JP6258510B2 - 環状オレフィン系フィルムの製造方法、及び、環状オレフィン系フィルム - Google Patents

環状オレフィン系フィルムの製造方法、及び、環状オレフィン系フィルム Download PDF

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Description

本発明は、環状オレフィン系フィルムの製造方法、及び、環状オレフィン系フィルムに関する。
近年、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置)、タッチパネル等の用途が拡大している。このようなデバイスでは支持体や保護フィルム等に各種の樹脂フィルムが用いられている。中でも、環状オレフィンから形成されるフィルムは、耐熱性が高く、吸水率が低く、寸法安定性に優れるため好ましく用いられている。また、環状オレフィンは、低光弾性係数であるために複屈折を低く抑えることができるため、光学特性にも優れた素材である。
環状オレフィンフィルムの製造方法として、特許文献1及び特許文献2に記載された方法がある。特許文献1には、溶液製膜法(キャスト法)にて環状オレフィン系重合体フィルムを製膜する方法が記載されている。また、引用文献2には、脂環式構造を有する重合体樹脂である非晶性の熱可塑性樹脂を、押出機によって溶融させて当該押出機に取り付けられたダイスからシート状に押出し、押出されたシート状の非晶性の熱可塑性樹脂を、少なくとも1つの冷却ドラムに密着させて成形して引き取る工程を有する光学用フィルムの製造方法において、ダイスリップの表面粗さRaの平均値が0.01μm以下で、かつダイスリップ全幅における表面粗さRaの分布の範囲が前記平均値の±0.005μm以下であるダイスを使用する、長手方向に形成されるダイラインの隣接する山の頂点から谷の底点までの高さがフィルム全面で15nm〜50nmである光学用フィルムの製造方法が記載されている。
特開2002−179875号公報 特許第4442191号公報
特許文献1では、溶液キャストフィルムにより製膜を行い、環状オレフィン系フィルムを製膜している。従来は、溶液製膜法により環状オレフィン系フィルムを製造することが主流であったが、環状オレフィン系樹脂が溶解する溶媒が限定され、環状オレフィン系樹脂が溶解する溶媒のコストが高く、また、製膜後に除去した溶媒の環境への影響があること等を考慮して、溶融製膜法が使用されるようになっている。
一方、溶融製膜法では、ダイラインの発生が問題とされている。ここで、ダイラインとは、フィルムの製膜方向に連続して筋状に発生する不良であり、目視や、表面観察により確認することができる。溶融製膜法において、押出機に取り付けられたダイ出口に異物が付着する等が原因となって発生する。
特許文献2では、ダイライン低減のために、ダイスリップの表面粗さを制御することが記載されている。しかし、初期のダイラインの発生の抑制にはある程度の効果を発揮するものの、経時でのダイラインの発生を抑制することが困難であった。
本発明の目的は、溶融製膜法にて環状オレフィン系フィルムを製造する方法において、得られる環状オレフィン系フィルムにおけるダイラインの発生が抑制された環状オレフィン系フィルムの製造方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、上記の製造方法により得られた環状オレフィン系フィルムを提供することである。
本発明の上記課題は、以下の<1>又は<12>に記載の手段により達成された。好ましい実施態様である<2>〜<11>と共に以下に記載する。
<1> 環状オレフィン系樹脂、フェノール系熱安定剤、及び、チオエーテル系熱安定剤を含有する樹脂組成物を準備する工程と、上記樹脂組成物を溶融製膜する工程と、を含むことを特徴とする環状オレフィン系フィルムの製造方法、
<2> 上記チオエーテル系熱安定剤の分子量が、850以上1,400以下である、<1>に記載の環状オレフィン系フィルムの製造方法、
<3> 上記チオエーテル系熱安定剤が、下記式1で表される基を有する、<1>又は<2>に記載の環状オレフィン系フィルムの製造方法、

式1中、*は他の構造との連結部分を表す。
<4> 上記チオエーテル系熱安定剤が、上記式1で表される基を3つ以上有する、<3>に記載の環状オレフィン系フィルムの製造方法、
<5> 上記環状オレフィン系樹脂が極性基を有する、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の環状オレフィン系フィルムの製造方法、
<6> 上記樹脂組成物中のフェノール系熱安定剤の含有量が、樹脂組成物の全固形分に対して2.6〜5.1mmol/kgである、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の環状オレフィン系フィルムの製造方法、
<7> 上記樹脂組成物中のチオエーテル系熱安定剤の含有量が、樹脂組成物の全固形分に対して2.2〜43mmol/kgである、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の環状オレフィン系フィルムの製造方法、
<8> 上記樹脂組成物中のフェノール系熱安定剤の含有量が、樹脂組成物の全固形分に対して3.0〜3.8mmol/kgである、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の環状オレフィン系フィルムの製造方法、
<9> 上記樹脂組成物中のチオエーテル系熱安定剤の含有量が、樹脂組成物の全固形分に対して2.2〜25.8mmol/kgである、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の環状オレフィン系フィルムの製造方法、
<10> 上記チオエーテル系熱安定剤が、式2で表される化合物である、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の環状オレフィン系フィルムの製造方法、

式2中、Rは炭素数6〜30のアルキル基を表し、Xはn価以上のポリオールからn個の水酸基を除いた基を表し、nは3以上の整数を表す。
<11> 上記溶融製膜する工程における加熱温度が、260〜300℃である、<1>〜<10>のいずれか1つに記載の環状オレフィン系フィルムの製造方法、
<12> <1>〜<11>のいずれか1つに記載の製造方法により得られた環状オレフィン系フィルム。
本発明によれば、溶融製膜法にて環状オレフィン系フィルムを製造する方法において、得られる環状オレフィン系フィルムにおけるダイラインの発生が抑制された環状オレフィン系フィルムの製造方法を提供するができた。また、本発明によれば、上記の製造方法により得られた環状オレフィン系フィルムを提供することができた。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本発明において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
ポリマー成分の分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
1.環状オレフィン系フィルムの製造方法
本発明の環状オレフィン系フィルムの製造方法は、環状オレフィン系樹脂、フェノール系熱安定剤、及び、チオエーテル系熱安定剤を含有する樹脂組成物を準備する工程と、上記樹脂組成物を溶融製膜する工程と、を含むことを特徴とする。
発明者は鋭意検討した結果、環状オレフィン系樹脂と、フェノール系熱安定剤及びチオエーテル系熱安定剤とを併用することにより、ダイラインの発生が顕著に抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。なお、その詳細は効果の発現機構は不明であるが、以下のように推定される。
環状オレフィン系樹脂は、溶融粘度が高く、高温での製膜が必要であることに加え、構造中に3級炭素原子を多く有しているため、熱劣化しやすいと考えられる。そのため、製膜中に樹脂が熱劣化し、経時でのダイラインが悪化したと考えられる。一方、本発明では、適切な熱安定剤を使用することにより、このような熱劣化が抑制され、結果としてダイラインの発生が抑制されたと推定される。なお、フェノール系熱安定剤は、熱により発生したラジカル、特に、ペルオキシラジカルを捕捉して、ヒドロペルオキシドを生成させる。フェノール系熱安定剤自身は、フェノキシラジカルに変化する。生成したヒドロキシペルオキシドは、チオエーテル系熱安定剤の作用により、安定なアルコール化合物へと分解される。このようなフェノール系熱安定剤と、チオエーテル系熱安定剤との相乗作用により、本発明の効果が奏されたものと解される。なお、その原因は不明であるが、リン系熱安定剤をフェノール系熱安定剤又はチオエーテル系安定化剤と併用した場合では、本発明の効果は得られず、フェノール系熱安定剤とチオエーテル系安定化剤とを併用することで、優れたダイラインの抑制効果が得られることを見いだしたものである。
以下、本発明の環状オレフィン系フィルムの製造方法における各工程について説明する。
(樹脂組成物を準備する工程)
本発明の環状オレフィン系フィルムの製造方法は、環状オレフィン系樹脂、フェノール系熱安定剤、及び、チオエーテル系熱安定剤を含有する樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」ともいう。)を準備する工程(以下、「準備工程」ともいう。)を含む。
以下、本発明の樹脂組成物が含有する各成分について説明する。
<環状オレフィン系樹脂>
本発明の樹脂組成物は、環状オレフィン系樹脂を含有する。環状オレフィン系樹脂としては、例えば、付加重合型環状オレフィン樹脂(COC)、及び、開環重合型環状オレフィン樹脂(COP)等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの環状オレフィン系樹脂のTgは100〜200℃が好ましく、120〜190℃であることがより好ましく、125〜185℃であることが更に好ましい。なお、環状オレフィン系樹脂は重合した後、ペレット化して使用することが好ましい。
開環重合型シクロオレフィン樹脂(COP)としては、例えば、特開2010−164538号公報の段落0032〜0069に記載のものや、特許第4492116号公報の段落0016〜0022に記載のものを使用することができる。
付加重合型シクロオレフィン樹脂(COC)としては、例えば、特許第3723616号公報の段落0014〜0060に記載のものや、特許第3683631号公報の段落0015〜0062に記載のもの、特許第3377833号公報の段落0008〜0093に記載のものを使用することができる。
本発明において、環状オレフィン系樹脂としては、下記のノルボルネン及びその誘導体(以下、これらをノルボルネン系モノマーと総称する。)に由来する単量体単位を有する環状オレフィン系樹脂が好ましい。環状オレフィン系樹脂は、下記の飽和ノルボルネン樹脂−A、又は、飽和ノルボルネン樹脂−Bであることが好ましい。
〔飽和ノルボルネン樹脂−A〕
飽和ノルボルネン樹脂−Aとして、(1)ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体に対して、必要に応じてマレイン酸付加、シクロペンタジエン付加のようなポリマー変性を行い、その後更に水素添加して得られた樹脂、(2)ノルボルネン系モノマーを付加型重合させて得られた樹脂、(3)ノルボルネン系モノマーとエチレンやα−オレフィンなどのオレフィン系モノマーとを付加型共重合させて得られた樹脂などを挙げることができる。重合方法及び水素添加方法は、常法により行うことができる。
ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、そのアルキル及び/又はアルキリデン置換体(例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等)、並びに、これらのハロゲン等の極性基置換体;ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン等;ジメタノオクタヒドロナフタレン、そのアルキル及び/又はアルキリデン置換体、並びに、これらのハロゲン等の極性基置換体(例えば、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン等);シクロペンタジエンとテトラヒドロインデン等との付加物;シクロペンタジエンの3〜4量体(例えば、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタアントラセン)等が挙げられる。これらのノルボルネン系モノマーは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〔飽和ノルボルネン樹脂−B〕
飽和ノルボルネン樹脂−Bとして、下記式B1〜B4で表されるものが挙げられる。これらのうち、下記式B1で表されるものが特に好ましい。
式B1〜式B4中、Rb1〜Rb12は、各々独立に水素原子又は1価の置換基(好ましくは有機基)を示す。
上記の置換基としては、特許第5009512号公報の段落0036に記載されたものを例示することができる。これらの中でも、1価の置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シリル基、アリール基、アルコキシ基及びアリールオキシ基が好ましく、メチル基、トリメチルシリル基、フェニル基、又は、メトキシ基がより好ましい。
式B1〜式B4中、Rb1〜Rb12が1価の置換基(好ましくは有機基)である場合、これらのうち少なくとも1つは極性基であることが好ましい。
極性基としては、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基などが挙げられ、これら極性基はメチレン基などの連結基を介して結合していてもよい。また、カルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基、イミノ基など極性を有する2価の有機基が連結基となって結合している炭化水素基なども極性基として挙げられる。また、上記極性基としては、特許第5009512号公報の段落0037に記載されたものを例示することができる。
極性基を有することで後述するフェノール系熱安定剤及び/又はチオエーテル系熱安定剤との相溶性に優れ、ダイラインの発生がより抑制されるので好ましい。
中でも、極性基として、カルボキシ基、カルボキシアルキル基(アルキル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることが更に好ましい。)、カルボキシアリール基(アリール基の炭素数は6〜20であることが好ましく、6〜14であることがより好ましく、6〜10であることが更に好ましい。)が好ましい。
これらの飽和ノルボルネン樹脂の重量平均分子量は、5,000〜1,000,000が好ましく、8,000〜200,000がより好ましい。
本発明で用いることができる飽和ノルボルネン樹脂としては、例えば、特開昭60−168708号公報、特開昭62−252406号公報、特開昭62−252407号公報、特開平2−133413号公報、特開昭63−145324号公報、特開昭63−264626号公報、特開平1−240517号公報、特公昭57−8815号公報などに記載されている樹脂などを挙げることができる。
これらの樹脂の中でも、ノルボルネン系モノマーの開環重合体を水素添加して得られる水添重合体が特に好ましい。
本発明では、飽和ノルボルネン樹脂として、下記式B5で表される少なくとも1種のテトラシクロドデセン誘導体を単独で、又は、当該テトラシクロドデセン誘導体と、これと共重合可能な不飽和環状化合物とをメタセシス重合して得られる重合体を水素添加して得られる水添重合体を用いることもできる。
式B5中、Rb13〜Rb16は、各々独立に水素原子又は1価の置換基(好ましくは有機基)を示し、これらのうち少なくとも1つは極性基であることが好ましい。ここでいう置換基と極性基の具体例と好ましい範囲については、式B1〜式B4について説明したのと同一である。
上記式B5で表されるテトラシクロドデセン誘導体において、Rb13〜Rb16のうち少なくとも1つが極性基であることにより、後述するフェノール系熱安定剤やチオエーテル系熱安定剤との相溶性に優れ、ダイラインの発生がより抑制されるので好ましい。更に、この極性基が−(CH2nCOOR(ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基、nは0〜10の整数を示す。)で表される基であると、最終的に得られる水添重合体(偏光フィルムの基材)が、高いガラス転移温度を有するものとなるので好ましい。特に、この−(CH2nCOORで表される極性置換基は、式B5のテトラシクロドデセン誘導体の1分子あたりに1個含有されることが吸水率を低下させる点から好ましい。上記極性置換基において、Rで示される炭化水素基の炭素数が多くなるほど得られる水添重合体の吸湿性が小さくなる点では好ましいが、得られる水添重合体のガラス転移温度とのバランスの点から、当該炭化水素基は、炭素数1〜4の鎖状アルキル基又は炭素数5以上の(多)環状アルキル基であることが好ましく、特にメチル基、エチル基、シクロヘキシル基であることが好ましい。
更に、−(CH2nCOORで表される基が結合した炭素原子に、炭素数1〜10の炭化水素基が置換基として結合されている式B5のテトラシクロドデセン誘導体は、得られる水添重合体の吸湿性が低いものとなるので好ましい。特に、この置換基がメチル基又はエチル基である式B5のテトラシクロドデセン誘導体は、その合成が容易な点で好ましい。具体的には、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4,4,0,12,5,17,10〕ドデカ−3−エンが好ましい。これらのテトラシクロドデセン誘導体、及び、これと共重合可能な不飽和環状化合物の混合物は、例えば特開平4−77520号公報第4頁右上欄12行〜第6頁右下欄第6行に記載された方法によってメタセシス重合、水素添加することができる。
これらのノルボルネン系樹脂は、クロロホルム中、30℃で測定される固有粘度(ηinh)が、0.1〜1.5dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.4〜1.2dl/gである。また、水添重合体の水素添加率は、60MHz、1H−NMRで測定した値が50%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上、更に好ましくは98%以上である。水素添加率が高いほど、得られる飽和ノルボルネンフィルムは、熱や光に対する安定性が優れたものとなる。上記水添重合体中に含まれるゲル含有量は5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1質量%以下である。
〔その他の開環重合可能なシクロオレフィン類〕
本発明においては、開環重合可能な他のシクロオレフィン類を併用することができる。このようなシクロオレフィンの具体例としては、例えば、シクロペンテン、シクロオクテン、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンなどのごとき反応性の二重結合を1個有する化合物が例示される。これらの開環重合可能なシクロオレフィン類の含有量は、上記ノルボルネン系モノマーに対して0モル%〜50モル%であることが好ましく、0.1モル%〜30モル%であることがより好ましく、0.3モル%〜10モル%であることが更に好ましい。
環状オレフィン系樹脂は、エチレン単位とノルボルネン単位を含む環状オレフィン共重合体であってもよい。エチレン単位は、−CH2CH2−で表される繰り返し単位である。エチレン単位が、上述したノルボルネン単位とビニル重合することによって、環状オレフィン共重合体が得られる。ノルボルネン単位とエチレン単位の共重合モル比率が、80:20〜20:80であることが好ましく、80:20〜50:50であることが好ましく、80:20〜60:40であることがより好ましい。
なお、環状オレフィン共重合体は、エチレン単位とノルボルネン単位以外にも他の共重合可能なビニルモノマーからなる繰り返し単位を少量含有していてもよい。他のビニルモノマーとしては、具体的に、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンのような炭素数3〜18のα−オレフィン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3−メチルシクロヘキセン、シクロオクテンのようなシクロオレフィン等を挙げることができる。このようなビニルモノマーは単独であるいは2種類以上組み合わせて用いてもよく、またその繰り返し単位が全体の10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物中における環状オレフィン系樹脂の含有量は、固形分全量に対して、50〜100質量%であることが好ましく、60〜100質量%であることがより好ましく、70〜100質量%であることが更に好ましい。
<フェノール系熱安定剤>
フェノール系熱安定剤は、各種ラジカル、主としてペルオキシラジカルを捕捉して、フェノキシラジカルに変化する能力を有するものであれば特に限定されず、ヒンダードタイプ、セミヒンダードタイプ、レスヒンダードタイプに大別される。
フェノール系熱安定剤としては、公知のフェノール系熱安定剤から適宜選択すればよく、具体的には、以下の化合物が挙げられ、上市されている製品名と共に以下に記載する。
レスヒンダードタイプとしては、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン(アデカスタブAO−30((株)ADEKA製)、ヨシノックス930(吉富製薬(株)製)、Topanol CA(ICI社製))、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)(アデカスタブAO−40((株)ADEKA製)、スミライザーBBM−S(住友化学(株)製))等;
セミヒンダードタイプとしては、ビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビスオキシエチレン](Irganox 245(BASF社製)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,
10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(アデカスタブAO−80((株)ADEKA製)、スミライザーGA−80(住友化学(株)製))等;
ヒンダードタイプとしては、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール(スミライザーBHT(住友化学(株)製)、アンテージBHT(川口化学工業(株)製)、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(アデカスタブAO−50((株)ADEKA製)、Irganox1076(BASF社製)、スミライザーBP−76(住友化学(株)製)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](アデカスタブAO−60((株)ADEKA製)、Irganox1010(BASF社製)、スミライザーBP−101(住友化学(株)製))、1,3,5−トリス[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(アデカスタブAO−20((株)ADEKA製)、Irganox3114(BASF社製))、2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)メシチレン(アデカスタブAO−330((株)ADEKA製)等が例示される。
これらの中でも、フェノール系熱安定剤としては、ヒンダードタイプが好ましい。
フェノール系熱安定剤の分子量は、850〜1,400であることが好ましい。フェノール系熱安定剤の分子量が850以上であると、溶融製膜の工程において、フェノール系熱安定剤の揮発や分解が抑制されるので好ましい。また、分子量が1,400以下であると、環状オレフィン系樹脂との相溶性に優れるので好ましい。
フェノール系熱安定剤の分子量は、900〜1,350であることがより好ましく、1,000〜1,300であることが更に好ましい。
本発明において、フェノール系熱安定剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物中のフェノール系熱安定剤の含有量は、2.6〜5.1mmol/kgであることが好ましい。フェノール系熱安定剤の含有量が2.6mmol/kg以上であると、十分に環状オレフィン系樹脂の熱劣化が防止され、ダイラインの発生が抑制されるので好ましい。また、5.1mmol/kg以下であると、環状オレフィン系樹脂との相溶性に優れるので好ましい。
フェノール系熱安定剤の含有量は、3.0〜3.8mmol/kgであることがより好ましく、3.2〜3.6mmol/kgであることが更に好ましい。
なお、「樹脂組成物中のフェノール系熱安定剤の含有量が2.6mmol/kg」であるとは、樹脂組成物の固形分1kgに対して、2.6mmolのフェノール系熱安定剤を含有していることを意味する。以下の説明においても同様である。
<チオエーテル系熱安定剤>
本発明の樹脂組成物は、チオエーテル系熱安定剤を含有する。チオエーテル系熱安定剤は、少なくとも1つのチオエーテル結合(−S−)を有する化合物であれば特に限定されないが、以下の式1で表される基を有する化合物であることが好ましい。
式1中、*は他の構造との連結部分を表す。
式1で表される基を有することにより、環状オレフィン系樹脂との相溶性に優れ、また、安定剤としての高い機能を有するので好ましい。
本発明において、チオエーテル系熱安定剤は、式1で表される基を1つ以上有することが好ましく、2つ以上有することがより好ましく、3つ以上有することが更に好ましく、4つ以上有することが更に好ましい。また、その上限は特に限定されないが、分子量の観点から、9つ以下であることが好ましい。1分子中の式1で表される基の数が上記範囲内であると、相溶性に優れると共に、熱安定剤として優れた機能を有するので好ましい。
式1で表される基を有する化合物の合成方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、式1で表される基を9つ有する化合物を例に挙げると、(1)J. Org. Chem.,
1993, 58, 5876-5877に記載されている方法を参照して、ジメチルアセタールで保護した酒石酸ジメチルエステルから、9価アルコールを合成し、(2)特開2008−174506号公報の方法に従い、合成した9価アルコールと、炭素数1のアルキルメルカプタンを用いて合成する方法が挙げられる。
チオエーテル系熱安定剤は、下記式2で表される化合物であることが好ましい。
式2中、Rは炭素数6〜30のアルキル基を表し、Xはn価以上のポリオールからn個の水酸基を除いた基を表し、nは3以上の整数を表す。
式2中、Rは炭素数6〜30のアルキル基を表し、炭素数7〜24のアルキル基であることが好ましく、炭素数8〜20のアルキル基であることが更に好ましい。なお、アルキル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれのアルキル基でもよいが、直鎖状又は分岐状のアルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
Xは、n価以上のポリオールからn個の水酸基を除いた基を表す。Xは3価以上のポリオールであり、3価以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
これらの中でも、Xとしては、ペンタエリスリトールから4個の水酸基を除いた基であることが好ましい。
nは3以上の整数を表し、3〜8の整数であることが好ましく、4〜6の整数であることがより好ましく、4であることが更に好ましい。
式2で表される化合物としては、上市されている製品を使用してもよく、例えば、ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオン酸]2,2−ビス[[3−(ドデシルチオ)−1−オキソプロピルオキシ]メチル]−1,3−プロパンジイル(アデカスタブAO−412S((株)ADEKA製)が例示される。
式2で表される化合物は、特開2008−174506号公報を参照して合成してもよい。具体的には、炭素数6〜30のアルキルメルカプタンと、アクリル酸アルキルエステル(ただし、アルキル基の炭素数1〜5)とを反応させて、3−アルキルチオ−プロピオン酸エステルを得て、これを3価以上の多価アルコールとエステル交換反応させることで合成することができる。
また、チオエーテル系熱安定剤としては、上記の例に限定されず、公知のチオエーテル系熱安定剤を使用してもよく、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート(アデカスタブAO−503((株)ADEKA製))、ビス(2−メチル−4−(3−n−ドデシル)チオプロピオニルオキシ−5−t−ブチルフェニル)スルフィド(アデカスタブAO−23((株)ADEKA製))等が例示される。
本発明において、チオエーテル系熱安定剤の分子量は、850〜1,400であることが好ましい。分子量が850以上であると、溶融製膜工程において、熱分解を生じにくく、安定して効果が発揮されるので好ましい。また、分子量が1,400以下であると、環状オレフィン系樹脂との相溶性に優れるので好ましい。
チオエーテル系熱安定剤の分子量は、900〜1,350であることがより好ましく、1,000〜1,300であることが更に好ましく、1,100〜1,250であることが特に好ましい。
チオエーテル系熱安定剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物中のチオエーテル系熱安定剤の含有量は、2.2〜43mmol/kgであることが好ましい。チオエーテル系熱安定剤の含有量が2.2mmol/kg以上であると、ダイラインの発生が効果的に抑制されるので好ましい。また、43mmol/kg以下であると、環状オレフィン系樹脂との相溶性に優れるので好ましい。
チオエーテル系熱安定剤の含有量は、2.2〜25.8mmmol/kgであることがより好ましく、5〜20mmol/kgであることが更に好ましい。
なお、「樹脂組成物中のチオエーテル系熱安定剤の含有量が2.2mmol/kg」であるとは、樹脂組成物の固形分1kgに対して、2.2mmolのチオエーテル系熱安定剤を含有していることを意味する。
<その他の添加剤>
本発明において、樹脂組成物は、上記の環状オレフィン系樹脂、フェノール系熱安定剤、及び、チオエーテル系熱安定剤に加え、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、フィラー、フィラー分散剤、その他の樹脂、着色剤(染料、顔料等)、可塑剤、抗菌剤、消臭剤、脱臭剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤等が例示される。
また、上述した熱安定剤に加え、その他の熱安定剤を含有してもよく、例えば、リン系熱安定剤等が例示される。
本発明において、製膜時のフィルムの走行性が向上し、製膜機のロール上で発生する擦り傷が低減されることから、樹脂組成物に滑剤を添加してもよい。滑剤としては、例えば特開2009−227932号公報の段落0032等に記載されている滑剤を用いることができ、この記載は本明細書に組み込まれる。
具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、モンタン酸等の脂肪酸;ステアリルステアレート、ベヘニルベヘネート、ペンタエリスルトールトリステアレート、ペンタエリスルトールテトラステアレート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート等の脂肪酸エステル;ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレイルアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸アミド;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の金属石けん;モンタンロウ等の天然ワックス;等を使用することができる。滑剤の添加量は、環状オレフィン系樹脂の質量に対して、0.05質量%未満が好ましく、0.03質量%未満がより好ましく、0.01質量%未満が更に好ましい。添加量を0.05質量%未満とすることで、製膜後にフィルム表面に滑剤が析出することを低減できる。
本発明において、樹脂組成物は、上記の環状オレフィン系樹脂、フェノール系熱安定剤、チオエーテル系熱安定剤、及び、必要に応じてその他の成分を混合することによって得られる。
このとき、必要に応じて環状オレフィン系樹脂の乾燥を行うことが好ましい。乾燥は、環状オレフィン系樹脂をフェノール系安定化剤等を含むその他の成分と混合する前に行ってもよく、混合した後に行ってもよく、混合の前後で行ってもよく特に限定されない。乾燥温度は、例えばガラス転移温度(Tg)が105℃よりも大きい環状オレフィン系樹脂を用いた場合、「80℃以上、Tg以下」とすることが好ましく、「100℃以上、Tg−5℃以下」とすることがより好ましい。乾燥時間は特に限定されないが、0.5時間以上24時間以下であることが好ましく、1時間以上10時間以下であることがより好ましい。このように樹脂組成物が含有する溶剤等の揮発性成分の含有量を低減させることで、樹脂組成物の発泡が抑制され、より高品質のフィルムが得られる。
本発明の環状オレフィン系フィルムの製造方法は、このようにして調製された樹脂組成物を溶融製膜する工程(以下、溶融製膜工程ともいう。)を含む。溶融製膜工程では、上記のようにして得られた樹脂組成物を押出機に入れ、樹脂を溶融し、ダイに連続的に送り、ダイよりシート上に押出された溶融樹脂をキャスティングドラム上で冷却固化し、未延伸の環状オレフィン樹脂フィルムを得る。必要に応じて、押出機の出口で濾過を行ったり、また、押出機とダイの間にギアポンプを設けて、ギアポンプから一定量の樹脂を供給することが好ましい。
(1)押出し
押出機の種類として、一般的には設備コストの比較的安い単軸押出機が用いられることが多く、フルフライト、マドック、ダルメージ等のスクリュータイプがあるが、フルフライトタイプが好ましい。また、スクリューセグメントを変更することにより、途中でベント口を設けて不要な揮発成分を脱揮させながら押出しができる二軸押出機を用いることが可能である。二軸押出機には大きく分類して同方向と異方向のタイプがありどちらも用いることが可能であるが、滞留部分が発生しにくくセルフクリーニング性能の高い同方向回転のタイプが好ましい。
(2)濾過
樹脂中の異物濾過のためや異物によるギアポンプ損傷を避けるために、押出機出口にフィルター濾材を設けるいわゆるブレーカープレート式の濾過を行うことが好ましい。また、更に異物濾過をするために、ギアポンプ通過後にいわゆるリーフ型ディスクフィルターを組み込んだ濾過装置を設けてもよい。濾過は、濾過部を1カ所設けて行うことができ、また複数カ所設けて行う多段濾過でもよい。フィルター濾材の濾過精度は15μm〜3μmが用いられる。耐圧、フィルターライフの適性を確保するために装填枚数にて調整することが可能である。濾材の種類は、高温高圧下で使用される点から鉄鋼材料を用いることが好ましく、鉄鋼材料の中でも特にステンレス鋼、スチールなどを用いることが好ましく、腐食の点から特にステンレス鋼を用いることが望ましい。濾材の構成としては、線材を編んだものの他に、例えば金属長繊維あるいは金属粉末を焼結し形成する焼結濾材が使用でき、濾過精度、フィルターライフの点から焼結濾材が好ましい。
本発明においては、固形粒状物の量を調節する手段の一つとして、フィルターを用いてもよい。固形粒状物は軟らかく、変形可能なため、固形粒状物の直径よりも小さいフィルター濾過精度のものを使用してもある一定量通り抜ける。そのため一般的に用いられる濾過精度15〜3μmのものを用いることができる。
(3)ギアポンプ
押出機とダイの間にギアポンプを設けて、ギアポンプから一定量の樹脂を供給することが好ましい。この回転数に変動を与えることで、吐出圧変動を付与できる。ギアポンプとは、ドライブギアとドリブンギアとからなる一対のギアが互いに噛み合った状態で収容され、ドライブギアを駆動して両ギアを噛み合い回転させることにより、ハウジングに形成された吸引口から溶融状態の樹脂をキャビティ内に吸引し、同じくハウジングに形成された吐出口からその樹脂を一定量吐出するものである。
(4)ダイ
上記の通り構成された押出機によって樹脂が溶融され、必要に応じ濾過機、ギアポンプを経由して溶融樹脂がダイに連続的に送られる。ダイは、一般的に用いられるTダイ、フィッシュテールダイ、ハンガーコートダイのいずれのタイプを用いてもよい。また、ダイの直前に樹脂温度の均一性アップのためのスタティックミキサーを入れてもよい。
(5)キャスト
上記方法にて、ダイよりシート上に押出された溶融樹脂をキャスティングドラム上で冷却固化し、未延伸フィルムを得る。このとき、静電印加法、エアナイフ法、エアーチャンバー法、バキュームノズル法、タッチロール法等の方法を用い、キャスティングドラムと溶融押出ししたシートの密着を上げることが好ましい。このような密着向上法は、溶融押出しシートの全面に実施してもよく、一部に実施してもよい。特にエッジピニングと呼ばれる、フィルムの両端部のみを密着させる方法が取られることも多いが、これに限定されるものではない。
キャスティングドラムは複数本用いて徐冷することがより好ましい。特に一般的には3本の冷却ロールを用いることが比較的よく行われているが、この限りではない。ロールの直径は50mm〜5,000mmが好ましく、複数本あるロールの間隔は、面間で0.3mm〜300mmが好ましい。
キャスティングドラムの温度は、樹脂のTg−70℃〜Tg+20℃が好ましく、Tg−50℃〜Tg+10℃がより好ましく、Tg−30℃〜Tg+5℃が更に好ましい。
また、いわゆるタッチロール法を用いる場合、タッチロール表面は、ゴム、テフロン(登録商標)等の樹脂でもよく、金属ロールでもよい。更に、金属ロールの厚みを薄くすることでタッチしたときの圧力によりロール表面が若干くぼみ、圧着面積が広くなるフレキシブルロールと呼ばれるようなロールを用いてもよい。
通過する溶融樹脂にかける圧力が20〜500MPaであることが好ましく、より好ましくは30〜400MPaであり、更に好ましくは40〜300MPaであり、特に好ましくは50〜200MPaである。ここで規定する圧力とは、挟圧面を押付けている力をフィルムと挟圧面間の接触面積で割った値である。ロール間の圧力は、圧力測定フィルム(富士フイルム(株)製、中圧用プレスケール等)を常温で5m/分の速度で、2つのロールに通すことで測定することができる。
タッチロール温度は、Tg−70℃〜Tg+20℃が好ましく、Tg−50℃〜Tg+10℃がより好ましく、Tg−30℃〜Tg+5℃が更に好ましい。
(6)表面処理
本発明の環状オレフィンフィルムの製造方法においては、樹脂層と接着する場合の密着性向上等を目的として、表面処理を行ってもよい。表面処理としては、コロナ放電処理、紫外線処理、グロー放電処理、大気圧プラズマ処理、火炎処理等(以下、処理等という。)が挙げられる。
コロナ放電処理の放電周波数は50Hz〜5,000kHzが好ましく、5kHz〜数100kHzがより好ましい。被処理物の処理強度に関しては、通常のポリエステル、ポリオレフィン等のプラスチックフィルムに対する濡れ性改良の観点では、0.001KV・A・分/m2〜5KV・A・分/m2が好ましく、0.01KV・A・分/m2〜1KV・A・分/m2がより好ましい。電極と誘電体ロールのギャップクリアランスは0.5〜2.5mmが好ましく、1.0〜2.0mmがより好ましい。
紫外線処理としては、従来知られている方法、例えば、特公昭43−2603号公報、特公昭43−2604号公報、特公昭45−3828号公報、特開平6−82961号公報等に記載された方法を用いることができる。
その他の処理等の詳細は、特許第3123872号、特許第4958824号等の各公報に記載された方法を用いることができる。
(7)塗布
製造されたフィルムの表面を塗布してもよく、これにより易接着層、樹脂層、導電層、ハードコート層、帯電防止層等の機能層を付与できる。
(8)延伸処理
本発明では、必要に応じて延伸処理を行ってもよく、具体的には、キャストドラム上に押出されたキャストフィルム(未延伸原反)を縦(MD)又は横(TD)の少なくとも1軸方向に延伸してもよい。縦(MD)及び横(TD)に2軸延伸されることがより好ましい。縦及び横に2軸延伸する場合は、縦→横、横→縦のように逐次で行ってもよく、同時に2方向に延伸しても構わない。更に、例えば縦→縦→横、縦→横→縦、縦→横→横のように多段で延伸することも好ましい。
縦延伸は、通常2対以上のニップロールを設置し、その間を加熱した原反を通しながら、出口側ニップロールの周速を入口側より速くすることで達成できる。この時、表裏に温度差を付与することが好ましい。
また、縦延伸の前に原反を予熱することが好ましい。予熱温度は環状オレフィン系樹脂のTg−50℃〜Tg+30℃が好ましく、Tg−40℃〜Tg+15℃がより好ましく、Tg−30℃〜Tg℃が更に好ましい。このような予熱は、加熱ロールと接触させてもよく、放射熱源(赤外線(IR)ヒーター、ハロゲンヒーター等)を用いてもよく、熱風を吹き込んでもよい。
縦延伸はTg−10℃〜Tg+50℃で行うことが好ましく、Tg℃〜Tg+40℃がより好ましく、Tg℃〜Tg+30℃が更に好ましい。延伸倍率は1.1〜5.5倍が好ましく、1.3〜3倍がより好ましい。なお、ここでいう延伸倍率は以下の式によって求めた値である。
延伸倍率=(延伸後の長さ−延伸前の長さ)/(延伸前の長さ)
縦延伸後、冷却することが好ましく、冷却温度は、Tg−50℃〜Tg℃が好ましく、Tg−45℃〜Tg−5℃がより好ましく、Tg−40℃〜Tg−10℃が更に好ましい。このような冷却は、冷却ロールに接触させてもよく、冷風を吹き付けてもよい。
横延伸はテンターを用いて行うことが好ましい。すなわち、環状オレフィン樹脂フィルムの両端をクリップで把持しながら熱処理ゾーンを搬送し、クリップを幅方向に拡げることで行うことができる。
好ましい延伸温度はTg−10℃〜Tg+50℃であり、より好ましくはTg℃〜Tg+40℃、更に好ましくはTg℃〜Tg+30℃である。延伸倍率は1.1〜5.5倍が好ましく、より好ましくは1.3〜3倍である。
延伸工程においては、延伸処理後に、フィルムに熱処理を行うことが好ましい。
熱処理とは、好ましくはTg+10℃〜Tg+50℃程度(より好ましくはTg+15℃〜Tg+30℃)で、好ましくは1〜60秒間(より好ましくは2〜30秒間)の熱処理をフィルムに施すことをいう。熱固定は、横延伸に引き続き、テンター内でチャックに把持した状態で行うことが好ましく、この際チャック間隔は横延伸終了時の幅で行っても、更に拡げても、あるいは幅を縮めて行ってもよい。
(9)巻き取り
製膜後、延伸後に両端をトリミングし、巻き取ることが好ましい。トリミングされた部分は、粉砕処理された後、又は、必要に応じて造粒処理等を行った後、同じ品種のフィルム用原料として、又は、異なる品種のフィルム用原料として再利用してもよい。トリミングカッターはロータリーカッター、シャー刃、ナイフ等のいずれのタイプを用いてもよい。材質についても、炭素鋼、ステンレス鋼のいずれを用いてもよい。一般的には、超硬刃、セラミック刃を用いると刃物の寿命が長く、好ましい。
また、巻き取り前に、少なくとも片面にラミフィルム(ラミネートフィルム)を付けることも、傷防止の観点から好ましい。好ましい巻き取り張力は1kg/m幅〜50kg/m幅であり、より好ましくは2kg/m幅〜40kg/m幅であり、更に好ましくは3kg/m幅〜20kg/m幅である。巻き取り張力が1kg/m幅以上であれば、フィルムを均一に巻き取りやすく、巻き取り張力が50kg/m幅以下であれば、フィルムが堅巻きになることがなく、巻き外観を美しく保つことができる。
2.環状オレフィン系フィルム
本発明の環状オレフィン系フィルムは、本発明の環状オレフィン系フィルムの製造方法により得られた環状オレフィン系フィルムであり、積層フィルム、ハードコートフィルム、導電フィルム、タッチパネル、反射防止フィルム、偏光板、表示装置等に適用される。
以下、それぞれについて説明する。
(積層フィルム)
本発明の環状オレフィン系フィルムの少なくとも一方の表面上に樹脂層を設けて積層フィルムを製造してもよい。導電層を有する場合には、樹脂層を有することで導電層との密着性を向上させることができる。
樹脂層の厚みは、10〜400nmであることが好ましく、10〜200nmであることがより好ましく、10〜100nmであることが更に好ましく、20〜100nmであることが特に好ましい。厚みを10nm以上とすることで剥離応力を吸収できるようになり、密着力を向上させることができ、また、衝撃を吸収可能となることで導電層の破壊を抑制し、抵抗率の上昇を抑制することができる。一方、厚みを400nm以下とすることで樹脂層内での凝集が抑制され、密着力を向上させることができ、また、樹脂層が柔らかくなり導電層の変形を抑制し、抵抗率の上昇を抑制することができる。
樹脂層の環状オレフィン系フィルムが積層される面とは反対側の面の表面粗さ(Ra)は、0.5〜30nmであることが好ましく、0.5〜25nmがより好ましく、1〜25nmが更に好ましく、10〜20nmが特に好ましい。表面粗さ(Ra)が0.5nm以上であると、接触面積が上昇し、密着性を向上させることができる。また、密着性が不良である個所での導電層の断線を抑制でき、抵抗率の上昇を抑制することができる。一方、表面粗さ(Ra)が30nm以下であると、樹脂層の凹凸により剥離応力が集中することが抑制され密着不良が起こりにくくなる。これにより、凹凸に導電層が追随することができるようになり、導電層の欠損が抑制され抵抗率の上昇を抑制することができる。
表面粗さ(Ra)は、例えばレーザー顕微鏡を用いて測定することができる。
樹脂層の原料としては、フェノール系、アルキド系、メラミン系、ユリア系、ビニル系、エポキシ系、ポリエステル系、ポリウレタン系、アクリル系などの合成樹脂が挙られる。合成樹脂以外の他の樹脂としては、ゼラチンなどを挙げることができる。これらは市販品を用いることもでき、例えば、AS−563A(ダイセルファインケム(株)製)等が挙げられる。
また、樹脂成分の他に、必要に応じて架橋剤、造膜助剤(例えばジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、マット剤、滑り剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤、帯電防止剤、架橋剤の触媒等を含んでいてもよい。
架橋剤としては、カルボジライトV−02−L2(日清紡(株)製)、架橋剤の触媒としては、エラストロン用触媒(第一工業製薬(株)製:商品名Cat64)、マット剤としては、スノーテックスXL(日産化学工業(株)製)、滑り剤としては、セロゾール524(中京油脂(株)製)、界面活性剤としては、ナロアクティーCL95(三洋化成工業(株)製)、ラピゾールA−90(日油(株)製)などを挙げることができる。
<樹脂層の形成方法>
樹脂層は、塗布法、共押出法のいずれにより形成してもよく、素材選定範囲の広さ、溶融段階で耐熱性を考慮しなくてもよいという観点から塗布法が好ましい。
塗布法では、まず、樹脂層を構成する樹脂を含む溶液、若しくはラテックス水溶液を混合し調製した塗布液を塗設する。塗設後、塗布乾燥する際に、塗布膜(樹脂層)と雰囲気温度に1〜100℃の温度差を付けることが好ましく、3〜80℃の温度差を設けることがより好ましく、5〜60℃の温度差を設けることが更に好ましい。このような温度差を付与することで、溶媒の乾燥により塗布層内部で対流が発生し、塗膜に凹凸が形成される。雰囲気温度とは、樹脂層を形成する際(塗布表面から30cm)の外気の温度をいう。
塗布後、必要に応じて、塗布面に凹凸を有する基材を押当て凹凸を転写し、所定の表面粗さ(Ra)を樹脂層に発現させることができる。
(ハードコートフィルム)
本発明の環状オレフィン系フィルムは、ハードコートフィルムに用いることができる。本発明において、ハードコートフィルムは、本発明の環状オレフィン系フィルムと、ハードコート層とを少なくとも有することが好ましい。
ハードコート層は、環状オレフィン系樹脂を含む環状オレフィン系フィルムの表面上、又は、上記樹脂層の表面上に設けることができる。
ハードコート層は、ウェット塗布法、ドライ塗布法(真空成膜)のいずれで形成されてもよいが、生産性に優れるウェット塗布法により形成されることが好ましい。
ハードコート層としては、例えば、特開2013−45045号公報、特開2013−43352号公報、特開2012−232459号公報、特開2012−128157号公報、特開2011−131409号公報、特開2011−131404号公報、特開2011−126162号公報、特開2011−75705号公報、特開2009−286981号公報、特開2009−263567号公報、特開2009−75248号公報、特開2007−164206号公報、特開2006−96811号公報、特開2004−75970号公報、特開2002−156505号公報、特開2001−272503号公報、国際公開第12/018087号、国際公開第12/098967号、国際公開第12/086659号、国際公開第11/105594号に記載のものを使用できる。
(導電フィルム)
本発明の環状オレフィン系フィルムは、導電フィルムとしても使用される。導電フィルムは、本発明の環状オレフィン系フィルムの表面上に導電層を有することを特徴とする。本発明において、導電フィルムは、密着性に優れ、かつ導電層の視認性を低下させることが可能となる。また、電気抵抗の上昇を抑制することも可能となる。
導電層は、環状オレフィン系樹脂を含む環状オレフィン系フィルムの表面上、又は、上記樹脂層の表面上に設けることができる。導電層は層状に形成されてもよいが、間欠部を有するように形成されることが好ましい。間欠部とは、導電層が設けられていない部分をいい、間欠部の外周は導電層により囲まれていることが好ましい。本発明では、間欠部を有するように導電層が形成されることを、パターン状やメッシュ状に導電層が形成されるともいう。導電層としては、例えば、特開2013−1009号公報、特開2012−216550号公報、特開2012−151095号公報、特開2012−25158号公報、特開2011−253546号公報、特開2011−197754号公報、特開2011−34806号公報、特開2010−198799号公報、特開2009−277466号公報、特開2012−216550号公報、特開2012−151095号公報、国際公開第2010/140275号、国際公開第2010/114056号に記載された導電層を例示することができる。
本発明で用いる導電層は、銀と親水性樹脂を含むことがより好ましい。親水性樹脂としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。これらの中で特に好ましいものが、ゼラチンである。
また、本発明で用いる導電層は、有機性(例えばポリチオール等の導電性樹脂)、無機性(例えばITO等の半導体、金、銀、銅等の金属)の導電層を用いてもよく、これらの中でも、導電性の高い無機性の導電層が好ましく、金属の導電層がより好ましい。ITOなどの半導体を用いた導電層の場合は、導電層材料が透明であるため、導電層を透明フィルムの全面に付与してもよいし、細線等にパターニングしてもよい。銀ファイバーを用いた導電層の場合は、銀ファイバーがナノオーダーの微細なファイバーであり導電層材料として透明であるため、導電層を透明フィルムの全面に付与してもよいし、細線等にパターニングしてもよい。一方、ハロゲン化銀を還元した銀を用いた導電層の場合は、導電層材料が銀のバルク(塊)であり不透明であることから、透明導電層とするためには、細線にパターニングすることが必要である。
これらの中でも、ハロゲン化銀を露光によりパターニングし、現像し、形成した銀配線を用いた導電層が、光透過性、導電性に優れ、特に好ましい。
導電層の幅は0.1〜50μmの細線で形成されていることが好ましく、0.3〜30μmがより好ましく、0.5〜15μmが更に好ましい。幅を0.1μm以上とすることで、細線の破断を抑制することができ、50μm以下とすることで導電層の視認性を低下させることができる。
本発明で用いる導電層には、ハロゲン化銀写真感光材料を用いることが特に好ましい。ハロゲン化銀写真感光材料を用いる場合、導電層の製造方法には、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1)物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部を上記感光材料上に形成させる態様。
(2)物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を上記感光材料上に形成させる態様。
(3)物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる態様。
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に光透過性導電膜等の透光性導電性膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面積のフィラメントである点で後続するめっき又は物理現像過程での活性が高い。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面積の小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択してもよい。なお、拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる。
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版(株)、1955年刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Processes, 4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。本件は液処理に係る発明であるが、その他の現像方式として熱現像方式を適用する技術も参考にすることができる。例えば、特開2004−184693号、同2004−334077号、同2005−010752号の各公報に記載された技術を適用することができる。
本発明において導電層となる銀塩乳剤層は、銀塩とバインダーの他、溶媒や染料等の添加剤を含有してもよい。銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩及び酢酸銀等の有機銀塩が挙げられる。本発明では、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
銀塩乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
銀塩乳剤層の上には、保護層を設けてもよい。本発明において保護層とは、ゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために感光性を有する銀塩乳剤層上に形成される。その厚みは0.5μm以下が好ましい。保護層の塗布方法及び形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法及び形成方法を適宜選択することができる。例えば、保護層に関しては、特開2008−250233号公報等の記載を参照することができる。
更に、本発明では、下塗り層、アンチハレーション(AH)層や帯電防止層といった他の機能層を設けてもよい。下塗り層としては、特開2008−250233号公報の段落0021〜0023のものを適用できる。また、帯電防止層としては、特開2008−250233号公報の段落0012、0014〜0020のものが適用される。アンチハレーション(AH)層としては、特開2012−6377号公報の段落0064〜0068のものが適用され、中でも、以下の固体分散染料Aが好ましい。
(タッチパネル)
本発明の環状オレフィン系フィルム、積層フィルム及び導電フィルムは、タッチパネルにおいて用いることができる。
本発明のフィルムを有するタッチパネルは特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表面型静電容量方式タッチパネル、投影型静電容量方式タッチパネル、抵抗膜式タッチパネルなどが挙げられる。なお、タッチパネルとは、いわゆるタッチセンサ及びタッチパッドを含むものとする。タッチパネルにおけるタッチパネルセンサー電極部の層構成が、2枚の透明電極を貼合する貼合方式、1枚の基板の両面に透明電極を具備する方式、片面ジャンパー若しくはスルーホール方式、又は、片面積層方式のいずれでもよい。また投影型静電容量式タッチパネルは、DC駆動よりAC駆動が好ましく、電極への電圧印加時間が少ない駆動方式がより好ましい。
(反射防止フィルム)
本発明の環状オレフィンフィルム又は積層フィルムは、反射防止フィルムの支持体として用いることができる。液晶表示装置(LCD)のように高精細、高品位化された画像表示装置の場合には、上記の防塵性の他に、表示面での外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するための透明で帯電防止性能を有する反射防止フィルムを用いることが好ましい。
(偏光板)
本発明の環状オレフィン系フィルム又は積層フィルムは、偏光板において用いることができる。本発明において、偏光板は、偏光子と、上記偏光子の両側に設けられた保護フィルムとを有するものであって、上記保護フィルムの少なくとも一方として本発明の環状オレフィン系フィルムを用いることができる。環状オレフィン系フィルムは、光散乱層や反射防止層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光子と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が35〜50°の範囲にあることが好ましい。例えば、本発明の環状オレフィン系フィルムの片面に粘着層を設けてディスプレイの最表面に配置することができる。
(表示装置)
本発明の環状オレフィン系フィルム、積層フィルム又は偏光板は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)等の各種表示装置に用いることができる。本発明の環状オレフィン系フィルム又は偏光板は、画像表示装置の表示画面の視認側に配置されることが好ましい。
<液晶表示装置>
本発明の環状オレフィン系フィルム、積層フィルム又は偏光板は、特に液晶表示装置等のディスプレイの最表層に用いることが好ましい。液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された二枚の偏光板を有し、液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。更に、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモード又はECBモードであることが好ましい。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、更に60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of Tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)及び(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくはProc.IDRC(Asia Display ’95),p.577−580及び同p.707−710に記載されている。
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの一つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
<プラズマディスプレイパネル(PDP)>
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、一般に、ガス、ガラス基板、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料、蛍光体により構成される。ガラス基板は、前面ガラス基板と後面ガラス基板の二枚である。二枚のガラス基板には電極と絶縁層を形成する。後面ガラス基板には、更に蛍光体層を形成する。二枚のガラス基板を組み立てて、その間にガスを封入する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、既に市販されているものを用いることできる。プラズマディスプレイパネルについては、特開平5−205643号、同9−306366号の各公報に記載がある。
前面板をプラズマディスプレイパネルの前面に配置してもよい。前面板はプラズマディスプレイパネルを保護するために充分な強度を備えていることが好ましい。前面板は、プラズマディスプレイパネルと隙間を置いて使用してもよく、プラズマディスプレイ本体に直貼りして使用してもよい。
プラズマディスプレイパネルのような画像表示装置では、光学フィルターをディスプレイ表面に直接貼り付けてもよい。また、ディスプレイの前に前面板が設けられている場合は、前面板の表側(外側)又は裏側(ディスプレイ側)に光学フィルターを貼り付けてもよい。
<有機EL素子>
本発明の環状オレフィン系フィルム又は積層フィルムは、有機EL素子等の基板(基材フィルム)や保護フィルムとして用いることができる。本発明のフィルムを有機EL素子等に用いる場合には、特開平11−335661号、特開平11−335368号、特開2001−192651号、特開2001−192652号、特開2001−192653号、特開2001−335776号、特開2001−247859号、特開2001−181616号、特開2001−181617号、特開2002−181816号、特開2002−181617号、特開2002−056976号等の各公報記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号、特開2001−221916号、特開2001−231443号の各公報記載の内容と併せて用いることが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
実施例及び比較例で使用した成分は以下の通りである。
(環状オレフィン系樹脂)
・Arton R5000:極性基含有環状オレフィン系樹脂、JSR(株)製
・TOPAS 6017:ノルボルネンエチレン共重合体(メタセシス開環重合により得られたCOC、極性基なし)、Topas Advanced Polymer製
(フェノール系熱安定剤)
・Ph1:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、アデカスタブAO−60、(株)ADEKA製
・Ph2:3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、アデカスタブAO−80、(株)ADEKA製
・Ph3:ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、アデカスタブAO−50、(株)ADEKA製
(チオエーテル系熱安定剤)
・ThE1:ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオン酸]2,2−ビス[[3−(ドデシルチオ)−1−オキソプロピルオキシ]メチル]−1,3−プロパンジイル、アデカスタブAO−412S、(株)ADEKA製
・ThE2:特開2008−174506号公報に記載の方法に従い、炭素数7のアルキルメルカプタンから合成した下記構造の化合物
・ThE3:特開2008−174506号公報に記載の方法に従い、炭素数10のアルキルメルカプタンから合成した下記構造の化合物
・ThE4:特開2008−174506号公報に記載の方法に従い、炭素数16のアルキルメルカプタンから合成した下記構造の化合物
・ThE5:特開2008−174506号公報に記載の方法に従い、炭素数18のアルキルメルカプタンから合成した下記構造の化合物
・ThE6:ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、アデカスタブAO−503、(株)ADEKA製
・ThE7:ビス(2−メチル−4−(3−n−ドデシル)チオプロピオニルオキシ−5−t−ブチルフェニル)スルフィド、アデカスタブAO−23、(株)ADEKA製
・ThE8:特公昭55−41654号公報の方法において、ドデシル部の炭素数を34に変更し、合成した下記構造の化合物
・ThE9:特開2008−174506号公報に記載の方法に従い、ペンタエリスリトールをトリメチロールプロパンに変更し、炭素数20のアルキルメルカプタンから合成した下記構造の化合物
(その他)
・P1:亜リン酸系熱安定剤、3,9−ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、アデカスタブPEP−36、(株)ADEKA製
(熱安定剤のマスターバッチ化)
環状オレフィン系樹脂を110℃で2時間以上、熱安定剤を40℃で2時間以上、それぞれ真空乾燥させた。環状オレフィン系樹脂と、環状オレフィン系樹脂に対して10質量%の熱安定剤とを測り取り、2軸混練押出機のフィーダーに投入した。環状オレフィン樹脂と熱安定剤との混合物を、2軸混練押出機を用いて、280℃で溶融混練した。溶融混練後の溶融体を、ヌードル状に水中に押出し、水中から取り出して裁断し、熱安定剤のマスターバッチを作製した。
(製膜)
熱安定剤のマスターバッチ作製に用いた環状オレフィン系樹脂と、熱安定剤のマスターバッチとを、それぞれ110℃で2時間以上真空乾燥した。真空乾燥した環状オレフィン系樹脂200kgと、熱安定剤のマスターバッチ1.6kgとをブレンダーに投入し、15分間撹拌して、混合物を得た。得られた混合物を、押出機/ギアポンプ/フィルター/ダイ(幅1,500mm、リップギャップ1mm)を配管で連結した1軸混練押出機を用いて、280℃で混練して、溶融体を押出した。
押出した溶融体を、特開平11−235747号公報の実施例1に記載の、130℃に調温したタッチロールと、135℃に設定したキャストロールとの間に挟み込み、シート状に成型した。次に、140℃、125℃に設定した2つのチルロールに、順にシートを接触させ、冷却した。
冷却したシートを剥ぎ取り、巻き取り直前に両端(全幅の各5%)をトリミングした後、両端に幅10mm、高さ50μmの厚みだし加工(ナーリング)を施し、15m/分の速度で巻き取った。
以上により、幅1.2m、長さ500m、厚み40μmの未延伸フィルムを得た。
(実施例1〜51、及び、比較例1〜19)
表1及び表2に示したように、環状オレフィン系樹脂、フェノール系熱安定剤、チオエーテル系熱安定剤、及び、亜リン酸系熱安定剤を、表に示した含有量となるように混合した。なお、溶融製膜は、表に記載の温度で行った。
得られた環状ポリオレフィン系フィルムに対して、以下の評価を行った。
(ダイライン)
ダイラインの評価は、以下の方法に従って行った。
得られた環状ポリオレフィン系フィルムに光を照射して、透過光をスクリーンに映したときにスクリーン上に光の明又は暗の縞部分が見られる箇所(ダイライン)について、全幅に渡って観察した。このダイライン部分のフィルムを3cm角程度の大きさに切り取り、三次元表面構造解析顕微鏡(Zygo社製)を用いて、フィルム表面を観察した。フィルム上の凹凸を、干渉縞を発生させて測定した。
評価基準は以下の通りである。
A:ダイラインの発生が認められない
B:ダイラインはあるが、ダイラインの高さが100nm未満である
C:ダイラインの高さが100nm以上200nm未満である
D:ダイラインの高さが200nm以上300nm未満である
E:ダイラインの高さが300nm以上500nm未満である
F:ダイラインの高さが500nm以上である
(熱劣化)
得られた環状オレフィン系フィルムの熱劣化を、フィルムの着色を指標として評価した。
環状ポリオレフィン樹脂、及び、熱安定剤を加熱混練し、ペレット化したものを、直径約5〜6cmのアルミ製カップに3g入れた。100℃で3時間真空乾燥した後、260℃に熱したオーブンに3時間入れた。取り得出し後のポリマーの着色を、目視で4段階で評価した。
評価基準は以下の通りである。
A:着色が認められない
B:僅かに着色している
C:やや着色している
D:顕著な着色が認められる
(リップ汚れ)
10時間かけ長さ9,000mの膜の製膜が終わった後、ダイの全幅に渡ってリップに付着している異物を目視で観察し、4段階で評価した。評価基準は以下の通りである。
A:リップ汚れが認められない
B:僅かにリップ汚れが認められる
C:ややリップ汚れが認められる
D:リップが非常に汚れている

Claims (9)

  1. 環状オレフィン系樹脂、フェノール系熱安定剤、及び、チオエーテル系熱安定剤を含有する樹脂組成物を準備する工程と、
    前記樹脂組成物を溶融製膜する工程と、を含み、
    前記環状オレフィン系樹脂が、極性基を有し、
    前記極性基が、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、及び、カルボキシアリール基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基を含み、
    前記溶融製膜する工程における加熱温度が、260〜300℃であることを特徴とする
    環状オレフィン系フィルムの製造方法。
  2. 前記チオエーテル系熱安定剤の分子量が、850以上1,400以下である、請求項1に記載の環状オレフィン系フィルムの製造方法。
  3. 前記チオエーテル系熱安定剤が、下記式1で表される基を有する、請求項1又は2に記載の環状オレフィン系フィルムの製造方法。

    式1中、*は他の構造との連結部分を表す。
  4. 前記チオエーテル系熱安定剤が、前記式1で表される基を3つ以上有する、請求項3に記載の環状オレフィン系フィルムの製造方法。
  5. 前記樹脂組成物中のフェノール系熱安定剤の含有量が、2.6〜5.1mmol/kgである、請求項1〜のいずれか1項に記載の環状オレフィン系フィルムの製造方法。
  6. 前記樹脂組成物中のチオエーテル系熱安定剤の含有量が、2.2〜43mmol/kgである、請求項1〜のいずれか1項に記載の環状オレフィン系フィルムの製造方法。
  7. 前記樹脂組成物中のフェノール系熱安定剤の含有量が、3.0〜3.8mmol/kgである、請求項1〜のいずれか1項に記載の環状オレフィン系フィルムの製造方法。
  8. 前記樹脂組成物中のチオエーテル系熱安定剤の含有量が、2.2〜25.8mmol/kgである、請求項1〜のいずれか1項に記載の環状オレフィン系フィルムの製造方法。
  9. 前記チオエーテル系熱安定剤が、式2で表される化合物である、請求項1〜のいずれか1項に記載の環状オレフィン系フィルムの製造方法。

    式2中、Rは炭素数6〜30のアルキル基を表し、Xはn価以上のポリオールからn個の水酸基を除いた基を表し、nは3以上の整数を表す。
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