JPWO2016039216A1 - 有機半導体膜形成用組成物、及び有機半導体膜の製造方法 - Google Patents

有機半導体膜形成用組成物、及び有機半導体膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

得られる有機半導体膜の移動度及び駆動安定性に優れる有機半導体膜形成用組成物、有機半導体膜及びその製造方法、並びに、有機半導体素子を提供すること、並びに、有機半導体化合物前駆体として好適に用いることができる新規な化合物を提供することを目的とする。本発明の有機半導体膜形成用組成物は、式1で表されることを特徴とする化合物、及び、上記化合物を含有する。式1中、ZはNR1、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表し、R1は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、水素原子又は脱離性基を表し、X及びYのうち少なくとも1つは脱離性基であり、Q1〜Q4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、Q1〜Q4は隣り合った基同士がそれぞれ結合して環を形成してもよい。

Description

本発明は、有機半導体膜形成用組成物、有機半導体膜及びその製造方法、有機半導体素子、並びに、有機半導体化合物前駆体に関する。
軽量化、低コスト化、柔軟化が可能であることから、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイに用いられるFET(電界効果トランジスタ)、RFID(Radio Frequency Identifier、RFタグ)等に、有機半導体膜(有機半導体層)を有する有機トランジスタが利用されている。
有機半導体膜を形成するために用いられる有機半導体材料前駆体としては、特許文献1及び2に記載された組成物が知られている。
特開2012−20987号公報 特開2012−23334号公報
従来、有機半導体膜の形成に用いられる有機半導体化合物は、汎用の溶媒に対する溶解度が低いものが多かった。
特許文献1及び2に記載ように、有機半導体材料前駆体がいくつか提案されているが、得られる有機半導体膜のキャリア移動度が低いものであった。
本発明が解決しようとする課題は、得られる有機半導体膜の移動度及び駆動安定性に優れる有機半導体膜形成用組成物、並びに、上記有機半導体膜形成用組成物により形成した有機半導体膜及びその製造方法、並びに、有機半導体素子を提供することである。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、有機半導体化合物前駆体として好適に用いることができる新規な化合物を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の<1>、<13>、<16>、<17>又は<19>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<12>、<14>、<15>、<18>及び<20>〜<28>とともに以下に記載する。
<1>下記式1で表される有機半導体化合物前駆体を含有することを特徴とする有機半導体膜形成用組成物、
Figure 2016039216
式1中、ZはNR、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表し、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、水素原子又は脱離性基を表し、X及びYのうち少なくとも1つは脱離性基であり、Q〜Qはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、Q〜Qは隣り合った基同士がそれぞれ結合して環を形成してもよく、少なくとも1組の隣り合ったQ〜Qが結合して環を形成していない場合、Q〜Qのうち少なくとも1つは縮合多環芳香族基を有する基である。
<2>前記脱離性基が、窒素原子、酸素原子、硫黄原子又は珪素原子を介して環構造に直接結合している脱離性基である、<1>に記載の有機半導体膜形成用組成物、
<3>前記X及びYのうち、一方が脱離性基であり、他方が水素原子である、<1>又は<2>に記載の有機半導体膜形成用組成物、
<4>前記脱離性基が、式X−1〜式X−10のいずれかで表される基である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の有機半導体膜形成用組成物、
Figure 2016039216
式X−1〜式X−10中、R”はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、トリアルキルシリル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
<5>前記Zが、硫黄原子である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の有機半導体膜形成用組成物、
<6>前記Q及びQ、Q及びQ、又は、Q及びQの組み合わせのうち、1つ以上が結合して環を形成している、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の有機半導体膜形成用組成物、
<7>前記式1で表される有機半導体化合物前駆体が、下記式1−1〜式1−6のいずれかで表される有機半導体化合物前駆体である、<4>に記載の有機半導体膜形成用組成物、
Figure 2016039216
式1−1〜式1−4中、X’及びY’はそれぞれ独立に、水素原子又は前記式X−1〜式X−10で表される基を表し、Q’〜Q’はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、環A、環B及び環Cはそれぞれ独立に、ベンゼン環、アゾール環、フラン環又はチオフェン環を表し、k1はそれぞれ独立に、0〜4の整数を表し、k1が2〜4の整数である場合、複数存在する環Bはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Figure 2016039216
式1−5及び式1−6中、X”及びY”はそれぞれ独立に、水素原子又は前記式X−1〜式X−10で表される基を表し、Q”〜Q”はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、環D、環E及び環Fはそれぞれ独立に、ベンゼン環、アゾール環、フラン環又はチオフェン環を表し、k2はそれぞれ独立に、1〜6の整数を表し、k2が2〜6の整数である場合、複数存在する環Eはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
<8>前記Q及びQが、下記式Q−1で表される基であるか、又は、前記Q及びQが、下記式Q−1で表される基である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の有機半導体膜形成用組成物、
−L−R (Q−1)
式Q−1中、Lは、下記式L−1〜式L−25のいずれかで表される二価の連結基、又は、下記式L−1〜式L−25のいずれかで表される二価の連結基が2つ以上結合した二価の連結基を表し、Rは、水素原子、アルキル基、オキシエチレン単位の繰り返し数vが2以上のオリゴオキシエチレン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基又はトリアルキルシリル基を表す。
Figure 2016039216
式L−1〜式L−25中、*はR側の結合位置を表し、波線部分はもう一方の結合位置を表し、式L−1、式L−2、式L−6及び式L−13〜式L−24におけるR’はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、式L−20及び式L−24におけるRNは水素原子又は置換基を表し、式L−25におけるRsiはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
<9>前記Q及びQが、アルキル基、アリール基又はチオアリール基であるか、又は、前記Q及びQが、アルキル基、アリール基又はチオアリール基である、<8>に記載の有機半導体膜形成用組成物、
<10>有機溶媒を更に含有する、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の有機半導体膜形成用組成物、
<11>前記有機溶媒が、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒及び/又はエーテル系溶媒である、<10>に記載の有機半導体膜形成用組成物、
<12>バインダーポリマーを更に含有する、<1>〜<11>のいずれか1つに記載の有機半導体膜形成用組成物、
<13><1>〜<12>のいずれか1つに記載の有機半導体膜形成用組成物により成膜する成膜工程と、前記有機半導体膜形成用組成物に対して外部刺激を与えて、前記式1で表される有機半導体化合物前駆体の少なくとも一部が、脱離性基の脱離を伴い芳香族化し有機半導体層を形成する脱離工程と、を含む、有機半導体膜の製造方法、
<14>前記外部刺激が、100℃以上の加熱である、<13>に記載の有機半導体膜の製造方法、
<15>前記成膜工程が、溶液塗布法により成膜する工程である、<13>又は<14>に記載の有機半導体膜の製造方法、
<16><13>〜<15>のいずれか1つに記載の有機半導体膜の製造方法で製造された有機半導体膜、
<17><13>〜<15>のいずれか1つに記載の有機半導体膜の製造方法で製造された有機半導体膜を有する有機半導体素子、
<18>有機薄膜トランジスタである、<17>に記載の有機半導体素子、
<19>下記式1で表されることを特徴とする化合物、
Figure 2016039216
式1中、ZはNR、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表し、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、水素原子又は脱離性基を表し、X及びYのうち少なくとも1つは脱離性基であり、Q〜Qはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、Q〜Qは隣り合った基同士でそれぞれ結合して環を形成してもよく、少なくとも1組の隣り合ったQ〜Qが結合して環を形成していない場合、Q〜Qのうち少なくとも1つは縮合多環芳香族基を有する基である。
<20>前記脱離性基が、窒素原子、酸素原子、硫黄原子又は珪素原子を介して環構造に直接結合している脱離性基である、<19>に記載の化合物、
<21>前記X及びYのうち、一方が脱離性基であり、他方が水素原子である、<19>又は<20>に記載の化合物、
<22>上記脱離性基が、式X−1〜式X−10のいずれかで表される基である、<19>〜<21>のいずれか1つに記載の化合物、
Figure 2016039216
式X−1〜式X−10中、R”はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、トリアルキルシリル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
<23>前記Zが、硫黄原子である、<19>〜<22>のいずれか1つに記載の化合物、
<24>前記Q及びQ、Q及びQ、又は、Q及びQの組み合わせのうち、1つ以上が結合して環を形成している、<19>〜<23>のいずれか1つに記載の化合物、
<25>下記式1−1〜式1−6のいずれかで表される、<22>に記載の化合物、
Figure 2016039216
式1−1〜式1−4中、X’及びY’はそれぞれ独立に、水素原子又は前記式X−1〜式X−10で表される基を表し、Q’〜Q’はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、環A、環B及び環Cはそれぞれ独立に、ベンゼン環、アゾール環、フラン環又はチオフェン環を表し、k1はそれぞれ独立に、0〜4の整数を表し、k1が2〜4の整数である場合、複数存在する環Bはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Figure 2016039216
式1−5及び式1−6中、X”及びY”はそれぞれ独立に、水素原子又は前記式X−1〜式X−10で表される基を表し、Q”〜Q”はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、環D、環E及び環Fはそれぞれ独立に、ベンゼン環、アゾール環、フラン環又はチオフェン環を表し、k2はそれぞれ独立に、1〜6の整数を表し、k2が2〜6の整数である場合、複数存在する環Eはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
<26>前記Q及びQが、下記式Q−1で表される基であるか、又は、前記Q及びQが、下記式Q−1で表される基である、<19>〜<24>のいずれか1つに記載の化合物、
−L−R (Q−1)
式Q−1中、Lは、下記式L−1〜式L−25のいずれかで表される二価の連結基、又は、下記式L−1〜式L−25のいずれかで表される二価の連結基が2つ以上結合した二価の連結基を表し、Rは、水素原子、アルキル基、オキシエチレン単位の繰り返し数vが2以上のオリゴオキシエチレン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基又はトリアルキルシリル基を表す。
Figure 2016039216
式L−1〜式L−25中、*はR側の結合位置を表し、波線部分はもう一方の結合位置を表し、式L−1、式L−2、式L−6及び式L−13〜式L−24におけるR’はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、式L−20及び式L−24におけるRNは水素原子又は置換基を表し、式L−25におけるRsiはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
<27>前記Q及びQが、アルキル基、アリール基又はチオアリール基であるか、又は、前記Q及びQが、アルキル基、アリール基又はチオアリール基である、<26>に記載の化合物、
<28>有機半導体化合物前駆体である、<19>〜<27>のいずれか1つに記載の化合物。
本発明によれば、得られる有機半導体膜の移動度及び駆動安定性に優れる有機半導体膜形成用組成物、並びに、上記有機半導体膜形成用組成物により形成した有機半導体膜及びその製造方法、並びに、有機半導体素子を提供することができた。
また、本発明によれば、有機半導体化合物前駆体として好適に用いることができる新規な化合物を提供することができた。
本発明の有機半導体素子の一態様の断面模式図である。 本発明の有機半導体素子の別の一態様の断面模式図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、本発明における有機EL素子とは、有機エレクトロルミネッセンス素子のことをいう。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものとともに置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書における化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
本発明において、「移動度」との記載は、キャリア移動度を意味し、電子移動度及びホール移動度のいずれか、又は、双方を意味する。
また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本発明において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい。
(新規化合物)
本発明の化合物は、下記式1で表されることを特徴とする。
Figure 2016039216
式1中、ZはNR、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表し、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、水素原子又は脱離性基を表し、X及びYのうち少なくとも1つは脱離性基であり、Q〜Qはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、Q〜Qは隣り合った基同士がそれぞれ結合して環を形成してもよく、少なくとも1組の隣り合ったQ〜Qが結合して環を形成していない場合、Q〜Qのうち少なくとも1つは縮合多環芳香族基を有する基である。
本発明の化合物は、新規な化合物であり、また、有機半導体化合物前駆体として好適に用いることができる。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、上記式1で表される、脱離基を有する5員環のジヒドロ複素芳香環構造を有することにより、得られる有機半導体膜の移動度及び駆動安定性に優れることを見いだし、本発明を完成するに至ったものである。
詳細な効果の発現機構については不明であるが、本発明の化合物は式1で表される末端へテロ環の相互作用により、最高被占軌道(HOMO)軌道の重なりが得られ、結晶性が上がることで、高移動度となると推定される。また、低温(100℃〜200℃)で有機半導体化合物へ変換でき、不純物がほとんど生成しないため、不純物によるキャリアトラップや結晶性及び配向性の低下などの影響が少なく、繰り返し駆動後の閾値電圧変化が小さくなる(駆動安定性に優れる)と推定される。
式1におけるZはNR、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表し、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子であることが好ましく、硫黄原子又はセレン原子であることがより好ましく、硫黄原子であることが更に好ましい。上記態様であると、得られる有機半導体膜の移動度により優れる。
式1におけるRは水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基又はフェニル基であることがより好ましく、炭素数1〜8のアルキル基であることが更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
式1におけるX及びYはそれぞれ独立に、水素原子又は脱離性基を表し、X及びYのうち少なくとも1つは脱離性基である。
式1においては、X及びYのうち、一方が脱離性基であり、他方が水素原子であることが好ましい。上記態様であると、化合物の安定性及び脱離性に優れ、また、得られる有機半導体膜の移動度により優れる。
上記脱離性基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子又は珪素原子を介して環構造に直接結合している脱離性基であることが好ましく、酸素原子を介して環構造に直接結合している脱離性基であることがより好ましい。上記態様であると、化合物の安定性及び脱離性に優れ、また、得られる有機半導体膜の移動度により優れる。
上記脱離性基は、式X−1〜式X−10のいずれかで表される基であることが好ましく、式X−1〜式X−4のいずれかで表される基であることがより好ましく、式X−1又は式X−4で表される基であることが更に好ましい。上記態様であると、化合物の安定性及び脱離性に優れ、また、得られる有機半導体膜の移動度により優れる。
Figure 2016039216
式X−1〜式X−10中、R”はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、トリアルキルシリル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
式X−1〜式X−7におけるR”は、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
式X−8におけるR”は、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、メチル基、フェニル基又はトルイル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
式X−9におけるR”はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
式X−10におけるR”はそれぞれ独立に、アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
R”におけるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、トリアルキルシリル基、アルケニル基及びアルキニル基は、置換基を有していてもよい。
置換基の種類は特に制限されないが、以下に説明する置換基Xが挙げられる。
置換基Xとしては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、又は、アリール基が好ましく、フッ素原子、炭素数1〜3の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2〜3の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2〜3の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素数1〜2の置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のメチルチオ基、又は、フェニル基がより好ましく、フッ素原子、炭素数1〜3の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2〜3の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2〜3の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素数1〜2の置換若しくは無置換のアルコキシ基、又は、置換若しくは無置換のメチルチオ基が特に好ましい。
式1におけるQ〜Qはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、Q〜Qは隣り合った基同士がそれぞれ結合して環を形成してもよく、少なくとも1組の隣り合ったQ〜Qが結合して環を形成していない場合、Q〜Qのうち少なくとも1つは縮合多環芳香族基を有する基である。
〜Qは隣り合った基同士がそれぞれ結合して環を形成している場合の環数は有機半導体としての移動度の観点から、2〜9が好ましく、3〜7がより好ましく、4〜6が更に好ましい。
上記縮合多環芳香族基とは、芳香族環が複数縮合して得られる基である。
芳香族環としては、芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン環)、及び、芳香族複素環(例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、セレノフェン環、イミダゾール環)が挙げられる。
上記縮合多環芳香族基中の環数は、有機半導体としての移動度の観点から、2〜9が好ましく、3〜7がより好ましく、4〜6が更に好ましい。
また、有機半導体としての移動度の観点から、上記縮合多環芳香族基中、少なくとも2つの環が、硫黄原子、窒素原子、セレン原子及び酸素原子よりなる群から選択された少なくとも1種の原子を含むことが好ましく、2〜6つの環が上記原子を含むことが好ましく、2〜4つの環が上記原子を含むことがより好ましい。
また、有機半導体としての移動度の観点から、上記縮合多環芳香族基中に少なくとも2つの複素環が含まれ、上記複素環中にそれぞれ1個のヘテロ原子を有することが好ましい。ヘテロ原子の種類は特に制限されず、O原子(酸素原子)、S原子(硫黄原子)、N原子(窒素原子)、Se原子(セレン原子)などが挙げられる。
また、上記縮合多環芳香族基中の有機半導体としての移動度の観点から、チオフェン環構造及び/又はセレノフェン環構造を少なくとも有することが好ましく、チオフェン環構造を少なくとも有することがより好ましく、成分Aが有する複素環構造が全てチオフェン環構造であることが更に好ましい。
また、Q及びQ、Q及びQ、又は、Q及びQの組み合わせのうち、1つ以上が結合して環を形成していることが好ましい。
更に、Q〜Qのうち、少なくとも1つは、一価の有機基又は1つ以上が結合して環を形成した基として、式1で表される構造と同様な構造を1以上有していることが好ましく、1つ有していることがより好ましい。
また、Q〜Qにおける5員環のジヒドロ複素芳香環構造に上記縮合多環芳香族基が縮合した構造であってもよい。
上記Q及びQが、下記式Q−1で表される基であるか、又は、上記Q及びQが、下記式Q−1で表される基であることが好ましい。
−L−R (Q−1)
式Q−1中、Lは、下記式L−1〜式L−25のいずれかで表される二価の連結基、又は、下記式L−1〜式L−25のいずれかで表される二価の連結基が2つ以上結合した二価の連結基を表し、Rは、水素原子、アルキル基、オキシエチレン単位の繰り返し数vが2以上のオリゴオキシエチレン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基又はトリアルキルシリル基を表す。
Figure 2016039216
式L−1〜式L−25中、*はR側の結合位置を表し、波線部分はもう一方の結合位置を表し、式L−1、式L−2、式L−6及び式L−13〜式L−24におけるR’はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、式L−20及び式L−24におけるRNは水素原子又は置換基を表し、式L−25におけるRsiはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
なお、Lが式L−1〜式L−25のいずれかで表される二価の連結基が2つ以上結合した二価の連結基を表す場合、一方の連結基の*が、他方の連結基の波線部分と結合する。
式L−13〜式L−24におけるR’の結合位置及びR側の結合位置*は、芳香環又は複素芳香環上の任意の位置をとることができる。
式L−1、式L−2、式L−6及び式L−13〜式L−24におけるR’はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rsiはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
式L−1及び式L−2中のR’はそれぞれLに隣接するRと結合して縮合環を形成してもよい。
これらの中でも、式L−17〜式L−21、式L−23及び式L−24のいずれかで表される二価の連結基は、下記式L−17A〜式L−21A、式L−23A及び式L−24Aで表される二価の連結基であることがより好ましい。
Figure 2016039216
式L−1、式L−2、式L−6及び式L−13〜式L−24中のR’としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基又はアリール基であることが好ましい。
中でも、式L−6中のR’はアルキル基であることが好ましく、式L−6中のR’がアルキル基である場合は、アルキル基の炭素数は1〜9であることが好ましく、1〜5であることが化学的安定性、キャリア輸送性の観点からより好ましく、1〜3であることが更に好ましい。式L−6中のR’がアルキル基である場合は、アルキル基は直鎖アルキル基であることが、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
式L−20及び式L−24中のRは水素原子又は置換基を表し、Rとしては、上記の式1のR1a〜R1fがとり得る置換基として例示したものを挙げることができる。その中でも、Rとしては、水素原子又はメチル基が好ましい。
式L−25中のRsiはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、アルキル基であることが好ましい。Rsiがとり得るアルキル基としては、特に制限はないが、Rsiがとり得るアルキル基の好ましい範囲は、Rがトリアルキルシリル基である場合にトリアルキルシリル基がとり得るアルキル基の好ましい範囲と同様である。Rsiがとり得るアルケニル基としては、特に制限はないが、置換又は無置換のアルケニル基が好ましく、直鎖アルケニル基であることがより好ましく、アルケニル基の炭素数は1〜3であることが好ましい。Rsiがとり得るアルキニル基としては、特に制限はないが、置換又は無置換のアルキニル基が好ましく、直鎖アルキニル基であることがより好ましく、アルキニル基の炭素数は1〜3であることが好ましい。
Lは、式L−1〜式L−5、式L−13、式L−17及び式L−18のいずれかで表される二価の連結基、又は、式L−1〜式L−5、式L−13、式L−17及び式L−18のいずれかで表される二価の連結基が2以上結合した二価の連結基であることが好ましく、式L−1、式L−3、式L−13及び式L−18のいずれかで表される二価の連結基、又は、式L−1、式L−3、式L−13及び式L−18のいずれかで表される二価の連結基が2以上結合した二価の連結基であることがより好ましく、式L−1、式L−3、式L−13及び式L−18のいずれかで表される二価の連結基、又は、式L−3、式L−13及び式L−18のいずれか1つで表される二価の連結基と1以上の式L−1で表される二価の連結基とを結合した二価の連結基であることが特に好ましい。
中でも、Q〜Qの少なくとも1つが、アルキル基、アリール基又はチオアリール基であるか、又は、Q及びQが、アルキル基、アリール基又はチオアリール基であることがより好ましい。
また、Q〜Qの少なくとも1つが、炭素数2〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数4〜8のアルキル基であることがより好ましい。上記態様であると、溶解性に優れ、また、得られる有機半導体膜の移動度及び駆動安定性により優れる。
本発明の化合物は、下記式1−1〜式1−6のいずれかで表される化合物であることが好ましく、下記式1−1、式1−2及び式1−5のいずれかで表される化合物であることがより好ましく、下記式1−1又は式1−2のいずれかで表される化合物であることが更に好ましく、下記式1−1で表される化合物であることが特に好ましい。上記態様であると、得られる有機半導体膜の移動度及び駆動安定性により優れる。
Figure 2016039216
式1−1〜式1−4中、X’及びY’はそれぞれ独立に、水素原子又は上記式X−1〜式X−10で表される基を表し、Q’〜Q’はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、環A、環B及び環Cはそれぞれ独立に、ベンゼン環、アゾール環、フラン環又はチオフェン環を表し、k1はそれぞれ独立に、0〜4の整数を表し、k1が2〜4の整数である場合、複数存在する環Bはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Figure 2016039216
式1−5及び式1−6中、X”及びY”はそれぞれ独立に、水素原子又は上記式X−1〜式X−10で表される基を表し、Q”〜Q”はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、環D、環E及び環Fはそれぞれ独立に、ベンゼン環、アゾール環、フラン環又はチオフェン環を表し、k2はそれぞれ独立に、1〜6の整数を表し、k2が2〜6の整数である場合、複数存在する環Eはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
式1−1〜式1−4においては、同一の環に結合するX’及びY’のうち、一方が脱離性基であり、他方が水素原子であることが好ましい。上記態様であると、化合物の安定性及び脱離性に優れ、また、得られる有機半導体膜の移動度により優れる。
式1−5及び式1−6においては、同一の環に結合するX”及びY”のうち、一方が脱離性基であり、他方が水素原子であることが好ましい。上記態様であると、化合物の安定性及び脱離性に優れ、また、得られる有機半導体膜の移動度により優れる。
また、式1−1〜式1−6における式X−1〜式X−10で表される基は、上述した式X−1〜式X−10で表される基と同義であり、好ましい態様も同様である。
式1−1〜式1−6におけるQ’〜Q’及びQ”〜Q”はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表す。
Q’〜Q’及びQ”〜Q”における一価の有機基は、上記式Q−1で表される基であることが好ましい。
Q’〜Q’及びQ”〜Q”における式Q−1で表される基は、上述した式Q−1で表される基と同義であり、好ましい態様も同様である。
中でも、Q’及びQ’が、アルキル基、アリール基又はチオアリール基であるか、又は、Q’及びQ’が、アルキル基、アリール基又はチオアリール基であることがより好ましい。
また、Q’〜Q’の少なくとも1つが、炭素数2〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数4〜8のアルキル基であることがより好ましい。上記態様であると、溶解性に優れ、また、得られる有機半導体膜の移動度及び駆動安定性により優れる。
更に、Q’及びQ’、又は、Q’及びQ’が、炭素数2〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数4〜8のアルキル基であることがより好ましい。上記態様であると、溶解性に優れ、また、得られる有機半導体膜の移動度及び駆動安定性により優れる。
また、中でも、Q〜Qの少なくとも1つが、アルキル基、アリール基又はチオアリール基であるか、又は、Q”及びQ”が、アルキル基、アリール基又はチオアリール基であることがより好ましい。
また、Q”〜Q”の少なくとも1つが、炭素数2〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数4〜8のアルキル基であることがより好ましい。上記態様であると、溶解性に優れ、また、得られる有機半導体膜の移動度及び駆動安定性により優れる。
式1−1〜式1−4における環A、環B及び環Cはそれぞれ独立に、ベンゼン環、アゾール環、フラン環又はチオフェン環を表し、k1は0〜4の整数を表し、k1が2〜4の場合、複数存在する環Bはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
環A、環B及び環Cはそれぞれ独立に、ベンゼン環又はチオフェン環であることが好ましい。
k1はそれぞれ独立に、2〜4の整数であることが好ましく、2又は3であることがより好ましく、3であることが更に好ましい。
式1−5及び式1−6における環D、環E及び環Fはそれぞれ独立に、ベンゼン環、アゾール環、フラン環又はチオフェン環を表し、k2は1〜6の整数を表し、k2が2〜6の整数である場合、複数存在する環Eはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
環D、環E及び環Fはそれぞれ独立に、ベンゼン環又はチオフェン環であることが好ましい。
k2はそれぞれ独立に、1〜4の整数であることが好ましく、2又は3であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。
以下に本発明の化合物の好ましい具体例を示すが、これらに限定されないことは言うまでもない。
Figure 2016039216
Figure 2016039216
(有機半導体膜形成用組成物)
本発明の有機半導体膜形成用組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)は、下記式1で表される有機半導体化合物前駆体を含有することを特徴とする。
Figure 2016039216
式1中、ZはNR、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表し、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、水素原子又は脱離性基を表し、X及びYのうち少なくとも1つは脱離性基であり、Q〜Qはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、Q〜Qは隣り合った基同士がそれぞれ結合して環を形成してもよく、少なくとも1組の隣り合ったQ〜Qが結合して環を形成していない場合、Q〜Qのうち少なくとも1つは縮合多環芳香族基を有する基である。
本発明の有機半導体膜形成用組成物における式1で表される有機半導体化合物前駆体は、上述した本発明の化合物と同義であり、好ましい態様も同様である。
式1で表される有機半導体化合物前駆体は、1種単独で含有していても、2種以上を含有していてもよいが、得られる有機半導体膜の移動度の観点から、1種単独で含有することが好ましい。
本発明の有機半導体膜形成用組成物における式1で表される有機半導体化合物前駆体の含有量は、全固形分に対し、30〜100質量%であることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましく、70〜100質量%であることが更に好ましい。また、後述するバインダーポリマーを含有しない場合は、上記含有量が、全固形分に対し、90〜100質量%であることが好ましく、95〜100質量%であることがより好ましい。なお、固形分とは、溶媒等の揮発性成分を除いた量のことである。
<バインダーポリマー>
本発明の有機半導体膜形成用組成物は、バインダーポリマーを更に含有することが好ましい。
また、後述する本発明の有機半導体素子は、上記有機半導体層とバインダーポリマーを含む層を有する有機半導体素子であってもよい。
バインダーポリマーの種類は特に制限されず、公知のバインダーポリマーを用いることができる。
バインダーポリマーとしては、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
中でも、バインダーポリマーとしては、ベンゼン環を有する高分子化合物(ベンゼン環基を有する単量体単位を有する高分子)が好ましい。ベンゼン環基を有する単量体単位の含有量は特に制限されないが、全単量体単位中、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、100モル%が挙げられる。
上記バインダーポリマーとしては、例えば、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリビニルシンナメート、ポリ(4−ビニルフェニル)、ポリ(4−メチルスチレン)などが挙げられる。
バインダーポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、1,000〜200万が好ましく、3,000〜150万がより好ましく、10万〜100万が更に好ましい。
また、後述する溶媒を用いる場合、バインダーポリマーは、使用する溶媒への溶解度が、特定化合物よりも高いことが好ましい。上記態様であると、得られる有機半導体の移動度及び熱安定性により優れる。
本発明の有機半導体膜形成用組成物におけるバインダーポリマーの含有量は、特定化合物の含有量100質量部に対し、1〜200質量部であることが好ましく、10〜150質量部であることがより好ましく、20〜120質量部であることが更に好ましい。上記範囲であると、得られる有機半導体の移動度及び熱安定性により優れる。
<溶媒>
本発明の有機半導体膜形成用組成物は、溶媒を含むことが好ましく、有機溶媒を含むことがより好ましい。
溶媒としては、公知の溶媒を用いることができる。
具体的には、例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、デカリン、1−メチルナフタレンなどの炭化水素系溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル系溶媒、メタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールなどのアルコール系溶媒、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソールなどのエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1−メチル−2−イミダゾリジノン等のアミド・イミド系溶媒、ジメチルスルフォキサイドなどのスルホキシド系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒が挙げられる。
溶媒は、1種単独で用いてもよく、複数組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒及び/又はエーテル系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジクロロベンゼン又はアニソールがより好ましく、トルエンが特に好ましい。
溶媒を含有する場合、本発明の有機半導体膜形成用組成物における成分Aの含有量は、0.01〜80質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましく、0.1〜5質量%であることが更に好ましく、また、成分Bの含有量は、0.01〜80質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましく、0.1〜5質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、塗布性に優れ、容易に有機半導体膜を形成することができる。
本発明の有機半導体膜形成用組成物の粘度は、特に制限されないが、塗布性により優れる点で、0.1〜100mPa・sが好ましく、0.1〜50mPa・sがより好ましく、9〜40mPa・sが更に好ましい。なお、本発明における粘度は、25℃での粘度である。
粘度の測定方法としては、JIS Z8803に準拠した測定方法であることが好ましい。
<その他の成分>
本発明の有機半導体膜形成用組成物には、式1で表される有機半導体化合物前駆体、バインダーポリマー及び溶媒以外に他の成分が含まれていてもよい。
その他の成分としては、公知の添加剤等を用いることができる。
本発明の有機半導体膜形成用組成物における式1で表される有機半導体化合物前駆体、バインダーポリマー及び溶媒以外の成分の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、0.1質量%以下であることが特に好ましい。上記範囲であると、膜形成性に優れ、得られる有機半導体の移動度及び熱安定性により優れる。
本発明の有機半導体膜形成用組成物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、溶媒中に所定量の式1で表される有機半導体化合物前駆体及びバインダーポリマーを同時又は逐次に添加して、適宜撹拌処理を施すことにより、所望の組成物を得ることができる。
(有機半導体膜及び有機半導体素子)
本発明の有機半導体膜は、式1で表される有機半導体化合物前駆体を含むか、又は、式1で表される有機半導体化合物前駆体を加熱して得られた有機半導体化合物を含むことを特徴とする。
本発明の有機半導体素子は、式1で表される有機半導体化合物前駆体を含むか、又は、式1で表される有機半導体化合物前駆体を加熱して得られた有機半導体化合物を含むことを特徴とする。
本発明の第1の好ましい実施態様における有機半導体素子は、本発明の有機半導体膜形成用組成物を用いて形成した有機半導体膜を有する有機半導体素子である。第1の実施態様であると、膜形成性に優れ、得られる有機半導体の移動度及び駆動安定性により優れる。
本発明の第2の好ましい実施態様における有機半導体素子は、上記有機半導体を含む層と絶縁膜との間に上記ポリマーを含む層を有する有機半導体素子である。第2の実施態様であると、生産性及びコストに優れる。
上記第2の実施態様における有機半導体を含む層は、上記有機半導体からなる層であることが好ましい。
また、上記第2の好ましい実施態様における絶縁膜は、ゲート絶縁膜であることが好ましい。
更に、上記第2の好ましい実施態様におけるポリマーを含む層は、上記ポリマーからなる層であることが好ましい。
本発明の有機半導体膜及び本発明の有機半導体素子は、本発明の有機半導体膜形成用組成物を用いて製造されたものであることが好ましい。
本発明の有機半導体膜形成用組成物を用いて有機半導体膜や有機半導体素子を製造する方法は、特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、組成物を所定の基材上に付与して、必要に応じて乾燥処理を施して、有機半導体膜を製造する方法が挙げられる。
基材上に組成物を付与する方法は特に制限されず、公知の方法を採用でき、例えば、インクジェット印刷法、フレキソ印刷法、バーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ドクターブレード法などが挙げられ、インクジェット印刷法、フレキソ印刷法が好ましい。
なお、フレキソ印刷法としては、フレキソ印刷版として感光性樹脂版を用いる態様が好適に挙げられる。態様によって、組成物を基板上に印刷して、パターンを容易に形成することができる。
中でも、本発明の有機半導体膜の製造方法、及び、本発明の有機半導体素子の製造方法は、本発明の有機半導体膜形成用組成物により成膜する成膜工程と、上記有機半導体膜形成用組成物に対して外部刺激を与えて、式1で表される有機半導体化合物前駆体の少なくとも一部が、脱離性基の脱離を伴い芳香族化し有機半導体活性層を形成する脱離工程とを含むことが特に好ましい。
上記成膜工程における乾燥処理は、必要に応じて実施される処理であり、使用される式1で表される有機半導体化合物前駆体及び溶媒の種類により適宜最適な条件が選択される。中でも、得られる有機半導体の移動度及び熱安定性により優れ、また、生産性に優れる点で、加熱温度としては30℃〜200℃が好ましく、50℃〜150℃がより好ましく、加熱時間としては10〜300分が好ましく、10〜150分がより好ましい。
上記脱離工程における外部刺激としては、加熱が好ましい。
上記脱離工程における加熱温度としては、100℃〜250℃であることが好ましく、100℃〜200℃であることがより好ましい。加熱時間としては1〜300分が好ましく、1〜150分がより好ましく、1〜60分が更に好ましい。
形成される有機半導体膜の膜厚は、特に制限されないが、得られる有機半導体の移動度及び駆動安定性の観点から、10〜500nmが好ましく、30〜200nmがより好ましい。
本発明の組成物より製造される有機半導体膜は、有機半導体素子に好適に使用することができ、有機トランジスタ(有機薄膜トランジスタ)に特に好適に使用することができる。
有機半導体素子としては、特に制限はないが、2〜5端子の有機半導体素子であることが好ましく、2又は3端子の有機半導体素子であることがより好ましい。
また、有機半導体素子としては、光電機能を用いない素子であることが好ましい。
2端子素子としては、整流用ダイオード、定電圧ダイオード、PINダイオード、ショットキーバリアダイオード、サージ保護用ダイオード、ダイアック、バリスタ、トンネルダイオード等が挙げられる。
3端子素子としては、バイポーラトランジスタ、ダーリントントランジスタ、電界効果トランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、ユニジャンクショントランジスタ、静電誘導トランジスタ、ゲートターンサイリスタ、トライアック、静電誘導サイリスタ等が挙げられる。
これらの中でも、整流用ダイオード、及び、トランジスタ類が好ましく挙げられ、電界効果トランジスタがより好ましく挙げられる。
電界効果トランジスタとしては、有機薄膜トランジスタが好ましく挙げられる。
本発明の有機薄膜トランジスタの一態様について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の有機半導体素子(有機薄膜トランジスタ(TFT))の一態様の断面模式図である。
図1において、有機薄膜トランジスタ100は、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極20と、ゲート電極20を覆うゲート絶縁膜30と、ゲート絶縁膜30のゲート電極20側とは反対側の表面に接するソース電極40及びドレイン電極42と、ソース電極40とドレイン電極42との間のゲート絶縁膜30の表面を覆う有機半導体膜50と、各部材を覆う封止層60とを備える。有機薄膜トランジスタ100は、ボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタである。
なお、図1においては、有機半導体膜50が、上述した組成物より形成される膜に該当する。
以下、基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体膜及び封止層並びにそれぞれの形成方法について詳述する。
<基板>
基板は、後述するゲート電極、ソース電極、ドレイン電極などを支持する役割を果たす。
基板の種類は特に制限されず、例えば、プラスチック基板、ガラス基板、セラミック基板などが挙げられる。中でも、各デバイスへの適用性及びコストの観点から、ガラス基板又はプラスチック基板であることが好ましい。
プラスチック基板の材料としては、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)など)又は熱可塑性樹脂(例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォンなど)が挙げられる。
セラミック基板の材料としては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、ジルコニア、シリコン、窒化シリコン、シリコンカーバイドなどが挙げられる。
ガラス基板の材料としては、例えば、ソーダガラス、カリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、アルミケイ酸ガラス、鉛ガラスなどが挙げられる。
<ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極>
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の材料としては、例えば、金(Au)、銀、アルミニウム(Al)、銅、クロム、ニッケル、コバルト、チタン、白金、タンタル、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属;InO、SnO、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性の酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン等の導電性高分子;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素等の半導体;フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料などが挙げられる。中でも、金属であることが好ましく、銀又はアルミニウムであることがより好ましい。
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の厚みは特に制限されないが、20〜200nmであることが好ましい。
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を形成する方法は特に制限されないが、例えば、基板上に、電極材料を真空蒸着又はスパッタする方法、電極形成用組成物を塗布又は印刷する方法などが挙げられる。また、電極をパターニングする場合、パターニングする方法としては、例えば、フォトリソグラフィー法;インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法;マスク蒸着法などが挙げられる。
<ゲート絶縁膜>
ゲート絶縁膜の材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリベンゾオキサゾール、ポリシルセスキオキサン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のポリマー;二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の酸化物;窒化珪素等の窒化物などが挙げられる。これらの材料のうち、有機半導体膜との相性から、ポリマーであることが好ましい。
ゲート絶縁膜の材料としてポリマーを用いる場合、架橋剤(例えば、メラミン)を併用することが好ましい。架橋剤を併用することで、ポリマーが架橋されて、形成されるゲート絶縁膜の耐久性が向上する。
ゲート絶縁膜の膜厚は特に制限されないが、100〜1,000nmであることが好ましい。
ゲート絶縁膜を形成する方法は特に制限されないが、例えば、ゲート電極が形成された基板上に、ゲート絶縁膜形成用組成物を塗布する方法、ゲート絶縁膜材料を蒸着又はスパッタする方法などが挙げられる。ゲート絶縁膜形成用組成物を塗布する方法は特に制限されず、公知の方法(バーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ドクターブレード法)を使用することができる。
ゲート絶縁膜形成用組成物を塗布してゲート絶縁膜を形成する場合、溶媒除去、架橋などを目的として、塗布後に加熱(ベーク)してもよい。
<有機半導体膜>
本発明の有機半導体膜は、本発明の有機半導体膜形成用組成物より形成される膜である。
有機半導体膜の形成方法は特に制限されず、上述した組成物を、ソース電極、ドレイン電極、及び、ゲート絶縁膜上に付与して、必要に応じて乾燥処理を施すことにより、所望の有機半導体膜を形成することができる。
<ポリマー層>
本発明の有機半導体素子は、上記有機半導体を含む層と絶縁膜との間に上記ポリマー層を有することが好ましく、上記有機半導体とゲート絶縁膜との間に上記ポリマー層を有することがより好ましい。上記ポリマー層の膜厚は特に制限されないが、20〜500nmであることが好ましい。上記ポリマー層は、上記ポリマーを含む層であればよいが、上記ポリマーからなる層であることが好ましい。
ポリマー層を形成する方法は特に制限されないが、公知の方法(バーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ドクターブレード法、インクジェット法)を使用することができる。
ポリマー層形成用組成物を塗布してポリマー層を形成する場合、溶媒除去、架橋などを目的として、塗布後に加熱(ベーク)してもよい。
<封止層>
本発明の有機薄膜トランジスタは、耐久性の観点から、最外層に封止層を備えることが好ましい。封止層には公知の封止剤を用いることができる。
封止層の厚さは特に制限されないが、0.2〜10μmであることが好ましい。
封止層を形成する方法は特に制限されないが、例えば、ゲート電極とゲート絶縁膜とソース電極とドレイン電極と有機半導体膜とが形成された基板上に、封止層形成用組成物を塗布する方法などが挙げられる。封止層形成用組成物を塗布する方法の具体例は、ゲート絶縁膜形成用組成物を塗布する方法と同じである。封止層形成用組成物を塗布して有機半導体膜を形成する場合、溶媒除去、架橋などを目的として、塗布後に加熱(ベーク)してもよい。
また、図2は、本発明の有機半導体素子(有機薄膜トランジスタ)の別の一態様の断面模式図である。
図2において、有機薄膜トランジスタ200は、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極20と、ゲート電極20を覆うゲート絶縁膜30と、ゲート絶縁膜30上に配置された有機半導体膜50と、有機半導体膜50上に配置されたソース電極40及びドレイン電極42と、各部材を覆う封止層60を備える。ここで、ソース電極40及びドレイン電極42は、上述した本発明の組成物を用いて形成されたものである。有機薄膜トランジスタ200は、トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタである。
基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体膜及び封止層については、上述のとおりである。
上記では図1及び図2において、ボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタ、及び、ボトムゲート−トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタの態様について詳述したが、本発明の組成物は、トップゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタ、及び、トップゲート−トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタにも適用できる。
なお、上述した有機薄膜トランジスタは、電子ペーパー、ディスプレイデバイスなどに好適に使用できる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
以下の実施例で使用した式1で表される化合物No.1、3、8、12、19及び20はそれぞれ、上述した例示化合物No.1、3、8、12、19及び20である。
また、比較例で使用した比較化合物1〜4は、以下に示す化合物である。
Figure 2016039216
<有機半導体素子作製・評価>
有機半導体素子作製に用いた材料は全て昇華精製を行い、高速液体クロマトグラフィー(東ソー(株)製TSKgel ODS−100Z)により純度(254nmの吸収強度面積比)が99.5%以上であることを確認した。
(実施例1〜6及び比較例1〜4)
<化合物単独で半導体活性層(有機半導体層)を形成>
表3に記載されているように、式1で表される化合物又は比較化合物(各10mg)とトルエン(1mL)とを混合し、60℃に加熱したものを、有機半導体形成用組成物(塗布溶液)とした。
この塗布溶液を窒素雰囲気下、60℃に加熱したFET特性測定用基板上にキャストすることで、前駆体組成物膜を成膜し、その後有機半導体膜を150℃で30分加熱(外部刺激を付与)することで前駆体として用いた式1で表される化合物を有機半導体化合物に変換し、各実施例及び比較例の有機半導体素子用有機半導体膜(半導体活性層)を形成し、すなわちFET特性測定用の各実施例及び比較例の有機薄膜トランジスタ素子1〜8を得た。得られた有機薄膜トランジスタ素子1〜6をそれぞれ、実施例1〜6の有機薄膜トランジスタ素子とし、得られた有機薄膜トランジスタ素子7及び8をそれぞれ、比較例1及び2の有機薄膜トランジスタ素子とした。
比較例3及び4の化合物は、実施例4及びの前駆体化合物の変換後の化合物であり、低溶解性であるため、化合物(各1mg)とトルエン(1mL)とを混合し、100℃に加熱したものを、有機半導体膜形成用組成物(塗布溶液)とした。
この塗布溶液を窒素雰囲気下、60℃に加熱したFET特性測定用基板上にキャストすることで、有機半導体素子用有機半導体膜(半導体活性層)を形成し、すなわちFET特性測定用の比較例の有機薄膜トランジスタ素子9及び10を得た。得られた有機薄膜トランジスタ素子9及び10をそれぞれ、比較例3及び4の有機薄膜トランジスタ素子とした。
なお、得られた有機薄膜トランジスタ素子における上記有機半導体膜の厚さはいずれも、100nm程度であった。
FET特性測定用基板としては、ソース及びドレイン電極としてくし型に配置されたクロム/金(ゲート幅W=100mm、ゲート長L=100μm)、絶縁膜としてSiO(膜厚200nm)を備えたボトムコンタクト構造のシリコン基板(図2に構造の概略図を示した。)を用いた。
実施例1〜6及び比較例1〜4の有機薄膜トランジスタ素子のFET特性は、セミオートプローバー(ベクターセミコン(株)製、AX−2000)を接続した半導体パラメーターアナライザー(Agilent社製、4156C)を用いて常圧・窒素雰囲気下で、キャリア移動度、アニール後の移動度変化の観点で評価した。得られた結果を下記表に示す。
(a)キャリア移動度
各実施例及び比較例の有機膜トランジスタ素子(FET素子)のソース電極−ドレイン電極間に−80Vの電圧を印加し、ゲート電圧を20V〜−100Vの範囲で変化させ、ドレイン電流Iを表す式I=(w/2L)μCi(V−Vth(式中、Lはゲート長、Wはゲート幅、Ciは絶縁層の単位面積当たりの容量、Vはゲート電圧、V は閾値電圧を表す。)を用いてキャリア移動度μを算出した。なお、キャリア移動度が1×10−5cm/Vsを下回るものに関しては特性が低過ぎるため、後の(b)繰り返し駆動後の閾値電圧変化の評価は行っていない。
(b)繰り返し駆動後の閾値電圧変化
各有機薄膜トランジスタ素子(FET素子)のソース電極−ドレイン電極間に−80Vの電圧を印加し、ゲート電圧を+20V〜−100Vの範囲で100回繰り返して(a)と同様の測定を行い、繰り返し駆動前の閾値電圧Vと繰り返し駆動後の閾値電圧Vの差(|V−V|)を以下の3段階で評価した。この値は小さいほど素子の繰り返し駆動安定性が高く、好ましい。
A:|V−V|≦5V
B:5V<|V−V|≦10V
C:|V−V|>10V
Figure 2016039216
上記表3より、式1で表される化合物を用いた有機薄膜トランジスタ素子は、キャリア移動度が高く、繰り返し駆動後の閾値電圧変化が小さいこと、更に、塗布プロセスに必須の溶解性が十分高いことがわかった。そのため、式1で表される化合物は、有機半導体素子用有機半導体化合物前駆体として好ましく用いられることがわかった。
一方、比較化合物1〜4を用いた有機薄膜トランジスタ素子は、キャリア移動度が低いものであった。比較化合物2〜4を用いた有機薄膜トランジスタ素子は、繰り返し駆動後の閾値電圧変化が大きかった。
(実施例7〜12、並びに、比較例5及び6)
<化合物をバインダーとともに用いて半導体活性層(有機半導体層)を形成>
表4に記載されているように、式1で表される化合物又は比較化合物(各10mg)、PαMS(ポリ(α−メチルスチレン)、Mw=300,000)、Aldrich社製)10mg、トルエン(2mL)を混合し、60℃に加熱したものを塗布溶液として用いる以外は実施例1と同様にしてFET特性測定用の有機薄膜トランジスタ素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。得られた有機薄膜トランジスタ素子11〜16をそれぞれ実施例7〜12の有機薄膜トランジスタ素子とし、得られた有機薄膜トランジスタ素子17及び18をそれぞれ、比較例5及び6の有機薄膜トランジスタ素子とした。
なお、得られた有機薄膜トランジスタ素子における上記有機半導体膜の厚さはいずれも、100nm程度であった。
得られた結果を下記表4に示す。
Figure 2016039216
上記表4より、式1で表される化合物をバインダーポリマーとともに用いて半導体活性層を形成した有機薄膜トランジスタ素子は、キャリア移動度が高く、繰り返し駆動後の閾値電圧変化が小さいことがわかった。そのため、式1で表される化合物は有機半導体素子用有機半導体化合物前駆体として好ましく用いられることがわかった。
一方、比較化合物1及び2をバインダーポリマーとともに用いて半導体活性層を形成した有機薄膜トランジスタ素子は、キャリア移動度が低いものであった。また、比較化合物2をバインダーポリマーとともに用いて半導体活性層を形成した有機薄膜トランジスタ素子は、繰り返し駆動後の閾値電圧変化が大きいものであった。
更に、実施例2で得られた各有機薄膜トランジスタ素子について、肉眼による観察及び光学顕微鏡観察を行ったところ、バインダーポリマーとしてPαMSを用いた薄膜はいずれも膜の平滑性・均一性が非常に高いことが分かった。
以上より、比較例における素子ではバインダーポリマーと比較化合物の複合系で半導体活性層を形成した場合にキャリア移動度が非常に低くなるのに対し、本発明の有機薄膜トランジスタ素子では、式1で表される化合物をバインダーとともに用いて半導体活性層を形成した場合も良好なキャリア移動度を示し、繰り返し駆動後の閾値電圧変化が小さく、膜の平滑性・均一性が非常に高い素子を得ることができることが分かった。
(実施例13〜18、並びに、比較例7及び8)
<半導体活性層(有機半導体層)形成>
ゲート絶縁膜としてSiO(膜厚370nm)を備えたシリコンウエハーを用い、オクチルトリクロロシランで表面処理を行った。
表5に記載されているように、式1で表される化合物又は比較化合物(各10mg)とトルエン(1mL)とを混合し、60℃に加熱したものを、有機半導体素子用塗布溶液とした。この塗布溶液を窒素雰囲気下、90℃に加熱したオクチルシラン表面処理シリコンウエハー上にキャストし、その後150℃で30分加熱することで有機半導体素子用有機半導体膜を形成した。
更にこの薄膜表面にマスクを用いて金を蒸着することで、ソース及びドレイン電極を作製し、ゲート幅W=5mm、ゲート長L=80μmの有機薄膜トランジスタ素子を得た。得られた有機膜トランジスタ素子19〜24をそれぞれ、実施例13〜18の有機薄膜トランジスタ素子とし、得られた有機膜トランジスタ素子25及び26をそれぞれ比較例7及び8の有機薄膜トランジスタ素子とした。
実施例及び比較例の有機薄膜トランジスタ素子のFET特性は、セミオートプローバー(ベクターセミコン(株)製、AX−2000)を接続した半導体パラメーターアナライザー(Agilent社製、4156C)を用いて常圧・窒素雰囲気下で、キャリア移動度、繰り返し駆動後の閾値電圧変化の観点で評価した。
得られた結果を下記表5に示す。
Figure 2016039216
上記表5より、式1で表される化合物を用いた有機薄膜トランジスタ素子は、キャリア移動度が高く、繰り返し駆動後の閾値電圧変化が小さいことがわかった。そのため、式1で表される化合物は、有機半導体素子用有機半導体化合物前駆体として好ましく用いられることがわかった。
10:基板、20:ゲート電極、30:ゲート絶縁膜、40:ソース電極、42:ドレイン電極、50:有機半導体膜、60:封止層、100、200:有機薄膜トランジスタ

Claims (28)

  1. 下記式1で表される有機半導体化合物前駆体を含有することを特徴とする
    有機半導体膜形成用組成物。
    Figure 2016039216
    式1中、ZはNR、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表し、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、水素原子又は脱離性基を表し、X及びYのうち少なくとも1つは脱離性基であり、Q〜Qはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、Q〜Qは隣り合った基同士がそれぞれ結合して環を形成してもよく、少なくとも1組の隣り合ったQ〜Qが結合して環を形成していない場合、Q〜Qのうち少なくとも1つは縮合多環芳香族基を有する基である。
  2. 前記脱離性基が、窒素原子、酸素原子、硫黄原子又は珪素原子を介して環構造に直接結合している脱離性基である、請求項1に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  3. 前記X及びYのうち、一方が脱離性基であり、他方が水素原子である、請求項1又は2に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  4. 前記脱離性基が、式X−1〜式X−10のいずれかで表される基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機半導体膜形成用組成物。
    Figure 2016039216
    式X−1〜式X−10中、R”はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、トリアルキルシリル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
  5. 前記Zが、硫黄原子である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  6. 前記Q及びQ、Q及びQ、又は、Q及びQの組み合わせのうち、1つ以上が結合して環を形成している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  7. 前記式1で表される有機半導体化合物前駆体が、下記式1−1〜式1−6のいずれかで表される有機半導体化合物前駆体である、請求項4に記載の有機半導体膜形成用組成物。
    Figure 2016039216
    式1−1〜式1−4中、X’及びY’はそれぞれ独立に、水素原子又は前記式X−1〜式X−10で表される基を表し、Q’〜Q’はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、環A、環B及び環Cはそれぞれ独立に、ベンゼン環、アゾール環、フラン環又はチオフェン環を表し、k1はそれぞれ独立に、0〜4の整数を表し、k1が2〜4の整数である場合、複数存在する環Bはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
    Figure 2016039216
    式1−5及び式1−6中、X”及びY”はそれぞれ独立に、水素原子又は前記式X−1〜式X−10で表される基を表し、Q”〜Q”はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、環D、環E及び環Fはそれぞれ独立に、ベンゼン環、アゾール環、フラン環又はチオフェン環を表し、k2はそれぞれ独立に、1〜6の整数を表し、k2が2〜6の整数である場合、複数存在する環Eはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
  8. 前記Q及びQが、下記式Q−1で表される基であるか、又は、前記Q及びQが、下記式Q−1で表される基である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機半導体膜形成用組成物。
    −L−R (Q−1)
    式Q−1中、Lは、下記式L−1〜式L−25のいずれかで表される二価の連結基、又は、下記式L−1〜式L−25のいずれかで表される二価の連結基が2つ以上結合した二価の連結基を表し、Rは、水素原子、アルキル基、オキシエチレン単位の繰り返し数vが2以上のオリゴオキシエチレン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基又はトリアルキルシリル基を表す。
    Figure 2016039216
    式L−1〜式L−25中、*はR側の結合位置を表し、波線部分はもう一方の結合位置を表し、式L−1、式L−2、式L−6及び式L−13〜式L−24におけるR’はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、式L−20及び式L−24におけるRNは水素原子又は置換基を表し、式L−25におけるRsiはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
  9. 前記Q及びQが、アルキル基、アリール基又はチオアリール基であるか、又は、前記Q及びQが、アルキル基、アリール基又はチオアリール基である、請求項8に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  10. 有機溶媒を更に含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  11. 前記有機溶媒が、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒及び/又はエーテル系溶媒である、請求項10に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  12. バインダーポリマーを更に含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の有機半導体膜形成用組成物により成膜する成膜工程と、
    前記有機半導体膜形成用組成物に対して外部刺激を与えて、前記式1で表される有機半導体化合物前駆体の少なくとも一部が、脱離性基の脱離を伴い芳香族化し有機半導体層を形成する脱離工程と、を含む、
    有機半導体膜の製造方法。
  14. 前記外部刺激が、100℃以上の加熱である、請求項13に記載の有機半導体膜の製造方法。
  15. 前記成膜工程が、溶液塗布法により成膜する工程である、請求項13又は14に記載の有機半導体膜の製造方法。
  16. 請求項13〜15のいずれか1項に記載の有機半導体膜の製造方法で製造された有機半導体膜。
  17. 請求項13〜15のいずれか1項に記載の有機半導体膜の製造方法で製造された有機半導体膜を有する有機半導体素子。
  18. 有機薄膜トランジスタである、請求項17に記載の有機半導体素子。
  19. 下記式1で表されることを特徴とする
    化合物。
    Figure 2016039216
    式1中、ZはNR、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表し、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、水素原子又は脱離性基を表し、X及びYのうち少なくとも1つは脱離性基であり、Q〜Qはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、Q〜Qは隣り合った基同士でそれぞれ結合して環を形成してもよく、少なくとも1組の隣り合ったQ〜Qが結合して環を形成していない場合、Q〜Qのうち少なくとも1つは縮合多環芳香族基を有する基である。
  20. 前記脱離性基が、窒素原子、酸素原子、硫黄原子又は珪素原子を介して環構造に直接結合している脱離性基である、請求項19に記載の化合物。
  21. 前記X及びYのうち、一方が脱離性基であり、他方が水素原子である、請求項19又は20に記載の化合物。
  22. 前記脱離性基が、式X−1〜式X−10のいずれかで表される基である、請求項19〜21のいずれか1項に記載の化合物。
    Figure 2016039216
    式X−1〜式X−10中、R”はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、トリアルキルシリル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
  23. 前記Zが、硫黄原子である、請求項19〜22のいずれか1項に記載の化合物。
  24. 前記Q及びQ、Q及びQ、又は、Q及びQの組み合わせのうち、1つ以上が結合して環を形成している、請求項19〜23のいずれか1項に記載の化合物。
  25. 下記式1−1〜式1−6のいずれかで表される、請求項22に記載の化合物。
    Figure 2016039216
    式1−1〜式1−4中、X’及びY’はそれぞれ独立に、水素原子又は前記式X−1〜式X−10で表される基を表し、Q’〜Q’はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、環A、環B及び環Cはそれぞれ独立に、ベンゼン環、アゾール環、フラン環又はチオフェン環を表し、k1はそれぞれ独立に、0〜4の整数を表し、k1が2〜4の整数である場合、複数存在する環Bはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
    Figure 2016039216
    式1−5及び式1−6中、X”及びY”はそれぞれ独立に、水素原子又は前記式X−1〜式X−10で表される基を表し、Q”〜Q”はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、環D、環E及び環Fはそれぞれ独立に、ベンゼン環、アゾール環、フラン環又はチオフェン環を表し、k2はそれぞれ独立に、1〜6の整数を表し、k2が2〜6の整数である場合、複数存在する環Eはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
  26. 前記Q及びQが、下記式Q−1で表される基であるか、又は、前記Q及びQが、下記式Q−1で表される基である、請求項19〜24のいずれか1項に記載の化合物。
    −L−R (Q−1)
    式Q−1中、Lは、下記式L−1〜式L−25のいずれかで表される二価の連結基、又は、下記式L−1〜式L−25のいずれかで表される二価の連結基が2つ以上結合した二価の連結基を表し、Rは、水素原子、アルキル基、オキシエチレン単位の繰り返し数vが2以上のオリゴオキシエチレン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基又はトリアルキルシリル基を表す。
    Figure 2016039216
    式L−1〜式L−25中、*はR側の結合位置を表し、波線部分はもう一方の結合位置を表し、式L−1、式L−2、式L−6及び式L−13〜式L−24におけるR’はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、式L−20及び式L−24におけるRNは水素原子又は置換基を表し、式L−25におけるRsiはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
  27. 前記Q及びQが、アルキル基、アリール基又はチオアリール基であるか、又は、前記Q及びQが、アルキル基、アリール基又はチオアリール基である、請求項26に記載の化合物。
  28. 有機半導体化合物前駆体である、請求項19〜27のいずれか1項に記載の化合物。
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