JPWO2016088804A1 - 弾性波素子、分波器および通信モジュール - Google Patents

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Abstract

歪波の影響を抑制できる弾性波素子、分波器および通信モジュールを提供する。
本発明の弾性波素子は、多重モード型フィルタ17と容量部70とを備える。多重モード型フィルタ17は、圧電結晶からなる基板53と、基板53の上面53aに位置し、複数の電極指63を有する第1櫛歯電極59Aおよび基準電位に接続される第2櫛歯電極59Bを備えた、信号が入力される第1IDT55,これに隣接する第2IDT56を含む。容量部70は、基板53の上面53aに位置し、第1IDT55の第1櫛歯電極59Aの側に電気的に接続される第1対向電極71Aと、この第1対向電極71Aと間隔をあけて配置され、基準電位に接続された第2対向電極71Bとを備える。

Description

本発明は、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)素子等の弾性波素子、分波器および通信モジュールに関する。
圧電基板と、圧電基板の主面上に設けられたIDT(InterDigital Transducer)とを有する弾性波素子が知られている。このような弾性波素子は、例えば、分波器の送信フィルタ、受信フィルタなどに利用されている。
弾性波素子において、素子の非線形性によって発生する電気的な歪波によって電気特性が低下することがある。例えば、弾性波素子を用いた分波器においては、送信帯域および受信帯域の帯域外の妨害波と、送信波とが混合されて、受信帯域内に含まれる歪波が生じる。この歪波は相互変調歪(IMD:Inter-Modulation Distortion)と呼ばれ、無線装置の通信品質(SN比)を低下させる原因の一つとなっている。この他、送信波の整数倍の周波数を持つ高調波歪が発生し、これが他の無線装置の通信を妨害するといった問題が生じる可能性もある。
そこで歪波によるSN比の低下を抑制するために、分波器を構成するラダー型フィルタの直列共振子または並列共振子を静電容量を変えずに分割する方法が知られている(例えば、特開2007−074698号公報)。これは直列共振子または並列共振子を分割することによって、その共振子に印加される電圧を分散させて歪波を抑制するものである。
なお、歪波を抑制する技術に係る文献ではないが、特開平5−167384号公報では、圧電基板の主面上に設けられ、IDTに並列に接続された容量素子を開示している。
しかしながら、静電容量を変えずに共振子を分割すると分割前に比べて、共振子が大型化し、ひいては弾性波素子が大型化してしまう。また、共振子を分割する手法は、ラダー型フィルタには適応できるが、受信フィルタに一般的に採用される多重モード型フィルタには適応できない。
従って、更なる歪波の影響を抑制できる弾性波素子、分波器および通信モジュールが提供されることが望ましい。
本発明の一態様に係る弾性波素子は、基板と、多重モード型フィルタと容量部とを含む。基板は、LiTaOまたはLiNbOである圧電結晶からなる。多重モード型フィルタは、該基板の上面に位置した、複数の電極指を有する、第1櫛歯電極および基準電位に接続される第2櫛歯電極を備えた、信号が入力される第1IDTおよびこれに隣接する第2IDTを含む。容量部は、前記基板の前記上面に位置した、前記第1IDTの前記第1櫛歯電極の側に電気的に接続された第1対向電極および該第1対向電極に対して間隔をあけて配置されて基準電位に接続された第2対向電極を含む。そして(1)または(2)のいずれかの構成を含む。
(1)前記基板は、前記圧電結晶のZ軸を前記基板の上面に垂直な方向に投影した成分が、前記基板の下面から上面に向かっている場合には、前記容量部において、前記第1対向電極および前記第2対向電極が、前記圧電結晶のZ軸を前記基板の上面に投影した成分の順方向に沿って、前記第1対向電極、前記第2対向電極の順に配置されている。
(2)前記基板は、前記圧電結晶のZ軸を前記基板の上面に垂直な方向に投影した成分が、前記基板の上面から下面に向かっている場合には、前記容量部において、前記第2対向電極および前記第1対向電極が、前記圧電結晶のZ軸を前記基板の上面に投影した成分の順方向に沿って、前記第2対向電極、前記第1対向電極の順に配置されている。
また、本発明の一態様に係る弾性波素子は、基板と、多重モード型フィルタと容量部とを含む。基板は、圧電結晶からなる。多重モード型フィルタは、該基板の上面に位置した、複数の電極指を有する第1櫛歯電極および基準電位に接続される第2櫛歯電極を備えた、信号が入力される第1IDTおよびこれに隣接する第2IDTを含む。容量部は、基板の前記上面に位置した、前記第1IDTの前記第1櫛歯電極の側に電気的に接続された第1対向電極および該第1対向電極に対して間隔をあけて配置されて基準電位に接続された第2対向電極を含む容量部とを備え、前記第1対向電極および前記第2対向電極が、弾性波の伝播方向に配置されているとともに、前記第1対向電極の弾性波の伝播方向における幅が、前記第2対向電極の弾性波の伝播方向における幅よりも大きい。
本発明の一態様に係る分波器は、アンテナ端子と、該アンテナ端子に電気的に接続された送信フィルタと、前記アンテナ端子に電気的に接続された受信フィルタと、を備え、前記送信フィルタは上記の弾性波素子とを備える。
本発明の一態様に係る通信モジュールは、アンテナと、該アンテナに電気的に接続された上記の分波器と、該分波器に電気的に接続されたRF−ICとを備える。
上記の構成によれば、歪波の影響を抑制した弾性波素子、分波器および通信モジュールを提供できる。
本発明の第1の実施形態に係る分波器を含む通信モジュールの信号処理系の構成を示すブロック図である。 図1の分波器の構成を示す回路図である。 図2の分波器の多重モードフィルタを含むSAW素子を示す平面図である。 図3のSAW素子と基板の結晶方位との関係を示す斜視図である。 (a),(b)はそれぞれ、圧電基板S内の電場分布を説明する断面図である。 歪波発生原理を検証するためのモデルを示す略図である。 歪波発生原理を検証するためのモデルを示す略図である。 歪波発生原理を検証するための測定系を示すブロック図である。 歪波発生原理を検証するための実測値およびシミュレーション値を示す線図である。 歪波発生原理を説明するための回路図である。 図3のSAW素子の要部を示す平面図である。 (a),(b)はそれぞれSAW素子の変形例を示す要部平面図およびB−B’線における部分断面図である。 図12に示す容量部の変形例を示す図である。 実施例に係るモデルの概略構成を示す回路図である。 リファレンス例および実施例のSAW素子における2次高調波の実測結果を示す図である。 リファレンス例,比較例および実施例のSAW素子における2次高調波の実測結果を示す図である。 圧電結晶のZ軸と容量部との構成の関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係るSAW素子および分波器について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
変形例等の説明において、既に説明された実施形態の構成と同一または類似する構成については、既に説明された実施形態と同一の符号を付し、説明を省略することがある。
<実施形態>
(通信モジュール)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る分波器1(デュプレクサ)の利用例(通信モジュール101)の要部を示すブロック図である。通信モジュール101は、電波を利用した無線通信を行うものである。分波器1は、通信モジュール101において送信周波数の信号と受信周波数の信号とを分波する機能を有している。
通信モジュール101において、送信すべき情報を含む送信情報信号TISは、RF−IC103によって変調および周波数の引き上げ(搬送波周波数の高周波信号への変換)がなされて送信信号TSとされる。送信信号TSは、バンドパスフィルタ105によって送信用の通過帯域以外の不要成分が除去され、増幅器107によって増幅されて分波器1に入力される。そして、分波器1は、入力された送信信号TSから送信用の通過帯域以外の不要成分を除去してアンテナ109に出力する。アンテナ109は、入力された電気信号(送信信号TS)を無線信号(電波)に変換して送信する。
また、通信モジュール101において、アンテナ109によって受信された無線信号(電波)は、アンテナ109によって電気信号(受信信号RS)に変換されて分波器1に入力される。分波器1は、入力された受信信号RSから受信用の通過帯域以外の不要成分を除去して増幅器111に出力する。出力された受信信号RSは、増幅器111によって増幅され、バンドパスフィルタ113によって受信用の通過帯域以外の不要成分が除去される。そして、受信信号RSは、RF−IC103によって周波数の引き下げおよび復調がなされて受信情報信号RISとされる。
なお、送信情報信号TISおよび受信情報信号RISは、適宜な情報を含む低周波信号(ベースバンド信号)でよく、例えば、アナログの音声信号もしくはデジタル化された音声信号である。無線信号の通過帯域は、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)等の各種の規格に従ったものでよい。変調方式は、位相変調、振幅変調、周波数変調もしくはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせのいずれであってもよい。回路方式は、図1では、ダイレクトコンバージョン方式を例示したが、それ以外の適宜なものとされてよく、例えば、ダブルスーパーヘテロダイン方式であってもよい。また、図1は、要部のみを模式的に示すものであり、適宜な位置にローパスフィルタやアイソレータ等が追加されてもよいし、また、増幅器等の位置が変更されてもよい。
(分波器)
図2は、分波器1の構成を示す回路図である。
分波器1は、増幅器107からの送信信号TSが入力される送信端子3と、送信信号TSから送信用の通過帯域以外の不要成分を除去して出力する送信フィルタ5と、送信フィルタ5からの信号が入力されるアンテナ端子7とを有している。アンテナ端子7は、アンテナ109に接続される。
また、分波器1は、アンテナ109からアンテナ端子7を介して入力された受信信号RSから受信用の通過帯域以外の不要成分を除去して出力する受信フィルタ9と、受信フィルタ9からの信号が入力される受信端子11とを有している。受信端子11は、増幅器111に接続される。
送信フィルタ5は、例えば、ラダー型SAWフィルタによって構成されている。すなわち、送信フィルタ5は、その入力側と出力側との間において直列に接続された1以上(本実施形態では3)の直列共振子S1〜S3と、その直列のラインと基準電位部との間に設けられた1以上(本実施形態では3)の並列共振子P1〜P3とを有している。
並列共振子P1、P2、P3と基準電位部Gとの間には、インダクタLが設けられている。このインダクタLのインダクタンスを所定の大きさに設定することによって、送信信号の通過周波数の帯域外に減衰極を形成して帯域外減衰を大きくすることができる。これら直列共振子S1〜S3,並列共振子P1〜P3は、それぞれSAW共振子からなる。
受信フィルタ9は、例えば、多重モード型フィルタ17と、その入力側に直列に接続された補助共振子15(単に「共振子15」ということがある。)とを有している。なお、本実施形態において、多重モードは、2重モードを含むものとする。多重モード型フィルタ17は、平衡−不平衡変換機能を有しており、受信フィルタ9は平衡信号が出力される2つの受信端子11に接続されている。
送信フィルタ5、受信フィルタ9及びアンテナ端子7の接続点と基準電位部Gとの間には、インダクタなどからなるインピーダンスマッチング用の回路が挿入されてもよい。
(SAW素子)
図3は、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)素子等の弾性波素子51(以下SAW素子51という)の構成の一部を示す平面図である。SAW素子51は、例えば、図2に示す分波器1の受信フィルタ9を構成するものであり、圧電性を有する基板53と、この基板53上に形成された多重モード型フィルタ17と補助共振子15と容量部70とを備える。図3は、多重モード型フィルタ17と容量部70との部分のみを示したものである。また、図3では紙面の略全面が基板53の主面であるものとし、基板53の外周は表示していない。
なお、SAW素子51は、いずれの方向が上方または下方とされてもよいものであるが、以下では、便宜的に、互いに直交する第1方向D1,第2方向D2,第3方向D3で構成される直交座標系を定義するとともに、D3方向の正側(図3の紙面手前側)を上方として、上面、下面等の用語を用いるものとする。またD3方向を深さ方向ということもある。
多重モード型フィルタ17は、例えば、縦結合型のものであり、SAWの伝播方向(D1方向)において配列された複数(本実施形態では3つ)のIDT(第1IDT55,第2IDT56,第3IDT57)と、その両側に配置された反射器58とを有している。受信信号RSは、3つのIDT55〜57のうち中央に位置する第1IDT55に入力され、第1IDT55の両側に位置する第2IDT56,第3IDT57から出力される。
なお、SAW素子51は、上記の他、IDT55〜57,反射器58,および容量部70上面に配置される付加膜、IDT55〜57,反射器58,および容量部70と基板53との間に介在する接着層、基板53の上面53aをIDT55〜57,反射器58,および容量部70(または付加膜)の上から覆う保護層等を有していてもよい。また、図3では、IDT55〜57および容量部70に信号の入出力を行うための配線の一部は図示が省略されている。さらに、第1IDT55に信号が入力される側の端子を信号端子(SIG),第2IDT56,第3IDT57の信号が出力される側の端子を出力端子(OUT1,OUT2)とする。
基板53は、圧電結晶の基板によって構成されている。例えば、基板53は、ニオブ酸リチウム(LiNbO)単結晶等の圧電性を有する単結晶の基板によって構成されている。より好適には、基板53は、回転Yカット−X伝播の、LiTaO基板またはLiNbO基板によって構成されている。ここで、回転Yカット−X伝播の圧電結晶を用いた場合の例として、42°回転Yカット−X伝播の圧電結晶について、基板53を構成する圧電結晶の結晶軸(X軸,Y軸,Z軸)とIDT55〜57,反射器58,および容量部70との各種電極の配置との関係を図4に示す。図4はSAW素子1の概略構成を示す斜視図であり、一部の構成要素の図示を省略している。図4に示すように、IDT55〜57の配列方向(D1方向)に沿う方向を基板53の圧電結晶のX軸と合わせている。
図3に戻り、IDT55〜57は、基板53の上面53aに形成された導電パターン(導電層)によって構成される。第1IDT55は、第1櫛歯電極59Aおよび第2櫛歯電極59Bを有しており、第2IDT56は、第1櫛歯電極59Cおよび第2櫛歯電極59Dを有しており、第3IDT57は、第1櫛歯電極59Eおよび第2櫛歯電極59Fを有している。
なお、以下では、第1櫛歯電極59A,59C,59Eおよび第2櫛歯電極59B,59D,59Fを単に櫛歯電極59といい、これらを区別しないことがある。また、第1櫛歯電極59Aに係る構成等については、「第1バスバー61A」等のように、「第1」および「A」を付すことがあり、第2櫛歯電極59Bに係る構成等については、「第2バスバー61B」等のように、「第2」および「B」を付すことがあり、また、「第1」、「第2」、「A」、および「B」を省略することがある。第1櫛歯電極59C,59Eおよび第2櫛歯電極59D,59Fについても同様である。
各櫛歯電極59は、互いに対向する2本のバスバー61と、各バスバー61から他のバスバー61側へ延びる複数の電極指63と、複数の電極指63の間において各バスバー61から他のバスバー61側へ延びる複数のダミー電極65と、を有している。そして、1対の櫛歯電極59は、複数の電極指63が互いに噛み合うように(交差するように)配置されている。
なお、SAWの伝播方向は複数の電極指63の向き等によって規定されるが、本実施形態では、便宜的に、SAWの伝播方向を基準として、複数の電極指63の向き等を説明することがある。
バスバー61は、例えば、概ね一定の幅でSAWの伝播方向(D1方向)に直線状に延びる長尺状に形成されている。そして、1対のバスバー61は、SAWの伝播方向に交差(本実施形態では直交)する方向(D2方向)において対向している。また、1対のバスバー61は、例えば、互いに平行であり、一対のバスバー61間の距離は、SAWの伝播方向において一定である。
複数の電極指63は、概ね一定の幅でSAWの伝播方向に直交する方向(D2方向)に直線状に延びる長尺状に形成されており、SAWの伝播方向(D1方向)に概ね一定の間隔で配列されている。1対の櫛歯電極59の複数の電極指63は、そのピッチp(例えば電極指63の幅の中心間距離)が、例えば、共振させたい周波数でのSAWの波長λの半波長と同等となるように設けられている。波長λは、例えば、1.5μm〜6μmである。
複数の電極指63の長さ(先端の位置)は、例えば、互いに同等とされている。また、複数の電極指63の幅wは、例えば、互いに同等とされている。なお、これらの寸法は、SAW素子51に要求される電気特性等に応じて適宜に設定されてよい。例えば、幅wは、複数の電極指63のピッチpに対して0.4p〜0.7pである。
複数のダミー電極65は、例えば、概ね一定の幅でSAWの伝播方向に直交する方向(D2方向)に直線状に延びる長尺状に形成されており、複数の電極指63間の中央に配置されている(複数の電極指63と同等のピッチで配列されている)。そして、一方の櫛歯電極59のダミー電極65の先端は、他方の櫛歯電極59の電極指63の先端とギャップ67(第1ギャップ67A、第2ギャップ67B)を介して対向している。ダミー電極65の幅(D1方向)は、例えば、電極指63の幅wと同等である。複数のダミー電極65の長さ(D2方向)は、例えば、互いに同等である。
複数のギャップ67の数は、複数の電極指63の本数と同数である。また、複数のギャップ67の幅w1は、複数の電極指63の幅および複数のダミー電極65の幅と同等であり、また、ギャップ67同士で互いに同等である。複数のギャップ67の長さd1(D2方向の大きさ。以下、ギャップの長さを「ギャップ長」と称することがある。)は、ギャップ67同士で互いに同一である。ギャップ長d1は、SAW素子51に要求される電気特性等に応じて適宜に設定されてよい。例えば、ギャップ長d1は、0.2λ〜1.2λである。
IDT55〜57は、例えば、金属によって形成されている。この金属としては、例えば、AlまたはAlを主成分とする合金(Al合金)が挙げられる。Al合金は、例えば、Al−Cu合金である。なお、IDT55〜57は、複数の金属層から構成されてもよい。IDT55〜57の厚みは適宜に設定されてよい。
第1IDT55によって基板53に電圧が印加されると、基板53の上面53a付近において上面53aに沿ってD1方向に伝播するSAWが誘起される。また、SAWは、電極指63によって反射される。そして、電極指63のピッチpを半波長とする定在波が形成される。この定在波が隣接する第2IDT56,第3IDT57とそれぞれ縦結合し、第2IDT56,第3IDT57から、当該定在波と同一周波数の電気信号に変換され、電極指63によって取り出される。より具体的には、第1IDT55の第1櫛歯電極59Aに接続された電気配線を介して入力された信号が、第2IDT56および第3IDT57の第1櫛歯電極59C,59Eにそれぞれ接続された電気配線を介して出力される。なお、IDT55〜57の第2櫛歯電極59B,59D,59Fは基準電位(Reference Potential:RP)に接続される。RPとしては接地電位を例示できる。このようにして、多重モード型フィルタ17はフィルタとして機能する。
反射器58は、基板53の上面53aに形成された導電パターン(導電層)によって構成されており、平面視において電極指間の隙間がスリット状なるように複数の電極指が間隔をあけて形成されている。すなわち、反射器57は、SAWの伝播方向に交差する方向において互いに対向する1対のバスバー(符号省略)およびこれらバスバー間においてSAWの伝播方向に直交する方向(D2方向)に延びる複数の電極指(符号省略)とを有している。反射器57の複数の電極指は、IDT55の複数の電極指63と概ね同等のピッチで配列されている。
(歪波を抑制するための構成)
SAW素子51は、上記の基本的な構成に加え、歪波がSN比に及ぼす影響を抑制するために、容量部70を有している。
容量部70は、基板53の上面53aに形成された導電パターン(導電層)によって構成されており、いわゆるギャップ型のコンデンサである。具体的には、容量部70は、互いに対向する第1対向電極71Aおよび第2対向電極71Bを有している。対向電極71は、例えば、概ね一定の幅でSAWの伝播方向(D1方向)に直線状に延びる長尺状に形成され、SAWの伝播方向(D1方向)に直交する方向(D2方向)において第3ギャップ73を介して対向している。
第1対向電極71Aは、第1IDT55の入力側の櫛歯電極である第1櫛歯電極59Aに電気的に接続され、第2対向電極71Bは、基準電位に接続されている。一方、第1対向電極71Aから第2対向電極71Bへの方向は、後述するように、基板53の圧電結晶の結晶軸(Z軸)と関連して決定される。この回転Yカット―X伝播の基板53を用いている本例では、Z軸をD1方向とD2方向とで形成される面(基板53の上面53a)に投影したときの成分(面方向成分)の順方向に沿って、順に第1対向電極71Aと第2対向電極71Bとを配置している。すなわち、第1対向電極71Aから第2対向電極71Bへと向かう方向は、−D2方向となっている。なお、Z軸を上面53aに垂直な方向に投影したときの成分(厚み方向成分)は、本例では、基板53の下面53b(図4参照)側から上面53a側に向かう方向が順方向となっている。
(その他の共振子等の構成)
図2に示す共振子15や送信フィルタ5を構成する直列共振子S1〜S3,並列共振子P1〜P3は、例えば、第1IDT55に示すようなIDTとこれの両端に配置された2つの反射器とで構成することができる。
複数の共振子15および送信フィルタ5は、例えば、一つの基板53の上面53aに共に設けられ、SAWの伝播方向は互いに同一である。なお、図2は、回路図であることから、SAWの伝播方向を統一せずに共振子15等が図示されている。
(歪波の発生原理)
ここで多重モード型フィルタ17における歪波の発生原理について検討する。圧電結晶に電極によって電場が印加されると、誘電率の2次の非線形性によってその電場に応じた歪電流が流れ、外部に歪波として出力される。この基本原理は単純であるが、実際のSAWデバイスや付加容量では、圧電結晶表面に形成されたIDTやインターディジタル電極によって圧電結晶の内部に電場が励起されるため、電場は単純な形ではなく、面方向成分と深さ方向成分を持つ。この電場に対し、非等方性の誘電率の非線形性が対応して、それぞれに起因する歪電流(面方向効果、深さ方向効果)を発生させる。実際に観察される歪波はこれらの歪電流の位相(極性)を含めた足し合わせになる。
圧電基板Sとして、回転Yカット−X伝播の圧電結晶を用い、その表面に複数の電極指FがX軸(D1方向)方向に配列するように形成されてなるSAWデバイスをモデルとして、歪波の発生原理を検討する。この例では回転角は0°を超え90°未満としている。図5に電極指Fが圧電基板Sの内部に励起する電場Eの様子を示す。図5(a),(b)はそれぞれ、SAW伝播方向(X軸方向、D1方向)に沿った面における断面図である。図5(a)は、信号が入力される電極指Fsと基準電位に接続される電極指Frとが交互に一定周期で配置されている部分の部分断面図である。これは、例えばIDTの中央付近に相当する。
一方、図5(b)は、電極指Fsと電極指Frとが交互に配置されていない部分の断面図であり、具体的には電極指Fsを挟んで一方側が電極指Frのみの場合を示す。このような配列は、例えば、IDTの端部から反射器にかけた領域に相当する。
なお、この電極指Frのみの部分に最も近い電極指Fsが位置する部分を境界部分といい、この電極指Fsを端部電極指Fbという。なお、理解を容易にするために、電極指Fsに斜線を付している。また、図5(b)において、反射器が配置された領域をArea1として図示する。
このような電極指Fを用いたときに、電場Eは高電位側から低電位側に向かうような方向に励起される。なお、説明を簡単にするために、電極指Fに静的な電圧が印加されているように記述するが、実際に電極指Fに印加される信号は高周波の交流信号であり、今後の説明は交流信号のある瞬間の状態に対応している。具体的には、電極指Fsが正電極,電極指Frが負電極として振る舞う瞬間の状態を図示している。図5(a)に示す場合には、電極指Fs,Frが交互に配置されているので、1つの電極指Fの両側で発生する電場Eは対称性を有するものとなる。一方で、図5(b)に示す場合には、電極指Fs,Frが交互に配置されていないため、端部電極指Fbの両側で発生する電場が非対称となることが想定される。
ここで、LiTaO基板やLiNbO基板では、結晶のZ軸方向の誘電率の非線形性が大きいため、Z軸方向における電場が歪電流に大きく寄与する。ここで例示している回転Yカット―X伝播の圧電結晶Sを用いた場合のZ軸方向の成分は、直交座標系でみると、D2方向の成分とD3方向の成分とで構成され、D1方向の成分を含まないこととなる(図4参照)。このため、電場Eを面方向成分である電場Ed1,Ed2と深さ方向成分である電場Ed3と分ける。電場Ed1は図5(a),(b)の紙面の左右方向に延びる成分であり、電場Ed2は図5(a),(b)の紙面に垂直な方向に延びる成分であり、電場Ed3は図5(a),(b)の紙面の上下方向に延びる成分である。
ここで、隣接する電極指Fの一方から他方に向かう電場Ed1はZ軸と垂直となり、Z軸方向成分を持たず、歪電流に対する寄与は小さくなる。これに対し、電場Ed3はZ軸方向の成分を持つため、歪電流の発生に寄与するものとなる。
図5(a)において、電極指Fを挟んだ両側の電場Eは対称性を有しているため、各電極指Fにおいて生じる電場Ed3は大きさが同じで極性が正負交互になっている。ところで、2次の非線形性に起因する歪電流の方向(極性)は、電場の向きには依存せず、結晶の方位のみに依存するため、図5(a)に示す場合には、電場Ed3によって発生する歪電流のうち、電極指Fsに現れる歪電流と、電極指Frに現れる歪電流は、大きさが同じで、方向も同じとなる。この2つの歪電流は打ち消し合うため、電極指Fsと電極指Frとが交互に配列される通常のIDTでは誘電率の2次の非線形性によって生じる歪電流は小さい。
なお、この図では、2次の歪電流がZ軸正方向に発生すると仮定しているが、実際の圧電結晶では非線形係数の符号によって負方向に発生する場合もある。以下の説明でも2次の歪電流がZ軸正方向に発生すると仮定するが、負方向に発生する場合でも全体の符号を反転させればよいため、同じ説明が成り立つ。また、図中において、歪電流を破線で、電場Eを太い実線で、電場EのZ軸成分を含む電場Ed3を細い実線で示している。
これに対して、図5(b)に示す例では、端部電極指Fbの両側で電場Eが非対称となっている。これは端部電極指Fbの両側(図面の左右方向)で電極指Fの電位が対称ではないためである。具体的には、境界部分よりも電極指Frのみが配列される部分(Area1)の電極指Frの側では電気力線が広がってしまい、端部電極指Fb近傍に電場集中が起こるため、電場Eが非対称となる。
このように電場Eが、端部電極指Fb近傍において、境界部分に最も近い電極指Fr近傍よりも大きくなることで、それに伴う電場Ed3にも差が生じ、端部電極指Fbに生じる歪電流が境界部分に最も近い電極指Frに生じる歪電流よりも大きくなり、互いに打ち消し合うことができなくなる。このため、ネットの歪電流が歪波として外部に出力されるようになる。具体的には、この例では、基準電位に接続される側から信号が入力される入力信号端子SIG側に歪電流が生じる。本発明者は、鋭意遂行を重ね、このような歪波の発生原理を解明した。
なお、上記では、歪電流の発生原理を分かりやすくするために簡略化した説明を行っているが、より正確には、電極指Fが励起する電場分布と、圧電基板S内の誘電率の2次の非線形性を組み込んだ非等方方程式から電極指F間に発生する歪波を求める必要がある。しかし、後に述べるように、上記した考え方で、実測される歪波の挙動をほぼ完全に説明することができる。
(歪波発生原理の検証)
ここで、上記した歪波発生原理を確認する実験結果を説明する。図6に作製したデバイスの概要を示す。デバイスは基本的に2つのストリップ状の電極が、あるギャップだけ間隔をあけて配置されたインターディジタル・キャパシタになっている。本実験では、リファレンス用の対称形状(「対称モデル」)の電極の他に、電極の非対称性起因の歪波を確認するために、2種類の非対称モデル1,2に係るインターディジタル・キャパシタを作製した。非対称モデル1は片側のストリップ状の電極の幅を大きくしたものであり、非対称モデル2は片側の電極を反射器のようにショートさせた複数のストリップとしたものである。これは、後で述べる多重モード型フィルタの第1IDT55の端部を模したものである。圧電基板Sは42°Yカット−X伝播のLiTaO基板を使用した。また、上述の各モデルについて、このインターディジタル・キャパシタの2つの電極の配列方向をX軸に対して0°とした場合と90°とした場合についてそれぞれ作製した。
表1に作製したデバイスの仕様をまとめたものを示す。
Figure 2016088804
表1には、それぞれのデバイスの仕様に加え、それぞれのデバイスについて、電場の面方向成分Ed2による歪と、電場の深さ方向成分Ed3による歪とが発生するかどうかについて、上述した歪波発生原理に従って想定した結果も示している。なお、このインターディジタル・キャパシタの2つの電極の配列方向をX軸に対して90°とした場合には、図7(a)に示すように配列方向がD2方向となり、D2方向(面方向)の電場成分Ed2を持つようになり、電場EがZ軸方向成分を含むものとなることが想定される。すなわち、インターディジタル・キャパシタの2つの電極の配列方向が90°の場合には、全てのモデルで電場の面方向成分Ed2による歪波が発生し、これに加え、非対称モデル1,2の場合には、深さ方向の電場成分Ed3による歪波も発生する。このため、非対称モデル1,2の歪波はこれらが合成されたものとなり、複雑となることが想定される。
なお、図7は、SAWの伝播方向(D1,X)と直交する方向に沿った断面図である。
図8に、2次の非線形性によって発生する歪波(2次高調波)を評価するための評価系のブロック図を示す。この評価系では、信号発生器において所定のパワーの信号を発生させて、その信号をパワーアンプ,アイソレータ,方向性結合器を介して測定対象のデバイス(DUT)に入力し、DUTからの反射波を方向性結合器を介してフィルタ(HPF)に入力し、反射波に含まれる2次高調波成分のみをスペクトラムアナライザー(SA)にて測定するものである。HPFは、DUTから反射されてきた入力信号がSAに入力されるのを防ぐために挿入されている。なお、入力信号のパワーは22dBm、周波数fは1750〜1950MHzである。従って、2次高調波2fの周波数は3500〜3900MHzとなる。
また、図8には図示していないが、反射波の影響を低減させるために、図8に示す評価系の各所に適切な減衰レベルのアッテネータが挿入されている。
図9(a)に、歪波(2次高調波)出力の測定結果の一例を示す。図9(a)において、横軸は入力信号の周波数を、縦軸は歪波(2次高調波)の出力をそれぞれ示しており、0°配置の場合の対称モデルの測定結果を実線で、非対称モデル1の測定結果を破線で、非対称モデル2の測定結果を一点鎖線でそれぞれ示している。
インターディジタル・キャパシタの2つの電極の配列方向は0°の場合であるため、対称モデルの場合は歪波は発生せず、非対称モデル1,2の場合は電場の深さ方向成分による歪が発生すると予想される。測定結果も予想と一致し、対称モデルの場合には歪波が非常に小さくなっているのに対し、非対称モデル1,2の場合には−82dBm程度の歪波が発生している。ここで注目すべき点は、非対称モデル1、2で発生する歪波がほぼ同じ強度であることである。これは、インターディジタル・キャパシタの片側の電極が幅広の場合と、反射器のようなショートさせた複数のストリップとしたもので、圧電基板Sに中に励起される電場の非対称性が同様であることを示している。
次に、図9(b)に、表1で示した6種類のデバイスの歪波(2次高調波)の3500〜3900MHzの範囲における出力の平均値を示す。図9(b)において、横軸は6種類のデバイスを、縦軸に二次高調波の出力を示している。実線は各デバイスの実測値を示し、破線はシミュレーション結果を示している。
シミュレーションは以下の様に行った。まず、有限要素法(FEM)によって、デバイスの電極が圧電基板内に励起する電位分布を求める。次に、圧電基板内の誘電率の2次の非線形性(2次の非線形誘電率)に基づいて、上記電位分布が励起する2次高調波の電束密度の分布を求める。最後に、その電束密度を元に、2次高調波の電位分布をFEMで求める。このようにして、任意の形状・配置の電極に発生する2次高調波の強度を計算することができる。すなわち、歪波が、電位分布とそれにより形成される電場の分布により生じるとの推測した、歪波発生原理に沿うシミュレーションである。
なお、シミュレーションでは圧電結晶(42°Yカット―X伝播のLiTO基板)のZ軸方向のみの誘電率を非線形にしており、その他の軸方向における非線形は小さいものとして計算を行なっている。
シミュレーション結果と実測値とがよく一致していることから、上記した歪発生原理の考え方が正しいことが確認できる。
なお、対称モデルのうち、配列方向が0°のものは、実測値とシミュレーション値とが乖離している。これは、シミュレーションでは歪波が発生しないと予想されているのに対して、実測値での歪波の測定限界が−100dBm程度であることに起因している。すなわち、実際には歪波はほとんど発生しておらず、測定限界以下の歪波となっているため乖離しているに過ぎず、シミュレーション結果と一致しているものと考えられる。
また、インターディジタル・キャパシタの2つの電極の配列方向が0°のときの非対称モデル1,2の歪波の出力に比べ、インターディジタル・キャパシタの2つの電極の配列方向を90°としたときの対称モデルの歪波の出力が大きくなっている。このことから、この圧電基板Sでは、電場の面方向成分による歪波の方が、電場の深さ方向成分の非対称性に起因する歪波よりも大きく、歪波の大きさには、非対称モデル1,2のように電極指の形状を調整することによる影響よりも、電極指の配置方向を調整する影響の方が大きいことが推察される。
また、配置方向が90°の場合の非対称モデル1,2のデバイスの場合には、電場の面方向成分による歪波と、電場の深さ方向成分による歪波の双方が同位相で発生するため、歪波同士が強め合って、大きな歪波出力となる。逆に、今回作製したデバイスと信号側に接続される電極と基準電位側に接続される電極との配置が逆の場合には、図7(b)に示すような電場の面方向成分による歪波が発生し、図7(a)に示す場合と極性が逆になる。そして、図7(b)に示す電極配置において、基準電位側の電極の幅を非対称モデル1,2のようにすると、電場の面方向成分による歪波と、電場の深さ方向成分による歪波の双方が逆位相で発生するため、歪波どうしが弱め合って、対称モデルの場合よりも歪波出力が小さくなると予想される。
(歪発生原理の多重モード型フィルタ17への適用)
図10に多重モード型フィルタ17を第1〜第3IDT55〜57の静電容量に注目して回路図にしたものを示す。第1IDT55は、入力IDTとして機能するものであり、一方の櫛歯電極59Aが信号端子SIGに、他方の櫛歯電極59Bが接地電位(参照電極RP)に接続されている。また、第1IDT55に隣接する第2IDT56,第3IDT57は、出力IDTとして機能するものであり、一方の櫛歯電極59D,59Fが接地電位に、他方の櫛歯電極59C,59Eが出力端子OUT1,OUT2に接続されている。
なお、図2、図3、図4および図10に示した多重モード型フィルタ17は、所謂3IDTタイプの多重モード型フィルタの例であり、第2IDT56,第3IDT57が出力端子OUTに接続されているが、これに限定されない。例えば、3IDTタイプ以外のタイプの多重モード型フィルタでは、第2IDT56,第3IDT57は必ずしも出力IDTとしては機能しない場合もある。その場合でも、第2IDT56,第3IDT57が第1IDT55に隣接しており、かつ、第2IDT56,第3IDT57の一方の櫛歯電極59D,59Fが接地電位になっていれば、以下の説明は同様に成り立つ。
多重モード型フィルタ17が分波器1の受信側のフィルタに使用されている場合を考える。分波器1で問題となる歪波は、分波器1に強い送信信号が入力されたときに発生するものである。送信信号TSの周波数は受信側の多重モード型フィルタ17の通過帯域外なので、多重モード型フィルタ17のIDT55〜57の共振周波数からは離れた周波数となる。このため、IDT55〜57は共振を起こさず、あたかも容量素子であるインターディジタル・キャパシタ(C1〜C3)のように振舞う。つまり、第1IDT55は、信号端子SIGと接地電位RPとの間に接続されたインターディジタル・キャパシタC1として動作する。また、第1IDT55に隣接する第2IDT56,第3IDT57は、一方の櫛歯電極59D,59Fが接地電位に接続され、他方の櫛歯電極59C,59Eは、櫛歯電極59D,59Fとの静電容量によって接地電位と結合される電位となるインターディジタル・キャパシタC2,C3となる。
ここで、第1IDT55の櫛歯電極59Aから、第2IDT56,第3IDT57の櫛歯電極59がどのような電位に見えるかについて検討する。まず、第2IDT56,第3IDT57の櫛歯電極59D,59Fは接地電位に接続されている。また、第2IDT56,第3IDT57の櫛歯電極59C,59Eは、接地電位と櫛歯電極59D,59Fとの静電容量によって接地電位と結合される電位であり、信号端子SIGの電位と比較するとほぼ接地電位と等しいと近似可能な値となっている。第2IDT56,第3IDT57の第1櫛歯電極59C,59Eのうち、第1IDT55側の電極指63と、第1IDT55の第2IDT56,第3IDT57側の電極指63ともキャパシタC4,C5を形成し、静電容量が発生する。しかしながら、キャパシタC4,C5の静電容量は、電極指63一対分となる。これに対し、第2IDT56,第3IDT57の電極指の本数は通常数10本になるので、キャパシタC2,C3の静電容量はキャパシタC4,C5の静電容量に対して十分に大きくなる。これにより、キャパシタC4,C5を考慮する必要はなくなり、第1IDT55の櫛歯電極59Aから見ると、第2IDT56、第3IDT57の櫛歯電極59C,59Eは、ほぼ接地電位(RP)となる。つまり、第1IDT55の櫛歯電極59Aからは、第2IDT56、第3IDT57の櫛歯電極59は、ほぼ接地電位に見えることとなると考えられる。
このため、図3に示す多重モード型フィルタ17において、第1IDT55と、第2IDT56,第3IDT57のうち最も第1IDT55側に位置する電極指63と、の電位の状態が、図5(b)と同様の状況となっていることが推察される。すなわち、第1IDT55の第1櫛歯電極59Aのうち最も外側に位置する電極指63が端部電極指Fbであり、第2IDT56,第3IDT57の電極指Fが、境界部分よりも左側(Area1)に位置する電極指Frに相当する。
以上より、多重モード型フィルタ17において、第1IDT55と第2IDT56との間および第1IDT55と第3IDT57との間において、基板53内部における電場が非対称になることに起因して発生する、基準電位RP側から信号端子SIG側に向かう歪電流が、多重モード型フィルタ17での歪波の発生理由であると考えた。この歪電流の大きさは、電極指63の交差幅と、入力端子INと基準電位との電位差とにより決定される。なお、第1IDT55にIDTではなく反射器が隣接している場合でも、信号端子SIG側に電場が集中する非対称性ができるため、IDTが隣接している場合と同様の歪電流が発生する。特に、反射器が基準電位RP側に接続されている場合は、上述の説明と全く同様の状況になる。
なお、上記の説明は、多重モード型フィルタ17に1つの信号(送信信号TS)が入力された場合についての説明であるが、この送信信号TSと同時に、送信信号TSの周波数と足しあわされる、もしくは差し引かれることにより受信信号の周波数帯になる妨害信号が入力された場合には、この2つの信号が上述した2次の歪波発生原理によって混合され、受信信号の周波数帯の歪波が発生する。この歪波は受信信号の周波数帯であるため多重モード型フィルタ17を通過し、受信信号のSN比を悪化させる、所謂相互変調歪(IMD:Inter-Modulation Distortion)となる。
以上の発生原理を踏まえて、発明者は以下に説明する歪波の低減方法を発案した。すなわち、多重モード型フィルタ17の歪波は高周波信号として出力されるため、フィルタ17もしくは分波器1内に、この歪波と同等の強度を持ち、位相が180°異なる歪波を発生させる要素を設ければ、信号を打ち消し合うことによって、外部に出力される歪波は低減されると考えた。本実施形態では、図3に示すように容量部70により新たな歪波を形成することで、多重モード型フィルタ17からの歪波を打ち消している。
(多重モード型フィルタからの歪波を打ち消す原理)
図11と図7(b)とを用いて、容量部70により、多重モード型フィルタ17からの歪波を打ち消す原理について説明する。図11は、図3に示すSAW素子1の一部の構成を示す要部概略平面図である。図11において、第3IDT57,反射器58等の図示を省略している。
上述した通り、多重モード型フィルタ17からは、信号端子SIG側から流れ出す方向に歪電流が出力される。SAW素子51は、図3および図11に示すように、多重モード型フィルタ17の信号端子SIGに容量部70が接続されている。この容量部70は、多重モード型フィルタ17の電極指63の配列方向とは90°異なる方向に、2つの対向電極71A,71Bが配列されてなる。言い換えると、容量部70は、多重モード型フィルタ17における弾性波の伝播方向とは90°異なる方向に、2つの対向電極71A,71Bが配列されてなる。すなわち、この容量部70は、図6で示した、配置方向が90°の対称モデルのインターディジタル・キャパシタとして振る舞うこととなる。ただし、信号端子の側に接続される対向電極71Aと、基準電位に接続される対向電極71Bとの配列方向が逆となっている。このため、図11のA−A線における断面における電場および歪電流の状態は、図7(b)に示す状態と同じになっている。
図7(b)に示すように、容量部70を構成する対向電極71A,71Bは、多重モード型フィルタ17の電極指63の配列方向とは90°異なる方向に配列されているため、電場の面方向成分が基板53の圧電結晶のZ軸方向の成分を持つようになる。このため、図7(b)に示すように、信号端子SIG側から基準電位RP側に歪電流が出力される。
すなわち、容量部70により、多重モード型フィルタ17で発生する信号端子SIG側に出力される歪電流とは位相が180°異なった歪電流が出力される。この容量部70による歪電流の大きさを、多重モード型フィルタ17で発生する歪電流と略同一となるように、対向電極71A,71Bの交差幅や間隔を調節することにより、歪電流同士を打消し、歪波の出力を低減することができる。
ここで、容量部70のように電場の面方向成分に起因する歪電流により、多重モード型フィルタ17から出力される歪電流と打ち消すための基板53上での配置の方向性は、圧電基板の結晶方位、カット角、極性、フィルタを形成する基板上の向きによって変わるため、それぞれのケースについて、本発明で説明した原理に従って配置の方向性を決定する必要がある。
なお、分波器1において、送信信号TSの強度は受信信号RSの強度よりも高いことから、送信信号TSに起因する歪波を低減することが分波器1の特性向上に大きく寄与するものとなる。また、多重モード型フィルタ17により生じる歪波は、上述の通り、結晶方位のZ軸方向の成分を含む、電場のD2方向とD3方向とが大きく寄与する。上述の例ではD3方向(深さ方向)を主としてる。D2方向に由来の歪みとしては、電極指63とこれに対向するダミー電極67とのギャップによるものが想定される。しかしながら、多重モード型フィルタ17は、一般的に電極指63の本数が少なく、D2方向のギャップ箇所も少ないため、D2方向に由来する歪がD3方向に由来する歪に比べて小さくなる。このために主として、D3方向に由来する歪波に着目して設計される容量部70は、多重モード型フィルタ17に適したものとなり、多重モード型フィルタ17により生じる歪を効果的に打ち消すことができるものとなる。
2次の歪波を抑制する手法としては、国際公開2014/133084号公報に示されているように、共振子を分割して、配置方向を逆にして接続する、所謂逆相分割による方法が知られている。しかし、多重モード型フィルタ17では、2次の歪波の大きな部分が上述したIDT端部の非対称性に起因して発生するため、同じ基板上に形成されている場合は、配置方向にかかわらず同じ極性の歪波が発生してしまう。そのため、逆相分割による歪の低減手法は適用できない。これに対して、本発明によれば、多重モードフィルタ17からの歪波の発生原因を初めて解明したことから、効果的に歪波を低減させることができる。
(変形例1:容量部75)
上述のSAW素子51では、容量部70により面方向の電場に起因する歪電流を出力させることで歪波を低減させる例について説明したが、容量部70に代えて、深さ方向の電場に起因する歪電流を出力させる容量部75により歪波を低減させてもよい。この容量部75は、図6で示した、配置方向が0°の対称モデルのインターディジタル・キャパシタとして振る舞うこととなる。
図12を用いて、容量部75の構成について説明する。図12(a)は、多重モード型フィルタ17の一部と容量部75とを示す平面図である。図11と同様に、多重モード型フィルタ17の一部構成の図示を省略している。容量部75は、第1対向電極76Aと第2対向電極76Bとを備える。容量部75は、容量部70とは、対向電極76A,76Bの配置方向と、第1対向電極76Aと第2対向電極76Bとで幅が異なる点で相違する。
容量部75において、入力端子側に接続される第1対向電極76Aと基準電位側に接続される第2対向電極76Bとは、SAWの伝播方向(D1方向,X軸方向)と直交する方向(D2方向)に延び、SAWの伝播方向に沿って間隔をあけて配置されている。そして、第1対向電極76AのSAWの伝播方向における幅は、第2対向電極76Bの幅に比べて大きくなっている。
このような容量部75により基板53内に励起される電場を図12(b)を用いて説明する。図12(b)は、図12(a)のB−B’線における断面図である。図12(b)に示すように、第1対向電極76Aの幅が大きいため、第2対向電極76B側において電場が集中し、第1対向電極76Aと第2対向電極76Bとの間で電場Eが非対称となる。
多重モード型フィルタ17での歪発生は、入力側の第1IDT55の端部に位置する電極指63から見て、隣接する出力IDTである第2IDT56、第3IDT57の全電極指63が基準電位に見えるため、第1IDT55の一番外側の電極指63に電場が集中することが原因である。図12(b)に示す構成は、これとは逆に、基準電位に接続される第2対向電極76Bから見て信号端子SIGの側の第1対向電極76Aが広く見える。このため、第2対向電極76Bに電場が集中し、図5(b)とは逆極性の歪電流が発生する。なお、ここで使用している容量部75は図6で説明した「配置方向0°・非対称モデル1」のインターディジタル・キャパシタに相当する。
より詳細には、電場Eは第2対向電極76B側で強くなるため、電場Eの深さ方向成分Ed3は第1対向電極76Aよりも第2対向電極76Bの側で大きくなる。このため、入力端子に接続される側の第1対向電極76Aと、基準電位に接続される側の第2対向電極76Bとで発生する歪電流が異なるようになり、ネットの歪電流が出力される。すなわち、容量部75に起因する歪電流は基準電位側に出力される。多重モード型フィルタ17からは信号端子SIGの側に歪電流が出力されるため、この2つの歪電流は位相が180°異なる。容量部75に起因する歪電流の大きさを、多重モード型フィルタ17で発生する歪電流と略同一となるように対向電極76A,76Bの交差幅や間隔を調節することにより、歪電流同士を相殺させ、SAW素子51の歪波の出力を低減することができる。
なお、容量部75は対向電極76A,76Bの配列方向がZ軸と直交するX軸(D1方向)であるため、電場EのうちZ軸成分はD3方向のみに現れ、面方向の電場に起因する歪電流は考慮する必要はない。また、図12において、―D1方向に第1対向電極76A,第2対向電極76Bが順に配置された例を用いて説明したが、D1(X軸)方向はZ軸成分を有していないため、配列順はこれに限定されない。例えば、+D1方向に第1対向電極76A,第2対向電極76Bが順に配置されていてもよい。
また、図12において、容量部75は、SAWの伝播方向に交差する方向において(例えばD2方向において)、多重モード型フィルタ17の側方に位置させている。このように配置することで、容量部75は、多重モード型フィルタ17のSAWの伝播による振動の影響を受けることがなく、信頼性の高いSAW素子とすることができる。
(容量部75の変形例)
図12では、容量部75を構成する対向電極76A,76Bの幅を異ならせた場合について説明したが、容量部75は第2対向電極76Bの側に電場を偏らせることができればこの例に限定されない。
例えば、図13(a)に示すように、第2対向電極76Bの両側に幅広の第1対向電極76Aを設けてもよい。すなわち、第1対向電極76Aは、第2対向電極76BをSAWの伝播方向において挟むように両側に配置される第1電極部分76Aaと第2電極部分76Abとを備えていてもよい。このような構成とすることにより、図12に示す場合の2倍の大きさの歪電流を発生させることができる。多重モード型フィルタ17での歪発生箇所は、第1IDT55と第2IDT56との間と、第1IDT55と第3IDT57との間の2か所である。このため、単純に多重モード型フィルタ17と対向電極76A,76Bとで電場の偏り具合や送信信号TS等の強度が同程度と仮定すると、図13(a)の対向電極76A,76Bの対向する幅(交差幅)を多重モード型フィルタ17の電極指63と同じように設定すれば、多重モード型フィルタ17からの歪電流をほぼ完全に打ち消し合うことができる。実際には電場の偏り具合は一様ではなく、かつ送信信号TSの強度も同一ではないが、図13(a)の構成を用いることより、SAW素子51を小型化することができる。
さらに、図13(b)に示すように、第1対向電極76Aを反射器のような構成としてもよい。この場合には、電場の状態が多重モード型フィルタ17に近くなり、歪電流の大きさを揃えることが容易となる。また、容量部75を図13(b)に示す構成で実現する場合には、第1対向電極76Aを反射器58の一部とすることもできる。例えば、図3に示す反射器58を第1対向電極76Aとし、その外側に基準電位に接続される第2対向電極76Bを配置してもよい。
(基板53の圧電結晶軸と容量部70,75との構成の関係)
上述の例では、回転Yカット・X伝播の圧電結晶を基板として用いた場合を例に説明したが、−回転Yカット・X伝播の圧電結晶を用いてもよい。この場合であっても、結晶軸Z軸方向における電場の大きさ、極性を考慮の上、容量部70,75を設計すれば、上述に示した例と同様の効果を奏することができる。
図17を用いて、基板53のカット角等により上面53aに対する圧電結晶のZ軸の向きが変わったときの容量部70,75の構成について説明する。図17に、基板53の上面53aに対す圧電結晶のY軸,Z軸の関係をケース1〜ケース4に分けて示す。ケース1〜ケース4は、Z軸の面方向成分、厚み方向成分の方向の組み合わせが異なる。
なお、図17において、A1からA3列、A5列は図7と同じ方向における断面図(SAWの伝播方向に垂直な面における断面図)であり、A4列、A6列は図5と同じ方向における断面図(SAWの伝播方向に直交する方向における断面図)である。
ここで、多重モード型フィルタ17から出力される歪電流の極性について検討する。多重モード型フィルタ17から出力される歪電流は、Z軸の厚み方向成分に起因するものである、このため、ケース1,ケース2に示すように、Z軸の厚み方向成分が上向き(基板53の下面53b側から上面53a側に向かう向き)の場合には、歪電流は基準電位RF側から信号端子SIG側に向かうものとなる。逆に、ケース3,ケース4に示すように、Z軸の厚み方向成分が下向き(基板53の上面53a側から下面53b側に向かう向き)の場合には、歪電流は信号端子SIG側から基準電位RF側に向かうものとなる。
このことから、ケース1,2の場合には、容量部70,75で発生させる歪電流の極性は、信号端子SIG側から基準電位RF側に向かうように設計する。ケース3、ケース4の場合には、容量部70,75で発生させる歪電流の極性は、基準電位RF側から信号端子SIG側に向かうように設計する。
容量部70について検討すると、信号端子SIG側から基準電位RF側へと歪電流を発生させるためには、A5列に示すように、Z軸の面方向成分の順方向に沿って第1対向電極71A,第2対向電極71Bの順に配置すればよい。ケース1,ケース2について、上面から見たときの容量部70の第1対向電極71A,第2対向電極71Bの配置をみると、第1対向電極71A,第2対向電極71Bの配置順が逆だが、Z軸の面方向成分の方向に照らして考えると同じ順に配置されていることとなる。
同様に、基準電位RF側から信号端子SIG側へと歪電流を発生させるためには、A5列に示すように、Z軸の面方向成分の順方向に沿って第2対向電極71B,第1対向電極71Aの順に配置すればよい。ケース3,ケース4について、上面から見たときの容量部70の第1対向電極71A,第2対向電極71Bの配置をみると、第1対向電極71A,第2対向電極71Bの配置順が逆だが、Z軸の面方向成分の方向に照らして考えると同じ順に配置されていることとなる。
次に、容量部75について検討すると、A6列に示すように、第1対向電極76Aを第2対向電極76Bよりも幅広とすることで、信号端子SIG側と基準電位RF側との電場の偏り方を多重モード型フィルタ17と反対にしているため、自動的に多重モード型フィルタ17と逆方向の歪電流が発生する。
図4等の説明では42°YカットX伝播の圧電結晶の表面を使っており、ケース1の場合となっている。
なお、上述の説明では、歪電流の極性を分かりやすくするために、信号が入力される側を信号端子SIG側とし、信号端子SIG側に向かう方向を、基準電位RF側から信号端子SIG側とし、信号端子SIG側から出力される方向を、信号端子SIG側から基準電位RF側とした。しかしながら、「基準電位RF側」は信号端子SIG側に対する比較対象として用いたものであり、信号端子SIGよりも低い電位に接続されていればよく、実際にグランドに接続される必要はない。
また、多重モード型フィルタ17の第1バスバー,第2バスバーの配置方向はZ軸の面方向成分の順方向でも逆方向であっても、多重モード型フィルタ17から出力される歪電流の極性に影響はない。
また、42°YカットX伝播基板を用いた場合には、Z軸の厚み方向成分と面方向成分とがほぼ同じ大きさのベクトルとなるが、両者の大きさが異なる場合がある。例えば、―10°〜―20°YカットX伝播基板を用いた場合には、厚み方向成分のベクトルの大きさが大きくなる。このような場合には、容量部75を用いる方が効果的に歪電流を抑制することができる。
(他の変形例1:容量部70,75)
図3,図11,図12において、容量部70,75は、多重モード型フィルタ17の信号端子SIGに直接接続している例を説明したが、本発明ではこれに限らず、例えば、受信フィルタ9の多重モード型フィルタ17の前段に接続されている共振子(図2の15)のさらに前段や、送信フィルタ5側に接続することもできる。これらの場所は、一般に多重モード型フィルタ17の信号端子SIGよりも高い高周波電圧が印加されているため、小さい付加容量でも大きな歪電流が発生する。このため、容量部70,75を小型化することができる。これにより、デバイス全体を小型化することができる。例えば、容量部70,75の容量を大きくするために複雑な櫛歯電極をかみ合わせたものとせずに、単純な一対の対向電極でも効果を奏することができる。これにより、意図せぬ歪波を生じる虞をなくすことができる。
(他の変形例2:容量部70,75)
図3,図11に示す例では、容量部70は、SAWの伝播方向であるX軸方向(D1方向)と直交する方向(D2方向)において対向電極71A,71Bを配列させたが、このように90°異ならせなくてもよい。基板53の上面53aにおいて、第1対向電極71Aから第2対向電極71Bに向かう方向に、Z軸由来の電場成分を含めていればよく、例えば、90°から45°以下の角度で傾けてもよい。より好ましくは傾ける角度を30°以下としてもよい。すなわち、対向電極71A,71Bの配列方向をD2方向に投影した成分が、−D2方向となっていればよい。
同様に、図12に示す例では、容量部75は、SAWの伝播方向と略平行に配列させたが、X軸から45°以下の角度で傾けてもよい。
(他の変形例3:容量部70,75)
上述の例において、容量部70,75の各対向電極の長さ(対向する幅、交差幅)を、多重モード型フィルタ17の電極指63の長さに比べて長くしてもよい。多重モード型フィルタ17では、電極指63の長さに応じた歪電流が2か所で発生する。このため、容量部70,75の各対向電極の長さを電極指42よりも長くすることで、電場を発生させる領域を確保して、多くの逆位相の歪電流を発生させることができる。
なお、容量部70,75において、対向電極の幅の中心間隔は多重モード型フィルタ17の電極指43のピッチよりも大きくしてもよい。このような構成とすることにとり、短絡を防ぎ信頼性を高めることができる。
(他の変形例4:容量部70,75)
なお、上記では容量部70,75を新たな構成として多重モードフィルタ17の外部に追加することにより多重モードフィルタ17から発生する歪波を打ち消し合う手法について記述したが、多重モードフィルタ17や共振子15の内部に取り入れてもよい。すなわち、容量部70,75の代わりに、共振子15のダミー電極と励振電極のギャップから発生する歪波を用いて打ち消し合うようにしてもよい。この場合には、共振子のダミー電極と励振電極とで90°配置の容量部70が形成されていると考えても良い。その場合には、共振子15の信号が入力される側と出力される側との励振電極の配置をZ軸を考慮して設計すればよい。
また、多重モードフィルタ17の第1IDTの第2櫛歯電極のバスバーを第2対向電極71Bとして利用し、それと間隔を開けて配置する信号側に接続される第1対向電極71Aを設けて、容量部70としてもよい。この場合にも、本発明の90°配置の容量部70が形成されていると考えられる。
さらに、多重モードフィルタ17の反射器58の一部を分割して基準電位に接続したものを第2対向電極76Bとして用いて、その外側に信号側に接続された幅広の第1対向電極76Aを設けてもよい。この場合には、本発明の0°配置の容量部75が形成されていると考えても良い。
(他の変形例5:容量部70)
また、上記では、容量部70を構成する対向電極71の線幅は略同一としているが、異ならせてもよい。その場合には、面方向成分による歪電流の極性と同極性の歪電流が生じるように調整すると、より大きな歪電流が得られ、容量部70を小型化することができる。
例えば、図3,4に示すような、基板53として42°YカットX伝播基板を用いて、その上面に容量部70を構成する場合には、第1対向電極71A側の線幅を幅広にすればよい。
(他の変形例6:容量部75)
図12において、容量部75は、SAWの伝播方向に交差する方向において(例えばD2方向において)、多重モード型フィルタ17の側方に位置させているが、多重モード型フィルタ17のSAWの伝播方向の延長線上に配置してもよい。この場合には、SAWによる振動の影響を抑制するために、容量部75を厚い絶縁膜で覆ってもよい。このような絶縁膜としては、例えば、SAW素子をWLPする場合のカバーを用いることができる。
(他の変形例)
また、上述の例では、容量部70,75は多重モード型フィルタ17に対して並列に接続された場合を例に説明したが、直列であってもよい。 さらに、上記では容量部70,75のいずれかを1つ設けた例を説明したが、複数の容量部70または複数の容量部75を設けてもよい。また、容量部70と容量部75とを両方設けてもよい。 また、多重モード型フィルタは本例のように3段に限定される必要はなく、2段でもよいし、3段よりも多くのIDTが縦結合していてもよい。
上述の実施形態に示す、多重モード型フィルタ17と容量素子70,75との組み合わせによる歪波抑制効果を図14に示すSAW素子51を作製して検証した。具体的には、まず、多重モード型フィルタ17を以下の通り作製した。
圧電基板:
材料:LiTaO
カット角:42°Yカット X伝播
IDT55〜57:
材料:Al−Cu
電極指63:
本数(n):31本
ピッチ(p):約2.1μm(λ=4.2um)
ギャップ長さ(d):約0.6μm
幅(w):約1.05μm
交差幅:124μm
共振周波数:900MHz付近
上述の多重モードSAWフィルタ17に対して、容量部80を作製した。具体的には容量部80は、基本構造は、容量部70と同様となっている。容量部80は、対向電極81A,81BをSAWの伝播方向と90°方向(D2方向)に対向させた構成になっており、その対向長さを100μmから400umまで変化させた。また、対向電極71A,71Bのギャップは0.75μmである。容量部70の結晶方位に対する方向(極性)は、多重モード型フィルタ17の第1IDT55端部で発生する歪波の位相と逆位相(相殺)と同位相(強め合い)の2つの場合について試作を行った。図14には「相殺」の場合の配置を示している。すなわち、「相殺」の場合には、Z軸の面方向成分の順方向を−D2方向とすると、容量部80の第1対向電極81Aから第2対向電極81Bに向かう方向を−D2方向としている。
「強め合い」の場合には、容量部80の第1対向電極81Aから第2対向電極81Bに向かう方向を+D2方向としている。
なお、これらの向きは、本実施例に用いた42°Yカット―X伝播のLiTaO3基板の場合であり、他のカット角の場合には異なってくる可能性がある。そのような場合でも、本明細書の内容に沿って配置方向を決定すれば、「相殺」「強め合い」を制御することができる。
また、容量部80を接続する場所とし、多重モード型フィルタ17の信号端子SIG(A)および共振子15の入力側(B)の場合のそれぞれについて試作を行った。表2に試作したフィルタの仕様を示す。
このような仕様のうち、フィルタA〜C,H〜Kは本発明の実施例であり、フィルタD〜F,L〜Nは比較例となる。
Figure 2016088804
試作したSAW素子(フィルタ)から出力される歪波の測定は、図8の測定系と同様のものを用いた。具体的には、図8のDUTにSAW素子を配置し、多重モード型フィルタ17の出力側には終端器を接続した。測定条件は下記の通りである。
入力信号:
パワー:22dBm
周波数:750〜950MHz
計算対象:2次高調波(1500〜1900MHz)のパワー
図15(a)に容量部80をAに接続した場合のフィルタCの、(b)に容量部80をBに接続した場合のフィルタIの歪波の測定結果を示す。横軸は入力信号の周波数を、縦軸は二次高調波の出力をしめしている。図中に破線でフィルタC,フィルタIの特性を、実線で容量部80を接続しない場合(リファレンス)の特性を示している。
本実施例のフィルタの通過帯域は900MHz〜950MHz程度であり、この周波数帯域に歪波のピークが現れる。これは、IDT55〜57の共振に伴う機械的な非線形性起因の歪波である。それ以外の周波数(図15では750MHz〜900MHz)ではIDT55〜57の振動が小さいため、本発明で詳述した誘電率の非線形起因の歪波の寄与が大きくなる。このフィルタを分波器1の受信側フィルタ9に使用する場合は、問題となる信号強度の大きな入力波は受信フィルタの通過帯域よりも低周波側の送信波である。このため、受信側の多重モード型フィルタ17で発生する歪波は誘電率の非線形起因の歪波が主となる。本発明のSAW素子1であるフィルタC、フィルタIでは、上記した分波器1の受信側フィルタ9で問題になる入力周波数750MHz〜900MHzの場合の歪波出力(2次高調波出力)が、リファレンスに比較して低減されていることが分かる。
また、フィルタCに比べフィルタIがより効果的に歪波の出力を低減できている。これは、信号強度の強いBの位置に容量部80を接続することで、容量部80由来の歪波を大きくすることができるからであると推察される。
図16に、各フィルタの歪波出力(2次高調波出力)を示す。図16において、横軸はフィルタ名を、縦軸は750MHz〜850MHzまでの2次高調波の強度の平均を示す。実施例にかかるフィルタA、B、CおよびフィルタH、I、J、Kでは、歪波がリファレンスよりも低減されていることが分かる。また、比較例であるフィルタD、E、F、フィルタL、M、Nは歪波がリファレンスよりも大きくなっている。これは、容量部80で発生する歪波が、多重モード型フィルタ17で発生する歪波と同相になるため、この2つの歪波が強め合ってしまい、リファレンスよりも大きな歪波が出力されているためである。
また、図16(a)、(b)では、フィルタC、フィルタIが最も歪波が小さくなる。これは、容量部80で発生する歪波と、多重モード型フィルタ17で発生する歪波が位相が逆で強度がほぼ同じになっているため、歪波を打ち消し合っているからである。このように、容量部80の対向電極71A,71Bの長さを適切に設定することにより、歪波を打ち消し合う効果を高めることができる。容量部80は、対向電極81A,81Bのギャップ、多重モード型フィルタ17の公差幅やピッチ、基板53のカット角、電極指63の電極厚みなどによって変化するため、それぞれの場合で最適な長さを導出する必要がある。この導出には、実際にフィルタを試作して求める方法の他に、図9(a)で説明したシミュレーションによっても求めることができる。なお、容量部70を図14の接続場所Bに接続したフィルタであるフィルタH、I、J、Kの方が、短い長さの容量部70で大きな歪低減効果が得られている。これは、フィルタの入力端子に近い接続場所Bの方が入力信号の強度がより大きいため、ここに容量部70を接続した方が容量部70で発生する歪波が大きくなるからである。
51…SAW素子(弾性波素子)、53…圧電基板、53a…上面、53b…下面、55…第1IDT、56…第2IDT、57…第3IDT、58…反射器、70、75・・・容量部、71A,76A…第1対向電極、71B,76B…第2対向電極

Claims (13)

  1. LiTaOまたはLiNbOである圧電結晶からなる基板と、
    該基板の上面に位置した、複数の電極指を有する、第1櫛歯電極および基準電位に接続される第2櫛歯電極を備えた、信号が入力される第1IDTおよびこれに隣接する第2IDTを含む多重モード型フィルタと、
    前記基板の前記上面に位置した、前記第1IDTの前記第1櫛歯電極の側に電気的に接続された第1対向電極および該第1対向電極に対して間隔をあけて配置されて基準電位に接続された第2対向電極を含む容量部とを備え、
    前記基板は、前記圧電結晶のZ軸を前記基板の上面に垂直な方向に投影した成分が、前記基板の下面から上面に向かっており、
    前記容量部において、前記第1対向電極および前記第2対向電極が、前記圧電結晶のZ軸を前記基板の上面に投影した成分の順方向に沿って、前記第1対向電極、前記第2対向電極の順に配置されている弾性波素子。
  2. LiTaOまたはLiNbOである圧電結晶からなる基板と、
    該基板の上面に位置した、複数の電極指を有する、第1櫛歯電極および基準電位に接続される第2櫛歯電極を備えた、信号が入力される第1IDTおよびこれに隣接する第2IDTを含む多重モード型フィルタと、
    前記基板の前記上面に位置した、前記第1IDTの前記第1櫛歯電極の側に電気的に接続された第1対向電極および該第1対向電極に対して間隔をあけて配置されて基準電位に接続された第2対向電極を含む容量部とを備え、
    前記基板は、前記圧電結晶のZ軸を前記基板の上面に垂直な方向に投影した成分が、前記基板の上面から下面に向かっており、
    前記容量部において、前記第1対向電極および前記第2対向電極が、前記圧電結晶のZ軸を前記基板の上面に投影した成分の順方向に沿って、前記第2対向電極、前記第1対向電極の順に配置されている弾性波素子。
  3. 前記容量部における前記第1対向電極から前記第2対向電極へ向かう方向は、弾性波の伝播方向に直交する方向に対する傾きが45°以下である請求項1または2に記載の弾性波素子。
  4. 前記容量部における前記第1対向電極から前記第2対向電極へ向かう方向は、弾性波の伝播方向に直交している請求項1乃至3のいずれか1項に記載の弾性波素子。
  5. 圧電結晶からなる基板と、
    該基板の上面に位置した、複数の電極指を有する第1櫛歯電極および基準電位に接続される第2櫛歯電極を備えた、信号が入力される第1IDTおよびこれに隣接する第2IDTを含む多重モード型フィルタと、
    前記基板の前記上面に位置した、前記第1IDTの前記第1櫛歯電極の側に電気的に接続された第1対向電極および該第1対向電極に対して間隔をあけて配置されて基準電位に接続された第2対向電極を含む容量部とを備え、
    該容量部において、前記第1対向電極および前記第2対向電極が、弾性波の伝播方向に配置されているとともに、前記第1対向電極の弾性波の伝播方向における幅が、前記第2対向電極の弾性波の伝播方向における幅よりも大きい弾性波素子。
  6. 前記第1対向電極から前記第2対向電極へ向かう方向が、弾性波の伝播方向に略平行である請求項5に記載の弾性波素子。
  7. 前記第2対向電極は矩形状であり、
    前記第1対向電極は、前記第2対向電極を弾性波の伝播方向において挟むように配置された、それぞれ矩形状の第1電極部分および第2電極部分を備える、請求項5または6に記載の弾性波素子。
  8. 前記第1IDTの前記第1櫛歯電極に電気的に接続された補助共振子をさらに備え、
    前記容量部は、前記補助共振子を挟んで前記多重モード型フィルタの反対側に接続されている請求項1乃至7のいずれか1項に記載の弾性波素子。
  9. 前記第1対向電極および前記第2対向電極の交差幅は、前記電極指の長さよりも長い請求項1乃至8のいずれか1項に記載の弾性波素子。
  10. 前記容量部は、前記弾性波の伝播方向に直交する方向において、前記多重モード型フィルタの側方に位置している請求項1乃至9のいずれか1項に記載の弾性波素子。
  11. 前記第1対向電極の幅の中心と前記第2対向電極の幅の中心との間隔は、前記第1IDTの前記電極指の幅の中心の間隔よりも大きい請求項1乃至10のいずれか1項に記載の弾性波素子。
  12. アンテナ端子と、送信信号をフィルタリングして前記アンテナ端子に出力する送信フィルタと、前記アンテナ端子からの受信信号をフィルタリングする受信フィルタとを備えた分波器であって、
    前記受信フィルタは、請求項1から11のいずれか1項に記載の弾性波素子からなる分波器。
  13. アンテナと、該アンテナに電気的に接続された請求項12に記載の分波器と、該分波器に電気的に接続されたRF−ICとを備える通信モジュール。
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