JPWO2016056418A1 - 感活性光線性又は感放射線性組成物、並びに、これを用いた、レジスト膜、マスクブランクス、レジストパターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法 - Google Patents

感活性光線性又は感放射線性組成物、並びに、これを用いた、レジスト膜、マスクブランクス、レジストパターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

(A)酸架橋性基及び遷移金属原子を有する分子量1000以下の化合物を含有する感活性光線性又は感放射線性組成物により、微細パターン(例えば、線幅50nm以下のラインパターン)の形成において、高感度、高解像力、優れたパターン形状、優れたラフネス性能、高エッチング耐性、及び、優れたスカム性能の全てを高次元で達成する感活性光線性又は感放射線性組成物、並びに、これを用いた、レジスト膜、マスクブランクス、レジストパターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法を提供する。

Description

本発明は、超LSIや高容量マイクロチップの製造などの超マイクロリソグラフィプロセスやその他のフォトファブリケーションプロセスに好適に用いられる、感活性光線性又は感放射線性組成物、並びに、これを用いた、レジスト膜、マスクブランクス、レジストパターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法に関するものである。更に詳しくは、電子線又はEUV光(波長:13nm付近)を用いる半導体素子の微細加工に好適に用いることができる、感活性光線性又は感放射線性組成物、並びに、これを用いた、レジスト膜、マスクブランクス、レジストパターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法に関するものである。
従来、ICやLSIなどの半導体デバイスの製造プロセスにおいては、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィによる微細加工が行われ、各種リソグラフィ技術に適合した樹脂や添加剤の開発が行われている。
近年、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域やクオーターミクロン領域の超微細パターン形成が要求されるようになってきている。それに伴い、露光波長もg線からi線に、更にエキシマレーザー光にというように短波長化の傾向が見られ、現在では、電子線やX線を用いたリソグラフィも開発が進んでいる。
これら電子線やX線、あるいはEUV光リソグラフィは、次世代若しくは次々世代のパターン形成技術として位置付けられ、高感度、高解像性のレジスト組成物が望まれている。
また、現在主流のポジ型だけではなく、アルカリ現像によるパターン形成におけるネガ型化学増幅型レジスト組成物の開発も行われている。これは、半導体素子等の製造にあたってはライン、トレンチ、ホールなど種々の形状を有するパターン形成の要請がある一方、現状のポジ型レジスト組成物では形成することが難しいパターンが存在するためである。このようなネガ型化学増幅型レジスト組成物に適用可能な樹脂や添加剤の開発も、種々、行われている(例えば、特許文献1〜3)。
日本国特開2012−185484号公報 日本国特開2012−185485号公報 日本国特開2014−119658号公報
しかしながら、レジストとしての総合性能の観点から、使用される樹脂、光酸発生剤、塩基性化合物、添加剤、溶剤等の適切な組み合わせを見い出すことは極めて困難であるのが実情であり、特に線幅50nm以下のラインパターン等の微細パターンをネガ型パターン形成方法により形成する際に、諸性能が更に改善されたレジスト組成物が求められている。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、その目的は、微細パターン(例えば、線幅50nm以下のラインパターン)の形成において、高感度、高解像力、優れたパターン形状、優れたラフネス性能、高エッチング耐性、及び、優れたスカム性能の全てを高次元で達成する感活性光線性又は感放射線性組成物、並びに、これを用いた、レジスト膜、マスクブランクス、レジストパターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法を提供することにある。
本発明は、下記の構成であり、これにより本発明の上記目的が達成される。
〔1〕
(A)酸架橋性基及び遷移金属原子を有する分子量1000以下の化合物を含有する感活性光線性又は感放射線性組成物。
〔2〕
更に、(B)フェノール性水酸基を有する化合物を含有する、上記〔1〕に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
〔3〕
更に、(C)活性光線又は放射線により酸を発生する化合物を含有する、上記〔1〕又は〔2〕に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
〔4〕
上記化合物(A)が、上記酸架橋性基として下記一般式(1)又は(2)で表される部分構造を有する化合物である、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
式中、
Arは、芳香環を表す。
11、R12、R21及びR22は、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又は、アリール基を表す。
及びXは、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アシル基を表す。
nは1以上の整数を表す。
nが2以上の整数である場合、複数のR11、複数のR12、及び、複数のXは、それぞれ、互いに同一であっても異なっていてもよい。
*は、結合手を表す。
〔5〕
上記化合物(A)が、下記一般式(A−1)、(A−2)、又は(A−3)で表される化合物である、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。

一般式(A−1)、(A−2)、及び(A−3)において、
、M及びMは、各々独立して、遷移金属を表す。
21〜R25、R31〜R36、R41〜R46、R51〜R55、R61〜R65、及び、R71〜R76は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、シアノ基、アシル基、アルコキシ基又はアルコキシカルボニル基を表す。R21〜R25の2個以上、R31〜R36の2個以上、R41〜R46の2個以上、R51〜R55の2個以上、R61〜R65の2個以上、及び、R71〜R76の2個以上は、それぞれ、互いに結合して環を形成してもよい。但し、R21〜R25及びR51〜R55の少なくとも1つは酸架橋性基を有し、R31〜R36及びR61〜R65の少なくとも1つは酸架橋性基を有し、R41〜R46及びR71〜R76の少なくとも1つは酸架橋性基を有する。
、X 、及びX は、アニオンを表す。
、a及びaは、各々独立に、0以上の整数を表す。
〔6〕
上記化合物(B)が、下記一般式(II)で表される繰り返し単位を有する樹脂である、上記〔2〕に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
式中、
は水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、又はハロゲン原子を表す。
Arは芳香環基を表す。
は1以上の整数を表す。
Dは単結合又は2価の連結基を表す。
〔7〕
上記化合物(C)が、活性光線又は放射線により体積240Å以上の大きさの酸を発生する化合物である、上記〔3〕に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
〔8〕
電子線又は極紫外線露光用である、上記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
〔9〕
上記〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物を用いて形成されたレジスト膜。
〔10〕
上記〔9〕に記載のレジスト膜を有するマスクブランクス。
〔11〕
上記〔9〕に記載のレジスト膜を露光する工程、及び、上記露光されたレジスト膜を現像する工程を含むレジストパターン形成方法。
〔12〕
上記〔10〕に記載のマスクブランクスを露光する工程、及び、上記露光されたマスクブランクスを現像する工程を含むレジストパターン形成方法。
〔13〕
上記露光が、電子線又は極紫外線を用いて行われる、上記〔11〕又は〔12〕に記載のレジストパターン形成方法。
〔14〕
上記〔11〕〜〔13〕のいずれか1項に記載のレジストパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法。
〔15〕
上記〔14〕に記載の電子デバイスの製造方法によって製造された電子デバイス。
本発明によれば、微細パターン(例えば、線幅50nm以下のラインパターン)の形成において、高感度、高解像力、優れたパターン形状、優れたラフネス性能、高エッチング耐性、及び、優れたスカム性能の全てを高次元で達成する感活性光線性又は感放射線性組成物、並びに、これを用いた、レジスト膜、マスクブランクス、レジストパターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法を提供できる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において光とは、極紫外線(EUV光)のみならず、電子線も含む。
また、本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、極紫外線(EUV光)による露光のみならず、電子線による描画も露光に含める。
本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。また、本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物は、(A)酸架橋性基及び遷移金属原子を有する分子量1000以下の化合物を含有する感活性光線性又は感放射線性組成物である。
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物により、微細パターン(例えば、線幅50nm以下のラインパターン)の形成において、高感度、高解像力、優れたパターン形状、優れたラフネス性能、高エッチング耐性、及び、優れたスカム性能の全てを高次元で達成する理由は定かではないが、次のように推測される。
先ず、上記化合物(A)が有する遷移金属原子は、特に電子線及び極紫外線(EUV光)の吸収が高い。また、遷移金属原子と酸架橋性基とが同一の分子内に組み込まれているため、遷移金属原子を有する化合物と、酸発生剤と、酸架橋性基を有する化合物とが別箇に存在する場合と比較して、“遷移金属原子から酸発生剤へのエネルギーの移動”と“酸発生剤から酸架橋性基への酸の移動”とをよりスムーズに(換言すれば効率良く)実施することができる。
これにより、微細パターン(例えば、線幅50nm以下のラインパターン)の形成のように、露光領域の面積が狭い場合においても、高感度になるものと考えられる。
その結果、露光量を低減できることから、露光で発生した酸の非露光部への拡散が抑制され、高解像力、優れたパターン形状、及び、優れたラフネス性能が得られるものと考えられる。
また、上記化合物(A)によれば、遷移金属原子と酸架橋性基とが同一の分子内に組み込まれているため、パターンを構成する架橋体にも堅牢な遷移金属原子が組み込まれることとなる。これにより、高エッチング耐性が得られるものと考えられる。
また、酸架橋性基を有する化合物の分子量が大きい場合、露光部を構成する材料の分子量が架橋反応に伴って急激に増大するなどして、現像工程を実施しても現像液に溶解し難いことに伴うスカムが生じやすくなる傾向となる。一方、本発明によれば、上記化合物(A)の分子量が1000以下であるため、上記の問題は生じ難く、優れたスカム性能が得られるものと考えられる。
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物は、典型的にはネガ型のレジスト組成物である。また、本発明に係る感活性光線性又は感放射線性組成物は、典型的には化学増幅型のレジスト組成物である。
また、本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物は、電子線又は極紫外線露光用であることが好ましい。
以下、本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物における各成分について詳細に説明する。
[1](A)酸架橋性基及び遷移金属原子を有する分子量1000以下の化合物
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物は、酸架橋性基及び遷移金属原子を有する分子量1000以下の化合物(A)(以下、「化合物(A)」ともいう)を含有する。
化合物(A)における酸架橋性基としては、例えば、オキシラン基(エポキシ基、オキセタニル基など)、チイラン基、チエタン基、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、アシルオキシメチル基、及び、エチレン性不飽和基などを挙げることができる。
化合物(A)は、下記一般式(1)又は(2)で表される部分構造を有する化合物であることが好ましい。
式中、
Arは、芳香環を表す。
11、R12、R21及びR22は、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又は、アリール基を表す。
及びXは、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アシル基を表す。
nは1以上の整数を表す。
nが2以上の整数である場合、複数のR11、複数のR12、及び、複数のXは、それぞれ、互いに同一であっても異なっていてもよい。
*は、結合手を表す。
Arとしての芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、フェナントレン環などの芳香族炭化水素環(好ましくは炭素数6〜18)、及び、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾピロール環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、チアゾール環等のヘテロ環を含む芳香族ヘテロ環を挙げることができる。中でも、ベンゼン環、ナフタレン環が解像性の観点で好ましく、ベンゼン環が最も好ましい。
11、R12、R21及びR22としてのアルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることが更に好ましい。
11、R12、R21及びR22としてのシクロアルキル基は、炭素数3〜10のシクロアルキル基であることが好ましい。
11、R12、R21及びR22としてのアリール基は、炭素数6〜10のアリール基であることが好ましい。
11、R12、R21及びR22としてのアルキル基、シクロアルキル基、又は、アリール基は、それぞれ、更に置換基を有していてもよく、このような置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールカルボニル基などが挙げられる。
及びXとしてのアルキル基、シクロアルキル基、及び、アリール基における好ましい炭素数範囲は、R11、R12、R21及びR22としてのアルキル基、シクロアルキル基、及び、アリール基におけるものと同様である。
また、X及びXとしてのアシル基は、炭素数2〜5のアシル基であることが好ましい。
及びXとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アシル基は、それぞれ、更に置換基を有してもよく、このような置換基としては、R11、R12、R21及びR22について説明したものを同様に挙げることができる。
上記一般式(1)で表される部分構造は、下記一般式(1−1)で表される部分構造であることが好ましい。
上式中、R11、R12及びXは、上記一般式(1)におけるR11、R12及びXと同義である。
Rは、水素原子又はアルキル基を表す。
n1は、1〜6の整数を表す。
n2は、0又は1を表す。
11、R12及びXとしての各基の好ましい炭素数範囲は、上記一般式(1)におけるR11、R12及びXについて説明したものと同様である。
Rとしてのアルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることが更に好ましい。Rとしてのアルキル基は、更に置換基を有してもよく、このような置換基としては、上記一般式(1)におけるR11、R12、R21及びR22について説明したものを同様に挙げることができる。
上記一般式(1−1)において、R11及びR12が水素原子である場合、n2が1であり、かつ、Rが水素原子であることが好ましい。
11及びR12が、各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、又は、アリール基である場合、n2が0であることが好ましい。
化合物(A)における遷移金属原子としては、例えば、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、モリブデン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、タリウム、鉛、ビスマス、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム等が挙げられる。
遷移金属原子としては、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ルテニウム、タングステン、セリウム、ガドリニウムが好ましく、チタン、鉄、コバルト、ジルコニウム、ハフニウムがより好ましく、鉄が更に好ましい。
化合物(A)は、遷移金属原子と非金属の原子(配位子)とが結合した構造を有する化合物であってもよい。
配位子としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アシル基(例えばアセチルアセトナト基等)、カルボニル基、イソシアニド基、アルケン基(例えばブタジエン基やシクロオクタジエン基等)、アルキン基、アリール基(例えばベンゼンやナフタレン等)、アルキリデン基、アルキリジン基、シクロペンタジエニル基、インデニル基、シクロヘプタトリエニウム基、シクロブタジエン基、窒素分子、ニトロ基、ホスフェン基、チオール基、水酸基、アミン基、エーテル基、アルコキシド基、アミド基、シリル基などが挙げられる。
化合物(A)は、以下の一般式(A−1)、(A−2)、又は(A−3)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(A−1)、(A−2)、及び(A−3)において、
、M及びMは、各々独立して、遷移金属を表す。
21〜R25、R31〜R36、R41〜R46、R51〜R55、R61〜R65、及び、R71〜R76は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、シアノ基、アシル基、アルコキシ基又はアルコキシカルボニル基を表す。R21〜R25の2個以上、R31〜R36の2個以上、R41〜R46の2個以上、R51〜R55の2個以上、R61〜R65の2個以上、及び、R71〜R76の2個以上は、それぞれ、互いに結合して環を形成してもよい。但し、R21〜R25及びR51〜R55の少なくとも1つは酸架橋性基を有し、R31〜R36及びR61〜R65の少なくとも1つは酸架橋性基を有し、R41〜R46及びR71〜R76の少なくとも1つは酸架橋性基を有する。
、X 、及びX は、アニオンを表す。
、a及びaは、各々独立に、0以上の整数を表す。
、M及びMで表される遷移金属原子の具体例及び好ましい例としては、上掲したものと同様である。
また、M、M及びMで表される遷移金属原子は、一般式(A−1)〜(A−3)に記載の各配位子とは異なる配位子に対して配位結合している遷移金属原子であってもよい。このような遷移金属原子としては、ハロゲン原子などの無機系配位子に対して配位結合している遷移金属原子や、有機系配位子に対して配位結合している遷移金属原子を挙げることができる。
無機系配位子としては、例えば、Hf(Cl)などを挙げることができる。
有機系配位子としては、例えば、Zr(CH、Ti(CH及びTi(CO)などを挙げることができる。
21〜R25、R31〜R36、R41〜R46、R51〜R55、R61〜R65、及び、R71〜R76が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
アルキル基としては、好ましくは置換基を有していてもよいメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数10以下のアルキル基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、単環型でも多環型でもよく、好ましくは置換基を有していても良いシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの炭素数3〜10個の単環型のシクロアルキル基が挙げられる。
アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基などの炭素数1〜10の脂肪族アシル基が挙げられ、アセチル基が好ましい。
アルコキシ基に含まれるアルキル基としては、上記R21〜R25、R31〜R36、R41〜R46、R51〜R55、R61〜R65、及び、R71〜R76が表すアルキル基と同様のものが好ましく挙げられる。
アルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R21〜R25、R31〜R36、R41〜R46、R51〜R55、R61〜R65、及び、R71〜R76が表すアルキル基と同様のものが好ましく挙げられる。
21〜R25の2個以上、R31〜R36の2個以上、R41〜R46の2個以上、R51〜R55の2個以上、R61〜R65の2個以上、及び、R71〜R76の2個以上は、それぞれ、互いに結合して環を形成してもよい。この場合、R21〜R25、R31〜R36、R41〜R46、R51〜R55、R61〜R65、及び、R71〜R76の内、環の形成に寄与する基は、二価の炭化水素基を表すことが好ましい。二価の炭化水素基としては、例えば、置換基を有していてもよい二価のアルキレン基が挙げられ、好ましくは、一般式(A−1)、(A−2)、及び(A−3)中において、配位子が、置換基を有してもよいインデニル基、ナフタレン基、アントラセン基等になるように環を形成する基が挙げられる。
21〜R25、R31〜R36、R41〜R46、R51〜R55、R61〜R65、及び、R71〜R76は、水素原子、ハロゲン原子、又は、アルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
21〜R25及びR51〜R55の少なくとも1つ、R31〜R36及びR61〜R65の少なくとも1つ、及び、R41〜R46及びR71〜R76の少なくとも1つがそれぞれ有する酸架橋性基の具体例及び好ましい例は、上掲したものと同様である。
、X 、及びX としてのアニオンとしては、有機アニオン及び無機アニオンを挙げることができる。
有機アニオンとしては、スルホン酸アニオン、イミド酸アニオン、及び、メチド酸アニオン等を挙げることができる。
無機アニオンとしては、弗素化燐アニオン(例えば、PF )、弗素化硼素アニオン(例えば、BF )、弗素化アンチモンアニオン(例えば、SbF )、ハロゲンイオン(例えば、FやCl)等を挙げることができる。
、a及びaは、各々独立に、0以上の整数を表し、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
化合物(A)としての一般式(A−1)、(A−2)、又は(A−3)で表される化合物は、一般式(A−1)で表される化合物であることが好ましい。
化合物(A)の分子量は、1000以下であり、900以下であることが好ましく、800以下であることがより好ましい。化合物(A)の分子量は、通常、100以上である。
上記分子量が1000を超えると、露光部を構成する材料の分子量が架橋反応に伴って急激に増大するなどして、現像工程を実施しても現像液に溶解し難いことに伴うスカムが生じやすくなる傾向となる。
以下に、化合物(A)の具体例を示すが、本発明は、これらに限定されるものではない。
化合物(A)は、酸架橋性基を有する配位子を用いて、「日本化学会編集、実験化学講座18、有機金属錯体、第4版」、「日本化学会編集、実験化学講座21、有機遷移金属化合物、超分子錯体、第5版」に記載の方法等により合成することができる。
化合物(A)は、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
化合物(A)の含有量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは1〜30質量%であり、より好ましくは2〜20質量%であり、更に好ましくは3〜15質量%である。
[2](B)フェノール性水酸基を有する化合物
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物は、(B)フェノール性水酸基を有する化合物(以下、化合物(B)とも言う)を含有することが好ましい。
本発明におけるフェノール性水酸基とは、芳香環基の水素原子をヒドロキシ基で置換してなる基である。該芳香環基の芳香環は単環又は多環の芳香環であり、ベンゼン環やナフタレン環等が挙げられる。
化合物(B)を含有してなる本発明の組成物によれば、典型的には、露光部においては、後述する酸発生剤から発生する酸の作用により、化合物(B)と架橋剤としての上記化合物(A)との間で架橋反応が進行し、ネガ型のパターンが形成される。
化合物(B)は、フェノール性水酸基を有する限り特に限定されず、分子レジストのような比較的低分子の化合物であってもよいし、樹脂であってもよい。なお分子レジストとしては、例えば特開2009−173623号公報及び特開2009−173625号公報に記載の低分子量環状ポリフェノール化合物等が使用できる。
化合物(B)は、反応性及び感度の観点から、樹脂(以下、樹脂(B)とも言う)であることが好ましい。
樹脂(B)は、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位を含有することが好ましい。フェノール性水酸基を有する繰り返し単位としては特に限定されないが、下記一般式(II)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
式中、
は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、又はハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)を表し、
Dは、単結合又は2価の連結基を表し、
Arは、芳香環基を表し、
m1は1以上の整数を表す。
における置換基を有していてもよいメチル基としては、トリフルオロメチル基や、ヒドロキシメチル基等を挙げることができる。
は、水素原子又はメチル基であることが好ましく、水素原子であることが現像性の理由から好ましい。
Dの2価の連結基としては、カルボニル基、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5)、スルホニル基(−S(=O)−)、−O−、−NH−又はこれらを組合せた2価の連結基が好ましい。
Dは、単結合、カルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)又は−C(=O)−NH−を表すことが好ましく、単結合又はカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)を表すことがより好ましく、単結合であることがドライエッチング耐性向上の観点で特に好ましい。
Arとしての芳香環基は、単環又は多環の芳香環基であり、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、フェナントレン環などの炭素数6〜18の芳香環を有する芳香族炭化水素環基、及び、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾピロール環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、チアゾール環等のヘテロ環を含む芳香環ヘテロ環基を挙げることができる。中でも、Arは、ベンゼン環基、又は、ナフタレン環基であることが解像性の観点で好ましく、ベンゼン環基であることが感度の観点で最も好ましい。
m1は1〜5の整数であることが好ましく、1が最も好ましい。m1が1でArがベンゼン環基の時、−OHの置換位置はベンゼン環のD(Dが単結合である場合にはポリマー主鎖)との結合位置に対して、パラ位でもメタ位でもオルト位でもよいが、架橋反応性の観点から、パラ位、メタ位が好ましく、パラ位がより好ましい。
Arとしての芳香族環基は、上記−OHで表される基以外にも置換基を有していてもよく、置換基としては例えば、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールカルボニル基が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する繰り返し単位は、下記一般式(II’)で表される繰り返し単位であることが架橋反応性、現像性、ドライエッチング耐性の理由でより好ましい。
一般式(II’)中、
は、水素原子又はメチル基を表す。
Arは、芳香環基を表す。
は、水素原子又はメチル基を表し、水素原子であることが現像性の理由から好ましい。
一般式(II’)におけるArは、上記一般式(II)におけるArと同義であり、好ましい範囲も同様である。一般式(II’)で表される繰り返し単位は、ヒドロキシスチレンから誘導される繰り返し単位(すなわち、一般式(II’)においてRが水素原子であり、Arがベンゼン環基である繰り返し単位)であることが感度の観点から好ましい。
樹脂(B)は、上記のようなフェノール性水酸基を有する繰り返し単位のみから構成されていてもよい。樹脂(B)は、上記のようなフェノール性水酸基を有する繰り返し単位以外にも後述するような繰り返し単位を有していてもよい。その場合、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(B)の全繰り返し単位に対して、10〜98モル%であることが好ましく、30〜97モル%であることがより好ましく、40〜95モル%であることが更に好ましい。これにより、特に、レジスト膜が薄膜である場合(例えば、レジスト膜の厚みが、10〜150nmである場合)、本発明のレジスト膜における露光部のアルカリ現像液に対する溶解速度をより確実に低減できる(即ち、樹脂(B)を用いたレジスト膜の溶解速度を、より確実に最適なものに制御できる)。その結果、感度をより確実に向上させることができる。
以下、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位の例を記載するが、これに限定されるものではない。
化合物(B)は、非酸分解性の炭化水素構造を有する基で、フェノール性水酸基の水素原子が置換された構造を有することが、高いガラス転移温度(Tg)が得られること、ドライエッチング耐性が良好となることから好ましい。また、化合物(A)との相乗効果により、PEB温度依存性の改善効果をより高めることができる。
また、化合物(B)が、非酸分解性の多環型の脂環炭化水素構造を有する基で、フェノール性水酸基の水素原子が置換された構造を有する化合物である場合、解像力をより高めることができる。
化合物(B)が、前述の特定の構造を有することで、化合物(B)のガラス転移温度(Tg)が高くなり、非常に硬いレジスト膜を形成することができ、酸の拡散性やドライエッチング耐性を制御することができる。従って、電子線や極紫外線等の活性光線又は放射線の露光部における酸の拡散性が非常に抑制されるため、微細なパターンでの解像力、パターン形状及びラフネス性能が更に優れる。また、化合物(B)が非酸分解性の炭化水素構造を有することが、ドライエッチング耐性の更なる向上に寄与するものと考えられる。更に、詳細は不明だが、炭化水素構造は水素ラジカルの供与性が高く、光酸発生剤の分解時の水素源となり、光酸発生剤の分解効率が更に向上し、酸発生効率が更に高くなっていると推定され、これがより優れた感度に寄与するものと考えられる。
化合物(B)が有していてもよい前述の特定の構造は、ベンゼン環等の芳香族環と、非酸分解性の炭化水素構造を有する基とが、フェノール性水酸基に由来する酸素原子を介して連結している。前述のように、該構造は高いドライエッチング耐性に寄与するだけでなく、化合物(B)のガラス転移温度(Tg)を上げることができ、これらの組み合わせの効果により高い解像力が提供されるものと推定される。
本発明において、非酸分解性とは、光酸発生剤が発生する酸により、分解反応が起こらない性質を意味する。
より具体的には、非酸分解性の炭化水素構造を有する基は、酸及びアルカリに安定な基であることが好ましい。酸及びアルカリに安定な基とは、酸分解性及びアルカリ分解性を示さない基を意味する。ここで酸分解性とは、光酸発生剤が発生する酸の作用により分解反応を起こす性質を意味する。
またアルカリ分解性とは、アルカリ現像液の作用により分解反応を起こす性質を意味し、アルカリ分解性を示す基としてはポジ型の感活性光線性又は感放射線性組成物において好適に使用される樹脂中に含まれる、従来公知のアルカリ現像液の作用で分解しアルカリ現像液中への溶解速度が増大する基(例えばラクトン構造を有する基など)が挙げられる。
炭化水素構造を有する基とは、炭化水素構造を有する一価の基である限り特に限定されないが、総炭素数が5〜40であることが好ましく、7〜30であることがより好ましい。炭化水素構造は、環内に不飽和結合を有していてもよい。
炭化水素構造を有する基における炭化水素構造としては、例えば、鎖状、分岐の炭化水素基、単環型の脂環炭化水素基を有する構造、多環型の脂環炭化水素構造、芳香族炭化水素構造などが挙げられ、これらは有橋式であってもよい。単環型の脂環炭化水素基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができ、これらの基を複数有してもよい。単環型の脂環炭化水素基を複数有する場合は、単環型の脂環炭化水素基を2〜4個有することが好ましく、2個有することが特に好ましい。
鎖状、分岐の炭化水素基としては、炭素数1〜20のものが挙げられ(より好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜7)、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。
多環型の脂環炭化水素構造としては、炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を挙げることができ、炭素数6〜30の多環シクロ構造が好ましく、例えば、アダマンタン構造、デカリン構造、ノルボルナン構造、ノルボルネン構造、セドロール構造、イソボルナン構造、ボルナン構造、ジシクロペンタン構造、α−ピネン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造、あるいはアンドロスタン構造を挙げることができる。なお、単環若しくは多環のシクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
芳香族炭化水素構造は、炭素数6〜10の芳香族炭化水素構造であることが好ましく、例えば、ベンゼン環構造やナフタレン環構造などを挙げることができる。
上記の炭化水素構造の好ましいものとしては、アダマンタン構造、デカリン構造、ノルボルナン構造、ノルボルネン構造、セドロール構造、シクロヘキシル基を複数有する構造、シクロヘプチル基を複数有する構造、シクロオクチル基を複数有する構造、シクロデカニル基を複数有する構造、シクロドデカニル基を複数有する構造、トリシクロデカン構造があげられ、アダマンタン構造がドライエッチング耐性の観点で最も好ましい(すなわち、上記非酸分解性の炭化水素構造を有する基が、非酸分解性のアダマンタン構造を有する基であることが最も好ましい)。
これらの炭化水素構造の化学式を以下に表示する。
更に上記炭化水素構造は置換基を有してもよく、置換基としては例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜15)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6)、カルボキシル基、カルボニル基、チオカルボニル基、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、及びこれら基を組み合わせてなる基(好ましくは総炭素数1〜30、より好ましくは総炭素数1〜15)が挙げられる。
上記炭化水素構造としては、上記式(7)、(23)、(40)、(41)及び(51)のいずれかで表される構造、上記式(48)の構造における任意の一つの水素原子を結合手とした一価の基を2個有する構造が好ましく、上記式(23)、(40)及び(51)のいずれかで表される構造、上記式(48)の構造における任意の一つの水素原子を結合手とした一価の基を2個有する構造がより好ましく、上記式(40)で表される構造が最も好ましい。
炭化水素構造を有する基としては、上記の炭化水素構造の任意の一つの水素原子を結合手とした一価の基であることが好ましい。
前述の非酸分解性の炭化水素構造を有する基で、フェノール性水酸基の水素原子が置換された構造は、前述の非酸分解性の炭化水素構造を有する基で、フェノール性水酸基の水素原子が置換された構造を有する繰り返し単位として、樹脂(B)に含有されることが好ましく、フェノール性水酸基やフェノールのオルト位炭素のような、樹脂(B)中の架橋点の数を減らし、露光後にレジスト膜を放置した場合に発生した酸で膜内の反応が過剰に進行することを抑制し、PED安定性をより向上させる観点から、下記一般式(1)で表される繰り返し単位として樹脂(B)に含有されることがより好ましい。
一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは非酸分解性の炭化水素基を有する基を表す。Arは芳香環基を表す。Lは2価の連結基を表す。
一般式(1)におけるRは水素原子又はメチル基を表すが、水素原子が特に好ましい。
一般式(1)のArの芳香環基の具体例及び好ましい例は、上記一般式(II)のArとしての芳香環基について挙げたものと同様である。
Arの芳香環基は、上記−OXで表される基以外にも置換基を有していてもよく、置換基としては例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜15)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)が挙げられ、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、アルコキシ基がより好ましい。
Xは非酸分解性の炭化水素基を有する基を表し、非酸分解性の炭化水素構造を有する基を表すことが好ましい。Xで表される非酸分解性の炭化水素構造を有する基の具体例及び好ましい範囲は上述のものと同様である。Xは、後述の一般式(4)における−Y−Xで表される基であることがより好ましい。
Lの2価の連結基としては、カルボニル基、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5)、スルホニル基(−S(=O)−)、−O−、−NH−又はこれらを組合せた2価の連結基が好ましい。
Lは、単結合、カルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)又は−C(=O)−NH−を表すことが好ましく、単結合又はカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)を表すことがより好ましく、単結合であることがドライエッチング耐性向上の観点で特に好ましい。
本発明において、上記一般式(1)で表される繰り返し単位が、下記一般式(4)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(4)で表される繰り返し単位を有する樹脂(B)を使用すると、樹脂(B)のTgが高くなり、非常に硬いレジスト膜を形成するため、酸の拡散性やドライエッチング耐性をより確実に制御できる。
一般式(4)中、R13は水素原子又はメチル基を表す。
Yは単結合又は2価の連結基を表す。
は非酸分解性の炭化水素基を表す。
上記一般式(4)で表される繰り返し単位で、本発明に用いられる好ましい例を以下に記述する。
一般式(4)におけるR13は水素原子又はメチル基を表すが、水素原子が特に好ましい。
一般式(4)において、Yは2価の連結基であることが好ましい。Yの2価連結基として好ましい基は、カルボニル基、チオカルボニル基、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5)、スルホニル基、−COCH−、−NH−又はこれらを組合せた2価の連結基(好ましくは総炭素数1〜20、より好ましくは総炭素数1〜10)であり、より好ましくはカルボニル基、−COCH−、スルホニル基、−CONH−、−CSNH−であり、更に好ましくはカルボニル基、−COCH−であり、特に好ましくはカルボニル基である。
は炭化水素基を表し、非酸分解性である。炭化水素基の総炭素数は5〜40であることが好ましく、7〜30であることがより好ましい。炭化水素基は、環内に不飽和結合を有していてもよい。
このような炭化水素基としては、鎖状、分岐の炭化水素基、単環型の脂環炭化水素基を有する基、多環型の脂環炭化水素基、及び、芳香族炭化水素基などが挙げられ、これらは、有橋式であってもよい。単環型の脂環炭化水素基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができ、これらの基を複数有してもよい。単環型の脂環炭化水素基を複数有する場合は、単環型の脂環炭化水素基を2〜4個有することが好ましく、2個有することが特に好ましい。
鎖状、分岐の炭化水素基としては、炭素数1〜20のものが好ましく挙げられ、炭素数1〜10のものがより好ましく挙げられ、炭素数1〜7のものが更に好ましく挙げられる。
鎖状、分岐の炭化水素基としては、具体的には、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。
多環型の脂環炭化水素基としては、炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができ、炭素数6〜30の多環シクロ構造を有する基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基、あるいはアンドロスタニル基を挙げることができる。なお、単環若しくは多環のシクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
芳香族炭化水素基は、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基であることが好ましく、例えば、フェニル基やナフチル基などを挙げることができる。
上記Xの多環脂環炭化水素基としては、好ましくはアダマンチル基、デカリン基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、セドロール基、シクロヘキシル基を複数有する基、シクロヘプチル基を複数有する基、シクロオクチル基を複数有する基、シクロデカニル基を複数有する基、シクロドデカニル基を複数有する基、トリシクロデカニル基であり、アダマンチル基がドライエッチング耐性の観点で最も好ましい。Xの炭化水素基における炭化水素構造の化学式としては、前述の炭化水素構造を有する基における炭化水素構造の化学式と同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。Xの炭化水素基は、前述の炭化水素構造における任意の一つの水素原子を結合手とした一価の基が挙げられる。
更に上記脂環炭化水素基は置換基を有してもよく、置換基としては炭化水素構造が有してもよい置換基として上述したものと同様のものが挙げられる。
一般式(4)における−O−Y−Xの置換位置はベンゼン環のポリマー主鎖との結合位置に対して、パラ位でもメタ位でもオルト位でもよいが、パラ位が好ましい。
本発明において、上記一般式(1)で表される繰り返し単位が、下記一般式(4’)で表される繰り返し単位であることが最も好ましい。
一般式(4’)中、R13は水素原子又はメチル基を表す。
一般式(4’)におけるR13は水素原子又はメチル基を表すが、水素原子が特に好ましい。
一般式(4’)におけるアダマンチルエステル基の置換位置はベンゼン環のポリマー主鎖との結合位置に対して、パラ位でもメタ位でもオルト位でもよいが、パラ位が好ましい。
非酸分解性の炭化水素構造を有する基で、フェノール性水酸基の水素原子が置換された構造を有する繰り返し単位の具体例としては、以下のものが挙げられる。
中でも、一般式(4)で表される繰り返し単位の具体例としては、以下のものが挙げられる。
樹脂(B)が、前述の非酸分解性の炭化水素構造を有する基で、フェノール性水酸基の水素原子が置換された構造を有する繰り返し単位を含有する樹脂である場合、該繰り返し単位の含有量は、樹脂(B)の全繰り返し単位に対して、1〜40モル%であることが好ましく、より好ましくは2〜30モル%である。
また、樹脂(B)は、後に詳述する他の架橋剤(E)を兼ねていてもよい(換言すれば、樹脂(B)と他の架橋剤(E)とが同一の成分であってもよい)。
すなわち、樹脂(B)は、架橋性基を有してもよく、この場合、架橋性基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
架橋性基を有する繰り返し単位の具体例としては、下記構造が挙げられる。
上式中、Aは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。
架橋性基を有する場合の樹脂(B)としては、例えば、特開2013−122569号公報、及び、特開2014−024999号公報等に記載の樹脂を使用できる。
樹脂(B)は、架橋性基を有する繰り返し単位を有しても有さなくてもよいが、有する場合、上記繰り返し単位の含有量は、樹脂(B)における全繰り返し単位に対して一般的に1〜30モル%、好ましくは1〜20モル%、より好ましくは2〜15モル%である。
樹脂(B)は解像度、ラフネス特性及びEL(露光ラチチュード)の少なくとも1つが向上させる観点から、活性光線又は放射線の照射により分解して側鎖に酸を発生する構造部位を有する繰り返し単位(A1)を含むことも好ましい。
活性光線又は放射線の照射により分解して側鎖に酸を発生する構造部位を有する繰り返し単位(A1)の具体例としては、特開2013−80002号公報の段落〔0168〕〜〔0210〕や特開2010−77404号公報に記載の具体例を挙げることができる。
樹脂(B)における活性光線又は放射線の照射により分解して側鎖に酸を発生する構造部位を有する繰り返し単位(A1)の含有量は、樹脂(B)の全繰り返し単位に対して、1〜40モル%の範囲が好ましく、2〜30モル%の範囲がより好ましく、4〜25モル%の範囲が特に好ましい。
本発明で用いられる樹脂(B)は、上記繰り返し単位以外の繰り返し単位として、下記のような繰り返し単位(以下、「他の繰り返し単位」ともいう)を更に有することも好ましい。
これら他の繰り返し単位を形成するための重合性モノマーの例としてはスチレン、アルキル置換スチレン、アルコキシ置換スチレン、ハロゲン置換スチレン、O−アルキル化スチレン、O−アシル化スチレン、水素化ヒドロキシスチレン、無水マレイン酸、アクリル酸誘導体(アクリル酸、アクリル酸エステル等)、メタクリル酸誘導体(メタクリル酸、メタクリル酸エステル等)、N−置換マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、置換基を有しても良いインデン等を挙げることができる。
樹脂(B)は、これら他の繰り返し単位を有してもしなくても良いが、有する場合、これら他の繰り返し単位の樹脂(B)中の含有量は、樹脂(B)を構成する全繰り返し単位に対して、一般的に1〜30モル%、好ましくは1〜20モル%、より好ましくは2〜10モル%である。
樹脂(B)は、公知のラジカル重合法やアニオン重合法やリビングラジカル重合法(イニファーター法等)により合成することができる。例えば、アニオン重合法では、ビニルモノマーを適当な有機溶媒に溶解し、金属化合物(ブチルリチウム等)を開始剤として、通常、冷却条件下で反応させて重合体を得ることができる。
樹脂(B)としては、芳香族ケトン又は芳香族アルデヒド、及び1〜3個のフェノール性水酸基を含有する化合物の縮合反応により製造されたポリフェノール化合物(例えば、特開2008−145539)、カリックスアレーン誘導体(例えば特開2004−18421)、Noria誘導体(例えば特開2009−222920)、ポリフェノール誘導体(例えば特開2008−94782)も適用でき、高分子反応で修飾して合成しても良い。
また、樹脂(B)は、ラジカル重合法やアニオン重合法で合成したポリマーに高分子反応で修飾して合成することが好ましい。
樹脂(B)の重量平均分子量は、好ましくは1000〜200000であり、更に好ましくは2000〜50000であり、更により好ましくは2000〜15000である。
樹脂(B)の分散度(分子量分布)(Mw/Mn)は、好ましくは2.0以下であり、感度及び解像性の向上の観点で好ましくは1.0〜1.80であり、1.0〜1.60がより好ましく、1.0〜1.20が最も好ましい。リビングアニオン重合等のリビング重合を用いることで、得られる高分子化合物の分散度(分子量分布)が均一となり、好ましい。
なお、本明細書において、樹脂(B)及び後述の疎水性樹脂(HR)の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分散度(Mw/Mn)は、GPC測定(溶媒:テトラヒドロフラン、カラム:東ソー社製TSK gel Multipore HXL−M、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:RI)によるポリスチレン換算値として定義される。
本発明の組成物における化合物(B)の含有量は、組成物の全固形分に対して、好ましくは30〜99質量%、より好ましくは40〜97質量%、特に好ましくは50〜95質量%で用いられる。
化合物(B)の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[3](C)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
本発明の組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤」又は「化合物(C)」ともいう)を含有することが好ましい。
酸発生剤としては、公知のものであれば特に限定されないが、活性光線又は放射線の照射により、有機酸、例えば、スルホン酸、ビス(アルキルスルホニル)イミド、又はトリス(アルキルスルホニル)メチドの少なくともいずれかを発生する化合物が好ましい。
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(C)は、低分子化合物の形態であってもよく、重合体の一部に組み込まれた形態であってもよい。また、低分子化合物の形態と重合体の一部に組み込まれた形態を併用してもよい。
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(C)が、低分子化合物の形態である場合、分子量が3000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましく、1000以下であることが更に好ましい。
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(C)が、重合体の一部に組み込まれた形態である場合、前述した樹脂(B)の一部に組み込まれ、樹脂(B)を構成してもよく、あるいは、樹脂(B)とは異なる樹脂に組み込まれてもよい。
より好ましくは下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
は、非求核性アニオン(求核反応を起こす能力が著しく低いアニオン)を表す。
非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン(脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなど)、カルボン酸アニオン(脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなど)、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン等を挙げられる。
脂肪族スルホン酸アニオン及び脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基が挙げられる。
芳香族スルホン酸アニオン及び芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
上記で挙げたアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。この具体例としては、ニトロ基、フッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルイミノスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20)、アルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数7〜20)、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数10〜20)、アルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数5〜20)、シクロアルキルアルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数8〜20)等を挙げることができる。各基が有するアリール基及び環構造については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルブチル基等を挙げることができる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンを挙げることができる。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。これらのアルキル基の置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基等を挙げることができ、フッ素原子又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
また、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンにおけるアルキル基は、互いに結合して環構造を形成してもよい。これにより、酸強度が増加する。
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、弗素化燐(例えば、PF )、弗素化硼素(例えば、BF )、弗素化アンチモン(例えば、SbF )等を挙げることができる。
非求核性アニオンとしては、スルホン酸の少なくともα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。非求核性アニオンとして、より好ましくはパーフロロ脂肪族スルホン酸アニオン(更に好ましくは炭素数4〜8)、フッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオン、更により好ましくはノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5−ビス(トリフロロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンである。
酸強度の観点からは、発生酸のpKaが−1以下であることが、感度向上のために好ましい。
また、非求核性アニオンとしては、以下の一般式(AN1)で表されるアニオンも好ましい態様として挙げられる。
式中、
Xfは、それぞれ独立に、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
、Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、又は、アルキル基を表し、複数存在する場合のR、Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Lは、二価の連結基を表し、複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。
Aは、環状の有機基を表す。
xは1〜20の整数を表し、yは0〜10の整数を表し、zは0〜10の整数を表す。
一般式(AN1)について、更に詳細に説明する。
Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基におけるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜10であり、より好ましくは炭素数1〜4である。また、Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Xfとして好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。Xfの具体的としては、フッ素原子、CF、C、C、C、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH、CHCHが挙げられ、中でもフッ素原子、CFが好ましい。特に、双方のXfがフッ素原子であることが好ましい。
、Rのアルキル基は、置換基(好ましくはフッ素原子)を有していてもよく、炭素数1〜4のものが好ましい。更に好ましくは炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。R、Rの置換基を有するアルキル基の具体例としては、CF、C、C、C、C11、C13、C15、C17、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH
、CH、CHCH、CH、CHCHが挙げられ、中でもCFが好ましい。
、Rとしては、好ましくはフッ素原子又はCFである。
xは1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
yは0〜4が好ましく、0がより好ましい。
zは0〜5が好ましく、0〜3がより好ましい。
Lの2価の連結基としては特に限定されず、―COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S―、−SO―、―SO−、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基又はこれらの複数が連結した連結基などを挙げることができ、総炭素数12以下の連結基が好ましい。このなかでも―COO−、−OCO−、−CO−、−O−が好ましく、―COO−、−OCO−がより好ましい。
Aの環状の有機基としては、環状構造を有するものであれば特に限定されず、脂環基、アリール基、複素環基(芳香族性を有するものだけでなく、芳香族性を有さないものも含む)等が挙げられる。
脂環基としては、単環でも多環でもよく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基等の炭素数7以上のかさ高い構造を有する脂環基が、露光後加熱工程での膜中拡散性を抑制でき、MEEF向上の観点から好ましい。
アリール基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナンスレン環、アントラセン環が挙げられる。
複素環基としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ピリジン環由来のものが挙げられる。中でもフラン環、チオフェン環、ピリジン環由来のものが好ましい。
また、環状の有機基としては、ラクトン構造も挙げることができる。
上記環状の有機基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルキル基(直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、炭素数1〜12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、多環、スピロ環のいずれであってもよく、炭素数3〜20が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、スルホン酸エステル基等が挙げられる。なお、環状の有機基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であってもよい。
201、R202及びR203の有機基としては、アリール基、アルキル基、シクロアルキル基などが挙げられる。
201、R202及びR203のうち、少なくとも1つがアリール基であることが好ましく、三つ全てがアリール基であることがより好ましい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などの他に、インドール残基、ピロール残基などのヘテロアリール基も可能である。R201〜R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基を挙げることができる。アルキル基として、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基等を挙げることができる。シクロアルキル基として、より好ましくは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基等を挙げることができる。これらの基は更に置換基を有していてもよい。その置換基としては、ニトロ基、フッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成する場合、以下の一般式(A1)で表される構造であることが好ましい。
一般式(A1)中、
1a〜R13aは、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。
1a〜R13aのうち、1〜3つが水素原子でないことが好ましく、R9a〜R13aのいずれか1つが水素原子でないことがより好ましい。
Zaは、単結合又は2価の連結基である。
は、一般式(ZI)におけるZと同義である。
1a〜R13aが水素原子でない場合の具体例としては、ハロゲン原子、直鎖、分岐、環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH))、ホスファト基(−OPO(OH))、スルファト基(−OSOH)、その他の公知の置換基が例として挙げられる。
1a〜R13aが水素原子でない場合としては、水酸基で置換された直鎖、分岐、環状のアルキル基であることが好ましい。
Zaの2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミド基、エーテル結合、チオエーテル結合、アミノ基、ジスルフィド基、−(CH−CO−、−(CH−SO−、−CH=CH−、アミノカルボニルアミノ基、アミノスルホニルアミノ基等が挙げられる(nは1〜3の整数)。
なお、R201、R202及びR203のうち、少なくとも1つがアリール基でない場合の好ましい構造としては、特開2004−233661号公報の段落0046〜0048、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046、米国特許出願公開第2003/0224288A1号明細書に式(I−1)〜(I−70)として例示されている化合物、米国特許出願公開第2003/0077540A1号明細書に式(IA−1)〜(IA−54)、式(IB−1)〜(IB−24)として例示されている化合物等のカチオン構造を挙げることができる。
一般式(ZII)、(ZIII)中、
204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基としては、前述の化合物(ZI)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基として説明したアリール基と同様である。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としても、前述の化合物(ZI)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよいものが挙げられる。
は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZの非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
酸発生剤として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物も挙げられる。
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar及びArは、各々独立に、アリール基を表す。
208、R209及びR210は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
Ar、Ar、R208、R209及びR210のアリール基の具体例としては、上記一般式(ZI)におけるR201、R202及びR203としてのアリール基の具体例と同様のものを挙げることができる。
208、R209及びR210のアルキル基及びシクロアルキル基の具体例としては、それぞれ、上記一般式(ZI)におけるR201、R202及びR203としてのアルキル基及びシクロアルキル基の具体例と同様のものを挙げることができる。
Aのアルキレン基としては、炭素数1〜12のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基など)を、Aのアルケニレン基としては、炭素数2〜12のアルケニレン基(例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基など)を、Aのアリーレン基としては、炭素数6〜10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基など)を、それぞれ挙げることができる。
酸発生剤は、上記化合物(A)において説明した遷移金属原子を有していてもよく、具体的には、上記化合物(A)において説明した遷移金属原子と非金属の原子(配位子)とが結合した構造を有していてもよい。
酸発生剤は、露光で発生した酸の非露光部への拡散を抑制し解像性やパターン形状を良好にする観点から、体積130Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることが好ましく、体積190Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることがより好ましく、体積240Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることが更により好ましく、体積400Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることが特に好ましい。ただし、感度や塗布溶剤溶解性の観点から、上記体積は、2000Å以下であることが好ましく、1500Å以下であることが更に好ましい。
上記体積の値は、富士通株式会社製の「WinMOPAC」を用いて求めることができる。すなわち、まず、各例に係る酸の化学構造を入力し、次に、この構造を初期構造としてMM3法を用いた分子力場計算により、各酸の最安定立体配座を決定し、その後、これら最安定立体配座についてPM3法を用いた分子軌道計算を行うことにより、各酸の「accessible volume」を計算することができる。
以下に、酸発生剤の具体例を示す。なお、例の一部には、体積の計算値を付記している(単位Å)。なお、ここで求めた計算値は、アニオン部にプロトンが結合した酸の体積値である。
酸発生剤は、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
酸発生剤の組成物中の含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜20質量%、更に好ましくは1〜15質量%である。
[4]レジスト溶剤(塗布溶媒)
組成物を調製する際に使用できる溶剤としては、各成分を溶解するものである限り特に限定されないが、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)など)、アルキレングリコールモノアルキルエーテル(プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME;1−メトキシ−2−プロパノール)など)、乳酸アルキルエステル(乳酸エチル、乳酸メチルなど)、環状ラクトン(γ−ブチロラクトンなど、好ましくは炭素数4〜10)、鎖状又は環状のケトン(2−ヘプタノン、シクロヘキサノンなど、好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、カルボン酸アルキル(酢酸ブチルなどの酢酸アルキルが好ましい)、アルコキシ酢酸アルキル(エトキシプロピオン酸エチル)などが挙げられる。その他使用可能な溶媒として、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425A1号明細書の[0244]以降に記載されている溶剤などが挙げられる。
上記のうち、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
これら溶媒は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合する場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合することが好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。
水酸基を有する溶剤としてはアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましく、水酸基を有しない溶剤としてはアルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートが好ましい。
[5]塩基性化合物
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物は、塩基性化合物を更に含んでいてもよい。塩基性化合物は、好ましくは、フェノールと比較して塩基性がより強い化合物である。また、この塩基性化合物は、有機塩基性化合物であることが好ましく、含窒素塩基性化合物であることが更に好ましい。
使用可能な含窒素塩基性化合物は特に限定されないが、例えば、以下の(1)〜(7)に分類される化合物を用いることができ、なかでも、後述する(4)アンモニウム塩が好ましい。
(1)一般式(BS−1)により表される化合物
一般式(BS−1)中、
Rは、各々独立に、水素原子又は有機基を表す。但し、3つのRのうち少なくとも1つは有機基である。この有機基は、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、単環若しくは多環のシクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。
上記一般式(BS−1)により表される化合物についての説明(各基の説明、一般式(BS−1)により表される化合物の具体例等)としては、特開2013−015572号公報段落0471〜0481の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
(2)含窒素複素環構造を有する化合物
この含窒素複素環は、芳香族性を有していてもよく、芳香族性を有していなくてもよい。また、窒素原子を複数有していてもよい。更に、窒素以外のヘテロ原子を含有していてもよい。具体的には、例えば、イミダゾール構造を有する化合物(2−フェニルベンゾイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾールなど)、ピペリジン構造を有する化合物〔N−ヒドロキシエチルピペリジン及びビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートなど〕、ピリジン構造を有する化合物(4−ジメチルアミノピリジンなど)、並びにアンチピリン構造を有する化合物(アンチピリン及びヒドロキシアンチピリンなど)が挙げられる。
好ましい含窒素複素環構造を有する化合物の例としては、例えば、グアニジン、アミノピリジン、アミノアルキルピリジン、アミノピロリジン、インダゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、プリン、イミダゾリン、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルフォリン及びアミノアルキルモルフォリンが挙げられる。これらは、置換基を更に有していてもよい。
好ましい置換基としては、例えば、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基及びシアノ基が挙げられる。
特に好ましい塩基性化合物としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン及びN−(2−アミノエチル)モルフォリンが挙げられる。
また、環構造を2つ以上有する化合物も好適に用いられる。具体的には、例えば、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン及び1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−ウンデカ−7−エンが挙げられる。
(3)フェノキシ基を有するアミン化合物
フェノキシ基を有するアミン化合物とは、アミン化合物が含んでいるアルキル基のN原子と反対側の末端にフェノキシ基を備えた化合物である。フェノキシ基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アリール基、アラルキル基、アシロキシ基及びアリールオキシ基等の置換基を有していてもよい。
この化合物は、より好ましくは、フェノキシ基と窒素原子との間に、少なくとも1つのオキシアルキレン鎖を有している。1分子中のオキシアルキレン鎖の数は、好ましくは3〜9個、更に好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン鎖の中でも−CHCHO−が特に好ましい。
具体例としては、2−[2−{2―(2,2―ジメトキシ−フェノキシエトキシ)エチル}−ビス−(2−メトキシエチル)]−アミン、及び、US2007/0224539A1号明細書の段落[0066]に例示されている化合物(C1−1)〜(C3−3)が挙げられる。
フェノキシ基を有するアミン化合物は、例えば、フェノキシ基を有する1級又は2級アミンとハロアルキルエーテルとを加熱して反応させ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びテトラアルキルアンモニウム等の強塩基の水溶液を添加した後、酢酸エチル及びクロロホルム等の有機溶剤で抽出することにより得られる。また、フェノキシ基を有するアミン化合物は、1級又は2級アミンと、末端にフェノキシ基を有するハロアルキルエーテルとを加熱して反応させ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びテトラアルキルアンモニウム等の強塩基の水溶液を添加した後、酢酸エチル及びクロロホルム等の有機溶剤で抽出することによって得ることもできる。
(4)アンモニウム塩
塩基性化合物として、アンモニウム塩も適宜用いることができ、第四級アンモニウム塩が好ましい。
アンモニウム塩のカチオンとしては、炭素数1〜18のアルキル基が置換したテトラアルキルアンモニウムカチオンが好ましく、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラ(n−プロピル)アンモニウムカチオン、テトラ(i−プロピル)アンモニウムカチオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムカチオン、テトラ(n−ヘプチル)アンモニウムカチオン、テトラ(n−オクチル)アンモニウムカチオン、ジメチルヘキサデシルアンモニウムカチオン、ベンジルトリメチルカチオン等がより好ましく、テトラ(n−ブチル)アンモニウムカチオンがもっとも好ましい。
アンモニウム塩のアニオンとしては、例えば、ヒドロキシド、カルボキシレート、ハライド、スルホネート、ボレート及びフォスフェートが挙げられる。これらのうち、ヒドロキシド又はカルボキシレートが特に好ましい。
ハライドとしては、クロライド、ブロマイド及びアイオダイドが特に好ましい。
スルホネートとしては、炭素数1〜20の有機スルホネートが特に好ましい。有機スルホネートとしては、例えば、炭素数1〜20のアルキルスルホネート及びアリールスルホネートが挙げられる。
アルキルスルホネートに含まれるアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アルコキシ基、アシル基及びアリール基が挙げられる。アルキルスルホネートとして、具体的には、メタンスルホネート、エタンスルホネート、ブタンスルホネート、ヘキサンスルホネート、オクタンスルホネート、ベンジルスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート及びノナフルオロブタンスルホネートが挙げられる。
アリールスルホネートに含まれるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基及びアントリル基が挙げられる。これらアリール基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基及び炭素数3〜6のシクロアルキル基が好ましい。具体的には、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル及びシクロヘキシル基が好ましい。他の置換基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アシル基及びアシロキシ基が挙げられる。
カルボキシレートとしては、脂肪族カルボキシレートでも芳香族カルボキシレートでもよく、アセテート、ラクテート、ビルベート、トリフルオロアセテート、アダマンタンカルボキシレート、ヒドロキシアダマンタンカルボキシレート、ベンゾエート、ナフトエート、サリチレート、フタレート、フェノレート等が挙げられ、特にベンゾエート、ナフトエート、フェノレート等が好ましく、ベンゾエートが最も好ましい。
この場合、アンモニウム塩としては、テトラ(n−ブチル)アンモニウムベンゾエート、テトラ(n−ブチル)アンモニウムフェノレート等が好ましい。
ヒドロキシドの場合、このアンモニウム塩は、炭素数1〜8のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−(n−ブチル)アンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドであることが特に好ましい。
(5)プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する化合物(PA)
本発明の組成物は、塩基性化合物として、プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する化合物〔以下、化合物(PA)ともいう〕を更に含んでいてもよい。これにより、ラフネス性能をより向上できる。
プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する化合物(PA)としては、特開2012−32762号公報段落0379〜0425(対応する米国特許出願公開第2012/0003590号明細書の[0386]〜[0435])の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
本発明の組成物において、化合物(PA)の組成物全体中の配合率は、全固形分中0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは1〜8質量%である。
(6)グアニジン化合物
本発明の組成物は、グアニジン化合物を更に含有していてもよい。
グアニジン化合物としては、特開2012−32762号公報段落0374〜0378(対応する米国特許出願公開第2012/0003590号明細書の[0382]〜[0385])の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
(7)窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物
本発明の組成物は、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(以下において、「低分子化合物(D)」又は「化合物(D)」ともいう)を含有することができる。低分子化合物(D)は、酸の作用により脱離する基が脱離した後は、塩基性を有することが好ましい。
低分子化合物(D)としては、特開2012−133331号公報段落0324〜0337の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
本発明において、低分子化合物(D)は、一種単独でも又は2種以上を混合しても使用することができる。
本発明の組成物は、低分子化合物(D)を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、化合物(D)の含有量は、上述した塩基性化合物と合わせた組成物の全固形分を基準として、通常、0.001〜20質量%、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%である。
また、酸発生剤と化合物(D)の組成物中の使用割合は、酸発生剤/[化合物(D)+下記塩基性化合物](モル比)=2.5〜300であることが好ましい。即ち、感度、解像度の点からモル比が2.5以上が好ましく、露光後加熱処理までの経時でのレジストパターンの太りによる解像度の低下抑制の点から300以下が好ましい。酸発生剤/[化合物(D)+上記塩基性化合物](モル比)は、より好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
その他、本発明の組成物に使用可能なものとして、特開2002−363146号公報の実施例で合成されている化合物、及び特開2007−298569号公報の段落0108に記載の化合物等が挙げられる。
塩基性化合物として、感光性の塩基性化合物を用いてもよい。感光性の塩基性化合物としては、例えば、特表2003−524799号公報、及び、J.Photopolym.Sci&Tech.Vol.8,P.543−553(1995)等に記載の化合物を用いることができる。
塩基性化合物の分子量は、通常は100〜1500であり、好ましくは150〜1300であり、より好ましくは200〜1000である。
これらの塩基性化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の組成物が塩基性化合物を含んでいる場合、その含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.01〜10.0質量%であることが好ましく、0.1〜8.0質量%であることがより好ましく、0.2〜5.0質量%であることが特に好ましい。
塩基性化合物の酸発生剤に対するモル比は、好ましくは0.01〜10とし、より好ましくは0.05〜5とし、更に好ましくは0.1〜3とする。このモル比を過度に大きくすると、感度及び/又は解像度が低下する場合がある。このモル比を過度に小さくすると、露光と加熱(ポストベーク)との間において、パターンの細りを生ずる可能性がある。より好ましくは0.05〜5、更に好ましくは0.1〜3である。なお、上記モル比における酸発生剤とは、上記樹脂(B)における活性光線又は放射線の照射により分解して側鎖に酸を発生する構造部位を有する繰り返し単位と上記樹脂(B)が更に含んでいてもよい酸発生剤との合計の量を基準とするものである。
[6](E)架橋剤
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物は、上記化合物(A)とは異なる、架橋剤(以下、「架橋剤(E)」ともいう)を更に含有してもよい。
架橋剤(E)は、典型的には、酸架橋性基を有する化合物であり、ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を分子内に2個以上含む化合物であることが好ましい。また、ラフネス性能向上の観点からは、架橋剤(E)がメチロール基を含んでいることが好ましい。
架橋剤(E)は、低分子化合物の形態であっても良く、重合体の一部に組み込まれた形態であっても良い。また、低分子化合物の形態と重合体の一部に組み込まれた形態を併用しても良い。
架橋剤(E)が、低分子化合物の形態である場合、分子量が3000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましく、1000以下であることが更に好ましい。
架橋剤(E)が、重合体の一部に組み込まれた形態である場合、上記のように樹脂(B)の一部に組み込まれても良いし、樹脂(B)とは異なる樹脂に組み込まれても良い。
架橋剤(E)としては、好ましくは、ヒドロキシメチル化又はアルコキシメチル化フェノール化合物、アルコキシメチル化メラミン系化合物、アルコキシメチルグリコールウリル系化合物及びアルコキシメチル化ウレア系化合物が挙げられる。特に好ましい架橋剤(E)としては、分子内にベンゼン環を3〜5個含み、更にヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、分子量が1200以下のフェノール誘導体やアルコキシメチルグリコールウリル誘導体が挙げられる。
アルコキシメチル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基が好ましい。
上記架橋剤(E)の例のうち、ヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有さないフェノール化合物とホルムアルデヒドを塩基触媒下で反応させることによって得ることができる。また、アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体とアルコールを酸触媒下で反応させることによって得ることができる。
別の好ましい架橋剤(E)の例として、更にアルコキシメチル化メラミン系化合物、アルコキシメチルグリコールウリル系化合物類及びアルコキシメチル化ウレア系化合物のようなN−ヒドロキシメチル基又はN−アルコキシメチル基を有する化合物を挙げることができる。
このような化合物としては、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルグリコールウリル、1,3−ビスメトキシメチル−4,5−ビスメトキシエチレンウレア、ビスメトキシメチルウレア等が挙げられ、EP0,133,216A号、西独特許第3,634,671号、同第3,711,264号、EP0,212,482A号に開示されている。
架橋剤(E)の具体例の中で特に好ましいものを以下に挙げる。
式中、L〜Lは、各々独立に、水素原子、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
また、架橋剤(E)としては、下記一般式(I)で表される化合物も好適に挙げられる。
一般式(I)中、
及びRは、各々独立に、水素原子、又は炭素数5以下の炭化水素基を表す。
及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアシル基を表す。
及びRは、各々独立に、水素原子、又は炭素数2以上の有機基を表す。R及びRは、互いに結合して環を形成してもよい。
本発明の一形態において、R及びRは、好ましくは炭素数5以下の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数4以下の炭化水素基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
及びRにより表されるアルキル基としては、例えば、炭素数1〜6以下のアルキル基が好ましく、シクロアルキル基として、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキル基が好ましく、アリール基としては、例えば、炭素数6〜12のアリール基が好ましく、アシル基としては、例えば、アルキル部位の炭素数が1〜6のものが好ましい。
本発明の一形態において、R及びRは、アルキル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
及びRにより表される炭素数2以上の有機基としては、例えば、炭素数2以上のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基等が挙げられ、また、R及びRが互いに結合して形成して以下に詳述する環を形成していることが好ましい。
及びRが互いに結合して形成される環としては、例えば、芳香族若しくは非芳香族の炭化水素環、芳香族若しくは非芳香族の複素環、又は、これらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環を挙げることができる。

これらの環は置換基を有していてもよく、このような置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アリール基、アルコキシメチル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン、又はヒドロキシ基等が挙げられる。
以下に、R及びRが互いに結合して形成する環の具体例を挙げる。式中の*は、フェノール核との連結部位を表す。
本発明の一形態において、一般式(I)中のR及びRが結合してベンゼン環を含む多環縮合環を形成していることが好ましく、フルオレン構造を形成していることがより好ましい。
一般式(I)で表される化合物は、例えば、一般式(I)中のR及びRが結合して、下記一般式(I−a)で表されるフルオレン構造を形成していることが好ましい。
式中、
及びRは、各々独立に、置換基を表す。置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルコキシメチル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン、又はヒドロキシ基等が挙げられる。
n1及びn2は、各々独立に、0〜4の整数を表し、好ましくは0又は1を表す。
*は、フェノール核との連結部位を表す。
また、本発明の一形態において、一般式(I)で表される化合物は、下記一般式(I−b)で表されることも好ましい。
式中、
1b及びR6bは、各々独立に、炭素数5以下のアルキル基を表す。
2b及びR5bは、各々独立に、炭素数6以下のアルキル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を表す。
Zは、式中の炭素原子と共に環を形成するのに必要な原子群を表す。
Zが式中の炭素原子と共に形成する環については、上述した一般式(I)の説明において、R及びRが互いに結合して形成する環について説明したものと同様である。
以下に、一般式(I)で表される化合物の具体例を示す。
感活性光線性又は感放射線性組成物は、架橋剤(E)を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、架橋剤(E)の含有量は、感活性光線性又は感放射線性組成物の全固形分中、好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは2〜15質量%である。
本発明において、架橋剤(E)は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
[7]酸の作用により分解して酸を発生する化合物
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物は、更に、酸の作用により分解して酸を発生する化合物を1種又は2種以上含んでいてもよい。上記酸の作用により分解して酸を発生する化合物が発生する酸は、スルホン酸、メチド酸又はイミド酸であることが好ましい。
以下に本発明に用いることができる酸の作用により分解して酸を発生する化合物の例を示すが、これらに限定されるものではない。
上記酸の作用により分解して酸を発生する化合物は、1種単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
なお、酸の作用により分解して酸を発生する化合物の含有量は、本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物の全固形分を基準として、0.1〜40質量%であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましく、1.0〜20質量%であることが更に好ましい。
[8]疎水性樹脂(HR)
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物は、疎水性樹脂(HR)を有していてもよい。
疎水性樹脂はレジスト膜の表面に偏在するように設計されることが好ましいが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくてもよい。
疎水性樹脂を添加することの効果として、水に対するレジスト膜表面の静的/動的な接触角の制御、アウトガスの抑制などを挙げることができる。
疎水性樹脂は、膜表面への偏在化の観点から、“フッ素原子”、“珪素原子”、及び、 “樹脂の側鎖部分に含有されたCH部分構造”のいずれか1種以上を有することが好ましく、2種以上を有することが更に好ましい。
疎水性樹脂が、フッ素原子及び/又は珪素原子を含む場合、疎水性樹脂に於ける上記フッ素原子及び/又は珪素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
疎水性樹脂がフッ素原子を含んでいる場合、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又は、フッ素原子を有するアリール基を有する樹脂であることが好ましい。
フッ素原子を有するアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4)は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐アルキル基であり、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環又は多環のシクロアルキル基であり、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子又は珪素原子を有する繰り返し単位の例としては、US2012/0251948A1の段落0519に例示されたものを挙げることが出来る。
また、上記したように、疎水性樹脂は、側鎖部分にCH部分構造を含むことも好ましい。
ここで、疎水性樹脂中の側鎖部分が有するCH部分構造(以下、単に「側鎖CH部分構造」ともいう)には、エチル基、プロピル基等が有するCH部分構造を包含するものである。
一方、疎水性樹脂の主鎖に直接結合しているメチル基(例えば、メタクリル酸構造を有する繰り返し単位のα−メチル基)は、主鎖の影響により疎水性樹脂の表面偏在化への寄与が小さいため、本発明におけるCH部分構造に包含されないものとする。
より具体的には、疎水性樹脂が、例えば、下記一般式(M)で表される繰り返し単位などの、炭素−炭素二重結合を有する重合性部位を有するモノマーに由来する繰り返し単位を含む場合であって、R11〜R14がCH「そのもの」である場合、そのCHは、本発明における側鎖部分が有するCH部分構造には包含されない。
一方、C−C主鎖から何らかの原子を介して存在するCH部分構造は、本発明におけるCH部分構造に該当するものとする。例えば、R11がエチル基(CHCH)である場合、本発明におけるCH部分構造を「1つ」有するものとする。
上記一般式(M)中、
11〜R14は、各々独立に、側鎖部分を表す。
側鎖部分のR11〜R14としては、水素原子、1価の有機基などが挙げられる。
11〜R14についての1価の有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、シクロアルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基などが挙げられ、これらの基は、更に置換基を有していてもよい。
疎水性樹脂は、側鎖部分にCH部分構造を有する繰り返し単位を有する樹脂であることが好ましく、このような繰り返し単位として、下記一般式(II)で表される繰り返し単位、及び、下記一般式(III)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一種の繰り返し単位(x)を有していることがより好ましい。
以下、一般式(II)で表される繰り返し単位について詳細に説明する。
上記一般式(II)中、Xb1は水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表し、Rは1つ以上のCH部分構造を有する、酸に対して安定な有機基を表す。
b1のアルキル基は、炭素数1〜4のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基等が挙げられるが、メチル基であることが好ましい。
b1は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
としては、1つ以上のCH部分構造を有する、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、及び、アラルキル基が挙げられる。上記のシクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、及び、アラルキル基は、更に、置換基としてアルキル基を有していてもよい。
は、1つ以上のCH部分構造を有する、アルキル基又はアルキル置換シクロアルキル基が好ましい。
としての1つ以上のCH部分構造を有する酸に安定な有機基は、CH部分構造を2個以上10個以下有することが好ましく、2個以上8個以下有することがより好ましい。
一般式(II)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を以下に挙げる。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
一般式(II)で表される繰り返し単位は、酸に安定な(非酸分解性の)繰り返し単位であることが好ましく、具体的には、酸の作用により分解して、極性基を生じる基を有さない繰り返し単位であることが好ましい。
以下、一般式(III)で表される繰り返し単位について詳細に説明する。
上記一般式(III)中、Xb2は水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表し、Rは1つ以上のCH部分構造を有する、酸に対して安定な有機基を表し、nは1から5の整数を表す。
b2のアルキル基は、炭素数1〜4のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基等が挙げられるが、水素原子である事が好ましい。
b2は、水素原子であることが好ましい。
は、酸に対して安定な有機基である。
としては、1つ以上のCH部分構造を有する、アルキル基が挙げられる。
としての1つ以上のCH部分構造を有する酸に安定な有機基は、CH部分構造を1個以上10個以下有することが好ましく、1個以上8個以下有することがより好ましく、1個以上4個以下有することが更に好ましい。
nは1から5の整数を表し、1〜3の整数を表すことがより好ましく、1又は2を表すことが更に好ましい。
一般式(III)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を以下に挙げる。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
一般式(III)で表される繰り返し単位は、酸に安定な(非酸分解性の)繰り返し単位であることが好ましく、具体的には、酸の作用により分解して、極性基を生じる基を有さない繰り返し単位であることが好ましい。
疎水性樹脂が、側鎖部分にCH部分構造を含む場合であり、更に、特にフッ素原子及び珪素原子を有さない場合、一般式(II)で表される繰り返し単位、及び、一般式(III)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一種の繰り返し単位(x)の含有量は、疎水性樹脂の全繰り返し単位に対して、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい。含有量は、疎水性樹脂の全繰り返し単位に対して、通常、100モル%以下である。
疎水性樹脂が、一般式(II)で表される繰り返し単位、及び、一般式(III)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一種の繰り返し単位(x)を、疎水性樹脂の全繰り返し単位に対し、90モル%以上で含有することにより、疎水性樹脂の表面自由エネルギーが増加する。その結果として、疎水性樹脂がレジスト膜の表面に偏在しやすくなる。
また、疎水性樹脂は、(i)フッ素原子及び/又は珪素原子を含む場合においても、(ii)側鎖部分にCH部分構造を含む場合においても、下記(x)〜(z)の群から選ばれる基を少なくとも1つを有していてもよい。
(x)酸基、
(y)ラクトン構造を有する基、酸無水物基、又は酸イミド基、
(z)酸の作用により分解する基
酸基(x)としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
好ましい酸基としては、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホンイミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基が挙げられる。
酸基(x)を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に、直接、酸基が結合している繰り返し単位、或いは、連結基を介して樹脂の主鎖に酸基が結合している繰り返し単位などが挙げられ、更には酸基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入することもでき、いずれの場合も好ましい。酸基(x)を有する繰り返し単位が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有していてもよい。
酸基(x)を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、1〜50モル%が好ましく、より好ましくは3〜35モル%、更に好ましくは5〜20モル%である。
酸基(x)を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。式中、Rxは水素原子、CH、CF、又は、CHOHを表す。
ラクトン構造を有する基、酸無水物基、又は酸イミド基(y)としては、ラクトン構造を有する基が特に好ましい。
これらの基を含んだ繰り返し単位は、例えば、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルによる繰り返し単位等の、樹脂の主鎖に直接この基が結合している繰り返し単位である。或いは、この繰り返し単位は、この基が連結基を介して樹脂の主鎖に結合している繰り返し単位であってもよい。或いは、この繰り返し単位は、この基を有する重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。
ラクトン構造を有する基、酸無水物基、又は酸イミド基を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位を基準として、1〜100モル%であることが好ましく、3〜98モル%であることがより好ましく、5〜95モル%であることが更に好ましい。
疎水性樹脂に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位における酸の作用により分解する基(z)は、酸の作用により分解して極性基を発生する基であることが好ましい。
極性基としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
好ましい極性基としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホン酸基が挙げられる。
酸分解性基として好ましい基は、これらの極性基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。
酸で脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R01)(R02)(OR39)、−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)、−C(R01)(R02)−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)、−CH(R36)(Ar)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、1価の脂肪族炭化水素環基、1価の芳香環基、アルキレン基と1価の芳香環基を組み合わせた基又はアルケニル基表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01〜R02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、1価の脂肪族炭化水素環基、1価の芳香環基、アルキレン基と1価の芳香環基を組み合わせた基又はアルケニル基を表す。
Arは、1価の芳香環基を表す。
36〜R39、R01及びR02のアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、へキシル基、オクチル基等を挙げることができる。
36〜R39、R01及びR02の1価の脂肪族炭化水素環基は、単環型でも、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3〜8の脂肪族炭化水素環基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20の脂肪族炭化水素環基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。なお、脂肪族炭化水素環基中の炭素原子の一部が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
36〜R39、R01及びR02及びArの1価の芳香環基は、炭素数6〜10の1価の芳香環基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール等のヘテロ環を含む2価の芳香環基を挙げることができる。
36〜R39、R01及びR02のアルキレン基と1価の芳香環基を組み合わせた基としては、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
36〜R39、R01及びR02のアルケニル基は、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロへキセニル基等を挙げることができる。
36とR37とが、互いに結合して形成する環は、単環型でも、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3〜8の脂肪族炭化水素環構造が好ましく、例えば、シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロへキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20の脂肪族炭化水素環構造が好ましく、例えば、アダマンタン構造、ノルボルナン構造、ジシクロペンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等を挙げることができる。なお、脂肪族炭化水素環構造中の炭素原子の一部が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
36〜R39、R01、R02、及びArとしての上記各基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、1価の脂肪族炭化水素環基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができ、置換基の炭素数は8以下が好ましい。
酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有していてもよい。疎水性樹脂に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、1〜80モル%が好ましく、より好ましくは10〜80モル%、更に好ましくは20〜60モル%である。
疎水性樹脂がフッ素原子を有する場合、フッ素原子の含有量は、疎水性樹脂の重量平均分子量に対し、5〜80質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。また、フッ素原子を含む繰り返し単位は、疎水性樹脂に含まれる全繰り返し単位中10〜100モル%であることが好ましく、30〜100モル%であることがより好ましい。
疎水性樹脂が珪素原子を有する場合、珪素原子の含有量は、疎水性樹脂の重量平均分子量に対し、2〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。また、珪素原子を含む繰り返し単位は、疎水性樹脂に含まれる全繰り返し単位中、10〜100モル%であることが好ましく、20〜100モル%であることがより好ましい。
一方、特に疎水性樹脂が側鎖部分にCH部分構造を含む場合においては、疎水性樹脂が、フッ素原子及び珪素原子を実質的に含有しない形態も好ましく、この場合、具体的には、フッ素原子又は珪素原子を有する繰り返し単位の含有量が、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対して5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、1モル%以下であることが更に好ましく、理想的には0モル%、すなわち、フッ素原子及び珪素原子を含有しない。また、疎水性樹脂は、炭素原子、酸素原子、水素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる原子のみによって構成された繰り返し単位のみで実質的に構成されることが好ましい。より具体的には、炭素原子、酸素原子、水素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる原子のみによって構成された繰り返し単位が、疎水性樹脂の全繰り返し単位中95モル%以上であることが好ましく、97モル%以上であることがより好ましく、99モル%以上であることが更に好ましく、理想的には100モル%である。
疎水性樹脂の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000で、より好ましくは1,000〜50,000、更により好ましくは2,000〜15,000である。
また、疎水性樹脂は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
疎水性樹脂の組成物中の含有量は、本発明の組成物中の全固形分に対し、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜8質量%がより好ましく、0.1〜7質量%が更に好ましい。
疎水性樹脂は、金属等の不純物が少ないのは当然のことながら、残留単量体やオリゴマー成分が0.01〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜3質量%、0.05〜1質量%が更により好ましい。それにより、液中異物や感度等の経時変化のない組成物が得られる。また、解像度、レジスト形状、レジストパターンの側壁、ラフネスなどの点から、分子量分布(Mw/Mn、分散度ともいう)は、1〜5の範囲が好ましく、より好ましくは1〜3、更に好ましくは1〜2の範囲である。
疎水性樹脂は、各種市販品を利用することもできるし、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。
反応溶媒、重合開始剤、反応条件(温度、濃度等)、及び、反応後の精製方法は、樹脂(A)で説明した内容と同様であるが、疎水性樹脂の合成においては、反応の濃度が30〜50質量%であることが好ましい。
なお、疎水性樹脂としてはこの他にも特開2011−248019号公報、特開2010−175859号公報、特開2012−032544号公報記載のものも好ましく用いることができる。
[9]界面活性剤
本発明の組成物は、界面活性剤を更に含んでいてもよい。界面活性剤を含有することにより、波長が250nm以下、特には220nm以下の露光光源を使用した場合に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥のより少ないパターンを形成することが可能となる。
界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を用いることが特に好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0276]に記載の界面活性剤が挙げられる。また、エフトップEF301若しくはEF303(新秋田化成(株)製);フロラードFC430、431若しくは4430(住友スリーエム(株)製);メガファックF171、F173、F176、F189、F113、F110、F177、F120若しくはR08(DIC(株)製);サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105若しくは106(旭硝子(株)製);トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製);GF−300若しくはGF−150(東亜合成化学(株)製)、サーフロンS−393(セイミケミカル(株)製);エフトップEF121、EF122A、EF122B、RF122C、EF125M、EF135M、EF351、EF352、EF801、EF802若しくはEF601((株)ジェムコ製);PF636、PF656、PF6320若しくはPF6520(OMNOVA社製);又は、FTX−204G、208G、218G、230G、204D、208D、212D、218D若しくは222D((株)ネオス製)を用いてもよい。なお、ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)も、シリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、界面活性剤は、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)又はオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物を用いて合成してもよい。具体的には、このフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を備えた重合体を、界面活性剤として用いてもよい。このフルオロ脂肪族化合物は、例えば、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することができる。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布していても、ブロック共重合していてもよい。
ポリ(オキシアルキレン)基としては、例えば、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基及びポリ(オキシブチレン)基が挙げられる。また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)及びポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)等の、同じ鎖内に異なる鎖長のアルキレンを有するユニットであってもよい。
更に、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体は、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマー及び異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレート等を同時に共重合してなる3元系以上の共重合体であってもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476及びF−472(DIC(株)製)が挙げられる。更に、C13基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体、C13基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシエチレン))アクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体、C17基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体、及び、C17基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシエチレン))アクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体等が挙げられる。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0280]に記載されているフッ素系及び/又はシリコン系以外の界面活性剤を使用してもよい。
これら界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の組成物が界面活性剤を含んでいる場合、その含有量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.0005〜1質量%である。
[10]その他の添加剤
本発明の組成物は、上記に説明した成分以外にも、カルボン酸、カルボン酸オニウム塩、Proceedingof SPIE, 2724,355 (1996)等に記載の分子量3000以下の溶解阻止化合物、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、酸化防止剤などを適宜含有することができる。
特にカルボン酸は、性能向上のために好適に用いられる。カルボン酸としては、安息香酸、ナフトエ酸などの、芳香族カルボン酸が好ましい。
カルボン酸の含有量は、組成物の全固形分濃度中、0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%、更に好ましくは0.01〜3質量%である。
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物は、解像力向上の観点から、膜厚10〜250nmで使用されることが好ましく、より好ましくは、膜厚20〜200nmで使用されることが好ましく、更に好ましくは30〜100nmで使用されることが好ましい。組成物中の固形分濃度を適切な範囲に設定して適度な粘度をもたせ、塗布性、製膜性を向上させることにより、このような膜厚とすることができる。
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物の固形分濃度は、通常1.0〜10質量%であり、好ましくは、2.0〜9.0質量%である。固形分濃度を上記範囲とすることで、レジスト溶液を基板上に均一に塗布することができ、更にはラインウィズスラフネスに優れたレジストパターンを形成することが可能になる。その理由は明らかではないが、恐らく、固形分濃度を10質量%以下とすることで、レジスト溶液中での素材、特には光酸発生剤の凝集が抑制され、その結果として、均一なレジスト膜が形成できたものと考えられる。
固形分濃度とは、感活性光線性又は感放射線性組成物の総重量に対する、溶剤を除く他のレジスト成分の重量の重量百分率である。
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤、好ましくは上記混合溶剤に溶解し、フィルター濾過した後、所定の支持体(基板)上に塗布して用いる。フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下、更に好ましくは0.03μm以下のポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のものが好ましい。フィルター濾過においては、例えば特開2002−62667号公報のように、循環的な濾過を行ったり、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して濾過を行ったりしてもよい。また、組成物を複数回濾過してもよい。更に、フィルター濾過の前後で、組成物に対して脱気処理などを行ってもよい。
[11]レジストパターン形成方法
本発明は、上記した本発明の組成物を用いて形成されたレジスト膜、及び、このレジスト膜を有するマスクブランクスにも関する。
また、本発明は、レジスト膜を露光する工程、及び、露光されたレジスト膜を現像する工程を含むレジストパターン形成方法にも関し、例えば、上記マスクブランクス(レジスト塗布マスクブランクス)を露光する工程、及び、露光されたマスクブランクスを現像する工程を含むレジストパターン形成方法にも関する。
現像工程において使用する現像液は、有機溶剤を含む現像液であってもよく、アルカリ現像液であってもよい。
具体的には、本発明のレジストパターン形成方法は、レジスト膜を露光する工程、及び、露光されたレジスト膜を有機溶剤を含む現像液を用いて現像してネガ型のパターンを形成する工程を含む。
また露光が、液浸露光であってもよい。
本発明のレジストパターン形成方法は、レジスト膜を露光した後に、加熱工程を有することが好ましい。
本発明のレジストパターン形成方法は、上記現像液が、有機溶剤を含む現像液である場合には、アルカリ現像液を用いて現像する工程を更に有していてもよく、一方、上記現像液が、アルカリ現像液である場合には、有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程を更に有していてもよい。
本発明において、有機溶剤現像工程によっ
て露光強度の弱い部分が除去されるが、更にアルカリ現像工程を行うことによって露光強度の強い部分も除去される。このように現像を複数回行う多重現像プロセスにより、中間的な露光強度の領域のみを溶解させずにパターン形成が行えるので、通常より微細なパターンを形成できる(特開2008−292975号公報の段落[0077]と同様のメカニズム)。
本発明のパターン形成方法においては、アルカリ現像工程及び有機溶剤現像工程の順序は特に限定されないが、アルカリ現像を、有機溶剤現像工程の前に行うことがより好ましい。
本発明のレジストパターン形成方法は、上記露光工程を、複数回有することができる。
本発明のレジストパターン形成方法は、上記加熱工程を、複数回有することができる。
レジスト膜は、上記した本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物から形成されるものであり、より具体的には、基板上に形成されることが好ましい。本発明のパターン形成方法に於いて、感活性光線性又は感放射線性組成物による膜を基板上に形成する工程、膜を露光する工程、及び現像工程は、一般的に知られている方法により行うことができる。
この組成物は、例えば、精密集積回路素子やインプリント用モールドなどの製造等に使用される基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆、窒化シリコン及びクロム蒸着された石英基板など)上に、スピナー及びコーター等を用いて塗布される。その後、これを乾燥させて、レジスト膜を形成することができる。
レジスト膜を形成する前に、基板上に予め反射防止膜を塗設してもよい。
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、アモルファスシリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型のいずれも用いることができる。また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、シプレー社製のAR−2、AR−3、AR−5等の市販の有機反射防止膜を使用することもできる。
製膜後、露光工程の前に、前加熱工程(PB;Prebake)を含むことも好ましい。また、露光工程の後かつ現像工程の前に、露光後加熱工程(PEB;PostExposure Bake)を含むことも好ましい。
加熱温度はPB、PEB共に70〜120℃で行うことが好ましく、80〜110℃で行うことがより好ましい。
加熱時間は30〜300秒が好ましく、30〜180秒がより好ましく、30〜90秒が更に好ましい。
加熱は通常の露光・現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
ベークにより露光部の反応が促進され、感度やパターンプロファイルが改善する。
またリンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。
活性光線又は放射線としては、例えば、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、X線、及び電子線が挙げられる。これら活性光線又は放射線としては、例えば250nm以下、特には220nm以下の波長を有したものがより好ましい。このような活性光線又は放射線としては、例えば、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、Fエキシマレーザー(157nm)、X線、及び電子線が挙げられる。好ましい活性光線又は放射線としては、例えば、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、電子線、X線及びEUV光が挙げられる。より好ましくは、電子線、X線及びEUV光であり、更に好ましくは、電子線及びEUV光である。
本発明において膜を形成する基板は特に限定されるものではなく、シリコン、SiN、SiOやSiN等の無機基板、SOG等の塗布系無機基板等、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造工程、更にはその他のフォトファブリケーションのリソグラフィ工程で一般的に用いられる基板を用いることができる。更に、必要に応じて有機反射防止膜を膜と基板の間に形成させてもよい。
本発明のレジストパターン形成方法が、アルカリ現像液を用いて現像する工程を有する場合、アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドドキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラペンチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリアミルアンモニウムヒドロキシド、ジブチルジペンチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
更に、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
特に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38質量%の水溶液が望ましい。
アルカリ現像の後に行うリンス処理におけるリンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
また、現像処理又はリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うことができる。
本発明のレジストパターン形成方法が、有機溶剤を含有する現像液を用いて現像する工程を有する場合、該工程における当該現像液(以下、有機系現像液とも言う)としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができる。
ケトン系溶剤としては、例えば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、2−ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、酪酸ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル等を挙げることができる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、4−メチル−2−ペンタノール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコールや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤等を挙げることができる。
エーテル系溶剤としては、例えば、上記グリコールエーテル系溶剤の他、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が使用できる。
炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤や水と混合し使用してもよい。但し、本発明の効果を十二分に奏するためには、現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。
すなわち、有機系現像液に対する有機溶剤の使用量は、現像液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
特に、有機系現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有する現像液であるのが好ましい。
有機系現像液の蒸気圧は、20℃に於いて、5kPa以下が好ましく、3kPa以下が更に好ましく、2kPa以下が特に好ましい。有機系現像液の蒸気圧を5kPa以下にすることにより、現像液の基板上あるいは現像カップ内での蒸発が抑制され、ウェハ面内の温度均一性が向上し、結果としてウェハ面内の寸法均一性が良化する。
5kPa以下の蒸気圧を有する具体的な例としては、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等のエステル系溶剤、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドのアミド系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
特に好ましい範囲である2kPa以下の蒸気圧を有する具体的な例としては、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等のエステル系溶剤、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドのアミド系溶剤、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
有機系現像液は、塩基性化合物を含んでいてもよい。本発明で用いられる現像液が含みうる塩基性化合物の具体例及び好ましい例としては、前述した、感活性光線性又は感放射線性組成物が含みうる塩基性化合物におけるものと同様である。
有機系現像液には、必要に応じて界面活性剤を適当量添加することができる。
界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、イオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、好ましくは、非イオン性の界面活性剤である。非イオン性の界面活性剤としては特に限定されないが、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を用いることが更に好ましい。
界面活性剤の使用量は現像液の全量に対して、好ましくは0〜2質量%、更に好ましくは0.0001〜2質量%、特に好ましくは0.0005〜1質量%である。
現像方法としては、たとえば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。
上記各種の現像方法が、現像装置の現像ノズルから現像液をレジスト膜に向けて吐出する工程を含む場合、吐出される現像液の吐出圧(吐出される現像液の単位面積あたりの流速)は好ましくは2mL/sec/mm以下、より好ましくは1.5mL/sec/mm以下、更に好ましくは1mL/sec/mm以下である。流速の下限は特に無いが、スループットを考慮すると0.2mL/sec/mm以上が好ましい。
吐出される現像液の吐出圧を上記の範囲とすることにより、現像後のレジスト残渣に由来するパターンの欠陥を著しく低減することができる。
このメカニズムの詳細は定かではないが、恐らくは、吐出圧を上記範囲とすることで、現像液がレジスト膜に与える圧力が小さくなり、レジスト膜・レジストパターンが不用意に削られたり崩れたりすることが抑制されるためと考えられる。
なお、現像液の吐出圧(mL/sec/mm)は、現像装置中の現像ノズル出口における値である。
現像液の吐出圧を調整する方法としては、例えば、ポンプなどで吐出圧を調整する方法や、加圧タンクからの供給で圧力を調整することで変える方法などを挙げることができる。
また、有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後に、他の溶媒に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後には、リンス液を用いて洗浄する工程を含んでいてもよいが、スループット(生産性)、リンス液使用量等の観点から、リンス液を用いて洗浄する工程を含まなくてもよい。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後のリンス工程に用いるリンス液としては、レジストパターンを溶解しなければ特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用することができる。上記リンス液としては、炭化水素系溶剤(好ましくはデカン)、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤の具体例としては、有機溶剤を含む現像液において説明したものと同様のものを挙げることができる。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後に、より好ましくは、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行い、更に好ましくは、アルコール系溶剤又はエステル系溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行い、特に好ましくは、1価アルコールを含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行い、最も好ましくは、炭素数5以上の1価アルコールを含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行う。
ここで、リンス工程で用いられる1価アルコールとしては、直鎖状、分岐状、環状の1価アルコールが挙げられ、具体的には、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、tert―ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、シクロペンタノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、4−オクタノールなどを用いることができ、特に好ましい炭素数5以上の1価アルコールとしては、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノールなどを用いることができる。
上記各成分は、複数混合してもよいし、上記以外の有機溶剤と混合し使用してもよい。
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。含水率を10質量%以下にすることで、良好な現像特性を得ることができる。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後に用いるリンス液の蒸気圧は、20℃に於いて0.05kPa以上、5kPa以下が好ましく、0.1kPa以上、5kPa以下が更に好ましく、0.12kPa以上、3kPa以下が最も好ましい。リンス液の蒸気圧を0.05kPa以上、5kPa以下にすることにより、ウェハ面内の温度均一性が向上し、更にはリンス液の浸透に起因した膨潤が抑制され、ウェハ面内の寸法均一性が良化する。
リンス液には、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
リンス工程においては、有機溶剤を含む現像液を用いる現像を行ったウェハを上記の有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、たとえば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)、などを適用することができ、この中でも回転塗布方法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2000rpm〜4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(PostBake)を含むことも好ましい。ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程は、通常40〜160℃、好ましくは70〜95℃で、通常10秒〜3分、好ましくは30秒から90秒間行う。
なお、本発明の組成物を用いてインプリント用モールドを作製してもよく、その詳細については、例えば、特許第4109085号公報、特開2008−162101号公報を参照されたい。
本発明のレジストパターン形成方法は、DSA(Directed Self-Assembly)におけるガイドパターン形成(例えば、ACSNano Vol.4 No.8Page4815-4823参照)にも用いることができる。
また、上記の方法によって形成されたレジストパターンは、例えば特開平3−270227号公報及び特開2013−164509号公報に開示されたスペーサープロセスの芯材(コア)として使用できる。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及び、本発明のパターン形成方法において使用される各種材料(例えば、現像液、リンス液、反射防止膜形成用組成物、トップコート形成用組成物など)は、金属等の不純物を含まないことが好ましい。これら材料に含まれる金属成分の含有量としては、10ppm以下が好ましく、5ppm以下がより好ましく、1ppm以下が更に好ましく、実質的に含まないこと(測定装置の検出限界以下であること)が特に好ましい。
前記各種材料から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、フィルターを用いた濾過を挙げることができる。フィルター孔径としては、ポアサイズ50nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましく、5nm以下が更に好ましい。フィルターの材質としては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のフィルターが好ましい。フィルター濾過工程では、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種類のフィルターを使用する場合は、孔径及び/又は材質が異なるフィルターを組み合わせて使用しても良い。また、各種材料を複数回濾過してもよく、複数回濾過する工程が循環濾過工程であっても良い。
また、前記各種材料に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、各種材料を構成する原料に対してフィルター濾過を行う、などの方法を挙げることができる。各種材料を構成する原料に対して行うフィルター濾過における好ましい条件は、前記した条件と同様である。
フィルター濾過の他、吸着材による不純物の除去を行っても良く、フィルター濾過と吸着材を組み合わせて使用しても良い。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができ、例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機系吸着材、活性炭などの有機系吸着材を使用することができる。
また、本発明は、上記した本発明のレジストパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法、及び、この製造方法により製造された電子デバイスにも関する。
本発明の電子デバイスは、電気電子機器(家電、OA・メディア関連機器、光学用機器及び通信機器等)に、好適に、搭載されるものである。
[用途]
本発明のレジストパターン形成方法は、超LSIや高容量マイクロチップの製造などの半導体微細回路作成に好適に用いられる。なお、半導体微細回路作成時には、レジストパターンが形成されたレジスト膜は回路形成やエッチングに供された後、残ったレジスト膜部は、最終的には溶剤等で除去されるため、プリント基板等に用いられるいわゆる永久レジストとは異なり、マイクロチップ等の最終製品には、本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に由来するレジスト膜は残存しない。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔(B)フェノール性水酸基を有する化合物〕
以下、実施例において使用した樹脂の構造及び合成したポリマー構造、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)及びガラス転移温度(Tg)を以下に記す。また、下記ポリマー構造の各繰り返し単位の組成比を示した。
樹脂の組成比(モル比)は、H−NMR測定に基づき算出した。また、樹脂の重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)は、GPC(溶媒:THF、カラム:東ソー社製TSK gel Multipore HXL−M、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:RI)測定によるポリスチレン換算値に基づき算出した。
ガラス転移温度(Tg)は、TA Instruments社製の示差走査型熱量計(DSC)Q2000を用いて、真空乾燥したポリマーサンプル約2mgをアルミニウムパン上で秤量し、該アルミニウムパンをDSC測定ホルダーにセットし、10℃〜200℃まで2℃/minで昇温したときの変曲点から求めた。200℃までにガラス転移温度に相当するDTA曲線の変曲点が観察されない場合に、Tgは200℃以上と判断した。
〔架橋剤〕
以下に、実施例及び比較例で用いた架橋剤を示す。
〔実施例1E〕(電子線露光、アルカリ現像)
(1)支持体の準備
酸化Cr蒸着した6インチウェハー(通常のフォトマスクブランクスに使用する遮蔽膜処理を施した物)を準備した。
(2)組成物の準備(組成物N1の組成)
樹脂(A1) 0.60g
化合物(z42)(構造は後掲)(酸発生剤) 0.12g
架橋剤(C1) 0.12g
テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(塩基性化合物) 0.01g
2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸(有機カルボン酸) 0.01g
界面活性剤PF6320(OMNOVA(株)製) 0.001g
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤)4.0g
プロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤) 5.0g
上記成分を混合した組成物を0.04μmの孔径を有するメンブレンフィルター(ポリテトラフルオロエチレンフィルター)により精密ろ過して、ネガ型レジスト溶液(組成物N1)を得た。
(3)レジスト膜の作製
上記6インチウェハー上に東京エレクトロン製スピンコーターMark8を用いて組成物N1を塗布し、110℃、90秒間ホットプレート上で乾燥して、膜厚100nmのレジスト膜を得た。すなわち、レジスト塗布マスクブランクスを得た。
(4)ネガ型レジストパターンの作製
このレジスト膜に、上記(1)で得られたレジスト膜が塗布されたウェハを、電子線描画装置((株)エリオニクス社製;ELS−7500、加速電圧50KeV)を用いて、パターン照射を行った。照射後に、120℃、90秒間ホットプレート上で加熱し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて60秒間浸漬した後、30秒間、水でリンスして乾燥した。
(5)レジストパタ−ンの評価
得られたパターンを下記の方法で、感度、解像力、パタ−ン形状、ラインエッジラフネス(LER)、ドライエッチング耐性及びスカムについて評価した。
〔感度〕
得られたパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4300)を用いて観察した。線幅50nm(ライン幅:スペース幅=1:1)のラインアンドスペースのレジストパターンを解像するときの露光量(電子線照射量)を感度とした。この値が小さいほど、感度が高い。
〔解像力〕
上記の感度を示す露光量(電子線照射量)における限界解像力(ラインとスペース(ライン幅:スペース幅=1:1)が分離解像する最小の線幅)を解像力(nm)とした。
〔パタ−ン形状〕
上記の感度を示す露光量(電子線照射量)における線幅50nmのラインアンドスペースパターン(ライン幅:スペース幅=1:1)の断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4300)を用いて観察した。ラインパターンの断面形状において、[ラインパターンのトップ部(表面部)における線幅/ラインパターンの中部(ラインパターンの高さの半分の高さ位置)における線幅]で表される比率が1.5以上のものを「逆テーパー」とし、該比率が1.2以上1.5未満のものを「やや逆テーパー」とし、該比率が1.2未満のものを「矩形」として、評価を行った。「逆テーパー」でないことが望ましい。
〔ラインエッジラフネス(LER)〕
上記の感度を示す照射量(電子線照射量)で、線幅50nmのラインアンドスペースパターン(ライン幅:スペース幅=1:1)を形成した。そして、その長さ方向50μmに含まれる任意の30点について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いて、エッジがあるべき基準線からの距離を測定した。そして、この距離の標準偏差を求め、3σを算出した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
〔ドライエッチング耐性〕
上記の感度を示す露光量(電子線照射量)で線幅50nm(ライン幅:スペース幅=1:1)のラインアンドスペースのレジストパターンを形成したレジスト膜を、HITACHI U−621でAr/C/Oガス(体積比率100/4/2の混合ガス)を用いて60秒間ドライエッチングを行った。その後レジスト残膜率を測定し、ドライエッチング耐性の指標とした。
非常に良好:残膜率95%以上
良好:95%未満90%以上
不良:90%未満
〔スカム評価〕
上記〔パターン形状〕と同様の方法でラインアンドスペースパターンを形成した。その後、S4800(日立ハイテク社(株)製)により断面SEMを取得しスペース部分の残渣を観察し以下のように評価した。
A スカムは見られない。
B スカムが見られるがパターン間はつながっていない。
C スカムが見られ、かつ、パターン間が一部つながっている。
〔実施例2E〕〜〔実施例25E〕、〔比較例1E〕〜〔比較例5E〕
使用した組成物N1中の樹脂、酸発生剤、塩基性化合物、架橋剤、及び、溶剤を以下の表3に示すように変更した組成物を使用した以外は、実施例1Eと同様の手順に従って、パターンを形成し、各種評価を実施した。
上記及び下記実施例/比較例で用いた前掲以外の素材の略称を以下に記載する。
〔酸発生剤(化合物(C))〕
〔塩基性化合物〕
B1:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
B2:トリ(n−オクチル)アミン
B3:2,4,5−トリフェニルイミダゾール
〔溶剤〕
S1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)
S2:プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)
S3:2−ヘプタノン
S4:乳酸エチル
S5:シクロヘキサノン
S6:γ−ブチロラクトン
S7:プロピレンカーボネート
評価結果を表4に示す。
表4に示す結果から、遷移金属原子を有さない架橋剤を使用した比較例1E〜3E、遷移金属原子を有する化合物と架橋剤とを別分子で使用した比較例4E、及び、遷移金属原子を有する架橋剤としての樹脂を使用した比較例5Eと比較して、本発明における化合物(A)を使用した実施例1E〜25Eは、感度、解像力、パターン形状、ラインエッジラフネス(LER)、ドライエッチング耐性、及び、スカムの全てに優れることが分かる。
特に、化合物(B)として、非酸分解性の多環型の脂環炭化水素構造を有する基で、フェノール性水酸基の水素原子が置換された構造を有する化合物を使用した実施例1E、11E〜15E及び17E〜20Eは、解像力がより優れたものとなった。
また、塩基性化合物として、プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する化合物を使用した実施例11E、13E〜16E及び25Eは、ラフネス性能がより優れたものとなった。
〔実施例1F〜10F並びに比較例1F〜5F〕(EUV光露光、アルカリ現像)
(レジスト溶液の調製)
表3に示した組成物を0.04μmの孔径を有するメンブレンフィルター(ポリテトラフルオロエチレンフィルター)により精密ろ過して、ネガ型レジスト溶液を調製した。
(レジスト評価)
調製したネガ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施した
シリコン基板上に均一に塗布し、100℃で60秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行って、0.05μmの膜厚を有したレジスト膜を形成させた。
得られたレジスト膜に関し、下記の方法で、感度、解像力、パタ−ン形状、ラインエッジラフネス(LER)、ドライエッチング耐性、及び、スカムについて評価した。
〔感度〕
得られたレジスト膜に、EUV露光装置(Exitech社製MicroExposure Tool、NA0.3、Quadrupole、アウターシグマ0.68、インナーシグマ0.36)を用い、露光マスク(ライン幅:スペース幅=1:1)を使用して、露光量を0〜20.0mJ/cmの範囲で0.1mJ/cmずつ変えながら、線幅50nmの1:1ラインアンドスペースパターンの反射型マスクを介して、露光を行った後、110℃で90秒間ベークした。その後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて60秒間浸漬した後、30秒間、水でリンスして乾燥した。
線幅50nmのラインアンドスペース(ライン幅:スペース幅=1:1)のマスクパターンを再現する露光量を感度とした。この値が小さいほど、感度が高い。
〔解像力〕
上記の感度を示す露光量における限界解像力(ラインとスペース(ライン幅:スペース幅=1:1)とが分離解像する最小の線幅)を解像力(nm)とした。
〔パターン形状〕
上記の感度を示す露光量における線幅50nmのラインアンドスペースパターン(ライン幅:スペース幅=1:1)の断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4300)を用いて観察した。ラインパターンの断面形状において、[ラインパターンのトップ部(表面部)における線幅/ラインパターンの中部(ラインパターンの高さの半分の高さ位置)における線幅]で表される比率が1.5以上のものを「逆テーパー」とし、該比率が1.2以上1.5未満のものを「やや逆テーパー」とし、該比率が1.2未満のものを「矩形」として、評価を行った。
〔ラインエッジラフネス(LER)〕
上記の感度を示す露光量で、線幅50nmのラインアンドスペースパターン(ライン幅:スペース幅=1:1)を形成した。そして、その長さ方向50μmにおける任意の30点について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いて、エッジがあるべき基準線からの距離を測定した。そして、この距離の標準偏差を求め、3σを算出した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
〔ドライエッチング耐性〕
上記の感度を示す露光量で全面照射を行うことにより形成したレジスト膜を、HITACHI U−621でAr/C/Oガス(体積比率100/4/2の混合ガス)を用いて60秒間ドライエッチングを行った。その後レジスト残膜率を測定し、ドライエッチング耐性の指標とした。
非常に良好:残膜率95%以上
良好:95%未満90%以上
不良:90%未満
〔スカム評価〕
上記〔パターン形状〕と同様の方法でラインアンドスペースパターンを形成した。その後、S4800(日立ハイテク社(株)製)により断面SEMを取得しスペース部分の残渣を観察し以下のように評価した。
A スカムは見られない。
B スカムが見られるがパターン間はつながっていない。
C スカムが見られ、かつ、パターン間が一部つながっている。
以上の評価結果を表5に示す。
表5に示す結果から、遷移金属原子を有さない架橋剤を使用した比較例1F〜3F、遷移金属原子を有する化合物と架橋剤とを別分子で使用した比較例4F、及び、遷移金属原子を有する架橋剤としての樹脂を使用した比較例5Fと比較して、本発明における化合物(A)を使用した実施例1F〜10Fは、感度、解像力、パターン形状、ラインエッジラフネス(LER)、ドライエッチング耐性、及び、スカムの全てに優れることが分かる。
特に、化合物(B)として、非酸分解性の多環型の脂環炭化水素構造を有する基で、フェノール性水酸基の水素原子が置換された構造を有する化合物を使用した実施例1F、3F〜7F、9F及び10Fは、解像力がより優れたものとなった。
また、塩基性化合物として、プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する化合物を使用した実施例3F及び5F〜8Fは、ラフネス性能がより優れたものとなった。
〔実施例1G〜12G並びに比較例1G〜5G〕(EUV光露光、有機系現像液を用いた現像)
(レジスト溶液の調製)
表3に示した組成物を0.04μmの孔径を有するメンブレンフィルター(ポリテトラフルオロエチレンフィルター)により精密ろ過して、ネガ型レジスト溶液を調製した。
(レジスト評価)
調製したネガ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、100℃で60秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行って、0.05μmの膜厚を有したレジスト膜を形成させた。
得られたレジスト膜に関し、下記の方法で、感度、解像力、パタ−ン形状、ラインエッジラフネス(LER)、ドライエッチング耐性、及び、スカムについて評価した。
〔感度〕
得られたレジスト膜に、EUV露光装置(Exitech社製MicroExposure Tool、NA0.3、Quadrupole、アウターシグマ0.68、インナーシグマ0.36)を用い、露光マスク(ライン幅:スペース幅=1:1)を使用して、露光量を0〜20.0mJ/cmの範囲で0.1mJ/cmずつ変えながら、線幅50nmの1:1ラインアンドスペースパターンの反射型マスクを介して、露光を行った後、110℃で90秒間ベークした。その後、表6に記載の現像液を用いて60秒間浸漬した後、30秒間、表6に記載のリンス液でリンスして乾燥した。
線幅50nmのラインアンドスペース(ライン幅:スペース幅=1:1)のマスクパターンを再現する露光量を感度とした。この値が小さいほど、感度が高い。
〔解像力〕
上記の感度を示す露光量における限界解像力(ラインとスペース(ライン幅:スペース幅=1:1)とが分離解像する最小の線幅)を解像力(nm)とした。
〔パターン形状〕
上記の感度を示す露光量における線幅50nmのラインアンドスペースパターン(ライン幅:スペース幅=1:1)の断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4300)を用いて観察した。ラインパターンの断面形状において、[ラインパターンのトップ部(表面部)における線幅/ラインパターンの中部(ラインパターンの高さの半分の高さ位置)における線幅]で表される比率が1.5以上のものを「逆テーパー」とし、該比率が1.2以上1.5未満のものを「やや逆テーパー」とし、該比率が1.2未満のものを「矩形」として、評価を行った。
〔ラインエッジラフネス(LER)〕
上記の感度を示す露光量で、線幅50nmのラインアンドスペースパターン(ライン幅:スペース幅=1:1)を形成した。そして、その長さ方向50μmにおける任意の30点について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いて、エッジがあるべき基準線からの距離を測定した。そして、この距離の標準偏差を求め、3σを算出した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
〔ドライエッチング耐性〕
上記の感度を示す露光量で全面照射を行うことにより形成したレジスト膜を、HITACHI U−621でAr/C/Oガス(体積比率100/4/2の混合ガス)を用いて60秒間ドライエッチングを行った。その後レジスト残膜率を測定し、ドライエッチング耐性の指標とした。
非常に良好:残膜率95%以上
良好:95%未満90%以上
不良:90%未満
〔スカム評価〕
上記〔パターン形状〕と同様の方法でラインアンドスペースパターンを形成した。その後、S4800(日立ハイテク社(株)製)により断面SEMを取得しスペース部分の残渣を観察し以下のように評価した。
A スカムは見られない。
B スカムが見られるがパターン間はつながっていない。
C スカムが見られ、かつ、パターン間が一部つながっている。
なお、表6において、リンス液の欄に「無し」と記載されている実施例においては、リンスを行っていない。
以上の評価結果を表6に示す。
上表において、実施例及び比較例で使用した現像液及びリンス液は以下の通りである。
〔現像液・リンス液〕
G−1:酢酸ブチル
G−2:2−ヘプタノン
G−3:アニソール
G−4:4−メチル−2−ペンタノール
G−5:1−ヘキサノール
G−6:デカン
G−7:酪酸ブチル
G−8:酢酸―2−メチルブチル
表6に示す結果から、遷移金属原子を有さない架橋剤を使用した比較例1G〜3G、遷移金属原子を有する化合物と架橋剤とを別分子で使用した比較例4G、及び、遷移金属原子を有する架橋剤としての樹脂を使用した比較例5Gと比較して、本発明における化合物(A)を使用した実施例1G〜12Gは、感度、解像力、パターン形状、ラインエッジラフネス(LER)、ドライエッチング耐性、及び、スカムの全てに優れることが分かる。
特に、化合物(B)として、非酸分解性の多環型の脂環炭化水素構造を有する基で、フェノール性水酸基の水素原子が置換された構造を有する化合物を使用した実施例1G、3G〜7G及び9G〜12Gは、解像力がより優れたものとなった。
また、塩基性化合物として、プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する化合物を使用した実施例3G、5G〜8G、11G及び12Gは、ラフネス性能がより優れたものとなった。

本発明によれば、微細パターン(例えば、線幅50nm以下のラインパターン)の形成において、高感度、高解像力、優れたパターン形状、優れたラフネス性能、高エッチング耐性、及び、優れたスカム性能の全てを高次元で達成する感活性光線性又は感放射線性組成物、並びに、これを用いた、レジスト膜、マスクブランクス、レジストパターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法を提供できる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2014年10月8日出願の日本特許出願(特願2014−207311)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

Claims (14)

  1. (A)酸架橋性基及び遷移金属原子を有する分子量1000以下の化合物を含有する感活性光線性又は感放射線性組成物。
  2. 更に、(B)フェノール性水酸基を有する化合物を含有する、請求項1に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
  3. 更に、(C)活性光線又は放射線により酸を発生する化合物を含有する、請求項1又は2に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
  4. 前記化合物(A)が、前記酸架橋性基として下記一般式(1)又は(2)で表される部分構造を有する化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。

    式中、
    Arは、芳香環を表す。
    11、R12、R21及びR22は、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又は、アリール基を表す。
    及びXは、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アシル基を表す。
    nは1以上の整数を表す。
    nが2以上の整数である場合、複数のR11、複数のR12、及び、複数のXは、それぞれ、互いに同一であっても異なっていてもよい。
    *は、結合手を表す。
  5. 前記化合物(A)が、下記一般式(A−1)、(A−2)、又は(A−3)で表される化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。

    一般式(A−1)、(A−2)、及び(A−3)において、
    、M及びMは、各々独立して、遷移金属を表す。
    21〜R25、R31〜R36、R41〜R46、R51〜R55、R61〜R65、及び、R71〜R76は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、シアノ基、アシル基、アルコキシ基又はアルコキシカルボニル基を表す。R21〜R25の2個以上、R31〜R36の2個以上、R41〜R46の2個以上、R51〜R55の2個以上、R61〜R65の2個以上、及び、R71〜R76の2個以上は、それぞれ、互いに結合して環を形成してもよい。但し、R21〜R25及びR51〜R55の少なくとも1つは酸架橋性基を有し、R31〜R36及びR61〜R65の少なくとも1つは酸架橋性基を有し、R41〜R46及びR71〜R76の少なくとも1つは酸架橋性基を有する。
    、X 、及びX は、アニオンを表す。
    、a及びaは、各々独立に、0以上の整数を表す。
  6. 前記化合物(B)が、下記一般式(II)で表される繰り返し単位を有する樹脂である、請求項2に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
    式中、
    は水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、又はハロゲン原子を表す。
    Arは芳香環基を表す。
    は1以上の整数を表す。
    Dは単結合又は2価の連結基を表す。
  7. 前記化合物(C)が、活性光線又は放射線により体積240Å以上の大きさの酸を発生する化合物である、請求項3に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
  8. 電子線又は極紫外線露光用である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物を用いて形成されたレジスト膜。
  10. 請求項9に記載のレジスト膜を有するマスクブランクス。
  11. 請求項9に記載のレジスト膜を露光する工程、及び、前記露光されたレジスト膜を現像する工程を含むレジストパターン形成方法。
  12. 請求項10に記載のマスクブランクスを露光する工程、及び、前記露光されたマスクブランクスを現像する工程を含むレジストパターン形成方法。
  13. 前記露光が、電子線又は極紫外線を用いて行われる、請求項11又は12に記載のレジストパターン形成方法。
  14. 請求項11〜13のいずれか1項に記載のレジストパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法。
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