JPWO2016137007A1 - 高分子処理剤 - Google Patents

高分子処理剤 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2016137007A1
JPWO2016137007A1 JP2017502540A JP2017502540A JPWO2016137007A1 JP WO2016137007 A1 JPWO2016137007 A1 JP WO2016137007A1 JP 2017502540 A JP2017502540 A JP 2017502540A JP 2017502540 A JP2017502540 A JP 2017502540A JP WO2016137007 A1 JPWO2016137007 A1 JP WO2016137007A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
block copolymer
hair
processing agent
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017502540A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6144446B2 (ja
Inventor
健太 石井
健太 石井
美穂 小久保
美穂 小久保
一郎 中冨
一郎 中冨
加藤 泰己
泰己 加藤
佐季子 加藤
佐季子 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NanoCarrier Co Ltd
Original Assignee
NanoCarrier Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NanoCarrier Co Ltd filed Critical NanoCarrier Co Ltd
Publication of JPWO2016137007A1 publication Critical patent/JPWO2016137007A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6144446B2 publication Critical patent/JP6144446B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K8/00Cosmetics or similar toiletry preparations
    • A61K8/18Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition
    • A61K8/72Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing organic macromolecular compounds
    • A61K8/84Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing organic macromolecular compounds obtained by reactions otherwise than those involving only carbon-carbon unsaturated bonds
    • A61K8/88Polyamides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61QSPECIFIC USE OF COSMETICS OR SIMILAR TOILETRY PREPARATIONS
    • A61Q5/00Preparations for care of the hair
    • A61Q5/002Preparations for repairing the hair, e.g. hair cure
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K8/00Cosmetics or similar toiletry preparations
    • A61K8/02Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by special physical form
    • A61K8/04Dispersions; Emulsions
    • A61K8/06Emulsions
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K8/00Cosmetics or similar toiletry preparations
    • A61K8/18Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition
    • A61K8/30Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing organic compounds
    • A61K8/64Proteins; Peptides; Derivatives or degradation products thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K8/00Cosmetics or similar toiletry preparations
    • A61K8/18Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition
    • A61K8/72Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing organic macromolecular compounds
    • A61K8/90Block copolymers
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61QSPECIFIC USE OF COSMETICS OR SIMILAR TOILETRY PREPARATIONS
    • A61Q1/00Make-up preparations; Body powders; Preparations for removing make-up
    • A61Q1/02Preparations containing skin colorants, e.g. pigments
    • A61Q1/10Preparations containing skin colorants, e.g. pigments for eyes, e.g. eyeliner, mascara
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61QSPECIFIC USE OF COSMETICS OR SIMILAR TOILETRY PREPARATIONS
    • A61Q5/00Preparations for care of the hair
    • A61Q5/12Preparations containing hair conditioners

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Birds (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Dermatology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Cosmetics (AREA)
  • Polyamides (AREA)

Abstract

親水性ポリマー鎖セグメントと疎水性ポリマー鎖セグメントとを有するブロックコポリマーを含む高分子処理剤とする。当該高分子処理剤は、頭髪のケアに限らず、まつ毛や眉毛を含めた体毛のケアにも適用でき、極微量の使用であっても、さらにはシリコーン成分を使用せずとも毛髪の物理的強度を向上させ得る。当該強度向上作用はダメージヘアにおいて特に顕著に発揮される。

Description

本発明は、ポリマーミセル材料であるブロックコポリマーの新規用途たる毛髪用の高分子処理剤に関する。薬物送達用の高分子ミセルの素材として適用されてきたブロックコポリマーについて、その技術的適用性に関する既成概念を超えた新規な用途を提供する。
ポリエチレングリコールに由来する親水性ポリマー鎖セグメントとポリアミノ酸に由来する疎水性ポリマー鎖セグメントとを有するブロックコポリマーは、水性溶媒(例えば血液)中において、ポリマー同士の疎水性相互作用によって、内殻部分に疎水性領域を有したポリマーミセル構造を形成する。当該ブロックコポリマーを用いたポリマーミセル技術は、疎水性相互作用によるミセル形成メカニズムを利用して難水溶性の抗癌剤をミセル内に徐放可能な状態で保持させることによって、難水溶性薬物の可溶化による静注投与を可能にすると同時に、血液中での薬物滞留性を増加させ得る技術として研究されてきた(特許文献1)。また、こうしたポリマーミセル技術は、難水溶性薬物であり美白成分の一種でもあるヒノキチオールに適用され、皮膚角質層内での薬物の長期的な滞留によって美白作用の有効活用性を増大させ得る経皮化粧品組成物としても応用されている(特許文献2)。
特許第2777530号公報 国際公開第2008/026776号
本発明の主目的の一つは、薬物送達用の高分子ミセルの素材として適用されてきたブロックコポリマーについて、その技術的適用性に関する既成概念を超えた新規な用途の提供にある。
ポリマーミセル技術は、医薬品用途であっても化粧品等の非医薬品用途であっても、滞留性の向上によって内包成分を対象物(生体組織)に持続的に届けることを志向した技術である。ポリマーミセル技術分野では、投与直後にポリマーミセルが積極的に除去され得るような環境下での使用(例えば、皮膚を、ポリマーミセル溶液を塗布した直後に洗浄する)は、その技術的価値を著しく毀損するものと考えられてきた。このように、ポリマーミセル技術分野では、使用直後からポリマーミセルが物理的に除去されかねない“非安定的環境”下での使用は回避すべきであり、その技術的価値を発揮させるには原理的に安定的環境下での使用に制限されるとの既成概念があった。
本発明者は、高分子ミセルの素材として適用されてきたブロックコポリマーについて、当該ブロックコポリマーや高分子ミセルが物理的に除去されかねない“非安定的環境”下で使用され得る毛髪用の処理剤の成分として敢えて利用すると、毛髪の物理的強度を大幅に向上でき、かつ非安定的環境の一例でもある洗浄操作を経ても当該強度向上作用を維持できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、親水性ポリマー鎖セグメントと疎水性ポリマー鎖セグメントとを有するブロックコポリマーを含む毛髪用の高分子処理剤を提供する。
本発明によれば、極微量の使用であっても、さらにはシリコーン成分を使用せずとも、毛髪の物理的強度を向上させ得る毛髪用の高分子処理剤を提供できる。
毛髪用の高分子処理剤は、親水性ポリマー鎖セグメントと疎水性ポリマー鎖セグメントとを有するブロックコポリマーを含む。ブロックコポリマーは、親水性ポリマー鎖セグメントがポリエチレングリコール由来のセグメントであり、疎水性ポリマー鎖セグメントがポリアミノ酸由来のセグメントであってよい。親水性ポリマー鎖セグメントと疎水性ポリマー鎖セグメントは、主鎖の末端同士が共有結合で結合されていてよい。
親水性ポリマー鎖セグメントの反復単位数は、例えば20個以上、また例えば45個以上に設定でき、例えば1000個以下、また例えば700個以下、また例えば450個以下に設定できる。親水性ポリマー鎖セグメントの分子質量は、例えば1,000Da以上、また例えば2,000Da以上、また例えば5,000Da以上に設定でき、例えば40,000Da以下、また例えば30,000Da以下、また例えば20,000Da以下に設定できる。
疎水性ポリマー鎖セグメントの反復単位数は、例えば10個以上、また例えば20個以上に設定でき、例えば200個以下、また例えば100個以下、また例えば60個以下に設定できる。疎水性ポリマー鎖セグメントの分子質量は、例えば1,000Da以上、また例えば2,000Da以上に設定でき、例えば30,000Da以下、また例えば16,000Da以下、また例えば10,000Da以下に設定できる。
ブロックコポリマーにおける疎水性ポリマー鎖セグメントは、例えば、その繰り返し単位中にアルキル基側鎖アミノ酸またはアラルキル基側鎖アミノ酸の残基を有する状態にあってよい。当該アルキル基側鎖アミノ酸としては、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンを例示できる。当該アラルキル基側鎖アミノ酸としては、フェニルアラニンを例示できる。2以上のアルキル基側鎖アミノ酸および/またはアラルキル基側鎖アミノ酸の残基を有する場合、これらは同一のアミノ酸残基であってもよいが、2種以上の異なるアルキル基側鎖アミノ酸および/またはアラルキル基側鎖アミノ酸の残基が混在していてもよい。疎水性ポリマー鎖セグメントの全繰り返し単位に対するアルキル基側鎖アミノ酸またはアラルキル基側鎖アミノ酸の残基の比率は限定されず、例えば20%以上、また例えば35%以上、また例えば40%以上、また例えば50%以上、また例えば80%以上、また例えば95%以上、また例えば99%以上、また例えば100%であってよい。
親水性ポリマー鎖セグメントの分子質量100%に対する疎水性ポリマー鎖セグメントの分子質量は、例えば10%以上、また例えば20%以上に設定でき、例えば400%以下、また例えば300%以下に設定できる。
ブロックコポリマーの構造式の一例としては、次の一般式(I)および(II)が挙げられる。
Figure 2016137007
一般式(I)および(II)において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールC1−3オキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、C1−6アルコキシカルボニル基、C2−7アシルアミド基、トリ−C1−6アルキルシロキシ基、シロキシ基、シリルアミノ基であり、Rは水素原子、飽和若しくは不飽和のC〜C29脂肪族カルボニル基またはアリールカルボニル基であり、Rは水酸基、飽和若しくは不飽和のC〜C30脂肪族オキシ基またはアリール−低級アルキルオキシ基である。
一般式(I)および(II)において、R5およびR6は、それぞれ独立してアミノ酸の側鎖を表す。但しn個の繰り返し単位のうち50%以上、また例えば80%以上、また例えば95%以上、また例えば99%以上、また例えば100%が炭素数1〜8のアルキル基側鎖またはアラルキル基側鎖である。R5およびR6のうち炭素数1〜8のアルキル基側鎖またはアラルキル基側鎖ではないアミノ酸側鎖は、OH基またはCOOH基を有する親水性基であってもよい。
一般式(I)および(II)において、mは、例えば20以上、また例えば45以上の整数であり、例えば700以下、また例えば450以下の整数である。nは、例えば10以上、また例えば20以上の整数であり、例えば200以下、また例えば100以下、また例えば60以下の整数である。
一般式(I)および(II)において、Lは−NH−、−Z−NH−、−Z−、および−Z−S−Z−NH−(ここで、Zは独立してC〜Cアルキレン基である)から選ばれる連結基であり、Lは−Z−、−CO−Z−CO−、−Z−CO−Z−CO−、−NH−CO−Z−CO−および−Z−NH−CO−Z−CO−(ここで、Zは独立してC〜Cアルキレン基である)から選ばれる連結基である。
ブロックコポリマーの構造式の別例としては、次の一般式(III)および(IV)が挙げられる。
Figure 2016137007
一般式(III)および(IV)において、R、R、R、R、m、L及びLの定義は、一般式(I)および(II)における定義と同一である。
一般式(III)および(IV)において、Rは−O−または−NH−であり、Rは水素原子、フェニル基、ベンジル基、−(CH−フェニル基、未置換の若しくはアミノ基若しくはカルボニル基で置換されたC〜C16アルキル基、または、ステロール誘導体の残基であり、Rはメチレン基である。
一般式(III)および(IV)において、n1は10〜200の範囲にある整数であり、n2は0〜200の範囲にある整数であり(ただし、n2が1以上である場合、(COCHNH)のユニットと(CORCHNH)のユニットとはランダムに存在し、n2が2以上である場合、Rは1つのブロックコポリマー内の各アミノ酸ユニットにおいて各々独立に選択され、ランダムに存在するが、Rが水素原子である場合はR全体の75%以下である)、yは1または2である。
ブロックコポリマーの構造式の別の例としては、次の一般式(V)および(VI)が挙げられる。
Figure 2016137007
一般式(V)および(VI)において、R、R、R、R、R5、R6、L及びLの定義は、一般式(I)および(II)における定義と同一であり、R7、R8、R9、及びyの定義は、一般式(III)および(IV)における定義と同一である。
一般式(V)および(VI)において、n3は1〜200の範囲にある整数であり、n4は1〜200の範囲にある整数であり、n5は0〜200の範囲にある整数である。ただし、n4が示すユニットと(n5が1以上である場合)n5が示すユニットとは、互いにランダムに存在する。n3が示すユニットと、n4が示すユニットおよび(n5が1以上である場合)n5が示すユニットとは、ランダムに存在していてもよく、n3が示すユニットからなるブロックと、n4が示すユニットおよび(n5が1以上である場合)n5が示すユニットからなるブロックとに分かれて存在していてもよい。また、n3個の繰り返し単位のうち50%以上、例えば80%以上、また例えば90%以上、また例えば95%以上、また例えば99%以上、また例えば100%は、炭素数1〜8のアルキル基側鎖またはアラルキル基側鎖である。n3個の繰り返し単位のうち炭素数1〜8のアルキル基側鎖またはアラルキル基側鎖ではないアミノ酸側鎖は、OH基またはCOOH基を有する親水性基であってもよい。また、n3が示すユニット、n4が示すユニット、および(n5が1以上である場合)n5が示すユニットの総数n3+n4+n5に対する、n3が示すユニットの比率は、例えば20%以上、また例えば35%以上、また例えば40%以上、また例えば50%以上、例えば80%以上、また例えば90%以上であってよい。
ブロックコポリマーは、例えば、親水性ポリマー鎖を有するポリマーおよびポリアミノ酸鎖を有するポリマーをそのまま、または必要により分子質量分布を狭くするように精製した後、公知の方法によりカップリングすることによって形成できる。一般式(I)のブロックコポリマーについては、例えば、R1を付与できる開始剤を用いてアニオンリビング重合を行うことによりポリエチレングリコール鎖を形成した後、成長末端側にアミノ基を導入し、そのアミノ末端からアルキル側鎖アミノ酸を含む所望のアミノ酸を重合させることによっても形成できる。
高分子処理剤は、上述のブロックコポリマーを1種、或いは2種以上を任意の組み合わせおよび比率で含む。高分子処理剤は、更に溶剤を含んでもよい。溶剤の種類は限定されず、水性媒体でも非水性(油性)媒体でもよい。水性媒体としては、水、或いは水に少量の水溶性有機溶媒(例えばメタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフランやジエチルエーテル等のエーテル類、DMF、DMSO等)を1種または2種以上混合した混合媒体等が挙げられる。非水性(油性)媒体としては、非水性(油性)有機溶媒(例えば流動パラフィン、オレイン酸エチル等)の媒体が挙げられる。溶剤は、緩衝剤、防腐剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸化防止剤、酸化還元剤、pH調整剤、凝集防止剤等の添加剤を含んでもよい。
高分子処理剤におけるブロックコポリマーの存在形態は制限されず、非ミセルの状態でもよいが、その少なくとも一部又は実質的に全部の分子が組織化して高分子ミセルを構成してもよい。
上述のブロックコポリマーが非ミセルの状態を取る場合、溶剤たる水性媒体又は非水性(油性)媒体中で、上述のブロックコポリマーの分子が相互に分離した状態で存在する。
一方、上述のブロックコポリマーが高分子ミセルを構成する場合、その態様としては水中油型ミセルと油中水型ミセルとが挙げられる。水中油型ミセルの場合、通常は溶剤として水性媒体が用いられ、上述のブロックコポリマーの分子の少なくとも一部が、溶剤たる水性媒体中で、通常は親水性ポリマー鎖セグメントを外側に、疎水性ポリマー鎖セグメントを内側に向けた状態で放射状に配列した高分子ミセルの形態を取ると考えられる。一方、油中水型ミセルの場合、通常は溶剤として非水性(油性)媒体が用いられ、上述のブロックコポリマーの分子の少なくとも一部が、通常は溶剤たる非水性(油性)媒体中で、通常は親水性ポリマー鎖セグメントを内側に、疎水性ポリマー鎖セグメントを外側に向けた状態で放射状に配列した高分子ミセルの形態を取ると考えられる。
なお、相互に分離した状態で存在するブロックコポリマー分子と、高分子ミセルを形成するブロックコポリマー分子とが、溶剤中で共存していてもよい。なお、溶剤として水性媒体を使用する場合、ブロックコポリマー分子は主に水中油型ミセルの形態をとるが、ブロックコポリマーの濃度が低い場合には相互に分離した非ミセル状態の分子の割合が高くなる場合もある。一方、溶剤として非水性媒体を使用する場合、ブロックコポリマー分子は通常は相互に分離した非ミセル形態をとる。但し、ブロックコポリマー分子を非水性媒体に添加した後、水を滴下しながら高圧ホモジナイザー等で加圧分散する等の手法により、ブロックコポリマー分子の少なくとも一部に油中水型ミセルを形成させることもできる。
本発明による高分子処理剤が毛髪の物理的強度向上といった優れたヘアケア作用を示す理由は明らかではないが、以下のように推測される。高分子処理剤を毛髪に塗布すると、高分子処理剤に含まれるブロックコポリマーが毛髪に存在するダメージホールに非ミセル状態又は高分子ミセル状態で入り込み、毛髪内部に浸透する。ダメージホールに侵入したブロックコポリマーが非ミセル状態の場合、毛軸内(ダメージホール内等)の残存水分に起因して、自己会合的に水中油型ミセルを形成する。油中水型ミセルの場合、毛軸内(ダメージホール内等)の残存水分の量に依存するが、水分量が多ければ、いったん非ミセル状態に解離した後に水中油型ミセルへと構造変化し得るし、水分量が少なければ油中水型の構造が維持される。こうして、毛髪内部の間隙には水中油型または油中水型の高分子ミセルが蓄積される。毛髪内部は高分子排除機能がないため、毛髪内部の間隙では当該ブロックコポリマーからなる高分子ミセル成分の蓄積が進むことになる。また、ミセル成分が密に蓄積すると、水中油型ミセルの場合はブロックコポリマーの親水性ポリマー鎖セグメント同士の相互作用による、また油中水型ミセルの場合はブロックコポリマーの疎水性セグメント同士の相互作用による、会合が生じ易くなるため、毛髪内部間隙において外部から水が入り込む隙間が閉塞される。こうして毛髪内部間隙がミセル成分で充填されると、間隙内に存在するミセル成分では毛髪外の水との親和性よりもミセル成分同士の相互作用の方が強くなるため、洗浄処理によるミセル成分の洗い流し、換言すれば間隙からのミセル成分の引き抜き、が抑制されることになる。こうして毛髪内部間隙にミセル成分が残存することで、ミセル成分が本来的に有する物理力によって、毛髪の物理的強度が大幅に向上した状態になるものと推測される。このように、本発明の高分子処理剤は、毛穴(皮膚)や毛根部分に作用する従来の経皮型処理剤や、毛髪表面をコーティングして物理的強度を高めることを志向した従来のシリコーン成分含有処理剤とは異なり、毛軸間隙(特にダメージホール)の内部に浸透して残存することにより機能するものと推測される。このために、毛髪洗浄等の“非安定的環境”を経た場合でも、毛髪の物理的強度を根本的に向上させることが可能になるものと推測される。
なお、ダメージホールは、損傷が多いダメージヘアはもちろんのこと、損傷の少ない通常レベルの毛髪、換言すればバージンヘアとして取り扱われる程度に損傷の少ない毛髪であっても存在する。ここで、本明細書では、毛軸の横断面において、推測される本来外周面からのダメージホールによる切欠部の面積割合が、本来外周面によって規定される本来面積の10%以上である毛髪をダメージヘアと呼び、当該面積割合が10%未満である毛髪をバージンヘアと呼ぶ。本発明による高分子処理剤の作用機序からは、本発明による物理的強度の向上作用はダメージヘアにおいてより顕著に発揮されることになる。このため、本発明による高分子処理剤は、ダメージヘア再生剤としてより好適に適用できる。
高分子処理剤におけるブロックコポリマーの含有量は制限されないが、例えば1質量%以下、また例えば0.1質量%以下、また例えば0.005質量%以下、また例えば5×10−4質量%以下、また例えば5×10−5質量%以下、また例えば5×10−6質量%以下の含有量であっても、毛髪の物理的強度改善作用を発揮し得る。また、当該強度改善作用をより確実に発揮させる観点からは、高分子処理剤におけるブロックコポリマーの含有量は、例えば0質量%超、また例えば0.0005質量%以上、また例えば0.001質量%以上の範囲にあるとよい。
高分子処理剤は、上述のブロックコポリマー(および任意成分の溶剤)に加えて、更に他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、限定されるものではないが、栄養成分、防腐剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸化防止剤、酸化還元剤、pH調整剤、凝集防止剤等が挙げられる。これらの成分は任意の1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いてもよい。
高分子処理剤は栄養成分を含んでいてよい。従来の毛髪用の処理剤は、シリコーン成分等を利用した毛髪表面のコーティングによって、毛髪の物理的強度を向上させることを志向している。こうした従来の技術は、見かけ上の毛質改善作用は得られるものの毛軸に単なる被膜を形成するに過ぎないため、根本的な改善ができるわけではない。また、コーティング能力の強化を志向するほど、いくら毛質改善効果が期待される成分や保湿成分などを毛髪用の処理剤に添加しようとも、むしろこうした栄養成分の毛髪内部への浸透が毛髪表面の被膜によって阻害されてしまうというジレンマがあった。一方、本発明による高分子処理剤は、シリコーン成分を不要化しつつも毛髪の物理的強度を向上し得るため、栄養成分による根本的な毛質改善の促進も可能にする。このように、本発明による高分子処理剤は、シリコーン成分を実質的に含有しない状態にあってよく、また原理的に、ブロックコポリマーの高分子ミセルに栄養成分を内包させることにより、栄養成分も毛髪内部に浸透させることも可能である。本明細書においてシリコーン成分を実質的に含有しない状態とは、高分子処理剤におけるシリコーン成分の含有量が1質量%未満、より厳密には0.1質量%未満の範囲にある状態を意味する。他方、本明細書においてブロックコポリマーの含有量については、当該シリコーン成分の実質的非含有量の範囲にある場合であっても、実質的に含有する状態として取り扱う。
栄養成分としては、頭皮や毛根に作用する成分を積極的に排除するものではないが、本発明による高分子処理剤の作用機序を考慮すると、主に毛軸に作用する公知の毛質改善成分の選択が望ましい。毛質改善成分としては、ケラチン、セラミド、コレステロール、ヘマチン、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、ヒアルロン酸、シルクプロテイン、エルカラクトン、各種アミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン、トリプトファン、シスチン、メチオニン)を例示できる。栄養成分は2種以上を選択してもよい。
栄養成分は、高分子処理剤においてブロックコポリマーから独立した状態で含有されていてもよいが、ブロックコポリマーによって形成された高分子ミセルに内包された状態であってもよい。
本発明の高分子処理剤の製造方法は制限されない。例えば、ブロックコポリマーの分子が溶剤中に非ミセル状態で存在する態様の場合、ブロックコポリマー(および任意により使用される他の成分)を、溶剤と混合すればよい。一方、ブロックコポリマーの分子の少なくとも一部が高分子ミセルを形成する態様の場合、水中油型ミセルか油中水型ミセルかによって適切な製法を選択すればよい。
例えば水中油型ミセルの場合、i)ブロックコポリマーを有機溶媒に添加した形成溶液を調製し、ii)当該形成溶液から有機溶媒を除去し、iii)当該除去後の残存物(例えば、固形物またはペースト)を水に添加して、ブロックコポリマーを含有する懸濁液を調製し、iv)当該懸濁液中のブロックコポリマーを分散させる、ことによって形成できる。形成溶液に使用される有機溶媒としては、アセトン、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォオキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メタノール等を例示できる。形成溶液は2種以上の有機溶媒を含有でき、少量の水をさらに含有してもよい。有機溶媒は、蒸散、抽出または膜分離といった公知の方法によって形成溶液から除去してよい。有機溶媒除去後の残存物を添加する水は、塩または安定化剤などの添加物を含んでいてもよい。混合物の分散は、超音波照射、高圧乳化機またはエクストルーダーといった公知の微小化手段を用いてよい。
一方、油中水型ミセルの場合、上述の様に、ブロックコポリマーを非水性媒体に添加した後、水を滴下しながら加圧分散することによって形成できる。ブロックコポリマーを添加する非水性媒体としては、アセトン、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォオキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等の非水系有機溶媒を例示できる。2種以上の非水性有機溶媒を併用してもよく、少量の水をさらに含有してもよい。添加される水は、塩または安定化剤などの添加物を含んでいてもよい。混合物の加圧分散には、高圧ホモジナイザーといった公知の手段を用いてよい。
ブロックコポリマーの高分子ミセルに栄養成分を内包させた態様の高分子処理剤は、当該高分子ミセルの形成に続けて、または予め準備された高分子ミセルについて、高分子ミセルと栄養成分とを混合することによって形成できる。栄養成分は、当該栄養成分を含有した栄養成分溶液の状態で高分子ミセルと混合してもよいし、高分子ミセルを含有した溶液(例えば上記iv)で得られる分散液)に添加することで混合してもよい。
本発明の高分子処理剤は、毛髪の処理に関連する各種の用途に使用でき、より具体的には、頭髪の処理に限らず、まつ毛や眉毛を含めた体毛の処理にも使用できる。当該高分子処理剤は、物理的強度の低下が激しい毛髪、換言すれば不健康な毛髪であるほど、その物理的強度を大幅に向上できることから、例えばダメージヘア再生機能を有する処理剤、換言すればダメージヘア再生剤、として使用できる。また例えば、当該高分子処理剤は、ブロックコポリマーやそれにより構成される高分子ミセルにより毛髪の内部間隙を充填するという上述の作用機序から、毛髪内部間隙の充填機能を有する処理剤、換言すれば毛髪内部間隙充填剤としても使用できる。また例えば、当該高分子処理剤は、“非安定的環境”である洗浄操作を経ても当該強度向上作用を維持できることから、洗い流すこと前提とした毛髪洗浄剤(例えばシャンプー)や毛髪改質剤(例えばリンス、コンディショナー、トリートメント)としても使用できる。
毛髪用の高分子処理剤の上市製品の形態としては、シャンプー、リンス、コンディショナー、ヘアパック、ヘアマスク、トリートメント、スタイリング剤、染毛剤といった液状またはペースト状の美容用消費財を例示できる。高分子処理剤は、上市製品の形態に応じて、ブロックコポリマーおよび栄養成分以外にも、例えば、流動パラフィン、ワセリンおよびスクワランのような炭化水素;イソプロピルミリステートおよびイソプロピルパルミテートのようなエステル油;ツバキ油、オリーブ油およびアボガド油のような植物油;ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートのような非イオン界面活性剤;メチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース誘導体;カチオン化セルロースのようなカチオン化ポリマー;ポリペプチド;防腐剤;ふけとり剤;キレート剤;紫外線吸収剤;色素;香料をさらに含有してよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
[実施例1]
実施例1のブロックコポリマーは、ポリエチレングリコール−ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ブロックコポリマー(以降、「PEG−PBLG」と表示する)である。
PEG−PBLGは次のようにして調製した。アルゴン雰囲気下、PEG−NH(分子量10000Da)を脱水ジメチルホルムアミドに溶解し、PBLGセグメントを重合するためのα−アミノ酸−N−カルボキシ無水物(NCA)であるBLG−NCAを、PEG−NHに対し42当量加えた後、40℃で18時間撹拌した。反応液をヘキサン/酢酸エチル(1/1)混合溶媒で再沈殿させ、同溶媒で洗浄した。乾燥後、PEG−PBLG粉末を得た。H−NMRによる解析から、PEG−PBLGにおけるPEGセグメントの重合度は227であり、PBLGセグメントの重合度は40であった。PEG−PBLGの構造式を下記式(1)として示す。
Figure 2016137007
[実施例2]
実施例2のブロックコポリマーは、ポリエチレングリコール−ポリロイシン−ブロックコポリマー(以降、「PEG−pLeu」と表示する)である。
PEG−pLeuは、NCAとしてLeu−NCAを44当量で用いたこと以外は、実施例1と同様にして調製した。H−NMRによる解析から、pLeuセグメントの重合度は40であった。PEG−pLeuの構造式を下記式(2)として示す。
Figure 2016137007
[実施例3−1]
実施例3−1のブロックコポリマーは、PEGセグメントと、モル比率で25%のロイシン(Leu)ユニット及びモル比率で75%のγ−ベンジル−L−グルタメート(BLG)ユニットをランダムに含むポリ(ロイシン/γ−ベンジル−L−グルタメート)セグメントとからなるポリエチレングリコール−ポリ(ロイシン/γ−ベンジル−L−グルタメート)−ブロックコポリマーである。以降、こうしたLeuユニットとBLGユニットの混合型のコポリマーを「PEG−p(Leu/BLG)」と表示し、当該ユニットのモル比率を併記する場合「PEG−p(Leu/BLG)(25:75)」と表示する。
PEG−p(Leu/BLG)(25:75)は、NCAとしてLeu−NCAおよびBLG−NCAを用い、LeuユニットとBLGユニットとのモル比率が25:75となるように当該NCAのモル比率を調整したこと以外は、実施例1と同様にして調製した。H−NMRによる解析から、PEG−p(Leu/BLG)(25:75)におけるPEGセグメントの重合度は227であり、p(Leu/BLG)セグメントにおけるLeuユニット及びBLGユニットの重合度は30及び10であった。
PEG−p(Leu/BLG)(25:75)の構造式を下記式(3)として示す。下記式(3)ならびに後述する式(4)および(5)では便宜上、{ }内左側にLeuユニットを表示し、右側にBLGユニットを表示するが、実際にはこれらのユニットはランダムに配置されている。
Figure 2016137007
[実施例3−2]
実施例3−2のブロックコポリマーは、PEG−p(Leu/BLG)(50:50)である。PEG−p(Leu/BLG)(50:50)は、LeuユニットとBLGユニットとのモル比率が50:50となるようにNCAのモル比率を調整したこと以外は実施例3−1と同様にして調製した。PEG−p(Leu/BLG)(50:50)の構造式を下記式(4)として示す。
Figure 2016137007
[実施例3−3]
実施例3−3のブロックコポリマーは、PEG−p(Leu/BLG)(75:25)である。PEG−p(Leu/BLG)(75:25)は、LeuユニットとBLGユニットとのモル比率が75:25となるようにNCAのモル比率を調整したこと以外は実施例3−1と同様にして調製した。PEG−p(Leu/BLG)(75:25)の構造式を下記式(5)として示す。
Figure 2016137007
[評価1]
ヒト毛髪サンプル(ビューラックス社のBS−PGM)を、0.5%SDS水溶液に浸して30分間撹拌した後、蒸留水で洗浄し、冷風ドライヤーで乾燥した。洗浄・乾燥後の毛髪を2群に分け、一方はバージンヘア試料として用いた。もう一方の毛髪群はダメージヘア試料の作製に用いた。ダメージヘア試料は、当該毛髪群に3剤式ブリーチ剤(マンダム社製ギャツビーEXハイブリーチ)を塗布して30分間静置し、0.5%SDS水溶液に浸して30分間撹拌した後、蒸留水で洗浄し、冷風ドライヤーで乾燥することにより作製した。
高分子処理剤として、水性媒体である水を溶剤に用いた水分散液を準備した。各実施例のブロックコポリマーが10mg/mLになるように水を加えて一晩撹拌した後、ナノヴェイター処理(150MPa、10pass)して原液を調製した。当該原液に更に水を加えることによって、ブロックコポリマー濃度の異なる高分子処理剤を調製した。当該高分子処理剤において、より具体的には溶剤としての当該水分散液において、ブロックコポリマーの分子の少なくとも一部は、親水性ポリマー鎖セグメントを外側に向け、疎水性ポリマー鎖セグメントを内側に向けて放射状に配置された、高分子ミセルを形成した状態にある。
各毛髪試料を、高分子処理剤に60分間浸漬させた後、蒸留水で洗浄し、冷風ドライヤーで乾燥した。
一本曲げ試験機(カトーテック社製KES−FB2−SH)を用い、各毛髪試料の曲げ硬さを測定した。測定環境は温度20℃、湿度60%である。試験機の設定条件は、sence値を1に、曲率を±2.5cm−1に、測定長を1cmに、測定回数を1回にした。曲げ硬さの解析は、カトーテック社製KES−FB2−SYSTEMデータ計測プログラムで実施した。
毛髪の太さによるばらつきの影響を考慮し、曲げ硬さの測定結果を平均化するために、各毛髪試料の直径を糸引張り直径測定器(カトーテック社製)を用いて測定し、毛髪試料の断面積を算出した。
未処理の各毛髪試料、及び、各実施例の高分子処理剤で処理された各毛髪試料について単位断面積当たりの曲げ硬さの値を、以下の式(i)に基づいて算出した。
L=B/M (i)
上記式(i)中、Lは毛髪試料の単位断面積当たりの曲げ硬さ(gf・cm/mm)であり、Bは毛髪試料の曲げ硬さ(gf・cm)であり、Mは毛髪試料の断面積(mm)である。
上記式(i)に従って算出された未処理の毛髪試料の曲げ硬さの値を1とした場合の、高分子処理剤で処理した毛髪試料の曲げ硬さの値の比率を求め、評価の指標とした。結果を表1に示す。
Figure 2016137007
表1に示すように、本発明による高分子処理剤は、バージンヘア試料およびダメージヘア試料のいずれについても、毛髪の物理的強度を向上できる。また、当該強度向上作用は、ダメージヘア試料において特に顕著に発揮された。
[評価2]
実施例1、2および3−1〜3−3のブロックコポリマーを用いて原液を調製したこと以外は、評価1と同様にしてブロックコポリマー濃度の異なる高分子処理剤を調製した。当該高分子処理剤において、ブロックコポリマーの分子の少なくとも一部は、評価1の高分子処理剤と同様に高分子ミセルを形成した状態にある。
毛髪資料として、ビューラックス社のBS−PG(Spec:K-085)にブリーチ剤を塗布した後の静置時間を、30分間から1時間に変更して準備したダメージヘア試料を用いたこと以外は、評価1と同様にして、曲げ硬さを測定した。
Figure 2016137007
表2に示すように、本発明による高分子処理剤は、0.005質量%以下、さらには0.001質量%以下、の極微量のブロックコポリマー含有量であっても毛髪の物理的強度を向上できる。なお、実施例1および2のブロックコポリマーの含有量が等しい高分子処理剤について、曲げ硬さの数値が評価1の場合と異なるが、これはダメージヘア試料の作成条件の相違に起因した差異に過ぎない。また、当該ダメージヘア試料は評価1の場合に比べてダメージ度合いがより深刻であるが、本発明による高分子処理剤は、こうした深刻なダメージヘアであっても物理的強度を向上できる。
[評価3]
高分子処理剤として、非水性媒体であるクリームを溶剤に用いたクリーム剤を準備した。クリームは、15.3(w/w)%の流動パラフィンと7.6(w/w)%のTween80とを均一になるまで撹拌混合することによって調製した。当該クリームに、評価1にて調製した、実施例1または2のブロックコポリマーを1(w/w)%で含有する76.3(w/w)%の原液(水分散液)を添加し、更に増粘剤である0.8(w/w)%のキサンタンガムを数回に分けて加え、一晩緩やかに撹拌することによってクリーム剤としての高分子処理剤を調製した。当該高分子処理剤におけるブロックコポリマーの最終濃度は0.8(w/w)%である。当該高分子処理剤において、ブロックコポリマーの分子の少なくとも一部は、溶剤中で相互に分離した状態にある。
また、比較例として、上記の原液を添加しないこと以外は同様にしてクリーム剤を調製した。
高分子処理剤として当該クリーム剤を用いたこと以外は、評価2と同様にして毛髪試料の単位断面積当たりの曲げ硬さの値を算出した。比較例のクリーム剤による当該曲げ硬さの値を1とした場合の、各高分子処理剤による当該曲げ硬さの値の比率を下記の表3に示す。
Figure 2016137007
表3に示すように、本発明による高分子処理剤は、溶剤として非水性媒体を用いた態様であっても、換言するとブロックコポリマーの分子の少なくとも一部が溶剤中で相互に分離した状態にあっても、毛髪の物理的強度を向上できる。
本発明による高分子処理剤は、毛髪の物理的強度を向上でき、極微量の使用であっても当該強度向上作用を発揮し得るため、頭髪のケアに限らず、まつ毛や眉毛を含めた体毛のケアをも含めた用途に適用でき、美容分野において特に好適に利用できる。

Claims (17)

  1. 親水性ポリマー鎖セグメントと疎水性ポリマー鎖セグメントとを有するブロックコポリマーを含む毛髪用の高分子処理剤。
  2. 更に溶剤を含む、請求項1に記載の高分子処理剤。
  3. 前記溶剤が水性媒体または非水性媒体である、請求項2に記載の高分子処理剤。
  4. 前記ブロックコポリマーの分子の少なくとも一部が前記溶剤中で相互に分離した状態にある、請求項2又は3に記載の高分子処理剤。
  5. 前記ブロックコポリマーの分子の少なくとも一部が前記溶剤中で高分子ミセルを形成した状態にある、請求項2又は3に記載の高分子処理剤。
  6. 前記溶剤が水性媒体であり、前記ブロックコポリマーの分子が親水性ポリマー鎖セグメントを外側に、疎水性ポリマー鎖セグメントを内側に向けた状態で放射状に配列し、高分子ミセルを形成した状態にある、請求項5に記載の高分子処理剤。
  7. ダメージヘア再生剤である、請求項1〜6の何れか一項に記載の高分子処理剤。
  8. 0質量%を超えて1質量%以下の範囲で前記ブロックコポリマーを含有する、請求項1〜7の何れか一項に記載の高分子処理剤。
  9. 0質量%を超えて0.1質量%以下の範囲で前記ブロックコポリマーを含有する、請求項8に記載の高分子処理剤。
  10. 0質量%を超えて0.005質量%以下の範囲で前記ブロックコポリマーを含有する、請求項9に記載の高分子処理剤。
  11. 0.0005質量%以上の範囲で前記ブロックコポリマーを含有する、請求項1〜7の何れか一項に記載の高分子処理剤。
  12. 0.001質量%以上の範囲で前記ブロックコポリマーを含有する、請求項11に記載の高分子処理剤。
  13. 前記疎水性ポリマー鎖セグメントが、アルキル基側鎖アミノ酸またはアラルキル基側鎖アミノ酸の残基を有する繰り返し単位と、アルキル基側鎖アミノ酸またはアラルキル基側鎖アミノ酸の残基を有しない繰り返し単位とを有する、請求項1〜12の何れか一項に記載の高分子処理剤。
  14. 前記疎水性ポリマー鎖セグメントの全繰り返し単位に対する、前記アルキル基側鎖アミノ酸またはアラルキル基側鎖アミノ酸の残基を有する繰り返し単位のモル比率が、20%以上である、請求項13記載の高分子処理剤。
  15. 前記繰り返し単位のモル比率が、35%以上である、請求項14記載の高分子処理剤。
  16. 前記繰り返し単位のモル比率が、40%以上である、請求項15記載の高分子処理剤。
  17. 前記繰り返し単位のモル比率が、50%以上である、請求項16記載の高分子処理剤。
JP2017502540A 2015-02-27 2016-02-29 高分子処理剤 Active JP6144446B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015039269 2015-02-27
JP2015039269 2015-02-27
PCT/JP2016/056105 WO2016137007A1 (ja) 2015-02-27 2016-02-29 高分子処理剤

Related Child Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017094002A Division JP6173638B2 (ja) 2015-02-27 2017-05-10 高分子処理剤
JP2017093973A Division JP6211222B2 (ja) 2015-02-27 2017-05-10 高分子処理剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2016137007A1 true JPWO2016137007A1 (ja) 2017-04-27
JP6144446B2 JP6144446B2 (ja) 2017-06-07

Family

ID=56789484

Family Applications (3)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017502540A Active JP6144446B2 (ja) 2015-02-27 2016-02-29 高分子処理剤
JP2017094002A Active JP6173638B2 (ja) 2015-02-27 2017-05-10 高分子処理剤
JP2017093973A Active JP6211222B2 (ja) 2015-02-27 2017-05-10 高分子処理剤

Family Applications After (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017094002A Active JP6173638B2 (ja) 2015-02-27 2017-05-10 高分子処理剤
JP2017093973A Active JP6211222B2 (ja) 2015-02-27 2017-05-10 高分子処理剤

Country Status (7)

Country Link
US (1) US20180071199A1 (ja)
JP (3) JP6144446B2 (ja)
CN (1) CN107249560A (ja)
HK (1) HK1244438A1 (ja)
SG (1) SG11201706935PA (ja)
TW (1) TW201641534A (ja)
WO (1) WO2016137007A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20180071199A1 (en) * 2015-02-27 2018-03-15 Nanocarrier Co., Ltd. Polymer treatment agent

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06107565A (ja) * 1992-08-14 1994-04-19 Res Dev Corp Of Japan 物理吸着型高分子ミセル医薬
WO2008026776A1 (fr) * 2006-08-31 2008-03-06 Nanocarrier Co., Ltd. Composition transdermique, composition pharmaceutique transdermique et composition cosmétique transdermique comprenant un ingrédient actif encapsulant une micelle polymère
JP2009275007A (ja) * 2008-05-16 2009-11-26 Ichimaru Pharcos Co Ltd ポリマーミセルからの疎水性物質の徐放方法
JP2011523630A (ja) * 2008-05-06 2011-08-18 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 化粧用製剤のレオロジー改変手段としてのポリウレタン
JP2011184367A (ja) * 2010-03-09 2011-09-22 Shiseido Co Ltd ポリマーソーム及び製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2804014B1 (fr) * 2000-01-21 2002-10-18 Oreal Nanoemulsion a base de lipides amphiphiles et de polymeres cationiques et utilisations
US8808749B2 (en) * 2009-05-15 2014-08-19 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha Polymer conjugate of bioactive substance having hydroxy group
EP2474306B1 (en) * 2009-08-31 2016-11-09 NanoCarrier Co., Ltd. Particle composition and medicinal composition comprising same
US20180071199A1 (en) * 2015-02-27 2018-03-15 Nanocarrier Co., Ltd. Polymer treatment agent

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06107565A (ja) * 1992-08-14 1994-04-19 Res Dev Corp Of Japan 物理吸着型高分子ミセル医薬
WO2008026776A1 (fr) * 2006-08-31 2008-03-06 Nanocarrier Co., Ltd. Composition transdermique, composition pharmaceutique transdermique et composition cosmétique transdermique comprenant un ingrédient actif encapsulant une micelle polymère
JP2011523630A (ja) * 2008-05-06 2011-08-18 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 化粧用製剤のレオロジー改変手段としてのポリウレタン
JP2009275007A (ja) * 2008-05-16 2009-11-26 Ichimaru Pharcos Co Ltd ポリマーミセルからの疎水性物質の徐放方法
JP2011184367A (ja) * 2010-03-09 2011-09-22 Shiseido Co Ltd ポリマーソーム及び製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2016137007A1 (ja) 2016-09-01
SG11201706935PA (en) 2017-09-28
JP6211222B2 (ja) 2017-10-11
JP2017132813A (ja) 2017-08-03
JP2017141295A (ja) 2017-08-17
HK1244438A1 (zh) 2018-08-10
JP6144446B2 (ja) 2017-06-07
TW201641534A (zh) 2016-12-01
US20180071199A1 (en) 2018-03-15
CN107249560A (zh) 2017-10-13
JP6173638B2 (ja) 2017-08-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
FR2994846A1 (fr) Composition, sterilisee, comprenant au moins un acide hyaluronique et de l'ascorbyl phosphate de magnesium
JP2007169192A (ja) 毛髪化粧料
JP2666210B2 (ja) 皮膚化粧料
JP6211222B2 (ja) 高分子処理剤
JP6423701B2 (ja) 化粧料
FR3044922A1 (ja)
JP2016169188A (ja) 皮膚外用剤
US20170095413A1 (en) Cosmetic process for attenuating wrinkles
JP5632392B2 (ja) 洗浄剤組成物及びジメチルポリシロキサンの分離安定化方法
JP2007161668A (ja) 毛髪化粧料
KR101732428B1 (ko) 탄성 리포좀 조성물 및 이를 포함하는 화장료 조성물
KR101663775B1 (ko) 폴리페놀계 유효 성분 안정화용 조성물
JP2021504358A (ja) 環状アミド、環状アミン、及びアクリルアミドを有するポリマーを含有するマスカラ組成物
JP2023526730A (ja) レチノール安定化のためのシクロデキストリンを含むマイクロニードル製造用組成物、及び、そのような組成物で製造されたマイクロニードル
CN109568175B (zh) 一种具有持久留香功能的发用湿巾料液及其制备方法
KR20200127129A (ko) 적어도 하나의 세라마이드, 적어도 하나의 스핑고이드 베이스 및 트리에틸 시트레이트를 포함하는 조성물
JP5423942B2 (ja) 皮膚水分を好適に維持する組成物
JP6776349B2 (ja) ヒドロキシル化ジフェニルメタン誘導体を含む組成物
JP6442288B2 (ja) レオロジーが改善した毛髪組成物
KR20040077207A (ko) 고분자 나노구조체를 함유하는 샴푸 조성물
JP6150957B2 (ja) ポリマーミセル担体組成物およびポリマーミセル組成物
JP2017210429A (ja) 毛髪化粧料組成物
JP2020152703A (ja) 毛髪化粧料
FR3086539A1 (fr) Particules de copolymere dibloc inhibiteur de hyaluronidase
FR2964320A1 (fr) Composition cosmetique comprenant au moins une polyamine grasse, au moins un polyol et au moins un epaississant particulier

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170130

A529 Written submission of copy of amendment under article 34 pct

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A5211

Effective date: 20170130

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170130

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20170130

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20170406

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170425

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170510

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6144446

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250