JPWO2016098667A1 - 含浸板、積層板および樹脂組成物 - Google Patents

含浸板、積層板および樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2016098667A1
JPWO2016098667A1 JP2016564811A JP2016564811A JPWO2016098667A1 JP WO2016098667 A1 JPWO2016098667 A1 JP WO2016098667A1 JP 2016564811 A JP2016564811 A JP 2016564811A JP 2016564811 A JP2016564811 A JP 2016564811A JP WO2016098667 A1 JPWO2016098667 A1 JP WO2016098667A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lignin
mass
resin composition
impregnated
plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016564811A
Other languages
English (en)
Inventor
康典 大橋
康典 大橋
霖 周
霖 周
麻衣子 山本
麻衣子 山本
木村 肇
肇 木村
大塚 恵子
恵子 大塚
松本 明博
明博 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Harima Chemical Inc
Osaka Municipal Technical Research Institute
Original Assignee
Harima Chemical Inc
Osaka Municipal Technical Research Institute
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Harima Chemical Inc, Osaka Municipal Technical Research Institute filed Critical Harima Chemical Inc
Publication of JPWO2016098667A1 publication Critical patent/JPWO2016098667A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B5/00Layered products characterised by the non- homogeneity or physical structure, i.e. comprising a fibrous, filamentary, particulate or foam layer; Layered products characterised by having a layer differing constitutionally or physically in different parts
    • B32B5/22Layered products characterised by the non- homogeneity or physical structure, i.e. comprising a fibrous, filamentary, particulate or foam layer; Layered products characterised by having a layer differing constitutionally or physically in different parts characterised by the presence of two or more layers which are next to each other and are fibrous, filamentary, formed of particles or foamed
    • B32B5/24Layered products characterised by the non- homogeneity or physical structure, i.e. comprising a fibrous, filamentary, particulate or foam layer; Layered products characterised by having a layer differing constitutionally or physically in different parts characterised by the presence of two or more layers which are next to each other and are fibrous, filamentary, formed of particles or foamed one layer being a fibrous or filamentary layer
    • B32B5/28Layered products characterised by the non- homogeneity or physical structure, i.e. comprising a fibrous, filamentary, particulate or foam layer; Layered products characterised by having a layer differing constitutionally or physically in different parts characterised by the presence of two or more layers which are next to each other and are fibrous, filamentary, formed of particles or foamed one layer being a fibrous or filamentary layer impregnated with or embedded in a plastic substance
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J5/00Manufacture of articles or shaped materials containing macromolecular substances
    • C08J5/04Reinforcing macromolecular compounds with loose or coherent fibrous material
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L61/00Compositions of condensation polymers of aldehydes or ketones; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L61/04Condensation polymers of aldehydes or ketones with phenols only
    • C08L61/06Condensation polymers of aldehydes or ketones with phenols only of aldehydes with phenols
    • C08L61/12Condensation polymers of aldehydes or ketones with phenols only of aldehydes with phenols with polyhydric phenols
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/02Details
    • H05K1/03Use of materials for the substrate

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Phenolic Resins Or Amino Resins (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

含浸板は、基材と、基材に含浸される樹脂組成物とを含み、樹脂組成物が、リグニンと、フェノール類と、アルデヒド類との反応生成物を含有する。

Description

本発明は、含浸板、積層板および樹脂組成物に関し、詳しくは、含浸板、その含浸板が積層されてなる積層板、および、その含浸板の製造に用いられる樹脂組成物に関する。
紙などの基材に樹脂成分が含浸されてなる含浸板、および、その含浸板が複数積層されてなる積層板は、例えば、電気機械部品の配線回路基板における支持基板などとして、広く用いられている。
このような含浸板および積層板には、通常、耐熱性、機械強度、電気絶縁性などの各種物性が要求される。そこで、上記の特性を満足するため、樹脂成分として、レゾール型フェノール樹脂などを用いることが、検討されている。
より具体的には、例えば、フェノール類と、ベルノニア油などの植物油系の化合物とを酸性触媒下で反応させ、その後、塩基性触媒下でホルムアルデヒド類と反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂組成物を、繊維シート状基材に含浸および乾燥させ、積層して得られる積層板が、提案されている(特許文献1参照)。
また、例えば、フェノール樹脂ワニスを紙基材に含浸して得られるプリプレグに金属箔を重ねて加熱および加圧して得られる紙基材フェノール樹脂積層板が、提案されている(特許文献2参照)。
さらに、例えば、乾性油に酸性触媒下でノボラック型フェノール樹脂を付加反応させ、その後、アルカリ触媒下でアルデヒド類を反応させて得られる乾性油変性レゾールフェノール樹脂を、紙基材に含浸させて得られるプリプレグおよびその積層板が提案されている(特許文献3参照)。
特開平7−224134号公報 特開2004−244565号公報 特開2011−122009号公報
一方、このような含浸板および積層板としては、用途に応じた種々の物性、例えば、電気絶縁性、加工性、耐熱性、機械強度、耐水性(耐湿性)などが要求される。
本発明の目的は、用途に応じた種々の物性に優れる含浸板、その含浸板が積層されてなる積層板、および、その含浸板の製造に用いられる樹脂組成物を提供することにある。
本発明[1]は、基材と、前記基材に含浸される樹脂組成物とを含み、前記樹脂組成物が、リグニンと、フェノール類と、アルデヒド類との反応生成物を含有する、含浸板を含んでいる。
また、本発明[2]は、前記リグニンが、酢酸により変性されたリグニンである、上記[1]に記載の含浸板を含んでいる。
また、本発明[3]は、前記リグニンの配合量が、フェノール類100質量部に対して、5質量部以上300質量部以下である、上記[1]または[2]に記載の含浸板を含んでいる。
また、本発明[4]は、前記アルデヒド類の配合量が、 前記リグニンのフェノール性水酸基と、前記フェノール類のフェノール性水酸基との総量100モルに対して、50モル以上500モル以下である、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の含浸板を含んでいる。
また、本発明[5]は、前記樹脂組成物が、前記フェノール類100質量部に対して1質量部以上50質量部以下の塩基性触媒の存在下において、前記リグニンと、前記フェノール類と、前記アルデヒド類とが反応した反応生成物を含有する、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の含浸板を含んでいる。
本発明[5]は、また、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の含浸板の製造方法であって、前記樹脂組成物が、前記フェノール類100質量部に対して1質量部以上50質量部以下の塩基性触媒の存在下において、前記リグニンと、前記フェノール類と、前記アルデヒド類とが反応した反応生成物を含有する、含浸板の製造方法を含んでいる。
また、本発明[6]は、複数の板状部材が積層された積層板であって、前記板状部材の少なくとも1つが、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の含浸板である、積層板を含んでいる。
また、本発明[7]は、リグニンと、フェノール類と、アルデヒド類との反応生成物を含有する、樹脂組成物を含んでいる。
本発明の含浸板、積層板および樹脂組成物は、各種物性の向上を図ることができる。
図1は、本発明の積層板の一実施形態であって、含浸板が単数である形態を示す。 図2は、本発明の積層板の他の実施形態であって、含浸板が複数である形態を示す。
本発明は、基材と、その基材に含浸される樹脂組成物とを含有するプリプレグからなる含浸板であり、換言すれば、本発明の含浸板は、基材と、その基材に含浸される樹脂組成物とを含んでおり、好ましくは、基材と、その基材に含浸される樹脂組成物とからなる。すなわち、これは、樹脂組成物が含浸された基材である。
基材としては、特に制限されないが、例えば、クラフト紙、リンター紙、アラミド紙などの紙、さらには、綿布、ガラス布、ガラス不織布、アラミド布、ガラスマット、ガラスロービング布などが挙げられる。これら基材は、単独使用または2種類以上併用することができる。
基材として、好ましくは、紙、綿布、ガラス布が挙げられる。
なお、基材の厚みは、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
樹脂組成物は、リグニンと、フェノール類と、アルデヒド類との反応生成物を含有しており、好ましくは、リグニンと、フェノール類と、アルデヒド類との反応生成物からなる。
リグニンは、グアイアシルリグニン(G型)、シリンギルリグニン(S型)、p−ヒドロキシフェニルリグニン(H型)などの基本骨格からなる高分子フェノール性化合物であって、植物全般に含まれている。このような天然リグニンを工業的に取り出したものとしては、例えば、植物原料からパルプをソーダ法、亜硫酸法、クラフト法などによって製造する際、排出される廃液(黒液)中に含まれるソーダリグニン、サルファイトリグニン、クラフトリグニンなどが知られている。
リグニンとして、具体的には、木本系植物由来リグニン、草本系植物由来リグニンが挙げられる。
木本系植物由来リグニンとしては、例えば、針葉樹(例えば、スギなど)に含まれる針葉樹系リグニン、例えば、広葉樹に含まれる広葉樹系リグニンなどが挙げられる。このような木本系植物由来リグニンは、H型を基本骨格とするリグニンを含まず、例えば、針葉樹系リグニンはG型を基本骨格とし、広葉樹系リグニンは、G型およびS型を基本骨格としている。
草本系植物由来リグニンとしては、例えば、イネ科植物(麦わら、稲わら、とうもろこし、タケなど)に含まれるイネ系リグニンなどが挙げられる。このような草本系植物由来リグニンは、H型、G型およびS型の全てを基本骨格としている。
これらのリグニンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
リグニンとして、好ましくは、草本系植物由来リグニン、より好ましくは、コーンストーバー(とうもろこしの芯、茎、葉など)に由来する草本系植物由来リグニンが挙げられる。
また、リグニンとして、好ましくは、反応性の観点から、H型の基本骨格を9質量%以上、より好ましくは14質量%以上の割合で含有することが挙げられる。
また、リグニンは、好ましくは、カルボン酸により変性される。すなわち、リグニンとして、好ましくは、カルボン酸により変性されたリグニン(以下、カルボン酸変性リグニンと称する場合がある。)が用いられる。
カルボン酸変性リグニンにおいて、カルボン酸としては、例えば、カルボキシ基を1つ有するカルボン酸(以下、単官能カルボン酸と称する場合がある。)が挙げられ、具体的には、例えば、飽和脂肪族単官能カルボン酸、不飽和脂肪族単官能カルボン酸、芳香族単官能カルボン酸などが挙げられる。
飽和脂肪族単官能カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸などが挙げられる。
不飽和脂肪族単官能カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、リノール酸などが挙げられる。
芳香族単官能カルボン酸としては、例えば、安息香酸、2−フェノキシ安息香酸、4−メチル安息香酸などが挙げられる。
これらカルボン酸は、単独使用または2種類以上併用することができる。
カルボン酸として、好ましくは、飽和脂肪族単官能カルボン酸、より好ましくは、酢酸が挙げられる(換言すれば、リグニンとして、酢酸により変性されたリグニンが用いられる。)。上記のカルボン酸を用いれば、カルボン酸変性リグニンを簡易に得ることができ、また、得られるカルボン酸変性リグニンは、後述するように、有機溶媒に対する溶解性が比較的高く、また、溶融温度が比較的低温(100〜200℃程度)であるため、取扱性にも優れる。
また、カルボン酸は、水溶液として調製することができる。そのような場合、カルボン酸水溶液の濃度は、特に制限されず、適宜設定される。
カルボン酸変性リグニンの製造方法は、特に制限されず、公知の方法に準拠することができる。
具体的には、例えば、リグニンの原料となる植物材料(例えば、針葉樹、広葉樹、イネ科植物など)を、カルボン酸(好ましくは、酢酸)を用いて蒸解することによって、パルプ廃液としてカルボン酸変性リグニンを得ることができる。
蒸解方法としては、特に制限されないが、例えば、リグニンの原料となる植物材料と、カルボン酸および無機酸(例えば、塩酸、硫酸など)とを混合し、反応させる。
カルボン酸の配合割合は、リグニンの原料となる植物材料100質量部に対して、カルボン酸(100%換算)が、例えば、500質量部以上、好ましくは、900質量部以上であり、例えば、30000質量部以下、好ましくは、15000質量部以下である。
また、無機酸の配合割合は、リグニンの原料となる植物材料100質量部に対して、無機酸(100%換算)が、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.05質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
また、反応条件としては、反応温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、400℃以下、好ましくは、250℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上であり、例えば、20時間以下、好ましくは、10時間以下である。
このような蒸解によって、パルプが得られるとともに、パルプ廃液としてカルボン酸変性リグニンが得られる。
次いで、この方法では、濾過などの公知の分離方法によってパルプを分離し、濾液(パルプ廃液)を回収し、必要により、未反応のカルボン酸を、例えば、ロータリーエバポレーター、減圧蒸留などを用いた公知の方法により除去(留去)する。その後、大過剰の水を添加してカルボン酸変性リグニンを沈殿させ、濾過することによって、固形分としてカルボン酸変性リグニンを回収する。
また、カルボン酸変性リグニンを得る方法は、上記に限定されず、例えば、カルボン酸により変性されていないリグニン(以下、未変性リグニン)とカルボン酸とを反応させることにより、カルボン酸変性リグニンを得ることもできる。
このような方法では、未変性リグニンとして、好ましくは、粉末状の未変性リグニンが挙げられる。
粉末状の未変性リグニンの平均粒子径は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、5μm以上であり、例えば、1000μm以下、好ましくは、500μm以下である。
平均粒子径が上記範囲であれば、未変性リグニンの凝集を抑制して、未変性リグニンをカルボン酸に対して良好に分散することができる。
なお、粉末状の未変性リグニンは、塊状の未変性リグニンを公知の方法で乾燥および粉砕することにより得ることができ、また、市販品を用いることもできる。
未変性リグニンとカルボン酸とを反応させる方法としては、例えば、未変性リグニンと、カルボン酸および無機酸(例えば、塩酸、硫酸など)とを混合し、反応させる。
カルボン酸の配合割合は、未変性リグニン100質量部に対して、カルボン酸(100%換算)が、例えば、300質量部以上、好ましくは、500質量部以上であり、例えば、15000質量部以下、好ましくは、10000質量部以下である。
また、無機酸の配合割合は、未変性リグニン100質量部に対して、無機酸(100%換算)が、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.05質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
また、反応条件としては、反応温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、400℃以下、好ましくは、250℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上であり、例えば、20時間以下、好ましくは、10時間以下である。
このようなカルボン酸変性リグニンは、取扱性に優れる。
すなわち、カルボン酸により変性されていないリグニンは、有機溶媒に対する溶解性が比較的低く、また、溶融しないため、用途によっては、取扱性に劣る場合がある。
一方、上記のようにカルボン酸により変性されたリグニンは、極性有機溶媒(例えば、アセトン、メタノール、フェノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなど)に対する溶解性が比較的高く、溶融温度が比較的低温(100〜200℃程度)において溶融可能であるため、取扱性に優れる。
そのため、カルボン酸変性リグニンは、上記の有機溶媒の溶液として用いることもできる。そのような場合、溶液におけるカルボン酸変性リグニンの濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、30質量%以上である。
また、カルボン酸変性リグニンの平均粒子径は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、5μm以上であり、例えば、2cm以下、好ましくは、1cm以下である。
また、リグニン(好ましくは、カルボン酸変性リグニン)のフェノール性水酸基当量は、例えば、100g/eq以上、好ましくは、300g/eq以上であり、例えば、1700g/eq以下、好ましくは、1350g/eq以下である。
なお、フェノール性水酸基当量は、後述する実施例に準拠して求められる。
フェノール類は、フェノールおよびその誘導体(フェノール変性体)であって、例えば、フェノール、さらには、例えば、o−クレゾール、p−クレゾール、p−ter−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4−または2,6−キシレノールなどの2官能性フェノール誘導体、例えば、m−クレゾール、レゾルシノール、3,5−キシレノールなどの3官能性フェノール誘導体、例えば、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルメタンなどの4官能性フェノール誘導体などが挙げられる。また、フェノール誘導体としては、例えば、塩素、臭素などのハロゲンにより置換されたハロゲン化フェノール類、例えば、脂肪酸を含む油脂(桐油など)により変性された油脂変性フェノール類(桐油変性フェノールなど)なども挙げられる。これらフェノール類は、単独使用または2種類以上併用することができる。なお、フェノールの誘導体(フェノール変性体)が用いられる場合、フェノールが変性されるタイミングは特に制限されず、リグニンとフェノール類とアルデヒド類との反応前、反応後、反応と同時のいずれでもよい。
フェノール類として、好ましくは、フェノールが挙げられる。
アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサンなどが挙げられる。また、アルデヒドの一部が、フルフラール、フルフリルアルコールなどに置換されていてもよい。これらアルデヒド類は、単独使用または2種類以上併用することができる。
アルデヒド類として、好ましくは、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドが挙げられる。
また、アルデヒド類は、例えば、水溶液として用いることができる。そのような場合において、アルデヒド類の濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、例えば、80質量%以下、好ましくは、70質量%以下である。
そして、リグニン(好ましくは、カルボン酸変性リグニン)とフェノール類とアルデヒド類とを反応させるには、それらを配合し、加熱する。
配合割合としては、リグニンとフェノール類とアルデヒド類との総量に対して、リグニンが、例えば、4質量%以上、好ましくは、6質量%以上であり、例えば、60質量%以下、好ましくは、50質量%以下である。また、フェノール類が、例えば、20質量%以上、好ましくは、25質量%以上であり、例えば、80質量%以下、好ましくは、70質量%以下である。また、アルデヒド類が、例えば、15質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下である。
また、リグニンの配合量は、質量基準で、フェノール類100質量部に対して、例えば、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上であり、例えば、300質量部以下、好ましくは、200質量部以下である。
また、アルデヒド類の配合量は、リグニンのフェノール性水酸基と、フェノール類のフェノール性水酸基との総量100モルに対して、例えば、50モル以上、好ましくは、100モル以上であり、例えば、500モル以下、好ましくは、400モル以下である。
各成分の配合割合が上記範囲であれば、用途に応じた種々の物性の向上を図ることができる。
また、この反応では、塩基性触媒が添加される。
塩基性触媒としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属の酸化物および/または水酸化物、例えば、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジエチレントリアミン、ジシアンジアミドなどの脂肪族アミン、例えば、N,N−ジメチルベンジルアミンなどの芳香脂肪族アミン、アニリン、1,5−ナフタレンジアミンなどの芳香族アミン、アンモニア、その他、2価金属のナフテン酸、2価金属の水酸化物などが挙げられる。これら塩基性触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
なお、塩基性触媒の配合割合は、塩基性触媒の種類、フェノール類の種類、アルデヒド類の種類などに応じて、適宜設定される。
塩基性触媒として、好ましくは、アルカリ土類金属の水酸化物、脂肪族アミンが挙げられ、機械強度の向上を図る観点から、より好ましくは、アルカリ土類金属が挙げられ、また、耐熱性の向上を図る観点から、より好ましくは、脂肪族アミンが挙げられる。
塩基性触媒の配合割合は、リグニン、フェノール類およびアルデヒド類の反応条件、触媒の種類、所望の物性などにより異なるが、例えば、フェノール類100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、1.5質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下である。
塩基性触媒の配合割合が上記範囲であれば、含浸板の種々の物性の向上を図ることができる。
例えば、耐熱性、機械強度、耐水性(耐湿性)などの向上を図る場合には、塩基性触媒の配合割合は、フェノール類100質量部に対して、例えば、7質量部以上、好ましくは、10質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下である。
塩基性触媒の配合割合が上記範囲であれば、リグニンが酢酸などにより変性されていることに起因して、塩基性触媒が消費される場合にも、十分な塩基性触媒が確保されるため、リグニン、フェノール類およびアルデヒド類の反応性に優れる。その結果、得られる樹脂組成物を用いることにより、耐熱性、機械強度および耐水性(耐湿性)に優れる含浸板を得ることができる。また、塩基性触媒の配合割合が上記範囲であれば、得られる樹脂組成物が、メタノールなどの有機溶媒に対して良好に溶解するため、後述するワニスの調製などにおける作業性の向上を図ることができる。
また、例えば、電気絶縁性および加工性の向上を図る場合には、塩基性触媒の配合割合は、フェノール類100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、1.5質量部以上であり、例えば、7質量部未満、好ましくは、5質量部以下である。
塩基性触媒の配合割合が上記範囲であれば、リグニン、フェノール類およびアルデヒド類の反応速度などがコントロールされ、その結果、得られる樹脂組成物を用いることにより、電気絶縁性(低誘電率)および加工性に優れる含浸板を得ることができる。
なお、塩基性触媒の添加のタイミングは、特に制限されず、リグニン、フェノール類およびアルデヒド類の少なくともいずれかに予め添加されていてもよく、また、リグニン、フェノール類およびアルデヒド類の配合時に同時に添加されてもよく、さらに、リグニン、フェノール類およびアルデヒド類の配合後に添加されてもよい。
リグニン、フェノール類およびアルデヒド類の反応における反応条件は、塩基性触媒の種類および配合量などにより適宜設定されるが、反応温度が、例えば、50℃以上、好ましくは、60℃以上であり、例えば、140℃以下、好ましくは、120℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上であり、例えば、10時間以下、好ましくは、8時間以下である。
これにより、リグニン、フェノール類およびアルデヒド類の反応生成物が得られる。より具体的には、塩基性触媒下におけるフェノール類とアルデヒド類との反応によって、レゾール型フェノール樹脂が得られ、また、そのレゾール型フェノール樹脂が、リグニンにより変性される。以下において、得られた生成物を、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂と称する場合がある。
また、リグニンとフェノール類とアルデヒド類との反応では、上記のように、上記各成分を一括配合して反応させることもできるが、耐熱性の向上を図る観点から、上記各成分を順次配合して反応させることもできる。なお、上記各成分を順次配合して反応させる場合、リグニン、フェノール類およびアルデヒド類の配合割合は、上記各成分を一括配合して反応させる場合と同じである。
より具体的には、上記各成分を順次配合して反応させる場合には、まず、リグニンとフェノール類とを酸触媒下で反応させる。
酸触媒としては、例えば、有機酸、無機酸などが挙げられる。
有機酸としては、例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、キュメンスルホン酸、ジノニルナフタレンモノスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸などのスルホン酸化合物、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸モノブチル、リン酸ジブチル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチルなどの炭素数1〜18のアルキル基を有するリン酸エステル類、例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸などが挙げられる。
無機酸としては、例えば、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸などが挙げられる。
これら酸触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
酸触媒として、好ましくは、有機酸、より好ましくは、シュウ酸が挙げられる。
酸触媒の配合割合は、フェノール類100質量部に対して、酸触媒が、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.3質量部以上であり、例えば、20質量部以下、好ましくは、15質量部以下である。
また、この反応における反応条件としては、不活性雰囲気および大気圧下において、反応温度が、例えば、50℃以上、好ましくは、80℃以上であり、例えば、200℃以下、好ましくは、180℃以下である。また、反応時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、2時間以上であり、例えば、20時間以下、好ましくは、15時間以下である。
次いで、この方法では、上記により得られた反応生成物(および、未反応のリグニンおよび/またはフェノール類)と、アルデヒド類とを、上記塩基性触媒下で反応させる。
この反応における反応条件としては、反応温度が、例えば、50℃以上、好ましくは、60℃以上であり、例えば、140℃以下、好ましくは、120℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上であり、例えば、10時間以下、好ましくは、8時間以下である。
このような方法でも、リグニン、フェノール類およびアルデヒド類の反応生成物として、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂が得られる。
各種物性、とりわけ、耐水性の向上を図る観点から、好ましくは、上記各成分を一括配合して反応させる。
また、上記の反応において、塩基性触媒としてアルカリ土類金属の水酸化物などが用いられる場合には、必要により、酸により中和処理する。
酸としては、特に制限されず、塩基性触媒の種類に応じて、適宜選択される。具体的には、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸などの無機酸などが挙げられる。また、酸の添加量は、特に制限されず、塩基性触媒の添加量などに応じて、適宜設定される。
また、この方法では、必要により、得られたリグニン含有レゾール型フェノール樹脂を公知の方法で乾燥させる。
また、樹脂組成物は、必要により、フェノール樹脂硬化剤を含有することができる。
フェノール樹脂硬化剤としては、特に制限されず、公知の硬化剤を用いることができる。具体的には、例えば、ヘキサメチレンテトラミン、メチロールメラミン、メチロール尿素、フェノールノボラックなどが挙げられる。
これらフェノール樹脂硬化剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
フェノール樹脂硬化剤の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、樹脂組成物は、さらに、添加剤を含有することができる。
添加剤としては、樹脂組成物に添加される公知の添加剤、例えば、難燃剤(リン化合物、ハロゲン化合物、アミノ樹脂など)、硬化促進剤、充填剤、着色剤、可塑剤、安定剤、離型剤(ステアリン酸亜鉛などの金属石鹸など)などが挙げられる。
これら添加剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。添加剤の含有量は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、添加剤は、リグニン、フェノール類およびアルデヒド類の少なくともいずれかに予め添加されていてもよく、また、リグニン、フェノール類およびアルデヒド類の配合時に同時に添加されてもよく、また、リグニン、フェノール類およびアルデヒド類の配合後に添加されてもよく、さらには、それらの反応生成物に直接添加されていてもよい。
このようにして得られる樹脂組成物は、リグニン、フェノール類およびアルデヒド類の反応生成物を含有しているため、用途に応じた各種物性を備える含浸板および積層板を得ることができる。また、リグニンとして、カルボン酸により変性されたリグニンを用いれば、取扱性に優れるため、上記の樹脂組成物を、簡易かつ操作性よく得ることができる。
なお、このような樹脂組成物も、本発明の範囲に含まれる。
そして、樹脂組成物を用いて含浸板を得るには、例えば、まず、樹脂組成物のワニスを調製し、得られたワニスを基材に含浸させ、乾燥させる。
樹脂組成物のワニスは、上記の樹脂組成物を有機溶剤に溶解および/または希釈することにより得ることができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、フェノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなどの極性有機溶剤などが挙げられる。これら有機溶剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、リグニン、フェノール類およびアルデヒド類の反応生成物が、有機溶剤の溶液および/または分散媒として得られる場合、その有機溶剤を、そのままワニスの有機溶剤として用いることもできる。
樹脂組成物のワニスにおける固形分濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、例えば、80質量%以下、好ましくは、70質量%以下である。
得られたワニスを基材に含浸させる方法としては、特に制限されず、例えば、各種コーター、スプレーなどの公知の塗布装置を用いて、ワニスを基材に塗布する方法、例えば、ワニス中に基材を浸漬する方法などが挙げられる。好ましくは、ワニス中に基材を浸漬する。
ワニスの基材に対する含浸割合(樹脂含浸率)は、例えば、乾燥後の基材および樹脂組成物(固形分)の総質量に対して、ワニス中の樹脂組成物(固形分)の質量が、例えば、10%以上、好ましくは、20%以上であり、例えば、90%以下、好ましくは、80%以下である。
乾燥条件としては、特に制限されないが、乾燥温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、40℃以上であり、例えば、80℃以下、好ましくは、60℃以下である。また、乾燥時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、2時間以上であり、例えば、100時間以下、好ましくは、80時間以下である。
これにより、含浸板が得られる。
なお、含浸板の厚みは、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
このようにして得られる含浸板によれば、上記の樹脂組成物が用いられているため、優れた種々の物性を得ることができる。そのため、上記の含浸板は、積層板の製造において好適に用いられる。
本発明の積層板は、複数(2つ以上)の板状部材が積層されてなり、その板状部材の少なくとも1つとして、上記の含浸板が用いられている。
より具体的には、図1に示されるように、積層板1は、板状部材としての単数(1枚)の含浸板2と、その少なくとも一方側表面に積層される板状部材としての補強板3(後述)とを備えることができる。また、このような場合、含浸板2の他方側表面に、補強板3(後述)を備えることもできる(2点鎖線参照。)。
また、例えば、図2に示されるように、積層板1は、互いに積層される複数(例えば、4枚)の板状部材としての含浸板2を備えることができる。また、このような場合、積層される含浸板2の、最も外側の一方側面および/または他方側面(すなわち、図2における紙面最上側の表面および/または紙面最下側の表面)に、板状部材としての補強板3(後述)を備えることもできる(2点鎖線参照。)。
また、図示しないが、複数の含浸板2が積層される場合、その含浸板2の間に、補強板3を介在させることもできる。
補強板3としては、例えば、銅および/またはその合金、アルミニウムおよび/またはその合金などの金属箔などが挙げられる。これら補強板は、単独使用または2種類以上併用することができる。
なお、補強板3の厚みは、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
このような積層板1は、単数または複数の含浸板2と、必要により備えられる補強板3とを、公知の方法で積層し、加熱および加圧することにより、得ることができる。
加熱条件としては、加熱温度が、例えば、100℃以上、好ましくは、120℃以上であり、例えば、250℃以下、好ましくは、220℃以下である。また、圧力が、例えば、1MPa以上、好ましくは、2MPa以上であり、例えば、50MPa以下、好ましくは、40MPa以下である。
これにより、積層板1を得ることができる。
さらに、得られた積層板1を、必要により熱処理し、硬化させることができる。
このような場合、熱処理条件としては、加熱温度が、例えば、100℃以上、好ましくは、120℃以上であり、例えば、250℃以下、好ましくは、220℃以下である。また、加熱時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上であり、例えば、10時間以下、好ましくは、8時間以下である。
なお、熱処理は、1段階処理でもよく、多段階(2段階以上)処理でもよい。
そして、このようにして得られる積層板1は、上記の樹脂組成物が用いられている含浸板2を備えるため、優れた種々の物性を得ることができる。
そのため、このような積層板1および含浸板2は、各種産業分野において広範に用いることができ、より具体的には、例えば、配電盤、変圧器、車両などの電気機械部品の配線回路基板の支持基板などとして、好適に用いられる。さらに、上記の積層板1および含浸板2は、必要により加工され、軸受け、ギヤーなどの治具材料、その他、例えば、絶縁板、絶縁支持物、絶縁スペーサー、配電盤・遮断器・変圧器・車両などの電気・機械部品などとしても、好適に用いられる。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。また、以下の説明において特に言及がない限り、「部」および「%」は質量基準である。なお、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
<酢酸変性リグニンの製造>
製造例1
コーンストーバー100質量部を、95質量%の酢酸1000質量部および硫酸3質量部と混合し、還流下において4時間反応させた。反応後、濾過してパルプを除去し、パルプ廃液を回収した。次いで、ロータリーエバポレーターを用いてパルプ廃液中の酢酸を除去し、体積が1/10になるまで濃縮した後、その濃縮液の10倍量(質量基準)の水を添加し、濾過することにより、固形分として酢酸変性リグニンを得た。
得られた酢酸変性リグニンのフェノール性水酸基当量は、435.9g/eqであった。
なお、フェノール性水酸基当量は、以下の方法により求めた。
すなわち、まず、酢酸変性リグニン試料10mgを、2−メトキシエタノール/水(1/1、w/w)10mLに溶解させ、種試料とした。
次に、種試料1mLを2−メトキシエタノール/水(1/1、w/w)にて希釈して10mLとし、試料1とした。
さらに、種試料1mLを2−メトキシエタノール/2N水酸化ナトリウム水溶液(1/1、w/w)にて希釈して10mLとし、試料2とした。
そして、得られた2種類の試料(試料1および試料2)を、以下に示す吸光度測定に供した。
より具体的には、まず、前後のセルに2−メトキシエタノール/水(1/1、w/w)を入れてベースラインをとり、次いで、試料1をリファレンス側、また、試料2を試料側にセットして、296nmおよび366nmの吸収(吸光度)を測定した。
なお、296nmの吸収(吸光度)は下記式(1)の構造に起因し、また、フェノール性水酸基濃度に関するモル吸光係数は、4100L/(mol・cm)である。
また、366nmの吸収(吸光度)は、下記式(2)の構造に起因し、フェノール性水酸基濃度に関するモル吸光係数は、37250 L/(mol・cm)である。
そして、上記の2つの波長における吸収(吸光度)およびモル吸光係数から、試料中のフェノール性水酸基濃度を求め、フェノール性水酸基当量に換算した。
Figure 2016098667
<<電気絶縁性および加工性の向上>>
<樹脂組成物の調製>
実施例1
還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下漏斗を備えた四つ口1Lセパラブルフラスコに、フェノール(ナカライテスク社製)141g(1.5モル)を温度40℃で仕込んだ。
次いで、製造例1で得られた酢酸変性リグニン42.3g(フェノール100gに対して30gに相当)を40℃で加えて撹拌した。
次いで、37%ホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液(ナカライテスク社製))186g(2.3モル)を加えた。
なお、ホルムアルデヒドの配合量は、酢酸変性リグニンのフェノール性水酸基と、フェノールのフェノール性水酸基との総量100モルに対して、144モルであった。
さらに、塩基性触媒としてトリエチルアミン(ナカライテスク社製)を、フェノールの2質量%(141×0.02=2.8g)加えて、撹拌して均一なものとした。
次いで、温度を徐々に(約1時間かけて)80℃まで上げ、80℃で3時間反応させた。その後、水などをエバポレーターで除去し、減圧乾燥することにより、反応生成物として、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を得た。これを、樹脂組成物とした。
実施例2
酢酸変性リグニンの配合割合を、70.5g(フェノール100gに対して50gに相当)に変更し、また、37%ホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液)の配合割合を189.2g(2.33モル)に変更した以外は、実施例1と同様にして、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を得た。これを、樹脂組成物とした。
なお、ホルムアルデヒドの配合量は、酢酸変性リグニンのフェノール性水酸基と、フェノールのフェノール性水酸基との総量100モルに対して、140モルであった。
実施例3
酢酸変性リグニンの配合割合を、141g(フェノール100gに対して100gに相当)に変更し、また、37%ホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液)の配合割合を195g(2.41モル)に変更した以外は、実施例1と同様にして、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を得た。これを、樹脂組成物とした。
なお、ホルムアルデヒドの配合量は、酢酸変性リグニンのフェノール性水酸基と、フェノールのフェノール性水酸基との総量100モルに対して、132モルであった。
実施例4
37%ホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液)の配合割合を390.8g(4.82モル)に変更した以外は、実施例3と同様にして、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を得た。これを、樹脂組成物とした。
なお、ホルムアルデヒドの配合量は、酢酸変性リグニンのフェノール性水酸基と、フェノールのフェノール性水酸基との総量100モルに対して、364モルであった。
実施例5
37%ホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液)の配合割合を377.8g(4.66モル)に変更した以外は、実施例2と同様にして、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を得た。これを、樹脂組成物とした。
なお、ホルムアルデヒドの配合量は、酢酸変性リグニンのフェノール性水酸基と、フェノールのフェノール性水酸基との総量100モルに対して、331モルであった。
比較例1
還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下漏斗を備えた四つ口1Lセパラブルフラスコに、フェノール(ナカライテスク社製)141g(1.5モル)を温度40℃で仕込んだ。
次いで、37%ホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液(ナカライテスク社製))186g(2.3モル(フェノールの約1.5倍))を加え、さらに、塩基性触媒としてトリエチルアミン(ナカライテスク社製)を、フェノールの2質量%(141×0.02=2.8g)加えて、撹拌して均一なものとした。
次いで、温度を徐々に(約1時間かけて)80℃まで上げ、80℃で3時間反応させた。その後、水などをエバポレーターで除去し、減圧乾燥することにより、反応生成物として、レゾール型フェノール樹脂を得た。これを、樹脂組成物とした。
<樹脂組成物の評価および硬化温度の設定>
各実施例および比較例において得られた樹脂組成物を、示差走査熱量測定(DSC)により分析した。その結果、いずれの樹脂組成物も硬化反応による発熱ピークが観測された。
より具体的には、各実施例の樹脂組成物の発熱ピークは約200〜220℃であり、比較例の樹脂組成物の発熱ピークは約160〜170℃であった。
この結果から、以下において各実施例の樹脂組成物の硬化温度を200℃に設定し、また比較例の樹脂組成物の硬化温度を160℃に設定した。
<積層板の製造>
実施例6
実施例1で得られた樹脂組成物をテトラヒドロフランに溶解し、ワニス(固形分50質量%)を調製した。
次いで、得られたワニスを、樹脂含浸率(乾燥後の基材および樹脂組成物(固形分)の総質量に対しする樹脂組成物(固形分)の質量)が50%となるように、紙基材(王子製紙社製)に含浸させた。その後、40℃で48時間乾燥させ、含浸板を得た。
次いで、得られた含浸板を4枚重ね合わせ、200℃、10MPaの条件で30分間加熱および加圧成形し、厚さ約1mmの積層板を得た。
さらに、得られた積層板を、160℃において1時間加熱し、次いで、180℃において1時間加熱し、さらに、200℃において2時間加熱することにより、硬化処理した。
実施例7
実施例2で得られた樹脂組成物を用いた以外は、実施例6と同様にして含浸板および積層板を製造し、得られた積層板を硬化処理した。
実施例8
実施例3で得られた樹脂組成物を用いた以外は、実施例6と同様にして含浸板および積層板を製造し、得られた積層板を硬化処理した。
実施例9
実施例4で得られた樹脂組成物を用いた以外は、実施例6と同様にして含浸板および積層板を製造し、得られた積層板を硬化処理した。
実施例10
実施例5で得られた樹脂組成物を用いた以外は、実施例6と同様にして含浸板および積層板を製造し、得られた積層板を硬化処理した。
比較例2
比較例1で得られた樹脂組成物を用い、また、積層板を形成するときの加熱温度を200℃から160℃に変更した以外は、実施例6と同様にして含浸板および積層板を製造し、得られた積層板を硬化処理した。
<積層板の評価>
各実施例および比較例において得られた積層板の物性を評価した。評価方法は以下の通りである。
(1)誘電率
各実施例および各比較例において得られた積層板の誘電率を、インピーダンスアナライザーE4991A(アジレントテクノロジー社製)を用いて、周波数1GHzの条件で測定した。その結果を、表1に示す。
なお、誘電率は、積層板の硬化処理の前後において測定した。
Figure 2016098667
(2)パンチング加工性
各実施例および各比較例において得られた積層板に、パンチング径6mmでパンチング加工し、形成された穴の周辺の状態を目視観察し、層間剥離などの有無を評価した。その結果を、表2に示す。
なお、パンチング加工性の判定基準については、ASTM D617“Punching Quality of Phenolic Laminate Sheets” を参考にして以下の基準を作成した。
◎;きれいにパンチングされており、きれいな切断面が得られている。
×;きれいにパンチングされておらず、孔の周辺に2mm以上の大きな欠けやクラックが存在する。
△;きれいにパンチングされておらず、孔の周辺に2mm未満の小さな欠けやクラックが存在する。
Figure 2016098667
<<耐熱性、機械物性および耐水性(耐湿性)の向上>>
実施例11
還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下漏斗を備えた四つ口1Lセパラブルフラスコに、フェノール(ナカライテスク社製)169.2g(1.8モル)を温度40℃で仕込んだ。
次いで、製造例1で得られた酢酸変性リグニン84.6g(フェノール100gに対して50gに相当)を40℃で加えて撹拌した。
次いで、37%ホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液(ナカライテスク社製))466g(5.7モル)を加えた。
なお、ホルムアルデヒドの配合量は、酢酸変性リグニンのフェノール性水酸基と、フェノールのフェノール性水酸基との総量100モルに対して、286モルであった。
さらに、塩基性触媒としてトリエチルアミン(ナカライテスク社製)を、フェノールの2質量%(169.2×0.02=3.38g)およびリグニンの16質量%(84.6×0.16=13.54g)の合計量16.9gを加えて、撹拌して均一なものとした。
次いで、温度を徐々に(約1時間かけて)95℃まで上げ、95℃で2時間反応させた。その後、水などをエバポレーターで除去し、減圧乾燥することにより、反応生成物として、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を得た。これを、樹脂組成物とした。
実施例12
還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下漏斗を備えた四つ口1Lセパラブルフラスコに、フェノール(ナカライテスク社製)169.2g(1.8モル)を温度40℃で仕込んだ。
次いで、製造例1で得られた酢酸変性リグニン84.6g(フェノール100gに対して50gに相当)を40℃で加えて撹拌した。
次いで、37%ホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液(ナカライテスク社製))310.7g(3.8モル)を加えた。
なお、ホルムアルデヒドの配合量は、酢酸変性リグニンのフェノール性水酸基と、フェノールのフェノール性水酸基との総量100モルに対して、191モルであった。
さらに、塩基性触媒としてトリエチルアミン(ナカライテスク社製)を、フェノールの2質量%(169.2×0.02=3.38g)およびリグニンの16質量%(84.6×0.16=13.54g)の合計量16.9gを加えて、撹拌して均一なものとした。
次いで、温度を徐々に(約1時間かけて)95℃まで上げ、95℃で2時間反応させた。その後、水などをエバポレーターで除去し、減圧乾燥することにより、反応生成物として、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を得た。これを、樹脂組成物とした。
実施例13
還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下漏斗を備えた四つ口1Lセパラブルフラスコに、フェノール(ナカライテスク社製)100g(1.1モル)を温度40℃で仕込んだ。
次いで、製造例1で得られた酢酸変性リグニン100g(フェノール100gに対して100gに相当)を40℃で加えて撹拌した。
次いで、37%ホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液(ナカライテスク社製)276.5g(3.4モル)を加えた。
なお、ホルムアルデヒドの配合量は、酢酸変性リグニンのフェノール性水酸基と、フェノールのフェノール性水酸基との総量100モルに対して、263モルであった。
さらに、塩基性触媒としてトリエチルアミン(ナカライテスク社製)を、フェノールの2質量%(100×0.02=2g)およびリグニンの16質量%(100×0.16=16g)の合計量18gを加えて、撹拌して均一なものとした。
次いで、温度を徐々に(約1時間かけて)95℃まで上げ、95℃で3時間反応させた。その後、水などをエバポレーターで除去し、減圧乾燥することにより、反応生成物として、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を得た。これを、樹脂組成物とした。
実施例14
還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下漏斗を備えた四つ口1Lセパラブルフラスコに、フェノール(ナカライテスク社製)75g(0.8モル)を温度40℃で仕込んだ。
次いで、製造例1で得られた酢酸変性リグニン150g(フェノール100gに対して200gに相当)を40℃で加えて撹拌した。
次いで、37%ホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液(ナカライテスク社製)220g(2.7モル)を加えた。
なお、ホルムアルデヒドの配合量は、酢酸変性リグニンのフェノール性水酸基と、フェノールのフェノール性水酸基との総量100モルに対して、236モルであった。
さらに、塩基性触媒としてトリエチルアミン(ナカライテスク社製)を、フェノールの2質量%(75×0.02=1.5g)およびリグニンの16質量%(150×0.16=24g)の合計量26gを加えて、撹拌して均一なものとした。
次いで、温度を徐々に(約1時間かけて)95℃まで上げ、95℃で2時間反応させた。その後、水などをエバポレーターで除去し、減圧乾燥することにより、反応生成物として、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を得た。これを、樹脂組成物とした。
実施例15
還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下漏斗を備えた四つ口1Lセパラブルフラスコに、フェノール(ナカライテスク社製)100g(1.1モル)を温度40℃で仕込んだ。
次いで、製造例1で得られた酢酸変性リグニン100g(フェノール100gに対して100gに相当)を40℃で加えて撹拌した。
次いで、37%ホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液(ナカライテスク社製)276.5g(3.4モル)を加えた。
なお、ホルムアルデヒドの配合量は、酢酸変性リグニンのフェノール性水酸基と、フェノールのフェノール性水酸基との総量100モルに対して、263モルであった。
さらに、塩基性触媒として95%水酸化マグネシウム(ナカライテスク社製)を、フェノールの2.5質量%(100×0.025=2.5g)およびリグニンの4.6質量%(100×0.046=4.6g)の合計量7.1gを0.95で割った7.5gを加えて、撹拌して均一なものとした。
次いで、温度を徐々に(約1時間かけて)80℃まで上げ、80℃で3時間反応させた。その後、リン酸を用いて中和処理した後、水などをエバポレーターで除去し、減圧乾燥することにより、反応生成物として、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を得た。これを、樹脂組成物とした。
実施例16
還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下漏斗を備えた四つ口1Lセパラブルフラスコに、フェノール(ナカライテスク社製)100g(1.1モル)を温度40℃で仕込んだ。
次いで、製造例1で得られた酢酸変性リグニン100g(フェノール100gに対して100gに相当)を40℃で加えて撹拌した。
次いで、37%ホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液(ナカライテスク社製)276.5g(3.4モル)を加えた。
なお、ホルムアルデヒドの配合量は、酢酸変性リグニンのフェノール性水酸基と、フェノールのフェノール性水酸基との総量100モルに対して、263モルであった。
さらに、塩基性触媒として95%水酸化マグネシウム(ナカライテスク社製)を、フェノールの2.5質量%(100×0.025=2.5g)およびリグニンの4.6質量%(100×0.046=4.6g)の合計量7.1gを0.95で割った7.5gを加えて、撹拌して均一なものとした。
次いで、温度を徐々に(約1時間かけて)80℃まで上げ、80℃で3時間反応させた。その後、水などをエバポレーターで除去し、減圧乾燥することにより、反応生成物として、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を得た。これを、樹脂組成物とした。
実施例17
還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下漏斗を備えた四つ口1Lセパラブルフラスコに、フェノール(ナカライテスク社製)100g(1.1モル)を温度40℃で仕込んだ。
次いで、製造例1で得られた酢酸変性リグニン100g(フェノール100gに対して100gに相当)を40℃で加えて撹拌した。
次いで、37%ホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液(ナカライテスク社製)276.5g(3.4モル)を加えた。
なお、ホルムアルデヒドの配合量は、酢酸変性リグニンのフェノール性水酸基と、フェノールのフェノール性水酸基との総量100モルに対して、263モルであった。
さらに、塩基性触媒として95%水酸化カルシウム(ナカライテスク社製)を、フェノールの3.3質量%(100×0.033=3.3g)およびリグニンの5.9質量%(100×0.059=5.9g)の合計量9.2gを0.95で割った9.7gを加えて、撹拌して均一なものとした。
次いで、温度を徐々に(約1時間かけて)80℃まで上げ、80℃で3時間反応させた。その後、水などをエバポレーターで除去し、減圧乾燥することにより、反応生成物として、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を得た。これを、樹脂組成物とした。
実施例18
水抜き管、温度計、攪拌機を備えた四つ口1Lセパラブルフラスコに、フェノール(ナカライテスク社製)100g(1.1モル)を温度40℃で仕込んだ。
次いで、製造例1で得られた酢酸変性リグニン200g(フェノール100gに対して200gに相当)および酸触媒としてシュウ酸10.15g(0.11モル)を添加した。その後、130℃まで昇温し、窒素雰囲気下で2.5時間反応させた。これにより、フェノール変性リグニンを得た。
その後、フェノール変性リグニンを80℃まで降温し、37%ホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液(ナカライテスク社製)293.3g(3.6モル)を加えた。
なお、ホルムアルデヒドの配合量は、酢酸変性リグニンのフェノール性水酸基と、フェノールのフェノール性水酸基との総量100モルに対して、236モルであった。
さらに、塩基性触媒としてトリエチルアミン(ナカライテスク社製)を、フェノールの2質量%(100×0.02=2.0g)およびリグニンの16質量%(200×0.16=32g)の合計量34gを加えて、撹拌して均一なものとした。
次いで、フラスコに還流冷却器を接続して温度を徐々に(約1時間かけて)80℃まで上げ、80℃で4時間反応させた。その後、水などをエバポレーターで除去し、減圧乾燥することにより、反応生成物として、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を得た。これを、樹脂組成物とした。
<樹脂組成物の評価および硬化温度の設定>
各実施例および比較例において得られた樹脂組成物を、示差走査熱量測定(DSC)により分析した。その結果、いずれの樹脂組成物も硬化反応による発熱ピークが観測された。
より具体的には、各実施例の樹脂組成物の発熱ピークは約150〜190℃であり、比較例の樹脂組成物の発熱ピークは約160〜170℃であった。
この結果から、以下において各実施例の樹脂組成物の硬化温度を160℃に設定し、また比較例の樹脂組成物の硬化温度も160℃に設定した。
<積層板の製造>
(加熱硬化処理なし)
実施例19
実施例1で得られた樹脂組成物をメタノールに溶解し、ワニス(固形分50質量%)を調製した。
次いで、得られたワニスを、樹脂含浸率(乾燥後の基材および樹脂組成物(固形分)の総質量に対しする樹脂組成物(固形分)の質量)が50%となるように、紙基材(王子製紙社製)に含浸させた。その後、40℃で48時間乾燥させ、含浸板を得た。
次いで、得られた含浸板を4枚重ね合わせ、160℃、10MPaの条件で30分間加熱および加圧成形し、厚さ約1mmの積層板を得た。
実施例20
実施例12で得られた樹脂組成物を用いた以外は、実施例19と同様にして含浸板および積層板を製造した。
実施例21
実施例13で得られた樹脂組成物を用いた以外は、実施例19と同様にして含浸板および積層板を製造した。
実施例22
実施例14で得られた樹脂組成物を用いた以外は、実施例19と同様にして含浸板および積層板を製造した。
実施例23
実施例15で得られた樹脂組成物を用いた以外は、実施例19と同様にして含浸板および積層板を製造した。
実施例24
実施例16で得られた樹脂組成物を用いた以外は、実施例19と同様にして含浸板および積層板を製造した。
実施例25
実施例17で得られた樹脂組成物を用いた以外は、実施例19と同様にして含浸板および積層板を製造した。
実施例26
実施例18で得られた樹脂組成物を用いた以外は、実施例19と同様にして含浸板および積層板を製造した。
比較例3
比較例1で得られた樹脂組成物を用い、実施例19と同様にして含浸板および積層板を製造した。
(加熱硬化処理あり)
実施例27
実施例19で得られた積層板を160℃において1時間加熱し、次いで、180℃において1時間加熱し、さらに、200℃において2時間加熱することにより、硬化処理した。
実施例28
実施例20で得られた積層板を160℃において1時間加熱し、次いで、180℃において1時間加熱し、さらに、200℃において2時間加熱することにより、硬化処理した。
実施例29
実施例21で得られた積層板を160℃において1時間加熱し、次いで、180℃において1時間加熱し、さらに、200℃において2時間加熱することにより、硬化処理した。
実施例30
実施例22で得られた積層板を160℃において1時間加熱し、次いで、180℃において1時間加熱し、さらに、200℃において2時間加熱することにより、硬化処理した。
実施例31
実施例23で得られた積層板を160℃において1時間加熱し、次いで、180℃において1時間加熱し、さらに、200℃において2時間加熱することにより、硬化処理した。
実施例32
実施例24で得られた積層板を160℃において1時間加熱し、次いで、180℃において1時間加熱し、さらに、200℃において2時間加熱することにより、硬化処理した。
実施例33
実施例25で得られた積層板を160℃において1時間加熱し、次いで、180℃において1時間加熱し、さらに、200℃において2時間加熱することにより、硬化処理した。
実施例34
実施例26で得られた積層板を160℃において1時間加熱し、次いで、180℃において1時間加熱し、さらに、200℃において2時間加熱することにより、硬化処理した。
比較例4
比較例3で得られた積層板を160℃において1時間加熱し、次いで、180℃において1時間加熱し、さらに、200℃において2時間加熱することにより、硬化処理した。
<積層板の評価>
各実施例および比較例において得られた積層板の物性を評価した。評価方法は以下の通りである。
(1)ガラス転移温度(Tg)
Rheogel−E4000(ユ−ビーエム社製)を用い、固体動的粘弾性(引張モード)を測定した(周波数1Hz、昇温速度2℃/分)。そして、得られるtanδ曲線のピーク温度を、ガラス転移温度(Tg)として求めた。その結果を、表3および表4に示す。
(2)曲げ強度
JIS K6911(1995年版)に準拠して、クロスヘッド速度1mm/分、スパン50mmにて曲げ強度を測定した。その結果を、表3および表4に示す。
(3)吸水率
成形品の初期質量(乾燥質量)を測定し、次いで、成形品を23℃の蒸留水に24時間浸漬した後、その質量(吸水質量)および増加量を測定し、下記式により、吸水率を求めた。その結果を、表3および表4に示す。
吸水率(質量%)
= 100 × 蒸留水の浸漬後における質量増加量 / 乾燥質量
(4)体積抵抗率(電気絶縁性)
JIS K6911(1995年版)に従い、HP4339A(アジレント・テクノロジー社製)を用いて、体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。
その結果、各実施例および各比較例のいずれも、1.0×1013(Ω・cm)の体積抵抗率を示し、例えば、配線回路基板の支持基板として要求される物性を満足していた。
Figure 2016098667
Figure 2016098667
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記特許請求の範囲に含まれる。
本発明の含浸板、積層板および樹脂組成物は、配電盤、変圧器、車両などの電気機械部品の配線回路基板の支持基板などの各種産業分野において、広範に用いられる。
1 積層板
2 含浸板
3 補強板

Claims (7)

  1. 基材と、前記基材に含浸される樹脂組成物とを含み、
    前記樹脂組成物が、
    リグニンと、
    フェノール類と、
    アルデヒド類と
    の反応生成物を含有することを特徴とする、含浸板。
  2. 前記リグニンが、酢酸により変性されたリグニンである、請求項1に記載の含浸板。
  3. 前記リグニンの配合量が、フェノール類100質量部に対して、5質量部以上300質量部以下である、請求項1に記載の含浸板。
  4. 前記アルデヒド類の配合量が、
    前記リグニンのフェノール性水酸基と、前記フェノール類のフェノール性水酸基との総量100モルに対して、50モル以上500モル以下である、請求項1に記載の含浸板。
  5. 前記樹脂組成物が、
    前記フェノール類100質量部に対して1質量部以上50質量部以下の塩基性触媒の存在下において、前記リグニンと、前記フェノール類と、前記アルデヒド類とが反応した反応生成物
    を含有する、請求項1に記載の含浸板。
  6. 複数の板状部材が積層された積層板であって、
    前記板状部材の少なくとも1つが、請求項1に記載の含浸板であることを特徴とする、積層板。
  7. リグニンと、
    フェノール類と、
    アルデヒド類と
    の反応生成物を含有することを特徴とする、樹脂組成物。
JP2016564811A 2014-12-16 2015-12-09 含浸板、積層板および樹脂組成物 Pending JPWO2016098667A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014254365 2014-12-16
JP2014254365 2014-12-16
PCT/JP2015/084553 WO2016098667A1 (ja) 2014-12-16 2015-12-09 含浸板、積層板および樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2016098667A1 true JPWO2016098667A1 (ja) 2017-09-21

Family

ID=56126559

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016564811A Pending JPWO2016098667A1 (ja) 2014-12-16 2015-12-09 含浸板、積層板および樹脂組成物

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JPWO2016098667A1 (ja)
TW (1) TW201628861A (ja)
WO (1) WO2016098667A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020055888A (ja) * 2017-01-24 2020-04-09 ハリマ化成株式会社 ノボラック型フェノール樹脂、樹脂組成物およびノボラック型フェノール樹脂の製造方法
JP7220824B1 (ja) 2022-05-31 2023-02-10 アイカ工業株式会社 クラフトリグニン含有フェノール樹脂の製造方法

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2595308B2 (ja) * 1987-09-04 1997-04-02 王子製紙株式会社 リグニン−フェノール樹脂組成物
JP3811833B2 (ja) * 1997-06-30 2006-08-23 独立行政法人科学技術振興機構 わら類の常圧酢酸パルプ化方法及び廃液類を有効利用する酢酸パルプ化方法
JP2003285305A (ja) * 2002-03-29 2003-10-07 Hokkaido Univ 新規な繊維板及びその製造方法
JP2009292952A (ja) * 2008-06-05 2009-12-17 Toyota Auto Body Co Ltd 成形材料用バインダー及び成形体
JP2010163497A (ja) * 2009-01-13 2010-07-29 Toshiba Corp 高分子組成材料およびその製造方法
JP5750336B2 (ja) * 2011-08-09 2015-07-22 国立大学法人京都大学 リグニン樹脂組成物、プリプレグおよび複合構造体
JP5671430B2 (ja) * 2011-09-02 2015-02-18 ハリマ化成株式会社 変性リグニンおよびそれを含有するフェノール樹脂成形材料
JP2017125077A (ja) * 2014-05-23 2017-07-20 ハリマ化成株式会社 樹脂組成物およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2016098667A1 (ja) 2016-06-23
TW201628861A (zh) 2016-08-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI613187B (zh) 聚合物、複合物及製造聚合物及複合物之方法
WO2016098667A1 (ja) 含浸板、積層板および樹脂組成物
JP5396747B2 (ja) プリプレグ及びそれを用いた基板
WO2018139074A1 (ja) ノボラック型フェノール樹脂、樹脂組成物およびノボラック型フェノール樹脂の製造方法
JP2012201828A (ja) リグニン誘導体の製造方法、リグニン二次誘導体の製造方法、リグニン誘導体およびリグニン二次誘導体
Joseph et al. Phenolic resin: Preparation, structure, properties, and applications
JP5920069B2 (ja) リグニン樹脂組成物およびリグニン樹脂成形材料
WO2016098666A1 (ja) 含浸板、積層板および樹脂組成物
JP5750336B2 (ja) リグニン樹脂組成物、プリプレグおよび複合構造体
JP5397361B2 (ja) プリプレグの製造方法
JP2007009169A (ja) プリプレグおよびこれを用いた積層板とプリント配線板
US20050008882A1 (en) Phenol resin composition and phenol resin copper-clad laminate
JP6181347B2 (ja) リグニン誘導体の製造方法およびリグニン二次誘導体の製造方法
KR20060055379A (ko) 프리프레그, 및 이를 사용한 적층판 및 프린트 배선판
JP2015048359A (ja) リグニン樹脂組成物、樹脂成形体および成形材料
JP2014193977A (ja) 樹脂組成物、樹脂組成物を含むプリプレグ、積層板、および成形材料
JP2014133817A (ja) リグニン誘導体法の製造方法、およびリグニン樹脂成形体
WO2016194600A1 (ja) 樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、および、成形品
JP2016017090A (ja) 積層板用熱硬化性樹脂組成物及び、それを用いたプリプレグ、プリント配線板用積層板、プリント配線板、多層プリント配線板
JP2011026400A (ja) フェノール樹脂組成物、プリプレグおよび積層板
JP2015048360A (ja) リグニン樹脂組成物、樹脂成形体および成形材料
JP2011122009A (ja) 乾性油変性レゾール型フェノール樹脂、フェノール樹脂組成物、プリプレグおよび積層板
JPH0680859A (ja) フェノール樹脂組成物
JP2004123892A (ja) 樹脂組成物、プリプレグおよび紙基材フェノール樹脂積層板
JP2006265428A (ja) エポキシ樹脂硬化剤の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20171031