JP2016022589A - ガスバリア性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】高温高湿下においても、バリア性能の劣化が防止されたガスバリア性フィルムを提供する。【解決手段】本発明によれば樹脂基材上の、ケイ素原子を5〜40原子%含有する無機バリア層と、前記無機バリア層上に隣接する、ケイ素原子および、前記ケイ素原子に対して5〜50原子%の金属原子を含む金属含有バリア層と、を有するガスバリア性フィルムが提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、ガスバリア性フィルムに関する。より詳細には、バリア性の劣化が低減されたガスバリア性フィルムおよびその製造方法に関する。
食品、包装材料、医薬品などの分野で、従来から樹脂フィルムの表面に金属酸化物などの蒸着膜や樹脂などの塗布膜を設けた、比較的簡易な水蒸気や酸素などの透過を防ぐガスバリア性フィルムが知られている。また、近年、液晶表示素子(LCD)、太陽電池(PV)、有機エレクトロルミネッセンス(EL)などの電子デバイス分野においても、軽くて割れにくく、フレキシブル性を持たせることを目的として樹脂基材を用いたガスバリア性フィルムへの要望が高まっている。これらの電子デバイスにおいては、その使用形態から高温高湿下でも耐えうる、さらに高いレベルの水蒸気ガスバリア性が求められている。
このようなガスバリア性フィルムを製造する方法としては、主に、ドライ法として、プラズマCVD法(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長法、化学蒸着法)によってフィルムなどの基材上にガスバリア層を形成する方法や、ウエット法として、ポリシラザンを主成分とする塗布液を基材上に塗布した後、塗膜に表面処理(改質処理)を施してガスバリア層を形成する方法が知られている。ドライ法とは異なり、ウェット法は大型の設備を必要とせず、さらに基材の表面粗さに影響されず、ピンホールもできないので、再現性良く均一なガスバリア膜を得る手法として注目されている。
また、近年、軽量化、大型化という要求に加え、長期信頼性や形状の自由度が高いこと、曲面表示が可能であること等の要求が加わり、重くて割れやすく大面積化が困難なガラス基板に代わって透明プラスチック等のフィルム基材が採用され始めている。しかしながら、透明プラスチック等のフィルム基材は一般的なガラス基材に対し、ガスバリア性が劣るという問題がある。このため、プラスチック等のフィルム基材を使用すると、水蒸気や空気が浸透し、例えば電子デバイス内の機能を劣化させてしまうという課題がある。
そこで、ガスバリア性フィルムのガスバリア機能を高めるために、スパッタリングやプラズマCVD法等の成膜方法によって無機膜を成膜することが行われている(下記特許文献1)。特許文献1には、プラズマCVD法により形成した10〜200nm厚さのケイ素酸化物層と、ポリシラザンが転化されてなる0.1〜2μm厚さのケイ素酸化物層を備えるガスバリア性フィルムが開示されている。しかしながら、有機ELの基板に用いる場合など、高いバリア性が求められるバリアフィルムとしては、性能が充分ではなかった。
包装材料や液晶表示素子に使用されるガスバリア性フィルムとしてはプラスチックフィルム上に酸化珪素を蒸着したものや酸化アルミニウムを蒸着したものが知られているが、それらの技術ではせいぜい1g/m/day程度の水蒸気バリア性を有する。しかし、近年では、液晶ディスプレイの大型化、高精細ディスプレイ等の開発によりフィルム基板へのガスバリア性能については、水蒸気バリア性について、0.1g/m/day程度が要求されている。更に有機エレクトロルミネツセンスにおいては、10−6g/m/dayまでの高いバリア性能が要望されていることが現状である。
このようなバリア性能を改善するために、特許文献2に記述されているようなポリマー多層(PolymerMultilayer、PML)技法が開示されている。この技法では、ポリマーの層と酸化アルミニウムの層とから成るコーティングをフレキシブル基板に施し、その基板をシールする。両方の層の堆積工程は、ウエブ処理装置を使って極めて高速で操作することができる。水及び酸素の浸透性に対する耐性は、未コートのPET膜に比して3ないし4桁まで改善されることが開示されている。
しかし、かかるポリマー多層技法では、ポリマー層が、隣接するセラミック層内のあらゆる欠陥を覆い隠して、バリア層内のこれらの欠陥によって作られ得るチャンネルを通る酸素及び/又は水蒸気の拡散速度を低下させるように働くことが記載されている。しかし、ポリマ一層とセラミック層との境界面は隣接する材料の不相溶性のために一般に弱く、従ってこれらの層は剥離し易ため、長期保存によってガスバリア性が劣化してしまう。
一方で、ポリシラザンを改質してバリア層を形成する方法が特許文献3に記載されている。しかし、この場合には、バリア層の表面は二酸化珪素となり、水蒸気透過率が不十分な場合があった。これに対して、特許文献4では、膜全体を酸素元素の傾斜構造を有するバリア層とした技術が開示されている。特許文献4では、フィルム基材の上にポリシラザンを塗布し、同様に紫外線照射を行うことにより、照射面の表面近傍が改質されバリア層(窒素高濃度層)を形成する。
特開平8−281861号公報 米国特許第5260095号明細書 特表2005−537963号公報 国際公開第2011/007543号明細書
しかしながら、上記の特許文献4に記載の技術では、同時に基材側からの水分移動によると推定される、酸化反応が生じ、バリア層下の内部は酸化膜(酸化ケイ素膜)が形成されることが分かった。また、このようなバリアフィルムを有機EL素子等の電子デバイスに適用した場合、有機EL素子が劣化するという課題があった。
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、高温高湿下においても、バリア性の組成変化が生じないために、高いバリア性を維持できるガスバリア性フィルムを提供することを目的とする。さらに、そのようなガスバリア性フィルムを使用した電子デバイスを提供することを今一つの目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に至った。本発明の上記課題は以下の手段により達成される。
すなわち、本発明の第一の態様は、樹脂基材上の、ケイ素原子を5〜40原子%含有する無機バリア層と、
前記無機バリア層上に隣接する、ケイ素原子および、前記ケイ素原子に対して5〜50原子%の金属原子を含む金属含有バリア層と、
を有するガスバリア性フィルムである。
本発明によれば、高温高湿下においてもクラック発生が防止でき、優れたバリア性能を有する、ガスバリア性フィルムが提供される。また、本発明のガスバリア性フィルムを使用した電子デバイスは、バリア性能の高いフィルムを使用することにより、劣化が防止され、耐久性を向上し得る。
本発明のガスバリア性フィルムの概略構成を示す断面図である。 本発明に係る無機バリア層の形成に用いられる製造装置(真空プラズマCVD装置)の一例を示す模式図である。 本発明に係る無機バリア層の形成に用いられる他の製造装置の一例を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。初めに本発明のガスバリア性フィルムの全体の構成について説明し、次に各要素について説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
[ガスバリア性フィルム]
図1は、本発明のガスバリア性フィルム10の一例の構成を示す概略断面図である。本本発明のガスバリア性フィルム10は、樹脂基材11、樹脂基材11上に位置する無機バリア層12、及び無機バリア層12上に隣接して位置する金属含有バリア層13から構成される。無機バリア層12および金属含有バリア層13は、それぞれ、2層以上で構成されていてもよい。
本発明のガスバリア性フィルムは、樹脂基材、無機バリア層及び金属含有バリア層を必須に有するが、他の部材をさらに含むものであってもよい。本発明のガスバリア性フィルムは、例えば、基材と無機バリア層との間に;(複数の無機バリア層が存在する場合には)無機バリア層間に;(複数の金属含有バリア層が存在する場合には)金属含有バリア層間に;または基材のバリア層(無機バリア層及び金属含有バリア層)が形成されていない他方の面に、他の部材を有していてもよい。
<樹脂基材>
本発明に係るガスバリア性フィルムは、通常、樹脂基材(プラスチックフィルムまたはシート)が用いられ、無色透明な樹脂からなるフィルムまたはシート(樹脂基材)が基材として好ましく用いられる。用いられる樹脂基材は、バリア層、ハードコート層等を保持できるフィルムであれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。前記樹脂基材としては、具体的には、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
また、本発明において、特開2012−116101号公報の段落「0056」〜「0075」や特開2013−226758号公報の段落「0125」〜「0131」などに開示されている基材も適宜採用される。
本発明に係るガスバリア性フィルムに用いられる樹脂基材の厚みは、用途によって適宜選択されるため特に制限がないが、典型的には1〜800μmであり、好ましくは5μm〜500μmであり、より好ましくは25〜250μmである。これらの樹脂基材は、透明導電層、プライマー層等の機能層を有していても良い。機能層については、特開2006−289627号公報の段落番号「0036」〜「0038」に記載されているものを好ましく採用できる。
基材は、表面の平滑性が高いものが好ましい。表面の平滑性としては、平均表面粗さ(Ra)が2nm以下であるものが好ましい。下限は特にないが、実用上、0.01nm以上である。必要に応じて、基材の両面、少なくともバリア層を設ける側を研摩し、平滑性を向上させておいてもよい。
基材の少なくとも無機バリア層および金属含有バリア層を設ける側には、密着性向上のための公知の種々の処理、例えばコロナ放電処理、火炎処理、酸化処理、またはプラズマ処理や、後述するプライマー層の積層等を行うことが好ましく、必要に応じて上記処理を組み合わせて行うことがより好ましい。
<無機バリア層>
本発明のガスバリア性フィルムは、前記樹脂基材と前記金属含有バリア層との間に、ケイ素原子を5〜40原子%含有する無機バリア層を含む。ケイ素原子は、無機バリア層全体の組成に対して、5〜40原子%含まれる。ケイ素原子がかかる範囲で含まれていると、無機バリア層上に積層される金属含有バリア層中に、特定比率で金属原子が含まれていることにより、両者の作用によって高温高湿下のバリア性能の劣化が防止される。無機バリア層中のケイ素原子は、より好ましくは、前記無機バリア層中に30〜40原子%含まれる。ケイ素原子濃度がかかる範囲であると、高温高湿下で保存した後の、バリア性能の劣化防止の効果がより顕著である。その理由は、以下のように推測される。
無機バリア層は、好ましくは真空成膜法で形成される。真空成膜法により、ケイ素原子を5〜40原子%含有して形成される無機バリア層は、アモルファス状態で結合を行うために、結晶粒界(ミクロな細孔)ができる。これにより、高温高湿下では、このミクロな細孔部分を基点に、無機バリア層結合部分と、細孔内との歪エネルギー差の拡大で膜破壊が起こると考えられる。この細孔の表面近傍に、隣接する金属含有バリア層中の金属原子が存在することにより、いわば金属原子が歪を緩衝する役割を果たし、破壊劣化が抑制されると考えている。また、無機バリア層との物理的な結合がより強固となるために金属含有バリア層との密着性がよくなり、高温高湿下にさらしでも組成変化が起こらず、優れたバリア性能を維持することも考えられる。したがって、特定量のケイ素原子を含む無機バリア層と、特定比率の金属原子を含む金属含有バリア層とを積層することにより、ガスバリア性フィルム全体として、高温高湿下でのバリア性能の劣化が防止されると考えられる。しかし、本発明は上記のメカニズムに限定はされない。
無機バリア層は、無機化合物を含む。ここで、無機化合物としては、特に限定されないが、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物または金属酸炭化物が挙げられる。中でも、ガスバリア性能の点で、Siのほか、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、CeおよびTaから選ばれる1種以上の金属を含む、酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物または酸炭化物などを好ましく用いることができる。Siのほか、Al、In、Sn、ZnおよびTiから選ばれる金属の酸化物、窒化物または酸窒化物がより好ましく、特にSiおよびAlの、酸化物、窒化物または酸窒化物が好ましい。好適な無機化合物として、具体的には、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、またはアルミニウムシリケートなどの複合体が挙げられる。上述したように、無機バリア層は、無機バリア層全体の組成に対して、ケイ素原子をケイ素原子を5〜40原子%含む。副次的な成分として他の元素を含有してもよい。
無機バリア層に含まれる無機化合物の含有量は特に限定されないが、無機バリア層中、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましく、100質量%である(すなわち、無機バリア層は無機化合物からなる)ことが最も好ましい。
無機バリア層の1層当たりの膜厚は、20〜3000nmであることが好ましく、50〜2500nmであることがより好ましく、30〜1000nmであることが特に好ましい。このような膜厚であれば、ガスバリア性フィルムは、優れたガスバリア性および屈曲時のクラック発生抑制/防止効果を発揮できる。なお、無機バリア層が2層以上から構成される場合には、各無機バリア層が上記したような膜厚を有することが好ましい。
無機バリア層は無機化合物を含むことで、高い緻密性を有し、さらにガスバリア性を有する。無機バリア層のガスバリア性は、基材上に無機バリア層を形成させた積層体で算出した際、水蒸気透過率(WVTR)が0.1g/(m・day)以下であることが好ましい。水蒸気透過率が0.1g/m/day以下であると、無機バリア層の上層のアモルファス相形成において、生成過程が均一になり、ガスバリア性フィルムのバリア性能がより向上するため好ましい。下限値については、特に制限はなく、小さい程好ましい。さらには、無機バリア層の水蒸気透過率は、0.01g/(m・day)以下であることがより好ましい。
無機バリア層は、樹脂基材表面に形成される必要はなく、樹脂基材との間に下地層(平滑層、プライマー層)、アンカーコート層(アンカー層)、保護層、吸湿層や帯電防止層の機能化層などが設けられてもよい。
<無機バリア層の製造方法>
無機バリア層の形成方法は、特に制限されない。好ましい製造方法としては、物理気相成長法(PVD法)、化学気相成長法(CVD法)などの真空成膜法、または無機化合物を含む液、好ましくはケイ素化合物を含有する液を塗布して形成される塗膜を改質処理して形成する方法(以下、単に塗布法とも称する)などを用いることができる。これらのうち、物理気相成長法または化学気相成長法がより好ましく、化学気相成長法が特に好ましい。すなわち、無機バリア層が、化学気相成長法(CVD法)により形成されたものであることが好ましい。
CVD法で形成した無機バリア層を設けることによって、樹脂基材側からのバリア層への水分の侵入を抑制・防止できるため、ガスバリア性フィルム全体のガスバリア性能がより向上する。また、バリア層中のケイ素化合物前駆体の改質(酸化)反応を低湿度条件下で緩やかに(より遅い速度で)進行させうる。このため、ガスバリア性フィルムの柔軟性および耐屈曲性を向上することもできる。
(真空成膜法)
物理気相成長法(Physical Vapor Deposition、PVD法)は、気相中で物質の表面に物理的手法により、目的とする物質、例えば、炭素膜等の薄膜を堆積する方法である。PVD法としては、例えば、スパッタ法(DCスパッタ法、RFスパッタ法、反応性スパッタ法、イオンビームスパッタ法、およびマグネトロンスパッタ法等)、真空蒸着法、イオンプレーティング法などが挙げられる。本発明では、反応性スパッタ法等のスパッタ法を用いて無機バリア層を形成した場合にも、高温高湿下で保存した後のバリア性能劣化が防止できる。
化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition、CVD法)は、基材上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基材表面または気相での化学反応により膜を堆積する方法である。また、化学反応を活性化する目的で、プラズマなどを発生させる方法などがあり、熱CVD法、触媒化学気相成長法、光CVD法、真空プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法など公知のCVD方式等が挙げられる。特に限定されるものではないが、製膜速度や処理面積の観点から、プラズマCVD法を適用することが好ましい。
真空プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法により得られる無機バリア層は、原材料(原料ともいう)である金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力などの条件を選ぶことで、目的の化合物を製造できるため好ましい。
例えば、ケイ素化合物を原料化合物として用い、分解ガスに酸素を用いれば、ケイ素酸化物が生成する。これはプラズマ空間内では非常に活性な荷電粒子・活性ラジカルが高密度で存在するため、プラズマ空間内では多段階の化学反応が非常に高速に促進され、プラズマ空間内に存在する元素は熱力学的に安定な化合物へと非常な短時間で変換されるためである。
原料化合物としては、ケイ素化合物、チタン化合物、およびアルミニウム化合物を用いることが好ましい。これら原料化合物は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
これらのうち、ケイ素化合物として、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、テトラキスジメチルアミノシラン、テトライソシアナートシラン、テトラメチルジシラザン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリエトキシフルオロシラン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ベンジルトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、1,4−ビストリメチルシリル−1,3−ブタジイン、ジ−t−ブチルシラン、1,3−ジシラブタン、ビス(トリメチルシリル)メタン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルトリメチルシラン、プロパルギルトリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、1−(トリメチルシリル)−1−プロピン、トリス(トリメチルシリル)メタン、トリス(トリメチルシリル)シラン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、Mシリケート51等が挙げられる。また、後述の好適な形態である(i)〜(iii)の要件を満たすバリア層の形成の際に用いられる原料化合物であるケイ素化合物が挙げられる。
チタン化合物としては、例えば、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンテトライソポロポキシド、チタンn−ブトキシド、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−エチルアセトアセテート)、チタンジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンアセチルアセトネート、ブチルチタネートダイマー等が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、アルミニウムエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムs−ブトキシド、アルミニウムt−ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、トリエチルジアルミニウムトリ−s−ブトキシド等が挙げられる。
また、これらの金属を含む原料ガスを分解して無機化合物を得るための分解ガスとしては、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、プロピレンオキシドガス、ポリエチレンオキシド(PEO)ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、亜酸化窒素ガス、酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、酸素ガス、水蒸気などが挙げられる。このうち、無機バリア層中のケイ素原子濃度を調整するために好適であることから、プロピレンオキシドガス、ポリエチレンオキシドガスを用いることが好ましい。また、上記分解ガスを、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガスと混合してもよい。
原料化合物を含む原料ガスと、分解ガスを適宜選択することで所望の無機バリア層を得ることができる。CVD法により形成される無機バリア層は、酸化物、窒化物、酸窒化物または酸炭化物を含む層であることが好ましい。
以下、CVD法のうち、好適な形態である真空プラズマCVD法について具体的に説明する。
図2は、本発明に係る無機バリア層の形成に用いられる真空プラズマCVD装置の一例を示す模式図である。
図2において、真空プラズマCVD装置101は、真空槽102を有しており、真空槽102の内部の底面側には、サセプタ105が配置されている。また、真空槽102の内部の天井側には、サセプタ105と対向する位置にカソード電極103が配置されている。真空槽102の外部には、熱媒体循環系106と、真空排気系107と、ガス導入系108と、高周波電源109が配置されている。熱媒体循環系106内には熱媒体が配置されている。熱媒体循環系106には、熱媒体を移動させるポンプと、熱媒体を加熱する加熱装置と、冷却する冷却装置と、熱媒体の温度を測定する温度センサと、熱媒体の設定温度を記憶する記憶装置とを有する加熱冷却装置160が設けられている。
また、CVD法により形成される無機バリア層の好適な一実施形態として、無機バリア層は構成元素に炭素、ケイ素、および酸素を含むことが好ましい。より好適な形態は、以下の(i)〜(iii)の要件を満たす層である。
(i)無機バリア層の膜厚方向における前記無機バリア層表面からの距離(L)と、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対するケイ素原子の量の比率(ケイ素の原子比)との関係を示すケイ素分布曲線、前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の量の比率(酸素の原子比)との関係を示す酸素分布曲線、ならびに前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係を示す炭素分布曲線において、前記無機バリア層の膜厚の90%以上(上限:100%)の領域で、(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)、(炭素の原子比)の順で多い(原子比がO>Si>C);
(ii)前記炭素分布曲線が少なくとも2つの極値を有する;
(iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「Cmax−Cmin差」とも称する)が3at%以上である。
以下、(i)〜(iii)の要件について説明する。
該無機バリア層は、(i)前記無機バリア層の膜厚方向における前記無機バリア層表面からの距離(L)と、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対するケイ素原子の量の比率(ケイ素の原子比)との関係を示すケイ素分布曲線、前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の量の比率(酸素の原子比)との関係を示す酸素分布曲線、ならびに前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係を示す炭素分布曲線において、前記無機バリア層の膜厚の90%以上(上限:100%)の領域で、(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)、(炭素の原子比)の順で多い(原子比がO>Si>C)ことが好ましい。前記の条件(i)を満たすと、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性や屈曲性が向上しうる。ここで、上記炭素分布曲線において、上記(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)および(炭素の原子比)の関係は、無機バリア層の膜厚の、少なくとも90%以上(上限:100%)の領域で満たされることがより好ましく、少なくとも93%以上(上限:100%)の領域で満たされることがより好ましい。ここで、該無機バリア層の膜厚の少なくとも90%以上とは、無機バリア層中で連続していなくてもよく、単に90%以上の部分で上記した関係を満たしていればよい。
また、該無機バリア層は、(ii)前記炭素分布曲線が少なくとも2つの極値を有することが好ましい。該無機バリア層は、前記炭素分布曲線が少なくとも3つの極値を有することがより好ましく、少なくとも4つの極値を有することがさらに好ましいが、5つ以上有していてもよい。前記炭素分布曲線の極値が2つ以上であれば、得られるガスバリア性フィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性が向上しうる。なお、炭素分布曲線の極値の上限は、特に制限されないが、例えば、好ましくは30以下、より好ましくは25以下であるが、極値の数は、無機バリア層の膜厚にも起因するため、一概に規定することはできない。
ここで、少なくとも3つの極値を有する場合においては、前記炭素分布曲線の有する1つの極値および該極値に隣接する極値における前記無機バリア層の膜厚方向における前記無機バリア層の表面からの距離(L)の差の絶対値(以下、単に「極値間の距離」とも称する)が、いずれも200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、75nm以下であることが特に好ましい。このような極値間の距離であれば、無機バリア層中に炭素原子比が多い部位(極大値)が適度な周期で存在するため、無機バリア層に適度な屈曲性を付与し、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラックの発生をより有効に抑制・防止できる。なお、本明細書において「極値」とは、前記無機バリア層の膜厚方向における前記無機バリア層の表面からの距離(L)に対する元素の原子比の極大値または極小値のことをいう。また、本明細書において「極大値」とは、無機バリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素(酸素、ケイ素または炭素)の原子比の値が増加から減少に変わる点であって、かつその点の元素の原子比の値よりも、該点から無機バリア層の膜厚方向における無機バリア層の表面からの距離をさらに4〜20nmの範囲で変化させた位置の元素の原子比の値が3at%以上減少する点のことをいう。すなわち、4〜20nmの範囲で変化させた際に、いずれかの範囲で元素の原子比の値が3at%以上減少していればよい。同様にして、本明細書において「極小値」とは、無機バリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素(酸素、ケイ素または炭素)の原子比の値が減少から増加に変わる点であり、かつその点の元素の原子比の値よりも、該点から無機バリア層の膜厚方向における無機バリア層の表面からの距離をさらに4〜20nmの範囲で変化させた位置の元素の原子比の値が3at%以上増加する点のことをいう。すなわち、4〜20nmの範囲で変化させた際に、いずれかの範囲で元素の原子比の値が3at%以上増加していればよい。ここで、少なくとも3つの極値を有する場合の、極値間の距離の下限は、極値間の距離が小さいほどガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果が高いため、特に制限されないが、無機バリア層の屈曲性、クラックの抑制/防止効果、熱膨張性などを考慮すると、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。
さらに、該無機バリア層は、(iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「Cmax−Cmin差」とも称する)が3at%以上であることが好ましい。前記絶対値が3at%以上であれば、得られるガスバリア性フィルムを屈曲させた場合のガスバリア性が向上しうる。Cmax−Cmin差は5at%以上であることがより好ましく、7at%以上であることがさらに好ましく、10at%以上であることが特に好ましい。上記Cmax−Cmin差とすることによって、ガスバリア性をより向上することができる。なお、本明細書において、「最大値」とは、各元素の分布曲線において最大となる各元素の原子比であり、極大値の中で最も高い値である。同様にして、本明細書において、「最小値」とは、各元素の分布曲線において最小となる各元素の原子比であり、極小値の中で最も低い値である。ここで、Cmax−Cmin差の上限は、特に制限されないが、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果などを考慮すると、50at%以下であることが好ましく、40at%以下であることがより好ましい。
本発明において、前記無機バリア層の前記酸素分布曲線が少なくとも1つの極値を有することが好ましく、少なくとも2つの極値を有することがより好ましく、少なくとも3つの極値を有することがさらに好ましい。前記酸素分布曲線が極値を少なくとも1つ有する場合、得られるガスバリア性フィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性が極値を有さないガスバリア性フィルムと比較してより向上する。なお、酸素分布曲線の極値の上限は、特に制限されないが、例えば、好ましくは20以下、より好ましくは10以下である。酸素分布曲線の極値の数においても、無機バリア層の膜厚に起因する部分があり一概に規定できない。また、少なくとも3つの極値を有する場合においては、前記酸素分布曲線の有する1つの極値および該極値に隣接する極値における前記無機バリア層の膜厚方向における無機バリア層の表面からの距離の差の絶対値がいずれも200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。このような極値間の距離であれば、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラックの発生をより有効に抑制・防止できる。ここで、少なくとも3つの極値を有する場合の、極値間の距離の下限は、特に制限されないが、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果、熱膨張性などを考慮すると、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。
加えて、前記無機バリア層の前記酸素分布曲線における酸素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「Omax−Omin差」とも称する)が3at%以上であることが好ましく、6at%以上であることがより好ましく、7at%以上であることがさらに好ましい。前記絶対値が3at%以上であれば、得られるガスバリア性フィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性がより向上する。ここで、Omax−Omin差の上限は、特に制限されないが、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果などを考慮すると、50at%以下であることが好ましく、40at%以下であることがより好ましい。
前記無機バリア層の前記ケイ素分布曲線におけるケイ素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「Simax−Simin差」とも称する)が10at%以下であることが好ましく、7at%以下であることがより好ましく、3at%以下であることがさらに好ましい。前記絶対値が10at%以下である場合、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性がより向上する。ここで、Simax−Simin差の下限は、Simax−Simin差が小さいほどガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果が高いため、特に制限されないが、ガスバリア性などを考慮すると、1at%以上であることが好ましく、2at%以上であることがより好ましい。
無機バリア層の膜厚方向に対する炭素および酸素原子の合計量はほぼ一定であることが好ましい。これにより、無機バリア層は適度な屈曲性を発揮し、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生がより有効に抑制・防止される。より具体的には、無機バリア層の膜厚方向における該無機バリア層の表面からの距離(L)とケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する、酸素原子および炭素原子の合計量の比率(酸素および炭素の原子比)との関係を示す酸素炭素分布曲線において、前記酸素炭素分布曲線における酸素および炭素の原子比の合計の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「OCmax−OCmin差」とも称する)が5at%未満であることが好ましく、4at%未満であることがより好ましく、3at%未満であることがさらに好ましい。前記絶対値が5at%未満であれば、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性がより向上する。なお、OCmax−OCmin差の下限は、OCmax−OCmin差が小さいほど好ましいため、0at%であるが、0.1at%以上であれば十分である。
前記ケイ素分布曲線、前記酸素分布曲線、前記炭素分布曲線、および前記酸素炭素分布曲線は、X線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)の測定とアルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル測定により作成することができる。このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比(単位:at%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線においては、エッチング時間は膜厚方向における前記無機バリア層の膜厚方向における前記無機バリア層の表面からの距離(L)に概ね相関することから、「無機バリア層の膜厚方向における無機バリア層の表面からの距離」として、XPSデプスプロファイル測定の際に採用したエッチング速度とエッチング時間との関係から算出される無機バリア層の表面からの距離を採用することができる。なお、ケイ素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線および酸素炭素分布曲線は、下記測定条件にて作成することができる。
(測定条件)
エッチングイオン種:アルゴン(Ar
エッチング速度(SiO熱酸化膜換算値):0.05nm/sec
エッチング間隔(SiO換算値):10nm
X線光電子分光装置:Thermo Fisher Scientific社製、機種名”VG Theta Probe”
照射X線:単結晶分光AlKα
X線のスポットおよびそのサイズ:800×400μmの楕円形。
上記のプラズマCVD法により形成される無機バリア層の膜厚(乾燥膜厚)は、特に制限されない。例えば、該無機バリア層の1層当たりの膜厚は、20〜3000nmであることが好ましく、50〜2500nmであることがより好ましく、30〜1000nmであることが特に好ましい。このような膜厚であれば、ガスバリア性フィルムは、優れたガスバリア性および屈曲時のクラック発生抑制/防止効果を発揮できる。なお、上記のプラズマCVD法により形成される無機バリア層が2層以上から構成される場合には、各無機バリア層が上記したような膜厚を有することが好ましい。
本発明において、膜面全体において均一でかつ優れたガスバリア性を有する無機バリア層を形成するという観点から、前記無機バリア層が膜面方向(無機バリア層の表面に平行な方向)において実質的に一様であることが好ましい。ここで、無機バリア層が膜面方向において実質的に一様とは、XPSデプスプロファイル測定により無機バリア層の膜面の任意の2箇所の測定箇所について前記酸素分布曲線、前記炭素分布曲線および前記酸素炭素分布曲線を作成した場合に、その任意の2箇所の測定箇所において得られる炭素分布曲線が持つ極値の数が同じであり、それぞれの炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値が、互いに同じであるかもしくは5at%以内の差であることをいう。
さらに、本発明においては、前記炭素分布曲線は実質的に連続であることが好ましい。ここで、炭素分布曲線が実質的に連続とは、炭素分布曲線における炭素の原子比が不連続に変化する部分を含まないことを意味し、具体的には、エッチング速度とエッチング時間とから算出される前記無機バリア層のうちの少なくとも1層の膜厚方向における該無機バリア層の表面からの距離(x、単位:nm)と、炭素の原子比(C、単位:at%)との関係において、下記数式1で表される条件を満たすことをいう。
本発明に係るガスバリア性フィルムにおいて、上記条件(i)〜(iii)を全て満たす無機バリア層は、1層のみを備えていてもよいし2層以上を備えていてもよい。さらに、このような無機バリア層を2層以上備える場合には、複数の無機バリア層の材質は、同一であってもよいし異なっていてもよい。
前記ケイ素分布曲線、前記酸素分布曲線、および前記炭素分布曲線において、ケイ素の原子比、酸素の原子比、および炭素の原子比が、該無機バリア層の膜厚の90%以上の領域において前記(i)で表される条件を満たす場合には、前記無機バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対するケイ素原子の含有量の原子比率は、20〜45at%であることが好ましく、25〜40at%であることがより好ましい。また、前記無機バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率は、45〜75at%であることが好ましく、50〜70at%であることがより好ましい。さらに、前記無機バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素原子の含有量の原子比率は、0.5〜25at%であることが好ましく、1〜20at%であることがより好ましい。
本発明では、無機バリア層の形成方法は特に制限されず、従来と方法を同様にしてあるいは適宜修飾して適用できる。一実施形態として、無機バリア層は、ガスバリア性の観点から、好ましくは化学気相成長(CVD)法、特に、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD、PECVD(plasma−enhanced chemical vapor deposition)、以下、単に「プラズマCVD法」とも称する)により形成され、基材を一対の成膜ローラー上に配置し、前記一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させるプラズマCVD法により形成されることがより好ましい。前記プラズマCVD法はペニング放電プラズマ方式のプラズマCVD法であってもよい。
以下では、基材を一対の成膜ローラー上に配置し、前記一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させるプラズマCVD法により、基材上に無機バリア層を形成する方法を説明する。
プラズマCVD法においてプラズマを発生させる際には、複数の成膜ローラーの間の空間にプラズマ放電を発生させることが好ましく、一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラーのそれぞれに基材を配置して、一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させることがより好ましい。このようにして、一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラー上に基材を配置して、かかる一対の成膜ローラー間に放電することにより、成膜時に一方の成膜ローラー上に存在する基材の表面部分を成膜しつつ、もう一方の成膜ローラー上に存在する基材の表面部分も同時に成膜することが可能となって効率よく薄膜を製造できるばかりか、通常のローラーを使用しないプラズマCVD法と比較して成膜レートを倍にでき、なおかつ、略同一である構造の膜を成膜できるので前記炭素分布曲線における極値を少なくとも倍増させることが可能となり、効率よく上記条件(i)〜(iii)を全て満たす層を形成することが可能となる。
また、このようにして一対の成膜ローラー間に放電する際には、前記一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが好ましい。さらに、このようなプラズマCVD法に用いる成膜ガスとしては、有機ケイ素化合物と酸素とを含むものが好ましく、その成膜ガス中の酸素の含有量は、前記成膜ガス中の前記有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量未満であることが好ましい。また、本発明のガスバリア性フィルムにおいては、前記無機バリア層が連続的な成膜プロセスにより形成された層であることが好ましい。
また、本発明に係るガスバリア性フィルムは、生産性の観点から、ロールツーロール方式で前記基材の表面上に前記無機バリア層を形成させることが好ましい。また、このようなプラズマCVD法により無機バリア層を製造する際に用いることが可能な装置としては、特に制限されないが、少なくとも一対の成膜ローラーと、プラズマ電源とを備え、かつ前記一対の成膜ローラー間において放電することが可能な構成となっている装置であることが好ましく、例えば、図3に示す製造装置を用いた場合には、プラズマCVD法を利用しながらロールツーロール方式で製造することも可能となる。
以下、図3を参照しながら、基材を一対の成膜ローラー上に配置し、前記一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させるプラズマCVD法による無機バリア層の形成方法について、より詳細に説明する。なお、図3は、本製造方法より無機バリア層を製造するために好適に利用することが可能な製造装置の一例を示す模式図である。また、以下の説明および図面中、同一または相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図3に示す製造装置31は、送り出しローラー32と、搬送ローラー33、34、35、36と、成膜ローラー39、40と、ガス供給管41と、プラズマ発生用電源42と、成膜ローラー39および40の内部に設置された磁場発生装置43、44と、巻取りローラー45とを備えている。また、このような製造装置においては、少なくとも成膜ローラー39、40と、ガス供給管41と、プラズマ発生用電源42と、磁場発生装置43、44とが図示を省略した真空チャンバ内に配置されている。さらに、このような製造装置31において前記真空チャンバは図示を省略した真空ポンプに接続されており、かかる真空ポンプにより真空チャンバ内の圧力を適宜調整することが可能となっている。
このような製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39と成膜ローラー40)を一対の対向電極として機能させることが可能となるように、各成膜ローラーがそれぞれプラズマ発生用電源42に接続されている。そのため、このような製造装置31においては、プラズマ発生用電源42により電力を供給することにより、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の空間に放電することが可能であり、これにより成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の空間にプラズマを発生させることができる。なお、このように、成膜ローラー39と成膜ローラー40とを電極としても利用する場合には、電極としても利用可能なようにその材質や設計を適宜変更すればよい。また、このような製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39および40)は、その中心軸が同一平面上において略平行となるようにして配置することが好ましい。このようにして、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39および40)を配置することにより、成膜レートを倍にでき、なおかつ、同じ構造の膜を成膜できるので前記炭素分布曲線における極値を少なくとも倍増させることが可能となる。そして、このような製造装置によれば、CVD法により基材2の表面上に無機バリア層3を形成することが可能であり、成膜ローラー39上において基材2の表面上に無機バリア層成分を堆積させつつ、さらに成膜ローラー40上においても基材2の表面上に無機バリア層成分を堆積させることもできるため、基材2の表面上に無機バリア層を効率よく形成することができる。
成膜ローラー39および成膜ローラー40の内部には、成膜ローラーが回転しても回転しないようにして固定された磁場発生装置43および44がそれぞれ設けられている。
成膜ローラー39および成膜ローラー40にそれぞれ設けられた磁場発生装置43および44は、一方の成膜ローラー39に設けられた磁場発生装置43と他方の成膜ローラー40に設けられた磁場発生装置44との間で磁力線がまたがらず、それぞれの磁場発生装置43、44がほぼ閉じた磁気回路を形成するように磁極を配置することが好ましい。このような磁場発生装置43、44を設けることにより、各成膜ローラー39、40の対向側表面付近に磁力線が膨らんだ磁場の形成を促進することができ、その膨出部にプラズマが収束され易くなるため、成膜効率を向上させることができる点で優れている。
また、成膜ローラー39および成膜ローラー40にそれぞれ設けられた磁場発生装置43、44は、それぞれローラー軸方向に長いレーストラック状の磁極を備え、一方の磁場発生装置43と他方の磁場発生装置44とは向かい合う磁極が同一極性となるように磁極を配置することが好ましい。このような磁場発生装置43、44を設けることにより、それぞれの磁場発生装置43、44について、磁力線が対向するローラー側の磁場発生装置にまたがることなく、ローラー軸の長さ方向に沿って対向空間(放電領域)に面したローラー表面付近にレーストラック状の磁場を容易に形成することができ、その磁場にプラズマを収束させることができため、ローラー幅方向に沿って巻き掛けられた幅広の基材2を用いて効率的に蒸着膜である無機バリア層3を形成することができる点で優れている。
成膜ローラー39および成膜ローラー40としては適宜公知のローラーを用いることができる。このような成膜ローラー39および40としては、より効率よく薄膜を形成せしめるという観点から、直径が同一のものを使うことが好ましい。また、このような成膜ローラー39および40の直径としては、放電条件、チャンバのスペース等の観点から、直径が300〜1000mmφの範囲、特に300〜700mmφの範囲が好ましい。成膜ローラーの直径が300mmφ以上であれば、プラズマ放電空間が小さくなることがないため生産性の劣化もなく、短時間でプラズマ放電の全熱量が基材2にかかることを回避できることから、基材2へのダメージを軽減でき好ましい。一方、成膜ローラーの直径が1000mmφ以下であれば、プラズマ放電空間の均一性等も含めて装置設計上、実用性を保持することができるため好ましい。
このような製造装置31においては、基材2の表面がそれぞれ対向するように、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39と成膜ローラー40)上に、基材2が配置されている。このようにして基材2を配置することにより、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の対向空間に放電を行ってプラズマを発生させる際に、一対の成膜ローラー間に存在する基材2のそれぞれの表面を同時に成膜することが可能となる。すなわち、このような製造装置によれば、プラズマCVD法により、成膜ローラー39上にて基材2の表面上に無機バリア層成分を堆積させ、さらに成膜ローラー40上にて無機バリア層成分を堆積させることができるため、基材2の表面上に無機バリア層を効率よく形成することが可能となる。
このような製造装置に用いる送り出しローラー32および搬送ローラー33、34、35、36としては適宜公知のローラーを用いることができる。また、巻取りローラー45としても、基材2上に無機バリア層3を形成したガスバリア性フィルム1を巻き取ることが可能なものであればよく、特に制限されず、適宜公知のローラーを用いることができる。
また、ガス供給管41および真空ポンプとしては、原料ガス等を所定の速度で供給または排出することが可能なものを適宜用いることができる。
また、ガス供給手段であるガス供給管41は、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の対向空間(放電領域;成膜ゾーン)の一方に設けることが好ましく、真空排気手段である真空ポンプ(図示せず)は、前記対向空間の他方に設けることが好ましい。このようにガス供給手段であるガス供給管41と、真空排気手段である真空ポンプを配置することにより、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の対向空間に効率良く成膜ガスを供給することができ、成膜効率を向上させることができる点で優れている。
さらに、プラズマ発生用電源42としては、適宜公知のプラズマ発生装置の電源を用いることができる。このようなプラズマ発生用電源42は、これに接続された成膜ローラー39と成膜ローラー40とに電力を供給して、これらを放電のための対向電極として利用することを可能とする。このようなプラズマ発生用電源42としては、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、前記一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが可能なもの(交流電源など)を利用することが好ましい。また、このようなプラズマ発生用電源42としては、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、印加電力を100W〜10kWとすることができ、かつ交流の周波数を50Hz〜500kHzとすることが可能なものであることがより好ましい。また、磁場発生装置43、44としては適宜公知の磁場発生装置を用いることができる。さらに、基材2としては、本発明で用いられる基材の他に、無機バリア層3を予め形成させたものを用いることができる。このように、基材2として無機バリア層3を予め形成させたものを用いることにより、無機バリア層3の膜厚を厚くすることも可能である。
このような図3に示す製造装置31を用いて、例えば、原料ガスの種類、プラズマ発生装置の電極ドラムの電力、真空チャンバ内の圧力、成膜ローラーの直径、ならびにフィルム(基材)の搬送速度を適宜調整することにより、本発明に係る無機バリア層を製造することができる。すなわち、図3に示す製造装置31を用いて、成膜ガス(原料ガス等)を真空チャンバ内に供給しつつ、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39および40)間に放電を発生させることにより、前記成膜ガス(原料ガス等)がプラズマによって分解され、成膜ローラー39上の基材2の表面上および成膜ローラー40上の基材2の表面上に、無機バリア層3がプラズマCVD法により形成される。この際、成膜ローラー39、40のローラー軸の長さ方向に沿って対向空間(放電領域)に面したローラー表面付近にレーストラック状の磁場が形成して、磁場にプラズマを収束させる。このため、基材2が、図3中の成膜ローラー39のA地点および成膜ローラー40のB地点を通過する際に、無機バリア層で炭素分布曲線の極大値が形成される。これに対して、基材2が、図3中の成膜ローラー39のC1およびC2地点、ならびに成膜ローラー40のC3およびC4地点を通過する際に、無機バリア層で炭素分布曲線の極小値が形成される。このため、2つの成膜ローラーに対して、通常、5つの極値が生成する。また、無機バリア層の極値間の距離(炭素分布曲線の有する1つの極値および該極値に隣接する極値における無機バリア層の膜厚方向における無機バリア層の表面からの距離(L)の差の絶対値)は、成膜ローラー39、40の回転速度(基材の搬送速度)によって調節できる。なお、このような成膜に際しては、基材2が送り出しローラー32や成膜ローラー39等により、それぞれ搬送されることにより、ロールツーロール方式の連続的な成膜プロセスにより基材2の表面上に無機バリア層3が形成される。
前記ガス供給管41から対向空間に供給される成膜ガス(原料ガス等)としては、原料ガス、反応ガス、キャリアガス、放電ガスが単独または2種以上を混合して用いることができる。無機バリア層3の形成に用いる前記成膜ガス中の原料ガスとしては、形成する無機バリア層3の材質に応じて適宜選択して使用することができる。このような原料ガスとしては、例えば、ケイ素を含有する有機ケイ素化合物や炭素を含有する有機化合物ガスを用いることができる。このような有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ヘキサメチルジシラン(HMDS)、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサンが挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、化合物の取り扱い性および得られる無機バリア層のガスバリア性等の特性の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。これらの有機ケイ素化合物は、単独でもまたは2種以上を組み合わせても使用することができる。また、炭素を含有する有機化合物ガスとしては、例えば、メタン、エタン、エチレン、アセチレンを例示することができる。これら有機ケイ素化合物ガスや有機化合物ガスは、無機バリア層3の種類に応じて適切な原料ガスが選択される。
また、前記成膜ガスとしては、前記原料ガスの他に反応ガスを用いてもよい。このような反応ガスとしては、前記原料ガスと反応して酸化物、窒化物等の無機化合物となるガスを適宜選択して使用することができる。酸化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、酸素、オゾンを用いることができる。また、窒化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、窒素、アンモニアを用いることができる。これらの反応ガスは、単独でもまたは2種以上を組み合わせても使用することができ、例えば酸窒化物を形成する場合には、酸化物を形成するための反応ガスと窒化物を形成するための反応ガスとを組み合わせて使用することができる。
前記成膜ガスとしては、前記原料ガスを真空チャンバ内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、前記成膜ガスとしては、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて、放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガスおよび放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガス;水素を用いることができる。
このような成膜ガスが原料ガスと反応ガスを含有する場合には、原料ガスと反応ガスの比率としては、原料ガスと反応ガスとを完全に反応させるために理論上必要となる反応ガスの量の比率よりも、反応ガスの比率を過剰にし過ぎないことが好ましい。反応ガスの比率を過剰にし過ぎないことで、形成される無機バリア層3によって、優れたガスバリア性や耐屈曲性を得ることができる点で優れている。また、前記成膜ガスが前記有機ケイ素化合物と酸素とを含有するものである場合には、前記成膜ガス中の前記有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下であることが好ましい。
以下、前記成膜ガスとして、原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(有機ケイ素化合物、HMDSO、(CHSiO)と、反応ガスとしての酸素(O)とを含有するものを用い、ケイ素−酸素系の薄膜を製造する場合を例に挙げて、成膜ガス中の原料ガスと反応ガスとの好適な比率等について、より詳細に説明する。
原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(HMDSO、(CHSiO)と、反応ガスとしての酸素(O)と、を含有する成膜ガスをプラズマCVDにより反応させてケイ素−酸素系の薄膜を作製する場合、その成膜ガスにより下記反応式1で表されるような反応が起こり、二酸化ケイ素が生成する。
このような反応においては、ヘキサメチルジシロキサン1モルを完全酸化するのに必要な酸素量は12モルである。そのため、成膜ガス中に、ヘキサメチルジシロキサン1モルに対して酸素を12モル以上含有させて完全に反応させた場合には、均一な二酸化ケイ素膜が形成されてしまう(炭素分布曲線が存在しない)ため、上記条件(i)〜(iii)を全て満たす無機バリア層を形成することができなくなってしまう。そのため、本発明において、無機バリア層を形成する際には、上記反応式1の反応が完全に進行してしまわないように、ヘキサメチルジシロキサン1モルに対して酸素量を化学量論比の12モルより少なくすることが好ましい。なお、実際のプラズマCVDチャンバ内の反応では、原料のヘキサメチルジシロキサンと反応ガスの酸素とは、ガス供給部から成膜領域へ供給されて成膜されるので、反応ガスの酸素のモル量(流量)が原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の12倍のモル量(流量)であったとしても、現実には完全に反応を進行させることはできず、酸素の含有量を化学量論比に比して大過剰に供給して初めて反応が完結すると考えられる(例えば、CVDにより完全酸化させて酸化ケイ素を得るために、酸素のモル量(流量)を原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の20倍以上程度とする場合もある)。そのため、原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)は、化学量論比である12倍量以下(より好ましくは、10倍以下)の量であることが好ましい。このような比でヘキサメチルジシロキサンおよび酸素を含有させることにより、完全に酸化されなかったヘキサメチルジシロキサン中の炭素原子や水素原子が無機バリア層中に取り込まれ、上記条件(i)〜(iii)を全て満たす無機バリア層を形成することが可能となって、得られるガスバリア性フィルムにおいて優れたガスバリア性および耐屈曲性を発揮させることが可能となる。なお、有機EL素子や太陽電池などのような透明性を必要とするデバイス用のフレキシブル基板への利用の観点から、成膜ガス中のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)の下限は、ヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の0.1倍より多い量とすることが好ましく、0.5倍より多い量とすることがより好ましい。
また、真空チャンバ内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができるが、0.5Pa〜50Paの範囲とすることが好ましい。
また、このようなプラズマCVD法において、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間に放電するために、プラズマ発生用電源42に接続された電極ドラム(本実施形態においては、成膜ローラー39および40に設置されている)に印加する電力は、原料ガスの種類や真空チャンバ内の圧力等に応じて適宜調整することができるものであり一概に言えるものでないが、0.1〜10kWの範囲とすることが好ましい。このような印加電力が100W以上であれば、パーティクルの発生を十分に抑制することができ、他方、10kW以下であれば、成膜時に発生する熱量を抑えることができ、成膜時の基材表面の温度が上昇するのを抑制できる。そのため基材が熱負けすることなく、成膜時に皺が発生するのを防止できる点で優れている。
基材2の搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバ内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.25〜100m/minの範囲とすることが好ましく、0.5〜20m/minの範囲とすることがより好ましい。ライン速度が0.25m/min以上であれば、基材に熱に起因する皺の発生を効果的に抑制することができる。他方、100m/min以下であれば、生産性を損なうことなく、無機バリア層として十分な膜厚を確保することができる点で優れている。
上記したように、本実施形態のより好ましい態様としては、本発明に係る無機バリア層を、図3に示す対向ロール電極を有するプラズマCVD装置(ロールツーロール方式)を用いたプラズマCVD法によって成膜することを特徴とするものである。これは、対向ロール電極を有するプラズマCVD装置(ロールツーロール方式)を用いて量産する場合に、可撓性(屈曲性)に優れ、機械的強度、特にロールツーロールでの搬送時の耐久性と、ガスバリア性能とが両立する無機バリア層を効率よく製造することができるためである。このような製造装置は、太陽電池や電子部品などに使用される温度変化に対する耐久性が求められるガスバリア性フィルムを、安価でかつ容易に量産することができる点でも優れている。
<金属含有バリア層>
本発明のガスバリア性フィルムは、上記無機バリア層上に、少なくとも1層の金属含有バリア層を有する。当該金属含有バリア層は、ケイ素原子および金属原子を含み、ケイ素原子に対する金属原子の比率が5〜50原子%である。本発明のガスバリア性フィルムは、金属原子およびケイ素原子を有する金属含有バリア層を設けることで、高温多湿条件下のガスバリア性が向上しうる。上述したように、金属含有バリア層中に金属原子が5〜50原子%含まれ、かつ、多孔質の無機バリア層中にケイ素原子が5〜40原子%含まれることにより、高温高湿下での無機バリア層の結晶粒界(細孔)での歪みを近傍の金属原子が緩衝し、バリア性能の劣化が防止されると考えられる。かかる効果は、無機バリア層が、例えば、スパッタ法、蒸着法、CVD法等、様々な方法によって製造されたものであっても、発揮される。金属含有バリア層中のケイ素原子に対する金属原子の比率は、より好ましくは、5〜17原子%である。かかる範囲であると、本発明の所期の効果がより高いものとなる。
また、バリア層が金属原子を含有していない場合には、ポリシラザンに、改質処理としてエネルギー線を照射していくと、層内部までエネルギー線が徐々に侵入しにくくなり層表面しか改質されない。しかし、金属原子を含有させると、膜厚方向に改質が均一に行われ、高温高湿条件下で保存した後でも、層間密着力や屈曲耐性に優れるという効果もある。
無機バリア層中のケイ素原子、金属含有バリア層に存在するケイ素原子および金属原子の量(原子%)は、金属含有バリア層の最表面(無機バリア層とは反対側)から厚み方向に、XPS表面分析装置を用いて原子組成比を測定することにより求めることができる。無機バリア層については、測定されたケイ素原子の量を、全原子量で割ることによって、ケイ素原子の比率が求められる。金属含有バリア層については、測定された金属原子の量をケイ素原子の量で割ることによって、ケイ素原子に対する金属原子の比率が得られる。なお、金属含有バリア層が複数種類の金属原子を含む場合には、金属原子の量は全種類の金属原子の量の総和(原子%)から算出するものとする。
金属原子としては本発明の効果を奏するものであれば特に制限されない。具体的には、アルミニウム原子(Al)、チタン原子(Ti)、ジルコニウム原子(Zr)、亜鉛原子(Zn)、ガリウム原子(Ga)、インジウム原子(In)、クロム原子(Cr)、鉄原子(Fe)、マグネシウム原子(Mg)、スズ原子(Sn)、ニッケル原子(Ni)、パラジウム原子(Pd)、鉛原子(Pb)、マンガン原子(Mn)、リチウム原子(Li)、ゲルマニウム原子(Ge)、銅原子(Cu)、ナトリウム原子(Na)、カリウム原子(K)、カルシウム原子(Ca)、及びコバルト原子(Co)から選択される少なくとも1種が挙げられる。これらのうち、アルミニウム原子(Al)、チタン原子(Ti)、鉄原子(Fe)、および銅原子(Cu)からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、アルミニウム原子(Al)を含むことがより好ましい。これらの金属原子を含むことによって、ガスバリア性、湿熱耐性をより向上できる。なお、上記金属原子は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
金属含有バリア層におけるケイ素原子に対する金属原子の比率を上記範囲とする方法は特に制限されないが、例えば、金属含有バリア層用塗布液中のケイ素化合物前駆体および金属原子化合物の量を調整する等の方法を用いればよい。
金属含有バリア層中のケイ素原子を含むケイ素化合物は、下記一般式(1):
上記一般式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基を表わす、
で示される構造を有するケイ素化合物前駆体を、活性エネルギー線を照射することによって改質して得られたものであることが好ましい。
一般式(1)のケイ素化合物前駆体は、構造内に珪素−窒素(Si−N)結合を有するポリマーであり、Si−N、Si−H、N−H等の結合を有するSiO、Si及びこれらの中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。なお、本明細書では、一般式(1)のケイ素化合物前駆体を「ポリシラザン」とも称する。上記一般式(1)で示される構造を有するケイ素化合物前駆体は1種単独で含んでも、または2種以上の式(1)のケイ素化合物前駆体を含んでもよい。
ここで、アルキル基としては、炭素原子数1〜8の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基が挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などがある。また、アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が挙げられる。より具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などの非縮合炭化水素基;ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基などの縮合多環炭化水素基が挙げられる。(トリアルコキシシリル)アルキル基としては、炭素原子数1〜8のアルコキシ基で置換されたシリル基を有する炭素原子数1〜8のアルキル基が挙げられる。より具体的には、3−(トリエトキシシリル)プロピル基、3−(トリメトキシシリル)プロピル基などが挙げられる。上記R〜Rに場合によって存在する置換基は、特に制限はないが、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基(−OH)、メルカプト基(−SH)、シアノ基(−CN)、スルホ基(−SOH)、カルボキシル基(−COOH)、ニトロ基(−NO)などがある。なお、場合によって存在する置換基は、置換するR〜Rと同じとなることはない。例えば、R〜Rがアルキル基の場合には、さらにアルキル基で置換されることはない。これらのうち、好ましくは、R、R及びRは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、ビニル基、3−(トリエトキシシリル)プロピル基または3−(トリメトキシシリルプロピル)基である。R、R及びRすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザン(PHPS)が特に好ましい。このようなポリシラザンから形成されるガスバリア層(ガスバリア膜)は高い緻密性を示す。
また、上記一般式(1)において、nは、式:−[Si(R)(R)−N(R)]−の構成単位の数を表わす整数であり、一般式(1)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。
ガスバリア層の膜としての緻密性の観点からは、R、RおよびRのすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6員環および8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されており、その分子量は、数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算)であり、液体または固体の物質である。ポリシラザンは、有機溶媒に溶解した溶液の状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のアクアミカ(登録商標) NN120−10、NN120−20、NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL120−20、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
本発明に用いられるポリシラザンの例としては、特に限定されず、公知のものが挙げられる。例えば、特開2013−022799号公報の段落「0043」〜「0058」や特開2013−226758号公報の段落「0038」〜「0056」などに開示されているものが適宜採用される。これらの中では、パーヒドロポリシラザンが最も好ましく用いられる。
本発明で使用できるポリシラザンの別の例としては、以下に制限されないが、例えば、上記ポリシラザンにケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(特開平5−238827号公報)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(特開平6−122852号公報)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(特開平6−240208号公報)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6−299118号公報)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(特開平6−306329号公報)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(特開平7−196986号公報)等の、低温でセラミック化するポリシラザンが挙げられる。
(金属含有バリア層の製造方法)
本発明において、金属含有バリア層の形成方法は特に制限されない。一例を挙げると、前記金属含有バリア層は前記金属原子を含む金属化合物および前記ケイ素化合物前駆体を用いて形成することができる。より好ましくは、金属化合物および前記一般式(1)で示される構造を有するケイ素化合物を含む塗布液を無機バリア層上に塗布した後、活性エネルギー線を照射することによって改質して得ることができる。以下、好ましい形態について詳細に説明するが、本発明は下記形態に限定されない。
まず、前記金属原子を含む化合物(以下、「金属化合物」とも称する)および前記一般式(1)で示される構造を有するケイ素化合物前駆体を含む塗布液を塗布し、塗膜を形成する。なお、塗膜は、無機バリア層上に、1層が単独で配置されても、または2層以上が積層されて配置されてもよい。
塗布液に含まれる金属化合物は、好ましくは、金属原子、酸素原子及び炭素原子を有する化合物である。金属化合物は1種単独で含まれていても、2種以上の金属化合物が含まれていてもよい。金属化合物が酸素(O)原子を含有すると、ケイ素化合物前駆体の活性エネルギー線照射による改質時にダングリングボンドが少なく、酸素組成比率の高いガスバリア層を形成することが可能である。ここで、金属化合物は、金属原子、酸素原子及び炭素原子を有するものであれば特に制限されない。
具体的には、アルカリ金属のアルコキシド、下記一般式(2):
で示される構成単位を有する金属化合物などが挙げられる。上記金属化合物は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
アルカリ金属のアルコキシドとしては、特に制限されないが、炭素原子数1〜10のアルコキシ基がアルカリ金属に結合したものが好ましい。具体的には、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムブトキシドなどが挙げられる。
また、上記一般式(2)で示される構造単位を有する金属化合物が金属化合物として使用できる。上記一般式(2)において、Mは、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、鉛(Pb)、マンガン(Mn)、リチウム(Li)、ゲルマニウム(Ge)、銅(Cu)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、またはコバルト(Co)を表わす。ここで、nが2以上である(即ち、−[M(R]−が複数個存在する)場合では、各−[M(R]−単位中のMは、それぞれ、同じであってもまたは異なるものであってもよい。これらのうち、VUV光の透過性、ポリシラザンとの反応性などの観点から、Mは、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)が好ましく、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)およびジルコニウム(Zr)がより好ましい。
また、Yは、単結合または酸素原子(−O−)を表わす。
、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO)、メルカプト基(−SH)、エポキシ基(3員環のエーテルであるオキサシクロプロピル基)、水酸基(−OH)、炭素原子数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素原子数3〜10の置換若しくは非置換のシクロアルキル基、炭素原子数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素原子数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素原子数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、アセトアセテート基(−O−C(CH)=CH−C(=O)−CH)、炭素原子数4〜25の置換若しくは非置換の(アルキル)アセトアセテート基、炭素原子数6〜30の置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の複素環基またはアミノ基(−NH)を表わす。ここで、R、R及びRは、それぞれ、同じであってもまたは異なるものであってもよい。また、nが2以上である(即ち、−[M(R]−が複数個存在する)場合では、各−[M(R]−単位中のRは、それぞれ、同じであってもまたは異なるものであってもよい。
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子のいずれでもよい。
炭素原子数1〜10のアルキル基としては、特に制限されないが、炭素原子数1〜10の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基及び2−エチルヘキシル基などが挙げられる。これらのうち、VUV光の透過性、膜の緻密性などの観点から、炭素原子数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜5の直鎖または分岐鎖のアルキル基がより好ましい。
炭素原子数3〜10のシクロアルキル基としては、特に制限されないが、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基などが挙げられる。
炭素原子数2〜10のアルケニル基としては、特に制限されないが、炭素原子数2〜10の直鎖または分岐鎖のアルケニル基である。例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、2−ヘプテニル基、5−ヘプテニル基、1−オクテニル基、3−オクテニル基、5−オクテニル基などが挙げられる。
炭素原子数2〜10のアルキニル基としては、特に制限されないが、炭素原子数2〜10の直鎖もしくは分岐状のアルキニル基である。例えば、アセチレニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンテチル基、2−ペンテチル基、3−ペンテチル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、1−ヘプチニル基、2−ヘプチニル基、5−ヘプチニル基、1−オクチニル基、3−オクチニル基、5−オクチニル基などが挙げられる。
炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、特に制限されないが、炭素原子数1〜10の直鎖もしくは分岐状のアルコキシ基である。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基などが挙げられる。これらのうち、VUV光の透過性、ポリシラザンとの反応性、膜の緻密性などの観点から、炭素原子数1〜8の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基が好ましい。
炭素原子数4〜25の(アルキル)アセトアセテート基としては、特に制限されないが、水素原子または炭素原子数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキル基がアセトアセテート基に結合した基を表わす。例えば、アセトアセテート基(−O−C(CH)=CH−C(=O)−OH)、メチルアセトアセテート基(−O−C(CH)=CH−C(=O)−C−O−CH)、エチルアセトアセテート基(−O−C(CH)=CHC(=O)−C−O−C)、プロピルアセトアセテート基、イソプロピルアセトアセテート基、オクタデシルアセトアセテート基などが挙げられる。これらのうち、VUV光の透過性、膜の緻密性などの観点から、エチルアセトアセテート基、メチルアセトアセテート基、アセトアセテート基が好ましい。
炭素原子数6〜30のアリール基としては、特に制限されないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基、アンスリル基、ピレニル基、アズレニル基、アセナフチレニル基、ターフェニル基、フェナンスリル基などが挙げられる。
複素環基としては、特に制限されないが、チオフェン環、ジチエノチオフェン環、シクロペンタジチオフェン環、フェニルチオフェン環、ジフェニルチオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、ピロール環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、クマリン環(例えば、3,4−ジヒドロクマリン)、ベンズイミダゾール環、ベンズオキサゾール環、ローダニン環、ピラゾロン環、イミダゾロン環、ピラン環、ピリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、フルオレン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾ(c)チオフェン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インドール環、フタラジン環、シナノリン環、キナゾリン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルボリン環(カルボリンの任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったもの)、1,10−フェナントロリン環、キノン環、ローダニン環、ジローダニン環、チオヒダントイン環、ピラゾロン環、ピラゾリン環から導かれる基などが挙げられる。
また、上記R、R及びRに場合によって存在する置換基は、特に限定されない。具体的には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素原子数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、炭素原子数3〜24のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)、炭素原子数1〜24のヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基)、炭素原子数2〜24のアルコキシアルキル基(例えば、メトキシエチル基等)、炭素原子数1〜24のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、炭素原子数3〜24のシクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アリール基、炭素原子数6〜24のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基)、炭素原子数1〜24のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基)、炭素原子数3〜24のシクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基)、炭素原子数6〜24のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基)、炭素原子数1〜24のアルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基)、炭素原子数7〜24のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基)、水酸基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、チオール基(−SH)、シアノ基(−CN)等が挙げられる。なお、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アリール基は上記と同様の定義であるため、ここでは説明を省略する。また、置換基の数は特に制限はなく、所望の効果(VUV光の透過性、溶解性、ポリシラザンとの反応性など)を考慮して適宜選択されうる。上記において、同一の置換基で置換されることはない。すなわち、置換のアルキル基は、アルキル基で置換されることはない。
これらのうち、R、R及びRの少なくとも1つは、水酸基、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基を表わすことが好ましい。アルコキシ基またはヒドロキシル基を含有する化合物は、VUV光によりアルコキシ基部分またはヒドロキシル基部分の結合が開裂しやすく、開裂したアルコキシ基部分またはヒドロキシル基部分は速やかにポリシラザンと反応するため、転化反応への反応促進効果が大きい。また、アルキル基を含有する化合物は、可撓性を付与した膜の形成が可能である。また、R、R及びRの少なくとも1つは、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基または炭素原子数4〜25の(アルキル)アセトアセテート基を表わすことがより好ましく、炭素原子数1〜10のアルキル基または炭素原子数1〜10のアルコキシ基を表わすことがさらにより好ましく、炭素原子数1〜10のアルコキシ基を表わすことが特に好ましい。
上記一般式(2)において、m1およびm2は、1以上の整数であり、m1+m2は、Mによって規定される整数であり、Mの結合手の数によって一義的に規定される。ここで、m1およびm2は、同じ整数であってもあるいは異なる整数であってもよい。nは、1以上の整数であり、VUV光の透過性、膜の緻密性などの観点から、1〜10の整数であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
上記一般式(2)で示される金属化合物としては、ホウ酸トリイソプロピル、アルミニウムイソポロポキシド、アルミニウム−sec−ブチレート、チタンイソプロポキシド、アルミニウムトリエチレート、アルミニウムトリイソプロピレート、アルミニウムトリtert−ブチレート、アルミニウムトリn−ブチレート、アルミニウムトリsec−ブチレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、カルシウムイソプロピレート、チタンテトライソプロポキシド(チタン(IV)イソプロピレート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、アルミニウムジイソプロピレートモノアルミニウムtブチレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムオキシドイソプロポキサイドトリマー、ジルコニウム(IV)イソプロピレート、トリス(2,4−ペンタンジオナト)チタニウム(V)、テトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム(IV)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(III)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)鉄(III)、ビス(2,4−ペンタジオナト)パラジウム(II)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)イリジウム(III)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)ニッケル(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)銅(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)マンガン(III)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)クロム(III)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム(III)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)カルシウム(III)、マグネシウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、トリメチルガリウム、ジ−n−ブチルジメトキシ錫、テトラエチル鉛、マンガン(III)アセチルアセトナート、ジエチルジエトキシゲルマンなどが挙げられる。
これらのうち、VUV光の透過性などの観点から、ホウ酸トリイソプロピル、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、チタンイソプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド(チタン(IV)イソプロピレート)が好ましく、ホウ酸トリイソプロピル、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、チタンテトライソプロポキシド(チタン(IV)イソプロピレート)がより好ましい。上記金属化合物は、合成してもまたは市販品を使用してもよい。
塗布液は、金属化合物、ケイ素化合物及び必要であれば触媒を、溶媒に溶解して調製できる。ここで、塗布液を調製するための溶媒としては、金属化合物およびケイ素化合物前駆体(ポリシラザン)を溶解できるものであれば特に制限されないが、ポリシラザンと容易に反応してしまう水及び反応性基(例えば、ヒドロキシル基、あるいはアミン基等)を含まず、金属化合物およびポリシラザンに対して不活性の有機溶媒が好ましく、非プロトン性の有機溶媒がより好ましい。例えば、ペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒;塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、モノ−およびポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)等の脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類などを挙げることができる。上記溶媒は、ケイ素化合物の溶解度や溶媒の蒸発速度等の目的にあわせて選択され、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。上記溶媒のうち、芳香族炭化水素が好ましく、トルエン、キシレンがより好ましい。また、上記溶媒は、使用する前にあらかじめ酸素濃度や水分含量を低減させておくことが好ましい。溶媒中の酸素濃度や水分含量を低減する手段は特に限定されず、従来公知の手法が適用されうる。
塗布液における一般式(1)のケイ素化合物前駆体(ポリシラザン)の濃度は、特に制限されず、ガスバリア層の膜厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、好ましくは0.2〜80質量%、より好ましくは1〜50質量%、特に好ましくは1.5〜35質量%である。
塗布液における金属化合物の使用量は、特に制限されず、金属含有バリア層中、所望のケイ素原子に対する金属原子の比率となるように選択すればよい。例えば、金属化合物は、ケイ素化合物前駆体の固形分質量に対して、0.01〜10倍の質量であることが好ましく、0.06〜6倍の質量であることがより好ましい。
上記塗布液は、酸窒化珪素への変性を促進するために、ケイ素化合物前駆体(ポリシラザン)とともに触媒を含有させてもよい。本発明に適用可能な触媒としては、塩基性触媒が好ましく、特に、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン等のアミン触媒、Ptアセチルアセトナート等のPt化合物、プロピオン酸Pd等のPd化合物、Rhアセチルアセトナート等のRh化合物等の金属触媒、N−複素環式化合物が挙げられる。これらのうち、アミン触媒を用いることが好ましい。この際添加する触媒の濃度としては、ポリシラザンを基準としたとき、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲である。触媒添加量をこの範囲とすることで、反応の急激な進行よる過剰なシラノール形成、および膜密度の低下、膜欠陥の増大のなどを避けることができる。
また、上記塗布液に、必要に応じて下記に挙げる添加剤を用いることができる。例えば、セルロースエーテル類、セルロースエステル類;例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート等、天然樹脂;例えば、ゴム、ロジン樹脂等、合成樹脂;例えば、重合樹脂等、縮合樹脂;例えば、アミノプラスト、特に尿素樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステルもしくは変性ポリエステル、エポキシド、ポリイソシアネートもしくはブロック化ポリイソシアネート、ポリシロキサン等である。
このような塗布液を用いることにより、亀裂及び孔が無い、ガスに対する高いバリア作用に優れる塗膜を製造することができる。
塗膜の厚さ(塗布厚さ)は、特に制限されず、所望の金属含有バリア層の厚さ(乾燥膜厚)に応じて適切に設定され得る。例えば、塗膜の厚さ(塗布厚さ)は、乾燥後の厚さ(乾燥膜厚)として、1nm〜100μm程度であることが好ましく、5nm〜10μm程度であることがより好ましく、10nm〜1μmであることがさらにより好ましく、30〜500nmであることが特に好ましい。なお、金属含有バリア層の塗膜が積層される場合には、塗膜全体(金属含有バリア層全体)の厚さが上記したような厚さになることが好ましい。と膜(金属含有バリア層)の厚さ(乾燥膜厚)は、例えば、透過型電子顕微鏡により測定することができる。
金属含有バリア層用の塗布液の塗膜を形成する方法は特に制限されず、いずれの方法によって形成されてもよいが、塗布液を湿式塗布することにより作製されることが好ましい。塗布方法としては、従来公知の適切な湿式塗布方法が採用され得る。具体例としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、ワイヤレスバーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。金属含有バリア層は、2層以上の積層体であってもよい。金属含有バリア層が2層以上の積層体である場合の塗膜の形成方法としては、特に制限されず、逐次重層塗布方式であってもまたは同時重層塗布方式であってもよい。同時重層塗布方式としては、複数のコーターを用いて既塗布層の乾燥前に次の層を塗布して複数層を同時に乾燥させたり、スライドコーティングやカーテンコーティングを用いて、スライド面で複数の塗布液を積層させて塗布したりする方式がある。
金属含有バリア層用塗布液を塗布後は、塗布膜を乾燥することが好ましい。乾燥条件は、塗膜が形成されれば特に制限されない。具体的には、乾燥温度は、好ましくは50〜150℃であり、より好ましくは80〜130℃である。乾燥時間は、好ましくは0.5〜60分であり、より好ましくは1〜15分である。
(改質処理)
改質処理とは、ケイ素化合物前駆体(ポリシラザン)の一部または全部が、酸化珪素または酸化窒化珪素への転化する反応を生じさせることをいう。これによって、本発明のガスバリア性フィルムが全体としてガスバリア性(水蒸気透過率が、1×10−3g/m・day以下)を発現するに貢献できるレベルの無機薄膜を形成することができる。具体的には、改質処理は、加熱処理、プラズマ処理、活性エネルギー線照射処理等が挙げられる。中でも、低温で改質可能であり基材種の選択の自由度が高いという観点から、活性エネルギー線照射による処理が好ましい。
(加熱処理)
加熱処理の方法としては、例えば、ヒートブロック等の発熱体に基板を接触させ熱伝導により塗膜を加熱する方法、抵抗線等による外部ヒーターにより塗膜が載置される環境を加熱する方法、IRヒーターといった赤外領域の光を用いた方法等が挙げられるが、これらに限定されない。加熱処理を行う場合、塗膜の平滑性を維持できる方法を適宜選択すればよい。
塗膜を加熱する温度としては、40〜250℃の範囲が好ましく、60〜150℃の範囲がより好ましい。加熱時間としては、10秒〜100時間の範囲が好ましく、30秒〜5分の範囲が好ましい。
(プラズマ処理)
本発明において、改質処理として用いることのできるプラズマ処理は、公知の方法を用いることができるが、好ましくは大気圧プラズマ処理等を挙げることが出来る。大気圧近傍でのプラズマCVD処理を行う大気圧プラズマCVD法は、真空下のプラズマCVD法に比べ、減圧にする必要がなく生産性が高いだけでなく、プラズマ密度が高密度であるために成膜速度が速く、更には通常のCVD法の条件に比較して、大気圧下という高圧力条件では、ガスの平均自由工程が非常に短いため、極めて均質の膜が得られる。
大気圧プラズマ処理の場合は、放電ガスとしては窒素ガスまたは長周期型周期表の第18族原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられ、特に窒素がコストも安く好ましい。
(活性エネルギー線照射処理)
活性エネルギー線としては、例えば、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等が使用可能であるが、電子線または紫外線が好ましく、紫外線がより好ましい。紫外線(紫外光と同義)によって生成されるオゾンや活性酸素原子は高い酸化能力を有しており、低温で高い緻密性と絶縁性とを有するケイ素含有膜を形成することが可能である。
(紫外線照射処理)
金属含有バリア層の改質処理の方法の1つとして、紫外線照射による処理が好ましい。紫外線(紫外光と同義)によって生成されるオゾンや活性酸素原子は高い酸化能力を有しており、低温で高い緻密性と絶縁性を有する酸化ケイ素膜または酸窒化ケイ素膜を形成することが可能である。
この紫外線照射により、基材が加熱され、セラミックス化(シリカ転化)に寄与するOとHOや、紫外線吸収剤、ポリシラザン自身が励起、活性化されるため、ポリシラザンが励起し、ポリシラザンのセラミックス化が促進され、また得られる第1の無機バリア層が一層緻密になる。紫外線照射は、塗膜形成後であればいずれの時点で実施しても有効である。
紫外線照射処理においては、常用されているいずれの紫外線発生装置を使用することも可能である。なお、本発明でいう紫外線とは、一般には、10〜400nmの波長を有する電磁波をいうが、後述する真空紫外線(10〜200nm)処理以外の紫外線照射処理の場合は、好ましくは210〜375nmの紫外線を用いる。
紫外線の照射は、基材がダメージを受けない範囲で、照射強度や照射時間を設定することが好ましい。基材としてプラスチックフィルムを用いた場合を例にとると、例えば、2kW(80W/cm×25cm)のランプを用い、基材表面の強度が20〜300mW/cm、好ましくは50〜200mW/cmになるように基材−紫外線照射ランプ間の距離を設定し、0.1秒〜10分間の照射を行うことができる。
このような紫外線の発生手段としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、エキシマランプ(154nm、172nm、222nm、232nm、308nmの単一波長、例えば、ウシオ電機株式会社製、MDエキシマ社製など)、UV光レーザー、等が挙げられるが、特に限定されない。また、発生させた紫外線を塗膜に照射する際には、効率向上と均一な照射を達成する観点から、発生源からの紫外線を反射板で反射させてから塗膜に当てることが好ましい。
紫外線照射は、バッチ処理にも連続処理にも適合可能であり、使用する基材の形状によって適宜選定することができる。例えば、バッチ処理の場合には、積層体を上記のような紫外線発生源を具備した紫外線焼成炉で処理することができる。紫外線焼成炉自体は一般に知られており、例えば、アイグラフィクス株式会社製の紫外線焼成炉を使用することができる。また、積層体が長尺フィルム状である場合には、これを搬送させながら上記のような紫外線発生源を具備した乾燥ゾーンで連続的に紫外線を照射することによりセラミックス化することができる。紫外線照射に要する時間は、使用する基材や金属含有バリア層の組成、濃度にもよるが、一般に0.1秒〜10分であり、好ましくは0.5秒〜3分である。
(真空紫外線照射処理:エキシマ照射処理)
本発明において、最も好ましい改質処理方法は、真空紫外線照射による処理(エキシマ照射処理)である。したがって、本発明は、金属含有バリア層が、ポリシラザンを200nm以下の真空紫外光で改質して形成されたものであることが好ましい。真空紫外線照射による処理は、ポリシラザン化合物内の原子間結合力より大きい100〜200nmの光エネルギーを用い、好ましくは100〜180nmの波長の光エネルギーを用い、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみの作用により、直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、比較的低温(約200℃以下)で、酸化ケイ素膜の形成を行う方法である。ケイ素化合物を均一にアモルファス状態とするには、200nm以下の波長の光が有効である。一方、50nm未満の波長では、アモルファスを再度分解する働きがあるため、作製効率の観点からは50nm以上の波長が好ましい。
真空紫外線照射処理は、大気圧下または真空下で行うことができる。より具体的には、酸素および水蒸気を実質的に含まない雰囲気下、大気圧下または真空下で行うことができる。または、改質処浬は、酸素濃度5000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、相対湿度150ppm以下、好ましくは100ppm以下の低酸素・低水蒸気濃度雰囲気下において行うことができる。上記の低水蒸気濃度雰囲気下(常圧)において改質処理を行う場合は、不活性ガス、希ガスまたは還元ガス雰囲気中にて行うことが好ましい。これらの条件を満たす雰囲気下で改質処理を行った場合、金属含有バリア層が、窒素を高濃度で含む改質膜となり、酸化ケイ素(シリカ)やシラノール基が過剰に生成することを防止できるため、より高い水蒸気バリア性が得られる。
放射線源は、100〜180nmの波長の光を発生させるものであれば良く、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、エキシマランプ、UV光レーザー、等を使用する方法が挙げられる。好適には、154nmに発光波長成分を有する真空紫外線ランプ、約172nmに最大放射を有するエキシマラジエータ(例えば、Xeエキシマランプ)、約185nmに輝線を有する低圧水銀蒸気ランプ、並びに230nm以下の波長成分を有する中圧および高圧水銀蒸気ランプ、および約222nmに最大放射を有するエキシマランプである。
このうち、154nmを発光する真空紫外線ランプ、さらに、Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから、発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。
また、波長の短い172nmの光のエネルギーは、有機物の結合を解離させる能力が高いことが知られている。この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間でポリシラザン塗膜の改質を実現できる。
エキシマランプは光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、光による温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域で、すなわち短い波長でエネルギーを照射するため、解射対象物の表面温度の上昇が抑えられる特徴を持っている。このため、熱の影響を受けやすいとされるPETなどのフレシキブルフィルム材料に適している。
紫外線照射時の反応には、酸素が必要であるが、真空紫外線は、酸素による吸収があるため紫外線照射工程での効率が低下しやすいことから、真空紫外線の照射は、可能な限り酸素濃度および水蒸気濃度の低い状態で行うことが好ましい。すなわち、真空紫外線照射時の酸素濃度は、10〜20,000体積ppmとすることが好ましく、より好ましくは50〜10,000体積ppm、さらに好ましくは300〜10000体積ppm(1体積%)、さらには500〜5000体積ppmである。また、転化プロセスの間の水蒸気濃度は、好ましくは1000〜4000体積ppmの範囲である。このような酸素濃度の範囲に調整することにより、酸素過多のバリア層の生成を防止してバリア性の劣化を防止することができる。
真空紫外線照射時に用いられる、照射雰囲気を満たすガスとしては乾燥不活性ガスとすることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。酸素濃度の調整は照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
真空紫外線照射工程において、ポリシラザン塗膜が受ける塗膜面での該真空紫外線の照度は1mW/cm〜10W/cmであると好ましく、30mW/cm〜200mW/cmであることがより好ましく、50mW/cm〜160mW/cmであるとさらに好ましい。1mW/cm以上であれば、十分な改質効率が得られ、10W/cm以下であれば、塗膜にアブレーションを生じにくく、基材にダメージを与えにくい。
塗膜面における真空紫外線の照射エネルギー量(積算光量)は、10〜10000mJ/cmであることが好ましく、100〜8000mJ/cmであることがより好ましく、200〜6000mJ/cmであることがさらに好ましい。10mJ/cm以上であれば、改質が十分に進行しうる。10000mJ/cm以下であれば、過剰改質によるクラック発生や、基材の熱変形が生じにくい。
Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。また、有機物の結合を解離させる波長の短い172nmの光のエネルギーは能力が高いことが知られている。この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間でポリシラザン化合物を含む塗布層の改質を実現できる。従って、波長185nm、254nmの発する低圧水銀ランプやプラズマ洗浄と比べて高スループットに伴うプロセス時間の短縮や設備面積の縮小、熱によるダメージを受けやすい有機材料やプラスチック基板、樹脂フィルム等への照射を可能としている。
上記の塗布によって形成される層は、ポリシラザンを含む塗膜に真空紫外線を照射する工程において、ポリシラザンの少なくとも一部が改質されることで、層全体としてSiOの組成で示される酸化窒化ケイ素を含むバリア層が形成される。
また、膜密度は、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、ポリシラザンを含有する溶液を塗布して形成されたバリア層の膜密度は、1.5〜2.6g/cmの範囲にあることが好ましい。この範囲内であれば、膜の緻密さが向上しガスバリア性の劣化や、高温高湿条件下での膜の劣化を防止することができる。
また、改質に用いられる真空紫外光は、CO、COおよびCHの少なくとも一種を含むガスで形成されたプラズマにより発生させてもよい。さらに、CO、COおよびCHの少なくとも一種を含むガス(以下、炭素含有ガスとも称する)は、炭素含有ガスを単独で使用してもよいが、希ガスまたはHを主ガスとして、炭素含有ガスを少量添加することが好ましい。プラズマの生成方式としては容量結合プラズマなどが挙げられる。
上記のように改質処理を行うことによって、金属含有バリア層が完成され、本発明のガスバリア性フィルムが得られる。
(後処理)
ポリシラザンを含む溶液を塗布することによって形成された金属含有バリア層は、塗布した後または改質処理した後、特には改質処理した後、後処理を施してもよい。ここで述べる後処理とは、温度40〜120℃の温度処理(熱処理)あるいは湿度:30%以上100%以下、または、水浴に浸漬した湿度処理も含み、処理時間は、30秒から100時間の範囲より選択される範囲と定義する。温度と湿度の両方の処理を施しても良く、どちらか一方だけでも良いが、少なくとも温度処理(熱処理)を施すことが好ましい。好ましい条件は、温度40〜120℃、湿度30%から85%、処理時間は30秒から100時間である。
温度処理を施す際は、ホットプレート上に置く等の接触式方式、オーブンにつるして放置する非接触方式等特に方式は問わず、併用でも、単式でも良い。
<その他の層>
(平滑層)
本発明のガスバリア性フィルムにおいては、基材とバリア層との間に、平滑層を有してもよい。本発明に用いられる平滑層は突起等が存在する透明樹脂フィルム支持体の粗面を平坦化し、あるいは、透明樹脂フィルム支持体に存在する突起により透明無機化合物層に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために設けられる。平滑層の構成材料、形成方法、表面粗さ、膜厚等は、特開2013−52561号公報の段落「0233」〜「0248」に開示される材料、方法等が適宜採用される。
(アンカーコート層(下地層))
本発明に係る基材の表面には、接着性(密着性)の向上を目的として、アンカーコート層(下地層)を易接着層として形成してもよい。このアンカーコート層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、およびアルキルチタネート等を、1種または2種以上併せて使用することができる。上記アンカーコート剤は、市販品を使用してもよい。具体的には、シロキサン系UV硬化型ポリマー溶液(信越化学工業株式会社製、「X−12−2400」の3%イソプロピルアルコール溶液)、UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材(JSR株式会社製OPSTARZ7501)等を用いることができる。
これらのアンカーコート剤には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記のアンカーコート剤は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により基材上にコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することによりコーティングすることができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m(乾燥状態)程度が好ましい。なお、市販の易接着層付き基材を用いてもよい。
または、アンカーコート層は、物理蒸着法または化学蒸着法といった気相法により形成することもできる。例えば、特開2008−142941号公報に記載のように、接着性等を改善する目的で酸化ケイ素を主体とした無機膜を形成することもできる。
また、アンカーコート層の厚さは、特に制限されないが、0.5〜10.0μm程度が好ましい。
(ブリードアウト層)
本発明のガスバリア性フィルムは、上記平滑層を設けた面とは反対側の基材面にブリードアウト防止層を有してもよい。
ブリードアウト防止層は、平滑層を有するフィルムを加熱した際に、平滑層を有するフィルム中から未反応のオリゴマー等が表面へ移行して、接触する面を汚染してしまう現象を抑制する目的で、平滑層を有する基材の反対面に設けられる。ブリードアウト防止層は、この機能を有していれば基本的に平滑層と同じ構成をとっても構わない。
ブリードアウト防止層の構成材料、形成方法、膜厚等は、特開2013−52561号公報の段落「0249」〜「0262」に開示される材料、方法等が適宜採用される
(中間層)
本発明において、バリア層が2層以上積層している場合、各バリア層の間、またはバリア層と基材との間に、中間層を形成してもよい。本発明において、中間層を形成する方法として、ポリシロキサン改質層を形成する方法を適用することができる。この方法は、ポリシロキサンを含有した塗布液を湿式塗布法によりバリア層上に塗布して乾燥した後、その乾燥した塗膜に真空紫外光を照射することによってポリシロキサン改質層とした中間層を形成する方法である。
本発明における中間層を形成するために用いる塗布液は、主には、ポリシロキサン及び有機溶媒を含有する。中間層の構成材料、形成方法などの具体的な形態は、例えば、特開2014−046272号公報の段落「0161」〜「0185」に開示される材料、方法などが適宜採用されうる。
(保護層)
本発明に係るガスバリア性フィルムは、バリア層の上部に、有機化合物を含む保護層を設けてもよい。保護層に用いられる有機化合物としては、有機モノマー、オリゴマー、ポリマー等の有機樹脂、有機基を有するシロキサンやシルセスキオキサンのモノマー、オリゴマー、ポリマー等を用いた有機無機複合樹脂層を好ましく用いることができる。
[電子デバイス]
本発明のガスバリア性フィルムは、空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化するデバイスに好ましく用いることができる。したがって、本発明は、電子デバイス本体と本発明に係るガスバリア性フィルムとを含む、電子デバイスをも提供する。
前記デバイスの例としては、例えば、有機EL素子、液晶表示素子(LCD)、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、太陽電池(PV)等の電子デバイスを挙げることができる。本発明の効果がより効率的に得られるという観点から、有機EL素子または太陽電池に好ましく用いられ、有機EL素子に特に好ましく用いられる。
本発明のガスバリア性フィルムは、また、デバイスの膜封止に用いることができる。すなわち、本発明は、電子デバイス本体と、本発明のガスバリア性フィルムとを含む電子デバイスをも提供する。具体的には、デバイス自体を支持体として、その表面に本発明のガスバリア性フィルムを設ける。なお、ガスバリア性フィルムを設ける前にデバイスを保護層で覆ってもよい。
本発明のガスバリア性フィルムは、デバイスの基板や固体封止法による封止のためのフィルムとしても用いることができる。固体封止法とはデバイスの上に保護層を形成した後、接着剤層、ガスバリア性フィルムを重ねて硬化する方法である。接着剤は特に制限はないが、熱硬化性エポキシ樹脂、光硬化性アクリレート樹脂等が例示される。
有機EL素子としては、ガスバリア性フィルムを用いた有機EL素子の例は、特開2007−30387号公報に詳しく記載されている。
液晶表示素子としては、反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる構成を有する。本発明におけるガスバリア性フィルムは、前記透明電極基板および上基板として使用することができる。
太陽電池としては、本発明のガスバリア性フィルムは、太陽電池素子の封止フィルムとしても用いることができる。ここで、本発明のガスバリア性フィルムは、バリア層が太陽電池素子に近い側となるように封止することが好ましい。
その他の適用例としては、特表平10−512104号公報に記載の薄膜トランジスタ、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載のタッチパネル、特開2000−98326号公報に記載の電子ペーパー等が挙げられる。
本発明のガスバリア性フィルムは、光学部材としても用いることができる。光学部材の例としては円偏光板等が挙げられる。
円偏光板は、本発明におけるガスバリア性フィルムを基板としλ/4板と偏光板とを積層し、作製することができる。この場合、λ/4板の遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角が45°になるように積層する。このような偏光板は、長手方向(MD)に対し45°の方向に延伸されているものを用いることが好ましく、例えば、特開2002−865554号公報に記載のものを好適に用いることができる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例には限定されない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
<実施例1−1>
(樹脂基材の準備)
基材として、2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム、厚み100μn、幅350mm、帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックスQ65FA」)を用いた。
(下地層の作製)
上記基材の易接着面側に、JSR株式会社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTARZ7501を用い、乾燥後の層厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した。その後、乾燥条件として、80℃で3分間の乾燥を行った。次いで、空気雰囲気下で、高圧水銀ランプを使用し、硬化条件;1.0J/cmで硬化を行い、下地層を形成した。
(無機バリア層の作製;製法1)
上記の下地層付き基材を、図2に記載した装置に装着し、RF型プラズマCVD(RFPECVD)技術を用いて、寸法約10cm×10cmの上記の基材上に厚さ約200nmのコーティングを形成した。この際、シラン(最大流量約500標準cm/分)、アンモニア(最大流量約60標準cm/分)、及びプロピレンオキシド(最大流量約500標準cm/分)を用いてケイ素、炭素、酸素、及び窒素からなる無機バリア層を作製した。反応体ガスの速度をコントロールして、コーティングの組成を変化するように変化させた。
(金属含有バリア層の形成;ポリシラザンの塗布、改質)
〈金属含有バリア層形成用塗布液の調製〉
無触媒のパーヒドロポリシラザン20重量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製、アクアミカ(登録商標) NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン)をパーヒドロポリシラザンに対して5重量%含有するパーヒドロポリシラザン20重量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製、アクアミカ NAX120−20)とを4:1の重量比で混合した。これにより、アミン触媒をパーヒドロポリシラザンに対して1重量%含むパーヒドロポリシラザン20重量%ジブチルエーテル溶液を調製した。
このように調整したパーヒドロポリシラザン(PHPS)溶液に、さらにALCH(川研ファインケミカル株式会社製、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)をPHPSに対して0.67重量%(元素組成比Al/Si(%):10%)になるように添加した。さらに、この液をジブチルエーテルで希釈することで、全固形分濃度が3重量%のPHPS−ALCH溶液(金属含有バリア層形成用塗布液)を調整した。
この金属含有バリア層形成用塗布液を、上記のように形成した無機バリア層上にスピンコート(10s、3000rpm)した。この塗布膜は、窒素雰囲気下、120℃で10分間乾燥して、厚さ100nmのポリシラザン膜を作製した。乾燥は、水蒸気濃度500ppmの雰囲気下で行った。
(真空紫外線(VUV光)照射処理条件)
上記のように形成したポリシラザン膜に、以下の条件で真空紫外線を照射し、改質処理を行った。真空紫外線(VUV光)の照射は、下記条件にて、下記の装置を用いランプと試料との間隔(Gapともいう)を6mmとなるように基材を設置し、照射した。照射時間は、可動ステージの可動速度を調整して変化させた。
また、真空紫外線照射時の酸素濃度の調整は、照射庫内に導入する窒素ガス、及び酸素ガスの流量をフローメーターにより測定し、庫内に導入するガスの窒素ガス/酸素ガス流量比により調整した。
真空紫外線照射装置:ステージ可動型キセノンエキシマ照射装置
(MDエキシマ社製、MECL−M−1−200)
照度:140mW/cm(172nm)
ステージ温度:80℃
処理環境:ドライ窒素ガス雰囲気下
導入ガス加熱温度:100℃
加熱ガス導入時間:1分
処理環境の酸素濃度:0.1体積%
ステージ可動速度と搬送回数:10mm/秒で4回搬送
エキシマ光露光積算量:1500mJ/cm
以上のように、無機バリア層の上に、金属含有バリア層を形成することで、本発明のガスバリア性フィルムを作製した。
<実施例1−2〜1−7;製法1>
無機バリア層の成膜時にプロピレンオキシドガス量を変化させることにより、無機バリア層中のケイ素原子の濃度を下記表1のようにそれぞれ変化させた以外は、実施例1−1と同様にして、ガスバリア性フィルムを作製した。
<比較例1−1〜1−3;製法1>
無機バリア層の成膜時にプロピレンオキシドガス量を変化させることにより、無機バリア層中のケイ素原子の濃度を下記表1のようにそれぞれ変化させた以外は、実施例1−1と同様にして、ガスバリア性フィルムを作製した。
<比較例1−4〜1−7;製法1>
比較例1−4では、金属含有バリア層用の塗布液に金属化合物を添加しなかった以外は、実施例1−1と同様にして、ガスバリア性フィルムを作製した。
比較例1−5〜1−7では、金属含有バリア層中のケイ素原子に対するアルミニウム原子の比率が表1に記載の比率となるように、塗布液中の金属化合物の濃度を調製した以外は、実施例1−1と同様にして、ガスバリア性フィルムを作製した。
<実施例1−8〜1−15;製法1>
金属含有バリア層中のケイ素原子に対するアルミニウム原子の比率が表1に記載の比率となるように、塗布液中の金属化合物の濃度を調製した以外は、実施例1−4と同様にして、ガスバリア性フィルムを作製した。
<比較例1−8〜1−10;製法1>
実施例1−1と同様にして、無機バリア層として、図2に示す装置を用いたプラズマCVD法により、酸化ケイ素膜(膜厚300nm)を形成した。この無機バリア層上に、金属含有バリア層中のケイ素原子に対するアルミニウム原子の比率が表1に記載の比率となるように、塗布液中の金属化合物の濃度をそれぞれ調製した以外は、実施例1−1と同様にして、金属含有バリア層を形成した。このようにして、ガスバリア性フィルムを作製した。
<実施例1−16〜1−18;製法1>
実施例1−1と同様にして、無機バリア層として、図2に示す装置を用いたプラズマCVD法により、酸化ケイ素膜(膜厚300nm)を形成した。この無機バリア層上に、金属含有バリア層中のケイ素原子に対するアルミニウム原子の比率が表1に記載の比率となるように、塗布液中の金属化合物の濃度をそれぞれ調製した以外は、実施例1−1と同様にして、金属含有バリア層を形成した。このようにして、ガスバリア性フィルムを作製した。
<実施例1−19;製法2>
実施例1−1と同様の下地層付基材上に、無機バリア層を以下の方法で形成した(製法2)。
ロールートゥーロール(roll−to−roll)スパッタ−コーター中にスプライスロールを装填した。成膜チャンバーの圧力を2×10−6torrまでポンプで低下させた。2kWおよび600V、1mtorrの圧力で、51sccmのアルゴンおよび30sccmの酸素(O)を含有する気体混合物、および0.43m/分のウェブ速度を使用して、Si−AI(95/5)ターゲット(アカデミー プリシジョン マテリアルズ製)を反応スパッタリングすることによって、厚さ300nmの無機酸化物層(無機バリア層)を基材フィルム上に堆積させた。
次に、実施例1−1と同様にして、無機バリア層上に金属含有バリア層を形成した。このようにして、ガスバリア性フィルムを完成させた。
<実施例2−1〜2−6>
実施例1−1と同様の下地層付き樹脂基材上に、以下のようにして無機バリア層を形成した。
(無機バリア層の作製;製法3)
上記の下地層付き樹脂基材を、図3に記載した装置に装着し、下地層上に、下記製膜条件(プラズマCVD条件)にて、無機バリア層の薄膜を300nmの厚さで作製した(実施例2−1)。
フィルムの搬送速度:0.5m/min(製膜条件〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン)の供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O)の供給量:500sccm
真空チャンバー内の真空度:3Pa
プラズマ発生用震源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz。
実施例2−2〜2−6においては、無機バリア層の膜厚を変えることにより、無機バリア層中のケイ素の組成濃度を下記表2のように変化させた。
(金属含有バリア層形成)
次に、無機バリア層上に、金属含有バリア層中のケイ素原子に対するアルミニウム原子の比率が表2に記載の比率となるように、塗布液中の金属化合物の濃度を調製した以外は、実施例1−1と同様にして、金属含有バリア層をそれぞれ形成した。このようにして、ガスバリア性フィルムを作製した。
<実施例3−1〜3−3;製法3>
無機バリア層の膜厚を変えることにより、無機バリア層中のケイ素の組成濃度を下記表3のように変化させた以外は、実施例2−1と同様にして、無機バリア層を形成した。無機バリア層上に、金属含有バリア層中のケイ素原子に対するアルミニウム原子の比率が表2に記載の比率となるように、塗布液中の金属化合物の濃度を調製した以外は、実施例1−1と同様にして、金属含有バリア層用の塗布膜を形成した。さらに、下記表3に示す波長の真空紫外光をそれぞれ照射して、塗布膜を改質し、金属含有バリア層を形成した。このようにして、ガスバリア性フィルムを作製した。
<評価方法>
(ケイ素原子濃度およびケイ素原子に対する金属原子比)
上記実施例1−1〜1−20、2−1〜2−6、3−1〜3−3、および、比較例1−1〜1−10のガスバリア性フィルムについて、深さ方向のXPS測定を行った。その結果から、無機バリア層中のケイ素原子濃度(原子%)および金属含有バリア層中のケイ素原子に対する金属原子の比率(原子%)を求めた。結果は下記表1〜3に示す。
(バリア性能評価)
上記実施例1−1〜1−20、2−1〜2−6、3−1〜3−3、および、比較例1−1〜1−10について、評価用試料として、金属含有バリア層用の塗布膜を形成する前の、無機バリア層の露出したフィルム(無機バリア層評価用フィルム)を用意した。これらの無機バリア層評価用フィルムについて、下記のように水蒸気透過率(WVTR)を評価した。
さらに、上記実施例1−1〜1−20、2−1〜2−6、3−1〜3−3、および、比較例1−1〜1−10について、得られたガスバリア性フィルムの水蒸気透過率(WVTR)を下記のように評価した。
真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置 JEE−400)を用い、上記の無機バリア層評価用フィルムおよびガスバリア性フィルムの最表面の層の表面に、マスクを通して12mm×12mmのサイズで金属カルシウムを蒸着させた。この際、蒸着膜厚は80nmとなるようにした。
その後、真空状態のままマスクを取り去り、シート片側全面にアルミニウムを蒸着させて仮封止をした。次いで、真空状態を解除し、速やかに乾燥窒素ガス雰囲気下に移して、アルミニウム蒸着面に封止用紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス株式会社製)を介して厚さ0.2mmの石英ガラスを張り合わせ、紫外線を照射して樹脂を硬化接着させて本封止することで、水蒸気バリア性評価試料を各々作製した。
得られた試料を、初期の水蒸気透過率として、60℃、90%RHの高温高湿下で保存し、保存時間に対して金属カルシウムが腐食して行く様子を観察した。観察は12mm×12mmの金属カルシウム蒸着面積に対する金属カルシウムが腐食した面積が50%になる時間(カルシウム劣化時間)を観察結果から直線で内挿して求めた。評価基準は以下の通りとした。
1:100時間以下
2:100時間を超えて300時間以下
3:300時間を超えて600時間以下
4:600時間を超えて1000時間以下
5:1000時間超。
さらに、温度60℃、湿度90%RH環境下で1000時間保存した試料について、初期の水蒸気透過率と同様にして、1000時間保存後の水蒸気透過率を求めた。評価結果は、下記表1〜3に示した。
上記表1が示すように、無機バリア層をプラズマCVD法で形成した実施例1−1〜1−19は、高温高湿下で保存した後もいずれも優れたバリア性能を示した。これに対して、無機バリア層中のケイ素原子濃度が本発明の規定範囲を外れている比較例1−1〜1−3、および、金属含有層中の金属原子濃度が本発明の規定範囲を外れている比較例1−4〜1−10は、高温高湿下での保存後に、バリア性能の劣化が見られた。
上記表2からは、無機バリア層のバリア性能がばらついていても、実施例2−1〜2−6は、高温高湿下での保存後にもバリア性能が維持されたことが分かる。上記表3は、金属含有バリア層の塗布膜を改質する際に、真空紫外光の波長を変化させた実施例3−1〜3−3の結果である。表3に示されるように、真空紫外光の波長がいずれであっても、高温高湿下での保存後のバリア性能劣化が防止されたことが分かる。
1、10 ガスバリア性フィルム、
2、11 基材、
3、12 無機バリア層、
13 金属含有バリア層
31 製造装置、
32 送り出しローラー、
33、34、35、36 搬送ローラー、
39、40 成膜ローラー、
41 ガス供給管、
42 プラズマ発生用電源、
43、44 磁場発生装置、
45 巻取りローラー、
101 プラズマCVD装置、
102 真空槽、
103 カソード電極、
105 サセプタ、
106 熱媒体循環系、
107 真空排気系、
108 ガス導入系、
109 高周波電源。

Claims (7)

  1. 樹脂基材上の、ケイ素原子を5〜40原子%含有する無機バリア層と、
    前記無機バリア層上に隣接する、ケイ素原子および、前記ケイ素原子に対して5〜50原子%の金属原子を含む金属含有バリア層と、
    を有するガスバリア性フィルム。
  2. 前記無機バリア層の水蒸気透過率が0.1g/m/day以下である、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 前記無機バリア層が、化学気相成長法(CVD法)により形成されたものである、請求項1または2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 前記金属含有バリア層が、ポリシラザンを200nm以下の真空紫外光で改質して形成されたものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
  5. 前記金属原子が、前記金属含有バリア層中のケイ素原子に対して、5〜17原子%含まれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
  6. 前記無機バリア層中のケイ素原子が、前記無機バリア層中に30〜40原子%含まれる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルムを含む電子デバイス。
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