JPWO2016158059A1 - デファレンシャル装置 - Google Patents

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Abstract

デフケース(54)にピニオンシャフト孔(57)と一対のドライブシャフト孔(58a,58b)との他に孔として2つの油孔(59)のみを形成し、ドライブシャフト28の回転軸の回転中心に対して内周がサイドギヤ用ワッシャ(56)の外周より小さく、外周がドライブシャフト(28)の回転軸の回転中心から油孔(59)の最外縁までより大きくなるように環状に形成したレシーバ(70)を取り付ける。これにより、レシーバ(70)の内周より外周側の潤滑油の排出を規制することができ、デフケース(54)が回転しているときでも回転していないときでもサイドギヤ用ワッシャ(56)に潤滑油を供給することができる。

Description

本開示は、デファレンシャル装置に関する。
従来、この種のデファレンシャル装置としては、デフケースの内部に、デフケースが回転した際に内部に供給された潤滑油を保持するための油溜を設けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このデファレンシャル装置では、デフケースを回転自在に支持するころがり軸受を介してデフケースのサイドギヤより外周側に形成された油孔を介して潤滑油がデフケースの内部に供給されており、油溜は、油孔の外周側に設けられている。また、車輪駆動軸と車軸貫通孔との摺動部位の潤滑に供された潤滑油が、デフケースの内部に流動して、サイドギヤの背面とデフケースの内面との摺動部位、サイドギヤと車輪駆動軸とのスプラインなどによる結合部位の潤滑に供される。
特開2002−174327号公報
しかしながら、上述のデファレンシャル装置では、サイドギヤより外周側に油孔が形成されているため、油孔が最下部の位置でデフケースが回転停止しているときには、油溜に潤滑油が保持されるものの、油孔より上部の潤滑油は油孔から流出するため、油孔より内周側(上部)に位置するサイドギヤとデフケースとの間に取り付けられたワッシャなどへの潤滑油の供給が不足する場合が生じる。デフケースが回転しているときには、油孔より内周側の潤滑油は遠心力により油孔から排出されるから、この場合も油孔より内周側に位置するワッシャへの潤滑油の供給が不足する。
また、車輪駆動軸と車軸貫通孔との摺動部位に供される潤滑油の油量はごく僅かなものなので、車輪駆動軸と車軸貫通孔との摺動部位を通過してサイドギヤの背面とデフケースの内面との摺動部位に供される潤滑油の量はごく僅かである。そのため、サイドギヤの背面とデフケースとの間に設けられるサイドワッシャの耐久性を確保するために、サイドワッシャに作用する面圧を小さくする必要があり、サイドギヤを大きくしてサイドワッシャの受圧面積を大きくしたり、差動機構が働いている際、すなわちサイドギヤが回転する際に、トルク制限したりする必要がある。その結果、デファレンシャル装置が大型化したり、走行性能が制限されたりしてしまう。
本開示のデファレンシャル装置は、デフケース内に潤滑油を保持することを主目的とする。
本開示のデファレンシャル装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本開示のデファレンシャル装置は、
ピニオンシャフトに支持されたピニオンギヤと、前記ピニオンギヤと噛合すると共に一対のドライブシャフトにそれぞれ固定される一対のサイドギヤと、前記ピニオンシャフトが挿通されるピニオンシャフト孔と前記一対のドライブシャフトが挿通される一対のドライブシャフト孔が形成されていると共に前記ピニオンギヤおよび前記一対のサイドギヤを収納するデフケースと、前記一対のサイドギヤと前記デフケースとの間に配置されるサイドギヤ用ワッシャと、を備えるデファレンシャル装置であって、
前記デフケースには、前記ピニオンシャフト孔と前記一対のドライブシャフト孔の他には、サイドギヤ用ワッシャより外径に設けられた潤滑油の給排用の少なくとも1つの油孔のみが形成され、
前記サイドギヤ用ワッシャの外周より小さい内径まで延び、前記油孔より内径までデフケース内に油を溜める油流出規制部材を備えられる、
ことを要旨とする。
この本開示のデファレンシャル装置では、デフケースには、ピニオンギヤと一対のサイドギヤとが収納されており、サイドギヤとデフケースとの間にはサイドギヤ用ワッシャが配置されている。デフケースには、ピニオンシャフトが挿通されるピニオンシャフト孔と一対のドライブシャフトが挿通される一対のドライブシャフト孔の他には、サイドギヤ用ワッシャより外径に設けられた潤滑油の給排用の少なくとも1つの油孔のみが形成されている。そして、サイドギヤ用ワッシャの外周より小さい内径まで延び、油孔より内径までデフケース内に油を溜める油流出規制部材を備えている。油孔が最下部の位置でデフケースが回転停止しているときには、サイドギヤ用ワッシャの外周より小さい内径まで延びた油流出規制部材によって油孔より内径までデフケース内に油を溜める。これにより、サイドギヤ用ワッシャに潤滑油を供給することができる。デフケースが回転しているときには、デフケース内の潤滑油は遠心力により油孔から排出されるが、油流出規制部材の内周より外周側の潤滑油はデフケース内に保持される。これにより、サイドギヤ用ワッシャに潤滑油を供給することができる。これらの結果、デフケースの回転に拘わらず、サイドギヤ用ワッシャに潤滑油を供給することができる。
本開示の第1実施形態に係るデファレンシャル装置50を含む動力伝達装置20の概略構成図である。 デファレンシャル装置50の構成の概略を示す構成図である。 図2のデフケース54を左斜め上方から見た外観図である。 図2のデフケース54を右斜め上方から見た外観図である。 レシーバ70の内周や外周とサイドギヤ用ワッシャ56の外周などを示す説明図である。 第2実施形態のデファレンシャル装置50Bの構成の概略を示す構成図である。 図6のA−A断面を簡略化して示す簡略断面図である。 潤滑油保持部材80を図7中矢印Cから見た平面図である。 デフケース54Bの回転時に潤滑油が油孔59からデフケース54B内部に供給される様子を模式的に示す説明図である。
次に、本開示を実施するための形態について説明する。図1は、本開示の第1実施形態に係るデファレンシャル装置50を含む動力伝達装置20の概略構成図である。第1実施形態の動力伝達装置20は、前輪駆動車両に搭載される図示しないエンジンのクランクシャフトに接続されると共にエンジンからの動力を左右の駆動輪(前輪)DWに伝達可能なものである。図示するように、動力伝達装置20は、周知の流体伝動装置(トルクコンバータ)および自動変速機を有する自動変速装置22と、ギヤ機構(ギヤ列)40と、デファレンシャル装置(差動機構)50等を備える。
ギヤ機構40は、自動変速装置22の図示しない出力軸に固定されたカウンタドライブギヤ41と、出力軸と平行に延在するカウンタシャフト42に固定されると共にカウンタドライブギヤ41に噛合するカウンタドリブンギヤ43と、カウンタシャフト42に形成(あるいは固定)されたドライブピニオンギヤ(ファイナルドライブギヤ)44と、ドライブピニオンギヤ44に噛合すると共にデファレンシャル装置50に連結されるデフリングギヤ(ファイナルドリブンギヤ)45とを有する。
図2は、デファレンシャル装置50の構成の概略を示す構成図であり、図3は図2のデフケース54を左斜め上方から見た外観図であり、図4は図2のデフケース54を右斜め上方から見た外観図である。デファレンシャル装置50は、図1および図2に示すように、一対(2個)のピニオンギヤ51と、それぞれドライブシャフト28に固定されると共に一対のピニオンギヤ51に直角に噛合する一対(2個)のサイドギヤ52と、一対のピニオンギヤ51を支持するピニオンシャフト53と、一対のピニオンギヤ51および一対のサイドギヤ52を収容すると共に上述のデフリングギヤ45が連結(固定)されるデフケース54とを有する。第1実施形態では、各ピニオンギヤ51および各サイドギヤ52は、すぐばかさ歯車として構成されている。また、ピニオンギヤ51のそれぞれとデフケース54との間には、ピニオンギヤ用ワッシャ55が配置され、サイドギヤ52のそれぞれとデフケース54との間には、サイドギヤ用ワッシャ56が配置されている。そして、デフケース54は、2つのケース部材24a,24bにより構成されたトランスミッションケース24により軸受26を介してドライブシャフト28と同軸に回転自在に支持される。
デフケース54は、図2中左側のドライブシャフト28が挿通されるドライブシャフト孔58aが形成された環状のケース部材54aと、図2中右側のドライブシャフト28が挿通されるドライブシャフト孔58bと図2中上側のピニオンシャフト53が挿通されるピニオンシャフト孔57とが形成された椀状のケース部材54bと、により構成されている。ケース部材54a,54bの外周縁近傍のフランジ部61a,61bにはボルト孔62a,62bが形成されており、ケース部材54a,54bは、複数のボルトによってデフリングギヤ45と共に締結されている。デフケース54には、ピニオンシャフト孔57と一対のドライブシャフト孔58a,58bとの他に孔としては、ドライブシャフト28の回転軸の回転中心から同一径の位置に潤滑油の給排用の2つの油孔59のみが形成されている。この2つの油孔59には、トランスミッションケース24に形成された油路30から潤滑油が供給される。
デフケース54(ケース部材54a)には、デフケース54内の潤滑油の流出を規制するための油流出規制部材として機能する断面形状が略L字形状で環状のレシーバ70が取り付けられている。レシーバ70は、ドライブシャフト28の回転軸の回転中心に対して内周がサイドギヤ用ワッシャ56の外周より小さく、外周がドライブシャフト28の回転軸の回転中心から油孔59の最外縁までより大きくなるように形成されている。レシーバ70の外周部は、ケース部材54aのフランジ部61aに沿うように屈曲して図2中左側に延出しており、その端部72は軸受26のレース27に当接している。このように、端部72が軸受26のレース27に当接することにより、レシーバ70は抜け止めされている。レシーバ70は、外周側はケース部材54aに接触し、内周側は図2中左側に折れ曲がることによりケース部材54aと非接触となるように形成されている。このため、ケース部材54aと非接触な内周側から潤滑油のデフケース54への給排を行なう。
図5に、一方の油孔59が最下部に位置するときのレシーバ70の内周および外周とサイドギヤ用ワッシャ56の外周などを示す。デフケース54が回転していないときのデフケース54内の潤滑油の液面は、2つの油孔59の位置にもよるが、一方の油孔59が最下部に位置するときに最も低くなる。この場合、図5に示すように、潤滑油の液面は、レシーバ70の内周の最下部(図2および図5の2点鎖線A)となる。レシーバ70の内周はサイドギヤ用ワッシャ56の外周より小さいから、潤滑油の液面が最も低くなるときでも、サイドギヤ用ワッシャ56の外周側は潤滑油に浸ることになる。一方の油孔59が最下部に位置するとき以外では、潤滑油の液面はもっと高くなるから、サイドギヤ用ワッシャ56の外周側は当然に潤滑油に浸ることになる。したがって、デフケース54が回転していないときには、油孔59の回転位置に拘わらず、常にサイドギヤ用ワッシャ56に潤滑油を供給することができる。一方、デフケース54が回転しているときには、その遠心力により潤滑油は2つの油孔59から排出されるが、レシーバ70の存在によりその内周より外周側の潤滑油の流出は規制される。このため、デフケース54が回転しているときでもサイドギヤ用ワッシャ56の外周部に潤滑油を供給することができる。
以上説明した第1実施形態のデファレンシャル装置50では、デフケース54にピニオンシャフト孔57と一対のドライブシャフト孔58a,58bとの他に孔として2つの油孔59のみを形成し、ドライブシャフト28の回転軸の回転中心に対して内周がサイドギヤ用ワッシャ56の外周より小さく、外周がドライブシャフト28の回転軸の回転中心から油孔59の最外縁までより大きくなるように環状に形成したレシーバ70を取り付けることにより、レシーバ70の内周より外周側の潤滑油の排出を規制することにより、デフケース54が回転しているときでも回転していないときでもサイドギヤ用ワッシャ56に潤滑油を供給することができる。
第1実施形態のデファレンシャル装置50では、デフケース54には、ピニオンシャフト孔57と一対のドライブシャフト孔58a,58bとの他に孔としてドライブシャフト28の回転軸の回転中心から同一径の位置に潤滑油の給排用の2つの油孔59のみを形成するものとしたが、油孔は2つに限定されるものではなく、ドライブシャフト28の回転軸の回転中心から同一径の位置であれば3つ以上であってもよいし、1つであってもよい。
第1実施形態のデファレンシャル装置50では、レシーバ70の外周部がケース部材54aのフランジ部61aに沿うように屈曲し、その端部72が軸受26のレース27に当接するようにレシーバ70を形成したが、レシーバ70の端部72が軸受26のレース28に当接しないものとしても構わない。この場合、ケース部材54aにレシーバ70の端部72に当接してレシーバ70の抜け止めを防止するための突起などを形成するものとしてもよい。
次に、本開示の第2実施形態に係るデファレンシャル装置50Bについて説明する。第2実施形態のデファレンシャル装置50Bは、図1に示す第1実施形態に係るデファレンシャル装置50と同様に前輪駆動車両に搭載される図示しないエンジンのクランクシャフトに接続される動力伝達装置に組み込まれている。第2実施形態のデファレンシャル装置50Bは、レシーバ70に代えて潤滑油保持部材80を備える点、デフケース54Bにはニオンシャフト孔57と一対のドライブシャフト孔58a,58bとの他に孔として油孔59Bのみが形成されている点を除いて上述の第1実施形態に係るデファレンシャル装置50と同一の構成をしている。このため、第2実施形態のデファレンシャル装置50Bの構成のうち第1実施形態に係るデファレンシャル装置50の構成と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図6は、デファレンシャル装置50Bの構成の概略を示す構成図であり、図7は、図6のA−A断面を簡略化して示す簡略断面図である。図6は、図7のB−B断面を示している。図7の左側の矢印は車両前進時のデフケース54Bの回転方向を示す。デフケース54Bには、図6に示すように、ピニオンシャフト孔57と一対のドライブシャフト孔58a,58bとの他に孔としては、潤滑油の給排用の油孔59Bのみが形成されている。この油孔59Bには、潤滑油供給パイプ30の供給孔32から潤滑油が供給される。
デフケース54B(正確にはケース部材54b)に形成された油孔59Bには、デフケース54B内に潤滑油を保持するための潤滑油保持部材80が取り付けられている。図8は、潤滑油保持部材80を図7中矢印Cから見た平面図である。潤滑油保持部材80は、図6ないし図8に示すように、油孔59Bに嵌挿される円筒形状の嵌挿部82と、油孔59Bの全周囲を囲うようにデフケース54Bの内側向きに切り立った壁部84とから形成されている。壁部84の車両前進時のデフケース54Bの回転方向に対して前方側(図7中上側、図8中上側)は、半周に亘って嵌挿部82から連続して形成されており、壁部84の車両前進時のデフケース54Bの回転方向に対して後方側(図7中下側、図8中下側)は、後方に広がるように且つ後方に傾斜するように形成されている。また、壁部84は、図6に示すように、サイドギヤ用ワッシャ56の外周より内周側となるように、且つ、頂部86が図7の破線に示すようにデフケース54Bの回転中心を中心とした円弧形状となるように形成されている。
潤滑油保持部材80の壁部84の車両前進時のデフケース54Bの回転方向に対して後方側を後方に広がるように且つ後方に傾斜するように形成するのは、油孔59Bから潤滑油をスムーズにデフケース54Bの内部に供給するためである。図9に、潤滑油供給パイプ30の供給孔32から潤滑油が油孔59Bを介してデフケース54B内に供給される様子を示す。図9中(a)〜(c)は時間経過によるデフケース54Bの回転位置と油滴90の位置とを示し、図9中(a)〜(c)の左側の矢印はデフケース54Bの回転方向を示し、図9中(a)〜(c)の油滴90の下方の下向きの矢印は油滴90が落下する方向を示す。油滴90が油孔59Bに供給されると、潤滑油保持部材80の嵌挿部82の中央に位置する油滴90(図9中(a))は、若干の時間が経過してデフケース54Bが回転すると、潤滑油保持部材80の壁部84に囲まれた領域の油孔59Bより回転方向における後方に位置する(図9中(b))。図9中(c)の破線矢印は、デフケース54Bの回転に対して油滴90の相対的な落下方向(供給方向)である。このように壁部84の後方側を後方に広がるように且つ後方に傾斜するように形成することにより、油滴90は壁部84に衝突することなくデフケース54Bの内部に供給される。なお、説明の容易のため、潤滑油供給パイプ30の供給孔32から油滴90として油孔59Bに供給される場合を想定して説明したが、潤滑油供給パイプ30の供給孔32から連続して潤滑油が供給される場合も同様である。
潤滑油保持部材80の壁部84をサイドギヤ用ワッシャ56の外周より内周側となるように、且つ、頂部86が円弧形状となるように形成するのは、デフケース54Bが停止したときでも潤滑油をサイドギヤ用ワッシャ56に供給することができるようにするためである。デフケース54Bが回転していないときのデフケース54B内の潤滑油の液面は、油孔59Bの位置にもよるが、油孔59Bが最下部に位置するときに最も低くなる。この場合、図6に示すように、潤滑油の液面は、潤滑油保持部材80の壁部84の頂部86における最下部(図6の2点鎖線D)となる。潤滑油保持部材80の壁部84の頂部86のうち最下部は、図6に示すように、サイドギヤ用ワッシャ56の外周より上部に位置するから、潤滑油の液面が最も低くなるときでも、サイドギヤ用ワッシャ56の外周側は潤滑油に浸ることになる。油孔59Bが最下部に位置するとき以外では、潤滑油の液面はもっと高くなるから、サイドギヤ用ワッシャ56の外周側は当然に潤滑油に浸ることになる。したがって、デフケース54Bが回転していないときには、油孔59Bの回転位置に拘わらず、常にサイドギヤ用ワッシャ56に潤滑油を供給することができる。一方、デフケース54Bが回転しているときには、その遠心力により過剰な潤滑油は油孔59Bから排出されるが、油孔59Bを囲うように且つ頂部86が円弧状に形成された潤滑油保持部材80の壁部84により潤滑油の流出は規制される。このため、デフケース54Bが回転しているときでもサイドギヤ用ワッシャ56の外周部に潤滑油を供給することができる。
以上説明した第2実施形態のデファレンシャル装置50Bでは、デフケース54Bにピニオンシャフト孔57と一対のドライブシャフト孔58a,58bとの他に孔として油孔59Bのみを形成し、デフケース54Bの内側に油孔59Bを囲うように切り立った壁部84を有する潤滑油保持部材80を油孔59Bに取り付けることにより、デフケース54B内に潤滑油を保持することができる。しかも、潤滑油保持部部材70の壁部84をその頂部86がサイドギヤ用ワッシャ56の外周より内周側となるように形成したので、デフケース54Bが回転しているときでも回転していないときでもサイドギヤ用ワッシャ56に潤滑油を供給することができる。また、潤滑油保持部材80の壁部84の車両前進時のデフケース54Bの回転方向に対して後方側を後方に広がるように且つ後方に傾斜するように形成することにより、油孔59Bから潤滑油をスムーズにデフケース54Bの内部に供給することができる。
第2実施形態のデファレンシャル装置50Bでは、デフケース54Bには、ピニオンシャフト孔57と一対のドライブシャフト孔58a,58bとの他に孔として潤滑油の給排用の1つの油孔59Bのみを形成するものとしたが、油孔は1つに限定されるものではなく、2つ以上であってもよい。この場合、各油孔に潤滑油保持部材80を取り付ければよい。
第2実施形態のデファレンシャル装置50Bでは、潤滑油保持部部材70の壁部84をその頂部86がサイドギヤ用ワッシャ56の外周より内周側となるように形成したが、頂部86がサイドギヤ用ワッシャ56の外周より外周側となるように形成するものとしても構わない。
第2実施形態のデファレンシャル装置50Bでは、潤滑油保持部材80の壁部84の車両前進時のデフケース54Bの回転方向に対して後方側を後方に広がるように且つ後方に傾斜するように形成するものとしたが、壁部84の車両前進時のデフケース54Bの回転方向に対して後方側は、後方に広がるように形成されているが後方に傾斜するようには形成されていないものとしてもよいし、後方に傾斜するように形成されているが後方に広がるようには形成されていないものとしてもよい。また、壁部84の車両前進時のデフケース54Bの回転方向に対して後方側も前方側と同様に、嵌挿部82から連続して切り立つように形成されていても差し支えない。
第2実施形態のデファレンシャル装置50Bでは、潤滑油保持部材80を嵌挿部82と壁部84とにより構成したが、壁部だけにより潤滑油保持部材を構成するものとしてもよい。この場合、潤滑油保持部材をデフケース54Bのケース部材54aと別部材としてもよいし、同一部材としてもよい。
本開示のデファレンシャル装置(50)は、
ピニオンシャフト(53)に支持されたピニオンギヤ(51)と、前記ピニオンギヤ(51)と噛合すると共に一対のドライブシャフト(28)にそれぞれ固定される一対のサイドギヤ(52)と、前記ピニオンシャフト(53)が挿通されるピニオンシャフト孔(57)と前記一対のドライブシャフト(28)が挿通される一対のドライブシャフト孔(58a,58b)が形成されていると共に前記ピニオンギヤ(51)および前記一対のサイドギヤ(52)を収納するデフケース(54,54a,54b)と、前記一対のサイドギヤ(52)と前記デフケース(54,54a,54b)との間に配置されるサイドギヤ用ワッシャ(56)と、を備えるデファレンシャル装置(50)であって、
前記デフケース(54,54a,54b)には、前記ピニオンシャフト孔(57)と前記一対のドライブシャフト孔(58a,58b)の他には、サイドギヤ用ワッシャ(56)より外径に設けられた潤滑油の給排用の少なくとも1つの油孔(59)のみが形成され、
前記サイドギヤ用ワッシャ(56)の外周より小さい内径まで延び、前記油孔(59)より内径までデフケース(54,54a,54b)内に油を溜める油流出規制部材(70)を備えられる、
デファレンシャル装置。
この本開示のデファレンシャル装置(50)では、デフケース(54,54a,54b)には、ピニオンギヤ(51)と一対のサイドギヤ(52)とが収納されており、サイドギヤ(51)とデフケース(54,54a,54b)との間にはサイドギヤ用ワッシャ(56)が配置されている。デフケース(54,54a,54b)には、ピニオンシャフト(53)が挿通されるピニオンシャフト孔(57)と一対のドライブシャフト(28)が挿通される一対のドライブシャフト孔(58a,58b)の他には、サイドギヤ用ワッシャ(56)より外径に設けられた潤滑油の給排用の少なくとも1つの油孔(59)のみが形成されている。そして、サイドギヤ用ワッシャ(56)の外周より小さい内径まで延び、前記油孔(59)より内径までデフケース(54,54a,54b)内に油を溜める油流出規制部材(70)を備える。油孔(59)が最下部の位置でデフケース(54,54a,54b)が回転停止しているときには、サイドギヤ用ワッシャ(56)の外周より小さい内径まで延びた油流出規制部材(70)によって油孔(59)より内径までデフケース(54,54a,54b)内に油を溜めるから、サイドギヤ用ワッシャ(56)に潤滑油を供給することができる。デフケース(54,54a,54b)が回転しているときには、デフケース(54,54a,54b)内の潤滑油は遠心力により油孔(59)から排出されるが、油流出規制部材(70)の内周より外周側の潤滑油はデフケース(54,54a,54b)内に保持されるから、サイドギヤ用ワッシャ(56)に潤滑油を供給することができる。これらの結果、デフケース(54,54a,54b)の回転に拘わらず、サイドギヤ用ワッシャ(56)に潤滑油を供給することができる。
本開示のデファレンシャル装置(50)において、前記油孔(59)は、前記一対のサイドギヤ(52)のうちの一方のサイドギヤ(52)側における前記ドライブシャフト(28)の回転軸の回転中心から前記一方のサイドギヤ用ワッシャ(56)より外周側に形成されており、前記油流出規制部材(70)は、前記回転軸の回転中心に対して内周が前記サイドギヤ用ワッシャ(56)の外周より小さく外周が前記回転中心から前記油孔(59)の最外縁までより大きい環状部材であり、前記デフケース(54,54a,54b)の前記一方のサイドギヤ(52)側に取り付けられているものとしてもよい。
本開示のデファレンシャル装置(50)において、前記油流出規制部材(70)は、外周側が前記デフケース(54,54a,54b)に接触し、内周側が前記デフケース(54,54a,54b)に非接触となると共に前記油孔(59)の一部が開口するよう取り付けられているものとしてもよい。
また、本開示のデファレンシャル装置(50)において、前記油流出規制部材(70)は、前記デフケース(54,54a,54b)を回転自在に支持する軸受(26)のレース(27)により抜け止めされているものとしてもよい。こうすれば、油流出規制部材(70)の抜け止めのための部材を設ける必要がない。この場合、前記油流出規制部材(70)は、外周における前記一方のサイドギヤ(52)に固定されたドライブシャフト(28)の回転軸に沿って延出した端部(72)が前記レース(27)に当接することにより抜け止めされているものとしてもよい。
本開示のデファレンシャル装置(50B)において、前記油孔(59B)は、前記ピニオンシャフト(53)と周方向にずれた同一円周上に設けられ、前記油流出規制部材(70)は、前記デフケース(54B,54a,54b)の内側の前記油孔(59)の全周囲に前記デフケース(54B,54a,54b)の内側に向かって切り立つ壁部を画成する潤滑油保持部材(80)を備えるものとしてもよい。こうすれば、潤滑油保持部材(80)の壁部(84)がデフケース(54B,54a,54b)内の潤滑油の排出を規制するから、デフケース(54B,54a,54b)内に潤滑油を保持することができる。
この潤滑油保持部材(80)を備える態様の本開示のデファレンシャル装置(50B)において、前記潤滑油保持部材(80)は、前記油孔(59B)の前記デフケース(54B,54a,54b)が車両前進時の回転方向に対して後方側の壁部(84)が前記油孔(59B)から後方に離れるように形成されているものとしてもよい。こうすれば、車両前進時に潤滑油が油孔(59B)に供給されたときに、潤滑油が壁部(84)に衝突せずに内部に入りやすくすることができる。
また、潤滑油保持部材(80)を備える態様の本開示のデファレンシャル装置(50B)において、前記潤滑油保持部材(80)は、前記油孔(59B)の前記デフケース(54B,54a,54b)が車両前進時の回転方向に対して後方側の壁部(84)が後方に傾斜するように形成されているものとしてもよい。こうすれば、車両前進時に潤滑油が油孔(59B)に供給されたときに、潤滑油が壁部(84)に衝突せずに内部に入りやすくすることができる。
潤滑油保持部材(80)を備える態様の本開示のデファレンシャル装置(50B)において、前記潤滑油保持部材(80)は、前記デフケース(54B,54a,54b)の回転軸から前記壁部(84)の頂部(86)までの長さが前記サイドギヤ用ワッシャ(56)の外周よりも内周側となるよう前記壁部(84)が形成されているものとしてもよい。こうすれば、車両前進時に潤滑油をサイドギヤ(52)やサイドギヤ用ワッシャ(56)に供給することができる。
潤滑油保持部材(80)を備える態様の本開示のデファレンシャル装置(50B)において、前記潤滑油保持部材(80)は、前記壁部(84)の頂部(86)が前記デフケース(54B,54a,54b)の回転軸を中心とする円弧状となるように形成されているものとしてもよい。こうすれば、デフケース(54B,54a,54b)の回転時に潤滑油を安定して保持することができる。
以上、本開示を実施するための形態について説明したが、本開示はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本開示は、デファレンシャル装置の製造産業などに利用可能である。
本開示は、デファレンシャル装置に関する。
従来、この種のデファレンシャル装置としては、デフケースの内部に、デフケースが回転した際に内部に供給された潤滑油を保持するための油溜を設けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このデファレンシャル装置では、デフケースを回転自在に支持するころがり軸受を介してデフケースのサイドギヤより外周側に形成された油孔を介して潤滑油がデフケースの内部に供給されており、油溜は、油孔の外周側に設けられている。また、車輪駆動軸と車軸貫通孔との摺動部位の潤滑に供された潤滑油が、デフケースの内部に流動して、サイドギヤの背面とデフケースの内面との摺動部位、サイドギヤと車輪駆動軸とのスプラインなどによる結合部位の潤滑に供される。
特開2002−174327号公報
しかしながら、上述のデファレンシャル装置では、サイドギヤより外周側に油孔が形成されているため、油孔が最下部の位置でデフケースが回転停止しているときには、油溜に潤滑油が保持されるものの、油孔より上部の潤滑油は油孔から流出するため、油孔より内周側(上部)に位置するサイドギヤとデフケースとの間に取り付けられたワッシャなどへの潤滑油の供給が不足する場合が生じる。デフケースが回転しているときには、油孔より内周側の潤滑油は遠心力により油孔から排出されるから、この場合も油孔より内周側に位置するワッシャへの潤滑油の供給が不足する。
また、車輪駆動軸と車軸貫通孔との摺動部位に供される潤滑油の油量はごく僅かなものなので、車輪駆動軸と車軸貫通孔との摺動部位を通過してサイドギヤの背面とデフケースの内面との摺動部位に供される潤滑油の量はごく僅かである。そのため、サイドギヤの背面とデフケースとの間に設けられるサイドワッシャの耐久性を確保するために、サイドワッシャに作用する面圧を小さくする必要があり、サイドギヤを大きくしてサイドワッシャの受圧面積を大きくしたり、差動機構が働いている際、すなわちサイドギヤが回転する際に、トルク制限したりする必要がある。その結果、デファレンシャル装置が大型化したり、走行性能が制限されたりしてしまう。
本開示のデファレンシャル装置は、デフケース内に潤滑油を保持することを主目的とする。
本開示のデファレンシャル装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本開示のデファレンシャル装置は、
ピニオンシャフトに支持されたピニオンギヤと、前記ピニオンギヤと噛合すると共に一対のドライブシャフトにそれぞれ固定される一対のサイドギヤと、前記ピニオンシャフトが挿通されるピニオンシャフト孔と前記一対のドライブシャフトが挿通される一対のドライブシャフト孔が形成されていると共に前記ピニオンギヤおよび前記一対のサイドギヤを収納するデフケースと、前記一対のサイドギヤと前記デフケースとの間に配置されるサイドギヤ用ワッシャと、を備えるデファレンシャル装置であって、
前記デフケースには、前記ピニオンシャフト孔と前記一対のドライブシャフト孔の他には、サイドギヤ用ワッシャより外径に設けられた潤滑油の給排用の少なくとも1つの油孔のみが形成され、
前記サイドギヤ用ワッシャの外周より径方向内側の部分まで延び、前記油孔より径方向内側の部分までデフケース内に油を溜める油流出規制部材を備えられる、
ことを要旨とする。
この本開示のデファレンシャル装置では、デフケースには、ピニオンギヤと一対のサイドギヤとが収納されており、サイドギヤとデフケースとの間にはサイドギヤ用ワッシャが配置されている。デフケースには、ピニオンシャフトが挿通されるピニオンシャフト孔と一対のドライブシャフトが挿通される一対のドライブシャフト孔の他には、サイドギヤ用ワッシャより外径に設けられた潤滑油の給排用の少なくとも1つの油孔のみが形成されている。そして、サイドギヤ用ワッシャの外周より径方向内側の部分まで延び、油孔より径方向内側の部分までデフケース内に油を溜める油流出規制部材を備えている。油孔が最下部の位置でデフケースが回転停止しているときには、サイドギヤ用ワッシャの外周より径方向内側の部分まで延びた油流出規制部材によって油孔より径方向内側の部分までデフケース内に油を溜める。これにより、サイドギヤ用ワッシャに潤滑油を供給することができる。デフケースが回転しているときには、デフケース内の潤滑油は遠心力により油孔から排出されるが、油流出規制部材の内周より外周側の潤滑油はデフケース内に保持される。これにより、サイドギヤ用ワッシャに潤滑油を供給することができる。これらの結果、デフケースの回転に拘わらず、サイドギヤ用ワッシャに潤滑油を供給することができる。
本開示の第1実施形態に係るデファレンシャル装置50を含む動力伝達装置20の概略構成図である。 デファレンシャル装置50の構成の概略を示す構成図である。 図2のデフケース54を左斜め上方から見た外観図である。 図2のデフケース54を右斜め上方から見た外観図である。 レシーバ70の内周や外周とサイドギヤ用ワッシャ56の外周などを示す説明図である。 第2実施形態のデファレンシャル装置50Bの構成の概略を示す構成図である。 図6のA−A断面を簡略化して示す簡略断面図である。 潤滑油保持部材80を図7中矢印Cから見た平面図である。 デフケース54Bの回転時に潤滑油が油孔59Bからデフケース54B内部に供給される様子を模式的に示す説明図である。
次に、本開示を実施するための形態について説明する。図1は、本開示の第1実施形態に係るデファレンシャル装置50を含む動力伝達装置20の概略構成図である。第1実施形態の動力伝達装置20は、前輪駆動車両に搭載される図示しないエンジンのクランクシャフトに接続されると共にエンジンからの動力を左右の駆動輪(前輪)DWに伝達可能なものである。図示するように、動力伝達装置20は、周知の流体伝動装置(トルクコンバータ)および自動変速機を有する自動変速装置22と、ギヤ機構(ギヤ列)40と、デファレンシャル装置(差動機構)50等を備える。
ギヤ機構40は、自動変速装置22の図示しない出力軸に固定されたカウンタドライブギヤ41と、出力軸と平行に延在するカウンタシャフト42に固定されると共にカウンタドライブギヤ41に噛合するカウンタドリブンギヤ43と、カウンタシャフト42に形成(あるいは固定)されたドライブピニオンギヤ(ファイナルドライブギヤ)44と、ドライブピニオンギヤ44に噛合すると共にデファレンシャル装置50に連結されるデフリングギヤ(ファイナルドリブンギヤ)45とを有する。
図2は、デファレンシャル装置50の構成の概略を示す構成図であり、図3は図2のデフケース54を左斜め上方から見た外観図であり、図4は図2のデフケース54を右斜め上方から見た外観図である。デファレンシャル装置50は、図1および図2に示すように、一対(2個)のピニオンギヤ51と、それぞれドライブシャフト28に固定されると共に一対のピニオンギヤ51に直角に噛合する一対(2個)のサイドギヤ52と、一対のピニオンギヤ51を支持するピニオンシャフト53と、一対のピニオンギヤ51および一対のサイドギヤ52を収容すると共に上述のデフリングギヤ45が連結(固定)されるデフケース54とを有する。第1実施形態では、各ピニオンギヤ51および各サイドギヤ52は、すぐばかさ歯車として構成されている。また、ピニオンギヤ51のそれぞれとデフケース54との間には、ピニオンギヤ用ワッシャ55が配置され、サイドギヤ52のそれぞれとデフケース54との間には、サイドギヤ用ワッシャ56が配置されている。そして、デフケース54は、2つのケース部材24a,24bにより構成されたトランスミッションケース24により軸受26を介してドライブシャフト28と同軸に回転自在に支持される。
デフケース54は、図2中左側のドライブシャフト28が挿通されるドライブシャフト孔58aが形成された環状のケース部材54aと、図2中右側のドライブシャフト28が挿通されるドライブシャフト孔58bと図2中上側のピニオンシャフト53が挿通されるピニオンシャフト孔57とが形成された椀状のケース部材54bと、により構成されている。ケース部材54a,54bの外周縁近傍のフランジ部61a,61bにはボルト孔62a,62bが形成されており、ケース部材54a,54bは、複数のボルトによってデフリングギヤ45と共に締結されている。デフケース54には、ピニオンシャフト孔57と一対のドライブシャフト孔58a,58bとの他に孔としては、ドライブシャフト28の回転軸の回転中心から同一径の位置に潤滑油の給排用の2つの油孔59のみが形成されている。この2つの油孔59には、トランスミッションケース24に形成された潤滑油供給パイプ30から潤滑油が供給される。
デフケース54(ケース部材54a)には、デフケース54内の潤滑油の流出を規制するための油流出規制部材として機能する断面形状が略L字形状で環状のレシーバ70が取り付けられている。レシーバ70は、ドライブシャフト28の回転軸の回転中心に対して内周がサイドギヤ用ワッシャ56の外周より小さく、外周がドライブシャフト28の回転軸の回転中心から油孔59の最外縁までより大きくなるように形成されている。レシーバ70の外周部は、ケース部材54aのフランジ部61aに沿うように屈曲して図2中左側に延出しており、その端部72は軸受26のレース27に当接している。このように、端部72が軸受26のレース27に当接することにより、レシーバ70は抜け止めされている。レシーバ70は、外周側はケース部材54aに接触し、内周側は図2中左側に折れ曲がることによりケース部材54aと非接触となるように形成されている。このため、ケース部材54aと非接触な内周側から潤滑油のデフケース54への給排を行なう。
図5に、一方の油孔59が最下部に位置するときのレシーバ70の内周および外周とサイドギヤ用ワッシャ56の外周などを示す。デフケース54が回転していないときのデフケース54内の潤滑油の液面は、2つの油孔59の位置にもよるが、一方の油孔59が最下部に位置するときに最も低くなる。この場合、図5に示すように、潤滑油の液面は、レシーバ70の内周の最下部(図2および図5の2点鎖線A)となる。レシーバ70の内周はサイドギヤ用ワッシャ56の外周より小さいから、潤滑油の液面が最も低くなるときでも、サイドギヤ用ワッシャ56の外周側は潤滑油に浸ることになる。一方の油孔59が最下部に位置するとき以外では、潤滑油の液面はもっと高くなるから、サイドギヤ用ワッシャ56の外周側は当然に潤滑油に浸ることになる。したがって、デフケース54が回転していないときには、油孔59の回転位置に拘わらず、常にサイドギヤ用ワッシャ56に潤滑油を供給することができる。一方、デフケース54が回転しているときには、その遠心力により潤滑油は2つの油孔59から排出されるが、レシーバ70の存在によりその内周より外周側の潤滑油の流出は規制される。このため、デフケース54が回転しているときでもサイドギヤ用ワッシャ56の外周部に潤滑油を供給することができる。
以上説明した第1実施形態のデファレンシャル装置50では、デフケース54にピニオンシャフト孔57と一対のドライブシャフト孔58a,58bとの他に孔として2つの油孔59のみを形成し、ドライブシャフト28の回転軸の回転中心に対して内周がサイドギヤ用ワッシャ56の外周より小さく、外周がドライブシャフト28の回転軸の回転中心から油孔59の最外縁までより大きくなるように環状に形成したレシーバ70を取り付けることにより、レシーバ70の内周より外周側の潤滑油の排出を規制することにより、デフケース54が回転しているときでも回転していないときでもサイドギヤ用ワッシャ56に潤滑油を供給することができる。
第1実施形態のデファレンシャル装置50では、デフケース54には、ピニオンシャフト孔57と一対のドライブシャフト孔58a,58bとの他に孔としてドライブシャフト28の回転軸の回転中心から同一径の位置に潤滑油の給排用の2つの油孔59のみを形成するものとしたが、油孔は2つに限定されるものではなく、ドライブシャフト28の回転軸の回転中心から同一径の位置であれば3つ以上であってもよいし、1つであってもよい。
第1実施形態のデファレンシャル装置50では、レシーバ70の外周部がケース部材54aのフランジ部61aに沿うように屈曲し、その端部72が軸受26のレース27に当接するようにレシーバ70を形成したが、レシーバ70の端部72が軸受26のレース27に当接しないものとしても構わない。この場合、ケース部材54aにレシーバ70の端部72に当接してレシーバ70の抜け止めを防止するための突起などを形成するものとしてもよい。
次に、本開示の第2実施形態に係るデファレンシャル装置50Bについて説明する。第2実施形態のデファレンシャル装置50Bは、図1に示す第1実施形態に係るデファレンシャル装置50と同様に前輪駆動車両に搭載される図示しないエンジンのクランクシャフトに接続される動力伝達装置に組み込まれている。第2実施形態のデファレンシャル装置50Bは、レシーバ70に代えて潤滑油保持部材80を備える点、デフケース54Bにはニオンシャフト孔57と一対のドライブシャフト孔58a,58bとの他に孔として油孔59Bのみが形成されている点を除いて上述の第1実施形態に係るデファレンシャル装置50と同一の構成をしている。このため、第2実施形態のデファレンシャル装置50Bの構成のうち第1実施形態に係るデファレンシャル装置50の構成と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図6は、デファレンシャル装置50Bの構成の概略を示す構成図であり、図7は、図6のA−A断面を簡略化して示す簡略断面図である。図6は、図7のB−B断面を示している。図7の左側の矢印は車両前進時のデフケース54Bの回転方向を示す。デフケース54Bには、図6に示すように、ピニオンシャフト孔57と一対のドライブシャフト孔58a,58bとの他に孔としては、潤滑油の給排用の油孔59Bのみが形成されている。この油孔59Bには、潤滑油供給パイプ30の供給孔32から潤滑油が供給される。
デフケース54B(正確にはケース部材54b)に形成された油孔59Bには、デフケース54B内に潤滑油を保持するための潤滑油保持部材80が取り付けられている。図8は、潤滑油保持部材80を図7中矢印Cから見た平面図である。潤滑油保持部材80は、図6ないし図8に示すように、油孔59Bに嵌挿される円筒形状の嵌挿部82と、油孔59Bの全周囲を囲うようにデフケース54Bの内側向きに切り立った壁部84とから形成されている。壁部84の車両前進時のデフケース54Bの回転方向に対して前方側(図7中上側、図8中上側)は、半周に亘って嵌挿部82から連続して形成されており、壁部84の車両前進時のデフケース54Bの回転方向に対して後方側(図7中下側、図8中下側)は、後方に広がるように且つ後方に傾斜するように形成されている。また、壁部84は、図6に示すように、サイドギヤ用ワッシャ56の外周より内周側となるように、且つ、頂部86が図7の破線に示すようにデフケース54Bの回転中心を中心とした円弧形状となるように形成されている。
潤滑油保持部材80の壁部84の車両前進時のデフケース54Bの回転方向に対して後方側を後方に広がるように且つ後方に傾斜するように形成するのは、油孔59Bから潤滑油をスムーズにデフケース54Bの内部に供給するためである。図9に、潤滑油供給パイプ30の供給孔32から潤滑油が油孔59Bを介してデフケース54B内に供給される様子を示す。図9中(a)〜(c)は時間経過によるデフケース54Bの回転位置と油滴90の位置とを示し、図9中(a)〜(c)の左側の矢印はデフケース54Bの回転方向を示し、図9中(a)〜(c)の油滴90の下方の下向きの矢印は油滴90が落下する方向を示す。油滴90が油孔59Bに供給されると、潤滑油保持部材80の嵌挿部82の中央に位置する油滴90(図9中(a))は、若干の時間が経過してデフケース54Bが回転すると、潤滑油保持部材80の壁部84に囲まれた領域の油孔59Bより回転方向における後方に位置する(図9中(b))。図9中(c)の破線矢印は、デフケース54Bの回転に対して油滴90の相対的な落下方向(供給方向)である。このように壁部84の後方側を後方に広がるように且つ後方に傾斜するように形成することにより、油滴90は壁部84に衝突することなくデフケース54Bの内部に供給される。なお、説明の容易のため、潤滑油供給パイプ30の供給孔32から油滴90として油孔59Bに供給される場合を想定して説明したが、潤滑油供給パイプ30の供給孔32から連続して潤滑油が供給される場合も同様である。
潤滑油保持部材80の壁部84をサイドギヤ用ワッシャ56の外周より内周側となるように、且つ、頂部86が円弧形状となるように形成するのは、デフケース54Bが停止したときでも潤滑油をサイドギヤ用ワッシャ56に供給することができるようにするためである。デフケース54Bが回転していないときのデフケース54B内の潤滑油の液面は、油孔59Bの位置にもよるが、油孔59Bが最下部に位置するときに最も低くなる。この場合、図6に示すように、潤滑油の液面は、潤滑油保持部材80の壁部84の頂部86における最下部(図6の2点鎖線D)となる。潤滑油保持部材80の壁部84の頂部86のうち最下部は、図6に示すように、サイドギヤ用ワッシャ56の外周より上部に位置するから、潤滑油の液面が最も低くなるときでも、サイドギヤ用ワッシャ56の外周側は潤滑油に浸ることになる。油孔59Bが最下部に位置するとき以外では、潤滑油の液面はもっと高くなるから、サイドギヤ用ワッシャ56の外周側は当然に潤滑油に浸ることになる。したがって、デフケース54Bが回転していないときには、油孔59Bの回転位置に拘わらず、常にサイドギヤ用ワッシャ56に潤滑油を供給することができる。一方、デフケース54Bが回転しているときには、その遠心力により過剰な潤滑油は油孔59Bから排出されるが、油孔59Bを囲うように且つ頂部86が円弧状に形成された潤滑油保持部材80の壁部84により潤滑油の流出は規制される。このため、デフケース54Bが回転しているときでもサイドギヤ用ワッシャ56の外周部に潤滑油を供給することができる。
以上説明した第2実施形態のデファレンシャル装置50Bでは、デフケース54Bにピニオンシャフト孔57と一対のドライブシャフト孔58a,58bとの他に孔として油孔59Bのみを形成し、デフケース54Bの内側に油孔59Bを囲うように切り立った壁部84を有する潤滑油保持部材80を油孔59Bに取り付けることにより、デフケース54B内に潤滑油を保持することができる。しかも、潤滑油保持部部材80の壁部84をその頂部86がサイドギヤ用ワッシャ56の外周より内周側となるように形成したので、デフケース54Bが回転しているときでも回転していないときでもサイドギヤ用ワッシャ56に潤滑油を供給することができる。また、潤滑油保持部材80の壁部84の車両前進時のデフケース54Bの回転方向に対して後方側を後方に広がるように且つ後方に傾斜するように形成することにより、油孔59Bから潤滑油をスムーズにデフケース54Bの内部に供給することができる。
第2実施形態のデファレンシャル装置50Bでは、デフケース54Bには、ピニオンシャフト孔57と一対のドライブシャフト孔58a,58bとの他に孔として潤滑油の給排用の1つの油孔59Bのみを形成するものとしたが、油孔は1つに限定されるものではなく、2つ以上であってもよい。この場合、各油孔に潤滑油保持部材80を取り付ければよい。
第2実施形態のデファレンシャル装置50Bでは、潤滑油保持部部材80の壁部84をその頂部86がサイドギヤ用ワッシャ56の外周より内周側となるように形成したが、頂部86がサイドギヤ用ワッシャ56の外周より外周側となるように形成するものとしても構わない。
第2実施形態のデファレンシャル装置50Bでは、潤滑油保持部材80の壁部84の車両前進時のデフケース54Bの回転方向に対して後方側を後方に広がるように且つ後方に傾斜するように形成するものとしたが、壁部84の車両前進時のデフケース54Bの回転方向に対して後方側は、後方に広がるように形成されているが後方に傾斜するようには形成されていないものとしてもよいし、後方に傾斜するように形成されているが後方に広がるようには形成されていないものとしてもよい。また、壁部84の車両前進時のデフケース54Bの回転方向に対して後方側も前方側と同様に、嵌挿部82から連続して切り立つように形成されていても差し支えない。
第2実施形態のデファレンシャル装置50Bでは、潤滑油保持部材80を嵌挿部82と壁部84とにより構成したが、壁部だけにより潤滑油保持部材を構成するものとしてもよい。この場合、潤滑油保持部材をデフケース54Bのケース部材54aと別部材としてもよいし、同一部材としてもよい。
本開示のデファレンシャル装置(50)は、
ピニオンシャフト(53)に支持されたピニオンギヤ(51)と、前記ピニオンギヤ(51)と噛合すると共に一対のドライブシャフト(28)にそれぞれ固定される一対のサイドギヤ(52)と、前記ピニオンシャフト(53)が挿通されるピニオンシャフト孔(57)と前記一対のドライブシャフト(28)が挿通される一対のドライブシャフト孔(58a,58b)が形成されていると共に前記ピニオンギヤ(51)および前記一対のサイドギヤ(52)を収納するデフケース(54,54a,54b)と、前記一対のサイドギヤ(52)と前記デフケース(54,54a,54b)との間に配置されるサイドギヤ用ワッシャ(56)と、を備えるデファレンシャル装置(50)であって、
前記デフケース(54,54a,54b)には、前記ピニオンシャフト孔(57)と前記一対のドライブシャフト孔(58a,58b)の他には、サイドギヤ用ワッシャ(56)より外径に設けられた潤滑油の給排用の少なくとも1つの油孔(59)のみが形成され、
前記サイドギヤ用ワッシャ(56)の外周より径方向内側の部分まで延び、前記油孔(59)より径方向内側の部分までデフケース(54,54a,54b)内に油を溜める油流出規制部材(70)を備えられる、
デファレンシャル装置。
この本開示のデファレンシャル装置(50)では、デフケース(54,54a,54b)には、ピニオンギヤ(51)と一対のサイドギヤ(52)とが収納されており、サイドギヤ(52)とデフケース(54,54a,54b)との間にはサイドギヤ用ワッシャ(56)が配置されている。デフケース(54,54a,54b)には、ピニオンシャフト(53)が挿通されるピニオンシャフト孔(57)と一対のドライブシャフト(28)が挿通される一対のドライブシャフト孔(58a,58b)の他には、サイドギヤ用ワッシャ(56)より外径に設けられた潤滑油の給排用の少なくとも1つの油孔(59)のみが形成されている。そして、サイドギヤ用ワッシャ(56)の外周より径方向内側の部分まで延び、前記油孔(59)より径方向内側の部分までデフケース(54,54a,54b)内に油を溜める油流出規制部材(70)を備える。油孔(59)が最下部の位置でデフケース(54,54a,54b)が回転停止しているときには、サイドギヤ用ワッシャ(56)の外周より径方向内側の部分まで延びた油流出規制部材(70)によって油孔(59)より径方向内側の部分までデフケース(54,54a,54b)内に油を溜めるから、サイドギヤ用ワッシャ(56)に潤滑油を供給することができる。デフケース(54,54a,54b)が回転しているときには、デフケース(54,54a,54b)内の潤滑油は遠心力により油孔(59)から排出されるが、油流出規制部材(70)の内周より外周側の潤滑油はデフケース(54,54a,54b)内に保持されるから、サイドギヤ用ワッシャ(56)に潤滑油を供給することができる。これらの結果、デフケース(54,54a,54b)の回転に拘わらず、サイドギヤ用ワッシャ(56)に潤滑油を供給することができる。
本開示のデファレンシャル装置(50)において、前記油孔(59)は、前記一対のサイドギヤ(52)のうちの一方のサイドギヤ(52)側における前記ドライブシャフト(28)の回転軸の回転中心から前記一方のサイドギヤ用ワッシャ(56)より外周側に形成されており、前記油流出規制部材(70)は、前記回転軸の回転中心に対して内周が前記サイドギヤ用ワッシャ(56)の外周より小さく外周が前記回転中心から前記油孔(59)の最外縁までより大きい環状部材であり、前記デフケース(54,54a,54b)の前記一方のサイドギヤ(52)側に取り付けられているものとしてもよい。
本開示のデファレンシャル装置(50)において、前記油流出規制部材(70)は、外周側が前記デフケース(54,54a,54b)に接触し、内周側が前記デフケース(54,54a,54b)に非接触となると共に前記油孔(59)の一部が開口するよう取り付けられているものとしてもよい。
また、本開示のデファレンシャル装置(50)において、前記油流出規制部材(70)は、前記デフケース(54,54a,54b)を回転自在に支持する軸受(26)のレース(27)により抜け止めされているものとしてもよい。こうすれば、油流出規制部材(70)の抜け止めのための部材を設ける必要がない。この場合、前記油流出規制部材(70)は、外周における前記一方のサイドギヤ(52)に固定されたドライブシャフト(28)の回転軸に沿って延出した端部(72)が前記レース(27)に当接することにより抜け止めされているものとしてもよい。
本開示のデファレンシャル装置(50B)において、前記油孔(59B)は、前記ピニオンシャフト(53)と周方向にずれた同一円周上に設けられ、前記油流出規制部材(70)は、前記デフケース(54B,54a,54b)の内側の前記油孔(59B)の全周囲に前記デフケース(54B,54a,54b)の内側に向かって切り立つ壁部を画成する潤滑油保持部材(80)を備えるものとしてもよい。こうすれば、潤滑油保持部材(80)の壁部(84)がデフケース(54B,54a,54b)内の潤滑油の排出を規制するから、デフケース(54B,54a,54b)内に潤滑油を保持することができる。
この潤滑油保持部材(80)を備える態様の本開示のデファレンシャル装置(50B)において、前記潤滑油保持部材(80)は、前記デフケース(54B,54a,54b)が車両前進時の回転方向に対して後方側の壁部(84)が前記油孔(59B)から後方に離れるように形成されているものとしてもよい。こうすれば、車両前進時に潤滑油が油孔(59B)に供給されたときに、潤滑油が壁部(84)に衝突せずに内部に入りやすくすることができる。
また、潤滑油保持部材(80)を備える態様の本開示のデファレンシャル装置(50B)において、前記潤滑油保持部材(80)は、前記デフケース(54B,54a,54b)が車両前進時の回転方向に対して後方側の壁部(84)が後方に傾斜するように形成されているものとしてもよい。こうすれば、車両前進時に潤滑油が油孔(59B)に供給されたときに、潤滑油が壁部(84)に衝突せずに内部に入りやすくすることができる。
潤滑油保持部材(80)を備える態様の本開示のデファレンシャル装置(50B)において、前記潤滑油保持部材(80)は、前記壁部(84)の頂部(86)が前記サイドギヤ用ワッシャ(56)の外周よりも内周側となるよう前記壁部(84)が形成されているものとしてもよい。こうすれば、車両前進時に潤滑油をサイドギヤ(52)やサイドギヤ用ワッシャ(56)に供給することができる。
潤滑油保持部材(80)を備える態様の本開示のデファレンシャル装置(50B)において、前記潤滑油保持部材(80)は、前記壁部(84)の頂部(86)が前記デフケース(54B,54a,54b)の回転軸を中心とする円弧状となるように形成されているものとしてもよい。こうすれば、デフケース(54B,54a,54b)の回転時に潤滑油を安定して保持することができる。
以上、本開示を実施するための形態について説明したが、本開示はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本開示は、デファレンシャル装置の製造産業などに利用可能である。

Claims (10)

  1. ピニオンシャフトに支持されたピニオンギヤと、前記ピニオンギヤと噛合すると共に一対のドライブシャフトにそれぞれ固定される一対のサイドギヤと、前記ピニオンシャフトが挿通されるピニオンシャフト孔と前記一対のドライブシャフトが挿通される一対のドライブシャフト孔が形成されていると共に前記ピニオンギヤおよび前記一対のサイドギヤを収納するデフケースと、前記一対のサイドギヤと前記デフケースとの間に配置されるサイドギヤ用ワッシャと、を備えるデファレンシャル装置であって、
    前記デフケースには、前記ピニオンシャフト孔と前記一対のドライブシャフト孔の他には、サイドギヤ用ワッシャより外径に設けられた潤滑油の給排用の少なくとも1つの油孔のみが形成され、
    前記サイドギヤ用ワッシャの外周より小さい内径まで延び、前記油孔より内径までデフケース内に油を溜める油流出規制部材を備えられる、
    デファレンシャル装置。
  2. 請求項1記載のデファレンシャル装置であって、
    前記油孔は、前記一対のサイドギヤのうちの一方のサイドギヤ側における前記ドライブシャフトの回転軸の回転中心から前記一方のサイドギヤ用ワッシャより外周側に形成されており、
    前記油流出規制部材は、前記回転軸の回転中心に対して内周が前記サイドギヤ用ワッシャの外周より小さく外周が前記回転中心から前記油孔の最外縁までより大きい環状部材であり、前記デフケースの前記一方のサイドギヤ側に取り付けられている、
    デファレンシャル装置、
  3. 請求項2記載のデファレンシャル装置であって、
    前記油流出規制部材は、外周側が前記デフケースに接触し、内周側が前記デフケースに非接触となると共に前記油孔の一部が開口するよう取り付けられている、
    デファレンシャル装置。
  4. 請求項2または3記載のデファレンシャル装置であって、
    前記油流出規制部材は、前記デフケースを回転自在に支持する軸受のレースにより抜け止めされている、
    デファレンシャル装置。
  5. 請求項4記載のデファレンシャル装置であって、
    前記油流出規制部材は、外周における前記一方のサイドギヤに固定されたドライブシャフトの回転軸に沿って延出した端部が前記レースに当接することにより抜け止めされている、
    デファレンシャル装置。
  6. 請求項1記載のデファレンシャル装置であって、
    前記油孔は、前記ピニオンシャフトと周方向にずれた同一円周上に設けられ、
    前記油流出規制部材は、前記デフケースの内側の前記油孔の全周囲に前記デフケースの内側に向かって切り立つ壁部を画成する潤滑油保持部材を備える、
    デファレンシャル装置。
  7. 請求項6記載のデファレンシャル装置であって、
    前記潤滑油保持部材は、前記油孔の前記デフケースが車両前進時の回転方向に対して後方側の壁部が前記油孔から後方に離れるように形成されている、
    デファレンシャル装置。
  8. 請求項6または7記載のデファレンシャル装置であって、
    前記潤滑油保持部材は、前記油孔の前記デフケースが車両前進時の回転方向に対して後方側の壁部が後方に傾斜するように形成されている、
    デファレンシャル装置。
  9. 請求項6ないし8のうちのいずれか1つの請求項に記載のデファレンシャル装置であって、
    前記潤滑油保持部材は、前記デフケースの回転軸から前記壁部の頂部までの長さが前記サイドギヤ用ワッシャの外周よりも内周側となるよう前記壁部が形成されている、
    デファレンシャル装置。
  10. 請求項6ないし9のうちのいずれか1つの請求項に記載のデファレンシャル装置であって、
    前記潤滑油保持部材は、前記壁部の頂部が前記デフケースの回転軸を中心とする円弧状となるように形成されている、
    デファレンシャル装置。
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