JPWO2015072278A1 - タッチパネルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、電極パターンの形成精度が高く、耐久性及び視認性に優れたタッチパネルを製造することができるタッチパネルの製造方法を提供することである。本発明のタッチパネルの製造方法は、透明電極を具備したタッチパネルの製造方法であって、前記透明電極を、少なくとも透明基板上に、中間層と当該中間層に隣接して銀を主成分とする銀薄膜電極をこの順で形成する工程1と、形成した前記銀薄膜電極及び前記中間層を、フォトリソグラフィー法により、少なくとも有機溶媒を含有するエッチング液を用いて電極パターンを形成する工程2を経て製造することを特徴とする。

Description

本発明は、センサーパターンを有する透明電極を具備したタッチパネルの製造方法に関し、より詳しくは、耐久性及び視認性に優れたタッチパネルの製造方法に関する。
表示パネルの表示面側に配置されるタッチパネルには、抵抗膜方式、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式、光学方式、超音波方式などの様々な方式があるが、投影型静電容量方式は多点入力できるという特徴を有しており、スマートフォンなどにおいて実用化が進んでいる。
ところで、投影型静電容量方式のように、パネル面の全面にわたって電極が配置される構成のタッチパネルにおいては、透明導電性材料を用いて電極を構成することにより、タッチパネルを介して配置される表示画像の視認性を確保している。
このようなタッチパネル用の電極を構成する透明電極としては、例えば、インジウムスズ酸化物(以下、ITOと略記する。)、銅酸化物、銀ナノワイヤー、カーボンナノチューブ、ポリエチレンジオキシチオフェン等の透明導電膜を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
しかしながら、ITO等の金属酸化物は、光透過性には優れるものの導電性が十分ではなく、パネルの中央付近で電圧降下を起こしやすく、タッチパネルの大型化に対する阻害要因となっている。また、抵抗値を低く抑えようとした場合、ある程度の膜厚が必要とされるため、投影型静電容量方式のように電極がパターン形状を有する場合、このパターンが視認され易くなり、結果として下地となる表示画像の視認性が低下することになる。
近年、タッチパネル用の透明電極として、ITOよりも導電性が高い銀ナノワイヤーを用いた構成の検討がなされている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、銀ナノワイヤーを用いて透明電極としての細線を形成する場合、抵抗を下げるためには銀ナノワイヤーの添加量を増加させる必要があり、その結果、銀線が太くなり、目視でも確認できる状態となるため、銀粒子の光散乱により下地となる表示画像の視認性が低下する問題を有していた。
特表2013−532868号公報 特開2013−214173号公報 特開2012−33466号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、電極パターンの形成精度が高く、耐久性及び視認性に優れたタッチパネルを製造することができるタッチパネルの製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を進めた結果、透明電極を具備したタッチパネルの製造方法であって、前記透明電極を、透明基板上に中間層と当該中間層に隣接して銀を主成分とする銀薄膜電極をこの順で形成する工程1と、形成した前記銀薄膜電極及び前記中間層をフォトリソグラフィー法により、少なくとも有機溶媒を含有するエッチング液を用いて電極パターンを形成する工程2を経て製造することを特徴とするタッチパネルの製造方法により、電極パターンの形成精度が高く、耐久性及び視認性に優れたタッチパネルを製造することができることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
1.透明電極を具備したタッチパネルの製造方法であって、
前記透明電極を、少なくとも下記工程1及び工程2を経て製造することを特徴とするタッチパネルの製造方法。
工程1:透明基板上に、中間層と当該中間層に隣接して銀を主成分とする銀薄膜電極をこの順で形成する工程
工程2:形成した前記銀薄膜電極及び前記中間層を、フォトリソグラフィー法により、少なくとも有機溶媒を含有するエッチング液を用いて電極パターンを形成する工程
2.前記工程2で用いる有機溶媒が、エーテルアルコール、ケトン及びエステルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする第1項に記載のタッチパネルの製造方法。
3.前記銀薄膜電極上に、更に中間層Bを形成することを特徴とする第1項又は第2項に記載のタッチパネルの製造方法。
4.前記中間層及び中間層Bが、いずれも前記有機溶媒に可溶であることを特徴とする第3項に記載のタッチパネルの製造方法。
5.少なくとも前記中間層が、銀と親和性の高い化合物を含有することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のタッチパネルの製造方法。
6.前記銀と親和性の高い化合物が、含窒素有機化合物、含硫黄有機化合物及び含ハロゲン有機化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする第5項に記載のタッチパネルの製造方法。
7.前記銀薄膜電極が、蒸着法により形成することを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載のタッチパネルの製造方法。
本発明の上記手段により、電極パターンの形成精度が高く、耐久性及び視認性に優れたタッチパネルを製造することができるタッチパネルの製造方法を提供することができる。
本発明の上記目的効果を達成することができた発現機構・作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
すなわち、本発明の技術的特徴は、透明基板上に、銀を主成分とする銀薄膜電極を設けるとともに、透明基板と銀薄膜電極間に第1の中間層を形成することである。このような中間層、具体的には、中間層を、有機溶媒に対する可溶性を有し、かつ銀との親和性を有する有機化合物で構成することにより、その上に薄膜でかつ均質性の高い銀薄膜電極形成することができ、このような銀薄膜電極積層体を、フォトリソグラフィー法によりパターニングした後、有機溶媒を含有するエッチング液で、有機溶媒可溶性の中間層を除去することにより、その上部に形成されている10nmオーダーという極めて薄膜の銀薄膜電極膜も同時に除去することが可能となり、その結果、非常に細く透明性が高く、高導電性の電極パターンを、高精度で形成することができる。
加えて、中間層と銀薄膜電極のエッチングレートが同じになることにより、縦方向の電極太さとして、ほぼ同じサイズで維持でき、繰返し耐久性が向上し、ヘイズが低減すると推測している。また、銀薄膜電極の保護のために銀薄膜電極上にも、好ましくは前記中間層と同一組成の中間層B(第2の中間層)を形成した場合にも、有機溶媒含有エッチング液を用いることで一度に電極パターンの形成が可能であり、生産性を維持できる利点を有している。
タッチパネルに具備する透明電極の構成の一例を示す概略断面図 タッチパネルに具備する透明電極の構成で、2層の中間層を有する構成の概略断面図 透明電極に電極パターンをフォトリソグラフィー法で形成する一例を示す工程フロー図 電極パターンを有する透明電極対を具備したタッチパネルの構成の一例を示す斜視図 タッチパネルを構成する第1ユニットの透明電極1−1の電極パターンの一例を示す平面図 タッチパネルを構成する第2ユニットの透明電極1−2の電極パターンの一例を示す平面図 タッチパネルを構成する電極部分の一例を示す平面模式図 タッチパネルの構成の一例を示す概略断面図 本発明で好適に用いることができるタッチパネルの構成の一例を示す概略断面図 タッチパネルの構成の他の一例を示す概略断面図
本発明のタッチパネルの製造方法は、透明電極を具備したタッチパネルの製造方法であって、前記透明電極を、少なくとも透明基板上に、中間層と当該中間層に隣接して銀を主成分とする銀薄膜電極をこの順で形成する工程1と、形成した前記銀薄膜電極及び前記中間層を、フォトリソグラフィー法により、少なくとも有機溶媒を含有するエッチング液を用いて電極パターンを形成する工程2を経て製造することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項7に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、前記工程2で用いる有機溶媒として、エーテルアルコール、ケトン及びエステルから選ばれる少なくとも1種とすることにより、特に、中間層及び第2の中間層である中間層Bを効率よくエッチングすることができ、短絡や欠損の発生をより一層防止でき、更に高品質の電極パターンを形成することができる観点から好ましい。
また、銀薄膜電極上に、更に第2の中間層として、中間層Bを形成することにより、銀薄膜電極の保護効果を発現するとともに、透過率の低下を抑制することができる観点から好ましい。すなわち、最表面に銀薄膜電極が存在することにより、空気界面との屈折率差がやや高くなり、その結果、表面反射率の増大等により、透過率がやや低下する場合があり、それを防止する観点から、更に銀薄膜電極上に中間層Bを形成することがより視認性に優れたタッチパネルを得ることができる観点から好ましい態様である。
また、本発明に係る中間層及び中間層Bは、エッチング液を構成する有機溶媒に対し高い溶解性を備えた材料で構成することが、高品質の電極パターンを安定して形成することができる観点から好ましい。
更には、少なくとも第1層目である第1の中間層が銀と親和性の高い化合物により構成することが、当該中間層上に形成する銀薄膜電極が均一で、モトル等の形成を抑制することができる観点から好ましい。また、第2の中間層である中間層Bを設ける場合にも、その構成としては、生産効率等を考慮して、前記中間層と同一組成で構成されていることが好ましい。
また、銀と親和性の高い化合物が、含窒素有機化合物、含硫黄有機化合物及び含ハロゲン有機化合物から選ばれる少なくとも1種であることが、銀薄膜電極膜の均一性を実現することができるとともに、有機溶媒に対する溶解性も確保することができる観点から好ましい。
また、銀薄膜電極を蒸着法により形成することが、高品位の銀電極を形成することができる観点から好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、以下の説明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《タッチパネルの構成の概要》
本発明に係るタッチパネルは、投影型静電容量式のタッチパネルであり、後述する図3に示すように、透明基板11の一主面上に、第1ユニットを構成する透明電極1−1及び第2ユニットを構成する透明電極1−2がこの順に配置され、この上部が前面板13で覆われている構成を有している。なお、それぞれの構成要素の詳細については後述する。
《本発明のタッチパネルの製造方法の概要》
本発明のタッチパネルの製造方法は、透明電極を具備したタッチパネルの製造方法であって、前記透明電極を、少なくとも透明基板上に、中間層と当該中間層に隣接して銀を主成分とする銀薄膜電極をこの順で形成する工程1と、形成した前記銀薄膜電極及び前記中間層を、フォトリソグラフィー法により、少なくとも有機溶媒を含有するエッチング液を用いて電極パターンを形成する工程2を経て製造することを特徴とする。
《透明電極の作製方法》
本発明に係る透明電極は、透明基板上に、中間層と当該中間層に隣接して銀を主成分とする銀薄膜電極を有し、形成した当該銀薄膜電極を、フォトリソグラフィー法により、少なくとも有機溶媒を含有するエッチング液を用いて電極パターンを形成して作製することを特徴とする。
[透明電極の構成]
次いで、図1A及び図1Bを交えて、本発明に係るパターニング前の透明電極の概略構成について説明する。
図1Aに示す透明電極は、透明基板11上に、所定の層厚を有する中間層3を形成し、更にその上に薄膜の銀薄膜電極5が形成された構成を示してある。
また、図1Bに示す透明電極は、透明基板11上に、所定の層厚を有する第1の中間層3Aを形成し、その上に薄膜の銀薄膜電極5を形成し、更にその上に第2の中間層として中間層B(3B)を形成した構成である。このような構成とすることにより、銀薄膜電極5の耐擦性を向上することができ、好ましい態様の一つである。
[透明電極の構成要素]
〔透明基板〕
本発明に係る透明電極1の形成に適用可能な透明基板11としては、例えば、表示パネルの前面板を兼ねるものであっても良い。このような透明基板11としては、例えば、ガラス、石英、透明樹脂フィルム等を挙げることができる。
ガラスとしては、例えば、シリカガラス、ソーダ石灰シリカガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。これらのガラス材料の表面には、中間層3との密着性、耐久性、平滑性の観点から、必要に応じて、研磨等の物理的処理を施し、無機物又は有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜を形成してもよい。
透明樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)等のポリエステル、ポリエチレン(略称:PE)、ポリプロピレン(略称:PP)、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(略称:TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(略称:CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール(略称:PVA)、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート(略称:PC)、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド(略称:PI)、ポリエーテルスルホン(略称:PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート(略称:PMMA)、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物又は有機物より構成される被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されていてもよい。
このような被膜及びハイブリッド被膜の一例としては、ガスバリアー膜あるいはガスバリアー層が挙げられ、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(温度25±0.5℃、相対湿度90±2%)が0.01g/(m・24時間)以下のガスバリアー性を有するバリアー膜等であることが好ましい。さらには、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24時間・atm)以下、水蒸気透過度が1×10−5g/(m・24時間)以下の高ガスバリアー性を得ることができるガスバリアー膜であることが好ましい。
以上のようなガスバリアー膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの侵入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。さらに当該ガスバリアー膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層(有機層)の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
ガスバリアー膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載の大気圧プラズマ重合法によるものが好ましい。
〔中間層〕
本発明に係る中間層、具体的には、透明基板と薄膜の銀薄膜電極との間に形成される第1の中間層(単に中間層という。)と、薄膜の銀薄膜電極5上に形成される第2の中間層Bは、いずれも有機化合物で構成されていることが好ましく、更には有機溶媒を含むエッチング液で容易に溶解する材料で構成されていること、更には、少なくとも第1の中間層に関しては、その上に形成する銀薄膜電極を構成する銀原子の凝集等の発生を防止し、均一な銀薄膜を形成することができる材料で構成することが好ましい。このような銀原子の凝集等の発生を防止する材料は、第2の中間層Bの形成に適用してもよい。
このような有機化合物としては、銀と親和性の高い原子を含む有機化合物であることが好ましく、具体的には、含窒素有機化合物、含硫黄有機化合物及び含ハロゲン有機化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
(含窒素有機化合物)
含窒素有機化合物としては、芳香性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物が好ましく、更には、1分子中の当該窒素原子の比率が高いものが好ましい。
本発明でいう「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」とは、非共有電子対(孤立電子対ともいう。)を持つ窒素原子であって、不飽和環状化合物の芳香族性に、当該非共有電子対が必須要素として直接的に関与していない窒素原子をいう。すなわち、共役不飽和環構造(芳香環)上の非局在化したπ電子系に、当該非共有電子対が、化学構造式上、芳香性発現のために必須のものとして、関与していない窒素原子をいう。
また、本発明でいう「芳香族性」とは、π電子を持つ原子が環状に並んだ共役(共鳴)不飽和環構造において、当該環上の非局在化したπ電子系に含まれる電子の数が4n+2(n=0又は自然数)を満たすことをいう(いわゆるヒュッケル則)。
本発明においては、含窒素有機化合物として、窒素原子を含む芳香族複素環を用いることが好ましく、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、アザジベンゾフラン、アザジベンゾチオフェン、アザカルバゾール(カルバゾールの炭素原子が一つ以上窒素原子に置き換わったもの)、ベンズイミダゾール、フェナントロリン等が挙げられる。
本発明において、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する化合物の具体例としては、下記一般式(1A)で表される芳香族複素環化合物を挙げることができる。
Figure 2015072278
上記一般式(1A)において、E101〜E108は、各々C(R12)又は窒素原子を表し、E101〜E108のうち少なくとも一つは窒素原子である。また、一般式(1A)におけるR11、及び上記R12は、各々水素原子又は置換基を表す。
この置換基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基、アミノ基、ハロゲン原子、フッ化炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基、リン酸エステル基、亜リン酸エステル基、ホスホノ基等が挙げられる。
これらの置換基の一部は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
そのほか、アミン化合物や非芳香族複素環を用いてもよい。なお、本発明においては、上記で説明した化合物に限定されるものではない。
(含硫黄有機化合物)
本発明に適用可能な硫黄原子を含有する有機化合物としては、分子内にスルフィド結合(チオエーテル結合ともいう。)、ジスルフィド結合、メルカプト基、スルホン基、チオカルボニル結合等を有していればよく、特に、スルフィド結合、メルカプト基であることが好ましい。
具体的には、下記一般式(1)〜一般式(4)で表される含硫黄化合物を挙げることができる。
Figure 2015072278
Figure 2015072278
Figure 2015072278
Figure 2015072278
上記一般式(1)において、R及びRは、各々置換基を表す。
及びRで表される置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基、アミノ基、ハロゲン原子、フッ化炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基、リン酸エステル基、亜リン酸エステル基、ホスホノ基等が挙げられる。
上記一般式(2)において、R及びRは、置換基を表す。
及びRで表される置換基としては、上記R及びRで挙げたのと同様の置換基が挙げられる。
上記一般式(3)において、Rは、置換基を表す。
で表される置換基としては、上記R及びRで挙げたのと同様の置換基が挙げられる。
上記一般式(4)において、Rは、置換基を表す。
で表される置換基としては、上記R及びRで挙げたのと同様の置換基が挙げられる。
そのほか、含窒素非芳香族環を用いてもよい。また、1分子中の硫黄原子の比率が高い化合物がより好ましい。なお、本発明においては、上記で説明した化合物に限定されるものではない。
(含ハロゲン有機化合物)
本発明に係るハロゲン原子を有する有機化合物としては、少なくとも、ハロゲン原子と炭素原子とを含む化合物であり、その構造に特に制限はないが、下記一般式(A)で表されるハロゲン化アリール化合物が好ましい。
以下、本発明で好適に用いることができる一般式(A)で表されるハロゲン化アリール化合物について説明する。
一般式(A)
R−Ar−〔(L)−X〕
上記一般式(A)において、Arは芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。Xはハロゲン原子を表し、mは1〜5の整数である。Lは2価の連結基を表し、nは0又は1を表す。Rは、置環基を表す。
一般式(A)において、Arで表される芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、あるいはアリール基等ともいう。)としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等を挙げることができる。
また、Arで表される芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等を挙げることができる。
本発明においては、Arとしては、芳香族炭化水素基であることが好ましく、更に好ましくはフェニル基である。
Xで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができるが、その中でも、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であることが好ましく、更に好ましくは、臭素原子又はヨウ素原子である。また、1分子中におけるハロゲン原子の比率が高い化合物が好ましい。
mは1〜5の整数を表すが、好ましくは1又は2である。
また、上記各有機化合物は、対称軸や対称点を有していても、有していなくてもよいが、好ましくは対称軸や対称点を有していていない有機化合物である。
上記説明した含窒素有機化合物、含硫黄有機化合物及び含ハロゲン有機化合物の詳細な内容、例示化合物、合成方法等については、例えば、国際公開第2013/073356号、国際公開第2013/099867号、国際公開第2013/105569号、国際公開第2013/122150号、国際公開第2013/122131号、国際公開第2013/137234号、国際公開第2013/141057号、国際公開第2013/141097号、国際公開第2013/161639号、国際公開第2013/161602号、国際公開第2013/161603号、国際公開第2013/161750号、国際公開第2013/162004号、特開2013−157089号公報、特開2013−229218号公報等の記載を参照することができる。
(銀含有化合物)
また、本発明に係る中間層には、銀原子を有する有機化合物も用いることができる。
本発明に適用可能な銀原子を有する有機化合物としては、その構造に特に制限はないが、下記一般式(S)で表される化合物が好ましい。
以下、本発明に好適に用いることができる一般式(S)で表される銀化合物について説明する。
一般式(S)
Ag−Y(−R)
上記一般式(S)において、Yは1価の銀と塩を形成する基を表し、Rは、有機の置換基を表す。nは0又は1を表す。
一般式(S)において、Yで表される基としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、イオウ原子又はOC(=O)が好ましい。Rが表す有機の置換基は、他の銀原子と結合していてもよい。
Yが、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す場合は、nは0であり、Yが、イオウ原子又はOC(=O)を表す場合は、nは1である。
Rで表される有機の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルキニル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基等が挙げられる。
Rで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基等を挙げることができる。
Rで表されるシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
Rで表されるアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロパルギル基、ブチニル基等を挙げることができる。
Rで表される芳香族炭化水素環基(アリール基、あるいは芳香族炭化水素基等ともいう。)としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等を挙げることができる。
Rで表される芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等を挙げることができる。
Rで表される非芳香族複素環基としては、例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等を挙げることができる。
上記アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキレン基、アリーレン基及びヘテロアリーレン基は、更に置換基により置換されていてもよい。当該置換基としては、上記アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基等が挙げられる。
以下に、本発明に適用可能な一般式(S)で表される銀原子を含有する有機化合物の具体的化合物例を示すが、本発明はこれら例示する化合物に限定されるものではない。
Figure 2015072278
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本発明に係る一般式(S)で表される銀化合物は、従来公知の合成方法に準じて、容易に合成することができる。
〔銀薄膜電極〕
本発明に係る銀薄膜電極5は、銀を主成分として構成されている層であって、第1の中間層3又は3A上に形成される。ただし、本発明でいう銀薄膜電極5は、均一の銀原子により構成されている薄膜電極であり、繊維状の銀ナノワイヤーが分散独立して形成しているような構成の銀電極は除く。本発明に係る銀薄膜電極5の成膜方法としては、例えば、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。上記成膜方法のなかでも、蒸着法が好ましく適用される。また、銀薄膜電極5は、中間層3上に成膜されることにより、銀薄膜電極薄膜を成膜した後の高温アニール処理(例えば、150℃以上の加熱プロセス)等がなくても十分に導電性を有することができるが、必要に応じて、成膜後に高温アニール処理等を施しても良い。
本発明でいう銀を主成分として構成されている層とは、前述のとおり、銀薄膜電極5中の銀の含有量が60質量%以上であることをいい、好ましくは銀の含有量が80質量%以上であり、より好ましくは銀の含有量が90質量%以上であり、特に好ましくは銀の含有量が98質量%以上である。
銀薄膜電極5は、銀単独で形成する、あるいは本発明の目的効果を損なわない範囲で、上記銀の含有量の範囲内において、銀と他の金属原子との合金として構成されていてもよい。そのような合金としては、例えば、銀−マグネシウム(Ag−Mg)、銀−銅(Ag−Cu)、銀−パラジウム(Ag−Pd)、銀−パラジウム−銅(Ag−Pd−Cu)、銀−インジウム(Ag−In)などが挙げられる。
本発明に係る銀薄膜電極5においては、銀を主成分として構成されている層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であっても良い。
本発明に係る銀薄膜電極5において、薄膜とは電極の膜厚が5〜20nmの範囲内にあることをいい、更に好ましくは5〜10nmの範囲内である。膜厚が5nm以上であれば、層の導電性が十分になるため好ましい。また、膜厚が20nm以下であれば、層の吸収成分又は反射成分が少なくなり、透明電極の透過率が向上するためより好ましい。
[電極パターンを有する透明電極の形成方法]
本発明に係る透明電極においては、上記のように透明基板11上に、中間層3及び銀薄膜電極5を積層した後、フォトリソグラフィー法により、少なくとも有機溶媒を含有するエッチング液を用いて、例えば、図3〜図5に示すような電極パターンを形成することを特徴とする。
(エッチング液:有機溶媒)
本発明に係るエッチング液は、少なくとも有機溶媒を含有していることを特徴とするが、有機溶媒として、中間層に対する溶解能を備えた有機溶媒であることが好ましく、より好ましくは、エーテルアルコール、ケトン及びエステルから選ばれる少なくとも1種である。
〈エーテルアルコール〉
本発明に係るエッチング液に適用可能なエーテルアルコールとしては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができ、その中でも、ジエチレングリコールが好ましい。
〈ケトン〉
本発明に係るエッチング液に適用可能なケトンとしては、例えば、アセトン、ジイソプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン等を挙げることができるが、その中でも、アセトン、メチルエチルケトンが好ましい。
〈エステル〉
本発明に係るエッチング液に適用可能なエステルとしては、例えば、ギ酸イソアミル、ギ酸イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、ギ酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピル、酢酸メチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等を挙げることができ、その中でも、酢酸エチルが好ましい。
〈その他のエッチング液〉
また、本発明に係るエッチング液においては、有機溶媒とともに、銀薄膜電極膜をより完全に溶解して除去する目的で、除去剤として銀溶剤を併用することもできる。
本発明に用いられる銀薄膜電極膜の除去剤としては、銀薄膜電極を溶解して除去することができれば特に限定されないが、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像処理に使用する漂白定着液や硫酸及び硫酸第二鉄の混合液等を用いることができる。
漂白定着液において用いられる漂白剤としては、公知の漂白剤も用いることができ、特に鉄(III)の有機錯塩(例えば、アミノポリカルボン酸類の錯塩)、又はクエン酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸、過硫酸塩、過酸化水素等が好ましい。
また、第二鉄イオン錯塩は錯塩の形で使用してもよいし、第二鉄塩、例えば、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、リン酸第二鉄等とアミノポリカルボン酸等のキレート剤とを用いて溶液中で第二鉄イオン錯塩を形成させてもよい。
(製造工程)
以下、フォトリソグラフィー法による電極パターンの形成方法について説明する。
本発明に適用するフォトリソグラフィー法とは、硬化性樹脂等のレジスト塗布、予備加熱、露光、現像(未硬化樹脂の除去)、リンス、有機溶媒を含むエッチング液によるエッチング処理、レジスト剥離の各工程を経ることにより、銀薄膜電極を、図3〜図5に示すような所望のパターンに加工する方法である。
本発明では、従来公知の一般的なフォトリソグラフィー法を適宜利用することができる。例えば、レジストとしてはポジ型又はネガ型のいずれのレジストでも使用可能である。また、レジスト塗布後、必要に応じて予備加熱又はプリベークを実施することができる。露光に際しては、所期のパターンを有するパターンマスクを配置し、その上から、用いたレジストに適合する波長の光、一般には紫外線や電子線等を照射すればよい。露光後、用いたレジストに適合する現像液で現像を行う。現像後、水等のリンス液で現像を止めるとともに洗浄を行うことで、レジストパターンが形成される。次いで、形成されたレジストパターンを、必要に応じて前処理又はポストベークを実施してから、有機溶媒を含むエッチング液によるエッチングで、レジストで保護されていない領域の中間層の溶解及び銀薄膜電極の除去を行う。エッチング後、残留するレジストを剥離することによって、所期のパターンを有する透明電極が得られる。このように、本発明に適用されるフォトリソグラフィー法は、当業者に一般に認識されている方法であり、その具体的な適用態様は当業者であれば所期の目的に応じて容易に選定することができる。
次いで、図を交えて、本発明に適用可能な電極パターンの形成方法について説明する。
図2は、透明電極に電極パターンをフォトリソグラフィー法で形成する一例を示す工程フロー図である。
第1ステップとして、図2の(A)で示すように、透明基板11上に第1の中間層である中間層3及び銀薄膜電極5を積層して、未加工の透明電極1を作製する。
次いで、図2の(B)で示すレジスト膜の形成工程で、銀薄膜電極5上に感光性樹脂組成物等から構成されるレジスト膜6を均一に塗設する。感光性樹脂組成物としては、ネガ型感光性樹脂組成物あるいはポジ型感光性樹脂組成物を用いることができる。
塗布方法としては、マイクログラビアコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンフローコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、スリットコーティングなどの公知の方法によって銀薄膜電極上に塗布し、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置でプリベークすることができる。プリベークは、例えば、ホットプレート等を用いて、50〜150℃の温度範囲で、30秒〜30分間行うことができる。
次いで、図2の(C)に示す露光工程で、所定の電極パターンにより作製したマスク7を介して、ステッパー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)、パラレルライトマスクアライナーなどの露光機8を用いて、10〜4000J/m程度(波長365nm露光量換算)の光を、次工程で除去するレジスト膜6Aに照射する。露光光源に制限はなく、紫外線、電子線や、KrF(波長248nm)レーザー、ArF(波長193nm)レーザーなどを用いることができる。
次いで、図2の(D)に示す現像工程で、露光済みの透明電極1を、現像液に浸漬して、光照射した領域のレジスト膜6Aを溶解する。
現像方法としては、シャワー、ディッピング、パドルなどの方法で現像液に5秒〜10分間浸漬することが好ましい。現像液(光照射したレジスト膜の溶解液)としては、公知のアルカリ現像液を用いることができる。具体例としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩などの無機アルカリ、2−ジエチルアミノエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、コリンなどの4級アンモニウム塩を1種あるいは2種以上含む水溶液などが挙げられる。現像後、水でリンスすることが好ましく、続いて50〜150℃の温度範囲内で乾燥ベークを行ってもよい。
次いで、図2の(E)に示すように、本発明の特徴であるエッチング液9を用いたエッチング処理を行う。
具体的には、例えば、エーテルアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒を含むエッチング液に、透明電極1を浸漬し、レジスト膜6で保護されていない領域の中間層3を溶解するとともに及び中間層に保持されている薄膜の銀薄膜電極5も同時に除去することにより、所定の電極パターンを形成する。
最後に、図2の(F)に示すように、レジスト膜剥離液、例えば、ナガセケムテックス社製のN−300に浸漬して、銀薄膜電極5上のレジスト膜6を除去して、電極パターンを有する透明電極1を作製した。
《タッチパネルの構成》
次いで、本発明のタッチパネルの製造方法により作製されるタッチパネルの構成について、代表的な実施形態の詳細について説明する。
〔実施形態1:2枚の透明基板上に2層の透明電極を設けた構成〕
図3は、図1及び図2で示したタッチパネル用の透明電極を用い、後述の図7で示す構成よりなるタッチパネル21aの概略構成を示す斜視図である。また、図4A及び図4Bは、タッチパネル21の電極構成を示す2枚である下部に配置される透明電極1−1(図4A)及び上部に配置される透明電極1−2(図4B)の平面図である。本発明では、図4Aに示すように、透明基板11−1上に透明電極1−1を有する構成を第1ユニットと称し、図4Bに示すように、透明基板11−2上に透明電極1−2を有する構成を第2ユニットと称す。
これらの図に示すタッチパネル21は、投影型静電容量式のタッチパネルである。このタッチパネル21は、透明基板11−1及び11−2の一主面上に、第1の透明電極1−1及び第2の透明電極1−2がこの順に配置され、この上部が前面板13で覆われている。
第1ユニットの透明電極1−1及び第2ユニットの透明電極1−2は、それぞれが、図1及び図2を用いて説明したタッチパネル用の電極パターンが形成された透明電極1である。したがって、第1ユニットの透明電極1−1は、第1ユニットの中間層3−1と第1ユニットの銀薄膜電極5−1とがこの順に積層された構成である。同様に第2ユニットの透明電極1−2は、第2ユニットの中間層3−2と第2ユニットの銀薄膜電極5−2とがこの順に積層された構成である。
以下、タッチパネル21を構成する主要各層の詳細を、透明基板11−1、11−2側から順に説明する。なお、ここでは、図3及び図4A、図4Bとともに、図5の電極部分の平面模式図及び、そのA−A断面に相当する図6の断面模式図を用いて説明を行う。また、図1A、図1B及び図2で説明したと同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(透明基板11)
図3及び図5に示す透明基板11−1及び11−2は、先のタッチパネル用の透明電極1で説明した透明基板11である。
(第1ユニットの中間層3−1(第1ユニットの透明電極1−1の構成要素))
第1ユニットの中間層3−1は、先のタッチパネル用の透明電極1で説明した中間層3であり、透明基板11−1上に成膜されている。ここでは一例として、第1ユニットの中間層3−1は、透明基板11−1に銀薄膜電極5−1と同一形状にパターニングされている。
(第1ユニットの銀薄膜電極5−1(第1ユニットの透明電極1−1の構成要素))
第1ユニットの銀薄膜電極5−1は、先のタッチパネル用の透明電極で説明した銀薄膜電極5であり、第1ユニットの中間層3−1上においてパターニングされた複数のx電極パターン5x1、5x2、(中略)等として構成されている。各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等は、それぞれがx方向に延設された状態で、互いに間隔を保って並列に配置されている。これらの各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等は、例えば、x方向に配列されたひし形のパターン部分を、ひし形の頂点付近において、x方向に直線状に連結した形状であることとする。
また、各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等には、それぞれの端部にx配線17xが接続されている。これらのx配線17xは、透明基板11−1上における周縁領域において配線され、透明基板11−1の端縁に引き出されている。このような各x配線17xは、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等と同様に、銀を主成分とする第1ユニットの銀薄膜電極5−1として構成されたものである。
(第2ユニットの中間層3−2(第2ユニットの透明電極1−2の構成要素))
第2ユニットの中間層3−2は、先のタッチパネル用の透明電極1で説明した中間層3であり、透明基板11−2上に成膜されていて、第2ユニットの銀薄膜電極5−2と同一形状にパターニングされている。
(第2ユニットの銀薄膜電極5−2(第2ユニットの透明電極1−2の構成要素))
第2ユニットの銀薄膜電極5−2は、先のタッチパネル用の透明電極1で説明した銀薄膜電極5であり、第2ユニットの中間層3−2上においてパターニングされた複数のy電極パターン5y1、5y2、(中略)等として構成されている。各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、それぞれがx電極パターン5x1、5x2、(中略)等と直交するy方向に延設された状態で、互いに間隔を保って並列に配置されている。これらの各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、例えば、y方向に配列されたひし形のパターン部分を、ひし形の頂点付近においてy方向に直線状に連結した形状であることとする。
ここで、図5に示すように、各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等を構成するひし形のパターン部分は、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等を形成するひし形のパターン部分に対して平面視的に重なることのない位置に配置され、重なることのない範囲でできるだけ大きな範囲を占める形状となっている。これにより、透明基板11−2の中央部の領域においては、第1ユニットの銀薄膜電極5−1で構成されたx電極パターン5x1、5x2、(中略)等及び第2ユニットの銀薄膜電極5−2で構成されたy電極パターン5y1、5y2、(中略)等が視認され難い構成となっている。
各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、ひし形の電極パターンの連結部分においてのみ、各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等と積層される。これらの積層部分には、第2ユニットの中間層3−2が挟持され、これによってx電極パターン5x1、5x2、(中略)等とy電極パターン5y1、5y2、(中略)等との絶縁性が確保された状態となっている。
また、各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等には、それぞれの端部にy配線17yが接続されている。これらのy配線17yは、透明基板11−2上における周縁領域において配線され、x配線17xと並ぶように透明基板11−2の端縁に引き出されている。このような各y配線17yは、y電極パターン5y1、5y2、(中略)等と同様に、銀を主成分とする第2ユニットの銀薄膜電極5−2として構成されたものである。
なお、透明基板11−2の端縁に引き出されたx配線17x及びy配線17yには、フレキシブルプリント基板などが接続される構成となっている。
(前面板13)
図3及び図6に図示した前面板13は、タッチパネル21において入力位置に対応する部分が押圧される板材である。このような前面板13は、光透過性を有する板材であって、透明基板11と同様のものが用いられる。また、前面板13は、必要に応じた光学特性を備えた材料を選択して用いても良い。このような前面板13は、例えば、接着剤15(図6参照。)によって第2ユニットの透明電極1−2側に張り合わされていることとする。この接着剤15は、光透過性を有するものであれば、特に材料が限定されることはない。
また、この前面板13には、透明基板11−1及び11−2の周縁を覆う遮光膜が設けられ、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等から引き出されたx配線17x、及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等から引き出されたy配線17yが、前面板13側から視認されることを防止している。
(タッチパネルの動作)
以上のようなタッチパネル21を動作させる場合、x配線17x及びy配線17yに接続させたフレキシブルプリント基板などから、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等に対して電圧を印加しておく。この状態で、前面板13の表面に指又はタッチペンが触れると、タッチパネル21内に存在する各部の容量が変化し、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等の電圧の変化となって現れる。この変化は、指又はタッチペンが触れた位置からの距離によって異なり、指又はタッチペンが触れた位置で最も大きくなる。このため、電圧の変化が最大となる、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等でアドレスされた位置が、指又はタッチペンが触れた位置として検出される。
(タッチパネルの効果)
以上のようなタッチパネルは、2層の透明電極ユニットである1−1及び1−2を、先に説明した光透過性とともに充分な導電性を備えたタッチパネル用の透明電極を用いている。これにより、下地の表示画像の視認性を良好に保ちつつ、タッチパネル用の透明電極を大型化した際の電圧降下を抑えることができ、タッチパネル21の大型化をすることが可能となる。
特に、このタッチパネル21は、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びこれに直交して配置された電極パターン5y1、5y2、(中略)等を有する投影型静電容量式である。このため、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等には、高い導電性が要求される。しかしながら、これらのx電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、先に説明したタッチパネル用透明電極の電極層5であるため、導電性を維持しつつ薄膜化が可能である。したがって、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等自体が視認され難くなり、タッチパネル21を介しての下地の表示画像の視認性を劣化させることをも防止できる。
図7は、実施形態のタッチパネルで、本発明で特に好ましく適用することができるタッチパネルの構成を説明するための断面模式図であり、図5に示したA−A断面に相当する図である。この図に示すタッチパネル21aは、2枚の透明基板11−1及び11−2の一主面上に、第1ユニットの透明電極1−1及び第2ユニットの透明電極1−2を設けた構成であり、それ以外の構成は先に説明した実施形態1と同様である。このため、先の実施形態1のタッチパネルと同様の構成には同様の符号を付し、重複する説明は省略する。
すなわち、図7に示す変形例のタッチパネル21aは、第1ユニットの透明電極1−1が設けられた第1ユニットの透明基板11−1と、第2ユニットの透明電極1−2が設けられた第2ユニットの透明基板11−2とを有する。これらの透明基板11−1及び11−2は、透明電極1−1及び1−2の形成面を同一方向に向け、第1ユニットの透明基板11−1における第1ユニットの透明電極1−1の形成面上に、第2ユニットの透明基板11−2が位置するように重ねて配置されている。
第1ユニットの透明基板11−1及び第2ユニットの透明基板11−2は、先のタッチパネル用の透明電極で説明したと同様の透明基板11である。また、第1ユニットの透明電極1−1及び第2ユニットの透明電極1−2は、それぞれが先の実施形態1と同様の構成であり、それぞれが透明基板11−1及び11−2上に、中間層3−1及び3−2と、銀薄膜電極5−1及び5−2をこの順に積層した構成となっている。
さらに各銀薄膜電極5−1及び5−2の構成も、先の実施形態1と同様であり、第1ユニットの銀薄膜電極5−1で構成されたx電極パターン5x1、5x2、(中略)等、及び第2ユニットの銀薄膜電極5−2で構成されたy電極パターン5y1、5y2、(中略)等が視認され難いパターン構成及び配置構成となっている。ただし、第1ユニットの銀薄膜電極5−1と第2ユニットの銀薄膜電極5−2との間は、第2ユニットの透明基板11−2と第2ユニットの中間層3−2とによって絶縁性が確保された状態となっている。
また、積層された第1ユニットの透明基板11−1と第2ユニットの透明基板11−2との間は、ここでの図示を省略した接着剤によって貼り合せられていることとし、この接着剤によっても、第1ユニットの銀薄膜電極5−1と第2のユニットの銀薄膜電極5−2とが絶縁される。
以上のようなタッチパネル21aであっても、先の実施形態1のタッチパネルと同様に動作させることができる。
(タッチパネル21aの効果)
図7に示すような構成のタッチパネル21aであっても、先に説明した光透過性とともに充分な導電性を備えたタッチパネル用透明電極を用いたことにより、先に説明した実施形態のタッチパネルと同様に大型化が可能であり、タッチパネル21aを介しての下地の表示画像の視認性を劣化させることをも防止できる。
〔実施形態2:透明基板上に2層の透明電極を設けた構成〕
図6は、実施形態のタッチパネルの他の一例を説明するための断面模式図であり、図6に示すタッチパネル21は、透明基板11上に第1ユニットの透明電極1−1及び第2ユニットの透明電極1−2を設けた構成であり、それ以外の構成は先の実施形態1と同様である。このため、先の実施形態のタッチパネルと同様の構成には同様の符号を付し、重複する説明は省略する。
〔実施形態3:透明基板の両面に1層ずつ透明電極を設けた構成〕
図8は、実施形態のタッチパネルの他の一例を説明するための断面模式図であり、図5のA−A断面に相当する図である。図8に示すタッチパネル21bは、透明基板11の両面に第1ユニットの透明電極1−1及び第2ユニットの透明電極1−2を設けた構成であり、それ以外の構成は先の実施形態1及び2と同様である。このため、先の実施形態のタッチパネルと同様の構成には同様の符号を付し、重複する説明は省略する。
すなわち、実施形態3で示すタッチパネル21bは、一枚の透明基板11と、透明基板11の一主面側に設けられた第1ユニットの透明電極1−1と、透明基板11の他主面側に設けられた第2ユニットの透明電極1−2とを有する。このうち第1ユニットの透明電極1−1は、中間層3−1及び銀薄膜電極5−1がこの順に透明基板11の一主面上に積層された構成である。一方、第2ユニットの透明電極1−2は、中間層3−2及び銀薄膜電極5−2がこの順に透明基板11の他主面上に積層された構成である。
透明基板11は、先のタッチパネル用の透明電極で説明したと同様のものである。また第1ユニットの透明電極1−1及び第2ユニットの透明電極1−2を構成する上記の各層は、先の実施形態と同様のものである。
さらに各銀薄膜電極5−1及び5−2の構成も、先の実施形態と同様であり、第1ユニットの銀薄膜電極5−1で構成されたx電極パターン5x1、5x2、(中略)等及び第2ユニットの銀薄膜電極5−2で構成されたy電極パターン5y1、5y2、(中略)等が視認され難いパターン構成及び配置構成となっている。ただし、第1ユニットの銀薄膜電極5−1と第2ユニットの銀薄膜電極5−2との間は、第1ユニットの中間層3−1、透明基板11、及び第2ユニットの中間層3−2によって絶縁性が確保された状態となっている。
以上のようなタッチパネル21bであっても、先の実施形態のタッチパネルと同様に動作させることができる。
(タッチパネル21bの効果)
このような変形例2のタッチパネル21bあっても、先に説明した光透過性とともに充分な導電性を備えたタッチパネル用透明電極を用いたことにより、先に説明した実施形態のタッチパネルと同様に大型化が可能であり、タッチパネル21bを介しての下地の表示画像の視認性を劣化させることをも防止できる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
《タッチパネルの作製》
〔タッチパネル1の作製〕
(透明電極1の作製)
〈透明基板の準備〉
面積が5cm×10cmで、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(略称:PETフィルム)を準備し、これを透明基板として用いた。
〈中間層及び銀薄膜電極の形成〉
上記透明基板を市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定した。次いで、下記中間層形成用の有機化合物として化合物1を第1のタンタル製抵抗加熱ボートに入れ、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、第2のタングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
この状態で、先ず、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、化合物1の入った加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒で基材上に膜厚25nmの化合物1からなる第1の中間層を設けた。
次に、第1の中間層まで成膜した透明基板を真空のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒で膜厚10nmの銀からなる銀薄膜電極を形成し、中間層とこの上部に銀薄膜電極を積層した透明電極を作製した。
〈透明電極の電極パターニング〉
次いで、上記作製した透明電極を、図2の(A)〜(F)に例示したフォトリソグラフィー法に従って、図4のA及び図4Bに示す2種の電極パターン(第1ユニットの透明電極1−1及び第2ユニットの透明電極1−2)を作製した。なお、カッコ内の数字は、各図面に記載している符号番号を表す。
上記方法に従って透明基板(11)上に第1の中間層(3)及び銀薄膜電極(5)を積層した透明電極(1)について、はじめに、図2の(B)に示すレジスト膜形成工程で、銀薄膜電極(5)上にレジスト膜(6)として、ポジ型フォトレジスト(東京応化工業(株)製「OFPR−800」)を、ワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で20分間のプリベークを行って、膜厚1.1μmのレジスト膜(6)を形成した。
次いで、2枚の透明電極に対し、各々図2の(C)で示す電極パターン形成工程で、パラレルライトマスクアライナー(キヤノン社製 商品名:PLA−501F)を用い、超高圧水銀灯を、図4A又は図4Bに示す2種の電極パターンとなるように電極パターン用のマスク(7)を介して、各々の透明電極に露光した。
次いで、図2の(D)で示す現像工程で、自動現像装置を用いて、2.38質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用い、25℃で90秒間のシャワー現像を行った後、水で30秒間リンスし、不要のレジスト膜を除去した。
次いで、図2の(E)で示すエッチング工程で、エッチング液(9)として、25℃のメチルエチルケトン(略称:MEK)を用い、MEKに80秒間浸漬して、露出している中間層及び銀薄膜電極を除去して、電極パターンを形成した。
最後に、図2の(F)で示すレジスト膜剥離工程として、50℃の剥離液(ナガセケムテックス(株)製 商品名;N−300)で120秒処理することでレジスト膜(6)を除去して図4Aで示す電極パターンを有する第1ユニットの透明電極(1−1)と、図4Bに示す電極パターンを有する第2ユニットの透明電極(1−2)を作製した。
(タッチパネルの作製)
上記作製した透明電極(1−1)と透明電極(1−2)を、図5及び図7に示す構成で積層して、図3に示す構成のタッチパネル1を作製した。
〔タッチパネル2〜6の作製〕
上記タッチパネル1の作製において、第1の中間層を構成する有機化合物として、化合物1に代えて、表1に記載のようにそれぞれ化合物2〜6を用いた以外は同様にして、タッチパネル2〜6を作製した。
〔タッチパネル7〜12の作製〕
上記タッチパネル3の作製において、エッチング液で用いる有機溶媒を、メチルエチルケトンに代えて、表1に記載した各有機溶媒を用いた以外は同様にして、タッチパネル7〜12を作製した。
〔タッチパネル13の作製〕
上記タッチパネル3の作製において、銀薄膜電極(5)の上に、更に、図1Bで示すように、同一の構成で第2の中間層(3B)を更に積層した以外は同様にして、タッチパネル13を作製した。
〔タッチパネル14の作製〕
上記タッチパネル3の作製において、下記に示す組成のエッチング液を用いた以外は同様にして、タッチパネル14を作製した。
(エッチング液)
ジエチレングリコール(略称:DEG) 40質量%
硫酸第二鉄 10質量%
硫酸 5質量%
純水 45質量%
〔タッチパネル15の作製〕
上記タッチパネル3の作製において、下記の方法に従って銀ナノワーヤーを用いて形成した以外は同様にして、タッチパネル15を作製した。
(銀ナノワイヤーによる透明電極の作製)
Adv.Mater.,2002,14,833〜837に記載の方法を参考に、PVP K30(分子量5万;ISP社製)を利用して、平均短径75nm、平均長さ35μmの銀ナノワイヤーを調製し、限外濾過膜を用いて銀ナノワイヤーを濾別、水洗処理した後、エタノール中に再分散し、バインダーとしてヒドロキシプロピルメチルセルロースを銀に対し25質量%加え、銀ナノワイヤー分散液を調製した。
次いで、調製した銀ナノワイヤー分散液を、前記透明基板(11)上に、銀ナノワイヤーの目付け量が0.05g/mとなるように、銀ナノワイヤー分散液を、スピンコーターを用いて塗布し、乾燥させた。続いて、銀ナノワイヤーの塗布層にカレンダー処理を施した後、公知のフォトリソグラフィー法により、図4A又は図4Bに示す2種の電極パターンを形成した。
〔タッチパネル16の作製〕
上記タッチパネル3の作製において、下記に示す組成のエッチング液を用いた以外は同様にして、タッチパネル16を作製した。
(エッチング液)
硫酸第二鉄 10質量%
硫酸 5質量%
純水 85質量%
〔タッチパネル17の作製〕
上記タッチパネル3の作製において、第1の中間層(3)の形成を除いた以外は同様にして、タッチパネル17を作製した。
上記作製した各タッチパネルの構成を、表1に示す。
なお、表1に略称あるいは符号で記載した項目の詳細は、以下のとおりである。
*1:硫酸第二鉄+硫酸(銀薄膜電極の漂白溶解液)
〈中間層:有機化合物〉
Figure 2015072278
〈エッチング液:有機溶媒〉
MEK:メチルエチルケトン
DEG:ジエチレングリコール
EGME:エチレングリコールモノメチルエーテル
《タッチパネルの評価》
上記作製した各タッチパネル及び構成する透明電極について、下記の各評価を行った。
〔電極パターンの形成性〕
作製した図4Aの第1ユニットの電極パターンを形成した透明電極(1−1)50枚と、図4Bの第2ユニットの電極パターンを形成した透明電極(1−2)50枚について、通電性及び絶縁性の評価を行い、電極パターンの形成精度を評価した。
図4Aに示す第1ユニットの電極パターン(横:5列、電極パターン数:5 5x1〜5x10)に対し、はじめに横列の通電性を測定した。横列の左端の電極パターン部と右端の電極パターン部にテスターの端子をあて、通電の有無を確認した。通電が確認されれば「合格」、断線が発生し、通電が確認されなければ「不合格」とし、同様にして縦10列の通電性を確認した。次いで、隣接する列、例えば、5x1と5x2にテスター端子をあて、各列間の絶縁性を確認した。通電が無ければ「合格」、短絡等が発生し、通電していれば「不合格」とし、同様にして隣接する各列間の絶縁性を確認した。
上記の評価を、図4Aに示す第1ユニットの電極パターンを有する透明電極(1−1)50枚について評価した。
次いで、図4Bに示す第2ユニットの電極パターン(縦:6列、電極パターン数:10 5y1〜5y6)についても、上記と同様の方法で通電性の評価を、透明電極(1−2)の50枚について行った。
上記通電性及び絶縁性の評価を行った透明電極100枚のうち、電極パターンの全てが「合格」であった枚数を計測し、下記の評価基準に則り電極パターンの形成性を評価した。○であれば、電極パターン形成時のエッチングの精度が高いことを表す。
○:透明電極100枚全てで、導電性あるいは通電性が確認され、全て合格品で、生産効率(歩留り)に優れている
△:透明電極100枚のうち、1〜3枚の範囲で不合格品が発生し、生産効率(歩留り)が若干低い
×:透明電極100枚のうち、4〜10枚の範囲で不合格品が発生し、生産効率(歩留り)が悪い
××:透明電極100枚のうち、11枚以上で不合格品が発生し、エッチング加工精度が低く、生産効率(歩留り)も極めて悪い
〔パネル表示性の評価〕
各タッチパネルの100ヶ所について指触操作を行い、誤操作が無く、正確に表示(検知)した回数を測定し、下記の基準に従って、パネル表示性を判定した。
5:100回全てで、正確に表示した
4:100回の操作のうち、1回だけ誤表示が発生したが、良好な表示性である
3:100回の操作のうち、2回の誤表示が発生した
2:100回の操作のうち、3〜5回誤表示が発生した
1:100回の操作のうち、6回以上の誤表示が発生した
〔タッチパネルの耐久性の評価〕
各タッチパネルについて、タッチパネル研究所製の高荷重打鍵試験機を使用し、シリコーンゴム(曲率半径8cm)を用い、室温で荷重750g、打鍵速度10Hzで、1万回の打鍵耐久操作を行った。
次いで、打鍵試験後のタッチパネルについて、上記パネル表示性の評価と同様の方法で100ヶ所の指触操作を行い、下記の基準に従って、タッチパネルの耐久性を評価した。
5:打鍵試験前に対する打鍵試験後の誤表示発生回数の増加が、1回以下である
4:打鍵試験前に対する打鍵試験後の誤表示発生回数の増加が、2〜3回である
3:打鍵試験前に対する打鍵試験後の誤表示発生回数の増加が、4〜5回である
2:打鍵試験前に対する打鍵試験後の誤表示発生回数の増加が、6〜10回である
1:打鍵試験前に対する打鍵試験後の誤表示発生回数の増加が、11回以上である
〔視認性の評価〕
各作製した透明電極の下部に、文字及び図形パターン画像を重ね合わせて配置し、文字及び図形パターン画像の見やすさを目視観察して、下記の基準に従って視認性を評価した。
5:文字及び図形パターン画像が、極めて鮮明に観察され、優れた視認性である
4:文字及び図形パターン画像が、鮮明に観察され、良好な視認性である
3:文字及び図形パターン画像が、判読可能であり、実用上許容される視認性である
2:文字及び図形パターン画像がやや不鮮明であり、実用上問題となる品質である
1:文字及び図形パターン画像がかなり不鮮明であり、実用に耐えない品質である
以上により得られた各評価結果を、表1に示す。
Figure 2015072278
表1に記載の結果より明らかなように、本発明に係る有機溶媒を含むエッチング液を用いて電極パターンを作製した透明電極及びタッチパネルは、比較例に対し、電極パターンの形成精度が高く、タッチパネルの操作性、耐久性及び視認性に優れていることが分かる。
本発明のタッチパネルの製造方法により製造したタッチパネルは、電極パターンの形成精度が高く、タッチパネルの操作性、耐久性及び視認性に優れた特性を有し、投影型静電容量方式を用いたスマートフォンなどに好適に利用できる。
1 透明電極
1−1 第1ユニットの透明電極
1−2 第2ユニットの透明電極
3 中間層
3A 第1の中間層
3−1 第1ユニットの中間層
3B 第2の中間層
3−2 第2ユニットの中間層
5 銀薄膜電極
5−1 第1ユニットの銀薄膜電極
5−2 第2ユニットの銀薄膜電極
5x1、5x2、5x3等 x電極パターン
5y1,5y2、5y3等 y電極パターン
6 レジスト膜
7 マスク
8 露光機
9 エッチング液
11 透明基板
11−1 第1ユニットの透明基材
11−2 第2ユニットの透明基材
13 前面板
15 接着剤
17、17x,17y 配線
21、21a タッチパネル

Claims (7)

  1. 透明電極を具備したタッチパネルの製造方法であって、
    前記透明電極を、少なくとも下記工程1及び工程2を経て製造することを特徴とするタッチパネルの製造方法。
    工程1:透明基板上に、中間層と当該中間層に隣接して銀を主成分とする銀薄膜電極をこの順で形成する工程
    工程2:形成した前記銀薄膜電極及び前記中間層を、フォトリソグラフィー法により、少なくとも有機溶媒を含有するエッチング液を用いて電極パターンを形成する工程
  2. 前記工程2で用いる前記有機溶媒が、エーテルアルコール、ケトン及びエステルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルの製造方法。
  3. 前記銀薄膜電極上に、更に中間層Bを形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のタッチパネルの製造方法。
  4. 前記中間層及び中間層Bが、いずれも前記有機溶媒に可溶であることを特徴とする請求項3に記載のタッチパネルの製造方法。
  5. 少なくとも前記中間層が、銀と親和性の高い化合物を含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のタッチパネルの製造方法。
  6. 前記銀と親和性の高い化合物が、含窒素有機化合物、含硫黄有機化合物及び含ハロゲン有機化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項5に記載のタッチパネルの製造方法。
  7. 前記銀薄膜電極が、蒸着法により形成することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のタッチパネルの製造方法。
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