JPWO2016170957A1 - 透明導電性フィルム及び透明導電性フィルムの製造方法 - Google Patents

透明導電性フィルム及び透明導電性フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の課題は、導電性層と樹脂基材の密着性に優れ、良好な導電性と透明性を有する透明導電性フィルムと透明導電性フィルムの製造方法を提供することである。本発明の透明導電性フィルムは、樹脂基材と導電性層を有する透明導電性フィルムであって、前記樹脂基材の主成分が、シクロオレフィン系樹脂であり、前記樹脂基材の表層部が、金属成分を1×10−6〜1×10−3質量%の範囲内で含有しており、かつ、前記樹脂基材を水に浸漬したとき、前記樹脂基材の表層部の単位体積当たりの含水量が、前記樹脂基材の中層部の単位体積当たりの含水量に対して120〜300%の範囲内となるように調整されていることを特徴とする。

Description

本発明は、透明導電性フィルム及び透明導電性フィルムの製造方法に関する。より詳しくは、導電性層と樹脂基材との密着性に優れ、良好な導電性と透明性を有する透明導電性フィルム及び透明導電性フィルムの製造方法に関する。
近年、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、無機及び有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、タッチパネル、太陽電池等の各種表示装置(デバイス)の樹脂基材上に導電性層が積層された、透明導電性フィルムが使用されている。
透明導電性フィルムを備えたデバイスでは、大画面化・軽量薄型化の要求と同時に、一層の画質の高さ、動作精度と応答速度を両立する必要に迫られ、高い電気伝導性と透明性の重要性はこれまで以上に増している。しかしながら、デバイスが大画面化を遂げるのにあわせ、ユーザーはより広角に映像を鑑賞することになった結果、表示装置を斜め方向から視認した場合、画面に干渉縞や色ムラが発生し、デバイスの視認性低下が重要な問題となっている。
上記問題に対し、樹脂基材の面方向リタデーション(Ro値)を±50nmの範囲内とすることで、シクロオレフィン系樹脂を用いることで視認性を向上する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
樹脂基材として、シクロオレフィン系樹脂を用いて導電性層を形成する場合、デバイスの性能低下の要因となりうる、樹脂基材の寸法変化や導電性層厚の不均一を抑制するため、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いて導電性層の形成することが望まれており、ウェットプロセスで用いられる水溶性の導電性層用塗布液(インク)との密着性の向上が求められている。
また、樹脂基材にコロナ処理や大気圧プラズマ処理、エキシマUV処理を施すことで、密着性を向上させる方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)が、これらの方法は高い加工エネルギーを必要とするため、高い加工エネルギーを必要とすることなく平滑な導電性層を形成できる方法が求められている。
特開2014−54760号公報 特開2015−12046号公報
本発明は、上記問題・状況を鑑みてなされたものであり、その解決課題は、導電性層と樹脂基材の密着性に優れ、良好な導電性と透明性を有する透明導電性フィルムと透明導電性フィルムの製造方法を提供することである。
本発明の発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、樹脂基材表層部に金属成分を特定量含み、かつ、前記樹脂基材の表層部において、特定の含水率を有することで上記課題を解決できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、下記の手段により解決される。
1.樹脂基材と導電性層を有する透明導電性フィルムであって、
前記樹脂基材の主成分が、シクロオレフィン系樹脂であり、
前記樹脂基材の表層部が、金属成分を1×10−6〜1×10−3質量%の範囲内で含有しており、かつ、
前記樹脂基材を水に浸漬したとき、前記樹脂基材の表層部の単位体積当たりの含水量が、前記樹脂基材の中層部の単位体積当たりの含水量に対して120〜300%の範囲内となるように調整されていることを特徴とする透明導電性フィルム。
2.前記金属成分が、金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、亜鉛及びこれらの合金のうちのいずれかを含有していることを特徴とする第1項に記載の透明導電性フィルム。
3.前記導電性層が、金属導電性層であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の透明導電性フィルム。
4.第1項から第3項までのいずれか一項に記載の透明導電性フィルムを製造する透明導電性フィルムの製造方法であって、
シクロオレフィン系樹脂と、有機極性溶媒と、有機非極性溶媒と、水とを含有する樹脂組成物を用いて溶液流延法により樹脂基材を形成する工程において、当該樹脂基材の表層部の金属成分の含有量が、1×10−6〜1×10−3質量%の範囲内となるように調整し、かつ
前記樹脂基材を水に浸漬したとき、前記樹脂基材の表層部の単位体積当たりの含水量が、前記樹脂基材の中層部の単位体積当たりの含水量に対して120〜300%の範囲内となるように調整することを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法。
5.前記導電性層を、インクジェット法によって形成することを特徴とする第4項に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
本発明の上記手段により、導電性層と樹脂基材の密着性に優れ、良好な導電性と透明性を有する透明導電性フィルムと透明導電性フィルムの製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
樹脂基材の表層部の単位体積当たりの含水量を、前記樹脂基材の中層部の単位体積当たりの含水量に対して120〜300%の範囲内にすることで、導電性層用塗布液の浸透性が向上する。また、前記樹脂基材の表層部の金属成分の含有量が1×10−6〜1×10−3質量%の範囲内で含まれることで、導電性層に含まれる導電性材料と相互作用が生じ、樹脂基材と導電性層において優れた密着性が得られ、良好な導電性と透明性を有する透明導電性フィルムが得られるものと推察される。
本発明の透明導電性フィルムの層構成の一例を示す模式図
本発明の透明導電性フィルムは、樹脂基材と導電性層を有する透明導電性フィルムであって、前記樹脂基材の主成分が、シクロオレフィン系樹脂であり、前記樹脂基材の表層部が、金属成分を1×10−6〜1×10−3質量%の範囲内で含有しており、かつ、前記樹脂基材を水に浸漬したとき、前記樹脂基材の表層部の単位体積当たりの含水量が、前記樹脂基材の中層部の単位体積当たりの含水量に対して120〜300%の範囲内となるように調整されていることを特徴とする。
この特徴は、各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記金属成分が、金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、亜鉛及びこれらの合金のうちのいずれかを含有していることが導電性層と樹脂基材の密着性、導電性、または透明性の観点から好ましい。
また、本発明においては導電性層と樹脂基材の密着性又は導電性の観点から、前記導電性層が、金属導電性層であることが好ましい。
本発明の透明導電性フィルムを製造する透明導電性フィルムの製造方法としては、シクロオレフィン系樹脂と、有機極性溶媒と、有機非極性溶媒と、水とを含有する樹脂組成物を用いて溶液流延法により樹脂基材を形成する工程において、当該樹脂基材の表層部の金属成分の含有量が、1×10−6〜1×10−3質量%の範囲内となるように調整し、かつ前記樹脂基材を水に浸漬したとき、前記樹脂基材の表層部の単位体積当たりの含水量が、前記樹脂基材の中層部の単位体積当たりの含水量に対して120〜300%の範囲内となるように調整することが、本発明の効果発現の観点から好ましい。
また、本発明においては、導電性層と樹脂基材の密着性を高めるという観点から、前記導電性層を、インクジェット法によって形成することが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本発明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪透明導電性フィルム≫
本発明の透明導電性フィルムは、樹脂基材と導電性層を有し、前記樹脂基材の主成分が、シクロオレフィン系樹脂であり、前記樹脂基材の表層部が、金属成分を1×10−6〜1×10−3質量%の範囲内で含有しており、かつ、前記樹脂基材を水に浸漬したとき、前記樹脂基材の表層部の単位体積当たりの含水量が、前記樹脂基材の中層部の単位体積当たりの含水量に対して120〜300%の範囲内となるように調整されている。
図1には本発明の透明導電性フィルムの実施形態の一例を示した。本発明の透明導電性フィルム1は、樹脂基材2と導電性層4が接していることが導電性層と樹脂基材の密着性を高めるという観点から好ましい。
また、樹脂基材2の表層部3の単位体積当たりの含水量が、樹脂基材2の中層部5の単位体積当たりの含水量に対して120〜300%の範囲内となるように調整されている。
ここで表層部とは、樹脂基材の厚さ方向において、樹脂基材表面から厚さ0.1μmまでの範囲をいう。
また、樹脂基材の中層部とは、前記樹脂基材が有する二つの表層部よりも樹脂基材の内部側の領域をいう。
なお、本発明の透明導電性フィルムは、樹脂基材と導電性層が接していることが前述のとおり好ましいが、密着性を阻害しない層であれば樹脂基材と導電性層の間に設けてもよい。
<樹脂基材>
本発明に係る樹脂基材は、シクロオレフィン樹脂が主成分、つまり、樹脂基材を形成する樹脂組成物中で最も高い割合で含有されていればよく、他の樹脂材料や化合物を含んでもよい。また、単層でも多層構造を有してもよい。多層構造の場合は、シクロオレフィン樹脂を主成分とする樹脂組成物から形成された層を少なくとも1層以上有していればよいが、導電性層と樹脂基材の密着性を高めるという観点から、樹脂基材の表層部がシクロオレフィン樹脂を主成分とする樹脂組成物から形成された層であることが好ましい。
樹脂基材として用いられる材料は特に限定されないが、例えば、ノルボルネン系樹脂(例えば、ARTON(JSR社製)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルローストリアセテート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート、ゼオネックス、ゼオノア(日本ゼオン社製))、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、アクリル又はポリアクリレート系樹脂などを挙げることができる。本発明にはノルボルネン系樹脂、セルローストリアセテート(TAC)等のセルロースエステル、ポリカーボネート、ポリエステル又はポリアクリルなどが挙げられる。
樹脂基材が主成分として含む材料や、金属成分の含有率は核磁気共鳴分光法によって求められる。
樹脂基材の含水量としては、23℃・55%の環境下で測定した樹脂基材の質量と、当該樹脂基材を水に48時間浸漬させた後の質量を測定し、両者の測定値の差(変化量)を求め、単位体積当たりの含水量が樹脂基材全体の含水量とした。
具体的には、樹脂基材の中層部の含水量は、樹脂基材の両面に銅でスパッタを施し、樹脂基材の表層部を取り除いた後、23℃・55%の環境下で測定した樹脂基材の質量と、水に48時間浸漬させた後の質量との両者の差(増加分)を求め、単位体積当たりの含水量が、中層部の含水量となる。また、水に48時間浸漬させた後の樹脂基材全体の単位体積当たりの含水量から、得られた中層部の単位体積当たりの含水量を引いた値が、表層部の単位体積当たりの含水量となる。
本発明において、樹脂基材の表層部の単位体積当たりの含水量は、樹脂基材の中層部の単位体積当たりの含水量に対して120〜300%の範囲内であることを特徴としている。
本発明においては、樹脂基材の表層部の単位体積当たりの含水量が、樹脂基材の中層部の単位体積当たりの含水量に対して120%以上とすることで、導電性層用塗布液において良好な浸透性が得られる。樹脂基材に導電性層用塗布液が浸透することで、樹脂基材と導電性層の界面で生じる透過光の反射を抑制することができる。また、樹脂基材の表層部の単位体積当たりの含水量を300%以下とすることで、導電性層用塗布液が樹脂基材へ過剰に浸透し、導電性層が薄膜化することによって導電率が低下することを抑制することができる。また、導電性、透明性の観点から樹脂基材の中層部の単位体積当たりの含水量は150〜250%の範囲内であることがより好ましい。
含水率は、フィルムの生産条件、作製する樹脂基材の生産条件や膜厚などから適宜調整可能である。
本発明に係る樹脂基材は、23℃、相対湿度80%における平衡含水率が3%以下であることが位相差変動や耐屈曲性の観点で好ましく、1%以下であることがより好ましい。平衡含水率を3%以下とすることにより、湿度変化に対応しやすく、光学特性や寸法がより変化しにくく好ましい。
平衡含水率は、試料フィルムを23℃、相対湿度20%に調湿された部屋に4時間以上放置した後、23℃・80%RHに調湿された部屋に24時間放置し、温度150℃で水分を乾燥・気化させた後、サンプルを微量水分計(例えば三菱化学(株)製、CA−20型)を用いてカールフィッシャー法により定量する。
本発明に係る金属成分は、金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、亜鉛及びこれらの合金のうちのいずれかを含有していることが好ましい。
前記樹脂基材の表層部に含まれる金属成分量は、1×10−6〜1×10−3質量%の範囲内であって、好ましい範囲は、1×10−5〜5×10−4質量%である。1×10−3質量%以下とすることで、本発明の透明導電性フィルムをタッチパネルに使用した場合に、透明導電性フィルム内部に電気が拡散し、ノイズとなってセンサー感度が落ちてしまうことを抑制することができる。
表層部の金属成分の測定方法は、透明導電性フィルムをメチルエチルケトン溶液に浸漬させ、表層部のみ溶解させる。得られた液から溶剤を完全に希釈させ、それを電気炉にて灰化処理した後、配分を硝酸で加熱溶解したものを超純水で希釈した後、ICP発光分析法(ICP−AES)で金属量の測定を行った。
溶解液から得られた表層部の樹脂成分質量と測定で得られた金属量から、表層部の金属成分量を算出した。
前記金属成分を樹脂基材の表層部に局在化させる1つの実施形態としては、樹脂基材を溶液流延法で製造する場合において、本発明に用いられる樹脂組成物(以下、ドープともいう。)に含まれる混合溶媒の沸点の差及び前記混合溶媒と金属成分の溶解性を利用する形態がある。
具体的には、ドープを支持体上に流延し、支持体上で乾燥させる際に、支持体と反対の面から揮発していくことで、支持体上で厚さ方向に分布が生じる。混合溶媒であれば低沸点溶媒から揮発していくため、厚さ方向に低沸点溶媒と高沸点溶媒の分布が生じる。この時、金属成分の溶解性により、乾燥後のフィルムには厚さ方向で局在が生じる。金属成分が低沸点溶媒への溶解性が高沸点溶媒よりも高い場合は、低沸点の溶媒が揮発していく方向(支持体とは反対の面)に化合物が偏っていくため表面近傍に局在化する。
<導電性層>
本発明に係る導電性層は、金属又は金属酸化物からなる金属導電性層であることが好ましい。導電性層を形成する際に用いる導電性層用塗布液に含む導電材料としては、特に限定されないが、例えば、銀、銅や銅/ニッケル合金の微粒子あるいはその焼成体や、導電性高分子などを好ましく用いることができ、これらを1種又は複数種組み合わせて用いてもよい。硬度や酸化安定性の観点では、銅や銅/ニッケル合金の微粒子又はその焼成体が特に好適である。
導電性層は単層でも積層構造を有してもいい。
導電性層の形成方法は、ウェットプロセスであることが好ましく、インクジェット法がより好ましい。導電性層用塗布液の塗布領域や塗布量を制御することで細線を容易に形成することができるためである。また、インクジェット法で形成した細線は細線断面において、線幅が、樹脂基材との接触部分から導電性層表面に向けて緩やかな変化を有するため、透明性に優れた透明導電性フィルムを得ることができる。
(透明導電性フィルムの製造方法)
本発明の透明導電性フィルムの製造方法は、シクロオレフィン系樹脂と、有機極性溶媒と、有機非極性溶媒と、水とを含有する樹脂組成物を用いて溶液流延法により樹脂基材を形成する工程において、当該樹脂基材の表層部の金属成分の含有量が、1×10−6〜1×10−3質量%の範囲内となるように調整し、かつ前記樹脂基材を水に浸漬したとき、樹脂基材の表層部の単位面積当たりの含水量が、樹脂基材の中層部の単位面積当たりの含水量に対して120〜300%の範囲内となるように調整することを特徴としている。
まず、透明導電性フィルムに用いる樹脂基材の形成方法としては、例えば、溶融押出法、溶液キャスト法(溶液流延法)、カレンダー法、圧縮成形法など公知の方法が挙げられる。
(溶液流延法)
溶液流延法に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶媒を1種又は複数種混合して用いることが好ましく、また前記アルコール系溶媒と、クロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、及びこれらの混合溶媒などの芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、ジエチルエーテル、水などを併用してもよい。
溶液流延法にて本発明の透明導電性フィルムを形成する実施形態の一つとしては、樹脂組成物(ドープ)を調製する工程、ドープをベルト状又はドラム状の支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程(第1乾燥工程)、支持体から剥離する工程、剥離したウェブを更に乾燥する工程(第2乾燥工程)、延伸する工程、仕上がった樹脂基材を巻取る工程を有することが好ましい。
(1)ドープ調製工程
ドープ調製工程は、シクロオレフィン樹脂及び溶媒を添加混合し、溶解することでドープを調製する工程である。溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、又は特開平9−95538号公報に記載されている冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載されている高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
(2)流延工程
流延工程は、上記ドープ調製工程で調製したドープを、例えばステンレスベルト、又は回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
溶液流延法では、ドープ中のシクロポリオレフィン樹脂の濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、シクロポリオレフィン樹脂の濃度が高すぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト又は鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。流延(キャスト)の幅は1〜4mとすることができる。
(3)第1乾燥工程
第1乾燥工程は、流延用支持体上にドープを流延し、形成させたドープ膜(以下、ウェブともいう。)を流延用支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程である。
流延工程の支持体の表面温度は−50℃以上、ウェブが沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化したりする場合があるため、発泡しない温度に設定する。
好ましい支持体温度としては0〜100℃の範囲内で適宜決定され、5〜30℃の範囲内が更に好ましい。また、冷却することによってウェブをゲル化させて溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。
支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。
温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
(4)剥離工程
剥離工程は、支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。
樹脂基材が良好な平面性を示すためには、支持体からウェブを剥離する際の溶媒量は10〜150質量%の範囲内が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%又は60〜130質量%の範囲内であり、特に好ましくは、20〜30質量%又は70〜120質量%の範囲内である。
溶媒量は下記式で定義される。
ウェブを剥離する際の溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブ又はフィルムを製造中又は製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
(5)第2乾燥工程
第2乾燥工程は、支持体から剥離したウェブに含まれる溶媒を更に蒸発させる工程である。本発明においては、第2乾燥工程を経たウェブを樹脂基材という。
第2乾燥工程では、一般的なロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールにウェブを交互に通し乾燥させる方式)や特開2012−13824号公報に記載されているテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
テンターを行う場合の乾燥温度は、30〜180℃の範囲内が好ましく、50〜170℃の範囲内がさらに好ましい。
本発明の出来上がり(乾燥後)の樹脂基材の厚さは、使用目的によって異なるが、通常5〜500μmの範囲内であり、10〜150μmの範囲内が好ましく、デバイスの薄型化を考慮すると100μm以下であることが、特に好ましい。
(6)延伸工程
延伸工程は、作製した樹脂基材を延伸する工程である。
本実施形態で用いる樹脂基材は未延伸の基材でもよく、延伸した基材でもよいが、強度向上、熱膨張抑制の点から延伸した基材が好ましい。延伸する方法には特に限定はない。
例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、又は縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法、斜め延伸等が挙げられる。
これらの方法は、複数の方法を組み合わせて用いてもよく、延伸操作を多段階に分割して実施してもよい。すなわち、成膜方向に対して横方向に延伸しても、縦方向に延伸しても、両方向に延伸してもよく、更に両方向に延伸する場合は同時延伸であっても、逐次延伸であってもよい。また、上記した第2乾燥工程と同時に行われもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。斜め延伸前に、横又は縦に幅方向の収縮を防止する程度の延伸を行ってもよい。
本発明に係る樹脂基材の測定波長589nmにおける面内リターデーション値Roは、0〜150nmの範囲内であることが好ましい。より好ましくはRoが、0〜20nm又は40〜150nmの範囲内が好ましい。
また、測定波長589nmにおける厚さ方向リターデーション値Rtが0〜400nmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくはRtが0〜70nmの範囲内又はRtが80〜300nmの範囲内である。Rtを好ましい範囲とすることで、偏光板に使用したときの視認性が改善される。
式(i) Ro=(n−n)×d
式(ii) Rt=((n+n)/2−n)×d
式中、Roはフィルム面内リターデーション値、Rtは厚さ方向リターデーション値、nはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nはフィルムの厚さ方向の屈折率、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。
本発明においては、測定波長589nmにおける面内リターデーション値Ro及び厚さ方向リターデーション値Rtは、23℃・55%RHの環境下において、位相差測定装置「KOBRA―WPR」(王子計測機器(株)製)によって測定する。
樹脂基材のリターデーション値は、樹脂材料の選択、成膜時の延伸倍率等で制御することができる。具体的には、縦方向、横方向の延伸倍率を適宜選択することにより、任意の値に制御することができる。
(7)巻取り工程
巻取り工程は、上記工程を経て形成された樹脂基材を長尺ロール状に巻取る工程である。巻取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使い分ければよい。
巻取る前に、製品となる幅に端部をスリットして裁ち落とし、巻取る間の貼り付きや擦り傷防止のために、ナール加工(エンボッシング加工)を両端に施してもよい。ナール加工の方法は凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。
本発明に係る樹脂基材は使用するシクロオレフィン樹脂の構造、添加剤の種類及び添加量、延伸倍率、剥離時の溶媒量などの工程条件を適宜調節することで所望の光学特性を実現することができる。例えば剥離時の溶媒量を40〜85質量%の範囲内で調節することにより、厚さ方向のリターデーションRtを180〜300nmの範囲内に幅広く制御することも可能である。
一般的に剥離時の溶媒量が多いほど、Rtは小さくなり、剥離時の溶媒量が少ないほどRtは大きくなる。例えば金属製の無端支持体上での乾燥時間を短くし、剥離時の溶媒量を多くすることで、面配向を緩和させてRtを低くすることが自在にでき、工程条件を調節することにより様々な用途に応じた様々なリターデーションを発現することが可能である。
本発明において、樹脂基材上に導電性層を形成するため、樹脂基材の表面エネルギーは、40mN/m以上であることが好ましい。樹脂基材の表面エネルギーが40mN/m未満であると、導電性材料液の樹脂基材に対する接触角が高くなる傾向であり、液体中層部と縁の蒸発量の差が小さくなることで導電性材料液滴の中層部から縁に向かう対流が促進されない。上記接触角を低くなるように導電性材料液の組成を変化させることも可能であるが、組成種選択の自由度の観点から好ましくない。一方で表面エネルギーが40mN/m以上であると、導電性材料液の樹脂基材に対する接触角は低くなる傾向であり、液体中層部と縁の蒸発量の差が大きくなることで導電性材料液滴の中層部から縁に向かう対流が促進される。この結果、導電性層の平行線の細線化が促進され、透明性を更に高める効果が得られる。また、組成種選択の自由度の観点からも好ましい。
本発明でいう表面エネルギーとは、水とジヨードメタンを標準液として接触角法を用いて測定した基材表面の濡れ性を表す値である。具体的には、協和界面科学株式会社製DM−500を用いて、超純水とジヨードメタンの接触角を測定し、2成分系での表面エネルギーを計算して求めることができる。
以上の工程により形成した樹脂基材に、導電性層を形成することが好ましい。
導電性層の形成は、種々の方法を用いることができるが、ウェットプロセスであることが好ましく、インクジェット法がより好ましい。具体的には、導電性層の形成方法として、インクジェット法による平行線パターンを形成する方法が挙げられ、例えば特開2014−120353号公報に記載の方法を用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。なお、含水量については、前述の含水量の測定方法を用いており、「表層部含水量/中層部含水量」は、単位面積当たりの割合(%)を表している。
≪透明導電性フィルム1の作製≫
(ドープの調製)
次いで、下記組成物を混合してドープ(シクロオレフィン系樹脂組成物)を調製した。
シクロオレフィン重合体(JSR社製「アートン(登録商標)G7810」) 150質量部
ジクロロメタン 380質量部
メタノール 70質量部
蒸留水 5質量部
金属ナノ粒子(Ag:平均粒子径20nm DOWAエレクトロニクス株式会社製 Agナノパウダー−1) 0.005質量部
上記で調製したドープを、無端ベルト流延装置を用いて、温度33℃、幅2000mmでステンレスベルト支持体上に均一に流延(キャスト)した。次いで、ドープ中の溶媒量が約20質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をテンターで把持し、溶媒量が10質量%の状態で、115℃の温度下で幅方向に1.05倍(5%)延伸しつつ乾燥した。
その後、100℃の熱処理装置のロール間を30分かけて搬送することによりさらに乾燥させ、樹脂基材を作製した。
(導電性層用塗布液1の調製)
金属ナノ粒子(Ag:平均粒子径20nm DOWAエレクトロニクス株式会社製 Agナノパウダー−1) 0.8質量部
界面活性剤(シリコン系 BYKビックケミー・ジャパン株式会社製 BYK348) 0.01質量部
1,3−ブタジエン 25質量部
水 75質量部
(導電性層の形成)
上記で得た樹脂基材を、200mm角に裁断し、該樹脂基材上の190mm角の領域内に、インクジェット法を用いて、以下の手順により、細線からなる格子パターンを形成した。
まず、導電性層用塗布液1を細線形成用インクとして充填されたインクジェットヘッド(コニカミノルタ社製「KM512L」(液滴容量42pl))を搭載したプリンタを用いて、上記フィルム上に、200μmピッチで、複数のラインをストライプ状に形成した。
これら複数のラインは、それぞれ、乾燥される過程で、含有される金属ナノ粒子(Ag)が各ラインの幅手方向の端部に集積し、その結果、1本のラインが、2本の平行線になった。
次いで、フィルムを90°回転して、先に形成されたラインと直交するように、複数のラインを描画した。これら複数のラインも、先に形成されたラインと同様に、乾燥される過程で、それぞれ2本の平行線になった。
このようにして形成されたラインを100℃で1時間焼成し、100μm間隔で線を配してなる格子パターンを形成し、透明導電性フィルム1を得た。
格子パターンを構成する各細線の線幅は5μm、厚さ0.02μmであった。
≪透明導電性フィルム2〜19の作製≫
透明導電性フィルム2〜19については、透明導電性フィルム1を作製した材料の比率を表1に示した材料に変更した点以外は、透明導電性フィルム1の作製手順と同様にして作製した。
≪透明導電性フィルムの評価≫
<密着性>
上記形成した10mm×10mmの金属パターンに対して、JIS K 5600の記載に従って、テープ剥離試験による密着性の評価を行った。具体的には、2mm間隔の縦横25マス格子パターンの切れ込みをカッターで形成させ、格子パターンの上からセロハンテープを貼り付けた。このテープを引きはがした時に、テープ側に剥がれた切片の数を数え、下記の評価ランクに従って密着性を評価した。
◎:剥がれた金属パターンが認められない
○:剥がれた金属パターンが認められるが、発生数は5.0%未満である
△:剥がれた金属パターンが認められるが、発生数は5.0%以上、10%未満である
×:剥がれた金属パターンが認められ、発生数が10%以上である
<導電性>
上記作製した配線の金属パターンに、抵抗率計ロレスタGP(株式会社ダイアインスツルメンツ製)の四探針プローブPSPを接続させて導電率を測定し、下記の評価ランクに従って導電性を評価した。
◎:導電率が5.0μΩ・cm未満である
○:導電率が5.0μΩ・cm以上、10μΩ・cm未満である
△:導電率が10μΩ・cm以上、20μΩ・cm未満である
×:導電率が20μΩ・cm以上である
<光透過率>
透明導電性フィルムの初期の透明性の測定は、分光光度計「U4100」(日立ハイテク製)を用いて、測定波長400〜800nmの平均光透過率を測定することによって行った。
この測定は、透過型静電容量タッチパネルに供されることを想定し、現実の系を反映すべく、支持体、高屈折率層、硫化防止層及び透明導電性層からなる透明導電性フィルムを、油浸光学系で用いられるイマージョンオイル「タイプA(n=1.515)」((株)ニコン製)にてガラス基板に貼りつけ、上記の全光透過率を測定することにより評価した。
上記平均光透過率は、透明導電性フィルムの透明樹脂支持体側の表面の法線に対して、5°傾けた角度から光を入射させて測定した。
◎:平均光透過率が、92%以上
○:平均光透過率が、90%以上、92%未満
△:平均光透過率が、85%以上、90%未満
×:平均光透過率が、85%未満
上記のようにして評価した。
<ノイズ>
得られた導電フィルムでタッチパネルを作製し、インピーダンスアナライザにて、パネルにタッチした際、1MHzの周波数の矩形波を入力したときの、出力波形のピーク強度と半値幅を測定し、以下の式によって求めたS(出力又は入力)に基づいてランク付けをした。
S(出力又は入力)=(ピーク強度)×(半値幅)
○:S(出力)が、S(入力)の95%以上
△:S(出力)が、S(入力)の90%以上
×:S(出力)が、S(入力)の90%未満
密着性、導電性、光透過率及びノイズともに、ランクが○又は◎であれば、実用上良好な範囲であると評価した。以上により得られた各評価結果を、表1に示す。
Figure 2016170957
水に浸漬した場合の樹脂基材の片面の表層部の単位体積当たりの含水量が、前記樹脂基材の中層部の単位体積当たりの含水量に対して120〜300%の範囲内であれば、インクがフィルム表層部に浸透しやすく、樹脂基材との密着性が得られるため、導電性能が高くなる。一方で、含水量が大きすぎると、インクが樹脂基材内部に深く浸透してしまって、表層部の導電性を低下させてしまったものと考えられる。
また、樹脂基材表層部の金属量が導電性層との密着性に寄与するため、金属量が多ければ、導電性能が高くなる。一方で、樹脂基材内部に金属量が多すぎると基材密着性は高いが、電気を流す時に電流が基材内部に拡散してしまうため、導電性能が劣化してしまうものと考えられる。
ノイズについても同様に、樹脂基材表層部の金属量が導電性層との密着性に寄与するものと考えられる。
基材との密着性が良くないと、基材層と導電性層との界面で散乱・反射が強くなるため、光透過率が低下してしまう。具体的には、密着性が悪いと、基材と導電性層との界面が完全に接着していないため、微小な空隙が存在し、それが透明性を大きく落とす要因となっていると考えられる。そこで、前記樹脂基材の表層部の金属成分を1×10−6〜1×10−3質量%の範囲内に調整することにより微小な空隙を埋めることができ、密着性を向上させることができた。
本発明により、導電性層と樹脂基材の密着性に優れ、良好な導電性と透明性を有する透明導電性フィルムを得ることができ、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、無機及び有機ELディスプレイ、タッチパネル、太陽電池等の各種表示装置に好適に利用できる。
1 透明導電性フィルム
2 樹脂基材
3 表層部
4 導電性層
5 中層部

Claims (5)

  1. 樹脂基材と導電性層を有する透明導電性フィルムであって、
    前記樹脂基材の主成分が、シクロオレフィン系樹脂であり、
    前記樹脂基材の表層部が、金属成分を1×10−6〜1×10−3質量%の範囲内で含有しており、かつ、
    前記樹脂基材を水に浸漬したとき、前記樹脂基材の表層部の単位体積当たりの含水量が、前記樹脂基材の中層部の単位体積当たりの含水量に対して120〜300%の範囲内となるように調整されていることを特徴とする透明導電性フィルム。
  2. 前記金属成分が、金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、亜鉛及びこれらの合金のうちのいずれかを含有していることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルム。
  3. 前記導電性層が、金属導電性層であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明導電性フィルム。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の透明導電性フィルムを製造する透明導電性フィルムの製造方法であって、
    シクロオレフィン系樹脂と、有機極性溶媒と、有機非極性溶媒と、水とを含有する樹脂組成物を用いて溶液流延法により樹脂基材を形成する工程において、当該樹脂基材の表層部の金属成分の含有量が、1×10−6〜1×10−3質量%の範囲内となるように調整し、かつ
    前記樹脂基材を水に浸漬したとき、前記樹脂基材の表層部の単位体積当たりの含水量が、前記樹脂基材の中層部の単位体積当たりの含水量に対して120〜300%の範囲内となるように調整することを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法。
  5. 前記導電性層を、インクジェット法によって形成することを特徴とする請求項4に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
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