従来、ヘッドアップディスプレイ(Head−Up Display)において、マイクロレンズアレイを適応する技術が提案されている。
マイクロレンズアレイは、多数のマイクロレンズを周期的配列した光学素子である。このマイクロレンズアレイは、ドライバーから見える表示画像を中間像として形成するための光学素子である。また、マイクロレンズアレイは、ドライバーから表示画像が見える範囲を拡大するための光学素子である。マイクロレンズアレイをヘッドアップディスプレイに適応する場合には、マイクロレンズアレイは、画像光を投影するスクリーンとして用いられる。ここで、「画像光」とは、画像情報を有する光のことである。
マイクロレンズアレイをヘッドアップディスプレイのスクリーンとして用いる場合には、大きなスクリーンサイズが必要となる。このため、マイクロレンズアレイは、多数のマイクロレンズを必要とする。
例えば、大きさが75[mm]×25[mm]のスクリーンを作製する場合には、スクリーン上には約135万個のマイクロレンズが存在することになる。ここで、スクリーン上のマイクロレンズの配置はハニカム構造とする。また、マイクロレンズ同士の間隔を40[μm]とする。つまり、マイクロレンズの繰返し周期は、40[μm]である。
従来技術として、マイクロレンズの頂点を一定の条件で変位させて、マイクロレンズを不規則(ランダム)に配列したマイクロレンズアレイが開示されている。例えば、特許文献である特開2007−108400号公報の段落0021に記載されている。
しかしながら、マイクロレンズアレイを大きくした場合には、特許文献1に記載の方法では、多数のマイクロレンズの配置を設定する必要があり、スクリーンの設計データが膨大になるという課題があった。
本発明は、この課題を解決することができる。つまり、従来よりも設計データを低減したマイクロレンズアレイを得ることができる。
そして、スクリーンとして用いるマイクロレンズアレイの設計データを従来よりも低減した画像表示装置を得ることができる。
また、上述のように、特許文献1に記載された2枚のマイクロレンズアレイによって構成されたスクリーンでは、輝度ムラによって、表示画像のドット状の画素が目立つという課題がある。本発明では、輝度ムラによる表示画像のドット状の画素が目立つことを低減することができる。
実施の形態1.
<マイクロレンズアレイ1の構成>
図1は、本発明の実施の形態1に係るマイクロレンズアレイ1を示す図である。図1の太線の四角枠に示すように、マイクロレンズアレイ1は複数の基本パターンレンズ群2を含んでいる。
例えば、基本パターンレンズ群2は、矩形形状をしている。基本パターンレンズ群2は、縦方向の長さと横方向の長さとが、それぞれ長さL1と長さL2とである。特に、図1では基本パターンレンズ群2が正方形の場合を示している。つまり、図1の基本パターンレンズ群2は、L1=L2=Lである。
図1に示すマイクロレンズアレイ1は、複数の基本パターンレンズ群2を縦に2つ並べ、横に3つ並べた構成をしている。つまり、図1に示すマイクロレンズアレイ1は、基本パターンレンズ群2を2×3で配列している。
各基本パターンレンズ群2は、境界線B1〜B7を介して隣接して配置されている。つまり、マイクロレンズアレイ1のマイクロレンズ3の配置は、基本パターンレンズ群2のマイクロレンズ3の配置のパターンを繰返す構成である。境界線B1〜B7は、第1の境界線に相当する。
なお、以下において、例えば、「B1〜B7」のような表記は、「B1、B2、B3、B4、B5、B6及びB7」を示している。この表記は、「B1」等が異なっても同様である。
また、境界線B1〜B7は直線を含んでいる。図1では、境界線B1〜B7は直線で表わされている。
図1では、マイクロレンズアレイ1の一部の領域について示している。しかし、実際のマイクロレンズアレイ1では、6つ以上の同一の基本パターンレンズ群2が、繰返して、縦方向および横方向に配列されている。
一つの基本パターンレンズ群2の領域内には、複数のマイクロレンズ3が配置されている。マイクロレンズ3の境界線は、例えば、多角形で形成されている。
マイクロレンズ3の内部の黒点は、マイクロレンズ2の頂点4を示している。頂点4は、マイクロレンズアレイ1に含まれる全てのマイクロレンズ3に存在する。しかし、図1では、簡略のため、一部のマイクロレンズ3についてのみ頂点4の位置を示している。
頂点4は、マイクロレンズアレイ1の基準となる面に対して、マイクロレンズ3のレンズ面上の最も突出した位置である。基準となる面は、例えば、マイクロレンズアレイ1を形成するために、複数のマイクロレンズ3を配置する基礎となる面である。つまり、基準となる面上に複数のマイクロレンズ3が配置されて、マイクロレンズアレイ1が形成されている。
ここで、実施の形態1における基本パターンレンズ群2の繰返し周期長L[mm]について説明する。
繰返し周期長L[mm]は、マイクロレンズアレイ1に含まれる繰返し構造の最小単位である。図1では、基本パターンレンズ群2の1辺の長さL[mm]に相当する。図1では、基本パターンレンズ群2は正方形であるので、長さL1及び長さL2は、ともに長さLである。例えば、基本パターンレンズ群2が長方形の場合には、縦方向の繰返し周期長は、長さL1[mm]となり、横方向の繰返し周期長は、長さL2[mm]となる。
図1において、基本パターンレンズ群2と基本パターンレンズ群2の右側に隣接する基本パターンレンズ群2bとに注目する。基本パターンレンズ群2bは、基本パターンレンズ群2と同一であるが、区別するために符号2bを付している。
基本パターンレンズ群2に含まれるマイクロレンズ3aと基本パターンレンズ群2bに含まれるマイクロレンズ3bとは、基本パターンレンズ群2,2bの、それぞれ対応する位置に配置されている。図1において、マイクロレンズ3a,3bは、それぞれ太線で表示されている。
また、マイクロレンズ3aの頂点4aとマイクロレンズ3bの頂点4bとの距離L3は、繰返し周期長L[mm]と等しい(L3=L)。
ただし、図1に示す基本パターンレンズ群2は、境界線B1〜B7が直線を含む正方形の場合を示している。しかし、この形状に限らず長方形または曲線を含む図形であってもよい。また、基本パターンレンズ群2の配列数は、ヘッドアップディスプレイに用いるスクリーンの大きさ、または後述するスクリーンの光学特性を考慮して調整されてもよい。
<マイクロレンズ3のランダム配置>
次に、図1に示した基本パターンレンズ群2におけるマイクロレンズ3の配置方法について詳しく説明する。
図2は、マイクロレンズ3の頂点4の配置の基準となる基本格子について説明するための図である。マイクロレンズ3は、本発明の実施の形態1に係るマイクロレンズアレイ1に含まれている。
実施の形態1におけるマイクロレンズアレイ1は、基本格子として正方格子10を用いる。つまり、図1に示すマイクロレンズアレイ1は、図2に示す正方格子10(基本格子)を基に、後述する変形を行って形成される。「格子」とは、周期的に並んだ区切りのことである。
そして、マイクロレンズアレイ1に含まれる複数のマイクロレンズ3の頂点4は、正方格子の格子点11からランダムに変位させた位置に配置される。
図2に示すように、実施の形態1では、正方格子10は、一辺の長さがP1の正方形形状の格子に区切られている。この格子は、後述する単位パターン領域12に相当する。格子点11は、各格子の中心に位置している。図2では、各格子は、正方形の形状である。
1つの区切られた正方形形状の格子の中には、1つのマイクロレンズ3が配置されている。つまり、1つ単位パターン領域12(格子)は、1つのマイクロレンズ3に対応している。ここで、格子点11は、マイクロレンズ3の頂点4に対応している。
基本格子では、複数の格子点11が、縦方向および横方向共に、距離P1の距離で、一定周期で配列されている。図2では、簡略のため複数の格子点11のうち2つの格子点についてのみ符号を付している。
ここで、実施の形態1における単位パターン領域12について説明する。
単位パターン領域12は、一つの格子点11(頂点4)を含む領域である。図2では、基本パターンレンズ群2sよりも小さい四角形の太枠で示されている。単位パターン領域12は、互いに隣接する格子点11を結んだ線分の二等分線である境界線M1により区分されている。境界線M1は、単位パターン領域12の境界線である。
基本格子が正方格子10である場合には、図2に示すように、単位パターン領域12は正方形の領域となる。また、図2に示す正方格子10の基本パターンレンズ群2sの図1に示したマイクロレンズアレイ1の基本パターンレンズ群2に対応した領域には、縦方向に7個の単位パターン領域12が配置され、横方向に7個の単位パターン領域12が配置されている。つまり、1つの基本パターンレンズ群2sには、49個の単位パターン領域12が含まれている。
なお、実施の形態1では、基本格子を正方格子として説明している。正方格子は、隣接する格子点11同士の間隔が、縦方向および横方向で等しい格子である。しかし、例えば、格子点11の縦方向の配列における一定周期と格子点11の横方向の配列における一定周期とが異なっていてもよい。
次に、図2に示す正方格子10の格子点11を基準として、マイクロレンズ3の頂点4をランダムに配置する方法について説明する。
図2において、格子点11から単位パターン領域12の境界線に向かって予め定められた距離で区切られる領域を変位領域13とする。変位領域13は、例えば、正方格子10の格子点11と単位パターン領域12の境界線M1(第2の境界線に対応)との距離(P1/2)を基準として設定される。
マイクロレンズ3の頂点4を、格子点11上の位置から変位領域13の領域内の位置で、格子点11と異なる位置に配置する。つまり、頂点4を格子点11上から、それぞれ予め定められた異なる変位量だけ、変位領域13内で移動させる。
格子点11と単位パターン領域12の境界線M1との距離を基準距離S1とする。つまり、基準距離S1は、格子点11から単位パターン領域12の境界線M1への垂線の長さである。この垂線上の点で、例えば、格子点11から距離が0.6×S1となる点を通り、単位パターン領域12の境界線M1と平行な線を辺とする正方形を点線で示す。
図2では、この点線で示された正方形の内部を変位領域13としている。すなわち、基本格子が正方格子10の場合には、変位領域13は、格子点11を中心として1辺が0.6×P1の正方形となる。なお、基準距離S1の2倍が距離P1になる。
変位領域13は、上記のように格子点11から予め定められた距離で設定される。上述では、格子点11から距離が0.6×S1となる点を通る直線を辺とする正方形で変位領域13を形成した。
しかし、例えば、格子点11から距離が0.9×S1となる点を通る直線を辺とする正方形よりも小さい領域を変位領域13とすることが望ましい。つまり、変位領域13は、格子点11を中心として1辺が0.9×P1の正方形となる。
変位領域13を単位パターン領域12よりも小さくすることによって、隣接するマイクロレンズ3同士の頂点4が重なることを防止することができる。すなわち、マイクロレンズ3の頂点4の変位量は、対応する単位パターン領域12の境界(境界線M1)を超えないように配置することによって、隣接するマイクロレンズ3同士の頂点4が重なることを防止することができる。
図3は、図2に示した正方格子10の格子点11の位置からマイクロレンズ3の頂点4を移動させた図である。頂点4は、変位領域13の領域内に収まるように移動している。
図3では、全てのマイクロレンズ3の頂点4のずれ量の分布が、マイクロレンズアレイ1の中で均一となるように、マイクロレンズ3の頂点4の位置を設定している。例えば、マイクロレンズ3の頂点4のずれ量をそれぞれベクトルで表すとすると、マイクロレンズ3の頂点4の全てのずれ量についてのベクトルの和がゼロとなるようにマイクロレンズ3の頂点4の位置を設定している。
また、図3において、四角形の太枠で示した左側の上部に位置する基本パターンレンズ群2の領域内において、マイクロレンズ3同士の境界線M2を点線で示している。図3の左側の上部以外に位置する基本パターンレンズ群2についても、同様にマイクロレンズ3同士の境界線が設定されるが、図3では記載を省略する。
図3に示すように、まず、マイクロレンズ3の頂点4をランダムに配列する。その後に、基本パターンレンズ群2内において隣接するマイクロレンズ3同士の境界線M2を決定する。
マイクロレンズ3同士の境界線M2を決定するために、隣接するマイクロレンズ3の頂点4間を結ぶ線分を一定の比率で内分する点を通り、この隣接するマイクロレンズ3の頂点4間を結ぶ線分に垂直な直線を境界線M2の一部とする。つまり、境界線M2は、隣接するマイクロレンズ3の頂点4間を結ぶ線分の垂直二等分線を含む。
ここで、複数の頂点4は、ランダムに配置されている。例えば、図3の点線で示されたマイクロレンズ3の境界M2は、各頂点4の中間点を境界とするボロノイ図を描くことによって得られる。ここで、頂点4は、ボロノイ図の母点に相当する。
「ボロノイ図」とは、任意の位置に配置された複数の母点に対し、同一空間上または平面上の点がどの母点に近いか領域分けした図である。例えば、図3における境界線M2は、頂点4aおよび頂点4cの間の境界線である。境界線M2は、頂点4aおよび頂点4cをそれぞれ母点としたときの頂点4aと頂点4cとを結ぶ線分の二等分線の一部である。
ここで、実施の形態1に係るマイクロレンズアレイ1では、基本パターンレンズ群2が境界線B1〜B7を介して繰返し配列されている。上述のように、境界線B1〜B7は直線を含んでいる。図3に示すように、例えば、境界線B1〜B7は直線で形成されている。
このため、基本パターンレンズ群2に含まれるマイクロレンズ3の頂点4の位置を工夫する必要がある。具体的には、境界線B1〜B7を介して接しているマイクロレンズ3の頂点4の位置を、境界線B1〜B7に対して等しい距離で、かつ、線対称な位置に配置する。
このような配置により、上記のように、ボロノイ図を作成する際に、境界線B1〜B7が直線を含むことになる。そして、基本パターンレンズ群2を隙間なく隣接させることができる。境界線B1〜B7は、隣接する基本パターンレンズ群2が接する境界線である。
図3を用いて頂点4の位置を決める際の工夫について説明する。
図3の左側の上部に位置する基本パターンレンズ群2が正方形であるとする。
まず、この基本パターンレンズ群2の四隅にある頂点4d〜4gは、正方格子10の格子点11から移動させない。つまり、頂点4d〜4gの変位量は、ゼロである。
次に、境界線B2(第1の境界線に相当)に接しているマイクロレンズ3の頂点4の位置は、境界線B2から等しい距離に位置している。つまり、境界線B2に接している複数のマイクロレンズ3では、頂点4の境界線B2からの距離は、同一である。頂点4から境界線B2上におろした垂線の長さは同一である。
また、境界線B2を介して隣接しているマイクロレンズ3の頂点4の位置は、境界線B2に対してそれぞれ線対称の位置である。つまり、図3において、境界線B2の左側のマイクロレンズ3の頂点4と、境界線B2の右側のマイクロレンズ3の頂点4とは、境界線B2に対して線対称の位置にある。つまり、境界線B2を介して隣接しているマイクロレンズ3の頂点4の位置は、境界線B2に対して平行な方向で、格子点11から同じ向きに移動した位置に配置されている。
境界線B2以外の境界線B3,B5,B6を介して互いに隣接するマイクロレンズ3の頂点4もそれぞれ同様の方法で配置されるため、その説明を省略する。境界線B3,B5,B6は、図3において、境界線B2と同様に縦方向に延びる境界線である。
また、境界線B1,B4,B7を介して互いに隣接するマイクロレンズ3の頂点4もそれぞれ同様の考え方で配置されるため、その詳細な説明を省略する。境界線B1,B4,B7は、図3において、境界線B2と異なり、横方向に延びる境界線である。このため、図3において、境界線B1,B4,B7の上側のマイクロレンズ3の頂点4と、境界線B1,B4,B7の下側のマイクロレンズ3の頂点4とは、境界線B1,B4,B7に対して線対称の位置にある。
なお、図3では、境界線B1〜B7を介して接するマイクロレンズ3の頂点4の位置は、境界線B1〜B7から(1/2)・P1の距離にある。ただし、P1は、前述したとおり、基本となる正方格子10における格子点11同士の距離である。
実施の形態1に係るマイクロレンズアレイ1によれば、マイクロレンズアレイの設計データを従来よりも低減することができる。
実施の形態1に係るマイクロレンズアレイ1は、次の(1)から(4)までの要件を備えている。
(1)マイクロレンズアレイ1は、複数のマイクロレンズ3を備えている。
(2)マイクロレンズアレイ1は、第1の境界線B1〜B7を有する同一の基本パターンレンズ群2を複数備えている。
(3)マイクロレンズアレイ1の基本パターンレンズ群2は、それぞれが頂点4を有する複数のマイクロレンズ3を含む。
(4)複数のマイクロレンズ3のそれぞれの頂点4は、基本格子の格子点11からそれぞれ異なる変位量だけ移動された位置に配置される。基本格子は、等間隔に配置された複数の格子点11を含む。
また、実施の形態1に係るマイクロレンズアレイ1によれば、頂点4の位置のランダム性を確保しながら、基本パターンレンズ群2を隣接させることが容易になる。
また、実施の形態1に係るマイクロレンズアレイ1は、次の(1)から(4)までの要件を備えている。
(1)基本格子は、正方格子10である。
(2)境界線B1〜B7は、基本パターンレンズ群2に含まれる複数のマイクロレンズ3が接する直線を含んでいる。実施の形態1では、例えば、境界線B1〜B7は、直線で示されている。
(3)共通の境界線B1〜B7を介して隣接するマイクロレンズ3の頂点4は、共通の境界線B1〜B7に対して線対称な位置に配置されている。
(4)共通の境界線B1〜B7を介して隣接するマイクロレンズ3の頂点4は、例えば、格子点11を通り共通の境界線B1〜B7と平行な直線上を移動した位置に配置される。
また、実施の形態1に係るマイクロレンズアレイ1によれば、隣接するマイクロレンズ3同士の頂点4が重なることを防止することができる。
実施の形態1に係るマイクロレンズアレイ1は、次の(1)および(2)の要件を備えている。なお、一つの格子点11を含む領域を単位パターン領域12とする。
(1)基本格子は、隣接する単位パターン領域12の格子点11を結んだ線分の二等分線を含む第2の境界線M1によって区分されている。
(2)各マイクロレンズ3の頂点11の変位量は、対応する単位パターン領域12の第2の境界線M1を超えない。
<画像表示装置100>
次に、実施の形態1の画像表示装置100について説明する。
図4は、実施の形態1に係る画像表示装置100の構成を概略的に示した図である。実施の形態1においては、画像表示装置100として車載ヘッドアップディスプレイを例にして説明する。
以下に示す各実施の形態では、ヘッドアップディスプレイのスクリーンに用いられるマイクロレンズアレイについて説明する。しかし、各実施の形態で示すマイクロレンズアレイは、例えば、小型のレーザースキャンプロジェクタ又はカメラ等のファインダーに適用可能である。また、各実施の形態で示すマイクロレンズアレイは、例えば、テレビ、パーソナルコンピュータのディスプレイに適用可能である。また、各実施の形態で示すマイクロレンズアレイは、例えば、自動車、船舶、航空機又は工場設備などで使用される画像表示機能を備えた各種の装置の表示部等に適用可能である。
図4に示されるように、実施の形態1に係る画像表示装置100は、光源部110、MEMS(Micro Electric Mechanical System)ミラー装置(以降、走査部とも称す)130、スクリーン140および拡大ミラー150を備える。また、画像表示装置100は、ミラー120を備えることができる。
なお、フロントウィンドウ160は、曲率等を有し、光線の集光に寄与する場合には、拡大ミラー150と合わせて光学素子部155(集光光学系)として、画像表示装置100に含まれる。
ミラー120は、光源部110からの光を反射する。MEMSミラー装置130は、ミラー120によって反射された光に画像情報を与える。スクリーン140には、MEMSミラー装置130から出射された画像光が投影される。また、スクリーン140は、マイクロレンズアレイ1を備えている。拡大ミラー150は、スクリーン140上に形成された画像を拡大し反射する。
なお、拡大ミラー150は、スクリーン140からの光線を集光しているが、ドライバーに対しては、虚像180として、スクリーン140上に形成された画像を拡大している。
光源部110は、半導体レーザー111,112,113、合波プリズム117,118又はカップリングレンズ114,115,116を備えることができる。
半導体レーザー111,112,113は、赤色半導体レーザー111、緑色半導体レーザー112および青色半導体レーザー113を含む。つまり、光源部110は、3種類の波長の光それぞれ出射する光源を備える。
合波プリズム117,118は、半導体レーザー111,112,113から出射されたレーザー光を透過または反射する。これにより、半導体レーザー111,112,113から出射されたレーザー光は、同軸上で平行に合波される。図4では、光源部110は、2つの合波プリズム117,118を備えている。
合波プリズム117は、半導体レーザー111から出射された赤色のレーザー光を透過し、半導体レーザー112から出射された緑色のレーザー光を反射する。合波プリズム118は、合波プリズム117で合波された赤色のレーザー光及び緑色のレーザー光を透過し、半導体レーザー113から出射された青色のレーザー光を反射する。
カップリングレンズ114,115,116は、半導体レーザー111,112,113から出射されたレーザー光を収束する。カップリングレンズ114は、半導体レーザー111から出射された赤色のレーザー光を収束する。カップリングレンズ115は、半導体レーザー112から出射された緑色のレーザー光を収束する。カップリングレンズ116は、半導体レーザー113から出射された青色のレーザー光を収束する。
カップリングレンズ114は、赤色半導体レーザー111と合波プリズム117との間に配置されている。カップリングレンズ115は、緑色半導体レーザー112と合波プリズム117との間に配置されている。カップリングレンズ116は、青色半導体レーザー113と合波プリズム118との間に配置されている。
ミラー120は、光源部110から出射されたレーザー光をMEMSミラー装置130に向けて反射する。光源部110から出射されたレーザー光は、赤色のレーザー光、緑色のレーザー光および青色のレーザー光が合波された光である。
MEMSミラー装置130は、画像情報を有する画像光を生成する。そして、MEMSミラー装置130は、レーザー光を走査する走査部としての機能を有する。
MEMSミラー装置130は、ミラー130aを備えている。また、MEMSミラー装置130は、駆動部130bを備えることができる。
ミラー130aは、可動中心130cを中心に、揺動することができる。「揺動」とは、ゆれ動くことである。駆動部130bは、ミラー130aを揺動させる。
MEMSミラー装置130は、ミラー120によって反射されたレーザー光(光ビーム)を、スクリーン140の面上に2次元に走査する。この2次元の走査は、ミラー130aの揺動により実現される。つまり、ミラー130aは、直交する2つの軸を中心にして、この軸まわりに揺動する。
ここで、MEMSミラー装置130によってスクリーン140の面上に生成された画像を中間像と呼ぶ。
スクリーン140は、マイクロレンズアレイ1を備えている。マイクロレンズアレイ1は、マイクロレンズ3の集合体である。スクリーン140に含まれるマイクロレンズ3は、その材質(屈折率)および曲率に応じてマイクロレンズ3に入射した光を拡散させて出射する。
「曲率」とは、曲線又は曲面の曲がり具合を示す量である。屈折率の高い材質で、曲率半径の小さいレンズは、焦点距離が短い。曲率半径は、曲率の逆数である。
ここで、マイクロレンズ3から出射された出射光の拡散角特性において、中心光度の半値を全角表示したものを拡散角θとする。拡散角θは、光の広がる角度である。拡散角θは、発散角とも呼ばれる。
マイクロレンズ3の拡散角θを予め所望の拡散角となるように設計する。「所望の拡散角」は、例えば、光がアイボックスEの全体の範囲を照射するために必要な角度である。
これにより、画像表示装置100は、マイクロレンズアレイ1を用いたスクリーン140に入射した光を、必要な範囲に拡散させることができる。画像表示装置100では、スクリーン140に入射した光が必要な範囲に拡散される。「必要な範囲」は、例えば、光がアイボックスEの全体の範囲を照射するために必要な範囲である。このため、光源部110から出射されたレーザー光を効率よく使用することが可能である。
スクリーン140としては、マイクロレンズアレイ1の他に、全方位に光を拡散する完全拡散板等を用いることができる。しかし、実施の形態1に係るマイクロレンズアレイ1を用いることによって、光の拡散角θを制御することができる。このため、マイクロレンズアレイ1は、完全拡散板と比較して、より明るい画像を表示できる。そして、特に車載装置に適用する場合には、ドライバーによる視認性を高めることができる。
拡大ミラー150は、例えば、凹面形状のミラーである。拡大ミラー150は、スクリーン140に表示された中間像(画像光)を拡大し反射する。また、拡大ミラー150は、虚像180を形成する。
拡大ミラー150で反射された画像情報を含むレーザー光(画像光)は、フロントウィンドウ160で反射して、ドライバー(人間)の目170に入射する。つまり、画像情報を含むレーザー光(画像光)は、アイボックスEに到達する。
画像光が届く範囲をアイボックスEと呼ぶ。アイボックスEは、ドライバーの目170が運転中に位置する領域として設定されている。アイボックスEは、ドライバーが運転席に着座している間に、ドライバーの目170が位置する車両の内側での領域を含むと見なすことができる。例えば、アイボックスEは、20cm×10cm×10cmの寸法を有する。このため、アイボックスEは、ドライバーから見て、縦方向及び横方向に加えて、奥行き方向を有している。
なお、ドライバーの目170は、アイボックスEの範囲で移動できるため、各実施の形態における説明で、ドライバーの目170をアイボックスEに読み替えることができる。
ドライバーの目170からは、フロントウィンドウ160に投射された画像が虚像180としてドライバーの前方の風景に重畳されて見える。アイボックスEと呼ばれる視認可能な領域内にドライバーの目170が位置しているときに、ドライバーは、虚像180を視認することができる。つまり、ドライバーの目170がアイボックスE内にある場合に、ドライバーは、虚像180を視認することができる。
<表示画像の輝度ムラの低減>
次に、表示画像の視認性をさらに向上させるために、画像表示装置100から出射されるレーザー光の角度について説明する。以下において、光路の説明においては光を光線と称す。
フロントウィンドウ160に投射される画像には、マイクロレンズアレイ1の繰返し構造に起因する輝度ムラが発生する。マイクロレンズアレイ1から出射される光には、回折により輝点Bp(明るい点)が生じる。つまり、輝点Bpは、マイクロレンズアレイ1による回折光に起因する。輝点Bpは、マイクロレンズアレイ1による0次回折光または1次回折光又は2次回折光等で発生する。
この輝点Bpが複数存在することにより、光源部110から出射される光には、輝度ムラが発生する。輝点Bpの間隔が大きいほど表示画像の視認性は低下する。以下において、輝点Bpの間隔を輝点間隔Lbと称す。
この輝点間隔Lbは、例えば、0次回折光の輝点Bpと1次回折光の輝点Bpとの間隔である。また、この輝点間隔Lbは、例えば、1次回折光の輝点Bpと2次回折光の輝点Bpとの間隔である。輝点間隔Lbが小さいほど表示画像の視認性は向上する。つまり、輝点間隔Lbが小さいほど輝点は見え難くなる。
ドライバーによって輝点Bpを認識し難くするには、画像光に含まれる光線がドライバーの目170に入射する角度を工夫すればよい。画像光に含まれる光線が人間(以下、ドライバーとして説明する)の目170に入射する角度を決定する方法について以下に説明する。
図5は、図4に示した画像表示装置100から出射された画像光がフロントウィンドウ160に反射してドライバーの目170に届くまでの光路を示した図である。なお、図5では図4に示したミラー120、光源部110および虚像180を省略して示している。省略した構成要素以外の構成要素は、図4で示した位置関係等と同様であるため、その説明を省略する。
図5に示す一点鎖線は、画像表示装置100の光軸Cである。光軸Cは、例えば、MEMSミラー装置130の可動ミラー130aの可動中心130cと、人間の目170の中心とを結んだ線である。人間の目170は、アイボックスEの範囲を動くことができる。このため、人間の目170の中心は、アイボックスEの中心とすることができる。つまり、光軸Cは、例えば、MEMSミラー装置130の可動ミラー130aの可動中心130cと、アイボックスEの中心E0とを結んだ線である。
実施の形態1では、スクリーン140は、光軸Cに対して垂直に配置されている。このため、図5の一点鎖線は、スクリーン140の中心からスクリーン140に対して垂直に延びる光線G0の光路を示している。つまり、この光線G0は、MEMSミラー装置130でレーザー光を走査した際に、スクリーン140の中心を通る光線である。
実施の形態1では、この光線の光路を光軸Cとする。なお、光軸Cは、拡大ミラー150およびフロントウィンドウ160によって屈曲されている。このため、光軸Cは、例えば、MEMSミラー装置130の可動ミラー130aの可動中心130cと、アイボックスEの中心E0とを結んだ光学的な直線である。
図5において、MEMSミラー装置130のミラー130aからスクリーン140までの距離を距離D0[mm]とする。スクリーン140から拡大ミラー150までの距離を距離D1[mm]とする。拡大ミラー150からフロントウィンドウ160までの距離を距離D21[mm]とする。フロントウィンドウ160からドライバーの目170(アイボックスEの中心E0)までの距離を距離D22[mm]とする。また、図示しないが、拡大ミラー150からドライバーの目170(アイボックスEの中心E0)までの距離を距離D2(D2=D21+D22)[mm]とする。なお、ここで示した距離D2は、フロントウィンドウ160が平面形状をしていて、集光機能を有さないとした場合である。また、距離D0,D1,D21,D22,D2は、各々、光軸C上の距離である。
また、MEMSミラー装置130からスクリーン140に入射する光線Gと光軸Cとがなす角を角度θ0[rad]とする。光線Gは、MEMSミラー装置130によって走査されたレーザー光線である。光線Gは、光軸Cに対して角度θ0[rad]の角度で傾斜している。光線Gは、MEMSミラー装置130によって走査されているので、角度θ0[rad]は、時間で変化する。
角度θ0[rad]は、アイボックスEの中心E0を通る0次回折光Gd0に対応したスクリーン140に入射する光線G0と、アイボックスEの中心E0を通る1次回折光Gd1に対応したスクリーン140に入射する光線G1とがなす角である。
MEMSミラー装置130から出射された光線Gがスクリーン140によって回折されて出射される方向と光軸Cとがなす角を角度θin[rad]とする。ここでは、例として、角度θin[rad]は、光線Gがスクリーン140(マイクロレンズアレイ1)で回折された1次回折光Gd1と光軸Cとのなす角度である。つまり、1次回折光Gd1は、光軸Cに対して、角度θin[rad]で傾斜している。
また、この1次回折光Gd1は、アイボックスEに入射する1次回折光の内、アイボックスEの中心E0を通る回折光である。このため、角度θin[rad]は、光線Gがスクリーン140(マイクロレンズアレイ1)で回折された1次回折光Gd1の内、アイボックスEの中心E0を通る回折光と、光線Gがスクリーン140(マイクロレンズアレイ1)で回折された0次回折光Gd0の内、アイボックスEの中心E0を通る回折光とのなす角度である。
なお、通常、アイボックスEに入射する0次回折光Gd0の内、アイボックスEの中心E0を通る回折光は、光軸C上にある。このため、光軸Cを、アイボックスEの中心E0を通る0次回折光Gd0と、この0次回折光Gd0に対応するスクリーン14に入射する光線G0とすることができる。ここで、スクリーン14に入射する光線G0の0次回折光が0次回折光Gd0である。
フロントウィンドウ160で反射された1次回折光Gd1がドライバーの目170に入射する方向と光軸Cとがなす角をθout[rad]とする。つまり、光軸Cに対して角度θin[rad]でスクリーン140から出射した1次回折光Gd1は、光軸Cに対して角度θout[rad]の角度で目170に入射する。
角度θout[rad]は、アイボックスEの中心E0を通る1次回折光Gd1と、アイボックスEの中心E0を通る0次回折光Gd0とのなす角度である。
また、MEMSミラー装置130からスクリーン140に入射する光線Gのスクリーン140上の位置と光軸Cとの距離を距離rin[mm]とする。また、フロントウィンドウ160によって反射された1次回折光Gd1がドライバーの目170に入射する位置と光軸Cとの距離を距離rout[mm]とする。上述のように、距離rout[mm]は、1次回折光Gd1がアイボックスEに入射する位置と光軸Cとの距離である。ここで、アイボックスEに入射する位置は、アイボックスEの中心E0を含み、光軸Cに垂直な平面上で考える。
次に、図6に示した構成について説明する。
図6に示した構成は、光路を簡略化したものである。また、上記の角度および距離等を併せて「各種変数」とする。
図6は、図5に示す画像表示装置100とドライバーの目170との光学的関係を簡略化して示した図である。図6では、光線Gは、図面の左側から右側に進行している。
具体的には、図6では、図5に示した拡大ミラー150とフロントウィンドウ160とを併せて単一の光学素子部155に置き換えられている。つまり、光学素子部155は、スクリーン140上に形成された画像の虚像を形成する光学系である。図6において、スクリーン140の中心を通り、スクリーン140に対して垂直な軸を光軸Cとして一点鎖線で示す。
また、図6において、光軸C上でスクリーン140の左側にはMEMSミラー装置130(ミラー130a)が配置されている。さらに、光軸C上でスクリーン140の右側にはドライバーの目170(アイボックスE)が位置している。
つまり、ドライバーの目170(アイボックスE)は、スクリーン140に対してMEMSミラー装置130(ミラー130a)とは異なる側に配置されている。つまり、光軸C上で、MEMSミラー装置130(ミラー130a)とドライバーの目170(アイボックスE)との間に、スクリーン140が配置されている。
また、ドライバーの目170とスクリーン140との間には、光学素子部155が配置されている。光学素子部155の光軸は、スクリーン140の光軸と同一である。
実施の形態1では、光学素子部155は、拡大ミラー150とフロントウィンドウ160とを含んでいる。しかし、例えば、フロントウィンドウ160が平面の場合のように、フロントウィンドウ160に集光機能が無い場合には、光学素子部155はフロントウィンドウ160を含まない。また、光学素子部155は、拡大ミラー150及びフロントウィンドウ160以外の光学素子を含むことができる。
また、光学素子部155の焦点距離を焦点距離fとする。また、図5の説明で述べたように光学素子部155とドライバーの目170との光軸C上での距離を距離D2とする。これら以外の、各種変数は、既に図5で説明したとおりである。
図6に示すように、MEMSミラー130から出射された光線Gは、スクリーン140上で光軸Cからの高さrin[mm]の位置に入射する。MEMSミラー130から出射される光線Gの出射角は、角度θ0[rad]である。なお、角度θ0[rad]は、MEMSミラー130による光線Rの走査により変化する。
スクリーン140に入射した光線Gは、スクリーン140に含まれるマイクロレンズアレイ1で回折される。例えば、回折光の回折角は、基本パターンレンズ群2の周期的な繰返し構造によって決まる。
スクリーン140に入射した光線Gの1次回折光Gd1は、角度θin[rad]でスクリーン140から出射される。角度θin[rad]は、光軸Cに対する1次回折光Gd1の角度である。
その後、スクリーン140から出射した1次回折光Gd1は、光学素子部155を透過する。光学素子部155は、焦点距離f[mm]の正のパワーを有する。
そして、光学素子部155を透過した1次回折光Gd1は、ドライバーの目170に入射する。ドライバーの目170(アイボックスE)に入射する際の1次回折光Gd1の入射角は、角度θout[rad]である。角度θout[rad]は、光軸Cに対する1次回折光Gd1の角度である。また、ドライバーの目170に入射する際の1次回折光Gd1の位置は、光軸Cからの高さrout[mm]の位置である。高さrout[mm]は、アイボックスEの中心E0の位置で規定される。
図7は、図6に示した光学系で行ったシミュレーション結果を示す図である。
図7には、スクリーン140上に走査された光線Gの回折光の内、アイボックスEに入射する0次回折光Gd0及び1次回折光Gd1のみを示している。また、光線Gは、アイボックスEに入射する0次回折光Gd0及び1次回折光Gd1に対応する光線のみを示している。図7では、光線Gは複数あるため、破線の楕円で囲って符号Gを付している。
スクリーン140上に走査された光線Gは、実線で示されている。0次回折光は、細かい破線で示されている。0次回折光の光束の中心を通る0次回折光Gd0は一点鎖線で示されている。1次回折光は、大きい破線で示されている。1次回折光の光束の中心を通る1次回折光Gd1は二点鎖線で示されている。
0次回折光の光束の中心を通る0次回折光Gd0は、アイボックスEの中心E0を通る。また、1次回折光の光束の中心を通る1次回折光Gd1は、アイボックスEの中心E0を通る。
図6に示した1次回折光Gd1は、図7に示した1次回折光の光束の中心を通る1次回折光Gd1である。また、図6に示した0次回折光Gd0は、図7に示した0次回折光の光束の中心を通る0次回折光Gd0である。
アイボックスEに入射する回折光に関して、0次回折光の光束の中心を通る0次回折光Gd0と1次回折光の光束の中心を通る1次回折光Gd1とのなす角が角度θoutである。アイボックスEに入射する回折光に関して、0次回折光の光束の内アイボックスEの中心E0を通る0次回折光Gd0と、1次回折光の光束の内アイボックスEの中心E0を通る1次回折光Gd1とのなす角が角度θoutである。
同様に、スクリーン140から出射する回折光に関して、0次回折光の光束の中心を通る0次回折光Gd0と1次回折光の光束の中心を通る1次回折光Gd1とのなす角が角度θinある。スクリーン140から出射する回折光に関して、0次回折光の光束の内アイボックスEの中心E0を通る0次回折光Gd0と、1次回折光の光束の内アイボックスEの中心E0を通る1次回折光Gd1とのなす角が角度θinある。
同様に、ミラー130aで反射された光線に関して、0次回折光の光束の中心を通る0次回折光Gd0に対応したスクリーン140に入射する光線G0と、1次回折光の光束の中心を通る1次回折光Gd1に対応したスクリーン140に入射する光線G1とがなす角が角度θ0である。ミラー130aで反射された光線に関して、アイボックスEの中心E0を通る0次回折光Gd0に対応したスクリーン140に入射する光線G0と、アイボックスEの中心E0を通る1次回折光Gd1に対応したスクリーン140に入射する光線G1とがなす角が角度θ0である。
図7に示すように、0次回折光Gd0は、結像面170a(網膜)上の集光点Pd0に集光している。また、1次回折光Gd1は、結像面170a(網膜)上の集光点Pd1に集光している。そして、集光点Pd0から集光点Pd1までの距離が結像面170a(網膜)上の輝点間隔Lbである。つまり、集光点Pd0,Pd1は、上述の輝点に相当する。このため、角度θoutが限界視角Vmin未満になると、ドライバーは、集光点Pd0と集光点Pd1を区別して認識し難くなる。
角度θout[rad]は、画像光に含まれる1次回折光Gd1がドライバーの目170に入射する角度である。角度θout[rad]を変化させることによって、ドライバーが回折光の輝点間隔Lbを識別し難くなるようにすることが可能である。
人の目の視力を視力aとする。視力aは、確認できる最小の視角Vminの逆数で表される。つまり、視力a=1/Vminの関係式が成り立つ。この場合の視角Vminの単位は「分」である。視角Vはa−1[′(分)]と表される。つまり、視角Vminは視力aの逆数である。
例えば、人間の目で説明すると、視角Vは、物体の両端から目までの二直線が作る角度である。物体の高さを高さSvとし、物体が目の節点から距離Dv離れている場合には、視覚VはV=2arctan(Sv/(2Dv))で表わされる。なお、節点は、レンズで、光軸に斜めに入射した光がそれと平行な出射光を得るとき、入射光及び出射光それぞれの延長が光軸と交わる点である。また、距離Dvは、目の入射瞳の中心から物体までの距離である。
また、人間の目の代わりに、カメラ等の撮像装置であった場合には、撮像装置の視野角を撮像素子の画素数で割った値が確認できる最小視角Vminに相当する。
例えば、日本においては、普通第一種免許をもつドライバーは、視力0.7未満の場合には、メガネ又はコンタクトレンズの着用を義務付けられている。このため、日本での限界視角Vminは、1.43分(1/0.7=1.43)となる。なお、日本では、通常、視力aの測定にはランドルト環が用いられる。
例えば、視力0.7のドライバーは、限界視角Vmin(1.43分)よりも小さな視角Vの映像は視認し難いとこになる。
限界視角Vminは、画像表示装置100が表示する画像を認識しようとするものに必要な最も小さな視角Vである。つまり、限界視角Vminは、ドライバーに必要な最も小さな視角Vである。
角度θout[rad]は、以下の条件式(1)を満足することが好ましい。条件式(1)は、角度θoutが限界視角Vmin未満であることを表わしている。つまり、条件式(1)の1/aは、限界視角Vminである。なお、式(1)は、限界視角Vminの単位「分」を「rad」に変更している。
次に、角度θout[rad]を満たすためのマイクロレンズアレイ1の構成について説明する。
実施の形態1に係るマイクロレンズアレイ1は、基本パターンレンズ群2を繰返し配置している。このために、マイクロレンズアレイ1は、繰返し周期長L[mm]を基本単位とする周期構造を含んでいる。すなわち、互いに隣接する基本パターンレンズ群2の対応する位置には、同じ形状のマイクロレンズ3が存在する。
従って、マイクロレンズアレイ1(スクリーン140)から拡大ミラー150に向かって出射される光線には、繰返し周期長L[mm]に起因した1次回折光Gd1が含まれる。
例えば、図2に示すように、マイクロレンズ1の間隔が一定な場合には、繰返し周期長は距離P1になる。しかし、図3に示すように、マイクロレンズ1の頂点4をランダムに移動させることで、繰返し周期長は距離Lになる。
光源部110から出射された光(光線G)がマイクロレンズアレイ1によって回折されると、ドライバーが見る画像に複数の輝点が発生することは既に述べたとおりである。しかし、ドライバーの目170で輝点を認識し難くなる程度まで輝点間隔を狭くなるように、繰返し周期長L[mm]を決定する。
なお、この輝点は、図7に示す集光点Pd0,Pd1である。
そこで、画像に含まれる輝点間隔Lbが、ドライバーの目170によって輝点を認識し難くなる繰返し周期長L[mm]の求め方について詳しく説明する。
図6において、スクリーン140における角度θ0[rad]と角度θin[rad]との関係は、以下の数式(2)のように表すことができる。波長λ[nm]は、光源部110から出射される光線Gの波長である。数式(2)は、繰返し周期長L[mm]を含む周期構造の光の回折式に基づいている。
また、一般に、繰返し周期長Lが大きいほど表示画像の輝点間隔Lbは狭くなり、繰返し周期長L[mm]が小さいほど表示画像の輝点間隔Lbは広くなる。従って、ドライバーの目170によって輝点間隔Lbが輝点を認識し難くなる繰返し周期長L[mm]の範囲は以下の関係式(3)で与えられる。
数式(3)において、角度θ0[rad]と角度θin[rad]とが満たす関係について図6に基づいて説明する。
図6に示した各構成要素130a,140,155,E(170)において、光線マトリクス法を用いることによって、光線の伝播についての各種変数の関係式を簡略に求めることができる。高さrin[mm]、角度θin[rad]、高さrout[mm]および角度θout[rad]には、次式(4)の関係が成り立つ。高さrin[mm]は、スクリーン140から出射した光線の光軸C上からの距離である。高さrout[mm]は、ドライバーの目170(アイボックスE)に入射する光線の光軸C上からの距離である。
ここで、Χ=rin+D1θinとおくと数式(4)は以下の数式(5)のように表される。
ドライバーの目170に入射する光線の角度θout[rad]を求めるには、数式(4)の上段(一行目)の関係式において高さrout=0を代入し以下の関係式(6)を得る。
数式(5)の下段の関係と数式(6)との関係より、角度θin[rad]と角度θout[rad]との関係は、以下に示す数式(7)の関係となる。
ここで、角度θout[rad]は数式(1)で示した範囲を満たす必要がある。このため、数式(7)を数式(1)に代入すると、角度θin[rad]の満たす範囲が以下の数式(8)のように求められる。
つまり、数式(8)は、限界視角Vminよりも小さい範囲である場合の角度θoutに対応した角度θinであることを示している。数式(8)の1/aは、限界視角Vminである。
また、数式(3)に示した角度θ0[rad]を角度θin[rad]で表すと、図6に示す幾何的関係から数式(9)の関係が成り立つ。
数式(9)における高さrin[mm]と角度θin[rad]との関係は、Χ=rin+D1θinの関係と、数式(6)とから以下の数式(10)の関係が成り立つ。
数式(10)を数式(9)に代入することにより、角度θ0[rad]と角度θin[rad]との間に以下の数式(11)の関係が成り立つ。
従って、数式(8)および数式(11)に示した関係を満たしながら、数式(3)で示した繰返し周期長L[mm]を決定する。これによって、表示画像における輝点間隔Lbを、ドライバーの目170で輝点を認識し難くなる程度まで狭くすることが可能となる。
各種変数として、例えば、光源部110から出射される光線Gの波長λ[nm]を、光源に用いる半導体レーザー111,112,113の波長で設定する。例えば、半導体レーザー111の波長λ[nm]は、638nm(赤色)である。半導体レーザー112の波長λ[nm]は、515nm(緑色)である。半導体レーザー113の波長λ[nm]は、450nm(青色)である。例えば、各種変数としての波長λ[nm]は、これらの波長のうち、比視感度の一番高い波長を用いる。
「比視感度」とは、基準となる波長の光の明るさ感を1として、これと同じエネルギーをもつ他の光の明るさ感を相対値で表わしたものである。通常、基準となる波長は、最も明るく感じる555[nm]の黄緑色の光が用いられる。
実施の形態1においては、緑色の波長(515nm)を用いるか、明所最大比視感度の波長(555nm)を用いるのが好ましい。「明所最大比視感度」とは、人間の目が同じエネルギーを持った光のうち最も明るく感じる波長のことである。
また、限界視角Vmin(1/視力a)は、画像表示装置100を搭載する乗り物のドライバーの視力aを考慮して決めると良い。
例えば、日本で自動車の普通免許を取得するには、両眼で0.7以上の視力aが必要とされている。この両眼で視力aが0.7の人の目を基準とする場合には、角度θout[rad]は数式(1)からθout<4.16×10−4[rad]となる。
また、視力aが2.0の人も普通自動車を使用するため、これを考慮すると、角度θout[rad]は、数式(1)から同様にθout<1.45×10−4[rad]となる。
以上より、角度θout[rad]は以下の条件式(12)を満足することが、より好ましい。
その他の各種変数f,D1,D2,D0は、画像表示装置100の仕様によって決まる値である。例えば、焦点距離f=300[mm]、距離D1=250[mm]、距離D2=1700[mm]および距離D0=300[mm]とすると、繰返し周期L[mm]は約0.36[mm]となる。
従って、実施の形態1において、例えば、各種変数の条件として、基本パターンレンズ群2を一辺0.36[mm]角の正方形とする。また、マイクロレンズ3同士の間隔を40[μm]とする。この場合には、マイクロレンズアレイ1を作製するために、約80個のマイクロレンズ3について設計すれば良いことになる。つまり、大幅に設計データを削減することができる。
また、実施の形態1に係るマイクロレンズアレイ1において、境界線B1〜B7に接するマイクロレンズ3には、不連続な形状のレンズが存在しない。つまり、境界線B1〜B7は、直線形状をしている。また、基本パターンレンズ群2としては、マイクロレンズ3を同一のランダム配列したものを用いている。
このため、同一のランダム配列で、マイクロレンズ3を繰り返し配置することができる。また、完全拡散板等と異なり、光学設計されたマイクロレンズアレイ1を、容易に短期間で作製することが可能となる。
また、実施の形態1によれば、画像表示装置100を搭載する車種が変わった場合には、画像表示装置100から出射される角度θout[rad]が数式(12)を満足しない可能性がある。例えば、図5に示す距離D21[mm]と距離D22[mm]とのうち、少なくとも一方が変わった場合である。距離D21[mm]は、拡大ミラー150からフロントウィンドウ160までの距離である。距離D22[mm]は、フロントウィンドウ160からドライバーの目170までの距離である。
このように、各種変数が変化した場合には、マイクロレンズアレイ1における基本パターンレンズ群2の繰り返し周期長L[mm]を変更する。これだけで、画像表示装置100は、回折光に起因する視認性の低下を抑制することができる。
従って、画像表示装置100における距離D0[mm]、距離D1[mm]又は拡大ミラー150の焦点距離f等を変える必要が無くなる。距離D0[mm]は、MEMSミラー130からスクリーン140までの距離である。スクリーン140は、マイクロレンズアレイ1である。距離D1[mm]は、スクリーン140から拡大ミラー150までの距離である。
実施の形態1に係る画像表示装置100は、光源部110、マイクロレンズアレイ1(スクリーン140)、走査部130および光学系155を備える。
マイクロレンズアレイ1は、複数の基本パターンレンズ群2を備えている。走査部130は、光源部110から出射された光を反射し、マイクロレンズアレイ1を含む面上に画像を描画する。光学系155は、マイクロレンズアレイ1の光軸C上に配置され、マイクロレンズアレイ1上に描画された画像を人間の目170(網膜上)に投影する。
光源部110から出射された光(光線G)は、マイクロレンズアレイ1によって回折されて、人間の目170に入射する。この人間の目170に入射する入射光(1次回折光Gd1)と光軸Cとのなす角θoutが、例えば、数式(12)に示す範囲を満たすものである。
複数の基本パターンレンズ群2でマイクロレンズアレイ1を構成することで、ヘッドアップディスプレイのスクリーン140として用いられるマイクロレンズアレイ1の設計データを従来よりも低減することができる。
また、この人間の目170に入射する入射光(1次回折光Gd1)と光軸Cとのなす角θoutを、例えば、数式(12)を満たす値に設定することで、輝度ムラを低減して、表示画像の視認性を向上できる。
また、実施の形態1に係る画像表示装置100では、基本パターンレンズ群2の繰返し周期長L[mm]は、数式(8)の範囲において、数式(3)を満たす。例えば、繰返し周期L[mm]を0.36[mm]よりも大きな値とする。このため、輝度ムラが低減されて、表示画像の視認性がさらに向上する。
距離D2は、光学系155と人間の目170(アイボックスEの中心E0)との距離である。波長λは、光源部110から出射される光(光線G)の波長である。角度θ0は、走査部130からマイクロレンズアレイ1に入射する光(光線G)と光軸Cとのなす角である。角度θin[rad]は、マイクロアレイレンズ1の1次回折光Gd1の回折角である。ここで、「回折角」とは、スクリーン140から出射される際の0次回折光Gd0と1次回折光Gd1とのなす角である。距離fは、光学系155の焦点距離である。図5では、フロントウィンドウ160を平面として扱っているため、距離fは、拡大ミラー150の焦点距離になる。視力aは、画像表示装置100で表示される画像を見る人間(ドライバー)の視力である。繰返し周期長L[mm]は、隣接する基本パターンレンズ群2の対応する位置に配置されたマイクロレンズ3間の距離である。
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1で示した画像表示装置100の光軸Cに対して、スクリーン140を角度θМだけ傾けて配置した場合について説明する。
図8は、実施の形態1で示した画像表示装置100の光軸Cに対して、スクリーン140を角度θМだけ傾いて配置された場合に、図4に示した画像表示装置100から出射された画像光がフロントウィンドウ160に反射してドライバーの目170に届くまでの光路を示した図である。
なお、図8では図4に示したミラー120、光源部110および虚像180を省略して示している。省略した構成要素以外の構成要素は、図4で示した位置関係等と同様であるため、その説明を省略する。また、図8ではスクリーン140以外の構成要素は、図5に示した位置関係と同様であるため、その説明を省略する。
図8において、MEMSミラー装置130からスクリーン140上の光軸Cと交わる点までの距離を距離D0[mm]とする。光軸Cとスクリーン140とが交わる点から拡大ミラー150までの距離を距離D1[mm]とする。光軸Cとスクリーン140とが交わる点からMEMSミラー装置130から出射された光線がスクリーン140上に入射する位置までの距離を距離D11[mm]とする(図9参照)。距離D11は、D11≒θM・rinで表わされる。なお、距離D0,D1,D21,D22は、光軸C上の距離である。また、距離D11は、光軸Cと平行な方向の距離である。
次に、図9に示した構成について説明する。図9に示した構成は、光路を簡略化したものである。また、上記の角度および距離等を併せて「各種変数」とする。
図9は、図8に示す画像表示装置100とドライバーの目170との光学的関係を簡略化して示した図である。なお、図9ではスクリーン140以外の構成要素は、図6に示した位置関係と同様であるため、その説明を省略する。
実施の形態1と同様に、実施の形態2における画像表示装置100でも、角度θout[rad]を変化させることによって、ドライバーの目170が回折光の輝点間隔Lbを識別し難くなるようにすることが可能である。角度θout[rad]は、画像光に含まれる1次回折光Gd1がドライバーの目170に入射する角度である。ここで、角度θout[rad]は、条件式(1)を満足することが好ましい。
角度θout[rad]が条件式(1)を満たすためのマイクロレンズアレイ1の構成について説明する。
実施の形態2に係るマイクロレンズアレイ1は、基本パターンレンズ群2を繰返し配置している。このために、マイクロレンズアレイ1は、繰返し周期長L[mm]を基本単位とする周期構造を含んでいる。
すなわち、互いに隣接する基本パターンレンズ群2の対応する位置には、同じ形状のマイクロレンズ3が存在する。従って、マイクロレンズアレイ1(スクリーン140)から拡大ミラー150に向かって出射される光線には、繰返し周期長L[mm]に起因した回折光が含まれる。
光源部110から出射された光がマイクロレンズアレイ1によって回折されると、ドライバーが見る画像に複数の輝点が発生することは既に述べたとおりである。しかし、ドライバーの目170で輝点を認識し難くなる程度まで、輝点間隔Lbが狭くなるように、繰返し周期長L[mm]を決定する。
そこで、画像に含まれる輝点間隔Lbが、ドライバーの目170によって輝点を認識し難くなる繰返し周期長L[mm]の求め方について詳しく説明する。
図9において、スクリーン140における角度θ0[rad]と角度θin[rad]との関係は、以下の数式(13)のように表すことができる。波長λ[nm]は、光源部110が出射する光線Gの波長である。数式(13)は、繰返し周期長L[mm]を含む周期構造の光の回折式に基づいている。
従って、ドライバーの目170によって輝点を認識し難くなる範囲は、以下の関係式(14)で与えられる。
なお、図9において距離D11は距離D0又は距離D1に対して小さい値であるため無視することができる。そのため、数式(14)において、角度θin[rad]と角度θ0[rad]とが満たす関係は、実施の形態1と同様に条件式(8)および条件式(11)である。
従って、数式(8)および数式(11)に示した関係を満たしながら、数式(14)で示した繰返し周期長L[mm]を決定する。これによって、表示画像における輝点間隔Lbを、ドライバーの目170で輝点を認識し難くなる程度まで狭くすることが可能となる。
実施の形態3.
実施の形態3では、基本格子を六角格子21(正六角格子)としている。マイクロレンズ18の頂点19の位置は、六角格子21の格子点16から、それぞれ予め定められた変量だけ移動した位置に配置される。
図10は、実施の形態3に係るマイクロレンズアレイ14を示す図である。
図10において、基本パターンレンズ群15を、異なる2つの大きさの太枠線で示されたもののうち、大きい太線枠に示す。図10に示すように、マイクロレンズアレイ14は、複数の基本パターンレンズ群15を含んでいる。
マイクロレンズアレイ14において、複数の基本パターンレンズ群15は、縦に2つ並び、横に3つ並んだ構成をしている。つまり、複数の基本パターンレンズ群15は、縦方向および横方向にそれぞれ2×3で配置されている。複数の基本パターンレンズ群15は、境界線B8〜B14を介して隣接して配置されている。つまり、複数の基本パターンレンズ群15は、繰返して配置されている。
図10では、マイクロレンズアレイ14の一部の領域について示している。このため、実際は6つ以上の基本パターンレンズ群15が縦方向および横方向に繰返し配列されている。
一つの基本パターンレンズ群15の領域内には、多角形の境界で形成された複数のマイクロレンズ18が配置されている。マイクロレンズ18の内部の黒点は、マイクロレンズ18の頂点19を示している。
実施の形態3におけるマイクロレンズアレイ14は、基本格子として六角格子21を用いている。
マイクロレンズアレイ14には、複数のマイクロレンズ18が含まれている。マイクロレンズアレイ14は、複数のマイクロレンズ18の頂点19の位置を、六角格子21の格子点16から、それぞれ異なる方向に異なる変位量だけ移動させたものである。つまり、頂点19は、六角格子21の格子点16をランダムに移動させた位置に配置されている。頂点19の位置の設定方法については後述する。
ここで、実施の形態3における基本パターンレンズ群15の繰返し周期長L[mm]について説明する。繰返し周期長L[mm]は、マイクロレンズアレイ14に含まれる繰返し構造の最小単位である。
図10において、基本パターンレンズ群15と、この基本パターンレンズ群15の右隣に隣接する基本パターンレンズ群15bとに注目する。基本パターンレンズ群15bは、基本パターンレンズ群15と同一であるが、説明のために符号15bを付している。
マイクロレンズ18aとマイクロレンズ18bとは、それぞれ対応する位置に配置されている。マイクロレンズ18aは、基本パターンレンズ群15に含まれている。マイクロレンズ18bは、基本パターンレンズ群15bに含まれている。マイクロレンズ18a,18bは、それぞれ小さい太枠で表示されている。
また、図10において、基本パターンレンズ群15と、この基本パターンレンズ群15の下側に隣接する基本パターンレンズ群15cとに注目する。基本パターンレンズ群15cは、基本パターンレンズ群15と同一であるが、説明のために符号15cを付している。
マイクロレンズ18aとマイクロレンズ18cとは、それぞれ対応する位置に配置されている。マイクロレンズ18aは、基本パターンレンズ群15に含まれている。マイクロレンズ18cは、基本パターンレンズ群15cに含まれている。マイクロレンズ18cは、小さい太枠で表示されている。
また、頂点19aと頂点19bとの横方向の距離を繰返し周期長L5とする。そして、頂点19aと頂点19cとの縦方向の距離を繰返し周期長L6とする。頂点19aは、マイクロレンズ18aの頂点である。頂点19bは、マイクロレンズ18bの頂点である。頂点19cは、マイクロレンズ18cの頂点である。
次に、図10に示したマイクロレンズ18の配置方法について詳しく説明する。マイクロレンズ18は、マイクロレンズアレイ14の基本パターンレンズ群15に含まれている、
図11は、本発明の実施の形態3に係るマイクロレンズ18の頂点19の配置の基準となる基本格子について説明するための図である。マイクロレンズ18は、マイクロレンズアレイ14に含まれている。
図11に示すように、六方格子21は、格子点16同士の距離が距離P2となるように、複数の単位パターン領域17が配列されている。図11では、簡略のために、複数の単位パターン領域17のうち、4つの単位パターン領域17についてのみ格子点16の符号を付している。また、六方格子21は、複数の基本パターンレンズ群15sを含んでいる。
ここで、実施の形態3における六方格子21の単位パターン領域17について説明する。
単位パターン領域17は、一つの格子点16を含む領域である。単位パターン領域17は、互いに隣接するマイクロレンズ18の格子点17を結んだ線分の二等分線M3(境界線)により区分されている。
基本格子が六角格子21である場合には、図11に示すように、単位パターン領域17は正六角形の領域となる。実施の形態3の基本パターンレンズ群15のように、正六角形が隙間なく隣接している構造をハニカム構造という。
また、単位パターン領域17が縦方向に6個配列し、横方向に8個配列した領域が、図10に示したマイクロレンズアレイ14の基本パターンレンズ群15の領域に対応している。
次に、六方格子21の格子点16を基準とした、マイクロレンズ18の頂点19をランダムに配置する方法について説明する。
図11において、格子点16から単位パターン領域17の境界線M3に向かって予め定められた距離で区切られる領域を変位領域22とする。変位領域22は、六方格子21の格子点16と単位パターン領域17の境界線M3との距離(P2/2)を基準として設定される。つまり、格子点16から各境界線M3に対して垂線を下ろす。変位領域22の境界線M3は、この垂線の垂直二等分線である。
マイクロレンズ18の頂点19を、格子点16上から変位領域22の領域内の格子点16と異なる位置に配置する。つまり、頂点19を格子点16上から、それぞれ予め定められた異なる方向に異なる変位量だけ移動させる。すなわち、マイクロレンズ18の頂点19の位置は、格子点16上からランダムに移動した位置である。また、マイクロレンズ18の頂点19は、変位領域22の領域内に配置される。
図11では、六方格子21の格子点16と単位パターン領域17の境界線M3との距離を基準距離S2とする。つまり、基準距離S2は、格子点16から単位パターン領域17の境界線M3への垂線の長さである。この垂線上の点で、格子点16から距離が0.6×S2となる点を通り、単位パターン領域12の境界線M3と平行な線を辺とする六角形を点線で示す。図11では、この点線で示された六角形の内部を変位領域22としている。
頂点19を配置する際の移動方向及び変位量は、このように格子点16から予め定められた距離の範囲内(変位領域22)で設定される。変位領域22を単位パターン領域17よりも小さく設定することによって、隣接するマイクロレンズ18同士の頂点19が重なることを防止することができる。
実施の形態3のマイクロレンズ18を用いた画像表示装置100は、表示画像の輝度ムラを低減することができる。
ここで、基本パターンレンズ群15が境界線B8〜B14を介して互いに連続するように、頂点19に変位量を与える。この変位量を与える方法について説明する。特に、基本パターンレンズ群15に含まれるマイクロレンズ18のうち、境界線B8〜B14に接するマイクロレンズ18の頂点19の変位量の与え方について説明する。
図11に示す単位パターン領域17の全てについて、マイクロレンズ18の頂点19の位置をランダムに配置する。また、実施の形態1と同様に、マイクロレンズ18の境界線はボロノイ図を描くことで得られる。この場合には、図10に示すように、マイクロレンズアレイ14に含まれる境界線B8〜B14は、ランダムな形状となる。このため、繰返して同一の基本パターンレンズ群15を配置することは困難である。
そこで、実施の形態3におけるマイクロレンズアレイ14では、繰返して基本パターンレンズ群15を配置するために、境界線B8〜B14の位置およびマイクロレンズ18の頂点19の位置を工夫したものである。
図12は、縦(垂直)方向の境界線B9,B10,B12,B13に接するマイクロレンズ18における、格子点16の変位量を決定する方法を説明するための図である。図12において、縦基準線B21,B22は、境界線B9,B10,B12,B13の基準となる基準線である。縦基準線B21を第1の縦基準線として、縦基準線B22を第2の縦基準線とする。
縦基準線B21,B22は、隙間なく並べられた単位パターン領域17上に設定される。縦基準線B21,B22の横方向の間隔は、間隔(繰返し周期長)L5である。つまり、間隔(繰返し周期長)L5は、縦基準線B21,B22の横方向の繰り返し周期長である。このとき、設定する縦基準線B21,B22の間隔(繰返し周期長)L5は、周期長Pの整数倍であればよい。
周期長Pは、単位パターン領域17の横方向の周期長である。図12では、例えば、後述する領域X11とZ11との距離である。つまり、縦基準線B21,B22の方向で同じ位置の単位パターン領域17間の距離である。六角格子21では、周期長Pの値は、後述する周期長Qの値と異なる。
まず、縦基準線B21,B22上の単位パターン領域17について説明する。これらの単位パターン領域17は、第1の縦単位パターン領域に相当する。ここで、縦基準線B21,B22上の対応する位置にある単位パターン領域17には、それぞれ同一の方向に同一の変位量を与える。ここで、「対応する」とは、注目する2つの単位パターン領域17が、それぞれの縦基準線B21,B22上の縦方向で同一の位置であることを指す。縦方向は、縦基準線B21,B22が伸びている方向である。
図12において、縦基準線B21上にある単位パターン領域17には、例として、符号Y11,Y21,Y31,YN1−1,YN1を付している。また、縦基準線B22上にある単位パターン領域17には、例として、符号Y12,Y22,Y32,YN2−1,YN2を付している。
次に、縦基準線B21,B22上の単位パターン領域17の左側に位置する単位パターン領域17について説明する。これらの単位パターン領域17は、第2の縦単位パターン領域に相当する。これらの単位パターン領域17のうち、対応する位置にある単位パターン領域17には、それぞれ同一の方向に同一の変位量を与える。
図12において、縦基準線B21上の単位パターン領域17の左側に位置する単位パターン領域17には、例として、符号X11,X21,X31,XN1−1,XN1を付している。また、縦基準線B22上の単位パターン領域17の左側に位置する単位パターン領域17には、例として、符号X12,X22,X32,XN2−1,XN2を付している。
次に、縦基準線B21,B22上の単位パターン領域17の右側に位置する単位パターン領域17について説明する。これらの単位パターン領域17は、第3の縦単位パターン領域に相当する。これらの単位パターン領域17のうち、対応する位置にある単位パターン領域17には、それぞれ同一の方向に同一の変位量を与える。
図12において、縦基準線B21上の単位パターン領域17の右側に位置する単位パターン領域17には、例として、符号Z11,Z21,Z31,ZN1−1,ZN1を付している。また、縦基準線B22上の単位パターン領域17の右側に位置する単位パターン領域17には、例として、符号Z12,Z22,Z32,ZN2−1,ZN2を付している。
図12において、単位パターン領域17に位置を示す符号を付している。ここでは、例えば、X11の位置にある単位パターン領域17を「領域X11」と示して説明する。
例えば、図12において、単位パターン領域17のうち領域X11と領域X12とは、対応する位置にある単位パターン領域17である。また、領域X21と領域X22とは、対応する位置にある単位パターン領域17である。領域X31と領域X32とは、対応する位置にある単位パターン領域17である。
また、領域Y11と領域Y12とは、対応する位置にある単位パターン領域17である。領域Y21と領域Y22とは、対応する位置にある単位パターン領域17である。領域Y31と領域Y32とは、対応する位置にある単位パターン領域17である。
また、領域Z11と領域Z12とは、対応する位置にある単位パターン領域17である。領域Z21と領域Z22とは、対応する位置にある単位パターン領域17である。領域Z31と領域Z32とは、対応する位置にある単位パターン領域17である。
これらの対応する位置にある単位パターン領域17の格子点16には、同一の方向に同一の変位量を与えられる。
また、縦基準線B21の近辺に位置する領域X11,X21,X31,Y11,Y21,Y31,Z11,Z21,Z31を1つの組とする。また、縦基準線B22の近辺に位置する領域X12,X22,X32,Y12,Y22,Y32,Z12,Z22,Z32を1つの組とする。
これらの組ごとの各単位パターン領域17の格子点16の移動方向及び変位量は異なる値となるようにする。
図13は、横(水平)方向の境界線B8,B11,B14に接するマイクロレンズ18における、格子点16の変位量を決定する方法を説明するための図である。図13において、横基準線B31,B32は、境界線B8,B11,B14の基準となる基準線である。横基準線B31を第1の横基準線として、横基準線B32を第2の横基準線とする。
なお、第1の基準線および第2の基準線は互いに同方向の組み合わせとする。即ち、縦の基準線同士または横の基準線同士の組み合わせとする。
横基準線B31,B32は、隙間なく並べられた単位パターン領域17上に設定される。横基準線B31,B32の縦方向の間隔は、間隔(繰返し周期長)L6である。つまり、間隔(繰返し周期長)L6は、横基準線B31,B32の縦方向の繰り返し周期長である。このとき、設定する横基準線B31,B32の間隔(繰返し周期長)L6は、周期長Qの整数倍であればよい。
周期長Qは、単位パターン領域17の縦方向の周期長である。図13では、例えば、後述する領域α11とβ11との距離である。つまり、横基準線B31,B32の方向で同じ位置の単位パターン領域17間の距離である。
まず、横基準線B31,B32上の単位パターン領域17について説明する。これらの単位パターン領域17は、第1の横単位パターン領域に相当する。ここで、横基準線B31,B32上の対応する位置にある単位パターン領域17には、それぞれ同一の方向に同一の変位量を与える。ここで、「対応する」とは、注目する2つの単位パターン領域17が、それぞれの横基準線B31,B32上の横方向で同一の位置であることを指す。横方向は、縦基準線B31,B32が伸びている方向である。
図13において、横基準線B31上にある単位パターン領域17には、例として、符号β11,β21,β31,βN1−1,βN1を付している。また、横基準線B32上にある単位パターン領域17には、例として、符号β12,β22,β32,βN2−1,βN2を付している。
次に、横基準線B31,B32上の単位パターン領域17の上側に位置する単位パターン領域17について説明する。これらの単位パターン領域17は、第2の横単位パターン領域に相当する。これらの単位パターン領域17のうち、対応する位置にある単位パターン領域17には、それぞれ同一の方向に同一の変位量を与える。
図13において、横基準線B31上の単位パターン領域17の上側に位置する単位パターン領域17には、例として、符号α11,α21,α31,αN1−1,αN1を付している。また、横基準線B32上の単位パターン領域17の上側に位置する単位パターン領域17には、例として、符号α12,α22,α32,αN2−1,αN2を付している。
次に、横基準線B31,B32上の単位パターン領域17の下側に位置する単位パターン領域17について説明する。これらの単位パターン領域17は、第3の横単位パターン領域に相当する。これらの単位パターン領域17のうち、対応する位置にある単位パターン領域17には、それぞれ同一の方向に同一の変位量を与える。
図13において、横基準線B31上の単位パターン領域17の下側に位置する単位パターン領域17には、例として、符号γ11,γ21,γ31,γN1−1,γN1を付している。また、横基準線B32上の単位パターン領域17の下側に位置する単位パターン領域17には、例として、符号γ12,γ22,γ32,γN2−1,γN2を付している。
なお、単位パターン領域の組み合わせは、互いに同方向の組み合わせとする。即ち、縦方向に隣接する単位パターン領域17同士、又は横方向に隣接する単位パターン領域17同士の組み合わせとする。
図13において、単位パターン領域17に位置を示す符号を付している。ここでは、例えば、α11の位置にある単位パターン領域17を「領域α11」と示して説明する。
例えば、図13において、単位パターン領域17のうち領域α11と領域α12とは、対応する位置にある単位パターン領域17である。また、領域α21と領域α22とは、対応する位置にある単位パターン領域17である。領域α31と領域α32とは、対応する位置にある単位パターン領域17である。
また、領域β11と領域β12とは、対応する位置にある単位パターン領域17である。領域β21と領域β22とは、対応する位置にある単位パターン領域17である。領域β31と領域β32とは、対応する位置にある単位パターン領域17である。
また、領域γ11と領域γ12とは、対応する位置にある単位パターン領域17である。領域γ21と領域γ22とは、対応する位置にある単位パターン領域17である。領域γ31と領域γ32とは、対応する位置にある単位パターン領域17である。
これらの対応する位置にある単位パターン領域17の格子点16には、同一の方向に同一の変位量を与えられる。
また、横基準線B31の近辺に位置する領域α11,α21,α31,β11,β21,β31,γ11,γ21,γ31を1つの組とする。また、横基準線B32の近辺に位置する領域α12,α22,α32,β12,β22,β32,γ12,γ22,γ32を1つの組とする。
これらの組ごとの各単位パターン領域17の格子点16の移動方向及び変位量は異なる値となるようにする。
図14は、隙間なく配列された単位パターン領域17内に、マイクロレンズ18の頂点19の位置を、上述の方法でランダムに配置した図である。
図14において、黒点はマイクロレンズ18の頂点19の位置を示している。縦基準線B21,B22および横基準線B31,B32に対して、それぞれ対応する位置にある単位パターン領域17で、マイクロレンズ18の頂点19の位置は、それぞれ同一の方向に同一の変位量が与えられている。
例えば、頂点19a,19b,19c,19dは、単位パターン領域17中で同じ位置に配置されている。
頂点19aは、縦基準線B21の左側で、横基準線B31の上側に位置する単位パターン領域17の頂点19である。頂点19bは、縦基準線B22の左側で、横基準線B31の上側に位置する単位パターン領域17の頂点19である。頂点19cは、縦基準線B21の左側で、横基準線B32の上側に位置する単位パターン領域17の頂点19である。頂点19dは、縦基準線B22の左側で、横基準線B32の上側に位置する単位パターン領域17の頂点19である。
また、図9および図10で説明したように、縦基準線B21,B22および横基準線B31,B32の間隔(繰返し周期長)L5,L6を選択することができる。間隔(繰返し周期長)L5,L6の選択により、基本パターンレンズ群15の大きさを自由に選択することができる。
なお、図12および図13では縦方向および横方向に基準線B21,B22,B31,B32を設けた場合を示した。しかし、同様の方法を用いて、六角格子21を斜め方向にも区切ることができる。繰返し配置するランダム配列を作成する際の基準線は、様々な多角形とすることも可能である。また、基準線を直線でなくとも曲線とすることも可能である。
図14に示された単位パターン領域17の頂点19の位置に基づいて、複数のマイクロレンズ18の境界線B8〜B14を決定する。そして、図10に示したような基本パターンレンズ群15を含むマイクロレンズアレイ14が得られる。
基本パターンレンズ群15の境界線B8〜B14の決定方法については、既に実施の形態1で説明した方法と同様である。
つまり、ランダムに配置されたマイクロレンズ18の複数の頂点19を母点とする。隣接するマイクロレンズ18の母点(頂点19)間を結ぶ線分を一定の比率で内分する直線を引く。この直線がマイクロレンズ18の境界線M4である。図10に示す境界線M4は、この直線を境界線とするボロノイ図を描くことにより得ることができる。この境界線M4は、第3の境界線に相当する。つまり、マイクロレンズ18の境界線が第3の境界線である。
図10に示す境界線B8〜B14は、基本パターンレンズ群15の境界に位置する境界線M4をつなげたものである。
例えば、この実施の形態3における単位パターンレンズ群15の縦方向の境界線B9,B10,B12,B13は、例えば、第1の縦単位パターン領域に対応するマイクロレンズ18と、第2の縦単位パターン領域に対応するマイクロレンズ18との境界線M4をつなげて得てもよい。
また、縦方向の境界線B9,B10,B12,B13は、第1の縦単位パターン領域に対応するマイクロレンズ18と第3の縦単位パターン領域に対応するマイクロレンズ18との境界線M4をつなげて得てもよい。
第1の縦単位パターン領域は、領域Y11,Y21,Y31,Y12,Y22,Y32である。第2の縦単位パターン領域は、領域X11,X21,X31,X12,X22,X32である。第3の縦単位パターン領域は、領域Z11,Z21,Z31,Z12,Z22,Z32である。
同様に、例えば、この実施の形態3における単位パターンレンズ群15の横方向の境界線B8,B11,B14は、例えば、第1の横単位パターン領域に対応するマイクロレンズ18と、第2の横単位パターン領域に対応するマイクロレンズ18との境界線M4をつなげて得てもよい。
また、横方向の境界線B8,B11,B14は、第1の横単位パターン領域に対応するマイクロレンズ18と第3の横単位パターン領域に対応するマイクロレンズ18との境界線M4をつなげて得てもよい。
第1の横単位パターン領域は、領域β11,β21,β31,β12,β22,β32である。第2の横単位パターン領域は、領域α11,α21,α31,α12,α22,α32である。第3の横単位パターン領域は、領域γ11,γ21,γ31,γ12,γ22,γ32である。
本発明の実施の形態3のマイクロレンズアレイ14も、実施の形態1と同様に、図4の画像表示装置100のスクリーン140に使用されることができる。また、マイクロレンズアレイ14の基本パターンレンズ群15は、マイクロレンズ18の頂点19がランダムに配置されている。繰り返してこの基本パターンレンズ群15を配置するため、実施の形態1同様に、隣接した周期構造の対応する位置には同じ形状のレンズが存在する。ここで「周期構造」とは、基本パターンレンズ群15のことである。
そのため、基本パターンレンズ群15の横方向の繰返し周期長L5と、縦方向の繰り返し周期長L6とに基づく周期構造に起因した回折光が発生する。
実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、角度θout[rad]が、ドライバーの目170の限界視角Vmin未満になるように、繰返し周期長L5,L6[mm]を決定することが好ましい。角度θout[rad]は、ドライバーの目170に入射する1次回折光Gd1の光軸Cに対する入射角度である。また、視角はa−1[′](分)と表され、視力aの逆数である。
角度θout[rad]がドライバーの目170の限界視角Vmin未満になるような繰返し周期長L[mm]の算出方法については実施の形態1において説明しているため、ここでは省略する。
実施の形態3に係るマイクロレンズアレイ14の基本格子は六角格子21である。六角格子21上に第1の縦基準線B21と第2の縦基準線B22とを設定する。第2の縦基準線B22は、第1の縦基準線B21に対向して配置されている。第1の縦基準線B21および第2の縦基準線B22は、それぞれ六角格子21上に位置する。
第1の縦基準線B21および第2の縦基準線B22に対して、それぞれ対応する位置に存在する第1の縦単位パターン領域17同士は、格子点16からの移動方向及び変位量が等しい。また、第2の縦単位パターン領域17同士も、格子点16からの移動方向及び変位量が等しい。また、第3の縦単位パターン領域17同士も、格子点16からの移動方向及び変位量が等しい。
第2の縦単位パターン領域17は、第1の縦単位パターン領域17の一方向側に位置する領域である。第3の縦単位パターン領域17は、第1の縦単位パターン領域17の他方向側に位置する領域である。実施の形態3では、「一方向側」は左側であり、「他方向側」は右側である。
第3の境界線M4は、隣接するマイクロレンズ18の頂点19同士を結んだ線分の二等分線を含む線である。この場合において、第1の境界線B9,B10,B12,B13は、第1の縦単位パターン領域17に位置するマイクロレンズ18が備える第3の境界線M4を含む。第3の境界線M4は、マイクロレンズ18の境界線である。
同様に、実施の形態3に係るマイクロレンズアレイ14の基本格子は六角格子21である。六角格子21上に第1の横基準線B31と第2の横基準線B32とを設定する。第2の横基準線B32は、第1の横基準線B31に対向して配置されている。第1の横基準線B31および第2の横基準線B32は、それぞれ六角格子21上に位置する。
第1の横基準線B31および第2の横基準線B32に対して、それぞれ対応する位置に存在する第1の横単位パターン領域17同士は、格子点16からの移動方向及び変位量が等しい。また、第2の横単位パターン領域17同士も、格子点16からの移動方向及び変位量が等しい。また、第3の横単位パターン領域17同士も、格子点16からの移動方向及び変位量が等しい。
第2の横単位パターン領域17は、第1の横単位パターン領域17の一方向側に位置する領域である。第3の横単位パターン領域17は、第1の横単位パターン領域17の他方向側に位置する領域である。実施の形態3では、「一方向側」は上側であり、「他方向側」は下側である。
第3の境界線M4は、隣接するマイクロレンズ18の頂点19同士を結んだ線分の二等分線を含む線である。この場合において、第1の境界線B8,B11,B14は、第1の横単位パターン領域17に位置するマイクロレンズ18が備える第3の境界線M4を含む。第3の境界線M4は、マイクロレンズ18の境界線である。
従って、第1の境界線B8〜B14に隣接するマイクロレンズ18の頂点19の位置のランダム性を、さらに向上させることができる。また、基本パターンレンズ群15同士の第1の境界線B8〜B14が、図1に示す第1の境界線B1〜B7のように、それぞれ直線である場合よりも、ドライバーによる表示画像の視認性をさらに向上することができる。また、繰返して同一の基本パターンレンズ群15を配置することができる。
また、実施の形態3に係るマイクロレンズアレイ14を画像表示装置100に用いることにより、ドライバーによる表示画像の視認性がさらに向上する。
実施の形態4.
実施の形態4に係るマイクロレンズアレイ29は、それぞれ異なる基本パターンレンズ群30,31,32を備えている。基本パターンレンズ群30,31,32は、マイクロレンズ3,18の頂点4,19の配置のランダム性が、互いに異なっている。
図15は、マイクロレンズアレイ29の構成を示した図である。
マイクロレンズアレイ29の中心部には、基本パターンレンズ群30が配置されている。図15では、基本パターンレンズ群30は、横方向に3個並び、縦方向に3個並んでいる。つまり、マイクロレンズアレイ29の中心部の領域には、基本パターンレンズ群30が9個配置されている。
基本パターンレンズ群30の領域の周りには、基本パターンレンズ群31が配置されている。基本パターンレンズ群31は、基本パターンレンズ群30の領域を囲むように一列分配置されている。基本パターンレンズ群30の領域の最外周の基本パターンレンズ群30と基本パターンレンズ群31とは、隣接している。図15では、16個の基本パターンレンズ群31が配置されている。
さらに、基本パターンレンズ群31の領域の周りには、基本パターンレンズ群32が配置されている。基本パターンレンズ群32は、基本パターンレンズ群31を囲むように一列分配置されている。基本パターンレンズ群31と基本パターンレンズ群32とは、隣接している。図15では、24個の基本パターンレンズ群32が配置されている。
ここで、基本パターンレンズ群30,31,32のそれぞれの領域内でのマイクロレンズ3の頂点4,19の配置のランダム性が互いに異なっている。基本パターンレンズ群30,31,32は、異なるランダム性でありながら、それぞれ隣接可能となるように境界線が設計されている。
図15では、隣接可能となるように設計されている境界線は、基本パターンレンズ群30の領域の最外周と、基本パターンレンズ群31の領域の内周との境界線B15の形状である。また、隣接可能となるように設計されている境界線は、基本パターンレンズ群31の外周と、基本パターンレンズ群32の内周との境界線B16の形状である。
これらの境界線B15,B16に隣接するマイクロレンズ3,18のランダム性は、基本パターンレンズ群30と基本パターンレンズ群31、又は基本パターンレンズ群31と基本パターンレンズ群32で同様とする。
これにより、異なるランダム性の基本パターンレンズ群30,31,32を隣接して配置することができる。
ただし、同一の基本パターンレンズ群30,31,32同士については、ランダム性は同一である。
図15では、互いにランダム性の異なる3つの基本パターンレンズ群30,31,32を配置したマイクロレンズアレイ29を示している。実施の形態4では、異なる基本パターンレンズ群30,31,32は、繰り返して配置されている。また、異なる基本パターンレンズ群30,31,32は、互いに隣接して配置されている。実施の形態4では、ランダム性の異なる基本パターンレンズ群30,31,32の種類は限定されない。
また、図15では、異なったランダム性を持つ基本パターンレンズ群30,31,32を、マイクロレンズアレイ29の中心部分から周囲に向けて順に配置した場合を示している。しかし、ランダム性の異なる基本パターンレンズ群30,31,32は、どのような順序で配置されてもよい。
さらに、マイクロレンズアレイ29は、基本パターンレンズ群30,31,32に含まれるマイクロレンズ3が、それぞれ異なる拡散角θ(発散角)となるように設計される。この拡散角θは、マイクロレンズアレイ29のレンズ面の曲率によって決まる。画像表示装置100に、このマイクロレンズアレイ29を含むスクリーン140を採用することで、光の利用効率をさらに向上させることが可能となる。
図16(A)および図16(B)は、マイクロレンズアレイ29から出射された光の拡散角θと、アイボックスEとの関係を示す図である。
ここで、「アイボックス」とは、ドライバーの目170が移動した場合に、画像表示装置100によってフロントウィンドウ160に投射される表示画像が欠けることなく見える範囲のことである。すなわち、アイボックスは、図16に示すようにマイクロアレイレンズ29上の各位置におけるマイクロレンズ3の拡散角θが全て重なりあう範囲のことである。
図16(A)は、ランダム性の異なる基本パターンレンズ群30,31,32のそれぞれに含まれるマイクロレンズ3の拡散角θが、全て同一の場合のアイボックスEに入射する光線について示した図である。すなわち、図16(A)では、図15に示す基本パターンレンズ群30,31,32におけるマイクロレンズ3の拡散角θを全て角度θ1としている。
図16(B)は、ランダム性の異なる基本パターンレンズ群30,31,32のそれぞれに含まれるマイクロレンズ3の拡散角θが、基本パターンレンズ群30,31,32ごとにそれぞれ異なる場合のアイボックスEに入射する光線について示した図である。すなわち、図16(B)では、図15に示す基本パターンレンズ群30、基本パターンレンズ群31および基本パターンレンズ群32におけるマイクロレンズ3の拡散角θをそれぞれ角度θ3、角度θ2および角度θ1としたものである。
基本パターンレンズ群31の拡散角θは、θ3である。基本パターンレンズ群32の拡散角θは、θ2である。基本パターンレンズ群33の拡散角θは、θ1である。
ただし、角度θ3,θ2,θ1は、θ3<θ2<θ1の関係を満たす。すなわち、マイクロレンズ3の拡散角θは、周辺部から中央部に向かって小さくなるように設計される。例えば、マイクロレンズアレイ29の周辺部に配置される基本パターンレンズ群32のマイクロレンズ3の拡散角θ1は、マイクロレンズアレイ29の中央部に配置される基本パターンレンズ群30のマイクロレンズ3の拡散角θ3よりも大きい。
図16(B)に示すように、基本パターンレンズ群30,31,32のマイクロレンズ3の拡散角θ1,θ2,θ3の関係をθ3<θ2<θ1となるように設計する。
図16から、アイボックスEのサイズを変えずに光の利用効率を上げることが可能であることが分かる。つまり、基本パターンレンズ群30,31,32のマイクロレンズ3の拡散角θ1,θ2,θ3の関係をθ3<θ2<θ1となるように設計することによって、アイボックスに入射する光の量を、θ3=θ2=θ1の場合よりも増加させることができる。
なぜなら、図16(B)に示すマイクロレンズアレイ29は、図13(A)に示すマイクロレンズアレイ29よりも、基本パターンレンズ群30,31から出射されてアイボックスEに入射される光量が多いからである。
なお、図16では、基本パターンレンズ群30,31,32は、互いに異なるランダム性であるとして説明した。しかし、ランダム性は同一として、拡散角θのみを異なるように調整してもよい。
実施の形態4に係るマイクロレンズアレイ29は、複数の異なる基本パターンレンズ群30,31,32を備える。マイクロレンズ3の頂点4は、異なる基本パターンレンズ群30,31,32ごとに異なる位置に配置されている。マイクロレンズアレイ29に含まれるマイクロレンズ3の頂点4の位置のランダム性がさらに向上し、表示画像の視認性がさらに向上する。
また、実施の形態4に係るマイクロレンズアレイ29によれば、複数の異なる基本パターンレンズ群30,31,32において、マイクロレンズ3の拡散角θは、周辺部から中央部に向かって小さくなるように設計される。つまり、マイクロレンズアレイ29の周辺部に配置される基本パターンレンズ群32に含まれるマイクロレンズ3の拡散角θ1は、マイクロレンズアレイ29の中央部に配置される基本パターンレンズ群30に含まれるマイクロレンズ3の拡散角θ3よりも大きい。これにより、アイボックスEの範囲を変化させずに、光の利用効率を上げることが可能となる。
また、実施の形態4に係るマイクロレンズアレイ29を画像表示装置100のスクリーン140に用いることにより、アイボックスEの大きさを変化させずに、光の利用効率を上げることが可能となる。
以上のように本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。また、その発明の範囲において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜変更したり又は省略したりすることができる。