JPWO2016129300A1 - 負特性サーミスタおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

はんだ爆ぜが発生しにくく、外部電極とセラミック素体との界面における密着強度が高く、温度変化に曝されたときの抵抗値の変化率が小さいNTCサーミスタ及びその製造方法を提供する。セラミック素体と、セラミック素体の内部に設けられた第1の内部電極および第2の内部電極と、セラミック素体の一方の端面に設けられ第1の内部電極と電気的に接続される第1の外部電極と、セラミック素体の他方の端面に設けられ第2の内部電極と電気的に接続される第2の外部電極とを含む負特性サーミスタであって、セラミック素体はMnを含み、第1及び第2の内部電極は貴金属元素を含み、第1及び第2の外部電極はCuを含み、第1及び第2の外部電極に含まれるCuの、第1及び第2の内部電極中への拡散距離が2〜20μmである、負特性サーミスタ。

Description

本発明は、負特性(または負温度係数、NTC)サーミスタおよびその製造方法に関する。
NTCサーミスタは、温度補償または温度検知のために電子機器において広く用いられている。例えば、特許文献1には、複数のセラミック抵抗層と複数の内部電極とが積層されている積層焼結体と、積層焼結体の外表面に形成された第1の外部電極及び第2の外部電極とを備え、複数の内部電極は、第1のグループの複数の内部電極と、第2のグループの複数の内部電極とを有する、積層型抵抗素子が記載されている。特許文献1に記載の積層型抵抗素子において、第2のグループの内部電極を構成する複数対の内部電極のそれぞれの一端同士が積層焼結体内の同一平面上においてギャップを隔てて対向されていることにより、抵抗値の微調整を行うことができる。
特許文献2には、内部電極を有するサーミスタ素体と、このサーミスタ素体の外表面に形成した外部電極とを備え、サーミスタ素体はマンガンを主成分とするサーミスタ材料であり、外部電極は銅及び硼珪酸リチウムガラスを含む組成であり、サーミスタ素体に硼珪酸リチウムガラスを拡散させた拡散層を有することを特徴とするサーミスタが記載されている。特許文献2に記載のサーミスタは、サーミスタ素体の表面に硼珪酸リチウムガラスを拡散させた拡散層が形成されることにより、高い機械的強度を有する。
特許第4419960号公報 特許第3414147号公報
NTCサーミスタの外部電極は通常、導電性成分としてAg等の金属成分を含む。水分を含む雰囲気の下でNTCサーミスタに電圧を印加すると、外部電極に含まれる金属成分が水分と反応してイオン化することがある。一方の外部電極においてイオン化した金属成分は他方の外部電極に移動し、還元されてCuとして析出する。この現象はイオンマイグレーション(単に「マイグレーション」ともいう)とよばれる。イオンマイグレーションが起こると、一方の外部電極と他方の外部電極とが短絡してしまう可能性がある。
外部電極に含まれる導電性成分のマイグレーションを抑制するために、Agと比較してマイグレーションしにくいCuを導電性成分として含む外部電極を有するNTCサーミスタが開発されている。Cuを含む外部電極は、Cu粒子を含む導電性ペースト(外部電極ペースト)をセラミック素体の両端面に塗布し、焼き付け処理を施すことによって形成することができる。Cuを含む外部電極の焼き付けは、Agを含む外部電極の焼き付けよりも高温で行われる。本発明者らは、高温で焼き付け処理が行われる際に、外部電極に含まれるCuが内部電極中に拡散し、その結果、外部電極とセラミック素体との界面にカーケンダルボイドが形成されることに着目した。内部電極中に拡散するCuの量が多いほど、より大きいカーケンダルボイドが形成される傾向にある。本発明者らは、Cuが内部電極中に拡散してカーケンダルボイドが形成されると、NTCサーミスタを実装する際にはんだ爆ぜが発生しやすくなり、かつ外部電極とセラミック素体との界面における密着強度が低下してしまうという問題が生じることを見出した。なお、「はんだ爆ぜ」とは、NTCサーミスタを基板に実装する際に、外部電極中に存在する水分が水蒸気として吹き出ることによりはんだが吹き飛ばされる現象を意味する。一方、NTCサーミスタは、広い温度範囲にわたって安定した特性を示すことが求められる。そのため、温度変化に曝されたときのNTCサーミスタの抵抗値の変化率が小さいことが望ましい。
本発明は、はんだ爆ぜが発生しにくく、外部電極とセラミック素体との界面における密着強度が高く、かつ温度変化に曝されたときの抵抗値の変化率が小さいNTCサーミスタおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、外部電極の焼き付け処理をする際の温度条件を制御することにより、カーケンダルボイドの発生を抑制することができることを見出した。更に、本発明者らは、適切な温度プロファイルを選択することにより、はんだ爆ぜの発生を抑制することができ、外部電極とセラミック素体との界面における密着強度を向上させることができ、かつ温度変化に曝されたときの抵抗値の変化率を低減することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の第1の要旨によれば、セラミック素体と、
セラミック素体の内部に設けられ、セラミック素体の一方の端面に露出している第1の内部電極と、
セラミック素体の内部に設けられ、セラミック素体の他方の端面に露出している第2の内部電極と、
セラミック素体の一方の端面に設けられ、第1の内部電極と電気的に接続される、第1の外部電極と、
セラミック素体の他方の端面に設けられ、第2の内部電極と電気的に接続される、第2の外部電極と
を含む負特性サーミスタであって、
セラミック素体はMnを含み、
第1の内部電極および第2の内部電極は貴金属元素を含み、
第1の外部電極および第2の外部電極はCuを含み、
第1の外部電極および第2の外部電極に含まれるCuの、第1の内部電極および第2の内部電極中への拡散距離が2μm以上20μm以下である、負特性サーミスタが提供される。
上述の負特性サーミスタにおいて、第1の外部電極および第2の外部電極に含まれるCuの、第1の内部電極および第2の内部電極中への拡散距離は、好ましくは10μm以上20μm以下である。
上述の負特性サーミスタにおいて、第1の外部電極および第2の外部電極の、セラミック素体の端面における厚さをX、第1の外部電極および第2の外部電極に含まれるCuの、第1の内部電極および第2の内部電極中への拡散距離をYとしたとき、X/Yの値は、好ましくは2.0以上である。X/Yの値は、より好ましくは2.0以上4.0以下である。
上述の負特性サーミスタにおいて、第1の内部電極および第2の内部電極は、AgおよびPdを含むことが好ましい。
本発明の第2の要旨によれば、第1の内部電極および第2の内部電極が内部に設けられたセラミック素体であって、セラミック素体はMnを含み、第1の内部電極および第2の内部電極は貴金属元素を含み、第1の内部電極はセラミック素体の一方の端面に露出し、第2の内部電極はセラミック素体の他方の端面に露出しているセラミック素体を準備する工程と、
Cu粒子を含む外部電極ペーストを調製する工程と、
セラミック素体の一方の端面および他方の端面にそれぞれ、外部電極ペーストを塗布する工程と、
一方の端面および他方の端面に塗布された外部電極ペーストを焼き付け処理して、一方の端面に設けられる第1の外部電極および他方の端面に設けられる第2の外部電極を形成する工程と
を含み、
焼き付け処理における温度を1秒毎に測定したとき、測定温度のうち750℃以上であった温度の総和Sの値が50000以上250000以下である、負特性サーミスタの製造方法が提供される。上述の方法において、Sの値は、200000以上250000以下であることが好ましい。
上述の方法において、第1の内部電極および第2の内部電極は、AgおよびPdを含むことが好ましい。
本発明に係る負特性サーミスタは、上記構成を有することにより、はんだ爆ぜの発生を抑制することができ、外部電極とセラミック素体との界面における密着強度を高くすることができる。これは、外部電極に含まれるCuの、内部電極中への拡散が抑制されることにより、外部電極とセラミック素体との界面におけるカーケンダルボイドの発生が抑制されることに起因すると考えられる。また、本発明に係る負特性サーミスタは、上記構成を有することにより、温度変化に曝されたときの抵抗値の変化率が小さい。これは、外部電極に含まれるCuの、内部電極中への拡散が適度に起こることにより、外部電極と内部電極との接合が強固になるからであると考えられる。また、本発明に係る負特性サーミスタの製造方法は、上記構成を有することにより、はんだ爆ぜが発生しにくく、外部電極とセラミック素体との界面における密着強度が高く、かつ温度変化に曝されたときの抵抗値の変化率が小さい負特性サーミスタを提供することができる。これは、焼き付け処理時の温度プロファイルを制御することにより、外部電極に含まれるCuの、内部電極中への拡散距離を制御することができるからであると考えられる。
図1は、本発明の一の実施形態に係るNTCサーミスタの概略断面図である。 図2は、実施例において使用した基板の表面におけるランド電極の配置を概略的に示す。 図3は、端子強度特性を測定する際のNTCサーミスタ1の配置を概略的に示す。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、以下に示す実施形態は例示を目的とするものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下に説明する構成要素の寸法、材質、形状、相対的配置等は、特定的な記載がない限りは本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。また、各図面が示す構成要素の大きさ、形状、位置関係等は説明を明確にするため誇張していることがある。
[NTCサーミスタ]
図1に、本発明の一の実施形態に係るNTCサーミスタ1の構成を示す概略断面図を示す。図1に示すNTCサーミスタ1は、セラミック素体2と、セラミック素体2の内部に設けられ、セラミック素体2の一方の端面21に露出している第1の内部電極31と、セラミック素体2の内部に設けられ、セラミック素体2の他方の端面22に露出している第2の内部電極32と、セラミック素体2の一方の端面21に設けられ、第1の内部電極31と電気的に接続される、第1の外部電極41と、セラミック素体2の他方の端面22に設けられ、第2の内部電極32と電気的に接続される、第2の外部電極42とを含む。なお、図1に示すように、本明細書に記載のNTCサーミスタにおいて、セラミック素体2の一方の端面21から他方の端面22に向かう方向に対して平行な方向を「長さ方向」または「L方向」、水平面内において長さ方向に対して垂直な方向を「幅方向」または「W方向」、長さ方向および幅方向に対して垂直な方向を「厚さ方向」または「T方向」とよぶ。また、L方向に対して垂直な面をWT面、W方向に対して垂直な面をLT面、T方向に対して垂直な面をLW面とよぶことがある。
(セラミック素体)
本実施形態において、セラミック素体2はMnを含む。セラミック素体2は、Mnに加えて、NiO、Co、Fe、Al、ZrO、TiO、CuO、ZnO等を含んでよい。セラミック素体2の組成は、例えばMn−Ni−Fe系セラミック、Mn−Ni−Al−Zr系セラミック、Mn−Ni−Fe−Ti系セラミック、Mn−Ni−Co−(Al,Cu)系セラミック、Mn−Co−Fe系セラミック等を含んでよい。
(内部電極)
本実施形態に係るNTCサーミスタ1において、内部電極は、第1の内部電極31と第2の内部電極32とで構成される。第1の内部電極31および第2の内部電極32は、セラミック素体2の内部において互いに対向するように配置される。第1の内部電極31の一方の端部は、セラミック素体2の一方の端面21に露出している。第2の内部電極32の一方の端部は、セラミック素体2の他方の端面22に露出している。本実施形態に係るNTCサーミスタ1は、複数の第1の内部電極31および複数の第2の内部電極32を含んでよい。第1の内部電極31および第2の内部電極32は、導電性成分として貴金属元素を含む。内部電極に含まれる貴金属元素は特に限定されるものではなく、Pd、AgおよびPtからなる群から選択される1以上の元素を含んでよい。内部電極は、導電性成分として、上述の貴金属元素に加えてNi、Cu等の卑金属元素を含んでもよい。内部電極に含まれる貴金属元素は、例えばPdであってよい。内部電極(第1の内部電極および第2の内部電極)は、貴金属元素としてAgおよびPdを含むことが好ましい。内部電極がPdに加えてAgを含むことにより、外部電極に含まれるCuの内部電極中への拡散を抑制することができ、その結果、外部電極と内部電極との界面におけるカーケンダルボイドの発生を抑制することができる。また、内部電極がPdに加えてAgを含む場合、材料コストを低減することができる。カーケンダルボイドの発生が抑制されると、NTCサーミスタを実装する際にはんだ爆ぜが発生するのを抑制することが可能となる。また、カーケンダルボイドの発生が抑制されると、外部電極とセラミック素体との界面における密着強度の低下を抑制することが可能となる。内部電極がAgおよびPdを含む場合、AgおよびPdは合金(AgPd合金)の状態で存在してよい。AgおよびPdの含有比率は特に限定されるものではなく、任意の含有比率を適宜選択することができる。内部電極がAgおよびPdを含む場合、AgおよびPdの全量を基準としてPdを10重量%以上含むことが好ましい。
(外部電極)
本実施形態に係るNTCサーミスタ1において、外部電極は、第1の外部電極41と第2の外部電極42とで構成される。第1の外部電極41は、セラミック素体2の一方の端面21に設けられ、第1の内部電極31と電気的に接続される。第2の外部電極42は、セラミック素体2の他方の端面22に設けられ、第2の内部電極32と電気的に接続される。第1の外部電極41は、図1に示すように、セラミック素体2の一方の端面21および側面の一部に延在するように配置されてよい。なお、セラミック素体2の「側面」は、端面(21および22)以外の全ての面を指す。同様に、第2の外部電極42は、セラミック素体2の他方の端面22および側面の一部に延在するように配置されてよい。第1の外部電極41および第2の外部電極42は、導電性成分としてCuを含む。外部電極は、Cuに加えてガラス成分を含んでよい。ガラス成分は、外部電極の焼結を促進させるため、および外部電極に機械的強度を付与するために添加される。外部電極の組成は特に限定されるものではないが、例えば、金属成分を60体積%以上95体積%以下、ガラス成分を5体積%以上40体積%以下含んでよい。外部電極に含まれるガラス成分の組成は特に限定されるものではなく、目的とする用途に応じて適宜設定することができる。外部電極に含まれるガラス成分は、例えば、アルカリ土類金属、Cu、Si、Ti、Zn、アルカリ金属、Sr、AlおよびBiからなる群から選択される少なくとも1つを含んでよい。
本実施形態に係るNTCサーミスタは、後述するように、Cu粒子を含む導電性ペースト(外部電極ペースト)をセラミック素体の両端面に塗布し、焼き付け処理を施すことによって形成される。この焼き付け処理において熱が加えられることにより、内部電極に含まれる貴金属元素の一部が外部電極中へと拡散し、反対に、外部電極に含まれるCuの一部が内部電極中へと拡散する。このとき、外部電極に含まれるCuの内部電極中への拡散速度と、内部電極に含まれる貴金属元素の外部電極中への拡散速度との差に起因して、外部電極とセラミック素体との界面においてカーケンダルボイドが形成される。このようなカーケンダルボイドが形成されると、外部電極とセラミック素体との界面における密着強度が低下してしまう。更に、内部電極中に拡散するCuの量が多いほど、より大きいカーケンダルボイドが形成される傾向にあり、カーケンダルボイドが外部電極表面に露出してしまうことがある。周囲環境中に水分が存在する場合、水分は、露出したカーケンダルボイドから外部電極中に侵入し得る。このような場合、NTCサーミスタをリフロー実装等により基板に実装する際、外部電極中に存在する水分が気化し、水蒸気が吹き出ることがある。水蒸気等の水分が電極から吹き出ると、はんだが吹き飛ばされて基板上に散らばってしまう。この現象は、一般に「はんだ爆ぜ」とよばれている。カーケンダルボイドが外部電極表面に露出すると、このはんだ爆ぜが起こりやすくなる。以上説明したように、外部電極に含まれるCuが内部電極に拡散することにより、外部電極とセラミック素体との界面における密着強度が低下し得、NTCサーミスタの実装時にはんだ爆ぜが発生し得る。
一方、外部電極に含まれる金属成分と内部電極に含まれる金属成分とが相互に移動することにより、外部電極と内部電極との接合が強固になると考えられる。従って、外部電極に含まれるCuの内部電極中への拡散は、外部電極と内部電極とが十分に接合される程度に起こることが好ましいと考えられる。
外部電極に含まれるCuの内部電極中への拡散量は、Cuの内部電極中への拡散距離で見積もることができる。外部電極に含まれるCuの内部電極中への拡散距離は、NTCサーミスタの断面の波長分散型X線分光分析(WDX)を行い、得られたCu−Kαの強度をアスキー変換し、画像処理ソフトを用いて二値化することによりCu成分の分布図を作成し、この分布図におけるCuの拡散距離を測長することにより求めることができる。
本実施形態に係るNTCサーミスタにおいて、外部電極(第1の外部電極および第2の外部電極)に含まれるCuの、内部電極(第1の内部電極および第2の内部電極)中への拡散距離は、2μm以上20μm以下である。拡散距離が2μm以上であると、外部電極と内部電極との接合を強固にすることができる。外部電極と内部電極との接合が強固であると、広い温度範囲にわたって安定した特性を示すことができる。NTCサーミスタの内部電極および外部電極は、温度変化により膨張または収縮する。このとき、熱膨張係数の差に起因して、外部電極と内部電極との接合部に負荷がかかる。外部電極と内部電極との接合が不十分であると、この負荷により、外部電極と内部電極との接合が破壊されてしまうおそれがある。その結果、NTCサーミスタの抵抗値が増大し、抵抗値の変化率が大きくなってしまう。これに対し、本実施形態に係るNTCサーミスタにおいては、外部電極と内部電極とが強固に接合されているので、幅広い温度範囲にわたる温度変化に曝されることにより負荷がかかった場合であっても、外部電極と内部電極との接合が破壊されにくい。そのため、本実施形態に係るNTCサーミスタは、ヒートサイクル試験後の抵抗値の変化率を小さくすることができる。ヒートサイクル試験は、例えば−55℃〜150℃の温度範囲で昇温および降温を所定の回数繰り返すことにより行うことができる。拡散距離が20μm以下であると、外部電極とセラミック素体との界面におけるカーケンダルボイドの発生を抑制することができる。その結果、外部電極とセラミック素体との界面における密着強度の低下を抑制することができる。更に、カーケンダルボイドが外部電極表面に露出するのを防止することができるので、外部電極内に水分が侵入するのを抑制することができ、外部電極中に存在する水分の量を少なくすることができる。その結果、NTCサーミスタを実装する際のはんだ爆ぜの発生を抑制することができる。
外部電極(第1の外部電極および第2の外部電極)に含まれるCuの、内部電極(第1の内部電極および第2の内部電極)中への拡散距離は、10μm以上20μm以下であることが好ましい。拡散距離が10μm以上であると、外部電極と内部電極との接合をより一層強固にすることができる。その結果、ヒートサイクル試験後のNTCサーミスタの抵抗値の変化率をより一層小さくすることができる。
NTCサーミスタを実装する際のはんだ爆ぜの発生は、セラミック素体の端面における外部電極の厚さを制御することにより、更に抑制することができる。セラミック素体の端面における外部電極の厚さがカーケンダルボイドの高さより十分大きい場合、外部電極の表面においてカーケンダルボイドが露出しにくくなり、その結果、はんだ爆ぜの発生を抑制することができると考えられる。カーケンダルボイドの高さは、外部電極に含まれるCuの内部電極中への拡散距離で近似することができる。本実施形態に係るNTCサーミスタにおいて、外部電極(第1の外部電極および第2の外部電極)の、セラミック素体の端面における厚さをX、外部電極(第1の外部電極および第2の外部電極)に含まれるCuの、内部電極(第1の内部電極および第2の内部電極)中への拡散距離をYとしたとき、X/Yの値は、2.0以上であることが好ましい。X/Yの値が2.0以上であると、外部電極の表面においてカーケンダルボイドが露出しにくくなり、その結果、はんだ爆ぜの発生を更に抑制することができる。X/Yの値は、より好ましくは2.0以上4.0以下である。X/Yの値が4.0以下であると、はんだ爆ぜの発生を抑制することができると同時にヒートサイクル試験後のNTCサーミスタの抵抗値の変化率を更に小さくすることができる。
[NTCサーミスタの製造方法]
次に、本発明の一の実施形態に係るNTCサーミスタの製造方法の一例について説明するが、本発明に係るNTCサーミスタの製造方法は以下に示す方法に限定されるものではない。本実施形態に係る方法は、第1の内部電極および第2の内部電極が内部に設けられたセラミック素体を準備する工程と、Cu粒子を含む外部電極ペーストを調製する工程と、セラミック素体の一方の端面および他方の端面にそれぞれ、外部電極ペーストを塗布する工程と、一方の端面および前記他方の端面に塗布された外部電極ペーストを焼き付け処理して、一方の端面に設けられる第1の外部電極および他方の端面に設けられる第2の外部電極を形成する工程とを含む。
まず、第1の内部電極および第2の内部電極が内部に設けられたセラミック素体を準備する。セラミック素体はMnを含む。第1の内部電極および第2の内部電極は貴金属元素を含む。第1の内部電極はセラミック素体の一方の端面に露出し、第2の内部電極はセラミック素体の他方の端面に露出している。セラミック素体は、例えば以下に説明する手順で作製することができる。
(グリーンシートの作製)
まず、以下の手順でグリーンシートを作製する。セラミック素体の原料として、Mn、NiO、Co、Fe、Al、ZrO、TiO、CuO、ZnO等の金属酸化物を用いてよい。目的とするセラミック素体の組成に応じて各原料を秤量する。秤量した各原料に、水および分散剤を加えてボールミルで混合し、更にバインダー樹脂を加えてセラミックスラリーを得る。このセラミックスラリーをドクターブレード法により成形し、10〜60μm程度の厚さのグリーンシートを得る。
(内部電極ペーストの調製)
貴金属粉末と有機ビヒクルとを混合することにより内部電極ペーストを調製する。貴金属粉末としては、Pd粉末、Ag70Pd30合金等のAgPd合金粉末、Pt粉末等を用いてよい。貴金属粉末は、AgPd合金粉末であることが好ましい。AgPd合金粉末を用いることにより、AgおよびPdを含む内部電極を形成することができる。内部電極がPdに加えてAgを含む場合、外部電極に含まれるCuの内部電極中への拡散をより一層抑制することができ、かつ材料コストを低減することができる。貴金属粉末の平均粒径は、0.1μm以上5.0μm以下であることが好ましい。内部電極ペーストは、60重量%以上90重量%以下の貴金属の粉末および10重量%以上40重量%以下の有機ビヒクルを含むことが好ましい。有機ビヒクルは、例えば、エチルセルロースをターピネオールに溶解することにより調製することができる。有機ビヒクルにおけるエチルセルロースの含有量は5重量%以上20重量%以下であることが好ましい。
(積層体の作製)
グリーンシートに内部電極ペーストを所定の形状に印刷して、電極パターンを形成する。電極パターンの形成されたグリーンシートと、電極パターンの形成されていないグリーンシートとを、所定の順番に所定の枚数積層し、加圧してマザー積層体を得る。このマザー積層体を所定の寸法に切断してチップ状の積層体を得る。
(焼成)
チップ状の積層体を所定の温度プロファイルで焼成し、セラミック素体を得る。得られたセラミック素体の内部に配置される第1の内部電極および第2の内部電極は、AgおよびPdを含むことが好ましい。内部電極がPdに加えてAgを含む場合、後述の焼き付け処理において、外部電極に含まれるCuの内部電極中への拡散をより一層抑制することができる。
(外部電極ペーストの調製)
Cu粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを混練することにより外部電極ペーストを調製する。Cu粉末の平均粒径は0.1μm以上5μm以下であることが好ましい。Cu粉末として、球形のCu粉末と扁平状のCu粉末との混合物を用いることが好ましい。球形のCu粉末に扁平状のCu粉末を添加することにより、後述の焼き付け処理において外部電極の面方向への焼結収縮を抑制することができる。その結果、得られる外部電極のコーナー部における厚さが大きくなり、信頼性に優れた外部電極を得ることができる。ガラスフリットとしては、B−SiO系ガラスフリット、B−SiO−ZnO系ガラスフリット、B−SiO−アルカリ土類系ガラスフリット等を用いてよい。ガラスフリットは、転移点が400℃以上650℃以下であることが好ましく、軟化点が500℃以上750℃以下であることが好ましい。ガラスフリットの平均粒径は0.1μm以上5μm以下であることが好ましい。有機ビヒクルは、例えば、アクリル樹脂をターピネオールに溶解することにより調製することができる。有機ビヒクルにおけるアクリル樹脂の含有量は5重量%以上40重量%以下であることが好ましい。
(外部電極ペーストの塗布)
セラミック素体の一方の端面および他方の端面にそれぞれ、外部電極ペーストを所定の形状に塗布する。塗布した外部電極は乾燥させてよい。外部電極ペーストの塗布厚さは、目的とする外部電極の厚さに応じて適宜設定することができる。
(焼き付け処理)
セラミック素体の一方の端面および他方の端面に塗布された外部電極ペーストを焼き付け処理して、一方の端面に設けられる第1の外部電極および他方の端面に設けられる第2の外部電極を形成する。焼き付け処理において熱が加えられることにより、内部電極に含まれる貴金属元素の一部が外部電極中へと拡散し、反対に、外部電極に含まれるCuの一部が内部電極中へと拡散する。このとき、外部電極に含まれるCuの内部電極中への拡散速度と、内部電極に含まれる貴金属元素の外部電極中への拡散速度との差に起因して、外部電極とセラミック素体との界面においてカーケンダルボイドが形成される。本発明者らは、焼き付け処理をする際の温度プロファイルを制御することにより、カーケンダルボイドの発生を抑制することができることを見出した。本実施形態に係る方法において、焼き付け処理における温度プロファイルは、焼き付け処理における温度を1秒毎に測定したとき、測定温度のうち750℃以上であった温度の総和Sの値が50000以上250000以下であるように設定する。S値が大きいほど、焼き付け処理において外部電極および内部電極に加えられる熱量が大きくなる。S値を制御することにより、焼き付け処理におけるCu外部電極のCu成分の内部電極への拡散を制御することができる。S値が50000以上であると、外部電極と内部電極との接合を強固にすることができる。これは、外部電極と内部電極との接合を強固にするのに十分な量のCuが、外部電極から内部電極中に拡散することによると考えられる。本実施形態に係る方法により製造されるNTCサーミスタは、外部電極と内部電極との接合が強固であるので、ヒートサイクル試験後の抵抗値の変化率を小さくすることができる。S値が250000以下であると、外部電極に含まれるCuが内部電極中に拡散するのを抑制することができ、その結果、外部電極とセラミック素体との界面においてカーケンダルボイドが発生するのを抑制することができる。本実施形態に係る方法により製造されるNTCサーミスタは、カーケンダルボイドの発生が抑制されるので、外部電極とセラミック素体との界面における密着強度を高くすることができる。また、カーケンダルボイドが外部電極表面に露出するのを防止することができるので、水分が外部電極中に侵入するのを抑制することができ、その結果、NTCサーミスタを実装する際のはんだ爆ぜの発生を抑制することができる。S値は、好ましくは200000以上250000以下である。S値が200000以上であると、外部電極と内部電極との接合をより一層強固にすることができ、その結果、ヒートサイクル試験後の抵抗値の変化率をより一層小さくすることができる。このようにして製造されるNTCサーミスタは、はんだ爆ぜが発生しにくく、外部電極とセラミック素体との界面における密着強度が高く、かつ温度変化に曝されたときの抵抗値の変化率が小さいという利点を有する。
(めっき層の形成)
場合により、外部電極の表面に電解めっきによりめっき層を形成してよい。めっき層は、実装時のはんだ濡れ性や耐熱性を向上させる機能を有する。めっき層の組成は外部電極の組成等に応じて適宜選択することができる。例えば、外部電極の表面にNiめっき層を形成し、その上にSnめっき層を形成してよい。
[NTCサーミスタの作製]
以下に示す手順で、実施例1〜8および比較例1〜3のNTCサーミスタを作製した。
(グリーンシートの作製)
セラミック素体の原料として、Mn、FeおよびNiOを用意した。目的とするセラミック素体の組成に応じて各原料を秤量した。秤量した各原料に、水および分散剤を加えてボールミルで混合し、更にバインダー樹脂を加えてセラミックスラリーを得た。このセラミックスラリーをドクターブレード法により成形し、厚さ50μmのグリーンシートを得た。
(内部電極ペーストの調製)
Pd系内部電極ペーストおよびAg30Pd70系内部電極ペーストの2種類の内部電極ペーストを用意した。Pd系内部電極ペーストは、平均粒径1μmのPd粉末80重量%と、有機ビヒクル20重量%とを混合することにより調製した。Ag70Pd30系内部電極ペーストは、平均粒径1μmのAg70Pd30合金粉末80重量%と、有機ビヒクル20重量%とを混合することにより調製した。なお、有機ビヒクルは、エチルセルロースをターピネオールに溶解することにより調製した。有機ビヒクルにおけるエチルセルロースの含有量は20重量%であった。
(積層体の作製)
グリーンシートに内部電極ペーストを所定の形状に印刷して、電極パターンを形成した。電極パターンの形成されたグリーンシートと、電極パターンの形成されていないグリーンシートとを、所定の順番に所定の枚数積層し、加圧してマザー積層体を得た。このマザー積層体を所定の寸法に切断してチップ状の積層体を得た。
(焼成)
チップ状の積層体を所定の温度プロファイルで焼成し、セラミック素体を得た。本実施例においては、表1に示す4種類のセラミック素体C−1〜C−4を作製した。
Figure 2016129300
(外部電極ペーストの調製)
平均粒径3μmの扁平状Cu粉末64重量%と、平均粒径1μmの球形状Cu粉末16重量%と、転移点が620℃、軟化点が720℃である平均粒径1μmのBaO−ZnO−B−SiO系ガラスフリット5重量%と、アクリル樹脂をターピネオールに溶解して得られた有機ビヒクル15重量%とを調合し、混練して外部電極ペーストを得た。なお、有機ビヒクルにおけるアクリル樹脂の含有量は20重量%であった。
(焼き付け処理)
上述のC−1〜C−4のセラミック素体および外部電極ペーストを用いて、実施例1〜8および比較例1〜3のNTCサーミスタを作製した。各実施例および比較例において用いたセラミック素体の種類は後述の表5に示す。セラミック素体の両端面部(WT面部)にそれぞれ、外部電極ペーストを塗布し、乾燥させた。外部電極ペーストの塗布厚さは、目的とする外部電極の厚さに応じて適宜設定した。この外部電極ペーストが塗布されたセラミック素体を、N/HO/H雰囲気に制御されたトンネル炉において焼き付け処理に付すことにより、外部電極が両端面部に配置されたNTCサーミスタを得た。焼き付け処理の間、熱電対を配した鞘をトンネル炉内において通過させることによりトンネル炉内の温度を1秒毎に測定した。熱電対で測定した温度のうち、750℃以上であった温度の総和S値を算出した。各実施例および比較例におけるS値を表5に示す。
(めっき層の形成)
NTCサーミスタのセラミック素体の両端面に配置された2つの外部電極の各々の表面に、電解めっきによりNiめっき層を形成し、その上に電解めっきによりSnめっき層を形成した。このようにして、実施例1〜8および比較例1〜3のNTCサーミスタを得た。
[NTCサーミスタの特性評価]
得られた各実施例および比較例のNTCサーミスタについて、外部電極のセラミック素体端面における厚さX、外部電極中のCu成分の内部電極中への拡散距離Y、はんだ爆ぜ特性、ヒートサイクル特性、端子強度特性を下記の手順で評価した。
(外部電極の端面における厚さX)
NTCサーミスタを樹脂固めした後、NTCサーミスタのLT面を研磨して、外部電極の断面を露出させた。研磨は、NTCサーミスタのW寸法の約1/2の地点(1/2W地点)まで行った。2つの外部電極の各々について、露出した外部電極の断面を金属顕微鏡(オリンパス社製BX−60)で観察し、画像処理ソフト(オリンパス社製ストリーム)を用いて外部電極の一番厚い部分を測長した。各実施例および比較例について、この操作をn=10個のNTCサーミスタ(即ちn=20個の外部電極)に対して行い、外部電極厚さの測長値の平均値を算出した。この平均値を外部電極の端面における厚さXとした。結果を表5に示す。
(外部電極中のCu成分の内部電極中への拡散距離Y)
外部電極の端面における厚さXの測定方法において説明した手法と同様の手法を用いて、NTCサーミスタの1/2W地点における断面を露出させた。この断面に対してイオンミリング処理を行い、次いでカーボンコーティング処理を行った。イオンミリング処理およびカーボンコーティング処理を行った断面について、JEOL社製/JXA−8100を用いて波長分散型X線分光分析(WDX)を行った。WDXの測定条件を表2に示す。
Figure 2016129300
得られたCu−Kαの強度をアスキー変換し、画像処理ソフトを用いてCu成分の分布図(二値化図)を作成した。なお、二値化において閾値は20に設定した。得られた分布図から、2つの外部電極の各々について、Cu成分の内部電極中への拡散距離を測定した。この操作をn=5個のNTCサーミスタ(即ちn=10個の外部電極)に対して行い、拡散距離の平均値を算出した。この平均値を、外部電極中のCu成分の内部電極中への拡散距離Yとした。結果を表5に示す。
(はんだ爆ぜ特性)
各実施例および比較例のNTCサーミスタを1000個ずつ準備し、下記の手順ではんだ爆ぜ特性を測定した。まず、各々のNTCサーミスタを実装するための基板を用意した。基板の表面にはランド電極を配置した。図2は、基板の表面におけるランド電極5の配置を示す。組成がSn−3Ag−0.5Cuのソルダーペースト(はんだペースト)を、基板上のランド電極5に200μmの厚さに塗布した。ランド電極5の電極間距離51、L方向の寸法(L寸)52およびW方向の寸法(W寸)53は、セラミック素体の種類に応じて下記の表3に示す寸法に設定した。なお、図2におけるL方向、W方向およびT方向はセラミック素体のL方向、W方向およびT方向にそれぞれ対応する。
Figure 2016129300
ソルダーペーストを塗布した上述のランド電極にNTCサーミスタを配置し、窒素雰囲気下でピーク温度280℃にてリフローを行った。リフロー後のNTCサーミスタの各ランド電極部を拡大鏡で観察し、スプレー状のはんだ爆ぜの有無を観察した。各実施例および比較例について、スプレー状のはんだ爆ぜが発生したNTCサーミスタが5個以下であった場合、特に優れたはんだ爆ぜ特性を有すると判定し、後述の表5において「◎」で示した。スプレー状のはんだ爆ぜが発生したNTCサーミスタが6個以上100個以下であった場合、良好なはんだ爆ぜ特性を有すると判定し、表5において「○」で示した。スプレー状のはんだ爆ぜが発生したNTCサーミスタが101個以上であった場合、はんだ爆ぜ特性が不良であると判定し、表5において「×」で示した。
(ヒートサイクル特性)
各実施例および比較例のNTCサーミスタを10個ずつ準備し、下記の手順でヒートサイクル特性を測定した。まず、各々のNTCサーミスタを実装するための基板を用意した。組成がSn−3Ag−0.5Cuのソルダーペースト(はんだペースト)を、基板上のランド電極に厚さ200μmで塗布した。ランド電極の寸法は、上述の表3に示す寸法に設定した。ソルダーペーストを塗布した上述のランド電極にNTCサーミスタを配置し、窒素雰囲気下でピーク温度260℃にてリフローを行った。リフロー後の各NTCサーミスタの初期抵抗Tを、デジタルマルチメーターによる二端子法で測定した。次いで、−55℃〜150℃の温度範囲でヒートサイクル試験を行った。ヒートサイクル試験は、昇温速度2℃/分、降温速度5℃/分、−55℃および150℃における保持時間1分の条件で2000サイクル行った。2000サイクル終了後の各NTCサーミスタの抵抗Tを測定した。測定したTおよびTの値を用いて、下記式
Figure 2016129300
により抵抗変化率を計算した。各実施例および比較例について、抵抗変化率が1%未満であった場合、特に優れたヒートサイクル特性を有すると判定し、後述の表5において「◎」で示した。抵抗変化率が1%以上3%未満であった場合、良好なヒートサイクル特性を有すると判定し、表5において「○」で示した。抵抗変化率が3%以上であった場合、ヒートサイクル特性が不良であると判定し、表5において「×」で示した。
(端子強度特性)
各実施例および比較例のNTCサーミスタを準備し、下記の手順で端子強度特性を測定した。端子強度特性は、外部電極とセラミック素体との界面における密着強度の強さを表す指標である。図3は、端子強度特性を測定する際のNTCサーミスタ1の配置を示す。まず、各々のNTCサーミスタ1を実装するための基板6を用意した。組成がSn−3Ag−0.5Cuのソルダーペースト(はんだペースト)7を、基板6上のランド電極5に200μmの厚さに塗布した。ランド電極5のW方向の寸法(W寸)およびT方向の寸法(T寸)は、セラミック素体2の種類に応じて下記の表4に示す寸法に設定した。なお、図3におけるL方向、W方向およびT方向はセラミック素体のL方向、W方向およびT方向にそれぞれ対応する。
Figure 2016129300
NTCサーミスタの2つの外部電極(図3において符号4で示す)のうち一方の外部電極を、図3に示すように基板6に対して垂直に固定し、窒素雰囲気下でピーク温度260℃にてリフローを行った。プッシュプルゲージ(村田製作所社内製 機械強度測定機)の端子を、基板6に固定されていない外部電極4に当て、横方向に0.5mm/秒の速度で、NTCサーミスタ1が基板6から脱落するまで加重を加えた。脱落したNTCサーミスタ1のWT面および基板6の表面を拡大鏡で観察した。NTCサーミスタ1のWT面および基板6表面の両方にセラミック素体2またははんだが観察された場合、セラミック素体2またははんだが破壊されたとみなすことができる。この場合、NTCサーミスタ1は優れた端子強度特性を有すると判定し、表5において「○」で示した。基板6の表面にセラミック素体2が残っていなかった場合、NTCサーミスタ1の外部電極4とセラミック素体2との界面において破壊が起こったとみなすことができる。この場合、NTCサーミスタ1の端子強度特性は不良であると判定し、表5において「×」で示した。
(総合評価)
はんだ爆ぜ特性、ヒートサイクル特性および端子強度特性のうち、1つでも「×」と判定されたNTCサーミスタは、総合評価として実用に供し得ないと判定し、表5において「×」で示した。はんだ爆ぜ特性、ヒートサイクル特性および端子強度特性のいずれも「×」と判定されず、且つはんだ爆ぜ特性およびヒートサイクル特性の両方が「◎」と判定されたNTCサーミスタは、総合評価として特に優れた特性を有すると判定し、表5において「◎」で示した。はんだ爆ぜ特性、ヒートサイクル特性および端子強度特性のいずれも「×」と判定されず、且つはんだ爆ぜ特性およびヒートサイクル特性のいずれか一方のみが「◎」と判定されたNTCサーミスタは、総合評価として優れた特性を有すると判定し、表5において「○」で示した。
Figure 2016129300
表5から明らかであるように、実施例1〜8のNTCサーミスタは、はんだ爆ぜ特性、ヒートサイクル特性および端子強度特性に優れていることが確認された。特に、拡散距離Yが10μm以上であった実施例2〜4および6〜8のNTCサーミスタは、特に優れたヒートサイクル特性を有した。また、外部電極の端面における厚さXが拡散距離Yよりも十分に大きく、X/Yが2.0以上であった実施例1〜3および5〜8のNTCサーミスタは、特に優れたはんだ爆ぜ特性を有した。
一方、比較例1のNTCサーミスタにおいて、拡散距離Yは2μm未満であった。これは、S値が50000未満であったからであると考えられる。比較例1のNTCサーミスタは、ヒートサイクル特性が不良であった。これは、拡散距離Yが小さく、外部電極と内部電極との接合が不十分であったため、ヒートサイクル試験により外部電極と内部電極との接合が破断されたからであると考えられる。また、比較例2および3のNTCサーミスタにおいて、拡散距離Yは20μmを超えていた。これは、S値が250000を超える値であったからであると考えられる。比較例2および3のNTCサーミスタは、端子強度特性が不良であった。これは、外部電極中のCuが内部電極中に拡散したことにより、外部電極とセラミック素体との界面においてカーケンダルボイドが発生し、外部電極とセラミック素体との界面における密着強度が低下したことに起因すると考えられる。X/Yの値が2.0以上であった実施例1〜3および5〜8において、はんだ爆ぜが発生したNTCサーミスタは1000個中5個以下であった。一方、X/Yの値が2.0未満であった比較例2および3において、はんだ爆ぜが発生したNTCサーミスタは1000個中6個以上100個以下であった。これは、比較例2および3においてカーケンダルボイドが外部電極の表面に露出したことによると考えられる。また、実施例1および3と実施例5および6との比較より、S値が同じであった場合、AgおよびPdを含む内部電極を用いた実施例5および6のNTCサーミスタにおけるCuの拡散距離Yは、Pdのみを含む内部電極を用いた実施例1および3のNTCサーミスタにおけるCuの拡散距離Yよりも短くなったことがわかる。従って、Pdに加えてAgを含む内部電極を用いることにより、外部電極に含まれるCuの、内部電極中への拡散を抑制することができると考えられる。
本発明に係る負特性サーミスタは、実装時にはんだ爆ぜが発生しにくく、外部電極とセラミック素体との界面における密着強度が高く、かつ広い温度範囲にわたって安定した特性を示すので、高信頼性および高性能が求められる電子機器において用いることができる。
1 負特性サーミスタ(NTCサーミスタ)
2 セラミック素体
21 セラミック素体の一方の端面
22 セラミック素体の他方の端面
31 第1の内部電極
32 第2の内部電極
4 外部電極
41 第1の外部電極
42 第2の外部電極
5 ランド電極
51 ランド電極の電極間距離
52 ランド電極のL方向の寸法(L寸)
53 ランド電極のW方向の寸法(W寸)
6 基板
7 ソルダーペースト

Claims (8)

  1. セラミック素体と、
    前記セラミック素体の内部に設けられ、該セラミック素体の一方の端面に露出している第1の内部電極と、
    前記セラミック素体の内部に設けられ、該セラミック素体の他方の端面に露出している第2の内部電極と、
    前記セラミック素体の前記一方の端面に設けられ、前記第1の内部電極と電気的に接続される、第1の外部電極と、
    前記セラミック素体の前記他方の端面に設けられ、前記第2の内部電極と電気的に接続される、第2の外部電極と
    を含む負特性サーミスタであって、
    前記セラミック素体はMnを含み、
    前記第1の内部電極および前記第2の内部電極は貴金属元素を含み、
    前記第1の外部電極および前記第2の外部電極はCuを含み、
    前記第1の外部電極および前記第2の外部電極に含まれるCuの、前記第1の内部電極および前記第2の内部電極中への拡散距離が2μm以上20μm以下である、負特性サーミスタ。
  2. 前記第1の外部電極および前記第2の外部電極に含まれるCuの、前記第1の内部電極および前記第2の内部電極中への拡散距離が10μm以上20μm以下である、請求項1に記載の負特性サーミスタ。
  3. 前記第1の外部電極および前記第2の外部電極の、前記セラミック素体の端面における厚さをX、前記第1の外部電極および前記第2の外部電極に含まれるCuの、前記第1の内部電極および前記第2の内部電極中への拡散距離をYとしたとき、X/Yの値が2.0以上である、請求項1または2に記載の負特性サーミスタ。
  4. X/Yの値が2.0以上4.0以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の負特性サーミスタ。
  5. 前記第1の内部電極および前記第2の内部電極がAgおよびPdを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の負特性サーミスタ。
  6. 第1の内部電極および第2の内部電極が内部に設けられたセラミック素体であって、該セラミック素体はMnを含み、前記第1の内部電極および前記第2の内部電極は貴金属元素を含み、前記第1の内部電極は前記セラミック素体の一方の端面に露出し、前記第2の内部電極は前記セラミック素体の他方の端面に露出しているセラミック素体を準備する工程と、
    Cu粒子を含む外部電極ペーストを調製する工程と、
    前記セラミック素体の前記一方の端面および前記他方の端面にそれぞれ、前記外部電極ペーストを塗布する工程と、
    前記一方の端面および前記他方の端面に塗布された前記外部電極ペーストを焼き付け処理して、該一方の端面に設けられる第1の外部電極および該他方の端面に設けられる第2の外部電極を形成する工程と
    を含み、
    前記焼き付け処理における温度を1秒毎に測定したとき、測定温度のうち750℃以上であった温度の総和Sの値が50000以上250000以下である、負特性サーミスタの製造方法。
  7. 前記Sの値が200000以上250000以下である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記第1の内部電極および前記第2の内部電極がAgおよびPdを含む、請求項6または7に記載の方法。
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