JPWO2015198890A1 - 抗菌層付き基材、抗菌シート、放射線撮影装置、タッチパネル、積層体 - Google Patents

抗菌層付き基材、抗菌シート、放射線撮影装置、タッチパネル、積層体 Download PDF

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Abstract

本発明は、短時間で抗菌性を示すと共に、抗菌性を長期間維持できる抗菌層を備える抗菌層付き基材、並びに、抗菌シート、上記抗菌層付き基材を備える放射線撮影装置およびタッチパネル、積層体を提供する。本発明の抗菌層付き基材は、基材と、基材表面の少なくとも一部に配置された抗菌層とを有する、抗菌層付き基材であって、抗菌層が、銀を含む抗菌剤と、銀が担持されてもよい、銀イオンを吸着可能な多孔性担体とを含有し、抗菌剤の平均粒径をDa、多孔性担体の平均粒径をDb、および、抗菌層の平均厚みをTとしたとき、以下の関係を満たす。式(1) T/Da>3.0式(2) T/Db≦3.0なお、Da、Db、および、Tの単位は、μmである。

Description

本発明は、抗菌層付き基材、抗菌シート、放射線撮影装置、タッチパネル、および、積層体に関する。
各種製品・部材の表面には、目的に応じ加工が施され、各種機能が付与されることが多い。その中でも、近年、基材表面に抗菌層を設ける技術が注目を集めている。
例えば、医療現場で使われる医療装置は、複数の患者と連続的に接触するものが多い。また、タッチパネルの表面は不特定多数の操作者が直接指で触れるため、その表面に細菌等が繁殖していると病気に感染する恐れがある。そこで、各種装置の表面に抗菌層を設けることにより、細菌の増殖や、病気の感染のリスクを低減することが可能となる。
このような技術としては、例えば、特許文献1においては、銀を含有するリン酸複塩からなる抗菌剤を含む耐擦傷性皮膜と基材とからなる前面板が開示されている。
特開2002−337277号公報
一方、近年、各種装置(例えば、医療装置、タッチパネル)の使用頻度をより高めるために、より短時間で細菌を死滅させる、つまり、より短時間で抗菌性を示すことが求められている。
また、抗菌性をより長期間維持できることも求められている。
つまり、短時間で抗菌性を示すと共に、抗菌性を長期間維持できる抗菌層が求められている。
本発明者らは、特許文献1に記載の抗菌層付き基材について検討を行ったところ、上記2つの要件(短時間での抗菌性、および、抗菌性の長時間維持)を同時に満たすものではなく、さらなる改良が必要であった。
本発明は、上記実情を鑑みて、短時間で抗菌性を示すと共に、抗菌性を長期間維持できる抗菌層を備える抗菌層付き基材を提供することを目的とする。
また、本発明は、抗菌シート、上記抗菌層付き基材を備える放射線撮影装置およびタッチパネル、並びに、積層体を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 基材と、基材表面の少なくとも一部に配置された抗菌層とを有する、抗菌層付き基材であって、
抗菌層が、銀を含む抗菌剤と、銀が担持されてもよい、銀イオンを吸着可能な多孔性担体とを含有し、
抗菌剤の平均粒径をDa、多孔性担体の平均粒径をDb、および、抗菌層の平均厚みをTとしたとき、以下の関係を満たす、抗菌層付き基材。
式(1) T/Da>3.0
式(2) T/Db≦3.0
なお、Da、Db、および、Tの単位は、μmである。
(2) 多孔性担体に銀が担持されている、(1)に記載の抗菌層付き基材。
(3) DaおよびDbが、以下の関係を満たす、(1)または(2)に記載の抗菌層付き基材。
式(3) Db/Da≦3.5
(4) 多孔性担体の含有量が、抗菌層全質量に対して、0.5質量%以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の抗菌層付き基材。
(5) 抗菌剤が、銀、並びに、リン酸亜鉛カルシウムおよびリン酸カルシウムからなる群から選択されるいずれか一つの担体を含み、
多孔性担体が、銀、および、ゼオライトからなる担体を含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の抗菌層付き基材。
(6) 抗菌層が親水性基を有するポリマーを含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の抗菌層付き基材。
(7) 親水性基がポリオキシアルキレン基を含む、(6)に記載の抗菌層付き基材。
(8) (1)〜(7)のいずれかに記載の抗菌層付き基材を表面に有する、放射線撮影装置。
(9) (1)〜(7)のいずれかに記載の抗菌層付き基材を表面に有する、タッチパネル。
(10) 抗菌シートであって、
抗菌シートが、銀を含む抗菌剤と、銀が担持されていてもよい、銀イオンを吸着可能な多孔性担体とを含有し、
抗菌剤の平均粒径をDa、多孔性担体の平均粒径をDb、および、抗菌シートの平均厚みをTとしたとき、以下の関係を満たす、抗菌シート。
式(1) T/Da>3.0
式(2) T/Db≦3.0
なお、Da、Db、および、Tの単位は、μmである。
(11) 多孔性担体に銀が担持されている、(10)に記載の抗菌シート。
(12) DaおよびDbが、以下の関係を満たす、(10)または(11)に記載の抗菌シート。
式(3) Db/Da≦3.5
(13) 多孔性担体の含有量が、抗菌シート全質量に対して、0.5質量%以下である、(10)〜(12)のいずれかに記載の抗菌シート。
(14) 抗菌剤が、銀、並びに、リン酸亜鉛カルシウムおよびリン酸カルシウムからなる群から選択されるいずれか一つの担体を含み、
多孔性担体が、銀、および、ゼオライトからなる担体を含む、(10)〜(13)のいずれかに記載の抗菌シート。
(15) (10)〜(14)のいずれかに記載の抗菌シートを有する、放射線撮影装置。
(16) (10)〜(14)のいずれかに記載の抗菌シートを有する、タッチパネル。
(17) (1)〜(7)のいずれかに記載の抗菌層付き基材と、抗菌層付き基材の抗菌層側とは反対側の表面上に粘着剤層とを備える、積層体。
(18) (10)〜(14)のいずれかに記載の抗菌シートと、抗菌シートの表面上に配置された粘着剤層とを備える、積層体。
本発明によれば、短時間で抗菌性を示すと共に、抗菌性を長期間維持できる抗菌層を備える抗菌層付き基材を提供することができる。
また、本発明によれば、抗菌シート、上記抗菌層付き基材を備える放射線撮影装置およびタッチパネル、並びに、積層体を提供することもできる。
本発明の抗菌層付き基材の一実施態様が抗菌性を示す機構を示した概念図である。
以下に、本発明の抗菌層付き基材、抗菌シート、放射線撮影装置、タッチパネル、および、積層体について説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の特徴点の一つとしては、所定の大きさの関係を満たす、銀を含む抗菌剤と銀イオンを吸着可能な多孔性担体とを使用している点が挙げられる。以下、図面を参照しながら、本発明について詳述する。
図1(A)に示す、抗菌層付き基材10は、基材12と、抗菌層14とを有する。抗菌層14中には、銀18を含む抗菌剤16と、銀イオンを吸着可能な多孔性担体20とが含まれる。なお、図1(A)に示すように、後述する式(1)の要件を満たす抗菌剤16は、抗菌層14内部に埋没している場合が多く、それに対して、後述する式(2)の要件を満たす多孔性担体20は、その表面の一部が抗菌層14の表面(平坦面)よりも突出するように位置しやすい。図1(B)に示すように、抗菌層付き基材10が抗菌性を示す機構としては、まず、抗菌剤16中の銀18がイオン化して、銀イオン22が抗菌層14から溶出して、抗菌層14上の細菌などに作用する。その際、溶出した銀イオン22の一部は、細菌と作用せずに、多孔性担体20の表面上に吸着される。抗菌剤16から銀イオン22が溶出し続けて、抗菌剤16中の銀量が低下し、その溶出量が小さくなると、次に、銀イオンの平衡関係を保とうとして、図1(C)に示すように、多孔性担体20に吸着していた銀イオン22が外部に溶出し始めて、抗菌性が保持される。つまり、多孔性担体20が抗菌層14に含まれることにより、抗菌剤16から溶出される銀イオン22を一時的に保持して、所定時間経過後(抗菌剤16からの銀イオンの溶出量が低下した後)に、銀イオン22を再度溶出することができ、多孔性担体20がない場合と比較して、長期間に渡って抗菌性を維持することができる。
図1(A)は、本発明の抗菌層付き基材の一実施態様の断面図である。図1(A)に示すように、抗菌層付き基材10は、基材12と、基材12上に配置された抗菌層14とを有する。なお、抗菌層14は、基材12の表面の少なくとも一部に配置されていればよい。
以下、各部材について詳述する。
<基材>
基材は、抗菌層を支持する役割を果たし、その種類は特に制限されない。また、基材は、後述するように各種装置の一部(例えば、前面板)を構成するものであってもよい。
基材の形状は特に制限されないが、板状、フィルム状、シート状、チューブ状、繊維状、粒子状などが挙げられる。また、後述する抗菌層が配置される基材表面は、平坦面でも、凹面でも、凸面でもよい。
基材を構成する材料は特に制限されず、例えば、金属、ガラス、セラミックス、プラスチック(樹脂)などが挙げられる。なかでも、取り扱い性の点から、プラスチックが好ましい。言い換えれば、樹脂基材が好ましい。
<抗菌層>
抗菌層は、基材の表面の少なくとも一部に配置され、抗菌性(抗菌作用)を有する層である。
抗菌層は、銀を含む抗菌剤と、銀が担持されていてもよい、銀イオンを吸着可能な多孔性担体とを少なくとも含む。
以下、銀を含む抗菌剤、および、多孔性担体について詳述する。
(銀を含む抗菌剤)
抗菌剤としては、銀(銀原子)が含まれていればよく、その種類は特に制限されず、例えば、後述する銀担持担体、銀粒子自体が挙げられる。また、銀の形態も特に制限されず、例えば、金属銀、銀イオン、銀塩(銀錯体を含む)など形態で含まれる。なお、本明細書では、銀錯体は銀塩の範囲に含まれる。
なお、銀塩としては、例えば、酢酸銀、アセチルアセトン酸銀、アジ化銀、銀アセチリド、ヒ酸銀、安息香酸銀、フッ化水素銀、臭素酸銀、臭化銀、炭酸銀、塩化銀、塩素酸銀、クロム酸銀、クエン酸銀、シアン酸銀、シアン化銀、(cis,cis−1,5−シクロオクタジエン)−1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀、ジエチルジチオカルバミン酸銀、フッ化銀(I)、フッ化銀(II)、7,7−ジメチル−1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−4,6−オクタンジオン酸銀、ヘキサフルオロアンチモン酸銀、ヘキサフルオロヒ酸銀、ヘキサフルオロリン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、イソチオシアン酸銀、シアン化銀カリウム、乳酸銀、モリブデン酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、酸化銀(I)、酸化銀(II)、シュウ酸銀、過塩素酸銀、ペルフルオロ酪酸銀、ペルフルオロプロピオン酸銀、過マンガン酸銀、過レニウム酸銀、リン酸銀、ピクリン酸銀一水和物、プロピオン酸銀、セレン酸銀、セレン化銀、亜セレン酸銀、スルファジアジン銀、硫酸銀、硫化銀、亜硫酸銀、テルル化銀、テトラフルオロ硼酸銀、テトラヨードムキュリウム酸銀、テトラタングステン酸銀、チオシアン酸銀、p−トルエンスルホン酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀、トリフルオロ酢酸銀およびバナジン酸銀等が挙げられる。
また、銀錯体の一例としては、ヒスチジン銀錯体、メチオニン銀錯体、システイン銀錯体、アスパラギン酸銀錯体、ピロリドンカルボン酸銀錯体、オキソテトラヒドロフランカルボン酸銀錯体またはイミダゾール銀錯体などが挙げられる。
抗菌剤としては、例えば、上記銀塩などの有機系の抗菌剤と、後述する担体を含む無機系の抗菌剤が挙げられるが、その種類は特に制限されない。
なかでも、より短時間で抗菌性を示す、および/または、抗菌性をより長期間維持できる点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」とも称する)で、抗菌剤は、担体と、担体上に担持された銀とを含む銀担持担体であることが好ましい。
担体の種類は特に制限されず、リン酸亜鉛カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、リン酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、リン酸チタン、チタン酸カリウム、含水酸化ビスマス、含水酸化ジルコニウム、ハイドロタルサイトなどが挙げられる。
抗菌剤(好ましくは、上記銀担持担体)の平均粒径は後述する式(1)の要件を満たせば特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、0.1〜10μmが好ましく、0.1μm以上2.0μm未満がより好ましく、0.3〜1.0μmがさらに好ましい。
なお、上記平均粒径は、堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて50%体積累積径(D50)を3回測定して、3回測定した値の平均値を用いる。
なお、上述したように、銀は、銀イオン、金属銀、および、銀塩のいずれの形態で含まれていてもよい。
上記抗菌剤の好適態様の一つとしては、本発明の効果がより優れる点で、銀、並びに、リン酸亜鉛カルシウムおよびリン酸カルシウムからなる群から選択されるいずれか一つの担体を含む抗菌剤が挙げられる。言い換えれば、抗菌剤が、リン酸亜鉛カルシウムおよびリン酸カルシウムからなる群から選択されるいずれか一つの担体と、この担体に担持された銀とを含む銀担持触媒であることが好ましい。
(銀イオンを吸着可能な多孔性担体)
銀イオンを吸着可能な多孔性担体とは、銀イオンを吸着し得る多数の細孔を有する担体をいい、細孔の径や形状、細孔容積、細孔密度、または、比表面積等に関して、特段の限定はない。具体的には、活性炭、ゼオライト、活性炭素繊維、シリカゲル、活性白土、アルミナ、珪藻土等の無機多孔性担体や、パルプ、繊維、紙、布、不織布、木材、木粉等の有機質高分子多孔性担体を任意に使用できる。なお、ゼオライトとしては、例えば、チャバサイト、モルデナイト、エリオナイト、クリノプチロライト等の天然ゼオライト、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト等の合成ゼオライトが挙げられる。
なお、上記多孔性担体には、銀が担持されていてもよい。つまり、多孔性担体と、多孔性担体上に担持された銀とを含む銀担持多孔性物質(抗菌性を示す物質に該当)が使用されてもよい。なお、多孔性担体に銀が担持される場合(つまり、銀担持多孔性物質の場合)、銀が担持された多孔性担体と、上述した抗菌剤とは種類は異なる。
上記のように、抗菌層には、銀イオンを吸着可能な多孔性担体、および、銀が担持された、銀イオンを吸着可能な多孔性担体からなる群から選択される1種(多孔性物質)が含まれる。
なお、多孔性担体に担持される銀は、銀イオン、金属銀、および、銀塩のいずれの形態で含まれていてもよい。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、抗菌層には、銀が担持された多孔性担体が含まれることが好ましい。言い換えれば、銀と、多孔性担体とを含む銀担持多孔性物質が抗菌層に含まれることが好ましい。なお、多孔性担体としては、ゼオライトが好ましく挙げられる。つまり、ゼオライトからなる担体と、この担体に担持された銀とを含む銀担持触媒であることが好ましい。
銀イオンを吸着可能な多孔性担体の平均粒径は後述する式(2)の要件を満たせば特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、0.1〜20μmが好ましく、1.0〜10μmがより好ましく、2.0〜5.0μmがさらに好ましい。
なお、上記平均粒径は、堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて50%体積累積径(D50)を3回測定して、3回測定した値の平均値を用いる。
(式(1)および式(2))
上記抗菌剤の平均粒径Da(μm)および上記多孔性担体の平均粒径Db(μm)は、抗菌層の平均厚みT(μm)との間で、以下の式(1)および式(2)の関係を満たす。
式(1) T/Da>3.0
式(2) T/Db≦3.0
上記式(1)は、抗菌層の平均厚みTと抗菌剤の平均粒径Daとの比(T/Da)が3.0超であることを意図する。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、比(T/Da)は3.1以上が好ましく、3.2以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、通常、10以下の場合が多く、本発明の効果がより優れる点で、6.0以下が好ましい。上記式(1)の関係を満たすことにより、抗菌剤が抗菌層内部に埋没しやすくなり、抗菌層からの過剰の銀イオンの溶出を抑制することができる。
また、上記式(2)は、抗菌層の平均厚みTと多孔性担体の平均粒径Dbとの比(T/Db)が3.0以下であることを意図する。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、比(T/Db)は2.5以下が好ましく、2.0以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、抗菌層の平坦性がより優れる点で、1.0以上が好ましい。上記式(2)の関係を満たすことにより、多孔性担体が抗菌層表面より突出しやすくなり、銀イオンの吸着がしやすくなる。
上記抗菌剤の平均粒径Daと上記多孔性担体の平均粒径Dbとの関係は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、平均粒径Daと平均粒径Dbとの比(Db/Da)は4.5以下であることが好ましく、以下の式(3)の関係を満たすことが好ましい。
式(3) Db/Da≦3.5
なかでも、Db/Daの下限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、1.0以上が好ましく、2.0以上がより好ましい。
抗菌剤中における銀の含有量は特に制限されないが、例えば、抗菌剤が銀担持担体の場合、銀の含有量は、銀担持担体全質量に対して、0.1〜30質量%が好ましく、0.3〜10質量%がより好ましい。
また、上記多孔性担体に銀が担持される場合、銀の担持量は特に制限されないが、多孔性担体全質量に対して、0.1〜30質量%が好ましく、0.3〜10質量%がより好ましい。
抗菌層中における上記抗菌剤および上記多孔性担体の総含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、抗菌層全質量に対する銀の含有量が0.0001〜1質量%(好ましくは、0.001〜0.1質量%)となるように上記抗菌剤および上記多孔性担体を抗菌層に含有させることが好ましい。
なお、抗菌層中における銀量は、抗菌剤中の銀および多孔性担体に担持された銀の合計量を意図する。
また、抗菌層中における抗菌剤の含有量は特に制限されないが、抗菌層の機械的強度がより優れ、本発明の効果がより優れる点で、抗菌層全質量に対して、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.01〜2.5質量%がさらに好ましく、1.0質量%超2.5質量%以下が特に好ましい。
また、抗菌層中における多孔性担体の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、抗菌層全質量に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、0.8質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。下限は特に制限されないが、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましい。
抗菌層には、上述した、抗菌剤および多孔性担体以外の成分が含まれていてもよい。
例えば、抗菌層には、親水性基を有するポリマー(以後、単に「親水性ポリマー」とも称する)が含まれていてもよい。抗菌層に親水性ポリマーが含まれることにより、抗菌層がより親水性を示し、水などを用いた洗浄により抗菌層上に付着した汚染物質をより容易に除去することが可能となる。
親水性基の種類は特に制限されず、例えば、ポリオキシアルキレン基(例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、オキシエチレン基とオキシプロピレン基がブロックまたはランダム結合したポリオキシアルキレン基)、アミノ基、カルボキシル基、カルボキシル基のアルカリ金属塩、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、スルホン酸基、スルホン酸基のアルカリ金属塩などが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、ポリオキシアルキレン基が好ましい。
親水性ポリマーの主鎖の構造は特に制限されず、例えば、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレアなどが挙げられる。
なお、ポリ(メタ)アクリレートとは、ポリアクリレートおよびポリメタクリレートの両方を含む概念である。
親水性ポリマーの好適態様の一つとしては、上記親水性基を有するモノマー(以後、単に「親水性モノマー」とも称する)を重合させて得られるポリマーが挙げられる。
親水性モノマーとは、上記親水性基と重合性基とを有する化合物を意図する。親水性基の定義は上述の通りである。
親水性モノマー中における親水性基の数は特に制限されないが、抗菌層がより親水性を示す点より、2個以上が好ましく、2〜6個がより好ましく、2〜3個がさらに好ましい。
重合性基の種類は特に制限されず、例えば、ラジカル重合性基、カチオン重合性基、アニオン重合性基などが挙げられる。ラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、アクリルアミド基、ビニル基、スチリル基、アリル基などが挙げられる。カチオン重合性基としては、ビニルエーテル基、オキシラニル基、オキセタニル基などが挙げられる。なかでも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
なお、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基およびメタアクリロイル基の両方を含む概念である。
親水性モノマー中における重合性基の数は特に制限されないが、得られる抗菌層の機械的強度がより優れる点で、2個以上が好ましく、2〜6個がより好ましく、2〜3個がさらに好ましい。
親水性モノマーの好適態様の一つとしては、以下の式(A)で表される化合物が挙げられる。
式(A)中、Rは、置換基(1価の置換基)を表す。置換基の種類は特に制限されず、公知の置換基が挙げられ、例えば、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基(例えば、アルキル基、アリール基)、上記親水性基などが挙げられる。
は、重合性基を表す。重合性基の定義は上述の通りである。
は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基の種類は特に制限されず、例えば、−O−、−CO−、−NH−、−CO−NH−、−COO−、−O−COO−、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリール基、および、それらの組み合わせが挙げられる。
は、ポリオキシアルキレン基を表す。ポリオキシアルキレン基とは、以下の式(B)で表される基を意図する。
式(B) *−(OR−*
式(B)中、Rは、アルキレン基(例えば、エチレン基、プロピレン基)を表す。mは、2以上の整数を表し、2〜10が好ましく、2〜6がより好ましい。なお、*は、結合位置を表す。
nは、1〜4の整数を表す。
親水性ポリマーを得る際には、上記親水性モノマーと他のモノマー(親水性基を含まないモノマー)とを併用してもよい。つまり、親水性モノマーと、他のモノマー(親水性モノマー以外のモノマー)とを共重合させて得られる親水性ポリマーを使用してもよい。
他のモノマーの種類は特に制限されず、重合性基を有する公知のモノマーであれば適宜使用できる。重合性基の定義は、上述の通りである。
なかでも、抗菌層の機械的強度がより優れる点で、他のモノマーとしては、重合性基を2以上有する多官能モノマーが好ましい。多官能モノマーは、いわゆる架橋剤として作用する。
多官能モノマー中に含まれる重合性基の数は特に制限されず、抗菌層の機械的強度がより優れる点、および、取り扱い性の点から、2〜10個が好ましく、2〜6個がより好ましい。
多官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートが挙げられる。
親水性モノマーと他のモノマー(特に、多官能モノマー)との混合比(親水性モノマーの質量/他のモノマーの質量)は特に制限されないが、抗菌層の親水性の制御がしやすい点から、0.01〜10が好ましく、0.1〜10がより好ましい。
なお、抗菌層中における上記親水性ポリマーの含有量は特に制限されないが、抗菌層上の汚染物質の洗浄による除去性がより優れる点で、抗菌層全質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
(抗菌層の製造方法)
抗菌層の製造方法は特に制限されず、公知の方法が採用できる。例えば、上述した抗菌剤および多孔性担体を含む組成物を基材上に塗布して抗菌層を形成する方法や、別途作製した抗菌剤および多孔性担体を含む抗菌シートを基材上の所定の位置に貼り付ける方法などが挙げられる。
なかでも、抗菌層の厚みや表面凹凸の調整がより容易である点から、上述した、親水性モノマー、並びに、抗菌剤および多孔性担体を含む組成物(硬化性組成物)を基材上の所定の位置に塗布して塗膜を形成し、塗膜に硬化処理を施すことにより抗菌層を形成する方法(塗布法)が好ましい。
組成物には、抗菌剤および多孔性担体が含まれるが、他の成分(上記他のモノマー、滑剤、溶媒(水または有機溶媒))が含まれていてもよい。
なお、組成物には、重合開始剤が含まれていてもよい。重合開始剤が含まれることにより、塗膜中での重合がより効率よく進行し、機械的強度に優れる抗菌層が形成される。重合開始剤の種類は特に制限されず、硬化処理の方法により最適な種類が選択されるが、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤が選択される。より具体的には、ベンゾフェノン、フェニルフォスフィンオキシドなどの芳香族ケトン類、α−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物(BASF IRGACURE184、127、2959、DAROCUR1173など)、フェニルフォスフィンオキシド系化合物(MAPO:BASF LUCIRIN TPO、BAPO:BASF IRGACURE 819)などが挙げられる。
組成物中に含まれる重合開始剤の含有量は特に制限されないが、親水性モノマーおよび他のモノマーの合計質量100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、1〜6質量部がより好ましい。
組成物を塗布する方法は特に制限されず、公知の塗布方法が採用される。
また、硬化処理の方法は特に制限されず、加熱処理または光照射処理が挙げられる。
(抗菌層の特性)
抗菌層の平均厚みTは上述した式(1)および式(2)の関係を満たせば特に制限されないが、機械的特性および抗菌性の点からは、0.5〜50μmが好ましく、1.0〜20μmがより好ましく、1.0〜10μmがさらに好ましい。
なお、抗菌層の平均厚みの測定方法としては、抗菌層のサンプル片を樹脂に包埋して、ミクロトームで断面を削り出し、削り出した断面を走査電子顕微鏡で観察し測定する。抗菌層の任意の10点の位置における厚みを測定し、それらを算術平均する。
抗菌層の表面の水接触角は特に制限されないが、洗浄などによる抗菌層上の汚染物質の除去性がより優れ、抗菌性がより優れる点で、40°以下が好ましく、30°以下がより好ましく、25°以下がさらに好ましい。下限は特に制限されないが、使用される材料特性の点から、5°以上の場合が多い。
なお、本明細書において、水接触角は、JIS R 3257:1999の静滴法に基づいて測定を行う。測定には、株式会社ニック製LSE-ME1(ソフトウェア2win mini)を用いる。より具体的には、純水を用いて室温20℃で、水平を保った抗菌層表面上に液滴2μlを滴下し、滴下後20秒時点での接触角を測定する。
(抗菌層付き基材(用途))
上述したように、抗菌層付き基材は、基材と抗菌層とを有し、抗菌層には抗菌剤と多孔性担体とが含まれる。抗菌剤は抗菌層内部に埋没(埋設)しやすく、少なくとも一部の多孔性担体はその一部が抗菌層の表面(平坦面)よりも突出するように位置しやすい。なお、突出した多孔性担体の一部は、外部に露出していてもよく、薄い抗菌層で覆われていてもよい。
上記抗菌層付き基材は、種々の用途に適用することができ、種々の装置(装置の表面)に配置することができる。つまり、各装置の前面板として用いることができる。この抗菌層付き基材を有する装置は、短時間での抗菌性、および、長期間(長時間)にわたった抗菌性が得られる。
抗菌層付き基材が適用される装置としては、例えば、放射線撮影装置、タッチパネルなどが挙げられる。
なお、上述した抗菌層は、それ自体を抗菌シートとして使用することもできる。抗菌シートの構成は上述した抗菌層と同じである。
また、各装置に抗菌層を配置する方法としては、例えば、放射線撮影装置やタッチパネルなどの装置の表面(前面)に直接上記組成物を塗布して抗菌層を作製してもよいし、抗菌シートを一旦作製して後述するように粘着剤層を介して装置の表面に張り合わせてもよい。なお、この場合、抗菌層を支持する各種装置の一部(前面板)が基材に該当する。
(抗菌層付き基材または抗菌シートの使用方法(用途))
上述した抗菌層付き基材の抗菌層側とは反対側の表面上に公知の粘着剤を塗布し、粘着剤層を設けて、積層体として用いることができる。その際、抗菌層のある基材面には汚れを防ぐために離型フィルムを貼ることができる。
上述の粘着剤層を介して、放射線撮影装置、タッチパネルといった抗菌シートを付与したい対象物に貼り付けることができる。
また、抗菌シートの一方の表面上に公知の粘着剤を塗布し、粘着剤層を設けて、積層体として用いることもできる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(硬化性組成物の調製)
以下に示す各成分を混合して、硬化性組成物を調製した。
親水性モノマー:Miramer M4004(東洋ケミカルズ社製) 76質量部
架橋剤:A-DPH(新中村化学工業株式会社製) 21質量部
重合開始剤:IRGACURE184(BASF社製) 3質量部
溶剤成分(その1):メチルアルコール 15質量部
溶剤成分(その2):プロピレングリコールモノメチルエーテル 35質量部
(抗菌剤の調製)
(合成例1:リン酸亜鉛カルシウムに担持された銀を含む抗菌剤)
水酸化カルシウム、酸化亜鉛およびリン酸を反応させ、リン酸塩を得た。これに硝酸銀を添加し、洗浄、ろ過、乾燥、破砕することで、抗菌剤Aを得た。得られた抗菌剤Aの平均粒径は0.9μmであり、抗菌剤Aの銀イオン含有量は抗菌剤全質量に対して3質量%相当であった。
(合成例2:リン酸亜鉛カルシウムに担持された銀を含む抗菌剤)
破砕後の平均粒径が0.5μmとなるように破砕を実施した以外は、合成例1と同様の手順に従って、抗菌剤Bを得た。なお、抗菌剤Bの銀イオン含有量は、抗菌剤全質量に対して1質量%相当であった。
(合成例3:銀が担持された多孔性担体)
硝酸銀水溶液にゼオライトを接触させて、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンと銀イオンとを置換させることで、銀が担持された多孔性担体Aを得た。多孔性担体Aの平均粒径は2.0μmであり、銀イオン含有量は多孔性担体全質量に対して0.5質量%相当であった。
<実施例および比較例>
上記で調製された硬化性組成物に対して、表1に示す割合(質量%(wt%))に従って、合成例1〜3にて合成した成分またはゼオライトを添加して混合し、抗菌層形成用の硬化性組成物を調製した。なお、上記割合(質量%)は、形成される抗菌層全質量に対する各成分の含有量を意図する。
得られた抗菌層形成用の硬化性組成物を、ポリカーボネートシート(旭硝子製カーボグラスCFR110C)に塗布し、60℃で30分乾燥させたあと、UV照射によりモノマーを硬化させることで、抗菌層を形成し、評価サンプル(抗菌層付き基材)を作製した。なお、抗菌層の厚みが表1に示す厚みになるように、硬化性組成物の塗布量を調整した。
<評価>
得られた実施例および比較例の評価サンプルを用いて、以下の評価を行った。結果は表1にまとめて示す。
(初期抗菌性評価:短時間での抗菌性の評価)
抗菌性(初期抗菌性)評価は、JIS Z 2801:2010に記載の評価方法に準拠し、菌液への接触時間24時間を1時間に変更して試験を実施した。それぞれの試験後の菌数(個/cm2)を測定し、以下の基準に従って評価を行った。菌種は大腸菌を用いた。試験が成立していることを確認するため、抗菌層を設けていないポリカーボネートシート(旭硝子製カーボグラスCFR110C)を同時に評価し、1時間接触後の菌数(個/cm2)が、6.2×102(個/cm2)以上であることを確認した。実用上、「A」または「B」が好ましい。
「A」:菌数が1個/cm2未満
「B」:菌数が1個/cm2以上10個/cm2未満
「C」:菌数が10個/cm2以上
(耐久性試験後の抗菌性評価)
上記手順で作製した評価サンプルが長期間にわたって抗菌性が得られることを評価するために、以下の耐久性試験を実施した。通常、部材表面に配置された抗菌層は、汚れが付着すると、水拭きされる場合が多く、このときの銀が水に溶出してしまい、抗菌性が低下する主要因となる。従って、以下の摩耗試験後においても優れた抗菌性を示せば、抗菌層が使用された際にも長期間にわたって抗菌性を維持できることがわかる。
耐久性試験は、上記手順で作製した評価サンプル(抗菌層付き基材)の抗菌層表面に荷重500gをかけながら湿布で36000回摩擦したあと、上記(抗菌性)で述べた方法にて抗菌性の評価実験を実施し、以下の基準に従って評価を行った。菌種は大腸菌を用いた。湿布は、純水を浸したポリエステル布(製品名 アンティコン)を用いた。実用上、「A」または「B」が好ましい。
「A」:菌数が1個/cm2未満
「B」:菌数が1個/cm2以上10個/cm2未満
「C」:菌数が10個/cm2以上
表1中の「多孔性担体」欄に記載の「ゼオライト」は、合成例3で使用したゼオライトを意図し、銀は担持されていない。
なお、各実施例で得られた抗菌層の表面の水接触角は、40°以下であった。
また、各実施例で得られた抗菌層中においては、その一部が抗菌層の表面(平坦面)より突出するように位置する多孔性担体が含まれていた。
また、表1中、平均粒径は、堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて50%体積累積径(D50)を3回測定して、3回測定した値の平均値を用いた。
表1に示すように、本発明の抗菌層付き基材中の抗菌層は、短時間で抗菌性を示すと共に、抗菌性を長期間維持できることが確認された。
特に、実施例1と実施例2との比較より、抗菌剤の含有量が1.0質量%超の場合、耐久性試験後の抗菌性評価がより優れることが確認された。
また、実施例5と実施例6との比較より、比(T/Da)が6.0以下の場合、耐久性試験後の抗菌性評価がより優れることが確認された。
また、実施例9と実施例10との比較より、多孔性担体の含有量が0.5質量%以下の場合、耐久性試験後の抗菌性評価がより優れることが確認された。
また、実施例2と実施例13との比較より、比(Db/Da)が3.5以下の場合、初期抗菌性評価および耐久性試験後の抗菌性評価がより優れることが確認された。
また、実施例2と実施例17との比較より、多孔性担体に銀が担持されている場合、初期抗菌性評価および耐久性試験後の抗菌性評価がより優れることが確認された。
一方、比較例1〜6に示すように多孔性担体を使用しない場合、または、比較例7に示すように式(2)の関係を満たさない場合、所望の効果が得られなかった。
なお、タッチパネルのタッチ側の表面に上記実施例1にて使用した抗菌層形成用の硬化性組成物を塗布して、抗菌層を配置した。形成された抗菌層は、上記表1と同程度の機能を示した。
また、放射線撮影装置の患者が接触する部分の表面に上記実施例1にて使用した抗菌層形成用の硬化性組成物を塗布して、抗菌層を配置した。形成された抗菌層は、上記表1と同程度の機能を示した。
10 抗菌層付き基材
12 基材
14 抗菌層
16 抗菌剤
18 銀
20 多孔性担体
22 銀イオン

Claims (18)

  1. 基材と、前記基材表面の少なくとも一部に配置された抗菌層とを有する、抗菌層付き基材であって、
    前記抗菌層が、銀を含む抗菌剤と、銀が担持されてもよい、銀イオンを吸着可能な多孔性担体とを含有し、
    前記抗菌剤の平均粒径をDa、前記多孔性担体の平均粒径をDb、および、前記抗菌層の平均厚みをTとしたとき、以下の関係を満たす、抗菌層付き基材。
    式(1) T/Da>3.0
    式(2) T/Db≦3.0
    なお、前記Da、前記Db、および、前記Tの単位は、μmである。
  2. 前記多孔性担体に銀が担持されている、請求項1に記載の抗菌層付き基材。
  3. 前記Daおよび前記Dbが、以下の関係を満たす、請求項1または2に記載の抗菌層付き基材。
    式(3) Db/Da≦3.5
  4. 前記多孔性担体の含有量が、抗菌層全質量に対して、0.5質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗菌層付き基材。
  5. 前記抗菌剤が、銀、並びに、リン酸亜鉛カルシウムおよびリン酸カルシウムからなる群から選択されるいずれか一つの担体を含み、
    前記多孔性担体が、銀、および、ゼオライトからなる担体を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗菌層付き基材。
  6. 前記抗菌層が親水性基を有するポリマーを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗菌層付き基材。
  7. 前記親水性基がポリオキシアルキレン基を含む、請求項6に記載の抗菌層付き基材。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗菌層付き基材を有する、放射線撮影装置。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗菌層付き基材を有する、タッチパネル。
  10. 抗菌シートであって、
    前記抗菌シートが、銀を含む抗菌剤と、銀が担持されていてもよい、銀イオンを吸着可能な多孔性担体とを含有し、
    前記抗菌剤の平均粒径をDa、前記多孔性担体の平均粒径をDb、および、前記抗菌シートの平均厚みをTとしたとき、以下の関係を満たす、抗菌シート。
    式(1) T/Da>3.0
    式(2) T/Db≦3.0
    なお、前記Da、前記Db、および、前記Tの単位は、μmである。
  11. 前記多孔性担体に銀が担持されている、請求項10に記載の抗菌シート。
  12. 前記Daおよび前記Dbが、以下の関係を満たす、請求項10または11に記載の抗菌シート。
    式(3) Db/Da≦3.5
  13. 前記多孔性担体の含有量が、抗菌シート全質量に対して、0.5質量%以下である、請求項10〜12のいずれか1項に記載の抗菌シート。
  14. 前記抗菌剤が、銀、並びに、リン酸亜鉛カルシウムおよびリン酸カルシウムからなる群から選択されるいずれか一つの担体を含み、
    前記多孔性担体が、銀、および、ゼオライトからなる担体を含む、請求項10〜13のいずれか1項に記載の抗菌シート。
  15. 請求項10〜14のいずれか1項に記載の抗菌シートを有する、放射線撮影装置。
  16. 請求項10〜14のいずれか1項に記載の抗菌シートを有する、タッチパネル。
  17. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗菌層付き基材と、前記抗菌層付き基材の前記抗菌層側とは反対側の表面上に配置された粘着剤層とを備える、積層体。
  18. 請求項10〜14のいずれか1項に記載の抗菌シートと、前記抗菌シートの表面上に配置された粘着剤層とを備える、積層体。
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