JPWO2015119260A1 - 変性ポリシラザン、当該変性ポリシラザンを含む塗布液および当該塗布液を用いて製造されるガスバリア性フィルム - Google Patents

変性ポリシラザン、当該変性ポリシラザンを含む塗布液および当該塗布液を用いて製造されるガスバリア性フィルム Download PDF

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Abstract

本発明は、保存安定性、特に過酷な条件(高温高湿条件)下での保存安定性に優れるガスバリア性フィルムの製造方法を提供する。本発明の変性ポリシラザンは、29Si−NMRで測定されるSiH3とSiH及びSiH2の合計との比[(SiH3):(SiH+SiH2)]が1:10〜30である。

Description

本発明は、変性ポリシラザン、当該変性ポリシラザンを含む塗布液および当該塗布液を用いて製造されるガスバリア性フィルムに関する。より詳細には、本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子や太陽電池素子、液晶表示等の電子デバイスに用いられる変性ポリシラザン、当該変性ポリシラザンを含む塗布液および当該塗布液を用いて製造されるガスバリア性フィルムに関するものである。
従来、プラスチック基板やフィルムの表面に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物の薄膜を含む複数の層を積層して形成したガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、例えば、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装用途に広く用いられている。
包装用途以外にも、フレキシブル性を有する太陽電池素子、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、液晶表示素子等のフレキシブル電子デバイスへの展開が要望され、多くの検討がなされている。しかし、これらフレキシブル電子デバイスにおいては、ガラス基材レベルの非常に高いガスバリア性が要求されるため、現状では十分な性能を有するガスバリア性フィルムは未だ得られていない。
このようなガスバリア性フィルムを形成する方法としては、テトラエトキシシラン(TEOS)に代表される有機ケイ素化合物を用いて、減圧下の酸素プラズマ酸化しながら基板上に成長させる化学堆積法(プラズマCVD法:Chemical Vapor Deposition)や半導体レーザーを用いて金属Siを蒸発させ酸素の存在下で基板上に堆積する物理堆積法(真空蒸着法やスパッタ法)といった気相法が知られている。
これらの気相法による無機製膜方法は、酸化ケイ素や窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等の無機膜の形成に好ましく適用されてきており、良好なガスバリア性を得るための無機膜の組成範囲の検討、およびこれら無機膜を含む層構成の検討が多くなされている。
さらに、上述のような気相法では欠陥を有さない膜を形成することは非常に困難であり、例えば製膜レートを極端に低くして欠陥の生成を抑制する必要がある。このため、生産性が要求される工業的レベルにおいては、フレキシブル電子デバイスに要求されるガスバリア性は得られていない。気相法による無機膜の膜厚を単純に増加させたり、無機膜を複数層積層するといった検討もなされたが、欠陥が連続成長したり、かえってクラックが増加したりするため、ガスバリア性の向上には至っていない。
このような無機膜の欠陥は、例えば有機EL素子の場合、ダークスポットと呼ばれる発光しない黒点の発生を招いたり、高温高湿下においてダークスポットのサイズが成長したりと、素子自体の耐久性にも影響を与えてしまう。
一方で、これまでの気相法による製膜に加え、ガスバリア層形成方法の一つとして、前述の気相法による無機膜上に無機前駆体化合物の溶液を塗布し、乾燥して形成した塗布層を、熱によって改質することで、上述の気相法によって製膜された無機膜の欠陥部を効果的に修復し、さらには積層した膜自体がガスバリア性を向上させる検討がなされており、特に、無機前駆体化合物としてポリシラザンを用いることで、前述した欠陥部の修復によって高度なガスバリア性を発現させようとする検討が行われている。
しかし、ポリシラザンの熱改質または湿熱改質による緻密な酸窒化ケイ素膜あるいは酸化ケイ素膜の形成には450℃以上の高温が必要であり、プラスチック等のフレキシブル基材に適用することは不可能であった。
このような問題を解決する手段として、ポリシラザン溶液から塗布形成した塗膜に真空紫外光照射を施すことにより、酸窒化ケイ素膜あるいは酸化ケイ素膜を形成する方法が提案されている。
ポリシラザンの各原子間結合力より大きいエネルギーを有する真空紫外光(以下、「VUV」、「VUV光」ともいう)と呼ばれる波長100〜200nmの光エネルギーを用いて、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみによる作用により、直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、比較的低温で、酸窒化ケイ素膜あるいは酸化ケイ素膜の形成を行うことができる。
通常、樹脂フィルム基材の上にポリシラザンを塗布し、紫外線照射を行った場合、照射した面の表面近傍が改質されバリア層(窒素高濃度層)を形成する。同時に基材側からの水分持ち込みと推定される酸化挙動が起き、バリア層下の内部は酸化膜(酸化ケイ素層)となると考えられている。
このようなバリア層を含むガスバリア性フィルムの製造方法において、例えば、特許文献1には、基材上に化学蒸着法で形成された第1のバリア層およびポリシラザン等の珪素化合物を塗布して製膜しエネルギー線(例えば、真空紫外光)を照射することにより形成される第2のバリア層を有するガスバリア性フィルムが開示されている。当該ガスバリア性フィルムは、高いバリア性能を示し、折り曲げ耐性、平滑性、裁断加工適性に優れる。
さらに、例えば、特許文献2には、基材上に遷移金属化合物を添加したポリシラザンの溶液を塗布し、乾燥させて形成した塗膜に、酸素または水分を実質的に含まない雰囲気下でエネルギー線(例えば、真空紫外光)照射を行うことによって形成されるガスバリア性フィルムが開示されている。当該方法によると、短時間で改質が進行して窒素高濃度膜が形成され、高いガスバリア性が発現する。
国際公開第2012/014653号(US 2013/0115423A1に対応) 特開2012−148416号公報
特許文献1〜2に記載の技術では、表面が改質されていることで高いガスバリア性を示し、一般的な条件下では高いガスバリア性を示すものの、高温高湿下では加水分解等によりバリア層が変質する場合があり、その結果、ガスバリア性が急激に低下するという問題があった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、保存安定性、特に過酷な条件(高温高湿条件)下での保存安定性に優れるガスバリア性フィルムの製造に適する変性ポリシラザンを提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、保存安定性、特に過酷な条件(高温高湿条件)下での保存安定性に優れるガスバリア性フィルムを提供することである。
本発明者は、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、SiHとSiH及びSiHの合計との比が特定範囲にある変性ポリシラザンを使用することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記諸目的は、29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]が1:10〜30である変性ポリシラザンによって達成されうる。
上記諸目的はまた、上記変性ポリシラザンを含む塗布液、または基材および上記塗布液を用いて形成されるバリア層を含むガスバリア性フィルムによっても達成されうる。
本発明に係る無機化合物層(第1のバリア層)の形成に用いられる真空プラズマCVD装置の一例を示す模式図である。図1において、101はプラズマCVD装置を;102は真空槽を;103はカソード電極を;105はサセプタを;106は熱媒体循環系を;107は真空排気系を;108ガス導入系を;109は高周波電源を;110は基材を;および160は加熱冷却装置を、それぞれ、示す。 本発明に係る無機化合物層(第1のバリア層)の形成に用いられる他の製造装置の一例を示す模式図である。図2において、1はガスバリア性フィルムを;2は基材を;3は第1のバリア層を;31は製造装置を;32は送り出しローラーを;33、34、35、36は搬送ローラーを;39、40は成膜ローラーを;41はガス供給管を;42はプラズマ発生用電源を;43、44は磁場発生装置を;45は巻取りローラーを、それぞれ、示す。 真空紫外線照射装置の一例を示す模式図である。図3において、21は装置チャンバを;22はXeエキシマランプを;23はホルダーを;24は試料ステージを;25は試料を;および26は遮光板を、それぞれ、示す。
本発明は、29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]が1:10〜30である変性ポリシラザンを提供する。また、本発明の変性ポリシラザンを含む塗布液、および当該塗布液を用いて製造されるガスバリア性フィルムをも提供する。
このような構成とすることにより、長期の保存安定性、特に高温高湿下という過酷な条件下でもガスバリア性の低下を抑制・防止できる保存安定性に優れたガスバリア性フィルムが得られる。
従来、パーヒドロポリシラザン層にエネルギー線(例えば、真空紫外光)を照射すると、表面がガラス質に改質され高いバリア性を示す。しかし、過酷な条件(高温高湿条件)におかれると急激に劣化する。特にポリシラザンを前駆体として形成されたバリア層(ガスバリア層)は、下層にバリア層がある構成では過酷な条件(高温高湿条件)での劣化は顕著であった。
また、上記特許文献1や2に記載されるように、従来、様々な方法によって、ガスバリア性フィルムのガスバリア性をはじめとする諸特性を向上させることが試みられていた。しかし、上記特許文献1や2に記載の方法では、ポリシラザン層表面付近のみが改質され、内部に未改質部が残ってしまう。この未改質部が特に過酷な条件(高温高湿条件)下で著しく反応して、ガスバリア性を低下させる一つの要因であることがわかった。また、大気中の水分による作用により反応が進むものの、エネルギー線(例えば、真空紫外光)を照射する段階で既に酸化反応が進んでいるため、エネルギー線を十分に吸収できず、最適なバリア膜を形成することが困難であるまたは形成することができない。
これに対して、本発明の変性ポリシラザンは、特定の範囲にSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]を有することを特徴とする。本発明の変性ポリシラザンを使用することによって、保存安定性、特に高温高湿下での保存安定性に優れるガスバリア性フィルムを提供できる。ここで、本発明の構成による上記作用効果の発揮のメカニズムは以下のように推測される。なお、本発明は下記に限定されるものではない。
すなわち、通常使用されるポリシラザン(特にパーヒドロポリシラザン)は、末端に−SiH基が多く存在するが、この−SiH基が塗布から活性エネルギー線照射までの操作時に反応起点となり望ましくない反応が生じる。その結果、得られるガスバリア性フィルムでは、過酷な条件(特に高温高湿)下でのガスバリア性が低下してしまう。これに対して、本発明の変性ポリシラザンでは、この反応性の高い末端の−SiH基を、SiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]が特定の範囲に入るように修飾する。ポリシラザン末端に存在する反応性の高い−SiH基を修飾して、反応起点となる−SiH基の存在量を減らすことにより、塗布から活性エネルギー線照射までの間に生じる望ましくない反応(大気中の水分や酸素との反応)を抑制して、所望とする改質反応(活性エネルギー線照射によるポリシラザンの酸化反応)を優先的にかつ効率的に行うことができる。したがって、本発明の変性ポリシラザンを用いることにより、ガスバリア性が高くかつ特に高温高湿下におけるガスバリア性の低下を抑制・防止した保存安定性(湿熱耐性)に優れるガスバリア性フィルムを作製できる。上記効果は、ポリシラザンの末端の−SiH基を金属アルコキシドおよび/または金属キレート化合物、ならびに低分子シラザンおよび/または低分子シロキサンで修飾する際に、特に顕著に達成できる。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。
また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
<変性ポリシラザン>
変性ポリシラザンは、SiHおよび/またはSiHならびにSiHを有し、この際の、29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)](以下、単に「SiH比」とも称する)が1:10〜30(モル比)である。変性ポリシラザン末端に存在する−SiH基は、大気中の水分や酸素と反応しやすい。このため、末端の−SiH基が多数存在する場合には、活性エネルギー照射前に大気中の水分や酸素との望ましくない反応が生じ、その結果、ガスバリア性、特に過酷な条件(特に高温高湿)下でのガスバリア性を低下させてしまう。このため、活性エネルギー線照射前の水分を減らす必要があるが、実験レベルでは水分調整は容易であるが、大量生産のレベルでは水分調整が困難である場合がある。これに対して、変性ポリシラザン末端に存在する−SiH基の割合を29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]を1:10以下にすることによって、反応性の高い−SiH基数が少ないので、上記したような望ましくない反応自体を抑制・防止して、酸化反応を優先的に進行させることが可能である。ゆえに、本発明の変性ポリシラザンを用いて形成されるバリア層、ゆえにガスバリア性フィルムは、ガスバリア性、特に過酷な条件(特に高温高湿)下でのガスバリア性に優れる。
本明細書において、SiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)](SiH比)は、29Si−NMRで測定され、具体的には、実施例に記載される方法に従って測定される値を意味する。
変性ポリシラザンのSiH比は、1:10〜30である。ここで、上記SiH比が上限を超えると、反応性の高い末端(SiH)が過度に多く存在するため、活性エネルギー線照射前に大気中の水分と反応して、ガスバリア性、特に高温高湿条件下でのガスバリア性が低下する。一方、上記SiH比が下限を下回ると、ポリシラザンの構造自体が不安定になり、低分子成分が増えたり、液停滞や分子間の粗大凝集化を引き起こしたりするため、やはりガスバリア性、特に高温高湿条件下でのガスバリア性が低下する。高温高湿条件下でのガスバリア性のより向上効果などを考慮すると、変性ポリシラザンのSiH比は、1:12〜28であることが好ましく、1:15〜25であることが好ましく、1:18〜24であることがより好ましい。
ここで、変性ポリシラザンは、上記したようなSiH比を有するポリシラザンが製造できれば、いずれの方法によって製造されてもよいが、好ましくは下記に詳述する方法が使用できる。ポリシラザンを、低分子シラザン、低分子シロキサン、金属アルコキシド化合物および金属キレート化合物からなる群より選択される少なくとも一種と反応させて、ポリシラザン中のSiH基の反応性を下げるようにSiH基を修飾することが好ましく、ポリシラザンを、低分子シラザンおよび/または低分子シロキサン、ならびに金属アルコキシド化合物および/または金属キレート化合物と反応させて、ポリシラザン中のSiH基の反応性を下げるようにSiH基を修飾することがより好ましい。ここで、ポリシラザンは、ケイ素原子、水素原子および窒素原子を有する。すなわち、本発明の変性ポリシラザンは、(a)ケイ素原子、水素原子および窒素原子を含むポリシラザン(以下、単に「原料ポリシラザン」とも称する)を、(b)低分子シラザンおよび低分子シロキサンの少なくとも一方(以下、単に「低分子シラザン/シロキサン」とも称する)、ならびに(c)金属アルコキシド化合物および金属キレート化合物(以下、単に「金属アルコキシド/キレート化合物」とも称する)の少なくとも一方と反応させることによって得られることが好ましい。(b)低分子シラザン/シロキサン、および(c)金属アルコキシド/キレート化合物は、原料ポリシラザン中の−SiH基との反応性が高いため、原料ポリシラザン中の末端−SiH基をより効率的に修飾できる。また、(c)金属アルコキシド/キレート化合物は、(b)低分子シラザン/シロキサンに比して、活性エネルギー線照射によるポリシラザンの酸化反応を促進するものの、大気中の水や酸素との反応性が高い。このため、ポリシラザンの末端の反応点(−SiH基)を所望の酸化反応促進効果を奏する量の(c)金属アルコキシド/キレート化合物で修飾し、残り(未反応)の反応点(−SiH基)を(b)低分子シラザン/シロキサンで修飾することが好ましい。すなわち、本発明の変性ポリシラザンは、(a)ケイ素原子、水素原子および窒素原子を含むポリシラザンを、(c)金属アルコキシド化合物および金属キレート化合物の少なくとも一方と反応させた後、(b)低分子シラザンおよび低分子シロキサンの少なくとも一方と反応させることによって得られることがより好ましい。これにより、大気中の水分や酸素との反応(塗布から活性エネルギー線照射までの間の望ましくない反応)を抑制・防止しつつ、ポリシラザンの酸化反応(改質処理)をより効率よく進行することができる。
本明細書において、「SiH基を修飾する」、「SiH基の修飾」、「ポリシラザンと低分子シラザン、低分子シロキサン、金属アルコキシド化合物、金属キレート化合物との反応」とは、SiH基の反応性(特に水との反応性)を低下させるための修飾/反応を意味し、SiH基の少なくとも1つの水素原子を他の化合物(例えば、低分子シラザン、低分子シロキサン、金属アルコキシド化合物、金属キレート化合物)で置換することに限定されず、末端のSiに上記他の化合物が配位することをも包含するが、好ましくはSiH基の少なくとも1つの水素原子を他の化合物(例えば、低分子シラザン、低分子シロキサン、金属アルコキシド化合物、金属キレート化合物)で置換する。
以下、本発明の変性ポリシラザンの製造方法の好ましい形態を説明するが、本発明は下記形態に限定されるものではない。
(a)ポリシラザンは、ケイ素原子、水素原子及び窒素原子を少なくとも含み、ケイ素−窒素結合を有するポリマーである。具体的には、その構造内にSi−N、Si−H、N−H等の結合を有するSiO、Si、および両方の中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。
本発明に用いられるポリシラザンの例としては、特に限定されず、公知のものが挙げられる。例えば、特開2013−022799号公報の段落「0043」〜「0058」や特開2013−226758号公報の段落「0038」〜「0056」などに開示されているものが適宜採用される。これらの中では、パーヒドロポリシラザンが最も好ましく用いられる。
また、ポリシラザンは、有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのまま第1のバリア層形成用塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のNN120−10、NN120−20、NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL120−20、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
本発明で使用できるポリシラザンの別の例としては、以下に制限されないが、例えば、上記ポリシラザンにケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(特開平5−238827号公報)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(特開平6−122852号公報)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(特開平6−240208号公報)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6−299118号公報)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(特開平6−306329号公報)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(特開平7−196986号公報)等の、低温でセラミック化するポリシラザンが挙げられる。
(b)低分子シラザンおよび低分子シロキサンは、特に制限されないが、好ましくは、低分子シラザンが、下記一般式(I):
上記一般式(I)において、X、XおよびXは、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基であり;aは、1〜10の整数である、
で表される環状低分子シラザン(I)、下記一般式(II):
上記一般式(II)において、Xは、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基であり;X〜X10は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である、
で表される鎖状低分子シラザン(II)、もしくは下記一般式(III):
上記一般式(III)において、X11およびX12は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基であり;X13〜X16は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である、
で表される鎖状低分子シラザン(III)である、または
低分子シロキサンが、下記一般式(IV):
上記一般式(IV)において、YおよびYは、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基であり;bは、1〜10の整数である、
で表される環状低分子シロキサン(IV)、もしくは下記一般式(V):
上記一般式(V)において、Y〜Y14は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である、
で表される環状低分子シロキサン(V)である。
上記一般式(I)において、X、XおよびXは、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。ここで、X、XおよびXは、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。また、上記一般式(I)中の置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(1)の定義と同様であるため、説明を省略する。アルコキシ基としては、炭素原子数1〜8の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基が挙げられる。より具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基などがある。また、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子がある。これらのうち、X、XおよびXは、水素原子、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基、またはハロゲン原子であることが好ましく、水素原子、メチル基、メトキシ基であることがより好ましい。また、X、XおよびXの組み合わせは、特に制限されないが、X及びXがそれぞれメチル基及び水素原子でかつXがメチル基である;X及びXがメチル基でかつXが水素原子であることが好ましい。
また、上記一般式(I)中、aは、1〜10、好ましくは3〜6の整数である。
したがって、上記一般式(I)の環状低分子シラザン(I)の好ましい例としては、下記がある。
上記一般式(II)において、Xは、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。また、X〜X10は、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。ここで、X、X〜X10は、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。また、上記一般式(II)中の置換または非置換の、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(1)または(I)の定義と同様であるため、説明を省略する。これらのうち、Xは、水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、ビニル基、アルコキシ基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。また、X〜X10は、水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、ビニル基、アルコキシ基であることが好ましく、水素原子、メチル基、ビニル基であることがより好ましい。ここで、前記一般式(II)において、X、またはX〜X10の少なくとも1つが水素原子であることがさらに好ましい。
したがって、上記一般式(II)の鎖状低分子シラザン(II)の好ましい例としては、下記がある。
上記一般式(III)において、X11およびX12は、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。また、X13〜X16は、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。ここで、X11およびX12、X13〜X16は、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。また、上記一般式(III)中の置換または非置換の、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(1)または(I)の定義と同様であるため、説明を省略する。これらのうち、X11およびX12は、水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、ビニル基、アルコキシ基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。また、X13〜X16は、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、ビニル基、アルコキシ基であることが好ましく、メチル基、t−ブチル基であることがより好ましい。
したがって、上記一般式(III)の鎖状低分子シラザン(III)の好ましい例としては、下記がある。
上記一般式(IV)において、YおよびYは、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。ここで、YおよびYは、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。また、上記一般式(IV)中の置換または非置換の、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(1)または(I)の定義と同様であるため、説明を省略する。これらのうち、YおよびYの一方は水素原子でありかつ他方は炭素原子数1〜3のアルキル基、ビニル基、アルコキシ基であるまたはYおよびY双方が炭素原子数1〜3のアルキル基、ビニル基、アルコキシ基であることが好ましく、YおよびYの一方は水素原子でありかつ他方は炭素原子数1〜3のアルキル基であるまたはYおよびY双方が炭素原子数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、YおよびYの一方は水素原子でありかつ他方は炭素原子数1〜3のアルキル基であるが特に好ましい。
また、上記一般式(IV)中、bは、1〜10、好ましくは3〜6の整数である。
したがって、上記一般式(IV)の環状低分子シロキサン(IV)の好ましい例としては、下記がある。
上記一般式(V)において、Y〜Y14は、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。ここで、Y〜Y14は、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。また、上記一般式(V)中の置換または非置換の、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(1)または(I)の定義と同様であるため、説明を省略する。これらのうち、Y〜Y14は、水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、ビニル基、アルコキシド基であることが好ましく、水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基であることがより好ましい。
したがって、上記一般式(V)の環状低分子シロキサン(V)の好ましい例としては、下記がある。
上記低分子シラザンおよび低分子シロキサンのうち、一般式(I)の環状低分子シラザン(I)、一般式(II)の鎖状低分子シラザン(II)、一般式(III)の鎖状低分子シラザン(III)及び一般式(IV)の環状低分子シロキサン(IV)が好ましく、一般式(I)の環状低分子シラザン(I)、一般式(II)の鎖状低分子シラザン(II)がより好ましく、化合物2、3であることが特に好ましい。
(c)金属アルコキシド化合物および金属キレート化合物は、高性能のバリア層を効率的に形成することができる。金属アルコキシド化合物および金属キレート化合物を構成する金属は、特に制限されない。例えば、金属アルコキシドおよび金属キレート化合物は、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロジウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、ラジウム(Ra)等の長周期型周期表の第2〜14族元素を金属として含む金属アルコキシドおよび金属キレート化合物であることが好ましい。これらの金属は、ポリシラザン中の窒素原子と配位結合を形成しやすい。また、ルイス酸性が高い点で、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、または銅(Cu)を金属として含む金属アルコキシドおよび金属キレート化合物であることがより好ましい。
また、金属アルコキシド化合物は、特に制限されないが、高性能のバリア層をより効率的に形成することができる点で、アルミニウムアルコキシドであることが好ましい。
金属アルコキシド化合物のより具体的な例としては、例えば、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリn−プロピル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリn−ブチル、ホウ酸トリtert−ブチル、マグネシウムエトキシド、マグネシウムエトキシエトキシド、マグネシウムメトキシエトキシド、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリn−プロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリn−ブトキシド、アルミニウムトリsec−ブトキシド、アルミニウムトリtert−ブトキシド、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロピレートモノsec−ブチレート、アルミニウムオキサイドイソプロポキサイドトリマー、アルミニウムオキサイドオクチレートトリマー、カルシウムメトキシド、カルシウムエトキシド、カルシウムイソプロポキシド、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラノルマルプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンジイソプロポキシジノルマルブトキシド、チタンジターシャリーブトキシジイソプロポキシド、チタンテトラtert−ブトキシド、チタンテトライソオクチロキシド、チタンテトラステアリルアルコキシド、バナジウムトリイソブトキシドオキシド、クロムn−プロポキシド、クロムイソプロポキシド、マンガンメトキシド、鉄メトキシド、鉄エトキシド、鉄n−プロポキシド、鉄イソプロポキシド、コバルトイソプロポキシド、銅メトキシド、銅エトキシド、銅イソプロポキシド、亜鉛エトキシド、亜鉛エトキシエトキシド、亜鉛メトキシエトキシド、ガリウムメトキシド、ガリウムエトキシド、ガリウムイソプロポキシド、ゲルマニウムメトキシド、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムイソプロポキシド、ゲルマニウムn−ブトキシド、ゲルマニウムtert−ブトキシド、エチルトリエトキシゲルマニウム、ストロンチウムイソプロポキシド、イットリウムn−プロポキシド、イットリウムイソプロポキシド、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムn−プロポキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムtert−ブトキシド、ニオブエトキシド、ニオブn−ブトキシド、ニオブtert−ブトキシド、モリブデンエトキシド、インジウムイソプロポキシド、インジウムイソプロポキシド、インジウムn−ブトキシド、インジウムメトキシエトキシド、スズn−ブトキシド、スズtert−ブトキシド、バリウムジイソプロポキシド、バリウムtert−ブトキシド、ランタンイソプロポキシド、ランタンメトキシエトキシド、セリウムn−ブトキシド、セリウムtert−ブトキシド、プラセオジムメトキシエトキシド、ネオジムメトキシエトキシド、サマリウムイソプロポキシド、ハフニウムエトキシド、ハフニウムn−ブトキシド、ハフニウムtert−ブトキシド、タンタルメトキシド、タンタルエトキシド、タンタルn−ブトキシド、タンタルブトキシド、タングステンエトキシド、タリウムエトキシド、および下記構造を有する化合物などが挙げられる。
また、金属アルコキシド化合物として、シルセスキオキサンも用いることができる。
シルセスキオキサン(Silsesquioxane)は、主鎖骨格がSi−O結合からなるシロキサン系の化合物であり、Tレジンとも呼ばれるもので、通常のシリカが一般式〔SiO〕で表されるのに対し、シルセスキオキサン(ポリシルセスキオキサンとも称する)は一般式〔RSiO1.5〕で表される化合物である。通常はテトラエトキシシランに代表されるテトラアルコキシシラン(Si(OR’))の1つのアルコキシ基をアルキル基またはアリール基に置き換えた(RSi(OR’))化合物の加水分解−重縮合で合成されるポリシロキサンであり、分子配列の形状として、代表的には無定形、ラダー状、かご状(完全縮合ケージ状)がある。
シルセスキオキサンは、合成されてもあるいは市販品であってもよい。後者の具体例としては、X−40−2308、X−40−9238、X−40−9225、X−40−9227、x−40−9246、KR−500、KR−510(いずれも、信越化学社製)、SR2400、SR2402、SR2405、FOX14(パーヒドロシルセルセスキオキサン)(いずれも、東レ・ダウコーニング社製)、SST−H8H01(パーヒドロシルセルセスキオキサン)(Gelest社製)等が挙げられる。
これら金属アルコキシド化合物の中でも、反応性、溶解性等の観点から分岐状のアルコキシ基を有する化合物が好ましく、2−プロポキシ基、またはsec−ブトキシ基を有する化合物がより好ましい。
さらに好ましい金属アルコキシド化合物は、具体的には、アルミニウムトリsec−ブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、またはアルミニウムジイソプロピレートモノsec−ブチレートである。
また、金属キレート化合物は、特に制限されないが、高性能のバリア層をより効率的に形成することができる点で、β−ジケトンを配位子として有する金属キレート化合物であることが好ましい。すなわち、前記金属アルコキシド化合物がアルミニウムアルコキシドである、または前記金属キレート化合物がβ−ジケトンを配位子として有する金属キレート化合物であることが特に好ましい。
β−ジケトンとしては、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、2,4−デカンジオン、2,4−トリデカンジオン、5,5−ジメチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2−ジメチル−3,5−ノナンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、1,3−シクロヘキサンジオン、1−シクロヘキシル−1,3−ブタンジオンなどが挙げられる。
β−ジケトンを配位子として有する金属キレート化合物のさらに具体的な例としては、例えば、ベリリウムアセチルアセトネート、マグネシウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムエチルアセトアセテートジn−ブチレート、アルミニウムジエチルアセトアセテートモノn−ブチレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ビス(エチルアセトアセテート)(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム、アルミニウムアルキルアセトアセテートジイソプロピレート、カルシウムアセチルアセトネート、スカンジウムアセチルアセトネート、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、トリス(2,4−ペンタンジオナト)クロム、トリス(2,4−ペンタンジオナト)マンガン、トリス(2,4−ペンタンジオナト)鉄、トリス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト、ニッケルアセチルアセトネート、ビス(2,4−ペンタンジオナト)銅、ガリウムアセチルアセトナート、イットリウムアセチルアセトネート、テトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム、モリブデンアセチルアセトネート、パラジウムアセチルアセトネート、銀アセチルアセトネート、カドミウムアセチルアセトネート、トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム、スズアセチルアセトネート、バリウムアセチルアセトネート、ランタンアセチルアセトネート、セリウムアセチルアセトネート、プラセオジムアセチルアセトネート、ネオジムアセチルアセトネート、サマリウムアセチルアセトネート、ユーロピウムアセチルアセトネート、ガドリニウムアセチルアセトネート、テルビウムアセチルアセトネート、ホルミウムアセチルアセトネート、イッテルビウムアセチルアセトネート、ルテチウムアセチルアセトネート、ハフニウムアセチルアセトネート、タンタルテトラメトキシドアセチルアセトネート、イリジウムアセチルアセトネート、イリジウムジカルボニルアセチルアセトネート、タリウムアセチルアセトネート、鉛アセチルアセトネートなどが挙げられる。
β−ジケトンを配位子として有する金属キレート化合物の中でも、アセチルアセトナート基またはエチルアセトアセテート基を有する金属化合物が好ましい。これらの基は、カルボニル構造によりアルコキシド化合物の中心元素と相互作用を有するため、取り扱い性が容易になり好ましい。さらに好ましくは上記のアルコキシド基、エチルアセトアセテート基またはアセチルアセトナート基を複数種有する化合物が反応性や膜組成の観点からより好ましい。
さらに好ましい金属キレート化合物は、具体的には、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムエチルアセトアセテートジn−ブチレート、またはアルミニウムジエチルアセトアセテートモノn−ブチレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)銅(II)(銅アセチルアセトネート)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)鉄(III)(鉄アセチルアセトネート)である。
金属アルコキシド化合物またはβ−ジケトンを配位子として有するキレート化合物は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。市販品の具体的な例としては、例えば、金属アルコキシド化合物としては、AMD(アルミニウムジイソプロピレートモノsec−ブチレート)、ASBD(アルミニウムセカンダリーブチレート)、プレンアクト(登録商標)AL−M(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、味の素ファインケミカル株式会社製)、オルガチックスシリーズ(マツモトファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。市販されているβ−ジケトンを配位子として有する金属キレート化合物としては、ALCH(アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)、ALCH−TR(アルミニウムトリスエチルアセトアセテート)、アルミキレートM(アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレート)、アルミキレートD(アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート)、アルミキレートA(W)(アルミニウムトリスアセチルアセトネート)(以上、川研ファインケミカル株式会社製)、オルガチックスシリーズ(マツモトファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
また、上記反応において、(a)原料ポリシラザン、(b)低分子シラザン/シロキサン、および(c)金属アルコキシド/キレート化合物の反応(添加)順序は、特に制限されず、(ア)(a)原料ポリシラザン、(b)低分子シラザン/シロキサン、および(c)金属アルコキシド/キレート化合物を一括して混合して、反応させても;(イ)(a)原料ポリシラザンおよび(c)金属アルコキシド/キレート化合物を予め反応させた後、(b)低分子シラザン/シロキサンを添加して反応させても;(ウ)(a)原料ポリシラザンおよび(b)低分子シラザン/シロキサンを予め反応させた後、(c)金属アルコキシド/キレート化合物を添加して反応させても;または(エ)(b)低分子シラザン/シロキサンおよび(c)金属アルコキシド/キレート化合物を予め反応させた後、(a)原料ポリシラザンを添加して反応させても、いずれでもよい。これらのうち、(イ)、(ウ)、(エ)が好ましく、(イ)がより好ましい。すなわち、変性ポリシラザンは、(a)ケイ素原子、水素原子および窒素原子を含むポリシラザンを、(c)金属アルコキシド化合物および金属キレート化合物の少なくとも一方と反応させた後、(b)低分子シラザンおよび低分子シロキサンの少なくとも一方と反応させることによって得られることが特に好ましい。当該反応によって、ガスバリア性、特に特に過酷な条件(高温高湿条件)下でのガスバリア性を向上できる。詳細には、(b)低分子シラザン/シロキサンおよび(c)金属アルコキシド/キレート化合物は、原料ポリシラザンの−SiH基のうち末端側から修飾していく。また、(c)金属アルコキシド/キレート化合物による修飾は、(b)低分子シラザンおよび低分子シロキサンによる修飾に比して、外部の酸素の取り込みを促進する(即ち、変性ポリシラザンの活性エネルギー線照射時に酸化反応を促進する)ように作用する。このため、上記(イ)によるように、まず、ポリシラザンの末端の反応点(−SiH基)を所望の酸化反応促進効果を奏する量の(c)金属アルコキシド/キレート化合物と予め反応させて、原料ポリシラザンの末端−SiH基を金属アルコキシド/キレート化合物で修飾した後、未反応(残り)の反応点(−SiH基)を(b)低分子シラザン/シロキサンで修飾して、変性ポリシラザン中の−SiH基量(数)を適切な範囲に調節することが好ましい。これにより、大気中の水分や酸素との反応を抑制・防止しつつ、ポリシラザンの酸化反応(改質処理)をより効率よく進行することができる。その結果、変性ポリシラザンに活性エネルギー線を照射して改質反応を行うと、外部の酸素の取り込み(変性ポリシラザン中の酸化反応)が促進されて、ガスバリア性、特に特に過酷な条件(高温高湿条件)下でのガスバリア性をより効率的に向上できる。なお、上記(ア)の反応では、(b)低分子シラザン/シロキサンと(c)金属アルコキシド/キレート化合物との反応が、(a)原料ポリシラザンと(b)低分子シラザン/シロキサンまたは(c)金属アルコキシド/キレート化合物との反応に比して、優先して進行してしまう可能性がある。
上記反応において、(a)原料ポリシラザンと、(b)低分子シラザン/シロキサンおよび(c)金属アルコキシド/キレート化合物と、の混合比は、(a)原料ポリシラザンの末端−SiH基が(b)低分子シラザン/シロキサンおよび(c)金属アルコキシド/キレート化合物で十分修飾できる割合であれば、特に制限されない。具体的には、(b)低分子シラザンおよび低分子シロキサンの少なくとも一方、および(c)金属アルコキシド化合物および金属キレート化合物の少なくとも一方の合計仕込み量が、(a)原料ポリシラザン中のケイ素元素数(Si)に対して、5モル%を超えて50モル%以下であることが好ましく、6〜30モル%であることがより好ましく、7〜20モル%であることがより好ましく、8〜15モル%であることが特に好ましい。5モル%を超えれば、高温高湿下でより優れた保存安定性を有するガスバリア性フィルムが得られうる。また、50モル%以下であれば、変性ポリシラザンを用いて形成されるバリア層のガスバリア性が向上しうる。
(b)低分子シラザン/シロキサンおよび(c)金属アルコキシド/キレート化合物の混合比は、特に制限されないが、(b)低分子シラザン/シロキサンおよび(c)金属アルコキシド/キレート化合物の混合比(モル比)が、1:0.1〜10であることが好ましく、1:0.5〜5であることがより好ましい。このような範囲であれば、変性ポリシラザンを用いて形成されるガスバリア性フィルムは、高温高湿下でより優れた保存安定性を発揮できる。
また、上記反応は、無溶媒系で行われてもよいが、好ましくは溶剤中に行われることが好ましい。ここで、溶剤としては、(a)原料ポリシラザン、(b)低分子シラザン/シロキサン、および(c)金属アルコキシド/キレート化合物を溶解できるものであれば特に制限されないが、ポリシラザンと容易に反応してしまう水および反応性基(例えば、ヒドロキシル基、あるいはアミン基等)を含まず、ポリシラザンに対して不活性の有機溶剤が好ましく、非プロトン性の有機溶剤がより好ましい。具体的には、溶剤としては、非プロトン性溶剤;例えば、ペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターペン等の、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒;塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、モノ−およびポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)等の脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類などを挙げることができる。上記溶剤は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。また、上記溶剤は、使用する前にあらかじめ酸素濃度や水分含量を低減させておくことが好ましい。溶剤中の酸素濃度や水分含量を低減する手段は特に限定されず、従来公知の手法が適用されうる。この際、反応溶液中の原料ポリシラザンの濃度は、特に制限されない。例えば、反応後の変性ポリシラザン溶液をガスバリア性フィルムの作製にそのまま使用する場合には、層の膜厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは2〜50質量%、特に好ましくは10〜40質量%である。
上記反応条件は、(a)原料ポリシラザンの末端−SiH基が(b)低分子シラザン/シロキサンおよび(c)金属アルコキシド/キレート化合物で十分修飾できる条件であれば、特に制限されない。具体的には、反応温度(反応混合物の温度)が、30℃〜100℃、より好ましくは40〜90℃、さらにより好ましくは50〜80℃であることが好ましい。また、反応時間は、10分〜10時間、より好ましくは30分〜4時間、さらにより好ましくは1〜2時間であることが好ましい。このような条件であれば、(a)原料ポリシラザン同士の架橋反応を抑制しつつ、(a)原料ポリシラザンと、(b)低分子シラザン/シロキサンおよび(c)金属アルコキシド/キレート化合物との反応を十分進行できる。
上記反応は、いずれの雰囲気で行われてもよいが、上記したように、水との反応性を考慮すると、不活性な環境下で行われることが好ましく、実質的に酸素や水分を含まない雰囲気下で行われることがより好ましい。ここで、反応系内の酸素濃度は、特に制限されないが、好ましくは0〜200体積ppm、より好ましくは0〜100ppm、さらにより好ましくは0〜30体積ppmである。また、反応系内の水分濃度(水蒸気濃度)は、特に制限されないが、好ましくは0〜200体積ppm、より好ましくは0〜100ppm、さらにより好ましくは0〜30体積ppmである。このような雰囲気中で反応を行うことにより、(a)原料ポリシラザン、(b)低分子シラザン/シロキサンや(c)金属アルコキシド/キレート化合物と水分や酸素との反応を十分抑制できる。
上記したようにして製造される本発明の変性ポリシラザンは、大気中の水分と反応しやすい末端のSiH基が少ない。このため、活性エネルギー線を照射による酸化反応を優先的に進行させることが可能である。ゆえに、本発明の変性ポリシラザンは、ガスバリア性、特に過酷な条件(特に高温高湿)下でのガスバリア性に優れるバリア層、ゆえにガスバリア性フィルムの作製に特に有用である。
したがって、本発明は、本発明の変性ポリシラザンを含む塗布液、および基材と、上記塗布液を用いて形成されるバリア層と、を含む、ガスバリア性フィルムをも提供する。
<ガスバリア性フィルム>
本発明のガスバリア性フィルムは、基材、および本発明の変性ポリシラザンを含む塗布液で形成されるバリア層と、を含むが、ガスバリア性、特に過酷な条件(特に高温高湿)下でのガスバリア性のさらなる向上効果を考慮すると、基材と上記バリア層との間に、無機化合物を含む無機化合物層をさらに有することが好ましい。すなわち、本発明の好ましい形態によると、ガスバリア性フィルムは、基材と、無機化合物を含む無機化合物層(本明細書中では、「第1のバリア層」とも称する)と、本発明の変性ポリシラザンを含む塗布液で形成されるバリア層(本明細書中では、「第2のバリア層」とも称する)と、をこの順に含む。
以下、上記好ましい形態に係るガスバリア性フィルムについて説明する。なお、本発明は、下記好ましい形態に限定されない。
本発明のガスバリア性フィルムは、基材、第1のバリア層、および第2のバリア層をこの順に有することが好ましい。前記ガスバリア性フィルムは、他の部材をさらに含むものであってもよい。本発明のガスバリア性フィルムは、例えば、基材と第1のバリア層との間、第1のバリア層と第2のバリア層との間、第2のバリア層の上、または第1のバリア層および第2のバリア層が形成されていない基材の他方の面に、他の部材を有していてもよい。ここで、他の部材としては、特に制限されず、従来のガスバリア性フィルムに使用される部材が同様にしてあるいは適宜修飾して使用できる。具体的には、中間層、保護層、平滑層、アンカーコート層、ブリードアウト防止層、水分吸着性を有するデシカント性層や帯電防止層の機能化層などが挙げられる。
本発明の変性ポリシラザンを用いて形成されるバリア層(第2のバリア層)が第1のバリア層上に配置される場合には、第1のバリア層および第2のバリア層を有するガスバリア性ユニットは、基材の一方の表面上に形成されていてもよく、基材の両方の表面上に形成されていてもよい。また、該ガスバリア性ユニットは、ガスバリア性を必ずしも有しない層を含んでいてもよい。
〔基材〕
本発明に係るガスバリア性フィルムは、基材として、プラスチックフィルムまたはプラスチックシートが好ましく用いられ、無色透明な樹脂からなるフィルムまたはシートがより好ましく用いられる。用いられるプラスチックフィルムは、第2のバリア層及び必要であれば第1のバリア層等を保持できるフィルムであれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。前記プラスチックフィルムとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
また、本発明において、特開2012−116101号公報の段落「0056」〜「0075」や特開2013−226758号公報の段落「0125」〜「0131」などに開示されている基材も適宜採用される。
本発明に係るガスバリア性フィルムに用いられる基材の厚みは、用途によって適宜選択されるため特に制限がないが、典型的には1〜800μmであり、好ましくは10〜200μmである。これらのプラスチックフィルムは、透明導電層、プライマー層、クリアハードコート層等の機能層を有していても良い。機能層については、上述したもののほか、特開2006−289627号公報の段落番号「0036」〜「0038」に記載されているものを好ましく採用できる。
基材は、表面の平滑性が高いものが好ましい。表面の平滑性としては、平均表面粗さ(Ra)が2nm以下であるものが好ましい。下限は特にないが、実用上、0.01nm以上である。必要に応じて、基材の両面、少なくともバリア層を設ける側を研摩し、平滑性を向上させておいてもよい。
基材の少なくとも本発明に係る第1のバリア層を設ける側には、密着性向上のための公知の種々の処理、例えばコロナ放電処理、火炎処理、酸化処理、またはプラズマ処理や、後述する平滑層の積層等を行ってもよく、必要に応じて上記処理を組み合わせて行うことが好ましい。
〔無機化合物層(第1のバリア層)〕
基材の上部に形成される無機化合物層(第1のバリア層)は、無機化合物を含む。ここで、無機化合物としては、特に限定されないが、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物または金属酸炭化物が挙げられる。中でも、ガスバリア性能の点で、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、CeおよびTaから選ばれる1種以上の金属を含む、酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物または酸炭化物などを好ましく用いることができ、Si、Al、In、Sn、ZnおよびTiから選ばれる金属の酸化物、窒化物または酸窒化物がより好ましく、特にSiおよびAlの少なくとも1種の、酸化物、窒化物または酸窒化物が好ましい。好適な無機化合物として、具体的には、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、またはアルミニウムシリケートなどの複合体が挙げられる。副次的な成分として他の元素を含有してもよい。
第1のバリア層に含まれる無機化合物の含有量は特に限定されないが、第1のバリア層中、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましく、100質量%である(すなわち、第1のバリア層は無機化合物からなる)ことが最も好ましい。
第1のバリア層は無機化合物を含むことで、ガスバリア性を有する。ここで、第1のバリア層のガスバリア性は、基材上に第1のバリア層を形成させた積層体で算出した際、水蒸気透過度(WVTR)が0.1g/(m・day)以下であることが好ましく、0.01g/(m・day)以下であることがより好ましい。
第1のバリア層の形成方法は、特に制限されないが、物理気相成長法(PVD法)、化学気相成長法(CVD法)などの真空成膜法、または無機化合物を含む液、好ましくはケイ素化合物を含有する液を塗布して形成される塗膜を改質処理して形成する方法(以下、単に塗布法とも称する)が好ましく、物理気相成長法または化学気相成長法がより好ましい。
以下、真空成膜法および塗布法について説明する。
<真空成膜法>
物理気相成長法(Physical Vapor Deposition、PVD法)は、気相中で物質の表面に物理的手法により、目的とする物質、例えば、炭素膜等の薄膜を堆積する方法であり、例えば、スパッタ法(DCスパッタ法、RFスパッタ法、イオンビームスパッタ法、およびマグネトロンスパッタ法等)、真空蒸着法、イオンプレーティング法などが挙げられる。
スパッタ法は、真空チャンバ内にターゲットを設置し、高電圧をかけてイオン化した希ガス元素(通常はアルゴン)をターゲットに衝突させて、ターゲット表面の原子をはじき出し、基材に付着させる方法である。このとき、チャンバ内に窒素ガスや酸素ガスを流すことにより、アルゴンガスによってターゲットからはじき出された元素と、窒素や酸素とを反応させて無機層を形成する、反応性スパッタ法を用いてもよい。
化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition、CVD法)は、基材上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基材表面または気相での化学反応により膜を堆積する方法である。また、化学反応を活性化する目的で、プラズマなどを発生させる方法などがあり、熱CVD法、触媒化学気相成長法、光CVD法、真空プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法など公知のCVD方式等が挙げられる。特に限定されるものではないが、製膜速度や処理面積の観点から、プラズマCVD法を適用することが好ましい。
また、本発明に係るCVD法により形成される第1のバリア層の好適な一実施形態として、第1のバリア層は構成元素に炭素、ケイ素、および酸素を含むことが好ましい。より好適な形態は、以下の(i)〜(iii)の要件を満たす層である。なお、本明細書において、下記(i)〜(iii)の要件を、それぞれ、「要件(i)」、「要件(ii)」および「要件(iii)」とも称する。
(i)第1のバリア層の膜厚方向における前記第1のバリア層表面からの距離(L)と、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対するケイ素原子の量の比率(ケイ素の原子比)との関係を示すケイ素分布曲線、前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の量の比率(酸素の原子比)との関係を示す酸素分布曲線、ならびに前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係を示す炭素分布曲線において、前記第1のバリア層の膜厚の90%以上(上限:100%)の領域で、(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)、(炭素の原子比)の順で多い(原子比がO>Si>C);
(ii)前記炭素分布曲線が少なくとも2つの極値を有する;
(iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「Cmax−Cmin差」とも称する)が3at%以上である。
以下、(i)〜(iii)の要件について説明する。
該第1のバリア層は、(i)前記第1のバリア層の膜厚方向における前記第1のバリア層表面からの距離(L)と、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対するケイ素原子の量の比率(ケイ素の原子比)との関係を示すケイ素分布曲線、前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の量の比率(酸素の原子比)との関係を示す酸素分布曲線、ならびに前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係を示す炭素分布曲線において、前記第1のバリア層の膜厚の90%以上(上限:100%)の領域で、(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)、(炭素の原子比)の順で多い(原子比がO>Si>C)ことが好ましい。前記の条件(i)を満たすと、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性や屈曲性が向上しうる。ここで、上記炭素分布曲線において、上記(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)および(炭素の原子比)の関係は、第1のバリア層の膜厚の、少なくとも90%以上(上限:100%)の領域で満たされることがより好ましく、少なくとも93%以上(上限:100%)の領域で満たされることがより好ましい。ここで、該第1のバリア層の膜厚の少なくとも90%以上とは、第1のバリア層中で連続していなくてもよく、単に90%以上の部分で上記した関係を満たしていればよい。
また、該第1のバリア層は、(ii)前記炭素分布曲線が少なくとも2つの極値を有することが好ましい。該第1のバリア層は、前記炭素分布曲線が少なくとも3つの極値を有することがより好ましく、少なくとも4つの極値を有することがさらに好ましいが、5つ以上有していてもよい。前記炭素分布曲線の極値が2つ以上であれば、得られるガスバリア性フィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性が向上しうる。なお、炭素分布曲線の極値の上限は、特に制限されないが、例えば、好ましくは30以下、より好ましくは25以下であるが、極値の数は、第1のバリア層の膜厚にも起因するため、一概に規定することはできない。
ここで、少なくとも3つの極値を有する場合においては、前記炭素分布曲線の有する1つの極値および該極値に隣接する極値における前記第1のバリア層の膜厚方向における前記第1のバリア層の表面からの距離(L)の差の絶対値(以下、単に「極値間の距離」とも称する)が、いずれも200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、75nm以下であることが特に好ましい。このような極値間の距離であれば、第1のバリア層中に炭素原子比が多い部位(極大値)が適度な周期で存在するため、第1のバリア層に適度な屈曲性を付与し、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラックの発生をより有効に抑制・防止できる。なお、本明細書において「極値」とは、前記第1のバリア層の膜厚方向における前記第1のバリア層の表面からの距離(L)に対する元素の原子比の極大値または極小値のことをいう。また、本明細書において「極大値」とは、第1のバリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素(酸素、ケイ素または炭素)の原子比の値が増加から減少に変わる点であって、かつその点の元素の原子比の値よりも、該点から第1のバリア層の膜厚方向における第1のバリア層の表面からの距離をさらに4〜20nmの範囲で変化させた位置の元素の原子比の値が3at%以上減少する点のことをいう。すなわち、4〜20nmの範囲で変化させた際に、いずれかの範囲で元素の原子比の値が3at%以上減少していればよい。同様にして、本明細書において「極小値」とは、第1のバリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素(酸素、ケイ素または炭素)の原子比の値が減少から増加に変わる点であり、かつその点の元素の原子比の値よりも、該点から第1のバリア層の膜厚方向における第1のバリア層の表面からの距離をさらに4〜20nmの範囲で変化させた位置の元素の原子比の値が3at%以上増加する点のことをいう。すなわち、4〜20nmの範囲で変化させた際に、いずれかの範囲で元素の原子比の値が3at%以上増加していればよい。ここで、少なくとも3つの極値を有する場合の、極値間の距離の下限は、極値間の距離が小さいほどガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果が高いため、特に制限されないが、第1のバリア層の屈曲性、クラックの抑制/防止効果、熱膨張性などを考慮すると、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。
さらに、該第1のバリア層は、(iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「Cmax−Cmin差」とも称する)が3at%以上であることが好ましい。前記絶対値が3at%以上であれば、得られるガスバリア性フィルムを屈曲させた場合のガスバリア性が向上しうる。Cmax−Cmin差は5at%以上であることがより好ましく、7at%以上であることがさらに好ましく、10at%以上であることが特に好ましい。上記Cmax−Cmin差とすることによって、ガスバリア性をより向上することができる。なお、本明細書において、「最大値」とは、各元素の分布曲線において最大となる各元素の原子比であり、極大値の中で最も高い値である。同様にして、本明細書において、「最小値」とは、各元素の分布曲線において最小となる各元素の原子比であり、極小値の中で最も低い値である。ここで、Cmax−Cmin差の上限は、特に制限されないが、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果などを考慮すると、50at%以下であることが好ましく、40at%以下であることがより好ましい。
本発明において、前記第1のバリア層の前記酸素分布曲線が少なくとも1つの極値を有することが好ましく、少なくとも2つの極値を有することがより好ましく、少なくとも3つの極値を有することがさらに好ましい。前記酸素分布曲線が極値を少なくとも1つ有する場合、得られるガスバリア性フィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性が極値を有さないガスバリア性フィルムと比較してより向上する。なお、酸素分布曲線の極値の上限は、特に制限されないが、例えば、好ましくは20以下、より好ましくは10以下である。酸素分布曲線の極値の数においても、第1のバリア層の膜厚に起因する部分があり一概に規定できない。また、少なくとも3つの極値を有する場合においては、前記酸素分布曲線の有する1つの極値および該極値に隣接する極値における前記第1のバリア層の膜厚方向における第1のバリア層の表面からの距離の差の絶対値がいずれも200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。このような極値間の距離であれば、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラックの発生をより有効に抑制・防止できる。ここで、少なくとも3つの極値を有する場合の、極値間の距離の下限は、特に制限されないが、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果、熱膨張性などを考慮すると、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。
前記ケイ素分布曲線、前記酸素分布曲線、前記炭素分布曲線、および前記酸素炭素分布曲線は、X線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)の測定とアルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル測定により作成することができる。このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比(単位:at%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線においては、エッチング時間は膜厚方向における前記第1のバリア層の膜厚方向における前記第1のバリア層の表面からの距離(L)に概ね相関することから、「第1のバリア層の膜厚方向における第1のバリア層の表面からの距離」として、XPSデプスプロファイル測定の際に採用したエッチング速度とエッチング時間との関係から算出される第1のバリア層の表面からの距離を採用することができる。なお、ケイ素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線および酸素炭素分布曲線は、下記測定条件にて作成することができる。
(測定条件)
エッチングイオン種:アルゴン(Ar
エッチング速度(SiO熱酸化膜換算値):0.05nm/sec
エッチング間隔(SiO換算値):10nm
X線光電子分光装置:Thermo Fisher Scientific社製、機種名"VG Theta Probe"
照射X線:単結晶分光AlKα
X線のスポットおよびそのサイズ:800×400μmの楕円形。
上記のプラズマCVD法により形成される第1のバリア層の膜厚(乾燥膜厚)は、特に制限されない。例えば、該第1のバリア層の1層当たりの膜厚は、20〜3000nmであることが好ましく、50〜2500nmであることがより好ましく、100〜1000nmであることが特に好ましい。このような膜厚であれば、ガスバリア性フィルムは、優れたガスバリア性および屈曲時のクラック発生抑制/防止効果を発揮できる。なお、上記のプラズマCVD法により形成される第1のバリア層が2層以上から構成される場合には、各第1のバリア層が上記したような膜厚を有することが好ましい。
本発明において、膜面全体において均一でかつ優れたガスバリア性を有する第1のバリア層を形成するという観点から、前記第1のバリア層が膜面方向(第1のバリア層の表面に平行な方向)において実質的に一様であることが好ましい。ここで、第1のバリア層が膜面方向において実質的に一様とは、XPSデプスプロファイル測定により第1のバリア層の膜面の任意の2箇所の測定箇所について前記酸素分布曲線、前記炭素分布曲線および前記酸素炭素分布曲線を作成した場合に、その任意の2箇所の測定箇所において得られる炭素分布曲線が持つ極値の数が同じであり、それぞれの炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値が、互いに同じであるかもしくは5at%以内の差であることをいう。
さらに、本発明においては、前記炭素分布曲線は実質的に連続であることが好ましい。ここで、炭素分布曲線が実質的に連続とは、炭素分布曲線における炭素の原子比が不連続に変化する部分を含まないことを意味し、具体的には、エッチング速度とエッチング時間とから算出される前記第1のバリア層のうちの少なくとも1層の膜厚方向における該第1のバリア層の表面からの距離(x、単位:nm)と、炭素の原子比(C、単位:at%)との関係において、下記数式1で表される条件を満たすことをいう。
本発明に係るガスバリア性フィルムにおいて、上記条件(i)〜(iii)を全て満たす第1のバリア層は、1層のみを備えていてもよいし2層以上を備えていてもよい。さらに、このような第1のバリア層を2層以上備える場合には、複数の第1のバリア層の材質は、同一であってもよいし異なっていてもよい。
本発明では、第1のバリア層の形成方法は特に制限されず、従来と方法を同様にしてあるいは適宜修飾して適用できる。第1のバリア層は、好ましくは化学気相成長(CVD)法、特に、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD、PECVD(plasma-enhanced chemical vapor deposition)、以下、単に「プラズマCVD法」とも称する)により形成され、基材を一対の成膜ローラー上に配置し、前記一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させるプラズマCVD法により形成されることがより好ましい。
以下では、基材を一対の成膜ローラー上に配置し、前記一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させるプラズマCVD法により、基材上に第1のバリア層を形成する方法を説明する。
≪プラズマCVD法による第1のバリア層の形成方法≫
本発明に係る第1のバリア層を基材の表面上に形成させる方法としては、ガスバリア性の観点から、プラズマCVD法を採用することが好ましい。なお、前記プラズマCVD法はペニング放電プラズマ方式のプラズマCVD法であってもよい。
また、プラズマCVD法においてプラズマを発生させる際には、複数の成膜ローラーの間の空間にプラズマ放電を発生させることが好ましく、一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラーのそれぞれに基材を配置して、一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させることがより好ましい。このようにして、一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラー上に基材を配置して、かかる一対の成膜ローラー間に放電することにより、成膜時に一方の成膜ローラー上に存在する基材の表面部分を成膜しつつ、もう一方の成膜ローラー上に存在する基材の表面部分も同時に成膜することが可能となって効率よく薄膜を製造できるばかりか、通常のローラーを使用しないプラズマCVD法と比較して成膜レートを倍にでき、なおかつ、略同一である構造の膜を成膜できるので前記炭素分布曲線における極値を少なくとも倍増させることが可能となり、効率よく上記条件(i)〜(iii)を全て満たす層を形成することが可能となる。
また、このようにして一対の成膜ローラー間に放電する際には、前記一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが好ましい。さらに、このようなプラズマCVD法に用いる成膜ガスとしては、有機ケイ素化合物と酸素とを含むものが好ましく、その成膜ガス中の酸素の含有量は、前記成膜ガス中の前記有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量未満であることが好ましい。また、本発明のガスバリア性フィルムにおいては、前記第1のバリア層が連続的な成膜プロセスにより形成された層であることが好ましい。
また、本発明に係るガスバリア性フィルムは、生産性の観点から、ロールツーロール方式で前記基材の表面上に前記第1のバリア層を形成させることが好ましい。また、このようなプラズマCVD法により第1のバリア層を製造する際に用いることが可能な装置としては、特に制限されないが、少なくとも一対の成膜ローラーと、プラズマ電源とを備え、かつ前記一対の成膜ローラー間において放電することが可能な構成となっている装置であることが好ましく、例えば、図2に示す製造装置を用いた場合には、プラズマCVD法を利用しながらロールツーロール方式で製造することも可能となる。
以下、図2を参照しながら、基材を一対の成膜ローラー上に配置し、前記一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させるプラズマCVD法による第1のバリア層の形成方法について、より詳細に説明する。なお、図2は、本製造方法より第1のバリア層を製造するために好適に利用することが可能な製造装置の一例を示す模式図である。また、以下の説明および図面中、同一または相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図2に示す製造装置31は、送り出しローラー32と、搬送ローラー33、34、35、36と、成膜ローラー39、40と、ガス供給管41と、プラズマ発生用電源42と、成膜ローラー39および40の内部に設置された磁場発生装置43、44と、巻取りローラー45とを備えている。また、このような製造装置においては、少なくとも成膜ローラー39、40と、ガス供給管41と、プラズマ発生用電源42と、磁場発生装置43、44とが図示を省略した真空チャンバ内に配置されている。さらに、このような製造装置31において前記真空チャンバは図示を省略した真空ポンプに接続されており、かかる真空ポンプにより真空チャンバ内の圧力を適宜調整することが可能となっている。
このような製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39と成膜ローラー40)を一対の対向電極として機能させることが可能となるように、各成膜ローラーがそれぞれプラズマ発生用電源42に接続されている。そのため、このような製造装置31においては、プラズマ発生用電源42により電力を供給することにより、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の空間に放電することが可能であり、これにより成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の空間にプラズマを発生させることができる。なお、このように、成膜ローラー39と成膜ローラー40とを電極としても利用する場合には、電極としても利用可能なようにその材質や設計を適宜変更すればよい。また、このような製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39および40)は、その中心軸が同一平面上において略平行となるようにして配置することが好ましい。このようにして、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39および40)を配置することにより、成膜レートを倍にでき、なおかつ、同じ構造の膜を成膜できるので前記炭素分布曲線における極値を少なくとも倍増させることが可能となる。そして、このような製造装置によれば、CVD法により基材2の表面上に第1のバリア層3を形成することが可能であり、成膜ローラー39上において基材2の表面上に第1のバリア層成分を堆積させつつ、さらに成膜ローラー40上においても基材2の表面上に第1のバリア層成分を堆積させることもできるため、基材2の表面上に第1のバリア層を効率よく形成することができる。
成膜ローラー39および成膜ローラー40の内部には、成膜ローラーが回転しても回転しないようにして固定された磁場発生装置43および44がそれぞれ設けられている。
成膜ローラー39および成膜ローラー40にそれぞれ設けられた磁場発生装置43および44は、一方の成膜ローラー39に設けられた磁場発生装置43と他方の成膜ローラー40に設けられた磁場発生装置44との間で磁力線がまたがらず、それぞれの磁場発生装置43、44がほぼ閉じた磁気回路を形成するように磁極を配置することが好ましい。このような磁場発生装置43、44を設けることにより、各成膜ローラー39、40の対向側表面付近に磁力線が膨らんだ磁場の形成を促進することができ、その膨出部にプラズマが収束され易くなるため、成膜効率を向上させることができる点で優れている。
また、成膜ローラー39および成膜ローラー40にそれぞれ設けられた磁場発生装置43、44は、それぞれローラー軸方向に長いレーストラック状の磁極を備え、一方の磁場発生装置43と他方の磁場発生装置44とは向かい合う磁極が同一極性となるように磁極を配置することが好ましい。このような磁場発生装置43、44を設けることにより、それぞれの磁場発生装置43、44について、磁力線が対向するローラー側の磁場発生装置にまたがることなく、ローラー軸の長さ方向に沿って対向空間(放電領域)に面したローラー表面付近にレーストラック状の磁場を容易に形成することができ、その磁場にプラズマを収束させることができため、ローラー幅方向に沿って巻き掛けられた幅広の基材2を用いて効率的に蒸着膜である第1のバリア層3を形成することができる点で優れている。
成膜ローラー39および成膜ローラー40としては適宜公知のローラーを用いることができる。このような成膜ローラー39および40としては、より効率よく薄膜を形成せしめるという観点から、直径が同一のものを使うことが好ましい。また、このような成膜ローラー39および40の直径としては、放電条件、チャンバのスペース等の観点から、直径が300〜1000mmφの範囲、特に300〜700mmφの範囲が好ましい。成膜ローラーの直径が300mmφ以上であれば、プラズマ放電空間が小さくなることがないため生産性の劣化もなく、短時間でプラズマ放電の全熱量が基材2にかかることを回避できることから、基材2へのダメージを軽減でき好ましい。一方、成膜ローラーの直径が1000mmφ以下であれば、プラズマ放電空間の均一性等も含めて装置設計上、実用性を保持することができるため好ましい。
このような製造装置31においては、基材2の表面がそれぞれ対向するように、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39と成膜ローラー40)上に、基材2が配置されている。このようにして基材2を配置することにより、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の対向空間に放電を行ってプラズマを発生させる際に、一対の成膜ローラー間に存在する基材2のそれぞれの表面を同時に成膜することが可能となる。すなわち、このような製造装置によれば、プラズマCVD法により、成膜ローラー39上にて基材2の表面上に第1のバリア層成分を堆積させ、さらに成膜ローラー40上にて第1のバリア層成分を堆積させることができるため、基材2の表面上に第1のバリア層を効率よく形成することが可能となる。
このような製造装置に用いる送り出しローラー32および搬送ローラー33、34、35、36としては適宜公知のローラーを用いることができる。また、巻取りローラー45としても、基材2上に第1のバリア層3を形成したガスバリア性フィルム1を巻き取ることが可能なものであればよく、特に制限されず、適宜公知のローラーを用いることができる。
また、ガス供給管41および真空ポンプとしては、原料ガス等を所定の速度で供給または排出することが可能なものを適宜用いることができる。
また、ガス供給手段であるガス供給管41は、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の対向空間(放電領域;成膜ゾーン)の一方に設けることが好ましく、真空排気手段である真空ポンプ(図示せず)は、前記対向空間の他方に設けることが好ましい。このようにガス供給手段であるガス供給管41と、真空排気手段である真空ポンプを配置することにより、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の対向空間に効率良く成膜ガスを供給することができ、成膜効率を向上させることができる点で優れている。
さらに、プラズマ発生用電源42としては、適宜公知のプラズマ発生装置の電源を用いることができる。このようなプラズマ発生用電源42は、これに接続された成膜ローラー39と成膜ローラー40とに電力を供給して、これらを放電のための対向電極として利用することを可能とする。このようなプラズマ発生用電源42としては、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、前記一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが可能なもの(交流電源など)を利用することが好ましい。また、このようなプラズマ発生用電源42としては、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、印加電力を100W〜10kWとすることができ、かつ交流の周波数を50Hz〜500kHzとすることが可能なものであることがより好ましい。また、磁場発生装置43、44としては適宜公知の磁場発生装置を用いることができる。さらに、基材2としては、本発明で用いられる基材の他に、第1のバリア層3を予め形成させたものを用いることができる。このように、基材2として第1のバリア層3を予め形成させたものを用いることにより、第1のバリア層3の膜厚を厚くすることも可能である。
このような図2に示す製造装置31を用いて、例えば、原料ガスの種類、プラズマ発生装置の電極ドラムの電力、真空チャンバ内の圧力、成膜ローラーの直径、ならびにフィルム(基材)の搬送速度を適宜調整することにより、本発明に係る第1のバリア層を製造することができる。すなわち、図2に示す製造装置31を用いて、成膜ガス(原料ガス等)を真空チャンバ内に供給しつつ、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39および40)間に放電を発生させることにより、前記成膜ガス(原料ガス等)がプラズマによって分解され、成膜ローラー39上の基材2の表面上および成膜ローラー40上の基材2の表面上に、第1のバリア層3がプラズマCVD法により形成される。この際、成膜ローラー39、40のローラー軸の長さ方向に沿って対向空間(放電領域)に面したローラー表面付近にレーストラック状の磁場が形成して、磁場にプラズマを収束させる。このため、基材2が、図2中の成膜ローラー39のA地点および成膜ローラー40のB地点を通過する際に、第1のバリア層で炭素分布曲線の極大値が形成される。これに対して、基材2が、図2中の成膜ローラー39のC1およびC2地点、ならびに成膜ローラー40のC3およびC4地点を通過する際に、第1のバリア層で炭素分布曲線の極小値が形成される。このため、2つの成膜ローラーに対して、通常、5つの極値が生成する。また、第1のバリア層の極値間の距離(炭素分布曲線の有する1つの極値および該極値に隣接する極値における第1のバリア層の膜厚方向における第1のバリア層の表面からの距離(L)の差の絶対値)は、成膜ローラー39、40の回転速度(基材の搬送速度)によって調節できる。なお、このような成膜に際しては、基材2が送り出しローラー32や成膜ローラー39等により、それぞれ搬送されることにより、ロールツーロール方式の連続的な成膜プロセスにより基材2の表面上に第1のバリア層3が形成される。
前記ガス供給管41から対向空間に供給される成膜ガス(原料ガス等)としては、原料ガス、反応ガス、キャリアガス、放電ガスが単独または2種以上を混合して用いることができる。第1のバリア層3の形成に用いる前記成膜ガス中の原料ガスとしては、形成する第1のバリア層3の材質に応じて適宜選択して使用することができる。このような原料ガスとしては、例えば、ケイ素を含有する有機ケイ素化合物や炭素を含有する有機化合物ガスを用いることができる。このような有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ヘキサメチルジシラン(HMDS)、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサンが挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、化合物の取り扱い性および得られる第1のバリア層のガスバリア性等の特性の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。これらの有機ケイ素化合物は、単独でもまたは2種以上を組み合わせても使用することができる。また、炭素を含有する有機化合物ガスとしては、例えば、メタン、エタン、エチレン、アセチレンを例示することができる。これら有機ケイ素化合物ガスや有機化合物ガスは、第1のバリア層3の種類に応じて適切な原料ガスが選択される。
また、前記成膜ガスとしては、前記原料ガスの他に反応ガスを用いてもよい。このような反応ガスとしては、前記原料ガスと反応して酸化物、窒化物等の無機化合物となるガスを適宜選択して使用することができる。酸化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、酸素、オゾンを用いることができる。また、窒化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、窒素、アンモニアを用いることができる。これらの反応ガスは、単独でもまたは2種以上を組み合わせても使用することができ、例えば酸窒化物を形成する場合には、酸化物を形成するための反応ガスと窒化物を形成するための反応ガスとを組み合わせて使用することができる。
前記成膜ガスとしては、前記原料ガスを真空チャンバ内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、前記成膜ガスとしては、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて、放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガスおよび放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガス;水素を用いることができる。
このような成膜ガスが原料ガスと反応ガスを含有する場合には、原料ガスと反応ガスの比率としては、原料ガスと反応ガスとを完全に反応させるために理論上必要となる反応ガスの量の比率よりも、反応ガスの比率を過剰にし過ぎないことが好ましい。反応ガスの比率を過剰にし過ぎないことで、形成される第1のバリア層3によって、優れたバリア性や耐屈曲性を得ることができる点で優れている。また、前記成膜ガスが前記有機ケイ素化合物と酸素とを含有するものである場合には、前記成膜ガス中の前記有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下であることが好ましい。
また、真空チャンバ内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができるが、0.5Pa〜50Paの範囲とすることが好ましい。
また、このようなプラズマCVD法において、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間に放電するために、プラズマ発生用電源42に接続された電極ドラム(本実施形態においては、成膜ローラー39および40に設置されている)に印加する電力は、原料ガスの種類や真空チャンバ内の圧力等に応じて適宜調整することができるものであり一概に言えるものでないが、0.1〜10kWの範囲とすることが好ましい。このような印加電力が100W以上であれば、パーティクルの発生を十分に抑制することができ、他方、10kW以下であれば、成膜時に発生する熱量を抑えることができ、成膜時の基材表面の温度が上昇するのを抑制できる。そのため基材が熱負けすることなく、成膜時に皺が発生するのを防止できる点で優れている。
基材2の搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバ内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.25〜100m/minの範囲とすることが好ましく、0.5〜20m/minの範囲とすることがより好ましい。ライン速度が0.25m/min以上であれば、基材に熱に起因する皺の発生を効果的に抑制することができる。他方、100m/min以下であれば、生産性を損なうことなく、第1のバリア層として十分な膜厚を確保することができる点で優れている。
上記したように、本実施形態のより好ましい態様としては、本発明に係る第1のバリア層を、図2に示す対向ロール電極を有するプラズマCVD装置(ロールツーロール方式)を用いたプラズマCVD法によって成膜することを特徴とするものである。これは、対向ロール電極を有するプラズマCVD装置(ロールツーロール方式)を用いて量産する場合に、可撓性(屈曲性)に優れ、機械的強度、特にロールツーロールでの搬送時の耐久性と、バリア性能とが両立する第1のバリア層を効率よく製造することができるためである。このような製造装置は、太陽電池や電子部品などに使用される温度変化に対する耐久性が求められるガスバリア性フィルムを、安価でかつ容易に量産することができる点でも優れている。
<塗布法>
本発明に係る第1のバリア層は、例えば無機化合物を含有する液、好ましくはケイ素化合物を含有する液を塗布して形成される塗膜を改質処理して形成する方法(塗布法)で形成されてもよい。以下、無機化合物としてケイ素化合物を例に挙げて説明するが、前記無機化合物はケイ素化合物に限定されるものではない。
(ケイ素化合物)
前記ケイ素化合物としては、ケイ素化合物を含有する塗布液の調製が可能であれば特に限定はされない。
具体的には、例えば、パーヒドロポリシラザン、オルガノポリシラザン、シルセスキオキサン、テトラメチルシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、1,1−ジメチル−1−シラシクロブタン、トリメチルビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメチルジビニルシラン、ジメチルエトキシエチニルシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、アリールトリメトキシシラン、エトキシジメチルビニルシラン、アリールアミノトリメトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアセトアミド、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリビニルシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、メチルトリアセトキシシラン、アリールオキシジメチルビニルシラン、ジエチルビニルシラン、ブチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、テトラビニルシラン、トリアセトキシビニルシラン、テトラアセトキシシラン、3−トリフルオロアセトキシプロピルトリメトキシシラン、ジアリールジメトキシシラン、ブチルジメトキシビニルシラン、トリメチル−3−ビニルチオプロピルシラン、フェニルトリメチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルイソペンチロキシビニルシラン、2−アリールオキシエチルチオメトキシトリメチルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アリールアミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ジメチルエチキシフェニルシラン、ベンゾイロキシトリメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ジメチルエトキシ−3−グリシドキシプロピルシラン、ジブトキシジメチルシラン、3−ブチルアミノプロピルトリメチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、ビス(ブチルアミノ)ジメチルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、ジアセトキシメチルフェニルシラン、ジメチル−p−トリルビニルシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ジエチルメチルフェニルシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、デシルメチルジメトキシシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、オクチロキシトリメチルシラン、フェニルトリビニルシラン、テトラアリールオキシシラン、ドデシルトリメチルシラン、ジアリールメチルフェニルシラン、ジフェニルメチルビニルシラン、ジフェニルエトキシメチルシラン、ジアセトキシジフェニルシラン、ジベンジルジメチルシラン、ジアリールジフェニルシラン、オクタデシルトリメチルシラン、メチルオクタデシルジメチルシラン、ドコシルメチルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,4−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アセトキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリビニルシクロトリシロキサン、1,3,5−トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラエトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等を挙げることができる。これらケイ素化合物は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
中でも、成膜性、クラック等の欠陥が少ないこと、残留有機物の少なさの点で、パーヒドロポリシラザン、オルガノポリシラザン等のポリシラザン;シルセスキオキサン等のポリシロキサン等が好ましく、ガスバリア性能が高く、屈曲時および高温高湿条件下であってもバリア性能が維持されることから、ポリシラザンがより好ましく、パーヒドロポリシラザンが特に好ましい。なお、ポリシラザンは、上記変性ポリシラザンにおいて説明しものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
ポリシラザンを用いる場合、改質処理前の第1のバリア層中におけるポリシラザンの含有率としては、第1のバリア層の全質量を100質量%としたとき、100質量%でありうる。また、第1のバリア層がポリシラザン以外のものを含む場合には、層中におけるポリシラザンの含有率は、10質量%以上99質量%以下であることが好ましく、40質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、特に好ましくは70質量%以上95質量%以下である。
上記のような第1のバリア層の塗布法による形成方法は、特に制限されず、公知の方法が適用できるが、有機溶剤中にケイ素化合物および必要に応じて触媒を含む第1のバリア層形成用塗布液を公知の湿式塗布方法により塗布し、この溶剤を蒸発させて除去し、次いで、改質処理を行う方法が好ましい。
(第1のバリア層形成用塗布液)
第1のバリア層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ケイ素化合物を溶解できるものであれば特に制限されないが、ケイ素化合物と容易に反応してしまう水および反応性基(例えば、ヒドロキシル基、あるいはアミン基等)を含まず、ケイ素化合物に対して不活性の有機溶剤が好ましく、非プロトン性の有機溶剤がより好ましい。具体的には、溶剤としては、非プロトン性溶剤;例えば、ペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターペン等の、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒;塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、モノ−およびポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)等の脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類などを挙げることができる。上記溶剤は、ケイ素化合物の溶解度や溶剤の蒸発速度等の目的にあわせて選択され、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
第1のバリア層形成用塗布液におけるケイ素化合物の濃度は、特に制限されず、層の膜厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜50質量%、特に好ましくは10〜40質量%である。
第1のバリア層形成用塗布液は、改質を促進するために、触媒を含有することが好ましい。本発明に適用可能な触媒としては、塩基性触媒が好ましく、特に、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン等のアミン触媒、Ptアセチルアセトナート等のPt化合物、プロピオン酸Pd等のPd化合物、Rhアセチルアセトナート等のRh化合物等の金属触媒、N−複素環式化合物が挙げられる。これらのうち、アミン触媒を用いることが好ましい。この際添加する触媒の濃度としては、ケイ素化合物を基準としたとき、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜7質量%の範囲である。触媒添加量をこの範囲とすることで、反応の急激な進行による過剰なシラノール形成、および膜密度の低下、膜欠陥の増大などを避けることができる。
また、特開2005−231039号に記載のように第1のバリア層の形成にゾルゲル法を用いることができる。ゾルゲル法により改質層を形成する際に用いられる塗布液は、ケイ素化合物、ならびにポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体の少なくとも1種を含むことが好ましい。
(第1のバリア層形成用塗布液を塗布する方法)
第1のバリア層形成用塗布液を塗布する方法としては、従来公知の適切な湿式塗布方法が採用され得る。具体例としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗布厚さは、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、第1のバリア層1層当たりの塗布厚さは、乾燥後の厚さが10nm〜10μm程度であることが好ましく、15nm〜1μmであることがより好ましく、20〜500nmであることがさらに好ましい。膜厚が10nm以上であれば十分なバリア性を得ることができ、10μm以下であれば、層形成時に安定した塗布性を得ることができ、かつ高い光線透過性を実現できる。
塗布液を塗布した後は、塗膜を乾燥させることが好ましい。塗膜を乾燥することによって、塗膜中に含有される有機溶媒などの溶剤を除去することができる。この際、塗膜に含有される溶剤は、すべてを乾燥させてもよいが、一部残存させていてもよい。一部の溶剤を残存させる場合であっても、好適な第1のバリア層が得られうる。なお、残存する溶剤は後に除去されうる。
塗膜の乾燥温度は、適用する基材によっても異なるが、50〜200℃であることが好ましい。例えば、ガラス転位温度(Tg)が70℃のポリエチレンテレフタレート基材を基材として用いる場合には、乾燥温度は、熱による基材の変形等を考慮して150℃以下に設定することが好ましい。上記温度は、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することによって設定されうる。乾燥時間は短時間に設定することが好ましく、例えば、乾燥温度が150℃である場合には30分以内に設定することが好ましい。また、乾燥雰囲気は、大気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、真空雰囲気下、酸素濃度をコントロールした減圧雰囲気下等のいずれの条件であってもよい。
<塗布法により形成された第1のバリア層の改質処理>
本発明における塗布法により形成された第1のバリア層の改質処理とは、ケイ素化合物の酸化ケイ素または酸窒化ケイ素等への転化反応を指し、具体的にはガスバリア性フィルムが全体としてガスバリア性(水蒸気透過率が、1×10−3g/m・day以下)を発現するに貢献できるレベルの無機薄膜を形成する処理をいう。
ケイ素化合物の酸化ケイ素または酸窒化ケイ素等への転化反応は、公知の方法を適宜選択して適用することができる。改質処理としては、具体的には、プラズマ処理、紫外線照射処理、加熱処理が挙げられる。
(真空紫外線照射処理:エキシマ照射処理)
本発明において、最も好ましい改質処理方法は、真空紫外線照射による処理(エキシマ照射処理)である。真空紫外線照射による処理は、ポリシラザン化合物内の原子間結合力より大きい100〜200nmの光エネルギーを用い、好ましくは100〜180nmの波長の光エネルギーを用い、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみの作用により、直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、比較的低温(約200℃以下)で、酸化ケイ素膜の形成を行う方法である。なお、エキシマ照射処理を行う際は、上述したように熱処理を併用することが好ましく、その際の熱処理条件の詳細は上述したとおりである。
本発明においての放射線源は、100〜180nmの波長の光を発生させるものであれば良いが、好適には約172nmに最大放射を有するエキシマラジエータ(例えば、Xeエキシマランプ)、約185nmに輝線を有する低圧水銀蒸気ランプ、並びに230nm以下の波長成分を有する中圧および高圧水銀蒸気ランプ、および約222nmに最大放射を有するエキシマランプである。
このうち、Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから、発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。
また、波長の短い172nmの光のエネルギーは、有機物の結合を解離させる能力が高いことが知られている。この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間でポリシラザン塗膜の改質を実現できる。
エキシマランプは光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、光による温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域で、すなわち短い波長でエネルギーを照射するため、解射対象物の表面温度の上昇が抑えられる特徴を持っている。このため、熱の影響を受けやすいとされるPETなどのフレシキブルフィルム材料に適している。
紫外線照射時の反応には、酸素が必要であるが、真空紫外線は、酸素による吸収があるため紫外線照射工程での効率が低下しやすいことから、真空紫外線の照射は、可能な限り酸素濃度および水蒸気濃度の低い状態で行うことが好ましい。すなわち、真空紫外線照射時の酸素濃度は、10〜20,000体積ppmとすることが好ましく、より好ましくは50〜10,000体積ppmである。また、転化プロセスの間の水蒸気濃度は、好ましくは1000〜4000体積ppmの範囲である。
真空紫外線照射時に用いられる、照射雰囲気を満たすガスとしては乾燥不活性ガスとすることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。酸素濃度の調整は照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
真空紫外線照射工程において、ポリシラザン塗膜が受ける塗膜面での該真空紫外線の照度は1mW/cm〜10W/cmであると好ましく、30mW/cm〜200mW/cmであることがより好ましく、50mW/cm〜160mW/cmであるとさらに好ましい。1mW/cm以上であれば、十分な改質効率が得られ、10W/cm以下であれば、塗膜にアブレーションを生じにくく、基材にダメージを与えにくい。
塗膜面における真空紫外線の照射エネルギー量(積算光量)は、10〜10000mJ/cmであることが好ましく、100〜8000mJ/cmであることがより好ましく、200〜6000mJ/cmであることがさらに好ましい。10mJ/cm以上であれば、改質が十分に進行しうる。10000mJ/cm以下であれば、過剰改質によるクラック発生や、基材の熱変形が生じにくい。
また、改質に用いられる真空紫外光は、CO、COおよびCHの少なくとも一種を含むガスで形成されたプラズマにより発生させてもよい。さらに、CO、COおよびCHの少なくとも一種を含むガス(以下、炭素含有ガスとも称する)は、炭素含有ガスを単独で使用してもよいが、希ガスまたはHを主ガスとして、炭素含有ガスを少量添加することが好ましい。プラズマの生成方式としては容量結合プラズマなどが挙げられる。
〔バリア層(第2のバリア層)〕
本発明の方法によって得られるガスバリア性フィルムは、本発明の変性ポリシラザンを用いて形成されるバリア層(第2のバリア層)を有し、好ましくは第1のバリア層上に本発明の変性ポリシラザンを用いて形成されるバリア層(第2のバリア層)を有する。以下、本発明の変性ポリシラザンを用いて形成されるバリア層(第2のバリア層)が第1のバリア層上に設けられる本発明の好ましい形態について説明するが、本発明は下記形態に限定されるものではない。例えば、第1のバリア層は省略されてもよく、この場合であっても下記形態を適宜修飾して適用できる。
第1のバリア層の上部に設けられる第2のバリア層の組成は、特に制限されないが、少なくともケイ素原子および酸素原子を含有し、かつケイ素原子に対する酸素原子の存在比(O/Si)が1.4〜2.2であることが好ましく、ケイ素原子に対する窒素原子の存在比(N/Si)が0〜0.4であることがより好ましい。
本明細書中、「ケイ素原子に対する酸素原子の存在比(O/Si)が1.4〜2.2である」とは、後述する装置および方法で測定した第2のバリア層のどの深さの点においても、O/Siが1.4未満、または2.2を超える値を示す部分がないことを意味する。同様に、「ケイ素原子に対する窒素原子の存在比(N/Si)が0〜0.4である」とは、後述する装置および方法で測定した第2のバリア層のどの深さの点においても、N/Siが0.4を超える値を示す部分がないことを意味する。
第2のバリア層におけるケイ素原子に対する酸素原子の存在比(O/Si)が1.4以上であれば、高温高湿下において第2のバリア層が水分と反応しバリア性が大きく低下することを防ぐ効果が高い。一方、2.2以下であれば、分子内に存在するシラノール基(Si−OH)の割合が少なくなるため、より高いバリア性が得られうる。該O/Siはより好ましくは1.5〜2.1であり、さらに好ましくは1.7〜2.0である。
第2のバリア層におけるケイ素原子に対する窒素原子の存在比(N/Si)が0.4以下であれば、高温高湿下において第2のバリア層が水分と反応しバリア性が低下することを防止する効果が高い。該N/Siはより好ましくは0〜0.3であり、さらに好ましくは0〜0.2である。
該O/Siおよび該N/Siは、下記の方法で測定することができる。すなわち、第2のバリア層の組成プロファイルは、Arスパッタエッチング装置とX線光電子分光法(XPS)とを組み合わせることで求めることができる。また、深さ方向のプロファイル分布は、FIB(収束イオンビーム)加工装置による膜加工、およびTEM(透過型電子顕微鏡)により実膜厚を求めXPSの結果と対応させることで算出できる。
本発明においては、以下に示す装置および手法を用いた。
(スパッタ条件)
イオン種:Arイオン
加速電圧:1kV
(X線光電子分光測定条件)
装置:VGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200R
X線アノード材:Mg
出力:600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)
尚、測定の分解能は0.5nmでありこれに応じた各サンプリング点において、各元素比をプロットすることで得られる。
(FIB加工)
装置:SII製SMI2050
加工イオン:(Ga 30kV)
(TEM観察)
装置:日本電子製JEM2000FX(加速電圧:200kV)
電子線照射時間:5秒から60秒。
(第2のバリア層の表面からの膜厚の深さ方向の元素比)
上述の第2のバリア層表面からのスパッタにより得られた各深さでのXPS測定(Si、O、Nに注目)とTEMによる断層面観察の結果を照合させて、O/SiおよびN/Siの平均値を算出する。
また、第2のバリア層においては、最表面から深さが10nmまでの領域におけるケイ素原子に対する酸素原子の存在比の平均値と、最表面から深さが10nmを超える領域におけるケイ素原子に対する酸素原子の存在比の平均値との差が0.4以下であることが好ましい。かような構成であれば、第2のバリア層の表面部分と内部とで組成変化が少なくなり、高温高湿下における保存安定性がさらに優れたガスバリア性フィルムとなる。この平均値の差はより好ましくは0.3以下であり、さらに好ましくは0.2以下である。
上記の最表面から深さが10nmまでの領域におけるケイ素原子に対する酸素原子の存在比の平均値、および最表面から深さが10nmを超える領域におけるケイ素原子に対する酸素原子の存在比の平均値は、上記で説明したArスパッタエッチング装置とX線光電子分光法(XPS)とを組み合わせた方法により算出することができる。
<第2のバリア層の形成方法>
第2のバリア層は、本発明の変性ポリシラザンの塗布液を用いて形成されれば、いずれの方法によって形成されてよく、公知の方法が同様にしてまたは適宜修飾して適用できる。例えば、第2のバリア層の形成方法は特に制限されないが、有機溶剤中に、変性ポリシラザン、好ましくは変性ポリシラザンと、必要に応じて触媒や添加化合物とを含む第2のバリア層形成用塗布液を公知の湿式塗布方法により塗布し、この溶剤を蒸発させて除去し、次いで、活性エネルギー線を照射して改質処理を行う方法が好ましい。すなわち、第2のバリア層は、(i)本発明の変性ポリシラザンを含む塗布液(第2のバリア層形成用塗布液)を無機化合物層(第1のバリア層)上に塗布、乾燥することによって、前駆層を形成し;さらに(ii)前記前駆層を活性エネルギー線照射により改質処理することによって形成されることが好ましい。
(工程(i):前駆層の形成)
本工程では、塗布液(第2のバリア層形成用塗布液)を無機化合物層上に塗布、乾燥することによって、前駆層(塗膜)を形成する。
塗布液(第2のバリア層形成用塗布液)は、変性ポリシラザンを溶剤中に溶解して調製される。ここで、変性ポリシラザンの塗布液を構成する溶剤としては、変性ポリシラザンを溶解できるものであれば特に制限されないが、変性ポリシラザンと容易に反応してしまう水および反応性基(例えば、ヒドロキシル基、あるいはアミン基等)を含まず、ポリシラザンに対して不活性の有機溶剤が好ましく、非プロトン性の有機溶剤がより好ましい。具体的には、溶剤としては、非プロトン性溶剤;例えば、ペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターペン等の、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒;塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、モノ−およびポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)等の脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類などを挙げることができる。上記溶剤は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。また、上記溶剤は、使用する前にあらかじめ酸素濃度や水分含量を低減させておくことが好ましい。溶剤中の酸素濃度や水分含量を低減する手段は特に限定されず、従来公知の手法が適用されうる。また、変性ポリシラザンの塗布液における変性ポリシラザンの濃度は、特に制限されず、層の膜厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは2〜50質量%、特に好ましくは10〜40質量%である。
なお、本発明の変性ポリシラザンの塗布液は、変性ポリシラザンに加えて、上記したようなポリシラザンを含んでもよいが、好ましくは変性ポリシラザンのみを有効成分として含むことが好ましい。
また、上述したように、本発明の変性ポリシラザンは、外部の酸素の取り込みを促進する金属アルコキシド/キレート化合物や低分子シラザン/シロキサンで修飾されることが好ましい。また、変性ポリシラザン中の−SiH基や金属アルコキシド/キレート化合物は、水分との反応性が高い。このため、塗布液の調製工程では、酸素や水蒸気濃度の低い環境で行われることが好ましい。具体的には、酸素濃度が200体積ppm以下、水蒸気濃度が100体積ppm以下の環境下で、変性ポリシラザンを溶剤に溶解して塗布液を調製することが好ましい。変性ポリシラザンは、真空紫外光(〜230nm)吸収により反応が進み、緻密なバリア層が形成される。しかしながら、塗布液を調製する段階で、変性ポリシラザンが環境中の酸素や水分と反応すると、真空紫外光を照射する段階ですでに酸化反応が進んでいる状態になるため、真空紫外光が十分に吸収されない。これは、変性ポリシラザンのSi−Nは真空紫外光を吸収するが、変性ポリシラザンのSi−Nが反応しSi−Oになると、エネルギー的に安定化するため、真空紫外光を吸収しなくなるためと考えられる。一方、酸素濃度が200体積ppm以下、水蒸気濃度が100体積ppm以下の環境下で第2のバリア層形成用塗布液を調製すると、調液時におけるポリシラザンと酸素または水分との反応を抑制することができる。その結果、真空紫外光を効果的に吸収することができるため、真空紫外光の照射後にバリア層中に残るSi−Nを低減できる。そのため、高温高湿下での保存安定性に優れるガスバリア性フィルムが得られうる。なお、酸素濃度が200体積ppmを超えると、調液時に環境中の酸素によって塗布液中の変性ポリシラザンの酸化反応が過度に進行する可能性がある。また、水蒸気濃度が100体積ppmを超えると、水分の作用によって塗布液中の変性ポリシラザンの酸化反応が過度に進行する可能性がある。塗布液の調製は、酸素濃度が、より好ましくは0〜100体積ppm、さらにより好ましくは0〜30体積ppmの環境下で行う。また、水蒸気濃度が、より好ましくは0〜50体積ppm、さらにより好ましくは0〜30体積ppmの環境下で行う。
このような環境は、酸素濃度および水蒸気濃度が管理された、グローブボックス等の調液設備を準備することで実現できる。第2のバリア層形成用塗布液の調製時に用いられる、雰囲気を満たすガスとしては乾燥不活性ガスとすることが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等が例示されるが、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。酸素濃度の調整はグローブボックス等の調液設備へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。雰囲気中の水蒸気濃度は、例えば、モレキュラーシーブス等の乾燥剤を用いた乾燥によって低くすることができる。また、雰囲気中の酸素濃度は、例えば、金属銅の触媒等により反応させる、脱酸素剤に吸着させる等の手段によって低くすることができる。
このようにして調製された塗布液を、第1のバリア層上に塗布して塗膜を形成し、前記塗膜に真空紫外線を照射して改質処理を行い、ガスバリア性フィルムを製造する。
第2のバリア層形成用塗布液は、改質を促進するために、触媒を含有することが好ましい。本発明に適用可能な触媒としては、塩基性触媒が好ましく、特に、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン等のアミン触媒、Ptアセチルアセトナート等のPt化合物、プロピオン酸Pd等のPd化合物、Rhアセチルアセトナート等のRh化合物等の金属触媒、N−複素環式化合物が挙げられる。これらのうち、アミン触媒を用いることが好ましい。この際添加する触媒の濃度としては、変性ポリシラザンを基準としたとき、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜7質量%の範囲である。触媒添加量をこの範囲とすることで、反応の急激な進行による過剰なシラノール形成、および膜密度の低下、膜欠陥の増大などを避けることができる。なお、これら触媒のうち、アミン触媒は、上記の添加化合物としての役割を担うこともできる。
第2のバリア層形成用塗布液には、必要に応じて下記に挙げる添加剤を用いることができる。例えば、セルロースエーテル類、セルロースエステル類;例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート等、天然樹脂;例えば、ゴム、ロジン樹脂等、合成樹脂;例えば、重合樹脂等、縮合樹脂;例えば、アミノプラスト、特に尿素樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステルもしくは変性ポリエステル、エポキシド、ポリイソシアネートもしくはブロック化ポリイソシアネート、ポリシロキサン等である。
(第1のバリア層上に塗布液を塗布して塗膜を形成する段階)
次いで、上記で得られた塗布液(第2のバリア層形成用塗布液)を、好ましくは第1のバリア層上に塗布し、塗膜を形成する。
第2のバリア層形成用塗布液を塗布する方法としては、従来公知の適切な湿式塗布方法が採用され得る。具体例としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗布厚さは、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、第2のバリア層1層当たりの塗布厚さ(乾燥後の厚さ)は、10nm〜10μm程度であることが好ましく、15nm〜1μmであることがより好ましく、20〜500nmであることがさらに好ましい。膜厚が10nm以上であれば十分なバリア性を得ることができ、10μm以下であれば、層形成時に安定した塗布性を得ることができ、かつ高い光線透過性を実現できる。
また、塗布液を塗布する雰囲気は、大気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、真空雰囲気下、酸素濃度をコントロールした減圧雰囲気下等等のいずれの条件であってもよいが、好ましくは、塗布液を調製する段階と同様に、酸素濃度が200体積ppm以下、水蒸気濃度が100体積ppm以下に制御された不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
塗布液を塗布した後は、塗膜を乾燥させることが好ましい。塗膜を乾燥することによって、塗膜中に含有される有機溶媒などの溶剤を除去することができる。この際、塗膜に含有される溶剤は、すべてを乾燥させてもよいが、一部残存させていてもよい。一部の溶剤を残存させる場合であっても、好適な第2のバリア層が得られうる。なお、残存する溶剤は後に除去されうる。
塗膜の乾燥温度は、適用する基材によっても異なるが、50〜200℃であることが好ましい。例えば、ガラス転位温度(Tg)が70℃のポリエチレンテレフタレート基材を基材として用いる場合には、乾燥温度は、熱による基材の変形等を考慮して150℃以下に設定することが好ましい。上記温度は、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することによって設定されうる。乾燥時間は短時間に設定することが好ましく、例えば、乾燥温度が150℃である場合には30分以内に設定することが好ましい。また、乾燥雰囲気は、大気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、真空雰囲気下、酸素濃度をコントロールした減圧雰囲気下等のいずれの条件であってもよいが、好ましくは、塗布液を調製する段階と同様に、酸素濃度が200体積ppm以下、水蒸気濃度が100体積ppm以下に制御された不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
後述のように得られた塗膜に真空紫外線を照射して改質処理を行うが、真空紫外線を照射する直前の塗膜の172nmの光の透過率が、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。これは、真空紫外光に対して十分な吸収をもつことによって、真空紫外光による改質が進行し、緻密なバリア層が形成されるためである。真空紫外線を照射する直前の塗膜の172nmの光の透過率の下限値は特に制限されないが、実質的に、0.1%以上である。塗膜の172nmの光の透過率は、実施例に記載の方法で測定した値を採用するものとする。
(工程(ii):活性エネルギー線照射による改質処理)
本工程では、上記工程(i)で得られた前駆層(塗膜)に、紫外線、電子線、X線、α線、β線、γ線、中性子線等の活性エネルギー線を照射して、変性ポリシラザンを改質処理する。
活性エネルギー線照射処理においては、常用されているいずれの活性エネルギー線発生装置を使用することも可能であるが、真空紫外線発生装置が好ましく使用される。例えば、上記「第1のバリア層」の項の(紫外線照射処理)で説明した方法が適用されうる。このため、以下では、特記しない限り、上記「第1のバリア層」の項の(紫外線照射処理)で説明した方法および条件が本工程(ii)においても適用できるため、省略する。
真空紫外線照射は、特に制限されない。しかし、上述したように、本発明の変性ポリシラザンは、外部の酸素の取り込みを促進する金属アルコキシド/キレート化合物で修飾されている。このため、塗膜の表面からの酸素の供給が重要であり、完全な不活性ガス雰囲気下よりも、酸素が存在する条件下で行うことが好ましい。具体的には、真空紫外線照射が、酸素濃度が200〜10,000体積ppmの雰囲気下で行われることが好ましい。すなわち、工程(ii)において、前記改質処理は、酸素濃度が200〜10,000体積ppmの雰囲気下で、230nm以下の波長の真空紫外線による照射によって行われることが好ましい。より好ましくは、真空紫外線照射時の酸素濃度は500〜5,000体積ppmであり、さらに好ましくは700〜2,000体積ppmである。酸素濃度が200体積ppm以上であれば、真空紫外線照射中に酸素が供給され、金属化合物とポリシラザンとの反応が十分に促進され、金属化合物由来の二酸化炭素や、ポリシラザン由来の酸化窒素、アンモニアとして系外に放出される。例えば、第2のバリア層形成用塗布液は金属化合物を含むため、金属化合物に由来する炭素原子がバリア層中に残留する割合が多いとガスバリア性が低下するおそれがあるが、酸素と反応して二酸化炭素として系外に放出されることで得られるバリア層のガスバリア性が向上しうると考えられる。一方、真空紫外線は酸素による吸収があるため、酸素濃度が10,000体積ppm以下の雰囲気下で行うことにより真空紫外線照射工程での効率の低下を抑えることができる。
また、真空紫外線の照射は、可能な限り水蒸気濃度の低い状態で行うことが好ましい。真空紫外線照射時の水蒸気濃度は、1000体積ppm以下であることが好ましく、200体積ppm以下であることがより好ましい。
真空紫外線照射は、特に制限されないが、塗膜の温度を50〜120℃に制御して行うことが好ましい。真空紫外線照射時の塗膜の温度は、より好ましくは60〜100℃であり、さらに好ましくは70〜90℃である。真空紫外線照射時の塗膜の温度を50℃以上とすることで、金属化合物とポリシラザンとの反応が十分に促進され、ガスバリア性に優れ、高温高湿下での保存安定性に優れたガスバリア性フィルムが得られうる。一方、真空紫外線照射時の塗膜の温度が120℃以下であれば、プラスチックフィルム基材の熱による変形を最小限に抑制することができ好ましい。塗膜の温度を制御する具体的な手段は特に制限されず、従来公知の手法が適宜用いられうる。さらに、真空紫外線照射時の雰囲気の温度も上記の範囲に制御することがより好ましい。雰囲気の温度を制御する手段も特に制限されず、従来公知の手法が適宜用いられうる。
なお、真空紫外線照射工程において、第2のバリア層形成用塗布液から形成された塗膜面での該真空紫外線の照度は1mW/cm〜10W/cmであることが好ましく、30mW/cm〜200mW/cmであることがより好ましく、50mW/cm〜160mW/cmであるとさらに好ましい。1mW/cm以上であれば、十分な改質効率が得られ、10W/cm以下であれば、塗膜にアブレーションを生じにくく、基材にダメージを与えにくい。
また、第2のバリア層形成用塗布液から形成された塗膜面における真空紫外線の照射エネルギー量(積算光量)は、10〜10000mJ/cmであることが好ましく、100〜8000mJ/cmであることがより好ましく、200〜6000mJ/cmであることがさらに好ましい。10mJ/cm以上であれば、改質が十分に進行しうる。10000mJ/cm以下であれば、過剰改質によるクラック発生や、基材の熱変形が生じにくい。
第2のバリア層の膜密度は、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、第2のバリア層の膜密度が、1.5〜2.6g/cmの範囲にあることが好ましい。上記範囲であれば、膜の緻密さがより高くなり、バリア性の劣化や、湿度による膜の酸化劣化が起こりにくい。
該第2のバリア層は、単層でもよいし2層以上の積層構造であってもよい。
該第2のバリア層が2層以上の積層構造である場合、各第2のバリア層は、同じ組成であっても異なる組成であってもよい。
〔中間層〕
本発明のガスバリア性フィルムは、応力緩和などを目的として、第1のバリア層と第2のバリア層との間に中間層を有していてもよい。該中間層を形成する方法としては、ポリシロキサン改質層を形成する方法を適用することができる。この方法は、ポリシロキサンを含有した塗布液を、湿式塗布法により第1のバリア層上に塗布して乾燥した後、その乾燥して得られた塗膜に真空紫外光を照射することによって、中間層を形成する方法である。ここで、中間層は、特に制限されず、例えば、特開2014−151571号公報、特開2014−046272号公報などに記載される中間層と同様あるいは適宜修飾されて適用できる。
中間層を形成するために用いる塗布液は、ポリシロキサンおよび有機溶媒を含有することが好ましい。
中間層の形成に適用可能なポリシロキサンとしては、特に制限はないが、例えば、特開2014−151571号公報、特開2014−046272号公報などに記載されるものなど、従来公知の化合物を使用することができる。
〔保護層〕
本発明に係るガスバリア性フィルムは、第2のバリア層の上部に、有機化合物を含む保護層を設けてもよい。保護層に用いられる有機化合物としては、有機モノマー、オリゴマー、ポリマー等の有機樹脂、有機基を有するシロキサンやシルセスキオキサンのモノマー、オリゴマー、ポリマー等を用いた有機無機複合樹脂層を好ましく用いることができる。ここで、保護層は、特に制限されず、例えば、特開2014−151571号公報、特開2014−046272号公報などに記載される保護層と同様あるいは適宜修飾されて適用できる。
〔デシカント性層〕
本発明のガスバリア性フィルムは、デシカント性層(水分吸着層)を有してもよい。デシカント性層として用いられる材料としては、例えば、酸化カルシウムや有機金属酸化物などが挙げられる。酸化カルシウムとしては、バインダー樹脂などに分散されたものが好ましく、市販品としては、例えば、サエスゲッター社のAqvaDryシリーズなどを好ましく用いることができる。また、有機金属酸化物としては、双葉電子工業株式会社製のOleDry(登録商標)シリーズなどを用いることができる。
〔平滑層(下地層、プライマー層)〕
本発明のガスバリア性フィルムは、基材のバリア層を有する面、好ましくは基材と第1のバリア層との間に平滑層(下地層、プライマー層)を有していてもよい。平滑層は突起等が存在する基材の粗面を平坦化するために、あるいは、基材に存在する突起により、バリア層に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために設けられる。このような平滑層は、いずれの材料で形成されてもよいが、炭素含有ポリマーを含むことが好ましく、炭素含有ポリマーから構成されることがより好ましい。すなわち、本発明のガスバリア性フィルムは、基材と第1のバリア層との間に、炭素含有ポリマーを含む平滑層をさらに有することが好ましい。
また、平滑層は、炭素含有ポリマー、好ましくは硬化性樹脂を含む。前記硬化性樹脂としては特に制限されず、活性エネルギー線硬化性材料等に対して紫外線等の活性エネルギー線を照射し硬化させて得られる活性エネルギー線硬化性樹脂や、熱硬化性材料を加熱することにより硬化して得られる熱硬化性樹脂等が挙げられる。該硬化性樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。
ここで、平滑層は、特に制限されず、例えば、特開2014−151571号公報、特開2014−046272号公報などに記載される平滑層と同様あるいは適宜修飾されて適用できる。
〔アンカーコート層〕
本発明に係る基材の表面には、接着性(密着性)の向上を目的として、アンカーコート層を易接着層として形成してもよい。このアンカーコート層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレン・ビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、およびアルキルチタネート等を、1種または2種以上併せて使用することができる。上記アンカーコート剤は、市販品を使用してもよい。具体的には、シロキサン系UV硬化性ポリマー溶液(信越化学工業株式会社製、「X−12−2400」の3%イソプロピルアルコール溶液)を用いることができる。
これらのアンカーコート剤には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記のアンカーコート剤は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により基材上にコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することによりコーティングすることができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m(乾燥状態)程度が好ましい。なお、市販の易接着層付き基材を用いてもよい。
または、アンカーコート層は、物理蒸着法または化学蒸着法といった気相法により形成することもできる。例えば、特開2008−142941号公報に記載のように、接着性等を改善する目的で酸化ケイ素を主体とした無機膜を形成することもできる。
また、アンカーコート層の厚さは、特に制限されないが、0.5〜10.0μm程度が好ましい。
〔ブリードアウト防止層〕
本発明のガスバリア性フィルムは、ブリードアウト防止層をさらに有することができる。ブリードアウト防止層は、平滑層を有するフィルムを加熱した際に、基材中から未反応のオリゴマー等が表面へ移行して、接触する面を汚染する現象を抑制する目的で、平滑層を有する基材の反対面に設けられる。ブリードアウト防止層は、この機能を有していれば、基本的に平滑層と同じ構成をとっても構わない。
ブリードアウト防止層に含ませることが可能な化合物としては、分子中に2個以上の重合性不飽和基を有する多価不飽和有機化合物、あるいは分子中に1個の重合性不飽和基を有する単価不飽和有機化合物等のハードコート剤を挙げることができる。
ここで、ブリードアウト防止層は、特に制限されず、例えば、特開2014−151571号公報、特開2014−046272号公報などに記載されるブリードアウト防止層と同様あるいは適宜修飾されて適用できる。
《ガスバリア性フィルムの包装形態》
本発明によるガスバリア性フィルムは、連続生産しロール形態に巻き取ることができる(いわゆるロール・トゥ・ロール生産)。その際、バリア層を形成した面に保護シートを貼合して巻き取ることが好ましい。特に、本発明のガスバリア性フィルムを有機薄膜デバイスの封止材として用いる場合、表面に付着したゴミ(例えば、パーティクル)が原因で欠陥となる場合が多く、クリーン度の高い場所で保護シートを貼合してゴミの付着を防止することは非常に有効である。併せて、巻取り時に入るバリア層表面への傷の防止に有効である。
保護シートとしては、特に限定するものではないが、膜厚100μm程度の樹脂基板に弱粘着性の接着層を付与した構成の一般的な「保護シート」、「剥離シート」を用いることができる。
《ガスバリア性フィルムの水蒸気透過率》
本発明の方法によって製造されるガスバリア性フィルムの水蒸気透過率は、低いほど好ましいが、例えば、1×10−3〜1×10−5g/m・dayであることが好ましく、1×10−4〜1×10−5g/m・dayであることがより好ましい。本発明において、水蒸気透過率は後述の実施例に記載の方法によって測定される値を用いるものとする。
〔電子デバイス〕
本発明の方法によって製造されるガスバリア性フィルムは、空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化するデバイスに好ましく用いることができる。前記デバイスの例としては、例えば、有機EL素子、液晶表示素子(LCD)、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、太陽電池(PV)等の電子デバイスを挙げることができる。本発明の効果がより効率的に得られるという観点から、有機EL素子または太陽電池に好ましく用いられ、有機EL素子に特に好ましく用いられる。すなわち、本発明は、本発明のガスバリア性フィルムを有する、有機EL素子をも提供する。
本発明の方法によって製造されるガスバリア性フィルムは、また、デバイスの膜封止に用いることができる。すなわち、デバイス自体を支持体として、その表面に本発明のガスバリア性フィルムを設ける方法である。ガスバリア性フィルムを設ける前にデバイスを保護層で覆ってもよい。
本発明の方法によって製造されるガスバリア性フィルムは、デバイスの基板や固体封止法による封止のためのフィルムとしても用いることができる。固体封止法とはデバイスの上に保護層を形成した後、接着剤層、ガスバリア性フィルムを重ねて硬化する方法である。接着剤は特に制限はないが、熱硬化性エポキシ樹脂、光硬化性アクリレート樹脂等が例示される。
<有機EL素子>
ガスバリア性フィルムを用いた有機EL素子の例は、特開2007−30387号公報に詳しく記載されている。
<液晶表示素子>
反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる構成を有する。本発明におけるガスバリア性フィルムは、前記透明電極基板および上基板として使用することができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を反射電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。透過型液晶表示装置は、下から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板および偏光膜からなる構成を有する。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を下透明電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。液晶セルの種類は特に限定されないが、より好ましくはTN型(Twisted Nematic)、STN型(Super Twisted Nematic)またはHAN型(Hybrid Aligned Nematic)、VA型(Vertically Alignment)、ECB型(Electrically Controlled Birefringence)、OCB型(Optically Compensated Bend)、IPS型(In−Plane Switching)、CPA型(Continuous Pinwheel Alignment)であることが好ましい。
<太陽電池>
本発明のガスバリア性フィルムは、太陽電池素子の封止フィルムとしても用いることができる。ここで、本発明のガスバリア性フィルムは、バリア層が太陽電池素子に近い側となるように封止することが好ましい。本発明のガスバリア性フィルムが好ましく用いられる太陽電池素子としては、特に制限はないが、例えば、単結晶シリコン系太陽電池素子、多結晶シリコン系太陽電池素子、シングル接合型、またはタンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池素子、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽電池素子、カドミウムテルル(CdTe)等のII−VI族化合物半導体太陽電池素子、銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池素子、色素増感型太陽電池素子、有機太陽電池素子等が挙げられる。中でも、本発明においては、上記太陽電池素子が、銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池素子であることが好ましい。
<その他>
その他の適用例としては、特表平10−512104号公報に記載の薄膜トランジスタ、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載のタッチパネル、特開2000−98326号公報に記載の電子ペーパー等が挙げられる。
<光学部材>
本発明のガスバリア性フィルムは、光学部材としても用いることができる。光学部材の例としては円偏光板等が挙げられる。
(円偏光板)
本発明におけるガスバリア性フィルムを基板としλ/4板と偏光板とを積層し、円偏光板を作製することができる。この場合、λ/4板の遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角が45°になるように積層する。このような偏光板は、長手方向(MD)に対し45°の方向に延伸されているものを用いることが好ましく、例えば、特開2002−865554号公報に記載のものを好適に用いることができる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。また、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、下記操作において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で行う。
(比較例1:ガスバリア性フィルム101の作製)
〔無機化合物層(第1のバリア層)の形成(プラズマCVD法)〕
株式会社きもと製のクリアハードコートを施したPET基材(125μm厚)を、図2に示されるような製造装置31にセットして、搬送させた。次いで、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間に磁場を印加すると共に、成膜ローラー39と成膜ローラー40にそれぞれ電力を供給して、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間に放電してプラズマを発生させた。次いで、形成された放電領域に、成膜ガス(原料ガスとしてヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)と反応ガスとして酸素ガス(放電ガスとしても機能する)との混合ガスを供給し、基材2上に、プラズマCVD法にてガスバリア性の薄膜(無機化合物層、第1のバリア層)を形成した。無機化合物層の厚みは、150nmであった。成膜条件は、以下の通りとした。このようにして形成された無機化合物層は、構成元素として炭素、ケイ素、および酸素を含み、かつ要件(i)〜(iii)を満たすことを確認した。
〔バリア層(第2のバリア層)の形成(塗布法)〕
(ポリシラザン含有塗布液の調製および成膜)
ポリシラザン含有塗布液の調製および成膜は、通常大気環境下(具体的には、25℃60%RHの環境下)で行った。
無触媒のパーヒドロポリシラザン(PHPS)を20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカ(登録商標)NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を5質量%含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカ(登録商標)NAX120−20)とを、4:1の割合(質量比)で混合し、さらにジブチルエーテルと2,2,4−トリメチルペンタンとの質量比が65:35となるように混合した溶媒で、塗布液の固形分(パーヒドロポリシラザンの濃度)が2.7質量%になるように調整した(塗布液(1))。
上記で作製された塗布液(1)中のパーヒドロポリシラザンの29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]を、下記方法に従って測定し、その結果を表1に示す。
29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]の測定方法)
ポリシラザン含有塗布液について、以下のようにして29Si−NMR測定を行う。具体的には、29Si−NMR測定結果において、−50ppm付近に観測されるSiHに帰属されるピークの面積を1としたときの、−35ppm近傍に観測されるSiH及びSiHに帰属されるピークの面積の比をSiH比とする。測定は、日本電子社製の500MHzNMR装置に、29Si測定用のNMRチューブ管を用い、溶媒として重ベンゼンを用いて測定を行う。
上記で得られた塗布液を、スピンコーターにて、上記の無機化合物層上に、厚さ(乾燥膜厚)が80nmになるよう成膜し、2分間放置した後、80℃のホットプレートで1分間追加加熱処理を行い、ポリシラザン塗膜(前駆層)を形成した。
ポリシラザン塗膜を形成した後、下記の方法に従って、172nmの真空紫外線を6000mJ/cmになるように真空紫外線照射処理を施して、バリア層(第2のバリア層)を無機化合物層(第1のバリア層)上に形成した。このようにして、ガスバリア性フィルム101を作製した。ここで、得られたバリア層(第2のバリア層)について、上記と同様にして、SiH比を測定したところ、ポリシラザン含有塗布液のSiH比と同様の値を示した。このため、下記表1に示される塗布液(1)のSiH比はバリア層(第2のバリア層)のSiH比と読み替えられる。
〈真空紫外線照射条件・照射エネルギーの測定〉
真空紫外線照射は、図3に模式図で示した装置を用いて行った。
図3において、21は装置チャンバであり、図示しないガス供給口から内部に窒素と酸素とを適量供給し、図示しないガス排出口から排気することで、チャンバ内部から実質的に水蒸気を除去し、酸素濃度を所定の濃度に維持することができる。ここでは酸素濃度を1,000体積ppmに調節して真空紫外線照射を行った。なお、チャンバ内の酸素濃度は、酸素濃度計(東レエンジニアリング社製ジルコニア型酸素濃度計LC−450A)を用いて測定した。22は172nmの真空紫外線を照射する二重管構造を有するXeエキシマランプ、23は外部電極を兼ねるエキシマランプのホルダーである。24は試料ステージである。試料ステージ24は、図示しない移動手段により装置チャンバ21内を水平に所定の速度で往復移動することができる。また、試料ステージ24は図示しない加熱手段により、所定の温度に維持することができる。ここでは100℃に設定した。25はポリシラザン塗膜が形成された試料である。試料ステージが水平移動する際、試料の塗布層表面と、エキシマランプ管面との最短距離が6mmとなるように試料ステージの高さが調整されている。26は遮光板であり、Xeエキシマランプ22のエージング中に試料の塗布層に真空紫外光が照射されないようにしている。
真空紫外線照射工程で塗膜表面に照射されるエネルギーは、浜松ホトニクス株式会社製の紫外線積算光量計:C8026/H8025 UV POWER METERを用い、172nmのセンサヘッドを用いて測定した。測定に際しては、Xeエキシマランプ管面とセンサヘッドの測定面との最短距離が、6mmとなるようにセンサヘッドを試料ステージ24中央に設置し、かつ、装置チャンバ21内の雰囲気が、真空紫外線照射工程と同一の酸素濃度となるように窒素と酸素とを供給し、試料ステージ24を0.5m/minの速度(図3のV)で移動させて測定を行った。測定に先立ち、Xeエキシマランプ12の照度を安定させるため、Xeエキシマランプ点灯後に10分間のエージング時間を設け、その後試料ステージを移動させて測定を開始した。
この測定で得られた照射エネルギーを元に、試料ステージの移動速度を調整することで6000mJ/cmの照射エネルギーとなるように調整した。尚、真空紫外線照射に際しては、照射エネルギー測定時と同様に、10分間のエージング後に行った。
(比較例2:ガスバリア性フィルム102の作製)
比較例1において、塗布液(1)の代わりに、ALCH(川研ファインケミカル株式会社製、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)をパーヒドロポリシラザンのSi元素数に対して1mol%となる量で塗布液(1)にさらに加え、80℃で1時間撹拌反応させた後冷却することによって調製した塗布液(2)を使用した以外は、比較例1と同様にして、ガスバリア性フィルム102を作製した。なお、上記反応は、水蒸気濃度及び酸素濃度がそれぞれ10体積ppm以下の雰囲気中で行った。ここで、反応系内の酸素濃度は、酸素濃度計(東レエンジニアリング社製ジルコニア型酸素濃度計LC−450A)を用いて測定した。また、反応系内の水蒸気濃度は、露点計(ヴァイサラ社製、DMT型露点計)を用いて露点を測定し、測定した露点から水蒸気濃度を求めた。
また、上記で作製された塗布液(2)中の変性ポリシラザンの29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]を、比較例1と同様にして測定し、その結果を表1に示す。なお、得られたバリア層(第2のバリア層)について、SiH比を測定したところ、ポリシラザン含有塗布液のSiH比と同様の値を示した。このため、下記表1に示される塗布液(2)のSiH比はバリア層(第2のバリア層)のSiH比と読み替えられる。
(比較例3:ガスバリア性フィルム103の作製)
比較例1において、塗布液(1)の代わりに、ALCH(川研ファインケミカル株式会社製、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)をパーヒドロポリシラザンのSi元素数に対して5mol%となる量で塗布液(1)にさらに加え、80℃で1時間撹拌反応させた後冷却することによって調製した塗布液(3)を使用した以外は、比較例1と同様にして、ガスバリア性フィルム103を作製した。なお、上記反応は、水蒸気濃度及び酸素濃度がそれぞれ10体積ppm以下の雰囲気中で行った。また、上記で作製された塗布液(3)中の変性ポリシラザンの29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]を、比較例1と同様にして測定し、その結果を表1に示す。なお、得られたバリア層(第2のバリア層)について、SiH比を測定したところ、ポリシラザン含有塗布液のSiH比と同様の値を示した。このため、下記表1に示される塗布液(3)のSiH比はバリア層(第2のバリア層)のSiH比と読み替えられる。
(実施例1:ガスバリア性フィルム104の作製)
比較例1において、塗布液(1)の代わりに、ALCH(川研ファインケミカル株式会社製、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)をパーヒドロポリシラザンのSi元素数に対して10mol%となる量で塗布液(1)にさらに加え、80℃で1時間撹拌反応させた後冷却することによって調製した塗布液(4)を使用した以外は、比較例1と同様にして、ガスバリア性フィルム104を作製した。なお、上記反応は、水蒸気濃度及び酸素濃度がそれぞれ10体積ppm以下の雰囲気中で行った。また、上記で作製された塗布液(4)中の変性ポリシラザンの29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]を、比較例1と同様にして測定し、その結果を表1に示す。なお、得られたバリア層(第2のバリア層)について、SiH比を測定したところ、ポリシラザン含有塗布液のSiH比と同様の値を示した。このため、下記表1に示される塗布液(4)のSiH比はバリア層(第2のバリア層)のSiH比と読み替えられる。
(実施例2:ガスバリア性フィルム105の作製)
比較例1において、塗布液(1)の代わりに、AMD(川研ファインケミカル株式会社製、アルミニウムジイソプロピレートモノセカンダリーブチレート)をパーヒドロポリシラザンのSi元素数に対して10mol%となる量で塗布液(1)にさらに加え、80℃で1時間撹拌反応させた後冷却することによって調製した塗布液(5)を使用した以外は、比較例1と同様にして、ガスバリア性フィルム105を作製した。なお、上記反応は、水蒸気濃度及び酸素濃度がそれぞれ10体積ppm以下の雰囲気中で行った。また、上記で作製された塗布液(5)中の変性ポリシラザンの29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]を、比較例1と同様にして測定し、その結果を表1に示す。なお、得られたバリア層(第2のバリア層)について、SiH比を測定したところ、ポリシラザン含有塗布液のSiH比と同様の値を示した。このため、下記表1に示される塗布液(5)のSiH比はバリア層(第2のバリア層)のSiH比と読み替えられる。
(実施例3:ガスバリア性フィルム106の作製)
比較例1において、塗布液(1)の代わりに、アルミキレートD(川研ファインケミカル株式会社製、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート)をパーヒドロポリシラザンのSi元素数に対して10mol%となる量で塗布液(1)にさらに加え、80℃で1時間撹拌反応させた後冷却することによって調製した塗布液(6)を使用した以外は、比較例1と同様にして、ガスバリア性フィルム106を作製した。なお、上記反応は、水蒸気濃度及び酸素濃度がそれぞれ10体積ppm以下の雰囲気中で行った。また、上記で作製された塗布液(6)中の変性ポリシラザンの29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]を、比較例1と同様にして測定し、その結果を表1に示す。なお、得られたバリア層(第2のバリア層)について、SiH比を測定したところ、ポリシラザン含有塗布液のSiH比と同様の値を示した。このため、下記表1に示される塗布液(6)のSiH比はバリア層(第2のバリア層)のSiH比と読み替えられる。
(実施例4:ガスバリア性フィルム107の作製)
〔無機化合物層(第1のバリア層)の形成(プラズマCVD法)〕
比較例1と同様にして、プラズマCVD法によって、厚みが150nmであるガスバリア性の薄膜(無機化合物層、第1のバリア層)を基材上に形成した。
〔バリア層(第2のバリア層)の形成(塗布法)〕
(ポリシラザン含有塗布液の調製および成膜)
ポリシラザン含有塗布液の調製および成膜は、通常大気環境下(具体的には、25℃60%RHの環境下)で行った。
無触媒のパーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカ(登録商標)NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を5質量%含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカ(登録商標)NAX120−20)とを、4:1の割合(質量比)で混合し、さらにジブチルエーテルと2,2,4−トリメチルペンタンとの質量比が65:35となるように混合した溶媒で、塗布液の固形分(パーヒドロポリシラザンの濃度)が2.7質量%になるように、塗布液(7−1)を調製した。このようにして調製された塗布液(7−1)に、ALCH(川研ファインケミカル株式会社製、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)をパーヒドロポリシラザンのSi元素数に対して5mol%となる量でさらに添加した後、80℃で1時間撹拌反応させた後冷却して、塗布液(7−2)を調製した。次に、この塗布液(7−2)に、下記構造を有する化合物1をパーヒドロポリシラザンのSi元素数に対して5mol%となる量でさらに添加した後、80℃で1時間撹拌反応させた後冷却して、塗布液(7−3)を調製した。なお、上記で作製された塗布液(7−3)中の変性ポリシラザンの29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]を、比較例1と同様にして測定し、その結果を表1に示す。
比較例1において、塗布液(1)の代わりに、上記したようにして調製された塗布液(7−3)を使用した以外は、比較例1と同様にして、ガスバリア性フィルム107を作製した。なお、上記反応は、水蒸気濃度及び酸素濃度がそれぞれ10体積ppm以下の雰囲気中で行った。また、得られたバリア層(第2のバリア層)について、SiH比を測定したところ、ポリシラザン含有塗布液のSiH比と同様の値を示した。このため、下記表1に示される塗布液(7)のSiH比はバリア層(第2のバリア層)のSiH比と読み替えられる。
(実施例5〜11:ガスバリア性フィルム108〜114の作製)
実施例4において、化合物1の代わりに、下記構造を有する化合物2〜8を、それぞれ、使用した以外は、実施例4と同様にして、ガスバリア性フィルム108〜114を作製した。なお、上記反応は、水蒸気濃度及び酸素濃度がそれぞれ10体積ppm以下の雰囲気中で行った。また、本実施例で作製された各塗布液中の変性ポリシラザンの29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]を、比較例1と同様にして測定し、その結果を表1に示す。なお、得られたバリア層(第2のバリア層)について、SiH比を測定したところ、各ポリシラザン含有塗布液のSiH比と同様の値を示した。このため、下記表1に示される各塗布液のSiH比はバリア層(第2のバリア層)のSiH比と読み替えられる。
(実施例12:ガスバリア性フィルム115の作製)
〔無機化合物層(第1のバリア層)の形成(プラズマCVD法)〕
比較例1と同様にして、プラズマCVD法によって、厚みが150nmであるガスバリア性の薄膜(無機化合物層、第1のバリア層)を基材上に形成した。
〔バリア層(第2のバリア層)の形成(塗布法)〕
(ポリシラザン含有塗布液の調製および成膜)
ポリシラザン含有塗布液の調製および成膜は、通常大気環境下(具体的には、25℃60%RHの環境下)で行った。
無触媒のパーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカ(登録商標)NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を5質量%含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカ(登録商標)NAX120−20)とを、4:1の割合(質量比)で混合し、さらにジブチルエーテルと2,2,4−トリメチルペンタンとの質量比が65:35となるように混合した溶媒で、塗布液の固形分(パーヒドロポリシラザンの濃度)が2.7質量%になるように、塗布液(8−1)を調製した。このようにして調製された塗布液(8−1)に、AMD(川研ファインケミカル株式会社製、アルミニウムジイソプロピレートモノセカンダリーブチレート)をパーヒドロポリシラザンのSi元素数に対して5mol%となる量でさらに添加した後、80℃で1時間撹拌反応させた後冷却して、塗布液(8−2)を調製した。次に、この塗布液(8−2)に、上記化合物1をパーヒドロポリシラザンのSi元素数に対して5mol%となる量でさらに添加した後、80℃で1時間撹拌反応させた後冷却して、塗布液(8−3)を調製した。なお、上記で作製された塗布液(8−3)中の変性ポリシラザンの29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]を、比較例1と同様にして測定し、その結果を表1に示す。
比較例1において、塗布液(1)の代わりに、上記したようにして調製された塗布液(8−3)を使用した以外は、比較例1と同様にして、ガスバリア性フィルム115を作製した。なお、上記反応は、水蒸気濃度及び酸素濃度がそれぞれ10体積ppm以下の雰囲気中で行った。また、得られたバリア層(第2のバリア層)について、SiH比を測定したところ、ポリシラザン含有塗布液のSiH比と同様の値を示した。このため、下記表1に示される塗布液(8−3)のSiH比はバリア層(第2のバリア層)のSiH比と読み替えられる。
(実施例13〜14:ガスバリア性フィルム116〜117の作製)
実施例12において、化合物1の代わりに、上記化合物3及び5を、それぞれ、使用した以外は、実施例12と同様にして、ガスバリア性フィルム116〜117を作製した。なお、上記反応は、水蒸気濃度及び酸素濃度がそれぞれ10体積ppm以下の雰囲気中で行った。また、本実施例で作製された各塗布液中の変性ポリシラザンの29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]を、比較例1と同様にして測定し、その結果を表1に示す。なお、得られたバリア層(第2のバリア層)について、SiH比を測定したところ、ポリシラザン含有塗布液のSiH比と同様の値を示した。このため、下記表1に示される各塗布液のSiH比は対応するバリア層(第2のバリア層)のSiH比と読み替えられる。
(実施例15:ガスバリア性フィルム118の作製)
〔無機化合物層(第1のバリア層)の形成(プラズマCVD法)〕
比較例1と同様にして、プラズマCVD法によって、厚みが150nmであるガスバリア性の薄膜(無機化合物層、第1のバリア層)を基材上に形成した。
〔バリア層(第2のバリア層)の形成(塗布法)〕
(ポリシラザン含有塗布液の調製および成膜)
ポリシラザン含有塗布液の調製および成膜は、通常大気環境下(具体的には、25℃60%RHの環境下)で行った。
無触媒のパーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカ(登録商標)NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を5質量%含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカ(登録商標)NAX120−20)とを、4:1の割合(質量比)で混合し、さらにジブチルエーテルと2,2,4−トリメチルペンタンとの質量比が65:35となるように混合した溶媒で、塗布液の固形分(パーヒドロポリシラザンの濃度)が2.7質量%になるように、塗布液(9−1)を調製した。このようにして調製された塗布液(9−1)に、アルミキレートD(川研ファインケミカル株式会社製、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート)をパーヒドロポリシラザンのSi元素数に対して5mol%となる量でさらに添加した後、80℃で1時間撹拌反応させた後冷却して、塗布液(9−2)を調製した。次に、この塗布液(9−2)に、上記化合物1をパーヒドロポリシラザンのSi元素数に対して5mol%となる量でさらに添加した後、80℃で1時間撹拌反応させた後冷却して、塗布液(9−3)を調製した。なお、上記で作製された塗布液(9−3)中の変性ポリシラザンの29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]を、比較例1と同様にして測定し、その結果を表1に示す。
比較例1において、塗布液(1)の代わりに、上記したようにして調製された塗布液(9−3)を使用した以外は、比較例1と同様にして、ガスバリア性フィルム118を作製した。なお、上記反応は、水蒸気濃度及び酸素濃度がそれぞれ10体積ppm以下の雰囲気中で行った。また、得られたバリア層(第2のバリア層)について、SiH比を測定したところ、ポリシラザン含有塗布液のSiH比と同様の値を示した。このため、下記表1に示される塗布液(9−3)のSiH比はバリア層(第2のバリア層)のSiH比と読み替えられる。
(実施例16〜17:ガスバリア性フィルム119〜120の作製)
実施例15において、化合物1の代わりに、上記化合物3及び5を、それぞれ、使用した以外は、実施例15と同様にして、ガスバリア性フィルム119〜120を作製した。なお、上記反応は、水蒸気濃度及び酸素濃度がそれぞれ10体積ppm以下の雰囲気中で行った。また、本実施例で作製された各塗布液中の変性ポリシラザンの29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]を、比較例1と同様にして測定し、その結果を表1に示す。なお、得られたバリア層(第2のバリア層)について、SiH比を測定したところ、ポリシラザン含有塗布液のSiH比と同様の値を示した。このため、下記表1に示される各塗布液のSiH比は対応するバリア層(第2のバリア層)のSiH比と読み替えられる。
(実施例18:ガスバリア性フィルム121の作製)
〔無機化合物層(第1のバリア層)の形成(プラズマCVD法)〕
比較例1と同様にして、プラズマCVD法によって、厚みが150nmであるガスバリア性の薄膜(無機化合物層、第1のバリア層)を基材上に形成した。
〔バリア層(第2のバリア層)の形成(塗布法)〕
(ポリシラザン含有塗布液の調製および成膜)
ポリシラザン含有塗布液の調製および成膜は、通常大気環境下(具体的には、25℃60%RHの環境下)で行った。
無触媒のパーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカ(登録商標)NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を5質量%含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカ(登録商標)NAX120−20)とを、4:1の割合(質量比)で混合し、さらにジブチルエーテルと2,2,4−トリメチルペンタンとの質量比が65:35となるように混合した溶媒で、塗布液の固形分(パーヒドロポリシラザンの濃度)が2.7質量%になるように、塗布液(10−1)を調製した。このようにして調製された塗布液(10−1)に、上記化合物3をパーヒドロポリシラザンのSi元素数に対して5mol%となる量でさらに添加した後、80℃で1時間撹拌反応させた後冷却して、塗布液(10−2)を調製した。次に、この塗布液(10−2)に、ALCH(川研ファインケミカル株式会社製、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)をパーヒドロポリシラザンのSi元素数に対して5mol%となる量でさらに添加した後、80℃で1時間撹拌反応させた後冷却して、塗布液(10−3)を調製した。なお、上記で作製された塗布液(10−3)中の変性ポリシラザンの29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]を、比較例1と同様にして測定し、その結果を表1に示す。
比較例1において、塗布液(1)の代わりに、上記したようにして調製された塗布液(10−3)を使用した以外は、比較例1と同様にして、ガスバリア性フィルム121を作製した。なお、上記反応は、水蒸気濃度及び酸素濃度がそれぞれ10体積ppm以下の雰囲気中で行った。また、得られたバリア層(第2のバリア層)について、SiH比を測定したところ、ポリシラザン含有塗布液のSiH比と同様の値を示した。このため、下記表1に示される塗布液(10−3)のSiH比はバリア層(第2のバリア層)のSiH比と読み替えられる。
(実施例19:ガスバリア性フィルム122の作製)
〔無機化合物層(第1のバリア層)の形成(プラズマCVD法)〕
比較例1と同様にして、プラズマCVD法によって、厚みが150nmであるガスバリア性の薄膜(無機化合物層、第1のバリア層)を基材上に形成した。
〔バリア層(第2のバリア層)の形成(塗布法)〕
(ポリシラザン含有塗布液の調製および成膜)
ポリシラザン含有塗布液の調製および成膜は、通常大気環境下(具体的には、25℃60%RHの環境下)で行った。
上記化合物3およびALCH(川研ファインケミカル株式会社製、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)を1:1(モル比)の割合で混合した。この混合物を80℃で1時間撹拌反応させた後冷却して、塗布液(11−1)を調製した。
別途、無触媒のパーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカ(登録商標)NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を5質量%含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカ(登録商標)NAX120−20)とを、4:1の割合(質量比)で混合し、さらにジブチルエーテルと2,2,4−トリメチルペンタンとの質量比が65:35となるように混合した溶媒で、塗布液の固形分(パーヒドロポリシラザンの濃度)が2.7質量%になるように、塗布液(11−2)を調製した。
このようにして調製された塗布液(11−2)に、上記塗布液を、上記化合物3及びALCHをそれぞれをパーヒドロポリシラザンのSi元素数に対して5mol%となる量でさらに添加した後、80℃で1時間撹拌反応させた後冷却して、塗布液(11−3)を調製した。なお、上記反応は、水蒸気濃度及び酸素濃度がそれぞれ10体積ppm以下の雰囲気中で行った。また、上記で作製された塗布液(11−3)中の変性ポリシラザンの29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]を、比較例1と同様にして測定し、その結果を表1に示す。
比較例1において、塗布液(1)の代わりに、上記したようにして調製された塗布液(11−3)を使用した以外は、比較例1と同様にして、ガスバリア性フィルム122を作製した。なお、得られたバリア層(第2のバリア層)について、SiH比を測定したところ、ポリシラザン含有塗布液のSiH比と同様の値を示した。このため、下記表1に示される塗布液(11−3)のSiH比はバリア層(第2のバリア層)のSiH比と読み替えられる。
(実施例20:ガスバリア性フィルム123の作製)
〔無機化合物層(第1のバリア層)の形成(プラズマCVD法)〕
比較例1と同様にして、プラズマCVD法によって、厚みが150nmであるガスバリア性の薄膜(無機化合物層、第1のバリア層)を基材上に形成した。
〔バリア層(第2のバリア層)の形成(塗布法)〕
(ポリシラザン含有塗布液の調製および成膜)
ポリシラザン含有塗布液の調製および成膜は、通常大気環境下(具体的には、25℃60%RHの環境下)で行った。
無触媒のパーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカ(登録商標)NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を5質量%含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカ(登録商標)NAX120−20)とを、4:1の割合(質量比)で混合し、さらにジブチルエーテルと2,2,4−トリメチルペンタンとの質量比が65:35となるように混合した溶媒で、塗布液の固形分(パーヒドロポリシラザンの濃度)が2.7質量%になるように、塗布液(12−1)を調製した。このようにして調製された塗布液(12−1)に、ALCH(川研ファインケミカル株式会社製、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)及び上記化合物3をそれぞれをパーヒドロポリシラザンのSi元素数に対して5mol%となる量でさらに添加した後、80℃で1時間撹拌反応させた後冷却して、塗布液(12−2)を調製した。なお、上記で作製された塗布液(12−2)中の変性ポリシラザンの29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]を、比較例1と同様にして測定し、その結果を表1に示す。
比較例1において、塗布液(1)の代わりに、上記したようにして調製された塗布液(12−2)を使用した以外は、比較例1と同様にして、ガスバリア性フィルム123を作製した。上記反応は、水蒸気濃度及び酸素濃度がそれぞれ10体積ppm以下の雰囲気中で行った。なお、得られたバリア層(第2のバリア層)について、SiH比を測定したところ、ポリシラザン含有塗布液のSiH比と同様の値を示した。このため、下記表1に示される塗布液(12−2)のSiH比はバリア層(第2のバリア層)のSiH比と読み替えられる。
上記比較例及び実施例で作製したガスバリア性フィルムについて、下記方法に従って水蒸気バリア性の評価を行った。
《水蒸気バリア性(水蒸気透過率WVTR)の評価》
上記で作製されたたガスバリア性フィルムについて、85℃、85%RHの高温高湿下に500hr曝したサンプル(劣化試験後サンプル)を各々準備し、下記の水蒸気バリア性について、劣化試験前後の評価を行い、保持率を求めた。保持率の指標としては70%以上あれば許容とし、70%未満は不適合と判断した。劣化試験前後の保持率(%)ついて結果を表1に示した。
(金属カルシウム製膜装置)
蒸着装置:日本電子株式会社製、真空蒸着装置JEE−400
恒温恒湿度オーブン:Yamato Humidic ChamberIG47M
(原材料)
水分と反応して腐食する金属:カルシウム(粒状)
水蒸気不透過性の金属:アルミニウム(φ3〜5mm、粒状)
(水蒸気バリア性評価試料の作製)
真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置 JEE−400)を用い、作製したガスバリアフィルムの第2のバリア層表面に、マスクを通して12mm×12mmのサイズで金属カルシウムを蒸着させた。この際、蒸着膜厚は80nmとなるようにした。
その後、真空状態のままマスクを取り去り、シート片側全面にアルミニウムを蒸着させて仮封止をした。次いで、真空状態を解除し、速やかに乾燥窒素ガス雰囲気下に移して、アルミニウム蒸着面に封止用紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス株式会社製)を介して厚さ0.2mmの石英ガラスを張り合わせ、紫外線を照射して樹脂を硬化接着させて本封止することで、水蒸気バリア性評価試料を作製した。
得られた試料を85℃、85%RHの高温高湿下で保存し、保存時間に対して金属カルシウムが腐食して行く様子を観察した。観察は12mm×12mmの金属カルシウム蒸着面積に対する金属カルシウムが腐食した面積が50%になる時間を観察結果から直線で内挿して求め、劣化したカルシウムの量から水蒸気透過率WVTR(g/m/day)を求めた。
上記表1から明らかなように、本発明の実施例により作製したガスバリア性フィルムは、高温高湿下に長時間さらされた後であっても組成変化に伴うガスバリア性の低下がほとんど起きないことが分かる。
《有機薄膜電子デバイスの作製》
上記比較例及び実施例で作製されたたガスバリア性フィルムを封止フィルムとして用いて、有機薄膜電子デバイスである有機EL素子を作製した。
〔有機EL素子の作製〕
(第1電極層の形成)
無アルカリガラス上にスパッタ法により製膜した厚さ150nmのITO(インジウムチンオキシド)を、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、第1電極層を形成した。なお、パターンは発光面積が50mm平方になるようなパターンとした。
(正孔輸送層の形成)
第1電極層が形成された各ガスバリア性フィルムの第1電極層の上に、以下に示す正孔輸送層形成用塗布液を、25℃、相対湿度50%RHの環境下で、押出し塗布機で塗布した後、下記の条件で乾燥および加熱処理を行い、正孔輸送層を形成した。正孔輸送層形成用塗布液は乾燥後の厚みが50nmになるように塗布した。
正孔輸送層形成用塗布液を塗布する前に、ガスバリア性フィルムの洗浄表面改質処理を、波長184.9nmの低圧水銀ランプを使用し、照射強度15mW/cm、距離10mmで実施した。帯電除去処理は、微弱X線による除電器を使用し行った。
〈正孔輸送層形成用塗布液の準備〉
ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製 Bytron P AI 4083)を純水で65%、メタノール5%で希釈した溶液を正孔輸送層形成用塗布液として準備した。
〈乾燥および加熱処理条件〉
正孔輸送層形成用塗布液を塗布した後、成膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度100℃で溶媒を除去した後、引き続き、加熱処理装置を用い温度150℃で裏面伝熱方式の熱処理を行い、正孔輸送層を形成した。
(発光層の形成)
上記で形成した正孔輸送層上に、以下に示す白色発光層形成用塗布液を、下記の条件により押出し塗布機で塗布した後、下記の条件で乾燥および加熱処理を行い、発光層を形成した。白色発光層形成用塗布液は乾燥後の厚みが40nmになるように塗布した。
〈白色発光層形成用塗布液〉
ホスト材として下記化学式H−Aで表される化合物1.0gと、ドーパント材として下記化学式D−Aで表される化合物を100mg、ドーパント材として下記化学式D−Bで表される化合物を0.2mg、ドーパント材として下記化学式D−Cで表される化合物を0.2mg、100gのトルエンに溶解し白色発光層形成用塗布液として準備した。
〈塗布条件〉
塗布工程を窒素ガス濃度99%以上の雰囲気で、塗布温度を25℃とし、塗布速度1m
/minで行った。
〈乾燥および加熱処理条件〉
白色発光層形成用塗布液を塗布した後、成膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度60℃で溶媒を除去した後、引き続き、温度130℃で加熱処理を行い、発光層を形成した。
(電子輸送層の形成)
上記で形成した発光層の上に、以下に示す電子輸送層形成用塗布液を下記の条件により押出し塗布機で塗布した後、下記の条件で乾燥および加熱処理し、電子輸送層を形成した。電子輸送層形成用塗布液は、乾燥後の厚みが30nmになるように塗布した。
〈塗布条件〉
塗布工程は窒素ガス濃度99%以上の雰囲気で、電子輸送層形成用塗布液の塗布温度を25℃とし、塗布速度1m/minで行った。
〈電子輸送層形成用塗布液〉
電子輸送層は下記化学式E−Aで表される化合物を2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール中に溶解し0.5質量%溶液とし電子輸送層形成用塗布液とした。
〈乾燥および加熱処理条件〉
電子輸送層形成用塗布液を塗布した後、成膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度60℃で溶媒を除去した後、引き続き、加熱処理部で、温度200℃で加熱処理を行い、電子輸送層を形成した。
(電子注入層の形成)
上記で形成した電子輸送層上に、電子注入層を形成した。まず、基板を減圧チャンバに投入し、5×10−4Paまで減圧した。あらかじめ、真空チャンバにタンタル製蒸着ボートに用意しておいたフッ化セシウムを加熱し、厚さ3nmの電子注入層を形成した。
(第2電極の形成)
上記で形成した電子注入層の上であって、第1電極22の取り出し電極になる部分を除く部分に、5×10−4Paの真空下で、第2電極形成材料としてアルミニウムを使用し、取り出し電極を有するように蒸着法にて、発光面積が50mm平方になるようにマスクパターン成膜し、厚さ100nmの第2電極を積層した。
(封止)
準備したガスバリア性フィルムを所定のサイズにトリミングし、バリア層面側に熱硬化性接着剤を、ディスペンサを使用して厚み20μmで均一に塗布し、接着剤層を形成した。このとき、熱硬化性接着剤としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)、ジシアンジアミド(DICY)及びエポキシアダクト系硬化促進剤を含むエポキシ系接着剤を使用した。
第1の電極上にパターニングされた取り出し電極(ここでは第1の電極、および第2の電極の取出し電極を含む)が露出する様に、上記ガスバリア性フィルムを密着・配置して、真空ラミネーターを用い密着封止した。封止した後、110℃で15分間後硬化処理を行い、有機EL素子を作製した。
《有機EL素子の評価》
上記作製した有機EL素子について、下記の方法に従って、耐久性の評価を行った。
〔耐久性の評価〕
(加速劣化処理)
上記作製した各有機EL素子を、85℃、85%RHの環境下で500時間の加速劣化処理を施した後、下記のダークスポットに関する評価を行った。
(ダークスポット(DS、黒点)の評価)
加速劣化処理を施した有機EL素子に対し、1mA/cmの電流を印加し、100倍のマイクロスコープ(株式会社モリテックス製MS−804、レンズMP−ZE25−200)でパネルの一部分を拡大し、撮影を行った。撮影画像を20mm四方スケール相当に切り抜き、ダークスポットの発生面積比率を求め、下記の基準に従って耐久性を評価した。評価ランクが、△であれば実用的な特性、○であればより実用的な特性、◎であれば全く問題のない好ましい特性であると判定した。
ダークスポットの評価結果を、上記表1に示す。
上記表1から明らかなように、本発明の実施例により作製したガスバリア性フィルムは、有機EL素子の封止フィルムとして用いることでダークスポットの発生を低減させる効果があり、非常に高いガスバリア性を有していることが分かる。
さらに、本出願は、2014年2月7日に出願された日本特許出願番号2014−022790号に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。

Claims (14)

  1. 29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]が1:10〜30である変性ポリシラザン。
  2. 前記29Si−NMRで測定されるSiHとSiH及びSiHの合計との比[(SiH):(SiH+SiH)]が1:12〜28である、請求項1に記載の変性ポリシラザン。
  3. 前記変性ポリシラザンは、(a)ケイ素原子、水素原子および窒素原子を含むポリシラザンを、(b)低分子シラザンおよび低分子シロキサンの少なくとも一方、ならびに(c)金属アルコキシド化合物および金属キレート化合物の少なくとも一方と反応させることによって得られる、請求項1または2に記載の変性ポリシラザン。
  4. 前記変性ポリシラザンは、(a)ケイ素原子、水素原子および窒素原子を含むポリシラザンを、(c)金属アルコキシド化合物および金属キレート化合物の少なくとも一方と反応させた後、(b)低分子シラザンおよび低分子シロキサンの少なくとも一方と反応させることによって得られる、請求項3に記載の変性ポリシラザン。
  5. 前記金属アルコキシド化合物がアルミニウムアルコキシドである、または前記金属キレート化合物がβ−ジケトンを配位子として有する金属キレート化合物である、請求項3または4に記載の変性ポリシラザン。
  6. (b)前記低分子シラザンおよび低分子シロキサンの少なくとも一方、ならびに(c)前記金属アルコキシド化合物および金属キレート化合物の少なくとも一方の合計仕込み量が、(a)前記ポリシラザン中のケイ素元素数(Si)に対して、5モル%を超えて50モル%以下である、請求項3〜5のいずれか1項に記載の変性ポリシラザン。
  7. 前記低分子シラザンが、下記一般式(I):
    上記一般式(I)において、X、XおよびXは、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基であり;aは、1〜10の整数である、
    で表される環状低分子シラザン(I)、下記一般式(II):
    上記一般式(II)において、Xは、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基であり;X〜X10は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である、
    で表される鎖状低分子シラザン(II)、もしくは下記一般式(III):
    上記一般式(III)において、X11およびX12は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基であり;X13〜X16は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である、
    で表される鎖状低分子シラザン(III)である、または
    前記低分子シロキサンが、下記一般式(IV):
    上記一般式(IV)において、YおよびYは、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基であり;bは、1〜10の整数である、
    で表される環状低分子シロキサン(IV)、もしくは下記一般式(V):
    上記一般式(V)において、Y〜Y14は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である、
    で表される環状低分子シロキサン(V)である、請求項3〜6のいずれか1項に記載の変性ポリシラザン。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の変性ポリシラザンを含む塗布液。
  9. ガスバリア層用の塗布液である、請求項8に記載の塗布液。
  10. 基材と、請求項8または9に記載の塗布液を用いて形成されるバリア層と、を含む、ガスバリア性フィルム。
  11. 前記基材および前記バリア層の間に、無機化合物を含む無機化合物層をさらに有する、請求項10に記載のガスバリア性フィルム。
  12. 前記バリア層は、
    (i)請求項7に記載の塗布液を前記無機化合物層上に塗布、乾燥することによって、前駆層を形成し;さらに
    (ii)前記前駆層を活性エネルギー線照射により改質処理する、
    ことによって形成される、請求項11に記載のガスバリア性フィルム。
  13. 前記工程(ii)において、前記改質処理は、酸素濃度が200〜10,000体積ppmの雰囲気下で、230nm以下の波長の真空紫外線による照射によって行われる、請求項12に記載のガスバリア性フィルム。
  14. 請求項10〜13のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムを有する、有機EL素子。
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