JP2011184367A - ポリマーソーム及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体を膜成分とするポリマーソーム。
(化1)
Z−{O−[(AO)a−(EO)b]−R}2 (I)
(式中、Zは、ダイマージオールから水酸基を除いた残基、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、これらの付加形態はブロック状である。aおよびbは、各々前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦2×a≦150、1≦2×b≦150であり、炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は10〜99質量%である。Rは、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。)
【選択図】 なし
Description
ポリマーソームは、リポソームに共通した多くの技術(例えば、非特許文献3参照)によって、安定的に調製され得る。しかも、フィルム再水和、超音波処理、及び放出などにより、多ミクロン巨大ベシクル、及び100ナノメートルの直径を有する単分散ベシクルを得ることができる。
ベシクルに界面活性剤を適用する場合、その種類や配合量の調整により安定性に若干の向上は望めるが、一方で同成分が肌荒れの一因となったり、使用感触が不十分となることがあった。また、近年では皮膚外用剤に一層高い安全性が求められており、界面活性剤の製剤への配合そのものが問題とされることもある。つまり、界面活性剤は基剤の安定性向上において欠かせない成分であるが、その安定性の向上を皮膚安全性や使用感触と完全に両立させることは実質的に不可能であった。
本発明は前記の課題に鑑みなされたもので、安全性、使用感触、特にべたつき感がなく、肌なじみが良好で、且つ基剤安定性に優れたポリマーソームを提供することを目的とする。
すなわち、本発明にかかるポリマーソームは、下記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体を膜成分とする。
Z−{O−[(AO)a−(EO)b]−R}2 (I)
(式中、Zは、ダイマージオールから水酸基を除いた残基、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、これらの付加形態はブロック状である。aおよびbは、各々前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦2×a≦150、1≦2×b≦150であり、炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は10〜99質量%である。Rは、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。)
また、前記ポリマーソームにおいて、前記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体のZが炭素数24〜48のダイマージオール残基であることが好適である。
また、前記ポリマーソームにおいて、内部空孔に水溶性成分を内包することが好適である。
また、前記ポリマーソームにおいて、ラメラ構造中に油性成分を保持することが好適である。
また、前記ポリマーソームにおいて、前記油性成分が低分子油分及び/又は高極性油分を含むことが好適である。
また、本発明にかかる皮膚外用剤は、前記ポリマーソームを含むことを特徴とする。
(a)上記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体、及び水溶性アルコールを混合する工程。
(b)前記混合液を撹拌しながら水系溶媒へ滴下する工程。
また、前記製造方法は、前記(a)工程において、ブロック型アルキレンオキシド誘導体の配合量が0.1〜20質量%、水溶性アルコールの配合量が0.1〜50質量%であることが好適である。
また、前記製造方法は、前記(a)工程において、さらに油性成分を混合することが好適である。
また、前記製造方法は、油性成分の配合量が0.05〜30質量%であることが好適である。
本発明のポリマーソームを構成するブロック型アルキレンオキシド誘導体は、下記式(I)で示される特定構造を有する。
(化2)
Z−{O−[(AO)a−(EO)b]−R}2 (I)
また、オキシエチレン基と炭素数3〜4のオキシアルキレン基の付加形態はポリマーソーム形成性の観点からブロック状である。付加順序はダイマージオールに対して、AO、EOの順で結合しているのが好ましい。
また、アルキレンオキシド誘導体の分子量は、1000〜6000であることが好ましい。分子量が小さすぎると十分量のポリマーソームが得られないことがあり、分子量が大きすぎると使用感などが低下することがある。
なお、ブロック型アルキレンオキシド誘導体において、Rは1分子中、同一であっても又は異なっていてもよく、ポリマーソームの形成のために、1分子中のRが同一又は異なるブロック型アルキレンオキシド誘導体を1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられるダイマージオールの原料となるダイマー酸は、例えば、不飽和脂肪酸又はその低級アルコールエステルを重合することによって得られる二量体である。具体的にはオレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等の不飽和脂肪酸又はこれらの低級アルコールのエステルをディールス・アルダー反応のような熱重合により反応させる方法又はその他の反応方法によって合成できる。生成したダイマー酸中に本発明の効果を損なわない範囲であれば未反応の脂肪酸が残っていても構わない。
ダイマージオールは、動物油脂由来及び植物油脂由来のものが流通しており、本発明では何れも使用できるが、植物油脂由来のものがより好ましい。このようなダイマージオールとしては、コグニス・ジャパン社製Sovermol
908、ユニケマ社製PRIPOL 2033、東亞合成(株)製ぺスポールHP−1000などが例示できる。
本発明にかかるポリマーソームは、上記特定構造のブロック型アルキレンオキシド誘導体を、水溶性アルコールと充分に混合し、次いでその混合液を水系溶媒に攪拌しながら滴下することによってポリマーソーム組成物として製造することができる。
ブロック型アルキレンオキシド誘導体と水溶性アルコールの混合状態は、混合液が透明一相状態であることが確認できればよく、これは例えば、室温〜90℃で、1〜30分程度混合を行うことで達成することができる。
水溶性成分としては、例えば、通常化粧料や医薬部外品等に配合される粉末類、保湿剤、増粘剤、防腐剤等の添加物が挙げられる。なお、高融点の水溶性成分を配合する場合は、予め加熱して水に均一溶解させておくことができるが、水溶性成分が溶解した後は水溶液を室温程度に戻してからポリマーソームの製造に用いることが望ましい。
ポリマーソームへの油性成分の保持は、前記ポリマーソームの製造方法において、ブロック型アルキレンオキシド誘導体と水溶性アルコールとの混合の際に、膜間へ保持させたい油性成分を添加・混合することによって達成することができる。
前記油性成分の配合量は、最終的に得られるポリマーソーム組成物に対して0.05〜30質量%となるように設定することが好ましい。
特に、本発明のポリマーソームは、従来水相成分への配合が困難であった低分子油分や高極性の油分を多量且つ安定的に配合することを可能とする。ここでは、低分子油分は分子量500以下の油分を、高極性油分はIOB値が0.15以上の油分とする。なお、IOB値とは有機概念図における有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比、すなわち、「無機性値(IV)/有機性値(OV)」を言う。有機概念図とは、すべての有機化合物の根源をメタン(CH4)とし、他の化合物はすべてメタンの誘導体とみなして、その炭素数、置換基、変態部、環等にそれぞれ一定の数値を設定し、そのスコアを加算して有機性値、無機性値を求め、有機性値をX軸、無機性値をY軸にとった図上にプロットしていくものである(「有機概念図−基礎と応用−」(甲田善生著、三共出版、1984)等)。
また、前記のように、多種の油性成分を広い量範囲において配合できることから、配合種及び量をそれぞれ設定することにより、例えば、保湿効果や肌荒れ防止効果といった所望する使用感触や機能に応じた様々なポリマーソームを製造することができる。
特に、本発明にかかるポリマーソームないしポリマーソーム組成物は、公知の化粧品・医薬品基剤へ配合することにより、安全性、使用感触、及び基剤安定性に優れた皮膚外用剤を得ることができる。
また、ポリマーソームを含む皮膚外用剤は、前記ポリマーソーム製造方法において、一般に通常化粧品や医薬部外品の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、増粘剤等、さらに所望に応じて、無機顔料、体質顔料等の粉末類、保湿剤、紫外線吸収剤、キレート剤、防腐剤、色素、香料などを本発明の効果を損なわない範囲で水相ないし油相中に適宜配合することによっても製造することができる。
POE・テトラPOP−エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE−ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE−ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE−硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE−ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE−ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE−プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE−アルキルアミン;POE−脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド−トリオレイルリン酸等が挙げられる。
−テトラヒドロキシベンゾフェノン−2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン−2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン−2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート−2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等);3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー−2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール−2−2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール−2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール−2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン;5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等が挙げられる。
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
評価(1):ポリマーソーム形成能
得られた各サンプルにおいてポリマーソーム(ベシクル構造)が形成されているかどうかを、下記の方法によって判定した。判定基準は以下の通りである。
○:動的光散乱測定によって、50〜500nmサイズの粒子が確認され、吸光度測定により水溶性色素の内包(*)が確認された。また、濁り・沈殿等がまったく認められなかった。
×:動的光散乱測定によって、50〜500nmのベシクル粒子が確認されなかった。あるいは、認められた場合であっても、濁りや沈殿が同時に認められた。
なお、上記動的光散乱測定および内包実験は簡易的な評価法であり、他に、偏光顕微鏡観察によるマルテーゼクロス像の有無の確認や、透過型電子顕微鏡による観察などによってポリマーソームおよびベシクル形成を確認することも可能である。
使用中及び使用後の肌へのべたつきのなさについて、専門パネル10名により各々の試験例の実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
◎:パネル8名以上が、使用中及び使用後べたつき感がないと認めた。
○:パネル6名以上8名未満が、使用中及び使用後べたつき感がないと認めた。
△:パネル3名以上6名未満が、使用中及び使用後べたつき感がないと認めた。
×:パネル3名未満が、使用中及び使用後べたつき感がないと認めた。
使用後の肌なじみについて、専門パネル10名により各々の試験例の実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
◎:パネル8名以上が、使用後肌なじみがあると認めた。
○:パネル6名以上8名未満が、使用後肌なじみがあると認めた。
△:パネル3名以上6名未満が、使用後肌なじみがあると認めた。
×:パネル3名未満が、使用後肌なじみがあると認めた。
使用120分後の保湿効果感の有無について、専門パネラー10名により各々の試験例の実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
◎:専門パネラー8名以上が、保湿効果感があると認めた。
○:専門パネラー6名以上8名未満が、保湿効果感があると認めた。
△:専門パネラー3名以上6名未満が、保湿効果感があると認めた。
×:専門パネラー3名未満が、保湿効果感があると認めた。
顔(部位:頬)に肌荒れをおこしている10名のパネルにより、各々の試験例の肌荒れ改善効果試験を実施した。試験法は左右の頬に、異なる試験サンプルを1週間塗布し、その期間終了後の翌日に判定した。評価基準は以下の通りである。
◎:パネル8名以上が、肌荒れが改善されていると認めた。
○:パネル6名以上8名未満が、肌荒れが改善されていると認めた。
△:パネル3名以上6名未満が、肌荒れが改善されていると認めた。
×:パネル3名未満が、肌荒れが改善されていると認めた。
10名のパネルの上腕内側部に24時間の閉塞パッチを行ない、その後以下の基準により平均値を算出した。評価基準は以下の通りである。
0:全く異常が認められない。
1:わずかに赤みが認められる。
2:赤みが認められる。
3:赤みと丘疹が認められる。
皮膚刺激試験の評価基準は以下の通りである。
◎…パネル10名の平均値:0以上0.15未満
○…パネル10名の平均値:0.15以上0.2未満
△…パネル10名の平均値:0.2以上0.3未満
×…パネル10名の平均値:0.3以上
各試験例のポリマーソーム組成物について、製造直後透明ガラス瓶に充填し50℃で4週間放置後、以下の基準に基づいて、目視観察により基剤安定性の評価を行なった。
<評価基準>
○:透明あるいは半透明
×:白濁または分離
<合成例1>
POB(18)POE(41)ジメチルダイマージオールエーテルの合成
(化3)
R1O−[(EO)b1−(BO)a1]−Z−[O(BO)a2−(EO)b2]−R2
(Z;炭素数36のダイマージオール残基、BO;オキシブチレン基、a1+a2=18、b1+b2=41、R1=R2=メチル基、EO/(AO+EO)=50質量%)
以下の試験例において用いたブロック型アルキレンオキシド誘導体は、下記式(II)の構造を有するものであり、例えば、a1+a2=18、b1+b2=41の場合は、(BO)18(EO)41と表記する。
(化4)
R1O−[(EO)b1−(BO)a1]−Z−[O(BO)a2−(EO)b2]−R2 (II)
(1)〜(5)を透明一相状態となるまで室温下にて混合し、得られた混合液を(6)〜(11)の混合液中に撹拌しながら滴下して組成物を得た。
一方、ブロック型アルキレンオキシド誘導体に代えて、一般的な非イオン性界面活性剤を用いた試験例1−2、1−3では、ポリマーソームの形成は認められず、いずれの評価も試験例1−1に比べ劣るものであった。特に、試験例1−2では肌荒れ改善効果やべたつき感が悪く、試験例1−3では、基剤安定性も劣る傾向にあった。
以上のことから、本発明が、特定構造のブロック型アルキレンオキシド誘導体を膜成分とすることにより得られる、使用感触、安定性、安全性に優れたポリマーソームであることが明らかである。
(1)〜(12)、(19)を透明一相状態となるまで室温下にて混合し、得られた混合液を(13)〜(18)、(20)の混合液中に撹拌しながら滴下して組成物を得た。
一方、(AO)a(EO)b部がオキシエチレン基のみで形成されたアルキレンオキシド誘導体を用いた試験例2−6およびオキシブチレン基のみで形成されたアルキレンオキシド誘導体を用いた試験例2−7は、ポリマーソームを形成せず、使用感触や基剤安定性に劣り、また、肌荒れ改善効果や肌なじみも十分ではなかった。
(1)〜(5)、(11)を透明一相状態となるまで室温下にて混合し、得られた混合液を(6)〜(10)、(12)、(13)の混合液中に撹拌しながら滴下して組成物を得た。
これに対し、ブロック型アルキレンオキシド誘導体の配合量が0.01質量%である試験例3−1は、ポリマーソームを形成せず、保湿効果感・肌荒れ改善効果も不十分であった。
(1)〜(3)、(7)を透明一相状態となるまで室温下にて混合し、得られた混合液を(4)〜(6)、(8)、(9)の混合液中に撹拌しながら滴下して組成物を得た。
一方、水溶性アルコールを配合しなかった試験例4−1は、ポリマーソームの形成が認められず、基剤安定性も悪かった。また、水溶性アルコールであるポリオールの配合量を60質量%とした試験例4−7は、べたつきのなさ、肌なじみといった使用感触に劣り、若干の皮膚刺激性が感じられ、基剤安定性においても不十分であった。
以上の結果から、本発明において、水溶性アルコールの配合量は、ポリマーソーム組成物の製造に用いる全成分に対し、0.1〜50質量%であることが好適である。
(1)〜(3)、(7)を透明一相状態となるまで室温下にて混合し、得られた混合液を(4)〜(6)、(8)、(9)の混合液中に撹拌しながら滴下して組成物を得た。
一方、試験例5−1のように油性成分を配合しなくともポリマーソームは形成され、ポリマーソームによる効果が発揮されるが、油性成分による保湿効果や肌荒れ改善効果は前記試験例に比べて劣っていた。油性成分は、試験例5−2のように僅か0.01質量%の配合で比較的高い効果を発揮したが、本発明においてより高い保湿効果を得るには0.05〜30質量%の配合が好ましいと考えられた。
A:ブロック型アルキレンオキシド誘導体、エタノール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリンおよび香料を秤量・攪拌し、均一透明な混合液を得た。その他の配合成分を十分に溶解させた水相を攪拌しながらこの混合液を滴下し、ポリマーソーム組成物を得た。
B:すべての配合成分をイオン交換水中に秤量・攪拌することにより、組成物を得た。
工程Bにて製造した試験例6−2では平均粒子径が大きく白濁外観のエマルション組成物が得られ、ポリマーソームは形成されなかった。試験例6−2のエマルションとしての基剤安定性は、ポリマーソームを形成したものに比べ著しく劣っていた。
また、試験例6−2には、油性成分の配合による一応の保湿効果と肌荒れ改善効果の向上が認められたが、エマルションにおける油分の分散が不十分なため、べたつきや肌なじみといった使用感触の悪化も同時に認められた。
※製造工程
A:ブロック型アルキレンオキシド誘導体、ジプロピレングリコール、ピバリン酸トリプロピレングリコール、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルおよび香料を秤量・攪拌し、均一透明な混合液を得た。その他の配合成分を十分に溶解させた水相を攪拌しながらこの混合液を滴下し、ポリマーソーム組成物を得た。
C:ピバリン酸トリプロピレングリコール、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルおよび香料を秤量・攪拌し、均一透明な混合油溶液を得た。ブロック型アルキレンオキシド誘導体およびジプロピレングリコールを含むすべての配合成分をイオン交換水中に十分に溶解させた水相を攪拌しながらこの混合油溶液を徐々に添加し、さらにホモミキサーにて乳化・攪拌し、エマルション組成物を得た。
一方、工程Cにて製造した試験例7−4〜7−6は白濁外観のエマルション組成物が得られた。配合した油分はいずれも高極性油分であり、エマルションとしての基剤安定性が著しく劣るものであった。また、試験例7−4〜7−6は、ポリマー組成物と同じく配合油分量を増加させることにより保湿効果感や肌荒れ改善効果が向上する傾向にあったものの、エマルションの安定性が不十分なため、肌上で油分を均一に拡げることができずポリマーソーム組成物に比べ効果に若干劣る傾向がみられ、さらにべたつきや肌なじみの悪さといった使用感触の悪化も同時に認められた。
(質量%)
エタノール 10
ジプロピレングリコール 1
ポリエチレングリコール1000 1
ホホバ油 0.01
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.5
POB(4)POE(13)ジメチルダイマージオールエーテル 0.95
N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 0.1
クエン酸 0.05
クエン酸ナトリウム 0.2
水酸化カリウム 0.4
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
塩酸アルギニン 0.1
L−アスコルビン酸2−グルコシド 2
オウゴンエキス 0.1
ユキノシタエキス 0.1
オドリコソウエキス 0.1
トラネキサム酸 1
エデト酸三ナトリウム 0.05
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 0.01
防腐剤 適量
香料 適量
精製水 残余
POB(4)POE(13)ジメチルダイマージオールエーテル、エタノール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ホホバ油、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルおよび香料を秤量・攪拌し、均一透明な混合液を得た。その他の配合成分を十分に溶解させた水相を攪拌しながらこの混合液を滴下し、ポリマーソーム組成物を得た。
(質量%)
イソヘキサデカン 0.1
ツバキ油 0.3
エタノール 5
グリセリン 2
ジプロピレングリコール 1
1,3−ブチレングリコール 1
塩化アルキルトリメチルアンモニウム(77%) 0.5
POB(6)POE(18)ジメチルダイマージオールエーテル 1
防腐剤 適量
精製水 残余
香料 適量
POB(6)POE(18)ジメチルダイマージオールエーテル、エタノール、ジプロピレングリコール、イソヘキサデカン、ツバキ油および香料を秤量・攪拌し、均一透明な混合液を得た。その他の配合成分を十分に溶解させた水相を攪拌しながらこの混合液を滴下し、ポリマーソーム組成物を得た。
Claims (11)
- 下記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体を膜成分とするポリマーソーム。
(化1)
Z−{O−[(AO)a−(EO)b]−R}2 (I)
(式中、Zは、ダイマージオールから水酸基を除いた残基、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、これらの付加形態はブロック状である。aおよびbは、各々前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦2×a≦150、1≦2×b≦150であり、炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は10〜99質量%である。Rは、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。) - 前記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体のAO基がオキシブチレン基であることを特徴とする請求項1に記載のポリマーソーム。
- 前記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体のZが炭素数24〜48のダイマージオール残基であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリマーソーム。
- 内部空孔に水溶性成分を内包することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリマーソーム。
- ラメラ構造中に油性成分を保持することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリマーソーム。
- 前記油性成分が低分子油分及び/又は高極性油分を含むことを特徴とする請求項5に記載のポリマーソーム。
- 請求項1〜6のいずれかにs記載のポリマーソームを含むことを特徴とする皮膚外用剤。
- 下記(a)及び(b)の工程を含むことを特徴とするポリマーソームの製造方法。
(a)上記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体、及び水溶性アルコールを混合する工程。
(b)前記混合液を撹拌しながら水系溶媒中へ滴下する工程。 - 前記(a)工程において、ブロック型アルキレンオキシド誘導体の配合量が0.1〜20質量%、水溶性アルコールの配合量が0.1〜50質量%であることを特徴とする請求項8に記載のポリマーソームの製造方法。
- 前記(a)工程において、さらに油性成分を混合することを特徴とする請求項8又は9に記載のポリマーソームの製造方法。
- 油性成分の配合量が0.05〜30質量%であることを特徴とする請求項10に記載のポリマーソームの製造方法。
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