JP2023080890A - 抗菌性積層体 - Google Patents

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Jumpei SUZUKI
優介 畠中
Yusuke Hatanaka
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Abstract

【課題】低透湿基材と抗菌層を有し、抗菌性及び耐擦傷性に優れ、かつ高温高湿環境下で抗菌層の剥離が発生しにくい、抗菌性積層体を提供する。【解決手段】少なくとも、基材と、水溶性抗菌粒子を含む抗菌層とを有する抗菌性積層体であって、基材の40℃、相対湿度90%における透湿度が1~100g/m2・dayであり、基材と水溶性抗菌粒子との距離の最小値が0.3μm以上であり、抗菌層の基材が存在する側とは反対側の抗菌性積層体の最表面の水接触角が90°以上である、抗菌性積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、抗菌性積層体に関する。
液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等のタッチパネルには、表面保護の観点から、保護フィルムや飛散防止フィルムが用いられている。ゲーム機、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話等のモバイル機器に使用されるタッチパネルは、使用頻度が多いため、菌及びウイルスが付着する機会も多い。また、駅の券売機、銀行やコンビニエンスストアの現金自動預け払い機(ATM:automatic teller machine)、医療施設内の医療機器、飲食店の注文装置等が備えるタッチパネル付表示装置は、不特定多数の人が利用するため、使用環境下で様々な菌及びウイルスが付着する可能性が高い。
そこで、菌及びウイルスの増殖を抑え、感染のリスクを低減する観点で、タッチパネルの表面に抗菌性を有する層を設ける技術が提案されている。
例えば、特許文献1~4には、基材上に、抗菌性粒子を含む層(抗菌層)を形成した、抗菌性積層体が記載されている。
国際公開第2014/025040号 特開2014-189527号公報 特開2019-99736号公報 特開2004-346202号公報
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを含む基材などの40℃、相対湿度90%における透湿度が1~100g/m・dayである基材(「低透湿基材」とも呼ぶ。)を用いた抗菌性積層体は、透湿度が高い基材を用いたものよりも耐水性が高く、一度タッチパネルの表面に貼った後に剥がして再利用することが可能であるという利点を有する。
近年、抗菌性積層体の性能に対する要求がより高まっており、特に、表面に耐擦傷性を付与することが求められている。耐擦傷性を付与する手段として、例えば、抗菌層の基材が存在する側とは反対側の抗菌性積層体の最表面に撥水性素材(典型的には含フッ素化合物)を偏在させることなどにより、最表面の水接触角を90°以上とする方法が挙げられる。ところが、低透湿基材と抗菌層とを有する抗菌性積層体の最表面の水接触角を90°以上にすると、高温高湿環境下において、基材と抗菌層との界面で剥離が発生することが分かった。
本発明の課題は、低透湿基材と抗菌層を有し、抗菌性及び耐擦傷性に優れ、かつ高温高湿環境下で抗菌層の剥離が発生しにくい、抗菌性積層体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題が解決されることを見出した。
[1]
少なくとも、基材と、水溶性抗菌粒子を含む抗菌層とを有する抗菌性積層体であって、
上記基材の40℃、相対湿度90%における透湿度が1~100g/m・dayであり、
上記基材と上記水溶性抗菌粒子との距離の最小値が0.3μm以上であり、
上記抗菌層の上記基材が存在する側とは反対側の上記抗菌性積層体の最表面の水接触角が90°以上である、
抗菌性積層体。
[2]
上記水溶性抗菌粒子の含有量が上記抗菌層の全質量に対して、7.2~20.0質量%である、[1]に記載の抗菌性積層体。
[3]
上記基材と上記抗菌層との間に、中間層を有する、[1]又は[2]に記載の抗菌性積層体。
[4]
上記抗菌層の上記基材が存在する側とは反対側に、耐擦傷層を有する、[1]~[3]のいずれか1つに記載の抗菌性積層体。
[5]
上記耐擦傷層が含フッ素化合物を含み、上記含フッ素化合物の含有量が上記耐擦傷層の全質量に対して、0.1~5.0質量%である、[4]に記載の抗菌性積層体。
本発明によれば、低透湿基材と抗菌層を有し、抗菌性及び耐擦傷性に優れ、かつ高温高湿環境下で抗菌層の剥離が発生しにくい、抗菌性積層体を提供することができる。
本発明の抗菌性積層体の一態様を示す断面模式図である。 本発明の抗菌性積層体の一態様を示す断面模式図である。 本発明の抗菌性積層体の一態様を示す断面模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされる場合があるが、本発明はそのような実施態様に制限されない。
以下、本明細書における各記載の意味を表す。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「抗菌」とは、菌類(細菌、カビ等)、ウイルス等を含む増殖性有機微小体(病原体等)を不活化すること、及び増殖性有機微小体の増殖を防ぐことの少なくとも1つを含む概念を意味する。
本明細書に記載の化合物において、特段の断りがない限り、異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物)、光学異性体及び同位体が含まれていてもよい。また、異性体及び同位体は、1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
本明細書において、各成分は、各成分に該当する物質を1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上の物質を併用する場合、その成分についての含有量とは、特段の断りが無い限り、併用した物質の合計の含有量を指す。
<抗菌性積層体>
本発明の抗菌性積層体は、
少なくとも、基材と、水溶性抗菌粒子を含む抗菌層とを有する抗菌性積層体であって、
基材の40℃、相対湿度90%における透湿度が1~100g/m・dayであり、
基材と水溶性抗菌粒子との距離の最小値が0.3μm以上であり、
抗菌層の基材が存在する側とは反対側の抗菌性積層体の最表面の水接触角が90°以上である、
抗菌性積層体である。
本発明の抗菌性積層体は、少なくとも基材と抗菌層とを有する。
本発明の抗菌性積層体は、基材と抗菌層からなっていてもよいし、基材と抗菌層に加えて別の層を有していてもよい。
図1に、本発明の抗菌性積層体の一態様を表す断面模式図を示す。図1の抗菌性積層体10は、基材1と抗菌層2からなる。抗菌層2は、水溶性抗菌粒子3を含む。基材1の40℃、相対湿度90%における透湿度は1~100g/m・dayである。基材1と水溶性抗菌粒子3との距離の最小値Hminは0.3μm以上である。なお、基材と水溶性抗菌粒子との距離は、通常、基材の抗菌層側の表面から、水溶性抗菌粒子の表面の基材に最も近い点までの長さである。抗菌層2の基材1が存在する側とは反対側の抗菌性積層体10の最表面Saの水接触角は90°以上である。
図2に、図1とは異なる、本発明の抗菌性積層体の一態様を表す断面模式図を示す。図2の抗菌性積層体11は、基材1と抗菌層2との間に中間層3を有すること以外は図1の抗菌性積層体10と同様である。
図3に、図1及び図2とは異なる、本発明の抗菌性積層体の一態様を表す断面模式図を示す。図3の抗菌性積層体12は、抗菌層2の基材1が存在する側とは反対側に耐擦傷層5を有すること以外は図2の抗菌性積層体11と同様である。
[抗菌性積層体の基材と水溶性抗菌粒子との距離の最小値]
本発明の抗菌性積層体の基材と水溶性抗菌粒子との距離の最小値(Hmin)は0.3μm以上である。Hminが0.3μm以上であることで、高温高湿環境下における抗菌層の剥離を抑制できる。この理由について、本発明者らは以下のように推定している。抗菌層の基材が存在する側とは反対側の抗菌性積層体の最表面の水接触角が90°以上である場合、典型的には、最表面に含フッ素化合物を含む耐擦傷層が形成されている。そのため、抗菌層中の水溶性抗菌粒子が溶解(イオン化)した後、耐擦傷層が存在するために層中から逃げられず、抗菌層と基材との界面に存在する水溶性抗菌粒子の溶出跡にイオンが溜まる。その結果、イオン濃度を低下させるために水が浸入するため、基材と抗菌層の界面で剥離が発生すると考えられる。これに対して、基材と水溶性抗菌粒子との距離の最小値(Hmin)を0.3μm以上にすることで、抗菌層中の水溶性抗菌粒子が溶解(イオン化)した後、抗菌層と基材との界面に存在する水溶性抗菌粒子の溶出跡にイオンが溜まるのを防ぐことができ、剥離を抑制することができると考えられる。
minは0.3μm以上3.0μm以下であることが好ましく、0.3μm以上2.0μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上1.2μm以下であることが更に好ましい。
minは、抗菌性積層体をミクロトームで切削して断面を削り出し、削り出した断面を走査電子顕微鏡で複数視野撮影する。各視野を観察し、基材に最も近接した水溶性抗菌粒子と基材との距離を測定し、それらを算術平均した値をHminとする。
[抗菌層の基材が存在する側とは反対側の抗菌性積層体の最表面の水接触角]
本発明の抗菌性積層体の最表面のうち、抗菌層の基材が存在する側とは反対側の抗菌性積層体の最表面の水接触角(「最表面の水接触角」とも呼ぶ。)は90°以上である。最表面の水接触角が90°以上であることで耐擦傷性が向上する。最表面の水接触角は、100°以上であることが好ましく、110°以上であることがより好ましい。また、最表面の水接触角は、150°以下であることが好ましい。
水接触角は、接触角計DMo-502(協和界面化学社製)を用い、抗菌層の基材が存在する側とは反対側の抗菌性積層体の最表面に純水を1μl滴下してθ/2法により接触角を測定し、5回測定して得た値の平均値を水接触角とする。
[抗菌層]
本発明の抗菌性積層体が有する抗菌層について説明する。
抗菌層は、少なくとも、水溶性抗菌粒子を含む。
(水溶性抗菌粒子)
水溶性抗菌粒子と、水(例えば、汗や唾などに含まれている水)とが接触すると、水溶性抗菌粒子から抗菌成分が水に溶出する。これにより、本発明の抗菌性積層体の抗菌性が発揮される。
水溶性抗菌粒子の25℃の水に対する溶解度は、0.01mg~1000mg/100g水であることが好ましい。すなわち、水溶性抗菌粒子は、25℃の水100gに対して、0.01mg~1000mg溶解することが好ましい。
水溶性抗菌粒子の25℃の水に対する溶解度は、0.1mg~500mg/100g水であることが好ましく、1mg~300mg/100g水であることがより好ましく、2mg~120mg/100g水であることが更に好ましい。
水溶性抗菌粒子は、銀を含むことが好ましい。水溶性抗菌粒子に含まれる銀の態様は特に制限されず、金属銀(形態は特に限定されず、例えば銀粒子であってもよい)、銀イオン(Ag)、銀塩等のいずれの態様であってもよい。本明細書では、銀錯体及び銀錯体を含む塩は銀塩の範囲に含まれるものとする。
水溶性抗菌粒子は、無機粒子であることが好ましい。
水溶性抗菌粒子としては、担体と、担体上に担持された銀を含む銀担持担体が好ましい。
担体は特に制限されず、公知のもの(例えば、酸化物ガラス系担体、金属酸化物系担体、金属系担体など)を用いることができる。
担体は、リン酸ガラス系担体、リン酸ガラス系以外の溶解性ガラス系担体、及び有機金属系担体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
担体の具体例としては、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウムマグネシウム、リン酸亜鉛カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸リチウム、溶解性ガラス系担体、有機金属系担体、イオン交換体セラミック系担体、層状リン酸塩-四級アンモニウム塩系担体等が挙げられる。
担体としては、リン酸ガラス系担体が好ましい。すなわち、水溶性抗菌粒子は、銀担持リン酸ガラス粒子であることが好ましい。
水溶性抗菌粒子の粒径は特に限定されないが、30nm以上3μm以下であることが好ましく、50nm以上1μm以下であることがより好ましい。水溶性抗菌粒子の粒径は、レーザー回折光散乱法(HORIBA製LA960)を用いて測定することができる。
水溶性抗菌粒子としては、市販品を用いることもでき、例えば、シナネンゼオミック社製「ゼオミック」、富士シリシア化学社製「シルウェル」、日本電子材料社製「バクテノン」等の銀ゼオライト系抗菌剤;東亞合成社製「ノバロン」、触媒化成工業社製「アトミーボール」等の銀を無機イオン交換体セラミックスに担持させてなる銀系抗菌剤;日本イオン社製「ナノシルバー」等の銀粒子;富士ケミカル社製「バクテキラー」、「バクテライト」等のセラミックス担体に対して銀を化学的に結合させた銀担持セラミックス粒子(銀セラミックス粒子)などを用いることもできる。
水溶性抗菌粒子中の銀の含有量は、特に制限されないが、水溶性抗菌粒子の全質量に対して、0.2~10質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。
水溶性抗菌粒子の形状は特に制限されず、例えば、球状、楕円球状、棒状、平板状、針状、不定形状等の形状であってもよい。
水溶性抗菌粒子は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
抗菌層の全質量に対する水溶性抗菌粒子の含有量は、特に限定されないが、固形分で、例えば、1.0~30.0質量%が好ましく、3.6~25.0質量%がより好ましく、7.2~20.0質量%が更に好ましい。
抗菌層は、水溶性抗菌粒子に加えて、水溶性抗菌粒子以外の成分を含んでいてもよい。
(バインダー)
抗菌層は、バインダーを含むことが好ましい。
バインダーとしては特に制限されず、公知のバインダーを使用できる。
バインダーは、樹脂であることが好ましく、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸-マレイン酸共重合体からなる樹脂、ポリスチレン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマーからなる樹脂、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、及びフルオレン環変性ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることがより好ましい。
抗菌層におけるバインダーの含有量は特に制限されないが、抗菌層の全質量に対して、50.0~95.0質量%が好ましく、60.0~90.0質量%がより好ましく、75.0~90.0質量%が更に好ましい。
(分散剤)
抗菌層は、分散剤を含むことが好ましい。
分散剤としては特に制限されず、公知の分散剤を用いることができる。
分散剤は、プラス電荷とアルキル基とを有する分散剤であることが好ましく、第四級アンモニウム基を有する分散剤であることがより好ましい。分散剤がプラス電荷を有すると、水溶性抗菌粒子に吸着しやすい。分散剤は、プラス電荷とマイナス電荷を有する化合物であることが好ましい。
分散剤のアミン価の範囲は10~150mgKOH/gが好ましく、更に好ましくは30~100mgKOH/gである。
分散剤の酸価の範囲は10~150mgKOH/gが好ましく、更に好ましくは30~100mgKOH/gである。
分散剤としては、市販品を用いることもでき、例えば、BYK社製「DISPERBYK180」、「DISPERBYK2055」、「DISPERBYK168」などを用いることもできる。
水溶性抗菌粒子に対する分散剤の質量比(分散剤/水溶性抗菌粒子)は、0.05~1.0であることが好ましく、0.06~0.7であることがより好ましく、0.2~0.5であることが更に好ましい。
水溶性抗菌粒子に対する分散剤の質量比は、水溶性抗菌粒子に対する分散剤のmol比をSEM-EDX(SEMに搭載したエネルギー分散型X線分析装置)の分散剤中の主要元素と水溶性抗菌粒子中の主要元素の比で算出し、各分子量から換算して求めることができる。分散剤中の主要元素と水溶性抗菌粒子中の主要元素としては、抗菌層中の他の成分と区別できる元素であることが好ましい。
抗菌層は、上記した以外にも他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、界面活性剤、可塑剤、重合開始剤、造膜剤、触媒、香料、紫外線吸収剤、防腐剤、pH調整剤、消泡剤、光触媒性材料、充填剤、老化防止剤、帯電防止剤、難燃剤等が挙げられる。
これらの他の成分の含有量は特に制限されないが、例えば、抗菌層の全質量に対して、0~10.0質量%としてもよい。
抗菌層の厚みは特に制限されず、使用目的に応じて適宜選択される。抗菌層の厚みは、0.1~1000μmが好ましく、0.5~100μmがより好ましく、1.0~50μmが更に好ましく、2.0~10.0μmが特に好ましい。
本発明の抗菌性積層体は、抗菌層を1層のみ有していてもよいし、抗菌層を2層以上有していてもよい。
[基材]
本発明の抗菌性積層体が有する基材について説明する。
基材の40℃、相対湿度90%における透湿度は、1~100g/m・dayであり、0.1~30.0g/m・dayであることが好ましく、0.1~10.0g/m・dayであることがより好ましい。
基材は支持体として機能し得る部材である。また、基材は、各種装置の一部(例えば、前面板)を構成するものであってもよい。
基材を構成する材料は特に制限されず、公知の材料を用いることができる。基材を構成する材料は、例えば、セラミックス、樹脂等が挙げられる。なかでも、取り扱い性の点で樹脂が好ましい。つまり、基材としては、樹脂フィルムが好ましい。画像表示装置等のタッチパネル等に用いる場合は、可視光を透過する透明樹脂が好ましい。
樹脂としては、例えば、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系ポリマー、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマーなどが挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂、エチレン・プロピレン共重合体などのポリオレフィン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロン、芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、アリレート系ポリマー、エポキシ系ポリマー、又は上記ポリマー同士の共重合体、上記ポリマー同士を混合したポリマーも挙げられる。
基材の厚みは特に制限されず、使用目的に応じて適宜選択される。基材の厚みは、1~5000μmが好ましく、10~1000μmがより好ましく、10~300μmが更に好ましい。
[中間層]
本発明の抗菌性積層体は、基材と抗菌層との間に中間層を有することが好ましい。
図2の抗菌性積層体11は、基材1と抗菌層2との間に中間層3を有する。基材と抗菌層との間に中間層を設けることで、Hminを0.3μm以上に調整しやすい。
中間層に含まれる成分とその含有率が、抗菌層に含まれる成分(水溶性抗菌粒子を除く。)とその含有率とが異なる場合、図2のように、中間層と抗菌層とは明確に区別できる場合が多い。本発明では、中間層に含まれる成分とその含有率が、抗菌層に含まれる成分(水溶性抗菌粒子を除く。)とその含有率とが同じであってもよく、中間層と抗菌層とは明確に区別できなくてもよい。この場合、本発明の抗菌性積層体を製造する際に中間層を設けたとしても、図1のように、中間層が存在しないように見えることがある。
中間層は、バインダーを含むことが好ましい。バインダーとしては、抗菌層が含んでもよいバインダーとして記載したものと同じものが挙げられる。
中間層におけるバインダーの含有量は特に制限されないが、中間層の全質量に対して、50.0~100.0質量%が好ましく、60.0~100.0質量%がより好ましく、75.0~100.0質量%が更に好ましい。
中間層は、バインダー以外にも他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、分散剤、界面活性剤、可塑剤、重合開始剤、造膜剤、触媒、香料、紫外線吸収剤、防腐剤、pH調整剤、消泡剤、光触媒性材料、充填剤、老化防止剤、帯電防止剤、難燃剤等が挙げられる。
これらの他の成分の含有量は特に制限されないが、例えば、中間層の全質量に対して、0~10.0質量%としてもよい。
中間層が含んでもよい分散剤としては、抗菌層が含んでもよい分散剤として記載したものと同じものが挙げられる。
中間層の厚みは特に制限されないが、0.3μm以上3.0μm以下であることが好ましく、0.3μm以上2.0μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上1.2μm以下であることが更に好ましい。
中間層の厚みは、抗菌性積層体をミクロトームで切削して断面を削り出し、削り出した断面を走査電子顕微鏡で観察し、任意の20箇所における膜厚を測定し、それらを算出平均した値を中間層の厚み(平均膜厚)とする。
[耐擦傷層]
本発明の抗菌性積層体は、抗菌層の基材が存在する側とは反対側に耐擦傷層を有することが好ましい。耐擦傷層は抗菌性積層体の最表層であることが好ましく、耐擦傷層の表面が、抗菌層の基材が存在する側とは反対側の抗菌性積層体の最表面であることが好ましい。
耐擦傷層は、含フッ素化合物を含むことが好ましい。含フッ素化合物としては、含フッ素界面活性剤、含フッ素モノマー、含フッ素オリゴマー、含フッ素ポリマー等が挙げられる。含フッ素化合物は、パーフルオロエーテル基及びパーフルオロアルキル基の少なくとも一方を有することが好ましい。
含フッ素ポリマーは、フッ素原子を主鎖部分に有していてもよいし、側鎖部分に有していてもよい。含フッ素ポリマーは、パーフルオロエーテル基が複数連なったパーフルオロポリエーテル基を有することが好ましい。
パーフルオロポリエーテル基とは、式(Y)で表される基である。式中、*は結合位置を表す。
式(Y) *-(O-Rx1-*
x1はパーフルオロアルキレン基を表す。Rx1が表すパーフルオロアルキレン基の炭素数は1~20が好ましく、1~15がより好ましい。複数のRx1は、同一の基であっても、異なる基であってもよい。nは2以上の整数を表し、5~30の整数が好ましく、10~20の整数がより好ましい。
含フッ素ポリマーは、パーフルオロエーテル基(好ましくは、パーフルオロポリエーテル基)及びパーフルオロアルキル基の少なくとも一方を有するモノマー由来の繰り返し単位を含むことが好ましく、パーフルオロエーテル基及びパーフルオロアルキル基の少なくとも一方を有する繰り返し単位を含むことがより好ましい。
含フッ素ポリマーは、反応性基を有していてもよい。反応性基としては、ラジカル重合性基、カチオン重合性基、アニオン重合性基が挙げられる。ラジカル重合性基としては、エチレン性不飽和性基が挙げられ、より具体的には、(メタ)アクリロイル基、アクリルアミド基、ビニル基、スチリル基、アリル基が挙げられる。カチオン重合性基としては、ビニルエーテル基、オキシラニル基、オキセタニル基が挙げられる。含フッ素ポリマーは、反応性基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。
耐擦傷層における含フッ素化合物の含有量は特に制限されないが、耐擦傷層の全質量に対して、0.1~20.0質量%が好ましく、0.1~10.0質量%がより好ましく、0.1~5.0質量%が更に好ましい。
耐擦傷層は、水溶性抗菌粒子を含んでもよい。
耐擦傷層が含んでもよい水溶性抗菌粒子としては、抗菌層の説明において記載したものと同じものが挙げられる。
耐擦傷層が水溶性抗菌粒子を含む場合、水溶性抗菌粒子の含有量は、耐擦傷層の全質量に対して、1.0~13.0質量%が好ましく、2.0~10.0質量%がより好ましく、3.0~7.0質量%が更に好ましい。
耐擦傷層は、バインダーを含んでもよい。
耐擦傷層が含んでもよいバインダーとしては、抗菌層の説明において記載したものと同じものが挙げられる。
耐擦傷層がバインダーを含む場合、バインダーの含有量は、耐擦傷層の全質量に対して、70.0~98.0質量%が好ましく、88.0~95.0質量%がより好ましく、90.0~92.0質量%が更に好ましい。
耐擦傷層は、上記した以外にも他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、分散剤、界面活性剤、可塑剤、重合開始剤、造膜剤、触媒、香料、紫外線吸収剤、防腐剤、pH調整剤、消泡剤、光触媒性材料、充填剤、老化防止剤、帯電防止剤、難燃剤等が挙げられる。
これらの他の成分の含有量は特に制限されないが、例えば、耐擦傷層の全質量に対して、0~10.0質量%としてもよい。
耐擦傷層が含んでもよい分散剤としては、抗菌層の説明において記載したものと同じものが挙げられる。
耐擦傷層の厚みは特に制限されないが、0.1~3.0μmであることが好ましく、0.3~2.0μmであることがより好ましく、0.5~1.5μmであることが更に好ましい。
耐擦傷層の厚みは、抗菌性積層体をミクロトームで切削して断面を削り出し、削り出した断面を走査電子顕微鏡で観察し、任意の20箇所における膜厚を測定し、それらを算出平均した値を耐擦傷層の厚み(平均膜厚)とする。
本発明の抗菌性積層体は、抗菌層の基材が存在する側とは反対側の抗菌性積層体の最表面に、親水部と疎水部の海島構造を有していてもよい。
[抗菌性積層体の製造方法]
本発明の抗菌性積層体の製造方法は特に制限されないが、水溶性抗菌粒子を含む抗菌層形成用組成物を低透湿基材上に塗布して塗布膜を形成し、必要に応じて、塗布膜に硬化処理を施して抗菌層を形成することが好ましい。
また、基材上に中間層形成用組成物を塗布して塗布膜を形成し、必要に応じて、塗布膜に硬化処理を施して中間層を形成し、中間層上に水溶性抗菌粒子を含む抗菌層形成用組成物を低透湿基材上に塗布して塗布膜を形成し、必要に応じて、塗布膜に硬化処理を施して抗菌層を形成することも好ましい。
更に、抗菌層上に、耐擦傷層形成用組成物を塗布して塗布膜を形成し、必要に応じて、塗布膜に硬化処理を施して耐擦傷層を形成してもよい。
抗菌層形成用組成物は、前述した水溶性抗菌粒子を含む。
抗菌層形成用組成物には、前述したバインダーが含まれていてもよい。また、バインダーの代わりに、又はバインダーに加えて、バインダーの前駆体が含まれていてもよい。バインダーの前駆体とは、重合によりバインダーとなる成分であり、例としては、モノマーが挙げられる。なお、バインダーの前駆体(モノマー)を使用した場合、抗菌層中には、バインダーの前駆体由来のバインダー(つまり、モノマーの硬化物)が含まれる。
モノマーが有する重合性基の種類は特に制限されず、例えば、ラジカル重合性基、カチオン重合性基、アニオン重合性基等が挙げられる。ラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、アクリルアミド基、ビニル基、スチリル基、アリル基等が挙げられる。カチオン重合性基としては、ビニルエーテル基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。重合性基は(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基及びメタアクリロイル基の両者を含む概念である。
モノマーが有する重合性基の数は特に制限されないが、2個以上が好ましく、2~6個がより好ましい。
モノマーとしては、重合性基を2個以上有する多官能モノマーが好ましい。
多官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、及びペンタエリスリトールテトラアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましい。
多官能モノマー(架橋剤)としては、市販品を使用することもできる。多官能モノマーの市販品としては、例えば、東新油脂社製「DPHA-76」(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物)、日本化薬社製「KAYARAD PET-30」(ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物)、新中村化学工業社製「A-DPH」(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)等が挙げられる。
モノマーとしては、親水性基を有するモノマーも好ましい。
親水性基としては、例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基、カルボキシ基のアルカリ金属塩、ポリオキシアルキレン基(例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等)を含む基、アミノ基、オキサゾリン基、リン酸基、ホスホリルコリン基、スルホン酸基、スルホン酸基のアルカリ金属塩等が挙げられる。なかでも、ヒドロキシ基、ポリオキシエチレン基を含む基、カルボキシ基、オキサゾリン基、又はホスホリルコリン基が好ましい。
ポリオキシアルキレン基を含む基としては、式(X)で表される基が好ましい。式中、*は結合位置を表す。
式(X) *-(Lx1-O)nx1-Rx1
式中、Lx1は、アルキレン基を表す。アルキレン基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい。
x1は、水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい。
nx1は、2以上の整数を表す。nx1は、2~8の整数が好ましく、4~5の整数がより好ましい。
親水性基を有するモノマーにおける親水性基の数は特に制限されないが、1個以上が好ましく、1~6個がより好ましく、1~3個が更に好ましい。
親水性基を有するモノマーが有する重合性基の種類は、前述したものと同様である。
親水性基を有するモノマーは、重合性基を2つ以上有する多官能モノマーであってもよい。多官能モノマーの重合性基の数は特に制限されず、2~6の場合が多い。
抗菌層形成用組成物は、溶媒を含んでいてもよい。
溶媒は特に制限されず、水及び有機溶媒の少なくとも1種が挙げられる。
有機溶媒としては、アルコール系溶媒、グリコールエーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、脂環族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒等が挙げられる。
溶媒は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
抗菌層形成用組成物における固形分の含有量、すなわち、溶媒以外の成分の合計含有量は特に制限されないが、厚さがより均一な塗布膜を形成しやすい点で、抗菌層形成用組成物の全質量に対して、1~60質量%が好ましい。
抗菌層形成用組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。
重合開始剤としては特に制限されず、公知の重合開始剤が使用できる。重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、及び光重合開始剤が挙げられ、反応効率が優れる点で、光重合開始剤が好ましい。
重合開始剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
抗菌層形成用組成物が重合開始剤を含む場合、重合開始剤の含有量は特に制限されないが、モノマーの含有量に対して、0.1~15質量%が好ましく、1~6質量%がより好ましい。
抗菌層形成用組成物は、上記成分以外にも他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、抗菌層が含んでもよい成分として記載したものと同じである。
抗菌層形成用組成物を基材又は中間層上に塗布する方法は特に制限されず、公知の塗布法が適用できる。塗布法としては、例えば、スプレー法、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、インクジェット法、ダイコーティング法、静電塗装法、ワイプ法が挙げられる。
抗菌層形成用組成物を塗布して得られた塗布膜は、必要に応じて、乾燥してもよい。
塗布膜を乾燥する方法としては、例えば、加熱処理が挙げられる。
加熱処理の条件は特に制限されないが、例えば、加熱温度としては、20~150℃が好ましく、20~100℃がより好ましい。また、加熱時間としては、15~600秒間が好ましい。
加熱処理を行うことにより、抗菌層形成用組成物に含まれる溶媒を除去できる。
塗布膜を硬化する方法としては、例えば、露光処理が挙げられる。
露光処理の条件等は特に制限されないが、例えば、190mJ/cm以上の照射量の紫外線を照射し、塗布膜を硬化することが好ましい。照射量の上限は特に制限されないが、600mJ/cm以下が好ましい。
紫外線照射においては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線が利用できる。
中間層形成用組成物が含んでもよい成分は、水溶性抗菌粒子を除いて、抗菌層形成用組成物が含んでもよい成分と同じであり、含有量の好ましい範囲も同じである。
耐擦傷層形成用組成物は、前述した含フッ素化合物、及び抗菌層形成用組成物が含んでもよい成分と同じものを含んでいてもよく、含有量の好ましい範囲も同じである。
中間層形成用組成物及び耐擦傷層形成用組成物の塗布法、塗布膜を乾燥する方法、塗布膜を硬化する方法は、抗菌層形成用組成物について記載したものと同じである。
<抗菌性積層体の用途>
本発明の抗菌性積層体は、種々の用途に適用できる。例えば、抗菌性積層体を種々の物品の表面に配置することにより、物品の表面に抗菌性及び耐擦傷性を付与できる。
本発明の抗菌性積層体は、例えば、タッチパネルの画像表示部に配置することができる。
本発明の抗菌性積層体を有するタッチパネルの用途は特に制限されず、例えば、パーソナルコンピューター、タブレット型端末、スマートフォン、携帯電話、ゲーム機、医療機器、現金自動預け払い機(ATM)、注文装置、券売機、複写機、カーナビゲーションシステム等の電子機器において、入力装置及び画像表示装置として使用できる。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきではない。
[中間層形成用組成物の調製]
中間層形成用組成物1-1~1-3の調製は以下の手順で実施した。
容器中で下記表1に記載した溶媒(IPA又はMEK)を撹拌しながら、下記表1に記載した溶媒以外の成分(モノマー1、酢酸セルロース、重合開始剤1)を下記表1に記載した含有量となるように加え、20分間撹拌し、中間層形成用組成物を得た。
Figure 2023080890000001
表1中の数値は、中間層形成用組成物の全質量に対する各成分の含有量(質量%)である。
モノマー1:東新油脂社製「DPHA-76」、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物、固形分濃度76質量%
酢酸セルロース:富士フイルム和光純薬製、酢化度53-56%、固形分濃度100質量%
重合開始剤1:IGM Resins B.V.社製「Omnirad 184」、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、固形分濃度100質量%
IPA:トクヤマ社製「トクソーIPA工業用」、イソプロピルアルコール
MEK:富士フイルム和光純薬製、メチルエチルケトン
[抗菌層形成用組成物の調製]
抗菌層形成用組成物2-1~2-5の調製は以下の手順で実施した。
容器中で下記表2に記載した溶媒(IPA)を撹拌しながら、下記表2に記載した溶媒以外の成分(モノマー1、モノマー2、重合開始剤1、水溶性抗菌粒子1、水溶性抗菌粒子2、分散剤)を下記表2に記載した含有量となるように加え、20分間撹拌し、抗菌層形成用組成物を得た。
Figure 2023080890000002
表2中の数値は、抗菌層形成用組成物の全質量に対する各成分の含有量(質量%)である。
モノマー1、重合開始剤1及びIPAは前述したものと同じである。
モノマー2:新中村化学工業社製「NKエステル A-GLY-9E」;エトキシ化されたグリセリントリアクリレート、1分子中に、ポリオキシアルキレン基とアクリロイル基とをそれぞれ3個ずつ含有する。親水性モノマーに該当する。固形分濃度100質量%
水溶性抗菌粒子1:富士ケミカル社製「バクテライトMP103DV」、リン酸AlMg系Ag、銀含有量は1質量%。リン酸銀抗ウイルス剤に該当する。固形分濃度25質量%。25℃の水に対する溶解度は、10mg/100g水である。
水溶性抗菌粒子2:富士ケミカル社製「バクテライトMP102SVC13」、リン酸AlMg系Ag、銀含有量は1質量%。リン酸銀抗ウイルス剤に該当する。固形分濃度25質量%。25℃の水に対する溶解度は、10mg/100g水である。
分散剤:BYK社製「DISPERBYK180」、湿潤分散剤
[抗菌層形成用組成物から水溶性抗菌粒子を除いた中間層形成用組成物の調製]
中間層形成用組成物2-6の調製は以下の手順で実施した。
容器中で下記表3に記載した溶媒(IPA)を撹拌しながら、下記表3に記載した溶媒以外の成分(モノマー1、モノマー2、重合開始剤1、分散剤)を下記表3に記載した含有量となるように加え、20分間撹拌し、中間層形成用組成物2-6を得た。
Figure 2023080890000003
表3中の数値は、中間層形成用組成物2-6の全質量に対する各成分の含有量(質量%)である。
モノマー1、モノマー2、重合開始剤1、分散剤及びIPAは前述したものと同じである。
[耐擦傷層形成用組成物の調製]
耐擦傷層形成用組成物3-1~3-5の調製は以下の手順で実施した。
容器中で下記表4に記載した溶媒(MEK)を撹拌しながら、下記表4に記載した溶媒以外の成分(モノマー1、含フッ素化合物1、含フッ素化合物2、含フッ素化合物3、水溶性抗菌粒子1、重合開始剤2、分散剤)を下記表4に記載した含有量となるように加え、20分間撹拌し、耐擦傷層形成用組成物を得た。
Figure 2023080890000004
表4中の数値は、耐擦傷層形成用組成物の全質量に対する各成分の含有量(質量%)である。
モノマー1、水溶性抗菌粒子1、分散剤及びMEKは前述したものと同じである。
含フッ素化合物1:DIC社製「RS-90」、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンと反応性含フッ素オリゴマーの混合物、固形分濃度100質量%
含フッ素化合物2:ネオス社製「フタージェント650AC」、含フッ素基UV反応性基含有オリゴマー、固形分濃度100質量%
含フッ素化合物3:信越化学工業社製「X-71-1203E」、フッ素系防汚添加剤、固形分濃度100質量%
重合開始剤2:IGM Resins B.V.社製「Omnirad 127」、ビスヒドロキシアルキルアセトフェノン誘導体、固形分濃度100質量%
〈抗菌性積層体の作製〉
[実施例1]
(中間層の形成)
厚さ100μmのPET(PolyEthylene Terephthalate)シート(東洋紡社製コスモシャインA4300)の表面に、中間層形成用組成物1-1を塗布し、塗布膜を形成した。塗布膜を、80℃で1分間加熱して乾燥した。その後、窒素雰囲気下で塗布膜に波長365nmの紫外線を1分間で300mJ/cmの照射量となるよう照射し、モノマー等を硬化させ、厚み0.3μmの中間層を形成した。
(抗菌層の形成)
上記で得られた中間層の表面上に、抗菌層形成用組成物2-1を塗布し、塗布膜を形成した。塗布膜を、80℃で1分間加熱して乾燥させた。その後、窒素雰囲気下で波長365nmの紫外線を1分間で300mJ/cmの照射量となるよう照射し、モノマー等を硬化させ、厚み5.0μmの抗菌層を形成した。
(耐擦傷層の形成)
上記で得られた抗菌層の表面上に、耐擦傷層形成用組成物3-1を塗布し、塗布膜を形成した。塗布膜を、110℃で1分間加熱して乾燥させた。その後、窒素雰囲気下で波長365nmの紫外線を1分間で500mJ/cmの照射量となるよう照射し、モノマー等を硬化させ、厚み0.3μmの耐擦傷層を形成した。
上記手順で、実施例1の抗菌性積層体を得た。
[実施例2~4]
抗菌層形成用組成物2-1に代えて、抗菌層形成用組成物2-2~2-4を用いた以外は、実施例1と同様の手順で、実施例2~4の抗菌性積層体を得た。
[実施例5~6]
中間層形成用組成物1-1に代えて、中間層形成用組成物1-2~1-3を用いた以外は、実施例1と同様の手順で、実施例5~6の抗菌性積層体を得た。
[実施例7~9]
耐擦傷層形成用組成物3-1に代えて、耐擦傷層形成用組成物3-2~3-4を用いた以外は、実施例1と同様の手順で、実施例7~9の抗菌性積層体を得た。
[実施例10]
基材として、PETシートに代えて、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム(東洋紡社製テオネックスQ51)を用いた以外は、実施例1と同様の手順で、実施例10の抗菌性積層体を得た。
[実施例11]
中間層形成用組成物1-1に代えて、中間層形成用組成物2-6を用いた以外は、実施例1と同様の手順で、実施例11の抗菌性積層体を得た。実施例11の抗菌性積層体は、中間層と抗菌層とは明確に区別できないものであり、図1のように、中間層が存在しないように見えた。
[実施例12]
抗菌層形成用組成物2-1に代えて、抗菌層形成用組成物2-5を用いた以外は、実施例1と同様の手順で、実施例12の抗菌性積層体を得た。
[比較例1]
中間層の厚みを0.1μmとした以外は、実施例1と同様の手順で、比較例1の積層体を得た。
[比較例2]
中間層を設けなかった以外は、実施例1と同様の手順で、比較例2の積層体を得た。
[比較例3]
耐擦傷層を設けなかった以外は、実施例1と同様の手順で、比較例3の積層体を得た。
[比較例4]
耐擦傷層形成用組成物3-1に代えて、耐擦傷層形成用組成物3-5を用いた以外は、実施例1と同様の手順で、比較例4の抗菌性積層体を得た。
上記で作製した実施例および比較例の積層体の各物性値は以下のように行った。
<水接触角>
接触角計DMo-502(協和界面化学社製)を用い、抗菌層の基材が存在する側とは反対側の抗菌性積層体の最表面Saに純水を1μl滴下してθ/2法により接触角[°]を測定し、5回測定して得た値の平均値を水接触角とした。
<基材の透湿度>
抗菌性積層体を作製する前に、基材について、温度40℃、相対湿度90%の環境下における水蒸気透過度を測定した。水蒸気透過度の測定は、JIS(日本産業規格)-Z0208に準ずる方法を用いて測定した。
PETシートの透湿度は6.2g/m・dayであり、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムの透湿度は1.6g/m・dayであった。
<抗菌性積層体の基材と水溶性抗菌粒子との距離の最小値(Hmin)>
minは、抗菌性積層体をミクロトームで切削して断面を削り出し、削り出した断面を走査電子顕微鏡で観察し、基材と水溶性抗菌粒子との距離を測定することで求めた。具体的は、走査電子顕微鏡を用いて倍率15000倍で3視野を撮影して観察し、それぞれの視野で、基材に最も近接している水溶性抗菌粒子の表面の基材に最も近い点と、基材の表面(抗菌層側の表面)との距離を測定し、それらを算術平均することでHminを求めた。
〈評価方法〉
[抗菌性]
JIS-Z-2801:2010に準拠し、被検菌には大腸菌を使用し、菌液への接触時間を3時間に変更して試験を実施した。試験後の菌数(個/cm)を測定し、以下の基準に従って評価を行った。実用上「A」又は「B」が好ましく、「A」がより好ましい。
(評価基準)
A:生菌数が5個/cm未満であった。
B:生菌数が5個/cm以上10個/cm未満だった。
C:生菌数が10個/cm以上だった。
[耐擦傷性]
抗菌層の基材が存在する側とは反対側の抗菌性積層体の最表面Saを、ラビングテスターを用いて、以下の条件で擦り試験を行った。
評価環境条件:25℃、相対湿度60%
擦り材:スチールウール(日本スチールウール(株)製、グレードNo.#0000番)
試料と接触するテスターの擦り先端部(2cm×2cm)に巻いて、バンド固定
移動距離(片道):13cm
擦り速度:13cm/秒
荷重:250g/cm
先端部接触面積:2cm×2cm
擦り回数:往復250回、往復2500回
往復250回の擦り試験後、最表面Saとは逆の表面(基材の表面)に油性黒インキを塗り、最表面Saにおいて反射光を目視観察して、スチールウールと接触していた部分における傷の有無を確認した。傷が確認されなかった場合、往復2500回となるまで擦り試験を実施し、250回終了後と同様の方法で傷の有無を確認した。
耐擦傷性の評価は、以下の基準にしたがって行った。
(評価基準)
A:往復2500回の擦り試験後も傷が生じない
B:往復250回の擦り試験後は傷が生じず、往復2500回の擦り試験後に傷が生じていた
C:往復250回の擦り試験後に傷が生じていた
[界面剥離]
抗菌性積層体を80℃の温水中で30分間静置してから取り出し、室温(20℃)で乾燥を行った。その後、それぞれの抗菌性積層体の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で10視野観察した。
(評価基準)
A:任意の10視野中で、確認できる剥離箇所がない
B:任意の10視野中で、剥離箇所が2個未満確認される
C:任意の10視野中で、剥離箇所が2個以上確認される
下記表5に、各実施例及び比較例で使用した基材、中間層形成用組成物、抗菌層形成用組成物、耐擦傷層形成用組成物の種類、水接触角、Hmin及び評価結果を示した。また、抗菌層の全質量に対する水溶性抗菌粒子の含有量(質量%)も示した。
Figure 2023080890000005
表5に示した結果より、実施例1~12の抗菌性積層体は、抗菌性及び耐擦傷性に優れ、かつ高温高湿環境下で抗菌層の剥離(界面剥離)が発生しにくいものであることが分かった。
1 基材
2 抗菌層
3 水溶性抗菌粒子
4 中間層
5 耐擦傷層
min 基材と水溶性抗菌粒子との距離の最小値
Sa 抗菌層の基材が存在する側とは反対側の抗菌性積層体の最表面
10、11、12 抗菌性積層体

Claims (5)

  1. 少なくとも、基材と、水溶性抗菌粒子を含む抗菌層とを有する抗菌性積層体であって、
    前記基材の40℃、相対湿度90%における透湿度が1~100g/m・dayであり、
    前記基材と前記水溶性抗菌粒子との距離の最小値が0.3μm以上であり、
    前記抗菌層の前記基材が存在する側とは反対側の前記抗菌性積層体の最表面の水接触角が90°以上である、
    抗菌性積層体。
  2. 前記水溶性抗菌粒子の含有量が前記抗菌層の全質量に対して、7.2~20.0質量%である、請求項1に記載の抗菌性積層体。
  3. 前記基材と前記抗菌層との間に、中間層を有する、請求項1又は2に記載の抗菌性積層体。
  4. 前記抗菌層の前記基材が存在する側とは反対側に、耐擦傷層を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗菌性積層体。
  5. 前記耐擦傷層が含フッ素化合物を含み、前記含フッ素化合物の含有量が前記耐擦傷層の全質量に対して、0.1~5.0質量%である、請求項4に記載の抗菌性積層体。

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