JPWO2015159679A1 - 偏光板、偏光板の製造方法、液晶表示装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置 - Google Patents

偏光板、偏光板の製造方法、液晶表示装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置 Download PDF

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Abstract

本発明の課題は、斜め延伸された光学フィルムを備える偏光板であって、物理的なゆがみの発生が抑制された偏光板を提供することである。当該偏光板は、偏光子21と、偏光子21の一方の面に対向して設けられる第1の光学フィルム22と、偏光子21の他方の面に対向して設けられる第2の光学フィルム24と、を備える偏光板12であって、第1の光学フィルム22の遅相軸と偏光子21の吸収軸との交差角度θが30〜60°の範囲内であり、第1の光学フィルム22の遅相軸方向の寸法変化率L(θ)と、遅相軸に直交する方向の寸法変化率L(θ+90)とが下記式(1)及び(2)を満たすように調整されたことを特徴とする。式(1): 0.50≦L(θ)/L(θ+90)≦0.95式(2): 0.1(%)≦L(θ)≦1.5(%)

Description

本発明は、偏光板、偏光板の製造方法、液晶表示装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関する。特に、斜め延伸された光学フィルムを備える偏光板であって、物理的なゆがみの発生が抑制された偏光板、そのような偏光板の製造方法、また、当該偏光板を備えた液晶表示装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関する。
近年、液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスを利用した薄型ディスプレイ市場が急速に伸長している。特に、スマートフォンやタブレットと呼ばれる中小型モバイル機器市場の伸長が著しい。
そのような薄型ディスプレイには、偏光板が搭載されている。偏光板は、一般に、偏光子が2枚の光学フィルムで挟まれた構造をとっている。
偏光板の製造方法としては、例えば、幅手方向に対して斜めの方向に延伸された光学フィルムを用いて、ロールtoロール方式で偏光子と貼り合わせて円偏光板を製造する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。光学フィルムは幅方向に対して所定の角度で斜め方向に延伸(以下、「斜め延伸」ともいう。)されていることで、所望の位相差が付与されている。このような光学フィルムとしては、ポリカーボネートやシクロオレフィン樹脂が好ましく用いられているが、セルロースエステル樹脂を用いることも提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、上記したような斜め延伸光学フィルムを偏光子上に積層して偏光板を作製した場合、当該偏光板の使用環境によっては偏光板に物理的なゆがみが生じる場合があった。偏光板に物理的なゆがみが生じると、当該偏光板が搭載された表示装置等にも物理的なゆがみが生じてしまうため、好ましくない。
特開2006−224618号公報 特開2008−83307号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、斜め延伸された光学フィルムを備える偏光板であって、物理的なゆがみの発生が抑制された偏光板、そのような偏光板の製造方法、また、当該偏光板を備えた液晶表示装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置を提供することである。
本発明に係る上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、偏光子と、前記偏光子の一方の面に配置される第1の光学フィルムと、前記偏光子の他方の面に配置される第2の光学フィルムと、を備える偏光板であって、第1の光学フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸の交差角度θが30〜60°の範囲内であり、第1の光学フィルムの遅相軸方向の寸法変化率L(θ)と、遅相軸に直交する方向の寸法変化率L(θ+90)とが所定の数値範囲を満たすように調整されたことで、物理的なゆがみの発生が抑制された偏光板を提供できることを見いだした。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。
1.偏光子と、前記偏光子の一方の面に対向して設けられる第1の光学フィルムと、前記偏光子の他方の面に対向して設けられる第2の光学フィルムと、を備える偏光板であって、
前記第1の光学フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸との交差角度θが30〜60°の範囲内であり、
前記第1の光学フィルムの遅相軸方向の寸法変化率L(θ)と、遅相軸に直交する方向の寸法変化率L(θ+90)とが下記式(1)及び(2)を満たすように調整されたことを特徴とする偏光板。
式(1): 0.50≦L(θ)/L(θ+90)≦0.95
式(2): 0.1(%)≦L(θ)≦1.5(%)
2.前記第1の光学フィルムの長手方向の寸法変化率L(MD)と、幅手方向の寸法変化率L(TD)とが下記式(3)を満たすことを特徴とする第1項に記載の偏光板。
式(3): 0.50≦L(MD)/L(TD)<1.00
3.前記第1の光学フィルムが、セルロース骨格を有するポリマーを含有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の偏光板。
4.前記第1の光学フィルムの波長550nmにおける面内方向のリターデーション値Ro(550)が、75〜150nmの範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の偏光板。
5.前記第1の光学フィルムが、セルロースアセテートプロピオネートを含有することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の偏光板。
6.前記第2の光学フィルムの遅相軸と前記偏光子の吸収軸とが平行又は直交することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の偏光板。
7.前記第2の光学フィルムが、セルロースアセテート又はセルロースアセテートプロピオネートを含有することを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の偏光板。
8.前記第1の光学フィルム及び前記第2の光学フィルムのうち視認側に配置される光学フィルムの視認側の面に、ハードコート層又はアンチグレア層が設けられていることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の偏光板。
9.第1項から第8項までのいずれか一項に記載の偏光板を製造する製造方法であって、
前記偏光子、前記第1の光学フィルム及び前記第2の光学フィルムを、ロールtoロール方式で貼合する貼合工程を有することを特徴とする偏光板の製造方法。
10.ドープを支持体上に流延して流延膜を形成する流延工程と、
残留溶媒量が1〜20質量%の前記流延膜を、前記幅手方向に1.01〜1.3倍の延伸倍率で延伸する横延伸工程と、
前記流延膜を、前記幅手方向に対して斜め方向に延伸する斜め延伸工程と、
前記流延膜に対して下記(i)又は(ii)の加熱処理を行うことで前記第1の光学フィルムを得る加熱処理工程と、を更に有し、
前記加熱処理工程の後に、前記貼合工程を行うことを特徴とする第9項に記載の偏光板の製造方法。
(i)前記流延膜の端部に対して180〜220℃の範囲内でエンボス加工を施した後に、ロール状に巻き取った状態で、60〜80℃、20%RH以下の条件で3〜5日間加熱処理する。
(ii)搬送ローラーにより前記流延膜を張力120〜150Nで搬送しながら、前記搬送ローラーを介して前記流延膜を140〜170℃で40〜600秒間加熱処理する。
11.第1項から第8項までのいずれか一項に記載の偏光板を備えていることを特徴とする液晶表示装置。
12.第1項から第8項までのいずれか一項に記載の偏光板を備えていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
本発明によれば、斜め延伸された光学フィルムを備える偏光板であって、物理的なゆがみの発生が抑制された偏光板、そのような偏光板の製造方法、また、当該偏光板を備えた液晶表示装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
一般に、光学フィルムは、使用される環境下、例えば高湿環境下において、吸湿してしまうことで寸法が変化する場合がある。ここで、斜め延伸光学フィルムの場合、幅手方向又は長手方向の寸法変化率と、斜め方向の寸法変化率とが異なっており、具体的には、延伸方向の寸法変化率よりも、延伸していない方向(幅手方向又は長手方向)の寸法変化率が大きくなっている。このような特性は、延伸方向の寸法変化率が一定以上である光学フィルムにおいて見られる傾向であり、特に、高倍率で斜め延伸が行われた場合に顕著となる。このような、光学フィルムの面方向における寸法変化率の差異に起因して、偏光板に物理的なゆがみが生じてしまうものと考えられる。
したがって、第1の光学フィルムの遅相軸方向の寸法変化率と遅相軸に直交する方向の寸法変化率とが上記式(1)及び(2)を満たすようにすることによって、第1の光学フィルムの面方向における寸法変化率の差を小さくすることができ、偏光板に発生する応力を低減させることで物理的なゆがみを抑制できたものと考えている。
本発明の偏光板に用いられる第1の光学フィルムの製造装置の概略構成を模式的に示す平面図 図1に示す製造装置の延伸部のレールパターンの一例を模式的に示す平面図 本発明の液晶表示装置の概略構成を示す断面図 本発明の有機EL表示装置の概略構成を示す断面図
本発明の偏光板は、偏光子と、前記偏光子の一方の面に対向して設けられる第1の光学フィルムと、前記偏光子の他方の面に対向して設けられる第2の光学フィルムと、を備える偏光板であって、前記第1の光学フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸との交差角度θが30〜60°の範囲内であり、前記第1の光学フィルムの遅相軸方向の寸法変化率L(θ)と、遅相軸に直交する方向の寸法変化率L(θ+90)とが前記式(1)及び(2)を満たすように調整されたことを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項12までの各請求項に共通する又は対応する技術的特徴である。
また、本発明においては、前記第1の光学フィルムの長手方向の寸法変化率L(MD)と、幅手方向の寸法変化率L(TD)とが前記式(3)を満たすことが好ましい。これにより、表面故障や平面性故障の発生が抑制された偏光板とすることができる。
また、本発明においては、前記第1の光学フィルムが、セルロース骨格を有するポリマーを含有することが好ましい。これにより、第1の光学フィルムの平面性を向上させることができ、これを用いた偏光板の平面性も向上させることができる。
また、本発明においては、前記第1の光学フィルムの波長550nmにおける面内方向のリターデーション値Ro(550)が、75〜150nmの範囲内であることが、当該偏光板を搭載した表示装置の視認性の観点から好ましい。
また、本発明においては、前記第1の光学フィルムが、セルロースアセテートプロピオネートを含有することが、偏光板の物理的なゆがみの発生を抑制する観点から好ましい。
また、本発明においては、前記第2の光学フィルムの遅相軸と前記偏光子の吸収軸とが平行又は直交することが、ロールtoロール方式で安価かつ平面性良く製造できる観点から好ましい。
また、本発明においては、前記第2の光学フィルムが、セルロースアセテート又はセルロースアセテートプロピオネートを含有することが、当該偏光板を搭載した表示装置の光学保障による視認性改善及び平面性確保の観点から好ましい。また、これらの樹脂は、膜厚あたりの位相差発現率が高く、視認性が良いフィルムとすることができる。
また、本発明においては、前記第1の光学フィルム及び前記第2の光学フィルムのうち視認側に配置される光学フィルムの視認側の面に、ハードコート層又はアンチグレア層が設けられていることが好ましい。ハードコート層が設けられている場合には、偏光板の表面を保護することができ、アンチグレア層が設けられている場合には、反射像の視認性を低下させて反射像の映り込みを抑制することができる。
また、本発明の偏光板の製造方法は、上記偏光板の製造方法であって、前記偏光子、前記第1の光学フィルム及び前記第2の光学フィルムを、ロールtoロール方式で貼合する貼合工程を有することを特徴とする。
また、本発明においては、ドープを支持体上に流延して流延膜を形成する流延工程と、残留溶媒量が1〜20質量%の前記流延膜を、前記幅手方向に1.01〜1.3倍の延伸倍率で延伸する横延伸工程と、前記流延膜を、前記幅手方向に対して斜め方向に延伸する斜め延伸工程と、前記流延膜に対して下記(i)又は(ii)の加熱処理を行うことで前記第1の光学フィルムを得る加熱処理工程と、を更に有し、前記加熱処理工程の後に、前記貼合工程を行うことが、上記偏光板を製造する上で好ましい。
(i)前記流延膜の端部に対して180〜220℃の範囲内でエンボス加工を施した後に、ロール状に巻き取った状態で、60〜80℃、20%RH以下の条件で3〜5日間加熱処理する。
(ii)搬送ローラーにより前記流延膜を張力120〜150Nで搬送しながら、前記搬送ローラーを介して前記流延膜を140〜170℃で40〜600秒間加熱処理する。
また、本発明の液晶表示装置は、上記偏光板を備えていることを特徴とする。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置は、上記偏光板を備えていることを特徴とする。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《偏光板》
本発明の偏光板は、偏光子と、当該偏光子の一方の面に対向して設けられる第1の光学フィルムと、偏光子の他方の面に対向して設けられる第2の光学フィルムと、を備えている。
なお、後述するように、第1の光学フィルム及び第2の光学フィルムのうち視認側に配置される光学フィルムの視認側の面に、ハードコート層又はアンチグレア層等の機能層が設けられているものとしても良い。また、偏光子と第1の光学フィルムとの間、偏光子と第2の光学フィルムとの間に、それぞれ接着層が設けられているものとしても良い。
以下、本発明の偏光板を構成する各要素について詳細に説明する。
[1]偏光子
偏光板の主たる構成要素である偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
偏光子としては、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものを用いることができる。偏光子の膜厚は偏光板の薄膜化の観点から、1〜30μmが好ましく、1〜20μmがより好ましく、1〜15μmがより一層好ましく、2〜15μmが更に好ましい。
また、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、ケン化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールも好ましく用いられる。中でも、熱水切断温度が66〜73℃であるエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましく用いられる。このエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムを用いた偏光子は、偏光性能及び耐久性能に優れている上に、色ムラが少なく、大型液晶表示装置に特に好ましく用いられる。
また、特開2011−100161号公報、特許第4691205号公報、特許4751481号公報、特許第4804589号公報に記載の方法で、塗布型偏光子を作製するものとしても良い。
[2]第1の光学フィルム
本発明に係る第1の光学フィルムは、偏光子の一方の面に対向して設けられている。第1の光学フィルムは斜め延伸されていることで、その遅相軸と偏光子の吸収軸との交差角度θが30〜60°の範囲内となっている。また、第1の光学フィルムは、その遅相軸方向の寸法変化率L(θ)と遅相軸に直交する方向の寸法変化率L(θ+90)とが下記式(1)及び(2)を満たすように調整されている。
式(1): 0.50≦L(θ)/L(θ+90)≦0.95
式(2): 0.1(%)≦L(θ)≦1.5(%)
本発明に係る光学フィルムは、フィルム面内の遅相軸が長手方向(幅手方向)に対して傾斜しているが、特にフィルム面内の遅相軸が長手方向(幅手方向)に対して、30〜60°方向の範囲内にあるため、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(又は、円偏光を直線偏光に)変換する円偏光板に好適に具備される。
実用的な円偏光板を製造するのに、本発明に係る光学フィルムはλ/4板であることが好ましい。λ/4板は所定の光の波長(通常、可視光領域)に対して、層の面内のリターデーション値Roが約1/4となるように設計されている。当該λ/4板は、波長590nmで測定したRo(590)が120〜160nmの範囲内である。
「可視光の波長の範囲においておおむね1/4のリターデーション」とは、波長400から700nmにおいて長波長ほどリターデーションが大きく、波長450nmで測定した下記式(A)で表されるリターデーション値であるRo(450)と波長590nmで測定したリターデーション値であるRo(590)が、1<Ro(590)/Ro(450)≦1.6を満たすことが好ましい。更には、1<Ro(590)/Ro(450)≦1.3を満たすことが好ましい。また、λ/4板として有効に機能するためには、Ro(450)が60〜125nmの範囲内であることが好ましく、波長550nmで測定したリターデーション値であるRo(550)が75〜150nmの範囲内であることが好ましく、特に125〜142nmの範囲内であることが好ましく、Ro(590)が130〜152nmの範囲内であることが好ましい。
なお、式(B)はフィルム厚さ方向のリターデーション値Rtを求める式である。波長550nmで測定したリターデーション値Rtは、60〜100nmの範囲であることが好ましく、70〜90nmの範囲であることがより好ましい。
式(A): Ro=(n−n)×d
式(B): Rt={(n+n)/2−n}×d
式中、nx、ny及びnは、23℃・55%RH、450nm、550nm、590nmの各々における屈折率nx(フィルムの面内の最大の屈折率、遅相軸方向の屈折率ともいう。)、ny(フィルム面内で遅相軸に直交する方向の屈折率)、n(フィルム厚さ方向の屈折率)であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。
Ro、Rtは自動複屈折率計を用いて測定することができる。自動複屈折率計KOBRA−21AWR(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃・55%RHの環境下で、各波長での複屈折率測定によりRoを算出する。
λ/4板の遅相軸と偏光子の透過軸(又は吸収軸)との角度が実質的に45°になるように積層すると円偏光板が得られる。「実質的に45°」とは、40〜50°の範囲であることを意味する。λ/4板の面内の遅相軸と偏光子の透過軸との角度は、41〜49°の範囲であることが好ましく、42〜48°の範囲であることがより好ましく、43〜47°の範囲であることが更に好ましく、44〜46°の範囲であることが最も好ましい。したがって、円偏光板をロールtoロール方式で製造するには、本発明に係る光学フィルムの遅相軸の方向は、上記「実質的に45°」方向であることが好ましい。
本発明に係る第1の光学フィルムの厚さは、より薄膜の偏光板及び表示装置の需要が高まっていることから、15〜50μmの範囲内であり、20〜40μmの範囲内であることがより好ましい。この範囲内であれば、薄膜軽量であってかつ巻き形状の安定な光学フィルムを得ることができる。
本発明の光学フィルムにおける巻長は、生産性を考慮すると、1500〜8000mの範囲内であることが好ましく、より好ましくは2000〜6000mの範囲内である。
[2−1]第1の光学フィルムの特性
(表面粗さ)
本発明に係る第1の光学フィルム表面の算術平均粗さRaとしては、おおむね1.3〜4.0nmの範囲内であり、好ましくは1.6〜3.5nmの範囲内である。
(故障耐性)
本発明に係る第1の光学フィルムでは、フィルム中の故障(以下、欠点ともいう。)が少ないことが好ましく、ここでいう欠点とは、溶液流延法により製膜する場合において、乾燥時の溶媒の急激な蒸発に起因して発生するフィルム中の空洞(発泡欠点)や、製膜原液中の異物や製膜中に混入する異物に起因するフィルム中の異物(異物欠点)をいう。
具体的にはフィルム面内に、直径5μm以上の欠点が1個/10cm四方以下であることが好ましい。更に好ましくは0.5個/10cm四方以下であり、特に好ましくは0.1個/10cm四方以下である。
上記欠点の直径とは、欠点が円形の場合はその直径を示し、円形でない場合は欠点の範囲を下記方法により顕微鏡で観察して決定し、その最大径(外接円の直径)とする。
欠点の範囲は、欠点が気泡や異物の場合は、欠点を微分干渉顕微鏡の透過光で観察したときの影の大きさで測定する。また、欠点が、ローラー傷の転写や擦り傷等、表面形状の変化を伴う場合には、欠点を微分干渉顕微鏡の反射光で観察して大きさを確認する。
なお、反射光で観察する場合に、欠点の大きさが不明瞭であれば、表面にアルミや白金を蒸着して観察する。かかる欠点頻度にて表される品位に優れたフィルムを生産性良く得るには、光学フィルムの原料溶液を流延直前に高精度濾過することや、流延機周辺のクリーン度を高くすること、また、流延後の乾燥条件を段階的に設定し、効率良くかつ発泡を抑えて乾燥させることが有効である。
欠点の個数が1個/10cm四方より多いと、例えば、後工程での加工時等でフィルムに張力がかかると、欠点を起点としてフィルムが破断して生産性が低下する場合がある。また、欠点の直径が5μm以上になると、偏光板観察等により目視で確認でき、光学部材として用いたとき輝点が生じる場合がある。
(破断伸度)
また、本発明の光学フィルムは、JIS−K7127−1999に準拠した測定において、少なくとも一方向(TD方向又はMD方向)の破断伸度が、4%以上であることが好ましく、より好ましくは10%以上である。
破断伸度の上限は、特に限定されるものではないが、延伸を高延伸率で行うことにより破断伸度は低下する傾向にあり、本発明のように好ましくはTD方向に予備延伸を行った後、斜め延伸を行うことにより、破断伸度は30%以下であることが好ましく、更には20%以下であることが好ましい。
(全光線透過率)
本発明の光学フィルムは、その全光線透過率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。また、現実的な上限としては、99%程度である。かかる全光線透過率にて表される優れた透明性を達成するには、可視光を吸収する添加剤や共重合成分を導入しないようにすることや、ポリマー中の異物を高精度濾過により除去し、フィルム内部の光の拡散や吸収を低減させることが有効である。また、製膜時のフィルム接触部(冷却ローラー、カレンダーローラー、ドラム、ベルト、溶液製膜における塗布基材、搬送ローラー等)の表面粗さを小さくしてフィルム表面の表面粗さを小さくすることによりフィルム表面の光の拡散や反射を低減させることが有効である。
[2−2]第1の光学フィルムの寸法変化率
本発明に係る第1の光学フィルムの寸法変化率は、下記方法によって測定される。
〔1〕TD方向又はMD方向に一辺が平行となるように第1の光学フィルムを10cm四方で2枚採取し、それぞれ遅相軸方向及び当該遅相軸方向に直交する方向の寸法変化測定用とする。2点間の距離の寸法変化を測定するにあたり当該フィルムに間隔が8cmとなるように、遅相軸方向及び当該遅相軸方向に直交する方向のそれぞれについてカミソリで十字に傷を2か所つけた後、23℃・20%RHの環境下で、24時間放置する。
上記調湿したフィルムを同・23℃20%RHの環境下、顕微鏡のステージに乗せて、ガラス板を乗せて固定化し、前記2点の十字の傷の間の寸法(8cm)を遅相軸方向及び当該遅相軸方向に直交する方向で顕微鏡にて精密に測定し、それぞれL(θ)及びL(θ+90)とする。
顕微鏡は、ニコン社製Nikon MEASURESCOPE MM−11(接眼レンズ:×10 対物レンズ:×3)を用い、データ測定機は、Nikon DP−302 DATA PROCESSORを用いて顕微鏡に直結し、得られたデータは表計算ソフトに出力する。
〔2〕このフィルムを23℃・80%RHの環境下に移し、24時間放置した後、同23℃・80%RH温湿度環境下で、前記2点の十字の傷の間の寸法を遅相軸方向、及び当該遅相軸方向に直交する方向でそれぞれ上記顕微鏡及びデータ測定機によって測定し、それぞれL(θ)、L(θ+90)とする。
〔3〕〔1〕及び〔2〕で求めたそれぞれの寸法を下記(式a)及び(式b)へ代入し、第1の光学フィルムの寸法変化率を求め、L(θ)及びL(θ+90)とする。
(式a): L(θ)(%)=(L(θ)−L(θ))/L(θ)×100
(式b): L(θ+90)(%)=(L(θ+90)−L(θ+90))/L(θ+90)×100
本発明においては、このようにして得られた第1の光学フィルムの寸法変化率L(θ)及びL(θ+90)が上記式(1)及び(2)を満たすことを特徴としている。これにより、第1の光学フィルムの面方向における寸法変化の差異を低減し、物理的なひずみの発生を抑制することができる。
本発明に係る第1の光学フィルムの寸法変化率を、上記式(1)及び(2)で示される範囲に調整する手段としては、特に限定されるものではないが、以下の手段を採用することにより調整することが可能である。
すなわち、溶液流延により得られた流延膜を幅手方向に延伸し、更に当該幅手方向に対して斜め方向に延伸した後に、流延膜の端部に対して180〜220℃の範囲内でエンボス加工を施した後に、ロール状に巻き取った状態で、60〜80℃、20%RH以下の条件で3〜5日間加熱処理することで、寸法変化率を調整することが可能である。また、斜め方向に延伸した後、搬送ローラーにより流延膜を張力120〜150Nで搬送しながら、搬送ローラーを介して当該流延膜を140〜170℃で40〜600秒間加熱処理することによっても、寸法変化率を調整できる。
また、第1の光学フィルムは、長手方向の寸法変化率L(MD)と、幅手方向の寸法変化率L(TD)とが下記式(3)を満たすことが好ましい。これにより、表面故障や平面性故障の発生が抑制された偏光板とすることができる。
式(3): 0.50≦L(MD)/L(TD)<1.00
寸法変化率L(MD)及びL(TD)は上記した測定方法と同様の方法で求めることができる。
[2−3]第1の光学フィルムの組成
本発明に係る第1の光学フィルムの組成としては、当該第1の光学フィルムの寸法変化率が上記式(1)及び(2)を満たすことのできる材料であれば従来公知のいずれの材料を含有していても良いが、セルロース骨格を有するポリマー(以下、「セルロース誘導体」ともいう。)を含有することが好ましい。好ましくは、当該第1の光学フィルム中のセルロース誘導体の含有比率が55質量%以上、好ましくは70質量%以上である。
セルロース誘導体は、セルロースを原料とする化合物である。セルロース誘導体の例には、セルロースエステル(詳細は後述)、セルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルセルロース等)、セルロースエーテルエステル(例えば、アセチルメチルセルロース、アセチルエチルセルロース、アセチルヒドロキシエチルセルロース、ベンゾイルヒドロキシプロピルセルロース等)、セルロースカーボネート(例えば、セルロースエチルカーボネート等)、セルロースカルバメート(例えば、セルロースフェニルカルバメート等が挙げられる)等の樹脂が含まれ、好ましくはセルロースエステルである。セルロース誘導体は、1種類であっても良いし、2種類以上の混合物であっても良い。
セルロースエステルとしては、炭素原子数が2〜4の範囲内であるアシル基を有することが好ましい。炭素原子数が2〜4の範囲内であるアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基及びブタノイル基を挙げることができる。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離のヒドロキシ基を有している。セルロースエステルは、これらのヒドロキシ基の一部又は全部をアシル基によりアシル化した重合体(ポリマー)である。アシル基総置換度は、グルコース単位一つあたり、2位、3位及び6位に位置するセルロースのヒドロキシ基の全てがアシル化している割合(100%のアシル化は置換度3)を意味する。
好ましいアシル基の例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イソブタノイル基、tert−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基等を挙げることができる。これらの中でも、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、tert−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基等がより好ましく、特に好ましくはアセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基(アシル基が炭素原子数2〜4である場合)である。
具体的なセルロースエステルとしては、セルロース(ジ、トリ)アセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースフタレート及びセルロースアセテートベンゾエートから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
これらの中でより好ましいセルロースエステルは、セルロース(ジ、トリ)アセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートである。
セルローストリアセテートは、平均酢化度(結合酢酸量)54.0〜62.5%のものが好ましく用いられ、更に好ましいのは、平均酢化度が58.0〜62.5%のセルローストリアセテートである。
セルロースジアセテートは、平均酢化度(結合酢酸量)51.0〜56.0%が好ましく用いられる。市販品としては、(株)ダイセル製のL20、L30、L40、L50、イーストマンケミカルジャパン(株)製のCa398−3、Ca398−6、Ca398−10、Ca398−30、Ca394−60Sが挙げられる。
セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートは、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基又はブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすものが好ましい。
式(I): 2.0≦X+Y≦2.95
式(II): 0≦X≦2.5
中でも1.9≦X≦2.5、0.1≦Y≦0.9であることが好ましい。
上記アシル基の置換度の測定方法は、ASTM−D817−96に準じて測定することができる。
セルロースエステルの重量平均分子量Mwは、弾性率を制御する観点から、80000〜300000の範囲内であることが好ましく、120000〜250000の範囲内であることがより好ましい。上記範囲内であると製膜時に延伸による弾性率の制御が行いやすく、フィルムの巻き形状の安定化や添加剤の耐染み出し性が向上する。
セルロースエステルの数平均分子量(Mn)は30000〜150000の範囲が、得られた光学フィルムの機械的強度が高く好ましい。更に40000〜100000の数平均分子量のセルロースエステルが好ましく用いられる。
セルロースエステルの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)の値は、1.4〜3.0の範囲であることが好ましい。
セルロースエステルの重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。
測定条件は以下のとおりである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
本発明で用いられるセルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでも良く、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でも良いが、針葉樹の方がより好ましい。製膜の際の剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、あるいは単独で使用することができる。
例えば、綿花リンター由来セルロースエステル:木材パルプ(針葉樹)由来セルロースエステル:木材パルプ(広葉樹)由来セルロースエステルの比率が100:0:0、90:10:0、85:15:0、50:50:0、20:80:0、10:90:0、0:100:0、0:0:100、80:10:10、85:0:15、40:30:30で用いることができる。
本発明に係るセルロースエステルは、公知の方法により製造することができる。一般的には、原料のセルロースと所定の有機酸(酢酸、プロピオン酸等)と酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸等)、触媒(硫酸等)と混合して、セルロースをエステル化し、セルロースのトリエステルができるまで反応を進める。トリエステルにおいてはグルコース単位の三個のヒドロキシ基は、有機酸のアシル酸で置換されている。同時に二種類の有機酸を使用すると、混合エステル型のセルロースエステル、例えばセルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートを作製することができる。次いで、セルロースのトリエステルを加水分解することで、所望のアシル置換度を有するセルロースエステルを合成する。その後、濾過、沈殿、水洗、脱水、乾燥等の工程を経て、セルロースエステルができあがる。
本発明に係るセルロースエステルは、20mlの純水(電気伝導度0.1μS/cm以下、pH6.8)に1g投入し、25℃、1hr、窒素雰囲気下にて撹拌したときのpHが6〜7の範囲であり、電気伝導度が1〜100μS/cmの範囲であることが好ましい。
本発明に係るセルロースエステルは、具体的には特開平10−45804号公報に記載の方法を参考にして合成することができる。
[2−4]添加剤
第1の光学フィルムには、添加剤が含有されていても良い。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線吸収剤、リターデーション調整剤、酸化防止剤、劣化防止剤、剥離助剤、界面活性剤、染料、微粒子等が挙げられる。本実施形態において、微粒子以外の添加剤については上記セルロースエーテル等の溶液の調製の際に添加しても良いし、微粒子分散液の調製の際に添加しても良い。有機ELディスプレイ等の画像表示装置に使用する偏光板には、耐熱耐湿性を付与する可塑剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤等を添加することが好ましい。
これらの添加剤は、例えばセルロースエステルに対して1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%となるように添加されていることが好ましい。また、延伸及び乾燥中のブリードアウト等を抑制させるため、200℃における蒸気圧が1400Pa以下の化合物であることが好ましい。
(リターデーション調整剤)
リターデーションを調整するために添加する化合物は、欧州特許911656A2号明細書に記載されているような、二つ以上の芳香族環を有する芳香族化合物を使用することができる。
また、2種類以上の芳香族化合物を併用しても良い。該芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族性ヘテロ環であることが特に好ましく、芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。中でも1,3,5−トリアジン環が特に好ましい。
(ポリマー又はオリゴマー)
第1の光学フィルムは、セルロースエステルと、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、及びスルホ基から選ばれる置換基を有しかつ重量平均分子量が500〜200000の範囲内であるビニル系化合物のポリマー又はオリゴマーとを含有することが好ましい。当該セルロースエステルと、当該ポリマー又はオリゴマーとの含有量の質量比が、95:5〜50:50の範囲内であることが好ましい。
(マット剤)
第1の光学フィルムには、マット剤として微粒子を含有させることができ、これによって、第1の光学フィルムが長尺の場合、搬送や巻き取りをしやすくすることができる。
マット剤の粒径は10nm〜0.1μmの1次粒子又は2次粒子であることが好ましい。1次粒子の針状比は1.1以下の略球状のマット剤が好ましく用いられる。
微粒子としては、ケイ素を含むものが好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。本実施形態に好ましい二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、日本アエロジル(株)製のアエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されているものを挙げることができ、アエロジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812を好ましく用いることができる。ポリマーの微粒子の例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(東芝シリコーン(株)製)を挙げることができる。
(その他の添加剤)
その他、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ等の無機微粒子、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩等の熱安定剤を加えても良い。更に、界面活性剤、剥離促進剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油剤等も加えても良い。
[2−5]第1の光学フィルムの製造方法
第1の光学フィルムの製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、溶液流延製膜法又は溶融流延製膜法を用いることができる。
なお、以下に説明する製造方法においては、第1の光学フィルムの材料としてセルロースエステルを用いるものとする。
[2−5−1]溶液流延製膜法による方法
第1の光学フィルムを溶液流延製膜法で製造する場合には、(1)セルロースエステル及び添加剤等の各材料を溶剤に溶解させたドープを支持体上に流延して流延膜を形成する流延工程、(2)残留溶媒量が1〜20質量%の流延膜を、幅手方向に1.01〜1.3倍の延伸倍率で延伸する横延伸工程、(3)流延膜を、幅手方向に対して斜め方向に延伸する斜め延伸工程、(4)流延膜に対して、後述する(i)又は(ii)の加熱処理を行うことで第1の光学フィルムを得る加熱処理工程、を経て製造することができる。
[2−5−1−1]流延工程
溶解釜において、セルロースエステル及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する。
ドープに含まれる溶剤は、1種類でも2種以上を組み合わせたものでも良い。生産効率を高める観点では、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を組み合わせて用いることが好ましい。良溶剤とは、セルロースエステルを単独で溶解する溶剤をいい、貧溶剤とは、セルロースエステルを膨潤させるか、又は単独では溶解しないものをいう。そのため、良溶剤及び貧溶剤は、セルロースエステルの平均アシル基置換度によって異なる。
良溶剤の例には、ジクロロメタン等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、及びアセト酢酸メチル等が含まれ、好ましくはジクロロメタンである。
貧溶剤の例には、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、及びシクロヘキサノン等が含まれる。ロール体を構成する光学フィルムにおける添加剤の染み出しを抑制するためには、メタノール又はエタノールが好ましい。
貧溶剤は、一種類でも、二種類以上の混合物であっても良い。貧溶剤が二種類以上の貧溶剤の混合物である場合、添加剤のSP値(溶解度パラメーター)との差の絶対値が大きい貧溶剤の含有割合が最も多いことが好ましい。
良溶剤と貧溶剤を組み合わせて用いる場合、セルロースエステルの溶解性を高めるためには、良溶剤が貧溶剤よりも多いことが好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率は、良溶剤が70〜98質量%の範囲であり、貧溶剤が2〜30質量%の範囲であることが好ましい。
ドープにおけるセルロースエステルの濃度は、乾燥負荷を低減するためには高い方が好ましいが、セルロースエステルの濃度が高すぎると濾過しにくい。そのため、ドープにおけるセルロースエステルの濃度は、好ましくは10〜35質量%の範囲であり、より好ましくは15〜25質量%の範囲である。
セルロースエステルを溶剤に溶解させる方法は、例えば加熱及び加圧下で溶解させる方法、セルロースエステルに貧溶剤を加えて膨潤させた後、良溶剤を更に加えて溶解させる方法、及び冷却溶解法等でありうる。
中でも、常圧における沸点以上に加熱できることから、加熱及び加圧下で溶解させる方法が好ましい。具体的には、常圧下で溶剤の沸点以上であり、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら撹拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を抑制できる。
加熱温度は、セルロースエステルの溶解性を高める観点では、高い方が好ましいが、高過ぎると、圧力を高める必要があり、生産性が低下する。このため、加熱温度は、45〜120℃の範囲であることが好ましく、60〜110℃の範囲がより好ましく、70℃〜105℃であることが更に好ましい。
得られるドープには、例えば原料であるセルロースエステルに含まれる不純物等の不溶物が含まれることがある。このような不溶物は、得られるフィルムにおいて輝点異物となりうる。このような不溶物等を除去するために、得られたドープを更に濾過することが好ましい。
次に、調製したドープを、加圧ダイのスリットから無端状の金属支持体(例えばステンレスベルトや回転する金属ドラムなど)上に流延させる。
ダイは、口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一に調整しやすい加圧ダイが好ましい。加圧ダイの例には、コートハンガーダイ、T−ダイ等が含まれる。金属支持体の表面は、鏡面加工されていることが好ましい。
流延は、複数のドープを調製して、支持体としての平滑なバンド上あるいはドラム上に前記複数のドープを流延して製膜することもできる。
この場合、2種以上のドープを同時に支持体上に流延しても良いし、別々に支持体上に流延しても良い。別々に流延する逐次流延法の場合は、支持体側のドープを先に流延して支持体上である程度乾燥させた後に、その上に重ねて流延することができる。また、3種以上のドープを使用する場合、同時流延(共流延ともいう。)と逐次流延を適宜組み合せて流延し、積層構造のフィルムを作製することもできる。共流延若しくは逐次流延によって製膜されるこれらの方法は、乾燥されたフィルム上に塗布する方法とは異なり、積層構造の各層の境界が不明確になり、断面の観察で積層構造が明確には分かれないことがあるという特徴があり、各層間の密着性を向上させる効果がある。
共流延としては、公知の共流延方法を用いることができる。例えば、金属支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製しても良く、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、特開平11−198285号の各公報等に記載の方法が適応できる。また、二つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによってもフィルム化することでも良く、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、特開平6−134933号の各公報に記載の方法で実施できる。
次に、ドープ膜を金属支持体上で加熱して溶剤を蒸発させて、ウェブ(流延膜)を得る。
ドープ膜の乾燥は、40〜100℃の範囲の雰囲気下で行うことが好ましい。ドープ膜を40〜100℃の範囲の雰囲気下で乾燥させるためには、40〜100℃の範囲の温風をウェブ上面に当てたり、赤外線等で加熱したりすることが好ましい。
溶媒を蒸発させる方法としては、ドープ膜の表面に風を当てる方法、ベルトの裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、乾燥効率が高いことから、ベルトの裏面から液体により伝熱させる方法が好ましい。
次に、得られたウェブを、金属支持体上の剥離位置で剥離する。金属支持体上の剥離位置における温度は、好ましくは10〜40℃の範囲であり、更に好ましくは11〜30℃の範囲である。
得られるウェブの面品質や透湿性、剥離性等を高める観点から、流延後、30〜120秒以内で、ウェブを金属支持体から剥離することが好ましい。
金属支持体上の剥離位置で剥離する際のウェブの残留溶媒量は、乾燥条件や金属支持体の長さなどにもよるが、50〜120質量%の範囲とすることが好ましい。残留溶媒量が多いウェブは、柔らか過ぎて平面性を損ないやすく、剥離張力による流延方向(MD方向)のシワやスジが発生しやすい。そのような流延方向(MD方向)のシワやスジを抑制できるように、剥離位置でのウェブの残留溶媒量が設定されうる。
ウェブの残留溶媒量は、下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブ又はフィルムの延伸前の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
金属支持体からウェブを剥離する際の剥離張力は、通常、300N/m以下としうる。
金属支持体から剥離して得られたウェブを乾燥させる。ウェブの乾燥は、ウェブを、上下に配置した多数のローラーにより搬送しながら乾燥させても良いし、ウェブの両端部をクリップで固定して搬送しながら乾燥させても良い。
ウェブの乾燥方法は、熱風、赤外線、加熱ローラー及びマイクロ波等で乾燥する方法であって良く、簡便であることから熱風で乾燥する方法が好ましい。ウェブの乾燥温度は、40〜250℃程度、好ましくは40〜160℃程度としうる。
[2−5−1−2]横延伸工程
次に、残留溶媒量が1〜20質量%の状態のウェブを、延伸倍率1.01〜1.3倍の範囲内で幅手方向(TD方向)に延伸する横延伸工程を行う。横延伸工程は、上記流延工程を行った後に、得られたウェブを巻き取ることなく連続的に行うことが好ましい。
ウェブの延伸により、所望のリターデーションを有する光学フィルムを得ることができる。光学フィルムのリターデーションは、ウェブに掛かる張力の大きさを調整することで制御することができる。
ウェブの延伸倍率は、好ましくは1.01〜1.3倍の範囲内とし、より好ましくは1.07〜1.15倍の範囲内である。
ウェブの延伸温度は、好ましくは120〜200℃の範囲内とし、より好ましくは135〜170℃の範囲内である。
ウェブの延伸方法は、特に制限されず、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を広げて延伸するテンター延伸法等が好ましい。
横延伸工程を行う際におけるウェブの残留溶媒量は、好ましくは1〜20質量%の範囲内とし、より好ましくは3〜20質量%の範囲内、更に好ましくは3〜10質量%の範囲内である。
[2−5−1−3]斜め延伸工程
次に、幅手方向に延伸されて得られた横延伸フィルム(流延膜)を、フィルム幅手方向に対して斜め方向に延伸する斜め延伸工程を行う。
幅手方向に延伸された横延伸フィルムを更に斜め延伸するには、斜め延伸可能な装置を用いることが好ましい。斜め延伸可能な装置について説明する。
(装置の概要)
図1は、斜め延伸可能な製造装置1の概略構成の一例を模式的に示す平面図である。製造装置1は、長尺のフィルムの搬送方向上流側から順に、フィルム繰り出し部2と、搬送方向変更部3と、ガイドロール4と、延伸部5と、ガイドロール6と、搬送方向変更部7と、フィルム切断装置8と、フィルム巻き取り部9とを備えている。なお、延伸部5の詳細については後述する。また、斜め延伸工程後に斜め延伸フィルムを巻き取らずに次工程を行うものとしても良く、この場合には、製造装置1はフィルム巻き取り部9を備えていなくても良い。また、長尺フィルムを切断する必要がない場合には、製造装置1はフィルム切断装置8を備えていなくても良い。
フィルム繰り出し部2は、上述した幅方向に延伸された後の長尺の横延伸フィルム(流延膜)を繰り出して延伸部5に供給するものである。このフィルム繰り出し部2は、ウェブの製膜装置と別体で構成されていても良いし、一体的に構成されても良い。前者の場合、フィルムを製膜後に一度巻芯に巻き取って巻回体(長尺フィルム原反)となったものをフィルム繰り出し部2に装填することで、フィルム繰り出し部2からフィルムが繰り出される。一方、後者の場合、フィルム繰り出し部2は、ウェブの製膜後、そのウェブを巻き取ることなく横延伸工程を行い、更に延伸部5に対して繰り出すことになる。
搬送方向変更部3は、フィルム繰り出し部2から繰り出されるフィルムの搬送方向を、斜め延伸テンターとしての延伸部5の入口に向かう方向に変更するものである。このような搬送方向変更部3は、例えばフィルムを搬送しながら折り返すことによって搬送方向を変更するターンバーや、そのターンバーをフィルムに平行な面内で回転させる回転テーブルを含んで構成されている。
搬送方向変更部3にてフィルムの搬送方向を上記のように変更することにより、製造装置1全体の幅をより狭くすることが可能となるほか、フィルムの送り出し位置及び角度を細かく制御することが可能となり、膜厚、光学値のバラツキが小さい長尺斜め延伸フィルムを得ることが可能となる。また、フィルム繰り出し部2及び搬送方向変更部3を移動可能(スライド可能、旋回可能)とすれば、延伸部5において長尺フィルムの幅手方向の両端部を挟む左右のクリップ(把持具)のフィルムへの噛込み不良を有効に防止することができる。
なお、上記したフィルム繰り出し部2は、延伸部5の入口に対して所定角度で長尺フィルムを送り出せるように、スライド及び旋回可能となっていても良い。この場合は、搬送方向変更部3の設置を省略した構成とすることもできる。
ガイドロール4は、フィルムの走行時の軌道を安定させるために、延伸部5の上流側に少なくとも1本設けられている。なお、ガイドロール4は、フィルムを挟む上下一対のロール対で構成されても良いし、複数のロール対で構成されても良い。延伸部5の入口に最も近いガイドロール4は、フィルムの走行を案内する従動ロールであり、不図示の軸受部を介してそれぞれ回転自在に軸支される。ガイドロール4の材質としては、公知のものを用いることが可能である。なお、フィルムの傷つきを防止するために、ガイドロール4の表面にセラミックコートを施したり、アルミニウム等の軽金属にクロムメッキを施したりすることによってガイドロール4を軽量化することが好ましい。
また、延伸部5の入口に最も近いガイドロール4よりも上流側のロールのうちの1本は、ゴムロールを圧接させてニップすることが好ましい。このようなニップロールにすることで、フィルムの流れ方向における繰出張力の変動を抑えることが可能となる。
延伸部5の入口に最も近いガイドロール4の両端(左右)の一対の軸受部には、当該ロールにおいてフィルムに生じている張力を検出するためのフィルム張力検出装置として、第1張力検出装置、第2張力検出装置がそれぞれ設けられている。フィルム張力検出装置としては、例えばロードセルを用いることができる。ロードセルとしては、引張又は圧縮型の公知のものを用いることができる。ロードセルは、着力点に作用する荷重を起歪体に取り付けられた歪ゲージにより電気信号に変換して検出する装置である。
ロードセルは、延伸部5の入口に最も近いガイドロール4の左右の軸受部に設置されることにより、走行中のフィルムがロールに及ぼす力、すなわちフィルムの両側縁近傍に生じているフィルム進行方向における張力を左右独立に検出する。なお、ロールの軸受部を構成する支持体に歪ゲージを直接取り付けて、該支持体に生じる歪に基づいて荷重、すなわちフィルム張力を検出するようにしても良い。発生する歪とフィルム張力との関係は、あらかじめ計測され、既知であるものとする。
フィルム繰り出し部2又は搬送方向変更部3から延伸部5に供給されるフィルムの位置及び搬送方向が、延伸部5の入口に向かう位置及び搬送方向からずれている場合、このズレ量に応じて、延伸部5の入口に最も近いガイドロール4におけるフィルムの両側縁近傍の張力に差が生じることになる。したがって、上述したようなフィルム張力検出装置を設けて上記の張力差を検出することにより、当該ズレの程度を判別することができる。つまり、フィルムの搬送位置及び搬送方向が適正であれば(延伸部5の入口に向かう位置及び方向であれば)、上記ガイドロール4に作用する荷重は軸方向の両端で粗均等になるが、適正でなければ、左右でフィルム張力に差が生じる。
したがって、延伸部5の入口に最も近いガイドロール4の左右のフィルム張力差が等しくなるように、例えば上記した搬送方向変更部3によってフィルムの位置及び搬送方向(延伸部5の入口に対する角度)を適切に調整すれば、延伸部5の入口部の把持具によるフィルムの把持が安定し、把持具外れ等の障害の発生を少なくできる。更に、延伸部5による斜め延伸後のフィルムの幅方向における物性を安定させることができる。
ガイドロール6は、延伸部5にて斜め延伸されたフィルムの走行時の軌道を安定させるために、延伸部5の下流側に少なくとも1本設けられている。
搬送方向変更部7は、延伸部5から搬送される延伸後のフィルムの搬送方向を、フィルム巻き取り部9に向かう方向に変更するものである。
ここで、配向角(フィルムの面内遅相軸の方向)の微調整や製品バリエーションに対応するために、延伸部5の入口でのフィルム進行方向と延伸部5の出口でのフィルム進行方向とがなす角度の調整が必要となる。この角度調整のためには、製膜したフィルムの進行方向を搬送方向変更部3によって変更してフィルムを延伸部5の入口に導く、及び/又は延伸部5の出口から出たフィルムの進行方向を搬送方向変更部7によって変更してフィルムをフィルム巻き取り部9の方向に戻すことが必要となる。
また、製膜及び斜め延伸を連続して行うことが、生産性や収率の点で好ましい。製膜工程、斜め延伸工程、加熱処理工程を連続して行う場合、搬送方向変更部3及び/又は搬送方向変更部7によってフィルムの進行方向を変更し、製膜工程と加熱処理工程とでフィルムの進行方向を一致させる、つまり、図1に示すように、フィルム繰り出し部2から繰り出されるフィルムの進行方向(繰り出し方向)と、フィルム巻き取り部9にて巻き取られる直前のフィルムの進行方向(巻き取り方向)とを一致させることにより、フィルム進行方向に対する装置全体の幅を小さくすることができる。
なお、製膜工程と加熱処理工程とでフィルムの進行方向は必ずしも一致させる必要はないが、フィルム繰り出し部2とフィルム巻き取り部9とが干渉しないレイアウトとなるように、搬送方向変更部3及び/又は搬送方向変更部7によってフィルムの進行方向を変更することが好ましい。
上記のような搬送方向変更部3、7としては、エアーフローロール又はエアーターンバーを用いる等、公知の手法で実現することができる。
フィルム切断装置8は、延伸部5にて延伸されたフィルム(長尺斜め延伸フィルム)を、幅手方向を含む断面に沿って切断するものであり、切断部材を有している。切断部材は、例えばハサミやカッター(スリッター、帯状の刃(トムソン刃)を含む。)で構成されるが、これらに限定されるわけではなく、その他にも、回転する丸鋸やレーザー照射装置等で構成することも可能である。
フィルム巻き取り部9は、延伸部5から搬送方向変更部7を介して搬送されるフィルムを巻き取るものであり、例えばワインダー装置、アキューム装置、ドライブ装置等で構成される。フィルム巻き取り部9は、フィルムの巻き取り位置を調整すべく、横方向にスライドできる構造であることが好ましい。
フィルム巻き取り部9は、延伸部5の出口に対して所定角度でフィルムを引き取れるように、フィルムの引き取り位置及び角度を細かく制御できるようになっている。これにより、膜厚、光学値のバラツキが小さい長尺斜め延伸フィルムを得ることが可能となる。また、フィルムのシワの発生を有効に防止することができるとともに、フィルムの巻き取り性が向上するため、フィルムを長尺で巻き取ることが可能となる。
このフィルム巻き取り部9は、延伸部5にて延伸されて搬送されるフィルムを一定の張力で引き取る引取部を構成している。なお、延伸部5とフィルム巻き取り部9との間に、フィルムを一定の張力で引き取るための引取ロールを設けるようにしても良い。また、上述したガイドロール6に上記引取ロールとしての機能を持たせても良い。
本実施形態において、延伸後のフィルムの引取張力T(N/m)は、100N/m<T<300N/m、好ましくは150N/m<T<250N/mの間で調整することが好ましい。上記の引取張力が100N/m以下では、フィルムのたるみや皺が発生しやすく、リターデーション、配向角のフィルム幅方向のプロファイルも悪化する。逆に、引取張力が300N/m以上となると、配向角のフィルム幅方向のバラツキが悪化し、幅収率(幅方向の取り効率)を悪化させてしまう。
また、本実施形態においては、上記引取張力Tの変動を±5%未満、好ましくは±3%未満の精度で制御することが好ましい。上記引取張力Tの変動が±5%以上であると、幅方向及び流れ方向(搬送方向)の光学特性のバラツキが大きくなる。上記引取張力Tの変動を上記範囲内に制御する方法としては、延伸部5の出口側の最初のロール(ガイドロール6)にかかる荷重、すなわちフィルムの張力を測定し、その値が一定となるように、一般的なPID制御方式により引取ロール又はフィルム巻き取り部9の巻取ロールの回転速度を制御する方法が挙げられる。上記荷重を測定する方法としては、ガイドロール6の軸受部にロードセルを取り付け、ガイドロール6に加わる荷重、すなわちフィルムの張力を測定する方法が挙げられる。ロードセルとしては、引張型や圧縮型の公知のものを用いることができる。
延伸後のフィルムは、延伸部5の把持具による把持が開放されて、延伸部5の出口から排出され、把持具で把持されていたフィルムの両端(両側)が必要に応じてトリミングされた後に、フィルム切断装置8によって所定の長さごとに切断され、順次巻芯(巻取ロール)に巻き取られて、斜め延伸フィルムの巻回体となる。
(延伸部の詳細)
次に、上述した延伸部5の詳細について説明する。図2は、延伸部5のレールパターンの一例を模式的に示す平面図である。ただし、これは一例であって、延伸部5の構成はこれに限定されるものではない。
本実施形態における斜め延伸工程は、延伸部5として、斜め延伸可能なテンター(斜め延伸機)を用いて行われることが好ましい。このテンターは、長尺フィルムを、延伸可能な任意の温度に加熱し、斜め延伸する装置である。このテンターは、加熱ゾーンZと、左右で一対のレールRi・Roと、レールRi・Roに沿って走行してフィルムを搬送する多数の把持具Ci・Co(図2では、1組の把持具のみを図示)とを備えている。なお、加熱ゾーンZの詳細については後述する。レールRi・Roは、それぞれ、複数のレール部を連結部で連結して構成されている(図2中の白丸は連結部の一例である。)。把持具Ci・Coは、フィルムの幅手方向の両端を把持するクリップで構成されている。
図2において、長尺フィルムの繰出方向D1は、延伸後の長尺斜め延伸フィルムの巻取方向D2と異なっており、巻取方向D2との間で繰出角度θiを成している。繰出角度θiは0°を超え90°未満の範囲で、所望の角度に任意に設定することができる。
このように、繰出方向D1と巻取方向D2とが異なっているため、テンターのレールパターンは左右で非対称な形状となっている。そして、製造すべき長尺斜め延伸フィルムに与える配向角θ、延伸倍率等に応じて、レールパターンを手動又は自動で調整できるようになっている。本実施形態の製造方法で用いられる斜め延伸機では、レールRi・Roを構成する各レール部及びレール連結部の位置を自由に設定し、レールパターンを任意に変更できることが好ましい。
本実施形態において、テンターの把持具Ci・Coは、前後の把持具Ci・Coと一定間隔を保って、一定速度で走行するようになっている。把持具Ci・Coの走行速度は適宜選択できるが、通常、1〜150m/minである。左右一対の把持具Ci・Coの走行速度の差は、走行速度の通常1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下である。これは、延伸工程出口でフィルムの左右に進行速度差があると、延伸工程出口におけるシワ、寄りが発生するため、左右の把持具Ci・Coの速度差は、実質的に同速度であることが求められるためである。一般的なテンター装置等では、チェーンを駆動するスプロケットの歯の周期、駆動モーターの周波数等に応じ、秒以下のオーダーで発生する速度ムラがあり、しばしば数%のムラを生ずるが、これらは本発明の実施形態で述べる速度差には該当しない。
本実施形態の製造方法で用いられる斜め延伸機において、特にフィルムの搬送が斜めになる箇所において、把持具の軌跡を規制するレールには、しばしば大きい屈曲率が求められる。急激な屈曲による把持具同士の干渉、あるいは局所的な応力集中を避ける目的から、屈曲部では把持具の軌跡が曲線を描くようにすることが望ましい。
このように、長尺フィルムに斜め方向の配向を付与するために用いられる斜め延伸テンターは、レールパターンを多様に変化させることにより、フィルムの配向角を自在に設定でき、更に、フィルムの配向軸(遅相軸)をフィルム幅方向に渡って左右均等に高精度に配向させることができ、かつ、高精度でフィルム厚さやリターデーションを制御できるテンターであることが好ましい。
次に、延伸部5での延伸動作について説明する。長尺フィルムは、その両端を左右の把持具Ci・Coによって把持され、加熱ゾーンZ内を把持具Ci・Coの走行に伴って搬送される。左右の把持具Ci・Coは、延伸部5の入口部(図中Aの位置)において、フィルムの進行方向(繰出方向D1)に対して略垂直な方向に相対しており、左右非対称なレールRi・Ro上をそれぞれ走行し、延伸終了時の出口部(図中Bの位置)で把持したフィルムを開放する。把持具Ci・Coから開放されたフィルムは、前述したフィルム巻き取り部9にて巻芯に巻き取られる。一対のレールRi・Roは、それぞれ無端状の連続軌道を有しており、テンターの出口部でフィルムの把持を開放した把持具Ci・Coは、外側のレールを走行して順次入口部に戻されるようになっている。
このとき、レールRi・Roは左右非対称であるため、図2の例では、図中Aの位置で相対していた左右の把持具Ci・Coは、レールRi・Ro上を走行するにつれて、レールRi側(インコース側)を走行する把持具CiがレールRo側(アウトコース側)を走行する把持具Coに対して先行する位置関係となる。
すなわち、図中Aの位置でフィルムの繰出方向D1に対して略垂直な方向に相対していた把持具Ci・Coのうち、一方の把持具Ciがフィルムの延伸終了時の位置Bに先に到達したときには、把持具Ci・Coを結んだ直線がフィルムの巻取方向D2に略垂直な方向に対して、角度θLだけ傾斜している。以上の所作をもって、長尺フィルムが幅手方向に対してθLの角度で斜め延伸されることとなる。ここで、略垂直とは、90±1°の範囲にあることを示す。
次に、上記した加熱ゾーンZの詳細について説明する。延伸部5の加熱ゾーンZは、予熱ゾーンZ1、延伸ゾーンZ2及び熱固定ゾーンZ3で構成されている。延伸部5では、把持具Ci・Coによって把持されたフィルムは、予熱ゾーンZ1、延伸ゾーンZ2、熱固定ゾーンZ3を順に通過する。本実施形態では、予熱ゾーンZ1と延伸ゾーンZ2とは隔壁で区切られており、延伸ゾーンZ2と熱固定ゾーンZ3とは隔壁で区切られている。
予熱ゾーンZ1とは、加熱ゾーンZの入口部において、フィルムの両端を把持した把持具Ci・Coが、左右で(フィルム幅方向に)一定の間隔を保ったまま走行する区間を指す。
延伸ゾーンZ2とは、フィルムの両端を把持した把持具Ci・Coの間隔が開き出し、所定の間隔になるまでの区間を指す。このとき、上述のような斜め延伸が行われるが、必要に応じて斜め延伸前後において縦方向あるいは横方向に延伸しても良い。
熱固定ゾーンZ3とは、延伸ゾーンZ2より後の、把持具Ci・Coの間隔が再び一定となる区間であって、両端の把持具Ci・Coが互いに平行を保ったまま走行する区間を指す。
なお、延伸後のフィルムは、熱固定ゾーンZ3を通過した後に、ゾーン内の温度がフィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg(℃)以下に設定される区間(冷却ゾーン)を通過しても良い。このとき、冷却によるフィルムの縮みを考慮して、あらかじめ対向する把持具Ci・Coの間隔を狭めるようなレールパターンとしても良い。
熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgに対し、予熱ゾーンZ1の温度はTg〜Tg+30℃、延伸ゾーンZ2の温度はTg〜Tg+30℃、熱固定ゾーンZ3及び冷却ゾーンの温度はTg−30〜Tg+20℃に設定することが好ましい。
なお、予熱ゾーンZ1、延伸ゾーンZ2及び熱固定ゾーンZ3の長さは適宜選択でき、延伸ゾーンZ2の長さに対して、予熱ゾーンZ1の長さは通常100〜150%、熱固定ゾーンZ3の長さは通常50〜100%である。
また、延伸前のフィルムの幅をWo(mm)とし、延伸後のフィルムの幅をW(mm)とすると、斜め延伸工程における延伸倍率R(W/Wo)は、好ましくは1.3〜3.0、より好ましくは1.5〜2.8である。延伸倍率がこの範囲にあると、フィルムの幅方向の厚さムラが小さくなるので好ましい。斜め延伸テンターの延伸ゾーンZ2において、幅方向で延伸温度に差をつけると、幅方向厚さムラを更に良好なレベルにすることが可能になる。なお、上記の延伸倍率Rは、テンター入口部で把持したクリップ両端の間隔W1がテンター出口部において間隔W2となったときの倍率(W2/W1)に等しい。
なお、延伸部5における斜め延伸の手法は、上述した手法に限定されるわけではなく、例えば特開2008−23775号公報に開示されているような、同時二軸延伸によって斜め延伸を行っても良い。なお、同時二軸延伸とは、供給される長尺フィルムの幅手方向の両端部を各把持具によって把持し、各把持具を移動させながら長尺フィルムを搬送するとともに、長尺フィルムの搬送方向を一定としたまま、一方の把持具の移動速度と他方の把持具の移動速度とを異ならせることにより、長尺フィルムを幅手方向に対して斜め方向に延伸する方法である。その他、特開2011−11434号公報に開示されているような手法で斜め延伸を行っても良い。
上記斜め延伸工程により得られた長尺の斜め延伸フィルムにおいては、配向角θが巻取方向に対して、例えば0°より大きく90°未満の範囲に傾斜しており、少なくとも1300mmの幅において、幅方向の、面内リターデーションRoのバラツキが10nm以下、配向角θのバラツキが10°以下であることが好ましい。また、前記長尺斜め延伸フィルムの、波長550nmで測定した面内リターデーション値Ro(550)が、60〜220nmの範囲内であることが好ましく、65〜200nmの範囲内であることがより好ましく、75〜150nmの範囲内であることが更に好ましい。
すなわち、本実施形態の製造方法により得られた長尺斜め延伸フィルムにおいて、面内リターデーションRoのバラツキは、幅方向の少なくとも1300mmにおいて、2nm以下であり、1nm以下であることが好ましい。面内リターデーションRoのバラツキを上記範囲にすることにより、長尺斜め延伸フィルムを例えば液晶表示装置用の位相差フィルムとして用いた場合に表示品質を良好なものにすることも可能になる。
また、本実施形態の製造方法により得られた長尺斜め延伸フィルムにおいて、配向角θのバラツキは、幅方向の少なくとも1300mmにおいて、10°以下であることが好ましく、5°以下であることがより好ましく、1°以下であることが最も好ましい。配向角θのバラツキが0.5を超える長尺斜め延伸フィルムを偏光子と貼り合せて円偏光板とし、これを有機EL表示装置等の画像表示装置に据え付けると、光漏れが生じ、明暗のコントラストを低下させることがある。
なお、前記リターデーション値Roは、面内遅相軸方向の屈折率nxと面内で前記遅相軸に直交する方向の屈折率nyとの差にフィルムの平均厚さdを乗算した値(Ro=(nx−ny)×d)である。
斜め延伸工程で得られた長尺斜め延伸フィルムの平均厚さは、機械的強度及び表示装置の薄型化等の観点から、20〜60μm、好ましくは10〜60μm、更に好ましくは10〜50μm、特に好ましくは15〜35μmである。また、上記長尺斜め延伸フィルムの幅方向の厚さムラは、巻き取りの可否に影響を与えるため、3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。
[2−5−1−4]加熱処理工程
次に、斜め延伸された斜め延伸フィルム(流延膜)に対して下記(i)又は(ii)の加熱処理を行うことで第1の光学フィルムを得る加熱処理工程を行う。
(i)製膜、延伸後のフィルムの端部に対して180〜220℃の範囲内でエンボス加工を施した後に、当該流延膜を巻き取ってロール体とし、60〜80℃、20%RH以下の条件で3〜5日間加熱処理する。
(ii)搬送ローラーにより、製膜、延伸後のフィルムを張力120〜150Nで搬送しながら、搬送ローラーを介して当該フィルムを140〜170℃で40〜600秒間加熱処理する。
このように、斜め延伸されたフィルムを巻き取った状態又は張力を付与した状態で固定した上で加熱処理することで、フィルムを熱矯正することができ、第1の光学フィルムの遅相軸方向の寸法変化率L(θ)と、遅相軸に直交する方向の寸法変化率L(θ+90)とを、上記式(1)及び(2)を満たすような値に調整することができる。
以下、(i)及び(ii)の加熱処理について説明する。
((i)の加熱処理について)
上記(i)の加熱処理においては、まず、斜め延伸後に得られたフィルムの幅手方向両端部にエンボス部を設けるエンボス加工を施す。エンボス部とは、長尺状フィルムを巻き取る前に、巻き取られたフィルム同士の裏面と表面が完全に面同士密着するのを防止するために、フィルムに微小の連続した凹凸からなる一定の幅の文様を付けたものである。フィルムの一面(例えば上面)を凸状に突出させた際、当該フィルムの他面(例えば下面)に前記凸状に対応して相対的に凹状が形成される。
エンボス加工を施すためには、エンボスローラーと、フィルムを介してエンボスローラーと対向配置されたバックローラーとを備えるエンボス加工装置を用いて行うことが好ましい。
エンボスローラーのローラー径は、5〜20cmの範囲であることが好ましく、6〜15cmの範囲であることがより好ましい。エンボスローラーのローラー径が20cm超であると、(エンボスローラーの内部に配置される)熱源とエンボスローラーの表面との距離が大きすぎるため、エンボスローラーの表面において温度ムラが生じることがある。そのため、形成されるエンボス部に弾性率が高い部分と低い部分とが生じ、弾性率が低い部分がつぶれやすい。一方、エンボスローラーのローラー径が5cm未満であると、回転軸がブレやすく、形成されるエンボスの凸部の高さがばらつきやすい。設定した高さよりも高く形成されたエンボス部は、つぶれやすい傾向がある。
バックローラーの材質は、エンボス部が形成されたフィルムを均一に冷却させる等の理由から、金属製であることが好ましい。金属の種類は、例えばSUS、チタン、ステンレス、クロムメッキ、銅等が好ましい。金属製のバックローラーは、例えばゴム製のバックローラーよりも、フィルムを均一に冷却しやすいため、セルロースエステルを均一に結晶化させやすく、高い強度(高い弾性率)を有するエンボス部を形成することができる。
エンボスローラーとバックローラーとの間のクリアランスは、1〜30μm程度とし、好ましくは1〜15μm程度としうる。エンボスローラーとバックローラーとによるニップ圧は、100〜10000Pa程度としうる。
そして、エンボスローラーとバックローラーとで、フィルムの幅手方向両端部をニップして、フィルムの幅手方向両端部にエンボス加工を施す。
エンボスローラーの表面温度は、150〜350℃の範囲とすることが好ましく、160〜300℃の範囲とすることがより好ましく、180〜220℃の範囲内とすることが特に好ましい。エンボスローラーの表面温度が150〜350℃の範囲内であれば、フィルムを十分に溶融させることができ、冷却しても、セルロースエステルを十分に結晶化させることができ、強度の高いエンボス部を形成しやすい。また、フィルムが溶融しすぎることもなく、フィルムの溶融物のエンボスローラーへの貼り付きを防ぐことができる。
第1の光学フィルムの製造においては、フィルム幅手方向の両端部にエンボスローラーによって前記エンボス部を形成するときに、両側のエンボスローラーの表面温度に5〜20℃の範囲内の温度差をつけて当該エンボス部を形成することが好ましい。第1の光学フィルムは斜め延伸されることにより、フィルム幅手方向の両端部の弾性率に異方性があることから、弾性率差をキャンセルしエンボス部の凸部のつぶれ耐性を均等にするために、弾性率の低い端部には高温なエンボスローラーでエンボス部を形成し、弾性率の高い端部には、エンボスローラーの表面温度を5〜20℃の範囲内低い温度で設定したエンボスローラーでエンボス部を形成することが好ましい。表面温度差は、より好ましくは7〜15℃の範囲である。
バックローラーの表面温度は、エンボスローラーの表面温度にもよるが、30〜100℃の範囲とすることが好ましく、50〜80℃の範囲とすることがより好ましい。バックローラーの表面温度が50〜100℃の範囲内であると、フィルムが急速に冷却されず、セルロースエステルを均一に結晶化させやすく、弾性率の高いエンボス部が得られる。また、フィルムに含まれるセルロースエステルを冷却しやすく、結晶化させやすいだけでなく、フィルムの熱膨張を抑制して、エンボス部付近のフィルムの表裏面の波打ちを防止することができる。エンボス部付近のフィルムの表裏面の波打ちが生じると、フィルム同士が貼り付きやすく、フィルムが裂けやすくなる。
エンボス加工時のフィルムの搬送速度は、50〜120m/分の範囲であることが好ましい。フィルムの搬送速度が80〜120m/分の範囲であると、生産性が高くでき、エンボスローラーの圧力や、エンボスローラーやバックローラーの熱がフィルムに均一に伝わりやすく、それにより、フィルムに含まれるセルロースエステルを均一に結晶化させて、強度の高いエンボス部が得られる。
つまり、つぶれにくいエンボス部を形成するためには、エンボスローラーでセルロースエステルを十分に溶融させて、バックローラーで溶融したセルロースエステルをゆっくりと冷却して結晶化させることが重要と考えられる。そのためには、(1)エンボスローラーの表面温度、(2)バックローラーの表面温度、(3)エンボスローラーのローラー径、及び(4)バックローラーの材質、のうち少なくとも二つ以上を種々組み合わせて調整することが好ましい。中でも、(1)エンボスローラーの表面温度と(2)バックローラーの表面温度を、それぞれ前述の範囲に調整することが好ましく、更に(3)エンボスローラー径を前述の範囲に調整することがより好ましく、更に(4)バックローラーの材質を選択することが特に好ましい。
続いて、(i)の加熱処理においては、フィルムの端部に対してエンボス加工を施した後に、ロール状に巻き取った状態で60〜80℃、20%RH以下の条件で3〜5日間加熱処理する。
フィルムの巻き取りは、巻き取り機を用いて行うことができる。
また、フィルムの巻き取り方法は、特に制限されず、例えば、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法等を用いることができる。
フィルムを巻き取る際の、巻き取り張力は、50〜170N程度とすることができる。
加熱処理の期間は、設定される温度によって適宜決定すれば良い。通常は、巻外部、巻中央部、巻き芯部の加熱処理効果が偏らないように、比較的低温に設定することが好ましい。
加熱処理を安定して行うためには、温湿度が調整可能な場所で行うことが好ましく、塵のないクリーンルーム等の加熱処理室で行うことが好ましい。
反射防止フィルムをロール状に巻き取る際の、巻きコアとしては、円筒上のコアであれは、特に限定されないが、好ましくは中空プラスチックコアであり、プラスチック材料としては加熱処理温度に耐える耐熱性プラスチックが好ましく、例えばフェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。またガラス繊維等の充填材により強化した熱硬化性樹脂が好ましい。
これらの巻きコアへの巻き数は、100巻き以上であることが好ましく、500巻き以上であることが更に好ましく、巻き厚は5cm以上であることが好ましい。
このようにして長巻のフィルムを、巻き取った状態で前記加熱処理を行うとき、該ロールを回転させることが好ましく、回転は、1分間に1回転以下の速度が好ましく、連続でも良く断続的な回転であっても良い。また、加熱期間中に該ロールの巻き替えを1回以上行うことが好ましい。
コアに巻き取られた長巻のフィルムを加熱処理中に回転させるため加熱処理室に専用の回転台を設けることが好ましい。
回転は、断続の場合は停止している時間を10時間以内とすることが好ましく、停止位置は、円周方向に均一となるようにすることが好ましく、停止時間は10分以内とすることがより好ましい。最も好ましくは、連続回転である。
連続回転での回転速度は、1回転に要する時間は好ましくは10時間以下とすることであり、早いと装置的に負担となるため実質的には、15分から2時間の範囲が好ましい。
なお、回転機能を有する専用の台車の場合には、移動や保管中にも光学フィルムロールを回転させることができて好ましく、この場合、保管期間が長い場合に生じるブラックバンド対策として回転が有効に機能する。
なお、(i)の加熱処理においては、ロール状に巻き取ったフィルムを、防湿シートで覆った状態で、上記加熱処理を行うことが好ましい。すなわち、ロール状に巻き取ったフィルムを、樹脂フィルム、好ましくは樹脂フィルムにアルミ蒸着された防湿シートで包んだ後、巻き軸部分を紐又はゴムバンドで留めた形態とし、上記加熱処理を行うことが好ましい。
これにより、ロール状に巻き取ったフィルムを加熱処理する際に湿度を20%RH以下の条件に維持することが容易となり、更に、フィルムの吸湿や異物の付着等の発生を抑制することができ、高品質な第1の光学フィルムを製造することが可能となる。
フィルムの包装形態の具体例としては、筒状の巻芯にロール状に巻き取られたフィルムの周面及び軸方向両端面の全体が、シート状の包装材料により覆われており、包装材料のロール周方向の両端部が互いに重ね合わせられ、これら包装材料端部同士の接合部分がガムテープ等で留められた態様が挙げられる。このような態様により、包装材料端部同士の接触部分に実質的に隙間がなく、内部へのゴミ等の侵入を防ぐようにしている。ロール状フィルムの軸方向両端部より巻芯の端部が外側に突出している場合には、当該端部周面と包装材料の軸方向両端部とが紐やゴムバンド等で留められて、緩い密閉状態となされているものである形態が好ましい。従来のように、左右両端部をガムテープで何重にも留めて、実質的に隙間がなく内部を密閉状態とするよりも、巻芯部分を紐やゴムバンド等で留めた形態とした方が、保管中又は輸送中にロール体の適度な吸湿及び放湿が可能となり、光学フィルムの光学特性及び物性の均一性を高める上で好ましい態様である。
このような包装材料としては、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン系合成樹脂のフィルム、またポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル系合成樹脂のフィルム等が挙げられる。また、包装材料の厚さは、透湿性を維持する観点から10μm以上であることが好ましく、また剛性等取扱い上の観点から100μm以下であることが好ましい。また、包装材料の透湿性は、包装材料を構成する合成樹脂フィルムの厚さにより変化するため、合成樹脂フィルムの厚さを調整することで、包装材料の透湿性を適宜調整することができる。
ここで、この包装材料の透湿度が、JIS Z0208で規定される1日あたりの透湿度が10g/m以下であれば、巻き形状の劣化や異物故障を防止でき、それに起因した傷発生が生じにくくなるので、好ましい。
なお、本発明の光学フィルムのロール体の包装形態においては、光学フィルムのロール体を、JIS Z 0208で規定される1日あたりの透湿度が5g/m以下である包装材料により包装することが好ましく、更に、透湿度が1g/m以下である包装材料により包装することがより好ましい。これにより、フィルムの保管及び輸送等の物流状態における保管時の劣化(巻き形状の劣化、フィルム同士の貼り付き故障の発生及び異物故障)をより一層抑えることができる。
なお、JIS Z 0208で規定される1日あたりの透湿度が5g/m以下、ないし1g/m以下である包装材料としては、例えばポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン系合成樹脂フィルムと、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル系合成樹脂フィルムとが積層された複合材料、またこれらのフィルムに、アルミニウム等の金属が蒸着されるか、若しくは金属の薄膜が接合されて積層されている複合材料等が挙げられる。これらの複合材料よりなる包装材料の厚さは、透湿性を維持する観点から1μm以上であることが好ましく、また剛性等取扱い上の観点から50μm以下であることが好ましい。そして、包装材料の透湿性は、複合材料の厚さにより変化するため、厚さを調整することで、包装材料の透湿性を適宜調整することができる。
特に、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン系合成樹脂フィルムと、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル系合成樹脂フィルムとが積層された複合材料、またこれらのフィルムに、アルミニウム等の金属が蒸着されるか、若しくは金属の薄膜が接合されて積層されている複合材料は、高い透湿防止性が得られる上に、材料が軽量であるため、取扱い上、特に好ましく利用することができる。
上記包装材料は、本発明の光学フィルムのロール体を少なくとも1重に巻くことで、前記効果を発現することができるが、2重以上巻いても良い。
このような態様により加熱処理工程を行うことで、フィルムが熱矯正され寸法変化率が低減し、遅相軸方向の寸法変化率L(θ)と遅相軸に直交する方向の寸法変化率L(θ+90)とが上記式(1)及び(2)を満たす第1の光学フィルムを得ることができる。
((ii)の加熱処理について)
上記(ii)の加熱処理においては、斜め延伸後に得られたフィルムを140〜170℃の温度条件下で120〜150Nの張力をかけながら、300〜600本の搬送ローラーを介し40〜600秒間かけて搬送させながら加熱処理する。
上記(ii)の加熱処理は、フィルムを上記張力で張架して上記温度範囲で加熱できる搬送ローラー群を有する装置であれば、いずれの構成の装置で行うものであっても良い。例えば、300〜600本の搬送ローラーを有する装置を用いて加熱処理を行うことが好ましい。
このような態様により加熱処理工程を行うことで、フィルムが熱矯正され、寸法変化率が低減する。これにより、遅相軸方向の寸法変化率L(θ)と遅相軸に直交する方向の寸法変化率L(θ+90)とが上記式(1)及び(2)を満たす第1の光学フィルムを得ることができる。
[2−5−2]溶融流延製膜法による方法
第1の光学フィルムを溶融流延製膜法で製造する場合には、樹脂及び可塑剤等の添加剤を含む組成物を、流動性を呈する温度まで加熱溶融し、その後、流動性のセルロースエステルを含む溶融物を流延する。
加熱溶融する成形法としては、更に詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法等に分類できる。これらの成形法の中では、機械的強度及び表面精度等の点から、溶融押出し法が好ましい。溶融押出し法に用いる複数の原材料は、通常、あらかじめ混錬してペレット化しておくことが好ましい。
ペレット化は、公知の方法を適用することができ、例えば、乾燥セルロースアシレートや可塑剤、その他添加剤をフィーダーで押出機に供給し、一軸や二軸の押出機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押し出し、水冷又は空冷し、カッティングすることで得ることができる。
添加剤は、押出機に供給する前に混合しておいても良く、あるいはそれぞれ個別のフィーダーで供給しても良い。なお、微粒子や酸化防止剤等の少量の添加剤は、均一に混合するため、事前に混合しておくことが好ましい。
ペレット化に用いる押出機は、剪断力を抑え、樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないように、ペレット化可能でなるべく低温で加工する方式が好ましい。例えば、二軸押出機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
以上のようにして得られたペレットを用いてフィルム製膜を行う。もちろんペレット化せず、原材料の粉末をそのままフィーダーに投入して押出機に供給し、加熱溶融した後、そのままフィルム製膜することも可能である。
上記ペレットを一軸や二軸タイプの押出機を用いて、押し出す際の溶融温度としては200〜300℃の範囲内とし、リーフディスクタイプのフィルター等で濾過して異物を除去した後、Tダイからフィルム状に流延し、冷却ローラーと弾性タッチローラーでフィルムをニップし、冷却ローラー上で固化させる。
供給ホッパーから押出機へ導入する際は、真空下又は減圧下や不活性ガス雰囲気下で行って、酸化分解等を防止することが好ましい。
押出し流量は、ギヤポンプを導入する等して安定に行うことが好ましい。また、異物の除去に用いるフィルターは、ステンレス繊維焼結フィルターが好ましく用いられる。ステンレス繊維焼結フィルターは、ステンレス繊維体を複雑に絡み合った状態を作り出した上で圧縮し、接触箇所を焼結して一体化したもので、その繊維の太さと圧縮量により密度を変え、濾過精度を調整できる。
可塑剤や微粒子等の添加剤は、あらかじめ樹脂と混合しておいても良いし、押出機の途中で練り込んでも良い。均一に添加するために、スタチックミキサー等の混合装置を用いることが好ましい。
冷却ローラーと弾性タッチローラーでフィルムをニップする際のタッチローラー側のフィルム温度は、フィルムのTg以上、Tg+110℃以下の範囲内とすることが好ましい。このような目的で使用する弾性体表面を有する弾性タッチローラーとしては、公知の弾性タッチローラーを使用することができる。弾性タッチローラーは、挟圧回転体ともいい、市販されているものを用いることもできる。
冷却ローラーからフィルムを剥離する際は、張力を制御してフィルムの変形を防止することが好ましい。
また、上記のようにして得られたフィルムは、冷却ローラーに接する工程を通過した後、上記横延伸工程及び斜め延伸工程により延伸処理を施す。
延伸する方法は、公知のローラー延伸機やテンター等を好ましく用いることができる。延伸温度は、通常フィルムを構成する樹脂のTg〜(Tg+60)℃の温度範囲で行われることが好ましい。
[3]第2の光学フィルム
本発明に係る第2の光学フィルムは、偏光子の他方の面に対向して設けられている。第2の光学フィルムは、長手方向又は幅手方向に延伸されていることが好ましく、その遅相軸と偏光子の吸収軸とが平行又は直交していることが好ましい。
第2の光学フィルムの材料としては、上記第1の光学フィルムと同様の材料を用いることができるため説明を省略するが、特に、セルロースアセテート又はセルロースアセテートプロピオネートであることが好ましい。
上記した以外の事項については、第1の光学フィルムと同様であるので、説明を省略する。
[4]その他の構成層
偏光板は、第1の光学フィルム及び第2の光学フィルムのうち視認側に配置される光学フィルムの視認側の面に、機能層を備えていても良い。当該機能層としては、例えば、紫外線硬化型樹脂等からなるハードコート層や、アンチグレア層が設けられる。
機能層として用いられるハードコート層又はアンチグレア層としては、例えば、特開2003−114333号公報、特開2004−203009号公報、2004−354699号公報、2004−354828号公報等記載のハードコート層又はアンチグレア層を用いることができる。
[4−1]ハードコート層
ハードコート層は、活性線硬化性化合物の硬化物を含有することが好ましく、活性線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられる。活性線硬化性化合物としては、紫外線硬化性化合物や電子線硬化性化合物が挙げられるが、紫外線照射により硬化する化合物が、機械的膜強度(耐擦傷性、鉛筆硬度)に優れる点から好ましい。
紫外線硬化性化合物としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、又は紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも紫外線硬化型アクリレート系樹脂が好ましい。
ハードコート層のドライ層厚としては、平均層厚0.01〜20μmの範囲、好ましくは0.5〜10μmの範囲である。より好ましくは、0.5〜5μmの範囲である。
ハードコート層の塗布方法は、例えば、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等の公知の方法を用いることができる。ハードコート層組成物塗布後、乾燥し、活性線を照射(UV硬化処理ともいう))して硬化し、更に必要に応じて、硬化後に加熱処理しても良い。
[4−2]アンチグレア層
アンチグレア層は、フィルム基材の表面に反射した像や外光の輪郭をぼかす層であり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイといった画像表示装置等の使用時に、外光や反射像の映り込みが気にならないようにする機能層である。当該アンチグレア層はハードコート層を兼ねても良い。
アンチグレア層は、前述のハードコート層に用いられる活性線硬化性樹脂中に、下記微粒子を添加して分散させることによって形成することが好ましい。微粒子としては、例えば、無機微粒子や有機微粒子といった微粒子が挙げられ、無機微粒子としては、例えば、酸化ケイ素、酸化マグネシウム又は炭酸カルシウム等を挙げることができる。また、有機粒子としては、例えば、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末又はメラミン系樹脂粉末等を挙げることができる。
アンチグレア層の算術平均粗さRa(JIS B0601:1994)は、0.3〜1.5μmの範囲内であることが防眩性を付与する観点から好ましく、更に好ましくは0.35〜1.3μmの範囲内であり、特に好ましくは0.5〜1.3μmの範囲内である。上記範囲内であれば、防眩性とアンチグレア層の滑り性を満足し、薄膜でも高硬度(4H以上)なアンチグレア層が得られるため好ましい。
《偏光板の製造方法》
本発明に第1の係る光学フィルムは、斜め延伸されることによって遅相軸と偏光子の吸収軸との角度θが30〜60°の範囲内であり、透過軸(又は吸収軸)が長手方向にある長尺状の偏光子とロールtoロールで貼合することで、長尺状の偏光板を形成することができる。
上記第1の光学フィルムの加熱処理工程にて、(ii)の加熱処理を行う場合には、本発明の偏光板の製造方法は、第1の光学フィルムのエンボス部を除去する工程を更に有することが好ましい。
当該偏光板は、偏光子を本発明に係る第1の光学フィルム及び第2の光学フィルムによって挟持されることが好ましい。
光学フィルムと偏光子との貼り合わせは、特に限定はないが、当該光学フィルムをケン化処理した後、完全ケン化型のポリビニルアルコ−ル系接着剤を用いて行うことができる。また、活性エネルギー線硬化性接着剤等を用いて貼り合わせることもできるが、得られる接着剤層の弾性率が高く、偏光板の変形を抑制しやすい点等から、光硬化性接着剤を用いる貼り合わせであることが好ましい。
光硬化性接着剤の好ましい例としては、特開2011−028234号公報に開示されているような、(α)カチオン重合性化合物、(β)光カチオン重合開始剤、(γ)380nmより長い波長の光に極大吸収を示す光増感剤、及び(δ)ナフタレン系光増感助剤の各成分を含有する光硬化性接着剤組成物が挙げられる。ただし、これ以外の光硬化性接着剤が用いられても良い。
以下、光硬化性接着剤を用いた偏光板の製造方法の一例を説明する。偏光板は、(1)光学フィルムの偏光子を接着する面を易接着処理する前処理工程、(2)偏光子と光学フィルムとの接着面のうち少なくとも一方に、下記の光硬化性接着剤を塗布する接着剤塗布工程、(3)得られた接着剤層を介して偏光子と光学フィルムとを貼り合せる貼合工程、及び(4)接着剤層を介して偏光子と光学フィルムとが貼り合わされた状態で接着剤層を硬化させる硬化工程、を含む製造方法によって製造することができる。(1)の前処理工程は、必要に応じて実施すれば良い。
(前処理工程)
前処理工程では、光学フィルムの、偏光子との接着面に易接着処理を行う。偏光子の両面にそれぞれ光学フィルムを接着させる場合は、それぞれの光学フィルムの、偏光子との接着面に易接着処理を行う。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。
(接着剤塗布工程)
接着剤塗布工程では、偏光子と光学フィルムとの接着面のうち少なくとも一方に、上記光硬化性接着剤を塗布する。偏光子又は光学フィルムの表面に直接光硬化性接着剤を塗布する場合、その塗布方法に特別な限定はない。例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター等、種々の塗工方式が利用できる。また、偏光子と光学フィルムの間に、光硬化性接着剤を流延させた後、ローラー等で加圧して均一に押し広げる方法も利用できる。
(貼合工程)
こうして光硬化性接着剤を塗布した後、貼合工程に供される。この貼合工程では、例えば、先の塗布工程で偏光子の表面に光硬化性接着剤を塗布した場合、そこに光学フィルムが重ね合わされる。先の塗布工程で光学フィルムの表面に光硬化性接着剤を塗布した場合は、そこに偏光子が重ね合わされる。また、偏光子と光学フィルムの間に光硬化性接着剤を流延させた場合は、その状態で偏光子と光学フィルムとが重ね合わされる。偏光子の両面に光学フィルムを接着する場合であって、両面とも光硬化性接着剤を用いる場合は、偏光子の両面にそれぞれ、光硬化性接着剤を介して光学フィルムが重ね合わされる。そして通常は、この状態で両面側からロール等で挟んで加圧することになる。ロールの材質は、金属やゴム等を用いることが可能である。両面に配置されるローラーは、同じ材質であっても良いし、異なる材質であっても良い。
(硬化工程)
硬化工程では、未硬化の光硬化性接着剤に活性エネルギー線を照射して、エポキシ化合物やオキセタン化合物を含む接着剤層を硬化させる。それにより、光硬化性接着剤を介して重ね合わせた偏光子と光学フィルムとを接着させる。偏光子の両面に光学フィルムを貼合するため、偏光子の両面にそれぞれ光硬化性接着剤を介して光学フィルムを重ね合わせた状態で、いずれか一方の光学フィルム側から活性エネルギー線を照射し、両面の光硬化性接着剤を同時に硬化させるのが有利である。
活性エネルギー線としては、可視光線、紫外線、X線、電子線等を用いることができ、取扱いが容易で硬化速度も十分であることから、一般的には、電子線又は紫外線が好ましく用いられる。
電子線の照射条件は、前記接着剤を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。例えば、電子線照射は、加速電圧が好ましくは5〜300kVの範囲内であり、更に好ましくは10〜250kVの範囲内である。加速電圧が5kV未満の場合、電子線が接着剤まで届かず硬化不足となるおそれがあり、加速電圧が300kVを超えると、試料を通る浸透力が強すぎて電子線が跳ね返り、透明光学フィルムや偏光子にダメージを与えるおそれがある。照射線量としては、5〜100kGyの範囲内、更に好ましくは10〜75kGyの範囲内である。照射線量が5kGy未満の場合は、接着剤が硬化不足となり、100kGyを超えると、透明光学フィルムや偏光子にダメージを与え、機械的強度の低下や黄変を生じ、所定の光学特性を得ることができない。
紫外線の照射条件は、前記接着剤を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。紫外線の照射量は積算光量で50〜1500mJ/cmの範囲内であることが好ましく、100〜500mJ/cmの範囲内であるのが更に好ましい。
以上のようにして得られた偏光板において、接着剤層の厚さは、特に限定されないが、通常0.01〜10μmの範囲内であり、好ましくは0.5〜5μmの範囲内である。
《液晶表示装置》
図3は、本実施形態の液晶表示装置10の概略の構成を示す断面図である。液晶表示装置10は、液晶セル11と、液晶セル11に対して視認側に配置される偏光板12と、液晶セル11に対して視認側とは反対側に配置される偏光板13と、偏光板13に対して視認側とは反対側に配置されるバックライト14と、偏光板12に対して視認側に配置される前面板15と、を備えている。液晶セル11は、一対の基板で液晶層を挟持して構成されている。この液晶セル11は、マトリクス状に配置される複数の画素を有しており、各画素の駆動をTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子によってON/OFFすることにより、表示を行う。
前面板15は、液晶表示装置10の外装カバーとなるものであり、ガラスや樹脂(例えばアクリル)からなる透明基板、又はタッチパネルモジュールである。前面板15と偏光板12との間には、例えば紫外線硬化型樹脂からなる充填材(図示略)が充填されていることが好ましい。充填材が設けられていることで、前面板15と偏光板12との間に空気層が形成されることを防止し、前面板15と空気層との界面及び偏光板12と空気層との界面での光の反射を抑制して表示画像の視認性を向上させることができる。
偏光板12は、上記した本発明の偏光板が用いられ、所定の直線偏光を透過する偏光子21と、偏光子21に対して視認側に、接着層等を介して配置される第1の光学フィルム22と、更にその視認側に配置される機能層23とを有している。上記の機能層23は、例えば紫外線硬化型樹脂からなるハードコート層や、アンチグレア層で構成される。また、偏光板12は、偏光子21に対して液晶セル11側に、接着層等を介して配置される第2の光学フィルム24を有している。
偏光子21は、例えばポリビニルアルコールフィルムを二色性色素で染色し、高倍率延伸することで得られるものである。偏光子21は、アルカリ処理(ケン化処理ともいう。)された後、その一方の面側に第1の光学フィルム22が接着層等を介して貼り合わされ、他方の面側に第2の光学フィルム24が接着層等を介して貼り合わされる。
接着層は、例えばポリビニルアルコール接着剤(PVA接着剤、水糊)からなる層であるが、紫外線硬化型の接着剤(UV接着剤)からなる層であっても良い。これらの接着剤は、接着面に塗布する状態では液体であり、塗布後に乾燥又は紫外線照射によって硬化することで、2者を接着する。つまり、接着層は、液状からの状態変化によって、偏光子21と第1の光学フィルム22、偏光子21と第2の光学フィルム24とをそれぞれ接着する。このように、接着層は、液状からの状態変化によって2者を接着する点で、そのような状態変化を起こさずに2者を接着する粘着層(基材の上に粘着剤を有するシート状の粘着層)とは異なっている。
接着層の層厚は、0.1μm超5μm以下の範囲内であることが望ましい。この場合、アクリル系の粘着剤(厚さ10μm程度)を用いる構成に比べて、偏光板12を容易に薄型化することができる。
第1の光学フィルム22は、透過光に対して波長の1/4程度の面内位相差を付与する層であって、斜め延伸が施された厚さ20〜60μmのセルロースエステルフィルムで構成されていることが好ましい。第1の光学フィルム22の遅相軸と偏光子21の吸収軸とのなす角度(交差角度)θは、30〜60°の範囲内であり、これによって、偏光子21からの直線偏光は、第1の光学フィルム22によって円偏光又は楕円偏光に変換される。
機能層23をハードコート層で構成する場合、このハードコート層によって偏光板12の表面を保護することができる。ハードコート層としては、紫外線吸収機能を持つ有機化合物を含んでいても良い。このような有機化合物(有機UV吸収剤)としては、例えばチヌビン928(BASFジャパン株式会社製)を用いることができる。
第2の光学フィルム24は、膜厚20〜60μmのセルロースエステルフィルムであり、偏光子21の裏面側を保護するフィルムとして設けられている。なお、第2の光学フィルム24は、所望の光学補償機能を有する位相差フィルムを兼ねた光学フィルムとして設けられても良い。
偏光板13は、所定の直線偏光を透過する偏光子31と、偏光子31に対して視認側(液晶セル11側)に、接着層を介して配置される光学フィルム32と、偏光子31に対して視認側とは反対側(バックライト側)に、接着層を介して配置される光学フィルム33とを有している。偏光子21、31は、クロスニコル状態となるように配置されている。なお、偏光子31及び光学フィルム32、33の構成材料としては、それぞれ、偏光子21及び第2の光学フィルム24と同じものを用いることができる。
上記のように、視認側の偏光板12において、偏光子21の両側に位置する第1の光学フィルム22及び第2の光学フィルム24は、両方とも、膜厚20〜60μmの薄膜からなるセルロースエステルフィルムであり、かつ、偏光子21の視認側には、斜め延伸が施された第1の光学フィルム22が配置されているので、第1の光学フィルム22及び第2の光学フィルム24が吸収する水分のバラツキによる偏光板12の反りを効果的に抑えることができる。
また、第1の光学フィルム22に対して視認側に、機能層23としてハードコート層又はアンチグレア層が設けられているので、この機能層23によって偏光板12の表面を保護したり、防眩機能を発揮させたりすることができる。
なお、第1の光学フィルム22の偏光子21側の面には、第1の光学フィルム22の接着性を向上させるための易接着層が設けられても良い。易接着層は、第1の光学フィルム22の当該面に易接着処理を行うことによって形成される。易接着処理としては、コロナ(放電)処理、プラズマ処理、フレーム処理、イトロ処理、グロー処理、オゾン処理、プライマー塗布処理等があるが、このうち少なくとも1種が実施されれば良い。これらの易接着処理のうち、生産性の観点からは、コロナ処理、プラズマ処理が易接着処理として好ましい。
なお、偏光板12において、機能層23の上にオーバーコート層が形成されていても良い。オーバーコート層は、上記したハードコート層と同様の活性エネルギー線硬化型樹脂(例えば紫外線硬化型樹脂)で構成されることが好ましい。このように、機能層23の上にオーバーコート層を設けることにより、機能層23の表面を保護することができる。
また、オーバーコート層及び機能層23がともにハードコート層であれば、第1の光学フィルム22の片側にハードコート層が2層形成されていることになるので、偏光板12の表面保護を確実に図ることができる。更に、実質的に紫外線吸収機能を持つ有機化合物を含まないか、紫外線吸収機能を持つ有機化合物の含有量(質量%)が機能層23よりも少ないハードコート層でオーバーコート層を構成することが好ましい。この場合、機能層23に含まれる、紫外線吸収機能を持つ有機化合物が外部へ溶出することをより抑制することが可能となる。
《有機EL表示装置》
図4は、本実施形態の有機EL表示装置50の概略の構成を示す断面図である。有機EL表示装置50は、有機EL発光素子51と、有機EL発光素子51に対して視認側に配置される偏光板52と、偏光板52に対して視認側に配置される前面板53と、を備えている。有機EL発光素子51は、ガラスやポリイミド等を用いた基板上に順に金属電極、TFT、有機発光層、透明電極(ITO等)、絶縁層、封止層を有する。
偏光板52及び前面板53は、上記した液晶表示装置10の偏光板12及び前面板15と同様に構成されているものであるが、有機EL表示装置50においては、偏光板52の第1の光学フィルム62が偏光子61よりも有機EL発光素子51側に配置され、第2の光学フィルム64が偏光子61よりも視認側に配置されているものである。また、機能層63が第2の光学フィルム64の視認側に配置されている点で、上記液晶表示装置10とは構成が異なる。
一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に金属電極と有機発光層と透明電極とを順に積層して発光体である素子(有機EL素子)を具備している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、及び電子注入層の積層体等、種々の組み合わせの構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物質を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明であることが必要であり、通常、酸化インジウムスズ(ITO)等の透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いていることが好ましい。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要であり、通常Mg−Ag、Al−Li等の金属電極を用いている。
本発明の偏光板は、画面サイズが20インチ以上、すなわち対角線距離が50.8cm以上の大型画面からなる有機EL表示装置に適用することができる。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度と極めて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL画像表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機EL素子を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側(視認側)に円偏光板を設けることで、それを通過する光が、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、円偏光板によって再び直線偏光となるため、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
[実施例1]
《偏光板101の作製》
<第1の光学フィルムの作製>
下記の方法に従って、セルロースエステルフィルムからなる第1の光学フィルム(λ/4フィルム)を作製した。
(微粒子分散液の調製)
微粒子(アエロジルR972V 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
(微粒子添加液の調製)
以下の組成に基づいて、メチレンクロライドを入れた溶解タンクに充分撹拌しながら、上記微粒子分散液をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
微粒子分散液 5質量部
(主ドープ)
下記組成の主ドープを調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースアセテートを撹拌しながら投入した。これを加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープを調製した。なお、下記糖エステル及び下記ポリエステルは、以下の合成例により合成した化合物を用いた。
〈主ドープの組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.50、プロピオニル基置換度0.90、総置換度2.40、重量平均分子量22万)(CAP) 100質量部
糖エステル 5.0質量部
ポリエステル 5.0質量部
微粒子添加液 1質量部
(糖エステルの合成)
以下の工程により、糖エステルを合成した。
Figure 2015159679
撹拌装置、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖34.2g(0.1モル)、無水安息香酸180.8g(0.6モル)、ピリジン379.7g(4.8モル)を仕込み、撹拌下に窒素ガス導入管から窒素ガスをバブリングさせながら昇温し、70℃で5時間エステル化反応を行った。
次に、コルベン内を4×10Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。
最後に、分取したトルエン層に水100gを添加し、常温で30分間水洗後、トルエン層を分取し、減圧下(4×10Pa以下)、60℃でトルエンを留去させ、化合物A−1、A−2、A−3、A−4及びA−5の混合物(糖エステル)を得た。
得られた混合物をHPLC及びLC−MASSで解析したところ、A−1が1.3質量%、A−2が13.4質量%、A−3が13.1質量%、A−4が31.7質量%、A−5が40.5質量%であった。平均置換度は5.5であった。
(HPLC−MSの測定条件)
1)LC部
装置:日本分光(株)製カラムオーブン(JASCO CO−965)、ディテクター(JASCO UV−970−240nm)、ポンプ(JASCO PU−980)、デガッサ−(JASCO DG−980−50)
カラム:Inertsil ODS−3 粒子径5μm 4.6×250mm(ジーエルサイエンス(株)製)
カラム温度:40℃
流速:1ml/min
移動相:THF(1%酢酸):HO(50:50)
注入量:3μl
2)MS部
装置:LCQ DECA(Thermo Quest(株)製)
イオン化法:エレクトロスプレーイオン化(ESI)法
Spray Voltage:5kV
Capillary温度:180℃
Vaporizer温度:450℃
(ポリエステルの合成)
以下の工程により、ポリエステルを合成した。
1,2−プロピレングリコール251g、無水フタル酸278g、アジピン酸91g、安息香酸610g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温する。15時間脱水縮合反応させ、反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、ポリエステルを得た。ポリエステルは、1,2−プロピレングリコール、無水フタル酸及びアジピン酸が縮合して形成されたポリエステル鎖の末端に安息香酸のエステルを有する。ポリエステルの酸価は0.10、数平均分子量は450であった。
(長尺フィルムの作製)
次いで、無端ベルト流延装置を用い、ステンレスベルト支持体上に均一に流延した。
無端ベルト流延装置では、上記主ドープをステンレススティールベルト支持体上に均一に流延した。ステンレススティールベルト支持体上で、流延(キャスト)した長尺フィルム中の溶媒を蒸発させ、ステンレススティールベルト支持体上から剥離した(流延工程)。得られたフィルムを乾燥させて残留溶媒量を10質量%にした後、テンターを用いて、170℃の条件で幅手方向の元幅に対して1.15倍の延伸倍率で延伸した(横延伸工程)。
その後搬送させ、図1で示した製造装置を用いて、配向角θが45°となるように、延伸温度185℃、延伸倍率1.7倍として長尺フィルムを斜め延伸して、長尺斜め延伸フィルムを作製した(斜め延伸工程)。
更に、上記した(i)又は(ii)の加熱処理を行うことで加熱処理工程を行った。
(i)の加熱処理を行う場合には、作製したフィルムの端部に対して180〜220℃の範囲内でエンボス加工を施した後に、ロール状に巻き取った状態で、60〜80℃、20%RH以下の条件で3〜5日間加熱処理する。
表1において、加熱処理(i)−1は、220℃でエンボス加工を行い、ロール状に巻き取ったフィルムを防湿シートで3重に巻いて覆い、60℃20%RHの条件で3日間加熱処理するものである。また、加熱処理(i)−2は、180℃でエンボス加工を行い、ロール状に巻き取ったフィルムを防湿シートで2重に巻いて覆い、80℃5%RHの条件で5日間加熱処理するものである。また、加熱処理(i)−3は、170℃でエンボス加工を行い、ロール状に巻き取ったフィルムを防湿シートで1重に巻いて覆い、50℃20%RHの条件で2日間加熱処理するものである(比較例)。
なお、防湿シートとしては、厚さ30μmのポリエチレン樹脂フィルムにアルミニウムが蒸着されているフィルムを用いた。
(ii)の加熱処理を行う場合には、作製したフィルムを搬送ローラーにより張力120〜150Nで搬送しながら、搬送ローラーを介してフィルムを140〜170℃で40〜600秒間加熱処理する。
表1において、加熱処理(ii)−1は、500本の搬送ローラーにより張力120Nで搬送しながら、フィルムを140℃で600秒間加熱するものである。また、加熱処理(ii)−2は、500本の搬送ローラーにより張力120Nで搬送しながら、フィルムを170℃で40秒間加熱するものである。また、加熱処理(ii)−3は、200本の搬送ローラーにより張力100Nで搬送しながら、フィルムを120℃で200秒間加熱するものである(比較例)。
偏光板101の作製においては、加熱処理工程として(ii)−1の加熱処理を行った。当該加熱処理工程を行うことで、第1の光学フィルムとして、3000mのロール状のフィルムを得た。このフィルムの厚さは60μmであった。
<第2の光学フィルムの作製>
下記の方法に従って、セルロースエステルフィルムからなる第2の光学フィルムを作製した。
(微粒子分散希釈液の調製)
10質量部のアエロジルR812(日本アエロジル社製、一次平均粒子径:7nm、見掛け比重50g/L)と、90質量部のエタノールとをディゾルバーで30分間撹拌混合した後、高圧分散機であるマントンゴーリンを用いて分散させて、微粒子分散液を調製した。
得られた微粒子分散液に、88質量部のジクロロメタンを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合して、希釈した。得られた溶液をアドバンテック東洋社製ポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1Nで濾過して、微粒子分散希釈液を得た。
(インライン添加液の調製)
100質量部のジクロロメタンに、36質量部の前記作製した微粒子分散希釈液を撹拌しながら加えて30分間更に撹拌した後、6質量部のジアセチルセルロース(アセチル基置換度2.32、重量平均分子量27万)を撹拌しながら加えて60分間更に撹拌した。得られた溶液を、日本精線(株)製ファインメットNFで濾過して、インライン添加液を得た。濾材は、公称濾過精度20μmのものを用いた。
(ドープの調製)
下記成分を密閉容器に投入し、加熱及び撹拌しながら完全に溶解させた。得られた溶液を、リーフディスクフィルターを装着した濾過器にて、温度40℃(ジクロロメタンの沸点+10℃)で濾過して、主ドープを得た。濾材は、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用した。
〈主ドープの組成〉
ジアセチルセルロース(アセチル基置換度:2.32、重量平均分子量27万)
70質量部
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度:1.55、プロピオニル基置換度0.91、総アシル基置換度2.46、重量平均分子量28万) 30質量部
リターデーション上昇剤 4質量部
糖エステル(ベンジルサッカロース、平均エステル置換度5.5) 11質量部
ジクロロメタン 430質量部
メタノール 11質量部
100質量部の主ドープと、インライン添加液2.5質量部とを、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分に混合して、ドープを得た。
上記のリターデーション上昇剤としては、以下の化合物を使用した。
Figure 2015159679
(製膜・延伸・乾燥)
得られたドープを、ベルト流延装置を用いてステンレスバンド支持体上に、ドープの液温度35℃、幅1.95mの条件で、最終膜厚が33μmとなる条件で均一に流延させた。ステンレスバンド支持体上で、得られたドープ膜中の有機溶媒を、残留溶媒量が100質量%になるまで蒸発させてウェブを形成した後、ステンレスバンド支持体からウェブを剥離した。得られたウェブを、40℃で更に30秒間予備乾燥させて残留溶媒量を5質量%にした後、ウェブをテンターで、160℃の条件でTD方向の元幅に対して1.35倍に延伸した。
テンターで延伸後、130℃で5分間緩和を行った後、乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送させながら乾燥を終了させた。乾燥温度は130℃で、搬送張力は100N/mとした。得られたフィルムを、1.6m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mmで高さ5μmのナーリング加工を施し、初期張力220N/m、終張力110N/mで内径15.24cmのコアに巻き取り、長さ4000m、乾燥膜厚33μmのセルロースエステルフィルムを第2の光学フィルムとして得た。得られた第2の光学フィルムの面内方向のリターデーション値Ro(550)は50nm、膜厚方向のリターデーション値Rt(550)は130nmであった。
<偏光板の作製>
上記のようにして得られた第1の光学フィルム及び第2の光学フィルムを、偏光子の両面に貼り合わせて、偏光板を作製した。
(偏光子の作製)
特許第4691205号実施例1を参考にして下記偏光子を作製した。
非晶性PET基材に7μm厚のPVA層が製膜された積層体を延伸温度130℃の空中補助延伸によって延伸積層体を作製し、次に、延伸積層体をヨウ素、ヨウ化カリウムによって染色して着色積層体を作製し、更に着色積層体を延伸温度65度のホウ酸水中延伸によって総延伸倍率が5.94倍になるように非晶性PET基材と一体に延伸された3μm厚のPVA層を含む光学フィルム積層体(偏光子)を得た。非晶性PET基材は偏光子を光学フィルムと貼り合わせた後剥離して、PVA層(偏光膜)のみ使用した。
(光硬化性接着剤の調製)
下記成分を混合した後、脱泡して、光硬化性接着剤を調製した。なお、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートは、50%プロピレンカーボネート溶液として配合し、下記にはトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートの固形分量を表示した。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート 45質量部
エポリードGT−301(ダイセル化学社製の脂環式エポキシ樹脂) 40質量部
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル 15質量部
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート 2.3質量部
9,10−ジブトキシアントラセン 0.1質量部
1,4−ジエトキシナフタレン 2.0質量部
(偏光子及び光学フィルムの貼り合わせ)
第1の光学フィルム上に、上記調製した光硬化性接着剤を、マイクログラビアコーターを用いて乾燥厚さが5μmになるように塗布して、光硬化性接着剤層を形成した。塗布は、グラビアローラ#300、回転速度140%/ライン速度の条件で行った。
同様に、第2の光学フィルム上に、上記調製した光硬化性接着剤を、乾燥厚さ2μmとなるように塗布して光硬化性接着剤層を形成した。
上記作製した偏光子の一方の面に、光硬化性接着剤層が形成された第1の光学フィルムを配置し、他方の面に、光硬化性接着剤層が形成された第2の光学フィルムを配置して、第1の光学フィルム/光硬化性接着剤層/偏光子/光硬化性接着剤層/第2の光学フィルムの積層物を得た。得られた積層物を、ローラー機で長手方向を合わせるようにして、ロールtoロール方式で貼り合わせた。貼り合わせた結果、第1の光学フィルムの遅相軸は偏光子の吸収軸に対して45°斜め方向に貼合され、第2の光学フィルムの遅相軸は偏光子の吸収軸に対して平行に貼合された。
貼り合わせた積層物の両面側から、電子線を照射して、光硬化性接着剤層を硬化させて積層体を得た。ライン速度は20m/min、加速電圧は250kV、照射線量は20kGyとした。
更に、下記組成のアンチグレア層用組成物を調製し、上記作製した積層体の第1の光学フィルムの表面(視認側の面)に、アンチグレア層用組成物を硬化後の膜厚5.0μmとなるようグラビアリバースコーターにより塗布した。これを70℃のオーブンで60秒間乾燥させた後、紫外線を照射量が120mJ/cmとなるように照射して塗膜を硬化させ、機能層としてのアンチグレア層を形成した。
バインダー樹脂(ペンタエリスリトールテトラアクリレート、日本化薬製)
40質量部
バインダー樹脂(ウレタンアクリレート、UV1700B、日本合成化学製)
60質量部
有機微粒子(スチレン−アクリル共重合体、XX245C、平均粒子径2μm、屈折率:1.515、積水化成品販売社製) 4質量部
タルク(ナノタルクD−1000、平均粒子径1μm、日本タルク社製) 3質量部
レベリング剤(ポリエーテル変性シリコーンオイル、TSF4460、モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ社製) 0.04質量部
重合開始剤(Irg184、BASFジャパン社製) 6質量部
溶剤(トルエン) 60質量部
溶剤(シクロヘキサノン) 40質量部
このようにして、偏光板101を作製した。
《偏光板102〜113の作製》
上記偏光板101の作製において、第1の光学フィルムの偏光子の吸収軸に対する遅相軸の交差角度θを表1に記載の値に変更し、加熱処理工程を表1に記載の方法に変更した以外は同様にして、偏光板102〜113を作製した。
《偏光板114の作製》
上記偏光板101の作製において、偏光子に第2の光学フィルムを貼合する際に、第2の光学フィルムの遅相軸が偏光子の吸収軸に対して直交するように貼合した以外は同様にして、偏光板114を作製した。
《偏光板101〜114の評価》
上記作製した偏光板101〜114に対して以下の評価を行った。下記(3)〜(6)の評価については、あらかじめ偏光板101〜114を用いて下記のようにして液晶表示装置及び有機EL表示装置を作製し、当該表示装置を用いて評価を行ったものである。各評価結果を表1に示す。
(液晶表示装置の作製)
市販の20インチのVAモード液晶表示装置から視認側の偏光板を剥がし、上記作製した偏光板101〜114を液晶セルの基板面に貼合して、液晶表示装置を作製した。その際、偏光板101〜114の貼合は、あらかじめ貼合されていた視認側の偏光板と吸収軸が同一方向となるように行った。このとき、偏光板101〜114の第2の光学フィルムが液晶セル側となるように、偏光板101〜114を配置した。
(有機EL表示装置の作製)
偏光板101〜114を用いて、特開2013−109869の段落[0180]〜[0186]と同様の方法で有機EL表示装置を作製した。このとき、偏光板101〜114の第1の光学フィルムが有機EL発光素子側となるように、偏光板101〜114を配置した。
(1)第1の光学フィルムの加熱処理工程前後の寸法変化率の測定
上記「第1の光学フィルムの寸法変化率」に記載の測定方法により、各偏光板101〜114に用いられた第1の光学フィルムの加熱処理工程前後について、それぞれL(θ)、L(θ+90)、L(MD)及びL(TD)を測定した。測定結果から、L(θ)/L(θ+90)及びL(MD)/L(TD)のそれぞれの値を算出した。
(2)第1の光学フィルムの光学値の測定
偏光板101〜114に用いられる第1の光学フィルムのリターデーション値Ro、Rtを、自動複屈折率計KOBRA−21AWR(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃・55%RHの環境下で、各波長での複屈折率測定により算出した。
(3)液晶表示装置に搭載した場合の画像のゆがみ
作製した液晶表示装置を40℃90%RHの条件に100時間置いた後に、23℃55%RHの条件に置き、液晶表示装置を次のようにして観察した。
すなわち、液晶表示装置を床から80cmの高さの机上に、表示画面が鉛直方向上向きとなるように配置し、床から3mの高さの天井部に、昼色光直管蛍光灯(FLR40S・D/M−X パナソニック株式会社製)40W×2本を1セットとして、1.5m間隔で10セット配置した。この場合、評価者が液晶表示装置の表示画面の正面にいるときに、評価者の頭上より後方に向けて天井部に蛍光灯が位置するように配置した。
液晶表示装置をこのように配置した上で、液晶表示装置の表示画面を観察し、下記の基準で評価した。
◎:蛍光灯が真っ直ぐに見える
○:蛍光灯が若干曲がったように見えるところがある
△:蛍光灯が曲がって見える
×:蛍光灯が大きくうねって見える
(4)液晶表示装置に搭載した場合の画面の視認性
上記のような液晶表示装置のサンプルを、各偏光板101〜114につき、20個ずつ作製した。そして、耐久試験として、液晶表示装置の各サンプルを40℃90%RHで100時間置いた後に、偏光顕微鏡を用いて画面中心部と画面周辺部とで視認性の差異を観察した。その結果を下記の基準で評価した。
◎:周辺部輝度アップ(視認性劣化)が、サンプル20個中で0個であった
○:周辺部輝度アップ(視認性劣化)が、サンプル20個中で1〜2個であった
△:周辺部輝度アップ(視認性劣化)が、サンプル20個中で3〜5個であった
×:周辺部輝度アップ(視認性劣化)が、サンプル20個中で6個以上であった
(5)有機EL表示装置に搭載した場合の装置のゆがみ
作製した有機EL表示装置を40℃90%RHの条件に100時間置いた後に、23℃55%RHの条件に置き、有機EL表示装置を次のようにして観察した。
すなわち、有機EL表示装置を床から80cmの高さの机上に、表示画面が鉛直方向上向きとなるように配置し、床から3mの高さの天井部に、昼色光直管蛍光灯(FLR40S・D/M−X パナソニック株式会社製)40W×2本を1セットとして、1.5m間隔で10セット配置した。この場合、評価者が有機EL表示装置の表示画面の正面にいるときに、評価者の頭上より後方に向けて天井部に蛍光灯が位置するように配置した。
有機EL表示装置をこのように配置した上で、有機EL表示装置の表示画面を観察し、下記の基準で評価した。
◎:蛍光灯が真っ直ぐに見える
○:蛍光灯が若干曲がったように見えるところがある
△:蛍光灯が曲がって見える
×:蛍光灯が大きくうねって見える
(6)有機EL表示装置に搭載した場合の画面の視認性
作製した有機EL表示装置を40℃90%RHの条件に100時間置いた後に、23℃55%RHの条件に置き、有機EL表示装置を観察した。その結果を下記の基準で評価した。
◎:作製したEL表示装置を見たときに、自分や背景の画像が全く見えない
○:作製したEL表示装置を見たときに、自分や背景の画像が余り見えない
△:作製したEL表示装置を見たときに、表示装置の画像とともに自分や背景の画像が見えるが実害性は低い
×:作製したEL表示装置を見たときに、表示装置の画像とともに自分や背景の画像がはっきり見え、実害性がある
Figure 2015159679
表1に示されるように、第1の光学フィルムの遅相軸方向の寸法変化率L(θ)と遅相軸に直交する方向の寸法変化率L(θ+90)とが上記式(1)及び(2)を満たす本発明の偏光板101〜104、109〜112、114は、液晶表示装置又は有機EL表示装置に搭載した場合に、当該装置のゆがみの発生が抑制されており、視認性も良好であった。したがって、本発明の偏光板は、物理的なゆがみの発生が抑制されており、これにより上記のような結果が得られたものと考えられる。
このような本発明の偏光板を得るためには、斜め延伸工程の後に、フィルムの端部に対して180〜220℃の範囲内でエンボス加工を施した後に、ロール状に巻き取った状態で、60〜80℃、20%RH以下の条件で3〜5日間加熱処理する加熱処理(i)、又は、搬送ローラーによりフィルムを張力120〜150Nで搬送しながら、搬送ローラーを介して当該フィルムを140〜170℃で40〜600秒間加熱処理する加熱処理(ii)を行うことが好ましいことが分かった。
これに対し、第1の光学フィルムの遅相軸方向の寸法変化率L(θ)と遅相軸に直交する方向の寸法変化率L(θ+90)とが上記式(1)及び(2)を満たしていない比較例の偏光板105〜107は、液晶表示装置又は有機EL表示装置に搭載した場合に、当該装置にゆがみが発生しており、表示画面の視認性が低い。これは、比較例の偏光板が、高湿環境下に晒されることで物理的なゆがみを発生し、液晶表示装置又は有機EL表示装置にもゆがみを発生させたためと考えられる。
なお、第1の光学フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸との交差角度が30〜60°の範囲内にない比較例の偏光板108、113は、表示画面の視認性が低い結果となっている。
[実施例2]
《偏光板201〜205の作製》
上記実施例1における偏光板101の作製において、第1の光学フィルム作製時の横延伸工程及び斜め延伸工程の方法を、表2に記載の方法に変更した以外は同様にして、偏光板201〜205を作製した。
なお、表2においては、横延伸工程において、流延工程で得られたフィルムを乾燥させて残留溶媒量を10質量%にした後、170℃の条件で幅手方向の元幅に対して1.15倍の延伸倍率で延伸した場合を「方法A1」、流延工程で得られたフィルムを乾燥させて残留溶媒量を10質量%にした後、150℃の条件で幅手方向の元幅に対して1.10倍の延伸倍率で延伸した場合を「方法A2」、流延工程で得られたフィルムを乾燥させて残留溶媒量を20質量%にした後、135℃の条件で幅手方向の元幅に対して1.07倍の延伸倍率で延伸した場合を「方法A3」、流延工程で得られたフィルムを乾燥させて残留溶媒量を1質量%にした後、130℃の条件で幅手方向の元幅に対して1.05倍の延伸倍率で延伸した場合を「方法A4」、横延伸工程自体を行っていない場合を「なし」として示している。
また、表2において、斜め延伸工程において、延伸温度185℃、延伸倍率1.7倍としてフィルムを斜め延伸した場合を「方法B1」、延伸温度175℃、延伸倍率1.8倍としてフィルムを斜め延伸した場合を「方法B2」として示している。
《偏光板201〜205の評価》
上記作製した偏光板201〜205に対して、実施例1と同様にして、第1の光学フィルムの加熱処理工程前後の寸法変化率、第1の光学フィルムの光学値、液晶表示装置に搭載した場合の装置のゆがみ、画面の視認性、有機EL表示装置に搭載した場合の装置のゆがみ、画面の視認性について評価を行った。更に、作製した偏光板201〜205に対して、下記のようにして偏光板収率の評価も行った。評価結果を表2に示す。なお、表2には、上記実施例1における偏光板101の評価結果も併せて示す。
(偏光板収率)
作製した偏光板101、201〜205の表面を目視にて観察し、表面故障や平面性故障のないものを良品とした。偏光板50枚を作製した時の良品、不良品の割合を算出し、下記の基準で評価した。
◎:良品の偏光板が95%以上
○:良品の偏光板が80%以上95%未満
△:良品の偏光板が60%以上80%未満
×:良品の偏光板が60%未満
Figure 2015159679
表2に示されるように、第1の光学フィルムの長手方向の寸法変化率L(MD)と幅手方向の寸法変化率L(TD)とが上記式(3)を満たす本発明の偏光板101、202、203、205は、偏光板収率に優れることが分かった。
また、そのような偏光板101、202、203、205を得るためには、第1の光学フィルムを作製する際に横延伸工程を行うことが好ましく、更に、残留溶媒量10〜20質量%、延伸温度135〜170℃、延伸倍率1.07〜1.15倍の条件で横延伸工程を行うことがより好ましく、残留溶媒量10質量%、延伸温度150〜170℃、延伸倍率1.1〜1.15の条件で横延伸工程を行うことが更に好ましいことが分かった。
また、第1の光学フィルムを作製する際の斜め延伸工程において、延伸温度175℃、延伸倍率1.8倍の条件で斜め延伸するよりも、延伸温度185℃、延伸倍率1.7倍の条件で斜め延伸した方が、偏光板を液晶表示装置に搭載した場合に、装置のゆがみの発生が抑制され、表示画面の視認性が良好になることが分かった。
[実施例3]
《偏光板301〜306の作製》
上記実施例2における偏光板201の作製において、第1の光学フィルムの基材種を、表3に記載のものに変更した以外は同様にして、偏光板301〜306を作製した。
なお、表3においては、セルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度1.50、プロピオニル置換度0.90、総置換度2.40、重量平均分子量22万)を「CAP」、セルロースアセテート(アセチル置換度2.85、重量平均分子量25万)を「TAC」、セルロースアセテート(アセチル置換度2.43、重量平均分子量20万)を「DAC」、セルロースアセテートベンゾエート(アセチル置換度1.90、ベンゾイル置換度0.30、総置換度2.20、重量平均分子量15万)を「CeBz」、メチルセルロース(メチルエーテル置換度2.5、重量平均分子量15万)を「CE−1」、エチルセルロース(エチルエーテル置換度2.5、重量平均分子量15万)を「CE−2」、セルロースエーテルベンゾエート(エチルエーテル置換度2.2、ベンゾイル置換度0.7、重量平均分子量15万)を「CEBz」として示している。
《偏光板301〜306の評価》
上記作製した偏光板301〜306に対して、実施例1と同様にして、第1の光学フィルムの加熱処理工程前後の寸法変化率、第1の光学フィルムの光学値、液晶表示装置に搭載した場合の装置のゆがみ、画面の視認性、有機EL表示装置に搭載した場合の装置のゆがみ、画面の視認性について評価を行った。評価結果を表3に示す。なお、表3には、上記実施例2における偏光板201の評価結果も併せて示す。
Figure 2015159679
表3に示されるように、第1の光学フィルムの材料として、セルロースアセテートプロピオネート又はセルロースアセテートベンゾエートを用いることが、偏光板の物理的なゆがみを抑制する観点から好ましいことが分かった。
また、第1の光学フィルムの材料としてメチルセルロースを用いると、遅相軸方向の寸法変化率L(θ)が上記式(2)を満たさないため、本発明においては第1の光学フィルムの材料にメチルセルロースを用いることはできないといえる。
[実施例4]
《偏光板401、402の作製》
上記実施例1における偏光板101の作製において、第2の光学フィルムの基材種を、表4の記載のものに変更した以外は同様にして、偏光板401、402を作製した。
なお、表4においては、セルロースアセテート(アセチル置換度2.85、重量平均分子量25万)を「TAC」、セルロースアセテート(アセチル置換度2.43、重量平均分子量20万)を「DAC」として示している。
《偏光板401、402の評価》
上記作製した偏光板401、402に対して、実施例1と同様にして、液晶表示装置に搭載した場合の装置のゆがみ、画面の視認性について評価を行った。評価結果を表4に示す。なお、表4には、上記実施例1における偏光板101の評価結果も併せて示す。
Figure 2015159679
表4に示すように、第2の光学フィルムの材料として、セルロースアセテートプロピオネート、アセチル置換度2.43又は2.85のセルロースアセテートを好ましく用いることができ、中でも、セルロースアセテートプロピオネート又はアセチル置換度2.43のセルロースアセテートがより好ましく、セルロースアセテートプロピオネートが最も好ましいことが分かった。
以上のように、本発明は、斜め延伸された光学フィルムを備える偏光板であって、物理的なゆがみの発生が抑制された偏光板、そのような偏光板の製造方法、また、当該偏光板を備えた液晶表示装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置を提供することに適している。
1 製造装置
2 フィルム繰り出し部
3、7 搬送方向変更部
4、6 ガイドロール
5 延伸部
8 フィルム切断装置
9 フィルム巻き取り部
10 液晶表示装置
11 液晶セル
12、13、52 偏光板
14 バックライト
15、53 前面板
21、31、61 偏光子
22、62 第1の光学フィルム
23、63 機能層
24、64 第2の光学フィルム
32、33 光学フィルム
50 有機EL表示装置
51 有機EL発光素子
Ci、Co 把持具
D1 繰出方向
D2 巻取方向
Ri、Ro レール
W、Wo 幅
Z1 予熱ゾーン
Z2 延伸ゾーン
Z3 熱固定ゾーン
θi 繰出角度
θL 角度

Claims (12)

  1. 偏光子と、前記偏光子の一方の面に対向して設けられる第1の光学フィルムと、前記偏光子の他方の面に対向して設けられる第2の光学フィルムと、を備える偏光板であって、
    前記第1の光学フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸との交差角度θが30〜60°の範囲内であり、
    前記第1の光学フィルムの遅相軸方向の寸法変化率L(θ)と、遅相軸に直交する方向の寸法変化率L(θ+90)とが下記式(1)及び(2)を満たすように調整されたことを特徴とする偏光板。
    式(1): 0.50≦L(θ)/L(θ+90)≦0.95
    式(2): 0.1(%)≦L(θ)≦1.5(%)
  2. 前記第1の光学フィルムの長手方向の寸法変化率L(MD)と、幅手方向の寸法変化率L(TD)とが下記式(3)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
    式(3): 0.50≦L(MD)/L(TD)<1.00
  3. 前記第1の光学フィルムが、セルロース骨格を有するポリマーを含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の偏光板。
  4. 前記第1の光学フィルムの波長550nmにおける面内方向のリターデーション値Ro(550)が、75〜150nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の偏光板。
  5. 前記第1の光学フィルムが、セルロースアセテートプロピオネートを含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の偏光板。
  6. 前記第2の光学フィルムの遅相軸と前記偏光子の吸収軸とが平行又は直交することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の偏光板。
  7. 前記第2の光学フィルムが、セルロースアセテート又はセルロースアセテートプロピオネートを含有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の偏光板。
  8. 前記第1の光学フィルム及び前記第2の光学フィルムのうち視認側に配置される光学フィルムの視認側の面に、ハードコート層又はアンチグレア層が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の偏光板。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の偏光板を製造する製造方法であって、
    前記偏光子、前記第1の光学フィルム及び前記第2の光学フィルムを、ロールtoロール方式で貼合する貼合工程を有することを特徴とする偏光板の製造方法。
  10. ドープを支持体上に流延して流延膜を形成する流延工程と、
    残留溶媒量が1〜20質量%の前記流延膜を、前記幅手方向に1.01〜1.3倍の延伸倍率で延伸する横延伸工程と、
    前記流延膜を、前記幅手方向に対して斜め方向に延伸する斜め延伸工程と、
    前記流延膜に対して下記(i)又は(ii)の加熱処理を行うことで前記第1の光学フィルムを得る加熱処理工程と、を更に有し、
    前記加熱処理工程の後に、前記貼合工程を行うことを特徴とする請求項9に記載の偏光板の製造方法。
    (i)前記流延膜の端部に対して180〜220℃の範囲内でエンボス加工を施した後に、ロール状に巻き取った状態で、60〜80℃、20%RH以下の条件で3〜5日間加熱処理する。
    (ii)搬送ローラーにより前記流延膜を張力120〜150Nで搬送しながら、前記搬送ローラーを介して前記流延膜を140〜170℃で40〜600秒間加熱処理する。
  11. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の偏光板を備えていることを特徴とする液晶表示装置。
  12. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の偏光板を備えていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
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