JPWO2016052133A1 - 積層体 - Google Patents

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Abstract

末端カルボキシル基量が25当量/トン以下であるポリエステル樹脂を主成分とするからなる基材層(P1層)と易接着層(P2層)を有し、前記のP2層が次の要件(1)および(2)を満たすことを特徴とする積層体。(1)極性力γpが4.8mN/m以上、21.0mN/m以下(2)極性力γpと水素結合力γhの差γp−γhが1.0mN/m以上、20.0mN/m以下従来の方法では封止材との密着性が非常に弱く、太陽電池セルの加工時はもちろん、太陽電池セルとして屋外で用いられている間に封止材との界面または易接着の層間で剥離しやすいという問題があった。そこで、本発明では従来の課題を鑑みて、従来の易接着性積層体に比べて、封止材との密着性に優れ、長期間屋外に置かれても密着性を維持する(密着保持性が優れた)太陽電池裏面保護用シートとして好適な積層体を提供する。

Description

本発明は太陽電池セルの封止材であるEVAとの密着性に優れ、長期間屋外に置かれても密着性を維持する(密着保持性が優れた)、太陽電池裏面保護用シートとして好適な積層体に関する。
近年、半永久的で無公害の次世代エネルギー源として太陽光発電が注目を浴びており、太陽電池は急速に普及しつつある。太陽電池は、発電素子をエチレン−酢酸ビニル共重合体(以降EVAと称することがある)などの透明な封止材により封止したものに、ガラスなどの透明基板と、バックシート(裏面保護用シート)と呼ばれる樹脂シートを貼り合わせて構成される。太陽光は透明基板を通じて太陽電池内に導入される。太陽電池内に導入された太陽光は、発電素子にて、吸収され、吸収された光エネルギーは、電気エネルギーに変換される。変換された電気エネルギーは発電素子に接続したリード線にて取り出されて、各種電気機器に使用される。
ここで、太陽電池裏面保護用シートには、安価で高性能である二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(以降PETと称する)が広く用いられており、種々の素材をドライラミネートなどの方法にて貼り合わせることによってバリア性や電気特性を付与する検討がされてきた。しかしながら、PETなどのポリエステル樹脂は封止材との密着性が弱い。そのため、従来では、PETなどのポリエステル樹脂に封止材との密着性に優れたポリオレフィン樹脂シートをラミネートし、ポリオレフィン樹脂シートを太陽電池裏面保護用シートの封止材接着面として用いることが一般的であった。
また、最近では、二軸延伸されたポリエステルフィルムの表面に易接着層を設け、封止材に直接張り合わせることが可能な積層ポリエステルシート(特許文献1、2、3)などが開示されている。
特開2006−152013号公報 特許第4803317号公報 特開2012−69835号公報
特許文献1〜3に挙げられた積層ポリエステルシートは、二軸延伸されたポリエステルフィルム(基材フィルム)の表面に設けられた易接着層と、EVAなどの封止材(被着体)が接着するように用いられる(基材フィルム/易接着層/被着体)。しかしながら、特許文献1〜3に記載の積層ポリエステルシートでは、基材フィルムと易接着層、易接着層とEVAなどの被着体の密着性のバランスが悪い。そのため、当該積層ポリエステルシートを太陽電池裏面保護用シートして用いる場合、太陽電池セルの加工時はもちろん、太陽電池セルとして屋外で用いられている間に、基材フィルムと易接着層、易接着層と被着体との間で剥離が発生するという問題があった。また、従来のフィルムでは、長期間屋外に置かれた場合、密着性が低下する(密着保持性が悪い)という問題があった。この問題を解決するため、本発明では従来の課題を鑑みて、基材フィルムと易接着層、易接着層と被着体の密着性のバランスに優れ、長期間屋外に置かれても密着性を維持する(密着保持性が優れた)太陽電池裏面保護用シートとして好適な積層体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は以下の構成をとる。すなわち、末端カルボキシル基量が25当量/トン以下であるポリエステル樹脂からなる基材層(P1層)と易接着層(P2層)を有し、前記のP2層が次の要件(1)および(2)を満たすことを特徴とする積層体である。
(1)極性力γpが4.8mN/m以上、21.0mN/m以下
(2)極性力γpと水素結合力γhの差γp−γhが1.0mN/m以上、20.0mN/m以下
本発明によれば、ポリエステルフィルムに易接着層を設けた従来の積層体に比べて、太陽電池の封止材であるEVAとの密着性に優れ、長期間屋外に置かれても密着性を維持する(密着保持性が優れた)太陽電池裏面保護用シートとして好適に使用できる積層体を提供できる。さらに該積層体を搭載することによって耐久性の高い太陽電池を提供することができる。
本発明の積層体を用いた太陽電池裏面保護用シート、および太陽電池の構成の一例を模式的に示す断面図である。
本発明の積層体は、末端カルボキシル基量が25当量/トン以下であるポリエステル樹脂からなる基材層(P1層)と易接着層(P2層)を有し、前記のP2層が次の要件(1)および(2)を満たすことを特徴とする。
(1)極性力γpが4.8mN/m以上、21.0mN/m以下
(2)極性力γpと水素結合力γhの差γp−γhが1.0mN/m以上、20.0mN/m以下
以下、本発明の積層体について詳細に説明する。
(基材層(P1層))
本発明のP1層は、ポリエステル樹脂を主たる構成成分とする。ここでポリエステル樹脂を主たる構成成分とするとは、該P1層を構成する樹脂に対してポリエステル樹脂が50質量%を超えて含有されていることをいう。P1層を構成するポリエステル樹脂としては、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸などが挙げられる。また、本発明に用いられるポリエステル樹脂は、1)ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体(以下、「ジカルボン酸成分」と総称する)とジオール成分の重縮合、2)一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体と水酸基を有する化合物の重縮合、および1)2)の組み合わせにより得ることができる。また、ポリエステル樹脂の重合は常法により行うことができる。
1)において、ジカルボン酸成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸などの芳香族ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体などが代表例としてあげられる。また、これらは単独で用いても、複数種類用いても構わない。
また、上述のジカルボン酸成分の少なくとも一方のカルボキシ末端に、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類およびその誘導体や該オキシ酸類が複数個連なったもの等を縮合させたジカルボキシ化合物も用いることができる。
次にジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールなどの脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドなどの脂環式ジオール、ビスフェノールA、1,3−ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの芳香族ジオールが代表例としてあげられる。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。また、上述のジオール成分の少なくとも一方のヒドロキシ末端にジオール類を縮合させて形成されるジヒドロキシ化合物も用いることができる。
2)において、一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体と水酸基を有する化合物の例としては、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸、およびその誘導体、オキシ酸類のオリゴマー、ジカルボン酸の一方のカルボキシル基にオキシ酸が縮合したもの等があげられる。
ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分およびジオール成分は、上述した中から1種類ずつを選択して共重合させても良いし、それぞれ複数種を選択して共重合させても良い。またP1層を構成するポリエステル樹脂は、単一種でも良いし、2種以上のポリエステル樹脂をブレンドしたものでも良い。
さらに本発明のP1層を構成するポリエステル樹脂は末端カルボキシル基量が25当量/トン以下であることが重要である。ここでいう末端カルボキシル基量とはMauliceの方法に準じて得られた値であり詳細は後述する。
P1層を構成するポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量は19当量/トン以下が好ましく、16当量/トン以下がより好ましい。P1層を構成するポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量が25当量/トンを超えるとP1層の耐湿熱性が低下し、長期間屋外で置かれた場合、被着体と易接着層が剥離する前にP1層内部の劣化によって積層体が破壊され、結果的に密着性が低下する問題が発生する。
一方でP1層を構成するポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量の下限については、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定するものでは無いが、1当量/トン以上が好ましく、13量/トン以上がより好ましい。P1層を構成するポリエステル樹脂は末端カルボキシル基量が1当量/トン未満の場合、積層体の耐湿熱性は優れるものの易接着層との密着性が不足する場合がある。
本発明のP1層を構成するポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量を25当量/トン以下とすることで優れた耐湿熱性と密着性、密着保持性を両立した積層体とすることができる。
また本発明のP1層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度IVは0.65dl/g以上0.80dl/g以下が好ましく、該ポリエステル樹脂はポリエチレンテレフタレート(PET)を主たる構成成分とすることが好ましい。ここでの主たる構成成分とは、該ポリエステル樹脂に対して50質量%を超えて含有されていることをいう。
P1層を構成する樹脂がPETを主たる構成成分とする場合、該PETの固有粘度IVは0.65dl/g以上が好ましく、より好ましくは0.69dl/g以上であり、固有粘度IVが0.65dl/g未満の場合、積層体の耐湿熱性が悪くなる場合がある。また、固有粘度IVが0.80dl/gを超える場合、P1層を製造する際に樹脂の押出性が悪くシート成型が困難となる場合がある。よってP1層を構成する樹脂がPETを主たる構成成分とする場合、固有粘度IVが上記範囲を満たすことによって、優れた成型性、耐湿熱性を両立した積層体とすることが出来る。
また本発明の積層体において、P1層を構成するポリエステル樹脂の数平均分子量Mnは8000〜40000が好ましく、より好ましくは数平均分子量Mnが9000〜30000、更に好ましくは10000〜20000である。ここでいうP1層を構成するポリエステル樹脂の数平均分子量Mnとは、本発明の積層体からP1層を分離し、ヘキサフルオロイソプロノール(HEIP)に溶解させ、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)で測定、示差屈折率計で検出した値から、標準試料として分子量既知のポリエチレンテレフタレートとジメチルテレフタレートを用いて得られた値である。
P1層を構成するポリエステル樹脂の数平均分子量Mnが8000に満たない場合、耐湿熱性や耐熱性などの耐久性が落ちる可能性がある。一方で数平均分子量Mnが40000を超えると、重合が困難であるか重合できたとしても押出機による樹脂の押出が困難となり、成型加工が困難となる場合がある。
また本発明の積層体において、P1層を構成するポリエステル樹脂には金属元素として、Mn、Ca、Mgから選ばれる少なくとも1種類以上の金属元素を含有することが好ましい。特にMn元素を含有することが好ましく、さらにMn元素及びNa元素が含まれていることが好ましく、特にMn元素が50〜200ppm、Na元素が10〜80ppmの範囲で含まれていることがより好ましい。本発明の積層体のP1層にMn元素及びNa元素が前記の範囲で含まれていると、P1層を構成するポリエステル樹脂の加水分解が抑制され、積層体の耐湿熱性と密着保持性をより高めることができる。
本発明の積層体においてP1層は一軸、もしくは二軸に配向していることが好ましい。P1層が一軸、もしくは二軸に配向していると、配向結晶化により耐湿熱性や耐熱性などのシートの耐久性を向上させることができる。
本発明のP1層に耐紫外線性、光反射性、光隠蔽性、意匠性、視認性などの特性を付与する目的で、おのおのの機能を有した粒子を含有させる方法も好ましく用いられる。例えば、耐紫外線性と光反射性の両方を向上させるためには、P1層を構成する樹脂に対して酸化チタン粒子を1質量%以上30質量%以下の範囲で含有させることが好ましい。これによって酸化チタン粒子による紫外線吸収能と光反射性を活かして、長期に亘って光劣化による着色を低減するという効果と本発明の積層体を搭載した太陽電池の発電効率を高める効果の両方を期待することができる。
本発明のP1層に酸化チタン粒子を含有させる場合、1質量%未満では耐紫外線性や光反射性が不足する場合があり、30質量%より多いとP2層との密着性が悪化する場合がある。より好ましい範囲としては1質量%以上25質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以上25質量%以下であり、特に好ましくは3質量%以上20質量%以下である。また優れた耐紫外線性と光反射性の両立という観点で、酸化チタン粒子としてはルチル型酸化チタンを用いるのがより好ましい。
更に耐紫外線性と光隠蔽性、意匠性を向上させるためには、P1層を構成する樹脂に対してフラーレン、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素系材料からなる粒子(以下、カーボン粒子)を0.1質量%以上5質量%以下の範囲で含有することが好ましい。これによってカーボン粒子による紫外線吸収能と光隠蔽性を活かして、長期に亘って積層体の光劣化による着色を低減するという効果を発揮することができる。含有量が0.1質量%未満では耐紫外線性が不足する場合があり、5質量%より多いとP2層との密着性が悪化する場合がある。より好ましい範囲としては0.2質量%以上4質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以上3質量%以下である。
本発明のP1層を構成するポリエステル樹脂に前記の粒子を含有させる方法としては、ポリエステル樹脂と粒子をベント式二軸混練押出機やタンデム型押出機を用いて、溶融混練する方法が好ましく用いられる。ここでポリエステル樹脂に粒子を含有させる際にポリエステル樹脂が熱負荷を受けると、ポリエステル樹脂は少なからず劣化し、末端カルボキシル基量の増加や、固有粘度IVや数平均分子量が低下する場合がある。そのため、最終的にP1層を構成するポリエステル樹脂に含まれる粒子含有量よりも含有量を多くした高濃度マスターペレットを予め作製しておき、それをポリエステル樹脂と混合して希釈し、所望の粒子含有量となるように調整したP1層を作製することにより、耐湿熱性や易接着層との密着性保持を高めることができる。
本発明の積層体におけるP1層には、前記の酸化チタン粒子やカーボン粒子以外にも、本発明の効果が損なわれない範囲で必要に応じて、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、有機系/無機系の易滑剤、有機系/無機系の微粒子、充填剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等の添加剤や、気泡が配合されていてもよい。例えば、添加剤として紫外線吸収剤を選択した場合には、本発明の積層体の耐紫外線性をより高めることが可能となる。また帯電防止剤などを添加して電気絶縁性を向上させたり、有機系/無機系の微粒子や気泡を含有して光反射性を発現させたり、着色したい色の材料を添加して意匠性を付与することもできる。
本発明のP1層は、積層構造を有しても構わない。例えば、耐湿熱性に優れたP11層と、紫外線吸収剤や紫外線吸収能を持つ酸化チタン粒子を高濃度で含有する層P12層との積層構造などが好ましく用いられる。本発明の積層体を太陽電池裏面保護シートして用いた場合や太陽電池の搭載する場合、このようなP1層の構成はP12層/P11層//P2層となることが、優れた耐湿熱性と耐紫外線性との両立の観点から好ましい。この場合、P11層、P12層に用いる樹脂や粒子は、上記のP1層で例示したものを好適に用いることができる。
本発明の積層体はP1層の厚みが30μm以上500μm未満であることが好ましい。P1層の厚みが30μm未満であると本発明の積層体を太陽電池裏面保護用シートとして用いた場合、電気絶縁性が不足し、例えば、本発明の積層体を太陽電池に搭載した場合、高電圧下で使用した際に絶縁破壊を起こすことがあり好ましくない場合がある。また、厚みが500μmより厚いと積層体の加工性が悪くなることや、搭載した太陽電池セルの全体厚みが厚くなり過ぎることがあり好ましくない場合がある。よってP1層の厚みの好ましい範囲は38μm以上400μm以下、さらに好ましくは50μm以上300μm以下である。
(P2層(以降易接着層と称する場合がある))
本発明の積層体は易接着層としてP2層を有しており、該P2層の表面エネルギーは次の(1)および(2)の範囲を満たしていることが必要である。ここでの表面エネルギーとはJIS K 6768(1999)に準じた方法で測定して得られた値であり詳細は後述する。
(1)極性力γpが4.8mN/m以上、21.0mN/m以下
(2)極性力γpと水素結合力γhの差γp−γhが1.0mN/m以上、20.0mN/m以下
従来の知見では、P2層を、一定の表面エネルギーを持つ対象の被着体(例えば、EVA)との密着性を向上させようとする場合、P2層の表面エネルギーを、被着体の表面エネルギーと近づけることが有効と考えられる。この方法では、P2層の表面エネルギーと被着体の表面エネルギーを近づけることで、P2層と被着体の親和性が高くなるため、初期密着性を向上させることが可能である。
しかしながら、本発明の積層体のP1層やP2層を構成するポリエステル樹脂やその他の成分は、ポリマーの特性や劣化状態によって表面エネルギーが変化する特徴がある。同様に、被着体として例えば太陽電池セルの封止材として一般的に用いられるEVAも、架橋状態(架橋度)によって表面エネルギーが変化する特徴を持つ。
つまり、本発明においてP2層、および、被着体は、長期間屋外に置かれると、経時で表面エネルギーが変化する。そのため、たとえ、上述した通りにP2層の表面エネルギーを被着体の表面エネルギーに近づけたとしても、湿熱条件下で長期間置かれた後では、密着性が低下する。
上記の現象を鑑みて、本発明の積層体は、P2層の表面エネルギーを(1)および(2)の範囲を満たす範囲とすることで、初期の密着性と長期の密着保持性を両立するといった効果を有するものである。以下、(1)、(2)について、詳細を説明する。
本発明でのP2層の極性力γpとは、易接着層(P2層)の表面エネルギーを構成する力の一つであり、分子内の極性によって発生する分子間引力の程度を表す指標である。易接着層の極性力γpが4.8mN/m未満、または21.0mN/mを超えると、被着体、または、P1層との表面エネルギーの差が大きくなるため、初期密着性、密着保持性が低下する。
具体的にはP2層の極性力γpが4.8mN/m未満であると、P1層を構成するポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量が小さい場合や、ポリエステル樹脂の劣化が進行した場合、易接着層との表面エネルギーの差が大きくなり基材フィルム(P1層)/易接着層(P2層)の界面での剥離が発生しやすくなり、密着性や密着保持性が悪化する。また初期の被着体との表面エネルギーの差が経時で大きくなるため、易接着層(P2層)/被着体の界面での剥離が発生しやすくなり、密着性が悪化する。
一方、P2層の極性力γpが21.0mN/mを超えると、P1層を構成するポリエステル樹脂との表面エネルギーの差が大きくなるため、基材フィルム(P1層)/易接着層(P2層)の界面での剥離が発生し、密着性や密着保持性が悪化する。また、被着体として太陽電池用の封止材であるEVAを用いた場合、長期間屋外に置かれると被着体との表面エネルギーの差が経時で大きくなり、易接着層(P2層)/被着体の界面での剥離が発生しやすくなり、密着性保持性が悪化する。
尚、(1)に記載のP2層の極性力γpの範囲は5.4mN/m以上、12.0mN/m以下が好ましく、6.0mN/m以上、8.4mN/m以下がより好ましい。
次に、本発明でのP2層の水素結合力γhとは、易接着層(P2層)の電気陰性度による分子間の相互作用の力の程度を表す指標である。更に本発明においては、易接着層(P2層)の耐加水分解性に影響する成分の程度を表すものである。すなわち、本発明において、P2層の極性力γpと水素結合力γhの差とは、被着体、及びP1層との易接着層(P2層)の親和性と耐加水分解性のバランスを表すものである。
ここで、(2)に記載の極性力γpと水素結合力γhの差γp−γhは2.5mN/m以上、9.0mN/m以下が好ましく、3.7mN/m以上、4.9mN/m以下がより好ましい。P2層の極性力γpと水素結合力γhの差γp−γhが1.0mN/m未満の場合、易接着層の加水分解は抑えられるものの、同時に密着性に寄与する成分が不足していることを示し、密着強度自体が低下する。一方で、20.0mN/mを超えると易接着層の加水分解により凝集力が低下する。
つまり、本発明においてP2層の極性力γpと水素結合力γhの差γp−γhを上記の範囲とすることで、例えば、被着体として太陽電池用の封止材であるEVAを用いた場合、長期間屋外に置かれたとしてもP2層とEVAの表面エネルギーの差が小さくすることが可能となり、密着保持性を高めることが可能となる。
更に、P2層の水素結合力γhとしては1.0mN/m以上、4.5mN/m以下とすることが好ましく、P2層の水素結合力γhを前記の好ましい範囲とすることで、P1層とP2層の密着性の向上とP2層の加水分解を抑える効果がより期待できる。
上述した表面エネルギーはP2層に含まれる樹脂成分や含有量によって適宜調整することができる。具体的には、例えばP2層の極性力γpを高くするためにはP2層に含まれる樹脂成分として、ウレタン樹脂成分、メラミン樹脂成分、ポリエステル樹脂成分を併用することが有効である。一方で、極性力γpを低くするためには、P2層に含まれる樹脂成分として、ウレタン樹脂成分、オキサゾリン樹脂成分を併用することが有効である。
特に、P2層がウレタン樹脂成分のみしか含まない場合、極性力γpが大幅に高くなることがある。また、併用するポリエステル樹脂成分をアクリル変性されたポリエステル樹脂成分とすることで極性力γpは増加するが、アクリル変性部の構造を親水性のラジカル重合性ビニルモノマーが重合されたアクリルとすると極性力γpの増加幅を小さくすることができる。
同様に水素結合力γhを高くするためには、P2層に含まれるオキサゾリン樹脂成分の量を多くすることが有効であり、逆に水素結合力γhを小さくしたい場合はオキサゾリン樹脂成分の量を抑えればよい。またメラミン樹脂成分、及びウレタン樹脂成分の量にも多少は影響され、水素結合力γhを高くするためには、メラミン樹脂成分の量を多く、ウレタン樹脂成分の量を少なくする。逆に水素結合力γhを低くするためには、メラミン樹脂成分の量を少なく、ウレタン樹脂成分の量を多くすればよい。尚、P2層に含まれるウレタン樹脂成分がポリカーボネートポリオール化合物からなるウレタン樹脂の場合、水素結合力γhが大幅に高くなることがある。
ここで、P2層に含まれる各樹脂成分の量は、P2層を構成する塗剤組成物中に含まれる各樹脂成分の添加量により、調節することができる。
尚、現在のところ詳細は良く分かっていないが、P2層が同成分の場合でもP2層の厚みによって極性力γp、及び水素結合力γhが変化する場合がある。これは例えばP2層の厚みが厚くなった場合は、P2層を形成する段階でP2層が受ける温度履歴が変わり、架橋構造が変化することによって発生するものと推測している。一方、厚みが薄くなった場合については、厚みムラの影響を受けやすくなり表面状態が変化したと推測している。そのため、本発明においては、P2層の厚みは、0.1μm以上3.0μm以下が好ましい。P2層の厚みを上記の範囲とすることで、P2層の厚みムラやP2層を構成する樹脂成分の影響による表面エネルギーの値の変化を小さくでき、密着性を良好にすることができる。
ここでいうP2層に含まれる樹脂成分は、P2層の表面についてX線光電子分光分析装置(ESCA)、フーリエ赤外分光光度計(FT−IR)ATR法、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)、またはP2層を溶剤にて溶解抽出し、プロトン核磁気共鳴分光法(1H−NMR)、カーボン核磁気共鳴分光法(13C−NMR)、フーリエ赤外分光光度計(FT−IR)、またはP2層を分離し、クロマトグラフィー質量分析(GC−MS)などによって実施したP2層の定性分析を行うことによって確認することができる。
以下、本発明の積層体のP2層の含まれると好ましい成分について詳細を述べるが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に限定されるものでは無い。
本発明のP2層にはウレタン樹脂成分、メラミン樹脂成分、オキサゾリン樹脂成分の3成分を含まれるのが好ましい。ここでいうウレタン樹脂成分とは、主鎖中にポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応で得られるウレタン結合を有する樹脂、および、前記樹脂と他の成分が反応して得られる樹脂からなる成分を示す。
具体的には被着体との親和性の観点から脂肪族ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物を重合したものであることが好ましく、脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、分子内に複数のイソシアネート基を有するものであり、例えば、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、ジシクロヘキシルメタン4,4−ジイソシアナートリジンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添フェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられ、中でもP2層の耐久性を高める点から脂環式構造を有する脂肪族ポリイソシアネート化合物がより好ましい。
またポリオール化合物としては、例えば、芳香族ポリエーテルポリオール、脂肪族ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、および、ポリカプロラクトンポリオール等を挙げることができる。
具体的に芳香族ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加ジオール、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加ジオール、ビスフェノールAのブチレンオキサイド付加ジオール、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加ジオール、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加ジオール、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加ジオール、ハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ジオール、ナフトキノンのアルキレンオキサイド付加ジオール等を挙げることができる。
脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−ポリブチレングリコール、ポリイソブチレングリコール、プロピレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体ポリオール、エチレンオキサイドとテトラヒドロフランの共重合体ポリオール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体ポリオール、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフランの共重合体ポリオール、エチレンオキサイドと1,2−ブチレンオキサイドの共重合体ポリオール、また脂肪族ポリエーテルポリオールの中でも脂環族ポリエーテルポリオールとしては、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールAのブチレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールFのブチレンオキサイド付加ジオール、ジシクロペンタジエンのジメチロール化合物、トリシクロデカンジメタノール等を挙げることができる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の多価アルコールと、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸等の多塩基酸と反応して得られるポリエステルポリオール等を挙げることができる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、1,6−ヘキサンポリカーボネート等を挙げることができる。
ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、ε−カプロラクトンと、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール等の2価のジオールとを反応させて得られるポリカプロラクトンジオール等を挙げることができる。
その他、本発明に用いることができるポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリβ−メチル−δ−バレロラクトン、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、ヒドロキシ末端水添ポリブタジエン、ひまし油変性ポリオール、ポリジメチルシロキサンの末端ジオール化合物、ポリジメチルシロキサンカルビトール変性ポリオール等を挙げることができる。
中でもP2層を柔軟化することで、被着体との密着性をより高めることができる観点ではポリエーテルポリオールが好ましく、P1層との密着性をより高めることができる観点では芳香族系ポリオールやポリエステルポリオールが好ましい。またこれらを組み合わせて用いてもよい。
P2層に含まれるウレタン樹脂成分を被着体との親和性や耐久性を高められるイソシアネート化合物、P2を柔軟化できるポリオール化合物や、P1層との密着性に優れるポリオール化合物を重合したウレタン樹脂とすることで加速試験後の密着保持性を高めることができる。
尚、これらのウレタン樹脂は、例えば、DIC株式会社製ハイドランシリーズ、ボンディックシリーズ、第一工業製薬株式会社製スーパーフレックスシリーズ、東亜合成株式会社製アロンネオタンシリーズなど市販の樹脂を入手して用いることもできる。
次にP2層に含まれると好ましいメラミン樹脂成分とは、分子中にトリアジン環とその周辺に三つのアミノ基を有する樹脂、および、前記樹脂と他の成分が反応して得られる樹脂からなる成分を示す。具体的にはヘキサ型(トリアジン環に直接結合している3つのアミノ基に結合している官能基の数が6つ)のヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサキス−(メトキシメチル)メラミン、トリ型(トリアジン環に直接結合している3つのアミノ基に結合している官能基の数が3つ)のN,N’,N’’−トリメチル−N,N’,N’’−トリメチロールメラミン、N,N’,N’’−トリメチロールメラミン、N−メチロールメラミン、N,N’−(メトキシメチル)メラミン、N,N’,N’’−トリブチル−N,N’,N’’−トリメチロールメラミンなどが挙げられる。
P2層に前記のメラミン樹脂成分を含むことで、自己縮合反応によってP2層の凝集力を高めることが可能となり、凝集破壊を抑制することで結果的に密着性を高めることができる。
尚、これらのメラミン樹脂は、例えば、DIC株式会社製ベッカミンシリーズ、株式会社三和ケミカル製ニカラックシリーズなど市販の樹脂を入手して用いることもできる。
次にP2層に含まれると好ましいオキサゾリン樹脂成分とは、分子中にオキサゾリン基構造を有する樹脂、および、前記樹脂と他の成分が反応して得られる樹脂からなる成分を示す。具体的には1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)のようなビスオキサゾリン(低分子型オキサゾリン基含有化合物)や、ポリオレフィンを骨格構造としてオキサゾリン変性してオキサゾリン基を導入したもの、ポリスチレンを骨格構造としてオキサゾリン基を導入したような高分子型オキサゾリン基含有化合物などが挙げられる。
P2層に前記のオキサゾリン樹脂成分を含むことで、P2層中に存在する末端基やP1層のポリエステル樹脂由来の末端カルボキシル基とオキサゾリン基が反応し、P2層の加水分解抑制や、P1層との密着性を高めることができる。
尚、これらのオキサゾリン樹脂は、例えば、株式会社日本触媒製エポクロスシリーズなど市販の樹脂を入手して用いることもできる。
また、本発明のP2層にはポリエステル樹脂成分が含まれることが好ましい。ここでP2層に含まれると好ましいポリエステル樹脂成分とは、P1層で例示したポリエステル樹脂を水溶性化、あるいは水分散化を容易にするため、スルホン酸塩基やカルボン酸塩基などの親水基を導入、またはこれらの親水基を含む化合物を共重合した樹脂、および前記樹脂と他の成分が反応して得られる樹脂からなる成分を示す。
具体的には例えばスルホン酸塩基を含む化合物としては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸など、カルボン酸塩基を含む化合物としては、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸、などのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
P2層にポリエステル樹脂成分が含まれることで、P1層との親和性を高めることが可能となり、結果的に密着性を高めることができる。
更にP2層に含まれるポリエステル樹脂成分はアクリル変性されたポリエステル樹脂成分であることが好ましい。P2層に含まれるポリエステル樹脂成分をアクリル変性されたポリエステル樹脂成分とすることで、P2層内に含まれるウレタン樹脂成分などの他成分との親和性を高めることが可能となり、樹脂成分の分離による凝集破壊などを抑制することができる。
ここでいうアクリル変性されたポリエステル樹脂成分とは、アクリル樹脂とポリエステル樹脂とが互いに混合および/または結合した樹脂からなる成分であって、例えばグラフトタイプ、ブロック共重合タイプを包含する。またアクリル樹脂とポリエステル樹脂の混合比率、共重合比率はどちらが高くてもよく、他の樹脂成分との関係によって適宜調整することが好ましい。
前記のアクリル樹脂としては具体的には、アルキルメタクリレートおよび/またはアルキルアクリレートから構成されるアクリル樹脂の主鎖に、ラジカル重合性ビニルモノマーが重合されていることが好ましく、被着体とのエネルギー差を小さくする観点から親水性のラジカル重合性ビニルモノマーが重合されていることがより好ましい。
アルキルメタクリレートおよび/またはアルキルアクリレートとしては、具体的にはメタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、これらは1種もしくは2種以上を用いてもよい。
親水性のラジカル重合性ビニルモノマーとしては、具体的にはアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等のヒドロキシアクリル酸エステル、エチレングリコールアクリレート、エチレグリコールメタクリリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート等のグリコールエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メトキシメチロールアクリルアミド等のアクリルアミド系化合物、アクリル酸アミノアルキル、メタクリル酸アミノアルキルエステル及びその4級アンモニウム塩等のカチオン系モノマー、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のグリシジルアクリレート系化合物、その他、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和酸及びその塩などが挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、数種組み合わせて用いてもよい。更にこれらの親水性モノマーに他の共重合可能なビニルモノマーを併用することもできる。
ここで具体的な共重合可能な他のビニルモノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等の不飽和カルボン酸エステル、ジメチルビニルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン、エチレン、プロピレン、スチレン、ブタジエン等のオレフィンやジオレフィン化合物などが挙げられる。
本発明の積層体のP2層にポリエステル樹脂成分が含まれる場合、アクリル変性されたポリエステル樹脂で、尚且つアクリル樹脂を親水性のラジカル重合性ビニルモノマーが重合されたアクリル樹脂とすることで、P2層内での分離を抑制した上で被着体との密着性を両立した積層体とすることができる。
尚、これらのアクリル変性されたポリエステル樹脂は、例えば、高松油脂株式会社製ペスレジンシリーズなど市販の樹脂を入手して用いることもできる。
本発明の積層体のP2層は、前記の樹脂成分を含む塗剤組成物から形成される層である。ここでP2層にウレタン樹脂成分が含まれる場合、P2層中の含有量、またはP2層を形成する塗剤組成物中の固形分重量で40質量%以下含まれることが好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。
また、P2層にメラミン樹脂成分が含まれる場合、P2層中の含有量が1質量%以上20質量%以下含まれることが好ましく、7質量%以上16質量%以下がより好ましい。P2層にメラミン樹脂成分を1質量%以上20質量%以下含まれるP2層を得るには、メラミン樹脂成分を固形分重量で1質量%以上20質量%以下含む塗剤組成物からP2層を形成させることが好ましい。より好ましくは、7質量%以上16質量%以下である。
また、P2層にオキサゾリン樹脂成分が含まれる場合、P2層中の含有量が1質量%以上20質量%以下含まれることが好ましく、10質量%以上18質量%以下がより好ましい。P2層にオキサゾリン樹脂成分を1質量%以上25質量%以下含まれるP2層を得るには、オキサゾリン樹脂成分を固形分重量で1質量%以上25質量%以下含む塗剤組成物からP2層を形成させることが好ましい。より好ましくは、10質量%以上18質量%以下である。
また、P2層にポリエステル樹脂成分、またはアクリル変性されたポリエステル樹脂成分が含まれる場合、P2層中の含有量が30質量%以上75質量%以下含まれることが好ましく、40質量%以上50質量%以下がより好ましい。P2層にアクリル変性されたポリエステル樹脂成分を30質量%以上75質量%以下含まれるP2層を得るには、アクリル変性されたポリエステル樹脂成分を固形分重量で30質量%以上75質量%以下含む塗剤組成物からP2層を形成させることが好ましい。より好ましくは、40質量%以上50質量%以下である。
本発明の積層体のP2層に前記のウレタン樹脂成分、メラミン樹脂成分、オキサゾリン樹脂成分、ポリエステル樹脂成分あるいはアクリル変性されたポリエステル樹脂成分が含まれる場合、P2層中の含有量、またはP2層を形成する塗剤組成物中の固形分重量が前記の好ましい範囲よりも小さい場合、各樹脂成分に期待する効果が不足することがある。一方で、好ましい範囲よりも大きい場合、その他の成分の効果を阻害する可能性がある。
また、本発明の積層体におけるP2層の厚みは0.1μm以上3.0μm以下が好ましく、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下であり、さらに好ましくは0.4μm以上1.0μm以下である。本発明の積層体におけるP2層の厚みが0.1μm未満の場合、P2層の厚みのムラが大きくなり、その影響で表面エネルギーの値が変化したり、P2層の機能が不足することがある。一方で、P2層の厚みが3.0μmより厚いと、乾燥不足による巻取り性の悪化や塗布性が悪化する場合がある。
即ち、本発明の積層体のP2層に含まれる樹脂成分、及びそれらの含有量、P2層の厚みを好ましい範囲とすることで、本発明の積層体において表面エネルギーが前記の(1)及び(2)の範囲を満たすP2層を得ることができる。それによって、太陽電池セルの封止材であるEVAのような被着体との優れた密着性と、本発明の積層体におけるP1層のような末端カルボキシル基量が25当量/トン以下のポリエステル基材であっても良好な密着性を両立することが可能となり、長期間屋外に置かれても密着性を維持する(密着保持性が優れた)太陽電池裏面保護用シートのような用途に好適な積層体とすることできる。
また、本発明の積層体のP2層には、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、耐ブロッキング剤、染料、顔料、光増感剤、界面活性剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤を添加することができる。
例えば、P2層に紫外線吸収剤を添加することで、本発明の積層体を太陽電池裏面保護用シートとして太陽電池に搭載した場合、発電セル側からの紫外線によって積層体と封止材との密着性が低下することを抑制することができる。この場合、紫外線吸収剤としては酸化チタンや酸化亜鉛などの無機粒子、紫外線吸収剤が配合されたものや紫外線吸収能を有する分子骨格を共重合したような樹脂成分が好適に用いられ、好ましい含有量としてはP2層を形成する塗剤組成物中の固形分重量で1重量%以上50重量%以下、より好ましくは5重量%以上40重量%以下、更に好ましくは重量10%以上30%重量以下である。
また、本発明の積層体のP2層は、より被着体との密着性を向上させる目的で、積層構造を有してもよい。例えば、予めP1層の片側表面にP1層と接着性に優れるアンカーコート層(P21層とする)を設けておき、P21層の上に、さらに易接着性に優れる層(P22層とする)を設ける手法も好ましく用いられる。その場合、シートの構成は、P1層//P21層/P22層の順で積層され、P2層の厚みは、P21層+P22層で表される。
このとき、P21層は、P1層およびP22層を構成する樹脂と接着性が良く、また、P22層はP21層および被着体を構成する樹脂と密着性に優れ、本発明の積層体を太陽電池裏面保護用シートとして太陽電池に搭載した場合、太陽電池セル作成時の熱圧着ラミネート時の温度で封止材と相溶性を生じるものであれば、特に限定されない。また、P21層、P22層に用いる樹脂は、上記のP2層で例示したものを適宜好適に用いることができる。
更に、P2層に耐ブロッキング剤としてシリカ粒子を添加することで、巻き取り時のブロッキングを防止することができる。またP2層に界面活性剤を添加することで、P1層への塗液の親和性を高め、塗布ムラを抑えることができる。
(積層体の製造方法)
次に、本発明の積層体の製造方法について例を挙げて説明する。これは一例であり、本発明は、かかる例によって得られる物のみに限定して解釈されるものではない。
まず、本発明のP1層の原料となるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体と、ジオールを周知の方法でエステル交換反応、もしくはエステル化反応させることによって得ることができる。従来公知の反応触媒としてはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、リン化合物などを挙げることが出来る。好ましくは、通常の製造方法が完結する以前の任意の段階において、重合触媒としてアルカリ金属化合物、マンガン化合物、アンチモン化合物またはゲルマニウム化合物、チタン化合物を添加することが好ましく、積層体の耐湿熱性を高める観点からナトリウム化合物、マンガン化合物を添加することがより好ましい。このような方法としては例えば、マンガン化合物を例に取るとマンガン化合物粉体をそのまま添加することが好ましい。
また、ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量は重合時の温度や、ポリエステル樹脂を重合した後、190℃〜ポリエステル樹脂の融点未満の温度で、減圧または窒素ガスのような不活性気体の流通下で加熱する、いわゆる固相重合の時間によってコントロールすることができる。具体的には重合時の温度が高くなると末端カルボキシル基量が増加し、固相重合の時間を長くすると末端カルボキシル基量が低くなる。
次にP1層の製造方法は、P1層が単膜構成の場合、P1層用原料を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)を使用することができる。その他の方法として、P1層用の原料を溶媒に溶解させ、その溶液を口金からキャストドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して膜状とし、次いでかかる膜層から溶媒を乾燥除去させてシート状に加工する方法(溶液キャスト法)等も使用することができる。またP1層が積層構造の場合の製造方法は、積層する各層の材料が熱可塑性樹脂を主たる構成とする場合、二つの異なる熱可塑性樹脂を二台の押出機に投入し溶融してから合流させて、口金から冷却したキャストドラム上に共押出してシート状に加工する方法(共押出法)を好ましく用いることができる。
P1層および/またはP1層を含む積層体として一軸もしくは、二軸延伸されたシート基材を選択した場合、その製造方法として、まず、押出機(積層構造の場合は複数台の押出機)に原料を投入し、溶融して口金から押出し(積層構造の場合は共押出)し、冷却した表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸シートを作製する。
次に、この未延伸シートを70〜140℃の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちシートの進行方向)に3〜4倍延伸し、20〜50℃の温度のロール群で冷却する。続いて、シートの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、80〜150℃の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(幅方向)に3〜4倍に延伸する。
延伸倍率は、長手方向と幅方向それぞれ3〜5倍とするが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9〜15倍であることが好ましい。面積倍率が9倍未満であると、得られる二軸延伸シートの耐久性が不十分となり、逆に面積倍率が15倍を超えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。尚、二軸延伸する方法としては、上述の様に長手方向と幅方向の延伸とを分離して行う逐次二軸延伸方法の他に、長手方向と幅方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸方法のどちらであっても構わない。
本発明の積層体においてP2層を形成するための塗剤組成物の調製方法として、まず樹脂成分の分散溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノールおよび水等を例示することができ、エマルジョン型および溶解型のいずれでも良い。
更に、近年では環境保護、省資源化、製造時における有機溶剤の排気問題などが重視され、水を溶媒の主体とした溶解型、もしくはエマルジョン型が好ましい形態である。また、P2層に含まれる樹脂成分を塗剤組成物の調製のため水にエマルジョン化させる方法としては、特に制限されるものではなく、固/液撹拌装置や乳化機として広く当業者に知られている装置によって作製することができる。
また、P2層を形成するための塗剤組成物を調製後、保管する環境としては5℃以上、35℃以下の室温環境下で保管することが好ましい。また調整から塗布を行うまでの保管期間としては1週間以内が好ましい。塗剤組成物の保管環境が前記の条件を満たさない場合、分散している樹脂成分の安定性が損なわれ、所望の特性を有するP2層が得られない場合がある。
次に、P2層をP1層の上に形成する方法は、特に制限されるべきものではないが、コーティング手法を用いるのが好ましい。コーティング手法としては、公知の方法を適用することができる。具体的には、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法およびグラビアロールコーティング法等や、これらを組み合わせた方法を利用することができる。中でも塗剤の選択幅が広い観点からはバーコーティング法が好ましく、一方でP2層の厚みを大きくしたい場合は厚膜塗布性の観点からダイコーティング法およびグラビアロールコーティング法が好ましく選択できる。
更に、P2層の形成はP1層の製造工程の中で設けるインラインコーティングにて行うのが工程簡略化の観点からより好ましい。具体的には、逐次二軸延伸方法の場合には、未延伸シートあるいは一軸延伸したシートを形成した後に、同時二軸延伸方法の場合には未延伸シートを形成した後に、それぞれ前記のコーティング工程を設けP2層を形成する塗剤組成物を塗布した後、塗剤組成物の乾燥工程と同時にP1層の熱固定を行う。この時、塗剤組成物の乾燥温度は基材層P1層の熱寸法安定性と耐湿熱性の両立の観点から150℃以上250℃以下が好ましく、より好ましくは170℃以上230℃以下、更に好ましくは180℃以上220℃以下である。
また、必要に応じてP1層への塗剤組成物の濡れ性向上、P2層形成後の層間接着力向上の観点から、コーティング工程の直前に基材層P1層の表面へコロナ処理を行ってもよい。
本発明の積層体は前記の製造方法によって製造することができる。得られた積層体は、太陽電池セルの封止材であるEVAとの密着性に優れ、長期間屋外に置かれても密着性を維持し(密着保持性が優れ)、さらには、耐湿熱性にも優れるという性能を有するものである。
(太陽電池裏面保護用シート)
次に、本発明の積層体を太陽電池裏面保護用シートとして適用する例を挙げて説明する。
本発明の太陽電池裏面保護用シートは、積層体のP1層の片側表面(ただし、P2層と接する表面とは反対側の表面)に、例えばガスバリア性、耐紫外線性などの他の機能を持つ層を設けることができる。これらの層を設ける方法としては、P1層と積層する材料をそれぞれ別々に作製し、加熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)、接着剤を介して貼り合わせる方法(接着法)、その他、積層する材料の形成用材料を溶媒に溶解させ、その溶液をあらかじめ作製していたP1層上に塗布する方法(コーティング法)、硬化性材料をP1層上に塗布した後に電磁波照射、加熱処理などで硬化させる方法、積層する材料をP1層上に蒸着/スパッタする方法、およびこれらを組み合わせた方法等を使用することができる。
また、本発明の太陽電池裏面保護用シートは耐湿熱性に優れていることが好ましい。具体的には本発明の太陽電池裏面保護用シートに湿熱処理を加えた後の破断伸度が10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは40%以上である。ここでいう湿熱処理を加えた後の破断伸度の測定方法の詳細については後述する。
本発明の太陽電池裏面保護用シートにおいて、湿熱処理を加えた後の破断伸度が10%未満の場合、本発明の太陽電池裏面保護用シートを搭載した太陽電池を長期間屋外に置いた際に、劣化による亀裂などが発生し太陽電池の外観が悪くなる可能性がある。
本発明の太陽電池裏面保護用シートにおいて耐湿熱性を向上させるには、P1層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度IVを0.65dl/g以上、かつ末端カルボキシル基量を25当量/トン以下のポリエチレンテレフタレートとすることが好ましい方法として挙げられる。P1層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度IVや末端カルボキシル基量を上記の範囲とすることにより、湿熱処理を加えた後の破断伸度を向上させることが可能となる。
本発明の太陽電池裏面保護用シートは耐紫外線性に優れていることが好ましい。具体的には本発明の太陽電池裏面保護用シートのP1層を入射面として紫外線処理試験を行ったときの色調変化Δbが10未満であることが好ましく、より好ましくは3未満である。ここでいう紫外線処理試験を行ったときの色調変化Δbの測定方法の詳細については後述する。
本発明の太陽電池裏面保護用シートにおいて、P1層を入射面として紫外線処理試験を行ったときの色調変化Δbが10を超える場合、本発明の太陽電池裏面保護用シートを搭載した太陽電池を長期間屋外に置いた際に、紫外線による変色によって太陽電池の外観が悪くなる可能性がある。
本発明の太陽電池裏面保護用シートにおいて耐紫外線性に優れている範囲とするには、P1層に対して酸化チタン粒子を3質量%以上添加することが好ましい方法として挙げられ、酸化チタン粒子の添加量に応じて色調変化Δbを低下させることが可能である。
本発明の太陽電池裏面保護用シートにおいて、耐湿熱性と耐紫外線性に優れた太陽電池裏面保護用シートとすることで、本発明の太陽電池裏面保護用シートを搭載した太陽電池を長期間屋外に置いても外観不良の無い太陽電池とすることができる。
(太陽電池)
次に、本発明の積層体を太陽電池に搭載する例を挙げて説明する。
本発明の太陽電池は、本発明の積層体を裏面保護用シートとして搭載することを特徴とする。本発明の太陽電池は前記の積層体を用いることで、従来の太陽電池と比べて耐久性を高めることが可能となる。その構成の例を図1に示す。電気を取り出すリード線(図1には示していない)を接続した発電素子をEVA樹脂などの透明な封止材2で封止したものに、ガラスなどの透明基板4と、太陽電池裏面保護用シート1として貼り合わせて構成されるが、これに限定されず、任意の構成に用いることができる。なお、図1では太陽電池裏面保護用シートは単体での例を示したが、その他必要とされる要求特性に応じて太陽電池裏面保護用シートは他のフィルムを張り合わせた、複合シートとすることも可能である。
ここで、本発明の太陽電池において、太陽電池裏面保護用シート1は発電素子を封止した封止材2の背面に設置される発電セルを保護する役目を担う。ここで太陽電池裏面保護用シートはP2層が封止材2と接するように配置することが好ましい。この構成とすることによって、本発明の優れた密着性を生かして、屋外に曝されても長期間、発電セルを保護することで太陽電池の耐久性を高めることができる。
発電素子3は、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、結晶シリコン系、多結晶シリコン系、微結晶シリコン系、アモルファスシリコン系、銅インジウムセレナイド系、化合物半導体系、色素増感系など、目的に応じて任意の素子を、所望する電圧あるいは電流に応じて複数個を直列または並列に接続して使用することができる。透光性を有する透明基板4は太陽電池の最表層に位置するため、高透過率のほかに、高耐候性、高耐汚染性、高機械強度特性を有する透明材料が使用される。本発明の太陽電池において、透光性を有する透明基板4は上記特性と満たせばいずれの材質を用いることができ、その例としてはガラス、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン樹脂(TFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂(CTFE)、ポリフッ化ビニリデン樹脂などのフッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、およびこれらの混合物などが好ましく挙げられる。ガラスの場合、強化されているものを用いるのがより好ましい。また樹脂製の透光基材を用いる場合は、機械的強度の観点から、上記樹脂を一軸または二軸に延伸したものも好ましく用いられる。また、これら基材には発電素子の封止材料であるEVA樹脂などとの接着性を付与するために、表面に、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、易接着処理を施すことも好ましく行われる。
発電素子を封止するための封止材2は、発電素子の表面の凹凸を樹脂で被覆し固定し、外部環境から発電素子保護し、電気絶縁の目的の他、透光性を有する基材やバックシートと発電素子に接着するため、高透明性、高耐候性、高接着性、高耐熱性を有する材料が使用される。その例としては、エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、アイオノマー樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、およびこれらの混合物などが好ましく用いられる。
以上のように、本発明の積層体を太陽電池裏面保護用シートとして太陽電池に組み込むことにより、従来の太陽電池と比べて、耐久性を高めることが可能となる。本発明の太陽電池は、太陽光発電システム、小型電子部品の電源など、屋外用途、屋内用途に限定されず各種用途に好適に用いることができる。
〔特性の測定方法および評価方法〕
(1)ポリマー特性
(1−1)末端カルボキシル基量(表中ではCOOH量と記載する。)
末端カルボキシル基量については、Mauliceの方法に準じて、以下の方法にて測定した。(文献:M.J. Maulice, F. Huizinga, Anal.Chim.Acta,22 363(1960))
測定試料(ポリエステル樹脂(原料)または積層体のP1層のみを分離したもの)2gをo−クレゾール/クロロホルム(重量比7/3)50mLに温度80℃にて溶解し、0.05NのKOH/メタノール溶液によって滴定し、末端カルボキシル基濃度を測定し、当量/ポリエステル1tの値で示した。なお、滴定時の指示薬はフェノールレッドを用いて、黄緑色から淡紅色に変化したところを滴定の終点とした。なお、測定試料を溶解させた溶液に無機粒子などの不溶物がある場合は、溶液を濾過して不溶物の重量測定を行い、不溶物の重量を測定試料重量から差し引いた値を測定試料重量とする補正を実施した。
(1−2)固有粘度IV
オルトクロロフェノール100mlに、測定試料(ポリエステル樹脂(原料)又は積層体のP1層のみを分離したもの)を溶解させ(溶液濃度C(測定試料重量/溶液体積)=1.2g/ml)、その溶液の25℃での粘度をオストワルド粘度計を用いて測定した。また、同様に溶媒の粘度を測定した。得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、下記式(4)により、[η]を算出し、得られた値をもって固有粘度(IV)とした。
ηsp/C=[η]+K[η]・C ・・・(4)
(ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)―1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)
なお、測定試料を溶解させた溶液に無機粒子などの不溶物がある場合は、以下の方法を用いて測定を行った。
(i)オルトクロロフェノール100mLに測定試料を溶解させ、溶液濃度が1.2mg/mLよりも濃い溶液を作成する。ここで、オルトクロロフェノールに供した測定試料の重量を測定試料重量とする。
(ii)次に、不溶物を含む溶液を濾過し、不溶物の重量測定と、濾過後の濾液の体積測定を行う。
(iii)濾過後の濾液にオルトクロロフェノールを追加して、(測定試料重量(g)−不溶物の重量(g))/(濾過後の濾液の体積(mL)+追加したオルトクロロフェノールの体積(mL))が、1.2g/100mLとなるように調整する。
(例えば、測定試料重量2.0g/溶液体積100mLの濃厚溶液を作成したときに、該溶液を濾過したときの不溶物の重量が0.2g、濾過後の濾液の体積が99mLであった場合は、オルトクロロフェノールを51mL追加する調整を実施する。((2.0g−0.2g)/(99mL+51mL)=1.2g/mL))
(iv)(iii)で得られた溶液を用いて、25℃での粘度をオストワルド粘度計を用いて測定し、得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、上記式(C)により、[η]を算出し、得られた値をもって固有粘度(IV)とする。
(1−3)金属元素含有量
積層体のP1層について、Mg、Mn、Sb金属元素量については蛍光X線分析法(理学電機(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270))にて、Na金属元素については原子吸光分析法(曰立製作所製:偏光ゼーマン原子吸光光度計180−80。フレーム:アセチレンー空気)にて定量を行った。
(2)表面自由エネルギー
表面エネルギーについて、JIS K 6768(1999)の方法に準じて以下の方法で測定を行った。まず、積層体を室温23℃相対湿度65%の雰囲気中に48時間放置後した。その後、同雰囲気下で、P2層に対して、純水、エチレングリコール、ホルムアミド、ジヨードメタンの4種の溶液のそれぞれの接触角を、接触角計CA−D型(協和界面科学(株)社製)により、それぞれ5点測定する。5点の測定値の最大値と最小値を除いた3点の測定値の平均値をそれぞれの溶液の接触角とする。
次に、得られた4種類の溶液の接触角を用いて、畑らによって提案された「固体の表面自由エネルギー(γ)を分散力成分(γ )、極性力成分(γ )、および水素結合力成分(γ )の3成分に分離し、Fowkes式を拡張した式(拡張Fowkes式)」に基づく幾何平均法により、本発明に記載の極性力γp、及び水素結合力γhを算出する。(文献:日本接着協会誌、1972年、Vol.8、No.3、131〜141頁)
次に、具体的な算出方法を示す。固体と液体の界面での張力である場合、数式(1)が成立する。各記号の意味について下記の通り。
γ : P2層と表1に記載の既知の溶液の表面自由エネルギー
γ: P2層の表面自由エネルギー
γ: 表1に記載の既知の溶液の表面自由エネルギー
γ : P2層の表面自由エネルギーの分散力成分
γ : P2層の表面自由エネルギーの極性力成分
γ : P2層の表面自由エネルギーの水素結合力成分
γL : 表1に記載の既知の溶液の表面自由エネルギーの分散力成分
γL : 表1に記載の既知の溶液の表面自由エネルギーの極性力成分
γL : 表1に記載の既知の溶液の表面自由エネルギーの水素結合力成分
γ =γ+γ−2(γ ・γ )1/2−2(γ ・γp)1/2−2(γ ・γ )1/2 ・・・ 数式(1)。
また、平滑な固体面と液滴が接触角(θ)で接しているときの状態は次式で表現される(Youngの式)。
γ=γ +γcosθ ・・・ 数式(2)。
これら数式(1)、数式(2)を組み合わせると、次式が得られる。
・γ )1/2+(γ ・γ )1/2+(γ ・γ )1/2=γ(1+cosθ)/2 ・・・ 数式(3)。
実際には、水、エチレングリコール、ホルムアミド、及びジヨードメタンの4種類の溶液に接触角(θ)と、表1に記載の既知の溶液の表面張力の各成分(γL 、γL 、γL )を数式(3)に代入し、4つの連立方程式を解く。その結果、固体の表面自由エネルギー(γ)、分散力成分(γ )、極性力成分(γ )、および水素結合力成分(γ )が算出される。
尚、本発明に記載の分散力γdは分散力成分(γ )に、極性力γpは極性力成分(γ )、水素結合力γhは水素結合力成分(γ )に該当する。
(3)P2層の成分定性
P2層の成分定性はP2層の表面について、X線光電子分光分析装置(ESCA)、フーリエ赤外分光光度計(FT−IR)ATR法、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)、またはP2層を溶剤にて溶解抽出し、プロトン核磁気共鳴分光法(1H−NMR)、カーボン核磁気共鳴分光法(13C−NMR)、フーリエ赤外分光光度計(FT−IR)、またはP2層を分離し、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)により構造を解析して行う。以下、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)を用いた解析例について述べる。
(3−1)熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)
まず測定装置には熱分解装置PY−2010DD型(フロンティア・ラボ社製)とガスクロマトグラフGC−14AF型((株)島津製作所製)、検出器には水素炎イオン化検出器(FID)、カラムにはメチルシリコーン系キャピラリーカラムを接続して用いた。また、必要に応じてTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)で誘導体化を行い実施した。
(A)ウレタン樹脂成分
熱分解生成物からジイソシアネート化合物とグリコール化合物の2種類が検出された場合、P2層中にウレタン樹脂成分が含有されているとする。
(B)メラミン樹脂成分
熱分解生成物からメラミン化合物が検出された場合、P2層中にメラミン樹脂成分が含有されているとする。
(C)オキサゾリン樹脂成分
熱分解生成物からオキサゾリン化合物が検出された場合、またはTMAHで誘導体化を行った場合の熱分解生成物からエタノールアミン構造が検出された場合、P2層中にオキサゾリン樹脂成分が含有されているとする。
(4)P2層の厚み
ミクロトームを用いて、積層体の表面に対して垂直方向に切削した小片を作成し、その断面を電界放射走査型電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)を用いて10000倍に拡大観察して撮影した。その断面写真よりP2層の厚みを拡大倍率から逆算して求めた。なお、厚みは異なる測定視野から任意に選んだ計5箇所の断面写真を使用し、その平均値を用いた。
(5)太陽電池用封止材との密着性評価
(5−1)封止材との初期密着性
JIS K 6854−2(1999)に基づいて、太陽電池用封止材であるEVAシートと積層体のP2層側の面との剥離強度から接着性を評価した。測定試験片は、厚さ3mmの半強化ガラス上に、500μm厚のEVAシート(酢酸ビニル共重合比率:28mol%)、および実施例、比較例のシートをP2層側がEVAシート側になるように重ね、市販の真空ラミネーターを用いて熱盤温度145℃、真空引き4分、プレス1分、保持時間10分の条件でプレス処理をしたものを用いた。剥離強度試験は180°剥離で行い、試験片の幅は15mmとし、2つの試験片を準備し、それぞれの試験片について場所を変えて3カ所測定し、得られた測定値の平均値を剥離強度の値とし、初期密着性を以下のように判定した。尚、本測定において界面での剥離が生じる前に、本発明のシートが破断した場合は、破断が生じた時点の測定値を剥離強度の値とした。
剥離強度が60.0N/15mm以上の場合:S
剥離強度が50.0N/15mm以上、60.0N/15mm未満の場合:A
剥離強度が45.0N/15mm以上、50.0N/15mm未満の場合:B
剥離強度が40.0N/15mm以上、45.0N/15mm未満の場合:C
剥離強度が30.0N/15mm以上、40.0N/15mm未満の場合:D
剥離強度が30.0N/15mm未満の場合:E
初期密着性はS〜Dが良好であり、その中でもSが最も優れている。
(5−2)密着保持性
上記(5−1)項と同様にして、測定試験片を作製し、高度加速寿命試験装置プレッシャークッカー(エスペック(株)製)にて、温度120℃、相対湿度100%RHの条件下にて48時間処理を行った。その後、温度27℃、湿度35%RHの環境下で48hr調湿を行い、(5−1)項と同様にEVAシートとの加速試験後の剥離強度を測定し、密着保持性を以下のように判定した。
加速試験後の剥離強度が50.0N/15mm以上の場合:SS
加速試験後の剥離強度が40.0N/15mm以上、50.0N/15mm未満の場合:S
加速試験後の剥離強度が40.0N/15mm以上、45.0N/15mm未満の場合:A
加速試験後の剥離強度が35.0N/15mm以上、40.0N/15mm未満の場合:B
加速試験後の剥離強度が30.0N/15mm以上、35.0N/15mm未満の場合:C
加速試験後の剥離強度が20.0N/15mm以上、30.0N/15mm未満の場合:D
加速試験後の剥離強度が20N/15mm未満の場合:E
密着保持性はSS〜Dが良好であり、その中でもSSが最も優れている。
(6)耐湿熱性(湿熱試験後の破断伸度測定)
積層体を測定片の形状10mm×200mmに切り出した後、高度加速寿命試験装置プレッシャークッカー(エスペック(株)製)にて、温度125℃、相対湿度100%RHの条件下にて48時間処理を行い、その後、ASTM−D882(1997)に基づいて破断伸度を測定した。なお、測定はチャック間50mm、引っ張り速度300mm/min、測定回数n=5とし、また、シートの長手方向、幅方向のそれぞれについて測定した後、その平均値を湿熱試験後の破断伸度とした。得られた湿熱試験後の破断伸度から、耐湿熱性を以下のように判定した。
湿熱試験後の破断伸度が湿熱試験前の破断伸度の60%以上の場合:S
湿熱試験後の破断伸度が湿熱試験前の破断伸度の40%以上60%未満の場合:A
湿熱試験後の破断伸度が湿熱試験前の破断伸度の20%以上40%未満の場合:B
湿熱試験後の破断伸度が湿熱試験前の破断伸度の10%以上20%未満の場合:C
湿熱試験後の破断伸度が湿熱試験前の破断伸度の10%未満の場合:D
耐湿熱性はA〜Cが良好であり、その中でもAが最も優れている。
(7)耐紫外線性(紫外線処理試験時の色調変化)
(7−1)色調(b値)測定
JIS−Z−8722(2000)に基づき、分光式色差計SE−2000(日本電色工業(株)製、光源 ハロゲンランプ 12V4A、0°〜−45°後分光方式)を用いて反射法により積層体のP1層側の面の色調(b値)をn=3で測定した。
(7−2)色調変化Δb
積層体のP1層側の面に試験光が当たるようにアイスーパー紫外線テスターS−W151(岩崎電気(株)製)にて、温度60℃、相対湿度60%、照度100mW/cm(光源:メタルハライドランプ、波長範囲:295〜450nm、ピーク波長:365nm)の条件下で48時間照射した前後の色調(b値)を前記(8−1)項に従い測定し、次の(α)式より紫外線照射後の色調変化(Δb)を算出した。
紫外線照射後の色調変化(Δb)=b1―b0 (α)
b0:紫外線照射前の色調(b値)
b1:紫外線照射後の色調(b値)
得られた紫外線処理試験前後の色調変化(Δb)から、耐紫外線性を以下のように判定した。
紫外線照射処理試験前後の色調変化(Δb)が1未満の場合:A
紫外線照射処理試験前後の色調変化(Δb)が1以上10未満の場合:B
紫外線照射処理試験前後の色調変化(Δb)が10以上20未満の場合:C
紫外線照射処理試験前後の色調変化(Δb)が20以上の場合:D
耐紫外線性はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
(8)太陽電池特性
(8−1)太陽電池の作製
Qcells社製の太陽電池セルQ6LPT−G2の表面、裏面の銀電極部分にHOZAN社製フラックスH722をディスペンサーで塗布し、表面、裏面の銀電極の上に155mmの長さに切断した配線材として日立電線社製銅箔SSA―SPS0.2×1.5(20)を表面側のセルの片端から10mm離れたところが配線材の端に、裏面側は表面側と対称になるように乗せ、半田ごてを用いてセル裏面側から半田ごてを接触させて表面、裏面を同時に半田溶着し1セルストリングスを作製した。
作製した1セルストリングスのセルから飛び出している該配線材の長手方向と180mmに切断した取り出し電極として日立電線社製銅箔A―SPS0.23×6.0の長手方向が垂直になるよう置き、該配線材と取り出し電極が重なる部分に該フラックスを塗布して半田溶着を行い、取り出し電極付きストリングスを作製した。
次に、190mm×190mmの旭硝子社製太陽電池用3.2mm厚白板熱処理ガラス、190mm×190mmの500μm厚のEVAシート(酢酸ビニル共重合比率:28mol%)、作製した取り出し電極付きストリングス、190mm×190mmの500μm厚のEVAシート、190mm×190mmに切り出した積層体をP2層側の面がEVA側に位置するように順に重ねて、該ガラスを真空ラミネーターの熱盤と接触するようにセットし、熱盤温度145℃、真空引き4分、プレス1分、保持時間10分の条件で真空ラミネートを行った。このとき、取り出し電極付きストリングスはガラス面がセル表面側になるようにセットした。
(8−2)太陽電池の耐久性
前記(8−1)項で作製した太陽電池を10個準備し、85℃85%RHに調整した恒温恒湿槽(エスペック(株)製)で4000hr処理した後、ラミネートした太陽電池裏面保護用シートに剥離が発生していないかを目視で確認を行った。太陽電池の耐久性は、10個の太陽電池のうち、目視でシートが剥離しているものが何個あるかについて確認し、以下のように判定を行った。
全ての太陽電池で剥離が発生していない場合:A
作製した太陽電池のうち1個以上4個未満の太陽電池からシートが剥離していた場合:B作製した太陽電池のうち4個以上8個未満の太陽電池からシートが剥離していた場合:C作製した太陽電池のうち8個以上シートが太陽電池から剥離していた場合:D
太陽電池の耐久性はA〜Cが良好であり、その中でもAが最も優れている。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
(P1層に用いるポリエステル系樹脂原料)
1.PET原料A(PET−A)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール57.5質量部、酢酸マグネシウム2水和物0.03質量部、三酸化アンチモン0 .03質量部を150℃、窒素雰囲気下で溶融した。この溶融物を撹拌しながら230℃まで3時間かけて昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を終了した。エステル交換反応終了後、リン酸0.005質量部をエチレングリコール0.5質量部に溶解したエチレングリコール溶液(pH5.0)を添加した。このときのポリエステル組成物の固有粘度は0.2未満であった。この後、重合反応を最終到達温度285℃、真空度0.1Torrで行い、固有粘度0.52、末端カルボキシル基量が15当量/トンのポリエチレンテレフタレートを得た。得られたポリエチレンテレフタレートを160℃で6時間乾燥、結晶化させた。
その後、220℃、真空度0.3Torr、8時間の固相重合を行い、固有粘度0.80、末端カルボキシル基量が10当量/トンのポリエチレンテレフタレート(PET−A)を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物のガラス転移温度は82℃、融点は255℃であった。
2.PET原料B(PET−B)
重合反応の最終到達温度290℃とした以外はPET原料Aと同様に行い、固有粘度0.79、末端カルボキシル基量が15当量/トンのポリエチレンテレフタレート(PET−B)を得た。
3.PET原料C(PET−C)
固相重合の時間を10時間とした以外はPET原料Aと同様に行い、固有粘度0.85、末端カルボキシル基量が13当量/トンのポリエチレンテレフタレート(PET−C)を得た。
4.PET原料D(PET−D)
重合反応の最終到達温度295℃とした以外はPET原料Aと同様に行い、固有粘度0.77、末端カルボキシル基量が20当量/トンのポリエチレンテレフタレート(PET−D)を得た。
5.PET原料E(PET−E)
反応触媒として酢酸マグネシウムの代わりに酢酸マンガン4水和物0.03質量部、エステル交換反応終了後、リン酸0.005質量部とリン酸二水素ナトリウム2水和物0.021質量部を添加した以外はPET原料Aと同様に行い、固有粘度0.80、末端カルボキシル基量が10当量/トンのポリエチレンテレフタレート(PET−E)を得た。
6.PET原料F(PET−F)
重合反応の最終到達温度300℃とした以外はPET原料Aと同様に行い、固有粘度0.75、末端カルボキシル基量が28当量/トンのポリエチレンテレフタレート(PET−F)を得た。
7.PET原料Aベース酸化チタンマスター
上記1.項によって得られたPET樹脂A(PET−A)100質量部と、平均粒子径210nmのルチル型酸化チタン粒子100質量部を、ベントした290℃の押出機内で溶融混練し、酸化チタン原料(PETa−TiO)を作製した。
8.PET原料Bベース酸化チタンマスター
上記2.項によって得られたPET樹脂B(PET−B)100質量部と、平均粒子径210nmのルチル型酸化チタン粒子100質量部を、ベントした290℃の押出機内で溶融混練し、酸化チタン原料(PETb−TiO)を作製した。
9.PET原料Cベース酸化チタンマスター
上記2.項によって得られたPET樹脂C(PET−C)100質量部と、平均粒子径210nmのルチル型酸化チタン粒子100質量部を、ベントした290℃の押出機内で溶融混練し、酸化チタン原料(PETc−TiO)を作製した。
10.PET原料Cベース末端封止剤マスター
上記3.項によって得られたPET樹脂C(PET−C)100質量部と、ラインケミー社製末端封止剤スタバクゾールP−400を10質量部とを、ベントした290℃の押出機内で溶融混練し、末端封止剤原料(PETc−CDI)を作製した。
11.PET原料Aベースカーボン粒子マスター
上記1.項によって得られたPET樹脂A(PET−A)100質量部と、平均粒子径40nmのカーボン粒子25質量部を、ベントした290℃の押出機内で溶融混練し、カーボン粒子原料(PETa−CB)を作製した。
12.PET原料Dベース酸化チタンマスター
上記4.項によって得られたPET樹脂D(PET−D)100質量部と、平均粒子径210nmのルチル型酸化チタン粒子100質量部を、ベントした290℃の押出機内で溶融混練し、酸化チタン原料(PETd−TiO)を作製した。
13.PET原料Eベース酸化チタンマスター
上記4.項によって得られたPET樹脂E(PET−E)100質量部と、平均粒子径210nmのルチル型酸化チタン粒子100質量部を、ベントした290℃の押出機内で溶融混練し、酸化チタン原料(PETe−TiO)を作製した。
(P2層に用いる樹脂成分)
1.ポリエステル(A)
テレフタル酸50質量部、イソフタル酸50質量部、エチレングリコール50質量部、ネオペンチルグリコール30質量部を重合触媒である三酸化アンチモン0.3質量部と酢酸亜鉛0.3質量部とともに窒素パージした反応器に仕込み、水を除去しながら常圧下で190〜220℃で12時間重合反応を行い、ポリエステルグリコールを得た。次に、得られたポリエステルグリコールに5−ナトリウムスルホイソフタル酸を5質量部、溶媒としてキシレンを反応器に仕込み、0.2mmHgの減圧下、260℃にてキシレンを留去しつつ、3時間重合させポリエステル樹脂成分を得た。このポリエステル樹脂成分にアンモニア水およびブチルセロソルブを含む水に溶解させポリエステル(A)を含む塗液得た。
2.アクリル変性ポリエステル(A)
メタクリル酸メチル40質量部、メタクリルアミド10質量部のアクリル樹脂成分合計50質量部を、1.の項で得られたポリエステル(A)を含む水分散体中にアクリル樹脂成分/ポリエステル樹脂成分=50/50の質量比になるように添加した。さらに、重合開始剤として過酸化ベンゾイルを5質量部添加し、窒素パージした反応器の中で70〜80℃で3時間重合反応を行い、アクリル変性ポリエステル(A)を含む塗液得た。
3.アクリル変性ポリエステル(B)
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル40部、メタクリル酸グリシジル10部のアクリル樹脂成分合計50質量部を、1.の項で得られたポリエステル(A)を含む水分散体中にアクリル樹脂成分/ポリエステル樹脂成分=50/50の質量比になるように添加した。さらに、重合開始剤として2,2′−アゾビス−(アミジノプロパン)2塩酸塩0.1部添加し、窒素パージした反応器の中で70〜80℃で3時間重合反応を行い、アクリル変性ポリエステル(B)を含む塗液得た。
4.ウレタン(A)
還流冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌機を備えた4つ口フラスコ中に、ポリイソシアネート化合物としてイソホロンジイソシアネートを70質量部、ポリオール化合物としてビスフェノールAのエチレンオキサイド付加ジオールを15質量部、ジエチレングリコールを15質量部、溶媒として、アセトニトリル60質量部、N−メチルピロリドン30質量部とを仕込んだ。次に窒素雰囲気下で、反応液温度を75〜80℃に調整して、反応触媒としてオクチル酸第1錫を0.06質量部加え、7時間反応させた。次いで、これを30℃まで冷却し、イソシアネート基末端ポリエーテルウレタン樹脂を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水を添加し25℃に調整して、2000rpmで攪拌混合しながら、イソシアネート基末端ポリエーテルウレタン樹脂を添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトニトリルおよび水の一部を除去することにより、ポリエーテルウレタン樹脂からなるウレタン樹脂(A)を含む塗液を調製した。
5.ウレタン(B)
4.と同様の方法で、ポリイソシアネート化合物としてトルエンジイソシアネート70質量部と、ポリオール化合物として1,6−ヘキサンジオール30質量部、ネオペンチルグリコール10質量部、セバシン酸60質量部とテトラブチルチタネート0.00001部を仕込み、窒素気流下、220℃で24時間反応させて得られたポリエステルポリオール28質量部、鎖伸長剤として1,4−ブタンジオール2質量部を反応させて得られたポリエステルウレタン樹脂からなるウレタン樹脂(B)を含む塗液を調製した。
6.ウレタン(C)
DIC株式会社製ポリカーボネートウレタン樹脂塗液ハイドランWLS−213を用いた。
7.メラミン
株式会社三和ケミカル製メラミン樹脂塗液ニカラックMW12LFを用いた。
8.オキサゾリン
株式会社日本触媒製オキサゾリン樹脂塗液エポクロスWS−500を用いた。
(P2層を形成する塗剤組成物)
純水を希釈溶剤として塗剤組成物中の全体の固形分濃度が17質量%となるようにし、P2層を形成する各塗剤組成物の成分を表に記載の固形分重量部となるように、前項に記載の方法で作製したP2層の樹脂成分を混合した後、互応化学工業株式会社製界面活性剤プラスコートRY−2を、個々の塗剤重量に対して0.06質量%の割合となるように配合し、P2層を形成する塗剤組成物を調製した。また得られた塗剤組成物は全て28℃の環境下で保管し、調製後2日間以内にP1層への塗布を行い使用した。
(実施例1)
180℃で2時間真空乾燥したPET原料A(PET−A)とPET原料Aベース酸化チタンマスター(PETa−TiO)を、粒子量が表の濃度となるように調合し280℃の押出機内で溶融混練し、Tダイ口金に導入した。次いで、Tダイ口金よりシート状に溶融押出して表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて、未延伸シートを得た。
続いて、該未延伸シートを80℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、88℃の温度に加熱したロールと25℃の温度に調整したロール間で3倍の速度差をつけることで長手方向(縦方向)に3倍に延伸した後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸シートを得た。
次いで、一軸延伸したシートにコロナ処理を施した後、前項に従い、表に記載の重量比となるように調製したP2層を形成する塗剤組成物を#8のメタリングバーにて塗布した。更に、得られた一軸延伸シートの両端をクリップで把持しながら、テンター内の80℃の温度に設定した予熱ゾーンに導き、引き続き、連続的に90℃に保たれた加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に3.5倍に延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンに導き、220℃で20秒間の熱処理を施し、さらに220℃で幅方向に4%の弛緩処理を行った。次いで均一に徐冷を行い、全体厚みが125μmの積層体を製膜した。
得られた積層体からP1層を分離してポリマー特性を測定したところ表の通り、固有粘度IVは0.68dl/g、末端カルボキシル基量は15当量/トンであり、P1層にはMg元素が33ppm、Sb元素が241ppm含まれていた。またP2層の特性評価を行ったところ表面エネルギーは極性力が7.9mN/m、水素結合力が3.8mN/mであり、厚みは0.6μmであった。
得られた積層体について、太陽電池用封止材との密着性評価を行った。その結果、表に示す通り、非常に優れた初期密着性と密着保持性を有する積層体であることがわかった。また得られた積層体は太陽電池裏面保護用シートとして優れた耐湿熱性と、良好な耐紫外線性を有し、搭載した太陽電池は優れた耐久性を有することがわかった。
(実施例2〜5)
表に記載の通り、P1層のポリエステル樹脂成分を変更した以外は、実施例1と同様に積層体を得た。この際、実施例5のみ押出時に押出機のトルクが高くなったが問題ない範囲であった。また得られた積層体のP1層のポリマー特性、及びP2層の特性は表の通りであった。
得られた積層体の太陽電池用封止材との密着性は表の通り、実施例1に比べて初期密着性はP1層の末端カルボキシル基量増加に伴い低下したが優れた範囲であった。また密着保持性については実施例1に比べてP1層の末端カルボキシル基量変化に伴い低下するが良好な範囲であった。また太陽電池裏面保護用シートとしての耐湿熱性はP1層の末端カルボキシル基量増加に伴い低下したが良好な範囲であり、太陽電池の耐久性についてもP1層の末端カルボキシル基量増加に伴い低下したが良好な範囲であった。
(実施例6〜20)
表に記載の通り、P2層に含まれる樹脂成分の含有量を変更した以外は、実施例1と同様に積層体を得た。得られた積層体のP1層のポリマー特性、及びP2層の特性は表の通りであり、P2層の表面エネルギーはP2層に含まれる樹脂成分、およびその含有量によって変化した。
得られた積層体の太陽電池用封止材との密着性は、表の通り、実施例1に比べてP2層の表面エネルギー変化に伴い低下したが、初期密着性及び密着保持性は良好な範囲であった。また太陽電池の耐久性についてもP2層の表面エネルギー変化に伴い低下したが良好な範囲であった。
(実施例21、22)
表に記載の通り、塗布時のメタバーを変更し、P2層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様に積層体を得た。この際、実施例23は積層体のP2表面に塗布ムラが確認されたが問題ない範囲であった。得られた積層体のP1層のポリマー特性、及びP2層の特性は表の通りであり、P2層の表面エネルギーはP2層の厚みが薄くなると変化した。
得られた積層体の太陽電池用封止材との密着性は表の通り、実施例1に比べてP2層の厚みの低下に伴い低下したが、初期密着性及び密着保持性は良好な範囲であった。また太陽電池の耐久性についてもP2層の表面エネルギー変化に伴い低下したが良好な範囲であった。
(実施例23〜25)
表に記載の通り、P1層の構成及びポリエステル樹脂成分を変更した以外は、実施例1と同様に積層体を得た。実施例25についてはP1層にPET原料A(PET−A)とPET原料Aベース酸化チタンマスター(PETa−TiO)をP11層及びP12層を別々に表に記載の粒子量となるように混合しておいた原料を2台の押出機でそれぞれ別に溶融混練し、2台の押出機からフィードブロックを介してTダイ口金に導入してP11/P12の積層シートを得て、実施例1と同様にシートを得た。またこの際、P11/P12の積層比が5/1となるように2台の押出機のスクリュー回転数を調整し、P2層はP11層側に塗布を行い作製した。得られた積層体のP1層の特性、及びP2層の特性は表の通りであり、実施例23にはP1層にMn元素69ppm、Na元素29ppmが含まれることが分かった。
得られた積層体の太陽電池用封止材との密着性は、表の通り、非常に優れた初期密着性と密着保持性を有する積層体であることがわかった。中でも実施例23は特に優れた密着保持性を有する積層体であり、太陽電池裏面保護用シートとしての耐湿熱性についても実施例1に比べて非常に優れること、実施例24、25は太陽電池裏面保護用シートとしての耐紫外線性が実施例1に比べて優れることがわかった。また太陽電池の耐久性については実施例1と同様に非常に優れることがわかった。
(比較例1)
表に記載の通り、P1層のポリエステル樹脂成分を変更した以外は、実施例1と同様に積層体を得た。得られた積層体からP1層を分離してポリマー特性を測定したところ、表の通り、末端カルボキシル基量は35当量/トンであった。
得られた積層体の太陽電池用封止材との密着性は表の通り、非常に優れた初期密着性を有する反面、密着保持性に劣る積層体であることがわかった。また太陽電池の耐久性についても同様に劣ることがわかった。
(比較例2〜9)
表に記載の通り、P2層に含まれる樹脂成分の含有量を変更した以外は、実施例1と同様に積層体を得た。得られた積層体のP2層の特性は表の通り、前記の要件(1)極性力γpが4.8mN/m以上、21.0mN/m以下、及び/または(2)極性力γpと水素結合力γhの差γp−γhが1.0mN/m以上、20.0mN/m以下から外れることがわかった。
得られた積層体の太陽電池用封止材との密着性は表の通り、P2層の表面エネルギー変化に伴い低下し、初期密着性および/または密着保持性に劣る積層体であることがわかった。また太陽電池の耐久性についても同様に劣ることがわかった。
Figure 2016052133
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本発明の積層体は太陽電池セルの封止材であるEVAとの密着性、および密着保持性に優れ、太陽電池裏面保護用シートのみならず、工程シートや粘着テープなどの工業材料用途や押出ラミネートや熱ラミネートなどの易接着基材用途として好適に使用することができる。また、かかる積層体を太陽電池に搭載することで、耐久性に優れた太陽電池を提供することができる。
1:太陽電池裏面保護用シート
2:封止材
3:発電素子
4:透明基板
5:太陽電池バックシートの封止材2側の面
6:太陽電池バックシートの封止材2と反対側の面

Claims (10)

  1. 末端カルボキシル基量が25当量/トン以下であるポリエステル樹脂を主成分とする基材層(P1層)と易接着層(P2層)を有し、前記のP2層が次の要件(1)および(2)を満たすことを特徴とする積層体。
    (1)極性力γpが4.8mN/m以上、21.0mN/m以下
    (2)極性力γpと水素結合力γhの差γp−γhが1.0mN/m以上、20.0mN/m以下
  2. P2層の水素結合力γhが1.0mN/m以上、4.5mN/m以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. P2層がウレタン樹脂成分、メラミン樹脂成分、オキサゾリン樹脂成分の3成分を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  4. P2層に含まれるウレタン樹脂成分が脂環構造を有することを特徴とする請求項3に記載の積層体。
  5. P2層がさらにポリエステル樹脂成分を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の積層体。
  6. 前記P2層に含まれるポリエステル樹脂成分がアクリル変性されたポリエステル樹脂成分であることを特徴とする請求項5に記載の積層体。
  7. P2層が、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂を含む塗剤組成物から形成される層であり、前記塗剤組成物中、ウレタン樹脂が固形分重量で10質量%以上40質量%以下含有しており、メラミン樹脂が固形分重量で1質量%以上20質量%以下含有しており、オキサゾリン樹脂が固形分重量で1質量%以上25%質量含有することを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の積層体。
  8. P1層が、Mn元素およびNa元素を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の積層体を用いた太陽電池裏面保護用シート。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の積層体を搭載した太陽電池。
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