JP2016213366A - 太陽電池裏面保護用シート - Google Patents

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敏弘 千代
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規行 巽
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卓司 東大路
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Abstract

【課題】長期間の紫外線曝露後であっても色調変化、光沢度変化による外観変化が少なく、尚且つ、製造工程におけるエタノール曝露や傷付きへの耐久性にも優れた太陽電池裏面保護用シートを提供すること。【解決手段】ポリエステル樹脂を主たる構成成分とする基材層(P1層)と、前記P1層の少なくとも片側に隣接する樹脂組成物を用いてなる耐紫外線性層(P2層)を有する積層フィルムであって、少なくとも片側の最表層がP2層であり、次の(1)、(2)の要件を満たすことを特徴とする太陽電池裏面保護用シート。(1)P2層を構成する樹脂組成物が紫外線吸収フィラーを含み、当該紫外線吸収フィラーの平均粒子径が0.01μm以上0.1μm以下であること。(2)P2層を構成する樹脂組成物に含有する紫外線吸収フィラーの含有量が、P2層を構成する樹脂組成物全体に対して21重量%以上50重量%以下である。【選択図】図1

Description

本技術は、屋外環境での長期間暴露においても外観変化が少なく、エタノール暴露や傷付きへの耐久性に優れた太陽光電池裏面保護用シートに関する。
再生可能エネルギーの代表格である太陽電池は、ここ数年の間に一般家庭レベルでの屋根置き型太陽電池の急速な普及により大幅な市場成長を遂げた。加えて、現在においてはフィールド設置型太陽電池であるメガソーラー建設が企業・行政を主体に進行中であり、今後も継続した太陽電池の導入量拡大、市場拡大が見込める。現在主流であるシリコン型太陽電池は、単結晶シリコンや多結晶シリコンなどの無機半導体からなる発電素子をエチレン−酢酸ビニル共重合体(以降EVAと称することがある)などの透明な封止材を用いて固定し、その受光面側を透明ガラス基板、裏面側バックシート(太陽電池裏面保護用シート)と呼ばれる樹脂シートでそれぞれ挟むことで構成されている。
太陽電池は紫外線を含む太陽光が多量に降り注ぐ屋外環境に設置され、自然の気候変化に伴う温湿度変化や雨風といったストレスに長期間晒される。これらストレスから発電素子を保護するため、太陽電池裏面保護用シートとして安価で耐候性・電気絶縁性に優れ高強度な二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(以降PETと称することがある)が現在多く用いられている。特に太陽電池の意匠性および光学特性の観点から、近年は白色ポリエステルフィルムが多用されている。また、太陽電池システムの省スペース化、軽量化の観点から太陽電池裏面保護用シートの薄型化が望まれている。
PETなどのポリエステル樹脂の問題点としては、長期間の紫外線暴露によりポリエステル樹脂が光分解することにより太陽電池裏面保護用シート表面(太陽電池裏面側表層)の色調が変化し外観不良を起こすことが挙げることができる。このような紫外線によるポリエステル樹脂の光分解は進行すると太陽電池裏面保護用シートの強度低下を引き起こし、最悪の場合太陽電池裏面保護用シートに亀裂が走り電気絶縁性が崩壊することに繋がる。
これらの解決策として、ポリエステル樹脂に当たる紫外線を減らすため、紫外線吸収剤として無機系の紫外線吸収フィラーや有機系の紫外線吸収分子を添加した太陽電池裏面保護用シート(特許文献1、2)や、紫外線吸収剤をフッ素樹脂やアクリル樹脂などに添加した層をポリエステル樹脂層上に積層させた太陽電池裏面保護用シート(特許文献3、4)などが公開されている。
特許第5102392号公報 特開2009−188105号公報 特開2014−195029号公報 特開2010−92958号公報
しかしながら、特許文献1、2のようなポリエステル樹脂中に紫外線吸収剤を添加した構成では黄変抑制は適うものの、ポリエステル樹脂層の光分解を完全に防ぐことはできない。このため特許文献1の場合、ポリエステル樹脂が光分解することにより、ポリエステル樹脂に添加した紫外線吸収フィラーが太陽電池裏面保護用シート表面に露出することで光沢度が大きく変化し外観不良へとつながる。また、特許文献2の場合も、有機系の紫外線吸収分子の分布状態に応じて太陽電池裏面保護用シート表面のポリエステル樹脂分解度合いに差が生じ、表面が荒れることで光沢度の変化が大きくなる。
また特許文献3、4の場合、色調、光沢度変化による外観変化を押えることができるものの、複数種の層を一度製膜したポリエステル樹脂シートの上に積層しており、歩留りの悪化が生じ、また、安価な太陽電池裏面保護用シートの提供は困難である。加えて薄膜化の観点において有効な手法とは言えない。
上記特性に加え太陽電池裏面保護用シートは太陽電池を製造する上で、エタノールと傷つきへの耐久性を顧客より求められることが多い。エタノールは太陽電池裏面保護用シートと発電素子を内包する封止材とを張り合わせる工程においてはみ出た封止材をふき取る際によく用いられる溶剤であり、エタノール曝露により太陽電池裏面保護シート表層が融解することは製造される太陽電池の外観不良や特性の低下・消失に繋がるためエタノール耐久性が必要である。また傷つき耐久性に関しても同様で、太陽電池製造時に太陽電池裏面保護シート表層が生産機械との擦れ傷つくことは、太陽電池の著しい生産性の低下に繋がるため傷つき耐久性が求められる。
これらの課題を鑑みて、本発明では長期間の紫外線曝露後であっても色調変化、光沢度変化による外観変化が少なく、尚且つ、製造工程におけるエタノール曝露や傷付きへの耐久性にも優れた太陽電池裏面保護用シートを生産性良く提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は以下の構成をとる。すなわち
1.ポリエステル樹脂を主たる構成成分とする基材層(P1層)と、前記P1層の少なくとも片側に隣接する樹脂組成物を用いてなる耐紫外線性層(P2層)を有する積層フィルムであって、少なくとも片側の最表層がP2層であり、次の(1)、(2)の要件を満たすことを特徴とする太陽電池裏面保護用シート。
(1)P2層を構成する樹脂組成物が紫外線吸収フィラーを含み、その平均粒子径が0.01μm以上0.1μm以下であること。
(2)P2層を構成する樹脂組成物に含有する紫外線吸収フィラーの含有量が、P2層を構成する樹脂組成物全体に対して21重量%以上50重量%以下である。
2.前記P2層を構成する樹脂組成物が、アクリル樹脂成分を含むことを特徴とする1.に記載の太陽電池裏面保護用シート。
3.前記P2層を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)が50℃以上90℃以下であることを特徴とする1.または2.に記載の太陽電池裏面保護シート。
4.メタルハライドランプを用いた紫外線処理試験を行ったとき、試験前の前記P2層を最表層に有する側から測定した60度光沢度の値をG0、試験後のP2層を最表層に有する側から測定した60度光沢度の値をG1としたとき、下記式で求められるΔGが15以下である1.〜3.のいずれかに記載の太陽電池裏面シート。
ΔG=G1−G0
5.前記P2層を構成する樹脂組成物に含まれる紫外線吸収フィラーが酸化チタンであることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の太陽電池裏面保護シート。
6.前記P2層を構成する樹脂組成物が、メラミン樹脂成分を含むことを特徴とする1.〜5.のいずれかに記載の太陽電池裏面保護シート。
7.前記P2層の厚みが0.1μm以上1.0μm以下であることを特徴とする1.〜6.のいずれかに記載の太陽電池裏面保護シート。
本発明によれば、高い紫外線吸収能を有する耐紫外線性層にてポリエステル樹脂層を保護することで、長期間の屋外曝露を経ても外観変化が起こらない太陽電池裏面保護用シートとして好適に使用でき、さらに該シートを用いることによって長期間の設置を経ても美観を損なわない太陽電池を提供することができる。
本発明の太陽電池裏面保護用シートを用いた太陽電池の構成の一例を模式的に示す断面図である。
本発明の太陽電池裏面保護用シートは、ポリエステル樹脂を主たる構成成分とする基材層(P1層)と、前記P1層の少なくとも片側に隣接する樹脂組成物を用いてなる耐紫外線性層(P2層)を有する積層フィルムであって、少なくとも片側の最表層がP2層であり、次の(1)、(2)の要件を満たすことを特徴とするものである。
(1)P2層を構成する樹脂組成物が紫外線吸収フィラーを含み、その平均粒子径が0.01μm以上0.1μm以下であること。
(2)P2層を構成する樹脂組成物に含有する紫外線吸収フィラーの含有量が、P2層を構成する樹脂組成物全体に対して21重量%以上50重量%以下である。
(基材層(P1層))
まず、本発明のP1層は、ポリエステル樹脂を主たる構成成分とする。ここで、ポリエステル樹脂を主たる構成成分とするとは、該P1層を構成する樹脂に対してポリエステル樹脂が50質量%を超えて含有されていることをいう。P1層を構成するポリエステル樹脂としては、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸などが挙げられる。また、本発明に用いられるポリエステル樹脂は、1)ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体(以下、「ジカルボン酸成分」と総称する)とジオール成分の重縮合、2)一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体と水酸基を有する化合物の重縮合、および1)2)の組み合わせにより得ることができる。また、ポリエステル樹脂の重合は常法により行うことができる。
1)において、ジカルボン酸成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸などの脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸などの芳香族ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体などが代表例としてあげられる。また、これらは単独で用いても、複数種類用いても構わない。
また、上述のジカルボン酸成分の少なくとも一方のカルボキシ末端に、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類およびその誘導体や該オキシ酸類が複数個連なったものなどを縮合させたジカルボキシ化合物も用いることができる。
次に、ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールなどの脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドなどの脂環式ジオール、ビスフェノールA、1,3−ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの芳香族ジオールが代表例としてあげられる。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。また、上述のジオール成分の少なくとも一方のヒドロキシ末端にジオール類を縮合させて形成されるジヒドロキシ化合物も用いることができる。
2)において、一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体と水酸基を有する化合物の例としては、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸、およびその誘導体、オキシ酸類のオリゴマー、ジカルボン酸の一方のカルボキシル基にオキシ酸が縮合したものなどがあげられる。
ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分およびジオール成分は、上述した中から1種類ずつを選択して共重合させても良いし、それぞれ複数種を選択して共重合させても良い。
また、P1層を構成するポリエステル樹脂は、単一種でも良いし、2種以上のポリエステル樹脂をブレンドしたものでも良い。
本発明のP1層を構成する樹脂は、前述のとおりポリエステル樹脂を主たる構成成分とするが、当該ポリエステル樹脂の固有粘度(IV)は0.65dl/g以上0.80dl/g以下であることが好ましい。また、末端カルボキシル基量は25当量/トン以下であることが好ましい。また、該ポリエステル樹脂はポリエチレンテレフタレート(PET)を主たる構成成分とすることが好ましい。ここで、主たる構成成分とは、該ポリエステル樹脂に対して50質量%を超えて含有されていることをいう。P1層を構成する樹脂が、PETを主たる構成成分とする場合、該PETの固有粘度(IV)は0.65dl/g以上が好ましく、より好ましくは0.69dl/g以上である。固有粘度(IV)が0.65dl/g未満の場合、シートの耐湿熱性が悪くなる場合がある。また、固有粘度(IV)が0.80dl/gを超える場合、P1層を製造する際に樹脂の押出性が悪く、シート成型が困難となる場合がある。さらに、固有粘度(IV)が上記範囲を満たしていても、末端カルボキシル基量が25当量/トンを超える場合、P2層との密着性は良くなるが、シートの耐湿熱性が悪くなる場合がある。よって、P1層を構成する樹脂がPETを主たる構成成分とする場合、固有粘度、末端カルボキシル基量を上記範囲とすることによって、成型性、長期耐久性に非常に優れた太陽電池裏面保護用シートとすることが出来る。
本発明の太陽電池裏面保護用シートにおいて、P1層を構成するポリエステル樹脂の数平均分子量は8000〜40000が好ましく、より好ましくは数平均分子量が9000〜30000、更に好ましくは10000〜20000である。ここでいうP1層を構成するポリエステル樹脂の数平均分子量とは、本発明の太陽電池裏面保護用シートからP2層を分離し、ヘキサフルオロイソプロノール(HEIP)に溶解させ、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)で測定、示差屈折率計で検出した値から、標準試料として分子量既知のポリエチレンテレフタレートとジメチルテレフタレートを用いて得られた値である。P1層を構成するポリエステル樹脂の数平均分子量が8000に満たない場合、耐湿熱性や耐熱性などのシートの長期耐久性が落ちる可能性があるため好ましくない。また、40000を超えると、重合が困難であるか重合できたとしても押出機による樹脂の押出が困難となり、製膜が困難となる場合がある。また、本発明の太陽電池裏面保護用シートにおいて、P1層は一軸、もしくは二軸に配向していることが好ましい。P1層が、一軸、もしくは二軸に配向していると、配向結晶化により耐湿熱性や耐熱性などのシートの長期耐久性を向上させることができる。
本発明のP1層には、耐紫外線性、光反射性、光隠蔽性、意匠性、視認性などの特性を付与する目的で白色顔料を含有させることが好ましい。耐紫外線性と光反射性の両方を向上させるためには、P1層を構成する樹脂に対して白色顔料を1質量%以上30質量%以下の範囲で含有させることが好ましい。白色顔料の含有量が1質量%未満では、耐紫外線性や光反射性が不足すると共にフィルムがブロッキングする場合があり、30質量%より多いとP2層との密着性が悪化すると共に製膜が困難になる場合がある。より好ましい範囲としては2質量%以上25質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以上20質量%以下である。白色顔料としては、例えば、シリカ、リン酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、マイカ、アルミナおよびジルコニア、アルミノケイ酸塩粒子などが好ましく挙げられる。紫外線吸収能、光反射性を両立する観点からは、ルチル型酸化チタンを用いるのがさらに好ましい。
ここでP1層を構成するポリエステル樹脂に前記の白色顔料を含有させる方法としては、ポリエステル樹脂と粒子をベント式二軸混練押出機やタンデム型押出機を用いて、溶融混練する方法が好ましく用いられる。ここで、ポリエステル樹脂に粒子を含有させる際にポリエステル樹脂が熱負荷を受けると、ポリエステル樹脂は少なからず劣化する。そのため、P1層を構成するポリエステル樹脂に含まれる粒子量よりも粒子含有量が多い高濃度マスターペレットを作製し、それをポリエステル樹脂と混合して希釈し、所望の粒子含有量としたP1層を作製するのが、耐湿熱性の観点から好ましい。
更に耐紫外線性と光隠蔽性、意匠性を向上させるためには、P1層を構成する樹脂にフラーレン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素系材料からなる粒子(以下、カーボン粒子)を0.1質量%以上5質量%以下の範囲で含有するのが好ましい。これによってカーボン粒子による紫外線吸収能と光隠蔽性を活かして、長期に亘って太陽電池裏面保護用シートの劣化による着色を低減するという効果を発揮することができる。
本発明のP1層は、積層構造を有しても構わない。例えば、耐湿熱性に優れたP11層と、紫外線吸収剤や紫外線吸収能を持つ酸化チタン粒子を高濃度で含有する層P12層との積層構造などが好ましく用いられる。このようなP1層とする場合には、本発明の太陽電池裏面保護用シートの構成はP11層/P12層/P2層となることが、耐湿熱性と耐紫外線性との両立の観点から好ましい。この場合、P11層、P12層に用いる樹脂、白色顔料、粒子は、上記例示したものを適宜、好適に用いることができる。
(P2層(以降、耐紫外線性層と称する場合がある))
本発明の太陽電池裏面保護用シートは、P1層の少なくとも片側に隣接する樹脂組成物を用いてなる耐紫外線性層(P2層)を有する積層フィルムであって、少なくとも片側の最表層がP2層であることが必要である。なお、本発明において耐紫外線層とは、後述する紫外線吸収フィラーを21重量%以上50重量%以下含有する層を表す。
また、本発明の太陽電池裏面保護用シートは、P2層を構成する樹脂組成物が下記項に記載された紫外線吸収フィラーを含み、その平均粒子径が0.01μm以上0.1μm以下であり、かつ、紫外線吸収フィラーの含有量がP2層を構成する樹脂組成物全体に対して21重量%以上50重量%以下であることが必要である。
(紫外線吸収フィラー)
本発明において、紫外線吸収フィラーとは、ポリエステル樹脂の光劣化反応を誘起する300〜400nmの波長領域に吸収を持つフィラーのことを指す。フィラー粒子の構成としては上記特性を満たせば、有機系、無機系フィラーの双方を限定することなく使用することが可能である。
無機系紫外線吸収フィラーの例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化ビスマスなどの金属酸化物および、それらの何れかに鉄などの遷移元素やユーロピウム、エルビウム、イッテルビウムなどのランタノイドをドープしたものが例示できる。無機系紫外線吸収フィラーの表面には、P2層を構成する樹脂組成物内でのフィラーの分散性向上やフィラーの色味調整を目的として表面修飾を施してもよい。表面修飾としては酸化アルミ、二酸化ケイ素などの金属酸化物をフィラー表面に被膜する処理や、有機物化合物を共有結合、非共有結合のいずれかを介してフィラー表面に定着させる処理が挙げられる。
有機系紫外線吸収フィラーとしては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、蓚酸アニリド、シアノアクリレート、トリアジンなどの誘導体からなる有機系紫外線吸収剤を含有もしくは共重合したシリコーン樹脂、アクリル樹脂などの樹脂組成物の粒子状分散体が例示できるこの樹脂組成物の組成に関しては有機系高分子、無機系高分子を制限することなく用いることができる。
紫外線吸収フィラーの形状は特に限定されることは無く、球状、塊状、針状、平板状いかなるものでも使用することができる。
本発明の太陽電池裏面保護シートにおいて紫外線吸収フィラーの構成は特に限定はされないが、紫外線吸収効率およびフィラー自身の紫外線への耐久性の観点から無機系紫外線吸収フィラーを用いるのが好ましく、さらに吸収波長域の広さ、フィラー自身の色味の観点から酸化チタンであることが好ましく、中でもルチル型酸化チタンを用いるのが特に好ましい。
ここでいう紫外線吸収フィラーが含まれることは、以下の手法により確認できる。すなわち太陽電池裏面保護シートをミクロトームにて表面に対して垂直方向に切削した小片を作成し、その断面を電界放出型透過電子顕微鏡(TEM)観察にてフィラーの有無を確認すると共に、TEM観察時に実施するエネルギー分散型X線分光法(EDX)、電子エネルギー損失分光法(EELS)元素状態分析および、P2層を溶剤にて溶解抽出し行う誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES)によりフィラー構成元素を確認する。元素分析により無機元素が検出された場合、無機系紫外線吸収フィラーの含有が示唆されるため、得られたEELSスペクトルと市販の金属化合物のEELSスペクトルもしくは一般に公開されているEELSスペクトルデータと照会を行うことで含有されたフィラー種を同定し、紫外線吸収フィラーであるか否かを判断する。
一方、無機元素がほとんど検出されないもしくは前記の同定が困難であった場合、有機系紫外線吸収フィラーの含有が示唆されるため上記分析に加え、P2層の表面について、X線光電子分光分析装置(ESCA)、フーリエ赤外分光光度計(FT−IR)ATR法、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)、またはP2層を溶剤にて溶解抽出し、プロトン核磁気共鳴分光法(H−NMR)、カーボン核磁気共鳴分光法(13C−NMR)、フッ素核磁気共鳴分光法(19F−NMR)、ケイ素核磁気共鳴分光法(29Si−NMR)、フーリエ赤外分光光度計(FT−IR)、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)により構造を解析すると共に、紫外可視光分光光度計を用いてスペクトル測定を行い、市販の有機系紫外線吸収剤を同定することで確認を行う。この測定・評価により有機系紫外線吸収剤がフィラー内から検出された場合、P2層内に紫外線吸収フィラーが含有されるものと判断する。
(紫外線吸収フィラーの平均粒子径)
P2層に含まれる紫外線吸収フィラーの平均粒子径は、前述の電界放出型透過電子顕微鏡(TEM)観察において任意の視野における断面画像を30枚以上撮影し、そのうち任意に選び出した10枚以上の異なる画像に存在する2500個以上の任意のフィラーの円相当径を測定することで個数基準平均粒子径をとして算出した。
本発明の太陽電池裏面保護用シートのP2層に含有する紫外線吸収フィラーの平均粒子径は0.01μm以上0.1μm以下である。本発明の太陽電池裏面保護用シートにおける紫外線吸収フィラーの平均粒子径が0.01μm未満である場合、紫外線吸収フィラーの光触媒活性が高くなることで紫外線照射後にP2層が劣化しP1層との密着性が低下する。そのため、太陽電池設置時にP2層が自然に剥がれる場合がある。一方、0.1μmを超えると各紫外線吸収フィラーの受光面積が小さくなることでP2層の紫外線吸収効率が低下し太陽電池裏面保護用シートの黄変が悪化し太陽電池作成時に色調変化による外観不良が起こる。
(紫外線吸収フィラーの含有量)
P2層に含まれる紫外線吸収フィラーの含有量(質量%)は、無機系紫外線吸収フィラーである場合、2層を溶剤にて溶解抽出し行う誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES)により検出された元素量を用いて算出すると共に、P2層において熱重量測定(TGA)を窒素雰囲気下で600℃まで行い生じる灰分をP2層中におけるフィラーの含有量として確認する。有機系紫外線吸収フィラーである場合、任意の質量をもつP2層を溶剤にて溶解させ、既存の分離方法にて有機系紫外線吸収フィラーとP2層を構成する樹脂組成物を分離し、乾燥後の有機系紫外線吸収フィラーの重量を計測することでフィラーの含有量を確認する。
本発明の太陽電池裏面保護用シートのP2層に含有する紫外線吸収フィラーの量は、P2層を構成する樹脂組成物全体に対して21重量%以上50重量%以下である。本発明の太陽電池裏面保護用シートにおける紫外線吸収フィラーの含有量が21重量%未満である場合、紫外線吸収フィラーの存在比率が減ることでP2層の紫外線吸収効率が低下し太陽電池裏面保護用シートの黄変が悪化する。50重量%を超えるとP2層が脆くなりP1層との密着性が低下する。
(P2層を構成する樹脂組成物)
本発明の太陽電池裏面保護用シートにおいて、P2層を構成する樹脂組成物は特に限定されるものではないが、ポリエステル樹脂の光劣化反応を誘起する300〜400nmの紫外線波長領域に特異な吸収を持たないために色味変化や劣化反応を起こしにくい耐紫外線性樹脂を構成要素として含むことが好ましい。
耐紫外線性樹脂としては、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などを例示することができる。太陽電池裏面保護用シートを生産、廃棄時にかかる環境負荷の観点からアクリル樹脂、シリコーン樹脂が好ましい。後述のガラス転移温度の制御が幅広い温度領域において容易であることから、本発明においては耐紫外線性樹脂としてアクリル樹脂を用いるのがより好ましい。そのため、本発明のP2層を構成する樹脂組成物は、アクリル樹脂成分を含むことが好ましい。なお、本発明におけるアクリル樹脂成分とは、アクリル樹脂だけでなく、アクリル樹脂同士、または、アクリル樹脂と他樹脂(メラミン樹脂)が反応して得られる成分を含む。
本発明において好適に用いることができるアクリル樹脂としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリス酸イソブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸−ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、グリシジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、マレイン酸、イタコン酸などをモノマーとし、複数種のモノマーを共重合した樹脂のことである。このアクリル樹脂には必要応じて親水性向上や反応基導入などの目的としてスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリルニトリルなどが共重合されてもよい。
アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、共重合させるモノマーの種類および配合率を変更することで容易に制御することができ、その関係は式(I)、(II)により表すことができる。
1/Tg=w/Tg+w/Tg+・・・・・+w/Tg ・・・(I)
+w+・・・・・+w=1 ・・・(II)
ここでTgは共重合体であるアクリル樹脂のガラス転移温度であり、Tg、Tg、・・・、Tgは各モノマーの単独重合体のガラス転移温度、w、w、・・・、wは各モノマーの質量%を表している。作成した共重合体のガラス転移温度は示差走査熱量測定(DSC)を行い求めることができる。
また、上記アクリル樹脂には耐紫外線性を向上させる目的としてベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、修酸アニリド系、シアノアクリレート系、トリアジン系などの紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系光安定化剤(HALS)を共重合させてもよい。
P2層を構成する樹脂組成物としては上記アクリル樹脂が単体で含まれていてもよく、P1層との密着性を高める目的や塗工性向上を目的として前述のシリコーン樹脂だけでなく、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などを本発明の効果に影響を与えない範囲で併用することができる。
これらのアクリル樹脂は、例えば、日本カーバイド工業株式会社製“ニカゾール”(登録商標)シリーズなど市販の樹脂を入手して用いることができる。
(架橋剤)
本発明の太陽電池裏面保護用シートにおいて、P2層の硬度を向上させることを目的として、P2層を形成する塗剤組成物中に、メラミン樹脂、カルボジイミド樹脂、オキサゾリン樹脂などを架橋剤として添加してもよい。P2層の硬度を向上させることで太陽電池裏面保護用シートとしての傷つき耐久性が向上し、太陽電池モジュール製造工程時の生産機との接触や、太陽電池モジュール屋外設置時の小石や砂などとの接触により傷がつき外観や電気絶縁性、耐熱性、耐湿熱性などといった太陽電池裏面保護用シートとしての性能が損なわれることを防ぐことができる。架橋剤の種類に関しては特に限定されず、単体の架橋剤使用および複数種架橋剤の併用どちらも可能であるが、自己架橋反応により密な架橋構造を構築することができるメラミン樹脂を使用することが特に好ましい。
そのため、本発明の太陽電池裏面保護用シートは、P2層を構成する樹脂組成物が、メラミン樹脂成分を含有することが好ましい。本発明でいうメラミン樹脂成分とは、メラミン樹脂だけでなく、メラミン樹脂同士、または、メラミン樹脂とアクリル樹脂とが反応して得られる成分を含む。なお、本発明においては、カルボジイミド樹脂成分とは、カルボジイミド樹脂だけでなく、カルボジイミド樹脂とアクリル樹脂とが反応して得られる成分を含む。また、オキサゾリン樹脂成分とは、オキサゾリン樹脂だけでなく、オキサゾリン樹脂とアクリル樹脂とが反応して得られる成分を含む。
メラミン樹脂成分としては、分子中にトリアジン環とその周辺に三つのアミノ基を有する樹脂、および、前記樹脂と他の成分が反応して得られる樹脂である。具体的にはヘキサ型(トリアジン環に直接結合している3つのアミノ基に結合している官能基の数が6つ)のヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサキス−(メトキシメチル)メラミン、トリ型(トリアジン環に直接結合している3つのアミノ基に結合している官能基の数が3つ)のN,N’,N’’−トリメチル−N,N’,N’’−トリメチロールメラミン、N,N’,N’’−トリメチロールメラミン、N−メチロールメラミン、N,N’−(メトキシメチル)メラミン、N,N’,N’’−トリブチル−N,N’,N’’−トリメチロールメラミンなどが挙げられる。
これらのメラミン樹脂は、例えば、DIC株式会社製“ベッカミン”(登録商標)シリーズ、株式会社三和ケミカル製“ニカラック”(登録商標)シリーズなど市販の樹脂を入手して用いることができる。
その他架橋剤として、カルボジイミド樹脂としては、アクリル樹脂やポリスチレン樹脂などの既存のポリマー主鎖中にカルボジイミド基を有する構造の樹脂ならば制限なく用いることができ、例えば、日清紡ケミカル株式会社製“カルボジライト”(登録商標)シリーズなど市販の樹脂を入手して用いることができる。また、オキサゾリン樹脂としては、アクリル樹脂やスチレン樹脂など既存のポリマーの側鎖として多数のオキサゾリン基が導入された構造ならば制限なく用いることができ、例えば、株式会社日本触媒製“エポクロス”(登録商標)シリーズなど市販の樹脂を入手して用いることができる。
本発明の太陽電池裏面保護用シートにおけるP2層には、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、耐ブロッキング剤、染料、顔料、光増感剤、界面活性剤などの各種添加剤を添加することができる。
更に、P2層に耐ブロッキング剤としてシリカ粒子を添加することで、巻き取り時のブロッキングを防止することができる。またP2層に界面活性剤を添加することで、P1層への塗液の親和性を高め、干渉ムラを抑えることができる。
(P2層を構成する樹脂のガラス転移温度)
本発明の太陽電池裏面保護用シートにおいて、P2層を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)を上昇させるとP2層のエタノール耐久性を向上することができる。前述の通り、エタノール耐久性は太陽電池製造工程の封止材との張り合わせ工程において、はみ出た封止材をエタノールでふき取る際に必要となる。太陽電池裏面保護シートの最表層に存在するP2層のエタノール耐久性が乏しい場合、この工程でP2層が剥離を起こしP2層に付与された耐紫外線性および外観変化抑制の効果が十分発揮されない場合がある。ガラス転移温度上昇に伴いエタノール耐久性が上がるのは、P2層を構成する樹脂組成物の運動性が低下することで、エタノールのP2層内への浸透およびP2層の膨潤を防ぐことができるためである。P2層を構成する樹脂のガラス転移温度としては50℃以上90℃以下であることが好ましい。P2層を構成する樹脂のガラス転移温度が50℃未満である場合、エタノール耐久性が不十分である場合があり、P2層を構成する樹脂のガラス転移温度が90℃を超える場合、エタノール耐久性は高いもののP2層を構成する樹脂の運動性が低いために、塗膜乾燥時にP2層がP1層に追従できず、ひび割れが起こすことで太陽電池裏面保護シートの外観不良に繋がる場合がある。
(P2層の厚み)
本発明の太陽電池裏面保護用シートにおけるP2層の厚みは0.1μm以上1.0μm以下が好ましく、より好ましくは0.3μm以上0.7μm以下である。本発明の太陽電池裏面保護用シートにおけるP2層の厚みが0.1μm未満の場合、P2層の紫外線吸収効果が不足し太陽電池裏面保護用シートの黄変が悪化することがある。また、P2層の厚みが1.0μmより厚いと塗膜形成時の乾燥不足に起因した塗膜形成ムラによる外観不良、または巻取り性の悪化を起こすことがある。
本発明の耐紫外線性層であるP2層は、耐紫外線性とP1層(基材層)との密着性を両立させる目的で、積層構造を有してもよい。例えば、予めP1層の片側表面にP1層と接着性に優れるアンカーコート層(P21層とする)を設けておき、P21層の上に、さらに耐紫外線性に優れる層(P22層とする)を設ける手法も好ましく用いられる。その場合、シートの構成は、P1層/P21層/P22層の順で積層され、P2層の厚みは、P21層+P22層で表される。このとき、P21層は、P1層およびP22層を構成する樹脂と接着性が良く、また、P22層はP21層と密着性に優れ、紫外線による外観変化が少ないものであれば特に限定されない。この場合、P21層、P22層に用いる樹脂は、上記のP2層で例示したものを適宜好適に用いることができる。
(太陽電池裏面保護用シート)
本発明の太陽電池裏面保護用シートは、P1層の片側のみにP2層を有する構成である場合(P1層/P2層)、P1層のP2層と隣接しない側の面に、例えばガスバリア性、易接着性などの他の機能を持つ層を設けることができる。また、P1層の両側にP2層を有する構成である場合(P2層/P1層/P2層)は、そのどちらか片面に、ガスバリア性、易接着性などの他の機能を持つ層を設けることができる。これらの層を設ける方法としては、P1層と積層する材料をそれぞれ別々に作製し、加熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)、接着剤を介して貼り合わせる方法(接着法)、その他、積層する材料の形成用材料を溶媒に溶解させ、その溶液をあらかじめ作製していたP1層上に塗布する方法(コーティング法)、硬化性材料をP1層上に塗布した後に電磁波照射、加熱処理などで硬化させる方法、積層する材料をP1層上に蒸着/スパッタする方法、およびこれらを組み合わせた方法などを使用することができる。
本発明の太陽電池裏面保護用シートは耐紫外線性に優れ、光沢度変化および色調変化による外観変化が少ないことが好ましい。光沢度変化に関して具体的には、本発明の太陽電池裏面保護用シートの最表層に存在するP2層を入射面として紫外線処理試験を行った前後での光沢度変化ΔGが25以下であることが好ましい。より好ましい範囲としては光沢度変化が15以下である。ここでいう紫外線処理試験を行った前後での光沢度変化ΔGの測定方法の詳細については後述する。
本発明の太陽電池裏面保護用シートにおいて、P2層を入射面として紫外線処理試験を行ったときの光沢度変化ΔGが25を超える場合、本発明の太陽電池裏面保護用シートを搭載した太陽電池を長期間屋外に置いた際に、紫外線による光沢度変化によって太陽電池の外観が悪くなる可能性がある。
また色調変化に関して具体的には、本発明の太陽電池裏面保護用シートのP2層を入射面として紫外線処理試験を行ったときの色調変化Δbが8未満であることが好ましく、より好ましくは5未満である、さらに好ましくは2未満である。ここでいう紫外線処理試験を行ったときの色調変化Δbの測定方法の詳細については後述する。本発明の太陽電池裏面保護用シートにおいて、P2層を入射面として紫外線処理試験を行ったときの色調変化Δbが8以上の場合、本発明の太陽電池裏面保護用シートを搭載した太陽電池を長期間屋外に設置した際に、紫外線に起因する色調変化によって太陽電池の外観が悪くなる可能性がある。
本発明の太陽電池裏面保護用シートにおいて、耐湿熱性と耐紫外線性に優れた太陽電池裏面保護用シートとすることで、本発明の太陽電池裏面保護用シートを搭載した太陽電池を長期間屋外に置いても外観不良の無い太陽電池とすることができる。
(太陽電池裏面保護用シートの製造方法)
次に、本発明の太陽電池裏面保護用シートの製造方法について例を挙げて説明する。これは一例であり、本発明は、かかる例によって得られる物のみに限定して解釈されるものではない。
まず、P1層を構成する原料の製造方法は、以下の方法で製造することができる。
本発明のP1層の原料となる樹脂は、ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体と、ジオールを周知の方法でエステル交換反応、もしくはエステル化反応させることによって得ることができる。従来公知の反応触媒としてはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、リン化合物などを挙げることが出来る。好ましくは、通常PETの製造方法が完結する以前の任意の段階に置いて、重合触媒としてアンチモン化合物またはゲルマニウム化合物、チタン化合物を添加することが好ましい。このような方法としては例えば、ゲルマニウム化合物を例に取ると、ゲルマニウム化合物粉体をそのまま添加することが好ましい。また、ポリエステル樹脂の数平均分子量をコントロールするには、例えば数平均分子量を10000〜20000とする場合、上記の方法で一端数平均分子量が9500程度の分子量のポリエステル樹脂を重合した後、190℃〜ポリエステル樹脂の融点未満の温度で、減圧または窒素ガスのような不活性気体の流通下で加熱する、いわゆる固相重合する方法が好ましい。該方法は熱可塑性樹脂の末端カルボキシル基量を増加させることなく数平均分子量を高めることができる点で好ましく行われる。
次に、P1層の製造方法は、P1層が単膜構成の場合、P1層用原料を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)を使用することができる。その他の方法として、P1層用の原料を溶媒に溶解させ、その溶液を口金からキャストドラム、エンドレスベルトなどの支持体上に押し出して膜状とし、次いでかかる膜層から溶媒を乾燥除去させてシート状に加工する方法(溶液キャスト法)なども使用することができる。
また、P1層が積層構造の場合の製造方法は、積層する各層の材料が熱可塑性樹脂を主たる構成とする場合、二つの異なる熱可塑性樹脂を二台の押出機に投入し溶融してから合流させて、口金から冷却したキャストドラム上に共押出してシート状に加工する方法(共押出法)を好ましく用いることができる。
また、P1層および/またはP1層を含む積層体として一軸もしくは、二軸延伸されたシート基材を選択した場合、その製造方法として、まず、押出機(積層構造の場合は複数台の押出機)に原料を投入し、溶融して口金から押出し(積層構造の場合は共押出)し、冷却した表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸シートを作製する。
次に、この未延伸シートを70〜140℃の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちシートの進行方向)に3〜4倍延伸し、20〜50℃の温度のロール群で冷却する。
続いて、シートの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、80〜150℃の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(幅方向)に3〜4倍に延伸する。
延伸倍率は、長手方向と幅方向それぞれ3〜5倍とするが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9〜15倍であることが好ましい。面積倍率が9倍未満であると、得られる二軸延伸シートの耐久性が不十分となり、逆に面積倍率が15倍を超えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。
二軸延伸する方法としては、上述の様に長手方向と幅方向の延伸とを分離して行う逐次二軸延伸方法の他に、長手方向と幅方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸方法のどちらであっても構わない。
本発明のシートにおいてP2層をP1層の上に形成する方法は、特に制限されるべきものではないが、コーティング手法を用いるのが好ましい。コーティング手法としては、公知の方法を適用することができ、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法およびグラビアロールコーティング法などや、これらを組み合わせた方法を利用することができる。中でも塗剤の選択幅が広い観点からはバーコーティング法が好ましく、一方でP2層の厚みを大きくしたい場合は厚膜塗布性の観点からダイコーティング法およびグラビアロールコーティング法が好ましく選択できる。
更にP2層の形成はP1層の製造工程の中で設けるインラインコーティングにて行うのが工程簡略化の観点からより好ましい。具体的には、逐次二軸延伸方法の場合には、未延伸シートあるいは一軸延伸したシートを形成した後に、同時二軸延伸方法の場合には未延伸シートを形成した後に、それぞれ前記のコーティング工程を設けP2層を形成する塗剤組成物を塗布した後、塗剤組成物の乾燥工程と同時にP1層の熱固定を行う。この時、塗剤組成物の乾燥温度は基材層P1層の熱寸法安定性と耐湿熱性の両立の観点から150℃以上250℃以下が好ましく、より好ましくは170℃以上230℃以下、更に好ましくは180℃以上220℃以下である。
また必要に応じてP1層への塗剤組成物の濡れ性向上、P2層形成後の層間接着力向上の観点から、コーティング工程の直前に基材層P1層の表面へコロナ処理を行ってもよい。
本発明のシートにおいてP2層を形成するための、塗剤組成物の溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノールおよび水などを例示することができ、該コーティング液の性状としてはエマルジョン型および溶解型のいずれでも良い。近年では環境保護、省資源化、製造時における有機溶剤の排気問題などが重視され、水を溶剤の主体とした溶解型、もしくはエマルジョン型コーティング液が好ましい形態である。P2層が水を溶剤とした塗材を用いて形成していることは、太陽電池裏面保護シート全体に対する残留溶剤量が0.01質量%未満であることから確認することができる。
また、P2層を形成する塗剤組成物に含まれるアクリル樹脂、メラミン樹脂を水系エマルジョン化させる方法としては、特に制限されるものではなく、固/液撹拌装置や乳化機として広く当業者に知られている装置によって作製することができる。
本発明の太陽電池裏面保護用シートは前記の製造方法によって製造することができる。得られた太陽電池裏面保護用シートは、長期間の紫外線曝露においても色調変化や光沢度変化といった外観変化の少なさに優れ、エタノール曝露や傷つきへの耐久性に優れるという性能を有するものである。
(太陽電池)
本発明の太陽電池裏面保護用シートを用いた太陽電池は、従来の太陽電池と比べて耐久性を高めることが可能となる。その構成の例を図1に示す。電気を取り出すリード線(図1には示していない)を接続した発電素子3をEVA樹脂などの透明な封止材4で封止したものに、ガラスなどの透明基板5と、太陽電池裏面保護用シート(ポリエステル基材層1(P1層)と耐紫外線性層2(P2層)によって構成)として貼り合わせて構成されるが、これに限定されず、任意の構成に用いることができる。なお、図1では太陽電池裏面保護用シートは単体での例を示したが、その他必要とされる要求特性に応じて太陽電池裏面保護用シートは他のフィルムを張り合わせた、複合シートとすることも可能である。
ここで、本発明の太陽電池において、太陽電池裏面保護用シートは発電素子3を封止した封止材4の背面に設置される発電素子を保護する役目を担う。ここで太陽電池裏面保護用シートはP1層が封止材4と別途作成した封止材し接着層(図1には示していない)を介して接し、P2層が太陽電池の表層に来るように配置することが好ましい。この構成とすることによって、本発明の優れた耐紫外線性と傷つき耐久性を生かして、屋外に曝されても長期間、外観変化を起こすことなく発電素子を保護することで太陽電池の美観を長期間にわたり保つことができる。
発電素子3は、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、結晶シリコン系、多結晶シリコン系、微結晶シリコン系、アモルファスシリコン系、銅インジウムセレナイド系、化合物半導体系、色素増感系など、目的に応じて任意の素子を、所望する電圧あるいは電流に応じて複数個を直列または並列に接続して使用することができる。透光性を有する透明基板5は太陽電池の最表層に位置するため、高透過率のほかに、高耐候性、高耐汚染性、高機械強度特性を有する透明材料が使用される。本発明の太陽電池において、透光性を有する透明基板5は上記特性と満たせばいずれの材質を用いることができ、その例としてはガラス、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン樹脂(TFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂(CTFE)、ポリフッ化ビニリデン樹脂などのフッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、およびこれらの混合物などが好ましく挙げられる。ガラスの場合、強化されているものを用いるのがより好ましい。また樹脂製の透光基材を用いる場合は、機械的強度の観点から、上記樹脂を一軸または二軸に延伸したものも好ましく用いられる。また、これら基材には発電素子の封止材料であるEVA樹脂などとの接着性を付与するために、表面に、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、易接着処理を施すことも好ましく行われる。
ここで、本発明の太陽電池において、太陽電池裏面保護用シートは発電素子3に吸収されなかった太陽光を反射する反射板としての役目を担う。ここで太陽電池裏面保護用シートはP1層において良好な光反射性をもつことで、太陽光を効率よく反射しその一部が発電素子3に再度入射することで太陽電池の発電量が向上させることができる。
発電素子を封止するための封止材4は、発電素子の表面の凹凸を樹脂で被覆し固定し、外部環境から発電素子保護し、電気絶縁の目的の他、透光性を有する基材や裏面保護用シートと発電素子に接着するため、高透明性、高耐候性、高接着性、高耐熱性を有する材料が使用される。その例としては、エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、アイオノマー樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、およびこれらの混合物などが好ましく用いられる。
以上のように、本発明の太陽電池裏面保護用シートを太陽電池システムに組み込むことにより、従来の太陽電池と比べて外観変化を低減することが可能となる。本発明の太陽電池は、太陽光発電システム、小型電子部品の電源など、屋外用途、屋内用途に限定されず各種用途に好適に用いることができる。
〔特性の測定方法および評価方法〕
(1)P2層の成分定性
P2層の成分定性はP2層の表面について、X線光電子分光分析装置(ESCA)、フーリエ赤外分光光度計(FT−IR)ATR法、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)、またはP2層を溶剤にて溶解抽出し、プロトン核磁気共鳴分光法(H−NMR)、カーボン核磁気共鳴分光法(13C−NMR)、フッ素核磁気共鳴分光法(19F−NMR)、ケイ素核磁気共鳴分光法(29Si−NMR)、フーリエ赤外分光光度計(FT−IR)、またはP2層を分離し、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)により構造を解析して行う。以下、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)を用いた解析例について述べる。
(1−1)熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)
まず測定装置には熱分解装置PY−2010DD型(フロンティア・ラボ社製)とガスクロマトグラフGC−14AF型((株)島津製作所製)、検出器には水素炎イオン化検出器(FID)、カラムにはメチルシリコーン系キャピラリーカラムを接続して用いた。また、必要に応じてTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)で誘導体化を行い実施した。
(A)アクリル樹脂成分
熱分解生成物からアクリル化合物が検出された場合、P2層中にアクリル樹脂成分が含有されているとする。
(B)メラミン樹脂成分
熱分解生成物からメラミン化合物が検出された場合、P2層中にメラミン樹脂成分が含有されているとする。
(C)カルボジイミド樹脂成分
熱分解生成物からカルボジイミド化合物が検出された場合、P2層中にカルボジイミド樹脂成分が含有されているとする。
(D)オキサゾリン樹脂成分
熱分解生成物からオキサゾリン化合物が検出された場合、またはTMAHで誘導体化を行った場合の熱分解生成物からエタノールアミン構造が検出された場合、P2層中にオキサゾリン樹脂成分が含有されているとする
各成分の有無については上記の通り判定を行い、表中において、P2層中に各成分を含有する場合は○、含有しない場合は×と記載した。
(2)ポリマー特性
(2−1)固有粘度(IV)
オルトクロロフェノール100mlに、測定試料(ポリエステル樹脂(原料)又は太陽電池裏面保護用シートのP1層のみを分離したもの)を溶解させ(溶液濃度C(測定試料重量/溶液体積)=1.2g/100ml)、その溶液の25℃での粘度を、オストワルド粘度計を用いて測定した。また、同様に溶媒の粘度を測定した。得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、下記式(3)により、[η]を算出し、得られた値をもって固有粘度(IV)とした。
ηsp/C=[η]+K[η]・C ・・・(3)
(ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)―1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)
なお、測定試料を溶解させた溶液に無機粒子などの不溶物がある場合は、以下の方法を用いて測定を行った。
(i)オルトクロロフェノール100mLに測定試料を溶解させ、溶液濃度が1.2g/100mLよりも濃い溶液を作成する。ここで、オルトクロロフェノールに供した測定試料の重量を測定試料重量とする。
(ii)次に、不溶物を含む溶液を濾過し、不溶物の重量測定と、濾過後の濾液の体積測定を行う。
(iii)濾過後の濾液にオルトクロロフェノールを追加して、(測定試料重量(g)−不溶物の重量(g))/(濾過後の濾液の体積(mL)+追加したオルトクロロフェノールの体積(mL))が、1.2g/100mLとなるように調整する。
(例えば、測定試料重量2.0g/溶液体積100mLの濃厚溶液を作成したときに、該溶液を濾過したときの不溶物の重量が0.2g、濾過後の濾液の体積が99mLであった場合は、オルトクロロフェノールを51mL追加する調整を実施する。((2.0g−0.2g)/(99mL+51mL)=1.2g/100mL))
(iv)(iii)で得られた溶液を用いて、25℃での粘度をオストワルド粘度計を用いて測定し、得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、上記式(3)により、[η]を算出し、得られた値をもって固有粘度(IV)とする。
(2−2)末端カルボキシル基量(表中ではCOOH量と記載する。)
末端カルボキシル基量については、Mauliceの方法に準じて、以下の方法にて測定した。(文献M.J. Maulice, F. Huizinga, Anal.Chim.Acta,22 363(1960))
測定試料(ポリエステル樹脂(原料)または太陽電池裏面保護用シートのP1層のみを分離したもの)2gをo−クレゾール/クロロホルム(重量比7/3)50mLに温度80℃にて溶解し、0.05NのKOH/メタノール溶液によって滴定し、末端カルボキシル基濃度を測定し、当量/ポリエステル1tの値で示した。なお、滴定時の指示薬はフェノールレッドを用いて、黄緑色から淡紅色に変化したところを滴定の終点とした。なお、測定試料を溶解させた溶液に無機粒子などの不溶物がある場合は、溶液を濾過して不溶物の重量測定を行い、不溶物の重量を測定試料重量から差し引いた値を測定試料重量とする補正を実施した。
(2−3)ガラス転移温度
太陽電池裏面保護シートP2層の構成要素であるアクリル樹脂1〜5および太陽電池裏面保護シートのP2層に関して、示差走査熱量計EXSTAR6220(セイコーインスツル(株)製)を用い昇温速度20℃/分の条件の下、測定を行いガラス転移温度を求めた。
(3)フィラーの平均粒子径測定
ミクロトームを用いて、太陽電池裏面保護用シートの表面に対して垂直方向に切削した小片を作成し、その断面を電界放出型透過電子顕微鏡JEM−2100F(日本電子(株)製、加速電圧200kV)を用いて100000倍に拡大観察し、任意の視野における断面画像を30枚以上撮影した。そのうち任意に選び出した10枚以上の異なる画像に存在する2500個以上の任意のフィラーの円相当径を画像解析ソフトImage−Pro Plus(日本ローパー(株))を用いて測定することで個数基準平均粒子径をとして算出した。
(4)フィラーの構成元素分析
前項(3)記載の方法による電界放出型透過電子顕微鏡観察において、観測されたフィラーに対しJED−2300T(日本電子(株)製、Si<Li>半導体検出器、UTW型)を用いたEDX元素分析およびGATAN GIF“Tridiem”を用いたEELS元素状態分析を行いフィラーの構成元素を特定し、得られたEELSスペクトルと市販の金属化合物(ルチル型酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ)のEELSスペクトルを照会することで、P2層内に含有されたフィラーの構成を同定した。表3にはEDXにて検出された元素のうち含有量上位2位を記載している。
(5)フィラーの含有量分析
太陽電池裏面保護用シートのP2層のみを剥離し、熱重量測定(TGA)装置 TGA−50((株)島津製作所製)を用いて窒素雰囲気下で室温から600℃まで20℃/分で昇温を行う。昇温後に生じる灰分の質量比率(質量%)について5回測定を行いその平均値を算出する。フィラーを含まないポリエステルフィルムに関しても同様の測定を行い得られる灰分の質量分率(質量%)の5回測定平均値を求める。これら2つの質量分率平均値の差をP2層の含有するフィラー濃度(質量%)として求めた。ここで前述のフィラーを含まないポリエステルフィルムとしては、X10S(東レ(株)製)を用いている。
(6)P1層および、P2層の厚み
ミクロトームを用いて、太陽電池裏面保護用シートの表面に対して垂直方向に切削した小片を作成し、その断面を電界放射走査型電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)を用いて10000倍に拡大観察して撮影した。その断面写真よりP1層および、P2層の厚みを拡大倍率から逆算して求めた。なお厚みは、異なる測定視野から任意に選んだ計5箇所の断面写真を使用し、その平均値を用いた。
(7)光沢度変化
(7−1)60度光沢度(G値)測定
JIS−Z−8741(1997)に基づき、デジタル変角光沢計UGV−5D(スガ試験機(株)製)を用いて入射角60度、受光角60度の条件の下太陽電池裏面保護用シートのP2層側表面の60度光沢度(G値)をn=3で測定し、その平均値として求めた。
(7−2)光沢度変化ΔG
太陽電池裏面保護用シートのP2層側の面に試験光が当たるようにアイスーパー紫外線テスターS−W161(岩崎電気(株)製)にて、温度60℃、相対湿度50%、照度100mW/cm(光源:メタルハライドランプ、波長範囲:295〜450nm、ピーク波長:365nm)の条件下で48時間照射した前後の60度光沢度(G値)を前記(7−1)項に従い測定し、次の(α)式より紫外線照射後の60度光沢度変化(ΔG)を算出した。
紫外線照射後の60度光沢度変化(ΔG)=G1―G0 (α)
G0:紫外線照射前の60度光沢度(G値)
G1:紫外線照射後の60度光沢度(G値)
(8)黄変度(紫外線処理試験前後の色調変化)
(8−1)色調(b値)測定
JIS−Z−8722(2000)に基づき、分光式色差計SE−2000(日本電色工業(株)製、光源 ハロゲンランプ 12V4A、0°〜−45°後分光方式)を用いて反射法により太陽電池裏面保護用シートのP2層側の面の色調(b値)をn=3で測定し、その平均値として求めた。
(8−2)色調変化Δb
太陽電池裏面保護用シートに前記(7−2)項と同様の紫外線照射試験を行い、試験前後の色調(b値)を前記(8−1)項に従い測定し、次の(β)式より紫外線照射後の色調変化(Δb)を算出した。
紫外線照射後の色調変化(Δb)=b1―b0 (β)
b0:紫外線照射前の色調(b値)
b1:紫外線照射後の色調(b値)
(9)P2層の意匠性
太陽電池裏面保護用シートから無作為に20枚、100mm×200mmサイズにカット(以下、カットサンプルと称すことがある)した後、P2層側の目視観察を行い、太陽電池裏面保護用シートのP2層の意匠性をP2層の塗膜形成ムラとP2層のひび割れの2点に関して以下のように数値化を行い評価した。
(9−1)塗膜形成ムラ
20枚のカットサンプルのP2層側それぞれに関して目視観察を行い。塗膜形成ムラ部分を黒色油性マジックペン(寺西工業(株)製 マジェスタ―スリム)にてP2層が見えなくなるまで隙間なく塗潰す。塗潰したサンプルを画像として取り込み、画像解析ソフトImage−Pro Plus(日本ローパー(株))を用いて解析を行い、算出される塗潰した部分の総面積を塗布形成ムラ面積として用いる。P2層が黒色の場合、市販の白色油性ペンで塗布形成ムラ部分を塗潰し、同様の解析を行う。塗布形成ムラの量に関しては、JIS−K−5600−8−5(2013年)に準拠して、等級分けを行う。すなわち、塗布形成ムラ面積がカットサンプル面積の0%ならば等級0、0%より大きく0.1%以下ならば等級1、0.1%より大きく0.3%以下ならば等級2、0.3%より大きく1%以下ならば等級3、1%より大きく3%以下ならば等級4、3%より大きく15%以下ならば等級5となる。塗布形成ムラ面積がカットサンプル面積の15%より大きい場合に関しては、JIS−K−5600−8−5に特に記載はないが等級6と定めた。20枚全てカットサンプルに関して等級分けを行った後、20枚の等級の平均値から下記のように塗膜形成ムラの評価を行った。
20枚の等級の平均値が3未満の場合:A
20枚の等級の平均値が3以上4未満の場合:B
20枚の等級の平均値が4以上5未満の場合:C
20枚の等級の平均値が5以上の場合:D
太陽電池裏面保護シートの塗膜形成ムラに関する意匠性はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
(9−2)P2層のひび割れ
20枚のカットサンプルのP2層側のひび割れに関して目視観察を行い、JIS−K−8−4(2013年)に準拠して、ひび割れ密度の等級分けを行う。20枚全てカットサンプルに関して等級分けを行った後、20枚の等級の平均値から下記のようにひび割れの評価を行った。
20枚の等級の平均値が2未満の場合:A
20枚の等級の平均値が2以上3未満の場合:B
20枚の等級の平均値が3以上4未満の場合:C
20枚の等級の平均値が4以上の場合:D
太陽電池裏面保護シートのひび割れに関する意匠性はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
(10)傷つき耐久性
表面性測定機(新東科学(株)製 HEIDON 14DR)を用い、JIS K−5400に従って太陽電池裏面保護シートのP2層側の鉛筆硬度を測定し、以下のように太陽電池裏面保護シートの傷つき耐久性を評価した。
鉛筆硬度がF以上:A
鉛筆硬度がHB:B
鉛筆硬度がB:C
鉛筆硬度が2B以下:D
太陽電池裏面保護シートの傷つき耐久性はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
(11)エタノール耐久性
太陽電池裏面保護シートを3cm×20cmにサンプルカットした後、学振摩耗試験機(栄科学精器製作所製)の試験台にP2層側が摩耗試験面になるように固定し、上部に800gの重りを、先端にエタノールを染み込ませた白綿布を取り付けた摩擦子で学振摩耗試験を行う。P2層にスジ傷がつき剥離するまでの摩耗回数を計測した。
得られた回数により下記のように太陽電池裏面保護シートのエタノール耐久性評価を行った。
摩耗回数が50回以上の場合:A
摩耗回数が30回以上50回未満の場合:B
摩耗回数が10回以上30回未満の場合:C
摩耗回数が10回未満の場合:D
(12)P2層の基材密着性
(12−1)紫外線照射試験前のP基材密着性
太陽電池裏面保護用シートのP2層に常態下(23℃、相対湿度65%)で1mmのクロスカットを100個入れ、セロハンテープ(ニチバン製)をその上に貼付け、1.5kg/cm重で押し付けた後、90°方向に剥離した。上記試験を3回行いの剥離したマスの個数の合計値(0〜300個)によりP2層の製膜直後でのP1層との密着性について以下の通り評価を行った。
3回の剥離試験後残存するマスの個数の合計が5個以下:A
3回の剥離試験後残存するマスの個数の合計が6個以上15個以下:B
3回の剥離試験後残存するマスの個数の合計が16個以上20個以下:C
3回の剥離試験後残存するマスの個数の合計が21個以上:D
紫外線照射試験前P2層の基材密着性はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
(12−2)紫外線照射試験後の基材密着性
太陽電池裏面保護用シートに前記(6−2)項と同様の紫外線照射試験を行い、前項(12−1)と同様に剥離試験3回を実施することで、P2層の紫外線照射試験後のP1層との密着性について以下の通り評価を行った。
3回の剥離試験後残存するマスの個数の合計が15個以下:A
3回の剥離試験後残存するマスの個数の合計が16個以上30個以下:B
3回の剥離試験後残存するマスの個数の合計が31個以上45個以下:C
3回の剥離試験後残存するマスの個数の合計が46個以上:D
紫外線照射試験後のP2層の基材密着性はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
(13)太陽電池モジュール屋外実暴露試験による外観変化評価
(13−1)太陽電池モジュールの作製
Qcells社製の結晶シリコン型太陽電池セルQ6LPT−G2の表面、裏面の銀電極部分にHOZAN社製フラックスH722をディスペンサーで塗布し、表面、裏面の銀電極の上に155mmの長さに切断した配線材として日立電線社製銅箔SSA―SPS0.2×1.5(20)を表面側のセルの片端から10mm離れたところが配線材の端に、裏面側は表面側と対称になるように乗せ、半田ごてを用いてセル裏面側から半田ごてを接触させて表面、裏面を同時に半田溶着し1セルストリングスを作製した。
作製した1セルストリングスのセルから飛び出している該配線材の長手方向と180mmに切断した取り出し電極として日立電線社製銅箔A―SPS0.23×6.0の長手方向が垂直になるよう置き、該配線材と取り出し電極が重なる部分に該フラックスを塗布して半田溶着を行い、取り出し電極付きストリングスを作製した。
次に、190mm×190mmの旭硝子社製太陽電池用3.2mm厚白板熱処理ガラス、190mm×190mmの500μm厚のEVAシート(酢酸ビニル共重合比率:28mol%)、作製した取り出し電極付きストリングス、190mm×190mmの500μm厚のEVAシート、190mm×190mmに切り出した太陽電池裏面保護用シートをP2層側の面がEVA側に位置するように順に重ねて、該ガラスを真空ラミネーターの熱盤と接触するようにセットし、熱盤温度145℃、真空引き4分、プレス1分、保持時間10分の条件で真空ラミネートを行った。このとき、取り出し電極付きストリングスはガラス面がセル表面側になるようにセットした。
(13−2)屋外実暴露試験
太陽光照射量270MJ/m(波長:280nm〜400nm)の環境下、南向きに傾斜角度35度で設置された架台に(12−1)記載の太陽電池モジュールをP2層に太陽光が直接当たるように設置し2年間の屋外実暴露試験を行うことで、太陽電池モジュールの外観変化を光沢度変化(ΔG)、色調変化(Δb)の2項目に関して評価を行った。
(13−3)屋外実暴露試験前後での光沢度変化ΔG
前項(13−1)記載の屋外実暴露前後での太陽電池前モジュールの60度光沢度(G値)を前記(7−1)項に従い測定し、次の(γ)式より紫外線照射後の60度光沢度変化(ΔG)を算出した。
紫外線照射後の60度光沢度変化(ΔG)=G1(実暴露)―G0(実暴露) (γ)
G0(実暴露):屋外実暴露試験前の60度光沢度(G値)
G1(実暴露):屋外実暴露試験後の60度光沢度(G値)
得られた60度光沢度変化(ΔG)から、太陽電池保護フィルムの太陽電池モジュールの光沢度に関する外観変化を以下のように判定した。
60度光沢度変化(ΔG)が15以下の場合:A
60度光沢度変化(ΔG)が15より大きく25以下の場合:B
60度光沢度変化(ΔG)が25より大きく35以下の場合:C
60度光沢度変化(ΔG)が35より大きい場合:D
太陽電池モジュールの光沢度に関する外観変化はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
(13−4)屋外実暴露試験前後での色調変化Δb
前項(13−1)記載の屋外実暴露前後での太陽電池前モジュールの色調(b値)を前記(8−1)項に従い測定し、次の(δ)式より紫外線照射後の色調変化(Δb)を算出した。
紫外線照射後の色調変化(Δb)=b1(実暴露)―b0(実暴露) (δ)
b0(実暴露):屋外実暴露試験前の60度光沢度(b値)
b1(実暴露):屋外実暴露試験後の60度光沢度(b値)
得られた色調変化(Δb)から、太陽電池保護フィルムの太陽電池モジュール外観変化を以下のように判定した。
色調変化(Δb)が1.5未満の場合:A
色調変化(Δb)が1.5以上3.5未満の場合:B
色調変化(Δb)が3.5以上5.5未満の場合:C
色調変化(Δb)が5.5以上の場合:D
太陽電池モジュールの色調に関する外観変化はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
(ポリエステル系樹脂原料)
1.PET原料(実施例1〜21、比較例1〜7に用いた)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸ジメチル100質量部、ジオール成分としてエチレングリコール57.5質量部を用い、触媒として酢酸マグネシウム2水和物、三酸化アンチモン、亜リン酸を用いて重縮合反応を行った。次いで、得られたポリエチレンテレフタレートを160℃で6時間乾燥、結晶化させたのち、220℃、真空度0.3Torr、8時間の固相重合を行い、固有粘度(IV)0.80dl/g、末端カルボキシル基量10当量/トンのポリエチレンテレフタレート(PET)原料を得た。得られたPET原料のガラス転移温度は82℃、融点は255℃であった。
2.PET原料ベース酸化チタン粒子Aマスター(実施例1〜21、比較例1〜7に用いた)
上記1.項によって得られたPET樹脂(PET)100質量部と、平均粒子径0.210μmのルチル型酸化チタン粒子A(TiO−A)100質量部を、ベントした290℃の押出機内で溶融混練し、酸化チタン原料(PET−TiO(A))を作製した。
(耐紫外線性層用塗剤の調製)
水を希釈溶剤として、下記項に記載された塗剤を用いて塗剤A〜Zを作製した後、日信化学株式会社製アセチレンジオール系界面活性剤オルフィンEXP4051Fを、個々の塗剤に対して0.25質量%の割合となるように配合した。下記項に記載された塗剤の配合量は、全て固形分比である。
(アクリル樹脂)
1.アクリル樹脂1(実施例1〜3、13〜17、21、比較例2〜4で用いた)
ステンレス容器にメタクリル酸メチル(単独重量体のTg:105℃)130質量部およびアクリル酸エチル(単独重量体のTg:−22℃)110重量部、メタクリル酸(単独重量体のTg:130℃)60重量部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン3重量部を仕込み、攪拌混合した。
撹拌機、環流冷却管、温度計及び滴下ロートを備えた反応容器に、上記混合液の内60重量部及びイソプロピルアルコール200重量部、重合開始剤として2-2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル0.6重量部を仕込みリフラックスするまで昇温した。
リフラックス状態にて、20分間保持した後、混合液の残りとイソプロピルアルコール
50重量部、2-2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル1.7重量部の混合液を120分間にて滴下した。滴下終了20分後、イソプロピルアルコール40重量部と2-2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル1.7重量部の混合液を120分間で滴下し、滴下終了後、120分間リフラックスを保持した。
反応液を50℃以下に冷却した後、攪拌機、減圧設備を備えた容器に移し、25%アン
モニア水60重量部及び脱イオン水900重量部を仕込み、60℃減圧下にてイソプロピ
ルアルコール及び未反応モノマーを回収し、アクリル系水分散液を得た。
撹拌機、環流冷却管、温度計及び滴下ロートを備えた反応容器に、脱イオン水326重量部、アクリル系水分散液313重量部、N−メチロールアクリルアミド3重量部を仕込み、窒素フローしながら80℃に昇温した。
次に、別の容器にアクリル酸エチル75重量部及びメタクリル酸メチル219重量部、アクリル酸(単独重合体のTg:106℃)3重量部を計量し攪拌混合した。
重合開始剤として2重量%過硫酸カリウム水溶液10重量部および、2重量%炭酸水素アンモニウム水溶液10重量部を添加して、直ちに単量体混合液の滴下及び2重量%過硫酸カリウム水溶液40重量部及び2重量%炭酸水素アンモニウム水溶液40重量部を2時間で滴下し、同温度にて4時間保持した。
続けて、40℃以下に冷却しアンモニア水適量にてpHを約8〜9に調整し、固形分濃度が25重量%になるように水適量を加えて、アクリル系共重合体水性分散液(アクリル樹脂1)を得た。アクリル樹脂1を乾燥し、THFに溶解後GPC測定を行った結果、重量平均分子量は15,000(ポリスチレン換算)であり、またDSC測定を行った結果アクリル樹脂1のガラス転移温度は58℃であった。
2.アクリル樹脂2(実施例7で用いた)
アクリル系水分散液に添加するモノマー配合比をアクリル酸エチル115重量部及びメタクリル酸メチル179重量部に変更した以外はアクリル樹脂1と同様にしてアクリル樹脂2を得た。重量平均分子量は16,000であり、ガラス転移温度は42℃であった。
3.アクリル樹脂3(実施例8で用いた)
アクリル系水分散液に添加するモノマー配合比をアクリル酸エチル105重量部及びメタクリル酸メチル189重量部に変更した以外はアクリル樹脂1と同様にしてアクリル樹脂3を得た。重量平均分子量は15,500であり、ガラス転移温度は47℃であった。
4.アクリル樹脂4(実施例9で用いた)
アクリル系水分散液作成時のモノマー配合比をメタクリル酸メチル120質量部およびアクリル酸エチル35重量部、メタクリル酸145重量部に、アクリル系水分散液に添加するモノマー配合比をアクリル酸エチル30重量部及びメタクリル酸メチル264重量部に変更した以外はアクリル樹脂1と同様にしてアクリル樹脂4を得た。重量平均分子量は17,500であり、ガラス転移温度は88℃であった。
5.アクリル樹脂5(実施例10で用いた)
アクリル系水分散液作成時のモノマー配合比をメタクリル酸メチル150質量部およびアクリル酸エチル20重量部、メタクリル酸130重量部に、アクリル系水分散液に添加するモノマー配合比をアクリル酸エチル25重量部及びメタクリル酸メチル269重量部に変更した以外はアクリル樹脂1と同様にしてアクリル樹脂5を得た。重量平均分子量は15,500であり、ガラス転移温度は92℃であった。
(塗材)
1.塗剤A〜C、M〜Q、U〜W(実施例1〜3、13〜17、21、比較例2〜4で用いた)
アクリル樹脂としてアクリル樹脂1(ガラス転移温度:58℃)とメラミン樹脂として株式会社三和ケミカル社製メラミン樹脂塗剤“ニカラック”(登録商標) MW12LF(メラミン樹脂1)と紫外線吸収フィラーとして、CIKナノテック製水系ルチル型酸化チタン塗材(平均粒子径:0.025μm)を表1の固形分重量比となるように混合した後、表1の固形分濃度になるように純水で希釈し、塗剤A〜C、M〜Q、U〜Wを得た。
2.塗剤D、E、X、Y(実施例4、5、比較例5、6で用いた)
UV吸収フィラーとして、平均粒子径を0.010μm、0.013μm、0.110μm、0.130μmに変更した水系ルチル型酸化チタン塗材を用いた以外は塗材Aと同様に塗材D,E、X、Yを得た。
3.塗材F(実施例6で用いた)
アクリル樹脂1の代わりに、DIC株式会社製塗材ボンコート SA−6360(シリコーン樹脂、ガラス転移温度:21℃)用いた以外は塗材Aと同様に塗材Fを得た。
4.塗材G〜J(実施例7〜10で用いた)
アクリル樹脂としてアクリル樹脂2(ガラス転移温度:43℃)、アクリル樹脂3(ガラス転移温度:47℃)、アクリル樹脂4(ガラス転移温度:88℃)、アクリル樹脂4(ガラス転移温度:92℃)を用いた以外は塗材Aと同様に塗材G〜Jを得た。
5.塗材K、L(実施例11、12で用いた)
カルボジイミド樹脂として日清紡ケミカル株式会社製カルボジイミド樹脂塗材“カルボジライト”(登録商標) SV−02、オキサゾリン樹脂として株式会社日本触媒製オキサゾリン樹脂塗材“エポクロス”(登録商標) WS−500を用いた以外は塗材Aと同様に塗材K、Lを得た。
6.塗材R,S(実施例18、19で用いた)
メラミン樹脂としてDIC株式会社製トリ型メラミン樹脂塗剤“ベッカミン”(登録商標) PM−80(メラミン樹脂2)およびDIC株式会社製ヘキサ型メラミン樹脂塗剤“ベッカミン”(登録商標) J−101(メラミン樹脂3)を用いた以外は塗材Aと同様に塗材R、Sを得た。
7.塗材T(実施例20で用いた)
紫外線吸収フィラーとして、CIKナノテック製水系酸化亜鉛塗材(平均粒子径:0.025μm)を用いた以外は塗材Aと同様に塗材Tを得た。
8.塗材Z(比較例7で用いた)
紫外線吸収能の乏しいフィラーとして、CIKナノテック製水系シリカ塗材(平均粒子径:0.025μm)を用いた以外は塗材Aと同様に塗材Zを得た。
(実施例1〜5)
180℃で2時間真空乾燥したPET原料(PET)とPET原料ベース酸化チタン粒子Aマスター(PET−TiO(A))を、粒子量が表の濃度となるように調合し280℃の押出機内で溶融混練し、Tダイ口金に導入した。次いで、Tダイ口金よりシート状に溶融押出して表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて、未延伸シートを得た。続いて、該未延伸シートを80℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、88℃の温度に加熱したロールと25℃の温度に調整したロール間で3倍の速度差をつけることで長手方向(縦方向)に3倍に延伸した後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸シートを得た。一軸延伸したシートにコロナ処理を施した後、表に記載の実施例の番号に対応した塗剤を#8のメタリングバーにて塗布した。
得られた一軸延伸シートの両端をクリップで把持しながらテンター内の80℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に90℃に保たれた加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に3.5倍に延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで220℃、20秒間の熱処理を施し、さらに220℃で4%幅方向に弛緩処理を行った。次いで均一に徐冷を行い、全体厚みが150μmのシートを製膜した。得られたシートからP1層とP2層を分離してフィルム特性を評価したところ固有粘度(IV)、末端カルボキシル基量および、フィルム厚み、P2層のガラス転移温度、P2層の断面観察により求められるP2層に含有するフィラーの平均粒子径、フィラーの構成元素、最表層に存在するP2層の紫外線照射試験前後での色調変化Δbおよび光沢度変化ΔGは表2、3に示す通りであった。
得られたシートについて、P2層の定性分析および、太陽電池裏面保護用シートの特性評価、太陽電池モジュール特性評価を行った。その結果、表3に示す通り、実施例1〜5においてP2層中には平均粒子径が0.01μm〜0.10μmの範囲にある酸化チタン(検出元素:Ti、O)からなる紫外線吸収フィラーが21質量%以上50質量%以下の範囲の濃度で含有されており、P2層の構成樹脂成分としてアクリル樹脂成分およびメラミン樹脂成分が含まれていることを確認した。太陽電池裏面保護用シートとしては、製膜後のP2層の外観、P2層の基材密着性、P2層の耐久性および、該シートを用いた太陽電池モジュールの屋外実暴露試験前後の外観変化の少なさは良好であった。中でも実施例1はすべての特性が非常に良好であり、フィラー濃度が21質量%まで低下させる(実施例2)、もしくはフィラーの添加濃度一定のままP2層の断面観察により求められるP2層に含有するフィラーの平均粒子径を0.10μmまで大きくすると(実施例5)、P2層の紫外線吸収効率が低下することで実暴露試験後のシート色調変化が増大する傾向を確認した。またフィラー濃度を50質量%まで上昇させると(実施例3)、P2層が脆くなることで紫外線照射試験前のP2層の基材密着性が低下する傾向を確認した。フィラーの添加濃度一定のままP2層の断面観察により求められるP2層に含有するフィラーの平均粒子径を0.01μmまで低下させると(実施例4)、紫外線照射試験後に酸化チタンの光触媒作用によりP2層が劣化するため、紫外線照射試験後のP2層の基材密着性が低下する傾向を確認した。
(実施例6)
P2層を構成する樹脂としてシリコーン樹脂を用いた塗材(塗材F)を用いた以外は実施例1と同様にシートを得た。
得られたシートからP1層とP2層を分離してフィルム特性を評価したところ固有粘度(IV)、末端カルボキシル基量および、フィルム厚み、P2層のガラス転移温度、P2層の断面観察により求められるP2層に含有するフィラーの平均粒子径、フィラーの構成元素、最表層に存在するP2層の紫外線照射試験前後での色調変化Δbおよび光沢度変化ΔGは表2、3に示す通りであった。
得られたシートについて、P2層の定性分析および、太陽電池裏面保護用シートの特性評価、太陽電池モジュール特性評価を行った。その結果、表3に示す通り、実施例6においてP2層中には構成樹脂成分としてシリコーン樹脂成分が含まれていることを確認した。太陽電池裏面保護用シートとしては、製膜後のP2層の外観、P2層の基材密着性、P2層の耐久性および、該シートを用いた太陽電池モジュールの屋外実暴露試験前後の外観変化の少なさは良好であった。一方で、実施例6のエタノール耐久性が実施例1よりも低下することを確認した。これはシリコーン樹脂のガラス転移温度が低いことで、エタノールの膨潤によりP2層の強度が低下したためと考えられる。
(実施例7〜10)
P2層を構成する樹脂としてガラス転移温度の異なるアクリル樹脂を用いた塗材(塗材G〜J)を用いた以外は実施例1と同様にシートを得た。
得られたシートからP1層とP2層を分離してフィルム特性を評価したところ固有粘度(IV)、末端カルボキシル基量および、フィルム厚み、P2層のガラス転移温度、P2層の断面観察により求められるP2層に含有するフィラーの平均粒子径、フィラーの構成元素、最表層に存在するP2層の紫外線照射試験前後での色調変化Δbおよび光沢度変化ΔGは表2、3に示す通りであった。
得られたシートについて、P2層の定性分析および、太陽電池裏面保護用シートの特性評価、太陽電池モジュール特性評価を行った。その結果、表3に示す通り、実施例7〜10においてP2層中には構成樹脂成分としてアクリル樹脂成分が含まれていることを確認した。太陽電池裏面保護用シートとしては、製膜後のP2層の外観、P2層の基材密着性、P2層の耐久性および、該シートを用いた太陽電池モジュールの屋外実暴露試験前後の外観変化の少なさは良好であった。実施例7、8にあるようにP2層のガラス転移温度が低くなるに連れ、エタノールの膨潤によりP2層の強度が低下することで実施例1に比べエタノール耐久性が低下する傾向を確認した。一方で、実施例9、10にあるようにP2層のガラス転移温度が高くなるに連れ、P2層の強度があがり製膜の横延伸工程においてP2層が延伸に追従しにくくなり、実施例1に比べひび割れが発生しやすくなることを確認した。
(実施例11〜13)
P2層構成樹脂としてアクリル樹脂に加えカルボジイミド樹脂、オキサゾリン樹脂を用いた塗材(塗材K、L)およびアクリル樹脂のみを用いた塗材(塗材M)を用いた以外は実施例1と同様にシートを得た。
得られたシートからP1層とP2層を分離してフィルム特性を評価したところ固有粘度(IV)、末端カルボキシル基量および、フィルム厚み、P2層のガラス転移温度、P2層の断面観察により求められるP2層に含有するフィラーの平均粒子径、フィラーの構成元素、最表層に存在するP2層の紫外線照射試験前後での色調変化Δbおよび光沢度変化ΔGは表2、3に示す通りであった。
得られたシートについて、P2層の定性分析および、太陽電池裏面保護用シートの特性評価、太陽電池モジュール特性評価を行った。その結果、表3に示す通り、実施例11、12においてP2層中には構成樹脂成分として実施例11からはカルボジイミド樹脂成分が、実施例12からはオキサゾリン樹脂成分が含まれていることを確認した。実施例13からはアクリル樹脂成分のみが含まれていることを確認した。太陽電池裏面保護用シートとしては、製膜後のP2層の外観、P2層の基材密着性、P2層の耐久性および、該シートを用いた太陽電池モジュールの屋外実暴露試験前後の外観変化の少なさは良好であった。しかしメラミン樹脂の代わりにカルボジイミド樹脂、オキサゾリン樹脂を含む実施例11、12では、P2層の傷つき耐久性は実施例1より低下し、アクリル樹脂のみを含む実施例13ではなお一層傷つき耐久性が低下する傾向にあることを確認した。
(実施例14〜17)
塗剤塗布時に、実施例14、15では#4のメタリングバーを、実施例16、17では#16のメタリングバーを用いた以外は実施例1と同様にシートを得た。
得られたシートからP1層とP2層を分離してフィルム特性を評価したところ固有粘度(IV)、末端カルボキシル基量および、フィルム厚み、P2層のガラス転移温度、P2層の断面観察により求められるP2層に含有するフィラーの平均粒子径、フィラーの構成元素、最表層に存在するP2層の紫外線照射試験前後での色調変化Δbおよび光沢度変化ΔGは表2、3に示す通りであった。
得られたシートについて、P2層の定性分析および、太陽電池裏面保護用シートの特性評価、太陽電池モジュール特性評価を行った。その結果、表3に示す通り、実施例14〜17においてP2層は実施例1と同様の成分にて構成されることを確認した。太陽電池裏面保護用シートとしては、製膜後のP2層の外観、P2層の基材密着性、P2層の耐久性および、該シートを用いた太陽電池モジュールの屋外実暴露試験前後の外観変化の少なさは良好であった。しかしながら、P2層厚みを薄くした実施例14、15ではP2層のもつ紫外線吸収効率が低下することで、実暴露試験後のシート色調変化が実施例1に対して増大する傾向を確認した。また、P2層厚みを厚くした実施例16、17では、P2層厚みが厚くなるにつれ塗膜形成時の乾燥が追いつかず塗膜形成ムラが実施例1に対して悪化することを確認した。
(実施例18、19)
使用するメラミン樹脂の種類を変えた塗材(塗材R、S)を用いた以外は実施例1と同様にシートを得た。
得られたシートからP1層とP2層を分離してフィルム特性を評価したところ固有粘度(IV)、末端カルボキシル基量および、フィルム厚み、P2層のガラス転移温度、P2層の断面観察により求められるP2層に含有するフィラーの平均粒子径、フィラーの構成元素、最表層に存在するP2層の紫外線照射試験前後での色調変化Δbおよび光沢度変化ΔGは表2、3に示す通りであった。
得られたシートについて、P2層の定性分析および、太陽電池裏面保護用シートの特性評価、太陽電池モジュール特性評価を行った。その結果、表3に示す通り、実施例18、19においてP2層は実施例1と同様の成分にて構成されることを確認した。太陽電池裏面保護用シートとしては、製膜後のP2層の外観、P2層の基材密着性、P2層の耐久性および、該シートを用いた太陽電池モジュールの屋外実暴露試験前後の外観変化の少なさは良好であった。しかしながら、使用するメラミン樹脂の種類が変わることで得られるシートの紫外線照射試験前の60度光沢度が実施例1より上昇し、紫外線照射試験前後での光沢度変化ΔGは実施例1よりも大きい。これは使用したメラミン樹脂の自己架橋反応速度の違いがP2層の表面形状に関係しているものと考えている。該シートを用いた太陽電池モジュールを屋外実暴露試験したところ試験前後での光沢度変化は実施例1よりも悪化する傾向にあることを確認した。
(実施例20)
紫外線吸収フィラーとして酸化亜鉛を用いた塗材(塗材T)を用いた以外は実施例1と同様にシートを得た。
得られたシートからP1層とP2層を分離してフィルム特性を評価したところ固有粘度(IV)、末端カルボキシル基量および、フィルム厚み、P2層のガラス転移温度、P2層の断面観察により求められるP2層に含有するフィラーの平均粒子径、フィラーの構成元素、最表層に存在するP2層の紫外線照射試験前後での色調変化Δbおよび光沢度変化ΔGは表2、3に示す通りであった。
得られたシートについて、P2層の定性分析および、太陽電池裏面保護用シートの特性評価、太陽電池モジュール特性評価を行った。その結果、表3に示す通り、実施例20においてP2層からは平均粒子径が0.025μmの酸化亜鉛(検出元素:Zn、O)が含まれることを確認した。太陽電池裏面保護用シートとしては、製膜後のP2層の外観、P2層の基材密着性、P2層の耐久性および、該シートを用いた太陽電池モジュールの屋外実暴露試験前後の外観変化の少なさは良好であった。しかしながら、紫外線吸収効率は酸化チタンの方が良好であり、酸化亜鉛を使用した実施例20の屋外実暴露試験前後の色調変化は実施例1に比べ増大することを確認した。
(実施例21)
一軸延伸したシートにコロナ処理を施した後、表に記載の実施例の番号に対応した塗剤を#8のメタリングバーにてシートの両面に塗布する以外は実施例1と同様にシートを得た。
得られたシートからP1層とP2層を分離してフィルム特性を評価したところ固有粘度(IV)、末端カルボキシル基量および、フィルム厚み、P2層のガラス転移温度、P2層の断面観察により求められるP2層に含有するフィラーの平均粒子径、フィラーの構成元素、最表層に存在するP2層の紫外線照射試験前後での色調変化Δbおよび光沢度変化ΔGは表2、3に示す通りであった。
得られたシートについて、P2層の定性分析および、太陽電池裏面保護用シートの特性評価、太陽電池モジュール特性評価を行った。その結果、表3に示す通り、実施例21においてP2層は実施例1と同様の成分にて構成されることを確認した。太陽電池裏面保護用シートとしては、製膜後のP2層の外観、P2層の基材密着性、P2層の耐久性および、該シートを用いた太陽電池モジュールの屋外実暴露試験前後の外観変化の少なさは実施例1と同等に良好であった。
(比較例1〜7)
表2の通り、比較例1ではP2層を形成する塗材を使用せず、比較例2では紫外線吸収フィラーを全く含まない塗材(塗材U)を、比較例3では紫外線吸収フィラーを20質量%含む塗剤(塗材V)を、比較例4では紫外線吸収フィラーを51質量%含む塗剤(塗材W)を、比較例5では平均粒子径が0.01μmの紫外線吸収フィラーを含む塗材(塗材X)を、比較例6では平均粒子径が0.13μmの紫外線吸収フィラーを含む塗材(塗材Y)を、比較例7では紫外線吸収能をほとんど持たないシリカ粒子をフィラーとして含む塗材(塗材Z)を塗布した以外は実施例1と同様にシートを得た。
得られたシートからP1層とP2層を分離してフィルム特性を評価したところ固有粘度(IV)、末端カルボキシル基量および、フィルム厚み、P2層のガラス転移温度、P2層の断面観察により求められるP2層に含有するフィラーの平均粒子径、フィラーの構成元素、最表層に存在するP2層の紫外線照射試験前後での色調変化Δbおよび光沢度変化ΔGは表2、3に示す通りであった。
得られたシートについて、P2層の定性分析および、太陽電池裏面保護用シートの特性評価、太陽電池モジュール特性評価を行った。その結果、P2層の構成は表3に示す通りであることを確認した。
紫外線吸収フィラーを持たない、もしくは少ない比較例1〜3、比較例7および、紫外線吸収フィラーの平均粒子径が大きい比較例6はどれも、太陽電池裏面保護用シートとして製膜後のP2層の外観、P2層の基材密着性、P2層の耐久性は良好であったが、P2層における紫外線吸収能が低く、該太陽電池裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールは屋外実暴露資源前後での外観変化(色調変化Δb、光沢度変化ΔG)が著しく低下することが判明した。
また、紫外線吸収フィラーを大量にP2層に含有する比較例5および、紫外線吸収フィラーの平均粒子径が非常に小さい比較例6ではどちらも、太陽電池裏面保護用シートとして製膜後のP2層の外観、P2層の耐久性および該シートを用いた太陽電池モジュールの屋外実暴露試験前後での外観変化の小ささは良好であったが、P2層の基材密着性が著しく低下することが判明した。
Figure 2016213366
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本発明の太陽電池裏面保護用シートは、ポリエステル樹脂を基材に持ちながらも良好な耐紫外線性から外観変化を起こしにくい。そのため、ポリエステル樹脂を分解する紫外線を含む太陽光が強く降り注ぐ屋外環境であっても太陽電池の品位を損なわない太陽電池裏面保護用シートとして好適に使用でき、さらに該シートを用いることによって太陽電池製造時はもとより、長期間の屋外設置を経ても美観を損なわない太陽電池を提供することができる。
1.基材層(P1層)
2.耐紫外線性層(P2層)
3.発電素子
4.封止材
5.透明基板

Claims (7)

  1. ポリエステル樹脂を主たる構成成分とする基材層(P1層)と、前記P1層の少なくとも片側に隣接する樹脂組成物を用いてなる耐紫外線性層(P2層)を有する積層フィルムであって、少なくとも片側の最表層がP2層であり、次の(1)、(2)の要件を満たすことを特徴とする太陽電池裏面保護用シート。
    (1)P2層を構成する樹脂組成物が紫外線吸収フィラーを含み、当該紫外線吸収フィラーの平均粒子径が0.01μm以上0.1μm以下であること。
    (2)P2層を構成する樹脂組成物に含有する紫外線吸収フィラーの含有量が、P2層を構成する樹脂組成物全体に対して21重量%以上50重量%以下である。
  2. 前記P2層を構成する樹脂組成物が、アクリル樹脂成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池裏面保護用シート。
  3. 前記P2層を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)が50℃以上90℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池裏面保護シート。
  4. メタルハライドランプを用いた紫外線処理試験を行ったとき、試験前の前記P2層を最表層に有する側から測定した60度光沢度の値をG0、試験後のP2層を最表層に有する側から測定した60度光沢度の値をG1としたとき、下記式で求められるΔGが25以下である請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池裏面シート。
    ΔG=G1−G0
  5. 前記P2層を構成する樹脂組成物に含まれる紫外線吸収フィラーが酸化チタンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池裏面保護シート。
  6. 前記P2層を構成する樹脂組成物が、メラミン樹脂成分を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池裏面保護シート。
  7. 前記P2層の厚みが0.1μm以上1.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池裏面保護シート。
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