JP2006327110A - 光学フィルムの製造方法、光学フィルム及び位相差フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 溶融押出成形時における架橋ゲルの発生を抑制し、外観欠点が少なく、液晶表示装置等に組み込んだ場合に優れた表示品質を発現することが可能な光学フィルムの製造方法、光学フィルム及び位相差フィルムを提供する。
【解決手段】スクリューを有する成形機を用い、非晶性熱可塑性樹脂をガラス転移温度〜ガラス転移温度+200℃で加熱溶融して、溶融押出法により光学フィルムを製造する方法であって、スクリューの温度をガラス転移温度−50℃〜ガラス転移温度+200℃に調整し、押出成形する工程を有する光学フィルムの製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】スクリューを有する成形機を用い、非晶性熱可塑性樹脂をガラス転移温度〜ガラス転移温度+200℃で加熱溶融して、溶融押出法により光学フィルムを製造する方法であって、スクリューの温度をガラス転移温度−50℃〜ガラス転移温度+200℃に調整し、押出成形する工程を有する光学フィルムの製造方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、溶融押出成形時における架橋ゲルの発生を抑制し、外観欠点が少なく、液晶表示装置等に組み込んだ場合に優れた表示品質を発現することが可能な光学フィルムの製造方法、光学フィルム及び位相差フィルムに関する。
近年、ノート型パソコン、ワードプロセッサ、携帯電話、携帯情報端末等の小型化、薄型化、軽量化に伴い、これらの電子機器に、軽量かつコンパクトという特長を有する液晶表示装置が多く用いられるようになってきている。液晶表示装置には、その表示品位を保つために偏光フィルム等の各種フィルムが用いられている。また、携帯情報端末や携帯電話向けに液晶表示装置を更に軽量化するため、ガラス基板の代わりにプラスチックフィルムを用いた液晶表示装置も実用化されている。
液晶表示装置のように偏光を取り扱う装置に用いるプラスチックフィルムには、光学的に透明である他に光学的な均質性が求められる。更に、ガラス基板をプラスチックフィルムに代えたプラスチック液晶表示装置用のフィルム基板は、外部応力等によって、複屈折と厚みの積で表される位相差の変化が起こりにくいことが要求される。特にプラスチックフィルムを偏光子保護フィルムとして用いる場合は、広視野角化、大画面化のため、このような特性が強く求められる。また、各種液晶表示装置用光学フィルムへの応用の際にも、加工あるいは使用時の応力による位相差の変化が小さいことが求められる。
液晶表示装置に用いられるプラスチックフィルムとしては、通常、非晶性の熱可塑性樹脂が用いられており、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂等のエンジニアリングプラスチックスや、塩化ビニル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂等からなるフィルムが知られている。これらのなかでは、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂が、ガラス転移温度が比較的高く、光弾性定数が非常に小さいため、環境変化に対する位相差の安定性が優れていることから、位相差フィルムのベースポリマーとしてより好適に用いられる。
位相差フィルムは、通常、これらの熱可塑性樹脂を、流延(溶液キャスト)製膜法、カレンダー製膜法、溶融押出製膜法等により製膜することにより、光学フィルムを作製した後、縦方向及び/又は横方向に延伸することで製造されている。光学フィルムの製膜方法としては、高速生産性を考慮すると、溶融押出法が最も効率的であるが、溶融押出法では、押出機に投入された粉体又は粒体の樹脂が、押出機内で発生する剪断応力により架橋ゲルとなって、成膜されたフィルムの外観を著しく低下させるという問題があった。
このような問題に対し、近年では、押出機内で架橋ゲルが発生するのは、剪断応力により生成したポリマーラジカルが再結合するためであるとして、滑剤を添加したり、低圧縮比スクリューを使用したりすることにより、架橋ゲルの発生を抑制する方法が行われている。
しかしながら、このような方法で得られる光学フィルムについても、液晶表示装置等に用いられるようなフィルムとしては満足いくものではなく、更なるフィルムクリーン化、外観品質向上が要求されている。
しかしながら、このような方法で得られる光学フィルムについても、液晶表示装置等に用いられるようなフィルムとしては満足いくものではなく、更なるフィルムクリーン化、外観品質向上が要求されている。
また、特許文献1には、溶融混練押出を行う際に、スクリューの計量部での剪断速度を10sec−1以上にする環状オレフィン系樹脂の成形方法が開示されているが、このような方法は、単軸スクリューの計量部での剪断速度を所定以上とすることでゲルを破断し、微細なゲルに分割して、成形品の外観を向上させるものであり、架橋ゲルの発生を根本から抑制するものではなかった。
特開2003−311813号公報
本発明は、溶融押出成形時における架橋ゲルの発生を抑制し、外観欠点が少なく、液晶表示装置等に組み込んだ場合に優れた表示品質を発現することが可能な光学フィルムの製造方法及び光学フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、スクリューを有する成形機を用い、非晶性熱可塑性樹脂をガラス転移温度〜ガラス転移温度+200℃で加熱溶融して、溶融押出法により光学フィルムを製造する方法であって、スクリューの温度をガラス転移温度(Tg)−50℃〜Tg+200℃に調整し、押出成形する工程を有する光学フィルムの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは鋭意検討した結果、溶融押出成形を行う際に、スクリューの温度を所定の範囲内に調整することにより、架橋ゲルの発生を抑制することができ、液晶表示装置等に組み込んだ場合に優れた表示品質を発現することが可能な光学フィルムが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の光学フィルムの製造方法は、スクリューの温度をガラス転移温度−50℃〜ガラス転移温度+200℃に調整し、押出成形する工程を有する。
なお、本明細書において、上記ガラス転移温度とは、原料樹脂をフィルム状に成形し、該フィルムに0.01%の変形を10Hzで与え、25〜250℃まで昇温する動的粘弾性測定装置(RSA)で得られた引っ張り損失弾性率E”のピークトップ温度を意味する。なお、樹脂のTgは、示差走査熱量計(DSC)で測定される変位温度を示すことが一般的であるが、溶融押出法を用いてフィルムを作製する場合においては、DSCのような静的な環境における変位温度ではなく、樹脂に対して応力のかかった動的な環境下での変位温度が重要となる。そこで、本発明でのTgは、フィルムにおいて、上記条件でRSAにより測定されるE”のピークトップを示す温度を意味することとする。
なお、本明細書において、上記ガラス転移温度とは、原料樹脂をフィルム状に成形し、該フィルムに0.01%の変形を10Hzで与え、25〜250℃まで昇温する動的粘弾性測定装置(RSA)で得られた引っ張り損失弾性率E”のピークトップ温度を意味する。なお、樹脂のTgは、示差走査熱量計(DSC)で測定される変位温度を示すことが一般的であるが、溶融押出法を用いてフィルムを作製する場合においては、DSCのような静的な環境における変位温度ではなく、樹脂に対して応力のかかった動的な環境下での変位温度が重要となる。そこで、本発明でのTgは、フィルムにおいて、上記条件でRSAにより測定されるE”のピークトップを示す温度を意味することとする。
まず、本発明の光学フィルムの製造方法において用いられるスクリューの一例を図1に示す。なお、本発明に用いられるスクリューは、このような具体例に限定されるものではない。
図1aに示すように、スクリュー1は、フィードゾーン(供給部)2a、コンプレッションゾーン(圧縮部)2b及びメタリングゾーン(計量部)2cからなる単軸のスクリューであり、押出機内のシリンダー内に回転可能な状態ではめ合わせることによって使用することができる。ここで、コンプレッションゾーン2bは、スクリューの先端部に行くに従って、スクリュー谷径が大きくなっており、フィードゾーン2a及びメタリングゾーン2cは、スクリュー谷径が均一となっている。なお、図1には、コンプレッションゾーン2bにおいて、スクリュー谷径がスクリュー先端へ向かって徐々に大きくなるスクリューを図示しているが、本発明では、コンプレッションゾーン2bにおいて、スクリューピッチがスクリュー先端へ向かって徐々に小さくなるスクリューを用いてもよい。
このように、コンプレッションゾーン2bとは、スクリュー1のうち、スクリュー谷径がスクリュー先端へ向かって徐々に大きくなるか、又は、スクリューピッチがスクリュー先端へ向かって徐々に小さくなる部位のことをいい、フィードゾーン2aとは、スクリューの根元からコンプレッションゾーン2bまでの部位のことをいい、メタリングゾーン2cとは、コンプレッションゾーン2bからスクリューの先端までの部位のことをいう。そして、フィードゾーン2aから供給された樹脂は、スクリューの回転によって図に示す方向に移送され、圧縮、溶融混練される。
このように、コンプレッションゾーン2bとは、スクリュー1のうち、スクリュー谷径がスクリュー先端へ向かって徐々に大きくなるか、又は、スクリューピッチがスクリュー先端へ向かって徐々に小さくなる部位のことをいい、フィードゾーン2aとは、スクリューの根元からコンプレッションゾーン2bまでの部位のことをいい、メタリングゾーン2cとは、コンプレッションゾーン2bからスクリューの先端までの部位のことをいう。そして、フィードゾーン2aから供給された樹脂は、スクリューの回転によって図に示す方向に移送され、圧縮、溶融混練される。
本発明では、押出成形工程を行う際、非晶性熱可塑性樹脂をガラス転移温度〜ガラス転移温度+200℃で加熱溶融し、スクリューの温度をTg−50℃〜Tg+200℃に調整する。従来より、成形の際にスクリューの温度を調整する方法は開示されているが、これらの技術は、主としてスクリューの過熱による樹脂の融着や、溶融樹脂の過熱による樹脂の劣化を防止するために、冷媒等を使用して、スクリュー内部の冷却を行うことで温度を調節するものであった。本発明では、スクリューの温度を上記範囲内に調整することで、成形機内のバレルと、スクリューとによって同時に樹脂を加熱することができ、これにより、剪断によって生じる架橋ゲルの発生を抑制し、外観欠点の少ない光学フィルムを作製することを目的とする点が従来技術と異なる点である。
本発明の対象となる非晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリアリレート、セルロース系樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系ポリマー等が挙げられる。
押出成形工程を行う際に、原料樹脂の温度がTg〜Tg+80℃の範囲内である場合、樹脂の粘度が非常に高くなり、押出機内で大きな剪断応力が発生するため、架橋ゲルが生成されやすい状態となる。一方、Tg未満とすると、押出機内の樹脂は粉体や粒体の固体として存在するので、スクリューによる剪断を加えても、滑りや割れにより大きな剪断応力が発生することはなく、架橋ゲルがあまり増加しなくなる。従って、溶融押出成形の際には、樹脂の温度がTg〜Tg+80℃の範囲内となる時間をできる限り短縮させることが重要となる。
本発明では、上記スクリューの温度を上記範囲内に調整することで、押出機内のバレルと、スクリューとによって同時に樹脂を加熱することができることから、樹脂を迅速に加熱することが可能となり、樹脂の温度がTg〜Tg+80℃の範囲内となる時間を大幅に短縮させることが可能となる。これにより、押出成形において、架橋ゲルの発生を抑制することができ、外観欠点の少ない光学フィルムを製造することが可能となる。
本発明では、上記スクリューの温度を上記範囲内に調整することで、押出機内のバレルと、スクリューとによって同時に樹脂を加熱することができることから、樹脂を迅速に加熱することが可能となり、樹脂の温度がTg〜Tg+80℃の範囲内となる時間を大幅に短縮させることが可能となる。これにより、押出成形において、架橋ゲルの発生を抑制することができ、外観欠点の少ない光学フィルムを製造することが可能となる。
上記スクリューの温度がTg−50℃未満であると、温度が低すぎるため、樹脂を迅速に加熱することができず、樹脂の温度がTg〜Tg+80℃の範囲内となる時間を短縮させることができない。Tg+200℃を超えると、スクリュー近傍に存在する樹脂が過熱状態となり、スリップが発生したり、樹脂の劣化が起こったりする。
好ましい下限はTg+50℃であり、好ましい上限はTg+150℃である。
好ましい下限はTg+50℃であり、好ましい上限はTg+150℃である。
また、本発明の光学フィルムの製造方法において、押出成形を行う際のシリンダーの設定温度は、黄変や焼け焦げが発生しない程度に高めにすることが好ましく、好ましい下限がTg+120℃、好ましい上限がTg+150℃である。上記シリンダーの設定温度をこのような範囲とすることで、剪断応力の発生に伴う架橋ゲルの生成を抑制することが可能となる。
上記スクリューの温度を上記範囲内に調整する方法としては特に限定されず、例えば、スクリュー内部に設置したシリンダーヒーターに通電する方法や、加熱オイルをスクリューの内部で循環させる方法等が挙げられるが、過熱状態になった場合、副作用により架橋ゲルの発生が促進される可能性があるため、オイル等の熱媒をスクリュー内部に循環させる方法が好ましい。シリンダーヒーターを使用する場合は、通電率を計測することで、スクリューの温度を測定することができ、オイル等の熱媒を使用する場合は、熱媒の入出時の温度差を計測することによりスクリューの温度を測定することができる。
なお、通常の溶融押出成形においては、スクリューのコンプレッションゾーン及びメタリングゾーンに存在する樹脂は、バレルからの熱や剪断発熱によって充分に加熱されているものと考えられることから、上記シリンダーヒーターやオイル循環装置等を取り付ける場合は、スクリューのフィードゾーンに取り付けることが好ましい。
なお、通常の溶融押出成形においては、スクリューのコンプレッションゾーン及びメタリングゾーンに存在する樹脂は、バレルからの熱や剪断発熱によって充分に加熱されているものと考えられることから、上記シリンダーヒーターやオイル循環装置等を取り付ける場合は、スクリューのフィードゾーンに取り付けることが好ましい。
上記スクリューの圧縮比は、2.5未満であることが好ましい。2.5以上であると、発生する剪断応力によって、架橋ゲルが生成することがある。なお、上記圧縮比とは、フィードゾーンとメタリングゾーンの溝の深さの比のことをいう。
本発明においては、スクリューの形状については特に限定されないが、充満率の低下等の不都合が生じる場合には、本発明の効果が損なわれない範囲で溝の深さやフライト幅等を調整してもよい。更に、上記スクリューとしては、フルフライトスクリューが好ましい。
上記スクリューの材質としては特に限定されないが、焼け焦げ付着防止の観点から、表面にメッキ又はセラミックコーティング処理が施されていることが好ましい。上記メッキ又はコーティングとしては、クロムメッキ、チタンカーバイドコーティング、タングステンカーバイドコーティング等が挙げられる。
上記スクリューを使用する成形機としては、溶融押出法による成形が可能であれば特に限定されないが、例えば、Tダイ押出成形機(単層及び多層)、射出成形機、ダイレクトブロー成形機、射出ブロー成形機、インフレーション成形機、カレンダー成形機、テンター法二軸延伸成形機、チューブラー法二軸延伸成形機、一軸延伸成形機、カレンダー成形機、異形押出成形機、パイプ成形機、マンドレル成形機、押出紡糸成形機等を用いることができる。
上記成形機を用いる場合の原料樹脂の供給方法としては、振動ホッパー、強制フィーダー付ホッパー、窒素置換ホッパー等の装置が本発明の目的を損なわない範囲で使用可能であり、飢餓フィードも架橋ゲル発生の抑制に効果的である。なお、上記飢餓フィードとは、ホッパーに樹脂を充満させて溶融押出を行った場合の吐出量より少ない量の樹脂をフィーダーで供給することにより溶融押出する方法であるが、追加設備としてフィーダーが必要である。
本発明の光学フィルムの製造方法を用いて製造されてなる光学フィルムは、100μm以上の外観欠点が10個/m2以下である。このような光学フィルムもまた本発明の1つである。
上記100μm以上の外観欠点が10個/m2を超えると、光学フィルムとして液晶表示装置等に用いられる際に、表示品質を低下させることとなる。なお、現在要求されている液晶表示装置の表示品質を満たすためには、好ましい上限は3個/m2であり、より好ましい上限は1個/m2である。なお、本明細書において、上記外観欠点の数は、例えば、マイクロスコープを用いた透過法で、架橋ゲルに起因する長径が100μm以上の外観欠点をカウントし、単位面積当たりに換算して算出する方法等によって求めることができる。
本発明の光学フィルムは、ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの共重合体からなるものであることが好ましい。なお、上記ノルボルネン系モノマーとはその構造内にノルボルネンやテトラシクロドデセン等に代表されるノルボルネン環構造を有する不飽和化合物を表し、オレフィン系モノマーとは直鎖状オレフィン、環状オレフィンに代表されるノルボルネン環を有さない炭素と水素からなる不飽和炭化水素化合物を表す。
上記ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの共重合体の市販品の具体例としては、例えば、「APL」(三井化学社製)、「TOPAS」(チコナ社製)等が挙げられる。
上記ノルボルネン系モノマーとしては、ノルボルネン環を有するものであれば、特に限定されず、例えば、特開平5−39403号公報、特開平5−212828号公報、特許第3038825号公報、特許第3019741号公報、特許第3030953号公報等に記載されている公知のノルボルネン系モノマーが挙げられる。具体的には、例えば、ノルボルネン、メタノオクタヒドロナフタレン、ジメタノオクタヒドロナフタレン、ジメタノドデカヒドロアントラセン、ジメタノデカヒドロアントラセン、トリメタノドデカヒドロアントラセン等やこれらの置換体;ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン、メタノオクタヒドロベンゾインデン、ジメタノデカヒドロベンゾインデン、メタノオクタヒドロフルオレン、ジメタノヒドロオクタフルオレン等やこれらの置換体等が挙げられる。なお、これらのノルボルネン系モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記置換体における置換基としては、公知の炭化水素基又は極性基であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、アルキル基、アルキリデン基、アリール基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン基、水酸基、カルボン酸基、無水酸基、エステル基、アミノ基、ピリジル基、シアノ基、シリル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基等が挙げられる。これらの置換基は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
上記置換基により置換されたノルボルネン系モノマーとしては、特に限定されず、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネン、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−エチリデン−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4−ジメタノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン、5,8−メタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−2,3−シクロペンタジエノナフタレン、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタアントラセン等が挙げられる。
上記オレフィン系モノマーとしては特に限定されず、例えば、エチレンやα−オレフィン等の直鎖状オレフィン系モノマーや、シクロペンテン、シクロオクテン、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン等の環状オレフィン系モノマー等が挙げられる。
上記ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの共重合体の数平均分子量の好ましい下限は5000、好ましい上限は15万である。5000未満であると、得られる光学フィルムの機械的強度が低下することがあり、15万を超えると、溶融粘度が上昇することに伴い、成形性が低下することがある。より好ましい下限は1万、より好ましい上限は10万である。なお、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法によって測定された標準ポリスチレン換算値のことをいう。
本発明の光学フィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲内において、耐熱性、耐紫外線性、平滑性及び成形性等を向上させるために、酸化防止剤、フェノール系、リン系等の老化防止剤、フェノール系等の熱劣化防止剤、アミン系等の帯電防止剤、脂肪族アルコールのエステル、多価アルコールの部分エステルや高級脂肪酸、及び、これらのアミド等の滑剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤等の添加剤を含有してもよい。なお、上記添加剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,6,ジメチルフェノール、2,2−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス(ジ−ノニルフェニルホスファイト)等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、p−t−ブチルフェニルサリシレート、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−(2’−ジヒドロキシ−4’−m−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。また、上記滑剤としては、例えば、パラフィンフェノス、硬化油等が挙げられ、上記帯電防止剤としては、例えば、ステアロアジトプロピルジメチル−β−ヒドロキシエチルアンモニウムトレート等が挙げられる。なお、上記滑剤として粉状のものを添加した場合は、装置や工程が複雑化するため注意する必要がある。
本発明の光学フィルムの厚みの好ましい下限は10μm、好ましい上限は500μmである。また、より好ましい下限は30μm、より好ましい下限は200μmである。
本発明の光学フィルムに、延伸処理を施すことで、位相差フィルムを作製することができる。このような位相差フィルムもまた本発明の1つである。なお、延伸処理の具体的方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。
本発明によれば、溶融押出成形時における架橋ゲルの発生を抑制し、外観欠点が少なく、液晶表示装置等に組み込んだ場合に優れた表示品質を発現することが可能な光学フィルムの製造方法、光学フィルム及び位相差フィルムを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの共重合体として、テトラシクロドデセンとエチレンの共重合体(APL6015T、三井化学社製、Tg=145℃)を用い、この樹脂を、スクリュー外径が30mm、圧縮比(CR)が2.3であるフルフライトスクリュー(L/D=28)を有する押出機に供給して溶融、混練し、Tダイから溶融押出を行って、平均厚みが100μmの光学フィルムを得た。
なお、スクリューとしては、加熱オイルを内部(x/D=0〜10)に循環させる方式の温度調整機能付スクリューを用い、原料の投入は、押出機に設けたホッパーに原料を充満させた後、自重によって投入させる自然投入とした。また、樹脂投入口からホッパーに窒素を送り込んで酸素を排出した。なお、x/D=0〜10は、スクリューの根元からシリンダーの全長の10/28までに相当する区間を示す。
ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの共重合体として、テトラシクロドデセンとエチレンの共重合体(APL6015T、三井化学社製、Tg=145℃)を用い、この樹脂を、スクリュー外径が30mm、圧縮比(CR)が2.3であるフルフライトスクリュー(L/D=28)を有する押出機に供給して溶融、混練し、Tダイから溶融押出を行って、平均厚みが100μmの光学フィルムを得た。
なお、スクリューとしては、加熱オイルを内部(x/D=0〜10)に循環させる方式の温度調整機能付スクリューを用い、原料の投入は、押出機に設けたホッパーに原料を充満させた後、自重によって投入させる自然投入とした。また、樹脂投入口からホッパーに窒素を送り込んで酸素を排出した。なお、x/D=0〜10は、スクリューの根元からシリンダーの全長の10/28までに相当する区間を示す。
更に、押出成形の際には、スクリューの温度を245℃(Tg+100℃)に調整するとともに、押出機内の設定温度条件は、以下の通りとした。
C1/C2/C3/C4/AD1/PF/AD2/D=200/230/250/250/250/250/250/250℃
ここで、C1〜4は押出機のシリンダーを押出方向に4等分した各区画の設定温度、AD1、2は、各装置接続部アダプタ設定温度、DはTダイ設定温度を表し、PFは、押出ライン中に設置したステンレス繊維からなる焼結フィルタ部分の設定温度を表す。
C1/C2/C3/C4/AD1/PF/AD2/D=200/230/250/250/250/250/250/250℃
ここで、C1〜4は押出機のシリンダーを押出方向に4等分した各区画の設定温度、AD1、2は、各装置接続部アダプタ設定温度、DはTダイ設定温度を表し、PFは、押出ライン中に設置したステンレス繊維からなる焼結フィルタ部分の設定温度を表す。
(実施例2)
ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの共重合体として、ノルボルネンとエチレンの共重合体(Topas6013、Ticona社製、Tg=140℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを作製した。
ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの共重合体として、ノルボルネンとエチレンの共重合体(Topas6013、Ticona社製、Tg=140℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを作製した。
(比較例1)
スクリュー内部のオイルを循環させず、温度調整を行わなかった以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを作製した。
スクリュー内部のオイルを循環させず、温度調整を行わなかった以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを作製した。
(比較例2)
スクリューの温度を60℃(Tg−85℃)に調整した以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを作製した。
スクリューの温度を60℃(Tg−85℃)に調整した以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを作製した。
(評価)
(1)外観欠点の個数評価
得られた光学フィルムを200mm×250mmに切り取ったサンプルを10枚ずつ作製し、このようなサンプルについて、マイクロスコープを用いて透過法によって、架橋ゲルに起因する長径が100μm以上の外観欠点をカウントし、単位面積1m2当たりに換算した。なお、得られた結果をもとに以下の基準で評価を行った。
○:外観欠点個数が10個/m2以下であった。
×:外観欠点個数が10個/m2を超えるものであった。
(1)外観欠点の個数評価
得られた光学フィルムを200mm×250mmに切り取ったサンプルを10枚ずつ作製し、このようなサンプルについて、マイクロスコープを用いて透過法によって、架橋ゲルに起因する長径が100μm以上の外観欠点をカウントし、単位面積1m2当たりに換算した。なお、得られた結果をもとに以下の基準で評価を行った。
○:外観欠点個数が10個/m2以下であった。
×:外観欠点個数が10個/m2を超えるものであった。
本発明によれば、溶融押出成形時における架橋ゲルの発生を抑制し、外観欠点が少なく、液晶表示装置等に組み込んだ場合に優れた表示品質を発現することが可能な光学フィルムの製造方法、光学フィルム及び位相差フィルムを提供することができる。
Claims (4)
- スクリューを有する成形機を用い、非晶性熱可塑性樹脂をガラス転移温度〜ガラス転移温度+200℃で加熱溶融して、溶融押出法により光学フィルムを製造する方法であって、スクリューの温度をガラス転移温度−50℃〜ガラス転移温度+200℃に調整し、押出成形する工程を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
- 請求項1記載の光学フィルムの製造方法によって製造されてなる光学フィルムであって、
100μm以上の外観欠点が10個/m2以下であることを特徴とする光学フィルム。 - ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの共重合体からなることを特徴とする請求項2記載の光学フィルム。
- 請求項2又は3記載の光学フィルムを用いてなることを特徴とする位相差フィルム。
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JP2005156415A JP2006327110A (ja) | 2005-05-27 | 2005-05-27 | 光学フィルムの製造方法、光学フィルム及び位相差フィルム |
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JP2007160720A (ja) * | 2005-12-14 | 2007-06-28 | Sekisui Chem Co Ltd | 光学フィルムおよび位相差フィルム並びに光学フィルムの製造方法 |
JP2009202426A (ja) * | 2008-02-28 | 2009-09-10 | Fujifilm Corp | 光学用樹脂フィルムの製造方法および光学フィルム |
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- 2005-05-27 JP JP2005156415A patent/JP2006327110A/ja not_active Withdrawn
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