後部10Eと、互いに対向する一方の側部および他方の側部と、を有する略六面体形状をなしている。そして、上部10A、下部10B、前部10D、後部10E、一方の側部、および他方の側部に取り囲まれる空間は、空気圧縮装置X1が備える各種部材を収容する収容空間となる。
本実施形態では、図3に示すように、上部10Aと下部10Bとが対向する方向を鉛直方向C1と称する。また、前部10Dと後部10Eとが対向する方向を第1方向A1と称する。また、鉛直方向C1および第1方向A1のそれぞれに直交する方向を第2方向B1と称する。
本実施形態では、空気圧縮装置X1は、図2に示すように、第1方向A1が枕木102の延びる方向に沿うとともに、第2方向B1がレール101の延びる方向に沿う姿勢にて、鉄道車両100に搭載されている。空気圧縮装置X1は、上部10Aが床部100aに対向するとともに、第1方向A1における側壁部100c側に前部10Dが位置し且つ車幅方向の中央寄りの位置に後部10Eが位置する姿勢で、鉄道車両100の床部100aの下面に設置されている。
筐体10は、図4に示すように、当該筐体10の内部の収容空間を二分割するように上部10Aと下部10Bとの間に設けられた中間部10Cを有している。本実施形態では、図4,図5に示すように、筐体10の内部の収容空間のうち、上部10Aと中間部10Cとの間に形成される空間がコンプレッサユニット19を収容する第1収容空間S1となり、中間部10Cと下部10Bとの間に形成された空間がモータユニット17を収容する第2収容空間S2となる。すなわち、本実施形態では、モータユニット17とコンプレッサユニット19とは、鉛直方向C1において互いにずれて配置されている。これにより、空気圧縮装置X1の水平方向における占有面積を小さくすることができる。
なお、本実施形態では、筐体10は、略六面体形状をなしているが、これに限らない。筐体10の形状は任意であって、当該筐体10の内部に収容される各種部材の大きさや配置等に応じて適宜変更することができる。
また、中間部10Cはなくともよい。例えば、コンプレッサユニット19を上部10Aに固定するとともにモータユニット17を下部10Bに固定することにより、コンプレッサユニット19とモータユニット17とを鉛直方向C1にずれるように配置してもよい。
モータユニット17は、図4に示すように、筐体10の内部の第2収容空間S2に収容されている。モータユニット17は、第1モータ17Aと、第2モータ17Bと、を有している。第1モータ17Aと第2モータ17Bとは、第2方向B1に互いに並んで配置されている。第1モータ17Aと第2モータ17Bとは、互いに同じ構造をなしており、第2方向B1において対称な姿勢で配置されている。以下では、第1モータ17Aについて説明する。
第1モータ17Aは、出力軸171と、モータ本体172と、駆動プーリ173と、を有している。
出力軸171は、第2方向B1に沿って延びており、モータ本体172から筐体10の一方の側部側へ突出している。駆動プーリ173は、当該突出した出力軸171に取り付けられている。これにより、モータ本体172と駆動プーリ173とは、第2方向B1に並んでいる。
コントローラユニット18は、筐体10の外部において当該筐体10の後部10Eに取り付けられている。コントローラユニット18は、箱状部材と、当該箱状部材の内部に収容されておりモータユニット17の駆動を制御するコントローラと、を有している。各モータ17A,17Bのモータ本体172は、コントローラユニット18によって駆動されることになる。なお、コントローラユニット18は、モータユニット17の駆動を制御するコントローラの他にも各種の電子部品が収容されてもよい。
コンプレッサユニット19は、図4に示すように、筐体10の内部の第1収容空間S1に収容されている。具体的には、コンプレッサユニット19は、筐体10の中間部10C上に搭載されている。コンプレッサユニット19は、第1コンプレッサ19Aと、第2コンプレッサ19Bと、を有している。第1コンプレッサ19Aと第2コンプレッサ19Bとは、第2方向B1に互いに並んで配置されている。第1コンプレッサ19Aは、第1モータ17Aの上方に配置されており、第2コンプレッサ19Bは、第2モータ17Bの上方に配置されている。
第1コンプレッサ19Aと第2コンプレッサ19Bとは、互いに同じ構造をなしている。第1コンプレッサ19Aと第2コンプレッサ19Bとは、第2方向B1において、それぞれの吸入ポートが対向するように、互いに対称な姿勢で間隔をあけて配置されている。以下では、第1コンプレッサ19Aについて説明する。
第1コンプレッサ19Aは、コンプレッサ本体19aと、駆動プーリ19bと、入力軸19cと、を有している。
入力軸19cは、第2方向B1に延びており、コンプレッサ本体19aから筐体10の一方の側部側に突出している。駆動プーリ19bは、当該突出した入力軸19cに取り付けられている。これにより、コンプレッサ本体19aと駆動プーリ19bとは、第2方向B1に並んでいる。第1コンプレッサ19Aの駆動プーリ19bは、鉛直方向C1において第1モータ17Aの駆動プーリ173に重なるように配置されている。
図4に示すように、第1コンプレッサ19Aの駆動プーリ19bおよび第1モータ17Aの駆動プーリ173には、無端のベルトBが巻き付けられている。具体的に、筐体10の中間部10Cには、当該筐体10の側部側において第1収容空間S1と第2収容空間S2とを連通する貫通孔が形成されている。当該貫通孔は、鉛直方向C1において駆動プーリ19b,173に重なっている。そして、ベルトBは、当該貫通孔を通じて第1収容空間S1から第2収容空間S2に亘って配置され、各収容空間S1,S2において駆動プーリ19b,173のそれぞれに取り付けられている。第1コンプレッサ19Aのコンプレッサ本体19aには、第1モータ17Aのモータ本体172の駆動に伴ってベルトBが駆動プーリ19b,173周りを周回することにより、入力軸19cを介して駆動力が伝達される。これにより、第1コンプレッサ19Aのコンプレッサ本体19aは、圧縮空気を生成することになる。
空気圧縮装置X1は、図5,図7に示すように、筐体10の外部から内部へと流入した空気をコンプレッサ本体19aへ案内する案内路20と、コンプレッサ本体19aにおいて生成された圧縮空気を当該コンプレッサ本体19aから流出させる流出配管部21と、流出配管部21を流れる圧縮空気を冷却するためのアフタークーラ22と、をさらに備えている。
案内路20は、筐体10の内部の第1収容空間S1に収容されている。具体的には、案内路20は、図6に示すように、第1コンプレッサ19Aと第2コンプレッサ19Bとの間に配置されており、第1方向A1に沿って延びている。案内路20は、空気を内部に流入させる流入開口20aと、当該空気を第1,第2コンプレッサ19A,19Bのそれぞれのコンプレッサ本体19a内に流入させる第1流出開口20bおよび第2流出開口20cと、を有している。
流入開口20aは、案内路20のうち筐体10の前部10Dに対向する面に形成されている。後述するパネルユニット11のパネル部材12に形成された圧縮用空気流入口121aを通じて筐体10の外部から内部へと流入した空気は、流入開口20aを通じて案内路20に流入することになる。
第1流出開口20bは、案内路20のうち第1コンプレッサ19Aに対向する面に形成されている。第1流出開口20bは、符略の連結配管を通じて第1コンプレッサ19Aにおける吸入ポートに繋がっている。これにより、案内路20に流入した空気は、第1流出開口20bを通じて案内路20から流出し、第1コンプレッサ19Aに流入することになる。
第2流出開口20cは、案内路20のうち第2コンプレッサ19Bに対向する面に形成されている。第2流出開口20cは、符略の連結配管を通じて第2コンプレッサ19Bにおける吸入ポートに繋がっている。これにより、案内路20に流入した空気は、第1流出開口20bを通じて案内路20から流出し、第2コンプレッサ19Bに流入することになる。
流出配管部21は、第1コンプレッサ19Aのコンプレッサ本体19aに繋がる第1流出配管21aと、第2コンプレッサ19Bのコンプレッサ本体19aに繋がる第2流出配管21bと、第1流出配管21aと第2流出配管21bとを連結させるマニホールド部21cと、当該マニホールド部21cにおいて合流した圧縮空気が流れる合流配管21dと、を有している。
第1流出配管21aは、図4に示すように、第1コンプレッサ19Aにおける第2コンプレッサ19Bに対向する面に接続され、第1方向A1に沿って前部10D側に延びるとともに、当該前部10Dの近傍において上方へと折れ曲がり、鉛直方向C1に沿って上部10A側に延びている。案内路20を通じて第1コンプレッサ19Aにおけるコンプレッサ本体19aの吸入ポートに流入した空気は、当該コンプレッサ本体19aにおいて圧縮され、第1流出配管21aを通じて流出することになる。
第2流出配管21bは、図4に示すように、第2コンプレッサ19Bにおける第1コンプレッサ19Aに対向する面に接続され、第1方向A1に沿って前部10D側に延びるとともに、当該前部10Dの近傍において上方へと折れ曲がり、鉛直方向C1に沿って上部10A側に延びている。案内路20を通じて第2コンプレッサ19Bにおけるコンプレッサ本体19aの吸入ポートに流入した空気は、当該コンプレッサ本体19aにおいて圧縮され、第2流出配管21bを通じて流出することになる。
マニホールド部21cは、図4,図5に示すように、筐体10の上部10Aに取り付けられている。具体的には、マニホールド部21cは、筐体10の内部の第1収容空間S1に収容されており、上部10Aのうち、第1コンプレッサ19Aと第2コンプレッサ19Bとの間における前部10D側に取り付けられている。第1,第2流出配管21a,21bは、マニホールド部21cに接続されており、これによりマニホールド部21cにおいて第1流出配管21aを流れる圧縮空気と第2流出配管21bを流れる圧縮空気とが合流する。
合流配管21dは、図5に示すように、マニホールド部21cに接続されており、筐体10の上部10Aに沿って当該筐体10の前部10D側から後部10E側へと延びている。マニホールド部21cにおいて合流した圧縮空気は、合流配管21dへと流入し、筐体10の前部10D側から後部10E側へと流れることになる。
図5に示すように、筐体10の後部10Eのうち第1収容空間S1を取り囲む部位には、当該第1収容空間S1と筐体10の外部とを連通する流出口10cが形成されている。具体的には、流出口10cは、後部10Eのうち上部10A側の部位に形成されている。合流配管21dは、前部10D側から後部10E側へと延びるとともに、当該後部10Eに形成された流出口10cを通じて筐体10の外部へと延びている。
アフタークーラ22は、筐体10の外部において、当該筐体10の後部10Eに取り付けられている。アフタークーラ22は、コントローラユニット18の上方に配置されている。アフタークーラ22は、蛇行配管22aと、当該蛇行配管22aを収容する保護カバー22bと、筐体10の外部の空気を保護カバー22b内へと送出するクーラファン22cと、を有している。
保護カバー22bは、筐体10の外部において、後部10Eの後方および上方に配置されている。保護カバー22bにおける後部10Eの後方に位置する部位は、当該後部10Eとは離間している。蛇行配管22aは、保護カバー22bの内部を第2方向B1に蛇行しながら延びている。筐体10の内部から外部へと延びる合流配管21dは、蛇行配管22aに繋がっている。合流配管を流れた圧縮空気は当該蛇行配管22aに流入する。クーラファン22cは、流出口10cよりも下方において後部10Eと保護カバー22bとの間に配置されている。クーラファン22cは、筐体10の外部の空気を吸い込んで保護カバー22b内の蛇行配管22aに向けて送出する。
図4,図5に示すように、筐体10の前部10Dには、筐体10の内部に冷却用の空気を流入させる冷却用空気流入口10bと、筐体10の内部のメンテナンスを行うための開口10aと、が形成されている。そして、図3,図5に示すように、空気圧縮装置X1は、冷却用空気流入口10bを開閉可能なように筐体10に取り付けられた冷却用空気フィルタ部16と、開口10aを開閉可能なように筐体10に取り付けられたパネルユニット11と、をさらに備えている。
以下では、図1〜図6に加えて、図7〜図9を参照しながら、冷却用空気フィルタ部16およびパネルユニット11について詳細に説明する。なお、図7は、空気圧縮装置X1を筐体10の前部10D側から視た正面図である。また、図8は、図7の空気圧縮装置X1において冷却用空気フィルタ部16およびパネルユニット11を筐体10から取り外した状態を示す正面図である。また、図9は、パネルユニット11を後方から視た斜視図であって、後述する圧縮用空気フィルタ部26を取り外した状態を示す。
冷却用空気流入口10bは、筐体10の内部に冷却用の空気を流入させることによって、当該筐体10の内部の各種部材を冷却するために形成されている。冷却用空気流入口10bは、筐体10の前部10Dに形成されている。具体的に、筐体10の前部10Dは、図4に示すように中間部10Cが固定される梁部10dを有している。梁部10dは、第2方向B1沿って延びている。冷却用空気流入口10bは、梁部10dと下部10Bとの間に形成されており、略矩形状をなしている。これにより、冷却用空気流入口10bは、筐体10の外部と筐体10の内部の第2収容空間S2とを連通している。
冷却用空気フィルタ部16は、冷却用空気流入口10bを覆うように筐体10の前部10Dに取り付けられている。冷却用空気フィルタ部16は、図3に示すように、細長い複数の板状部材を互いに間隔をあけて平行に組み付けたルーバ161と、当該ルーバ161の後面に取り付けられたフィルタ部162と、を有している。ルーバ161は、フィルタ部162が冷却用空気流入口10bに嵌め合わされるように、筐体10の前部10Dに取り付けられている。
ルーバ161には、図3,図7に示すように、ヒンジ161aと、レバー錠161bと、が取り付けられている。ヒンジ161aは、鉛直方向C1におけるルーバ161の上端部を、筐体10の前部10Dにおける梁部10dに対して固定している。レバー錠161bは、鉛直方向C1におけるルーバ161の下端部と筐体10の前部10Dとを着脱可能に固定している。
空気圧縮装置X1では、図7に示すように、レバー錠161bが閉じられた状態において、冷却用空気フィルタ部16は、筐体10の前部10Dの前方において冷却用空気流入口10bを閉じている。一方、図8に示すように、レバー錠161bが開かれるとともに、ヒンジ161aを回動中心として冷却用空気フィルタ部16を回動させることにより、前部10Dに形成された冷却用空気流入口10bが開かれる。そして、当該冷却用空気流入口10bからは、第2収容空間S2に収容されたモータユニット17が露出する。
なお、本実施形態では、冷却用空気フィルタ部16は、ヒンジ161aおよびレバー錠161bによって筐体10の前部10Dに固定されているが、これに限らない。例えば、冷却用空気フィルタ部16は、ボルト等の締結部材を介して筐体10に取り付けられてもよい。この場合でも、冷却用空気フィルタ部16は、筐体10から着脱可能となり、ボルト等の締結部材を付け外しすることにより、冷却用空気流入口10bを開閉することが可能となる。
図7に示すように、冷却用空気流入口10bが冷却用空気フィルタ部16によって閉じられた状態において、ルーバ161を通過した空気は、フィルタ部162において塵が取り除かれる。そして、塵が取り除かれた空気は、冷却用空気流入口10bを通じて筐体10の内部の第2収容空間S2へと流入する。
ここで、図4,図5に示すように、中間部10Cの前部10D側には、当該中間部10Cを鉛直方向C1に貫通する貫通孔10eが形成されている。貫通孔10eは、コンプレッサユニット19およびモータユニット17よりも前部10D側に形成されている。本実施形態では、貫通孔10eは、第1モータ17Aの前方から第2モータ17Bの前方に亘って延びる矩形状をなしている。貫通孔10eは、第1収容空間S1と第2収容空間S2とを連通している。このため、冷却用空気流入口10bを通じて筐体10の内部の第2収容空間S2へと流入した空気は、モータユニット17に至る前に貫通孔10eを通じて第1収容空間S1へと移動することが可能である。
なお、本実施形態では、中間部10Cのうち筐体10の側部側の部位には、ベルトBが通過する貫通孔が形成されているため、第2収容空間S2に流入した空気は、当該貫通孔を通じて第1収容空間S1へと移動することも可能である。
開口10aは、筐体10の内部に収容されたコンプレッサユニット19等をメンテナンスするために形成されている。開口10aは、筐体10の前部10Dに形成されている。具体的に、開口10aは、梁部10dと上部10Aとの間に形成されており、略矩形状をなしている。これにより、開口10aは、筐体10の外部と筐体10の内部の第1収容空間S1とを連通している。本実施形態では、開口10aは、冷却用空気流入口10bの上方に位置している。
パネルユニット11は、開口10aを覆うように筐体10の前部10Dに取り付けられている。パネルユニット11は、図3,図5,図7,図9に示すように、パネル部材12と、吸音部材13と、ファン装置ユニット14と、アダプタユニット15と、圧縮用空気フィルタ部26と、を有している。
パネル部材12は、開口10aを開閉可能に筐体10に取り付けられている。パネル部材12は、本体部121と、本体部121に直交する方向において当該本体部121の前方に膨出した膨出部122と、本体部121に直交する方向において当該本体部121の後方に延びる固定板123と、を有している。
本体部121は、筐体10の前部10Dに沿った平板であって、略矩形状をなしている。本体部121は、パネル部材12の全体で開口10aを覆うように筐体10の前部10Dに取り付けられている。具体的には、図7に示すように、本体部121の外周部分には、複数の挿入孔121bが形成されている。各挿入孔121bは、筐体10の前部10Dに形成された締結孔に重なっている。そして、各挿入孔121bおよび前部10Dの各締結孔には、ボルト状の取付部材23が挿入されており、当該取付部材23によって本体部121と筐体10の前部10Dとが固定されている。すなわち、パネル部材12は、取付部材23によって、筐体10に着脱可能に取り付けられている。
空気圧縮装置X1では、図7に示すように、取付部材23によってパネル部材12の本体部121が筐体10の前部10Dに取り付けられた状態において、パネルユニット11は、筐体10の前部10Dの前方において開口10aを閉じている。一方、図8に示すように、取付部材23が取り外されることによりパネルユニット11が筐体10の前部10Dから取り外された状態においては、前部10Dに形成された開口10aが開かれる。そして、当該開口10aからは、第1収容空間S1に収容されたコンプレッサユニット19が露出する。
なお、本実施形態では、パネル部材12の本体部121は、ボルト状の取付部材23によって前部10Dに固定されているが、これに限らない。パネル部材12の本体部121は、例えば、冷却用空気フィルタ部16と同様に、ヒンジ部とレバー錠とによって筐体10の前部10Dに固定されてもよい。この場合、パネルユニット11は、レバー錠を開放あるいは閉鎖することにより開口10aを開閉することが可能である。
本体部121には、コンプレッサユニット19において圧縮する空気を筐体10の外部から内部へと流入させるための圧縮用空気流入口121aが形成されている。圧縮用空気流入口121aは、図7に示すように、第2方向B1における本体部121の中間部分に形成されている。本実施形態では、圧縮用空気流入口121aは、略円形状をなしている。圧縮用空気流入口121aは、後述する第1ファン装置14Aと第2ファン装置14Bとの間において、案内路20の流入開口20aに対向するように位置している。
膨出部122は、パネル部材12の内面の一部が当該パネル部材12の外面側に凹むことにより形成されている。すなわち、膨出部122は、パネル部材12において本体部121と一体に構成されている。本実施形態では、膨出部122は、図7に示すように、本体部121に取り囲まれるように位置している。
膨出部122は、図3,図5,図9に示すように、対向部122bと、当該対向部122bに連結された側方部122aと、を有している。
対向部122bは、本体部121と同様の平面方向に拡がる部位であって、当該本体部121よりも前方に位置している。具体的には、対向部122bは、パネル部材12が開口10aを閉じた状態において、第2方向B1において本体部121を挟んでコンプレッサユニット19の反対側に位置している。
側方部122aは、対向部122bと本体部121とを繋ぐように当該本体部121に直交する方向に延びる部位である。本実施形態では、側方部122aは、本体部121に直交する方向において当該本体部121の外側から内側に亘って位置している。
側方部122aは、図3,図7に示すように、上延部122cと、側延部122d,122eと、下延部122fと、を有している。
上延部122cは、対向部122bの上端に繋がるとともに、水平方向に延びている。両側延部122d,122eは、対向部122bの両側端にそれぞれ繋がるとともに、略鉛直方向に延びている。下延部122fは、対向部122bの下端に繋がるとともに、側延部122dの下端から側延部122eの下端に亘って延びている。具体的に、下延部122fは、側延部122dの下端から水平方向の内側に延びる第1部位122gと、側延部122eの下端から水平方向の内側に延びる第2部位122hと、本体部121の圧縮用空気流入口121aを避けるように上方に屈曲しつつ第1部位122gと第2部位122hとを繋ぐ第3部位122iと、を有している。そして、これらの上延部122c、側延部122d,122e、および下延部122fは、一繋ぎに繋がることにより、閉ループ状をなしている。
このように、パネル部材12の内面の一部が外面側へと凹むように膨出部122が設けられ、これにより膨出部122の対向部122bおよび側方部122aによって取り囲まれる1つの凹空間S5が形成される。この凹空間S5は、パネルユニット11が開口10aを閉じる閉じ位置にある状態で、筐体10の内部の第1収容空間S1に連通している。
固定板123は、圧縮用空気フィルタ部26をパネル部材12に固定するための板状部材である。固定板123は、図9に示すように、圧縮用空気流入口121aの下方に位置しており、本体部121の内面から当該本体部121の後方に向けて延びている。本実施形態では、固定板123は、水平方向において圧縮用空気流入口121aの幅の範囲内に収まっている。また、固定板123には、当該固定板123を貫通する2つの挿入孔123aが形成されている。2つの挿入孔123aは、水平方向に互いに間隔をあけて位置している。
ここで、図10は、圧縮用空気フィルタ部26の概略構成の斜視図を示している。図10に示すように、圧縮用空気フィルタ部26は、フィルタ本体26aと、フィルタ本体26aの後端に設けられた挿入部26bと、案内路20の延びる方向におけるフィルタ本体26aの中間部分から径方向に突出する固定部26cと、を有している。
フィルタ本体26aは、圧縮用空気流入口121aを通じて筐体10の内部に流入する圧縮用の空気から塵等を取り除くフィルタである。本実施形態では、フィルタ本体26aは、円筒状の外装を有している。
挿入部26bは、圧縮用空気フィルタ部26のうち案内路20の流入開口20aに挿入される部位である。挿入部26bは、フィルタ本体26aの軸方向における後端からさらに後方へと延びており、フィルタ本体26aよりも小さい外径を有する。
固定部26cは、圧縮用空気フィルタ部26をパネル部材12の本体部121に固定するための部位である。固定部26cは、フィルタ本体26aの外面から当該フィルタ本体26aの径方向の外側に突出している。本実施形態では、フィルタ本体26aの径方向における固定部26cの最外面は、平坦な矩形状なしている。
固定部26cの最外面には、2つの嵌込ボルト26dが取り付けられている。2つの嵌込ボルト26dは、固定部26cの最外面の長手方向(圧縮用空気フィルタ部26の軸方向に直交する方向)において、間隔をあけて互いに離間している。
圧縮用空気フィルタ部26は、パネル部材12に着脱可能に取付けられている。
具体的には、圧縮用空気フィルタ部26がパネル部材12に取り付けられた状態において、圧縮用空気フィルタ部26のフィルタ本体26aは、図11に示すように、固定部26cが下方を向く姿勢で圧縮用空気流入口121aに嵌め込まれている。具体的には、フィルタ本体26aは、軸方向における一部が本体部121の前方に位置するとともに、軸方向における残部が本体部121の後方に位置するように、前部10D側から後部10E側へ向けて圧縮用空気流入口121aに挿入されている。この状態で、固定部26cは、水平方向においてフィルタ本体26aの幅の範囲内に収まっている。この状態で、第1方向A1において、固定部26cは、本体部121の内面に重なる姿勢で配置されている。そして、固定部26cに装着された嵌込ボルト26d,26dが固定板123の挿入孔123aに挿入されている。これにより、固定部26cが固定板123に固定され、圧縮用空気フィルタ部26がパネル部材12に取り付けられている。
この状態で、流入開口20aに挿入された挿入部26bは、流入開口20aを形成する案内路20の縁部の内側に配置されたトリムシール27を介して、案内路20に取り付けられている。換言すれば、トリムシール27は、圧縮用空気フィルタ部26の挿入部26bと案内路20とを連結している。これにより、筐体10の外部からフィルタ本体26aに流入した空気は、挿入部26bを通じて案内路20へと流入することになる。トリムシール27は、案内路20に対する挿入部26bの取付け誤差を吸収可能な程度の弾性を有している。
一方、圧縮用空気フィルタ部26をパネル部材12から取り外す際には、図11に示す状態において、本体部121の前方に露出したフィルタ本体26aの下端を上方へと押し上げることにより、固定部26cを上方へ動かす。これにより、嵌込ボルト26dを挿入孔123aから取り外し、圧縮用空気フィルタ部26の全体を圧縮用空気流入口121aから引き抜く。このようにして、圧縮用空気フィルタ部26がパネル部材12から取り外される。
ファン装置ユニット14は、コンプレッサユニット19を冷却する気流を発生させる。具体的には、ファン装置ユニット14は、冷却用空気流入口10bから筐体10の内部に流入した空気をコンプレッサユニット19に向けて送出する。
ファン装置ユニット14は、第1コンプレッサ19Aを冷却する気流を発生させる第1ファン装置14Aと、第2コンプレッサ19Bを冷却する気流を発生させる第2ファン装置14Bと、を有している。図9に示すように、第1ファン装置14Aの一部は、凹空間S5のうち、主に上延部122c、側延部122d、および第1部位122gによって取り囲まれる第1凹空間S3に配置されている。また、第2ファン装置14Bの一部は、凹空間S5のうち、主に上延部122c、側延部122e、および第2部位122hによって取り囲まれる第2凹空間S4に配置されている。本実施形態では、凹空間S5は、一続きの空間であって、第1凹空間S3と第2凹空間S4とは、圧縮用空気流入口121aの上方において圧縮用空気流入口121aを避けるように互いに連続している。なお、第1凹空間S3と第2凹空間S4とは、互いに分断されていてもよい。
第1ファン装置14Aと第2ファン装置14Bとは、互いに同じ構造をなしている。以下では、第1ファン装置14Aについて説明する。
第1ファン装置14Aは、それぞれ対向部122bに直交する方向に重なるように配置された2つの軸流ファンによって構成されている。なお、第1ファン装置14Aを構成する軸流ファンの数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
第1ファン装置14Aは、冷却用空気流入口10bから筐体10の内部に流入した空気を吸い込む吸込口14aと、吸込口14aの反対側に位置しており吸込口14aから吸込んだ空気を送出する送出口14bと、当該第1ファン装置14Aをパネル部材12に取り付けるための取付け部14dと、を有している。第1ファン装置14Aは、筒状に形成された側面14cの内側に羽根車が配置された構成である。そして、吸込口14aは、筒状の側面14cにおける一端側の開口によって形成され、送出口14bは、側面14cにおける他端側の開口によって形成されている。
第1ファン装置14Aは、図5に示すように、吸込口14aが第1凹空間S3を形成する対向部122bに対して間隔をあけて対向するとともに、送出口14bが第1コンプレッサ19A側を向く姿勢で配置されている。具体的には、第1ファン装置14Aは、吸込口14aが第1凹空間S3内に位置するように、当該第1凹空間S3から第1収容空間S1に亘って配置されている。より具体的には、第1ファン装置14Aのうち吸込口14aが設けられた側の側面14cの端部は、側方部122aのうち第1コンプレッサ19A側の端部よりも対向部122bに近い側に配置されている。これにより、第1ファン装置14Aの側面14cの一部は、第1凹空間S3を形成する側方部122aに対して間隔をあけて対向している。
第1ファン装置14Aの取付け部14dは、第1ファン装置14Aの側面14cから当該第1ファン装置14Aの径方向に延びている。そして、第1ファン装置14Aの取付け部14dは、ボルトを介してパネル部材12に固定されている。すなわち、ファン装置ユニット14は、パネル部材12に取り付けられている。なお、第1ファン装置14Aは、その全体が第1凹空間S3内に位置していてもよい。
なお、第2ファン装置14Bについては、詳細な説明は省略するが、第1ファン装置14Aと同様に、吸込口14aが第2凹空間S4内に位置するとともに側面14cの一部が第2凹空間S4を形成する側方部122aに対して間隔をあけて対向するように配置されている。
アダプタユニット15は、ファン装置ユニット14における送出口14bから送出された空気をコンプレッサユニット19へ導く。アダプタユニット15は、第1ファン装置14Aの送出口14b側に固定された第1アダプタ15Aと、第2ファン装置14Bの送出口14bに固定された第2アダプタ15Bと、を有している。第1アダプタ15Aは、第1ファン装置14Aの送出口14bと第1コンプレッサ19Aとの間に配置されている。第2アダプタ15Bは、第2ファン装置14Bの送出口と第2コンプレッサ19Bとの間に配置されている。第1アダプタ15Aと第2アダプタ15Bとは、互いに同じ構造をなしている。以下では、第1アダプタ15Aについて説明する。
第1アダプタ15Aは、矩形状をなす板状の部材である。第1アダプタ15Aには、当該第1アダプタ15Aと第1方向A1に貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔は、第1ファン装置14A側において送出口14bの形状に対応する形状をなすとともに、第1コンプレッサ19A側において当該第1コンプレッサ19Aの外形状に対応する形状をなしている。
なお、アダプタユニット15はなくともよく、ファン装置ユニット14の送出口14bからコンプレッサユニット19のコンプレッサ本体19aへと直接空気が送出されてもよい。
吸音部材13は、凹空間S5に配置され、当該凹空間S5を通過する空気による空気圧縮装置X1の騒音を低減する。図9に示すように、吸音部材13は、膨出部122に取り付けられている。吸音部材13は、周縁部13aと、区画部13bと、を有している。周縁部13aは、膨出部122の側方部122aの内面および対向部122bの内面に沿って設けられている。区画部13bは、第1凹空間S3と第2凹空間S4とを区画するように第3部位122iの上端から上延部122cに亘って設けられている。周縁部13aおよび区画部13bは、ファン装置ユニット14とは間隔をあけて配置されている。
空気圧縮装置X1では、冷却用空気流入口10bを通じて第2収容空間S2に流入した空気は、ファン装置ユニット14における吸込口14aの吸込みに応じて、中間部10Cの貫通孔10eを通じて第1収容空間S1へと上昇する。そして、第1収容空間S1へ上昇した空気は、ファン装置ユニット14における側面14cと側方部122aに取り付けられた吸音部材13との間に形成された通路F1へと流れ込み、膨出部122の対向部122b側へ向けて流れる。そして、対向部122bに設けられた吸音部材13において屈曲されつつ吸込口14aへと回り込み、当該吸込口14aに吸い込まれる。その後、ファン装置ユニット14における送出口14bから送出された空気は、アダプタユニット15を通じてコンプレッサユニット19に導かれ、当該コンプレッサユニット19を冷却する。そして、コンプレッサユニット19を冷却した後、後部10Eに形成された流出口10cを通じて筐体10の外部に流出し、アフタークーラ22の保護カバー22b内へ流入することになる。
図12は、空気圧縮装置X1を筐体10の前部10D側から視た正面図であって、パネルユニット11のパネル部材12を透視するとともに、冷却用空気フィルタ部16を筐体10から取り外した図である。
図12に示すように、第1,第2ファン装置14A、14Bは、配線14eをさらに有している。各配線14eは、上端が第1,第2ファン装置14A、14Bにおけるそれぞれの側面14cに繋がっており、当該側面14cから下方に延びている。具体的には、配線14eは、図5に示すように、上端が側面14cに繋がっており、中間部10Cの貫通孔10eを通じて第1収容空間S1から第2収容空間S2に亘って延びている。
さらに、図12に示すように、空気圧縮装置X1は、ファン装置ユニット14を駆動する電力を供給するための配線基板ユニット25と、各配線14eの下端に繋がるコネクタユニット24と、をさらに備えている。
配線基板ユニット25は、図5に示すように、第1収容空間S1において、モータユニット17よりも前部10D側に配置されている。本実施形態では、配線基板ユニット25は、鉛直方向C1に延びる矩形状をなしている。配線基板ユニット25は、図12に示すように、第1ファン装置14Aにおける配線14eに繋がる第1配線基板25Aと、第2ファン装置14Bにおける配線14eに繋がる第2配線基板25Bと、を備えている。第1配線基板25Aと第2配線基板25Bとは、第2方向B1に並んで配置されており、中間部10Cの下面から吊り下げられるように当該中間部10Cに固定されている。第1配線基板25Aおよび第2配線基板25Bは、図8に示すように、冷却用空気流入口10bを開くように冷却用空気フィルタ部16を動かした状態で、冷却用空気流入口10bから露出している。
コネクタユニット24は、図12に示すように、各配線部14eと第1,第2配線基板25A,25Bとを繋ぐ。コネクタユニット24は、第1ファン装置14Aにおける配線14eの下端に取り付けられた第1コネクタ24Aと、第2ファン装置14Bにおける配線14eの下端に取り付けられた第2コネクタ24Bと、を有している。
第1コネクタ24Aは、第1配線基板25Aと前部10Dとの間に位置するとともに、当該第1配線基板25Aに接続されている。これにより、第1ファン装置14Aと第1配線基板25Aとが電気的に接続される。また、第2コネクタ24Bは、第2配線基板25Bと前部10Dとの間に位置するとともに、当該第2配線基板25Bに接続されている。これにより、第2ファン装置14Bと第2配線基板25Bとが電気的に接続される。
第1コネクタ24Aおよび第2コネクタ24Bは、図12に示すように、冷却用空気流入口10bを開くように冷却用空気フィルタ部16を動かすと、冷却用空気流入口10bから露出する。すなわち、コネクタユニット24は、冷却用空気流入口10bを開くように冷却用空気フィルタ部16を動かした状態で、冷却用空気流入口10bを通じて配線基板ユニット25から取り外すことが可能である。
空気圧縮装置X1において、コンプレッサユニット19のメンテナンスを行うために開口10aを開く場合には、まず、レバー錠161bを開くように操作するとともにヒンジ161aを中心として冷却用空気フィルタ部16を上方に回動することにより、冷却用空気流入口10bを開く。次に、図12に示すように冷却用空気流入口10bから露出したコネクタユニット24を、当該冷却用空気流入口10bを通じて配線基板ユニット25から取り外す。この状態で、パネルユニット11におけるパネル部材12の本体部121と筐体10の前部10Dとを固定する取付部材23を取り外し、パネル部材12を筐体10から取り外す。この際、パネル部材12に取り付けられた吸音部材13、ファン装置ユニット14、およびアダプタユニット15と、ファン装置ユニット14における配線14eに取り付けられたコネクタユニット24とは、パネル部材12とともに取り外されることになる。これにより、図8に示すように開口10aが開き、当該開口10aから露出したコンプレッサユニット19のメンテナンスを行うことが可能となる。
以上説明した空気圧縮装置X1では、コンプレッサユニット19を冷却するためのファン装置ユニット14が筐体10の開口10aを閉じるパネル部材12に取り付けられている。このため、当該開口10aを開くようにパネル部材12を動かした際に当該パネル部材12とともにファン装置ユニット14も動くことになる。このため、筐体10の開口10aを通じて当該筐体10の内部のコンプレッサユニット19のメンテナンスを行うに際して、ファン装置ユニット14が障害となることがなく、これにより当該メンテナンスを容易に行うことができる。
さらに、空気圧縮装置X1では、ファン装置ユニット14にアダプタユニット15が取り付けられているため、筐体10の開口10aを通じて当該筐体10の内部のコンプレッサユニット19のメンテナンスを行うに際して、アダプタユニット15が障害となることもない。
さらに、空気圧縮装置X1では、パネルユニット11のパネル部材12が筐体10に着脱可能に取り付けられているため、コンプレッサユニット19をメンテナンスする際にパネル部材12を筐体10から取り外すことにより、当該メンテナンスをより容易に行うことができる。
さらに空気圧縮装置X1では、パネル部材12に凹空間S5が形成されており、当該凹空間S5内に吸込口14aが位置するようにファン装置ユニット14が配置されている。このため、吸込口14aが筐体10内の空気を吸い込むに際して、凹空間S5を形成するパネル部材12の膨出部122の内面が、当該空気を吸込口14aに向けて回り込ませるようにガイドすることになる。これにより、空気の流れ方向における吸込口14aの上流側において、当該流れ方向が屈曲することになる。したがって、空気圧縮装置X1の騒音を低減することができる。
さらに、空気圧縮装置X1では、第1ファン装置14Aの少なくとも一部が配置される第1凹空間S3と第2ファン装置14Bの少なくとも一部が配置される第2凹空間S4とを個別に形成する必要がない。このため、凹空間S5全体を一連の工程で形成することができる。このため、パネル部材12の加工が容易となる。
さらに、空気圧縮装置X1では、第1ファン装置14Aと第2ファン装置14Bとの間において、圧縮用空気流入口121aが設けられるとともに第1凹空間S3と第2凹空間S4とが互いに連続している。このため、空気圧縮装置X1が大型化することを抑止できる。
さらに、空気圧縮装置X1では、圧縮用空気フィルタ部26によって圧縮用空気流入口121aを通じて筐体10の内部に異物が侵入することを抑止できる。しかも、パネル部材12から圧縮用空気フィルタ部26を取り外すことにより当該圧縮用空気フィルタ部26を容易にメンテナンスすることができる。
さらに、空気圧縮装置X1では、フィルタ本体26aをパネル部材12に固定するための固定部26cが水平方向におけるフィルタ本体26aの幅の範囲内に収まっている。このため、当該水平方向における第1凹空間S3と第2凹空間S4との間隔を狭く設定することができる。これにより、空気圧縮装置X1全体の小型化を実現することができる。
さらに、空気圧縮装置X1では、フィルタ本体26aと案内路20とがトリムシール27を介して連結されるため、圧縮用空気フィルタ部26をパネル部材12および案内路20から容易に取り外すことができる。
さらに、空気圧縮装置X1では、筐体10の前部10Dにパネル部材12によって覆われる開口10aと冷却用空気フィルタ部16によって覆われる冷却用空気流入口10bとが形成されており、冷却用空気フィルタ部16が冷却用空気流入口10bを開閉可能なように筐体10に取り付けられている。このため、筐体10の前部10D側において、開口10aを開くようにパネル部材12を動かすことによりコンプレッサユニット19のメンテナンスを行うことができる。また、冷却用空気流入口10bを開くように冷却用空気フィルタ部16を動かすことにより、筐体10の前部10D側において、冷却用空気フィルタ部16のメンテナンスも行うことができる。
さらに、空気圧縮装置X1では、冷却用空気流入口10bを開くように冷却用空気フィルタ部16を動かしたときにコネクタユニット24が冷却用空気流入口10bから露出する。このため、冷却用空気流入口10bを通じてコネクタユニット24の接続作業および接続解除作業を容易に行うことができる。すなわち、空気圧縮装置X1において、コンプレッサユニット19のメンテナンスを行う場合に、冷却用空気流入口10bを通じてコネクタユニット24の接続解除作業を行うことにより、パネル部材12を筐体10から容易に取り外すことができる。これにより、開口10aを通じてコンプレッサユニット19のメンテナンスを容易に行うことができる。
なお、本実施形態では、パネル部材12は、本体部121と当該本体部121から膨出する膨出部122とを有しているが、これに限らない。例えば、パネル部材12を全体として平板状に形成するとともに、当該パネル部材12の外面は平坦状とする一方で内面の一部を外面側に凹ませることにより、凹空間S5を形成してもよい。すなわち、パネル部材12は、膨出部122を有していなくともよく、ファン装置ユニット14における吸込口14aに向けて空気を回り込ませるような凹空間S5が形成されていればよい。また、凹空間S5は、なくともよく、平板状のパネル部材12に対して間隔をあけてファン装置ユニット14が取り付けられてもよい。
また、本実施形態では、コンプレッサユニット19は、第1コンプレッサ19Aおよび第2コンプレッサ19Bの2つのコンプレッサを有しているが、これに限らない。コンプレッサユニット19が有するコンプレッサの数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。この場合、コンプレッサユニット19が有するコンプレッサの数に応じて、モータユニット17が有するモータの数やファン装置ユニット14が有するファン装置の数も適宜変更されることになる。
また、本実施形態では、筐体10が中間部10Cを有しており、当該中間部10Cを挟んで第1収容空間S1と第2収容空間S2とが形成されることにより、モータユニット17とコンプレッサユニット19とが鉛直方向C1にずれて配置されているが、これに限らない。例えば、モータユニット17とコンプレッサユニット19とは、鉛直方向C1に直交する水平方向において互いに並ぶように配置されてもよい。この場合、モータユニット17の出力軸171とコンプレッサユニット19における入力軸19cとは、同軸上に配置され、これによりモータユニット17とコンプレッサユニット19とが直結される。
また、本実施形態では、コネクタユニット24および配線基板ユニット25は、冷却用空気流入口10bを開くように冷却用空気フィルタ部16を動かした際に当該冷却用空気流入口10bから露出するように第2収容空間S2に収容されているが、これに限らない。例えば、コネクタユニット24および配線基板ユニット25は、第1収容空間S1に収容されるとともに第1方向A1においてコンプレッサユニット19よりも前部10D側に配置されてもよい。この場合、パネル部材12を前部10Dから取り外すことにより開口10aを開き、開口10aを通じてコネクタユニット24を配線基板ユニット25から取り外すことにより、パネルユニット11およびコネクタユニット24の全体を筐体10から取り外すことができる。すなわち、コネクタユニット24および配線基板ユニット25の配置は特に限定されるものではなく、空気圧縮装置X1の使用態様に応じて適宜変更することができる。
また、本実施形態では、膨出部122における下延部122fが圧縮用空気流入口121aを避けるように上方に屈曲した第3部位122iを有しており、これにより第1凹空間S3と第2凹空間S4とが圧縮用空気流入口121aを避けるように互いに連続しているが、これに限らない。例えば、第1凹空間S3と第2凹空間S4とから構成される凹空間S5が第1方向A1から視て略矩形状をなしており、当該略矩形状の凹空間S5の外側に圧縮用空気流入口121aが形成されてもよい。すなわち、第1凹空間S3、第2凹空間S4、および圧縮用空気流入口121aの位置関係は、特に限定されるものではなく、空気圧縮装置X1の使用態様に応じて適宜変更することができる。
また、本実施形態では、トリムシール27によって圧縮用空気フィルタ部26と案内路20とが間接的に連結されているが、これに限らず、圧縮用空気フィルタ部26と案内路20とが直接的に連結されてもよい。
以上説明した本実施形態および第2の実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記の本実施形態および第2の実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
ここで、前記実施形態について概説する。
(1) 上記の空気圧縮装置では、コンプレッサユニットを冷却するためのファン装置ユニットが筐体の開口を閉じるパネル部材に取り付けられている。このため、当該開口を開くようにパネル部材を動かした際に当該パネル部材とともにファン装置ユニットも動くこととなる。このため、筐体の開口を通じて当該筐体の内部のコンプレッサユニットのメンテナンスを行うに際して、ファン装置ユニットが障害となることがなく、これにより当該メンテナンスを容易に行うことができる。さらに、上記の空気圧縮装置では、パネル部材が凹空間を有しており、当該凹空間内に吸込口が位置するようにファン装置ユニットが配置されている。このため、吸込口が筐体内の空気を吸い込むに際して、凹空間を形成するパネル部材の内面が当該空気を吸込口に向けて回り込ませるようにガイドすることになる。これにより、空気の流れ方向における吸込口の上流側において、当該流れ方向が屈曲することになる。したがって、空気圧縮装置の騒音を低減することができる。
(2) 前記パネル部材は、前記筐体に着脱可能に取り付けられることが好ましい。
上記の空気圧縮装置では、コンプレッサユニットをメンテナンスする際にパネル部材を筐体から取り外すことにより、当該メンテナンスをより容易に行うことができる。
(3) 前記コンプレッサユニットは、第1コンプレッサと第2コンプレッサとを有していてもよい。また、前記ファン装置ユニットは、前記第1コンプレッサを冷却する気流を発生させる第1ファン装置と、前記第2コンプレッサを冷却させる気流を発生させる第2ファン装置と、を有していてもよい。また、前記凹空間は、前記第1ファン装置の少なくとも一部が配置される第1凹空間と、前記第2ファン装置の少なくとも一部が配置される第2凹空間と、を有していてもよい。この場合、前記第1凹空間と前記第2凹空間とは、互いに連続していることが好ましい。
上記の空気圧縮装置では、第1ファン装置の少なくとも一部が配置される第1凹空間と第2ファン装置の少なくとも一部が配置される第2凹空間とを個別に形成する必要がない。このため、パネル部材の加工が容易となる。
(4) 前記パネル部材には、前記第1ファン装置と前記第2ファン装置との間に位置するとともに前記筐体の内部へ空気を流入させる圧縮用空気流入口が形成されていてもよい。この場合、前記第1凹空間と前記第2凹空間とは、前記第1ファン装置と前記第2ファン装置との間において前記圧縮用空気流入口を避けるように互いに連続していることが好ましい。
上記の空気圧縮装置では、第1ファン装置と第2ファン装置との間において、圧縮用空気流入口が設けられるとともに第1凹空間と第2凹空間とが互いに連続している。このため、空気圧縮装置が大型化することを抑止できる。
(5) 上記の空気圧縮装置は、前記圧縮用空気流入口に嵌め込まれるように前記パネル部材に着脱可能に取り付けられた圧縮用空気フィルタ部をさらに備えることが好ましい。
上記の空気圧縮装置では、圧縮用空気フィルタ部によって圧縮用空気流入口を通じて筐体内に異物が侵入することを抑止できるとともに、パネル部材から圧縮用空気フィルタ部を取り外すことにより当該圧縮用空気フィルタ部を容易にメンテナンスすることができる。
(6) 前記圧縮用空気フィルタ部は、フィルタ本体と、前記パネル部材に前記フィルタ本体を固定する固定部と、を有していてもよい。この場合、前記固定部は、水平方向における前記フィルタ本体の幅の範囲内に配置されることが好ましい。
上記の空気圧縮装置では、フィルタ本体をパネル部材に固定するための固定部が水平方向におけるフィルタ本体の幅の範囲内に収まっている。このため、当該水平方向における第1凹空間と第2凹空間との間隔を狭く設定することができる。これにより、空気圧縮装置全体の小型化を実現することができる。
(7) 上記の空気圧縮装置は、前記圧縮用空気流入口から前記筐体内に流入した空気を前記コンプレッサユニットへと導く案内路と、前記圧縮用空気フィルタ部の前記フィルタ本体と前記案内路とを連結するトリムシールと、をさらに備えることが好ましい。
上記の空気圧縮装置では、フィルタ本体と案内路とがトリムシールを介して連結されるため、圧縮用空気フィルタ部をパネル部材および案内路から容易に取り外すことができる。
(8) 前記筐体の前記前部には、前記筐体の内部に空気を流入させる冷却用空気流入口が形成されていてもよい。この場合、前記空気圧縮装置は、前記冷却用空気流入口を開閉可能なように前記筐体に取り付けられる冷却用空気フィルタ部をさらに備えることが好ましい。
上記の空気圧縮装置では、筐体の前部にパネル部材によって覆われる開口と冷却用空気フィルタ部によって覆われる冷却用空気流入口とが形成されており、冷却用空気フィルタ部が冷却用空気流入口を開閉可能なように筐体に取り付けられている。このため、筐体の前部側において、開口を開くようにパネル部材を動かすことによりコンプレッサユニットのメンテナンスを行うことができる。また、冷却用空気流入口を開くように冷却用空気フィルタ部を動かすことにより、筐体の前部側において、当該冷却用空気フィルタ部のメンテナンスも行うことができる。
(9) 上記の空気圧縮装置は、前記ファン装置ユニットに繋がる配線のコネクタユニットをさらに備えていてもよい。この場合、前記コネクタユニットは、前記冷却用空気流入口を開くように前記冷却用空気フィルタ部を動かしたときに当該冷却用空気流入口から露出するように配置されることが好ましい。
上記の空気圧縮装置では、冷却用空気流入口を開くように冷却用空気フィルタ部を動かしたときにコネクタユニットが冷却用空気流入口から露出するため、当該冷却用空気流入口を通じてコネクタユニットの接続作業および接続解除作業を容易に行うことができる。すなわち、上記の空気圧縮装置において、コンプレッサユニットのメンテナンスを行う場合、まず、冷却用空気流入口を開くようにパネル部材を動かしつつ、当該冷却用空気流入口を通じてコネクタユニットの接続解除作業を行う。その後、開口を開くようにパネル部材を動かすことにより、ファン装置ユニットおよび当該ファン装置ユニットに繋がる配線およびコネクタユニットを一体として移動させる。これにより、開口を通じてコンプレッサユニットのメンテナンスを容易に行うことができる。
以上説明したように、前記実施形態によれば、コンプレッサユニットのメンテナンスを容易に行うことができる空気圧縮装置が提供される。