JPWO2016104758A1 - 炭酸エステルの精製方法、炭酸エステル溶液の製造方法、及び炭酸エステルの精製装置 - Google Patents

炭酸エステルの精製方法、炭酸エステル溶液の製造方法、及び炭酸エステルの精製装置 Download PDF

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Abstract

炭酸エステル及びホルムアルデヒドを含む第1溶液とアルコール、又は炭酸エステル、ホルムアルデヒド及びアルコールを含む第1溶液を供給し、塔頂部20aからホルムアルデヒド及びアルコールを含む留出物を得るとともに、塔底部20bから第1溶液よりもホルムアルデヒドの含有量が低減された炭酸エステル溶液を得る第1蒸留塔20と、ホルムアルデヒドとアルコールとを反応させてアセタール及び/又はヘミアセタールを生成する触媒を有する反応器28と、アセタール及び/又はヘミアセタールを含む流体を第1蒸留塔20に還流する還流部20Aと、を備える、炭酸エステルの精製装置200を提供する。

Description

本開示は、炭酸エステルの精製方法、炭酸エステル溶液の製造方法、及び炭酸エステルの精製装置に関する。
炭酸エステルは、芳香族ポリカーボネート及び医農薬等の合成原料として有用な化合物である。炭酸エステルを製造するプロセスとしては、白金族金属系固体触媒の存在下、一酸化炭素と亜硝酸エステルとを用い、気相反応によって合成を行うプロセスが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。このようなプロセスでは、炭酸エステルを、以下の反応式(i)によって得ることができる。
CO+2RONO → ROC(=O)OR+2NO (i)
特許文献1,2のような製造方法では、原料である亜硝酸アルキルを循環利用しながら触媒反応によって、所望の化合物を製造している。このような製造方法では、スケールアップによって目的とする化合物を大量生産することが可能であるが、安定的に製造を継続する技術を確立することが求められる。これは、連続的な製造が一旦途切れてしまうと、装置の運転開始操作及び運転停止操作など煩雑な操作が必要になるうえに、運転停止に伴う機会損失が大きくなってしまうためである。
そこで、特許文献2では、供給ガス中の一酸化窒素の濃度を検出し、その濃度に基づいて分子状酸素の供給量を調整することによって、触媒の活性低下を抑制する技術が提案されている。特許文献3では、触媒の活性を維持するため、塩化水素を供給して、白金族金属の塩化物から飛散する塩素分を補償する技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2004−323470号公報 特開2014−162746号公報 特開平9−110807号公報
特許文献1〜3のような従来のプロセスでは、炭酸エステルに同伴する水及びアルコール等を除去するために、蒸留塔で水及びアルコール等を留出して、炭酸エステル溶液に含まれる不純物を低減している。しかしながら、このようなプロセスで得られる炭酸エステル溶液には、副反応等に由来する、ホルムアルデヒド等の微量の不純物が含まれている。
一方、炭酸エステルは、医農薬等の合成原料のみならず、リチウムイオン電池の電解液等、種々の分野に用いることが検討されている。このため、不純物が十分に低減された炭酸エステル溶液の製造技術を確立することが求められている。
炭酸エステルから不純物を低減する技術としては、例えば蒸留プロセスが挙げられる。しかしながら、従来の製造方法で得られる炭酸エステルを含む溶液の蒸留を長期間連続して行うと、蒸留塔の留出物を冷却する熱交換器(コンデンサ)の内部、及び蒸留塔の上部にスケールが閉塞する現象が生じてしまう。このスケールを定期的に除去する必要があるために、長期間に亘って、炭酸エステルの精製を継続することが難しいという事情があった。このため、スケールの発生を十分に抑制して、安定的に炭酸エステルを精製する技術を確立することが求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、一つの側面において、長期間に亘って炭酸エステルの精製を継続して行うことが可能な炭酸エステルの精製方法、及び炭酸エステルの精製装置を提供することを目的とする。また、本発明は、別の側面において、不純物が低減された炭酸エステル溶液を、長期間に亘って継続して製造することが可能な炭酸エステル溶液の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、炭酸エステル溶液を蒸留した場合に、熱交換器及び蒸留塔の上部等を閉塞させるスケールの原因を種々検討した。その結果、炭酸エステルに含まれる不純物のうち、ホルムアルデヒドから生じるパラホルムアルデヒド等の重合物がスケールの主な原因であることが分かった。
そこで、本発明では、一つの側面において、炭酸エステル及びホルムアルデヒドを含む第1溶液並びにアルコール、又は、炭酸エステル、ホルムアルデヒド及びアルコールを含む第1溶液を蒸留塔に供給して、塔頂部からホルムアルデヒド及びアルコールを含む留出物を得るとともに、塔底部から第1溶液よりもホルムアルデヒドの含有量が低減された炭酸エステル溶液を得る第1蒸留工程と、留出物と触媒とを接触させて得られるアセタール及び/又はヘミアセタールを含む反応生成物の一部を蒸留塔に還流しながら、反応生成物の他部を蒸留塔から排出する反応工程と、を有する、炭酸エステルの精製方法を提供する。
上述の精製方法では、ホルムアルデヒド及びアルコールを含む留出物と触媒とを接触させることによって、ホルムアルデヒドとアルコールとを反応させて、アセタール及び/又はヘミアセタールを得ている。このため、第1溶液に含まれるホルムアルデヒドが蒸留塔の塔頂部及び還流部等において濃縮されることが抑制される。これによって、ホルムアルデヒドの重合物の生成が抑制され、その結果、蒸留塔の塔頂部及び還流部等において、スケールの発生が低減される。このようにして、炭酸エステルの純度を高める炭酸エステルの精製方法を、長期間に亘って継続して行うことができる。
幾つかの実施形態においては、第1蒸留工程の前に、第1溶液とアルカリとを混合して、第1溶液に含まれる酸性物質を低減するアルカリ処理工程を有していてもよい。これによって、酸性物質等の不純物を十分に低減することができる。
幾つかの実施形態においては、炭酸エステル溶液を分留して、炭酸エステル溶液から炭酸エステルとは沸点が異なる不純物を除去する第2蒸留工程を有していてもよい。不純物としては、アルコールとホルムアルデヒドとから、アセタール及び/又はヘミアセタールを得る際に生成する水等が挙げられる。第2蒸留工程を有することによって、水等の不純物を一層低減することができる。
本発明では、別の側面において、炭酸エステル及びホルムアルデヒドを含む第1溶液並びにアルコール、又は、炭酸エステル、ホルムアルデヒド及びアルコールを含む第1溶液を蒸留塔に供給して、ホルムアルデヒド及びアルコールを含む留出物を得るとともに、塔底部から第1溶液よりもホルムアルデヒドの含有量が低減された炭酸エステル溶液を得る第1蒸留工程と、留出物と触媒とを接触させて得られるアセタール及び/又はヘミアセタールを含む反応生成物の一部を蒸留塔に還流しながら、反応生成物の他部を蒸留塔から排出する反応工程と、を有する、炭酸エステル溶液の製造方法を提供する。
上述の製造方法では、ホルムアルデヒド及びアルコールを含む留出物と触媒とを接触させることによって、ホルムアルデヒドとアルコールとを反応させて、アセタール及び/又はヘミアセタールを得ている。このため、ホルムアルデヒドが蒸留塔の塔頂部及び還流部等において濃縮されることが抑制される。これによって、ホルムアルデヒドの重合物の生成が抑制され、その結果、蒸留塔の塔頂部及び還流部等において、スケールの発生が低減される。このようにして、不純物が低減された高純度の炭酸エステル溶液を、長期間に亘って継続して製造することができる。
幾つかの実施形態においては、上記第1蒸留工程の前に、第1溶液とアルカリとを混合して、第1溶液に含まれる酸性物質を低減するアルカリ処理工程を有していてもよい。これによって、一層不純物が低減された高純度の炭酸エステル溶液を製造することができる。
幾つかの実施形態においては、炭酸エステル溶液を分留して、炭酸エステル溶液から炭酸エステルとは沸点が異なる不純物を除去する第2蒸留工程を有していてもよい。不純物としては、アルコールとホルムアルデヒドとから、アセタールを得る際に生成する水等が挙げられる。第2蒸留工程を有することによって、より一層不純物が低減された高純度の炭酸エステル溶液を製造することができる。
本発明は、さらに別の側面において、炭酸エステル及びホルムアルデヒドを含む第1溶液並びにアルコール、又は、炭酸エステル、ホルムアルデヒド及びアルコールを含む第1溶液を供給して、塔頂部からホルムアルデヒド及びアルコールを含む留出物を得るとともに、塔底部から第1溶液よりもホルムアルデヒドの含有量が低減された炭酸エステル溶液を得る第1蒸留塔と、ホルムアルデヒドとアルコールとを反応させてアセタール及び/又はヘミアセタールを生成する触媒を有する反応器を備え、アセタール及び/又はヘミアセタールを含む反応生成物の一部を蒸留塔に還流するとともに、反応生成物の他部を蒸留塔から排出するように構成される還流部と、を具備する、炭酸エステルの精製装置を提供する。
上述の精製装置では、第1蒸留塔及び第2蒸留塔とともに、第1溶液に含まれるホルムアルデヒドとアルコールとを反応させてアセタール及び/又はヘミアセタールを得る触媒を有する反応器を備える。このため、ホルムアルデヒドが第1蒸留塔の上部及び還流部において濃縮されることが抑制される。これによって、ホルムアルデヒドの重合物の生成が抑制され、その結果、蒸留塔の上部及び還流部において、スケールの発生が低減される。このようにして、長期間に亘って炭酸エステルの精製を継続して行うことができる。
幾つかの実施形態においては、第1溶液とアルカリとを混合して、第1溶液をアルカリ処理する処理槽と、アルカリ処理によって生成した固体生成物を除去する分離器と、を備えていてもよい。これによって、これによって、酸性物質等の不純物を十分に低減することができる。
幾つかの実施形態においては、炭酸エステル溶液を分留して、炭酸エステル溶液から炭酸エステルとは沸点が異なる不純物を除去する第2蒸留塔を備えていてもよい。不純物としては、アルコールとホルムアルデヒドとから、アセタールを得る際に生成する水等が挙げられる。第2蒸留塔を備えることによって、水等の不純物を一層低減することができる。
本発明によれば、一つの側面において、長期間に亘って炭酸エステルの精製を継続して行うことが可能な炭酸エステルの精製方法、及び炭酸エステルの精製装置を提供することができる。また、本発明は、別の側面において、不純物が低減された炭酸エステル溶液を長期間に亘って継続的に製造することが可能な炭酸エステル溶液の製造方法を提供することができる。
図1は、炭酸エステルの精製装置の一実施形態を模式的に示す図である。 図2は、炭酸エステルの精製装置の別の実施形態を模式的に示す図である。 図3は、炭酸エステルとホルムアルデヒドを含む第1溶液を製造する装置の一例である。 図4は、実施例で用いた実験装置を示す図である。
本発明の一実施形態を、場合により図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。
図1は、炭酸エステルを精製する精製装置の一実施形態を模式的に示す図である。炭酸エステルの精製方法、及び、炭酸エステル溶液の製造方法の一実施形態は、図1に示す炭酸エステルの精製装置200(炭酸エステル溶液の製造装置200)を用いる。
本実施形態の炭酸エステルの精製方法は、炭酸エステル及びホルムアルデヒドを含む第1溶液、又は、炭酸エステル、ホルムアルデヒド及びアルコールを含む第1溶液とアルカリとを混合して、第1溶液に含まれる酸性物質等を低減するアルカリ処理工程と、第1溶液又は第1溶液及びアルコールを第1蒸留塔に供給して、塔頂部からホルムアルデヒド及びアルコールを含む留出物を得るとともに、塔底部から第1溶液よりもホルムアルデヒドの含有量が低減された炭酸エステル溶液を得る第1蒸留工程と、留出物と触媒とを接触させて得られるアセタール及び/又はヘミアセタールを含む反応生成物の一部を第1蒸留塔に還流しながら、第1蒸留塔から上記反応生成物の他部を排出する反応工程と、第2蒸留塔で炭酸エステル溶液を分留して、炭酸エステル溶液から炭酸エステルとは沸点が異なる不純物を除去する第2蒸留工程とを有する。
炭酸エステルの精製装置200は、アルカリ処理工程を行う前処理部110と、第1蒸留工程及び反応工程を行う反応部100と、第2蒸留工程を行う分離部120とを備える。第1溶液は、白金族金属系固体触媒の存在下、一酸化炭素と亜硝酸エステルとを気相反応させて得られた生成物を凝縮して得ることができる。第1溶液は、主成分である炭酸エステルに加えて、副成分としてホルムアルデヒド、アルコール、ギ酸メチル及びメチラール等の有機化合物、塩素化合物及び硝酸化合物等の酸性物質、並びに鉄化合物等を含有する。第1溶液における副成分のうち、炭酸エステルとの沸点差が大きい副成分の濃度は、蒸留塔等を用いて調整することができる。
炭酸エステルは、例えば炭酸ジアルキルである。炭酸ジアルキル分子中の2つのアルキル基は、同一でも異なっていてもよい。炭酸ジアルキルとしては、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジブチル、炭酸ジペンチル、炭酸ジヘキシル、炭酸ジヘプチル、炭酸ジオクチル、炭酸ジノニル、炭酸エチルメチル、及び炭酸エチルプロピル等が挙げられる。
炭酸ジアルキルの中でも、エステル交換反応の反応速度及び副生成するアルキルアルコールの除去のしやすさの観点から、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有する炭酸ジアルキルが好ましく、炭酸ジメチル又は炭酸ジエチルがより好ましい。
第1溶液における炭酸エステルの含有量は、例えば、98.0〜99.998質量%である。第1溶液におけるホルムアルデヒドの含有量は、例えば10〜1000質量ppmである。第1溶液は、炭酸エステル及びホルムアルデヒド以外に、酸性物質又はそのエステル等を含有していてもよい。酸性物質としては、塩酸、硝酸、亜硝酸、及びギ酸、並びにこれらの混合物が挙げられる。酸性物質のエステルとしては、硝酸エステル、クロロギ酸エステル等が挙げられる。
第1溶液における塩素化合物及び硝酸化合物(亜硝酸化合物を含む)の合計含有量は、それぞれCl、及びNO又はNOに換算して、例えば5〜100質量ppmである。第1溶液における鉄化合物の含有量は、Feに換算して、例えば、10〜500質量ppbである。第1溶液は、副成分としてメタノール及びエタノールなどのアルコールを含んでいてもよい。第1溶液におけるアルコールの含有量は、例えば、1〜100質量ppmである。
アルカリとしては、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)及び水酸化カリウム(苛性カリ)等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属のアルコラート;アンモニア及びトリエチルアミン等のアミン化合物;塩基性イオン交換樹脂等が挙げられる。これらの一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。上述のアルカリのうち、アルカリ金属のアルコラートを用いれば、処理槽10における水分濃度を十分に低減することができる。
前処理部110は、第1溶液とアルカリとを混合する処理槽10を備える。処理槽10には、配管13,14が接続されている。処理槽10には熱媒を流通させるジャケット12が設けられている。第1溶液は、配管13を流通して処理槽10に供給される。アルカリは、配管14を流通して処理槽10に供給される。処理槽10では、攪拌器16によって第1溶液とアルカリとが混合される。第1溶液に含まれる塩素化合物及び硝酸化合物等の酸性化合物とアルカリとが中和反応する。このようにして、アルカリ処理工程では酸性物質等を低減することができる。
アルカリ処理後、処理槽10の底部に接続された配管18及びポンプ19を流通して、第1溶液は分離器の一例である濾過器17に供給される。第1溶液には、アルカリ処理で生成した無機塩化物及び無機硝酸化合物等の固体生成物が同伴する。このため、アルカリ処理工程の後に、固体生成物の少なくとも一部を除去する除去工程を行ってもよい。すなわち、濾過器17によって、アルカリ処理で析出した無機塩化物及び無機硝酸化合物等の固体生成物を除去することができる。このように固体生成物を除去することは必須ではないが、固体生成物を除去することによって、下流側のポンプ等の閉塞頻度を低減することができる。濾過器17には、通常の金属製のフィルターを用いることができる。
濾過器17で固体生成物が除去された後、第1溶液は、配管15を流通して、反応部100の第1蒸留塔20に供給される。このとき、第1溶液とは別に、アルコールを第1蒸留塔20に供給してもよい。アルコールは、図1に示すように、配管15に接続された配管11によって供給してもよいし、第1蒸留塔20に接続された配管を用いて第1蒸留塔20に直接供給してもよい。一方、第1溶液が、ホルムアルデヒドと反応するために必要なアルコールを含有する場合は、第1溶液のみを第1蒸留塔20に供給してもよい。このようにして、第1蒸留工程を行うことができる。
第1蒸留塔20に供給されるアルコールとしては、触媒反応によって、ホルムアルデヒドをアセタール化、又はヘミアセタール化するものが用いられる。十分に高い反応活性を得る観点から、アルコールとして、例えば、メタノール又はエタノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコールを用いてもよい。
第1蒸留塔20において、アルコール、ホルムアルデヒド及びその他の微量成分と炭酸エステルとは、沸点差によって分留される。炭酸エステルよりも低い沸点を有するホルムアルデヒド、アルコール及び微量成分を含む留出物は、第1蒸留塔20の塔頂部20aから、第1蒸留塔20に設けられる還流部20Aに導入される。還流部20Aは、留出物を冷却するコンデンサ22、タンク24、ポンプ27、反応器28、及びこれらの機器を接続する配管を備える。第1蒸留塔20の塔頂部20aから配管21によって排出される留出物は、コンデンサ22で冷却されて凝縮液になった後、タンク24に貯留される。タンク24のホルムアルデヒド及びアルコールを含む凝縮液の一部は、タンク24からポンプ27及び配管26を経由して、反応器28に導入される。
反応器28は、ホルムアルデヒドとアルコールとを反応させて、アセタール及びヘミアセタールの少なくとも一方を生成させる触媒を有する。触媒としては、アセタール化又はヘミアセタール化反応を促進する作用を有する酸触媒を用いることができる。下流側の蒸留塔等への影響を十分に低減する観点から、触媒は、固体酸触媒のように、凝縮液並びにアセタール及びヘミアセタールの少なくとも一方を含む反応液に溶解しないものが好ましい。
固体酸触媒としては、ゼオライト、シリカ、シリカ−アルミナ、γ−アルミナ、又は陽イオン交換樹脂等を用いることができる。これらのうち、不純物の溶出等を少なくする観点から陽イオン交換樹脂が好ましい。このように、ホルムアルデヒドをアセタール化及びヘミアセタール化する触媒を用いていることから、ホルムアルデヒドを吸着除去する場合に比べて、長期間安定してホルムアルデヒドを低減することができる。
アルコールとしてメタノールを用いる場合、反応器28では、例えば、下記式(I−1)の反応(アセタール化反応)、及び/又は、下記式(I−2)の反応(ヘミアセタール化反応)が進行する。これらの反応によって、ホルムアルデヒドジメチルアセタール等のアセタール、及び/又は、ホルムアルデヒドメチルアセタール等のヘミアセタールが生成する。アセタール及びヘミアセタールは、アルコールの種類に応じて種々のものが生成し得る。
HCHO+2CHOH → CHOCHOCH+HO (I−1)
HCHO+CHOH → CHOCHOH (I−2)
反応器28で得られた、アセタール及びヘミアセタールの少なくとも一方を含む反応生成物は、反応器28に接続された配管29を流通して、第1蒸留塔20の上部に戻される。第1蒸留塔20の上部には、上記反応生成物の他に、タンク24からの凝縮液が、反応器28をバイパスする配管26Aを流通して戻されてもよい。このようにして、反応生成物、及び場合により凝縮液が第1蒸留塔20に還流する。反応生成物、及び場合により凝縮液をリフラックスとして用いることによって、第1蒸留塔20における分留を効率よく行うことができる。
このように反応工程では、第1溶液に含まれるホルムアルデヒドを、触媒を用いてアルコールと反応させて、アセタール及び/又はヘミアセタールを得ている。このため、第1蒸留塔20の上部、及び還流部20Aにおける、ホルムアルデヒドの濃縮を抑制することができる。これによって、ホルムアルデヒドの重合反応が抑制され、第1蒸留塔20の上部及び還流部20Aにスケールが閉塞することを抑制することができる。
反応器28におけるアセタール化及びヘミアセタール化の反応は、必ずしも液相反応である必要はなく、気相反応であってもよい。この場合、コンデンサ22を反応器28の下流側に設けて、反応器28で得られた反応生成物をコンデンサ22で冷却し、第1蒸留塔20に還流することができる。このようにして、第1蒸留塔20の上部及び還流部20Aでは、アセタール及び/又はヘミアセタール、並びにアルコールなどの、炭酸エステルよりも沸点の低い成分が濃縮されていく。これらの成分を含むタンク24の凝縮液の一部は、ポンプ27及び配管25を経由して、連続的又は断続的に第1蒸留塔20の外部に排出することができる。
配管25からの排出液は、例えば、主成分として炭酸エステルを含有し、副成分としてホルムアルデヒド、アセタール及び/又はヘミアセタール、アルコール、及び水等を含有してもよい。排出液の組成は、還流部20Aを循環する還流液の組成と同一である。排出液におけるホルムアルデヒドの含有量は、例えば、20〜100質量ppmである。排出液における炭酸エステルの含有量は、例えば90〜99.2質量%であり、アセタール及びヘミアセタールの合計含有量は、例えば1000〜5000質量ppmである。配管25を経由して排出される塔頂部20aからの排出液は、後述する図3の製造装置300の配管316又は配管319を流通するアルコールに合流させてもよい。
第1蒸留塔20での分留によって、第1蒸留塔20の塔底部20bに連結された配管30からは、炭酸エステルを含む第2溶液が排出される。第2溶液は、第1溶液よりもホルムアルデヒド及びアルコール等の低沸点分が低減されている。このため、第2溶液における炭酸エステルの純度は、第1溶液よりも高くなっている。したがって、第1蒸留塔20は、炭酸エステルを精製して、第1溶液よりも炭酸エステルの純度が高い第2溶液を連続的に製造することができる。また、反応器28において、ホルムアルデヒドとアルコールとを反応させてアセタール又はヘミアセタールを得ていることから、第1蒸留塔20の上部及び還流部20Aにホルムアルデヒドが濃縮することを十分に抑制することができる。このため、特にコンデンサ22において、パラホルムアルデヒドが析出することを抑制し、安定的に炭酸エステルの精製を行うことができる。
第2溶液の炭酸エステルの純度は、例えば、99.99質量%以上である。すなわち、第2溶液では、第1溶液に比べて、酸性物質、アルコール、ホルムアルデヒド、鉄化合物、ビニル化合物、アセタール及びヘミアセタール等の微量成分の含有量が、十分に低減されている。このような炭酸エステル溶液は、微量成分を十分に低減することが必要な用途(例えば、リチウムイオン電池の電解液等)に特に有用である。
第1蒸留塔20の塔底部20bから排出される第2溶液は、主成分である炭酸エステルとともに上記式(I−1)で生成した水等の微量成分を含んでいてもよい。第2溶液は、配管30、ポンプ34及び配管36を経由して、分離部120の第2蒸留塔40に供給される。また、第2溶液の一部は、熱交換器32で熱媒との熱交換で加熱された後、第1蒸留塔20の熱源として第1蒸留塔20の下部に戻されてもよい。
第2蒸留塔40において、第2溶液に含まれる炭酸エステルと微量成分とは、沸点差によって分留される。炭酸エステルよりも高い沸点を有する微量成分を含む流体は、第2蒸留塔40の塔底部40bに接続された配管60を流通し、ポンプ64及び配管66を経由して排出される。この流体の一部は、熱交換器62で熱媒との熱交換で加熱された後、第2蒸留塔40の熱源として第2蒸留塔40の下部に戻されてもよい。
第2溶液が、アルコール等の炭酸エステルよりも低い沸点を有する微量成分(例:アルコール)を含有する場合、これらの微量成分は、第2蒸留塔40の塔頂部40aに配管41を介して接続されるコンデンサ42、及びコンデンサ42に配管43を介して接続されるタンク44を有する還流部40Aに導入される。具体的には、第2蒸留塔40の塔頂部40aからの流体は、コンデンサ42で冷却されて凝縮液になった後、タンク44に貯留される。タンク44のアルコール等の微量成分を含む凝縮液の一部は、タンク44からポンプ47及び配管46を経由して、第2蒸留塔40に還流される。タンク44の凝縮液の一部は、配管50を流通させて、処理槽10に戻してもよいし、他の用途に用いてもよい。
第2溶液に含まれる炭酸エステルは、第2蒸留塔40の中央部と塔頂部との間に接続された配管49によってサイドカットで抜き出される。サイドカットで抜き出されたガス状の炭酸エステルは、配管49に接続された熱交換器48で冷却されて炭酸エステル溶液となる。このようにして、炭酸エステルとは異なる不純物の含有量を十分に低減することができる。第2蒸留塔40で得られる炭酸エステル溶液の炭酸エステルの純度は、例えば、99.995質量%以上である。
このように第2溶液を分留して、第2溶液よりも不純物の含有量が低減された炭酸エステル溶液を得る第2蒸留工程を行うことができる。炭酸エステルの精製装置200は、処理槽10、第1蒸留塔20及び第2蒸留塔40を別々に備えることから、純度の高い炭酸エステル溶液を連続的に効率よく製造することができる。このような精製方法で得られる炭酸エステル溶液は、酸性物質、アルコール、ホルムアルデヒド、鉄化合物、ビニル化合物、アセタール及びヘミアセタール等の微量成分が十分に低減されている。このような炭酸エステル溶液は、微量成分を十分に低減することが必要な用途(例えば、リチウムイオン電池の電解液等)に特に有用である。
図2は、炭酸エステルを精製する精製装置の別の実施形態を模式的に示す図である。炭酸エステルの精製方法の別の実施形態、及び炭酸エステル溶液の製造方法の別の実施形態は、図2に示す炭酸エステルの精製装置130を用いて行うことができる。
炭酸エステルの精製装置130は、図1に示す炭酸エステル溶液の製造装置200の反応部100と、分離部120の機能を併せ持っている。すなわち、炭酸エステルの精製装置130は、以下の(1)及び(2)の2つを行う工程と、(3)の工程とを別々に行うため、蒸留塔を一つにすることができる。各工程は、上記実施形態と同様にして行うことができる。
(1)炭酸エステル及びホルムアルデヒドを含む第1溶液並びにアルコール、又は、炭酸エステル、ホルムアルデヒド及びアルコールを含む第1溶液を、蒸留塔20に供給して、塔頂部20aからホルムアルデヒド及びアルコールを含む留出物を得るとともに、塔底部20bから第1溶液よりもホルムアルデヒドの含有量が低減された第2溶液を得る第1蒸留工程
(2)留出物と触媒とを接触させて得られるアセタール及び/又はヘミアセタールを含む反応生成物の一部を蒸留塔に還流しながら、反応生成物の他部を蒸留塔20から排出する反応工程
(3)第2溶液を蒸留塔40に供給して、第2溶液から炭酸エステルとは沸点が異なる不純物を除去して、第2溶液よりも炭酸エステルの純度が高い炭酸エステル溶液を得る第2蒸留工程
第1蒸留工程及び反応工程を行う際、例えば配管49に設けられる弁を閉止して、熱交換器48及び配管49を用いなくてもよい。また、第2蒸留工程を行う場合には、タンク44からの凝縮液は、反応器28流通させることなく、その全量を、ポンプ47、配管46、配管26Aを経由して、第2蒸留塔40に還流してもよい。また、アルコール等の不純物を含むタンク44の凝縮液の一部は、配管50を流通させて、処理槽10に戻してもよいし、他の用途に用いてもよい。水等の不純物は、塔底部40bから配管60,66を用いて排出することができる。これによって、サイドカットとして、不純物が十分に低減された炭酸エステル溶液を得ることができる。
蒸留塔20(40)の構成は、図1における第1蒸留塔20及び第2蒸留塔40と同様とすることができる。このように、バッチプロセスを採用すれば、蒸留塔を一つにできるため、経済的に有利である。
図3は、炭酸エステルとホルムアルデヒドを含む第1溶液を製造する装置の一例である。第1溶液の製造装置300は、一酸化炭素と亜硝酸アルキルとを反応させて、炭酸ジアルキルと一酸化窒素とを生成する触媒を有し、一酸化炭素と亜硝酸アルキルと一酸化窒素とを含有する第1ガスから炭酸ジアルキルと一酸化窒素とを含有する第2ガスを生成する第1反応器310と、第2ガスと炭酸ジアルキルを吸収する吸収液とを接触させて、炭酸ジアルキルを含む凝縮液と、一酸化窒素を含有する非凝縮ガスとに分離する吸収塔320と、非凝縮ガス及び分子状酸素の混合ガスとアルコールとを導入し、一酸化窒素、分子状酸素及びアルコールを反応させて、亜硝酸アルキルと一酸化窒素とを含有する第3ガスを生成する第2反応器330とを備える。
第1反応器310は、一酸化炭素と亜硝酸アルキルとを反応させて、炭酸エステルと一酸化窒素を生成させる炭酸エステル製造用触媒を有する。炭酸エステル製造用触媒としては、例えば、白金族金属及び/又はその化合物が担体に担持されている固体触媒が挙げられる。固体触媒における白金族金属及びその化合物の担持量は、担体に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜2重量%である。担体としては、活性炭、アルミナ(γ―アルミナ等)、ゼオライト、モレキュラーシーブ、スピネル(リチウムアルミネートスピネル等)等の不活性担体が挙げられる。白金族金属及びその化合物は、含浸法又は蒸発乾固法等の公知の方法を用いて担体に担持される。
白金族金属及びその化合物としては、例えば、白金金属、パラジウム金属、ロジウム金属、イリジウム金属などが挙げられる。白金族金属の化合物としては、これらの金属の無機酸塩(硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等)、ハロゲン化物(塩化物、臭化物等)、有機酸塩(酢酸塩、シュウ酸塩、安息香酸塩等)、錯体(テトラクロロパラジウム酸リチウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム等)などが挙げられる。これらの中でも、塩化パラジウム又はパラジウムの塩素含有錯体が好ましい。担体への白金族金属及び/又はその化合物の担持量としては、0.01〜10質量%が好ましく、0.2〜2質量%がより好ましい。
炭酸エステル製造用触媒には、白金族金属及びその化合物の他に、銅、鉄、ビスマス又はこれらの化合物を含有させることができる。これらの中でも、塩化物(塩化第一銅、塩化第二銅、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化ビスマス等)が好ましい。担体へのこれらの担持量は、「白金族金属及びその化合物」:「銅、鉄、ビスマス及びこれらの化合物」(金属原子のモル比)として、1:0.1〜1:50が好ましく、1:1〜1:10がより好ましい。
触媒の調製法は特に限定されず、例えば、白金族金属化合物を、含浸法又は蒸発乾固法などの公知の方法によって担体に担持させ、次いで、その担体を乾燥して調製することができる。
上述の触媒を有する第1反応器310に、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを含有する第1ガスを導入する。これによって、下記式(II)に示す気相反応が進行する。式(II)中、Rは、アルキル基を示す。アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜3である。
CO+2RONO → ROC(=O)OR+2NO (II)
第1ガスにおける一酸化窒素の含有量は、一酸化炭素、亜硝酸アルキル及び一酸化窒素の合計を基準として、例えば5〜50体積%である。このように、第1ガスには、分子状酸素よりも高い濃度で一酸化窒素を含有する。このため、第1ガス中の一酸化窒素の濃度を、容易に且つ高い精度で検出することができる。第1ガスにおける一酸化炭素の含有量は、一酸化炭素、亜硝酸アルキル及び一酸化窒素の合計を基準として、例えば30〜70体積%である。第1ガスにおける亜硝酸アルキルの含有量は、一酸化炭素、亜硝酸アルキル及び一酸化窒素の合計を基準として、例えば10〜50体積%である。第1ガスは、一酸化炭素、亜硝酸アルキル及び一酸化窒素とともに、不活性ガスを含有していてもよい。この場合、第1ガスにおける一酸化窒素の濃度は、第1ガス全体を基準として、1〜20体積%であることが好ましい。また、第1ガスにおける一酸化炭素の濃度は、第1ガス全体を基準として、例えば10〜40体積%である。
上記式(1)に示す反応によって、第1反応器310では、炭酸エステルと一酸化窒素とを含有する第2ガスが生成する。第2ガスにおける炭酸エステルの濃度は、第2ガス全体を基準として、例えば1〜50体積%であり、一酸化窒素の濃度は、例えば1〜20体積%である。本明細書における体積%は、標準状態(25℃、100kPa)における体積比率を示す。
第1反応器310で生成した第2ガスは、配管312を通って吸収塔320に導入される。吸収塔320は、気液接触が可能なものであればよく、例えば、シーブトレイ、泡鐘トレイ、又はバルブトレイ等の棚段式、或いは、ポールリング又はラシッヒリング等の不規則充填材、シート状若しくはガーゼ状の板又はこれらを合わせた複合板等の規則充填材が充填されている充填塔式の吸収塔が挙げられる。
第1反応器310から配管312を経由して吸収塔320の下部に導入された第2ガスは、吸収塔320の上部から導入される炭酸エステル吸収用吸収液(以下、単に「吸収液」という)と向流接触する。このようにして、第2ガスと吸収液とを気液接触させて、第2ガスに含まれる炭酸エステルの少なくとも一部が吸収液に吸収される。これによって、炭酸エステルを吸収した凝縮液と、一酸化窒素を含有する非凝縮ガスとが得られる。
吸収塔320で用いられる吸収液としては、例えば炭酸エステルのアルキル基に対応するアルコール、炭酸エステル、及びシュウ酸エステルなどが挙げられる。
吸収塔320への吸収液の供給量は第2ガスにおける炭酸エステルに対して、質量基準で例えば1〜30%である。アルコールとしては、メタノール又はエタノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコールが好ましい。回収の容易性の観点から、第1反応器310に一酸化炭素とともに導入される亜硝酸アルキルと同一のアルキル基を有するアルコールが好ましい。
吸収塔320で得られた、吸収液と炭酸エステルとを含有する凝縮液は、吸収塔320の底部に連結された配管314から抜き出される。凝縮液は、配管314を通って蒸留塔360に導入される。蒸留塔360では、沸点差によって、吸収液を含む溶液と炭酸エステルを含む第1溶液とに分離される。吸収液としてメタノール又はエタノールなどの低沸点のアルコールを用いた場合、蒸留塔360の塔頂部に連結された配管362からアルコールが、蒸留塔360の底部に連結された配管13からは第1溶液が排出される。
第1溶液は、処理槽10に供給してもよいし、第1蒸留塔20に供給してもよい。蒸留塔360の運転条件を調整することによって、第1溶液におけるアルコールの含有量を変更することができる。第1溶液における炭酸エステルの含有量は、例えば、98.0〜99.998質量%である。第1溶液におけるホルムアルデヒドの含有量は、例えば10〜1000質量ppmである。
吸収塔320で得られた、一酸化炭素を含有する非凝縮ガスは、吸収塔320の上部に連結された配管313を流通する。配管313には、分子状酸素を導入するための配管322が連結されている。配管322から供給される分子状酸素は、非凝縮ガスと混合されて混合ガスとなる。混合ガスは、配管313を流通して第2反応器330に導入される。
配管313を通過した混合ガスを第2反応器330の下方から導入すると、第2反応器330の上方に連結された配管316から導入されるアルコール(ROH)と向流接触して、以下の反応式(III)で表される反応が進行する。この反応によって、亜硝酸アルキル(RONO)が生成する。式(III)中、Rはアルキル基を示す。Rは、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。製造装置300全体で見たときに、第2反応器330は、亜硝酸アルキルを再生する機能を有する。
第2反応器330では、反応式(IV)で表される副反応が進行してもよい。設備全体の効率性を向上する観点から、反応式(IV)よりも反応式(III)を促進することが好ましい。混合ガスにおける一酸化窒素と分子状酸素との混合割合は、混合ガスに含まれる一酸化窒素1モルに対して0.08〜0.2モルの割合としてもよい。
2NO+1/2O+2ROH→ 2RONO+HO (III)
NO+3/4O+1/2HO→ HNO (IV)
配管316から導入されるアルコールは、製造装置300で製造する炭酸エステルのアルキル基を有するアルコールを用いる。そのようなアルコールとしては、メタノール又はエタノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコールが例示される。反応式(III)の反応を十分に進行させる観点から、第2反応器330へのアルコールの供給量は、混合ガスに含まれる一酸化窒素の供給量に対して、モル比で例えば0.5〜1.5である。
第2反応器330における反応温度は、配管316から導入されるアルコールの種類に応じて適宜設定することができる。例えば、アルコールとしてメタノールを用いる場合、例えば0〜80℃である。反応圧力は、例えば0.1〜1MPaであり、気液接触の時間は、例えば0.5〜30秒間である。
第2反応器330の上部から抜き出される第3ガスは、反応式(III)で生成した亜硝酸アルキルの他に、一酸化窒素、並びに一酸化二窒素及び二酸化炭素などの微量成分を含有する。これらの微量成分は、オフガスとして、配管311から分岐する配管317によって、適宜系外に排出することができる。第3ガスにおける一酸化窒素の含有量は、一酸化窒素と亜硝酸アルキルの合計に対して、例えば5〜50体積%である。
第2反応器330の底部に連結された配管315からは、反応式(III)及び反応式(IV)で示される反応で生成した水及び硝酸、並びに未反応のアルコールが排出される。これらの成分は、必要に応じて下流側に設けられる回収設備によって処理して再使用してもよい。このような回収設備としては、タンクに一旦貯留された水、硝酸及びアルコールを、濃縮塔に導入して水及びアルコールと硝酸とを分離し、硝酸とアルコールに一酸化窒素又は一酸化炭素を反応させて亜硝酸アルキルを生成させるものが挙げられる。このようにして得られる亜硝酸アルキルを、第2反応器330に導入してもよい。
第3ガスは、配管311を第1反応器310に向けて流通する。配管311は、一酸化炭素を供給する配管318との合流部を有しており、合流部において第3ガスと一酸化炭素が混合される。これによって、第1ガスが得られる。第1ガスは、第1反応器310に供給される。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明が上述の実施形態に限定されないことはいうまでもない。炭酸エステルの精製装置の幾つかの実施形態では、反応部100及び分離部120を備えることによって、極めて純度が高い炭酸エステルを得ることができる。しかしながら、炭酸エステルの精製装置は、第2蒸留塔40を備えることは必須ではなない。また、炭酸エステルの精製装置は、前処理部110を備えることも必須ではない。すなわち、反応部100を用いたアルカリ処理工程、及び第2蒸留塔40を用いる第2蒸留工程を行うことは必須ではなく、第1蒸留工程及び反応工程を経て得られる第2溶液を、高純度の炭酸エステルとして種々の用途に用いることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下に述べる各実施例における分析装置及び分析方法は、次のとおりである。
有機化合物[炭酸ジメチル、ホルムアルデヒド、メタノール、ジメチレングリコールジメチルエーテル(DMME)、メチルエチルカーボネート(MEC)、メチルビニルカーボネート(MVC)、ホルムアルデヒドジメチルアセタール及びホルムアルデヒドメチルアセタール(ヘミアセタール)]の含有量の分析には、株式会社島津製作所製のガスクロマトグラフ GC−2014(商品名)を用いた。キャピラリーカラムは、アジレント・テクノロジー株式会社製のHP−INNOWAX(商品名)を用いた。
水分の含有量の分析には、三菱化学株式会社製の微量水分測定装置 CA−05型(商品名)を用いた。塩素化合物の含有量の分析では、まず、株式会社東科精機製の酸水素炎式硫黄・ハロゲン定量装置を用いてサンプルの前処理を行った。その後、前処理を行ったサンプルを用いて、日本ダイオネクス株式会社製のイオンクロマトグラフ測定装置 ICS−1600(商品名)によって、Clの含有量を測定した。分離カラムには、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製のIon Pac AS12A(商品名)を用いた。この分析のClの測定限界(下限)は、0.01質量ppmであった。
硝酸化合物(亜硝酸化合物を含む)の分析は、サンプル中のNO 及びNO を蒸留水で抽出した後、クロルの分析で用いたイオンクロマトグラフ測定装置を用いて行った。この分析の硝酸化合物(亜硝酸化合物を含む)の測定限界(下限)は、0.01質量ppmであった。金属(Fe)の分析では、まず、サンプルを石英皿で灰化した後、蒸留水及び高純度硝酸(含量:69〜70質量%)で灰化物を溶解して測定サンプルを調製した。この測定サンプルを、アジレント・テクノロジー株式会社製のICP−MS分析装置 Agilent 7700(商品名)を用いて分析した。
(実施例1)
図3に示すプロセスで、ホルムアルデヒドを含む炭酸ジメチル溶液(第1溶液)を調製した。第1溶液の組成は、表1に示すとおりであった。この炭酸ジメチル溶液にメタノールを添加して、メタノールの含有量が2質量%である供給液を調製した。内径8mmのジャケット付きガラス管に、ホルムアルデヒドのアセタール化及びヘミアセタール化を促進する触媒としてアンバーリスト15JS―HG・DRY(商品名、オルガノ株式会社製、スチレン系陽イオン交換樹脂)を10cm充填した。ジャケットに、50℃の温水を循環して触媒を加温しながら、触媒が充填されたガラス管に供給液を100ml/時間の流量で通液した。
1時間通液した時点で、ガラス管からの流出液を分析した。その結果、ホルムアルデヒドの転化率は、98.2質量%であり、供給液よりもホルムアルデヒドの含有量が大幅に低減されていた。また、流出液にパラホルムアルデヒドは検出されなかった。さらに通液を継続して行い、3時間通液した後にガラス管からの流出液を分析したところ、1時間通液後の流出液の組成と同一であった。
Figure 2016104758
(実施例2)
<アルカリ処理工程>
温度計と攪拌機を取り付けたステンレス製のジャケット付き処理槽(300L)に、表1に示す炭酸ジメチル溶液(第1溶液)を250L入れた。炭酸ジメチル溶液を攪拌しながら、ジャケットに温水を流通させて、液温を40℃に調整した。この炭酸ジメチル溶液にナトリウムメチラートの含有量が15質量%であるメタノール溶液4.07g(1.5質量ppmのClと等モル)を加えた後、攪拌を1時間継続して行った。得られた処理液の一部をサンプリングして濾過し、濾液を分析した。濾液の組成は、表2に示すとおりであった。
表2に示すとおり、炭酸ジメチル溶液にアルカリ化合物を加えることによって、塩素化合物及び硝酸化合物を低減できることが確認された。また、塩素化合物及び硝酸化合物のみならず、メチルビニルカーボネート及びFe分も低減できることが確認された。
<第1蒸留工程>
図4に示すような精密蒸留装置を準備した。具体的には、温度計を付けたガラス製の蒸留塔1(内径:25mm、充填物:スルザーEX(登録商標)、理論段数:16)の還流配管6に、ホルムアルデヒドのアセタール化及びヘミアセタール化を促進する触媒としてアンバーリスト15JS−HG・DRY(商品名、オルガノ株式会社製、スチレン系陽イオン交換樹脂)を10cm充填した。この蒸留塔1の底部には300mlの丸底フラスコ2を取り付けた。表2の濾液200mlを丸底フラスコ2内に入れた。
丸底フラスコ2をオイルバス3に浸漬し、オイルバス3を加熱して炊き上げ、全還流させた。蒸留塔1の全体の温度がほぼ一定となるまで全還流を継続して行った。蒸留塔1の全体の温度がほぼ一定となったとき、還流液の温度は50〜55℃であった。表2に示す濾液を、配管5を用いて150ml/時間の流量で蒸留塔1の中段に連続的に供給した。供給開始とともに、丸底フラスコ2の液面を一定に保つように丸底フラスコ2から液体を連続的に排出した。還流量を130〜150ml/時間、蒸留塔1の塔頂温度を89℃以上に維持しながら、還流液の一部を少しずつ排出して留出液を得た。塔頂からの留出液の排出量は2〜3ml/時間であった。塔頂から排出した留出液とボトムから排出した液体の分析結果を表2に示す。
Figure 2016104758
塔頂からの留出液には、メタノールとホルムアルデヒドとの反応生成物であるホルムアルデヒドジメチルアセタール及びホルムアルデヒドメチルアセタール(ヘミアセタール)が含まれていた。一方、ボトムからの排出液における炭酸ジメチルの純度は99.995質量%であった。このことから、高純度の炭酸ジメチル溶液を製造できることが確認された。また、本実施例では、長時間運転を継続しても、コンデンサ7の内壁面に析出物は生じなかった。このことから、長時間、安定して炭酸ジメチルの精製が可能であることが確認された。
(比較例1)
還流配管6にアンバーリスト15JS−HG・DRY(商品名、オルガノ株式会社製、スチレン系陽イオン交換樹脂)を充填せずに、実施例2と同様の装置を用いて同様の操作を行い、サンプリングを行った。表3に示すとおり、塔頂からの留出液には、ホルムアルデヒドが2,700質量ppm以上含まれていた。また、長時間運転を継続したところ、コンデンサ7の表面に少量の白色結晶(パラホルムアルデヒド)が析出した。このため、炭酸ジメチルの精製を長期間継続して行うことができなかった。
Figure 2016104758
(実施例3)
<第2蒸留工程>
実施例2で得られたボトムからの排出液を、規則充填物を備えた蒸留塔(理論段数:16段)に供給して常圧下で炊き上げ、全還流させた。そして、塔頂温度を90℃以上に維持しながら、塔頂から留出液を徐々に排出した。供給した液量の3体積%程度を塔頂から排出した後、還流比を1.5に調整した。その後、蒸留塔の全高をHとしたときに、塔頂から、1/4H下がった位置(塔底から3/4Hの高さ)より、炭酸ジメチル溶液をサイドカットで留出させた。サイドカットで得られた炭酸ジメチル溶液の組成は、表4に示すとおりであった。
Figure 2016104758
表4に示すとおり、2つ目の蒸留工程を行うことによって、水分を低減できることが確認された。すなわち、2つ目の蒸留工程は、更なる不純物の低減に有効であることが確認された。
(実施例4)
実施例2と同様にして、アルカリ処理工程を行った。この実施例では、図4に示す蒸留塔1(理論段数:16段)のボトムに500mlの丸底フラスコ2を取り付けた。そして、実施例2と同様にして得た濾液300mlを、丸底フラスコ2内に入れた。そして、以下のとおり、第1蒸留工程を行った。
フラスコをオイルバス3に浸漬し、オイルバスを加熱して炊き上げ、全還流させた。その後、塔頂に接続された配管4から抜き出し(排出)を開始し、10ml排出した時点から、蒸留塔1に接続された配管5から濾液を150ml/時間の流量で連続的に供給した。塔頂温度が89℃以上になるように炊き上げながら、塔頂に接続された配管4から留出液を10ml/時間の流量で抜き出して、それ以外は還流配管6を用いて還流させた。蒸留塔の塔底部から、ポンプを使用して約140ml/時間の流量で液体を排出した。8時間経過後、塔底部からの排出液をサンプリングして分析を行った。その結果、塔底部の排出液の組成は、表2の「ボトムからの排出液」と同一であった。
(実施例5)
図4に示すような精密蒸留装置を準備した。精密蒸留装置の構成及び触媒は、実施例2と同様とした。アルカリ処理工程を行わずに、実施例2と同様にして第1蒸留工程を行った。本実施例では、表2に示す濾液に変えて、エタノールと実施例1で用いた第1溶液との混合液を用いた。この混合液の組成は、表5に示すとおりであった。蒸留塔1の塔頂から排出した留出液とボトムから排出した排出液の分析結果を表5に示す。
Figure 2016104758
塔頂からの留出液には、メタノールとホルムアルデヒドとの反応生成物であるホルムアルデヒドジメチルアセタール及びホルムアルデヒドメチルアセタール(ヘミアセタール)が含まれていた。一方、ボトムからの排出液における炭酸ジメチルの純度は99.996質量%であった。このことから、高純度の炭酸ジメチル溶液を製造できることが確認された。また、本実施例では、長時間運転を継続しても、コンデンサ7の内壁面に析出物は生じなかった。このことから、長時間、安定して炭酸ジメチルの精製が可能であることが確認された。なお、本実施例では、アルカリ処理工程を行わなかったため、ボトムからの排出液に塩素化合物、硝酸化合物及びFe分が残存していた。ただし、これらの濃度はかなり低いことから、通常の用途であれば、全く問題なく使用することができる。
(実施例6)
実施例2で得られたボトムからの排出液に変えて、実施例5で得られたボトムからの排出液を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、第2蒸留工程を行った。この炭酸ジメチル溶液の組成は、表6に示すとおりであった。
Figure 2016104758
表6に示すとおり、2つ目の蒸留工程を行うことによって、水分を低減できることが確認された。すなわち、2つ目の蒸留工程は、更なる不純物の低減に有効であることが確認された。なお、実施例6のサイドカットには、アルカリ処理工程を行わなかった実施例5で得られた排出液を用いていることから、微量の塩素化合物、硝酸化合物及びFeが含まれていた。ただし、これらの濃度はかなり低いことから、通常の用途であれば、全く問題なく使用することができる。
(比較例2)
還流配管6にアンバーリスト15JS−HG・DRY(商品名、オルガノ株式会社製、スチレン系陽イオン交換樹脂)を充填せずに、実施例5と同様の装置を用いて同様の操作を行い、サンプリングを行った。表7に示すとおり、塔頂からの留出液には、ホルムアルデヒドが2,700質量ppm以上含まれていた。また、長時間運転を継続したところ、コンデンサ7の内壁面に少量の白色結晶(パラホルムアルデヒド)が析出した。このため、炭酸ジメチルの精製を長期間継続して行うことができなかった。
Figure 2016104758
本開示によれば、長期間に亘って炭酸エステルの精製を継続して行うことが可能な炭酸エステルの精製方法、及び炭酸エステルの精製装置を提供することができる。また、不純物が低減された炭酸エステル溶液を長期間に亘って安定的に製造することが可能な炭酸エステル溶液の製造方法を提供することができる。
1,360…蒸留塔、2…丸底フラスコ、3…オイルバス、4,5…配管、6…還流配管、7…コンデンサ、10…処理槽、11,13,14,15,18,21,25,26,26A,29,30,36,46,49,50,60,66…配管、12…ジャケット、16…攪拌器、17…濾過器、20…第1蒸留塔(蒸留塔)、20A…還流部、22,42…コンデンサ、24,44…タンク、27,34,47,64…ポンプ、28…反応器、32,62…熱交換器、40…第2蒸留塔(蒸留塔)、48…熱交換器、100…反応部、110…前処理部、120…分離部、130,200…精製装置、300…製造装置、310…第1反応器、320…吸収塔、330…第2反応器。

Claims (9)

  1. 炭酸エステル及びホルムアルデヒドを含む第1溶液、並びにアルコール、又は、炭酸エステル、ホルムアルデヒド及びアルコールを含む第1溶液を蒸留塔に供給して、塔頂部から前記ホルムアルデヒド及び前記アルコールを含む留出物を得るとともに、塔底部から前記第1溶液よりも前記ホルムアルデヒドの含有量が低減された炭酸エステル溶液を得る第1蒸留工程と、
    前記留出物と触媒とを接触させて得られるアセタール及び/又はヘミアセタールを含む反応生成物の一部を前記蒸留塔に還流しながら、前記反応生成物の他部を前記蒸留塔から排出する反応工程と、を有する、炭酸エステルの精製方法。
  2. 前記第1蒸留工程の前に、前記第1溶液とアルカリとを混合して、前記第1溶液に含まれる酸性物質を低減するアルカリ処理工程を有する、請求項1に記載の炭酸エステルの精製方法。
  3. 前記炭酸エステル溶液を分留して、前記炭酸エステル溶液から前記炭酸エステルとは沸点が異なる不純物を除去する第2蒸留工程を有する、請求項1又は2に記載の炭酸エステルの精製方法。
  4. 炭酸エステル及びホルムアルデヒドを含む第1溶液、並びにアルコール、又は、炭酸エステル、ホルムアルデヒド及びアルコールを含む第1溶液を、蒸留塔に供給して、塔頂部から前記ホルムアルデヒド及び前記アルコールを含む留出物を得るとともに、塔底部から前記第1溶液よりも前記ホルムアルデヒドの含有量が低減された炭酸エステル溶液を得る第1蒸留工程と、
    前記留出物と触媒とを接触させて得られるアセタール及び/又はヘミアセタールを含む反応生成物の一部を前記蒸留塔に還流しながら、前記反応生成物の他部を前記蒸留塔から排出する反応工程と、を有する、炭酸エステル溶液の製造方法。
  5. 前記第1蒸留工程の前に、前記第1溶液とアルカリとを混合して、前記第1溶液に含まれる酸性物質を低減するアルカリ処理工程を有する、請求項4に記載の炭酸エステル溶液の製造方法。
  6. 前記炭酸エステル溶液を分留して、前記炭酸エステル溶液から前記炭酸エステルとは沸点が異なる不純物を除去する第2蒸留工程を有する、請求項4又は5に記載の炭酸エステル溶液の製造方法。
  7. 炭酸エステル及びホルムアルデヒドを含む第1溶液、並びにアルコール、又は、炭酸エステル、ホルムアルデヒド及びアルコールを含む第1溶液を供給して、塔頂部から前記ホルムアルデヒド及び前記アルコールを含む留出物を得るとともに、塔底部から前記第1溶液よりも前記ホルムアルデヒドの含有量が低減された炭酸エステル溶液を得る第1蒸留塔と、
    前記ホルムアルデヒドと前記アルコールとを反応させてアセタール及び/又はヘミアセタールを生成する触媒を有する反応器を備え、前記アセタール及び/又はヘミアセタールを含む反応生成物の一部を前記蒸留塔に還流するとともに、前記反応生成物の他部を前記蒸留塔から排出するように構成される還流部と、を具備する、炭酸エステルの精製装置。
  8. 前記第1溶液とアルカリとを混合して、前記第1溶液をアルカリ処理する処理槽と、アルカリ処理によって生成した固体生成物を除去する分離器と、を備える、請求項7に記載の炭酸エステルの精製装置。
  9. 前記炭酸エステル溶液を分留して、前記炭酸エステル溶液から前記炭酸エステルとは沸点が異なる不純物を除去する第2蒸留塔を備える、請求項7又は8に記載の炭酸エステルの精製装置。
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