JPWO2016088779A1 - ハイドロフルオロオレフィンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

目的物のハイドロフルオロオレフィンに水素が付加した過還元体や、目的物中のフッ素原子の一部が水素原子に置換された過還元体の副生が少ないクロロフルオロオレフィンを原料とするハイドロフルオロオレフィンの製造方法の提供。担体に担持された触媒の存在下に特定のクロロフルオロオレフィンと水素とを反応させて目的のハイドロフルオロオレフィンを製造する方法であって、触媒が、パラジウムおよび白金の少なくとも一方からなる白金族金属と金とを含む合金粒子からなり、合金粒子の表面における金の割合が、合金粒子の表面における白金族金属と金との合計100質量%のうち、5〜30質量%である、ハイドロフルオロオレフィンの製造方法。

Description

本発明は、ハイドロフルオロオレフィンの製造方法に関する。
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFCF=CH)(以下、HFO−1234yfとも記す。)等のハイドロフルオロオレフィンは、塩素原子を有しないため、冷媒等に用いられるクロロフルオロカーボン類等の代替化合物として有用である。
ハイドロフルオロオレフィンの製造方法としては、たとえば、下記の(i)〜(iv)の方法が提案されている。
(i)1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(CFCFCHCl)(以下、HCFC−225caとも記す。)から、脱フッ化水素反応によって1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFCF=CCl)(以下、CFO−1214yaとも記す。)を得た後、アルミナに担持されたパラジウム触媒の存在下に、CFO−1214yaと水素とを下式(6)に示すように反応させてHFO−1234yfを得る方法(特許文献1)。
CFCF=CCl+2H→CFCF=CH+2HCl ・・・(6)
(ii)活性炭に担持されたパラジウム触媒の存在下に、RfCF=CX(ただし、Rfは、炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、Xは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)と水素とを下式(9)に示すように反応させてRfCF=CHを得る方法(特許文献2)。
RfCF=CX+2H→RfCF=CH+2HX ・・・(9)
(iii)活性炭に担持されたパラジウム触媒の存在下に、クロロトリフルオロエチレンと水素とを下式(10)に示すように反応させてトリフルオロエチレンを得る方法(特許文献3)。
CF=CClF+H→CF=CHF+HCl ・・・(10)
(iv)活性炭に担持されたパラジウム触媒の存在下に、1,2−ジクロロジフルオロエチレンと水素とを下式(11)に示すように反応させて1,2−ジフルオロエチレンを得る方法(特許文献4)。
CClF=CClF+2H→CHF=CHF+2HCl ・・・(11)
しかし、(i)の方法においては、HFO−1234yfに水素が付加した過還元体である1,1,1,2−テトラフルオロプロパン(CFCHFCH)(以下、HFC−254ebとも記す。)や、HFO−1234yfのフッ素原子の一部が水素原子に置換された過還元体である3,3,3−トリフルオロプロペン(CFCH=CH)(以下、HFO−1243zfとも記す。)が副生する。
過還元体が多く副生すると、目的物の収率が下がるため、製造効率が低下する。また、HFO−1243zfは、目的物であるHFO−1234yfと沸点が近いため、後段の蒸留によって分離除去しにくい。そのため、HFO−1243zfが多く副生すると、蒸留によって得られるHFO−1234yfに、HFO−1243zfが不純物として残る。この場合、高純度のHFO−1234yfを得るためには、分離精製工程が別途必要となる。
(ii)の方法においても、目的物であるRfCF=CHとともに、過還元体であるRfCHFCHやRfCH=CHが副生する。RfがCFである、すなわち目的物がHFO−1234yfである場合、(1)の方法と同様に、HFO−1234yfの製造効率が低下し、また、高純度のHFO−1234yfを得るためには、分離精製工程が別途必要となる。
(iii)、(iv)の方法においても、目的物とともに過還元体が副生するため、目的物の製造効率が低下し、また、目的物の純度が低下する。
国際公開第2008/060614号 特開平2−286635号公報 国際公開第2012/000853号 特開平1−287044号公報
本発明は、原料のクロロフルオロオレフィン中の塩素原子を水素原子に置換してハイドロフルオロオレフィンを製造する際に、目的物のハイドロフルオロオレフィンに水素が付加した過還元体や、目的物中のフッ素原子の一部が水素原子に置換された過還元体の副生が少ないハイドロフルオロオレフィンの製造方法の提供を目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]担体に担持された触媒の存在下に、下式(1)で表されるクロロフルオロオレフィンと水素とを反応させて下式(2)で表されるハイドロフルオロオレフィンを製造する方法であって、
前記触媒が、パラジウムおよび白金の少なくとも一方からなる白金族金属と金とを含む合金粒子からなり、
前記合金粒子の表面における前記金の割合が、前記合金粒子の表面における前記白金族金属と前記金との合計100質量%のうち、5〜30質量%である、ハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
CZX=CClY ・・・(1)
ただし、Xはフッ素原子または塩素原子であり、Yはフッ素原子、塩素原子または水素原子であり、Zはフッ素原子またはCFである。
CZX’=CHY’ ・・・(2)
ただし、前記Xがフッ素原子の場合のX’は、フッ素原子であり、前記Xが塩素原子の場合のX’は、水素原子であり、前記Yがフッ素原子の場合のY’は、フッ素原子であり、前記Yが塩素原子または水素原子の場合のY’は水素原子であり、Zは、上式(1)のZと同じである。
[2]前記合金粒子の表面における前記金の割合が、前記合金粒子の表面における前記白金族金属と前記金との合計100質量%のうち、5〜20質量%である、[1]のハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
[3]前記合金粒子の表面における前記金の割合が、前記合金粒子の表面における前記白金族金属と前記金との合計100質量%のうち、5〜15質量%である、[1]のハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
[4]触媒がパラジウム−金合金の合金粒子からなる、[1]〜[3]のいずれかのハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
[5]前記担体が、活性炭、カーボンブラックおよびカーボンファイバーからなる群から選ばれる少なくとも一種である、[1]〜[4]のいずれかのハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
[6]前記担体が活性炭である、[1]〜[4]のいずれかのハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
[7]前記担体が、アルミナ、シリカ、チタニアおよびジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも一種である、[1]〜[4]のいずれかのハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
[8]前記合金粒子の担持量が、前記担体100質量部に対し、0.1〜10質量部である、[1]〜[7]のいずれかのハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
[9]前記触媒を担持した担体が充填された触媒層に、前記クロロフルオロオレフィンと前記水素とを導入して気相で反応させる、[1]〜[8]のいずれかのハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
[10]前記クロロフルオロオレフィンと前記水素とを前記触媒層のガス導入部に導入するとともに、前記触媒層のガス導入部とガス排出部との間の少なくとも1か所から前記水素を導入する、[9]のハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
[11]前記触媒を担持した担体が充填された触媒層において最も高温になっている領域の温度が、90℃以上である、[9]または[10]のハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
[12]前記触媒を担持した担体の存在下に、前記クロロフルオロオレフィンと前記水素とを液相で反応させる、[1]〜[8]のいずれかのハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
[13]前記クロロフルオロオレフィン中の塩素原子のモル数と、水素のモル数との比(H2/Cl)が、0.1〜0.7である、[1]〜[12]のいずれかのハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
[14]前記クロロフルオロオレフィンが、クロロトリフルオロエチレン、(E)−1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン、(Z)−1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンからなる群から選ばれる少なくとも一種である、[1]〜[13]のいずれかのハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
[15]前記クロロフルオロオレフィンが1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンであり、前記ハイドロフルオロオレフィンが2,3,3,3−テトラフルオロプロペンである、[1]〜[14]のいずれかのハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
本発明のハイドロフルオロオレフィンの製造方法によれば、原料のクロロフルオロオレフィン中の塩素原子を水素原子に置換してハイドロフルオロオレフィンを製造する際に、目的物のハイドロフルオロオレフィンに水素が付加した過還元体や、目的物中のフッ素原子の一部が水素原子に置換された過還元体の副生が少ない。
実施例において用いた反応装置を示す模式図である。
[ハイドロフルオロオレフィンの製造方法]
本発明のハイドロフルオロオレフィンの製造方法は、担体に担持された特定の触媒の存在下に、特定のクロロフルオロオレフィンと水素と反応させて目的物のハイドロフルオロオレフィンを製造する方法である。
(クロロフルオロオレフィン)
本発明の製造方法における原料の一つであるクロロフルオロオレフィンは、前記式(1)で表される化合物である。
式(1)で表わされる化合物において、X、Y、およびZの選択によりトランス体(以下、E体と記す。)およびシス体(以下、Z体と記す。)が存在しうるが、本明細書においては、E体またはZ体であることを特に記載しない限りにおいては、E体、Z体、およびE/Z体の混合体のいずれであってもよい。他の炭素―炭素二重結合を有する化合物においても同様である。
なお、以下、幾何異性体のうち、トランス体を化合物名や化学式の頭に(E)を付して表し、シス体を化合物名や化学式の頭に(Z)を付して表す。
本発明の製造方法の原料としての式(1)で表わされるクロロフルオロオレフィンは、X、Y、およびZの組合せが1種である化合物を用いても、該組合せが2種以上からなる化合物を用いてもよいが、生成する式(2)で表わされる化合物の構造が同一になるように、式(1)で表わされる化合物の組合せを選択するのが好ましい。
このうち、クロロフルオロオレフィンとしては、高冷却効率、地球環境に優しい代替冷媒として期待されるハイドロフルオロオレフィンが得られる点から、クロロトリフルオロエチレン、(E)−1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン、(Z)−1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン、CFO−1214ya、1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(以下、HCFO−1224ydとも記す。)、または、CFO−1214yaとHCFO−1224ydとの混合物が好ましい。
クロロトリフルオロエチレンは、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタンの脱塩素化反応、またはクロロジフルオロメタンとジクロロフルオロメタンの熱分解反応によって製造できる。
(E)−1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレンおよび(Z)−1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレンは、ジクロロフルオロメタンの熱分解反応によって製造できる。
CFO−1214yaは、公知の方法により製造できる。公知の方法としては、HCFC−225caの脱フッ化水素反応による方法が挙げられる。脱フッ化水素反応は、たとえば、相間移動触媒の存在下に、HCFC−225caとアルカリ水溶液とを接触させることによって行われる。該反応には、HCFC−225caを含むジクロロペンタフルオロプロパン(以下、HCFC−225とも記す。)を用いることができる。HCFC−225を用いた場合、相間移動触媒によってHCFC−225に含まれるHCFC−225caのみが選択的に脱フッ化水素される。反応後、CFO−1214yaは、蒸留等の公知の方法によって分離回収できる。
HCFC−225は、塩化アルミニウム等の触媒の存在下に、テトラフルオロエチレンとジクロロフルオロメタンとを反応させることによって製造できる。該反応によって得られるHCFC−225には、HCFC−225ca、および1,3−ジクロロ−1,2,2,3,3−ペンタフルオロプロパン(CHClFCFCClF)(以下、HCFC−225cbとも記す。)が主成分として含まれ、これらの他に、2,2−ジクロロ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(CHFCClCF)、2,3−ジクロロ−1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロパン(CHFCClFCClF)等が少量含まれる。
HCFC−225としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、アサヒクリン(登録商標)AK225(旭硝子社製、HCFC−225caの48モル%と、HCFC−225cbの52モル%の混合物)等が挙げられる。
相間移動触媒としては、テトラブチルアンモニウムブロマイド(以下、TBABとも記す。)が好ましい。
HCFO−1224ydは、CFO−1214yaと水素とを反応させてHFO−1234yfを製造する際に中間体として生成する。
(ハイドロフルオロオレフィン)
本発明の製造方法における目的物であるハイドロフルオロオレフィンは、前式(2)で表される化合物である。
前記のように、式(2)のX’、Y’およびZの種類は、式(1)のX、YおよびZの種類に対応関係がある。
クロロフルオロオレフィンがクロロトリフルオロエチレンの場合、目的物であるハイドロフルオロオレフィンは、下式(3)で表される反応によって得られるトリフルオロエチレンである。
CFCl=CF+H→CHF=CF+HCl ・・・(3)
本発明の製造方法において、式(1)で表わされる化合物の炭素−炭素二重結合に対するE/Z配置は、保持されても保持されなくてもよい。よって、生成する式(2)で表わされる化合物は、E体、Z体、およびE/Z体の混合体のいずれであってもよい。
クロロフルオロオレフィンがE体および/またはZ体の1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレンである場合は、E/Zが保持されたまま反応が進行しうる。すなわちE体を原料する反応としては下式(4)で表される反応、Z体を原料とする反応としては下式(5)で表される反応が進行し、目的物であるハイドロフルオロオレフィンとして、対応するE体またはZ体の化合物が得られる。またE/Z混合体を原料とする反応では、式(4)または式(5)のいずれか一方または両方の反応が進行し、E体、Z体、またはE/Z体の混合体の1,2−ジフルオロエチレンが得られる。
(E)−CFCl=CFCl+2H→(E)−CHF=CHF+2HCl ・・・(4)
(Z)−CFCl=CFCl+2H→(Z)−CHF=CHF+2HCl ・・・(5)
クロロフルオロオレフィンがCFO−1214yaの場合、目的物であるハイドロフルオロオレフィンは、下式(6)で表される反応によって得られるHFO−1234yfである。
CFCF=CCl+2H→CFCF=CH+2HCl ・・・(6)
クロロフルオロオレフィンがHCFO−1224ydの場合、目的物であるハイドロフルオロオレフィンは、下式(7)で表される反応によって得られるHFO−1234yfである。
CFCF=CHCl+H→CFCF=CH+HCl ・・・(7)
(触媒)
本発明の製造方法における触媒は、パラジウムおよび白金の少なくとも一方からなる白金族金属(以下、「Pd/Pt金属」とも記す。)と金とを含む合金粒子からなり、該合金粒子は担体に担持されている。なお、上記合金粒子を担持した担体を、以下「触媒担持担体」とも記す。
触媒担持担体における合金粒子の担持量は、担体100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜1.0質量部がより好ましい。合金粒子の担持量が前記下限値以上であれば、クロロフルオロオレフィンと水素との反応率が向上する。合金粒子の担持量が前記上限値以下であれば、反応熱による触媒層の過剰な温度上昇を抑制して、過還元体の副生を抑制しやすくなるとともに、触媒の入手が容易になる。
本発明の反応においては、生成物中の副生成物の生成量を、全生成量に対して0〜10モル%以下にするのが好ましい。
合金粒子の合金は、Pd/Pt金属および金以外の添加元素を含んでいてもよい。添加元素としては、マンガン、銅、アルミニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、銀、亜鉛、カドミウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、鉄、コバルト、ニッケル等が挙げられる。添加元素は、また、合金粒子とは独立して担体に担持されていてもよい。添加元素は、一種であってもよく、二種以上であってもよい。
添加元素の量は、Pd/Pt金属と金との合計100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
触媒担持担体の比表面積は、10〜2000m/gが好ましく、100〜1500m/gがより好ましい。触媒担持担体の比表面積が前記下限値以上であれば、クロロフルオロオレフィンと水素との反応率がより向上する。触媒担持担体の比表面積が前記上限値以下であれば、過還元体の副生をより抑制しやすくなる。
触媒担持担体の比表面積は、Nガス吸着法、たとえば、BET法に準拠した方法で測定される。
<合金粒子>
合金粒子を構成する合金は、Pd/Pt金属と金とを合金化したものである。合金粒子は担体上で熱処理等により合金化する際に、担体上に形成される。
Pd/Pt金属からなる触媒を用いた場合、Pd/Pt金属の水素還元活性が高すぎるため、過還元体が副生しやすくなる。そこで、Pd/Pt金属と、水素と反応しにくい金とを合金化することによって、Pd/Pt金属の水素還元活性を低下させ、過還元体の副生を低下させる。また、合金化することによって、触媒の耐久性の向上も図られる。
金との合金化の際に、パラジウムおよび白金のいずれか一方を用いる場合、パラジウムまたは白金は、金と合金を形成する。
金との合金化の際に、パラジウムおよび白金の両方を用いる場合、パラジウムおよび白金は、混合物の状態で用いてもよく、合金の状態で用いてもよい。混合物の状態で用いる場合、パラジウムと金が合金を形成する場合、白金と金が合金を形成する場合、パラジウムおよび白金と金とが合金を形成する場合がある。本明細書においては、パラジウム−白金合金と金とを合金化したもの、ならびにパラジウムおよび白金の混合物と金とを合金化したもののいずれも、パラジウム−白金−金合金として扱う。
パラジウムは、水素還元反応に対して高い転化率、選択率を有する。したがって、Pd/Pt金属としてはパラジウムが好ましい。さらに、白金は、高い耐酸性を有し、触媒寿命が長いことより、パラジウムと白金のこれら特徴のいずれをも享受する点から、合金化の際に、Pd/Pt金属としてパラジウムおよび白金の両方を用いることがより好ましく、パラジウム−白金合金を用いることがさらに好ましい。
パラジウムと白金の合金化は、不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス等)の雰囲気下または微量水素を含む還元雰囲気下における熱処理によって行うことが好ましい。該雰囲気下において合金化を行うことによって、パラジウムと白金とがより均一な状態で合金化されるため、過還元体の副生の抑制効果および触媒の耐久性の向上効果をさらに高められる。
合金化の際の加熱温度は、150〜600℃が好ましく、300〜550℃がより好ましい。
合金化の際の加熱時間は、1〜24時間が好ましく、3〜9時間がより好ましい。
合金化の際のパラジウムと白金との質量比は、通常60/40〜99/1が好ましく、80/20〜95/5がより好ましい。この範囲にあると、高選択率と長い触媒寿命とを両立できる。
Pd/Pt金属と金との合金化は、不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス等)の雰囲気下または微量水素を含む還元雰囲気下における熱処理によって行うことが好ましい。該雰囲気下において合金化を行うことによって、Pd/Pt金属と金とがより均一な状態で合金化されるため、過還元体の副生の抑制効果および触媒の耐久性の向上効果をさらに高められる。
合金化の際の加熱温度は、150〜600℃が好ましく、300〜550℃がより好ましい。
合金化の際の加熱時間は、1〜24時間が好ましく、3〜9時間がより好ましい。
合金化の際のPd/Pt金属と金との質量比は、通常60/40〜99/1が好ましく、80/20〜95/5がより好ましく、90/10〜95/5が最も好ましい。この範囲にあると、合金粒子の表面における金の割合を5〜30質量%に制御することが容易である。
合金粒子の表面における金の割合は、合金粒子の表面におけるPd/Pt金属と金との合計100質量%のうち、5〜30質量%であり、5〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。合金粒子の表面における金の割合が前記下限値以上であれば、過還元体の副生が少ない。合金粒子の表面における金の割合が前記上限値以下であれば、Pd/Pt金属の活性を低下させずに、転化率を維持できる。
合金粒子の表面における金の割合は、後述するX線光電子分光(XPS)定量分析法によって求める。
なお、XPS定量分析法は、サンプルにX線を照射し、サンプルから放出される光電子エネルギーを測定する手法である。固体試料表面から数十Å程度の深さの元素分析や元素の結合状態分析に対する有効な手段として用いられ、多種類の元素を簡単に定量できる。
合金粒子の表面における金の割合は、たとえば、下記の方法によって制御できる。
(I)担体の上にPd/Pt金属および金を同時に担持し、熱処理することよって合金粒子を形成する際に、Pd/Pt金属と金との質量比、または加熱温度および加熱時間を調整する方法。
(II)担体の上にPd/Pt金属または金を担持した後、この上に他方の成分を担持し、熱処理することよって合金粒子を形成する際に、Pd/Pt金属と金との質量比、または加熱温度および加熱時間を調整する方法。
<担体>
担体は、合金粒子を分散担持するために使用される。
担体としては、カーボン系材料(活性炭、カーボンブラック、カーボンファイバー等)、酸化物系材料(アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア等)等が挙げられる。比表面積が比較的大きく、合金粒子を担持させやすい点から、活性炭、アルミナが好ましい。
活性炭としては、木材、木炭、果実殻(ヤシ殻等)、泥炭、亜炭、石炭等から調製した活性炭が挙げられる。
活性炭の形態としては、長さ2〜5mm程度の成形炭の集合物、4〜50メッシュ程度の破砕炭、粒状炭等が挙げられ、成形炭の集合物、または4〜20メッシュの破砕炭が好ましい。
アルミナとしては、結晶状態の異なるα−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ等が挙げられる。高い転化率および選択率を実現できる点から、比較的大きな比表面積を有するγ−アルミナが好ましく、反応管への触媒の充填のしやすさ、原料ガスの流れやすさの点から、γ−アルミナを球状、ペレット状に成型加工した、成型タイプのγ−アルミナがより好ましい。
担体の比表面積は、10〜2000m/gが好ましく、100〜1500m/gがより好ましい。担体の比表面積が前記下限値以上であれば、クロロフルオロオレフィンと水素との反応率がより向上する。担体の比表面積が前記上限値以下であれば、過還元体の副生をより抑制しやすくなる。
担体の比表面積は、Nガス吸着法、たとえば、BET法に準拠した方法で測定される。
(クロロフルオロオレフィンと水素との反応)
クロロフルオロオレフィンと水素との反応は、気相で行ってもよく、液相で行ってもよい。
反応方法としては、下記の方法(α)または方法(β)が挙げられる。
方法(α):触媒の存在下に、クロロフルオロオレフィンと水素とを気相で反応させる方法。
方法(β):触媒の存在下に、クロロフルオロオレフィンと水素とを液相で反応させる方法。
<方法(α)>
方法(α)としては、たとえば、反応器に触媒担持担体を充填して形成された触媒層に、クロロフルオロオレフィンと水素とを導入して気相で反応させる方法が挙げられる。該方法の具体例としては、反応器に触媒担持担体を充填して形成された触媒層にクロロフルオロオレフィンガスと水素ガスとを含むガス(以下、原料混合ガスとも記す。)を導入して反応させる方法が挙げられる。
反応器としては、触媒担持担体を充填して触媒層を形成できる公知の反応器が挙げられる。
反応器としては、触媒担持担体が固体で、反応流体が気体の気固不均一系触媒反応に用いられる代表的な流通式反応器を用いることができる。流通式反応器は、固定床反応器と、移動床反応器と、流動床反応器とに大別される。
固定床反応器は、触媒担持担体が移動または流動することがない触媒層を有する反応器である。固定床反応器においては、反応流体の圧力損失を少なくするために、触媒担持担体の各種成型体が充填される。固定床反応器としては、管型反応器、槽型反応器等が挙げられる。反応温度の制御しやすさの点から、管型反応器が好ましい。管型反応器は、管径の小さい反応管を多数並列に配置し、外側に熱媒体を循環させる多管熱交換式であってもよい。
移動床反応器は、触媒層の触媒担持担体を重力によって移動させ、反応器の下部から抜き出して再生する方式の反応器である。
流動床反応器は、触媒担持担体が反応流体中に懸濁され、反応器内を流動する方式の反応器である。流動床反応器においては、反応流体によって触媒層があたかも流体のような特性を示す。
本発明の製造方法においては、流通式反応器として、固定床反応器、移動床反応器、流動床反応器のいずれも用いることができる。流通式反応器としては、反応の選択性を低下させずに触媒劣化を避けるために、反応温度を適切に制御できる点から、固定床反応器が好ましい。
いずれの反応器においても、触媒層の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
反応器の材質としては、ガラス、鉄、ニッケル、鉄またはニッケルを主成分とする合金等が挙げられる。
触媒層は、反応器に触媒担持担体を充填することによって形成される。
触媒層における触媒担持担体の充填密度は、0.5〜1g/cmが好ましく、0.6〜0.8g/cmがより好ましい。触媒担持担体の充填密度が前記下限値以上であれば、単位容積あたりの触媒担持担体の充填量が多く、反応させるガス量を多くできるため生産性が向上する。触媒担持担体の充填密度が前記上限値以下であれば、後述する触媒層の温度が上昇しすぎることを抑制でき、後述する触媒層の最高温度を所望の温度以下に維持しやすい。
触媒層中の反応温度は、高い反応率を維持できるように所望の温度に保つことが好ましい。触媒層中の反応温度が低いと、触媒の反応率が低い。触媒層中の反応温度を所望の温度に保つ方法としては、たとえば、触媒層を熱媒等で外部から加熱する方法が挙げられる。
クロロフルオロオレフィンと水素とは、通常、触媒層の一部の領域(以下、反応域と記す。)において反応する。触媒層中の反応温度を所望の温度に保つ場合、通常、触媒層のうち反応域の上流側の温度を加熱により維持する。本明細書では、この加熱により維持する反応域の上流側の温度を「触媒層の温度」という。
触媒層の温度は、気相反応では、原料混合ガスの露点よりも高い温度に設定する。たとえば、クロロフルオロオレフィンとして沸点が46℃のCFO−1214yaを用いる場合、触媒層の温度は、反応性を考慮して、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。クロロフルオロオレフィンとして沸点が推定で15〜17℃のHCFO−1224ydを用いる場合、触媒層の温度は、20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましい。
触媒は、通常、反応の進行に伴い経時的に劣化する。反応域は、反応開始当初、原料混合ガスの導入部から始まる。原料混合ガスの導入部の触媒が反応の進行に伴い経時的に劣化すると、反応域は、ガスの流れ方向の下流側に移動する。
反応域の下流側近傍には、反応域で生成した温度の高い生成ガスが流れこむため、該下流側近傍は、通常、触媒層の中でも最も高温になっている。本明細書では、この最も高温になっている触媒層の領域の温度を「触媒層の最高温度」という。該下流側近傍からさらに下流側の温度は、通常、反応域から離れるにつれ、触媒層の最高温度から低くなる。
触媒層の最高温度の測定方法としては、たとえば、挿入型温度計を用いた方法が挙げられる。上述したとおり、反応域はガスの流れ方向の下流側に移動するため、触媒層の最高温度を示す領域も該反応域の移動とともに移動する。したがって、あらかじめ挿入型温度計の計測部を触媒層のガス導入部に配置させておき、反応開始後、反応の進行とともに該計測部をガスの流れ方向の下流側に移動させることで、触媒層の最高温度を測定できる。なお、本明細書において「ガス導入部」とは、触媒層の原料混合ガスを導入する箇所を意味する。
触媒層の最高温度は、90℃以上が好ましく、130℃以上がより好ましい。触媒層の最高温度が前記下限値以上であれば、転化率を充分に高くできる。
触媒層の最高温度は、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましい。触媒層の最高温度が前記上限値以下であれば、反応熱による触媒層の過剰な温度上昇を抑制でき、過還元体の副生を抑制できる。
触媒層の最高温度を所望の温度に制御する方法としては、たとえば、下記の方法(α1)〜(α3)が挙げられる。
方法(α1):触媒層に水素を分割して導入する方法。
方法(α2):クロロフルオロオレフィンおよび水素とともに触媒層に不活性ガスを流通させる方法。
方法(α3):反応器を加熱する熱媒温度を、原料混合ガスの露点を下限として、より低い温度とする方法。
方法(α1):
方法(α1)によれば、触媒層の最高温度を所望の温度以下に制御しつつ、生産性を高く維持しやすい。
方法(α1)における水素の分割の比率は、反応域を分散させ、触媒層の最高温度を低く維持しやすい点からは、水素の各導入箇所において均等にすることが好ましい。
方法(α1)において、水素の導入箇所の数は特に限定されず、2箇所であってもよく、3箇所以上であってもよい。水素の導入箇所の数が2箇所の場合としては、水素を含む原料混合ガスを導入するガス導入部からの1箇所と、水素ガスのみを導入する箇所(以下、水素導入部と記す。)の1箇所の合計2箇所を設ける場合が挙げられる。水素の導入箇所の数は、プロセスを簡略化できる点からは、2箇所が好ましい。クロロフルオロオレフィンの導入量を変化させずに触媒層における反応域を分散でき、反応熱の発生が1箇所に集中することを防ぎ、その結果、生産性を低下させずに、触媒層の局所的な過剰発熱を抑制できる観点からは、3箇所以上が好ましい。
水素導入部を設ける場合の方法としては、触媒層に導入する水素の一部とクロロフルオロオレフィンの全量との混合ガスを原料混合ガスとして触媒層のガス導入部(ガスの流れ方向の最上流側に位置する。)から導入し、残部の水素をガス導入部の下流にある1箇所以上の水素導入部から導入する方法(α1−1)が挙げられる。これにより、上流から流れてきたガス(通常は、クロロフルオロオレフィンの一部が水素と反応した後の生成ガス)に、水素導入部から水素がさらに導入され、該水素が該水素導入部から下流側で未反応のクロロフルオロオレフィンと反応する。クロロフルオロオレフィンと水素とが充分に反応した生成ガスは、触媒層のガスの流れ方向の最下流側に位置するガス排出部から排出される。
方法(α1−1)において、ガス導入部と最初の水素導入部との間で、原料混合ガス中の水素の少なくとも一部が、クロロフルオロオレフィンと反応することが好ましい。また、ガスの流れ方向の最下流側の水素導入部は、該水素導入部とガス排出部との間の触媒層で、該水素導入部から導入された水素と未反応のクロロフルオロオレフィンとを充分に反応させられる位置に設けることが好ましい。
反応器内に2つ以上の触媒層を連続して設ける場合、水素を導入する方法としては、たとえば、一部の水素をクロロフルオロオレフィンとともに最初の触媒層のガス導入部から導入し、残部の水素を2段目以降の触媒層の水素導入部から導入する方法が挙げられる。
方法(α2):
方法(α2)によれば、不活性ガスを流通させ、触媒層中を流通するクロロフルオロオレフィンおよび水素の濃度を調節することによって、反応熱による触媒層の過剰な温度上昇を抑制できる。また、不活性ガス以外の希釈ガスを不活性ガスの代わりにまたは不活性ガスとともに用いてもよい。
不活性ガスとしては、窒素ガス、希ガス、水素化反応に不活性なフロン類等が挙げられる。不活性ガス以外の希釈ガスとしては、塩化水素等が挙げられる。
触媒層への不活性ガスの導入量は、触媒層の最高温度を低く維持しやすく、過還元体の副生を抑制しやすい点、および触媒の劣化を抑制しやすい点から、クロロフルオロオレフィンの1モルに対して、0.1モル以上が好ましく、0.5モル以上がより好ましい。また、不活性ガスの導入量は、該不活性ガスの回収率の点から、クロロフルオロオレフィンの1モルに対して、10モル以下が好ましく、4モル以下がより好ましい。
方法(α3):
方法(α3)によれば、熱媒の温度を低く保つことによって、反応熱のより迅速な除熱が可能となり、触媒層の過剰な温度上昇を抑制できる。
方法(α3)における熱媒の温度は、低い温度であるほど過還元体の副生を抑制するのに有利である。通常、クロロフルオロオレフィンの露点+10℃以上かつクロロフルオロオレフィンの露点+80℃以下が好ましい。CFO−1214yaおよびCFO−1224ydの混合物の場合、露点よりも高くかつ50℃未満が好ましく、露点よりも高くかつ30℃以下がより好ましい。
触媒層の最高温度を所望の温度に制御する方法としては、方法(α1)、方法(α2)もしくは方法(α3)、またはこれらの方法のうち2つもしくは3つを併用することが好ましい。
方法(α)における反応圧力は、取り扱い性の点から、常圧が好ましい。
方法(α)におけるクロロフルオロオレフィンガスと触媒との接触時間は、4〜60秒が好ましく、8〜40秒がより好ましい。接触時間は、反応器に導入されるガス量と触媒層の体積とから計算されるクロロフルオロオレフィンガスの接触時間である。
方法(α)におけるクロロフルオロオレフィンと水素との割合は、過還元体の副生を抑制しやすい点から、クロロフルオロオレフィン中の塩素原子のモル数と水素のモル数との比(H/Cl)で、0.7以下が好ましく、0.6以下がより好ましく、0.5以下がさらに好ましい。比(H/Cl)は、目的物の収率の点から、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましい。
方法(α)においては、触媒層における下式(8)で表されるクロロフルオロオレフィンガスの線速度uは、0.1〜100cm/秒が好ましく、1〜30cm/秒がより好ましい。線速度uは、反応器に導入されるガス量と触媒層の体積とから計算されるクロロフルオロオレフィンガスの線速度である。クロロフルオロオレフィンガスの線速度uが前記下限値以上であれば、生産性が向上する。クロロフルオロオレフィンガスの線速度uが前記上限値以下であれば、クロロフルオロオレフィンと水素との反応率が向上する。
u=(W/100)×V/S ・・・(8)
ただし、Wは、触媒層を流通する全ガス中のクロロフルオロオレフィンガスの濃度(モル%)であり、Vは、触媒層を流通する全ガスの流量(cm/秒)であり、Sは、触媒層のガスの流通方向に対する断面積(cm)である。
反応後の生成ガスには、目的物のハイドロフルオロオレフィンの他に、未反応の原料、反応中間体、および塩化水素が含まれる。
生成ガスに含まれる塩化水素は、該生成ガスをアルカリ水溶液に吹き込んで中和することによって除去できる。アルカリ水溶液に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
生成ガスからのハイドロフルオロオレフィンおよび未反応のクロロフルオロオレフィンの分離方法としては、たとえば、蒸留等の公知の方法を採用できる。
生成ガスから分離したクロロフルオロオレフィンは再利用できる。たとえば、分離したHCFO−1224ydは、CFO−1214yaとともにクロロフルオロオレフィンとして水素と反応させてもよく、CFO−1214yaとは別にHCFO−1224ydのみで水素と反応させてもよい。
クロロフルオロオレフィンとしてCFO−1214yaおよびHCFO−1224ydの混合物を用いる場合、HCFO−1224ydは、CFO−1214yaからHFO−1234yfを製造する際の中間体であることから、通常、HCFO−1224ydの割合の少ない混合物を用いる。よって、HCFO−1224ydの割合は、CFO−1214yaとHCFO−1224ydとの合計100モル%のうち、50モル%以下が好ましく、25モル%以下がより好ましい。
<方法(β)>
方法(β)においては、媒体を用いることが好ましい。媒体としては、水、有機溶媒(アルコール等)等が挙げられる。
媒体の使用量は、クロロフルオロオレフィンの100質量部に対して、10〜100質量部が好ましい。
水素の供給方法としては、触媒、クロロフルオロオレフィン、および必要に応じて用いる媒体を含む液に水素ガスを吹き込む方法、あらかじめ加圧によって水素を溶解させた媒体を触媒およびクロロフルオロオレフィンを含む液に添加する方法等が挙げられる。
方法(β)におけるクロロフルオロオレフィンと水素の反応は、回分式であってもよく、連続式であってもよい。
方法(β)における反応温度は、0〜150℃が好ましく、20〜100℃がより好ましい。反応温度が下限値以上であれば、クロロフルオロオレフィンと水素の反応率が向上する。反応温度が150℃以下であれば、過還元体の副生を抑制しやすい。
方法(β)における反応圧力は、ゲージ圧で0.01〜5MPaGが好ましく、0.1〜1MPaGがより好ましい。
方法(β)における反応時間は、回分式であれば1〜50時間が好ましく、連続式であれば1〜60秒が好ましい。
方法(β)における水素の供給量は、過還元体の副生を抑制する点から、クロロフルオロオレフィン中の塩素原子のモル数と水素のモル数との比(H/Cl)で、0.7以下が好ましく、0.6以下がより好ましく、0.5以下がさらに好ましい。比(H/Cl)は、目的物の収率の点から、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましい。なお、水素の供給量とは、反応液中に溶解した水素量を意味する。
反応後の反応液には、目的物のハイドロフルオロオレフィンの他に、未反応の原料、反応中間体、および塩化水素が含まれる。
反応液に含まれる塩化水素は、反応液にアルカリを添加して中和することによって除去できる。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。アルカリは、反応に用いる反応液にあらかじめ添加してもよい。
反応液からのハイドロフルオロオレフィンおよび未反応のクロロフルオロオレフィンの分離方法としては、たとえば、蒸留等の公知の方法を採用できる。
反応液から分離したクロロフルオロオレフィンは再利用できる。たとえば、分離したHCFO−1224ydは、CFO−1214yaとともにクロロフルオロオレフィンとして水素と反応させてもよく、CFO−1214yaとは別にHCFO−1224ydのみで水素と反応させてもよい。
方法(β)で用いる反応器としては、触媒の存在下に原料を接触させて液相反応させる公知の反応器が挙げられる。
反応器の材質としては、ガラス、鉄、ニッケル、鉄またはニッケルを主成分とする合金等が挙げられる。
(作用機序)
以上説明した本発明のハイドロフルオロオレフィンの製造方法にあっては、過還元体の副生が少ない。その結果、目的物の選択率を向上できる。このように、本発明の製造方法によれば、過還元体の濃度が低い、高純度のハイドロフルオロオレフィンを効率的に製造できる。
過還元体の副生が少ないメカニズムは、以下のように推定される。
白金族金属、金等の金属は、元素によって水素の化学吸着能は異なる(新しい触媒化学、第2版、三共出版社、p181、表8−1の「金属吸着能」を参照)。白金族金属の表面で起こる触媒反応において、水素が該表面に吸着しやすいか否かは、触媒活性に影響を及ぼす。
金は、Pd/Pt金属よりも水素の化学吸着能が低い。そのため、Pd/Pt金属と金とを合金化することによって、該Pd/Pt金属の表面への水素吸着力が低下すると考えられる。Pd/Pt金属の表面への水素吸着力が低下するため、該Pd/Pt金属の触媒活性は低い。その結果、Pd/Pt金属の過剰な水素還元活性を低減できるため、目的物の選択率が向上し、過還元体の副生が抑制される。また、合金粒子の表面における金の割合が5〜30%質量であるため、金による過還元体の副生の抑制効果が充分に発揮されると同時に、Pd/Pt金属による高い転化率も維持できる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
例1〜11は実施例であり、例12〜14は比較例である。
(合金粒子表面における金の割合の測定)
金の割合は、XPS測定により算出した。XPS測定において、パラジウム原子の3d5/2電子軌道の結合エネルギーのピーク位置は、335.1〜335.4eVであり、白金原子の4f7/2電子軌道の結合エネルギーのピーク位置は、71.0〜71.2eVであり、金原子の4f7/2電子軌道の結合エネルギーのピーク位置は、83.8〜84.2eVである。これらピーク位置におけるピーク強度比から、合金粒子の表面における金の割合を計算した。
XPS測定は、X線光電子分光装置(PHI社製、QuanteraSXM)を用い、下記条件にて行った。
X線源:モノクロメーターにより単色化したAlKα線、
出力:40W、
測定面積:800μm×300μm、
パスエネルギー:ワイドスキャン:117.4eV(0.50eV/Step)、ナロースキャン:55.0eV(0.05eV/Step)、
帯電中和銃:低エネルギーの電子線+Arイオンビームを同時に照射するデュアルビーム手法、
取出し角:45°。
(CFO−1214yaの転化率)
CFO−1214yaの転化率X(%)は、下式から求めた。
X=[(Xa−Xb)/Xa]×100
ただし、Xaは、原料混合ガス中のCFO−1214yaの割合(モル%)であり、Xbは、生成ガス中のCFO−1214yaの割合(モル%)である。
(CFO−1214yaの製造)
HCFC−225(旭硝子社製、アサヒクリン(登録商標)AK225)を原料として用いて、以下の方法によってCFO−1214yaを製造した。
0℃に冷却したジムロートを設置したガラス反応器(内容積:1L)に、相間移動触媒としてTBABの3g、水酸化カリウムの83g(1.485モル)、水の180gおよびHCFC−225の609g(3.0モル)を仕込んだ。内容物を撹拌しながら徐々に昇温し、45℃で1時間反応を行った。有機相と水相との2相に分離している反応粗液を分液し、有機相を蒸留塔(釜容積:1L、理論段数:10段)に仕込み、蒸留を実施した。蒸留の結果、純度:99.5%のCFO−1214ya(沸点:45℃)の262g(1.43モル)を得た。
(例1)
活性炭(BET比表面積:1100m/g)の100質量部に対して、パラジウムと金(パラジウム:金=90:10(質量比))の0.5質量部を担持させ、窒素ガス流通下、500℃で3時間熱処理することによって合金化して得られた、パラジウム−金合金粒子(合金粒子の表面における金の割合:12.2質量%)担持活性炭(以下、Pd−Au/Cと記す。)を用意した。
HFO−1234yfの製造には、図1に示す反応装置101を用いた。
反応装置101は、2本の反応管110A、反応管110Bと、これらを浸漬する塩浴130とを備えている。反応管110Aは、その入口111a側と出口112a側に2箇所の触媒充填部113a、触媒充填部114aを有する。同様に、反応管110Bは、その入口111b側と出口112b側に2箇所の触媒充填部113b、触媒充填部114bを有する。反応管110Aの出口112aと反応管110Bの入口111bとは配管で連結されている。
反応管110A、反応管110Bとしては、内径:2.54cm、長さ:100cmのインコネル(登録商標)600製の反応管を用いた。また、反応管110Aの出口112a側の触媒充填部114aにPd−Au/Cを充填して高さ40cmの触媒層120Aを形成した。同様に、反応管110Bの入口111b側および出口112b側のそれぞれの触媒充填部113bおよび触媒充填部114bにPd−Au/Cを充填し、それぞれ高さ40cmの触媒層120Bおよび触媒層120Cを形成した。触媒層120A〜触媒層120CのPd−Au/Cの充填密度は0.73g/cmとした。
触媒層120A〜触媒層120Cが全て浸漬されるように、反応管110Aおよび反応管110Bを塩浴130中に浸漬し、触媒層120A〜触媒層120Cを80℃に加熱した。
CFO−1214yaからなるクロロフルオロオレフィンガス(A)、水素ガス(B)、および窒素ガス(C)を、総量のモル比が水素/CFO−1214ya/窒素=1/1/2となるように反応管110Aおよび反応管110Bに流通させた。触媒層120A〜触媒層120Cに対するクロロフルオロオレフィンガス(A)の接触時間は18秒とし、クロロフルオロオレフィンガス(A)の線速度uは7cm/秒とした。
また、水素ガス(B)の50%をクロロフルオロオレフィンガス(A)とともに反応管110Aの入口111aから導入し、残部を反応管110Aと反応管110Bとを連結する配管部分に導入した。すなわち、水素ガス(B)は、触媒層120A〜触媒層120Cからなる触媒層(触媒層の長さ:120cm)において、触媒層120A(0cm地点)と、触媒層120B(40cm地点)の2箇所に分割して導入した。
反応中の触媒層120A、触媒層120B、触媒層120Cの最高温度は、これら触媒層にそれぞれ挿入した挿入型温度計140A、温度計140B、温度計140Cによって測定した。
反応装置101の反応管110Bの出口112bから排出された生成ガス(D)をガスクロマトグラフィー(以下、GCと記す。)分析した。結果を表1に示す。
(例2)
活性炭(BET比表面積:1100m/g)の100質量部に対して、パラジウムと金(パラジウム:金=90:10(質量比))の0.5質量部を担持させ、窒素ガス流通下、500℃で3時間熱処理することによって合金化して得られた、パラジウム−金合金粒子(合金粒子の表面における金の割合:19.4質量%)担持活性炭(以下、Pd−Au/Cと記す。)を用意した。
例1のPd−Au/Cを例2のPd−Au/Cに変更した以外は、例1と同様にしてHFO−1234yfの製造を行った。
生成ガス(D)をGC分析した。結果を表1に示す。
(例3)
活性炭(BET比表面積:1100m/g)の100質量部に対して、パラジウムと金(パラジウム:金=90:10(質量比))の0.5質量部を担持させ、窒素ガス流通下、500℃で3時間熱処理することによって合金化して得られた、パラジウム−金合金粒子(合金粒子の表面における金の割合:19.3質量%)担持活性炭(以下、Pd−Au/Cと記す。)を用意した。
例1のPd−Au/Cを例3のPd−Au/Cに変更した以外は、例1と同様にしてHFO−1234yfの製造を行った。
生成ガス(D)をGC分析した。結果を表1に示す。
(例4)
活性炭(BET比表面積:1100m/g)の100質量部に対して、パラジウムと金(パラジウム:金=90:10(質量比))の0.5質量部を担持させ、窒素ガス流通下、480℃で3時間熱処理することによって合金化して得られた、パラジウム−金合金粒子(合金粒子の表面における金の割合:9.4質量%)担持活性炭(以下、Pd−Au/Cと記す。)を用意した。
例1のPd−Au/Cを例4のPd−Au/Cに変更した以外は、例1と同様にしてHFO−1234yfの製造を行った。
生成ガス(D)をGC分析した。結果を表1に示す。
(例5)
活性炭(BET比表面積:1100m/g)の100質量部に対して、パラジウムと金(パラジウム:金=90:10(質量比))の0.5質量部を担持させ、窒素ガス流通下、480℃で3時間熱処理することによって合金化して得られた、パラジウム−金合金粒子(合金粒子の表面における金の割合:8.6質量%)担持活性炭(以下、Pd−Au/Cと記す。)を用意した。
例1のPd−Au/Cを例5のPd−Au/Cに変更した以外は、例1と同様にしてHFO−1234yfの製造を行った。
生成ガス(D)をGC分析した。結果を表1に示す。
(例6)
活性炭(BET比表面積:1100m/g)の100質量部に対して、パラジウムと金(パラジウム:金=90:10(質量比))の0.5質量部を担持させ、窒素ガス流通下、460℃で3時間熱処理することによって合金化して得られた、パラジウム−金合金粒子(合金粒子の表面における金の割合:14.1質量%)担持活性炭(以下、Pd−Au/Cと記す。)を用意した。
例1のPd−Au/Cを例6のPd−Au/Cに変更した以外は、例1と同様にしてHFO−1234yfの製造を行った。
生成ガス(D)をGC分析した。結果を表1に示す。
(例7)
活性炭(BET比表面積:1100m/g)の100質量部に対して、パラジウムと金(パラジウム:金=90:10(質量比))の0.5質量部を担持させ、窒素ガス流通下、460℃で3時間熱処理することによって合金化して得られた、パラジウム−金合金粒子(合金粒子の表面における金の割合:11.8質量%)担持活性炭(以下、Pd−Au/Cと記す。)を用意した。
例1のPd−Au/Cを例7のPd−Au/Cに変更した以外は、例1と同様にしてHFO−1234yfの製造を行った。
生成ガス(D)をGC分析した。結果を表1に示す。
(例8)
活性炭(BET比表面積:1100m/g)の100質量部に対して、パラジウムと金(パラジウム:金=90:10(質量比))の0.5質量部を担持させ、窒素ガス流通下、460℃で3時間熱処理することによって合金化して得られた、パラジウム−金合金粒子(合金粒子の表面における金の割合:16.8質量%)担持活性炭(以下、Pd−Au/Cと記す。)を用意した。
例1のPd−Au/Cを例8のPd−Au/Cに変更した以外は、例1と同様にしてHFO−1234yfの製造を行った。
生成ガス(D)をGC分析した。結果を表1に示す。
(例9)
活性炭(BET比表面積:1100m/g)の100質量部に対して、パラジウム−金合金粒子(パラジウム:金=90:10(質量比)、合金粒子の表面における金の割合:5.0質量%)の0.5質量部が担持された、Pd−Au/Cを用意した。
例1のPd−Au/Cを例9のPd−Au/Cに変更した以外は、例1と同様にしてHFO−1234yfの製造を行った。
生成ガス(D)をGC分析した。結果を表1に示す。
(例10)
活性炭(BET比表面積:1100m/g)の100質量部に対して、パラジウムと金(パラジウム:金=90:10(質量比))の0.5質量部を担持させ、窒素ガス流通下、460℃で3時間熱処理することによって合金化して得られた、パラジウム−金合金粒子(合金粒子の表面における金の割合:24.4質量%)担持活性炭(以下、Pd−Au/Cと記す。)を用意した。
例1のPd−Au/Cを例10のPd−Au/Cに変更した以外は、例1と同様にしてHFO−1234yfの製造を行った。
生成ガス(D)をGC分析した。結果を表1に示す。
(例11)
活性炭(BET比表面積:1100m/g)の100質量部に対して、パラジウム−金合金粒子(パラジウム:金=68.4:31.6(質量比)、合金粒子の表面における金の割合:17.5質量%)の0.5質量部が担持された、Pd−Au/Cを用意した。
例1のPd−Au/Cを例11のPd−Au/Cに変更した以外は、例1と同様にしてHFO−1234yfの製造を行った。
生成ガス(D)をGC分析した。結果を表1に示す。
(例12)
活性炭(BET比表面積:1100m/g)の100質量部に対して、パラジウム粒子の0.5質量部が担持された、パラジウム担持活性炭(以下、Pd/Cと記す。)を用意した。
例1のPd−Au/Cを例12のPd/Cに変更した以外は、例1と同様にしてHFO−1234yfの製造を行った。
生成ガス(D)をGC分析した。結果を表1に示す。
(例13)
活性炭(BET比表面積:1100m/g)の100質量部に対して、パラジウム−金合金粒子(パラジウム:金=90:10(質量比)、合金粒子の表面における金の割合:4.5質量%)の0.5質量部が担持された、Pd−Au/Cを用意した。
例1のPd−Au/Cを例13のPd−Au/Cに変更した以外は、例1と同様にしてHFO−1234yfの製造を行った。
生成ガス(D)をGC分析した。結果を表1に示す。
(例14)
活性炭(BET比表面積:1100m/g)の100質量部に対して、パラジウムと金(パラジウム:金=68.4:31.6(質量比))の0.5質量部を担持させ、窒素ガス流通下、500℃で3時間熱処理することによって合金化して得られた、パラジウム−金合金粒子(合金粒子の表面における金の割合:45.3質量%)担持活性炭(以下、Pd−Au/Cと記す。)を用意した。
例1のPd−Au/Cを例14のPd−Au/Cに変更した以外は、例1と同様にしてHFO−1234yfの製造を行った。
生成ガス(D)をGC分析した。結果を表1に示す。
Figure 2016088779
表1に示すように、合金粒子の表面における金の割合が5〜30質量%であるパラジウム−金合金粒子が活性炭に担持された触媒担持担体を用いた例1〜11においては、パラジウムが活性炭に担持された触媒担持担体を用いた例12および合金粒子の表面における金の割合が5質量%未満であるパラジウム−金合金粒子が活性炭に担持された触媒担持担体を用いた例13に比べ、過還元体であるHFC−254ebおよびHFO−1243zfの生成が少ない。また、合金粒子の表面における金の割合が30質量%超のパラジウム−金合金粒子が活性炭に担持された触媒担持担体を用いた例14に比べ、過還元体であるHFC−254ebの生成が少ない。
本発明の製造方法により得られたハイドロフルオロオレフィンは、過還元体の副生が抑制されており、高純度である。そのため、得られたハイドロフルオロオレフィンは、クロロフルオロカーボン類等のフロン類に代わる冷媒等として精製分離手段等を必要とせずに用いることができる。
なお、2014年12月5日に出願された日本特許出願2014−246810号の明細書、特許請求の範囲、要約書および図面の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
101 反応装置、110A 反応管、110B 反応管、111a 入口、111b 入口、112a 出口、112b 出口、113a 触媒充填部、113b 触媒充填部、114a 触媒充填部、114b 触媒充填部、120A 触媒層、120B 触媒層、120C 触媒層、130 塩浴、140A 温度計、140B 温度計、140C 温度計、A クロロフルオロオレフィンガス、B 水素ガス、C 窒素ガス、D 生成ガス

Claims (15)

  1. 担体に担持された触媒の存在下に、下式(1)で表されるクロロフルオロオレフィンと水素とを反応させて下式(2)で表されるハイドロフルオロオレフィンを製造する方法であって、
    前記触媒が、パラジウムおよび白金の少なくとも一方からなる白金族金属と金とを含む合金粒子からなり、
    前記合金粒子の表面における前記金の割合が、前記合金粒子の表面における前記白金族金属と前記金との合計100質量%のうち、5〜30質量%である、ハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
    CZX=CClY ・・・(1)
    ただし、Xはフッ素原子または塩素原子であり、Yはフッ素原子、塩素原子または水素原子であり、Zはフッ素原子またはCFである。
    CZX’=CHY’ ・・・(2)
    ただし、前記Xがフッ素原子の場合のX’は、フッ素原子であり、前記Xが塩素原子の場合のX’は、水素原子であり、前記Yがフッ素原子の場合のY’は、フッ素原子であり、前記Yが塩素原子または水素原子の場合のY’は水素原子であり、Zは、上式(1)のZと同じである。
  2. 前記合金粒子の表面における前記金の割合が、前記合金粒子の表面における前記白金族金属と前記金との合計100質量%のうち、5〜20質量%である、請求項1に記載のハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
  3. 前記合金粒子の表面における前記金の割合が、前記合金粒子の表面における前記白金族金属と前記金との合計100質量%のうち、5〜15質量%である、請求項1に記載のハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
  4. 触媒がパラジウム−金合金の合金粒子からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
  5. 前記担体が、活性炭、カーボンブラックおよびカーボンファイバーからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
  6. 前記担体が活性炭である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
  7. 前記担体が、アルミナ、シリカ、チタニアおよびジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
  8. 前記合金粒子の担持量が、前記担体100質量部に対し、0.1〜10質量部である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
  9. 前記触媒を担持した担体が充填された触媒層に、前記クロロフルオロオレフィンと前記水素とを導入して気相で反応させる、請求項1〜8のいずれか一項に記載のハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
  10. 前記クロロフルオロオレフィンと前記水素とを前記触媒層のガス導入部に導入するとともに、前記触媒層のガス導入部とガス排出部との間の少なくとも1か所から前記水素を導入する、請求項9に記載のハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
  11. 前記触媒を担持した担体が充填された触媒層において最も高温になっている領域の温度が、90℃以上である、請求項9または10に記載のハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
  12. 前記触媒を担持した担体の存在下に、前記クロロフルオロオレフィンと前記水素とを液相で反応させる、請求項1〜8のいずれか一項に記載のハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
  13. 前記クロロフルオロオレフィン中の塩素原子のモル数と、水素のモル数との比(H2/Cl)が、0.1〜0.7である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
  14. 前記クロロフルオロオレフィンが、クロロトリフルオロエチレン、(E)−1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン、(Z)−1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜13のいずれか一項に記載のハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
  15. 前記クロロフルオロオレフィンが1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンであり、前記ハイドロフルオロオレフィンが2,3,3,3−テトラフルオロプロペンである、請求項1〜14のいずれか一項に記載のハイドロフルオロオレフィンの製造方法。
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