以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
具体的には、本発明のレジストパターン形成方法、について詳細に説明する。
なお、本明細書に於ける基(原子団)の表記において、置換又は無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本発明において「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。また、本発明において「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。
本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光等による露光のみならず、電子線及びイオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
[パターン形成方法]
本発明のパターン形成方法は、
−感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布して感活性光線性又は感放射線性膜を形成する工程(製膜工程)、
−上記感活性光線性又は感放射線性膜を露光する工程、及び
−アルカリ現像液を用いて露光後の上記感活性光線性又は感放射線性膜を現像する工程、を含む。
本発明のパターン形成方法は、上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物として、後述する一般式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を使用し、且つ、上記アルカリ現像液として、アルカリ成分の濃度が1.25質量%〜2.2質量%であるアルカリ現像液を使用することを特徴の一つとする。
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、化学増幅型の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物であることが好ましい。
また本発明のレジストパターンは、上記本発明のレジストパターン形成方法により形成される。
また本発明は、後述するように、上記本発明のレジストパターン形成方法に用いられる、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」などともいう)にも関する。
以下、本発明のレジストパターン形成方法について詳細に説明する。
<製膜工程>
感活性光線性又は感放射線性膜を形成する製膜工程では、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を必要に応じてフィルター濾過した後、支持体(基板)上に塗布する。フィルターとしては、ポアサイズ0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下、更に好ましくは0.03μm以下のポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のものが好ましい。
支持体(基板)上への感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の塗布方法としては、スピナー等の適当な塗布方法を用いることができる。基板としては、集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン、二酸化シリコン被覆)を用いることができる。必要により、感活性光線性又は感放射線性膜と基板との間に、各種下地膜(無機膜、有機膜)を塗布して用いることもできる。
本発明において、線幅25nm以下の1:1のラインアンドスペースパターンのような超微細パターンを解像させるためには、感活性光線性又は感放射線性膜の膜厚が60nm以下であることが好ましい。膜厚を60nm以下にすることにより、パターンのアスペクト比が小さくなり、パターン倒れが起こりにくくなる。該膜厚の範囲として好ましくは、15nm〜60nmである。該膜厚が15nm以上であると良好なエッチング耐性を得ることができるので好ましい。該膜厚の範囲として、より好ましくは15〜50nmであり、特に好ましくは、15nm〜40nmである。該膜厚がこの範囲にあると、優れたエッチング耐性と解像性能を同時に満足させることができる。
<露光工程>
形成した上記感活性光線性又は感放射線性膜に、所定のマスクを通して活性光線又は放射線を照射する。なお、電子ビームの照射では、マスクを介さない描画(直描)が一般的である。
活性光線又は放射線としては特に限定されないが、例えばKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV光、電子線等であり、EUV光、電子線が好ましい。
<ベーク工程>
本発明のパターン形成方法は、ベーク(加熱)工程を含んでいてもよく、さらに、ベーク工程を複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、一形態において、製膜後、露光を行う前にベーク(プリベークといい、以下、「PB」と略記する)工程を含むことが好ましい。PB温度は、好ましくは60℃〜150℃であり、より好ましくは80℃〜140℃である。PEB時間は、好ましくは60〜1200秒であり、より好ましくは60〜600秒である。
PBは通常の露光・現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
本発明のパターン形成方法は、他の形態において、露光後、現像を行う前にベーク(ポストエクスポージャーベーク(Post Exposure Bake)といい、以下、「PEB」と略記する)工程を含むことが好ましい。
PEB温度は、好ましくは80〜150℃であり、より好ましくは90〜150℃であり、更に好ましくは100〜140℃である。
PEB時間は、好ましくは30〜1000秒であり、より好ましくは60〜800秒であり、更に好ましくは60〜600秒である。
PEBは通常の露光・現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
PEBにより露光部の反応が促進され、CDU及びLERが改善する。
<アルカリ現像工程>
アルカリ現像液のアルカリ成分の濃度は、アルカリ現像液の全質量に対し、1.25質量%〜2.2質量%である。アルカリ成分の濃度を上記範囲とすることで、CDUが向上する。その理由は明らかではないが、アルカリ成分の濃度を前記範囲とすることにより、アルカリ成分が大気中の二酸化炭素で失活し、成分濃度がウェハ面内で局所的に変動し、ウェハ面内で線幅が変動する影響を抑制でき、かつレジスト膜の未露光部の膜減りによる線幅変動を同時に抑制できるからと考えられる。
加えて、アルカリ成分の濃度を前記範囲とし、且つ、後述の一般式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いた場合、CDUの向上と同時に、LERとELが向上し、解像性能が向上する。その理由は明らかではないが、アルカリ現像液中のアルカリ成分濃度と高分子化合物の組合せにより、感活性光線性又は感放射線性膜の未露光部の膜減りを抑制することで、パターンエッジの膜荒れによるエッジラフネスの発生を抑制でき、かつ膜減りによる膜厚減少に伴う線幅の変動を抑制した結果、露光量の変化に対する線幅の変動を抑制でき、ELが向上したものと考えられる。
本発明の一形態において、アルカリ現像液中のアルカリ成分濃度は、1.25質量%〜2.0質量%であることが好ましく、1.35質量%〜1.8質量%であることがより好ましい。
使用するアルカリ現像液中のアルカリ成分(以下、“アルカリ種”とも呼ぶ)としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムハイドロキシド、テトラエチルアンモニウムハイドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドドキシド、テトラブチルアンモニウムハイドロキシド、テトラペンチルアンモニウムハイドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムハイドロキシド、テトラオクチルアンモニウムハイドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムハイドロキシド、ブチルトリメチルアンモニウムハイドロキシド、メチルトリアミルアンモニウムハイドロキシド、ジブチルジペンチルアンモニウムハイドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムハイドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムハイドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムハイドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムハイドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ種が挙げられ、アルカリ現像液としてはこれらアルカリ種の水溶液を使用することができる。
更に、上記アルカリ類の水溶液に、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤(例えばサーフィノール440、465(日信化学工業(株)))を適当量添加して、表面張力を低下させたアルカリ水溶液を使用することもできる。表面張力を低下させることでウェハに対する現像液の濡れ性が向上し、CDUが良化する。
アルコール類やノニオン系等の界面活性剤は、アルカリ現像液の表面張力が十分に低下する必要量を添加すれば良い。
アルコール類や界面活性剤の添加量と水溶液の表面張力の関係は、添加する化合物の種類に応じて変化するため、添加量としては一概には言えないが、例えば、イソプロピルアルコールを添加する場合には、アルカリ現像液の全質量に対し5〜20質量%添加することで、アルカリ現像液の表面張力を30〜50mN/mに低下させることができる。
表面張力は既知の方法により測定することが出来るが、例えば協和界面科学(株)製 CBVP-Z型を用いて、白金プレートによる測定法などがある。
これらの現像液中のアルカリ種の中で好ましくは第四級アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムハイドロキシドである。
また、アルカリ現像液中には金属イオン及びハロゲンイオンは含まれないことが好ましく、理想的にはそれぞれ0質量ppbであるが、本発明の効果を損なわない範囲で微量に含有される場合を排除するものではない。現像液中の金属イオンの含有率としては10質量ppb以下であることが好ましく、ハロゲンイオンの含有率は10質量ppb以下であることが好ましい。
現像方法としては、たとえば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法、シャワー現像法)などを適用することができる。
また、現像を行う工程の後に、他の溶媒に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
特に好ましい現像方法は、実質的に新鮮なアルカリ現像液を連続的に供給して現像する方法であり、具体的には、基板表面に実質的に新鮮なアルカリ現像液を噴霧しつづける方法(スプレー法)か、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら、実質的に新鮮なアルカリ現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)である。実質的に新鮮なアルカリ現像液を連続的に供給して現像することで、露光部の現像が速やかに進行し、解像性能が向上する。また、新鮮なアルカリ現像液を連続的に供給しつづけて現像することで、現像からリンスに切り替わる段階で発生する残渣系の現像欠陥を低減させることもできる。
現像時間は露光部の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の成分が十分に溶解する時間と生産性を両立できることが重要である。現像時間は、現像液に含まれるアルカリ種の濃度と感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の成分のアルカリ溶解性により変化するため、一義的に決めることは出来ない。
現像液の温度は0℃〜50℃が好ましく、10℃〜30℃が更に好ましい。
<リンス工程>
本発明のパターン形成方法は、一形態において、現像を行う工程の後に、純水に置換しながら、現像を停止するリンス工程を含むことが好ましい。
リンス工程では、上記純水にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
リンス時間は、基板上のアルカリ現像液が十分に洗い流される時間が好ましく、通常は5秒〜600秒が好ましい。更に好ましくは10秒〜300秒である。
リンス液の温度は0℃〜50℃が好ましく、10℃〜30℃が更に好ましい。
更に、本発明は、本発明のパターン形成方法を含むナノインプリント用モールドの製造方法により製造されるナノインプリント用モールド、及び、本発明のパターン形成方法を含むフォトマスクの製造方法により製造されるフォトマスクにも関する。
このようなナノインプリント用モールド、及び、フォトマスクは、マスクブランクスに本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物から得られる感活性光線性又は感放射線性膜を備えたマスクブランクスを用いて製造されることが好ましい。
このような感活性光線性又は感放射線性膜を備えたマスクブランクス上に、本発明のパターン形成方法に基づいてパターンを形成する場合、使用される基板としては、石英、フッ化カルシウム等の透明基板を挙げることができる。一般には、該基板上に、遮光膜、反射防止膜、更に位相シフト膜、追加的にはエッチングストッパー膜、エッチングマスク膜といった機能性膜の必要なものを積層する。機能性膜の材料としては、ケイ素、又はクロム、モリブデン、ジルコニウム、タンタル、タングステン、チタン、ニオブ等の遷移金属を含有する膜が積層される。また、最表層に用いられる材料としては、ケイ素又はケイ素に酸素及び/又は窒素を含有する材料を主構成材料とするもの、更にそれらに遷移金属を含有する材料を主構成材料とするケイ素化合物材料や、遷移金属、特にクロム、モリブデン、ジルコニウム、タンタル、タングステン、チタン、ニオブ等より選ばれる1種以上、又は更にそれらに酸素、窒素、炭素より選ばれる元素を1以上含む材料を主構成材料とする遷移金属化合物材料が例示される。
遮光膜は単層でも良いが、複数の材料を塗り重ねた複層構造であることがより好ましい。複層構造の場合、1層当たりの膜の厚みは、特に限定されないが、5nm〜100nmであることが好ましく、10nm〜80nmであることがより好ましい。遮光膜全体の厚みとしては、特に限定されないが、5nm〜200nmであることが好ましく、10nm〜150nmであることがより好ましい。
次いで、この感活性光線性又は感放射線性膜に対して、上記したように、露光、現像を行い、パターンを得る。そして、このパターンをマスクとして用いて、適宜エッチング処理などを行い、ナノインプリント用モールドやフォトマスクを製造する。
本発明におけるフォトマスクは、ArFエキシマレーザー等で用いられる光透過型マスクであっても、EUV光を光源とする反射系リソグラフィーで用いられる光反射型マスクであっても良い。
なお、本発明の組成物を用いてインプリント用モールドを作製する場合のプロセスについては、例えば、特許第4109085号公報、特開2008−162101号公報、及び「ナノインプリントの基礎と技術開発・応用展開―ナノインプリントの基板技術と最新の技術展開―編集:平井義彦(フロンティア出版)」に記載されている。
本発明のパターン形成方法は、DSA(Directed Self-Assembly)におけるガイドパターン形成(例えば、ACS Nano Vol.4 No.8 Page4815-4823参照)にも用いることができる。
また、上記の方法によって形成されたパターンは、例えば特開平3−270227号公報及び特開2013−164509号公報に開示されたスペーサープロセスの芯材(コア)として使用できる。
[感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物]
以下に、本発明のパターン形成方法に用いる、本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、後述する一般式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含有する。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、更に、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び塩基性化合物を含有することが好ましい。
〔1〕高分子化合物
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物(以下、「高分子化合物(A)」という)を含有している。本発明の組成物に、KrFエキシマレーザー光、電子線、X線又は波長50nm以下の高エネルギー光線(例えば、EUV)を照射する場合には、この高分子化合物(A)は、更に、ヒドロキシスチレン繰り返し単位を有することが好ましい。ここで、ヒドロキシスチレンとしてはp−ヒドロキシスチレンが好ましい。
一般式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物は、後述するようにアニオン重合法などにより合成された単分散ポリマーを前駆体として合成することができる。本発明により超微細パターンを形成する場合、単分散ポリマーを用いることで、現像時の溶解単位が均一となり、解像性、特に小さいラインエッジラフネス(LER)が達成される。
一般式(I)中、R01、R02及びR03は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。R03はAr1と結合して環を形成していてもよく、その場合のR03はアルキレン基を表わす。
Ar1は、(n+1)価の芳香環基を表し、R03と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香環基を表す。
n個のYは、各々独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、Yの少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。
nは、1〜5の整数を表し、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
R01〜R03としてのアルキル基は、例えば、炭素数20以下のアルキル基であり、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基又はドデシル基である。より好ましくは、これらアルキル基は、炭素数8以下のアルキル基である。なお、これらアルキル基は、置換基を有していてもよい。
アルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R01〜R03におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
シクロアルキル基は、単環のシクロアルキル基であってもよく、多環のシクロアルキル基であってもよい。好ましくは、シクロプロピル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の炭素数3〜8の単環のシクロアルキル基が挙げられる。なお、これらシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子がより好ましい。
R03がアルキレン基を表す場合、このアルキレン基としては、好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基及びオクチレン基等の炭素数1〜8のものが挙げられる。
R01、R02及びR03は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表すことが好ましく、より好ましくは水素原子である。
Ar1としての(n+1)価の芳香環基は、炭素数6〜14のものが好ましい。nが1である場合における2価の芳香環基は、例えば、フェニレン基、トリレン基及びナフチレン基が挙げられる。
nが2以上の整数である場合における(n+1)価の芳香環基の具体例としては、2価の芳香環基の上記した具体例から、(n−1)個の任意の水素原子を除してなる基を好適に挙げることができる。
なお、これら芳香環基は、更に、置換基を有していてもよい。
酸の作用により脱離する基Yとしては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)、−C(R1)(R2)(OR39)、−C(R1)(R2)−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)、及び−CH(R36)(Ar)により表される基が挙げられる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して、環構造を形成していてもよい。
R1及びR2は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
Arは、アリール基を表す。
R36〜R39、R1、又はR2としてのアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、へキシル基及びオクチル基が挙げられる。
R36〜R39、R1、又はR2としてのシクロアルキル基は、単環のシクロアルキル基であってもよく、多環のシクロアルキル基であってもよい。単環のシクロアルキル基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基及びシクロオクチルが挙げられる。多環のシクロアルキル基としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基及びアンドロスタニル基が挙げられる。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部は、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R36〜R39、R1、R2、又はArとしてのアリール基は、炭素数6〜10のアリール基であることが好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基及びアントリル基が挙げられる。
R36〜R39、R1、又はR2としてのアラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基であることが好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基が好ましい。
R36〜R39、R1、又はR2としてのアルケニル基は、炭素数2〜8のアルケニル基であることが好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基及びシクロへキセニル基が挙げられる。
R36とR37とが互いに結合して形成し得る環は、単環型であってもよく、多環型であってもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルカン構造が好ましく、例えば、シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロへキサン構造、シクロヘプタン構造及びシクロオクタン構造が挙げられる。多環型としては、炭素数6〜20のシクロアルカン構造が好ましく、例えば、アダマンタン構造、ノルボルナン構造、ジシクロペンタン構造、トリシクロデカン構造及びテトラシクロドデカン構造が挙げられる。なお、環構造中の炭素原子の一部は、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
上記各基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基及びニトロ基が挙げられる。これら置換基は、炭素数が8以下であることが好ましい。
酸の作用により脱離する基Yとしては、下記一般式(II)で表される構造がより好ましい。
一般式(II)中、L1及びL2は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アンモニウム基、メルカプト基、シアノ基又はアルデヒド基を表す。なお、これらシクロアルキル基及びアリール基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
なお、Q、M、及びL1の少なくとも2つが互いに結合して環を形成していてもよい。
L1及びL2としてのアルキル基は、例えば炭素数1〜8のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基及びオクチル基が挙げられる。
L1及びL2としてのシクロアルキル基は、例えば炭素数3〜15のシクロアルキル基であり、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基及びアダマンチル基が挙げられる。
L1及びL2としてのアリール基は、例えば炭素数6〜15のアリール基であり、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基及びアントリル基が挙げられる。
L1及びL2としてのアラルキル基は、例えば炭素数7〜20のアラルキル基であり、具体的には、ベンジル基及びフェネチル基が挙げられる。
L1及びL2は、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表すことが好ましい。L1は水素原子であることがより好ましい。L2はアルキル基又はシクロアルキル基であることがより好ましく、このアルキル基及びシクロアルキル基において、一般式(II)中の炭素原子と隣接する原子が、3級又は4級炭素原子であることが更に好ましく、4級炭素原子であることが特に好ましい。
Mとしての2価の連結基は、例えば、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜8のアルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基又はオクチレン基)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3〜15のシクロアルキレン基、例えば、シクロペンチレン基又はシクロヘキシレン基)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜8のアルケニレン基、例えば、エチレン基、プロペニレン基又はブテニレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜20のアリーレン基、例えば、フェニレン基、トリレン基又はナフチレン基)、−S−、−O−、−CO−、−SO2−、−N(R0)−、又は、これらの2以上の組み合わせである。ここで、R0は、水素原子又はアルキル基である。R0としてのアルキル基は、例えば炭素数1〜8のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基及びオクチル基が挙げられる。
Mは、単結合、又は、アルキレン基、−O−、若しくはこれらの組み合わせからなる2価の連結基を表すことが好ましく、単結合、アルキレン基又はアルキレンオキシ基を表すことがより好ましい。
Qとしてのアルキル基及びシクロアルキル基は、上述したL1及びL2としての各基と同様である。
Qとしてのアリール基としては、例えば、上述したL1及びL2としてのアリール基が挙げられる。これらシクロアルキル基及びアリール基は、好ましくは、炭素数3〜15の基である。
Qとしてのヘテロ原子を含んだシクロアルキル基又はアリール基としては、例えば、チイラン、シクロチオラン、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール及びピロリドン等の複素環構造を有した基が挙げられる。但し、炭素とヘテロ原子とで形成される環、又は、ヘテロ原子のみによって形成される環であれば、これらに限定されない。
Qは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表すことが好ましい。
Q、M及びL1の少なくとも2つが互いに結合して形成し得る環構造としては、例えば、これらがプロピレン基又はブチレン基を形成してなる5員又は6員環構造が挙げられる。なお、この5員又は6員環構造は、酸素原子を含有している。
一般式(II)におけるL1、L2、M及びQで表される各基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基及びニトロ基が挙げられる。これら置換基は、炭素数が8以下であることが好ましい。
−(M−Q)で表される基としては、炭素数1〜30の基が好ましく、炭素数5〜20の基がより好ましい。特に、アウトガス抑制の観点からは、炭素数が6以上の基が好ましい。
酸の作用により脱離する基Yとして、より好ましい別の形態としては、下記一般式(III)で表される構造が挙げられる。
式中、L3、L4及びL5は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。但し、L3、L4及びL5のすべてが水素原子であることはない。
なお、これらシクロアルキル及びアリール基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
また、L3、L4及びL5の少なくとも2つが互いに結合して環を形成していてもよい。
L3、L4及びL5としてのアルキル基は、例えば炭素数1〜8のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基及びオクチル基が挙げられる。
L3、L4及びL5としてのシクロアルキル基は、例えば炭素数3〜15のシクロアルキル基であり、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基及びアダマンチル基が挙げられる。
L3、L4及びL5としてのアリール基は、例えば炭素数6〜15のアリール基であり、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基及びアントリル基が挙げられる。
L3、L4及びL5としてのアラルキル基は、例えば炭素数7〜20のアラルキル基であり、具体的には、ベンジル基及びフェネチル基が挙げられる。
L3、L4及びL5としてのヘテロ原子を含んだシクロアルキル及びアリール基としては、例えば、上述したQとしてのヘテロ原子を含んだシクロアルキル及びアリール基と同様の具体例が挙げられる。
L3、L4及びL5は、各々独立に、水素原子又はアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表すことが好ましく、L3〜L5が全てアルキル基又はシクロアルキル基であることがより好ましく、L3〜L5が全てアルキル基であることが更に好ましい。
一般式(III)におけるL3、L4及びL5は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基及びニトロ基が挙げられる。これら置換基は、炭素数が8以下であることが好ましい。
L3、L4及びL5の少なくとも2つが互いに結合して環を形成する場合、形成される環構造は単環又は多環のシクロアルキル基が好ましく、単環のシクロアルキル基がより好ましく、5員環又は6員環の単環のシクロアルキル基が特に好ましい。
式中のYが一般式(II)又は一般式(III)で表される基である、一般式(I)で表される繰り返し単位の例を以下に示す。
本発明の高分子化合物(A)における、上記一般式(I)で表される繰り返し単位の含有率は、高分子化合物(A)中の全繰り返し単位に対して、5〜60モル%の範囲が好ましく、10〜45モル%の範囲がより好ましく、15〜40モル%の範囲が特に好ましい。
高分子化合物(A)は、更に、下記一般式(IV)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
一般式(IV)中、R4は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、又はハロゲン原子を表す。
B2は、単結合又は2価の連結基を表す。
Ar2は、(m+1)価の芳香環基を表す。
mは1以上の整数を表す。
一般式(IV)中、R4が表すメチル基が有していてもよい置換基としては、前述の一般式(I)におけるR1が有していてもよい置換基の具体例及び好ましい範囲と同様の置換基が挙げられる。R4としては、水素原子、メチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
一般式(IV)中における、Ar2が表す(m+1)価の芳香環基は、好ましくは炭素数6〜18の芳香環基である。例えば、mが1である場合におけるAr2により表される2価の芳香環基としては、好ましくはフェニレン基、ナフチレン基であり、最も好ましくはフェニレン基である。
なお、Ar2で表される(m+1)価の芳香環基は、上記−(OH)mで表される基以外にも置換基を有していてもよく、置換基としては前述の一般式(I)におけるR1が有していてもよい置換基の具体例及び好ましい範囲と同様の置換基が挙げられる。
一般式(IV)中におけるmは、1以上の整数であり、1〜5の範囲の整数であるのが好ましく、1であることがより好ましい。
なお、一般式(IV)において、mが1であり、Ar2がフェニレン基のとき、−OHのAr2のベンゼン環に対する結合位置は、ベンゼン環のポリマー主鎖との結合位置に対して、パラ位でもメタ位でもオルト位でもかまわないが、パラ位若しくはメタ位が好ましい。
一般式(IV)中、B2が表す2価の連結基としては、例えば、前述の一般式(II)におけるMが表す2価の連結基の具体例及び好ましい範囲と同様である。
このような一般式(IV)で表される繰り返し単位としては、下記一般式(IV’)で表される繰り返し単位であるのが好ましい。
一般的式(IV’)中、R4は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、又はハロゲン原子を表す。Ar2は、(m+1)価の芳香環基を表す。mは1以上の整数を表す。
一般式(IV’)における、R4、Ar2、及びmは、前述の一般式(IV)におけるR4、Ar2、及びmと同義である。
一般式(IV)で表される繰り返し単位は、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位で、レジストの現像性をコントロールする機能を有する。
一般式(IV)の繰返し単位で好ましい例を以下に記載する。
このうち、一般式(IV)で表される繰り返し単位の好ましい例は、Ar
2が無置換のフェニレン基である繰り返し単位であり、以下に記載するものが挙げられる。
高分子化合物(A)における一般式(IV)で表される繰り返し単位の含有率は、高分子化合物(A)中の全繰り返し単位に対し、ポジ型レジスト組成物である場合、3〜90モル%が好ましく、より好ましくは5〜90モル%、更に好ましくは7〜85モル%である。
高分子化合物(A)は、上記で説明した繰り返し単位以外の繰り返し単位を、更に有していてもよい。この例としては、例えば以下に説明するような、酸の作用に対して安定な繰り返し単位を挙げることができる。
酸の作用に対して安定な繰り返し単位としてより具体的には、一般式(V)として例示されるような非酸分解性の置換基を有したスチレン誘導体や、一般式(VI)として例示されるような、アクリル構造の側鎖に、非酸分解性のアリール構造、シクロアルキル構造、ラクトン構造を有する繰り返し単位が挙げられる。この構造を有することにより、コントラストの調節、エッチング耐性の向上などが期待できる。
一般式(V)に於いて、
Raは水素原子、アルキル基又は−CH2−O−Ra2基を表す。式中、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Ra及びRa2としてのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、炭素数1〜4がより好ましい。Ra及びRa2としてのアルキル基は置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子及び塩素原子等のハロゲン原子が挙げられる。Raのアルキル基としては、例えば、メチル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
Raは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
一般式(V)におけるBは、アシル基、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基またはアルコキシカルボニル基を表し、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、アシルオキシ基がより好ましい。また、アシルオキシ基(一般式−O−CO−RAで表される。RAはアルキル基)の中でも、RAの炭素数が1〜6のものが好ましく、RAの炭素数1〜3のものがより好ましく、RAの炭素数が1のもの(即ち、アセトキシ基)が特に好ましい。
pは0〜5の整数を表し、0〜2が好ましく、1〜2がより好ましく、1が更に好ましい。
上記各基は置換基を有していてもよく、好ましい置換基として、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)等を挙げることができる。環状構造については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜8)を挙げることができる。
高分子化合物(A)は、一般式(V)で表される繰り返し単位を含有しても含有しなくてもよいが、含有する場合、一般式(V)で表される繰り返し単位の含有量は、高分子化合物(A)中の全繰り返し単位に対し、5〜30モル%が好ましく、より好ましくは5〜15モル%である。
一般式(V)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
一般式(VI)中、R5は非酸分解性の炭化水素基又はラクトン基を表す。
Raは水素原子、アルキル基又は−CH2−O−Ra2基を表す。式中、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Ra及びRa2としてのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、炭素数1〜4がより好ましい。Ra及びRa2としてのアルキル基は置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子及び塩素原子等のハロゲン原子が挙げられる。Raのアルキル基としては、例えば、メチル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
Raは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
R5は、環状構造を有する炭化水素基又はラクトン基であることが好ましい。環状構造を有する場合の具体例として、単環又は多環のシクロアルキル基(炭素数3〜12が好ましく、より好ましくは炭素数3〜7)、単環又は多環のシクロアルケニル基(炭素数3〜12が好ましい)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜12)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜12)、単環又は多環のラクトン基(好ましくは炭素数4〜15、より好ましくは炭素数4〜10)などが挙げられる。
上記各基は、更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
高分子化合物(A)は、一般式(VI)で表される繰り返し単位を含有しても含有しなくてもよいが、含有する場合、一般式(VI)で表される繰り返し単位の含有量は、高分子化合物(A)中の全繰り返し単位に対し、1〜40モル%が好ましく、より好ましくは2〜20モル%である。
一般式(VI)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH
3、CH
2OH、又はCF
3を表す。
本発明で用いられる高分子化合物(A)には、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基(以下、「光酸発生基」とも言う)を側鎖に有する繰り返し単位を更に有することも感度が優れるという理由で好ましい。この場合は、後述の活性光線又は放射線により酸を発生する化合物(B)が独立した化合物でなく、本発明にかかわる高分子化合物(A)中の一構成成分と言うことになる。すなわち、本発明の一態様として、高分子化合物(A)が、更に、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基を側鎖に有する繰り返し単位を含み、前記高分子化合物(A)と後述の化合物(B)とが同一の化合物であることも好ましい。
光酸発生基を有する繰り返し単位として例えば、特開平9-325497号公報〔0028〕に記載された繰り返し単位や、特開2009-93137号公報〔0038〕〜〔0041〕に記載された繰り返し単位が挙げられる。そして、この場合、この光酸発生基を有する繰り返し単位が本発明の活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(B)にあたると考えることができる。
高分子化合物(A)は、光酸発生基を側鎖に有する繰り返し単位を含有しても含有しなくてもよいが、含有する場合、光酸発生基を側鎖に有する繰り返し単位の含有率は、高分子化合物(A)中の全繰り返し単位に対し、1〜10モル%が好ましく、より好ましくは2〜8モル%である。
光酸発生基を側鎖に有する繰り返し単位としては、下記一般式(5)により表される繰り返し単位を挙げることができる。
式中、R41は、水素原子又はメチル基を表す。L41は、単結合又は2価の連結基を表す。L42は、2価の連結基を表す。Sは、活性光線又は放射線の照射により分解して側鎖に酸を発生させる構造部位を表す。
以下に、一般式(5)で表される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明がこれに限定されるものではない。
本発明の高分子化合物(A)は、製膜性や溶剤溶解性を制御できるような他の重合性モノマーを共重合させてもよい。
これらの重合性モノマーの例としては、水素化ヒドロキシスチレン、無水マレイン酸、アクリル酸誘導体(アクリル酸、アクリル酸エステル等)、メタクリル酸誘導体(メタクリル酸、メタクリル酸エステル等)、N−置換マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、上記とは別に、好ましい高分子化合物の繰り返し単位として、主鎖に環状構造を有する単位(インデン構造を有するモノマーに由来する単位など)、ナフトール構造を有する単位、−C(CF3)2OH基を有する繰り返し単位なども挙げられる。
これら重合性モノマーから誘導される繰り返し単位、上述の繰り返し単位を高分子化合物(A)が含有する場合、これら繰り返し単位の含有量は高分子化合物(A)中の全繰り返し単位に対し、1〜30モル%が好ましく、より好ましくは1〜10モル%である。
本発明において、高分子化合物(A)は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いられる高分子化合物(A)の質量平均分子量としては15000以下が好ましく、更に好ましくは質量平均分子量の範囲が1000〜10000、特に好ましい範囲は、2000〜8000である。
高分子化合物の分子量が上記範囲であると、十分な解像性能、LER性能を得ることができる。
高分子化合物(A)の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜1.8であることが好ましく、より好ましくは1.0〜1.5の範囲内である。
ここで、高分子化合物(A)の質量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)は、ポリスチレン基準のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法(溶媒:THF)による。
高分子化合物(A)は、公知のラジカル重合法やアニオン重合法により合成することができる。例えば、ラジカル重合法では、ビニルモノマーを適当な有機溶媒に溶解し、過酸化物(過酸化ベンゾイル等)やニトリル化合物(アゾビスイソブチロニトリル等)、又はレドックス化合物(クメンヒドロペルオキシド−第一鉄塩等)を開始剤として、室温又は加温条件下で反応させて重合体を得ることができる。また、アニオン重合法では、ビニルモノマーを適当な有機溶媒に溶解し、金属化合物(ブチルリチウム等)を開始剤として、通常、冷却条件化で反応させて重合体を得ることができる。
また各繰り返し単位の前駆体に相当する不飽和モノマーを用いてポリマーを重合した後に、合成したポリマーに低分子化合物を修飾し、所望の繰返し単位へ変換することによって合成することも可能である。いずれの場合も、リビングアニオン重合等のリビング重合を用いることで、得られる高分子化合物の分子量分布が均一となり、好ましい。
以上において説明した高分子化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
上記具体例において、tBuはt−ブチル基を表す。
酸で分解し得る基の含有率は、高分子化合物(A)中の酸で分解し得る基の数(B)と酸で脱離する基で保護されていないアルカリ可溶性基の数(S)とにより、式B/(B+S)によって計算される。この含有率は、好ましくは0.01〜0.7であり、より好ましくは0.05〜0.50であり、更に好ましくは0.05〜0.40である。
高分子化合物(A)の組成物中の含有率は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の全固形分を基準として、50〜95質量%が好ましく、より好ましくは55〜92質量%、更に好ましくは60〜85質量%である。
〔2〕活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤(B)」又は「化合物(B)」ともいう)を含有することが好ましく、活性光線又は放射線の照射によりカルボン酸以外の酸を発生する化合物を含有することがより好ましい。酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
酸発生剤(B)としての、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(ZI)において、R201、R202及びR203は、各々独立に有機基を表す。
Z
−は、非求核性アニオンを表し、好ましくはスルホン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF
4 −、PF
6 −、SbF
6 −などが挙げられ、好ましくは炭素原子を含有する有機アニオンである。好ましい有機アニオンとしては下式AN1〜AN3に示す有機アニオンが挙げられる。
式AN1〜AN3中、Rc1〜Rc3はそれぞれ独立に有機基を表す。
Rc1〜Rc3における有機基として、炭素数1〜30のものがあげられ、好ましくは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、又はこれらの複数が、単結合、−O−、−CO2−、−S−、−SO3−、−SO2N(Rd1)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。更には他の結合しているアルキル基、アリール基と環構造を形成してもよい。
Rd1は水素原子、又はアルキル基を表し、他の結合しているアルキル基、アリール基と環構造を形成してもよい。
Rc1〜Rc3の有機基として、1位がフッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたフェニル基であってもよい。フッ素原子又はフロロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上する。Rc1〜Rc3において炭素原子を5個以上有する時、少なくとも1つの炭素原子は水素原子で置換されていることが好ましく、水素原子の数がフッ素原子より多いことがより好ましい。炭素数5以上のパーフロロアルキル基を有さないことにより生態への毒性が軽減する。
R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。
R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
R201、R202及びR203としての有機基の具体例としては、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)における対応する基を挙げることができる。
なお、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくともひとつが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくともひとつと結合した構造を有する化合物であってもよい。
更に好ましい(ZI)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、及び(ZI−3)を挙げることができる。
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基でもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基などのアリール基、インドール残基、ピロール残基、などのヘテロアリール基が好ましく、更に好ましくはフェニル基、インドール残基である。アリールスルホニム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基、シクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
R201〜R203としてのアリール基、アルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、最も好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
R201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
R201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基であり、最も好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
R201〜R203としてのアルキル基は、直鎖、分岐のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。R201〜R203としてのシクロアルキル基は、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基)を挙げることができる。
R201〜R203としての2−オキソアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
R201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
R201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
次に、化合物(ZI−3)について説明する。
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
R1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。
R6c及びR7cは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
Rx及びRyは、各々独立に、アルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基、又はビニル基を表す。
R1c〜R7cのいずれか2つ以上が結合して環構造を形成しても良い。また、RxとRyが結合して環構造を形成しても良い。これらの環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
X−は、一般式(ZI)におけるZ−と同義である。
化合物(ZI−3)の具体例としては、特開2004−233661号公報の段落0047,0048や、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046に例示されている化合物、等を挙げることができる。
次に、一般式(ZII)、(ZIII)について説明する。
一般式(ZII)、(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基を表す。
R204〜R207のアリール基の具体例、好適なものとしては、前記化合物(ZI−1)におけるR201〜R203としてのアリール基として説明したものと同様である。
R204〜R207のアルキル基及びシクロアルキル基の具体例、好適なものとしては、前記化合物(ZI−2)におけるR201〜R203としての直鎖又は分岐のアルキル基及びシクロアルキル基として説明したものと同様である。
Z−は、一般式(ZI)に於けるZ−と同義である。
酸発生剤(B)としての、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar3及びAr4は、各々独立に、置換若しくは無置換のアリール基を表す。
R208は、一般式(ZV)と(ZVI)中で各々独立して、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。発生酸の強度を高める点では、R208はフッ素原子により置換されていることが好ましい。
R209及びR210は、各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基又は電子求引性基を表す。R209として好ましくは、置換若しくは無置換のアリール基である。R210として好ましくは、電子求引性基であり、より好ましくはシアノ基、フロロアルキル基である。
Aは、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、又は置換若しくは無置換のアリーレン基を表す。
なお、一般式(ZVI)で表される構造を複数有する化合物も本発明では好ましい。例えば、一般式(ZVI)で表される化合物のR209又はR210のいずれかが、一般式(ZVI)で表されるもう一つの化合物のR209又はR210のいずれかと結合した構造を有する化合物であってもよい。
酸発生剤(B)としての、活性光線又は放射線の照射により分解してカルボン酸以外の酸を発生する化合物の内でより好ましくは、一般式(ZI)〜(ZIII)で表される化合物であり、更に好ましくは(ZI)で表される化合物であり、最も好ましくは(ZI−1)〜(ZI−3)で表される化合物である。
酸発生剤(B)の具体例を以下に示すが、これらに限定するものではない。
酸発生剤(B)は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。2種以上を組み合わせて使用する際には、水素原子を除く全原子数が2以上異なる2種の有機酸を発生する化合物を組み合わせることが好ましい。
酸発生剤(B)の組成物中の含有率は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の全固形分を基準として、5〜50質量%が好ましく、より好ましくは8〜40質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。
〔3〕塩基性化合物
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、塩基性化合物を含むことが好ましい。塩基性化合物は、好ましくは、フェノールと比較して塩基性がより強い化合物である。塩基性化合物は、有機塩基性化合物であることが好ましく、含窒素塩基性化合物であることが更に好ましい。また、一態様において、酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩を塩基性化合物として用いることもできる。
使用可能な含窒素塩基性化合物は特に限定されないが、例えば、以下の(1)〜(7)に分類される化合物を用いることができ、なかでも、後述する(4)アンモニウム塩が好ましい。
一般式(BS−1)中、
Rは、各々独立に、水素原子又は有機基を表す。但し、3つのRのうち少なくとも1つは有機基である。この有機基は、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、単環若しくは多環のシクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。
前記一般式(BS−1)により表される化合物についての説明(各基の説明、一般式(BS−1)により表される化合物の具体例等)としては、特開2013−015572号公報段落0471〜0481の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
(2)含窒素複素環構造を有する化合物
この含窒素複素環は、芳香族性を有していてもよく、芳香族性を有していなくてもよい。また、窒素原子を複数有していてもよい。更に、窒素以外のヘテロ原子を含有していてもよい。具体的には、例えば、イミダゾール構造を有する化合物(2−フェニルベンゾイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾールなど)、ピペリジン構造を有する化合物〔N−ヒドロキシエチルピペリジン及びビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートなど〕、ピリジン構造を有する化合物(4−ジメチルアミノピリジンなど)、並びにアンチピリン構造を有する化合物(アンチピリン及びヒドロキシアンチピリンなど)が挙げられる。
好ましい含窒素複素環構造を有する化合物の例としては、例えば、グアニジン、アミノピリジン、アミノアルキルピリジン、アミノピロリジン、インダゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、プリン、イミダゾリン、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルフォリン及びアミノアルキルモルフォリンが挙げられる。これらは、置換基を更に有していてもよい。
好ましい置換基としては、例えば、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基及びシアノ基が挙げられる。
特に好ましい塩基性化合物としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン及びN−(2−アミノエチル)モルフォリンが挙げられる。
また、環構造を2つ以上有する化合物も好適に用いられる。具体的には、例えば、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン及び1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−ウンデカ−7−エンが挙げられる。
(3)フェノキシ基を有するアミン化合物
フェノキシ基を有するアミン化合物とは、アミン化合物が含んでいるアルキル基のN原子と反対側の末端にフェノキシ基を備えた化合物である。フェノキシ基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アリール基、アラルキル基、アシロキシ基及びアリールオキシ基等の置換基を有していてもよい。
この化合物は、より好ましくは、フェノキシ基と窒素原子との間に、少なくとも1つのオキシアルキレン鎖を有している。1分子中のオキシアルキレン鎖の数は、好ましくは3〜9個、更に好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン鎖の中でも−CH2CH2O−が特に好ましい。
具体例としては、2−[2−{2―(2,2―ジメトキシ−フェノキシエトキシ)エチル}−ビス−(2−メトキシエチル)]−アミン、及び、US2007/0224539A1号明細書の段落[0066]に例示されている化合物(C1−1)〜(C3−3)が挙げられる。
フェノキシ基を有するアミン化合物は、例えば、フェノキシ基を有する1級又は2級アミンとハロアルキルエーテルとを加熱して反応させ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びテトラアルキルアンモニウム等の強塩基の水溶液を添加した後、酢酸エチル及びクロロホルム等の有機溶剤で抽出することにより得られる。また、フェノキシ基を有するアミン化合物は、1級又は2級アミンと、末端にフェノキシ基を有するハロアルキルエーテルとを加熱して反応させ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びテトラアルキルアンモニウム等の強塩基の水溶液を添加した後、酢酸エチル及びクロロホルム等の有機溶剤で抽出することによって得ることもできる。
(4)アンモニウム塩
塩基性化合物として、アンモニウム塩も適宜用いることができ、第四級アンモニウム塩が好ましい。
アンモニウム塩のカチオンとしては、炭素数1〜18のアルキル基が置換したテトラアルキルアンモニウムカチオンが好ましく、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラ(n−プロピル)アンモニウムカチオン、テトラ(i−プロピル)アンモニウムカチオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムカチオン、テトラ(n−ヘプチル)アンモニウムカチオン、テトラ(n−オクチル)アンモニウムカチオン、ジメチルヘキサデシルアンモニウムカチオン、ベンジルトリメチルカチオン等がより好ましく、テトラ(n−ブチル)アンモニウムカチオンがもっとも好ましい。
アンモニウム塩のアニオンとしては、例えば、ヒドロキシド、カルボキシレート、ハライド、スルホネート、ボレート及びフォスフェートが挙げられる。これらのうち、ヒドロキシド又はカルボキシレートが特に好ましい。
ハライドとしては、クロライド、ブロマイド及びアイオダイドが特に好ましい。
スルホネートとしては、炭素数1〜20の有機スルホネートが特に好ましい。有機スルホネートとしては、例えば、炭素数1〜20のアルキルスルホネート及びアリールスルホネートが挙げられる。
アルキルスルホネートに含まれるアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アルコキシ基、アシル基及びアリール基が挙げられる。アルキルスルホネートとして、具体的には、メタンスルホネート、エタンスルホネート、ブタンスルホネート、ヘキサンスルホネート、オクタンスルホネート、ベンジルスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート及びノナフルオロブタンスルホネートが挙げられる。
アリールスルホネートに含まれるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基及びアントリル基が挙げられる。これらアリール基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基及び炭素数3〜6のシクロアルキル基が好ましい。具体的には、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル及びシクロヘキシル基が好ましい。他の置換基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アシル基及びアシロキシ基が挙げられる。
カルボキシレートとしては、脂肪族カルボキシレートでも芳香族カルボキシレートでもよく、アセテート、ラクテート、ビルベート、トリフルオロアセテート、アダマンタンカルボキシレート、ヒドロキシアダマンタンカルボキシレート、ベンゾエート、ナフトエート、サリチレート、フタレート、フェノレート等が挙げられ、特にベンゾエート、ナフトエート、フェノレート等が好ましく、ベンゾエートが最も好ましい。
この場合、アンモニウム塩としては、テトラ(n−ブチル)アンモニウムベンゾエート、テトラ(n−ブチル)アンモニウムフェノレート等が好ましい。
ヒドロキシドの場合、このアンモニウム塩は、炭素数1〜8のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−(n−ブチル)アンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドであることが特に好ましい。
(5)プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する化合物(PA)
本発明に係る組成物は、塩基性化合物として、プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する化合物〔以下、化合物(PA)ともいう〕を更に含んでいてもよい。
プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する化合物(PA)としては、特開2012−32762号公報段落0379〜0425(対応する米国特許出願公開第2012/0003590号明細書の[0386]〜[0435])の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
本発明の組成物において、化合物(PA)の組成物全体中の配合率は、全固形分中0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは1〜8質量%である。
(6)グアニジン化合物
本発明の組成物は、グアニジン化合物を更に含有していてもよい。
グアニジン化合物としては、特開2012−32762号公報段落0374〜0378(対応する米国特許出願公開第2012/0003590号明細書の[0382]〜[0385])の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
(7)窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物
本発明の組成物は、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(以下において、「低分子化合物(D)」又は「化合物(D)」ともいう)を含有することができる。低分子化合物(D)は、酸の作用により脱離する基が脱離した後は、塩基性を有することが好ましい。
低分子化合物(D)としては、特開2012−133331号公報段落0324〜0337の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
本発明において、低分子化合物(D)は、一種単独でも又は2種以上を混合しても使用することができる。
本発明の組成物は、低分子化合物(D)を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、化合物(D)の含有量は、上述した塩基性化合物と合わせた組成物の全固形分を基準として、通常、0.001〜20質量%、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%である。
また、本発明の組成物が酸発生剤を含有する場合、酸発生剤と化合物(D)の組成物中の使用割合は、酸発生剤/[化合物(D)+下記塩基性化合物](モル比)=2.5〜300であることが好ましい。即ち、感度、解像度の点からモル比が2.5以上が好ましく、露光後加熱処理までの経時でのレジストパターンの太りによる解像度の低下抑制の点から300以下が好ましい。酸発生剤/[化合物(D)+上記塩基性化合物](モル比)は、より好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
その他、本発明に係る組成物に使用可能なものとして、特開2002−363146号公報の実施例で合成されている化合物、及び特開2007−298569号公報の段落0108に記載の化合物等が挙げられる。
塩基性化合物として、感光性の塩基性化合物を用いてもよい。感光性の塩基性化合物としては、例えば、特表2003−524799号公報、及び、J.Photopolym.Sci&Tech.Vol.8,P.543−553(1995)等に記載の化合物を用いることができる。
酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩としては、下記一般式(d1−1)〜(d1−3)で表される化合物であることが好ましい。
式中、R51は置換基を有していてもよい炭化水素基であり、Z2cは置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基(ただし、Sに隣接する炭素にはフッ素原子は置換されていないものとする)であり、R52は有機基であり、Y3は直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基又はアリーレン基であり、Rfはフッ素原子を含む炭化水素基であり、M+は各々独立に、スルホニウム又はヨードニウムカチオンである。
M+として表されるスルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンの好ましい例としては、一般式(ZI)で例示したスルホニウムカチオン及び一般式(ZII)で例示したヨードニウムカチオンを挙げることができる。
一般式(d1−1)で表される化合物のアニオン部の好ましい例としては、特開2012−242799号公報の段落〔0198〕に例示された構造を挙げることが出来る。
一般式(d1‐2)で表される化合物のアニオン部の好ましい例としては、特開2012−242799号公報の段落〔0201〕に例示された構造を挙げることが出来る。
一般式(d1‐3)で表される化合物のアニオン部の好ましい例としては、特開2012−242799号公報の段落〔0209〕及び〔0210〕に例示された構造を挙げることが出来る。
酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩は、(C)カチオン部位とアニオン部位を同一分子内に有し、かつ、該カチオン部位とアニオン部位が共有結合により連結している化合物(以下、「化合物(CA)」ともいう。)であってもよい。
化合物(CA)としては、下記一般式(C−1)〜(C−3)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
一般式(C−1)〜(C−3)中、
R1、R2、R3は、炭素数1以上の置換基を表す。
L1は、カチオン部位とアニオン部位を連結する2価の連結基又は単結合を表す。
−X−は、−COO−、−SO3 −、−SO2 −、−N−−R4から選択されるアニオン部位を表す。R4は、隣接するN原子との連結部位に、カルボニル基:−C(=O)−、スルホニル基:−S(=O)2−、スルフィニル基:−S(=O)−を有する1価の置換基を表す。
R1、R2、R3、R4、L1は互いに結合して環構造を形成してもよい。また、(C−3)において、R1〜R3のうち2つを合わせて、N原子と2重結合を形成してもよい。
R1〜R3における炭素数1以上の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、シクロアルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基などが挙げられる。好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基である。
2価の連結基としてのL1は、直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、及びこれらの2種以上を組み合わせてなる基等が挙げられる。L1は、より好ましくは、アルキレン基、アリーレン基、エーテル結合、エステル結合、及びこれらの2種以上を組み合わせてなる基である。
一般式(C−1)で表される化合物の好ましい例としては、特開2013−6827号公報の段落〔0037〕〜〔0039〕及び特開2013−8020号公報の段落〔0027〕〜〔0029〕に例示された化合物を挙げることが出来る。
一般式(C−2)で表される化合物の好ましい例としては、特開2012−189977号公報の段落〔0012〕〜〔0013〕に例示された化合物を挙げることが出来る。
一般式(C−3)で表される化合物の好ましい例としては、特開2012−252124号公報の段落〔0029〕〜〔0031〕に例示された化合物を挙げることが出来る。
酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩の含有量は、組成物の固形分基準で、0.5〜10.0質量%であることが好ましく、0.5〜8.0質量%であることがより好ましく、1.0〜8.0質量%であることがさらに好ましい。
塩基性化合物の分子量は、通常は100〜1500であり、好ましくは150〜1300であり、より好ましくは200〜1000である。
これらの塩基性化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る組成物が塩基性化合物を含んでいる場合、その含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.01〜10.0質量%であることが好ましく、0.1〜8.0質量%であることがより好ましく、0.2〜5.0質量%であることが特に好ましい。
塩基性化合物の光酸発生剤に対するモル比は、好ましくは0.01〜10とし、より好ましくは0.05〜5とし、更に好ましくは0.1〜3とする。このモル比を過度に大きくすると、感度及び/又は解像度が低下する場合がある。このモル比を過度に小さくすると、露光と加熱(ポストベーク)との間において、パターンの細りを生ずる可能性がある。より好ましくは0.05〜5、更に好ましくは0.1〜3である。なお、上記モル比における光酸発生剤とは、上記樹脂の一般式(5)により表される繰り返し単位と上記樹脂が更に含んでいてもよい光酸発生剤との合計の量を基準とするものである。
〔4〕界面活性剤
本発明の組成物は、更に界面活性剤を含有してもよい。含有する場合、界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤が好ましい。
これらに該当する界面活性剤としては、大日本インキ化学工業(株)製のメガファックF176、メガファックR08、OMNOVA社製のPF656、PF6320、トロイケミカル(株)製のトロイゾルS−366、住友スリーエム(株)製のフロラードFC430、信越化学工業(株)製のポリシロキサンポリマーKP−341などが挙げられる。
また、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類などが挙げられる。
その他、公知の界面活性剤が適宜使用可能である。使用可能な界面活性剤としては、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425A1号明細書の[0273]以降に記載の界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の添加量は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の全固形分量(溶剤を除く全量)に対して、好ましくは0〜2質量%、更に好ましくは0.0001〜2質量%、特に好ましくは0.0005〜0.5質量%である。
〔5〕疎水性樹脂
本発明の組成物は、疎水性樹脂を含有してもよい。
疎水性樹脂は感活性光線性又は感放射線性膜の表面に偏在するように設計されることが好ましいが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくてもよい。
疎水性樹脂を添加することの効果として、水に対する感活性光線性又は感放射線性膜表面の静的/動的な接触角の制御、アウトガスの抑制などを挙げることができる。
疎水性樹脂は、膜表層への偏在化の観点から、“フッ素原子”、“珪素原子”、及び、 “樹脂の側鎖部分に含有されたCH3部分構造”のいずれか1種以上を有することが好ましく、2種以上を有することがさらに好ましい。
疎水性樹脂が、フッ素原子及び/又は珪素原子を含む場合、疎水性樹脂に於ける上記フッ素原子及び/又は珪素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
疎水性樹脂がフッ素原子を含んでいる場合、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又は、フッ素原子を有するアリール基を有する樹脂であることが好ましい。
フッ素原子を有するアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4)は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐アルキル基であり、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環又は多環のシクロアルキル基であり、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子又は珪素原子を有する繰り返し単位の例としては、US2012/0251948A1の段落0519に例示されたものを挙げることが出来る。
また、上記したように、疎水性樹脂は、側鎖部分にCH3部分構造を含むことも好ましい。
ここで、疎水性樹脂中の側鎖部分が有するCH3部分構造(以下、単に「側鎖CH3部分構造」ともいう)には、エチル基、プロピル基等が有するCH3部分構造を包含するものである。
一方、疎水性樹脂の主鎖に直接結合しているメチル基(例えば、メタクリル酸構造を有する繰り返し単位のα−メチル基)は、主鎖の影響により疎水性樹脂の表面偏在化への寄与が小さいため、本発明におけるCH3部分構造に包含されないものとする。
より具体的には、疎水性樹脂が、例えば、下記一般式(M)で表される繰り返し単位などの、炭素−炭素二重結合を有する重合性部位を有するモノマーに由来する繰り返し単位を含む場合であって、R11〜R14がCH3「そのもの」である場合、そのCH3は、本発明における側鎖部分が有するCH3部分構造には包含されない。
一方、C−C主鎖から何らかの原子を介して存在するCH
3部分構造は、本発明におけるCH
3部分構造に該当するものとする。例えば、R
11がエチル基(CH
2CH
3)である場合、本発明におけるCH
3部分構造を「1つ」有するものとする。
上記一般式(M)中、
R11〜R14は、各々独立に、側鎖部分を表す。
側鎖部分のR11〜R14としては、水素原子、1価の有機基などが挙げられる。
R11〜R14についての1価の有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、シクロアルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基などが挙げられ、これらの基は、更に置換基を有していてもよい。
疎水性樹脂は、側鎖部分にCH3部分構造を有する繰り返し単位を有する樹脂であることが好ましく、このような繰り返し単位として、下記一般式(VII)で表される繰り返し単位、及び、下記一般式(VIII)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一種の繰り返し単位(x)を有していることがより好ましい。
以下、一般式(VII)で表される繰り返し単位について詳細に説明する。
上記一般式(VII)中、Xb1は水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表し、R2は1つ以上のCH3部分構造を有する、酸に対して安定な有機基を表す。ここで、酸に対して安定な有機基は、より具体的には、樹脂(A)において説明した“酸分解性基”を有さない有機基であることが好ましい。
Xb1のアルキル基は、炭素数1〜4のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基等が挙げられるが、メチル基であることが好ましい。
Xb1は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
R2としては、1つ以上のCH3部分構造を有する、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、及び、アラルキル基が挙げられる。上記のシクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、及び、アラルキル基は、更に、置換基としてアルキル基を有していてもよい。
R2は、1つ以上のCH3部分構造を有する、アルキル基又はアルキル置換シクロアルキル基が好ましい。
R2としての1つ以上のCH3部分構造を有する酸に安定な有機基は、CH3部分構造を2個以上10個以下有することが好ましく、2個以上8個以下有することがより好ましい。
一般式(VII)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を以下に挙げる。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
一般式(VII)で表される繰り返し単位は、酸に安定な(非酸分解性の)繰り返し単位であることが好ましく、具体的には、酸の作用により分解して、極性基を生じる基を有さない繰り返し単位であることが好ましい。
以下、一般式(VIII)で表される繰り返し単位について詳細に説明する。
上記一般式(VIII)中、Xb2は水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表し、R3は1つ以上のCH3部分構造を有する、酸に対して安定な有機基を表し、nは1から5の整数を表す。
Xb2のアルキル基は、炭素数1〜4のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基等が挙げられるが、水素原子である事が好ましい。
Xb2は、水素原子であることが好ましい。
R3は、酸に対して安定な有機基であるため、より具体的には、上記樹脂(A)において説明した“酸分解性基”を有さない有機基であることが好ましい。
R3としては、1つ以上のCH3部分構造を有する、アルキル基が挙げられる。
R3としての1つ以上のCH3部分構造を有する酸に安定な有機基は、CH3部分構造を1個以上10個以下有することが好ましく、1個以上8個以下有することがより好ましく、1個以上4個以下有することが更に好ましい。
nは1から5の整数を表し、1〜3の整数を表すことがより好ましく、1又は2を表すことが更に好ましい。
一般式(VIII)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を以下に挙げる。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
一般式(VIII)で表される繰り返し単位は、酸に安定な(非酸分解性の)繰り返し単位であることが好ましく、具体的には、酸の作用により分解して、極性基を生じる基を有さない繰り返し単位であることが好ましい。
疎水性樹脂が、側鎖部分にCH3部分構造を含む場合であり、更に、特にフッ素原子及び珪素原子を有さない場合、一般式(VII)で表される繰り返し単位、及び、一般式(VIII)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一種の繰り返し単位(x)の含有量は、疎水性樹脂の全繰り返し単位に対して、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい。含有量は、疎水性樹脂の全繰り返し単位に対して、通常、100モル%以下である。
疎水性樹脂が、一般式(VII)で表される繰り返し単位、及び、一般式(VIII)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一種の繰り返し単位(x)を、疎水性樹脂の全繰り返し単位に対し、90モル%以上で含有することにより、疎水性樹脂の表面自由エネルギーが増加する。その結果として、疎水性樹脂が感活性光線性又は感放射線性膜の表面に偏在しやすくなる。
また、疎水性樹脂は、(i)フッ素原子及び/又は珪素原子を含む場合においても、(ii)側鎖部分にCH3部分構造を含む場合においても、下記(x)〜(z)の群から選ばれる基を少なくとも1つを有していてもよい。
(x)酸基、
(y)ラクトン構造を有する基、酸無水物基、又は酸イミド基、
(z)酸の作用により分解する基
酸基(x)としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
好ましい酸基としては、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホンイミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基が挙げられる。
酸基(x)を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に、直接、酸基が結合している繰り返し単位、或いは、連結基を介して樹脂の主鎖に酸基が結合している繰り返し単位などが挙げられ、更には酸基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入することもでき、いずれの場合も好ましい。酸基(x)を有する繰り返し単位が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有していてもよい。
酸基(x)を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、1〜50モル%が好ましく、より好ましくは3〜35モル%、更に好ましくは5〜20モル%である。
酸基(x)を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。式中、Rxは水素原子、CH
3、CF
3、又は、CH
2OHを表す。
ラクトン構造を有する基、酸無水物基、又は酸イミド基(y)としては、ラクトン構造を有する基が特に好ましい。
これらの基を含んだ繰り返し単位は、例えば、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルによる繰り返し単位等の、樹脂の主鎖に直接この基が結合している繰り返し単位である。或いは、この繰り返し単位は、この基が連結基を介して樹脂の主鎖に結合している繰り返し単位であってもよい。或いは、この繰り返し単位は、この基を有する重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。
ラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位としては、例えば、先に樹脂(A)の項で説明したラクトン構造を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。
ラクトン構造を有する基、酸無水物基、又は酸イミド基を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位を基準として、1〜100モル%であることが好ましく、3〜98モル%であることがより好ましく、5〜95モル%であることが更に好ましい。
疎水性樹脂に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位は、樹脂(A)で挙げた酸分解性基を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有していてもよい。疎水性樹脂に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、1〜80モル%が好ましく、より好ましくは10〜80モル%、更に好ましくは20〜60モル%である。
疎水性樹脂がフッ素原子を有する場合、フッ素原子の含有量は、疎水性樹脂の質量平均分子量に対し、5〜80質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。また、フッ素原子を含む繰り返し単位は、疎水性樹脂に含まれる全繰り返し単位中10〜100モル%であることが好ましく、30〜100モル%であることがより好ましい。
疎水性樹脂が珪素原子を有する場合、珪素原子の含有量は、疎水性樹脂の質量平均分子量に対し、2〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。また、珪素原子を含む繰り返し単位は、疎水性樹脂に含まれる全繰り返し単位中、10〜100モル%であることが好ましく、20〜100モル%であることがより好ましい。
一方、特に疎水性樹脂が側鎖部分にCH3部分構造を含む場合においては、疎水性樹脂が、フッ素原子及び珪素原子を実質的に含有しない形態も好ましく、この場合、具体的には、フッ素原子又は珪素原子を有する繰り返し単位の含有量が、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対して5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、1モル%以下であることが更に好ましく、理想的には0モル%、すなわち、フッ素原子及び珪素原子を含有しない。また、疎水性樹脂は、炭素原子、酸素原子、水素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる原子のみによって構成された繰り返し単位のみで実質的に構成されることが好ましい。より具体的には、炭素原子、酸素原子、水素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる原子のみによって構成された繰り返し単位が、疎水性樹脂の全繰り返し単位中95モル%以上であることが好ましく、97モル%以上であることがより好ましく、99モル%以上であることが更に好ましく、理想的には100モル%である。
疎水性樹脂の標準ポリスチレン換算の質量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000で、より好ましくは1,000〜50,000、更により好ましくは2,000〜15,000である。
また、疎水性樹脂は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
疎水性樹脂の組成物中の含有率は、本発明の組成物中の全固形分に対し、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜8質量%がより好ましく、0.1〜7質量%が更に好ましい。
疎水性樹脂は、金属等の不純物が少ないのは当然のことながら、残留単量体やオリゴマー成分が0.01〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜3質量%、0.05〜1質量%が更により好ましい。それにより、液中異物や感度等の経時変化のない組成物が得られる。また、解像度、レジスト形状、レジストパターンの側壁、ラフネスなどの点から、分子量分布(Mw/Mn、分散度ともいう)は、1〜5の範囲が好ましく、より好ましくは1〜3、更に好ましくは1〜2の範囲である。
疎水性樹脂は、各種市販品を利用することもできるし、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。
反応溶媒、重合開始剤、反応条件(温度、濃度等)、及び、反応後の精製方法は、樹脂(A)で説明した内容と同様であるが、疎水性樹脂の合成においては、反応の濃度が30〜50質量%であることが好ましい。
〔6〕一価のヨウ素原子を有する化合物
本発明の組成物は、一価のヨウ素原子を有する化合物(AD)を含有してもよい。組成物が化合物(AD)を含有することにより、感度が向上する。化合物(AD)としては、例えば、(AD1)一価のヨウ素原子を有する樹脂(以下「樹脂(AD1)」ともいう)、及び、(AD2)一価のヨウ素原子を有する低分子化合物(以下「低分子化合物(AD2)」ともいう)が好適に挙げられる。上述した樹脂(A)が、樹脂(AD1)を兼ねてもよい。
<(AD1)一価のヨウ素原子を有する樹脂>
組成物が含有する一価のヨウ素原子を有する樹脂(AD1)としては、例えば、後述する一価のヨウ素原子を有する繰り返し単位(s)を有する樹脂が好適に挙げられる。
樹脂(AD1)における上記繰り返し単位(s)の含有量(複数種類含有する場合はその合計)は、樹脂(AD1)中の全繰り返し単位に対して5〜100モル%が好ましく、10〜100モル%がより好ましく、20〜100モル%が更に好ましい。
また、樹脂(AD1)は、樹脂(A)が有してもよい繰り返し単位として記載したものと同様の繰り返し単位を有してもよく、樹脂(AD1)におけるこれら繰り返し単位の含有量も、樹脂(A)と同様である。
組成物において、樹脂(AD1)は、1種類単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用できる。樹脂(AD1)の含有率は、組成物中の全固形分を基準にして、0.1〜50質量%が好ましく、0.1〜30質量%がより好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。
<(AD2)一価のヨウ素原子を有する低分子化合物>
一価のヨウ素原子を有する低分子化合物(AD2)としては、例えば、一価のヨウ素原子を有する分子量3000未満の化合物が挙げられ、分子量2000未満の化合物が好ましく、分子量1500未満の化合物がより好ましく、分子量1000未満の化合物が更に好ましい。一価のヨウ素原子を有する低分子化合物(AD2)としては、例えば、下記一般式(2′)で表される化合物が挙げられる。
一般式(2′)中、
Ar2は、n価の芳香環基を表す。
RIは、ヨウ素原子又は少なくとも一つのヨウ素原子を含む有機基を表す。
nは、1以上の整数を表す。
Ar1が表す芳香環基は、n価の芳香環基である。
nが1である場合における1価の芳香環基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基、スチルベニル基などの炭素数6〜18のアリール基、または、例えば、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール、トリフェニルアミン等のヘテロ環を含む芳香環基を好ましい例として挙げることができる。
nが2以上の整数である場合におけるn価の芳香環基の具体例としては、1価の芳香環基の上記した具体例から、(n−1)個の任意の水素原子を除してなる基を好適に挙げることができる。
n価の芳香環基は、更に置換基を有していてもよい。
n価の芳香環基が有し得る置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(ヨウ素原子を除く)、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができ、置換基の炭素数は8以下が好ましい。
RIが表す少なくとも一つのヨウ素原子を含む有機基としては、例えば、2−ヨードエチル基、3−ヨードプロピル基などのヨードアルキル基が挙げられる。
RIとしては、ヨウ素原子であるのが好ましい。
nは、1以上の整数を表す。nが表す整数の上限値は、Ar2が表す芳香環基における置換可能な水素原子の個数に等しい。
nとしては、2以上の整数が好ましく、3以上の整数がより好ましい。
以下に、低分子化合物(AD2)の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
組成物において、低分子化合物(AD2)は、1種類単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
組成物における低分子化合物(AD2)の含有率は、組成物中の全固形分を基準にして、0.1〜50質量%が好ましく、0.1〜30質量%がより好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。
次に、樹脂(AD1)が含有しうる一価のヨウ素原子を有する繰り返し単位(s)について説明する。
繰り返し単位(s)は、より詳細には、活性光線又は放射線の照射によって脱離しない一価のヨウ素原子を有する部分構造を有する繰り返し単位である。すなわち、繰り返し単位(s)は、一価のヨウ素原子を有する部分構造(以下「部分構造(s1)」ともいう)を有するが、この部分構造(s1)は、活性光線又は放射線の照射によっても、繰り返し単位(s)から脱離しない部分構造である。活性光線又は放射線の照射によっても一価のヨウ素原子を有する部分構造(s1)が脱離しないため、光吸収の効果が低減せず高感度が得られると考えられる。
ここで、活性光線又は放射線の照射によって分解する部分構造について説明する。
一価のヨウ素原子を有する繰り返し単位(s)において、一価のヨウ素原子を有する部分構造(s1)は、活性光線又は放射線の照射によって分解する部分構造に含まれないことが好ましい。
活性光線又は放射線の照射によって分解する部分構造としては、例えば、下記一般式(I)〜(III)で表される部分構造が挙げられる。なお、活性光線又は放射線の照射により、一般式(I)ではS原子−S原子結合が開裂し、一般式(II)ではO原子−N原子結合が開裂し、一般式(III)ではO原子−N原子結合が開裂する。
一般式(I)〜(III)中、
Ar3及びAr4は、各々独立に、置換若しくは未置換のアリール基を表す。
R206、R207及びR208は、置換若しくは未置換のアルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を表す。
Aは、置換若しくは未置換のアルキレン基、置換若しくは未置換のアルケニレン基又は置換若しくは未置換のアリーレン基を表す。
なお、一価のヨウ素原子を有する繰り返し単位(s)は、酸分解性基を有する繰り返し単位であってもよい。すなわち、繰り返し単位(s)において、一価のヨウ素原子を有する部分構造(s1)が、酸の作用により分解して極性基を生じる部分構造であることは排除されない。
この場合、樹脂(AD1)は、繰り返し単位(s)のみを有していればよく、上述した酸分解性基を有する繰り返し単位(a)を有していなくてもよい。換言すれば、この場合の樹脂(AD1)においては、「活性光線又は放射線の照射によって脱離しない一価のヨウ素原子を有する部分構造を有する繰り返し単位」が「酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位」を兼ねる。
このような繰り返し単位(s)としては、例えば、下記一般式(1′)で表される繰り返し単位が好ましく挙げられる。
一般式(1′)中、
R11、R12及びR13は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。R13はAr1と結合して環を形成していてもよく、その場合のR13はアルキレン基を表す。
X1は、単結合、アルキレン基、芳香環基、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−SO2NH−、−SO2O−、−NR−(Rは水素原子又はアルキル基)、2価の窒素含有非芳香族複素環基、又はこれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。
Ar1は、芳香環基を表す。
RIは、ヨウ素原子又は少なくとも一つのヨウ素原子を含む有機基を表す。
nは、1以上の整数を表す。
一般式(1′)において、R11〜R13が表すアルキル基としては、好ましくは置換基を有していてもよいメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基、特に好ましくは炭素数3以下のアルキル基が挙げられる。
アルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R11〜R13におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
シクロアルキル基としては、単環型でも、多環型でもよい。好ましくは置換基を有していてもよいシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの炭素数3〜10個で単環型のシクロアルキル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、ヨウ素原子を除くハロゲン原子が挙げられる。
R13がAr1と結合して環を形成する場合、アルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の炭素数1〜8のアルキレン基が挙げられ、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜2のアルキレン基がより好ましい。
X1が表すアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の炭素数1〜8のアルキレン基が挙げられ、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜2のアルキレン基がより好ましい。
X1が表す芳香環基は2価の芳香環基であり、例えば、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,4−ナフチレン基などが挙げられ、1,4−フェニレン基が好ましい。
X1が表す−NR−におけるRが示すアルキル基としては、例えば、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などの炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、炭素数8以下のアルキル基が好ましい。
X1が表す2価の窒素含有非芳香族複素環基としては、例えば、ピロール、ピロリジン、ピペリジン等の複素環から2個の任意の水素原子を除してなる基が好適に挙げられる。
これらのうち、X1としては、単結合、−COO−、−NR−、これらの基の組み合わせからなる2価の連結基が好ましく、−COO−がより好ましい。
Ar1が表す芳香環基は、(n+1)価の芳香環基である。
nが1である場合における2価の芳香環基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基などの炭素数6〜18のアリーレン基、または、例えば、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール等のヘテロ環を含む芳香環基を好ましい例として挙げることができる。
nが2以上の整数である場合における(n+1)価の芳香環基の具体例としては、2価の芳香環基の上記した具体例から、(n−1)個の任意の水素原子を除してなる基を好適に挙げることができる。
(n+1)価の芳香環基は、更に置換基を有していてもよい。
(n+1)価の芳香環基が有し得る置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(ヨウ素原子を除く)、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができ、置換基の炭素数は8以下が好ましい。
Ar1が表す芳香環基としては、フェニレン基、ナフチレン基、これらの基から(n−1)個の任意の水素原子を除してなる基が好ましい。
RIが表す少なくとも一つのヨウ素原子を含む有機基としては、例えば、2−ヨードエチル基、3−ヨードプロピル基などのヨードアルキル基が挙げられる。
RIとしては、ヨウ素原子であるのが好ましい。
nは、1以上の整数を表す。nが表す整数の上限値は、Ar1が表す芳香環基における置換可能な水素原子の個数に等しい。
nとしては、より高感度となり、また、高解像性になるという理由から、2以上の整数が好ましく、3以上の整数がより好ましい。
以下に、一価のヨウ素原子を有する繰り返し単位(s)の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
樹脂(AD1)において、上記繰り返し単位(s)は、1種類だけが使用されてもよく、2種以上が使用されてもよい。
樹脂(AD1)における上記繰り返し単位(s)の含有量(複数種類含有する場合はその合計)は、樹脂(AD1)中の全繰り返し単位に対して0.1〜80モル%が好ましく、0.1〜50モル%がより好ましく、1〜30モル%が更に好ましい。
〔7〕レジスト溶剤
組成物を調製する際に使用できる溶剤としては、各成分を溶解するものである限り特に限定されないが、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)など)、アルキレングリコールモノアルキルエーテル(プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME;1−メトキシ−2−プロパノール)など)、乳酸アルキルエステル(乳酸エチル、乳酸メチルなど)、環状ラクトン(γ−ブチロラクトンなど、好ましくは炭素数4〜10)、鎖状又は環状のケトン(2−ヘプタノン、シクロヘキサノンなど、好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、カルボン酸アルキル(酢酸ブチルなどの酢酸アルキルが好ましい)、アルコキシ酢酸アルキル(エトキシプロピオン酸エチル)などが挙げられる。その他使用可能な溶媒として、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425A1号明細書の[0244]以降に記載されている溶剤などが挙げられる。
上記のうち、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
これら溶媒は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合する場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合することが好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。
水酸基を有する溶剤としてはアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましく、水酸基を有しない溶剤としてはアルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートが好ましい。
本発明の組成物全量中における溶媒の使用量は、所望の膜厚等に応じて適宜調整可能であるが、一般的には組成物の全固形分濃度が0.5〜5質量%、好ましくは0.8〜3質量%、より好ましくは0.8〜2質量%、更に好ましくは0.8〜1.5質量%となるように調整される。
〔8〕その他添加剤
本発明の組成物は、上記に説明した成分以外にも、カルボン酸オニウム塩、Proceeding of SPIE,2724,355(1996)等に記載の分子量3000以下の溶解阻止化合物、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、酸化防止剤などを適宜含有することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。 <合成例1:高分子化合物(P1)の合成>
ポリヒドロキシスチレン化合物としてのポリ(p−ヒドロキシスチレン)(VP−2500,日本曹達株式会社製)30gをPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)120gに溶解した。この溶液に、ビニルエーテル化合物として2−シクロヘキシルエチルビニルエーテル10.40g及び1.45gの2質量%カンファースルホン酸(PGMEA溶液)を加え、室温で2時間撹拌した。1.05gの10質量%トリエチルアミン(PGMEA溶液)を加え、しばらく撹拌した後、反応液を酢酸エチル165mLの入った分液ロートに移した。この有機層を蒸留水200mLで3回洗浄後、エバポレーターで酢酸エチルを除去した。得られた反応液を2Lのヘキサン中に滴下し、上澄みを除去した。得られた生成物をPGMEA95gに溶解し、減圧条件で低沸点溶媒を除去することで、高分子化合物(P1)のPGMEA溶液(28.3質量%)が132.3g得られた。
この高分子化合物(P1)について、1H−NMR及び13C−NMRを用いて、各繰り返し単位のモル比を求めた。また、GPC(溶媒:THF)を用いて、ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)を求めた。その結果を、下記表1に示す。同表中、「組成比」の列には、各繰り返し単位のモル比(左から順に対応)を記載している。
<合成例2:高分子化合物(P2)の合成>
25.5gのp−ヒドロキシスチレン(53.1質量%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)と、16.0gの下記式(X)で表される化合物と、2.42gの重合開始剤V−601(和光純薬工業(株)製)とを、31.4gのプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に溶解させた。反応容器中に10.8gのPGMEを入れ、窒素ガス雰囲気下、85℃の系中に2時間かけて滴下した。反応溶液を4時間に亘って加熱撹拌した後、これを室温まで放冷した。
上記反応溶液を、33gのアセトンを加えることにより希釈した。希釈した溶液を1000gのヘプタン/酢酸エチル(質量比)=8/2中に滴下し、ポリマーを沈殿させ、ろ過した。その後、固体を減圧乾燥に供して、36.32gの高分子化合物(P2)を得た。
表1中、高分子化合物(P1)或いは(P2)と同様の方法を用いて、他の高分子化合物(P3)〜(P−10)を合成した。
Polymer−X1は、p−アセトキシスチレンとt−ブチルメタクリレートを用い、既知のラジカル重合方法により合成した。
[組成物1〜11]
下記表2に示す各成分を、同表に示す溶剤に溶解させた。これを0.1μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターを用いてろ過した。
以下に、表2中に略記した高分子化合物(A)以外の各成分の詳細を示す。 <酸発生剤(B)>
<塩基性化合物>TBAH:テトラブチルアンモニウムヒドロキシドDBN:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エンTDA:トリ−n−デシルアミン<界面活性剤>W−1:メガファックF176(DIC(株)製)W−2:PF6320(OMNOVA社製)<溶剤>PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートPGME:プロピレングリコールモノメチルエーテルEL:乳酸エチル
<EB露光:実施例1〜9、比較例1〜3>
表2に記載の組成物1〜11を用い、以下の操作により、レジストパターンを形成した。レジストパターン形成条件の詳細は表3に示す。
〔レジスト塗布及びプレベーク(PB)〕
調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコータを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布した。次いで、ホットプレートを用いて、120℃で90秒間、加熱乾燥を行った。
〔露光〕
レジスト膜に対して、電子線照射装置((株)JEOL製 JBX6000;加速電圧50keV)を用いて、2.5nm刻みで線幅20nmのラインパターン(長さ方向0.5mm、描画本数40本)を、照射量を変えて露光した。
〔ポストエクスポージャーベーク(PEB)〕
露光後ただちに、110℃で90秒間、ホットプレート上にて加熱した。
〔現像〕
1.シャワー現像
シャワー型現像装置(ACTES(株)製ADE3000S)を用いて、50回転(rpm)でウエハーを回転しながら表3に記載のアルカリ現像液(23℃)を、200mL/minの流量で、表3に記載の時間スプレー吐出して現像を行った。
その後、50回転(rpm)でウエハーを回転しながらリンス液(23℃)として純水を用い、200mL/minの流量で、30秒間スプレー吐出してリンス処理を行った。
最後に、2500回転(rpm)で60秒間高速回転してウエハーを乾燥させた。
2.パドル現像
シャワー型現像装置(ACTES(株)製ADE3000S)を用いて、50回転(rpm)でウエハーを回転しながら表3に記載のアルカリ現像液(23℃)を、200mL/minの流量で、5秒間スプレー吐出して、ウエハー上に現像液を液盛りした。ついで、ウエハーの回転を止め、表3に記載の時間ウエハーを静置して現像を行った。
その後、50回転(rpm)でウエハーを回転しながらリンス液(23℃)として純水を用い、200mL/minの流量で、30秒間スプレー吐出してリンス処理を行った。
表3中、その他添加剤の欄に記載される添加量は、アルカリ現像液の全質量に対する質量%で表記した値である。
以下の項目について、レジストパターンの評価を行った。結果の詳細は表4に示す。
〔ラインエッジラフネス(LER)〕
線幅20nmのラインパターンの長さ方向1μmにおける任意の30点について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9380II)を用いてエッジがあるべき基準線からの距離を測定し、標準偏差を求め、3σを算出した。この値が小さい程、ラインエッジラフネスが良好である。
〔CDU〕
線幅20nmのラインアンドスペースパターンを、2mm間隔で50箇所の寸法を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9380II)を用いて測定し、50箇所の標準偏差を求め、3σとして算出した。この値が小さいほど線幅の均一性が良く、良好な性能であることを示す。
〔EL〕
線幅20nmのラインアンドスペースを形成する露光量を最適露光量として、20nm±10%の線幅を再現する露光量幅を最適露光量値で割った値を百分率(%)で表した。この値が大きい程、露光量変化に対して線幅変動が少なく(裕度が大きく)、性能が良好である。
表4に示す結果から、本発明に係るレジストパターン形成方法は、良好なCDU、小さいラインエッジラフネス(LER)、及び、広い露光余裕度(EL)を同時に満足できることが分かる。 <EUV露光:実施例10〜18、比較例4〜6>
EUV光(波長13nm)を用いて、線幅24nmの1:1ラインアンドスペースのマスクパターンを用いて露光を行った以外は、上記EB露光と同様の操作によりレジストパターンを形成、評価した。パターン形成条件を表5に示し、パターン評価結果を表6に示す。
表6示す結果から、本発明に係るレジストパターン形成方法は、EUV光(波長13nm)を用いた場合においても、良好なCDU、小さいラインエッジラフネス(LER)、及び、広い露光余裕度(EL)を同時に満足できることが分かる。