JP2016215611A - 印字積層体の製造方法及び印字積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐性に優れ、文字の輪郭が鮮明なレーザー印字物をもたらすことができる印字積層体の製造方法及び印字積層体を提供する。【解決手段】光透過性を有する表示層(透明基材フィルム)4と、金属層(アルミニウム箔)6と、表示層4と金属層6との間に設けられカーボンブラックを含む黒色インキ層2と、を備える印字積層体に対してレーザー光を照射する。このレーザー光は表示層4を介して黒色インキ層2に照射され、黒色インキ層2に対して文字に対応する貫通部(印字部)3を形成する。表示層4を介した黒色インキ層2の反射光と、表示層4及び貫通部3を介した金属層6の反射光とのコントラストによって文字が形成される。【選択図】図3
Description
本発明は、レーザー印字を施す印字積層体の製造方法及び印字積層体に関し、更に詳しくは、耐熱性、耐水性、耐摩擦性に優れたレーザー印字積層体に関する。
従来、包装体のプラスチックフィルム表面に製造年月日等の可変情報を印字する手段として、フィルム表面にインキを転写することができるサーマルプリンター、インクジェットプリンター等の方法が用いられることが多い。これらの方法で用いられるインキは消耗品であり、インクリボンやインクカートリッジの消耗に気付かずにインクを補充し忘れると、印字が適切に行われていない状態で製品が製造されてしまう。
このような事故を防ぐ印字方法として消耗品が不要なレーザー印字方法がある。
レーザー印字方法によれば、レーザー光を物質に照射することにより照射した部分の物質に熱変化を生じさせ、照射部と非照射部との間のコントラストで文字や図柄を表現することができる。
プラスチックフィルムにレーザー印字する場合、レーザー光照射により顔料が発色する白色の発色インキを予め印字領域に塗布しておく方法と、印字領域に塗布したインキにレーザー光を照射することでインキを燃焼して除去する方法の二通りがある。
レーザー印字方法によれば、レーザー光を物質に照射することにより照射した部分の物質に熱変化を生じさせ、照射部と非照射部との間のコントラストで文字や図柄を表現することができる。
プラスチックフィルムにレーザー印字する場合、レーザー光照射により顔料が発色する白色の発色インキを予め印字領域に塗布しておく方法と、印字領域に塗布したインキにレーザー光を照射することでインキを燃焼して除去する方法の二通りがある。
発色インキを用いてプラスチックフィルムにレーザー印字する方法として、例えば、プラスチックフィルムの内側にアンカーコート層、発色インキ層(、接着層)、金属箔層をこの順に積層して構成される積層体に対し、プラスチックフィルム側からレーザー光を連なるドット状に照射することで、発色インキに発色させる方法がある(特許文献1参照)。
透明フィルムには殆ど吸収されないYVO4レーザーを用いてこの積層体にレーザー印字を行えば、透明基材フィルムを穿孔することなく積層フィルムの内側に文字を印字することも可能に思える。しかしながら実際には、発色顔料は白色なのでYVO4レーザーを吸収し難いため、発色インキに充分な発色をさせようとすればレーザー光の出力を上げざるを得ず、発色してレーザー光を吸収し易くなった顔料がレーザー光を吸収して炭化または燃焼する際に顔料が発熱して肉眼では確認できない数十μmの穿孔が生じるレベルまでレーザー光の出力を上げないと判読し易い発色を得ることができないのが現実である。
また、発色インキは非常に高価なので、充分な発色が得られなければ対費用効果が少なく、普及していないのが現状である。また発色インキの発色顔料は粒子が大きく、径が数十μmもあり、上述のレーザー印字方法は元来ドットの繋がりで印字内容を表現する手法であるため、レーザー光をドット状に照射すれば発色が不十分になり実用性は更に低下してしまう。
また、積層体に生じる穿孔が数十μm程度の大きさであれば肉眼ではそのような穿孔を確認し難い。しかしながら、穿孔部が非常に小さな大きさであっても、積層体(包装体)が結露したり、ボイル・レトルト殺菌や水蒸気滅菌を積層体に施したりすれば、穿孔部から水が浸入してフィルムが剥離して印字内容がぼやけたり、積層フィルムの強度が低下してしまったり、微生物が繁殖して不衛生になったりする問題がある。
また、発色のレベルが低くても充分なコントラストが得られるように、発色インキの裏側に遮蔽層として白色インキを塗布することも効果的ではあるが、白色インキは顔料の粒子が粗く、貼りあわせ強度が低いので、レーザー光照射により微量であってもガスが発生すると層間剥離が生じて印字内容がぼやけてしまう。
透明フィルムには殆ど吸収されないYVO4レーザーを用いてこの積層体にレーザー印字を行えば、透明基材フィルムを穿孔することなく積層フィルムの内側に文字を印字することも可能に思える。しかしながら実際には、発色顔料は白色なのでYVO4レーザーを吸収し難いため、発色インキに充分な発色をさせようとすればレーザー光の出力を上げざるを得ず、発色してレーザー光を吸収し易くなった顔料がレーザー光を吸収して炭化または燃焼する際に顔料が発熱して肉眼では確認できない数十μmの穿孔が生じるレベルまでレーザー光の出力を上げないと判読し易い発色を得ることができないのが現実である。
また、発色インキは非常に高価なので、充分な発色が得られなければ対費用効果が少なく、普及していないのが現状である。また発色インキの発色顔料は粒子が大きく、径が数十μmもあり、上述のレーザー印字方法は元来ドットの繋がりで印字内容を表現する手法であるため、レーザー光をドット状に照射すれば発色が不十分になり実用性は更に低下してしまう。
また、積層体に生じる穿孔が数十μm程度の大きさであれば肉眼ではそのような穿孔を確認し難い。しかしながら、穿孔部が非常に小さな大きさであっても、積層体(包装体)が結露したり、ボイル・レトルト殺菌や水蒸気滅菌を積層体に施したりすれば、穿孔部から水が浸入してフィルムが剥離して印字内容がぼやけたり、積層フィルムの強度が低下してしまったり、微生物が繁殖して不衛生になったりする問題がある。
また、発色のレベルが低くても充分なコントラストが得られるように、発色インキの裏側に遮蔽層として白色インキを塗布することも効果的ではあるが、白色インキは顔料の粒子が粗く、貼りあわせ強度が低いので、レーザー光照射により微量であってもガスが発生すると層間剥離が生じて印字内容がぼやけてしまう。
このような問題を避けるため、フィルムの表面に塗布したインキで印字領域を設ける方法もあり、YVO4レーザーで印字すればフィルムを穿孔することなく印字することができる(特許文献2参照)。
しかしながら、包装体(積層体)のフィルム表面に塗布したインキは、包装体にボイル・レトルト殺菌や水蒸気滅菌を施すと脱落やブロッキングを生じてしまったり、フィルム表面が強く擦られたり引っかかれたりすると部分的に脱落してしまったりという問題がある。
しかしながら、包装体(積層体)のフィルム表面に塗布したインキは、包装体にボイル・レトルト殺菌や水蒸気滅菌を施すと脱落やブロッキングを生じてしまったり、フィルム表面が強く擦られたり引っかかれたりすると部分的に脱落してしまったりという問題がある。
また、フィルムの内側に設けた白色インキ層単独の印字領域にレーザー光を照射し、炭化した熱接着性樹脂と白色インキとのコントラストで印字内容を表現する方法もある(特許文献3参照)。
しかしながら、この方法では熱接着性樹脂が炭化する際にガスが発生し、白色インキの貼り合わせ強度の低さと相まって層間剥離が生じるので、故意に表面フィルムを穿孔してガスを逃がしてやらないと印字内容がぼやけてしまう。そのため、表面フィルムを穿孔せざるを得ず、やはり包装体にボイル・レトルト殺菌や水蒸気滅菌を施すことができない。
通常、透明基材フィルムに裏刷りを行う場合、各色インキを印刷した後に白インキを裏打ちして色インキの見栄えを良くする。特にレーザー印字領域の場合は印字のコントラストを向上させるため、発色インキを用いたレーザー印字用積層体等において印字領域に白インキの裏打ちを施すことが必要である。しかし、そのような白インキは隠蔽性をもたせるため粒子が大きい顔料を大量に含有するので、他の色インキと比較して貼り合わせ強度が低くなるという問題がある。そのため、レーザー印字により層間にガスが発生すると印字部の内圧が上昇して印字部周囲の白インキと接着層が剥離し、印字がぼやけてしまう。
しかしながら、この方法では熱接着性樹脂が炭化する際にガスが発生し、白色インキの貼り合わせ強度の低さと相まって層間剥離が生じるので、故意に表面フィルムを穿孔してガスを逃がしてやらないと印字内容がぼやけてしまう。そのため、表面フィルムを穿孔せざるを得ず、やはり包装体にボイル・レトルト殺菌や水蒸気滅菌を施すことができない。
通常、透明基材フィルムに裏刷りを行う場合、各色インキを印刷した後に白インキを裏打ちして色インキの見栄えを良くする。特にレーザー印字領域の場合は印字のコントラストを向上させるため、発色インキを用いたレーザー印字用積層体等において印字領域に白インキの裏打ちを施すことが必要である。しかし、そのような白インキは隠蔽性をもたせるため粒子が大きい顔料を大量に含有するので、他の色インキと比較して貼り合わせ強度が低くなるという問題がある。そのため、レーザー印字により層間にガスが発生すると印字部の内圧が上昇して印字部周囲の白インキと接着層が剥離し、印字がぼやけてしまう。
本発明は前記の問題点を考慮してなされたものであり、耐性に優れ、文字の輪郭が鮮明なレーザー印字物の提供を課題とする。
本発明の一態様は、光透過性を有する表示層と、金属層と、前記表示層と前記金属層との間に設けられカーボンブラックを含むインキ層と、を備える印字積層体のうち前記表示層を介して前記インキ層にレーザー光を照射し、当該レーザー光によって前記インキ層に対して文字に対応する貫通部を形成し、前記表示層を介した前記インキ層の反射光と、前記表示層及び前記貫通部を介した前記金属層の反射光とのコントラストによって前記文字が形成される印字積層体の製造方法に関する。
望ましくは、前記レーザー光は、前記表示層を穿孔することなく前記インキ層を穿孔して前記貫通部を形成する。
望ましくは、前記レーザー光は、YVO4レーザー光である。
望ましくは、前記インキ層は、光透過性を有する接着層を介して前記金属層に接着される。
望ましくは、前記金属層のうち前記表示層とは反対側に粘着層が設けられる。
望ましくは、前記金属層のうち前記表示層とは反対側にヒートシール層が設けられる。
本発明の他の態様は、表示層と、金属層と、前記表示層と前記金属層との間に設けられカーボンブラックを含むインキ層とを備え、前記インキ層は、文字に対応する貫通部を有し、前記表示層を介した前記インキ層の反射光と、前記表示層及び前記貫通部を介した前記金属層の反射光とのコントラストによって前記文字が形成される印字積層体に関する。
望ましくは、前記インキ層は、光透過性を有する接着層を介して前記金属層に接着される。
例えば本発明の一モードは、透明基材フィルム、カーボン顔料からなる黒色インキ層、透明接着層、アルミニウム箔層の順に積層され、前記黒色インキ層からなるレーザー印字領域を有する積層体に、前記透明基材フィルム面側から前記レーザー印字領域に走査YVO4レーザー光を照射してレーザー印字を施し、前記透明基材フィルムを穿孔することなくカーボン顔料を除去し、カーボン顔料とアルミニウム箔とのコントラストにより文字を表現したことを特徴とするレーザー印字積層体に関する。
望ましくは、前記レーザー光は、前記表示層を穿孔することなく前記インキ層を穿孔して前記貫通部を形成する。
望ましくは、前記レーザー光は、YVO4レーザー光である。
望ましくは、前記インキ層は、光透過性を有する接着層を介して前記金属層に接着される。
望ましくは、前記金属層のうち前記表示層とは反対側に粘着層が設けられる。
望ましくは、前記金属層のうち前記表示層とは反対側にヒートシール層が設けられる。
本発明の他の態様は、表示層と、金属層と、前記表示層と前記金属層との間に設けられカーボンブラックを含むインキ層とを備え、前記インキ層は、文字に対応する貫通部を有し、前記表示層を介した前記インキ層の反射光と、前記表示層及び前記貫通部を介した前記金属層の反射光とのコントラストによって前記文字が形成される印字積層体に関する。
望ましくは、前記インキ層は、光透過性を有する接着層を介して前記金属層に接着される。
例えば本発明の一モードは、透明基材フィルム、カーボン顔料からなる黒色インキ層、透明接着層、アルミニウム箔層の順に積層され、前記黒色インキ層からなるレーザー印字領域を有する積層体に、前記透明基材フィルム面側から前記レーザー印字領域に走査YVO4レーザー光を照射してレーザー印字を施し、前記透明基材フィルムを穿孔することなくカーボン顔料を除去し、カーボン顔料とアルミニウム箔とのコントラストにより文字を表現したことを特徴とするレーザー印字積層体に関する。
本発明によれば、表示層に覆われたインキ層に貫通部が設けられ、当該貫通部と金属層との間のコントラストを利用することによって所望の文字を形成することができ、インキ層が表示層に覆われるため耐性に優れ、また文字の輪郭が鮮明なレーザー印字物を提供することができる。
例えば本発明の一態様に係るレーザー印字用積層体は、YVO4レーザー光を最も吸収し易い黒色顔料(カーボンブラック)で印字領域を形成し、レーザー光を照射することで容易に燃焼除去することができるカーボン顔料を用いているので、透明基材フィルム(表示層)に穿孔を生じさせない低レベルのエネルギーのレーザー光で文字を印字することができる。この場合、印字部の表示層に穿孔が無いことによって、本発明に係るレーザー印字積層体は耐熱性、耐水性、耐摩擦性、衛生性に優れると共に、従来困難だったレーザー印字積層体を用いた包装体のボイル殺菌、レトルト殺菌、水蒸気滅菌が可能となる。
例えば本発明の一態様に係るレーザー印字用積層体は、YVO4レーザー光を最も吸収し易い黒色顔料(カーボンブラック)で印字領域を形成し、レーザー光を照射することで容易に燃焼除去することができるカーボン顔料を用いているので、透明基材フィルム(表示層)に穿孔を生じさせない低レベルのエネルギーのレーザー光で文字を印字することができる。この場合、印字部の表示層に穿孔が無いことによって、本発明に係るレーザー印字積層体は耐熱性、耐水性、耐摩擦性、衛生性に優れると共に、従来困難だったレーザー印字積層体を用いた包装体のボイル殺菌、レトルト殺菌、水蒸気滅菌が可能となる。
また本発明の一態様では、貼り合わせ強度が低下する白色インキによる裏打ちをせず、黒色インキ(インキ層)とアルミニウム箔(金属層)の間に接着層のみが存在する状態で積層体を形成し、黒色インキとアルミニウム箔とのコントラストで印字内容を表現する。この場合、カーボン顔料の燃焼により燃焼ガスが発生して印字部層間の圧力が上昇しても印字部周囲の層間剥離が生じ難く、印字内容の輪郭にぼやけが生じない。
次に、発明の実施の形態について、詳述する。
図1に示した積層体は、本発明に係るレーザー印字用積層体1の基本構造であって、印字領域10の構成は表面側から透明基材フィルム4、黒色インキ層2、接着層5、アルミニウム箔6が順次積層されている。すなわちレーザー印字用積層体1は、可視光線に関して光透過性を有する透明基材フィルム(表示層)4と、アルミニウム箔(金属層)6と、透明基材フィルム4とアルミニウム箔6との間に設けられカーボンブラックを含む黒色インキ層2と、を備え、黒色インキ層2は、可視光線に関して光透過性を有する接着層5を介してアルミニウム箔6に接着される。
図1に示すレーザー印字用積層体1は、このままレーザー印字可能であり、前記アルミニウム箔6のうち接着層5と反対側の面に粘着層(接着層)を設ければ粘着テープとすることができる。また、図2に示すように、アルミニウム箔6のうち接着層5と反対側の面に別の接着層(粘着層)5を介してヒートシール性(熱溶融性)フィルムを貼り合わせてヒートシール層7を設ければ、そのようなレーザー印字用積層体1によって袋体を形成して商品を収納することができる。
図1に示した積層体は、本発明に係るレーザー印字用積層体1の基本構造であって、印字領域10の構成は表面側から透明基材フィルム4、黒色インキ層2、接着層5、アルミニウム箔6が順次積層されている。すなわちレーザー印字用積層体1は、可視光線に関して光透過性を有する透明基材フィルム(表示層)4と、アルミニウム箔(金属層)6と、透明基材フィルム4とアルミニウム箔6との間に設けられカーボンブラックを含む黒色インキ層2と、を備え、黒色インキ層2は、可視光線に関して光透過性を有する接着層5を介してアルミニウム箔6に接着される。
図1に示すレーザー印字用積層体1は、このままレーザー印字可能であり、前記アルミニウム箔6のうち接着層5と反対側の面に粘着層(接着層)を設ければ粘着テープとすることができる。また、図2に示すように、アルミニウム箔6のうち接着層5と反対側の面に別の接着層(粘着層)5を介してヒートシール性(熱溶融性)フィルムを貼り合わせてヒートシール層7を設ければ、そのようなレーザー印字用積層体1によって袋体を形成して商品を収納することができる。
本発明の一実施形態に係るレーザー印字用積層体1は、透明基材フィルム4に殆ど吸収されないYVO4レーザー光を用いて、最低限の黒インキを除去できる少ないエネルギーのレーザー印字を行うことにより、黒インキのカーボン顔料の燃焼により透明基材フィルム4を穿孔することなく印字することができる。すなわち、レーザー印字用積層体1のうち透明基材フィルム4を介して黒色インキ層2にYVO4レーザー光を照射し、当該レーザー光により黒色インキ層2に対して文字に対応する貫通部(図3の「印字部3」参照)を形成する。これにより、透明基材フィルム4を介した黒色インキ層2の反射光と、透明基材フィルム4及び貫通部を介したアルミニウム箔6の反射光とのコントラストによって文字が視認可能に形成される。なお、そのようなレーザー印字によって黒色インキ層2のカーボンが燃焼することで二酸化炭素等のガスが発生して印字部の内圧が上昇しても、白インキ層がそもそも無いので印字部周囲に剥離を引き起こすことなく印字することができる。
図3は、本発明に係るレーザー印字用積層体1(図2参照)の印字領域10にレーザー印字を施すことで形成されるレーザー印字積層体1’を示す概略断面図である。本図において接着層5には変化が無いように示したが、実際には黒インキの燃焼熱によって接着層5が削られたり、除去されたりしている可能性があり、また接着層5が部分的に炭化して黒色を呈している可能性もある。また、印字部3には燃焼しなかったカーボン顔料も残存している可能性もある。
レーザー印字を実施して黒色インキ層2に含まれるカーボン顔料が燃焼すると印字部3にガスが発生すると共に空間が生じて貫通部が形成される。この場合、レーザー光は、透明基材フィルム4を穿孔することなく黒色インキ層2を穿孔して空間(貫通部)を形成する。ただし、この空間(貫通部)内の圧力が過度に上昇すると、層間の貼り合わせ強度が低い場合には層間剥離が生じ、印字部3周囲がぼやけて見えるようになってしまう。
図4はレーザー印字積層体1’の印字領域10を表面(透明基材フィルム4側)から観察した状態を示す概略図である。印字部(貫通部)3では接着層5越しに背面のアルミニウム箔6表面を見ることができ、印字を施していない黒色インキ(残存する黒色インキ層2)とアルミニウム箔6表面との表面から見るコントラストで文字が表現される。
図3は、本発明に係るレーザー印字用積層体1(図2参照)の印字領域10にレーザー印字を施すことで形成されるレーザー印字積層体1’を示す概略断面図である。本図において接着層5には変化が無いように示したが、実際には黒インキの燃焼熱によって接着層5が削られたり、除去されたりしている可能性があり、また接着層5が部分的に炭化して黒色を呈している可能性もある。また、印字部3には燃焼しなかったカーボン顔料も残存している可能性もある。
レーザー印字を実施して黒色インキ層2に含まれるカーボン顔料が燃焼すると印字部3にガスが発生すると共に空間が生じて貫通部が形成される。この場合、レーザー光は、透明基材フィルム4を穿孔することなく黒色インキ層2を穿孔して空間(貫通部)を形成する。ただし、この空間(貫通部)内の圧力が過度に上昇すると、層間の貼り合わせ強度が低い場合には層間剥離が生じ、印字部3周囲がぼやけて見えるようになってしまう。
図4はレーザー印字積層体1’の印字領域10を表面(透明基材フィルム4側)から観察した状態を示す概略図である。印字部(貫通部)3では接着層5越しに背面のアルミニウム箔6表面を見ることができ、印字を施していない黒色インキ(残存する黒色インキ層2)とアルミニウム箔6表面との表面から見るコントラストで文字が表現される。
(透明基材フィルム4)
本発明に係るレーザー印字用積層体1を形成する透明基材フィルム4としては、一般的に食品用包装材料に用いられるポリエチレンテレフタレイト、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン等の、物理的強度や耐熱性に優れた二軸延伸フィルムを用いることができる。また、これらのフィルムに易接着性層を設けたりしたフィルムや、一軸延伸フィルムを透明基材フィルム4として用いてもよい。尚、本発明に係るレーザー印字用積層体1に用いるアルミニウム箔6はガスバリア性が高いので、前記のフィルムに金属酸化物を蒸着したり、酸素バリア性コーティングを施したりしたガスバリア性フィルムを用いても構わないが、無駄である。
透明基材フィルム4は、薄過ぎるとレーザー印字時の熱で容易に穿孔してしまい、厚過ぎると取り扱い難い上にコストも増加してしまう。そのため、通常は9μm〜60μm、好適には12μm〜40μmの厚みの透明基材フィルム4を用いる。
本発明に係るレーザー印字用積層体1を形成する透明基材フィルム4としては、一般的に食品用包装材料に用いられるポリエチレンテレフタレイト、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン等の、物理的強度や耐熱性に優れた二軸延伸フィルムを用いることができる。また、これらのフィルムに易接着性層を設けたりしたフィルムや、一軸延伸フィルムを透明基材フィルム4として用いてもよい。尚、本発明に係るレーザー印字用積層体1に用いるアルミニウム箔6はガスバリア性が高いので、前記のフィルムに金属酸化物を蒸着したり、酸素バリア性コーティングを施したりしたガスバリア性フィルムを用いても構わないが、無駄である。
透明基材フィルム4は、薄過ぎるとレーザー印字時の熱で容易に穿孔してしまい、厚過ぎると取り扱い難い上にコストも増加してしまう。そのため、通常は9μm〜60μm、好適には12μm〜40μmの厚みの透明基材フィルム4を用いる。
(黒色インキ層2)
黒色インキ層2を設ける印刷手段としては、プラスチックフィルムへの印刷に適した、グラビア印刷、フレキソ印刷を好適に用いることができる。
黒色インキ層2を構成する黒色インキとしては、カーボン顔料を含みさえすれば、樹脂系を限定する必要はなく、ポリエステル系、ウレタン樹脂系、硝化綿系等の一般的な樹脂系を使って、用途に応じて耐熱性、耐候性等の要求事項に適した樹脂系のインキを用いることができる。
黒色インキ層2を設ける印刷手段としては、プラスチックフィルムへの印刷に適した、グラビア印刷、フレキソ印刷を好適に用いることができる。
黒色インキ層2を構成する黒色インキとしては、カーボン顔料を含みさえすれば、樹脂系を限定する必要はなく、ポリエステル系、ウレタン樹脂系、硝化綿系等の一般的な樹脂系を使って、用途に応じて耐熱性、耐候性等の要求事項に適した樹脂系のインキを用いることができる。
(接着層5)
本発明に係るレーザー印字用積層体1を構成する接着層5は、一般的なプラスチックフィルムの貼り合わせに用いる接着層5でよく、ドライラミネート用ウレタン樹脂系接着剤や、押し出しラミネート用ポリエチレン樹脂等を用いることができ、必要に応じてアンカーコート剤やプライマーを塗布しても構わない。
本発明に係るレーザー印字用積層体1を構成する接着層5は、一般的なプラスチックフィルムの貼り合わせに用いる接着層5でよく、ドライラミネート用ウレタン樹脂系接着剤や、押し出しラミネート用ポリエチレン樹脂等を用いることができ、必要に応じてアンカーコート剤やプライマーを塗布しても構わない。
(アルミニウム箔6)
本発明に係るレーザー印字用積層体1に用いるアルミニウム箔6は、特に限定する必要は無く、通常の包装材料に用いられる軟質アルミニウム箔をアルミニウム箔6として用いることができる。
また、アルミニウム箔6の厚みも限定する必要は無く、通常用いられる6μm〜25μmの厚みから、加工適性や積層体に求められる性能や要求コストに応じて具体的な厚みを選定することができる。
また、アルミニウム箔6(金属層)のうち透明基材フィルム4側との貼り合わせ面は、光沢面、艶消面のいずれでも構わない。
本発明に係るレーザー印字用積層体1に用いるアルミニウム箔6は、特に限定する必要は無く、通常の包装材料に用いられる軟質アルミニウム箔をアルミニウム箔6として用いることができる。
また、アルミニウム箔6の厚みも限定する必要は無く、通常用いられる6μm〜25μmの厚みから、加工適性や積層体に求められる性能や要求コストに応じて具体的な厚みを選定することができる。
また、アルミニウム箔6(金属層)のうち透明基材フィルム4側との貼り合わせ面は、光沢面、艶消面のいずれでも構わない。
(中間層、ヒートシール層7)
本発明に係るレーザー印字用積層体1は、必要に応じて透明基材フィルム4とアルミニウム箔6との間に、前記の透明基材フィルム4に用いることができるフィルムや、その他の透明フィルムを貼り合わせて設けても構わない。
また、アルミニウム箔6の黒色インキ層2側と反対の面側にヒートシール層7を設けることによって、ヒートシールを施して袋体を形成することができる。ヒートシール層7としては、通常の包装材料と同じく、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィンコポリマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等の未延伸フィルムを、ドライラミネートや押し出しラミネート等で貼り合わせて用いることができる。尚、必要に応じてアルミニウム箔6とヒートシール層7の間に中間層を設けても構わない。
本発明に係るレーザー印字用積層体1は、必要に応じて透明基材フィルム4とアルミニウム箔6との間に、前記の透明基材フィルム4に用いることができるフィルムや、その他の透明フィルムを貼り合わせて設けても構わない。
また、アルミニウム箔6の黒色インキ層2側と反対の面側にヒートシール層7を設けることによって、ヒートシールを施して袋体を形成することができる。ヒートシール層7としては、通常の包装材料と同じく、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィンコポリマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等の未延伸フィルムを、ドライラミネートや押し出しラミネート等で貼り合わせて用いることができる。尚、必要に応じてアルミニウム箔6とヒートシール層7の間に中間層を設けても構わない。
(レーザー印字)
本発明に係るレーザー印字用積層体1にレーザー印字を施すレーザー光源として、YAGレーザーの1種であるYVO4レーザーを用いれば、レーザー光のエネルギーが透明基材フィルム4に殆ど吸収されずに黒色インキ層2のカーボン顔料(カーボンブラック)を燃焼させることができる。
本発明に係るレーザー印字用積層体1にレーザー印字を施すレーザー光源として、YAGレーザーの1種であるYVO4レーザーを用いれば、レーザー光のエネルギーが透明基材フィルム4に殆ど吸収されずに黒色インキ層2のカーボン顔料(カーボンブラック)を燃焼させることができる。
YVO4レーザー光であっても強大なエネルギーで照射すれば、アルミニウム箔6で反射したレーザー光も加わって、カーボン顔料の燃焼熱や、カーボン顔料が燃焼して黒色インキ層2の樹脂や接着層5の樹脂が焦げて生成したカーボンの燃焼熱によって透明基材フィルム4が溶融し、穿孔してしまう。そのため、本発明に係るレーザー印字用積層体1を使って製品を製造する際は穿孔せずに印字可能な条件を予め検証しておく必要がある。
本発明に係るレーザー印字積層体1’を形成するために検証すべき条件として、特にレーザー光の出力、走査速度、周波数の三つが重要である。
出力は、文字通りレーザー光の出力であり、通常は使用するレーザーマーカーの最大出力に対する百分率で示され、レーザー光がもつエネルギー量を相対的に表す。レーザー光の出力が高過ぎると例えYVO4レーザーであっても本発明に係るレーザー印字用積層体1の透明基材フィルム4を焼き切ってしまうのみならず、他の条件次第ではアルミニウム箔6も切断する。逆にレーザー光の出力が低過ぎると黒色インキ層2のカーボン顔料(カーボンブラック)を燃焼させることができず、印字により文字を形成できない。
走査速度は文字通り照射レーザー光の走査速度を表し、通常は1秒あたりのレーザー光の走査距離を示す。照射レーザー光の走査速度が高過ぎると印字部(貫通部)3の1箇所に与えられる照射レーザー光のエネルギーが少なくなりカーボン顔料を燃焼させることができず、照射レーザー光の走査速度が低過ぎると同じ箇所に相対的に長時間レーザー光が照射されることになり、透明基材フィルム4を穿孔してしまう。
レーザー光の出力が高くてもレーザー光の走査速度を高くすれば印字部3のダメージは小さくなり、逆にレーザー光の出力が低くてもレーザー光の走査速度が低ければ印字部3のダメージが大きくなる。
周波数はパルス出力であるレーザー光の時間あたりの出力回数を表し、通常はkHzで示され、前記の出力と走査速度の補助的条件である。周波数が少ないとレーザー光のパルス数は少なくなるが、その分1パルス毎のエネルギー量が大きくなり、逆に周波数が多いと1パルスのもつエネルギー量が小さくなる。
出力は、文字通りレーザー光の出力であり、通常は使用するレーザーマーカーの最大出力に対する百分率で示され、レーザー光がもつエネルギー量を相対的に表す。レーザー光の出力が高過ぎると例えYVO4レーザーであっても本発明に係るレーザー印字用積層体1の透明基材フィルム4を焼き切ってしまうのみならず、他の条件次第ではアルミニウム箔6も切断する。逆にレーザー光の出力が低過ぎると黒色インキ層2のカーボン顔料(カーボンブラック)を燃焼させることができず、印字により文字を形成できない。
走査速度は文字通り照射レーザー光の走査速度を表し、通常は1秒あたりのレーザー光の走査距離を示す。照射レーザー光の走査速度が高過ぎると印字部(貫通部)3の1箇所に与えられる照射レーザー光のエネルギーが少なくなりカーボン顔料を燃焼させることができず、照射レーザー光の走査速度が低過ぎると同じ箇所に相対的に長時間レーザー光が照射されることになり、透明基材フィルム4を穿孔してしまう。
レーザー光の出力が高くてもレーザー光の走査速度を高くすれば印字部3のダメージは小さくなり、逆にレーザー光の出力が低くてもレーザー光の走査速度が低ければ印字部3のダメージが大きくなる。
周波数はパルス出力であるレーザー光の時間あたりの出力回数を表し、通常はkHzで示され、前記の出力と走査速度の補助的条件である。周波数が少ないとレーザー光のパルス数は少なくなるが、その分1パルス毎のエネルギー量が大きくなり、逆に周波数が多いと1パルスのもつエネルギー量が小さくなる。
前記3条件は複雑に絡み合って印字条件を構築しており、出力が高いと文字の始点や走査線の交差部が穿孔し易かったり、走査速度を高くすると印字の見た目が悪くなったりする等、被印字物やレーザー印字機の性能に起因する要因もある。
また、印字する文字の線幅が広くても、カーボン顔料(カーボンブラック)の燃焼熱が増加するため、透明基材フィルム4が穿孔し易くなる。
(実施例)
また、印字する文字の線幅が広くても、カーボン顔料(カーボンブラック)の燃焼熱が増加するため、透明基材フィルム4が穿孔し易くなる。
(実施例)
次に、実施例及び比較例により本発明の具体例を更に詳述する。
(レーザー印字用積層体1の製造)
透明基材フィルム4として、厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(製品名「E5102」、東洋紡績株式会社製)を選定し、グラビア印刷機で、透明基材フィルム4のコロナ処理面に、カーボン顔料からなる黒色インキを用いて20mm×50mmの黒ベタ印字領域10(黒色インキ層2)を印刷した。
前記の印刷済み二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムの印刷面に、2液硬化型ウレタン系接着剤(接着層5)を塗布し、厚み7μmのアルミニウム箔6を貼り合わせ、本発明に係るレーザー印字用積層体1Aを得た。
透明基材フィルム4として、厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(製品名「E5102」、東洋紡績株式会社製)を選定し、グラビア印刷機で、透明基材フィルム4のコロナ処理面に、カーボン顔料からなる黒色インキを用いて20mm×50mmの黒ベタ印字領域10(黒色インキ層2)を印刷した。
前記の印刷済み二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムの印刷面に、2液硬化型ウレタン系接着剤(接着層5)を塗布し、厚み7μmのアルミニウム箔6を貼り合わせ、本発明に係るレーザー印字用積層体1Aを得た。
また、透明基材フィルム4として、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「FOR(登録商標)」、フタムラ化学株式会社製)を選定し、前記のレーザー印字用積層体1Aと同様に、グラビア印刷機で、透明基材フィルム4のコロナ処理面に、カーボン顔料からなる黒色インキを用いて20mm×50mmの黒ベタ印字領域10(黒色インキ層2)を印刷した。
前記の印刷済み二軸延伸ポリプロピレンフィルムの印刷面に、2液硬化型ウレタン系接着剤(接着層5)を塗布し、厚み7μmのアルミニウム箔6を貼り合わせ、本発明に係るレーザー印字用積層体1Bを得た。
前記の印刷済み二軸延伸ポリプロピレンフィルムの印刷面に、2液硬化型ウレタン系接着剤(接着層5)を塗布し、厚み7μmのアルミニウム箔6を貼り合わせ、本発明に係るレーザー印字用積層体1Bを得た。
前記レーザー印字用積層体1Aのアルミニウム箔6面に、2液硬化型ウレタン系接着剤(別の接着層5)を塗布し、厚み50μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「P1146」、東洋紡績株式会社製)を貼り合わせ、本発明に係るレーザー印字用積層体1Cを得た。
(袋体の製造)
製袋機を用いて前記レーザー印字用積層体1Cから幅120mm、長さ150mm、ヒートシール幅10mmの三方シール袋を製造し本発明に係るレーザー印字用袋体を得た。
製袋機を用いて前記レーザー印字用積層体1Cから幅120mm、長さ150mm、ヒートシール幅10mmの三方シール袋を製造し本発明に係るレーザー印字用袋体を得た。
(比較例)
透明基材フィルム4として、厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(製品名「E5102」、東洋紡績株式会社製)を選定し、グラビア印刷機で、透明基材フィルム4のコロナ処理面に、カーボン顔料からなる黒色インキを用いて20mm×50mmの黒ベタ印字領域10(黒色インキ層2)を形成し、当該黒ベタ印字領域10面を覆うように二酸化チタン顔料からなる白色インキを用いた白ベタを重ねて印刷した。
前記の印刷済み二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムの印刷面に、2液硬化型ウレタン系接着剤(接着層5)を塗布し、厚み7μmのアルミニウム箔6を貼り合わせ、比較例のレーザー印字用積層体1Dを得た。
透明基材フィルム4として、厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(製品名「E5102」、東洋紡績株式会社製)を選定し、グラビア印刷機で、透明基材フィルム4のコロナ処理面に、カーボン顔料からなる黒色インキを用いて20mm×50mmの黒ベタ印字領域10(黒色インキ層2)を形成し、当該黒ベタ印字領域10面を覆うように二酸化チタン顔料からなる白色インキを用いた白ベタを重ねて印刷した。
前記の印刷済み二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムの印刷面に、2液硬化型ウレタン系接着剤(接着層5)を塗布し、厚み7μmのアルミニウム箔6を貼り合わせ、比較例のレーザー印字用積層体1Dを得た。
(レーザー印字試験)
前記のレーザー印字用積層体1A、1B、および、1Dの印字領域10に、YVO4レーザーマーカー(株式会社キーエンス製、商品名「MD−V9900」)を用いて高さ3.0mm、幅1.8mm、文字間隔2.5mmで大文字のアルファベットA〜Z26文字とアラビア数字0〜9の10文字、合計36文字を印字した。当該印字における条件として、単線(線幅0.04mm)、線幅0.2mmの太線、および線幅0.3mmの太線の3種類の線幅で文字の印字を行い、レーザー光の周波数を前記マーカーの設定可能範囲のほぼ中間の100kHzに固定して、レーザー光の出力を20%および15%の2条件に振って、走査速度を4000mm/秒および6000mm/秒の2条件に振って印字を行った。
尚、単線の場合の印字時間は走査速度4000mm/秒で0.42秒であり、走査速度6000mm/秒で0.39秒であった。
前記のレーザー印字用積層体1A、1B、および、1Dの印字領域10に、YVO4レーザーマーカー(株式会社キーエンス製、商品名「MD−V9900」)を用いて高さ3.0mm、幅1.8mm、文字間隔2.5mmで大文字のアルファベットA〜Z26文字とアラビア数字0〜9の10文字、合計36文字を印字した。当該印字における条件として、単線(線幅0.04mm)、線幅0.2mmの太線、および線幅0.3mmの太線の3種類の線幅で文字の印字を行い、レーザー光の周波数を前記マーカーの設定可能範囲のほぼ中間の100kHzに固定して、レーザー光の出力を20%および15%の2条件に振って、走査速度を4000mm/秒および6000mm/秒の2条件に振って印字を行った。
尚、単線の場合の印字時間は走査速度4000mm/秒で0.42秒であり、走査速度6000mm/秒で0.39秒であった。
(穿孔の有無チェック)
印字後、綿棒に染み込ませた油性赤色浸透液(製品名「エージレス(登録商標)シールチェック」、三菱瓦斯化学株式会社製)を印字面(特に印字領域10における透明基材フィルム4)に塗布し、数秒後に浸透液を拭き取ってから、透明基材フィルム4に穿孔が生じたことにより浸透液の浸透が見られた文字数をルーペで拡大して目視確認した。
各印字条件毎に5枚ずつ穿孔した文字数を確認し、その平均値を下記の表に示す。
印字後、綿棒に染み込ませた油性赤色浸透液(製品名「エージレス(登録商標)シールチェック」、三菱瓦斯化学株式会社製)を印字面(特に印字領域10における透明基材フィルム4)に塗布し、数秒後に浸透液を拭き取ってから、透明基材フィルム4に穿孔が生じたことにより浸透液の浸透が見られた文字数をルーペで拡大して目視確認した。
各印字条件毎に5枚ずつ穿孔した文字数を確認し、その平均値を下記の表に示す。
(印字の視認性確認)
また、各印字条件毎に印字の見易さを、アルミ箔の下地がはっきり見える印字ケースを「○」、アルミ箔の下地は見えるが印字が暗かったり、ぼやけたりして視認性がやや劣る印字ケースやアルミ箔の下地が残って印字が薄く瞬時に読み取り難い印字ケースを「×」で表した結果も下記の表に併記する。
また、各印字条件毎に印字の見易さを、アルミ箔の下地がはっきり見える印字ケースを「○」、アルミ箔の下地は見えるが印字が暗かったり、ぼやけたりして視認性がやや劣る印字ケースやアルミ箔の下地が残って印字が薄く瞬時に読み取り難い印字ケースを「×」で表した結果も下記の表に併記する。
(印字の評価)
上記の表(特に表中の「穿孔文字数」が「なし」且つ「印字視認性」が「○」の欄参照)に示した通り、本発明に係るレーザー印字用積層体1を用い、適当な条件下でYVO4レーザー光を使ってレーザー印字することにより、穿孔の無い、視認性の良好な本発明に係るレーザー印字積層体1’を得ることができた。
レーザー印字用積層体1Aは透明基材フィルム4の厚みが薄いためレーザー印字用積層体1Bより穿孔が生じ易いが、耐熱性が必要とされる包装材料用途で最も多用される厚さ12μのポリエチレンテレフタレイトフィルムに穿孔せず文字印字できる効果は大きく、更に穿孔し難くしたい場合は、ポリエチレンテレフタレイトフィルム(透明基材フィルム4)の厚みを16μm、25μm等のより厚みのあるフィルムにすると良い。
また、比較例のレーザー印字用積層体1Dは、黒色インキが燃焼して印字部3の内圧が高まると白色インキ層が剥離し、極端な場合は隣り合う印字部3同士が合体して透明基材フィルム4表面がたるんでしまう状況も生じ、印字がぼやけてしまうため、黒色インキをきれいに燃焼させればさせるほど印字のぼやけも進んでしまうという問題がある。
上記の表(特に表中の「穿孔文字数」が「なし」且つ「印字視認性」が「○」の欄参照)に示した通り、本発明に係るレーザー印字用積層体1を用い、適当な条件下でYVO4レーザー光を使ってレーザー印字することにより、穿孔の無い、視認性の良好な本発明に係るレーザー印字積層体1’を得ることができた。
レーザー印字用積層体1Aは透明基材フィルム4の厚みが薄いためレーザー印字用積層体1Bより穿孔が生じ易いが、耐熱性が必要とされる包装材料用途で最も多用される厚さ12μのポリエチレンテレフタレイトフィルムに穿孔せず文字印字できる効果は大きく、更に穿孔し難くしたい場合は、ポリエチレンテレフタレイトフィルム(透明基材フィルム4)の厚みを16μm、25μm等のより厚みのあるフィルムにすると良い。
また、比較例のレーザー印字用積層体1Dは、黒色インキが燃焼して印字部3の内圧が高まると白色インキ層が剥離し、極端な場合は隣り合う印字部3同士が合体して透明基材フィルム4表面がたるんでしまう状況も生じ、印字がぼやけてしまうため、黒色インキをきれいに燃焼させればさせるほど印字のぼやけも進んでしまうという問題がある。
(水蒸気滅菌による評価)
前記レーザー印字用積層体1Cで作製したレーザー印字用袋体の印字領域10に、前記レーザー印字試験と同じ装置を用い、単線(文字幅0.04mm)で、同じく36文字を、レーザー光の周波数100kHz、出力15%、走査速度4000mm/秒と、レーザー光の周波数100kHz、出力20%、走査速度4000mm/秒の2種類の条件で印字した。この印字条件下で、印字による穿孔が無い本発明に係るレーザー印字積層体1’からなる袋体と、印字による穿孔が有る袋体の2種類の袋体を作製し、各袋体に水200mlを充填して袋体の開口部にヒートシールを施して各袋体を密封した後、121℃、20分の条件下で各袋体に水蒸気滅菌を施した。
尚、予めレーザー印字を施してから袋体を作製しても構わない。
滅菌後、各袋体の内容物の水を廃棄し、ルーペで観察しながら印字部3を指で押してなぞると、穿孔が有る印字部分からは水が出てきた。これは、穿孔がある印字部分は積層体内部に空気が入り込んでいるため、水蒸気殺菌時の加熱により空気が膨張して積層体の外に出て、冷却の際に積層体の印字箇所内の空気が収縮して当該印字箇所が冷却水を吸い込んだことによるものである。このように穿孔部分から水分が印字部3に侵入して包装体表面に水が存在すると、包装体の輸送中や保管中に包装体表面に微生物が繁殖する可能性があり、好ましくない。
また、前記試験に用いた試料(袋体)に生じた穿孔はサイズが小さく、数も少なかったため発生しなかったが、穿孔により層間剥離が生じて水が入り込んだ状態で試料(袋体)に加熱殺菌を施せば、接着層5に水が入り込んで接着強度が低下し、さらに大規模な剥離が発生する可能性が大きい。
前記レーザー印字用積層体1Cで作製したレーザー印字用袋体の印字領域10に、前記レーザー印字試験と同じ装置を用い、単線(文字幅0.04mm)で、同じく36文字を、レーザー光の周波数100kHz、出力15%、走査速度4000mm/秒と、レーザー光の周波数100kHz、出力20%、走査速度4000mm/秒の2種類の条件で印字した。この印字条件下で、印字による穿孔が無い本発明に係るレーザー印字積層体1’からなる袋体と、印字による穿孔が有る袋体の2種類の袋体を作製し、各袋体に水200mlを充填して袋体の開口部にヒートシールを施して各袋体を密封した後、121℃、20分の条件下で各袋体に水蒸気滅菌を施した。
尚、予めレーザー印字を施してから袋体を作製しても構わない。
滅菌後、各袋体の内容物の水を廃棄し、ルーペで観察しながら印字部3を指で押してなぞると、穿孔が有る印字部分からは水が出てきた。これは、穿孔がある印字部分は積層体内部に空気が入り込んでいるため、水蒸気殺菌時の加熱により空気が膨張して積層体の外に出て、冷却の際に積層体の印字箇所内の空気が収縮して当該印字箇所が冷却水を吸い込んだことによるものである。このように穿孔部分から水分が印字部3に侵入して包装体表面に水が存在すると、包装体の輸送中や保管中に包装体表面に微生物が繁殖する可能性があり、好ましくない。
また、前記試験に用いた試料(袋体)に生じた穿孔はサイズが小さく、数も少なかったため発生しなかったが、穿孔により層間剥離が生じて水が入り込んだ状態で試料(袋体)に加熱殺菌を施せば、接着層5に水が入り込んで接着強度が低下し、さらに大規模な剥離が発生する可能性が大きい。
1 レーザー印字用積層体
1’ レーザー印字積層体
2 黒色インキ層
3 印字部
4 透明基材フィルム
5 接着層
6 アルミニウム箔
7 ヒートシール層
10 印字領域
1’ レーザー印字積層体
2 黒色インキ層
3 印字部
4 透明基材フィルム
5 接着層
6 アルミニウム箔
7 ヒートシール層
10 印字領域
Claims (8)
- 光透過性を有する表示層と、金属層と、前記表示層と前記金属層との間に設けられカーボンブラックを含むインキ層と、を備える印字積層体のうち前記表示層を介して前記インキ層にレーザー光を照射し、当該レーザー光によって前記インキ層に対して文字に対応する貫通部を形成し、
前記表示層を介した前記インキ層の反射光と、前記表示層及び前記貫通部を介した前記金属層の反射光とのコントラストによって前記文字が形成される印字積層体の製造方法。 - 前記レーザー光は、前記表示層を穿孔することなく前記インキ層を穿孔して前記貫通部を形成する請求項1に記載の印字積層体の製造方法。
- 前記レーザー光は、YVO4レーザー光であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印字積層体の製造方法。
- 前記インキ層は、光透過性を有する接着層を介して前記金属層に接着されることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の印字積層体の製造方法。
- 前記金属層のうち前記表示層とは反対側に粘着層が設けられることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の印字積層体の製造方法。
- 前記金属層のうち前記表示層とは反対側にヒートシール層が設けられることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の印字積層体の製造方法。
- 表示層と、金属層と、前記表示層と前記金属層との間に設けられカーボンブラックを含むインキ層とを備え、
前記インキ層は、文字に対応する貫通部を有し、
前記表示層を介した前記インキ層の反射光と、前記表示層及び前記貫通部を介した前記金属層の反射光とのコントラストによって前記文字が形成される印字積層体。 - 前記インキ層は、光透過性を有する接着層を介して前記金属層に接着されることを特徴とする請求項7に記載の印字積層体。
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