JP2882561B2 - 炭酸ジエステルの製造法 - Google Patents

炭酸ジエステルの製造法

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JP2882561B2
JP2882561B2 JP5016092A JP1609293A JP2882561B2 JP 2882561 B2 JP2882561 B2 JP 2882561B2 JP 5016092 A JP5016092 A JP 5016092A JP 1609293 A JP1609293 A JP 1609293A JP 2882561 B2 JP2882561 B2 JP 2882561B2
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    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、亜硝酸メチル等の亜硝
酸アルキルと一酸化炭素とを特定のモル比で使用して、
白金族金属イオンがイオン交換型のゼオライト担体にイ
オン交換担持されている酸性度の低い固体触媒の存在下
に、亜硝酸アルキルと一酸化炭素とを気相接触反応させ
ることによって、炭酸ジメチルなどの炭酸ジアルキルエ
ステル(以下、炭酸ジエステルとも言う)を製造する方
法に係わる。炭酸ジメチル等の炭酸ジエステルは、芳香
族ポリカーボネートや種々の化学品の合成原料として、
また、溶剤として非常に有用である。
【0002】
【従来技術の説明】例えば、特開昭60−181051
号公報には、亜硝酸メチルと一酸化炭素とを、白金族金
属又はその化合物が活生炭のような担体に担持した固体
触媒、及び、一酸化炭素あたり酸素として10モル%以
上の酸化剤の存在下、気相で反応させて炭酸ジメチルを
製造する方法が提案されている。
【0003】しかしながら、この方法では、シュウ酸ジ
メチルの副生を抑えるために、一酸化炭素に対して上記
のような割合で酸素等の酸化剤を共存させているにもか
かわらずかなりの量のシュウ酸ジメチルがかなり高い選
択率で副生し、炭酸ジメチルの選択率が低くなり、ま
た、反応速度も遅く、空時収量(後述のSTY)が低い
という問題があった。また、亜硝酸メチル、一酸化炭素
と、酸素等とからなる混合ガスを反応させる際には、爆
発の危険があり、反応時の安全上の点からも問題があっ
た。
【0004】最近、特開平3−141243号公報(特
願平1−274816号)において、一酸化炭素と亜硝
酸メチルとを気相接触反応させて炭酸ジメチルを製造す
る方法において、白金族金属の塩化物等のハロゲン化物
と鉄、銅、コバルト、ニッケルおよび錫からなる群から
選ばれた第二成分金属の塩化物等のハロゲン化物とを活
性炭等に担持した固体触媒を用いる方法が開示されてい
る。さらに、特開平4−89458号公報(特願平2−
201146号)においては、前述の炭酸ジメチルの製
造において、反応系に微量の塩化水素を共存させる改良
法が開示されている。
【0005】しかしながら、上記の製造方法では、触媒
から微量の塩素分が飛散して触媒の活性が徐々に低下
し、これを防止するために反応系に微量の塩化水素を添
加する必要があり、このために、目的の生成物である炭
酸ジメチルに塩素分が混入したり、塩素分により反応装
置が腐食する可能性があるという問題があった。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、亜
硝酸エステルと一酸化炭素とから固体触媒の存在下に気
相で炭酸ジエステルを製造する際に、前述の先行技術に
おけるような塩素分に起因する問題を生じることがな
く、また、触媒活性を高いレベルに長時間維持すること
ができ、温和な反応条件下で炭酸ジメチルを高選択率
(及び/又は高収率)で製造することができる炭酸ジエ
ステルの製造法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、イオン交
換型のゼオライト担体上にパラジウムイオンなどの白金
族金属イオンをイオン交換して担持させて得られた酸性
度の低い固体触媒をを使用して、亜硝酸エステルと一酸
化炭素とを特定の高いモル比で反応させて炭酸ジエステ
ルを生成させることによって、前述の先行技術における
ような塩素分に起因する問題点などを解決できることを
見出し、本発明を完成した。
【0008】即ち、本発明は、亜硝酸アルキルと一酸化
炭素とのモル比(RONO/CO)が2以上の割合(好
ましくは2〜30の割合)である原料ガスを使用して、
白金族金属イオンがイオン交換型のゼオライト担体上に
イオン交換担持されている酸性度の低い固体触媒の存在
下に、亜硝酸アルキルと一酸化炭素とを気相接触反応さ
せて炭酸ジエステルを生成させることを特徴とする炭酸
ジエステルの製造法に関する。特に、本発明において、
亜硝酸メチルと一酸化炭素とのモル比(CH3 ONO/
CO)が2〜30(特に2〜20程度)である割合で調
整されている原料ガスを使用して、イオン交換型のゼオ
ライト担体にパラジウムイオンがイオン交換担持されて
いる酸性度の低い固体触媒の存在下に、亜硝酸メチルと
一酸化炭素とを気相接触反応させて、炭酸ジメチルを製
造する方法が好適である。
【0009】本発明の製造法において、気相接触反応に
使用する原料ガスは、亜硝酸アルキルと一酸化炭素との
モル比(RONO/CO)が2以上の割合、好ましくは
2〜30、特に好ましくは2〜20、さらに好ましくは
3〜10程度である。本発明では、白金族金属イオンが
イオン交換型のゼオライト担体にイオン交換担持されて
いる固体触媒の存在下に、モル比(RONO/CO)が
2以上である亜硝酸エステルと一酸化炭素とを気相接触
反応させることが最も特徴的なことであり、亜硝酸アル
キルと一酸化炭素とのモル比(RONO/CO)が2よ
り小さくなると、前述の気相接触反応における炭酸ジエ
ステルの選択率が十分でなくなるので適当ではない。
【0010】本発明では、亜硝酸アルキルと一酸化炭素
とは、窒素ガス等の不活性ガスで希釈してそれぞれ単独
でまたは混合ガスとして反応系に供給することが好まし
く、そして、亜硝酸アルキルは、原料ガスとしてフィー
ドされる全てのフィードガス(総量)に対する亜硝酸ア
ルキルの濃度が30容量%以下にすることが、安全上の
観点から好ましく、また、一酸化炭素は、全てのフィー
ドガス(総量)に対する一酸化炭素の濃度が1容量%以
上であることが、工業的規模での生産性の面から好まし
い。
【0011】前記の亜硝酸アルキルは、一酸化窒素、空
気および低級アルコールを反応させて、亜硝酸アルキル
を含有するガスとして得ることができ、その反応ガスを
本発明にそのまま使用することができる。そして、亜硝
酸アルキルとしては、例えば、亜硝酸メチル、亜硝酸エ
チル、亜硝酸プロピル、亜硝酸イソプロピルなどの炭素
数1〜5の亜硝酸アルキルを挙げることができ、特に亜
硝酸メチル、亜硝酸エチルを好適に挙げることができ
る。
【0012】本発明では、前記の固体触媒を使用する気
相接触反応において、反応系へ供給された原料ガスの合
計量(総量)に対して、0.01〜5モル%、特に0.
1〜3モル%の割合の水分の存在下に、亜硝酸アルキル
と一酸化炭素とを気相接触反応させることが、固体触媒
の活性を長期間、高いレベルに持続させられるので、特
に好ましい。
【0013】また、本発明では、前記の気相接触反応に
おいて、反応系へ供給された原料ガスの合計量(総量)
に対して、0.01〜5モル%の割合の水分と、0.0
3〜30モル%、特に0.05〜20モル%、さらに、
0.1〜15モル%の割合の低級脂肪族アルコールとの
存在下に、亜硝酸アルキルと一酸化炭素とを気相接触反
応させることが、好ましい。前記の低級脂肪族アルコー
ルとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、
イソプロパノール等を挙げることができる。
【0014】又、本発明では、固体触媒が充填された反
応器に供給される一酸化炭素及び亜硝酸エステルを含有
する全原料ガス(総量)の空間速度は、500〜200
00h-1の範囲、特に2000〜10000h-1の範囲
で行うことが好ましい。本発明の製造法において、一酸
化炭素と亜硝酸エステルとの気相接触反応は、非常に温
和な反応条件下で行うことができ、例えば、反応温度が
0〜200℃、特に50〜150℃の温度であって、反
応圧力が常圧または加圧下(特に、1〜20kg/cm
2 G程度の圧力)で行うことが好ましい。本発明におい
て、気相接触反応の形式としては、気相で、回分式、連
続式でも行うことができるが、連続式の方が工業的には
有利であり、固体触媒の反応系での存在形態としては、
固定床、移動床又は流動床の何ずれの反応器を用いても
実施することができる。
【0015】本発明では、前述の気相接触反応により炭
酸ジエステルが生成している反応系から、目的生成物の
炭酸ジメチルなどの炭酸ジエステルの他に、シュウ酸ジ
エステル等の副生物、未反応の一酸化炭素、亜硝酸メチ
ル等の亜硝酸アルキル、一酸化窒素、二酸化炭素、不活
性ガスなどを含む反応ガスが導出されるが、例えば、前
述のように炭酸ジメチルが生成した反応ガスを冷却する
ことにより目的生成物の炭酸ジメチルの他に、シュウ酸
ジメチル等の副生物を凝縮させ反応液として分離し、一
方、一酸化炭素、亜硝酸メチル、一酸化窒素、二酸化炭
素、不活性ガス等の未凝縮ガスは、そのガスの一部をパ
ージしながら、再度反応器に循環させることが好まし
い。
【0016】本発明では、一方、前述のようにして得ら
れた反応液(凝縮液)は、例えば、蒸留等の常法により
炭酸ジメチルなどの炭酸ジエステル(目的物生成物)を
分離精製することができる。また、前記の再度反応器に
循環させる未凝縮ガスは、原料ガスを添加導入し、所定
量に調製し触媒反応系に循環すればよいが、必要であれ
ば、循環ガスには水及び/又は低級脂肪族アルコ−ルを
含有させてもよい。
【0017】本発明の製造法において使用する固体触媒
は、パラジウム、白金、インジウム、ルテニウム、ロジ
ウムなどの白金族金属イオンがイオン交換型のゼオライ
ト担体上にイオン交換担持されている酸性度の低い固体
触媒が好ましく、特に、少なくともパラジウムイオンが
イオン交換型のゼオライト担体上にイオン交換担持され
ている酸性度の低い固体触媒が好ましい。前記の固体触
媒において、イオン交換型のゼオライト担体上にイオン
交換担持される白金族金属イオン(特にパラジウムイオ
ン)の担持量は、ゼオライト担体に対して白金族金属イ
オン(白金族金属として)0.1〜10重量%の割合と
なる量であることが好ましく、又、特に好ましい担持量
は白金族金属イオン0.1〜8重量%、さらに0.5〜
5重量%の割合となる量である。
【0018】前記の固体触媒は、白金族金属イオンに加
えて、銅、鉄、錫、ニッケル、コバルト、銀、セリウ
ム、マンガン等の周期律表第1〜7のb族金属および第
8族金属(白金族金属、アルカリ金属、アルカリ土類金
属を除く)の金属イオンが、担体上の酸点を増加させな
いようにイオン交換型のゼオライト担体上にイオン交換
担持されている固体触媒であってもよいが、この発明で
は、周期率表の第1〜7のb族金属イオン及び第8族金
属イオンが担体上の酸点を増加させることがあるので、
白金族金属イオンのみがイオン交換型のゼオライト担体
上にイオン交換担持されている酸性度の低い固体触媒
が、炭酸ジエステルの高い空時収量及び選択率とする上
で好適である。
【0019】前記の固体触媒の調製に用いられるゼオラ
イト担体は、ゼオライト(またはモレキュラーシーブ)
のイオン交換点がアルカリ金属イオン又はアルカリ土類
金属イオンで中和されているイオン交換型のゼオライト
担体(粒径が20〜100μmである粉末状、又は、粒
径が約4〜200メッシュ程度である粒状のゼオライト
担体)、もしくは、前記のゼオライト担体がさらに水素
イオン、アンモニウムイオンでイオン交換されているイ
オン交換型のゼオライト担体(特に粒径が5〜100メ
ッシュ程度である粒状のゼオライト担体)を使用するこ
とが好ましい。
【0020】なお、前記の固体触媒において、イオン交
換型のゼオライト担体(粉末状)上に白金族金属イオン
をイオン交換担持させた粉末状の固体触媒は、そのまま
使用することもできるが、或いは、粉末状の固体触媒に
適当な結合剤(バインダー)を混合して、平均粒径が約
5〜100メッシュ程度である粒状に成型して使用する
ことが好ましい。
【0021】前述の固体触媒の調製に使用するオン交換
型のゼオライト担体となる『イオン交換点を有するゼオ
ライト』は、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデ
ナイト、シリカライト等の合成ゼオライト、また、天然
ゼオライトのいずれであってもよく、該ゼオライトは、
SiとAlとの原子比が0.5〜10程度、特に好まし
くは1〜6、さらに好ましくは2〜5程度であることが
好適である。
【0022】本発明の製造法では、例えば、SiとAl
との原子比が1〜10程度(特に1〜6、さらに好まし
くは2〜5程度)の範囲内である『X型ゼオライト、Y
型ゼオライトなどのフォージャサイト型ゼオライトから
なるイオン交換型のゼオライト担体』上に、パラジウム
イオンのみがイオン交換担持されている酸性度の低い固
体触媒を用いることが特に好ましい。
【0023】前記の固体触媒を調製する方法は、白金族
金属化合物をイオン交換型のゼオライト担体の水スラリ
ー液に添加して、該ゼオライト担体に金属イオンをイオ
ン交換担持する公知の担持方法を採用することができる
が、例えば、X型ゼオライト又はY型ゼオライトからな
るイオン交換型のゼオライト担体を水中に分散させた水
スラリー液に、テトラアンミンパラジウムジクロリドな
どの白金族金属ハロゲン化物の錯体を添加して、5〜1
00℃、特に30〜80℃の温度で、イオン交換させ、
次いで、乾燥工程で乾燥して、さらに、必要であれば押
し出し成型器、打錠器、造粒器などで成型する方法など
によって、工業用に利用できる固体触媒を調製する方法
が好ましい。
【0024】前記の乾燥工程は、特に特別な操作を必要
としないが、室温(約20℃)から100〜120℃程
度までの昇温を1〜2時間程度かけてゆっくりと昇温し
てその温度で、1〜24時間、特に2〜10時間、乾燥
することが、触媒の均一性に影響する急激な昇温をしな
いことになるので、好ましい。また、前記の固体触媒の
成型において、成型前に、前記の乾燥物に適当なバイン
ダーを混合することは、成型性を良くするために好まし
いことがある。さらに、固体触媒の調製において、白金
族金属イオンをゼオライト担体にイオン交換担持させ、
乾燥し、成型された固体触媒を、空気又は不活性ガスの
流通下に、ゼオライト担体の結晶構造、その組成に影響
を及ぼさない温度(例えば、約150〜500℃の範
囲、特に好ましくは200〜350℃の範囲の温度)
で、1〜10時間焼成してもよい。
【0025】前記の白金族金属化合物としては、白金族
金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩などの無機酸の白
金族金属塩、又は、酢酸塩、シュウ酸塩などの有機酸の
白金族金属塩、さらに、水などへの溶解性を増すために
白金族金属化合物のアンミン錯体やエチレンジアミン錯
体などの各種の錯体を好適に使用できる。例えば、前記
の白金族金属化合物の具体例としては、パラジウム塩化
物(特にパラジウムジクロリド)、酢酸パラジウム、硝
酸パラジウム等のパラジウム化合物、それらのパラジウ
ム化合物(特にパラジウム塩化物)のテトラアンミン錯
体、白金塩化物、テトラアンミン白金塩化物(錯体)、
塩化イリジウム、塩化ルテニウム、塩化ロジウム等を好
適に挙げることができる。
【0026】さらに、本発明において使用する固体触媒
は、イオン交換型のゼオライト担体のイオン交換点が白
金族金属イオンでイオン交換担持されていると共に、白
金族金属イオンが担持されている個所以外の該ゼオライ
ト担体におけるイオン交換点(酸点)の一部(少なくと
も10%〜90%、特に20〜80%)が、ナトリウ
ム、カリウムなどのアルカリ金属イオンで、又は、マグ
ネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属イオンで
中和(またはイオン交換担持)されている酸性度の低い
固体触媒であることが特に好ましい。
【0027】前述のような『白金族金属イオンとアルカ
リ金属イオン及び/又はアルカリ土類金属イオンとが前
記ゼオライト担体上にイオン交換担持されている酸性度
の低い固体触媒』は、ゼオライト担体上のイオン交換点
(白金族金属イオンなどがゼオライト担体上にイオン交
換担持されている以外の前記担体上のイオン交換点であ
って、酸点となっている個所など)が、アルカリ金属イ
オンまたはアルカリ土類金属イオンで中和・イオン交換
担持されているので、ゼオライト担体上の酸点がかなり
減少しており、得られた該固体触媒の酸強度及び酸量が
低下している。その結果、前記の酸性度が低い固体触媒
は、亜硝酸エステルと一酸化炭素との接触反応に使用し
た場合に、副反応を引き起こす割合を低く抑えることが
できるという利点がある。
【0028】前記の固体触媒のような固体酸の酸性度は
酸強度と酸量とによって示される。そして、一般的に、
酸強度滴定法や昇温脱離法で数値化されて、酸強度
相対値として表示される。本発明では、触媒学会で規定
されたアンモニア昇温脱離法の脱離温度で表示される
「360℃未満の脱離ピーク温度(主な脱離温度、酸強
度の指標である)を有する、即ち、アンモニア昇温脱
離法による脱離ピーク温度が360℃未満であるような
弱い酸強度を示す固体触媒を使用することが好ましい。
【0029】特に、本発明に使用される固体触媒は、前
記のアンモニア昇温脱離法による脱離ピーク温度(主な
脱離温度、酸強度の指標である)が350℃以下(特
に、約330℃以下)であり、約360℃以上(特に3
50℃以上)での脱離ピーク温度を実質的に示さないよ
うな低い酸性度のものであることが好ましく、余りに強
い酸強度を示す酸点を有する酸性度の高い固体触媒
前述の気相接触反応において好ましくない副反応を引き
起こすことがあるので、好ましくない。
【0030】また、本発明で使用する固体触媒は、例え
ば、アンモニア昇温脱離法によって測定された固体触媒
の酸点の量に係わる『酸量(各脱離ピークの合計面
積)』が、前述のアンモニア昇温脱離法によって測定さ
れたHY型ゼオライトの酸点の量に係わる『酸量』を1
00とした場合に、20以下、特に1〜10、さらに好
ましくは1〜6の値となるものであることが好ましい。
【0031】前記の『白金族金属イオンとアルカリ金属
イオン及び/又はアルカリ土類金属イオンとが前記ゼオ
ライト担体上にイオン交換担持されている固体触媒』の
調製は、例えば、前述のイオン交換型のゼオライト担体
の水スラリー液に、アルカリ金属化合物又はアルカリ土
類金属化合物を添加して、アルカリ金属イオン及び/又
はアルカリ土類金属イオンで前記ゼオライト担体上の酸
点を中和した後、さらに、該触媒の調製液に白金族金属
化合物を添加して、白金族金属イオンをゼオライト担体
上にイオン交換担持して、最後に乾燥を行って、必要で
あればさらに成型し、焼成して、固体触媒を調製する方
法が好ましい。
【0032】上記の固体触媒の調製における『中和操
作』の際に、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類化
合物をそのまま触媒の調製液(水スラリー液)に添加し
てもよく、あるいは、アルカリ金属化合物の水溶液また
はアルカリ土類化合物の水溶液の状態で前記触媒の調製
液に添加してもよい。
【0033】前記のアルカリ金属化合物としては、酢酸
ナトリウム、酢酸カリウム、シュウ酸ナトリウムなどの
有機酸塩、NaNO3 、Na2 SO4 、NaCl、KC
l等の無機酸塩を挙げることができる。前記のアルカリ
土類金属化合物としては、塩化セリウム、塩化カルシウ
ム、塩化マグネシウム、塩化バリウム、硝酸カルシウ
ム、硝酸バリウム、硝酸マグネシウム、リン酸マグネシ
ウム等の無機酸塩、酢酸カルシウム、酢酸バリウム等の
有機酸塩を挙げることができる。
【0034】
【実施例】次に、実施例および比較例を挙げて、本発明
の方法を具体的に説明するが、これらは、本発明の方法
を何ら限定するものではない。なお、各実施例および比
較例における空時収量(STY)(g/l・h)は、一
酸化炭素と亜硝酸メチルの接触反応時間をθ(hr),
その間に生成した炭酸ジメチルの量をa(g)、そして
反応管への触媒の充填量をb(l)として、次式により
求めた。
【0035】
【数1】 STY(空時収量)=a/(b×θ)
【0036】また、各実施例および比較例における選択
率X、Yはそれぞれ一酸化炭素基準の炭酸ジメチルへの
選択率、亜硝酸メチル基準の炭酸ジメチルへの選択率を
示し上記のθ(hr)に生成した炭酸ジメチル、シュウ
酸ジメチル、二酸化炭素、ギ酸メチルおよびメチラール
の量をそれぞれ、c(mol),d(mol),e(m
ol),f(mol)およびg(mol)として、次式
により求めた。
【0037】
【数2】 X(選択率)={c/(c+2×d+e)}×100
【0038】
【数3】 Y(選択率)={c/(c+d+f+g)}×100
【0039】実施例1 1)固体触媒の製造: NaY型ゼオライト担体〔原子
比(Si/Al)が、2.5である〕10gを蒸留水2
00ミリリットル(ml)に添加してゼオライト担体の
水スラリー液を調製し、次いでその水スラリー液を70
℃に加熱して攪拌しながら、テトラアンミンパラジウム
ジクロリド0.24g(Pd:lミリモル)が溶解して
いる水溶液50mlを前記水スラリー液に30分かけて
滴下し、70℃に3時間保持し攪拌して、パラジウムイ
オンを前記ゼオライト担体上にイオン交換担持させた
後、その結果得られた水スラリー液を室温にまで冷却
し、ろ過し、水洗して、ケーキ状の触媒を得た。
【0040】この湿潤しているケーキ状触媒を乾燥器に
入れて100℃で5時間乾燥した後、空気流通下、20
0℃で2時間熱処理(乾燥・焼成)して、Y型ゼオライ
ト担体にパラジウムイオンがイオン交換担持されている
固体触媒を製造した。この固体触媒を錠剤成型器で成型
し、粉砕した後、篩で10メッシュの大きさのものに揃
えて、固体触媒の粒状体を形成した。
【0041】前述のようにして調製した固体触媒は、パ
ラジウムイオンの担持量が、王水で溶解して原子吸光測
定装置で分析したところ、0.95重量%であり、さら
に、ナトリウムイオンの担持量が、8.86重量%であ
った。また、前記の固体触媒について、アンモニア昇温
脱離法で酸強度を測定したところ、約195℃および3
05℃に脱離ピークが観測され、それ以上の温度には脱
離ピークが実質的に存在しなかった。また、この固体触
媒の酸量(アンモニア昇温脱離法による)は、HY型ゼ
オライトの酸量の10%以下であった。
【0042】2)炭酸ジメチルの製造:前記固体触媒5
mlを内径200mmの反応管(外部ジャケット付き)
に充填し、その反応管を垂直に固定し、反応管ジャケッ
トに熱媒を循環させ、固体触媒層内の温度が120℃に
なるように加熱制御した。その反応管の上部から、亜硝
酸メチル15容量%、一酸化炭素5容量%、一酸化窒素
3容量%、メタノール2容量%及び窒素75容量%の組
成比からなる原料ガス(全原料ガスに対する水分の含有
率が0.3モル%である。)を、4000h-1の空間速
度(GHSV)で供給し、反応温度120℃に維持し、
常圧下で、50時間、亜硝酸メチルと一酸化炭素とを気
相接触反応させた。
【0043】上記の気相接触反応において、反応開始か
ら8時間経過時までに反応管から排出した反応ガスを氷
冷したメタノール中を通して捕集し、得られた捕集液を
ガスクロマトグラフィーによって分析した結果、炭酸ジ
メチルが初期空時収量(初期STY)390g/l・h
で生成し、一酸化炭素基準で炭酸ジメチルの初期選択率
85%、亜硝酸メチル基準で炭酸ジメチルの初期選択率
81%であることが確認された。
【0044】また、副生成物として、シュウ酸ジメチ
ル、二酸化炭素、ギ酸メチルおよびメチラールが確認さ
れた。さらに、前述の気相接触反応を50時間継続させ
た際の反応ガス中に生成していた炭酸ジメチルにおける
空時収量(STY)及び各選択率は、炭酸ジメチルの初
期空時収量(初期STY)及び各初期選択率と比較し
て、それぞれ実質的に変化していなかった。(低下率:
5%以内)
【0045】実施例2〜4および比較例1〜2 実施例1で調製された固体触媒を使用し、原料ガス中の
亜硝酸メチルと一酸化炭素と窒素ガスとの組成を第1表
に示すように変えたほかは実施例1と同様にして気相接
触反応をそれぞれ行った。それらの気相接触反応におけ
る『炭酸ジメチルの各初期空時収量(初期STY)及び
各初期選択率』の結果を第1表にそれぞれ示す。
【0046】さらに、それらの実施例において前述の気
相接触反応を50時間継続させた際の炭酸ジメチルにお
ける空時収量及び各選択率は、初期空時収率及び各選択
率と比較して、それぞれ実質的に変化していなかった。
一方、比較例1における気相接触反応では、炭酸ジメチ
ルの初期空時収量(初期STY)が130g/l・hで
あるのに対して、反応開始から50時間後の炭酸ジメチ
ルの空時収量が60g/l・hまで低下していた。(低
下率:54%)
【0047】実施例5 1)固体触媒の製造:テトラアンミンパラジウムジクロ
リドの使用量を0.50gに代えたほかは実施例1と同
様にしてパラジウムイオンを前記ゼオライト担体にイオ
ン交換担持した固体触媒を調製した。前述のようにして
調製した固体触媒は、パラジウムイオンの担持量が2.
07重量%であり、さらにナトリウムイオンの担持量
が、8.43重量%であった。また、前記の固体触媒
は、アンモニア昇温脱離法で測定した酸強度が脱離ピー
ク温度で示して約195℃および305℃であり、それ
以上の温度の脱離ピークが実質的に存在しなかった。ま
た、この固体触媒の酸量は、HY型ゼオライトの酸量の
10%以下であった。
【0048】2)炭酸ジメチルの製造:前記固体触媒5
mlを使用したほかは、実施例1と同様にして気相接触
反応させた。その気相接触反応における『炭酸ジメチル
の各初期空時収量(初期STY)及び各初期選択率』の
結果を第1表に示す。さらに、その実施例において前述
の気相接触反応を50時間継続させた際の炭酸ジメチル
における空時収量及び各選択率は、初期空時収率及び各
選択率と比較して、実質的に変化していなかった。
【0049】実施例6〜7及び比較例3〜4 1)固体触媒の製造: NaY型ゼオライトの代わり
に、NaX型ゼオライト(Si/Al=1.23:実施
例6)を用いるか、または、Na型モルデナイト(Si
/Al=9.50:実施例7)を用いたほかは、実施例
1と同様にして、パラジウムイオンがゼオライト担体上
にイオン交換担持された固体触媒をそれぞれ調製した。
【0050】前述のようにして調製された各固体触媒
は、パラジウムイオンの各担持量が、0.98重量%
(実施例6及び比較例3)、又、0.92重量%(実施
例7及び比較例4)であり、そして、アンモニア昇温脱
離法で酸強度をそれぞれ測定したところ、約280℃
(実施例6及び比較例3)、又、約340℃(実施例7
及び比較例4)に脱離ピークが観測され、それ以上の温
度にはいずれも脱離ピークが実質的に存在せず、また、
この固体触媒の酸量(アンモニア昇温脱離法による)
は、実施例6及び比較例3ではHY型ゼオライトの酸量
の10%以下であったが、実施例7及び比較例4ではH
Y型ゼオライトの酸量の15%程度であった。
【0051】2)炭酸ジメチルの製造:前記の各固体触
媒を使用したほかは、実施例6及び7では実施例1と同
様にして、又、比較例3及び4では比較例2と同様にし
て気相接触反応をそれぞれ行った。それらの気相接触反
応における結果を第1表にそれぞれ示す。さらに、これ
らの実施例において前述の気相接触反応をそれぞれ50
時間継続させた際に反応ガス中に生成していた炭酸ジメ
チルの空時収量及び各選択率は、炭酸ジメチルの初期空
時収量及び各初期選択率と比較して、それぞれ実質的に
変化していなかった。
【0052】
【表1】
【0053】実施例8 1)固体触媒の製造: 湿潤しているケーキ状触媒を1
00℃で5時間乾燥し、さらに、空気流通下、300℃
で3時間熱処理(乾燥・焼成)したほかは、実施例1と
同様にして、Y型ゼオライト担体にパラジウムイオンが
イオン交換担持されている固体触媒の粒状体(粒径:1
0メッシュ)を製造した。
【0054】前述のようにして調製した固体触媒は、パ
ラジウムイオンの担持量が、王水で溶解して原子吸光測
定装置で分析したところ、0.95重量%であり、さら
に、ナトリウムイオンの担持量が、8.85重量%であ
った。また、前記の固体触媒について、アンモニア昇温
脱離法で酸強度を測定したところ、約195℃および3
05℃に脱離ピークが観測され、それ以上の温度には脱
離ピークが実質的に存在しなかった。また、この固体触
媒の酸量(アンモニア昇温脱離法による)は、HY型ゼ
オライトの酸量の10%以下であった。
【0055】2)炭酸ジメチルの製造:前記の各固体触
媒2.5mlを使用すると共に、組成が、亜硝酸メチル
18容量%、一酸化炭素2容量%、一酸化窒素3容量
%、メタノール2容量%、窒素75容量%である原料ガ
ス(全原料ガスに対する水分の含有率が0.3モル%で
ある。)を使用し、該原料ガスを空時速度8000h-1
で反応系に供給し、反応温度を110℃となるように熱
制御したほかは、実施例1と同様にして気相接触反応を
行った。
【0056】その気相接触反応における『炭酸ジメチル
の各初期空時収量(初期STY)及び各初期選択率』の
結果を第2表に示す。この実施例において前述の気相接
触反応を50時間継続させた際に反応ガス中に生成して
いた炭酸ジメチルの空時収量及び各選択率は、炭酸ジメ
チルの初期空時収量及び各初期選択率と比較して、実質
的に変化していなかった。(低下率:5%以内)
【0057】実施例9〜11 実施例8で調製した固体触媒を使用して、原料ガス中の
水分の含有率を第2表に示すように変えたほかは、実施
例8と同様に気相接触反応をそれぞれ行った。それらの
気相接触反応における結果を第2表にそれぞれ示す。実
施例9及び10については、前述の気相接触反応をそれ
ぞれ50時間継続させた際に反応ガス中に生成していた
炭酸ジメチルに関する空時収量及び各選択率は、炭酸ジ
メチルの初期空時収量及び各初期選択率と比較して、そ
れぞれ実質的に変化していなかった。(低下率:5%以
内)また、実施例11においては、前述の気相接触反応
をそれぞれ10時間継続させた際に反応ガス中に生成し
ていた炭酸ジメチルに関する空時収量が、330g/l
・hまで低下していた。(低下率:13.1%)
【0058】実施例12 実施例8で調製した固体触媒を使用して、反応圧を3k
g/cm2 とした以外は、実施例8と同様にして、気相
接触反応を行った。その気相接触反応における結果を第
2表に示す。
【0059】実施例13 実施例8で調製した固体触媒2.5mlを使用すると共
に、組成が、亜硝酸メチル18容量%、一酸化炭素3容
量%、一酸化窒素3容量%、メタノール2容量%、窒素
74容量%である原料ガス(全原料ガスに対する水分の
含有率が0.4モル%である。)を使用し、該原料ガス
を空時速度8000h-1で反応系に供給し、反応温度を
105℃となるように熱制御し、反応圧を3kg/cm
2 Gとしたほかは、実施例8と同様にして気相接触反応
を行った。
【0060】その気相接触反応における『炭酸ジメチル
の各初期空時収量(初期STY)及び各初期選択率』の
結果を第2表に示す。この実施例において前述の気相接
触反応を50時間継続させた際に反応ガス中に生成して
いた炭酸ジメチルの空時収量及び各選択率は、炭酸ジメ
チルの初期空時収量及び各初期選択率と比較して、実質
的に変化していなかった。(低下率:5%以内)
【0061】実施例14〜16 原料ガスの組成を第2表に示すように変えたほかは、実
施例13と同様にして気相接触反応をそれぞれ行った。
それらの気相接触反応における結果を第2表にそれぞれ
示す。
【0062】実施例17 反応圧を常圧に変えたほかは、実施例13と同様にし
て、気相接触反応を行った。その気相接触反応における
結果を第2表に示す。
【0063】
【表2】
【0064】実施例18 1)固体触媒の製造:原子比(Si/Al)が2.75
であるNaY型ゼオライト〔東ソー(株)製:HSZ−
320NAA〕10.1gを、内容量500mlのビー
カーに量り取り、蒸留水300mlを加えて、ゼオライ
トの水スラリー液を調製し、その水スラリー液をマグネ
ット攪拌子で攪拌しながら1時間煮沸した。
【0065】その水スラリー液を濾過して得られたゼオ
ライトに1N−NaNO3 水溶液を300ml加えて、
室温で20時間攪拌した。これを濾過して200mlの
蒸留水で洗浄した後、さらに、蒸留水250mlを加え
てゼオライトの水スラリー液を調製した。このスラリー
液をゆるやかに攪拌しながら、テトラアンミンパラジウ
ムジクロリド0.25gを蒸留水50mlに溶解した溶
液を30分かけて滴下して、さらに、その滴下後、攪拌
しながら1日放置してパラジウムイオンをゼオライト担
体上にイオン交換担持させた後、濾過して200mlの
蒸留水で3回洗浄した。
【0066】その結果得られた水スラリー液を室温にま
で冷却し、ろ過し、水洗して、ケーキ状の触媒を得た。
この湿潤しているケーキ状触媒を乾燥器に入れて70℃
で2時間さらに120℃で5時間乾燥して、これを錠剤
成型器で成型し、粉砕した後、篩で10メッシュの大き
さのものに揃えて、固体触媒の粒状体を形成した。前記
の固体触媒の粒状体を目皿付きのガラス管に充填して、
空気を30リットル/hの流速で流しながら、約1.5
時間で常温から300℃まで昇温し、その昇温された温
度で3時間焼成した。
【0067】前述のようにして調製した固体触媒は、パ
ラジウムイオンの担持量が、王水で溶解して原子吸光測
定装置で分析したところ、0.95重量%であり、さら
に、ナトリウムイオンの担持量が、8.85重量%であ
った。また、前記の固体触媒について、アンモニア昇温
脱離法で酸強度を測定したところ、約195℃および3
05℃に脱離ピークが観測され、それ以上の温度には脱
離ピークが実質的に存在しなかった。また、この固体触
媒の酸量(アンモニア昇温脱離法による)は、HY型ゼ
オライトの酸量の10%以下であった。
【0068】2)炭酸ジメチルの製造:前記の固体触媒
2.5mlを内径10mmのステンレス製気相反応器
(外部ジャケット付き)に充填した後、この反応管を垂
直に固定し、反応管ジャケットに熱媒を循環っせ、固体
触媒層内の温度が110℃になるように加熱制御した。
その反応管の上部から、一酸化窒素、酸素およびメタノ
ールより合成した亜硝酸メチルを含むガスと一酸化炭素
との混合ガス〔亜硝酸メチル15容量%、一酸化炭素5
容量%、一酸化窒素3容量%、メタノール2容量%及び
窒素75容量%の組成からなる混合ガス(全原料ガスに
対する水分の含有率が0.05容量%である。)〕を、
8000h-1の空間速度(GHSV)で供給し、反応温
度110℃に維持し、反応器の出口のバルブでの圧力を
3kg/cm2 Gに調整させながら、500時間、亜硝
酸メチルと一酸化炭素とを気相接触反応させた。
【0069】上記の気相接触反応において、反応開始か
ら8時間経過時までに反応管から排出した反応ガスを氷
冷したメタノール中を通して捕集し、得られた捕集液を
ガスクロマトグラフィーによって分析した結果、炭酸ジ
メチルが初期の空時収量(初期STY)380g/l・
hで生成し、一酸化炭素基準で炭酸ジメチルの選択率8
8%、亜硝酸メチル基準で炭酸ジメチルの選択率81%
であることが確認された。
【0070】前述の気相接触反応において、70時間後
の炭酸ジメチルの空時収量及び選択率は、炭酸ジメチル
の初期空時収量(初期STY)及び初期選択率と比較し
て、実質的に変化していなかった。(低下率:5%以
内)さらに、前述の気相接触反応において500時間後
の炭酸ジメチルの空時収量は、345g/l・hであっ
た。(低下率:10%)
【0071】実施例19 1)固体触媒の製造:原子比(Si/Al)が2.5で
あるNaY型ゼオライト〔触媒化成工業(株)製:ZC
E−50〕を用いたほかは、実施例18と同様にして、
パラジウムイオンをゼオライト担体にイオン交換担持し
た固体触媒を調製した。前述のようにして調製した固体
触媒は表3に示すような金属イオン担持量、特性を有
し、その酸量は、実施例18の固体触媒の酸量とほぼ同
じであった。 2)炭酸ジメチルの製造:上記固体触媒を使用したほか
は実施例18と同様にして気相接触反応を行った。その
気相接触反応における結果を第3表に示す。
【0072】実施例20 1)固体触媒の製造:原子比(Si/Al)が1.23
であるNaX型ゼオライト〔ユニオン昭和(株)製:モ
レキュラーシーブ13X〕を用いた他は実施例18と同
様にして、パラジウムイオンを前記ゼオライト担体にイ
オン交換担持した固体触媒を調製した。前述のようにし
て調製した固体触媒は、表3に示すような金属イオン担
持量、特性を有し、その酸量は、実施例18の固体触媒
の酸量の1.5倍であった。 2)炭酸ジメチルの製造:上記固体触媒を使用したほか
は実施例18と同様にして気相接触反応を行った。その
気相接触反応における結果を第3表に示す。
【0073】実施例21 1)固体触媒の製造:テトラアンミンパラジウムジクロ
リドの使用量を0.50gに代えたほかは実施例18と
同様にしてパラジウムイオンを前記ゼオライト担体にイ
オン交換担持した固体触媒を調製した。前述のようにし
て調製した固体触媒は、表3に示すような金属イオン担
持量、特性を有し、その酸量は、実施例18の固体触媒
の酸量の1.8倍であった。 2)炭酸ジメチルの製造:上記固体触媒を使用したほか
は実施例18と同様にして気相接触反応を行った。その
気相接触反応における結果を第3表に示す。
【0074】実施例22 1)固体触媒の製造:テトラアンミンパラジウムジクロ
リド0.25gに代えて、ビスエチレンジアミンパラジ
ウムジクロリド0.30gを用いたほかは、実施例18
と同様にして、パラジウムイオンをゼオライト担体にイ
オン交換担持した固体触媒を調製した。前述のようにし
て調製した固体触媒は、表3に示すような金属イオン担
持量、特性を有し、その酸量は、実施例18の固体触媒
の酸量とほぼ同じであった。 2)炭酸ジメチルの製造:上記固体触媒を使用したほか
は実施例18と同様にして気相接触反応を行った。その
気相接触反応における結果を第3表に示す。
【0075】実施例23 1)固体触媒の製造:1N−NaNO3 水溶液300m
lに代えて、0.3N−CaCl2 の水溶液300ml
に、水スラリー液を濾過して得られたゼオライトを加え
て、室温で2日間攪拌したほかは、実施例18と同様に
して、パラジウムイオンおよびカルシウムイオンをゼオ
ライト担体にイオン交換担持した固体触媒を調製した。
前述のようにして調製した固体触媒は、表3に示すよう
な金属イオン担持量、特性を有し、その酸量は、実施例
18の固体触媒の酸量の1.6倍であった。 2)炭酸ジメチルの製造:上記固体触媒を使用したほか
は実施例18と同様にして気相接触反応を行った。その
気相接触反応における結果を第3表に示す。
【0076】実施例24 1)固体触媒の製造: 0.3N−CaCl2 の水溶液
300mlに代えて、0.3N−LiOAcの水溶液3
00mlを使用したほかは、実施例23と同様にして、
パラジウムイオンおよびリチウムイオンをゼオライト担
体にイオン交換担持した固体触媒を調製した。前述のよ
うにして調製した固体触媒は、表3に示すような金属イ
オン担持量、特性を有し、その酸量が実施例18の固体
触媒の酸量とほぼ同じであった。 2)炭酸ジメチルの製造:上記固体触媒を使用したほか
は実施例18と同様にして気相接触反応を行った。その
気相接触反応における結果を第3表に示す。
【0077】
【表3】
【0078】
【本発明の作用効果】本発明の方法は、ゼオライトなど
のイオン交換性担体に白金族金属を担持した固体触媒の
存在下に、特定の割合の一酸化炭素と亜硝酸アルキル
(例えば、亜硝酸メチルなど)とを気相接触反応させる
ことにより、炭酸ジエステル(炭酸ジメチル)の製造を
高い選択的にまた高い収率で長期間得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松崎 徳雄 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇 部興産株式会社 宇部研究所内 (72)発明者 安部 浩司 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇 部興産株式会社 宇部研究所内 審査官 唐木 以知良 (56)参考文献 特開 平3−141243(JP,A) 特開 昭57−122936(JP,A) 特開 昭57−122937(JP,A) 特開 昭57−123142(JP,A) 特開 昭60−181051(JP,A) 特開 平4−230345(JP,A) 特開 平5−43517(JP,A) 特開 平6−65156(JP,A) 特開 平6−41021(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 69/96 C07C 68/00 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜硝酸アルキルと一酸化炭素とのモル比
    (RONO/CO)が2以上の割合である原料ガスを使
    用して、白金族金属イオンがイオン交換型のゼオライト
    担体上にイオン交換担持されている固体触媒であって、
    昇温脱離法による脱離ピーク温度が360℃未満で、ア
    ンモニア昇温脱離法によって測定される酸量がHY型ゼ
    オライトの酸量を100とした場合に20以下である、
    酸性度の低い固体触媒の存在下に、亜硝酸アルキルと一
    酸化炭素とを気相接触反応させて炭酸ジエステルを生成
    させることを特徴とする炭酸ジエステルの製造法。
  2. 【請求項2】 イオン交換型のゼオライト担体上のイオ
    ン交換点が白金族金属イオンでイオン交換担持されてい
    ると共に、白金族金属イオンがイオン交換担持されてい
    る個所以外の該ゼオライト担体上のイオン交換点が、ア
    ルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンで、中和
    又はイオン交換担持されている固体触媒であって、昇温
    脱離法による脱離ピーク温度が360℃未満で、アンモ
    ニア昇温脱離法によって測定される酸量がHY型ゼオラ
    イトの酸量を100とした場合に20以下である、酸性
    度の低い固体触媒の存在下に、亜硝酸アルキルと一酸化
    炭素とを気相接触反応させる請求項1記載の炭酸ジエス
    テルの製造法。
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