JP6870290B2 - 積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、基材層と、前記基材層に隣接する銀被膜とを有し、基材層の透明性、層間密着性、絶縁性、及び、銀被膜の導電性に優れる積層フィルムに関する。
従来、ナノサイズの金属微粒子を用いて導電層や配線層を形成する方法が知られている。
例えば、特許文献1には、炭素数が6以上のアルキルアミンと、炭素数が5以下であるアルキルアミンとを含むアミン混合液と、金属原子を含む金属化合物を混合して、当該金属化合物とアミンを含む錯化合物を生成する第1工程と、当該錯化合物を加熱することで分解して金属微粒子を生成する第2工程を含むことを特徴とする被覆金属微粒子の製造方法が記載されている。特許文献1には、その製造方法を用いて得られた金属微粒子は、低温においても円滑に焼結が可能であり、耐熱性に劣るプラスチック基板上にも導電層等を形成し得ることも記載されている。
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1に記載されている金属微粒子を用いて得られる積層フィルムは、基材層の透明性に劣ったり、金属層の導電性に劣ったり、絶縁性に劣ったりする場合があることが分かった。
このため、基材層の透明性、層間密着性、絶縁性、及び、銀被膜の導電性に優れる積層フィルムが要望されていた。
特開2012−162767号公報
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、基材層と、前記基材層に隣接する銀被膜とを有し、基材層の透明性、層間密着性、絶縁性、及び、銀被膜の導電性に優れる積層フィルムを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、基材層と、前記基材層に隣接する銀被膜とを有する積層フィルムについて鋭意検討した。その結果、基材層の材料として脂環構造含有樹脂フィルムを使用し、かつ、特定の方法で得られた銀ナノ粒子を含む塗膜を焼結して銀被膜を形成することにより、基材層の透明性、層間密着性、絶縁性、及び、銀被膜の導電性に優れる積層フィルムが得られることを見出した。本発明はかかる知見に基づいてなされたものである。
かくして本発明によれば、下記〔1〕〜〔6〕の積層フィルムが提供される。
〔1〕基材層と、前記基材層に隣接する銀被膜とを有する積層フィルムであって、前記基材層が、脂環構造含有樹脂フィルムからなるものであり、前記銀被膜が、前記基材層上に形成された、銀ナノ粒子を含む塗膜を焼結してなるものであり、前記銀ナノ粒子が、炭素数が6以上のアミン化合物、炭素数が5以下のアミン化合物、及び銀化合物を混合してなる混合物を加熱して得られるものである、積層フィルム。
〔2〕前記脂環構造含有樹脂フィルムに含まれる脂環構造含有重合体が、結晶性脂環構造含有重合体である、〔1〕に記載の積層フィルム。
〔3〕銀ナノ粒子の平均粒径が、0.5〜100nmである、〔1〕又は〔2〕に記載の積層フィルム。
〔4〕前記炭素数が6以上のアミン化合物が、下記式(1)
Figure 0006870290
(Rは、炭素数6以上の炭化水素基を表す。)
で示されるアミン化合物であって、前記炭素数が5以下のアミン化合物が、下記式(2)
Figure 0006870290
(Rは、炭素数5以下の炭化水素基を表す。)
で示されるアミン化合物である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の積層フィルム。
〔5〕前記炭素数が5以下のアミン化合物の使用量が、アミン化合物全量中、10〜80モル%である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の積層フィルム。
〔6〕前記銀化合物が、シュウ酸銀である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の積層フィルム。
本発明によれば、基材層と、前記基材層に隣接する銀被膜とを有し、基材層の透明性、層間密着性、絶縁性、及び、銀被膜の導電性に優れる積層フィルムが提供される。
本発明の積層フィルムは、基材層と、前記基材層に隣接する銀被膜とを有する積層フィルムであって、前記基材層が、脂環構造含有樹脂フィルムからなるものであり、前記銀被膜が、前記基材層上に形成された、銀ナノ粒子を含む塗膜を焼結してなるものであり、前記銀ナノ粒子が、炭素数が6以上のアミン化合物、炭素数が5以下のアミン化合物、及び銀化合物を混合してなる混合物を加熱して得られるものであることを特徴とするものである。
〔基材層〕
本発明の積層フィルムを構成する基材層は、脂環構造含有樹脂フィルムからなるものである。
脂環構造含有樹脂フィルムは、樹脂成分として脂環構造含有重合体を含有するフィルムである。脂環構造含有重合体は、主鎖及び/又は側鎖に脂環構造を有する重合体である。なかでも、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、低吸水性等により優れる基材層を形成し易いことから、主鎖に脂環構造を有するものが好ましい。
脂環構造としては、飽和環状炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられる。なかでも、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、低吸水性等により優れる基材層を形成し易いことからシクロアルカン構造が好ましい。
脂環構造を構成する炭素原子数は、特に限定されないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲である。脂環構造を構成する炭素原子数がこれらの範囲内であることで、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、低吸水性等の特性がより高度にバランスされた基材層を形成し易くなる。
脂環構造含有重合体中の脂環構造を有する繰り返し単位の割合は、適宜選択することができる。この繰り返し単位の割合は、全繰り返し単位に対して、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。脂環構造含有重合体中の脂環構造を有する繰り返し単位の割合が30重量%以上であることで、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、低吸水性等により優れる基材層を形成し易くなる。脂環構造含有重合体中の脂環構造を有する繰り返し単位以外の残部は、特に限定されず、適宜選択される。
脂環構造含有重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、通常、5,000〜500,000、好ましくは8,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000である。脂環構造含有重合体の重量平均分子量(Mw)がこれらの範囲内であることで、基材層の機械的強度等の各種特性と、脂環構造含有樹脂フィルムを製造する際の作業性とがより高度にバランスされる。
脂環構造含有重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、通常、1.0〜4.0、好ましくは1.0〜3.0、より好ましくは1.0〜2.5である。
脂環構造含有重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、実施例に記載の方法に従って求めることができる。
脂環構造含有重合体のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、通常、50〜200℃、好ましくは80〜170℃である。
脂環構造含有重合体のガラス転移温度(Tg)が80℃以上であることで、耐熱性に優れる基材層を形成し易くなる。
ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 6911に基づいて測定することができる。
脂環構造含有重合体の具体例としては、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体などが挙げられる。これらの中でも、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、低吸水性等に優れる基材層を形成し易いことから、ノルボルネン系重合体が好ましい。
なお、本明細書において、これらの重合体は、重合反応生成物だけでなく、その水素添加物も意味する。
(1)ノルボルネン系重合体
ノルボルネン系重合体は、ノルボルネン骨格を有する単量体であるノルボルネン系単量体を重合して得られる重合体又はその水素添加物である。
ノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体、これらの開環重合体の水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体などが挙げられる。
ノルボルネン系単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するものをいう。)、トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(メタノテトラヒドロフルオレン、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)及びその誘導体などが挙げられる。
置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基、アルキリデン基などが挙げられる。
置換基を有するノルボルネン系単量体としては、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
これらのノルボルネン系単量体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、及びこれらの誘導体などの単環の環状オレフィン系単量体などが挙げられる。これらの置換基としては、ノルボルネン系単量体の置換基として示したものと同様のものが挙げられる。
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテンなどのシクロオレフィン、及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。これらの置換基としては、ノルボルネン系単量体の置換基として示したものと同様のものが挙げられる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体、又はノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体は、単量体成分を、公知の開環重合触媒の存在下で重合させることにより合成することができる。開環重合触媒としては、例えば、ルテニウム、オスミウムなどの金属のハロゲン化物と、硝酸塩又はアセチルアセトン化合物、及び還元剤とからなる触媒、あるいは、チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒等が挙げられる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体水素添加物は、通常、上記開環重合体の重合溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水添触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を水素化することにより得ることができる。
ノルボルネン系単量体の付加重合体、又はノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体は、単量体成分を、公知の付加重合触媒の存在下で重合させることにより合成することができる。付加重合触媒としては、例えば、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒が挙げられる。
これらのノルボルネン系重合体の中でも、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、低吸水性等に優れる基材層を形成し易いことから、ノルボルネン系単量体の開環重合体水素添加物が好ましい。
(2)単環の環状オレフィン系重合体
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの、単環の環状オレフィン系単量体の付加重合体が挙げられる。
これらの付加重合体の合成方法は特に限定されず、公知の方法を適宜利用することができる。
(3)環状共役ジエン系重合体
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−又は1,4−付加重合した重合体及びその水素添加物などが挙げられる。
これらの付加重合体の合成方法は特に限定されず、公知の方法を適宜利用することができる。
(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体
ビニル脂環式炭化水素系重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素添加物;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環部分の水素添加物;などが挙げられる。また、ビニル脂環式炭化水素系単量体やビニル芳香族系単量体と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。かかる共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体等が挙げられる。
これらの重合体の合成方法は特に限定されず、公知の方法を適宜利用することができる。
耐熱性等により優れる基材層を形成し易いことから、脂環構造含有重合体としては結晶性脂環構造含有重合体(以下、「重合体(α)」ということがある。)が好ましい。
「結晶性」とは、測定条件等を最適化することにより、示差走査熱量計(DSC)で融点を観測することができるという性質をいい、重合体鎖の立体規則性により定まる性質である。
重合体(α)としては、国際公開第2012/033076号パンフレットに記載の、シンジオタクチック立体規則性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物、特開2002−249553号公報に記載の、アイソタクチック立体規則性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物、特開2007−16102号公報に記載の、ノルボルネン開環重合体水素化物等が挙げられる。
重合体(α)の融点は、好ましくは、200〜300℃、より好ましくは250〜300℃である。
融点がこの範囲にある重合体(α)は、耐熱性等の特性と成形性とのバランスが良好なものとなる。
重合体(α)としては、シンジオタクチック立体規則性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物(以下、「重合体(α1)」ということがある。)が好ましい。
重合体(α1)の立体規則性の程度は特に限定されないが、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、低吸水性等により優れる基材層を形成し易いことから、立体規則性の程度がより高いものが好ましい。
具体的には、ジシクロペンタジエンを開環重合して、次いで水素化して得られる繰り返し単位についてのラセモ・ダイアッドの割合が、51%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。
ラセモ・ダイアッドの割合が高いものほど、すなわち、シンジオタクチック立体規則性の高いものほど、高い融点を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物となる。
ラセモ・ダイアッドの割合は、13C−NMRスペクトル分析で測定し、定量することができる。具体的には、オルトジクロロベンゼン−d4を溶媒として、150℃でinverse−gated decoupling法を適用して13C−NMR測定を行い、オルトジクロロベンゼン−d4の127.5ppmのピークを基準シフトとして、メソ・ダイアッド由来の43.35ppmのシグナルと、ラセモ・ダイアッド由来の43.43ppmのシグナルの強度比からラセモ・ダイアッドの割合を決定することができる。
ジシクロペンタジエンには、エンド体及びエキソ体の立体異性体が存在するが、本発明においては、そのどちらも単量体として用いることができる。また、一方の異性体のみを単独で用いてもよいし、エンド体及びエキソ体が任意の割合で存在する異性体混合物を用いてもよい。本発明においては、重合体(α1)の結晶性が高まり、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、低吸水性等により優れる基材層を形成し易いことから、一方の立体異性体の割合を高くすることが好ましい。例えば、エンド体又はエキソ体の割合が、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。なお、合成が容易であることから、エンド体の割合が高いことが好ましい。
重合体(α1)を合成する際、単量体として、ジシクロペンタジエンのみを用いてもよいし、ジシクロペンタジエンと共重合可能な他の単量体を用いてもよい。他の単量体としては、ジシクロペンタジエン以外のノルボルネン類や、環状オレフィン類、ジエン類等が挙げられる。
他の単量体を用いる場合、その使用量は、単量体全量中、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
重合体(α1)の合成方法は特に限定されず、公知の方法に従って、開環重合反応及び水素化反応を行うことにより、重合体(α1)を合成することができる。
脂環構造含有樹脂フィルムは、脂環構造含有重合体以外の成分を含有していてもよい。
脂環構造含有重合体以外の成分としては、脂環構造含有重合体以外の樹脂、酸化防止剤、結晶核剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤、帯電防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、滑剤等が挙げられる。
脂環構造含有樹脂フィルム中の脂環構造含有重合体の含有量は、脂環構造含有樹脂フィルムに対して、通常、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは、80重量%以上である。
前記他の成分の含有量は、目的に合わせて適宜決定することができるが、脂環構造含有樹脂フィルムに対して、通常、50重量%未満、好ましくは40重量%未満、より好ましくは20重量%未満である。
脂環構造含有樹脂フィルムの厚みは特に限定されない。脂環構造含有樹脂フィルムの厚みは、通常、1〜500μm、好ましくは5〜250μmである。
脂環構造含有樹脂フィルムは、易接着処理が施されたものであってもよい。
易接着処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレーム処理、UV処理、脱脂処理、表面粗面化処理等が挙げられる。
〔銀被膜〕
本発明の積層フィルムを構成する銀被膜は、前記基材層に隣接する層であり、前記基材層上に形成された、銀ナノ粒子を含む塗膜を焼結してなるものである。
銀ナノ粒子とは、粒径がナノスケールの銀粒子をいう。
銀ナノ粒子の平均粒径は、好ましくは1〜100nm、より好ましくは10〜50nmである。
銀ナノ粒子の平均粒径は、動的光散乱法により測定することができる。
本発明に用いる銀ナノ粒子は、炭素数が6以上のアミン化合物、炭素数が5以下のアミン化合物、及び銀化合物を混合してなる混合物を加熱することにより得られるものである。
これらのアミン化合物の少なくとも一部は、混合物中で銀イオンに配位する配位子として機能していると考えられる。その結果、混合物中では、銀化合物由来の銀イオンは、これらのアミン化合物が配位した銀錯体として存在すると考えられる。
そして、加熱により銀錯体が熱分解し、銀イオンが還元されることで、銀ナノ粒子が生成する。
生成した銀ナノ粒子は、周囲のアミン化合物と相互作用する結果、安定化され、銀ナノ粒子の凝集等が起こり難くなる。また、銀ナノ粒子とアミン化合物との相互作用は比較的小さいものであるため、必要に応じてこれらのアミン化合物を容易に除去することができ、高純度の銀ナノ粒子を得ることができる。
このような方法で得られる銀ナノ粒子を用いることで、基材層との密着性に優れ、かつ、均一性に優れ、例えば抵抗値のバラツキが小さい銀被膜を効率よく形成することができる。
本発明においては、炭素数が6以上のアミン化合物を用いることで、銀ナノ粒子の凝集等をより効率よく抑制することができる。
炭素数が6以上のアミン化合物としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、tert−オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、オレイルアミン等の第1級アミン;ジn−プロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジn−ペンチルアミン、ジn−ヘキシルアミン、ジn−ペプチルアミン、ジn−オクチルアミン、ジn−ノニルアミン、ジn−デシルアミン、ジn−ウンデシルアミン、ジn−ドデシルアミン、N−メチル−N−プロピルアミン、N−エチル−N−プロピルアミン、N−プロピル−N−ブチルアミン等の第2級アミン;トリエチルアミン、トリn−ブチルアミン、トリn−ヘキシルアミン等の第3級アミン;が挙げられる。
これらの中でも、炭素数が6以上のアミン化合物としては、下記式(1)で示されるアミン化合物が好ましい。
Figure 0006870290
式(1)中、Rは、炭素数6以上の炭化水素基を表す。
としては、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖アルキル基;イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基等の分岐鎖アルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;オレイル基等のアルケニル基;等が挙げられる。
本発明において、炭素数が6以上のアミン化合物は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、炭素数が5以下のアミン化合物を用いることで、銀イオンとの錯形成反応をより迅速に行うことができる。また、炭素数が5以下のアミン化合物は、比較的低い沸点を有するため、アミン化合物を揮発除去する際の作業をより効率よく行うことができる。
炭素数が5以下のアミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、イソペンチルアミン、tert−ペンチルアミン等の第1級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン等の第2級アミン;トリメチルアミン等の第3級アミン;が挙げられる。
これらの中でも、炭素数が5以下のアミン化合物としては、下記式(2)で示されるアミン化合物が好ましい。
Figure 0006870290
式(2)中、Rは、炭素数5以下の炭化水素基を表す。
としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基;等が挙げられる。
本発明において、炭素数が5以下のアミン化合物は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
混合物を調製する際のアミン化合物の使用量(アミン化合物の合計量)は、銀イオン1モルに対して、通常、1モル以上、好ましくは1〜50モル、より好ましくは1〜30モルである。
また、炭素数が5以下のアミン化合物の使用量は、アミン化合物全量中、10〜80モル%が好ましく、20〜60モル%がより好ましい。
炭素数が5以下のアミン化合物の使用量が上記範囲内であることで、炭素数が6以上のアミン化合物と炭素数が5以下のアミン化合物の特性をそれぞれ十分に活かすことができる。
混合物の調製に用いる銀化合物は、銀ナノ粒子(金属銀)の原料として用いられるものである。銀化合物としては、熱分解により金属銀を生成させるものであれば特に限定されない。
銀化合物としては、ギ酸銀、酢酸銀、シュウ酸銀、マロン酸銀、安息香酸銀、フタル酸銀等のカルボン酸銀;フッ化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀等のハロゲン化銀;硫酸銀;硝酸銀;炭酸銀;等が挙げられる。
これらのなかでも、高純度の銀ナノ粒子が得られ易いことから、シュウ酸銀が好ましい。
本発明において、銀化合物は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
混合物には、カルボン酸を配合してもよい。カルボン酸を配合することで、銀ナノ粒子の分散性が向上する。
カルボン酸としては、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、エイコセン酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸;オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、パルミトレイン酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸;が挙げられる。
これらの中でも、より効率よく銀ナノ粒子を分散させ得ることから、炭素数8以上のカルボン酸が好ましく、炭素数8〜18のカルボン酸がより好ましく、オクタン酸又はオレイン酸がより好ましい。
本発明において、カルボン酸は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
カルボン酸を配合する場合、その使用量は、銀イオン1モルに対して、通常、0.05〜10モル、好ましくは0.1〜5モルである。
カルボン酸の使用量が少な過ぎると、分散性向上効果が得られ難くなる。一方、カルボン酸の使用量が多過ぎると、最終的にカルボン酸を除去する工程において、その作業が困難になるおそれがある。
混合物は、各成分を常法に従って混合することにより得ることができる。
得られた混合物を加熱することにより、混合物中の銀錯体が熱分解し、銀ナノ粒子が生成する。
混合物の加熱条件は、銀ナノ粒子が生成するのであれば特に限定されない。
加熱温度は、通常、80〜140℃、好ましくは100〜120℃である。
加熱時間は、通常、1分から2時間、好ましくは5〜30分である。
反応生成物に対して溶媒を加えることで、銀ナノ粒子を含む分散液を得ることができる。
また、この分散液中の銀ナノ粒子を沈降させた後、上澄み液を除去し、残った銀ナノ粒子を新たな溶媒に懸濁させるという操作により、銀ナノ粒子を洗浄してもよい。
これらの操作に用いる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン等の脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、テルピネオール等のアルコール溶媒;等が挙げられる。
銀ナノ粒子を含む分散液中の銀濃度は、通常30〜70重量%、好ましくは、40〜60重量%である。
得られた銀ナノ粒子を含む分散液は、銀ナノ粒子を含む塗膜を基材層上に形成するための塗工液として用いられる。
銀ナノ粒子を含む塗膜の形成方法は特に限定されない。塗膜の形成方法としては、印刷法、塗布法、浸漬法等が挙げられる。
印刷法としては、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディップ式印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が挙げられる。
塗布法としては、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターや、ワイヤーバー等を用いる方法が挙げられる。
次いで、必要に応じて塗膜の乾燥処理を行った後、塗膜を焼結することで銀被膜を形成することができる。
焼結条件は特に限定されない。
焼結温度は、通常、50〜200℃、好ましくは80〜180℃である。
焼結時間は、通常、10秒から8時間、好ましくは1分から2時間である。
本発明の積層フィルムを構成する銀被膜の膜厚は特に限定されない。銀被膜の膜厚は、通常、0.1〜100μm、好ましくは1〜10μmである。
本発明の積層フィルムは、基材層の片側のみに銀被膜を有するものであってもよいし、基材層の両側に銀被膜を有するものであってもよい。
本発明の積層フィルムは、前記銀ナノ粒子を含む塗膜を焼結してなる銀被膜を有する。このため、本発明の積層フィルムは、層間密着性及び銀被膜の導電性に優れる。
例えば、実施例に記載の方法に従ってクロスカット・テープ剥離試験を行った場合、銀被膜形成後と吸湿試験後のいずれにおいても、剥離する数が5/50以下であることが好ましく、0/50がより好ましい。
本発明の積層フィルムは、脂環構造含有樹脂フィルムからなる基材層を有する。このため、本発明の積層フィルムは、基材層の透明性及び絶縁性に優れる。
特に脂環構造含有樹脂フィルムに含まれる脂環構造含有重合体が結晶性脂環構造含有重合体である場合、焼成温度をかなり高くしても、基材層の着色や変形の問題が起こり難い。このため、高い温度で焼成をすることができるため、層間密着性や銀被膜の導電性に極めて優れる積層フィルムを製造することができる。
本発明の積層フィルムは上記特性を有するため、透明フレキシブル回路基板、透明センサー、透明フィルムアンテナ等の材料として好適に用いられる。
また、本発明の積層フィルムは、光学フィルム、高意匠性フィルム、抗菌性フィルム等としても利用することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。また、下記の実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特に断りのない限り、重量基準である。
各例における測定は、以下の方法により行った。
〔ガラス転移温度及び融点〕
示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度が10℃/分の条件で示差走査熱量測定を行い、重合体のガラス転移温度及び融点を測定した。
〔重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)〕
テトラヒドロフランを溶媒として、40℃でゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を行い、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)をポリスチレン換算値として求めた。
測定装置:ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)システム「HLC−8220」(東ソー社製)
カラム:「Hタイプカラム」(東ソー社製)
〔不飽和結合の水素添加率〕
H−NMR測定に基づいて、重合体中の不飽和結合の水素添加率を求めた。
〔官能基の含有量〕
H−NMR測定に基づいて、重合体中の官能基の含有割合(官能基の数:重合体の繰り返し単位の数)を求めた。
〔製造例1〕〔脂環構造含有重合体(A)の合成〕
内部を窒素置換した金属製耐圧反応容器に、シクロヘキサン154.5部、ジシクロペンタジエン(エンド体含有率99%以上)のシクロヘキサン溶液(濃度70%)42.8部(ジシクロペンタジエンとして30部)、1−ヘキセン1.9部を加え、全容を53℃に加熱した。
一方、テトラクロロタングステンフェニルイミド(テトラヒドロフラン)錯体0.014部を0.70部のトルエンに溶解して得られた溶液に、ジエチルアルミニウムエトキシドのn−ヘキサン溶液(濃度19%)0.061部を加えて10分間攪拌し、触媒溶液を調製した。この触媒溶液を前記反応器内に添加し、53℃で4時間、開環重合反応を行い、ジシクロペンタジエン開環重合体を含む溶液を得た。
得られたジシクロペンタジエン開環重合体を含む溶液200部に、停止剤として、1,2−エタンジオール0.037部を加えて、60℃で1時間攪拌し、重合反応を停止させた。その後、ハイドロタルサイト様化合物(製品名「キョーワード(登録商標)2000」、協和化学工業社製)を1部加えて、60℃に加温し、1時間攪拌した。濾過助剤(製品名「ラヂオライト(登録商標)#1500」昭和化学工業社製)を0.4部加え、PPプリーツカートリッジフィルター(製品名「TCP−HX」、ADVANTEC東洋社製)を用いて、吸着剤を濾別し、ジシクロペンタジエン開環重合体を含む溶液を得た。
この溶液の一部を用いて、ジシクロペンタジエン開環重合体の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は28,100、数平均分子量(Mn)は8,750、分子量分布(Mw/Mn)は3.21であった。
精製処理後の、ジシクロペンタジエン開環重合体を含む溶液200部(重合体含有量30部)に、シクロヘキサン100部、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.0043部を添加し、水素圧6MPa、180℃で4時間水素添加反応を行なった。反応液は、固形分が析出したスラリー液であった。
反応液を遠心分離することにより、固形分と溶液とを分離し、固形分を、60℃で24時間減圧乾燥し、脂環構造含有重合体(A)28.5部を得た。
脂環構造含有重合体(A)の水素添加率は99%以上、ガラス転移温度は98℃、融点は262℃であった。
〔製造例2〕〔脂環構造含有樹脂フィルム(A)の製造〕
製造例1で得た脂環構造含有重合体(A)100部に、酸化防止剤(テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、製品名「イルガノックス(登録商標)1010」、BASFジャパン社製)0.8部を混合した後、混合物を二軸押出し機(TEM−37B、東芝機械社製)に投入し、熱溶融押出し成形により、ストランド状の成形体を得、これをストランドカッターにて細断し、ペレットを得た。
二軸押出し機の運転条件を、以下に示す。
・バレル設定温度:270〜280℃
・ダイ設定温度:250℃
・スクリュー回転数:145rpm
・フィーダー回転数:50rpm
得られたペレットを、Tダイを備える熱溶融押出しフィルム成形機(製品名「Measuring Extruder Type Me−20/2800V3」、Optical Control Systems社製)に投入して成形処理を行い、幅120mm、厚み50μmの脂環構造含有樹脂フィルム(A)を得た。
フィルム成形機の運転条件を、以下に示す。
・バレル温度設定:280℃〜290℃
・ダイ温度:270℃
・スクリュー回転数:30rpm
・フィルム巻き取り速度:4m/分
〔製造例3〕〔銀ナノ粒子分散液の調製〕
50mLフラスコに、n−ブチルアミン1.45g(20mmol)、n−オクチルアミン0.73g(5.6mmol)、n−ヘキシルアミン3.46g(34mmol)、オレイン酸0.12g(0.42mmol)を加え、全容を25℃で攪拌し、均一な混合溶液を得た。この混合溶液にシュウ酸銀〔Ag(C)〕3.047g(10mmol)を加え、全容を25℃で攪拌した。このとき、フラスコの内容物は、粘性のある白色の物質に変化した。
次に、フラスコの内容物をアルミブロック式加熱攪拌機に移して、100〜110℃で加熱攪拌を行った。攪拌開始後すぐに二酸化炭素の発生を伴う反応が開始し、その後、二酸化炭素が発生しなくなるまで撹拌を継続し、銀ナノ粒子を含有する、青色光沢を呈する懸濁液を得た。
得られた懸濁液にメタノール10mLを加え、これを攪拌した。次いで、この懸濁液に遠心分離処理を行って銀ナノ粒子を沈降させ、上澄み液を除去した。得られた銀ナノ粒子を再度メタノールに懸濁させた後、遠心分離処理、及び上澄み除去を行い、銀ナノ粒子を単離した。この銀ナノ粒子に、1−ブタノール/オクタン混合溶剤(体積比=1/4)を銀濃度が50重量%となるように加えて攪拌し、銀ナノ粒子分散液を調製した。
〔実施例1〕
製造例2で得た脂環構造含有樹脂フィルム(A)の両面に、コロナ処理装置(型式A3SW−FLNW型、ウエッジ社製)を用いて、放電管とフィルムとの距離1mm、出力0.06kW、搬送速度1m/分の条件で、コロナ処理を行った。
このようにして得られたコロナ処理済みフィルムの片面に、ワイヤーバー(NO.04 第一理化社製)を用いて製造例3で得られた銀ナノ粒子分散液を塗布した後、得られた塗膜を160℃で30分間焼結し、銀皮膜を形成した。銀皮膜の厚さは3〜5μm程度であった。
さらに、フィルムの銀皮膜が形成されていない面に、同様の方法により銀被膜を形成し、脂環構造含有樹脂フィルム(A)の両面に銀被膜を有してなる積層フィルムを得た。
なお、この積層フィルムは、脂環構造含有樹脂フィルム(A)の全面に銀被膜が形成されたものではなく、部分的には脂環構造含有樹脂フィルム(A)が露出しており、基材層(脂環構造含有樹脂フィルム(A))の状態を観察することができるものである。
また、以下の方法により、導体回路が形成されたフィルムを作製した。
まず、上記のコロナ処理済みフィルムを加工して、一辺が100mmの正方形のフィルムを得た。その片面を、厚さ25μmのマスキングテープを用いて、幅5mm×長さ100mmの領域以外を被覆した。次いで、マスキングテープで被覆したフィルム全体に、ガラス棒にて銀ナノ粒子分散液を塗布し、得られた塗膜を160℃で焼結した後、マスキングテープを剥離することで幅5mm×長さ100mmの導体回路が形成されたフィルムを得た。
〔実施例2〕
銀ナノ粒子を含む塗膜の焼結温度を100℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルム及び導体回路が形成されたフィルムを得た。
〔実施例3〕
脂環構造含有樹脂フィルム(A)にコロナ処理をしなかったこと、及び、銀ナノ粒子を含む塗膜の焼結温度を100℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルム及び導体回路が形成されたフィルムを得た。
〔実施例4〕
脂環構造含有樹脂フィルム(A)の代わりに、脂環構造含有樹脂フィルム(B)(日本ゼオン社製、ゼオノアフィルム、ZF14−050、厚さ50μm)を用いたこと、及び、銀ナノ粒子を含む塗膜の焼結温度を100℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルム、及び導体回路が形成されたフィルムを得た。
〔実施例5〕
脂環構造含有樹脂フィルム(A)の代わりに、脂環構造含有樹脂フィルム(B)を用いたこと、脂環構造含有樹脂フィルム(B)にコロナ処理をしなかったこと、及び、銀ナノ粒子を含む塗膜の焼結温度を100℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルム、及び導体回路が形成されたフィルムを得た。
〔比較例1〕
脂環構造含有樹脂フィルム(A)の代わりに、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(A)(東洋紡社製、コスモシャインA4300、両面易接着処理品、厚さ50μm)を用いたこと、及び、PETフィルム(A)にコロナ処理をしなかったこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルム、及び導体回路が形成されたフィルムを得た。
〔比較例2〕
脂環構造含有樹脂フィルム(A)の代わりに、PETフィルム(A)を用いたこと、PETフィルム(A)にコロナ処理をしなかったこと、及び、銀ナノ粒子を含む塗膜の焼結温度を100℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルム、及び導体回路が形成されたフィルムを得た。
〔比較例3〕
脂環構造含有樹脂フィルム(A)の代わりに、ポリプロピレン(PP)フィルム(フタムラ化学社製、FOS−BT、両面コロナ処理品、厚さ50μm)を用いたこと、及び、銀ナノ粒子を含む塗膜の焼結温度を100℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルム、及び導体回路が形成されたフィルムを得た。
〔比較例4〕
製造例3で得られた銀ナノ粒子分散液の代わりに市販の銀ナノインク(DOWAエレクトロンクス社製、水系溶媒、銀濃度40〜60%、)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルム、及び導体回路が形成されたフィルムを得た。
〔比較例5〕
製造例3で得られた銀ナノ粒子分散液の代わりに市販の銀ナノインク(水系溶媒、銀濃度40〜60%、DOWAエレクトロンクス社製)を用いたこと、及び、銀ナノ粒子を含む塗膜の焼結温度を100℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルム、及び導体回路が形成されたフィルムを得た。
各例で得られた積層フィルムを用いて、基材層の透明性、層間密着性、絶縁性を以下の方法により評価した。また、導体回路が形成されたフィルムを用いて、導電性を以下の方法により評価した。これらの結果を第2表に示す。
〔基材層の透明性〕
実施例、比較例で得られた積層フィルムの銀皮膜の形成されていない部分と、積層フィルムの形成に用いた脂環構造含有樹脂フィルム等とを目視にて観察し、以下の基準により評価した。
○:変化無し
×:黄変、白化等の変化有り
〔層間密着性〕
JIS K5600規格に準じて、下記の方法により密着性を評価した。
実施例、比較例で得られた積層フィルムの両面の銀皮膜の任意の箇所にガイドを用いてカッターで縦横1mm幅×5列の切れ込みを入れて25分割(両面の合計で50マス)した後、セロファン粘着テープ(ニチバン社製)を用いてクロスカット・テープ剥離試験を行い、以下の基準に従って層間密着性を評価した。
なお、この試験は、積層フィルムを得た直後(銀被膜形成後)と、得られた積層フィルムを85℃、相対湿度85%条件下で1000時間静置した後(吸湿試験後)の2条件で行った。
◎:剥離が0/50
○:剥離が1/50以上、5/50以下
△:剥離が6/50以上、25/50以下
×:剥離が26/50以上
〔絶縁性〕
実施例、比較例で得られた積層フィルムの両面に銀皮膜が形成されている部分を1cm角で切り出し、85℃、相対湿度85%条件下で50Vの電圧を印加する試験を1000時間行った。試験は各実施例、比較例について4個の試験片について行い、試験中の抵抗値が1.0×10未満となった場合を絶縁不良と判定し、以下の基準により評価した。
○:1000時間迄に絶縁不良が1つも無い。
×:1000時間迄に絶縁不良が発生。
〔銀被膜の導電性〕
実施例、比較例で得られた導体回路が形成されたフィルムの導体回路の抵抗値を、3540ミリオームハイテスタ(日置電機社製)にて測定した。測定は各実施例、比較例について10個の導体回路について行い、以下の基準に従って平均抵抗値と抵抗値のばらつきを評価した。
<平均抵抗値>
◎:0.1Ω未満
○:0.1Ω以上、1Ω未満
×:1Ω以上
<抵抗値のばらつき>
◎:±20%未満
○:±20%以上、±50%未満
×:±50%以上
Figure 0006870290
Figure 0006870290
第1表、第2表から以下のことが分かる。
実施例1〜5で得られた積層フィルムは、基材層の透明性、層間密着性、絶縁性、及び、銀被膜の導電性に優れる。
一方、比較例1〜3で得られた積層フィルムは、脂環構造含有樹脂フィルムからなる基材層を有しないため、基材層の透明性や絶縁性に劣ったり、銀被膜の導電性にばらつきが生じたりしている。
また、比較例4、5で得られた積層フィルムは、特定の方法で形成された銀被膜を有しないため、層間密着性に劣ったり、銀被膜の導電性にばらつきが生じたりしている。

Claims (6)

  1. 基材層と、前記基材層に隣接する銀被膜とを有する積層フィルムであって、
    前記基材層が、脂環構造含有樹脂フィルムからなるものであり、
    前記銀被膜が、前記基材層上に形成された、銀ナノ粒子を含む塗膜を焼結してなるものであり、
    前記銀ナノ粒子が、炭素数が6以上のアミン化合物、炭素数が5以下のアミン化合物、及び銀化合物を混合してなる混合物を加熱して得られるものである、積層フィルム。
  2. 前記脂環構造含有樹脂フィルムに含まれる脂環構造含有重合体が、結晶性脂環構造含有重合体である、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 銀ナノ粒子の平均粒径が、0.5〜100nmである、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 前記炭素数が6以上のアミン化合物が、下記式(1)
    Figure 0006870290
    (Rは、炭素数6以上の炭化水素基を表す。)
    で示されるアミン化合物であって、前記炭素数が5以下のアミン化合物が、下記式(2)
    Figure 0006870290
    (Rは、炭素数5以下の炭化水素基を表す。)
    で示されるアミン化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記炭素数が5以下のアミン化合物の使用量が、アミン化合物全量中、10〜80モル%である、請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 前記銀化合物が、シュウ酸銀である、請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
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