以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る通信装置が適用される火災報知システムの例を示した図である。図1に示すように、火災報知システムは、感知器1a〜1cと、感知器2a〜2cと、感知器3a〜3cと、送信機4〜6と、制御装置7とを有している。火災報知システムは、例えば、ショッピングモールなどの商業施設やオフィスビルなどに設置される。
感知器1a〜1c、感知器2a〜2c、および感知器3a〜3cは、建物の屋内に設置される。例えば、感知器1a〜1c、感知器2a〜2c、および感知器3a〜3cは、商業施設の各階の各部屋の天井などに設置される。具体的には、感知器1a〜1cは、商業施設の1階の1つまたは複数の売り場に設けられ、感知器2a〜2cは、商業施設の2階の1つまたは複数の売り場に設けられ、感知器3a〜3cは、商業施設の3階の1つまたは複数の売り場に設けられる。
感知器1a〜1c、感知器2a〜2c、および感知器3a〜3cは、建物で発生する火災を感知する。感知器1a〜1c、感知器2a〜2c、および感知器3a〜3cは、例えば、熱感知器、煙感知器、または炎感知器などである。
送信機4〜6は、感知器1a〜1c、感知器2a〜2c、および感知器3a〜3cによって火災が感知されると、図1に図示していない音響装置に感知信号を送信する。音響装置は、例えば、建物の各階の各部屋に設置されており、音によって、火災が発生したことを報知する。
制御装置7は、感知器1a〜1c、感知器2a〜2c、感知器3a〜3c、送信機4〜6、および音響装置と通信をすることができ、火災報知システムの全体の動作を統括制御する。例えば、制御装置7は、火災報知システムの動作モードを試験モード(感知器等が適切に動作するか試験するモード)や通常モード(火災を感知するモード)に切替えたりする。また、制御装置7は、感知器1a〜1c、感知器2a〜2c、および感知器3a〜3cによって火災が感知されると、建物のどこで火災が発生したかを判定したりする。
なお、火災報知システムは、図1の構成に限定されない。例えば、感知器、送信機、および制御装置の数は、図1に限られない。また、感知器1a〜1c、感知器2a〜2c、および感知器3a〜3cは、送信機4〜6を介さずに、直接音響装置に火災を感知したことを通知してもよい。
図2は、感知器の側面図である。図2には、感知器1aの側面図を示しているが、他の感知器1b,1c、感知器2a〜2c、および感知器3a〜3cも同様の構成を有しており、その説明を省略する。図2には、建物の天井A1も示してある。
図2に示すように、感知器1aは、ベース部11と、ヘッド部12とを有している。ベース部11は、天井A1に取付けられている。
ヘッド部12は、ベース部11に取付けられている。ヘッド部12は、火災を感知するためのセンサを有している。例えば、ヘッド部12は、熱を感知するセンサ、煙を感知するセンサ、または炎を感知するセンサを有している。
図3は、ベース部からヘッド部を分離した感知器の側面図である。図3において、図2と同じものには、同じ符号を付し、その説明を省略する。
図3に示すように、ベース部11は、面S1を有している。ヘッド部12は、面S2を有している。ベース部11とヘッド部12は、面S1と面S2において、着脱可能となっている。すなわち、感知器1aは、ベース部11とヘッド部12とを分離することができ、また、分離されたベース部11とヘッド部12を合体することができる。
なお、感知器1aの多くは、例えば、ドライバやレンチ等の工具を用いなくても、素手でヘッド部12をベース部11から取り外すことができる構造となっている。
図4は、第1の実施の形態に係る通信装置の感知器への取付けを説明する図のその1である。図4は、ベース部11とヘッド部12とが分離された状態の感知器1aと、通信装置20の筐体21との側面を示している。図4において、図3と同じものには同じ符号を付し、その説明を省略する。
図4に示す通信装置20は、面S11と、面S12とを備えた筐体21を有している。筐体21の面S11は、ベース部11のヘッド部12が取付けられる面S1と着脱可能となっている。筐体21の面S12は、ヘッド部12のベース部11が取付けられる面S2と着脱可能となっている。すなわち、通信装置20は、感知器1aのベース部11とヘッド部12との間に挟まれて、感知器1aに対し、着脱可能となっている。通信装置20の筐体21は、例えば、ABS樹脂などで形成される。
ここで、感知器1aに取付けられる通信装置20の筐体21は、以下で説明するように、通信部を内蔵し、建物内のフロアにいるユーザの携帯端末に位置情報を提供する。例えば、通信装置20は、筐体21が取付けられる感知器1aの緯度、経度、および高さの情報を携帯端末に送信する。
これにより、携帯端末を所有(または所持)するユーザは、建物内において通信装置20から送られてくる位置情報を携帯端末で受信することにより、建物の何階のどこにいるかを知ることができる。例えば、携帯端末を所有するユーザは、商業施設において、何階のどの売り場にいるかを知ることができる。
通信装置20は、このような、屋内での位置情報提供サービスを容易に構築できる。それは、例えば、商業施設やオフィスビルなどの建物には、一般に複数の感知器が設置されており、通信装置20は、その感知器に取付けられるようになっているからである。
図5は、第1の実施の形態に係る通信装置の感知器への取付けを説明する図のその2である。図5は、感知器1aと通信装置20の筐体21との側面を示している。図5において、図4と同じものには同じ符号を付し、その説明を省略する。
図5に示すように、通信装置20の筐体21は、感知器1aのベース部11とヘッド部12との間に挟まれ、感知器1aに対して取り付けることができる。また、通信装置20の筐体21は、図4に示したように、感知器1aから取り外すことができる。
なお、ベース部11の高さH1は、例えば、15mmである。通信装置20の筐体21の高さH2は、例えば、30mmである。ヘッド部12の高さH3は、例えば、30mmである。
図6は、第1の実施の形態に係る通信装置を感知器に取り付けたときの上面図である。図6において、図5と同じものには同じ符号を付し、その説明を省略する。
図6に示すように、感知器1aのベース部11およびヘッド部12と、通信装置20の筐体21は、上面から見ると円形状を有している。すなわち、ベース部11、ヘッド部12、および筐体21は、円柱形状を有している。ベース部11、ヘッド部12、および筐体21は、図6に示すように、円柱形上の中心が一致するようにしてそれぞれが嵌合される。
なお、ベース部11の直径D1は、例えば、100mmである。ヘッド部12の直径D2は、例えば、80mmである。筐体21の直径D3は、例えば、90mmである。
図7は、第1の実施の形態に係る通信装置と感知器との概略構成の一例を示した図である。図7において、図4と同じものには同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、図7では、図4に対し、感知器1aおよび通信装置20の筐体21の形状を簡略化している。
図7に示すように天井A1には、感知器1aのヘッド部12と通信装置20とに電力を供給する電力線Vsが配線されている。また、天井A1には、制御装置7と感知器1aのヘッド部12とが信号を送受信するための信号線Dが配線されている。
なお、通信装置20は、建物に設置されていた感知器1aのヘッド部12に供給されていた電力を利用する。すなわち、通信装置20は、感知器1aのベース部11とヘッド部12との間に挟んで取り付けるだけで、建物からの電力が供給されるようになっており、建物から新たな電力線を配線する必要がない。
ベース部11は、ヘッド部12または通信装置20の筐体21が着脱される面S1において、嵌合部11a,11bを有している。嵌合部11a,11bは、例えば、メスの鈎状の形状を有している。
ベース部11の面S1からは、天井A1に配線されている電力線Vsが伸びている(出ている)。面S1から伸びた電力線Vsの先端には、コネクタCN1が取付けられている。
ベース部11の面S1からは、天井A1に配線されている信号線Dが伸びている。面S1から伸びた信号線Dの先端には、コネクタCN2が取付けられている。
通信装置20の筐体21の面S11は、例えば、ヘッド部12の面S2と同様の構造を有している。これにより、通信装置20の筐体21の面S11は、ヘッド部12の面S2と着脱可能なベース部11の面S1に、着脱することができる。
通信装置20の筐体21は、面S11において、嵌合部21a,21bを有している。嵌合部21a,21bは、ベース部11の嵌合部11a,11bと嵌め合うようになっている。嵌合部21a,21bは、例えば、オスの鈎状の形状を有している。
通信装置20の筐体21の面S11からは、電力を受電するための電力線Vsが伸びている。面S11から伸びた電力線Vsの先端には、コネクタCN3が取付けられている。このコネクタCN3は、ベース部11の面S1から伸びているコネクタCN1と嵌合するようになっている。
通信装置20の筐体21の面S11からは、信号を送受信するための信号線Dが伸びている。面S11から伸びた信号線Dの先端には、コネクタCN4が取付けられている。このコネクタCN4は、ベース部11の面S1から伸びているコネクタCN2と嵌合するようになっている。
通信装置20の筐体21の面S12は、例えば、ベース部11の面S1と同様の構造を有している。これにより、通信装置20の筐体21の面S12は、ベース部11の面S1と着脱可能なヘッド部12の面S2に、着脱することができる。
通信装置20の筐体21は、面S12において、嵌合部21c,21dを有している。嵌合部21c,21dは、例えば、メスの鈎状の形状を有している。
通信装置20の筐体21の面S12からは、コネクタCN3で受電した電力をヘッド部12へ供給するための電力線Vsが伸びている。面S12から伸びた電力線Vsの先端には、コネクタCN5が取付けられている。これにより、通信装置20の筐体21は、ベース部11を介して建物から供給される電力を受電するとともに、ヘッド部12に電力を供給することができる。
通信装置20の筐体21の面S12からは、信号を送受信するための信号線Dが伸びている。面S12から伸びている信号線Dは、面S11から伸びている信号線Dとつながっている。これにより、通信装置20の筐体21は、制御装置7とヘッド部12とで送受信される信号を仲介することができる。面S12から伸びた信号線Dの先端には、コネクタCN6が取付けられている。
ヘッド部12は、ベース部11または通信装置20の筐体21が着脱される面S2において、嵌合部12a,12bを有している。嵌合部12a,12bは、ベース部11の嵌合部11a,11bと嵌合するようになっている。また、嵌合部12a,12bは、通信装置20の筐体21の嵌合部21c,21dと嵌合するようになっている。嵌合部12a,12bは、例えば、オスの鈎状の形状を有している。
ヘッド部12の面S2からは、電力を受電するための電力線Vsが伸びている。面S2から伸びた電力線Vsの先端には、コネクタCN7が取付けられている。このコネクタCN7は、ベース部11の面S1から伸びているコネクタCN1と嵌合するようになっている。また、コネクタCN7は、通信装置20の筐体21の面S12から伸びているコネクタCN5と嵌合するようになっている。これにより、ヘッド部12は、ベース部11から電力を受電することができ、また、通信装置20から電力を受電することができる。
ヘッド部12の面S2からは、信号を送受信するための信号線Dが伸びている。面S2から伸びた信号線Dの先端には、コネクタCN8が取付けられている。このコネクタCN8は、ベース部11の面S1から伸びているコネクタCN2と嵌合するようになっている。また、コネクタCN8は、通信装置20の筐体21の面S12から伸びているコネクタCN6と嵌合するようになっている。これにより、ヘッド部12は、ベース部11を介して、制御装置7と通信をすることができ、また、通信装置20の筐体21とベース部11とを介して、制御装置7と通信をすることができる。
なお、図7に示した嵌合部の形状は、鈎状の形状に限られない。嵌合部は、ベース部11とヘッド部12とが着脱可能であり、また、通信装置20の筐体21が感知器1aのベース部11とヘッド部12と着脱可能であれば、どのような形状であってもよい。
また、ベース部11の面S1、ヘッド部12の面S2、および通信装置20の筐体21の面S11,S12からは、電力線Vsおよび信号線Dが伸びるとしたが、これに限られない。例えば、電力線Vsおよび信号線Dは、ベース部11の面S1、ヘッド部12の面S2、および通信装置20の筐体21の面S11,S12から伸びずに、コネクタCN1〜CN8が、各面S1,S2,S11,S12において固定されていてもよい。また、ベース部11、ヘッド部12、および通信装置20の筐体21間の電力線Vsおよび信号線Dの接続は、コネクタに限られない。電力線Vsおよび信号線Dが、ベース部11、ヘッド部12、および通信装置20間で接続されれば、どのような形態であってもよい。
図8は、通信装置および感知器の機能ブロック例を示した図である。図8において、図7と同じものには同じ符号を付し、その説明を省略する。
図8に示すように、通信装置20の筐体21は、通信部31と、制御部32と、電池部33とを有している。通信部31、制御部32、および電池部33には、電力線Vsを介して、建物から供給される電力が供給される。
通信部31は、建物内にいるユーザの携帯端末に位置情報を提供する。例えば、通信部31は、緯度、経度、および高さの位置情報を建物内の携帯端末に送信する。
通信部31の送信する緯度および経度は、建物に設置されている感知器1aの緯度および経度である。また、通信部31の送信する高さは、感知器1aが設置されているフロアの高さである。これにより、通信部31から送信される位置情報を受信した携帯端末は、例えば、建物の何階のどの位置にいるのかディスプレイに表示することができる。なお、通信部31が送信する緯度、経度、および高さは、例えば、通信装置20が感知器1aに取付けられる前に予め通信部31内の記憶部に登録される。
通信部31は、例えば、IMES(Indoor Messaging System)の通信規約に従って、位置情報を携帯端末に送信する。これにより、携帯端末は、IMESに対応したGPS受信機を搭載していれば、新たなハードウェアを追加することなく、位置情報を受信することができる。また、携帯端末は、GPS信号に基づいて現在位置を表示するアプリケーションをインストールしていれば、そのアプリケーションで、IMESから送信された位置情報に基づき、現在位置をディスプレイに表示することができる。通信部31は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)などによって、その機能を実現することができる。
制御部32は、通信装置20の全体の動作を統括制御する。例えば、制御部32は、通信部31を制御したり、電池部33を制御したりする。制御部32は、例えば、通信装置20の機能を実現するためのプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)、そのプログラムを記憶したROM(Read Only Memory)、プログラムの一部を一時記憶したり、演算データを一時記憶したりするRAM(Random Access Memory)などによって、その機能を実現することができる。
電池部33は、電力線Vsからの電力供給が遮断されたとき(途絶えたとき)、制御部32の制御に応じて、電力を通信部31、制御部32、およびヘッド部12へ供給する。これにより、通信装置20およびヘッド部12は、電力線Vsからの電力供給が遮断されても、動作することができる。
電池部33は、例えば、リチウムイオン電池、リチウムポリマ電池、または鉛蓄電池などの2次電池によってその機能が実現される。または、電池部33は、コイン電池などの1次電池によってその機能を実現してもよい。1次電池の場合、電力線Vsから供給される電力は、電池部33へ供給しないようにする。
なお、通信部31、制御部32、および電池部33は、電力線Vsに接続されていなくてもよい。すなわち、通信部31および制御部32は、建物ではなく、筐体21が有する電池部33から電力が供給されてもよい。
感知器1aのヘッド部12は、センサ部41と、制御部42とを有している。センサ部41は、建物の火災を感知する。センサ部41は、例えば、熱を感知するセンサ、煙を感知するセンサ、または炎を感知するセンサによってその機能が実現される。
制御部42は、ヘッド部12の全体の動作を統括制御する。例えば、制御部42は、センサ部41が火災を感知すると、信号線Dを介して、送信機4〜6や制御装置7に火災が発生したことを通知する。また、制御部42は、制御装置7の制御に応じて、動作モードを試験モードや通常モードに切替えたりする。制御部42は、例えば、ヘッド部12の機能を実現するためのプログラムを実行するCPU、そのプログラムを記憶したROM、プログラムの一部を一時記憶したり、演算データを一時記憶したりするRAMなどによって、その機能を実現することができる。
図9は、通信装置のアンテナの例を示した図である。図9に示すように、通信装置20の筐体21は、モジュール基板51と、アンテナ端子52と、アンテナ53とを有している。
モジュール基板51は、筐体21に内蔵されている。モジュール基板51には、図8で説明した機能を実現するための部品が実装されている。モジュール基板51は、例えば、FR4などのプリント基板によって形成される。
アンテナ端子52は、モジュール基板51に実装されている。アンテナ端子52は、アンテナ53と接続されている。アンテナ端子52は、例えば、U−FLコネクタ、W−FLコネクタなどの面実装用の小型同軸コネクタである。または、アンテナ端子52は、例えば、SMA(Sub Miniature Type A)コネクタまたはN型コネクタであってもよい。
アンテナ53は、筐体21の内側の、円柱側面に沿って固定されている。アンテナ53は、モジュール基板51上に実装されてもよい。
図10は、通信装置の他のアンテナの例を示した図である。図10において、図9と同じものには同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、図10に示すモジュール基板51は、図9に示したモジュール基板51に対し、反対側の面に部品が実装されている。
図10に示すアンテナ54は、マイクロストリップアンテナである。アンテナ54は、例えば、モジュール基板51上の銅箔パターンによって形成される。アンテナ54は、モジュール基板51の部品が実装されている面とは反対側の面に形成される。
図11および図12は、通信装置の他のアンテナの例を示した図である。図11は、通信装置20の筐体21を感知器1aに取付けたときの側面図を示し、図12は、図11の筐体21の上面図を示している。
図11および図12に示すように、筐体21は、円柱側面の外側に中空のリング55が形成されている。中空のリング55の内部には、アンテナ56が収納されている。アンテナ56は、モジュール基板51に実装されているアンテナ端子57に接続されている。
なお、アンテナは、図9〜図12で説明したものに限られない。例えば、線状アンテナ、平面アンテナ、立体形状アンテナ等であってもよい。
図13は、携帯端末の機能ブロック例を示した図である。図13に示すように、携帯端末60は、通信部61と、制御部62とを有している。携帯端末60は、例えば、携帯電話、スマートホン、またはタブレット端末などである。
通信部61は、通信装置20から送信される位置情報を受信する。例えば、通信部61は、IMESの通信規約に従って、通信装置20から送信される位置情報を受信する。通信部31は、例えば、ASICやFPGAなどによって、その機能を実現することができる。
制御部62は、通信部61によって受信された位置情報に基づいて、現在位置をディスプレイに表示する。上記でも説明したように、通信装置20から、IMESの通信規約に従った位置情報が送信される場合、制御部62は、GPS信号に基づいて現在位置を表示するアプリケーションがインストールされていれば、そのアプリケーションで現在位置を表示することができる。制御部32は、例えば、通信装置20の機能を実現するためのプログラムを実行するCPU、そのプログラムを記憶したROM、プログラムの一部を一時記憶したり、演算データを一時記憶したりするRAMなどによって、その機能を実現することができる。
図14は、位置情報を説明する図である。図14には、通信装置20が取付けられた感知器1aと、感知器1aに取付けられた通信装置20の通信エリアA11と、携帯端末60とが示してある。また、図14には、通信装置20が取り付けられた感知器1bと、感知器1bに取付けられた通信装置20の通信エリアA12(一部のみ示している)とが示してある。
感知器1aに取付けられた通信装置20には、感知器1aの緯度、経度、および高さが登録されている。感知器1bに取付けられた通信装置20には、感知器1bの緯度、経度、および高さが登録されている。
ユーザが、感知器1aの通信エリアA11に入ると、携帯端末60は、感知器1aに取付けられた通信装置20から送信される位置情報を受信する。この場合、携帯端末60のディスプレイには、感知器1aの緯度、経度、および高さに基づいて、携帯端末60の現在位置がマップ上に表示される。
ユーザが、感知器1bの通信エリアA12に入ると、携帯端末60は、感知器1bに取付けられた通信装置20から送信される位置情報を受信する。この場合、携帯端末60のディスプレイには、感知器1bの緯度、経度、および高さに基づいて、携帯端末60の現在位置がマップ上に表示される。
このように、通信装置20の筐体21は、ベース部11と、ベース部11に取付けられる、センサを備えたヘッド部12とを有する感知器1aの、ベース部11のヘッド部12が取付けられる面S1と着脱可能な面S11と、ヘッド部12のベース部11が取付けられる面S2と着脱可能な面S12とを有する。そして、筐体21は、携帯端末60に位置情報を送信する通信部31を内蔵する。これにより、屋内の位置情報提供サービスは、感知器1aに通信装置20を取付けることによって、容易に構築することができる。また、低コストで屋内の位置情報提供サービスを構築することができる。
また、大きな商業施設やオフィスビルなどでは、火災防止の観点から、感知器1aが複数取り付けられている。通信装置20は、例えば、そのようなすでに建物に取付けられている感知器1aに取付ければよく、屋内の位置情報提供サービスを容易に構築することができる。
また、商業施設などにおいては、例えば、購買者は、携帯端末60を用いることによって、自分がどの階のどの売り場にいるか知ることができる。
また、消防隊は、消火活動の際、携帯端末60を用いれば、自分が建物のどの位置にいるか知ることができる。
また、通信装置20の通信部31は、例えば、IMESによって位置情報を送信すれば、携帯端末60は、IMES対応のGPS受信機およびGPS信号に基づいて位置情報をディスプレイに表示するアプリケーションを搭載していれば、新たなハードウェアおよびアプリケーションを搭載しなくても、位置情報をディスプレイに表示することができる。
また、通信装置20の筐体21は、コネクタCN3によって、感知器1aのベース部11からヘッド部12に供給されていた、建物からの電力を受電し、コネクタCN5によって、受電した電力をヘッド部12に供給する。そして、コネクタCN3によって受電された電力は、通信部31、制御部32、および電池部33へ供給される。これにより、通信装置20は、建物から新たな電力線を配線することなく、位置情報を送信することができ、位置情報提供サービスを容易に構築することができる。
また、通信装置20の電池部33は、建物からの電源が遮断されても、通信部31、制御部32、およびヘッド部12に電力を供給する。これにより、通信装置20は、停電や火災によって電力供給が遮断されても、位置情報を提供し続けることができ、また、感知器1aは火災を感知することができる。
なお、上記では、感知器1aの緯度、経度、および高さを予め通信部31に登録するとしたが、制御装置7等の外部装置から、通信部31に登録してもよい。例えば、図8に示した筐体21の内部において、信号線Dを制御部32に接続する。これにより、例えば、制御部32は、制御装置7から、感知器1aの緯度、経度、および高さを受信でき、受信した感知器1aの緯度、経度、および高さを、通信部31に登録することができる。また、信号線Dを制御部32に接続することにより、制御装置7等の外部装置から、通信装置20に対し、様々な制御を行うこともできる。
また、上記では、通信部31は、感知器1aの位置情報を送信するとしたが、携帯端末60が現在位置を測位するための測位信号を送信してもよい。この場合、携帯端末60は、通信部31から送信される測位信号に基づいて、RSS(Received Signal Strength)を測定することにより、現在位置を測位することができる(RSS方式)。または、携帯端末60は、複数の通信部31から送信される測位信号の到達時間(TOA:Time of Arrival)を利用して、現在位置を測位することができる(TOA方式)。または、携帯端末60は、複数の通信部31から送信される測位信号の到達時間の差(TDOA:Time Differential of Arrive)から、現在位置を測位することができる(TDOA方式)。または、携帯端末60は、複数の通信部31から送信される測位信号の到来方向(Angle Of Arrival)に基づいて、現在位置を測位することができる(AOA方式)。または、通信部31は、フィンガープリント法やカメラによる特徴点抽出などの環境解析による測位を利用してもよいし、またパッシブタグの読み取りなどを利用したレンジフリーなProximity法を利用してもよい。
また、上記では、通信部31の通信方式として、IMESを例に挙げたが、UWB(Ultra Wide Band)などの無線測位システムを利用してもよい。また、通信部31は、Wi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、特定小電力無線等の無線データ通信を利用してもよい。
また、通信部31は、電波以外にも、可視光、赤外線、音波等の通信媒体を利用して位置情報または測位信号を送信してもよい。
また、通信部31は、感知器1aの緯度および経度のみを送信してもよい。例えば、建物の1階に感知器1aを設置する場合や1フロアにのみ感知器1aを設置する場合には、通信部31は、高さを送信しなくてもよい。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、通信装置は、2つの通信部を備える。1つの通信部は、位置情報を送信し、もう1つの通信部は、無線により携帯端末とデータ通信を行う。
図15は、第2の実施の形態に係る通信装置の機能ブロック例を示した図である。図15において、図8と同じものには同じ符号を付し、その説明を省略する。
図15に示すように、通信装置20の筐体21は、通信部71を有している。通信部71には、他の部位と同様に、電力線Vsから電力が供給される。
通信部71は、携帯端末とデータ通信を行う。通信部71は、例えば、Bluetoothや13.56MHz帯を用いたNFC(Near field communication)などの無線データ通信によって、データ通信を行う。通信部31は、例えば、ASICやFPGAなどによって、その機能を実現することができる。
通信部71と無線通信を行う携帯端末は、例えば、通信装置20を感知器1aに取付ける設置者などによって操作される。通信部71は、例えば、設置者によって操作される携帯端末から、通信部31に登録される位置情報を受信する。
すなわち、通信部71は、通信装置20の筐体21が取付けられる感知器1aの緯度、経度、および高さの位置情報を、携帯端末から受信する。通信部71によって受信された位置情報は、例えば、制御部32に送られ、制御部32によって、通信部31に登録される。
なお、通信部71は、設置者によって操作される携帯端末から、制御信号を受信してもよい。例えば、通信部71は、通信装置20の動作モードを試験モードや通常モードに切替えたりする制御信号を携帯端末から受信する。制御部32は、通信部71によって受信された制御信号により、通信装置20の動作モードを切替える。
図16は、第2の実施の形態に係る通信装置と通信を行う携帯端末の機能ブロック例を示した図である。図16において、図13と同じものには同じ符号を付し、その説明を省略する。
図16に示すように、携帯端末60は、通信部72を有している。通信部72は、図15に示した通信装置20の通信部71とデータ通信を行う。通信部72は、例えば、Bluetoothや13.56MHz帯を用いたNFCなどの無線データ通信によって、データ通信を行う。通信部72は、例えば、ASICやFPGAなどによって、その機能を実現することができる。
図16に示す携帯端末60は、上記したように、通信装置20の設置者などによって操作される。設置者は、携帯端末60を操作することによって、通信装置20の通信部31に位置情報を登録したり、通信装置20の動作モードを切替えたり、通信装置20を制御することができる。
このように、通信装置20の通信部71は、携帯端末60とデータ通信を行う。これにより、設置者は、携帯端末60を用いて、通信装置20の通信部31に位置情報を登録したり、通信装置20を制御したりすることができる。
なお、上記で説明した通信部71は、例えば、通信部31とともに、1つのASICやFPGAなどによって、その機能を実現してもよい。また、通信部72は、例えば、通信部61とともに、1つのASICやFPGAなどによって、その機能を実現してもよい。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、通信装置および感知器を試験する試験装置について説明する。
図17は、第3の実施の形態に係る試験装置の概略外観図である。図17に示すように、試験装置80は、カバー部81と、ロッド部82と、保持部83とを有している。
カバー部81は、通信装置20が取付けられた感知器1aを覆う形状を有している。例えば、カバー部81は、U字状の形状を有している。また、カバー部81は、後述するように、通信装置20と無線通信を行うためのアンテナを有している(図17に示す点線部分)。
ロッド部82は、例えば、円柱状の形状を有し、その一端がカバー部81の底部と接続されている。また、ロッド部82の他端は、保持部83と接続されている。
保持部83は、感知器1aおよび通信装置20を試験するための測定器(図17には図示していない)を内部に有している。測定器は、ロッド部82内に配線された信号線によって、カバー部81のアンテナと接続されており、通信装置20と無線通信を行うことができる。ここで、信号線は、一例として、カバー部81のアンテナと接続され、高周波信号を伝達する同軸ケーブル、平行二線、導波管、である。また、信号線は、別の例として、カバー部81に実装された通信IC(図17には図示していない)のIOポートと接続されるRS−232C、USBケーブル、である。
また、保持部83は、操作パネルを有している(図17には図示していない)。保持部83の測定器は、操作パネルの操作に応じて、カバー部81の内部から熱や煙を発生する。また、保持部83の測定器は、操作パネルの操作に応じた信号を、カバー部81のアンテナを介して、通信装置20の通信部31または通信部71に送信する。また、保持部83の測定器は、カバー部81のアンテナを介して、通信装置20の通信部31または通信部71から送信される信号を受信する。
感知器1aおよび通信装置20を試験する試験者は、保持部83の操作パネルを操作して、感知器1aおよび通信装置20を試験する。例えば、試験者は、保持部83を持って、天井A1に取付けられている、通信装置20が取付けられた感知器1aをカバー部81で覆う。そして、試験者は、保持部83の操作パネルを操作して、カバー部81から熱や煙などを発生させ、感知器1aのセンサに異常がないか否か試験する。また、試験者は、保持部83の操作パネルを操作して、通信装置20から適切に位置情報が出力されているかなど、通信装置20を試験する。なお、感知器1aおよび通信装置20の試験を行うときは、例えば、制御装置7によって、感知器1aおよび通信装置20の動作モードを試験モードにしてから試験行う。
図18は、通信装置のアンテナを説明する図である。図18において、図6と同じものには同じ符号を付し、その説明を省略する。
図18には、通信装置20の筐体21に内蔵されているアンテナ91が示してある。アンテナ91は、円形状を有し、筐体21の円周に沿って設けられている。通信装置20は、アンテナ91を介して、試験装置80と無線通信を行うことができる。
アンテナ91は、例えば、NFC用のHF(High Frequency)帯のアンテナである。アンテナ91は、例えば、線状導体で作成されたインダクタである。なお、通信装置20と試験装置80との無線通信は、NFC以外の、近傍界の結合を利用したRFID(Radio Frequency IDentification)プロトコルを用いてもよい。
図19は、試験装置のカバー部の概略断面を示した図である。図19には、感知器1aと通信装置20の筐体21の概略断面も示している。図19において、図5、図17、図18と同じものには同じ符号を付し、その説明を省略する。
図19に示すように、試験装置80のカバー部81は、開口側付近にアンテナ92を有している。アンテナ92は、例えば、円形状を有し、通信装置20が取付けられた感知器1aをカバー部81で覆ったとき、通信装置20の筐体21に設けられているアンテナ91と同一平面上で同心円を形成するように、カバー部81の開口側に形成されている。
アンテナ92は、例えば、NFC用のHF帯のアンテナである。アンテナ92は、例えば、線状導体で作成されたインダクタである。なお、通信装置20と試験装置80との無線通信は、NFC以外の、近傍界の結合を利用したRFIDプロトコルを用いてもよい。
このように、試験装置80の測定器は、無線通信によって携帯端末60に位置情報を提供する通信装置20が取付けられた感知器1aをカバー部81で覆ったとき、通信装置20の通信部31または通信部72と無線通信を行う。これにより、試験装置80は、通信装置20の試験を行うことができる。また、試験装置80の測定器は、熱や煙を発することにより、感知器1aを試験することもできる。
なお、保持部83の測定器の代わりに、パーソナルコンピュータやスペクトラムアナライザ等の汎用装置を用いてもよい。
上記の各実施形態において、感知器1a、通信装置20、および携帯端末60の機能構成は、これらの構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。感知器1a、通信装置20、および携帯端末60の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者には明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。また、各実施の形態を組み合わせることも可能である。