JPWO2016190362A1 - 触覚情報表記体の製造方法、触覚情報表記体、袋体及び包装体 - Google Patents

触覚情報表記体の製造方法、触覚情報表記体、袋体及び包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】版が不要なレーザー印字法を用いた簡便な触覚情報表記体の製造方法、及びそのような製造方法を利用することによって製造可能な触覚情報表記体、袋体及び包装体を提供する。【解決手段】積層体は、プラスチックフィルムによって形成され少なくとも一部が非通気部である表示フィルム(4)と、表示フィルム(4)に貼り合わされ少なくとも一部が非通気部である支持体(5)と、表示フィルム(4)の非通気部と支持体(5)の非通気部との間において表示フィルム4の非通気部及び支持体(5)の非通気部の各々と隣接して設けられカーボンブラックを含む黒色インキ層(2)とを備える。積層体のうち少なくとも黒色インキ層(2)にレーザー光を照射し、当該レーザー光によって表示フィルム(4)を穿孔することなく表示フィルム(4)において中空のドーム状成形部(6)が形成される。

Description

本発明は、レーザー光によりプラスチックフィルムに触覚情報表記体を形成するレーザー印字方法を利用した触覚情報表記体の製造方法と、そのようなレーザー印字法を利用することにより得られる触覚情報表記体、袋体及び包装体などの印字物とに関する。ここでいう触覚情報表記体は、例えば、プラスチックフィルムが表面に貼り合わされて構成される積層体の、表面フィルム層に、文字、記号及び/又は図形等の情報が指先等の触覚で判読可能に表記された物体を意味する。
以前より、触覚を用いた視覚障害者の情報伝達手段の一つに点字がある。
世界中で標準的に使用されている6点点字方式は、1マスに横2点×縦3点の合計6箇所に点状突起を配置し、指先で突起の配置を読み取り、読み取った点の配置を文字に置き換えて読み取るという、極めてシンプルな仕組みから成っている。
しかし、近年世界中で糖尿病患者が増加しているのに伴って、高齢になってから視覚障害者となるケースが増加している。このような視覚障害者は点の配置とそれに対応する文字の関係を記憶することが非常に困難であるのみならず、年齢を重ねると共に指先の感覚が鈍るため、そもそも点の配置を読み取ること自体が困難である。さらに、そのような視覚障害者は、点字の学習もしていないため、点字を利用することができずにいるのが現状である。
また、医薬品等の包装体に製品名を点字表記することで視覚障害者の誤用を防止することができる。しかしながら、そのような包装体を製造しているのが晴眼者であるため、誤った点字表記が包装体になされていても気付かないという問題がある。
また、点字表記は文字タイプが異なれば同じ点字表記でも異なる文字を表すため、自国の点字は読み取ることができても他国の点字は読み取れないという問題があり、視覚障害者は海外に行き難いという問題がある。
点字を覚えるのが困難な視覚障害者や、その介護を担う家族に対する、点字による情報伝達が困難であるという問題を解決するため、点字を覚えなくても文章や単語を読み取ることができるように、通常の文字を線状突起や点状突起で表記する触文字や、地図や図形を線状突起や点状突起で表記する触図に関する研究が以前からなされている。
触文字は、点字を知らなくても指で文字の形をなぞることで文字を読み取ることができるので、点字を覚えるのが困難だが文字を知る視覚障害者に好都合である。また、例えばアルファベットの触文字で英語を表記すれば、英語を理解できる視覚障害者であれば点字を覚えた国がどこであっても読み取ることができる。また、触図は、点字で表現できない2次元形状を指でなぞって判読することができるので、点字を覚えるのが困難な視覚障害者のみならず、点字使用者にとっても有用な情報伝達手段である。
触文字や触図も平面に突起部を形成するという、点字と共通の構造からなるので、点字作製と同じ方法を用いて作製することが可能である。
なお、従来、大量生産する製品に点字を設ける方法として、点字用凹版と点字用凸版の組み合わせを用いて紙やプラスチックフィルムにエンボスを施す方法、射出成形時やシート成形時に使用される金型に点字用凹版を彫り込んでおく方法、発泡インキで点字パターンを印刷してから加熱する方法等がある。
また、シルクスクリーン印刷で無色透明なUV硬化型インキを盛り上げ印刷した後にそのUV硬化型インキを硬化させる方法がある(特許文献1参照)。当該方法は、一般の印刷物上に重ねて点字を表記できるので、晴眼者には点字の表記内容が理解できなくても、晴眼者と点字使用者が同一面から情報を得ることができるという利点がある。
これらの方法は大量生産には向いているが、版を作製する必要があり、版を作製するためにはいくつもの工程が必要で、簡便性に欠けると共に、製品が高額になるので汎用性が低いという問題がある。更に、予め版の作製が必要なため、製造年月日や製造番号等の可変情報を点字表記することはほぼ不可能だった。また盛り上げ印刷を利用した方法では、インキは脱落する可能性が高く、各点(各隆起部)の十分なインキ高さを得るためには重ね刷りが必要なため非常に高価になる。また盛り上げ印刷を利用した方法は、特にプラスチックフィルムに適用し難いため、医薬品や食品の包装材料には殆ど用いられていない。
これらの理由から、特に、内容物を包装して密封したプラスチックフィルムを用いた包装体に直接的に点字を施すことが困難である等の問題があった。そのため、特に医薬品や食品のプラスチックフィルム製包装材料に直接点字を表記することは殆ど実施されておらず、プラスチックフィルムに点字表記が必要な場合は、粘着テープに点字表記を施した、高価な点字ラベルを貼り付けるしか方法が無かった。
また、簡便な点字形成方法として、発泡インキを塗布した印字領域にサーマルヘッドをあてがい、点字を形成したい箇所のみをサーマルヘッドで加熱し、発泡インキを発泡させて点字を形成する方法もある(特許文献2参照)。
しかしながら、この方法では発泡インキにより形成された点字が表面に剥き出しになっていて、耐スクラッチ性や耐水性に劣るという問題がある。また、発泡インキを用いた製品全般に言える問題として、発泡インキ自体が非常に高価であり、また製品を加熱工程に通す場合、意図しない摩擦熱や加熱が加えられる場合、長期の高温保存が行われる場合等には非点字部が意図せずに発泡してしまい、本来意図していた当初の発泡箇所が不明瞭になる等、耐熱性の面で劣るという問題がある。
また発泡インキを用いる場合には、充分な隆起を得るためにサーマルヘッドで発泡インキを直接的に加熱する必要があるが、サーマルヘッドが高温で発泡インキと接触してサーマルヘッドがすぐに汚れてしまうのみならず、汚れの付着による加熱不足が容易に発生してしまう。更には、発泡インキが発泡することによってサーマルヘッドと発泡インキの間に空間が生じるので、サーマルヘッドの汚れによって加熱が少しでも不均一になるとサーマルヘッドの汚れが少ない部分だけ発泡インキを加熱して空間が生じてしまうため、均一な発泡を継続することは非常に困難であった。
また、レーザーマーカーを用いた簡便な点字形成方法もあって、フィルムに走査レーザー光を照射して開いた孔の周囲に生じるリング状の樹脂溜りによって点字を表現する方法がある(特許文献3参照)。
しかしながらフィルム穿孔部周囲のリング状突起は、点や線を識別するために重要な「高さ」を十分に得ることができないという問題がある。
また、従来の点字表記体を作るには印刷の版、成形型、エンボス型などを作製する必要があり、コストアップや技術的問題で、点字を施すと同時に読みを併記することが殆ど行われていない。そのため、点字による文章や単語を点字使用者が理解できなかった時に、点字を判読できない晴眼者が補助できないという問題がある。特に近年の社会の高齢化に伴い、「年齢を重ねてから点字を使用する必要に迫られるようになったが点字の読み取りが困難な点字使用者」が増加しているが、周囲で介護する晴眼者も点字を読めず、そのような点字使用者を補助できないという問題がある。
また、従来の技術では一枚の基材の両面に点字表記することは非常に困難であり、1ページの両面に点字表記するためには片面に点字表記した複数の基材の裏面同士を貼り合わせるしかなく、面倒で高価にならざるを得なかった。また、包装体においても両面に点字表記して、表裏いずれからも点字を認識できるものは無かった。
前記のように、六つの点のみで文字を表現する、比較的単純な点字表記を用いる場合でも、形成方法や表記対象物に多くの問題がある。触文字や触図を点字のようにマトリックスで表現すれば点字器を大きくした装置を用いて製作することは可能だが、アルファベットのような単純な文字であっても、触文字を点のマトリックスで表現しようとすると一文字あたり百前後の点を形成可能なスペースが必要であるため、1文字毎に広いスペースが必要となり実用性が無い。かつ、点字器のように手作業でこのような多数の点からなる触文字を使った文章を作成することは現実的には困難である。更に、色々な傾きの斜線や、色々な曲率の曲線を限られた領域においてマトリックスで表現することは現実的にはほぼ無理である。従って触文字や触図などの触覚情報表記体は、点字を読み取ることができない視覚障害者でも利用でき、かつ、視覚障害者と晴眼者が同一の情報媒体を共有できるという優れた面があるにも関わらず、指先で判読しやすい触文字や、指先で追従しやすい触図等、試行錯誤による検証が必要な触文字及び触図の研究は非常に困難である。そのため、そのような触文字及び触図の開発が進んでいないのが現状である。
特開2000−62346号公報 特開2001−96916号公報 特開2002−49314号公報
本発明は前記の問題点を考慮してなされたものであり、レーザー印字法を用いた簡便な触覚情報表記体の製造方法、及びそのような製造方法を利用することによって製造可能な触覚情報表記体、袋体及び包装体の提供を課題とする。とりわけ、消耗品が不要で清掃等の保守管理が殆ど不要な印字方法であるレーザー印字法を用いて、版が不要で、コンピューターにインプットした文字及び/又は図形等のパターンをそのまま出力でき、また煙を発生させずにレーザー印字を利用して触覚情報表示体を製造することができる簡便で衛生的な触覚情報表記体の製造方法が望ましく提供されることを課題とする。また耐熱性、耐水性、及び/又は耐摩擦性に優れ、指先の触覚で判読可能な、文字及び図形等のパターンによる情報を晴眼者と視覚障害者が共有できる触覚情報表記体が望ましく提供されることを課題とする。
本発明の一態様は、プラスチックフィルムによって形成され少なくとも一部が非通気部である表示層と、当該表示層に貼り合わされ少なくとも一部が非通気部である支持体と、前記表示層の前記非通気部と前記支持体の前記非通気部との間において前記表示層の前記非通気部及び前記支持体の前記非通気部の各々と隣接して設けられカーボンブラックを含むインキ層と、を備える積層体のうち少なくとも前記インキ層にレーザー光を照射し、当該レーザー光によって前記表示層を穿孔することなく前記表示層において中空のドーム状成形部を形成することを特徴とする触覚情報表記体の製造方法に関する。
なお、本態様においてインキ層に隣接して設けられる「表示層の非通気部」及び「支持体の非通気部」は、インキ層にレーザー光を照射した際に消失してしまう部材は含まない。したがって、例えばインキ層にレーザー光を照射した際に消失してしまう接着剤等の部材を介してインキ層に隣接するように設けられる非通気性の部材(例えばプラスチックフィルム、プラスチック成型品、金属、ガラス等)を、インキ層に隣接して設けられる「支持体の非通気部」として使用してもよい。
例えば本発明の一モードは、プラスチックフィルムからなる表示層と、前記表示層との貼り合わせ面が非通気性層からなる支持体と、が貼り合わされてなる積層体であって、かつ、表示層及び/又は支持体の前記貼り合わせ面に、カーボンブラックを含む黒色インキ層で形成したレーザー印字領域が設けられてなる積層体において、前記表示層及び支持体を穿孔することなく前記カーボンブラックを燃焼させることが可能な走査レーザー光を用いて、スポット状の点からなる点線でパターンを印字し、当該印字部の前記表示層に設けた、連続した中空のドーム状隆起部で形成した突起点線で文字及び/又は図を表記することを特徴とするレーザー印字方法に関する。
また本発明の他のモードは、プラスチックフィルムからなる表示フィルムであって支持体との貼り合わせ面が非通気性面からなる表示フィルムと、前記表示フィルムとの貼り合わせ面が非通気性面からなる支持体と、が貼り合わされてなる積層体であって、表示フィルム及び/又は支持体の前記貼り合わせ面に、カーボンブラックを含む黒色インキ層で形成したレーザー印字領域が設けられてなる積層体において、前記表示フィルム及び支持体を穿孔することなく前記カーボンブラックを燃焼させることが可能な走査レーザー光を用いて、スポット状の点字パターン印字を施し、当該印字部の前記表示フィルムを、中空のドーム状に成形することを特徴とするレーザー点字印字方法に関する。
望ましくは、前記レーザー光は前記表示層を介して前記インキ層の複数箇所に対しスポット状に照射され、前記ドーム状成形部は前記表示層において複数設けられ、当該複数のドーム状成形部によって触覚情報パターンが構成される。
例えば本発明の他のモードは、前記レーザー印字用積層体に印字するパターンが正方向であり、レーザー光照射面の表示層に突起点線で文字及び/又は図を表記することを特徴とする、前記のレーザー印字方法に関する。
また本発明の他のモードは、前記レーザー印字用積層体に印字する点字パターンが正方向点字であり、レーザー光照射面に形成したドーム状成形部で点字表現することを特徴とする、前記のレーザー点字印字方法に関する。
望ましくは、前記レーザー光は前記支持体を介して前記インキ層の複数箇所に対しスポット状に照射され、前記ドーム状成形部は前記表示層において複数設けられ、当該複数のドーム状成形部によって触覚情報パターンが構成される。
例えば本発明の他のモードは、前記レーザー印字用積層体に印字するパターンが左右反転パターンであり、レーザー光照射面の反対面の表示層に突起点線で文字及び/又は図を表記することを特徴とする、前記のレーザー印字方法に関する。
また本発明の他のモードは、前記レーザー印字用積層体に印字する点字パターンが反転点字であり、レーザー光照射面の反対面に形成したドーム状成形部で点字表現することを特徴とする、前記のレーザー点字印字方法に関する。
望ましくは、前記レーザー光が照射される前記インキ層の印字領域を覆う前記表示層を加熱し、前記インキ層の前記印字領域に前記レーザー光を照射して前記ドーム状成形部を形成する。
例えば本発明の他のモードは、前記表示フィルムの印字領域が加熱された状態でレーザー点字印字を実施することを特徴とする、前記のレーザー点字印字方法に関する。
望ましくは、前記レーザー光は、YVOレーザー光である。
例えば本発明の他のモードは、前記レーザー点字印字方法に用いるレーザー光が、YVOレーザー光であることを特徴とする前記のレーザー点字印字方法に関する。
本発明の他の態様は、プラスチックフィルムによって形成され少なくとも一部が非通気部である表示層と、前記表示層に貼り合わされ少なくとも一部が非通気部である支持体と、 前記表示層の前記非通気部と前記支持体の前記非通気部との間において前記表示層の前記非通気部及び前記支持体の前記非通気部の各々と隣接して設けられカーボンブラックを含むインキ層とを備え、前記表示層には中空のドーム状成形部が設けられていることを特徴とする触覚情報表記体に関する。
例えば本発明の他のモードは、プラスチックフィルムが表面に貼り合わされてなる積層体の、表面フィルム層に形成された連続する中空のドーム状隆起部で形成した突起点線からなるパターンによって、指先で判読可能な文字及び/又は図が表記されていることを特徴とする触覚情報表記体に関する。
また本発明の他のモードは、プラスチックフィルムが表面に貼り合わされてなる積層体の、表面フィルムが隆起して形成した、中空のドーム状成形部で点字表記がなされていることを特徴とする点字表記体に関する。
望ましくは、前記支持体のうち前記表示層とは反対側に粘着層が設けられている。
例えば本発明の他のモードは、前記の点字表記体において、点字表記面の反対面に粘着剤層が設けられてなる点字表記付き粘着体に関する。
望ましくは、前記支持体のうち前記表示層とは反対側にヒートシール性層が設けられている。
例えば本発明の他のモードは、前記の触覚情報表記体において、点字表記面の反対面にヒートシール性層が設けられてなる点字表記付きヒートシール性積層体に関する。
本発明の他の態様は、プラスチックフィルムによって形成され少なくとも一部が非通気部である表示層と、前記表示層に貼り合わされ少なくとも一部が非通気部である支持体と、前記表示層の前記非通気部と前記支持体の前記非通気部との間において前記表示層の前記非通気部及び前記支持体の前記非通気部の各々と隣接して設けられカーボンブラックを含むインキ層とを備え、内側に収容部が設けられ、前記表示層には中空のドーム状成形部が複数設けられ、当該複数のドーム状成形部によって触覚情報パターンが構成されていることを特徴とする袋体に関する。
また本発明の他の態様は、上記の袋体と、前記袋体の前記収容部に収容された内容物と、を備えることを特徴とする包装体に関する。
例えば本発明の他のモードは、プラスチックフィルムが表面に貼り合わされてなるヒートシール性積層体を用いて形成した袋体、又は、容器に内容物を収納した包装体の、表面フィルム層に形成された連続した中空のドーム状隆起部で形成した突起点線からなるパターンによって、指先で判読可能な文字及び/又は図が表記されていることを特徴とする触覚情報表記付き包装体に関する。
また本発明の他のモードは、プラスチックフィルムが表面に貼り合わされてなるヒートシール性積層体を用いて形成した袋体又は容器(袋体)に内容物を収納した包装体の、表面フィルムが隆起して形成された中空のドーム状成形部で点字表記がなされていることを特徴とする点字表記付き包装体に関する。
望ましくは、袋体はヒートシール部を有し、前記複数のドーム状成形部は、前記ヒートシール部における前記表示層に設けられている。
例えば本発明の他のモードは、前記の触覚情報表記付き包装体において、ヒートシール部に指先で判読可能な文字及び/又は図が表記されていることを特徴とする触覚情報表記付き包装体に関する。
また本発明の他のモードは、ヒートシール部に点字表記がなされていることを特徴とする前記の点字表記付き包装体に関する。
望ましくは、前記ヒートシール部は、袋体の表側及び裏側の各々に設けられ、前記複数のドーム状成形部は、前記表側及び前記裏側の各々の前記ヒートシール部における前記表示層に設けられて前記触覚情報パターンを構成する。
例えば本発明の他のモードは、触覚情報表記付き包装体において、両面に指先で判読可能な文字及び/又は図の表記がなされたヒートシール部を有することを特徴とする触覚情報表記付き包装体である。
また本発明の他のモードは、両面に点字表記がなされたヒートシール部を有することを特徴とする前記の点字表記付き包装体に関する。
本発明の他の態様は、表面側に設けられる第1の表示層であって、プラスチックフィルムによって形成され少なくとも一部が非通気部である第1の表示層と、裏面側に設けられる第2の表示層であって、プラスチックフィルムによって形成され少なくとも一部が非通気部である第2の表示層と、前記第1の表示層と前記第2の表示層との間に設けられ、少なくとも一部が非通気部である支持体と、前記第1の表示層の前記非通気部と前記支持体の前記非通気部との間において前記第1の表示層の前記非通気部及び前記支持体の前記非通気部の各々と隣接して設けられカーボンブラックを含む第1のインキ層と、前記第2の表示層の前記非通気部と前記支持体の前記非通気部との間において前記第2の表示層の前記非通気部及び前記支持体の前記非通気部の各々と隣接して設けられカーボンブラックを含む第2のインキ層とを備え、前記第1の表示層及び前記第2の表示層の各々には中空のドーム状成形部が設けられていることを特徴とする触覚情報表記体に関する。
例えば本発明の他のモードは、両面にプラスチックフィルムが貼り合わされてなる積層体の両表面に、表面フィルム層に形成された連続する中空のドーム状隆起部で形成した突起点線からなるパターンによって、指先で判読可能な文字及び/又は図が表記されていることを特徴とする触覚情報表記体に関する。
また本発明の他のモードは、両面にプラスチックフィルムが貼り合わされてなる積層体の両表面に、両表面フィルムが隆起して形成した、中空のドーム状成形部で点字表記がなされていることを特徴とする点字表記体に関する。
望ましくは、前記ドーム状成形部は前記表示層において複数設けられ、当該複数のドーム状成形部によって点字パターンが構成され、前記インキ層のうち前記ドーム状成形部により覆われていない箇所に文字表示部が設けられている。
望ましくは、前記ドーム状成形部は前記表示層において複数設けられ、当該複数のドーム状成形部によって点字パターンが構成され、前記インキ層のうち前記ドーム状成形部により覆われていない箇所にレーザー光を照射して文字表示部を設ける。
例えば本発明の他のモードは、プラスチックフィルムからなる表示フィルムであって支持体との貼り合わせ面が非通気性面からなる表示フィルムと、前記表示フィルムとの貼り合わせ面が非通気性面からなる支持体と、が貼り合わされてなる積層体であって、表示フィルム及び/又は支持体の前記貼り合わせ面に、カーボンブラックを含む黒色インキ層で形成したレーザー印字領域が設けられてなる積層体において、前記表示フィルム及び支持体を穿孔することなく、前記カーボンブラックを燃焼させることが可能な走査レーザー光を用いてスポット状の点字パターン印字を施し、当該印字部の前記表示フィルムを、中空のドーム状に成形して得られた点字表記体において、前記カーボンブラックを含む黒色インキ層で形成したレーザー印字領域内の、点字表記部以外の部分に、前記カーボンブラックを燃焼させることにより得られるレーザー印字によって文字が印字されていることを特徴とする点字表記体に関する。
望ましくは、前記文字表示部は、前記ドーム状成形部の近傍に設けられ、当該ドーム状成形部によって構成される点字パターンの意味を示す。
例えば本発明の他のモードは、前記の点字表記体における文字の印字内容に、点字表記部近傍に印字した点字の読みが含まれることを特徴とする点字表記体に関する。
望ましくは、前記表示層のうち前記文字表示部に対応する箇所には穿孔部が設けられている。
望ましくは、前記レーザー光は、前記表示層を介し、前記インキ層のうち前記ドーム状成形部により覆われていない箇所に照射され、当該レーザー光によって前記表示層が穿孔されつつ前記文字表示部が設けられる。
例えば本発明の他のモードは、前記の点字表記体において、積層体に穿孔しつつ文字をレーザー印字することにより、少なくとも点字の読みを印字した文字に隆起部が形成されていないことを特徴とする点字表記体に関する。
本発明によれば、版を用いることなく簡便に、ドーム状成形部をレーザー光によって表示層に形成することができる。
例えば本発明の一態様に係るレーザー印字法は、プラスチックフィルムからなる表示層と、前記表示層との貼り合わせ面が非通気性層からなる支持体と、が貼り合わされてなる積層体の、前記表示層及び/又は支持体の貼り合わせ面にカーボンブラックを含む黒色インキを塗布して設けたレーザー印字領域に対し、積層体両表面のいずれかより、前記表示層及び支持体に穿孔することなく前記カーボンブラックを燃焼させることが可能な走査レーザー光を用いてスポット状の点からなる点線でパターン印字を実施することによって、カーボンブラックが燃焼した部分に空隙を生じさせると共に燃焼ガスと燃焼熱を発生させる。この時、燃焼ガスによって空隙部の圧力が上昇し、燃焼熱で軟化した空隙部のプラスチックフィルムがドーム形状に隆起して成形され、連続した点状隆起部を得るものである。簡単に言えば、積層体にレーザー光を照射して中間層に存在するカーボン顔料を燃焼させ、積層体表面を風船のように膨らませてドーム状隆起部を形成させる方法である。
実施には、例えばYVOレーザー光を用いたレーザーマーカーを使用して、版を作成することなく、前記レーザーマーカーの操作用コンピューターに入力した、スポット状の点からなる点線で描画した文字、記号又は図形等のパターンをそのままレーザー出力すればよく、簡便性に優れている。
また本発明の他の態様に係るレーザー点字印字法は、プラスチックフィルムからなる表示フィルムであって支持体との貼り合わせ面が非通気性面からなる表示フィルムと、前記表示フィルムとの貼り合わせ面が非通気性面からなる支持体と、が貼り合わされてなる積層体のうちの前記表示フィルム及び/又は支持体の貼り合わせ面にカーボンブラックを含む黒色インキを塗布して設けたレーザー印字領域に対し、前記表示フィルム及び支持体を穿孔することなく前記カーボンブラックを燃焼させることが可能な走査レーザー光を用いて、積層体両表面のいずれかよりスポット状の点字パターン印字を実施することによって、カーボンブラックが燃焼した部分に空隙を生じさせると共に燃焼ガスと燃焼熱を発生させる。この時、燃焼ガスによって空隙部の圧力が上昇し、燃焼熱で軟化した空隙部のプラスチックフィルムがドーム形状に隆起して成型され、点状隆起を得ることができる。簡単に言えば、積層体にレーザー光を照射して中間層に存在するカーボンブラック(カーボン顔料)を燃焼させ、積層体表面を風船のように膨らませてドーム状隆起部(ドーム状成形部)を形成することができる。当該方法を実施するに際しては、例えばYVOレーザー光を用いたレーザーマーカー(レーザ出射装置)を使用することで、版を作製することなく、前記レーザーマーカーの操作用コンピューターに入力した点字パターンのデータをそのままレーザー出力に反映すればよく、本態様は簡便性に優れている。
また、本発明の一態様に係るレーザー印字方法は、触覚情報表記面の表裏いずれからも印字することができ、1台のレーザーマーカーで両面同時に印字することができる。
また本発明の他の態様に係るレーザー点字印字方法は、点字表記面を基準とした表裏いずれからも点字印字することができるので、従来から使用中の製品製造ラインにレーザー点字印字工程を組み入れる際、レーザーマーカー設置スペースの制限が少ない。
また、本発明の一態様に係るレーザー印字方法は、レーザー印字用積層体の表示層が加熱された状態でレーザー印字を施すことによって、より鮮明な触覚情報表記部を得ることができる。
また本発明の他の態様に係るレーザー点字印字方法は、レーザー印字用積層体の点字表示面が加熱された状態でレーザー点字印字を施すことによって、より鮮明な点字を得ることができる。
また、本発明の一態様に係るレーザー印字方法において、YVOレーザー光を用いることによって、レーザー印字用積層体に穿孔することなく層間のカーボンブラックを燃焼させることができる。
また本発明の他の態様に係るレーザー点字印字方法において、YVOレーザー光を用いることによって、レーザー印字用積層体を穿孔することなく層間のカーボンブラックを燃焼させることができる。
また、本発明の一態様に係る触覚情報表記体は、触文字及び触図を形成する線分が連続した中空のドーム状隆起部で形成されているので、線分の表面に凹凸があり、指先の触覚による判読を容易に行える。
また本発明の他の態様に係るレーザー点字印字方法は、点字印字と同様に文字を印字することができるので、点字と一緒に晴眼者向けの表示を印字することが容易にできる。
また、突起点線で形成した触文字や触図は、点字のように点の数を数えて判読する必要がないので、点字の点より小さく、低い隆起部で形成しても、容易に指先の触覚で判読及び追従できる。また、例えば、触文字でアルファベットを表記した文章は、出身国の点字しか読み取れない視覚障害者でも、アルファベットを理解できれば読み取り可能である等、点字ではなく触文字で表記するメリットがある。
本発明の一態様に係るレーザー印字方法は、小さい隆起部を形成する能力に優れており、かつ、マトリックスを用いず、自由自在に斜線や曲線で触文字や触図を形成できるので、より小さいスペースで触覚情報を表示できる。また、点線を並べて文字や図を表記することによって、太文字を形成したり、企業のロゴ、ピクトグラム、地図、絵或いは他の図形等の二次元的な面での表現も可能である。更に、より小さいスペースへの印字で済むということは印字時間の短縮にも繋がり、実施面で好都合であるのみならず、情報伝達面を小さくすることができるので、触文字や触図等の普及が容易になり、かつ、版を製造することなく、レーザーマーカーの操作用コンピューターに入力した、スポット状の点からなる点線で描画した文字又は図形等のパターンをそのままレーザー出力すればよいので、触文字に適した字体や図形表現の研究に要する時間が大幅に短縮でき、視覚障害者と晴眼者が同一の情報媒体を共有できる触覚情報表記体の開発に貢献できる。
また、点字は一つでも点が欠けると全く異なる文字になってしまうが、突起点線で形成した触文字は点が一つ欠けても問題ない。また突起点線で形成する触文字の突起の高さが点字の高さよりも低くても、触文字は充分に認識可能である。そのため、突起点線で形成した触文字は、点字と比較して擦れや潰れに強く、点が欠け難い。
また、本発明の一態様に係る触覚情報表記体は、文字又は図形等の可視情報を立体的に、指先の触覚で判読可能に表記するものであり、晴眼者と視覚障害者に共通の情報伝達手段とすることができる。そのため、そのような触覚情報表記体を視覚障害者が判読できなかった場合には、晴眼者の誰もが視覚障害者を補助することができる。
また本発明の他の態様に係るレーザー点字印字方法は、点字印字と同様に文字を印字することができるので、点字印字部近傍に点字の読みを印字することが容易にできる。これによって、点字使用者と晴眼者が情報を共有することにより晴眼者が点字使用者に点字内容を読み上げて伝えることができ、また、晴眼者が点字に興味を抱くきっかけになることで点字利用者に対する理解を深めることができる。
また、本発明の一態様に係るレーザー印字用積層体は、支持体として特殊な材料や構成を用いる必要が無い。また、そのようなレーザー印字用積層体に対して通常の粘着剤塗布加工を施したり、両面テープを貼付することによって、本発明の一態様に係るレーザー印字用粘着体を得ることができる。また、本発明の一態様に係るレーザー点字印字方法を用いることで、容易に本発明の一態様に係る点字表記付き粘着体を得ることができる。また、本発明に係るレーザー印字方法を用いて容易に本発明に係る触覚情報表記付き粘着体を得ることができる。
また、印字部に穿孔が無い本発明の一態様に係る触覚情報表記体では、印字部表面がプラスチックフィルム層により保護されている。そのため、プラスチックフィルム層の材質や構成の設計次第で、耐熱性、耐水性、耐油性、耐摩擦性、或いは衛生性等に優れた、長期保存性を有する触覚情報表記体を得ることができる。
また、点字印字部に穿孔が無い本発明の一態様に係るレーザー点字印字物では、点字印字部がプラスチックフィルム層により保護されている。そのため、プラスチックフィルム層の材質や構成の設計次第で、耐熱性、耐水性、耐油性、耐摩擦性、或いは衛生性等に優れた、長期保存性を有する点字印字物を得ることができる。
また、印字部のカーボンブラックは層間で燃焼するため、レーザー印字により発生する煙が外部に漏洩することが無く、衛生的なレーザー印字作業環境を提供できる。
また、点字印字部のカーボンブラックは層間で燃焼するため、点字印字部に穿孔が無い場合には、点字印字により発生する煙が外部に漏洩することが無く、衛生的な作業環境を提供できる。
また、カーボンブラックを含むインキとして、最も汎用性の高い黒色インキを用いることができるため、コスト面のメリットが大きい。そのため本発明の各態様は、従来コストが問題で点字による表示を行い難かった低価格の食品包装や医薬品包装の内容物表示に応用できるようになるのみならず、取扱説明書や新聞、雑誌等の使い捨ての文章印刷物にも応用できる。
また、入力文字や図形を点線パターンに変換してその点線パターンに応じてレーザー光を出力する装置とソフトを作れば、タイプライターで文章を作成するかの如く文字や図形の点線パターンを出力できるため、より多くの情報をより素早く提供でき、視覚障害者の生活の質の向上も期待できる。また、入力文字を点字パターンに変換してその点字パターンに応じてレーザー光を出力する装置とソフトを作れば、タイプライターで文章を作成するかの如く点字パターンを出力できるため、点字使用者の生活の質の向上も期待できる。
また、本発明の一態様に係るレーザー印字法や点字印字法は、特殊な材料や製造方法を用いた積層体を用いることなく、従来から製品の包装に使用している包装材料の殆どに、印字領域を設けるための印刷を施すだけで適用することができるので、容易に市販の製品に導入することができる。
また、本発明の一態様に係るレーザー印字法は、コンピューターに入力した内容をすぐに出力できるため可変情報の印字が可能であり、かつ、従来の製品包装工程で用いているレーザーマーカーと同様の、又は、同じ装置で印字できる。そのため、容易に医薬品、化粧品、食品、化学薬品、及び洗剤等の包装体に対して、使用期限及び消費期限等の可変情報や内容物の名称等を、触覚情報で表記することが可能であり、視覚障害者の誤用防止に役立つ。
また、従来触覚情報を直接表記できなかった缶や瓶等の立体的製品に、プラスチックフィルム製ラベル(例えば、インモールドラベル)や貼り合わされたプラスチックフィルム(例えば、ラミネート缶)を介して、触覚情報を直接印字することができる。
また構築物や直接的なレーザー印字ができない物体に対しても、本発明の一態様に係る触覚情報表記付き粘着体を貼付することによって耐水性、耐油性及び/又は耐摩擦性等の物理的性質に優れた触覚情報表記部を設けることができる。
また、従来点字表記できなかった缶や瓶等の立体的製品や、耐水性、耐油性、耐摩擦性等の物理的問題で点字表記できなかった材質の製品等に、本発明の一態様に係る点字表記付き粘着体を貼付することによって物理的強度に優れた点字表記体を製造することが可能となる。
また、本発明の一態様に係る点字印字法は、従来の製品包装工程における日付印字を行う方法と同様に、立体的製品にも直接点字印字を実施できるので、医薬品、化粧品、食品、化学薬品、洗剤等の包装体に使用期限、消費期限等の日付や、内容物の名称等を容易に点字表記することが可能であり、点字使用者の誤用防止に役立つ。
また、本発明の一態様に係る印字法は、一枚のシート(用紙)の両面に印字することができるので、片面に触覚情報表記部を形成したシート2枚を、背中合わせに貼り合わせる工程を必要とせずに、両面触覚情報表記体を得ることができる。また、包装体のヒートシール部の両面に印字することができるので、視覚障害者が触覚情報表記部を容易に探し当てることができる。
また、本発明の一態様に係る点字印字法は、一枚のシート(用紙)の両面に点字印字することができるので、片面に点字表記部を形成したシート2枚を背中合わせに貼り合わせる工程を必要とせずに、両面点字表記体を得ることができる。また、包装体のヒートシール部の両面に点字印字することができるので、点字使用者が点字表記部を容易に探し当てることができる。
本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体の実施例の概略断面図である。 本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用粘着体の実施例を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用ヒートシール性積層体の実施例を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る点字印字方法により形成した、本発明の一実施形態に係る点字表記付き袋体により構成される包装体の実施例を示す概略平面図であり、(a)は袋体(包装体)のヒートシール部と胴体部分に点字表示部を設けた場合、(b)は袋体(包装体)のヒートシール部の外側の未シール部に点字表示部を設けた場合である。 本発明の一実施形態に係る点字印字方法により形成した、積層体の表裏面に点字表示部を設けた本発明の一実施形態に係る点字表記体の実施例を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る点字印字方法により形成した、積層体の表裏面に点字表示部を設けた本発明の一実施形態に係る点字表記体の他の実施例を示す概略断面図である。 (a)は本発明の一実施形態に係る点字印字方法により形成した、中空のドーム状に成形した隆起部(ドーム状成形部)を示す概略断面図であり、(b)は各ドーム状成形部の内部構成を示す上面図である。 従来の点字形成方法による隆起部の概略断面図であり、(a)は紙、プラスチックフィルム等に点字に対応する凸型を押し付けるエンボス法等により開放型ドーム状に点字部分を成形した場合、(b)はインジェクション成形等により型に材料を流し込んで隆起部を設けたり、発泡フィルムを部分的に加熱して発泡させたり等により中空ではないドーム状に点字部分を成形した場合、(c)はシルク印刷によりインキを厚盛りしたり、印刷した発泡インキを加熱して発泡させたり等により点字部分として中空ではないドーム状突起を基材表面に設けた場合、を示す。 本発明の一実施形態に係る点字印字方法により形成した、文字を併記した本発明の一実施形態に係る点字表記体の実施例を示す概略平面図である。 本発明の一実施形態の実施例で用いたスポット状の点字パターンの一例を示す概略図であり、(a)は「数字符号」と「123456」を、(b)は左右を反転させた「654321」と「数字符号」を示す。 本発明の一実施形態に係る印字方法により形成した、本発明の一実施形態に係る触覚情報表記付き袋体により構成される包装体の実施例を示す概略平面図であり、(a)は袋体(包装体)のヒートシール部と胴体部分に触覚情報表示部を設けた場合を示し、(b)は袋体(包装体)のヒートシール部の外側の未シール部に触覚情報表示部を設けた場合を示す。 本発明の一実施形態に係る印字方法により形成した、本発明の一実施形態に係る触覚情報表記体の実施例を示す概略平面図であり、(a)はアルファベット(「Beer」)を示し、(b)は数字(「123456」)を示す。 本発明の一実施形態に係る触覚情報表記体に表された触覚情報パターンの一例を示す概略平面図であり、アルファベット、数字及び記号の集合を示す。 本発明の一実施形態に係る触覚情報表記体に表された触覚情報パターンの一例を示す概略平面図であり、(a)は「Beer」の順方向表記を示し、(b)は「Beer」の反転表記を示す。 本発明の一実施形態に係る触覚情報表記体に表された触覚情報パターンの一例を示す概略平面図であり、下線が付されたアルファベットの触文字の一例を示す。 本発明の一実施形態に係る触覚情報表記体に表された触覚情報パターンの一例を示す概略平面図であり、カタカナの触文字の一例を示す。 本発明の一実施形態に係る触覚情報表記体に表された触覚情報パターンの一例を示す概略平面図であり、下線が付されたカタカナの触文字の一例を示す。 本発明の一実施形態に係る触覚情報表記体に表された触覚情報パターンの一例を示す概略平面図であり、複数の種類の点線によって構成される点字、触文字、記号及び図形等を表す触覚情報パターンの一例を示す。 本発明の一実施形態に係る触覚情報表記体に表された触覚情報パターンの一例を示す概略平面図であり、触図の一例(すなわち「十字」)を示す。
次に、発明の実施の形態について詳述する。
以下の説明において「触覚情報表記体」とは、触覚によって取得可能な情報が表記された物体を意味し、典型的には、触覚を介して知覚可能な凸部(隆起部)によって構成される触覚情報パターンが形成された物体を意味する。ここでいう「触覚情報パターン」とは、触覚によって取得可能な情報を表すパターンを意味し、典型的には触覚を介して知覚可能な一の凸部(隆起部)又は複数の凸部(隆起部)の集合によって構成される。「触覚情報パターン」によって表現可能な対象は、ユーザーによって知覚可能な情報であれば特に限定されず、例えば視覚障害者のための点字だけではなく、情報を直接的に伝達可能なアルファベット等の文字、記号及び図形等も触覚情報パターンによって表現可能である。なお凸部(隆起部)は特定の情報を表すために直接的又は間接的に使用可能であり、凸部(隆起部)自体によって特定の情報が表されてもよいし、例えば特定の情報の輪郭を形成するのに凸部(隆起部)が使われて非凸部により特定の情報が表されてもよい(後述の図19参照)。
以下では、主として点字を表現する触覚情報パターン(以下、「点字パターン」とも称する)が形成された触覚情報表記体(以下、「点字表記体」とも称する)を「第1実施形態」で説明する。また、点字以外のアルファベット等の文字、記号及び図形等を表現する触覚情報パターンが形成された触覚情報表記体を「第2実施形態」で説明する。
尚、本発明に係るレーザー印字方法の詳細説明において、本発明で用いるレーザー印字用積層体に対するレーザー光照射は基本的には片面ずつ実施することを前提としている。本発明に係る触覚情報表記体は、積層体の片面のみに触覚情報表記部を設ける場合だけではなく、積層体の両面に触覚情報表記部を設ける場合にも適用可能であり、2台のレーザーマーカーを用いて積層体の両面に同時にレーザー印字することも可能である。積層体の両面に同時にレーザー印字を実施する場合、本発明で用いるレーザー印字用積層体は、両表面が表示フィルム(表示層)からなり、両表示フィルム(両表示層)の内側に別々に印字領域の黒色インキ層が存在し、両印字領域の黒色インキ層間に、レーザー光遮蔽層を有する支持体が存在する必要がある。
[第1実施形態]
(レーザー印字用積層体)
図1に示す積層体は、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1の基本構造であって、印字領域3の構成が、表面側から表示フィルム(表示層)4、印字領域3に配置される黒色インキ層2、及び支持体5を含む。すなわちレーザー印字用積層体1は、プラスチックフィルムによって形成され少なくとも一部が非通気部である表示フィルム4と、当該表示フィルム4に貼り合わされ少なくとも一部が非通気部である支持体5と、表示フィルム4の非通気部と支持体5の非通気部との間において表示フィルム4の非通気部及び支持体5の非通気部の各々と隣接して設けられカーボンブラックを含む黒色インキ層2と、を備える。
本例のレーザー印字用積層体1において、表示フィルム4の支持体5との貼り合わせ面及び支持体5の表示フィルム4との貼り合わせ面はいずれも全面が非通気性の非通気部(非通気性面)からなる。また、印字領域3の黒色インキ層2は、表示フィルム4側の面及び支持体5側の面のいずれの面も全面が表示フィルム4及び支持体5等の隣接する部材に接着している。したがって、黒色インキ層2は表示フィルム4の非通気部及び支持体5の非通気部によって囲まれ、外部との通気が遮断された密閉スペースに配置される。
図1に示すレーザー印字用積層体1のうち少なくとも黒色インキ層2にレーザー光(例えばYVOレーザー光)を照射し、当該レーザー光によって表示フィルム4を穿孔することなく、表示フィルム4において点字パターンの隆起部を構成する中空のドーム状成形部(図7(a)等の符号「6」参照)を形成し、点字表記体を製造することができる。
本発明の一実施形態に係るレーザー点字印字方法によれば、支持体5がプラスチックフィルム等の比較的軟質のフィルムである場合、レーザー印字用積層体1の両面が隆起することがある。
また、レーザー印字用積層体1の印字領域3を覆うレーザー光遮蔽層が存在しない場合は、レーザー印字用積層体1の表裏いずれの面からもレーザー光を照射して隆起部を形成することができる。したがって、レーザー光が表示フィルム4を介して黒色インキ層2の複数箇所に対しスポット状に照射されることで、ドーム状成形部は表示フィルム4において複数設けられ、当該複数のドーム状成形部によって点字パターンを構成することができる。またレーザー光が支持体5を介して黒色インキ層2の複数箇所に対しスポット状に照射されることで、ドーム状成形部は表示フィルム4において複数設けられ、当該複数のドーム状成形部によって点字パターンを構成することもできる。本発明の一実施形態に係るレーザー点字印字方法を実施する各々の状況において、正方向の点字表示部を形成する面を表面として、印字領域3の黒色インキ層2より表面側のフィルムが表示フィルム4となり、前記印字領域3の黒色インキ層2より裏面側のフィルムが支持体5となる。
例えば、厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムに対してカーボンブラックからなる印字領域3の黒色インキ層2でレーザー印字領域3を印刷した面に、溶融ポリエチレン樹脂フィルム15μmを押出しラミネーションにより貼り合わせた本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1にレーザー点字印字するケースを想定する。このケースにおいてその積層体単独でレーザー点字印字を実施した場合、前記レーザー印字用積層体1のいずれの面からレーザー光を照射しても、ポリエチレンフィルム面にドーム状成形部が形成されるので、ポリエチレンフィルムを表示フィルム4として用いると良い。一方、前記積層体のポリエチレン面同士を重ね合わせてヒートシールを施したヒートシール部にレーザー点字印字を実施した場合は、表面に現れているフィルムは二軸延伸ポリプロピレンフィルムのみなので、二軸延伸ポリプロピレンフィルムにドーム状成形部が形成される。したがって、そのような場合には二軸延伸ポリプロピレンフィルムが表示フィルム4となり、正方向の点字表記のドーム状成形部を形成する二軸延伸ポリプロピレンフィルムの反対面の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは支持体5となる場合がある。
また、軟化点は低いが常温では硬いフィルムと、軟化点はより高いが常温では前記フィルムより柔らかいフィルムとで形成したレーザー印字用積層体1の場合、常温でレーザー点字印字すれば、常温でより柔らかいフィルムが表示フィルム4となり、前記積層体1を加熱してレーザー点字印字すれば、軟化点がより低いフィルムが表示フィルム4となる場合も生じる。このように表面フィルム4と支持体5の区別は、実際にレーザー点字印字を実施してみないと判断できない場合がある。
また、例えばレーザー光が照射される黒色インキ層2の印字領域3を覆う表示フィルム4を加熱し、その黒色インキ層2の印字領域3にレーザー光を照射してドーム状成形部を形成してもよい。この場合、表示フィルム4の加熱とレーザー光の照射とを同時に行ってもよいし、表示フィルム4の加熱後に表示フィルム4の温度が上昇した状態でレーザー光の照射を行ってもよい。
また、両面に点字表記部を設けるレーザー印字用積層体1の場合、両表面の表示フィルム4に挟持されたフィルムが支持体5となる。
尚、両面に点字表記部を設けるレーザー印字用積層体1の特殊な例として、表示フィルム4間に支持体5を設けずに印字領域3の黒色インキ層2のみを設けて、当該黒色インキ層2を両面の表示フィルム4が共有する場合がある。この場合は特例として一つの積層体を「点字表記部を有する領域」に区分し、各領域ごとに正方向の点字表記がなされている表面フィルムを表示フィルム4とし、残りのフィルムを支持体5とする。
また、支持体5がプラスチックフィルムである場合、表示フィルム4と支持体5との貼り合わせ方法としては、接着剤を用いたドライラミネーション、溶融押し出し樹脂による押し出しラミネーション、熱ラミネーション等、プラスチックフィルム同士の貼り合わせに通常用いられる手段を好適に用いることができる。押し出しラミネーションの際は必要に応じて貼り合わせ面にアンカー剤を塗布する。
尚、押し出しラミネーションにより溶融押し出し樹脂単独で形成したプラスチックフィルム層は、単独で本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1の表示フィルム4として好適に用いることができる。
また、支持体5の少なくとも一部が板状物、金属加工品、プラスチック成形品等のロールツーロールで加工できない物体である場合、表示フィルム4とフィルム状の支持体5を貼り合わせた後にその表示フィルム4及び支持体5の貼付物を前記物体と貼り合わせることによって、木製品等の通気性物体や、陶磁器等の特殊な接着剤を用いる必要がある物体にも本発明の一実施形態を容易に適用できて好都合である。
表示フィルム4とロールツーロールで加工できない物体(支持体5)とを直接貼り合わせる場合は、接着剤を用いてその表示フィルム4と支持体5とを貼り合わせれば、印字領域3の黒色インキ層2を表示フィルム4及び支持体5に対して強固に接着させることができるので好都合である。
尚、支持体5の形状や材質に関わらず、表示フィルム4と支持体5との貼り合わせに粘着剤や両面粘着テープを用いる場合、通常の粘着剤は本発明の一実施形態に係るレーザー点字印字方法で生じる黒色インキ層2のカーボンの燃焼熱で粘着力が低下し、点字印字した際の内圧の上昇によって印字パターン周囲の粘着剤が剥離してしまう虞があるため、硬化型粘着剤を用いるか、耐熱性を有する粘着剤を用いる必要がある。
また、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1は、任意の位置及び層に文字、絵柄等の印刷層を、印刷方法を問わず設けることができる。但し、印字領域3内に印刷層を設ける場合は、レーザー光を減衰させる等、レーザー印字に悪影響を及ぼすことが無いかを事前に試作品等で検証するとよい。また、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1表面に設けた印刷層が印字領域3にも設けられている場合、レーザー光照射によってインキの樹脂分が燃焼して発煙したり、表示フィルム4が穿孔しやすくなったりすることがあるので、この場合も事前に試作品等で検証するとよい。
(レーザー印字用粘着体)
図2は本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用粘着体1’であって、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1がフィルム状であるならば、通常の粘着フィルムと同様に、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1の支持体5面に粘着剤を塗布することにより粘着剤層(粘着層)7が形成され、この粘着剤層7は粘着力により離型シート8上に接着される。すなわち図2に示すレーザー印字用粘着体1’では、支持体5のうち表示フィルム4とは反対側に粘着剤層7が設けられている。
また、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1の支持体5が板状である等、ロールツーロールの加工ができない場合や、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1がフィルム状であっても少量のみ粘着加工する場合等は、支持体5面に両面粘着フィルムを貼り合わせてもレーザー印字用粘着体1’を製造することができる。
本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用粘着体1’に点字印字を実施した本発明の一実施形態に係る点字表記付き粘着体は、「シャンプー」、「センザイ」、「ヒョウハク」等の定型文を点字パターンによって作成し、用いられることによって、点字印刷装置を持たない人でも利用できる等の利点がある。また、本発明の一実施形態に係る点字表記付き粘着体は、隆起部内に気体が充満した状態で成形されているため、物体に対して粘着体を指で圧着してもドーム状成形部(点字パターン)が凹みにくいという長所を有している。
(レーザー印字用ヒートシール性積層体)
図3は本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1であって、表示フィルム4と接着される基礎支持体5’の表面に更に熱溶融性を有するヒートシール性層9を設けて支持体5とした、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用ヒートシール性積層体を示す。すなわち図3に示すレーザー印字用積層体1では、支持体5(とりわけ本例では基礎支持体5’)のうち表示フィルム4とは反対側にヒートシール性層9が設けられている。特に図示しないが、支持体5を単層のヒートシール性層9で構成することもできる。レーザー印字用積層体1はヒートシール性を有することで、袋体を形成したり、成形容器の蓋材として用いたり、インモールドラベルに用いたりして包装体を形成することができる。
図4(a)は袋体のヒートシール部13とヒートシール部13以外の胴体部とに点字表示部12を設けた場合の点字表記付き包装体11の一例を示す概略平面図であり、(b)は袋体のヒートシール部13の外側の未シール部13’に点字表示部12を設けた場合の点字表記付き包装体11の一例を示す概略平面図である。図4(a)及び図4(b)に示す包装体(袋体)11にはヒートシール部13が設けられており、このヒートシール部13によって画成される収容部15が包装体11の内側に設けられている。この包装体(袋体)11に設けられる点字表示部12は、上述のレーザー印字用積層体1と同様の構成を有する。すなわち、表示フィルム4、黒色インキ層2及び支持体5が積層して点字パターンを構成する複数のドーム状成形部が表示フィルム4に形成された構造を点字表示部12は有する。
点字表示部12はヒートシール部13でもそれ以外の箇所でも設けることができる。また、「内容物Mが収容部15に収容される前の袋体」から「収容部15に内容物Mが収容された後の包装体」を形成する前でも、そのような包装体を形成した後でも、本発明の一実施形態に係るレーザー点字印字を点字表記部12に施すことができる。
また、ヒートシール部13は胴体部分のフィルムが2枚重なっている(すなわち胴体部分の表側の積層体1及び裏側の積層体1が重なっている)ので、ヒートシール部13では、胴体部分より支持体5が厚くなっており、レーザー点字印字を施しても支持体5が隆起しにくい。そのため、特に薄い/柔らかいレーザー印字用積層体1を使って形成した包装体(袋体)11では、ヒートシール部13は好適な印字領域3である。したがって包装体(袋体)11がヒートシール部13を有する場合には、点字パターンを構成する複数のドーム状成形部をヒートシール部13における表示フィルム4に設けることが好ましい。
また、ヒートシール部13が包装体(袋体)11の外側の表側及び裏側の各々に設けられる場合、複数のドーム状成形部は、表側のヒートシール部13及び裏側のヒートシール部13の各々における表示フィルム4に設けられてもよい。この場合、包装体(袋体)11の表側及び裏側の各々において、複数のドーム状成形部により構成される所望の点字パターンを設けることができる。
更に、表示フィルム4にバリア性層があるケースや、金属蒸着フィルムの金属蒸着膜をバリア性層としているケース等のように包装体(袋体)を形成する積層体がバリア性を有するときに、レーザー点字印字を胴体部分に施すとバリア性が損なわれる又は損なわれる虞がある包装体の場合にも、ヒートシール部13又はヒートシール部13外の未シール部13’へのレーザー点字印字を実施するとよい。
尚、ヒートシール部13へのレーザー点字印字は、通常はヒートシール部13のヒートシール処理後に実施するが、特に図示しないが、ヒートシール部13の内側に印字領域3として未シール領域13’を設ければヒートシール前に実施することができる場合もある。
また、例えば、密封性を必要とするスナック菓子等のピロー包装袋の上・下シール部において1〜2mm幅で数本の線シールを設けるヒートシール処理を施した場合等、レーザー点字印字を施すヒートシール部13の凹凸が大きいと、点字印字により形成したドーム状成形部が、ヒートシール部13の凹凸に邪魔されて識別できなくなる場合がある。このような場合は、レーザー点字印字を施したい部分のヒートシール部13のみ平面シール部にしたり、その部分のみ未シール部としたりする等、ヒートシール部13のシール面形状を工夫したり、可能であればヒートシール部13のヒートシール処理後にもう一度平面シール処理を施したりするとよい。
(両面点字印字)
図5には、表側及び裏側の両面にドーム状成形部が設けられる積層体(点字表記体)の断面の一例が示されている。図5に示す積層体では、第1の表示フィルム(表示層)4a、第1の黒色インキ層2a、支持体5、第2の黒色インキ層2b及び第2の表示フィルム(表示層)4bが順次積層されている。
第1の表示フィルム4a及び第2の表示フィルム4bは、両者ともにプラスチックフィルムによって形成され少なくとも一部が非通気部である。第1の表示フィルム4aは積層体(点字表記体)の表面側に設けられ、第2の表示フィルム4bは積層体の裏面側に設けられる。第1の表示フィルム4a及び第2の表示フィルム4bの各々には中空のドーム状成形部6が設けられている。
図5に示す支持体5は、表面側に設けられる第1の基礎支持体5a’、裏面側に設けられる第2の基礎支持体5b’、及び第1の基礎支持体5a’と第2の基礎支持体5b’との間に設けられるレーザー光遮蔽層14を有する。支持体5の少なくとも一部は非通気部であり、図5に示す例では第1の基礎支持体5a’及び第2の基礎支持体5b’が非通気部を構成する。
第1の黒色インキ層2a及び第2の黒色インキ層2bは、両者ともにカーボンブラックを含む。第1の黒色インキ層2aは第1の表示フィルム4aの非通気部と支持体5の非通気部との間において第1の表示フィルム4aの非通気部及び支持体5の非通気部の各々と隣接して設けられ、第2の黒色インキ層2bは第2の表示フィルム4bの非通気部と支持体5の非通気部との間において第2の表示フィルム4bの非通気部及び支持体5の非通気部の各々と隣接して設けられる。
図5に示すように、支持体5にレーザー光遮蔽層14が存在する場合、支持体5の両側に印字領域3を構成する黒色インキ層(第1の黒色インキ層2a及び第2の黒色インキ層2b)と表示フィルム(第1の表示フィルム4a及び第2の表示フィルム4b)を設ければ、その積層体両面の表示フィルム側から各黒色インキ層にレーザー光を照射することによって、その積層体の両面に点字表示部12を設けることができる。特に図示しないが、支持体5に部分的に設けたレーザー光遮蔽層14の両側に印字領域3の黒色インキ層2を設けてもその積層体の両面に点字表示部12を設けることができる。
本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1においてレーザー光遮蔽層14として用いることができる材料としては、金属箔、金属粉末を添加した金属光沢インキ等がある。レーザー点字印字をする際にレーザー光がレーザー印字用積層体1を透過すると危険な場合、内容物Mに損傷を与える場合、レーザー印字用積層体1の両面にレーザー印字する場合等に、レーザー光遮蔽層14を設けることが好ましい。レーザー印字用積層体1全面にレーザー光遮蔽層14を設ける場合は金属箔を好適に用いることができ、部分的にレーザー光遮蔽層14を設ける場合は前記金属光沢インキを好適に用いることができる。尚、金属蒸着フィルムはレーザー光を照射すると金属蒸着膜が消失するため、レーザー光遮蔽層14として用いることはできない。
図6には、表側及び裏側の両面にドーム状成形部が設けられる積層体(点字表記体)の断面の他の例が示されている。図6に示す積層体においても、図5に示す積層体と同様に第1の表示フィルム(表示層)4a、第1の黒色インキ層2a、支持体5、第2の黒色インキ層2b及び第2の表示フィルム(表示層)4bが順次積層されている。ただし図6に示す例では、レーザー光遮蔽層14(図5参照)が存在せず、第1の黒色インキ層2aと第2の黒色インキ層2bとは積層方向の投影に関して相互に重ならないように配置されており、積層方向と垂直を成す方向に関して相互にずれた位置に配置されている。
このようにレーザー光遮蔽層14が無くても、図6に示すように、表示フィルム(第1の表示フィルム4a及び第2の表示フィルム4b)と印字領域3の黒色インキ層(第1の黒色インキ層2a及び第2の黒色インキ層2b)とが積層体1の両面に存在し、両側のレーザー印字領域3の黒色インキ層の位置をずらして配置すれば、積層体1の両面にレーザー点字印字することができる。この場合、積層体1の片面側からレーザー光を照射して、一方の面の表示フィルム4への正方向点字印字を行い、もう一方の面の表示フィルム4への反転点字印字を行うことによって、両面の点字印字を実施することができる。
(印字領域3の黒色インキ層2)
本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1のレーザー印字領域3の黒色インキ層2は、カーボンブラックを含む黒色インキを印刷することによって設けることができる。一般的に用いられている黒色インキの顔料は、カーボンブラックのみからなっているので、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1における印字領域3の黒色インキ層2は、通常はカーボンブラックからなる黒色インキ層2であるが、カーボンブラックからなる黒インキに他の色のインキを混合した黒色インキ層2や、黒色インキを樹脂分で希釈した薄墨色の黒色インキ層2等の黒色系インキ層でも本発明の一実施形態に係るレーザー印字方法を適用することができる。また、黒色インキのベタ印刷でなく、印刷の網点で黒色インキを塗布して黒色インキ層2を形成しても本発明の一実施形態に係るレーザー印字方法を適用することができる。但し、印字領域3の黒色インキ層2のカーボンブラック含有量が少ないと、レーザー光の走査速度を下げる必要があるため印字時間が長くなったり、場合によっては穿孔が生じたりするので、目視確認して印字領域3の黒色インキ層2が真っ黒ではない場合は、実際にレーザー点字印字を実施して検証するとよい。
また、図1に示す例では支持体5側に黒色インキ層2が設けられているが、黒色インキ層2は表示フィルム4側に設けられてもよいし、表示フィルム4及び支持体5の両側にわたって設けられてもよい。印字領域3の黒色インキ層2を表示フィルム4側に設けるか、支持体5側に設けるか、或いは両側に設けるかは、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1の製造工程等を勘案し、積層体の設計時に決めればよい。
前記インキに用いる樹脂分としては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル又はメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、その他などの1種又は2種以上を併用することができる。
また、必要に応じて可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の助剤の1種ないし2種以上を、前記インキに対して任意に添加して構わない。
印字領域3の黒色インキ層2を印刷するプラスチックフィルムとしては、通常の包装材料等に用いるポリエチレンテレフタレイト等のポリエステル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の未延伸フィルム、一軸延伸フィルム及び二軸延伸フィルムや、これらのフィルムにバリア性コーティングを施したフィルム、金属箔をコーティングしたフィルム、金属蒸着フィルム、金属酸化物蒸着フィルム、及びセロハンフィルム等のうち印刷機を通すことができる機械適性を有する非通気性フィルムの中から、必要に応じて選定し、用いることができる。
また、印刷方式は、グラビア印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、平版印刷、インクジェット印刷、シルク印刷等、前記非通気性フィルムに印字領域3のベタ印刷を施すことができる印刷方式であれば特に限定する必要はないが、プラスチックフィルムを巻き取り状態のまま加工できる設備が多く存在する、グラビア印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、インクジェット印刷が、後加工を進めやすい点で好適に用いることができる。
印字領域3の黒色インキ層2の被印刷物(表示フィルム4、支持体5等)が、板状物、金属加工品、プラスチック成形品等、ロールツーロールで加工できない物体の場合も、通常の印刷で使用するカーボン顔料からなる黒色インキを用いるので、特に印刷方式を限定する必要はない。例えば被印刷物が板状物の場合は平版印刷、シルク印刷、インクジェット印刷等を、また被印刷物が立体物の場合はフレキソ印刷、インクジェット印刷、転写印刷等を、用いる等、被印刷物の大きさや形状に応じ、印刷方式を適宜選定して用いることができる。
また、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1のレーザー印字領域3の黒色インキ層2は、非通気部(非通気性フィルム)に挟持されている必要があり、非通気部に挟持されていることによって、黒色インキ層2のカーボンブラック等がレーザー光照射によって燃焼して発生したガスが層間の圧力を上昇させ、中空のドーム状成形部を形成することができる。紙、不織布、微多孔フィルム、孔開きフィルム等、通気性を有するフィルム類がレーザー印字領域3の黒色インキ層2に接していると、層間で発生したガスが分散してしまい、層間の圧力を上昇させることができず、隆起部を形成することができない。
尚、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1のレーザー印字領域3の黒色インキ層2に接して設けられた、金属粉末を添加したインキを除くカーボンブラックを含まないインキ層、接着剤層、アンカーコート層、プライマー層等の塗膜は、本発明の一実施形態に係るレーザー点字印字を実施したとき、レーザー光が透過したり、印字領域3の黒色インキ層2と一緒に樹脂分を燃焼させることができたりするので、極端に高濃度の顔料を含むインキ層以外はレーザー点字印字に殆ど影響を及ぼさず、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1においては印字領域3の黒色インキ層2と一体のものと考えることが可能である。また、一般的に、三原色を混合して灰色に近い黒色を表現することも実施されているが、このような黒色は、少なくともYVOレーザー光は透過するが、カーボンブラックを含む黒色インキに他の顔料を添加したインキとは外観で区別することができない場合がある。更に、白色インキは顔料の粒子が大きいため塗布量が多いとレーザー光を減衰させる等、外観だけでは本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1として機能するか否かを判断することができない場合もあるので、実績がない構成のレーザー印字用積層体1の場合は、予め試作品を作製して検証するとよい。
(表示フィルム4)
本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1の表示フィルム4として、加熱により軟化するプラスチックフィルムを用いることができる。
具体的には表示フィルム4として、一般的な包装材料に用いられるプラスチックフィルムであれば何でも構わないが、特に汎用フィルムとして大量に流通し、用いられている、ポリエチレンテレフタレイト等のポリエステル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂や、その他としてエチレン−酢酸ビニル共重合体、環状ポリオレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ乳酸樹脂等の未延伸フィルム、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムや、これらのフィルムにバリア性コーティングを施したフィルム、金属又は金属酸化物を蒸着したフィルム、前記樹脂を用いた共押出しフィルム、前記樹脂の押出しラミネートフィルム等を好適に用いることができる。また、前記フィルムを複数枚積層したフィルムを表示フィルム4として用いることができる。
前記樹脂には、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械適性、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができる。一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤などに加え、改質用樹脂等も使用することができる。
特に、二軸延伸フィルムの中で表示フィルム4として適しているのは、マット調フィルムである。マット調フィルムは滑り性が良好なため指先が滑りやすく、点字を識別しやすい。マット調フィルムとしては、マイクロシリカ等の微粒子を添加して表面に凹凸を設けたフィルム、サンドブラスト法やヘアライン加工を施したフィルム、製膜時に表面に微細な凹凸を形成させたフィルム等、外部ヘイズの大きなフィルムを挙げることができる。
また、食品包材に用いるシーラントフィルムの殆どは製袋品の内面密着を防止するため滑り性が良いので、未延伸ポリプロピレンフィルムや、滑剤とアンチブロッキング剤を添加した直鎖状低密度ポリエチレンフィルム等も表示フィルム4として好適に用いることができる。
また、表面の滑り性が悪いフィルムであっても、マイクロシリカ等のマット剤を添加したマット調インキを印字領域表面に塗布すれば滑り性を向上させることができる。
また、本発明の一実施形態に係る点字表記体10は耐水性、耐油性を有するため、指先を水、油、クリーム等で湿らせて点字を識別することができる。
尚、アルミニウム蒸着フィルムは、少なくともYVOレーザー光の場合、レーザー光を照射すると金属蒸着膜が消失するのでレーザー点字印字への影響は無い。また、黒色以外の染料、顔料等の着色剤を添加したフィルムも表示フィルム4として用いることができるが、そのようなフィルムがレーザー光を減衰させることが無いかを事前に確認してから表示フィルム4を用いるとよい。
表示フィルム4は厚過ぎるとドーム状成形部の高さが低くなってしまい、薄過ぎるとレーザー光照射により燃焼したカーボンブラック等の燃焼熱で容易に穿孔してしまう。更に、フィルムの材質や積層体か否かによって融点や軟化点が異なり、穿孔の発生し易さや成形性も異なり、レーザー光照射時の加温の有無等の加工条件も成形性や穿孔性に影響を与えるので、一概に表示フィルム4の厚みを限定することはできず、実際に所望のレーザー印字用積層体1を作製してドーム状成形部の形成状態を確認する必要がある。従って、表示フィルム4の厚みを限定することはできないが、強いて表示フィルム4の厚みについて述べるとすれば、単体フィルムの場合、二軸延伸フィルムでは9μm〜40μmの厚みを有するもの、未延伸フィルムでは10μm〜50μmの厚みを有するものは、表示フィルム4として用いることができる可能性が高い。
(支持体5)
本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1の支持体5は、表示フィルム4と同じプラスチックフィルムに加えて、成形性が不要なことからセロハンフィルム、金属箔等、プラスチックフィルム以外のフィルム類も単独で又は積層して用いることができる。また支持体5は、印字領域3の黒色インキ層2と接触する面に用いなければ、ドーム状成形部の形成を考慮する必要が無いため、紙、不織布、微多孔フィルム、孔開きフィルム等、通気性を有するフィルム類を用いることができる。
尚、支持体5はドーム状成形部の形成を考慮しなくてよいが、本発明の一実施形態に係るレーザー点字印字方法を実施した際に、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1の支持体5にドーム状成形部が形成される場合がある。支持体5にドーム状成形部が形成されても問題にならない場合とそうでない場合とがあるが、問題となる場合は可能な範囲で支持体5を硬く/厚く設計したり、表示フィルム4に軟化点がより低いフィルムや、より柔らかく、より薄いフィルムを用いたり、レーザー点字印字を実施する際に表示フィルム4を加熱して柔らかくする等の対策を講じるとよい。
また、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1の支持体5として、ロールツーロールの加工ができないシート状のフィルムの他に、表示フィルム4を貼り合わせることができる平滑面と点字表記スペースをもつ、プラスチック成型品、金属加工品、ガラス加工品等、立体的な物品も用いることができる。これらのシート及び立体的な物品に、直接表示フィルム4を貼り合わせてもよく、また表示フィルム4に支持体5の一部としてフィルムを貼り合わせた積層体を貼り合わせてもよい。
尚、支持体5の厚みが薄過ぎるとカーボンブラックの燃焼熱で容易に穿孔してしまったり、支持体5が隆起しやすくなり、その影響で表示フィルム4が隆起しにくくなったりするので注意が必要である。
(ドーム状成形部)
図7(a)は、図1に示すレーザー印字用積層体1に設けられるドーム状成形部6の概略断面図を示し、 図7(b)は、各ドーム状成形部6の内部構成を示す上面図である。
本発明の一実施形態に係る点字印字方法により形成した各ドーム状成形部6は、図7(a)に概略断面図を示すように密封された中空構造を有しており、レーザー光照射により燃焼したカーボンブラック等の燃焼ガスの圧力によって、燃焼熱で軟化した表示フィルム4が局所的に膨らんで成形されたものである。ドーム状成形部6が形成された部分のカーボンブラックは、レーザー光の出力パターンに沿って焼失し、ドット状又は線状に焼失することが多い。尚、カーボンブラックの燃焼熱により、インキの樹脂分や、黒色インキ層2に接する接着剤、インキ、フィルム等も部分的に燃焼しているものと推察する。
図7(a)及び図7(b)に示す例では、一つのドーム状成形部6を作るために、黒色インキ層2の複数箇所にレーザー光が照射されて複数のレーザースポット部16が設けられる。レーザースポット部16は典型的には黒色インキ層2の貫通孔として形成されるが、必ずしも貫通している必要はない。また一つのドーム状成形部6を作るためのレーザースポット部16の数、サイズ、形状及び配置は、所望のドーム状成形部6を作るのに必要とされるガス圧を得ることができれば、特に限定されない。
一般に、ドーム状成形部6の高さは、0.4mmあれば良いが、0.3mmでも識別は可能である。充分な高さが得られない場合でも、加工条件を調整したり、表示フィルム4の表面を滑り性の良いものにする等の積層体の設計、製造条件の工夫、指先に水や油を付ける等の点字使用者の工夫等によってドーム状成形部6が識別可能となる場合もある
従来の点字表記体10は、「図8(a)に概略断面図を示した、エンボス法、点字器等により開放型ドーム状に成形した隆起部」、「図8(b)に概略断面図を示した、インジェクション成形や、発泡フィルムを部分的に加熱して発泡させる等により内部空間の無いドーム状に成形した隆起部」、及び「図8(c)に概略断面図を示した、基材上にインキを厚く盛ったり、印刷した発泡インキを加熱して発泡させる等を実施した隆起部」で点字パターンを表現している。本発明の一実施形態に係る点字表記体10の隆起部(ドーム状成形部6)の構造は中空のドーム状(図7(a)参照)で、図8(a)〜図8(c)に示す従来の点字表記体10の隆起部の構造と全く異なる。特に本発明の一実施形態に係る点字表記体10の隆起部(ドーム状成形部6)は、成形したプラスチックフィルムでできているため圧縮されても変形しにくいので形状を維持しやすく、基材となる表示フィルム4と一体なので脱落が生じにくく、プラスチックフィルムからなるので液体や気体が浸入しにくい構造を有している。
(レーザー点字印字)
本発明の一実施形態に係る点字印字方法によりドーム状成形部6を形成するために重要なことは、表示フィルム4及び支持体5に穿孔を生じさせないことである。表示フィルム4や支持体5に穿孔が生じると、黒色インキ層2のカーボンブラック等の燃焼により発生したガスが積層体外に漏れ、層間圧力が上昇しないため表示フィルム4をドーム状に隆起させることができないか、触感を得にくい低い隆起部(ドーム状成形部6)しか形成できない。
一般に、レーザー加工に用いられるレーザー光は波長によって2つに大別され、特に、波長が1064nm近辺のレーザー光は、透明な物体の加工ができない。この波長のレーザー光の代表的なものとして、YVOレーザー光、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザー光、FAYbレーザー光がある。YVOレーザー光は、金属表面への印字が可能で、かつ、微細なマーキングを実施するのに適している。YAGレーザー光は金属の彫刻が可能で、波長の低いものも提供されている。FAYbレーザー光は、機種によりパルス幅を短くして、熱影響の少ない印字が可能である。
また、波長が10600nm前後のレーザー光は、透明な物体への加工が可能で、プラスチックフィルムを燃焼させるため、本発明の一実施形態に係るレーザー印字方法には用いない。この種のレーザー光の代表的なものとしてCOレーザー光を挙げることができる。
本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1にレーザー点字印字を施すレーザー光として、波長が1064nmのYVOレーザー光を好適に用いることができる。このYVOレーザー光は、表示フィルム4及び/又は支持体5を穿孔することなく印字領域3の黒色インキ層2のカーボンブラックを燃焼させることができると共に、精細な印字が可能で、高速印字性に優れる。特に、シングルモードビームは、レーザー出力の安定度に優れ、ムラのない印字が可能なため、微妙な出力調整によって略透明なプラスチックフィルムや、黒色顔料を含まないインキ層等を透過して、フィルムに挟持されて存在する印字領域3の黒色インキ層2のカーボンブラックを燃焼させることができるという特徴がある。
YVOレーザー光であっても、強大なエネルギーで照射すれば、カーボンブラックの燃焼熱や、カーボンブラックが燃焼して印字領域3の黒色インキ層2の樹脂や接着層の樹脂が焦げて生成したカーボンの燃焼熱によって表示フィルム4及び/又は支持体5が溶融し、穿孔してしまう場合や、レーザー光遮蔽層14の金属箔を穿孔してしまう場合がある。また、黒色顔料(カーボンブラック)を含まないインキ層でも顔料濃度が著しく高いとYVOレーザー光が透過できない場合もあるので、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1で製品を製造する際は予め穿孔せず印字可能な条件を検証しておく必要がある。
本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1にドーム状成形部6を形成するために検証すべきレーザー光照射条件として、特にレーザー光の出力、走査速度、周波数の三つが重要である。
出力は、文字通りレーザー光の出力であり、通常は使用するレーザーマーカーの最大出力に対する百分率で示され、レーザー光がもつエネルギー量を相対的に表す。レーザー光の出力が高過ぎると例えYVOレーザーであっても本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1の表示フィルム4及び/又は支持体5を焼き切ってしまうのみならず、他の条件次第ではレーザー光遮蔽層14として用いるアルミ箔も切断する。逆にレーザー光の出力が低過ぎると印字領域3の黒色インキ層2のカーボンブラックの燃焼量が少なくなり、燃焼ガスと燃焼温度が不足してドーム状成形部6を形成できない。
走査速度は文字通り照射レーザー光の走査速度を表し、通常は1秒あたりのレーザー光の走査距離を示す。照射レーザー光の走査速度が高過ぎると印字部に与えられる照射レーザー光のエネルギーが少なくなりカーボンブラックを燃焼させることができず、照射レーザー光の走査速度が低過ぎると同じ箇所に相対的に長時間レーザー光が照射されることになり、表示フィルム4及び/又は支持体5を穿孔してしまう。
レーザー光の出力が高くてもレーザー光の走査速度を高くすれば印字部のダメージは小さくなり、逆にレーザー光の出力が低くてもレーザー光の走査速度が低ければ印字部のダメージが大きくなる。
周波数はパルス出力であるレーザー光の時間あたりの出力回数を表し、通常はkHzで示され、前記の出力と走査速度の補助的条件である。周波数が少ないとレーザー光のパルス数は少なくなるが、その分1パルス毎のエネルギー量が大きくなり、逆に周波数が多いと1パルスのもつエネルギー量が小さくなる。
前記3条件は複雑に絡み合って印字条件を構築しており、出力が高いと文字の始点や走査線の交差部が穿孔し易かったり、走査速度を高くすると印字の見た目が悪くなったりする等、被印字物やレーザーマーカーの性能に起因する要因もある。
本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1を構成するプラスチックフィルムの種類、厚さ、軟化点等は、その積層体の用途に合わせた設計により決められるため様々なタイプの積層体が無数に存在する。また、レーザーマーカーの性能や特性も光源やメーカーによって異なる。したがって本発明の一実施形態に係る点字印字方法によりドーム状成形部6を形成するためには、個々の実施事例に則してレーザー印字用積層体1毎に印字条件を求める必要がある。
本発明の一実施形態に係る点字印字方法において、レーザー印字用積層体1を加熱することが可能であれば、表示フィルム4が加熱されることでドーム状隆起部が成形されやすくなり、その状態で点字印字を実施することによって、加熱せずに点字印字を実施した場合と比較して、より高いドーム状成形部を形成することができる。
レーザー印字用積層体1(特に表示フィルム4)の加熱方法としては、熱風を吹き付けたり、赤外線ヒーターで加熱したり、熱板をあてがって加熱したり、ヒートシール直後の熱を利用する等、通常のフィルム加熱方法を用いて、局所的に又は広範囲に加熱することができる。ただしレーザー出力装置は危険防止のため周囲を覆われた状況に設置される場合が多いので、レーザー出力装置が熱ダメージを受けないように配慮する必要がある。
尚、本発明の一実施形態に係るレーザー点字印字技術は従来存在しないため、実際にレーザー点字印字を実施する場合、例えばレーザーマーカーの操作用コンピューターに画像として取り込んだ点字パターンを絵柄としてレーザー印字したり、操作用コンピューターのモニター上において黒く塗りつぶした小さな円や多角形等の図形で形成した点字パターンをレーザー印字したりする必要がある。点字1パターンは1文字に対応しているため、キーボードで入力した文字を点字パターンに変換してモニターに表示するコンピューターのソフトを作成すれば、レーザー点字印字の入力業務を大幅に軽減することができる。また、大文字符号、数字符号等、点字特有の表現パターンは、キーボードのシフトキーやコントロールキー等の広義のファンクションキーに連動するようにするとよい。また、添え字の有無も選択できて、添え字ありを選択した場合は添え字ありの点字パターンをモニター画面で確認できるようにすれば、入力間違いの防止に役立つ。
(レーザー印字)
本発明の一実施形態に係るレーザー点字印字方法を用いれば、レーザー光照射による黒色インキの焼失部と、その周囲の黒色インキ層2とのコントラストによって文字を表記できるので、点字に添えて、文字を印字することができる。図9は、本発明の一実施形態に係る点字印字方法により形成した、点字表記内容の文字を添え書きした本発明の一実施形態に係る点字表記体10の実施例を示す概略平面図である。
図9に示す点字表記体10の印字領域3には、レーザー光の照射によって点字印字される点字表示部12と、レーザー光の照射によって文字印字される文字表示部17とが形成される。例えば、黒色インキ層2のうちドーム状成形部5により覆われていない箇所にレーザー光を照射することで、印字領域3において文字表示部17を設けることができる。
文字表示部17は、ドーム状成形部5の近傍に設けられ、当該ドーム状成形部5によって構成される点字パターンの意味を示す。すなわち、点字表示部12の点字パターンの位置と文字表示部17の文字の位置とは相互に対応している。図9に示す例において、例えば点字表示部12のうち文字「B」を意味する点字パターンの位置に対応する文字表示部17の位置(図9に示す例では「B」を意味する点字パターンの位置の直下位置)には、「B」の文字が形成される。
従来、例えば医薬品包装箱において、点字の表示内容は晴眼者向けの表示内容を大幅に省略しているため、点字を識別できない晴眼者には点字使用者と情報を共有できないもどかしさがあった。しかしながら図9に示したように点字による表示内容を晴眼者にも認識できるようにすることによって、特に近年増加している高齢の中途点字使用者が点字を学習する機会を晴眼者である補助者が援助でき、晴眼者が点字を識別できるようになるきっかけにもなり得て、点字使用者に対する晴眼者の理解が深まる。このように点字表示部12と文字表示部17とが併記される印字領域3を有する点字表記体10は、点字使用者の生活の質の向上に寄与することができる。また、点字と文字との併記が容易に行えることによって、住所や宛名を示す文字を点字と併記して郵便物を送ることができたり、表記内容の正誤の確認を点字使用者と晴眼者が同時かつ相互に行うことができる等、点字表記体10の新たな展開が開ける。
本発明の一実施形態に係る点字印字方法を用いて文字をレーザー印字する場合、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1の印字領域3の黒色インキ層2を使用することができる。
また、従来から晴眼者がパーソナルコンピューターのモニター上で使用している文字であって対応する点字が存在する「かな、アルファベット、数字」等の文字を印字でき、また、必要であれば漢字も印字できる。
また、本発明の一実施形態に係るレーザー点字印字方法を用いて文字を印字した場合、文字表面に連続して表示フィルム4の凸部が形成される場合がある。この文字印字に伴う凸部が点字識別の邪魔になる場合は、文字の印字条件を表示フィルム4又は支持体5が穿孔する条件にして文字印字することにより文字印字に伴う凸部を形成させないことができる。すなわち、文字印字のためのレーザー光を、表示フィルム4を介し、黒色インキ層2のうちドーム状成形部6により覆われていない箇所に照射し、そのレーザー光によって表示フィルム4又は支持体5を穿孔しつつ文字表示部17を設けることができる。この場合、印字領域3を覆う表示フィルム4又は支持体5のうち、点字表示部12を覆う箇所にはドーム状成形部6によって非穿孔部18が設けられ、文字表示部17に対応する箇所には穿孔部19が設けられる。また、文字の印字条件をカーボンブラックが燃焼可能な最低限の印字条件としたり、文字の印字線幅を極力細くしたりすることによって文字印字に伴う凸部の高さを抑制することもできる。また、表示フィルム4等が焼失しても構わないのであれば、COレーザー光等を用いて文字や図柄を別途印字しても構わない。
(レーザー点字印字の利用分野)
本発明の一実施形態に係るレーザー点字印字方法は、基材フィルムに印刷を施し、その印刷面にヒートシール性フィルムを積層しただけの単純な構成の積層体に適用できる。カーボンブラックからなる黒色インキは最も汎用性のある黒色インキであり、現在流通している殆どの包装体には黒色インキを用いた文字やバーコードの印刷があるので、単体フィルム包装以外の現在流通している大部分の包装体に印字領域3の黒色インキ層2を設けるだけで本発明の一実施形態に係るレーザー点字印字法を適用することができる。また、点字表記可能な裏面印刷による黒色印刷領域を有する包装体を含む市販の製品に対しても本発明の一実施形態に係るレーザー点字印字法を適用することができ、そのような市販の製品を購入し、その購入製品に本発明の一実施形態に係るレーザー点字印字法を適用して点字印字を行うこともできる。例えば、レトルトカレーやスナック菓子等の食品包装袋に賞味期限や内容物Mの内容を点字表記でき、医薬品や化粧品等の包装袋に使用期限や効能対象を点字表記できる。また、火気注意、人体使用不可等の危険防止のための表記を必要とする包装体にもその旨の点字表記ができる。尚、包装体に点字表記する場合は、表記位置に配慮して開封時に切り捨てられてしまわないようにするとよい。
また、表示フィルム4に印字領域3の黒色インキ層2を裏刷りした後にヒートシール性層9を設けて構成される積層体をインモールドラベルに用いたり、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1の支持体5面に紙を貼り合わせて紙箱、液体紙容器、ダンボール箱等を形成することもできる。
また、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用粘着体1’に点字印字を行った後にそのレーザー印字用粘着体1’を貼り付けるか、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用粘着体1’を貼り付けてから点字印字することによって、前記包装体、牛乳カートン、段ボール箱を含む紙箱、成形品、金属缶やスプレー容器等の金属容器、コピー機や自動販売機等の押しボタン、エレベーターの押しボタンや階段の手すり等の構造物など、殆どの物体に点字表記することができる。
本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用粘着体1’は支持体5の選定を自由に行えるので用途に応じた各種粘着剤を使用することができ、かつ、厚さも数十μmと薄くできるので、貼付対象物や水濡れ等の使用環境に応じた、剥がれにくい点字表記付き粘着体を提供できる。
また、ヒートシール性層を設けたり、粘着体化したりすることなく、点字出版物、取り扱い説明書、レストランのメニュー等に本発明の一実施形態に係る点字表記体10を利用できる。特に、コンピューターに入力してすぐに点字パターンをレーザー印字用積層体1に出力して得られる点字表記体10を即座に使用でき、従来無かった技術を生かしてプレスリリースや郵便物の作成に対し、本発明の一実施形態に係る点字表記体10の製造方法を利用できる。
また、点字の規格としては国ごとに異なる寸法が定められているが、コンピューターのソフトであれば図形の描画位置、大きさ等の設定変更は容易に行える。そのため、レーザーマーカー操作用コンピューターでも容易に国別点字規格に則った点字パターンの出力を設定することができると共に、任意に規格を設定した標準規格外の点字パターンの出力も可能なため、故意に通常より大きい点字の規格を設定して点字識別練習用の点字表記体10を得ることも容易に実施できる。
[第1実施形態に関する実施例]
次に、第1実施形態に関する実施例を詳述する。
尚、本発明の一実施形態に係るレーザー点字印字方法の適用可能範囲が非常に広いため、代表的なレーザー印字用積層体1の仕様、製造方法、用途、印字条件等に係る実施例についてのみ記述せざるを得ず、以下の実施例は本発明の内容を限定するものではない。
(レーザー印字用積層体の製造)
厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムの片面全面に、グラビア印刷機でカーボンブラックからなる黒色インキのベタ印刷を施した。
前記の印刷済み二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムの印刷面に、2液硬化型ウレタン系接着剤を塗布し、厚さ25μmの未延伸直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを貼り合わせ、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1Aを得た。
また、グラビア印刷機でカーボンブラックからなる黒色インキのベタ印刷を全面に施した厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム、厚さ7μmのアルミニウム箔、及びグラビア印刷機でカーボンブラックからなる黒色インキのベタ印刷を全面に施した厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムを、この順番で、印刷面が両表面となるように2液硬化型ウレタン系接着剤を用いて貼り合わせた。
前記積層フィルムの両印刷面に表示フィルム4として厚さ20μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いて貼り合わせ、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1Bを得た。
また、厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面全面に、グラビア印刷機でカーボンブラックからなる黒色インキを用いてベタ印刷を施した。
前記の印刷済み二軸延伸ポリプロピレンフィルムの印刷面にアンカーコート剤を塗布しつつ、溶融低密度ポリエチレン樹脂を押し出し、厚さ25μmの低密度ポリエチレンからなるフィルム層を設け、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1Cを得た。
また、表示フィルム4として、厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを選定し、グラビア印刷機でカーボンブラックからなる黒色インキを用いた横50mm×縦20mmの黒ベタ印字領域3と、同寸法の無地領域とを交互に、市松模様のエンドレス印刷を施した後、その印刷面全面に白ベタ印刷を施した。
前記の印刷済み二軸延伸ポリプロピレンフィルムの印刷面に、2液硬化型ウレタン系接着剤を塗布し、厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを貼り合わせ、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1Dを得た。
また、表示フィルム4として、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムを選定し、グラビア印刷機でカーボンブラックからなる黒色インキを用いた横50mm×縦20mmの黒ベタ印字領域3と、同寸法の無地領域とを交互に、市松模様のエンドレス印刷を施した後、その印刷面全面に白ベタ印刷を施した。
前記の印刷済み二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムの印刷面に、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いて、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルム、厚さ7μmのアルミニウム箔、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルムをこの順番に貼り合わせ、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1Eを得た。
また、表示フィルム4として、厚さ40μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを選定し、グラビア印刷機で、この表示フィルム4のコロナ処理面全面に、カーボンブラックからなる黒色インキを用いてベタ印刷を施した。
前記の印刷済み未延伸ポリプロピレンフィルムの印刷面に、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いて、厚さ200μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体共押出し未延伸ポリプロピレンフィルムを貼り合わせ、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1Fを得た。
前記の本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1A〜1Fの構成を表1に示す。アンカーコート剤の記載は省いた。
尚、略号はad:接着剤、PET:二軸延伸ポリエチレンテレフタレイト、PA:二軸延伸ポリアミド、OPP:二軸延伸ポリプロピレン、ALM:アルミニウム箔、CPP:未延伸ポリプロピレン、PE:ポリエチレンを示す。
(レーザー点字印字実験用市販品の入手)
レーザー点字印字可能な面積の黒色インキベタ印刷領域を有するプラスチックフィルム積層体からなる市販の包装体を16個購入し、包装材料の構成を調べた後、レーザー印字用実験サンプル17種類(サンプルa〜k及びm〜r)を得た。表2に内容物Mと包装材料の構成を示す。表2中の包装材料の構成で「インキ」の表記より左側が表示フィルム4の構成を示し、「インキ」の表記より右側が支持体5の構成を示す。尚、サンプルjの支持体5は、インモールドラベルを構成する積層フィルム部分と白色PE500μmのカップ胴部からなっている。またサンプルrの飲料缶を構成する支持体5の胴板の厚みは約0.2mmであり、表示フィルム4として厚みが12μmのPETフィルムが支持体5に貼り合わされていた。
尚、サンプルa〜k及びrは日本製、サンプルm及びoはインドネシア製、サンプルnはイタリア製、サンプルpはカナダ製、サンプルqはニュージーランド製の製品である。
また、サンプルの印刷方式を調べた結果、サンプルqのみフレキソ印刷が利用され、その他のサンプルはグラビア印刷が利用されていた。グラビア印刷とフレキソ印刷は、印刷された文字を拡大して観察することで容易に識別できる。
また、表1で用いた略号に加えてEP:イージーピールシーラント、VMCPP:アルミニウム蒸着CPP、VMPET:アルミニウム蒸着PET、透明VMPET:金属酸化物蒸着PETの略号を用いた。
(レーザー印字試験方法)
当実施例において、YVOレーザーマーカー(株式会社キーエンス製、商品名「MD−V9900」)を用いてレーザー印字試験を実施した。
レーザーマーカーへの点字パターンの入力は、出力パターンが横点間2.1mm、縦点間2.3mm、マス間5.2mmとして、直径1.6mmの塗りつぶした円で形成した6点点字となる点字パターン画像の入力により行った。
点字印字条件は、レーザー光の走査速度を6000mm/秒、周波数を100kHzに固定し、出力は50%を基準とし、必要に応じて10%刻みで変更した。
また、加熱しながら点字印字を実施する場合、点字印字面を熱風で30秒間加熱した後、レーザー光照射を実施した。尚、加熱面直近の熱風温度は、約90℃であった。
(実施例1)
50mm×200mmに切り取った、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1Aのポリエチレンテレフタレイト面に、同一寸法の離型シート8付き両面粘着テープを貼り合わせ、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用粘着フィルムを得た。
前記レーザー印字用粘着フィルムのポリエチレンフィルム面に、室温下で「大文字符号」と「braille」の点字8文字のパターンと、点字下5mmの位置を基準線とする個々の点字に対応する高さ3mm、幅2.5mm、文字間隔5.2mm、印字幅0.04mmのアルファベットの文字「Braille」を出力50%で印字した後、印字部を中心に配置して縦20mm×横50mmに切り取って、本発明の一実施形態に係る点字表記付き粘着フィルムを得た。
前記点字は穿孔することなく形成され、十分な高さがあり、点字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままで点(ドーム状成形部6)の配置を認識することができた。
また、印字したアルファベットの文字を目視確認することができるので、点字判読経験の無い晴眼者でも印字された点字の内容を認識することができる。文字印字は穿孔が生じたため隆起部(ドーム状成形部6)が形成されず、点字判読の妨げになることはなかった。
また、離型シート8を剥がして飲料用紙容器、医薬品用紙箱、家庭用電話機、冷蔵庫の扉の取っ手、雑誌の表紙に貼り付けた場合でも、点字判読経験の無い晴眼者が目を閉じたまま点(ドーム状成形部6)の配置を認識することができた。
(実施例2)
本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1Bを縦297mm×横210mmに切り取ってA4版とした後、片面の中央部に、室温下で、1行毎に「abcdefghijklmnopqrst」の点字20文字のパターンを、出力50%、行間隔12mmで6行の点字印字を行った。
前記点字は穿孔することなく、また、点字印字面の裏面に反転印字が形成されることも無く形成され、十分な高さがあり、点字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままで点(ドーム状成形部6)の配置を認識することができた。
次に、前記点字印字面の裏面の中央部に、室温下で1行毎に「abcdefghijklmnopqrst」の点字20文字のパターンと、点字下5mmの位置を基準線とする、個々の点字に対応する高さ3mm、幅2.5mm、文字間隔5.2mm、印字幅0.04mmのアルファベットの小文字を、出力50%、行間隔15mmで6行印字し、本発明の一実施形態に係る両面点字表記体10を得た。
前記点字は穿孔することなく、また、裏面に反転印字が形成されることも無く形成され、十分な高さがあり、点字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままで点(ドーム状成形部6)の配置を認識することができた。
また、個々の点字に対応するアルファベットを印字した面は、印字したアルファベットの文字を目視確認することができるので、点字判読経験の無い晴眼者でも印字された点字の内容を認識することができる。文字印字は穿孔が生じたため隆起部(ドーム状成形部6)が形成されず、点字判読の妨げになることはなかった。
(実施例3)
150mm×200mmに切り取った、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1Cに、室温下で、図10の(a)に示した「数字符号(図10(a)に示す符号「S1」参照)」と「123456(図10(a)に示す符号「S2」参照)」の点字7文字のパターンを出力50%で点字印字した結果、ポリプロピレン面、ポリエチレン面のいずれから点字印字を施しても、ポリエチレン面に指先で判読するのに充分な高さを有する隆起部(ドーム状成形部6)が生じた。ポリプロピレン面は指先で触っても点(ドーム状成形部6)を認識できず、隆起したのか、窪んでいるのか分からないい程度の凹凸が生じていた。
次に、150mm×200mmに切り取った、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1Cの、ポリエチレン面同士を向かい合わせて二つ折りにし、開口部を除く周縁端部3辺に10mm幅のヒートシールを施して、横100mm×縦150mmの本発明の一実施形態で用いる袋体を製造した後、開口部と対向するヒートシール部13に、レーザー光照射面を加熱しつつ、「数字符号」と「123456」の点字7文字のパターンを出力50%で点字印字した結果、レーザー光照射した側のポリプロピレン面に隆起部(ドーム状成形部6)が生じ、十分な高さがあり、点字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままで点(ドーム状成形部6)の配置を認識することができた。
(実施例4)
本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1Dを、市松模様の縦8マス、横4マスで160mm×200mmに切り取り、未延伸ポリプロピレン面同士を向かい合わせて二つ折りにして、開口部を除く周縁端部3辺に10mm幅のヒートシールを施して、100mm×160mmの本発明の一実施形態で用いる袋体を製造した。当該袋体の開口部と対向する底部シール部は長さ100mmで、両面のどちら側から見ても端から50mmが黒色、残り50mmが白色の外観を呈し、黒色の部分の裏面は白色、白色の部分の裏面は黒色の外観を呈している。
前記底部シール部の一方の面に、黒色部には「数字符号」と「123456」の点字7文字のパターンを、白色部には左右を反転させた図10の(b)に示した「654321(図10(b)に示す符号「S2」参照)」と「数字符号(図10(b)に示す符号「S1」参照)」の点字7文字のパターンを、出力50%で加熱することなく黒色面側からレーザー光を照射して点字印字した。その結果、前記底部シール部両面の黒色部に「数字符号」と「123456」の点字7文字の隆起部(ドーム状成形部6)が生じ、当該点字には十分な高さがあり、点字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままで点(ドーム状成形部6)の配置を認識することができた。
(実施例5)
本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1Eを、縦8マス、横4マスの市松模様で160mm×200mmに切り取り、ポリプロピレン面同士を向かい合わせて二つ折りにして、開口部を除く周縁端部3辺に10mm幅のヒートシールを施して、100mm×160mmの本発明の一実施形態で用いる袋体を製造した。当該袋体の開口部と対向する底部シール部は長さ100mmで、端から50mmが黒色、残り50mmが白色の外観を呈している。
前記袋体のヒートシール部13の黒色部に、室温下で「数字符号」と「123456」の点字7文字のパターンを出力50%で黒色面側からレーザー光を照射して点字印字したところ、穿孔が生じて全体の半分程度の隆起部しか得られなかったため、同じ点字印字を出力40%で実施した結果、穿孔が生じることなく点字印字することができた。しかし、点字(ドーム状成形部6)の高さは指先で認識できるが、点字判読経験の無い晴眼者は、目視確認しながらでないと点(ドーム状成形部6)の配置を確認できない点字があった。
次に、前記袋体のヒートシール部13の黒色部に、加熱しながら「数字符号」と「123456」の点字7文字のパターンを出力50%で黒色面側からレーザー光を照射して点字印字したところ、穿孔が生じることなく点字(ドーム状成形部6)が形成され、かつ、室温下で出力50%で点字印字したときの点字よりも高さがあり、点字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままで点(ドーム状成形部6)の配置を認識することができた。また、同様に加熱しながら出力60%で点字印字したところ、穿孔が生じることは無く、かつ、加熱して出力50%で点字印字を実施した点字よりも更に高さがあって、非常に読み取り易い点字表記体10を得ることができた。
(実施例6)
本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1Fを底材、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体1Dを蓋材と仮定し、積層体1Fを160mm×100mmに、積層体1Dを市松模様の縦8マス、横2マスで160mm×100mmに切り取り、積層体1Fの厚さ200μmの共押出し未延伸ポリプロピレンフィルム面と積層体1Dの未延伸ポリプロピレンフィルム面とを向かい合わせて重ね合わせ、周縁端部に幅10mmのヒートシールを施すことにより、フランジに10mm幅のヒートシールを施した、仮想の深絞り成形容器包装体を形成した。この「仮想の深絞り成形容器包装体」とは、深絞り部が形成される予定の成形容器包装体であって、深絞り部が実際に形成される前の成形容器包装体を意味する。
前記蓋材ヒートシール部13の、黒色部には「数字符号」と「123456」の点字7文字のパターンを、白色部には左右を反転させた「654321」と「数字符号」の点字7文字のパターンを、出力50%で加熱することなく蓋材側からレーザー光を照射して点字印字した結果、蓋材の黒色部と、底材の双方に「数字符号」と「123456」の点字7文字の隆起部(ドーム状成形部6)が生じ、当該点字には十分な高さがあり、点字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままで点(ドーム状成形部6)の配置を認識することができた。
また、前記ヒートシール部13の、蓋材が白色部になっている部分に、「数字符号」と「123456」の点字7文字のパターンを、出力50%で加熱することなく底材側からレーザー光を照射して点字印字した結果、底材に「数字符号」と「123456」の点字7文字の隆起部(ドーム状成形部6)が生じ、当該点字には十分な高さがあり、点字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままで点(ドーム状成形部6)の配置を認識することができた。
(実施例7)
市販のレーザー印字用実験サンプル17種類(サンプルa〜k及びm〜r)のヒートシール部13に、又はヒートシール部13に点字印字可能な黒ベタ印刷領域が無いサンプルは胴部フィルムに、加熱しながら「数字符号」と「123456」の点字7文字のパターンを出力50%で包装体の表面側からレーザー光を照射して点字印字した。
レーザー点字印字を実施した後、点字判読経験の無い晴眼者が点字を指で触って読み取り易さを以下の基準で相対評価し、表3に示す。
◎:点の高さが十分にあり、指を滑らせると指先に引っ掛かるような感触が得られ、目を閉じていても点の配置を容易に認識できる。
○:点の高さを十分認識できるが、目視確認しないと点の配置を認識できない点字が1〜2文字ある。
△:点が並んでいることは認識できるが、目視確認しないと点の配置を認識できない点字が半分以上である。
×:点の高さが低いため認識しにくく、点の配置は目視確認しないと分からない。または、穿孔によりドーム状成形部が形成されていない。
(実施例8)
市販のレーザー印字用実験サンプルgの胴部にある黒ベタ部と橙色ベタ部を切り取って未延伸ポリプロピレン面同士を向かい合わせて重ね合わせ、幅10mmのヒートシールを施した。そのヒートシール部13の構成の詳細をフィルムの厚みを省略して記すと、OPP/黒インキ/白インキ/ad/CPP/ad/白インキ/橙色インキ/OPPとなっている。
前記ヒートシール部13に、加熱しながら左右を反転させた「654321」と「数字符号」の点字7文字のパターンを出力50%で橙色面側からレーザー光を照射して点字印字した。
その結果、黒色部に「数字符号」と「123456」の点字7文字の隆起部(ドーム状成形部6)が生じ、当該点字には十分な高さがあり、点字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままで点(ドーム状成形部6)の配置を認識することができた。
[第2実施形態]
次に、点字以外のアルファベット等の文字、記号及び図形等を表現する触覚情報パターンが形成された触覚情報表記体について説明する。
なお以下の説明において「文字」(「触文字」とも称する)には、説明の便宜上、アルファベット等の文字だけではなく、記号及び図形等も含みうるものとして理解される。また以下の説明における「図」又は「図形」という場合は、文字以外の要素(記号及び図形状等)を広く指しうる。また「触文字」及び「触図」は複数の隆起部の集合によって構成される文字及び図をそれぞれ指し、情報を直接的に伝達しうる文字自体及び図自体を「隆起部自体」或いは「隆起部に隣接して設けられる平滑部」によって表すことによって「触文字」及び「触図」が構成される。
本実施形態において、上述の第1実施形態と同様の構成、作用及び効果に関しては、その詳細な説明を省略する。例えば、第1実施形態に係る上述の説明における「点字表示部」を「触覚情報表示部」として理解し、「点字表記」を「触覚情報表記」として理解する等、上述の点字に関する説明を文字(「触文字」)に関する説明として適宜理解することができる。
(レーザー印字用積層体)
本実施形態のレーザー印字用積層体については、図1に示す第1実施形態に係るレーザー印字用積層体1が参照される。
例えば、本発明の一実施形態に係るレーザー印字方法を実施する各々の状況において、正方向の触覚情報表記部を形成させる面を表面として、印字領域の黒色インキ層より表面側のフィルムが表示層、前記印字領域の黒色インキ層より裏面側のフィルムが支持体となる。
積層体のポリエチレン面同士を重ね合わせてヒートシールを施したヒートシール部にレーザー印字を実施した場合は、表面に現れているフィルムは二軸延伸ポリプロピレンフィルムのみなので、二軸延伸ポリプロピレンフィルムにドーム状隆起部が形成され、二軸延伸ポリプロピレンフィルムが表示層となり、正方向の触覚情報表記のドーム状隆起部を形成する二軸延伸ポリプロピレンフィルムの反対面の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは支持体となる場合がある。また、表面フィルムと支持体の区別は、実際にレーザー印字を実施してみないと判断できない場合がある。
また、両面に触覚情報表記部を設けるレーザー印字用積層体の場合、両表面の表示層に挟持されたフィルムが支持体となる。
更に、両面に触覚情報表記部を設けるレーザー印字用積層体の特殊な例として、表示層間に支持体を設けず印字領域の黒色インキ層のみを設けて、当該黒色インキ層を両面の表示層が共有する場合がある。この場合は、触覚情報表記部を情報毎に区分し、情報領域毎に正方向の触覚情報表記がなされている表面フィルムを表示層、残りのフィルムを支持体とする。尚、正方形の図面を一つだけ印字した場合等、1回のレーザー印字で両面同時に、左右対称の、表裏いずれの面から見ても同一の触覚情報を印字する場合にも、一方の面の表示層の裏面のフィルムを当該表示層の支持体とする。
(レーザー印字用粘着体)
本実施形態のレーザー印字用粘着体については、図2に示す第1実施形態に係るレーザー印字用粘着体1’が参照される。
本実施形態で用いるレーザー印字用粘着体に印字を実施した本発明の一実施形態に係る触覚情報表記付き粘着体は、「シャンプー」、「センザイ」、「ヒョウハク」等の定型文を表す触覚情報表記付き粘着体を作製して用いることによって、レーザーマーカーを持たない人でも利用できる等の利点がある。また、本発明の一実施形態に係る触覚情報表記付き粘着体は、隆起部内に気体が充満した状態で成形されているため、粘着体を指で物体に対して圧着しても当該粘着体が凹みにくいという長所を有している。
(レーザー印字用ヒートシール性積層体)
本実施形態のレーザー印字用ヒートシール性積層体については、図3に示す第1実施形態に係るレーザー印字用積層体1が参照される。
図11(a)は袋体(触覚情報表記付き包装体111)のヒートシール部13と胴体に触覚情報表記体110(触覚情報表示部112)を設けた場合、(b)は袋体(点字表記付き包装体11)のヒートシール部13の外側の未シール部に触覚情報表記体110(触覚情報表示部112)を設けた場合の、触覚情報表記付き包装体111の一例を示す概略平面図である。触覚情報表示部112はヒートシール部13でもそれ以外の箇所でも設けることができ、かつ、包装体111を形成する前でも、包装体111を形成した後でも本発明の一実施形態に係るレーザー印字を施すことができる。
また、ヒートシール部13では胴体部分のフィルムが2枚重なっているので、胴体部分より支持体が厚くなっており、レーザー印字を施しても支持体が隆起しにくいので、特に薄く、柔らかいレーザー印字用積層体で形成した包装体111において好適な印字領域とすることができる。
更に、包装体111を形成する積層体がバリア性を有する場合であって、表示層にバリア性層がある場合や金属蒸着フィルムの金属蒸着膜をバリア性層としている場合等、レーザー印字を胴体部分に施すとバリア性が損なわれる又は損なわれる恐れがある包装体の場合には、ヒートシール部又はヒートシール部外の未シール部に対してレーザー印字を実施するとよい。
尚、ヒートシール部に対するレーザー印字は、通常はヒートシール後に実施するが、特に図示しないが、ヒートシール部内に印字領域として未シール領域を設ける場合にはヒートシール前にレーザー印字を実施することができる場合もある。
また、例えば、密封性を必要とするスナック菓子等のピロー包装袋の上・下シール部において、1〜2mm幅で数本の線シールを施した場合等、レーザー印字を施すヒートシール部の凹凸が大きいと、印字により形成したドーム状隆起部が、ヒートシール部の凹凸に邪魔されて識別できなくなる場合がある。このような場合はレーザー印字を施したい部分のシール部のみ平面シールにしたり、その部分のみ未シール部としたりする等、ヒートシールバーのシール面形状を工夫したり、可能であれば線シール後にもう一度平面シールを実施したりするとよい。
(両面印字)
本実施形態の両面印字については、第1実施形態に係る図5が参照される。すなわち、支持体5にレーザー光遮蔽層14が存在する場合、支持体5の両側に印字領域の黒色インキ層(2a、2b)と表示層(表示フィルム4)を設ければ、その積層体両面の表示層側からレーザー光を照射することによって、その積層体の両面に触覚情報表示部112を設けることができる。特に図示しないが、支持体5に部分的に設けたレーザー光遮蔽層14の両側に印字領域の黒色インキ層(2a、2b)を設けてもその積層体の両面に触覚情報表示部112を設けることができる。
また、本実施形態においてレーザー光遮蔽層が無くても、図6に示すように、表示層と印字領域の黒色インキ層とが両面に存在し、両側のレーザー印字領域の黒色インキ層の位置をずらして配置すれば、両面にレーザー印字することができる。この場合、片面側からレーザー光を照射して、一方の面の表示層への印字を正方向印字、もう一方の面の表示層への印字を反転印字とすることによって、両面の印字を実施することができる。
(印字領域の黒色インキ層)
本実施形態の印字領域の黒色インキ層については、第1実施形態と同様であり、本実施形態の印字領域の黒色インキ層を印刷するプラスチックフィルム、印刷方式及び印字領域の黒色インキ層の被印刷物についても第1実施形態と同様である。
また、本実施形態で用いるレーザー印字用積層体のレーザー印字領域の黒色インキ層は、非通気性フィルムに挟持されている必要があり、非通気性フィルムに挟持されていることによって、黒色インキのカーボンブラック等がレーザー光照射によって燃焼して発生したガスが層間の圧力を上昇させ、中空のドーム状隆起部を形成することができる点も、上述の第1実施形態と同様である。
尚、本実施形態で用いるレーザー印字用積層体のレーザー印字領域の黒色インキ層に接して設けられた、金属粉末を添加したインキを除くカーボンブラックを含まないインキ層、接着剤層、アンカーコート層、及びプライマー層等の塗膜は、本実施形態に係るレーザー印字を実施したとき、レーザー光が透過したり、印字領域の黒色インキ層と一緒に樹脂分を燃焼させることができたりするので、極端に高濃度の顔料を含むインキ層以外はレーザー印字に殆ど影響を及ぼさず、本実施形態で用いるレーザー印字用積層体においては印字領域の黒色インキ層と一体のものと考える。また、一般的に、三原色を混合して灰色に近い黒色を表現することも実施されているが、このような黒色は、少なくともYVOレーザー光は透過するが、カーボンブラックを含む黒色インキに他の顔料を添加したインキとは外観で区別することができない場合がある。更に、白色インキは顔料の粒子が大きいため塗布量が多いとレーザー光を減衰させる等、外観だけでは本実施形態で用いるレーザー印字用積層体として機能するか否かを判断することができない場合もあるので、実績がない構成のレーザー印字用積層体の場合は、予め試作品を作成して検証するとよい。
(表示層)
また本実施形態で用いるレーザー印字用積層体の表示層も、第1実施形態と同様に、加熱により軟化するプラスチックフィルムを用いることができる。
特に、二軸延伸フィルムの中で表示層として適しているのは、マット調フィルムである。マット調フィルムは滑り性が良好なため指先が滑りやすく、触覚情報を識別しやすい。
また、本実施形態に係る触覚情報表記体は耐水性及び耐油性を有するため、指先を水、油、或いはクリーム等で湿らせて触覚情報を識別することができる。
尚、アルミニウム蒸着フィルムは、少なくともYVOレーザー光を用いる場合、レーザー光を照射すると金属蒸着膜(アルミニウム蒸着フィルム)が消失するのでレーザー印字への影響は無いが、外観は変化する。また、黒色以外の染料又は顔料等の着色剤を添加したフィルムも用いることができるが、事前にレーザー光を減衰させることが無いか確認してからそのようなフィルムを用いるとよい。
また表示層の厚みを限定することはできないが、強いて表示層の厚みについて述べるとすれば、単体フィルムの場合、二軸延伸フィルムでは9μm〜40μm、未延伸フィルムでは10μm〜50μmのものは用いることができる可能性が高い。
(支持体)
本実施形態で用いるレーザー印字用積層体の支持体も、第1実施形態に係るレーザー印字用積層体の支持体と同様である。基材となる紙層に、顔料と接着剤の混合液に対して必要に応じて助剤を添加した液をコーターを用いて塗工し、更に必要に応じて透明コートや表面処理を施した塗工紙も、支持体として用いることができる。
尚、支持体にドーム状隆起部が形成されても問題にならない場合と問題となる場合とがあるが、問題となる場合は可能な範囲で支持体を硬く及び又は厚く設計したり、表示層に軟化点がより低いフィルムや、より柔らかく、薄いフィルムを用いたり、レーザー印字を実施する際に表示層を加熱する等の対策を講じるとよい。
また、本実施形態で用いるレーザー印字用積層体の支持体として、ロールツーロールの加工ができない断裁されたシートや、表示層を貼り合わせることができる平滑面と触覚情報表記スペースをもつ、プラスチック成型品、金属加工品、ガラス加工品等、及び立体的な物品も用いることができる。
(ドーム状隆起部)
本実施形態に係る印字方法により形成したドーム状隆起部については、第1実施形態に係る図7が参照される。
点字の場合、点の数や位置を指先の触覚で確認する必要があり、隆起部の高さは最低でも0.3mm程度必要であるとされている。本発明の一実施形態に係る突起点線で形成する触文字や触図は、点字のように点の数や位置を判読する必要がなく、点の連なりを指先の触覚で追うだけでよいので、点字の点より小さく、低い隆起部で形成しても容易に指先の触覚で判読できる。点の大きさや判読者の能力にもよるが、0.05mm程度の高さの点によって構成される触文字や触図であっても判読可能である。指先の触覚で本発明の一実施形態に係る突起点線を確認する場合、認識できる点線同士の間隔は、突起点線が細いほど狭い間隔を認識しやすくなる。小さな点で触文字や触図を形成できるということは、小さいスペースに触覚情報を表示できることになるが、本発明の一実施形態に係るレーザー印字方法は他の方法と比較して、より小さい点を印字する能力に優れている。また、点が小さいほど、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体に穿孔が生じにくくなるので、好都合である。更に、より小さいスペースに対する印字で済むということは印字時間の短縮にも繋がり、好都合である。
また、隆起部の充分な高さが得られない場合でも、加工条件を調整したり、表示層の表面を滑り性の良いものにする等の積層体の設計や製造条件の工夫によって、触覚情報パターンが識別可能となる場合もある。また、本発明の一実施形態に係る突起点線の隆起部の頂上はなだらかなカーブを描いているため、判読者が大量の情報に接しても指先を痛めにくい。また、表示層がプラスチックフィルムなので指先に水や油を付けて判読することも可能である。
従来の点字形成法で作製した点字表記体は、例えば図8(a)に概略断面図が示されるエンボス法や点字器等によって開放型ドーム状に隆起部を成形する手法、図8(b)に概略断面図が示されるインジェクション成形や発泡フィルムを部分的に加熱して発泡させる等により内部空間の無いドーム状に隆起部を成形する手法、及び図8(c)に概略断面図が示される基材上にインキを厚く盛ったり印刷した発泡インキを加熱して発泡させる等により隆起部を成形する手法に基づいて作られる。一方、本実施形態に係る触覚情報表記体の点(隆起部)の構造は中空のドーム状であり、従来の点字表記体の点(隆起部)の構造と全く異なる。例えば、本実施形態に係る触覚情報表記体の点(隆起部)は、成形されたプラスチックフィルムで覆われているため圧縮されても変形しにくくて形状を維持しやすく、また基材となるフィルムと一体に構成されるので隆起部の脱落が生じにくく、またプラスチックフィルムで覆われているため液体や気体が浸入しにくい構造を有している。
(レーザー印字)
本実施形態に係るレーザー印字方法も、上述の第1実施形態のレーザー印字方法と同様である。
本実施形態で用いるレーザー印字用積層体にレーザー印字を施すレーザー光として、波長が1064nmのYVOレーザー光を好適に用いることができる。
本実施形態で用いるレーザー印字用積層体を構成するプラスチックフィルムの種類、厚さ、軟化点等は、その積層体の用途に合わせた設計により決められるため無数の種類が存在し、また、レーザーマーカーの性能や特性も光源やメーカーによって異なるので、本発明の一実施形態に係る印字方法によりドーム状隆起部を形成するためには、個々の実施事例に則してレーザー印字用積層体毎に印字条件を求める必要がある。
本実施形態に係る印字方法において、レーザー印字用積層体を加熱することが可能であれば、表示層が加熱されることで成形されやすくなり、その状態で印字を実施することによって、加熱せずに印字した場合と比較して、より高いドーム状隆起部を形成することができる。
レーザー印字用積層体の加熱方法としては、熱風を吹き付けたり、赤外線ヒーターで加熱したり、熱板をあてがって加熱したり、ヒートシール直後の熱を利用する等、通常のフィルム加熱方法を用いて、局所的に又は広範囲に加熱することができる。ただし、レーザー出力装置は危険防止のため周囲を遮蔽板で覆って設置される場合が多いので、レーザー出力装置が熱ダメージを受けないように配慮する必要がある。
尚、レーザー印字による触覚情報表記技術は従来存在しないため、実際にレーザー印字を実施する場合、例えば図形描画ソフトを用いて点線で形成したパターンを画像化してレーザーマーカーの操作用コンピューターに入力し、その画像をレーザー印字するという段階を踏む必要がある。このような方法であっても、版を作製する工程が必要な従来の点字形成方法に比べると顕著に簡易化されており、文字を点線で出力するコンピューターのソフトを作製すれば、レーザー印字の入力作業を大幅に軽減することができる。また、線で構成された画像を点線に変換して出力するソフトを作成すれば、触図の作成も大幅に簡略化することができる。
本発明の一実施形態に係るレーザー印字方法で出力する点線を構成する点の形状は、円、楕円及びカプセル形等の丸みを帯びた形状でも構わないし、正方形、長方形、菱型、三角形及び星型等の多角形の形状でも構わない。ただし、一つ当たりの点が大きい点線を出力しても穿孔しにくい、丸みを帯びた形状、正方形或いは長方形を、点線を構成する点の形状として用いるのが無難である。
本発明の一実施形態に係るレーザー印字方法で出力する点線の点と点の間隔を特に限定する必要はないが、一般的には点の長さと点と点の間隔が同程度である点線を用いればよい。但し、点と点の間隔が広すぎると、触覚情報を認識しにくくなると共に、文字や図形を表示するためにより広いスペースが必要になり無駄である。また、文字と文字の間隔が狭すぎると隣り合う隆起部の底部同士がくっつくと共に穿孔が生じやすくなるが、隆起部の底部同士がくっついて点同士が繋がってしまっても、指先で触覚情報が認識できれば構わない。いずれにせよ実施前に実際にレーザー印字試験を行って、確認するとよい。
本発明の一実施形態に係るレーザー印字方法で出力する点線の太さ(幅)を限定することに意味は無い。例えば、一つの文章の中でも「,(コンマ)」や「!(エクスクラメーションマーク)」をアルファベットより太く表示したり、見出しの触文字を太く及び/又は大きくしたり、触図の輪郭線を太くしてそれ以外の線を細くしたりする等の工夫によって、触覚情報を得やすくすることができる。但し、点線が細すぎると隆起部も小さくなるので触覚情報パターンが認識しにくくなり、点線が太すぎると穿孔が生じ易くなる。また、レーザー印字用積層体の構成によっても線が太ったり痩せたりするので、通常は0.3mmから1mm程度の太さを基準にしてレーザー印字試験を行い、実際に指先で認識しやすさを確認しながら触文字の大きさや配置及び触図の描写方法等を工夫するとよい。
(触文字)
本発明の一実施形態に係るレーザー印字方法を用いれば、世の中のあらゆる文字を触覚情報として表記することができる。但し、2本の突起点線をはっきりと2本の線として捉えることができる突起点線同士の距離は、点線の太さにもよるが最低でも2〜3mm必要なため、アルファベットやカタカナのように少数の線で表記する文字と比較して、漢字のように多数の線で表記する文字は、1文字あたりのスペースをより大きくする必要がある。
また、アルファベットの小文字の「l(エル)」と数字の「1」や、アルファベットの大文字の「O(オー)」と数字の「0(ゼロ)」等は、お互いに非常に似た形状を有する。非常に似通っているが晴眼者が日常生活において文脈から判断することができる文字は触文字でも文脈から判断できるが、アルファベット小文字の「e」と「s」等、視覚では容易に判断できても触覚では判別しにくい文字が言語毎に存在するので、このような文字に合わせて文字の大きさを決めると良い。更に、文字を部分的に伸ばしたり、角度を変えたり、ブロック体と筆記体を併用したりして、触覚で判別しにくい文字同士の形状を判別しやすくすることも効果的である。
図12は本発明の一実施形態に係る触覚情報表記部の実施例を示す概略平面図である。このような触文字を製品に表記することによって、内容物を表記することができ、視覚障害者が誤用しにくくすることができる。また、通常の文字で表記しているため、近年、糖尿病患者の増加に伴って増加している、点字を利用できない高齢の視覚障害者でも触覚による読み取りが可能であると共に、点字を利用できない晴眼者でも視覚障害者を補助することができる。また、住所や宛名を印字して郵便物を作製することができたり、視覚障害者用と晴眼者用に別々の情報を作成する必要がない等、触覚情報表記体の新たな利用方法を生み出すことができる。
(レーザー印字の利用分野)
本発明の一実施形態に係るレーザー印字方法は、基材フィルムに印刷を施し、その印刷面にヒートシール性フィルムを積層しただけの単純な構成の積層体に適用できる。カーボンブラックからなる黒色インキは最も汎用性のある黒色インキであり、現在流通している殆どの包装体には黒色インキを用いた文字やバーコードの印刷があるので、単体フィルム包装以外の現在流通している大部分の包装体に印字領域の黒色インキ層を設けるだけで本発明の一実施形態に係るレーザー印字法を適用することができる。例えば、レトルトカレーやスナック菓子等の食品包装袋に賞味期限や内容物を、また医薬品や化粧品等の包装袋に使用期限や効能対象を、触覚情報として製品製造時に触覚情報パターンを表記できる。また、火気注意や人体使用不可等の危険防止の表示を必要とする包装体にも、その旨の触覚情報を同様に表記できる。尚、包装体に触覚情報を表記する場合は、表記位置に配慮して開封時に切り捨てられてしまわないようにするとよい。
また上述の触覚情報表記体(触覚情報パターン)、袋体及び包装体を、裏刷りしたフィルムにヒートシール性層を貼り合わせて形成するインモールドラベルに用いたり、裏刷りしたフィルムと金属板を貼り合わせて形成するラミネート缶に用いたり、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体の支持体面に紙を貼り合わせて紙箱、液体紙容器、ダンボール箱等を形成したりすることもできる。
また、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用粘着体に印字したものを貼り付けるか、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用粘着体を貼り付けてから印字することによって、例えば前記包装体、牛乳カートン、段ボール箱を含む紙箱、成形品、金属缶やスプレー容器等の金属容器、コピー機や自動販売機等の押しボタン、及びエレベーターの押しボタンや階段の手すり等の構造物など、殆どの物体に触覚情報を表記することができる。
本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用粘着体は支持体の選定を自由に行えるので用途に応じた各種粘着剤を使用することができ、かつ、厚さも数十μmと薄くできるので、貼付対象物や水濡れ等の使用環境に応じた、剥がれにくい触覚情報表記付き粘着体を提供できる。
また、上述の触覚情報表記体(触覚情報パターン)は、ヒートシール性層を設けたり、粘着体化したりすることなく、出版物、取り扱い説明書、及びレストランのメニュー等に利用でき、特に、コンピューターに表記情報を入力してすぐに触覚情報パターンを出力して即座に使用できるという、従来無かった技術を生かしてプレスリリースや郵便物の作成に利用できる。
また、容易に触図を作成できるため、宿泊施設における室内図、非常時の脱出経路図、及び集合施設の案内図の広域図や詳細図等を容易に触図化できると共に、これらの情報を1枚の積層体の両面に表示することも容易に実施できる。
[第2実施形態に関する実施例]
次に、第2実施形態に関する実施例を詳述する。
尚、本発明の一実施形態に係るレーザー印字方法の適用可能範囲が非常に広いため、代表的なレーザー印字用積層体の仕様、製造方法、用途、印字条件等に係る実施例についてのみ記述せざるを得ず、以下の実施例は本発明の内容を限定するものではない。
(レーザー印字用積層体の製造)
厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムの片面全面に、グラビア印刷機でカーボンブラックからなる黒色インキのベタ印刷を施した。
前記の印刷済み二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムの印刷面に、2液硬化型ウレタン系接着剤を塗布し、厚さ25μmの未延伸直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを貼り合わせ、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体2Aを得た。
また、グラビア印刷機でカーボンブラックからなる黒色インキのベタ印刷を全面に施した厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム、厚さ7μmのアルミニウム箔、及びグラビア印刷機でカーボンブラックからなる黒色インキのベタ印刷を全面に施した厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムを、この順番で、印刷面が両表面となるように2液硬化型ウレタン系接着剤を用いて貼り合わせた。
前記積層フィルムの両印刷面に表示層として厚さ20μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いて貼り合わせ、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体2Bを得た。
また、厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面全面に、グラビア印刷機でカーボンブラックからなる黒色インキを用いてベタ印刷を施した。
前記の印刷済み二軸延伸ポリプロピレンフィルムの印刷面にアンカーコート剤を塗布しつつ、溶融低密度ポリエチレン樹脂を押し出し、厚さ25μmの低密度ポリエチレンからなるフィルム層を設け、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体2Cを得た。
また、表示層として、厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを選定し、グラビア印刷機でカーボンブラックからなる黒色インキを用いた横50mm×縦20mmの黒ベタ印字領域と、同寸法の無地領域とを交互に、市松模様のエンドレス印刷を施した後、その印刷面全面に白ベタ印刷を施した。
前記の印刷済み二軸延伸ポリプロピレンフィルムの印刷面に、2液硬化型ウレタン系接着剤を塗布し、厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを貼り合わせ、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体2Dを得た。
また、表示層として、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムを選定し、グラビア印刷機でカーボンブラックからなる黒色インキを用いた横50mm×縦20mmの黒ベタ印字領域と、同寸法の無地領域とを交互に、市松模様のエンドレス印刷を施した後、その印刷面全面に白ベタ印刷を施した。
前記の印刷済み二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムの印刷面に、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いて、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルム、厚さ7μmのアルミニウム箔、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルムをこの順番に貼り合わせ、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体2Eを得た。
また、表示層として、厚さ40μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを選定し、グラビア印刷機で、この表示層のコロナ処理面全面に、カーボンブラックからなる黒色インキを用いてベタ印刷を施した。
前記の印刷済み未延伸ポリプロピレンフィルムの印刷面に、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いて、厚さ200μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体共押し未延伸ポリプロピレンフィルムを貼り合わせ、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体2Fを得た。
また厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムの片面全面に、グラビア印刷機でカーボンブラックからなる黒色インキのベタ印刷を施した。
前記の印刷済み二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムの印刷面に、2液硬化型ウレタン系接着剤を塗布し、厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムを貼り合わせ、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体2Gを得た。
前記の本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体2A〜2Gの構成を表1に示す。アンカーコート剤の記載は省いた。
尚、略号はad:接着剤、PET:二軸延伸ポリエチレンテレフタレイト、PA:二軸延伸ポリアミド、OPP:二軸延伸ポリプロピレン、ALM:アルミニウム箔、CPP:未延伸ポリプロピレン、PE:ポリエチレンを示す。
(レーザー印字実験用市販品の入手)
レーザー印字可能な面積の黒色インキベタ印刷領域を有するプラスチックフィルム積層体からなる市販の包装体を15個購入し、包装材料の構成を調べた後、レーザー印字用実験サンプル17種類(サンプルa〜k及びm〜r)を得た。表5に内容物Mと包装材料の構成を示す。表5中の包装材料の構成で「インキ」の表記より左側が表示層、「インキ」の表記より右側が支持体となる。尚、サンプルjの支持体は、インモールドラベルを構成する積層フィルム部分と白色PE500μmのカップ胴部からなっている。また、rはラミネート缶である。
尚、サンプルa〜k及びrは日本製、サンプルm及びoはインドネシア製、サンプルnはイタリア製、サンプルpはカナダ製、サンプルqはニュージーランド製の製品である。
また、サンプルの印刷方式を調べた結果、サンプルqのみフレキソ印刷が利用され、その他のサンプルはグラビア印刷が利用されていた。グラビア印刷とフレキソ印刷は、印刷された文字を拡大して観察することで容易に識別できる。
また、表4で用いた略号に加えてPA:二軸延伸ポリアミド、EP:イージーピールシーラント、VMCPP:アルミニウム蒸着CPP、VMPET:アルミニウム蒸着PET、透明VMPET:金属酸化物蒸着PETの略号を用いた。
(レーザー印字試験方法)
当実施例において、YVOレーザーマーカー(株式会社キーエンス製、商品名「MD−V9900」)を用いてレーザー印字試験を実施した。
また、レーザー印字に用いた文字は、点線で作成した文字で単語を形成し、図形としてレーザーマーカー操作用コンピューターに入力し、出力した。出力した点線は、特に記載がない場合、一辺の長さ0.7mmの正方形の点が点間スペース0.4mmで連なるもので、文字の大きさは大文字の「O」を縦7mm×横7mm、小文字の「o」を縦5mm×横5mmとし、この大きさを基準にして他の文字も作成し、文字間隔は10mmとした。このようにして図13に示したブロック体のアルファベット、数字及び記号を作成した。小文字の「w」及び「m」は若干文字幅を広くした。文字の大きさと突起点線の大きさ及び間隔の組合せは無限に存在し、本実施例では単純な線で形成できる文字のみ検証したが、文字のサイズを大きくすれば漢字のように複雑な触文字も、本発明の一実施形態に係るレーザー印字方法によれば容易に形成できる。
印字条件は特に記載が無ければ、レーザー光の走査速度を6000mm/秒、周波数を100kHzに固定し、出力は60%を基準とした。
また、加熱しながら印字を実施する場合、印字面を熱風で30秒間加熱した後、レーザー光照射を実施した。尚、加熱面直近の熱風温度は、約90℃であった。
(実施例9)
50mm×200mmに切り取った、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体2Aのポリエチレンテレフタレイトフィルム面に、同一寸法の離型シート付き両面粘着テープを貼り合わせ、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用粘着フィルムを得た。
前記レーザー印字用粘着フィルムのポリエチレンフィルム面に、室温下で図12に示した「Beer」と「123456」の触文字を2行に分けて印字した後、印字部を中心に配置して切り取り、本発明の一実施形態に係る触覚情報表記付き粘着フィルムを得た。
前記触文字は穿孔することなく形成され、触文字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままで文字を認識することができた。
また、印字したアルファベットの文字を目視確認することができるので、触文字判読経験の無い晴眼者でも印字内容を認識することができる。
また、離型シートを剥がして飲料用紙容器、医薬品用紙箱、家庭用電話機、冷蔵庫の扉の取っ手、及び雑誌の表紙に貼り付けた場合でも、触文字判読経験の無い晴眼者が目を閉じたまま文字を認識することができた。
(実施例10)
本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体2Bを縦297mm×横210mmに切り取ってA4版とした後、片面の中央部に、室温下で、図13に示したアルファベット、数字、及び記号のパターンを印字した。
前記触文字は、穿孔することなく、また、印字面の裏面に反転印字が形成されることも無く形成され、触文字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままでその触文字を認識することができた。
次に、前記印字面の裏面の中央部に、室温下で図16に示したカタカナのパターンを印字した。
前記触文字は、穿孔することなく、また、裏面に反転印字が形成されることも無く形成され、触文字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままその触文字を認識することができた。
また、個々の触文字は、文字を目視確認することができるので、晴眼者が普通に認識することができる。
(実施例11)
150mm×200mmに切り取った、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体2Cに、室温下で、図12に示した「Beer」と「123456」の触文字を印字した結果、ポリプロピレン面、ポリエチレン面のいずれから印字を施しても、ポリエチレン面に指先で判読するのに充分な高さを有する突起部が生じた。ポリプロピレン面は指先で触っても点を認識できず、隆起したのか、窪んでいるのか分からないい程度の凹凸が生じていた。
次に、150mm×200mmに切り取った、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体2Cの、ポリエチレン面同士を向かい合わせて二つ折りにし、開口部を除く周縁端部3辺に10mm幅のヒートシールを施して、横100mm×縦150mmの本発明の一実施形態で用いる袋体を製造した後、開口部と対向するヒートシール部に、レーザー光照射面を加熱しつつ、図12に示した「Beer」と「123456」の触文字を印字した結果、レーザー光照射した側のポリプロピレン面に突起部が生じ、触文字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままで文字を認識することができた。
(実施例12)
本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体2Dを、市松模様の縦8マス、横4マスで160mm×200mmに切り取り、未延伸ポリプロピレン面同士を向かい合わせて二つ折りにして、開口部を除く周縁端部3辺に10mm幅のヒートシールを施して、100mm×160mmの本発明の一実施形態で用いる袋体を製造した。当該袋体の開口部と対向する底部シール部は長さ100mmで、両面のどちら側から見ても端から50mmが黒色、残り50mmが白色の外観を呈し、黒色の部分の裏面は白色、白色の部分の裏面は黒色の外観を呈している。
前記底部シール部の一方の面に、黒色部には図14の(a)に示した「Beer」のパターンを、白色部には左右を反転させた図14の(b)に示した「Beer」の左右反転パターンを、加熱することなく黒色部の黒色面側からレーザー光を照射して印字した。その結果、前記底部シール部両面の黒色部に「Beer」の触文字が生じ、当該触文字は触文字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままで認識することができた。
(実施例13)
本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体2Eを、縦8マス、横4マスの市松模様で160mm×200mmに切り取り、ポリプロピレン面同士を向かい合わせて二つ折りにして、開口部を除く周縁端部3辺に10mm幅のヒートシールを施して、100mm×160mmの本発明の一実施形態で用いる袋体を製造した。当該袋体の開口部と対向する底部シール部は長さ100mmで、端から50mmが黒色、残り50mmが白色の外観を呈している。
前記袋体のヒートシール部の黒色部に、室温下で図12に示した「Beer」と「123456」の触文字を印字した結果、レーザー光を照射した側のポリプロピレン面に突起部が生じ、触文字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままで文字を認識することができた。
次に、前記袋体のヒートシール部の黒色部に、加熱しながら図12に示した「Beer」と「123456」のパターンを印字した結果、室温下で印字したときの触文字よりも更に高さがあって、非常に読み取り易い触覚情報表記体を得ることができた。
(実施例14)
本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体2Fを底材、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体2Dを蓋材と仮定し、積層体2Fを160mm×100mmに、積層体2Dを市松模様の縦8マス、横2マスで160mm×100mmに切り取り、積層体2Fの厚さ200μmの共押し未延伸ポリプロピレンフィルム面と積層体2Dの未延伸ポリプロピレンフィルム面とを向かい合わせて重ね合わせ、周縁端部に幅10mmのヒートシールを施すことにより、フランジに10mm幅のヒートシールを施した、仮想の深絞り成形容器包装体を形成した。
前記蓋材ヒートシール部の、黒色部には図14の(a)に示した「Beer」のパターンを、白色部には左右を反転させた図14の(b)に示した「Beer」の左右反転パターンを、加熱することなく蓋材側からレーザー光を照射して印字した。その結果、蓋材の黒色部と、底材の双方に「Beer」の触文字が生じ、当該触文字には十分な高さがあり、触文字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままで触文字を認識することができた。
また、前記ヒートシール部の、蓋材が白色部になっている部分に、図12に示した「Beer」と「123456」のパターンを、加熱しながら底材側からレーザー光を照射して印字した。その結果、底材に触文字が生じ、当該触文字は触文字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままで文字を認識することができた。
(実施例15)
市販のレーザー印字用実験サンプル17種類(表5に示すサンプルa〜k及びm〜r)のヒートシール部に、又はヒートシール部に印字可能な黒ベタ印刷領域が無いサンプルは胴部フィルムに、加熱しながら図12に示した「Beer」と「123456」のパターンを包装体の表面側からレーザー光を照射して印字した。
レーザー印字を実施した後、触文字判読経験の無い晴眼者が触文字を指で触って読み取った結果、全てのサンプルで触文字を認識することができた。
(実施例16)
市販のレーザー印字用実験サンプルgの胴部にある黒ベタ部と橙色ベタ部を切り取って未延伸ポリプロピレン面同士を向かい合わせて重ね合わせ、幅10mmのヒートシールを施した。そのヒートシール部の構成の詳細をフィルムの厚みを省略して記すと、OPP/黒インキ/白インキ/ad/CPP/ad/白インキ/橙色インキ/OPPとなっている。
前記ヒートシール部の橙色面に、加熱しながら図14の(b)に示した「Beer」の左右反転パターンをレーザー光を照射して印字した。
その結果、橙色面の反対面の黒色部に触文字が生じ、当該触文字は触文字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままで文字を認識することができた。
(実施例17)
210mm×297mmに切り取った、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体2Gの厚さ12μmのポリエチレンテレフタレイトフィルム面に、一辺の長さ0.5mmの正方形の点が点間スペース0.08mmで連なる点線、一辺の長さ0.7mmの正方形の点が点間スペース0.4mmで連なる点線、一辺の長さ1.0mmの正方形の点が点間スペース0.7mmで連なる点線、及び一辺の長さ1.4mmの正方形の点が点間スペース1.0mmで連なる点線、の4種類の点線で、加熱しながら図13に示したアルファベット、数字及び記号を印字し、本発明の一実施形態に係る触覚情報表記体を得た。
前記触覚情報表記体は穿孔することなく形成され、一辺の長さ0.5mmの正方形の点が点間スペース0.08mmで連なる点線、一辺の長さ0.7mmの正方形の点が点間スペース0.4mmで連なる点線、及び一辺の長さ1.0mmの正方形の点が点間スペース0.7mmで連なる点線で形成した触文字は、触文字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままで識別することができた。一辺の長さ1.4mmの正方形の点が点間スペース1.0mmで連なる点線で形成した触文字は、点の大きさに対して文字が小さく、識別困難だったが、文字を大きくすれば大きな点で形成した文字でも触覚による識別は可能である。
また、図13に示した文字はアルファベット順に並んでいるため、触覚が少しあいまいでも文字を識別できる。しかし通常の単語を印字した場合、触覚による識別が難しい文字がある。点字の場合は、点がマトリックス上に配置されているのに対し、触文字は色々な角度の点線で形成されているため、識別のために点線に触れているうちに文字の上下が分かり難くなることも識別し難い場合の要因の一つである。
従って、文字の上下が分かり難い場合は、図15に示したように、触文字の下に突起点線で文字列に平行な下線を設けると、触文字の上下がはっきり分かるようになり、触文字の識別に不慣れな人でも容易に識別できるようになった。
(実施例18)
210mm×297mmに切り取った、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体2Gの厚さ12μmのポリエチレンテレフタレイトフィルム面に、アルファベットと同様にして、図16に示したカタカナを、縦8mm×横8mmのマス目に収まる大きさ、文字間隔10mmで、一辺の長さ0.7mmの正方形の点が点間スペース0.4mmで連なる点線で加熱しながら印字して形成した触文字は、触文字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままで文字等を識別することができた。
また、図17に示したように、触文字の下に突起点線で文字列に平行な下線を設けると、触文字の上下がはっきり分かるようになり、触文字判読経験の無い晴眼者でも目を閉じたままで容易に単語を認識できた。
(実施例19)
180mm×180mmに切り取った、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体2Gの厚さ12μmのポリエチレンテレフタレイトフィルム面に、図18に示した点字、触文字、及び複数の種類の点線からなるパターンを加熱しながら印字し、本発明の一実施形態に係る触覚情報表記体からなる横105mm×縦115mmの触図による案内図を作製した。当該案内図に形成した点線、及び点字は全て容易に認識できた。
また、印字条件の出力のみ80%として前記内容と同じ手順で触図による案内図を作成した結果、形成された全ての点が触感で高くなり、より容易にその案内図に形成した点線、及び点字を認識できた。
このように、本発明の一実施形態に係るレーザー印字方法を用いれば、各種の触覚情報表記を組み合わせた、視覚障害者がより認識し易い触覚情報表記体を容易に提供することができる。
(実施例20)
180mm×180mmに切り取った、本発明の一実施形態で用いるレーザー印字用積層体2Gの厚さ12μmのポリエチレンテレフタレイトフィルム面に、図19に示した点線を並べて配置することによって点で塗り潰して描いた横50mm×縦30mmの図を加熱しながら印字した。その結果、突起により形成された長方形と、中央の突起が無い十字部分を容易に指先の触覚で認識できた。
このように、本発明の一実施形態に係るレーザー印字方法を用いれば、点線を並べて配置し、点で塗り潰した図によって面を表現できるため、企業のロゴ、絵、及びピクトグラム等を表現することができ、視覚障害者のみならず晴眼者に対しても、従来に無い表現物を示すことができる。
1 レーザー印字用積層体
1’ レーザー印字用粘着体
2 印字領域の黒色インキ層
2a 第1の黒色インキ層
2b 第2の黒色インキ層
3 印字領域
4 表示フィルム
4a 第1の表示フィルム
4b 第2の表示フィルム
5 支持体
6 ドーム状成形部
7 粘着剤層
8 離型シート
9 ヒートシール性層
10 点字表記体
11 点字表記付き包装体
12 点字表示部
13 ヒートシール部
13’ 未シール部
14 レーザー光遮蔽層
15 収容部
16 レーザースポット部
17 文字表示部
18 非穿孔部
19 穿孔部
110 触覚情報表記体
111 触覚情報表記付き包装体
112 触覚情報表示部
M 内容物

Claims (18)

  1. プラスチックフィルムによって形成され少なくとも一部が非通気部である表示層と、当該表示層に貼り合わされ少なくとも一部が非通気部である支持体と、前記表示層の前記非通気部と前記支持体の前記非通気部との間において前記表示層の前記非通気部及び前記支持体の前記非通気部の各々と隣接して設けられカーボンブラックを含むインキ層と、を備える積層体のうち少なくとも前記インキ層にレーザー光を照射し、当該レーザー光によって前記表示層を穿孔することなく前記表示層において中空のドーム状成形部を形成することを特徴とする触覚情報表記体の製造方法。
  2. 前記レーザー光は前記表示層を介して前記インキ層の複数箇所に対しスポット状に照射され、前記ドーム状成形部は前記表示層において複数設けられ、当該複数のドーム状成形部によって触覚情報パターンが構成されることを特徴とする請求項1に記載の触覚情報表記体の製造方法。
  3. 前記レーザー光は前記支持体を介して前記インキ層の複数箇所に対しスポット状に照射され、前記ドーム状成形部は前記表示層において複数設けられ、当該複数のドーム状成形部によって触覚情報パターンが構成されることを特徴とする請求項1に記載の触覚情報表記体の製造方法。
  4. 前記レーザー光が照射される前記インキ層の印字領域を覆う前記表示層を加熱し、
    前記インキ層の前記印字領域に前記レーザー光を照射して前記ドーム状成形部を形成することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の触覚情報表記体の製造方法。
  5. 前記レーザー光は、YVOレーザー光であることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の触覚情報表記体の製造方法。
  6. プラスチックフィルムによって形成され少なくとも一部が非通気部である表示層と、
    前記表示層に貼り合わされ少なくとも一部が非通気部である支持体と、
    前記表示層の前記非通気部と前記支持体の前記非通気部との間において前記表示層の前記非通気部及び前記支持体の前記非通気部の各々と隣接して設けられカーボンブラックを含むインキ層とを備え、
    前記表示層には中空のドーム状成形部が設けられていることを特徴とする触覚情報表記体。
  7. 前記支持体のうち前記表示層とは反対側に粘着層が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の触覚情報表記体。
  8. 前記支持体のうち前記表示層とは反対側にヒートシール性層が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の触覚情報表記体。
  9. プラスチックフィルムによって形成され少なくとも一部が非通気部である表示層と、
    前記表示層に貼り合わされ少なくとも一部が非通気部である支持体と、
    前記表示層の前記非通気部と前記支持体の前記非通気部との間において前記表示層の前記非通気部及び前記支持体の前記非通気部の各々と隣接して設けられカーボンブラックを含むインキ層とを備え、
    内側に収容部が設けられ、
    前記表示層には中空のドーム状成形部が複数設けられ、当該複数のドーム状成形部によって触覚情報パターンが構成されていることを特徴とする袋体。
  10. ヒートシール部を有し、
    前記複数のドーム状成形部は、前記ヒートシール部における前記表示層に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の袋体。
  11. 前記ヒートシール部は、袋体の表側及び裏側の各々に設けられ、
    前記複数のドーム状成形部は、前記表側及び前記裏側の各々の前記ヒートシール部における前記表示層に設けられて前記触覚情報パターンを構成することを特徴とする請求項10に記載の袋体。
  12. 請求項9〜11のうちいずれか一項に記載の袋体と、
    前記袋体の前記収容部に収容された内容物と、を備えることを特徴とする包装体。
  13. 表面側に設けられる第1の表示層であって、プラスチックフィルムによって形成され少なくとも一部が非通気部である第1の表示層と、
    裏面側に設けられる第2の表示層であって、プラスチックフィルムによって形成され少なくとも一部が非通気部である第2の表示層と、
    前記第1の表示層と前記第2の表示層との間に設けられ、少なくとも一部が非通気部である支持体と、
    前記第1の表示層の前記非通気部と前記支持体の前記非通気部との間において前記第1の表示層の前記非通気部及び前記支持体の前記非通気部の各々と隣接して設けられカーボンブラックを含む第1のインキ層と、
    前記第2の表示層の前記非通気部と前記支持体の前記非通気部との間において前記第2の表示層の前記非通気部及び前記支持体の前記非通気部の各々と隣接して設けられカーボンブラックを含む第2のインキ層とを備え、
    前記第1の表示層及び前記第2の表示層の各々には中空のドーム状成形部が設けられていることを特徴とする触覚情報表記体。
  14. 前記ドーム状成形部は前記表示層において複数設けられ、当該複数のドーム状成形部によって点字パターンが構成され、
    前記インキ層のうち前記ドーム状成形部により覆われていない箇所に文字表示部が設けられていることを特徴とする請求項6〜8及び13のうちいずれか一項に記載の触覚情報表記体。
  15. 前記ドーム状成形部は前記表示層において複数設けられ、当該複数のドーム状成形部によって点字パターンが構成され、
    前記インキ層のうち前記ドーム状成形部により覆われていない箇所にレーザー光を照射して文字表示部を設けることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の触覚情報表記体の製造方法。
  16. 前記文字表示部は、前記ドーム状成形部の近傍に設けられ、当該ドーム状成形部によって構成される点字パターンの意味を示すことを特徴とする請求項14に記載の触覚情報表記体。
  17. 前記表示層のうち前記文字表示部に対応する箇所には穿孔部が設けられていることを特徴とする請求項14又は16に記載の触覚情報表記体。
  18. 前記レーザー光は、前記表示層を介し、前記インキ層のうち前記ドーム状成形部により覆われていない箇所に照射され、当該レーザー光によって前記表示層が穿孔されつつ前記文字表示部が設けられることを特徴とする請求項15に記載の触覚情報表記体の製造方法。
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